(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】密封容器の通気および密封容器からの分取のための使い捨て器具
(51)【国際特許分類】
C12M 1/26 20060101AFI20221005BHJP
【FI】
C12M1/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507551
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(85)【翻訳文提出日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 US2020045030
(87)【国際公開番号】W WO2021026249
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513165469
【氏名又は名称】ビーディー キエストラ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】フェイエン,フランシスカス,ヘルマヌス
(72)【発明者】
【氏名】アームストロング,ロバート,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】レンツ,アモン,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ポール,ブレント,ロナルド
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA09
4B029BB01
4B029HA05
4B029HA10
(57)【要約】
複数ポート使い捨て器具は、密封培養容器の通気、および、密封培容器から収集容器への試料の吸引、の両方を行う。この複数ポート使い捨て器具は、培養容器の頂部を受容して取り付けられるように構成された第1のポートを有する。この複数ポート使い捨て器具は試料収集容器を受容するように構成された第2のポートを有する。この複数ポート使い捨て器具は、第1の針および第2の針を有する。第1の針は、培養容器の隔膜またはキャップを刺通するように構成されたカニューレを有する。任意の選択肢として、このカニューレは微生物剤を担持するフォーム層で終端し、それにより、密封培養容器が通気されるとき、培養容器からカニューレに移送された蒸気が、フォームによって吸収される。任意の選択肢として、使い捨て器具のポートはスリーブ様に構成される。第1のポートのスリーブは、培養容器の一部を受容し、第2のポートは、収集容器を受容する。第2の針は、培養容器と収集容器が器具に導入されたとき、培養容器の隔膜またはキャップと収集容器の隔膜またはキャップの両方を刺通するカニューレを備え、それにより、培養容器と収集容器の間に流体連通を与える。第2のカニューレは、培養容器から収集容器へ試料を送達する流路を与える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密封試料器具の通気および前記密封資料器具からの分取のための複数ポート使い捨て器具であって、
複数のポートの少なくとも第1のポートが、培養容器の頂部を受容するように構成されて、前記培養容器を受容するように開放された近端、および、前記複数のポートの前記少なくとも第1のポートのための針インサートで終端する遠端、を有する、複数のポートと、
試料収集容器を受容するように構成された、前記複数のポートの第2のポートであって、前記試料収集容器を受容するように開放された近端、および、前記複数のポートの前記第1のポートのための前記針インサートと同じまたは異なる針インサートで終端する遠端、を有する、前記複数のポートの第2のポートと、
前記複数ポート使い捨て器具の前記複数のポートの少なくとも1つのポートに配置され、前記針インサートから延びる第1の針であって、前記針インサートを実質的に貫通して延びず、前記複数のポートの別のポートに入らないカニューレを備える、第1の針と、
針インサートを貫通して延び、前記複数のポートの前記少なくとも第1のポートに受容される前記培養容器と前記複数のポートの前記第2のポートに受容される前記試料収集容器との間に流体連通を与えるカニューレ、を備える第2の針であって、第1の近端および第2の遠端を有し、前記第1の近端は前記培養容器の隔膜またはキャップを刺通するように構成され、前記第2の遠端は前記試料収集容器の隔膜またはキャップを刺通する、第2の針と、
を備える複数ポート使い捨て器具。
【請求項2】
第1のポートおよび第2のポートをさらに有し、前記複数ポート使い捨て器具が、さらに、前記第1のポートと前記第2のポートとの間に挟まれる前記針インサートに隣接する位置に配置された、微生物剤を担持するフォーム層を有する、請求項1に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項3】
前記微生物剤を担持するフォーム層が前記第2のポートの前記遠端に配置され、前記第1の針の前記カニューレが前記フォーム層で終端する、請求項2に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項4】
前記針インサートが前記第1のポートの前記遠端から前記第2のポートの前記遠端までの開口に保持される、請求項2に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項5】
前記複数のポートは、前記第1のポート、および、前記第2のポートに加えて、第3のポートをさらに備え、前記第3のポートも、前記培養容器の頂部を受容するように構成される、請求項1に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項6】
前記第1の針が、前記複数のポートの前記第3のポートの遠端において第2の針インサートに保持される、請求項5に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項7】
微生物剤を担持するフォーム層が前記第2の針インサートに隣接している、請求項6に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項8】
前記第1の針および前記第2の針の少なくとも一方がその上にシースを有する、請求項1に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項9】
前記試料収集容器が注射器である、請求項1に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項10】
前記第2のポートが、前記試料収集容器に接続するように適合されたコネクタであり、前記コネクタは前記第2の針と流体連通し、前記コネクタの近端が前記注射器と流体接続し、前記コネクタの遠端が第2の針と流体接続する、請求項9に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項11】
前記コネクタがルアーコネクタである、請求項10に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項12】
前記第2の針が前記注射器によって運ばれて前記複数ポート器具に入る、請求項9に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項13】
