(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】ウイルスベクター産生のための効力アッセイ
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/70 20060101AFI20221005BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20221005BHJP
C12N 15/861 20060101ALN20221005BHJP
C12N 15/864 20060101ALN20221005BHJP
C12N 15/867 20060101ALN20221005BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20221005BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20221005BHJP
C12N 15/115 20100101ALN20221005BHJP
【FI】
C12Q1/70 ZNA
C12Q1/02
C12N15/861 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/867 Z
C12N5/10
C12N15/113 Z
C12N15/115 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507623
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(85)【翻訳文提出日】2022-03-07
(86)【国際出願番号】 US2020045423
(87)【国際公開番号】W WO2021026461
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】398050098
【氏名又は名称】バイオジェン・エムエイ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Biogen MA Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】フェスチェンコ, マリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ベルゲルソン, スヴェトラーナ
(72)【発明者】
【氏名】レイム, アンソニー クリストフ
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ08
4B063QQ10
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR77
4B063QR79
4B063QS33
4B063QX01
4B065AA90X
4B065AA93X
4B065AA95X
4B065AA97X
4B065AB01
4B065BA01
4B065CA44
4B065CA46
(57)【要約】
本開示は、組換えウイルスベクターによってコードされるペイロードの効力を決定するための高感度かつロバストなアッセイを提供する。特に、本開示は、脊髄性筋萎縮症の治療のために使用される組換えウイルスベクターによって発現されるSMNポリペプチドの効力を決定するためのアッセイを提供する。本明細書は、とりわけ、組換えウイルスベクターの効力(例えば、生物学的活性)、例えば、相対的効力を決定するための方法を包含する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのSMNポリペプチドをコードする組換えウイルスベクターの効力を決定する方法であって、
(a)前記組換えウイルスベクターを用いて改変宿主細胞を形質導入することであって、前記改変宿主細胞が、同じ型の非改変基準宿主細胞と比較して前記SMNポリペプチドの発現の低下を含む、前記形質導入することと、
(b)前記改変宿主細胞を、前記SMNポリペプチドの検出のための第1の薬剤と接触させることと、
(c)前記改変宿主細胞を、前記第1の薬剤の検出のための検出部位を含む第2の薬剤と接触させることと、
(d)コイル小体対(GEM)の存在を検出し、それによって、前記少なくとも1つのSMNポリペプチドの効力を決定することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記組換えウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アデノウイルスベクター、またはレトロウイルスベクターを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レトロウイルスベクターが、レンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記AAVベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、またはそのバリアントを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記AAVベクターが、AAVhu68を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記AAVベクターが、ニワトリ-βアクチンプロモーター(CB7)に作動可能に連結されたSMN1遺伝子を含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記AAVベクターが、前記SMN1遺伝子に隣接する2つのITRを含む、請求項4~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記AAVベクターが、ウサギβ-グロビンポリAシグナルを含む、請求項4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記改変宿主細胞が、SMN1遺伝子の条件付きノックダウンまたはノックアウトを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記改変宿主細胞が、SMN1遺伝子の条件付きノックダウンのための少なくとも1つのshRNAを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのshRNAが、