前記第2の針の前記カニューレが、前記複数のポートの前記少なくとも第1のポートにおいて前記試料収集容器を受容し、それに接続する前記コネクタから延びる、請求項11に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項14】
密封試料器具の通気および前記密封試料器具からの分取のための複数ポート使い捨て器具であって、
複数のポートの少なくとも第1のポートが、培養容器の頂部を受容するように構成されて、前記培養容器を受容するように開放された近端、および、針インサートで終端する遠端、を有する、複数のポートと、
試料収集容器を受容するように構成された前記複数のポートの第2のポートであって、前記試料収集容器を受容するように開放された近端、および、前記針インサートで終端する遠端、を有する、前記複数のポートの第2のポートと、
前記複数のポートの少なくとも1つのポートに配置され、前記針インサートから延びる、前記針インサートに保持された第1の針であって、前記針インサートを実質的に貫通して延びず、前記複数のポートの前記第2のポートに入らないカニューレを備え、前記培養容器の隔膜またはキャップを刺通するように構成された、第1の針と、
前記針インサートを貫通して延び、前記複数のポートの前記第1のポートに受容される前記培養容器との間に流体連通を与えるカニューレを備え、第1の近端および第2の遠端を有する第2の針であって、前記第1の近端が前記培養容器の隔膜またはキャップを刺通するように構成され、前記第2の遠端が前記試料収集容器の隔膜またはキャップを刺通する、第2の針と、
を備える複数ポート使い捨て器具。
【請求項15】
前記第1の針はカニューレを有し、該カニューレは、前記複数のポートの第1のポートと前記複数のポートの前記第2のポートとの間に挟まれた針インサートに隣接して位置する、微生物剤を担持するフォーム層で、終端する、請求項14に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項16】
前記微生物剤を担持する前記フォーム層が前記複数のポートの前記第2のポートの前記遠端に配置され、前記第1の針の前記カニューレが、前記微生物剤を担持する前記フォーム層で終端する、請求項15に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項17】
さらに第2のフォーム層を有し、前記第2のフォーム層が前記複数のポートの前記第2のポートの前記遠端に配置され、前記針インサートに隣接する、請求項16に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項18】
前記複数のポートの前記第1のポートと前記複数のポートの前記第2のポートとの間にフランジをさらに備え、前記針インサートが前記フランジに固定される、請求項14に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項19】
前記第1の針および前記第2の針の少なくとも一方がその上にシースを有する、請求項14に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項20】
前記試料収集容器が注射器であり、前記第2の針が注射器針である、請求項14に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項21】
密封試料器具の通気および前記密封試料器具からの分取のための複数ポート使い捨て器具であって、
複数のポートの第1のポートが培養容器の頂部を受容するように構成され、前記複数のポートの前記第1のポートは、前記培養容器を受容するように開放された近端、および、第1の針インサートで終端する遠端、を有する、複数のポートと、
試料収集容器を受容するように構成された前記複数のポートの第2のポートであって、収集容器を受容するように開放された近端、および、前記第1の針インサートで終端する遠端、を有する、前記複数のポートの第2のポートと、
試料収集容器を受容するように構成された前記複数のポートの第3のポートであって、収集容器を受容するように開放された近端、および、第2の針インサートで終端する遠端、を有する、前記複数のポートの第3のポートと、
前記複数ポート使い捨て器具の前記複数のポートの前記第3のポートに配置され、前記第2の針インサートに保持され、前記第2の針インサートから延びる第1の針であって、前記針インサートを実質的に貫通せず、前記複数のポートの前記第1のポートまたは前記第2のポートに入らないカニューレを備え、前記培養容器の隔膜またはキャップを刺通するように構成された、第1の針と、
前記第1の針インサートを通じて延び、前記複数のポートの前記第1のポートに受容される前記培養容器との間に流体連通を与えるカニューレを備える第2の針であって、第1の近端および第2の遠端を有し、前記第1の近端が前記培養容器の隔膜またはキャップを刺通するように構成され、前記第2の遠端が前記収集容器の隔膜またはキャップを刺通するように構成された、第2の針と、
を備える複数のポート使い捨て器具。
【請求項22】
前記第1の針が、前記第2の針インサートに隣接して配置される微生物剤を担持するフォーム層で終端するカニューレを有する、請求項21に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項23】
前記複数のポートの前記第1のポートの遠端と前記複数のポートの前記第2のポートとの間に、さらにフランジを備え、前記第1の針インサートが前記フランジに固定される、請求項21に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項24】
前記第1の針および前記第2の針の少なくとも一方がその上にシースを有する、請求項21に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項25】
密封試料器具の通気および前記密封試料器具からの分取のための複数ポート使い捨て器具であって、
複数のポートの第1のポートが、培養容器の頂部を受容するように構成され、前記培養容器を受容するように開放された近端、および、針インサートで終端する遠端、を有する、複数のポートと、
試料収集容器に連結するように構成され、流体コネクタを備える、前記複数のポートの第2のポートと、
前記複数ポート使い捨て器具の前記複数のポートの少なくとも1つのポートに配置され、前記針インサートに保持され、前記針インサートから延びる第1の針であって、前記針インサートを実質的に貫通して延びず、前記複数のポートの前記第2のポート内に入らないカニューレを備え、前記培養容器の隔膜またはキャップを刺通するように構成された、第1の針と、
前記流体コネクタから延び、前記複数のポートの前記第1のポートに受容される前記培養容器との間に流体連通を与えるカニューレを備える第2の針であって、第1の近端および第2の遠端を有し、前記第1の近端が前記培養容器の隔膜またはキャップを刺通するように構成され、前記第2の遠端が前記流体コネクタと流体連通する第2の針と、
を備える複数ポート使い捨て器具。
【請求項26】
前記第1の針が、前記複数のポートの前記第1のポートと前記流体コネクタとの間に挟まれた前記針インサートに隣接して配置される微生物剤を担持するフォーム層で終端するカニューレを有する、請求項25に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項27】
前記微生物剤を担持する前記フォーム層が前記流体コネクタの前記遠端に配置され、前記第1の針の前記カニューレが前記微生物剤を担持する前記フォーム層で終端する、請求項26に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項28】