(i)shRNA120もしくはshRNA128を含む、及び/または
(ii)前記組換えウイルスベクターを標的としない、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記改変宿主細胞が、哺乳類宿主細胞を含むか、または哺乳類宿主細胞である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記改変宿主細胞が、ヒト細胞を含むか、またはヒト細胞である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記改変宿主細胞が、SH-SY5Y細胞を含むか、またはSH-SY5Y細胞である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記改変宿主細胞が、SH-SY5Y KD細胞を含むか、またはSH-SY5Y KD細胞である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
形質導入の前に、
(i)宿主細胞が、少なくとも1回凍結され、解凍される、
(ii)宿主細胞が、少なくとも3回継代される、
(iii)宿主細胞が、ドキシサイクリンで処理される、及び/または
(iv)宿主細胞が、約5.0×10
3~約5.0×10
4細胞/ウェルの密度で播種される、のうちの1つ以上が生じる、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記改変宿主細胞が、24時間以内に播種され、形質導入される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
形質導入工程(b)が、段階希釈によって達成される約5つの異なるMOIで実施される、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記形質導入工程(b)が、約6.1×10
5VG/細胞~約4×10
6VG/細胞のMOIで実施される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
シグナル対ノイズ比が、約2.5超であるか、または約2.5である、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の薬剤が、抗SMN1抗体もしくはその抗原結合断片、またはアプタマーを含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記検出部分が、蛍光標識、比色標識、もしくは酵素標識を含むか、またはそれらである、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の薬剤が、蛍光標識二次抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記GEMの存在が、免疫蛍光によって検出される、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記GEMの存在が、イメージングによって検出される、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記イメージングが、ハイコンテントイメージング(HCI)を含むか、またはそれである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記方法が、少なくとも1つのヘルパー機能を使用せずに、または実質的に使用せずに実施される、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つのヘルパー機能が、Ad2またはAd5ヘルパーウイルスを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
同じ型または異なる型の非改変基準宿主細胞による形質導入よりも少ない量の組換えウイルスベクターが、形質導入に必要である、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が、低標準偏差を有する、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
効力が、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、またはそれ以上の正確度で決定される、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
効力が、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の精度で決定される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記方法が、例えば、前記組換えウイルスベクターの温熱ストレスに続いて、前記組換えウイルスベクターの安定性を示す、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記組換えウイルスベクターの効力が、中空カプシドの存在によって影響を受けない、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記組換えウイルスベクターが、複数の中空ウイルスカプシドを含む、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月8日に出願された米国仮特許出願第62/884,252号に対する優先権を主張し、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ウイルスベクター媒介遺伝子治療は急速に発展している治療分野である。治療用ウイルスベクターの多くの側面は、治療として使用する前に安全性及び有効性を決定するために評価される必要がある。
【0003】
したがって、組換えウイルスベクターの効力を決定するための改善された方法が依然として必要とされている。特に、組換えウイルスベクターによって発現されるポリペプチド等のペイロードの効力の改善された決定を可能にする方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書は、とりわけ、組換えウイルスベクターの効力(例えば、生物学的活性)、例えば、相対的効力を決定するための方法を包含する。本明細書に記載の方法は、組換えウイルスベクターによって発現されるペイロード(例えば、SMNポリペプチド等のポリペプチド)の効力を決定するための従来の方法よりも改善された特徴を有する。いくつかの実施形態において、同じ型の非改変基準宿主細胞と比較して、少なくとも1つのペイロード(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド)の発現が低下した改変宿主細胞の使用により、本明細書に記載の組換えウイルスベクターの効力アッセイの改善が可能になる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法で使用される改変宿主細胞(例えば、ヒト改変宿主細胞、例えば、SH-SY5Y KD細胞)は、他の型の宿主細胞(例えば、初代細胞及び/または非ヒト哺乳類細胞、例えば、マウス細胞)よりも生理学的に関連性が高く、及び/または培養しやすい。いくつかの実施形態において、SH-SY5Y KD細胞は、SMN遺伝子(例えば、SMN1またはSMN2遺伝子)内に、例えば、SMN遺伝子(例えば、SMN1またはSMN2遺伝子)に対する阻害性核酸、例えば、SMN1に対するshRNA(例えば、SMN1遺伝子に対するドキシサイクリン誘導性shRNA、例えば、shRNA120またはshRNA128)を含むか、または発現するノックダウン(例えば、構成的または条件付き)を含む。
【0005】
そのような改善された特徴としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(i)方法は、ヘルパー機能(例えば、Ad2またはAd5ヘルパーウイルス)を使用せずに完全に実施し得る、(ii)同じ型もしくは異なる型の非改変基準宿主細胞での形質導入よりも少ない量の組換えウイルスベクターが、形質導入に必要とされ得る、(iii)方法は、低標準偏差を有する、(iv)約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、もしくはそれ以上の正確度で効力を測定し得る、(v)約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、もしくは約10%の精度で効力を決定し得る、(vi)方法は、本明細書に記載の組換えウイルスベクターの安定性を、例えば、組換えウイルスベクターの温熱ストレスに続いて示し得る、(vii)本明細書に記載の組換えウイルスベクターの効力は、中空カプシドの存在によって影響を受けない、及び/または(viii)改変宿主細胞株(例えば、SMN遺伝子(例えばSMN1またはSMN2遺伝子)内にノックダウン(例えば構成的または条件付き)を含み、例えば、SMN遺伝子(例えばSMN1またはSMN2遺伝子)に対する阻害性核酸、例えばSMN1に対するshRNA(例えばSMN1遺伝子に対するドキシサイクリン誘導性shRNA、例えばshRNA120またはshRNA128)を含むかもしくは発現するSH-SY5Y KD細胞)の選択により高いシグナル対ノイズを達成することが可能である。
【0006】
一態様において、本開示は、少なくとも1つのSMNポリペプチドをコードする組換えウイルスベクターの効力を決定する方法であって、(a)組換えウイルスベクターを用いて改変宿主細胞を形質導入することであって、改変宿主細胞が、同じ型の非改変基準宿主細胞と比較して、少なくとも1つのSMNポリペプチドの発現の低下を含む、形質導入することと、(b)改変宿主細胞を、SMNポリペプチドの検出のための第1の薬剤と接触させることと、(c)改変宿主細胞を、第1の薬剤の検出のための検出部分を含む第2の薬剤と接触させることと、(d)コイル小体対(GEM)の存在を検出し、それによって、少なくとも1つのSMNポリペプチドの効力を決定することと、を含む、方法を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態において、組換えウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、アデノウイルスベクター、またはレトロウイルスベクターを含む。いくつかの実施形態において、レトロウイルスベクターは、レンチウイルスベクターまたはガンマレトロウイルスベクターを含む。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、またはそのバリアントを含む。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、AAVhu68を含む。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、ニワトリ-βアクチンプロモーター(CB7)に作動可能に連結されたSMN1遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、SMN1遺伝子に隣接する2つのITRを含む。