前記流体コネクタがルアーコネクタである、請求項27に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項29】
前記複数のポートの前記第1のポートの前記遠端と前記流体コネクタとの間に、さらにフランジを備え、前記針インサートが前記フランジに固定される、請求項25に記載の複数ポート使い捨て器具。
【請求項30】
前記第1の針および前記第2の針の少なくとも一方がその上にシースを有する、請求項24に記載の複数ポート使い捨て器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2019年8月6日に出願された米国仮特許出願第62/883,427の4出願日の利益、および2019年9月27日に出願された米国仮特許出願第62/907,060の出願日の利益を主張し、これらの開示を本明細書において参照することにより援用をする。
【0002】
本明細書に記載する発明は、培養容器の通気および培養容器からの試料の分取(obtaining an aliquot of sample)の両方のための、通気針および別個の流体移送針を有する2ポート式使い捨て器具に関する。
【背景技術】
【0003】
本開示の様々な実施形態は、微生物汚染について試料(例えば、生物試料、環境試料、食物試料等)を試験するためのシステムおよび方法を記述する。培養容器に植え付けられた試料は、その試料が微生物で汚染されている場合、培養容器の状態に経時的変化を起こす。微生物が試料に存在する場合、その代謝活動は、培養容器内の気体組成、気体圧力、および/またはpHを変化させる。(試料に微生物が存在する場合)培養容器内の気体内圧が経時的に上昇するので、培養容器の内容物は、それを培養容器から取り出す前は、培養容器からの気体を通気せずに培養容器の内容物に触れることはできない。したがって、培養容器の通気および培養容器内の試料の分取の両方を安全に行うことを可能にする器具が必要とされる。
【0004】
血液培養陽性(PBC)の検出は、培養容器内の微生物の同定を決定し、その微生物に感染している患者のための適切な薬物治療を決定するための、長い一連のプロセスのまさに始まりである。最初のステップは、同定および抗体感受性の計装による下流処理のために、微生物をビンから取り出し、適切な収集容器に入れることである。
【0005】
BD BACTECTMビン(BACTECは、Becton Dickinson社の商標である)などの血液培養容器において、バクテリアの増殖は、二酸化炭素(試料中の微生物の種類により異なるCO2などのその他の気体)を発生させる。いずれにせよ、微生物によるそれらの気体の生成は、培養容器の内圧をわずかに上昇させる。エーロゾル化したバクテリア培地をなくすように、またはそれを内封するように、ビンの隔膜の貫通が行われる必要がある。これは、内部機器の表面の汚染および潜在的な試料の交差汚染を防ぐ。血液培養ビンの内容物が周囲環境に漏れ出すことがないように血液培養容器の内容物に接近することは、この上なく重要である。この課題を解決する手段は継続的に探索されている。
【発明の概要】
【0006】
微生物研究所の環境において、試料を植え付けた血液培養ビンは、バクテリアの増殖を検出するために培養過程を経る。血液培養陽性については、下流の同定および感受性の試験のために、ビンからアリコート(aliquot)が採取される。ここに記載する使い捨て器具は、血液培養処理の分取の段階で使用される。使い捨て器具は、異なる長さの少なくとも2本の針がその中に配置されたハウジングを有する。使い捨て器具は、(本明細書においてはポートまたはスリーブとも呼ばれる)2つの互いに反対側に位置する受入部を有する。一方の受入部は、血液培養ビンなどの血液培養容器に取り付けられるように構成される。最初に、使い捨て器具の長い方の針は、培養ビンの隔膜を穿孔する。圧力気体が存在する場合、それは、通気針を通じて漏出し、エーロゾルは、抗バクテリア剤を含有する連続気泡フォームの厚い層に捕捉される。通気の間、使い捨て器具と血液培養容器のアセンブリは、気体が上方に漏れ出すように、ほぼ直立姿勢にあるように置かれる。
【0007】
任意の選択肢として、通気の後、2ポート使い捨て器具と血液培養容器のアセンブリは、使い捨て器具が血液培養ビンよりも下に保持され、血液培養の液体内容物が使い捨て器具の針と流体連通するように、少なくとも幾分逆さまにされる。任意の選択肢として、通気の後、血液培養容器は、分取のため、直立姿勢のままである。密封滅菌した収集容器は、収集容器の密封が第2の針によって穿孔されるように、2ポート使い捨て器具の第2のポートの第2のスリーブ内に挿入される。収集容器の真空は、血液培養のアリコートを培養容器から引き出して滅菌収集容器に取り込む。
【0008】
たとえば、いくつかの実施形態は、培養容器の隔膜またはキャップを貫通し、試料を分取する前に、培養容器の気体放出を可能にする手段を備えた2ポート使い捨て器具を記載する。これは、培養容器の内容物のアリコートを回収する前に、培養容器内部の圧力を放出することを可能にする。いくつかの実施形態では、培養容器の頭部空間の気体は、アセンブリの外の環境を汚染せず、また、試料汚染も生ずることなく、2ポート使い捨て器具から排出され得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、2ポート使い捨て器具は、放出された蒸気によって運ばれる液体が2ポート使い捨て器具から漏出することを防ぐ膜を備える。また、2ポート使い捨て器具は、(典型的には、培地と組み合わされた)培養容器から試料のアリコートを引き出して、分子診断など、別の診断プロセスのための継代培養または分取のための収集容器に入れるために使用される。
【0010】
本明細書に記載する2ポート使い捨て器具の1つの例は、培養容器の上部を受け、そこに取り付けられるように構成された第1のポートを有する。2ポート使い捨て器具は、試料収集容器を受けるように構成された第2のポートを有する。2ポート使い捨て器具は、培養容器の隔膜またはキャップを貫通するように構成されたカニューレを有する。カニューレは、カニューレを通じて培養容器から移送される蒸気が抗微生物剤を担持するフォームによって吸収され、中和されるように、このフォームの層で終端する。任意の選択肢として、使い捨て器具のポートは、スリーブ様に構成される。第1のポートのスリーブは、培養容器の一部を受け、第2のポートのスリーブは、収集容器を受ける。第2のカニューレは、培養容器の隔膜またはキャップと収集容器の隔膜またはキャップの両方を貫通し、培養容器と収集容器の間の流体連通を与える。第2のカニューレは、培養容器から収集容器へ試料を送る流路を与える。第1のカニューレは、試料が収集容器に送られる際、空気が培養容器に入る流路を与える。
【0011】
任意の選択肢として、収集容器は注射器である。この実施形態では、第2のカニューレは、この注射器で終端する。注射器は、培養容器を収集容器に送り込むために、培養容器から試料を引き出す。任意の選択肢として、第2のカニューレは、注射器を使い捨て器具に接続するルアーロックコネクタなどのコネクタをもって終端し、それにより、培養容器から所望のアリコートを引き出すために十分な真空源を与える。また、そのようなコネクタは、注射器を器具から分離することも可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】使い捨て器具の破断図である。[ゴムスリーブ?]
【
図2】血液培養容器に組み付けられた
図1の使い捨て器具の破断図である。
【
図3】通気および分取の際の
図2のアセンブリの向きを図示する。
【
図4】通気の際、
図1の使い捨て器具が組み付けられる血液培養ビンに対する使い捨て器具の位置を図示する。
【
図5】
図1の使い捨て器具の一部であり、2本の針と抗微生物フォームを図示する。
【
図6】保持インサートを通過する2本の針の破断側面図である。
【
図7】保持インサートを通過する2本の針の透視図である。
【
図10A-10B】上向き45度角と下向き20度角(両方とも水平に対して)の血液培養ビンの内容物の反応を図示する。
【
図11A-11C】水平に対して傾斜角9.5度、12.5度、および20度の血液培養ビンの内容物の反応を図示する。
【
図12】逆さまにした血液培養ビンを図示し、培地と溶液の相対量ならびに頭部空間の相対容積を示す。
【
図15】収集容器と接続している使い捨て器具の第2のポートの詳細横断面図である。
【
図16】
図15の横断面図であり、使い捨て器具の側部からの分取針の配置を示す。
【
図17】使い捨て器具の第1のポートの横断面図であり、使い捨て器具の側部からの分取針の配置を示す。
【
図18】別の実施形態の使い捨て器具の横断面図であり、培養ビンは直立姿勢で分取される。
【
図19】
図18の使い捨て器具の横断面図であり、直立姿勢で分取のために配置されている。
【
図20】
図19の使い捨て器具の横断面図であり、収集容器が、使い捨て器具を介して培養ビンと流体連通している。
【
図21】通気のために培養ビンに取り付けた本明細書に記載の使い捨て器具の3ポート構成の横断面図である。
【
図22】分取位置まで回転した
図23の器具の横断面図である。
【
図23】中に収集容器が配置された
図24の器具の横断面図である。
【
図24】自動操作のための特徴を有する使い捨て器具の3ポート構成の透視図である。
【
図25】1本の針のみを備えた2ポート器具の破断図である。
【
図26】注射器収集器具を備えた2ポート器具の図である。
【
図27A】注射器のためのルアーコネクタを備えた
図26の実施形態を図示する。
【
図27B】注射器のためのルアーコネクタを備えた
図26の実施形態を図示する。
【
図27C】注射器のためのルアーコネクタを備えた
図26の実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による2ポート使い捨て器具の破断図である。使い捨て器具100は、第1のポート120と第2のポート130からなるハウジング110を有する。任意の選択肢として、ハウジング110は一体成型体である。第1のポート120と第2のポート130は、スリーブ様に構成される。2ポート使い捨て器具100は、通気針である第1の針140と分取針である第2の針150とを有する。両方の針は、第1のポート120を第2のポート130から離隔する(針をその中に挿入する)針保持インサート160によってハウジング110内に保持される。針保持インサートは、第1のポート120の各遠端に形成されるフランジ161と第2のポートによって固定される。また、フランジ161は、第1および第2のポート内に進入する容器が、行き過ぎて隣接するポートに入り込むのを防ぐ。任意の選択肢として、2ポート使い捨て器具100は、第2のポート130の遠端に位置し、針インサート160に隣接する使い捨て抗微生物フォーム170も有する。両方の針は、針インサート160を貫通通過する。通気針140は、抗微生物使い捨てフォーム170で終端する。分取針は、抗微生物フォーム層170を貫通通過する。
【0014】
任意の選択肢として、2ポート使い捨て器具は、成型ハウジング110に、2ポート使い捨て器具の把持と操作の自動化を容易にする外部特徴を有する。そのような特徴の例は、
図1に図示される。図に示すのは、グリッパ中心リブ180、回転止めリング190、およびキー195である。
【0015】
図2を参照すると、
図1に記載した2ポート使い捨て器具100のアセンブリが、培養ビン200および収集チューブ210に組み付けられた形で図示されている。通気針140は、それが培養ビン200のキャップ220のみを刺通し、収集チューブ210の隔膜230を刺通しないように、2ポート使い捨て器具110に配置される。分取針150は、培養ビン200のキャップ220と収集チューブ210の隔膜230の両方を刺通する。培養ビン200は、第1のポート120のスリーブ内に受容され、収集チューブ210は、第2のポート130に受容される。第1のポート120と第2のポート130は、2ポート使い捨て器具100の一体型ハウジング110内にスリーブ様に形成される。
図1に記載したように、通気針140と分取針150は、針インサート160によって、2ポート使い捨て器具内に保持される。抗微生物使い捨てフォーム170は、保持インサートに隣接する第2のポート130の遠端に配置される。任意の選択肢として、抗微生物フォームは、第1のポート120の遠端に配置することができる。
【0016】
2ポート使い捨て器具は、エーロゾル化の問題に取り組む。先に説明したように、血液培養ビンにおけるバクテリア増殖は、(バクテリアの種類によって異なる)二酸化炭素または酸素などの気体を発生させ、わずかながらビン内に圧力を生じさせる。内部機器の表面の汚染を防ぐために、エーロゾル化したバクテリアと培地をなくすように、またはそれを内封するように、培養ビンの隔膜の貫通が行われなければならない。2ポート使い捨て器具は、エーロゾル化したバクテリアと培地がフォーム内に捕集され、2ポート使い捨て器具の周囲環境に入ることがないように、通気針の通気側に抗バクテリア剤注入使い捨てフォームを挿入することによってこの問題を取り扱う。
【0017】
2ポート使い捨て器具は、汚染の問題に取り組む。上述のように、エーロゾルが通気箇所から周囲環境へバクテリアを運ぶ場合、上述のとおり微生物汚染のリスクがある。エーロゾル捕集フォームは、培養容器および収集容器の表面の微生物汚染付着を最小化し、さらにはなくす。また、エーロゾル捕集フォームは、通気の際に、汚染物質が培養容器に入るのを減らす、またはなくす。これは、最初の試料が採取された後でも、培養ビンに残っている試料を培養容器から分取することを可能にする。