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、ウサギβ-グロビンポリAシグナルを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、改変宿主細胞は、SMN1遺伝子の条件付きノックダウンまたはノックアウトを含む。いくつかの実施形態において、改変宿主細胞は、SMN1遺伝子の条件付きノックダウンのための少なくとも1つのshRNAを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのshRNAは、(i)shRNA120もしくはshRNA128を含み、及び/または(ii)本明細書に記載の組換えウイルスベクターを標的としないか、または影響を及ぼさない。いくつかの実施形態において、改変宿主細胞は、哺乳類宿主細胞を含むか、または哺乳類宿主細胞である。いくつかの実施形態において、改変宿主細胞は、ヒト細胞を含むか、またはヒト細胞である。いくつかの実施形態において、改変宿主細胞は、SH-SY5Y細胞を含むか、またはSH-SY5Y細胞である。いくつかの実施形態において、改変宿主細胞は、SH-SY5Y KD細胞を含むか、またはSH-SY5Y KD細胞である。
【0009】
いくつかの実施形態において、形質導入の前に、(i)宿主細胞は少なくとも1回凍結され、解凍される、(ii)改変宿主細胞は少なくとも3回継代される、(iii)宿主細胞は(例えば、SMN遺伝子のノックダウンを誘導するために)ドキシサイクリンで処理される、及び/または(iv)宿主細胞は、約5.0×103~約5.0×104細胞/ウェルの密度で播種される、のうちの1つ以上が生じる。
【0010】
いくつかの実施形態において、改変宿主細胞は、24時間以内に播種及び形質導入される。いくつかの実施形態において、形質導入工程は、段階希釈によって達成される約5つの異なるMOIで実施される。いくつかの実施形態において、形質導入工程(b)は、約6.1×105VG/細胞~約4×106VG/細胞(例えば、約6.1×105VG/細胞、約9.8×105VG/細胞、約1.6×106VG/細胞、約2.5×106VG/細胞、及び約4×106VG/細胞)のMOIで実施される。いくつかの実施形態において、シグナル対ノイズ比は、約2.5超であるか、または約2.5である。
【0011】
いくつかの実施形態において、第1の薬剤は、抗SMN1抗体もしくはその抗原結合断片、またはアプタマーを含む。いくつかの実施形態において、検出部分は、蛍光標識、比色標識、または酵素標識を含むか、またはそれらである。いくつかの実施形態において、第2の薬剤は、蛍光標識二次抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態において、GEMの存在は、免疫蛍光によって検出される。いくつかの実施形態において、GEMの存在は、イメージングによって検出される。いくつかの実施形態において、イメージングは、ハイコンテントイメージング(HCI)を含むか、またはそれである。
【0012】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、少なくとも1つのヘルパー機能を使用せずに、または実質的に使用せずに実施される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのヘルパー機能は、Ad2またはAd5ヘルパーウイルスを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、同じ型または異なる型の非改変基準宿主細胞による形質導入よりも少ない量の組換えウイルスベクターが、形質導入に必要とされる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、低標準偏差を有する。
【0014】
いくつかの実施形態において、効力は、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、またはそれ以上の正確度で決定される。いくつかの実施形態において、効力は、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の精度で決定される。
【0015】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、例えば、組換えウイルスベクターの温熱ストレスの後に組換えウイルスベクターの安定性を示す。いくつかの実施形態において、組換えウイルスベクターの効力は、中空カプシドの存在によって影響を受けない。いくつかの実施形態において、組換えウイルスベクターは、複数の中空ウイルスカプシドを含む。
【0016】
本明細書における刊行物、特許、または特許出願の任意の引用は、それらの全体が参照により組み込まれる。本出願において、約/およその有無にかかわらず使用される任意の数字は、関連技術分野の当業者によって理解される任意の通常の変動を包含することを意味する。
【0017】
本発明の他の特徴、目的、及び利点は、以下の詳細な説明において明らかである。しかしながら、本発明の実施形態を示す一方で、詳細な説明は、限定ではなく単なる例示として与えられることを理解されたい。本発明の範囲内の様々な変更及び修正は、詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。
【0018】
以下に記載する図は、一緒に図面を構成するものであり、限定のためではなく、例示のみを目的としている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】HeLa-RC32細胞におけるGEM検出の高いばらつきを示す。HeLa-RC32細胞を96ウェルプレートのウェルごとにプレーティングした。rAAVhu68-SMN1(1×10