【0018】
2ポート使い捨て器具は、上述のグリッパ中心リブ180、回転止めリング190、およびキー195などの特徴を有することにより、自動化を容易にする。これらの特徴は、高い信頼度をもって、2ポート使い捨て器具をそのパッケージから取り出し、通気を行い培養容器から分取するために2ポート使い捨て器具を把持、操作し、2ポート使い捨て器具を廃棄する自動機器の使用を容易にする。
【0019】
2ポート使い捨て器具は、培養容器/収集容器の隔膜/ストッパを「穿孔」しない針を備える。刺通器具が隔膜/ストッパを貫通する永久経路を残す場合に孔が生じる。隔膜またはストッパに裂孔またはその他の損傷が残る隔膜/ストッパの刺通は、漏出を生じ得るので避けなければならない。
【0020】
培地は、しばしば、栄養物のほかに粒子を含有する。たとえば、BactecTM Plus培地は、抗体中和のためにビーズ状樹脂を含有する。2ポート使い捨て器具のための針は、ビーズ状樹脂が試料といっしょに収集容器内に吸引されることを防ぐ直径を有するカニューレを有する。
【0021】
自動化システムであっても、針の安全性は課題である。任意の選択肢として、2ポート使い捨て器具は、技師が露出尖端にさらされる機会を最小限にする。
【0022】
試料の十分なアリコートが吸引されて確実に収集容器に入るように、2ポート使い捨て器具100は、
図3に図示するやり方で、培養容器200および収集容器に組み付けられる。ステップ1において、2ポート使い捨て器具100は、培養容器200に組み付けられる。通気針140は、培養ビンのキャップ220を通じて挿入される。通気の後、ステップ2において、2ポート使い捨て器具100は、分取針150が培養ビンのキャップ220を刺通するように、培養容器200に向かってさらに進む。ステップ3において、2ポート使い捨て器具100と培養容器200のアセンブリは、培地/試料内のビーズが培養ビン200の底に沈殿するように回転され/揺り動かされる。その後、2ポート使い捨て器具100と培養容器200のアセンブリは、ステップ4に図示するように、水平に対して負の角度の位置に置かれる。ステップ5において、収集容器210は、分取針150が収集容器210の隔膜230を刺通するように2ポート使い捨て器具110の第2のポート130に挿入される。収集容器210、2ポート使い捨て器具100、および培養容器200のアセンブリは、試料収集の間、負の角度に維持され、その後、ステップ6において、収集容器210がアセンブリから取り外される。ステップ7において、培養ビン200は、2ポート使い捨て器具から取り外され、2ポート使い捨て器具は、廃棄される。
【0023】
図4は、第1の通気ステップを実行するために、2ポート使い捨て器具を前進させて培養容器200に接触させ、第2の分取ステップのための位置に置く様を図示する。第1の通気ステップで、第1の通気針140のみが、培養容器200のキャップ220を刺通する。通気針140の遠端は、培養容器200の通気の結果放出されるエーロゾルが抗バクテリアフォームに捕集され、それにより通気による汚染のリスクを減らす/なくすように、使い捨て抗微生物フォーム170に埋め込まれる。通気針は、分取針よりもさらに深く第1のポート120内に延びるので、2ポート使い捨て器具がさらに前進して、最初に培養容器に接触する時、培養容器200は通気される。分取針150は、収集容器210が第2のポート130に挿入されるまで培養容器のキャップ220を刺通せず、この挿入が、分取針に培養容器のキャップ220を刺通させる。
【0024】
自動的な方法では、ロボットグリッパ(図示せず)が、2ポート使い捨て器具100を取得し、第1のポート120を、直立の培養容器200の上に同心円をなすように位置付ける。2ポート使い捨て器具100は、通気針140が培養容器のキャップに接触し、刺通するように、Z軸に沿って並進運動する。通気針140によるキャップ220の刺通と同時に、圧力気体が存在する場合、それが、通気針140を通じて漏出し、エーロゾルは、好適には抗バクテリア剤を含有する連続気泡フォーム(すなわち、使い捨て抗微生物フォーム170)の適切な厚さの層に捕集される。
【0025】
図5は、使い捨て抗微生物フォーム170が第2のポート130の遠端に位置する2ポート使い捨て器具100の一部の詳細図である。針インサート160は、第1のポート120の遠端に位置する。抗バクテリア剤を飽和させたフォームの層は、収集容器の頂部の閉鎖部を圧迫接触する(たとえば、隔膜キャップまたはバキュテイナを再び閉鎖するBecton Dickinson BD)。自動化器具は、針140と針150が、それぞれ、培養容器と収集容器から取り出される前に、使い捨て抗微生物フォーム層170が針インサート160の頂部表面を半径方向に掃くように、ハウジング110を回転させることができる。また、
図5は、ハウジング110の内部が、針インサート160の小直径部250を通って延びるフランジ240を有することを図示する。針インサート160の大直径部260は、ハウジング100に針インサートを固定し、第1のポート120と第2のポート130の間に密封を与えるために、フランジ240上に位置する。
【0026】
図6は、針インサート160の詳細破断図である。
図6は、ハウジング110に針インサート160を固定し、それにより、第1のポート120と第2のポート130の間に封鎖を与えるために、フランジ240(
図5)上に位置する針インサート160の大直径部260を図示する。分取針150は、その上にシース151を有する。シースは、使い捨て器具が培養容器に固定されると、分取針を封鎖する。シースは、収集容器を使い捨て器具に取り付ける前に、培養容器の内容物が培養容器から流出することを防ぐ。針インサート160のための適切な材料の一つの例はブチルゴムである。汚染を防ぐために1つ以上の針を覆うように配置される任意選択のシースも、ブチルゴム製とすることができる。代替的に、隔膜を刺通するフォームシリンダおよび針を圧迫する前に、Bactec
TMビンの頂部に対して浄化動作を行う針を覆う厚いフォーム層を実装することができる。
図7は、
図6の針インサートを透視図で図示する。
【0027】
図8は、ハウジング110の図である。図示のとおり、ハウジングは、第1のポート120の近端にある第1のフランジ265と第2のポート130の近端にある第2のフランジ190(すなわち、回転止めリング)を有する。フランジ265は、対称形状を有し、第2のフランジ190は、非対称形状を有する。非対称形のフランジ190は、第2のポート130の近端の互いに反対側の両側部に隣接する2つの部分を有する。非対称形のフランジ190は、血液培養容器に器具100を位置させる自動機器に受容され、係合ロックすることができる。グリッパ中心リブ180は、器具を使用して取得された各試料アリコートについて、把持メカニズムの顎部が、2ポート使い捨て器具と同軸位置で把持することを可能にする。
【0028】
外径キー特徴195は、グリッパの幾何形状と相俟って、2ポート使い捨て器具100が同じ半径方向で持ち上げられるように働く。これにより、各試料について、通気針が同じ半径角度でビンに挿入されることが予測される。
【0029】
上述のように、任意の選択肢として、針は、針が刺通する隔膜を穿孔しない。当業者は、隔膜が穿孔される例を減らす、針と隔膜設計の両方における方策に気づくであろう。穿孔例を管理または減らすように設計された針300の1つの例を
図9に示す。針300は、第1のベベル310、第2のベベル320、およびヒール特徴330を有する。穿孔を減らすために、ヒール特徴330は、隔膜材料を切断せずに、隔膜材料の変位を促すために、その縁が鈍化するようビーズブラストされる。
【0030】
キャップ220は、臭素化ブチルゴムまたは塩素化ブチルゴムなどの従来の隔膜材料から製作される。典型的には、そのような材料は、約40~約50のデュロメータ・ショアA硬度を有する。また、そのような材料は、収集チューブ210のためのストッパ230にも使用することができる。より低いデュロメータ値を有する材料は、より穿孔しにくい(または穿孔されにくい)。シリコンおよびテフロン(登録商標)などの潤滑材は、刺通力を弱め、挿入を容易にし、穿孔および裂孔の可能性を低減するために、任意の選択肢として、針の外面に使用される。針が隔膜を穿孔しないように、これらの課題に取り組むためのベベルのヒールの研磨も考慮される。
【0031】
培養容器からの試料の吸引にかかわる潜在的課題の一つは、培地の樹脂が針に詰まる可能性があることである。この課題の解決手段は、針に直径の大きいカニューレを備えるとともに、針の開口が、樹脂がカニューレに入ることを妨げるに十分なサイズとするか、または樹脂がカニューレに入らないような十分に小さいものとすることなどがある。
【0032】
図10Aおよび
図10Bは、ビン110を最初に45度上向き角度位置として、比較的ビーズの少ない懸濁液350を生成するプロセスを図示する(
図10A)。次に、ビンは、およそ20度下向きになるまで回転される。試料350の比較的沈殿物の少ない部分が、ビン110の首部360に流れ込む。これは針150を短くすることを可能にし、短い針は、樹脂/培地370の沈殿を含有する懸濁液の低位部分から吸引しない。ビンが
図10Bに図示するような向きであるとき、第2のベベル320は、懸濁する樹脂ビーズの吸引をいっそう制御するために、上方向を向く。培養ビンから試料を引き出す(すなわち、吸引)ために、ビン首部360の水平に対する角度は、約9.5度~約20度とする。培養ビン200のこのような向きは、
図11A(9.5度)、
図11B(12.5度)、および
図11C(20度)に図示される。
【0033】
図12は、培養ビン200を倒立(180度回転)させた図である。樹脂/培地370が培養ビン200の首部360内に落ち着く(すなわち、樹脂が首部を約57mm深さまで満ちる)ために約30秒待つ必要がある。その時点で、分取針(
図10Bの150)を、樹脂/培地370を迂回して、試料350の比較的沈殿のない部分から試料を収集するために、培養ビン内に約65mm挿入することができる。この実施形態では、試料350の比較的沈殿のない部分に到達するために、長さ約100mmの分取針が必要である。
【0034】
【0035】
図14は、針/カニューレの側部に複数の開口440を有する別の任意選択の針デザインを図示する。任意の選択肢として、針は、サイドペンシル尖端針とする。開口440のサイズは、任意の選択肢として、培地内の樹脂ビーズよりも小さくするように管理することができる。開口440の数も管理することができる。典型的には、このような針は、収集容器(図示せず)内に流体を吸引するために、閉鎖ペンシル尖端点450、および、典型的には、単一の側部孔440を有する。その他の針の尖端点の様式の例としては、Pencan(R)(B. Braun Medical Inc.の登録商標)、Gertie Marx針などがある。これらの針デザインは、当業者には周知であり、本明細書には詳細記載しない。これらの針タイプは、典型的には、脊椎用途に使用され、最小25ゲージ(0.515mm)のサイズまで製造可能である。任意の選択肢として、本明細書に記載の針は約20ゲージである。任意の選択肢として、
図13A~
図13Dに図示した針は、複数の開口を有するものとすることができる。
【0036】
図14に示す実施形態については、単一ペンシル尖端点デザインは、約0.15mmのサイズの孔440を有する。ビーズの直径サイズが約0.2~約0.6mmであるので、試料/培地からの樹脂が、単一ペンシル尖端点デザインの開口440内に入らない。本明細書に記載する針の幾何形状は、培養ビン200と収集容器220の隔膜を刺通するために適切なように考慮される。
【0037】
針140および針150はハウジング110内に保持されるので、器具のユーザは、針140および針150の尖端に接触する事故から保護される。任意の選択肢として、針140、150は、さらに、ユーザが事故的に刺されることを防ぐために、ブチルゴムスリーブで覆われる。
【0038】
任意の選択肢として、本明細書に記載する使い捨て器具は、自動化プロセスにおいて使用される。
図3に手順を図示するそのようなプロセスにおいて、針140による通気は、第1のポート120が培養ビン200の首部360に向かって十分に前進する前に行われる。針140が培養ビン200を通気した後、培養ビン200は、ゆっくりと回転され、逆さまにされる。ビン200が約45度まで傾けられた後、回転は約30秒間停止して、樹脂ビーズ/培地370が培養ビン200の隅に沈降するのを可能にする。
【0039】
次に、所定の分取角度まで回転が再開される。この例では、分取角度は約20度である。次に、使い捨て器具は、分取針150が培養ビン200のキャップ220(すなわち、隔膜)を刺通するように、培養ビンの首部360に向かってさらに前進する。この第2の刺通の時、流体が培養ビン200から収集チューブ210へ流れる。収集の後、収集チューブ210は、使い捨て器具100から取り外される。次に、培養ビン200が、使い捨て器具から取り外される。次に、ユーザは、使い捨て器具に埋め込まれた尖端とともに、医療廃棄物の廃棄手順にしたがって使い捨て器具を廃棄する。
【0040】
図15は、使い捨て器具100の第2のポート130の詳細断面図である。通気針140は、収集容器(図示せず)に接続する針インサート160で終端する。抗微生物フォーム層170は、ポート130の遠端の針インサート160に隣接位置に置かれる。分取針150は、図示した第2のポートと第1のポート120の両方と流体連通する(
図17)。
【0041】
図16は、
図15の横断面図であり、使い捨て器具において第2のポート130の側からの分取針150の配置を図示する。分取針150は、上述のようなベベルを有するものとして図示されるが、これは、尖端の取り扱いに伴う危険を軽減する。
【0042】
図17は、使い捨て器具の第1のポート120の横断面図であり、使い捨て器具の第1のポート120の側部からの通気針140の配置を示す。針は、針インサート160によって器具に保持される。上述のように、使い捨てフォームは、通気の際に、培養ビンから通気されるエーロゾルを吸収するために設けられる。第1のポート120内に延びる2つの針(140、150)の長さの差と2ポート使い捨て器具が前進して培養容器200に接触する速度が、培養容器200が通気される時間の長さを決定する。また、通気針と分取針の長さの差は、自動化機器に以下のステップを実行させるのに十分である。
1.第1の刺通(通気)を行う。
2.刺通を停止する。
3.培養容器を回転する。
4.ビーズの沈降を待つ。
5.ビンを最適分取角度まで回転する。
6.前進を続け、第2の刺通(分取開始位置)に至る。
7.分取する。
8.収集容器と培養ビンを使い捨て器具から取り外す。
9.使い捨て器具を安全に廃棄する。
【0043】
成型ハウジングは、以下の材料から作られ得る。i)ポリプロピレン(PP)、または、ii)ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ナイロン、および、アセタールを含むが、それらに限定されない、射出成型混合材。針140、150は、任意の選択肢として、304ステンレス鋼、316ステンレス鋼、インコネル625、またはニチノールである。フォームで終端する通気針140の端は、任意の選択肢として、針のバレル上のアルミニウム圧着、フレアエンド(flared end)、隅肉接着、または、針をインサートに保持するための締まりばめが施される。分取針は、バレル上のアルミニウム圧着または隅肉接着のいずれかを用いて器具に固定される。フォームに使用される抗バクテリア剤は、任意の選択肢として、漂白剤、アンモニア系、アルコール系、過酸化水素、または抗微生物ゲルとする。フォーム材の例としては、低密度ポリウレタン、連続気泡木材パルプ、または硫酸ナトリウム麻繊維複合物などがあるが、それらに限定されない。3つの針の尖端点のいずれか、またはすべては、任意の選択肢として、針を汚染からさらに保護するためにブチルゴムスリーブを有する。任意の選択肢として、そのようなスリーブは、分取針の側部のみを覆う。
【0044】
別の実施形態においては、培養ビン200は、通気と分取の両方のために、直立位置に保持される。いくつかの状況においては、この姿勢は、試料が、高濃度または高粘度であって、ビンが逆さまにされたとき分取針が詰まる潜在可能性を有する場合などに好適である。そのような実施形態において、少なくとも分取針は、より長いものとし、また、任意の選択肢として、分取針と通気針は、より長いものとする。任意の選択肢として、それらの実施形態において、分取針と通気針は、長さ100mm以上としてもよい。
【0045】
図18を参照すると、他の実施形態におけるように、培養ビン200は、2ポート器具100の第1のポート120によって受容される。2ポート器具は、通気針140と分取針150を有する。
図19を参照すると、通気針140と分取針150は、先に図示した実施形態のものよりも相当長い。2ポート器具100は、培養ビンのキャップ220が第1のポート120の遠端に来るまで、培養ビン200の首部に向かって前進する。また、
図19に図示する実施形態において、微生物フォーム層170、170’は、第1のポート120の遠端と第2のポート130の遠端の両方に配置される。
【0046】
図20を参照すると、2ポート器具100が
図19に図示した培養ビン200に対して分取位置まで前進した後、収集容器210が、2ポート器具100の第2のポート130内に挿入される。これらの構成においては、分取針の長さは、試料内に到達するのに十分であるが、培地/樹脂の沈殿を有する試料部分には達しない。したがって、培養ビンの刺通の順番は、上述の実施形態の場合と同じである。すなわち、最初に、通気針が培養ビンキャップ/隔膜を刺通し、その後、培養ビンのキャップ/隔膜が分取針によって刺通される。培養ビンのキャップ/隔膜が分取針によって刺通された後、(バキュテイナなどの)収集容器が使い捨て器具の第2のポート内に挿入される。ビンとアセンブリを垂直方向直立に保持することにより、培地/樹脂/試料の高粘度/高濃度の均質混合物が培養ビンの底に沈殿を生じ、培養ビン内容物の粘度の低い、より自由に流れる部分から分取することを可能にする。
【0047】
任意の選択肢として、
図21~
図23に示す使い捨て器具500は、第3のポート535を有する。第3のポート535は、キャップ522を通じて挿入される、より短く、より安価な針540で通気動作を行うことを可能にする。第3のポート535は、通気針540から出たエーロゾルを捕集する針インサート561と抗微生物フォーム層570を有する。通気針540は、通気の後、汚染物を捕集するスリーブ541を有する。
【0048】
図22において、通気の後、使い捨て器具500は、培養ビン200との係合をはずされ、回転され、ポート520は、培養ビン200の首部560に封鎖される。ポート520が培養ビン200の首部560に向かって下方向に進められると、分取針550は、培養ビン200のキャップ520を刺通し、分取針の遠端は、試料521内に進入する。
図23を参照すると、キャップ520が第2の針インサート562に隣接するように使い捨て器具500がビン200の首部560に向かって前進した後、収集容器510が、ポート530内に挿入され、分取針550の近端が、収集容器510の隔膜531を刺通する。
【0049】
図24を参照すると、任意の選択肢として、使い捨て器具600は、
図21~
図23に示した使い捨て器具500を多少変更したものであるが、これは、器具600を動かして通気の向きから分取の向きにする際の器具600の回転を自動化することを容易にする特徴608を有する。任意の選択肢として、使い捨て器具600は、動かされるが、培養ビンは、動かされない。
図24において、特徴608は、第3のポート635が培養ビンを受容し、係合するのに必要な方向を向いている場合の器具600の向きで、それを把握することができる3フィンガグリッパによって把持し、培養ビンが通気されたならば、使い捨て器具600のポート635を培養ビンとの係合からはずし、使い捨て器具600を回転し、次に、分取針がそこにおいて培養ビンのキャップを刺通するように、ポート620を培養ビンに係合させることができる円形ノブである。目的は培養ビンを通気することであるので、培養ビンは、培養ビンの首部を上向きにした姿勢をとり、したがって、培養ビン内の試料は通気針と連通しない。
【0050】
図25を参照すると、エーロゾルを生じる処理中の培養ビンは多くはないので、通気なしで分取を行ってもリスクは許容可能な程度の小ささかも知れない。任意の選択肢として、2つのチャンバとただ1つの針750を有する使い捨て器具が構想される。使い捨て器具700は、第1のポート720と第2のポート730を有する。第1のポート720は、収集ビン(図示せず)を受容する。第2のポート730は、収集器具を受容する(図示せず)。針インサート760は、分取針750が培養ビンのキャップを刺通する際、その針を通じて通気される可能性のあるエーロゾルを捕集するため、針インサート760の第2のポート730側に抗微生物剤注入フォーム770を有する。
【0051】
図26は、注射器810の受入に適合した収集ポート830と培養ビンの受入に適合したポート820を備える使い捨て器具800の図である。キャップ822を備える培養ビンの首部860を
図26に示す。分取カニューレ850は、針インサート861を貫通する。抗微生物フォーム870は、注射器を受容するポート830の遠端に配置される。分取カニューレは、注射器810と流体連通する。注射器810は、大気圧を下回り(すなわち、部分または完全真空)、それにより、カニューレ850を通じて培養ビンから試料を吸引する。注射器810が培養ビンからアリコートを引き出すと、注射器810は、下流処理のために、器具800から取り外される。
【0052】
図27Aは、培養ビン200に配置された使い捨て器具800の図であり、ここで、収集ポート830は、(ルアーコネクタ911を備える無針注射器として図示されている)収集器具910を培養ビン200の内容物に流体結合するルアーロックフィッティング825を有する。使い捨て器具は2本の針、通気針840と分取針850を有する。
図27Bを参照すると、培養ビン200から収集器具910への流路を与えるカニューレ850は、ルアーロック825において終端する。収集器具910は、カニューレ850に流体連通して配置され、試料アリコートが吸引される。
図3を参照すると、使い捨て器具800/培養ビン200/収集器具アセンブリ910は、カニューレ850が、分取のために、培養ビン200の内容物と流体連通するように、回転される。その後、
図27Cを参照すると、収集器具910は、使い捨て器具800のルアーコネクタ825から切り離され、収集器具910は、収集した試料を、下流処理のために、移送するために使用される。
【0053】
本明細書において、「~を有する、備える(comprising)」という用語は、「非限定的(open)」な意味である、すなわち、「~を含む(including)」という意味であり、したがって、「限定的(closed)」な意味、すなわち、「~のみからなる(consisting only of)」という意味で限定するものではないと解されなければならない。対応する意味は、対応する語「comprise」、「comprised」、および「comprises」に帰するべきである。
【0054】
本技術の特定の実施形態が記載されているが、本技術はその本質的特徴を逸脱せずにその他の具体的形式に具体化され得ることは当業者に自明であろう。したがって、ここに記載する実施形態および例は、あらゆる点において、例示であり、限定を意味するものではないとみなされなければならない。
【0055】
さらに、本明細書における発明の技術分野における既知の主題への参照は、特に指示のない限り、前記主題が本技術にかかる分野の当業者にとって周知であることを認めるものと解される。
【国際調査報告】