6~3.1×10
4VG/細胞)及びヒトアデノウイルス5の滴定曲線での同時感染の24時間前に、細胞を50のMOIで播種した。細胞を、2日間感染させ、次いで固定し、SMNについて染色した。GEM/細胞の数を、CX5 CellInsightを使用したハイコンテントイメージングによって評価した。
【
図2】SH-SY5Y shRNA120及びSH-SY5Y shRNA128DOX処理細胞におけるSMN1のノックダウンを示す。未処理細胞をトリプシン化し、遠心分離し、次いで6ウェルプレート当たり1×10
6細胞で播種し、または-70℃で凍結した(T=0)。播種した細胞を、収集の3及び7日前にDOX(100μg/mL)で処理した。収集した細胞をPBS中で洗浄し、遠心分離し、ペレットを-70℃で凍結した。Odyssey赤外線画像システム(Li-COR Biosciences)を使用して、メーカーのプロトコルに従ってウエスタンブロッティングを実施した。免疫ブロットから定量化したデータを、ローディング対照:チューブリンによって正規化した。
【
図3】SH-SY5Y sh120細胞の細胞継代と形成されたGEMの数との間の相関を示す。11、15及び25継代(左パネル)の細胞ならびに4、7及び15継代(右パネル)の細胞をDOX(100μg/mL)で3日間処理し、凍結した。1×10
4の解凍細胞を、感染前に24時間、TC処理96ウェルプレートのウェルごとにプレーティングした。細胞を、rAAVhu68-SMN1(4×10
6~6.1×10
5VG/細胞)の滴定曲線で2日間感染させ、次いで固定し、SMNについて染色した。GEM/細胞の数を、CX5 CellInsightを使用したハイコンテントイメージングによって検出した。
【
図4】培養したSH-SY5Y sh120細胞と「解凍及び開始(thaw-and-go)」SH-SY5Y sh120細胞との比較を示す。2×10
4の培養下細胞または「解凍及び開始」細胞を、PDLでコーティングした96ウェルプレートのウェルごとにプレーティングした。細胞を、rAAVhu68-SMN1(2×10
6~6.25×10
4VG/細胞)の滴定曲線で感染の24時間前にプレーティングした。細胞を、2日間感染させ、次いで固定し、SMNについて染色した。GEM/細胞の数を、CX5 CellInsightを使用したハイコンテントイメージングによって評価した。
【
図5】SH-SY5Y sh120細胞の最適な細胞密度の決定を示す。DOX(100μg/mL)で前処理した解凍SH-SY5Y sh120細胞を、以下の密度でプレーティングした:(A)2、2.5及び3×10
4細胞/ウェル、(B)1.5及び2×10
4細胞/ウェル、ならびに(C)1×10
4細胞/ウェル、及びrAAVhu68-SMN1の1:2(A及びB)または1:1.5(C)の段階希釈液のいずれかで感染させた。細胞を、2日間処理し、次いで固定し、TD-TDMP-990に記載のようにSMNについて染色した。GEM/細胞の数を、CX5 CellInsightを使用したハイコンテントイメージングによって評価した。
【
図6】アッセイ性能に対するSH-SY5Y sh120細胞の感染の長さの影響を示す。rAAVhu68-SMN1(2×10
6~2.1×10
4VG/細胞)の滴定曲線での感染の24時間前に、2×10
4細胞/ウェルをTC処理96ウェルプレートにプレーティングした。細胞を、感染後48または72時間後に固定し、SMNについて染色した。GEM/細胞の数を、CX5 CellInsightを使用したハイコンテントイメージングによって評価した。
【
図7】rAAVhu68-SMN1によるSH-SY5Y sh120細胞の同日対翌日の処理を示す。1×10
4細胞/ウェルをTC処理96ウェルプレートにプレーティングした。rAAVhu68-SMN1(4×10
6~6.1×10
5VG/細胞)の滴定曲線での感染の前に、細胞を6時間または24時間播種した。細胞を、2日間インキュベートし、次いで固定し、SMNについて染色した。GEM/細胞の数を、CX5 CellInsightを使用したハイコンテントイメージングによって評価した。
【
図8】ヒトアデノウイルス5の有無にかかわらず、SH-SY5Y sh120細胞感染を示す。2×10
4の培養下細胞を、PDLでコーティングした96ウェルプレートのウェルごとにプレーティングした。rAAVhu68-SMN1(1×10
6~3.1×10
4VG/細胞)-ヒトアデノウイルス5の滴定曲線での感染前に24時間、細胞を50のMOIで播種した。細胞を、2日間感染させ、次いで固定し、SMNについて染色した。GEM/細胞の数を、CX5 CellInsightを使用したハイコンテントイメージングによって評価した。
【
図9】4℃及び室温でのSH-SY5Y KD細胞固定の比較を示す。DOX(100μg/mL)で前処理したSH-SY5Y sh120細胞を1×10
4細胞/ウェルでプレーティングし、rAAVhu68-SMN1で1:1.6の段階希釈で感染させた。細胞を2日間処理し、次いで4℃または室温で20分間4%PFA/PBS中で固定して、SMNを染色した。GEM/細胞の数を、CX5 CellInsightを使用したハイコンテントイメージングによって評価した。
【
図10】ブロッキングバッファーの比較を示す。SH-SY5Y KD細胞を1×10
4細胞の密度で96ウェルプレートのウェルごとに播種し、翌日rAAVhu68-SMN1で2日間感染させた。SH-SY5Y KD細胞を、LI-CORブロッキング試薬または5%NGS/PBS中で1時間ブロックし、次いでSMNについて染色した。GEM/細胞の数を、CX5 CellInsightを使用したハイコンテントイメージングによって評価した。
【
図11】効力アッセイが再現可能であることを示す。2×10
4の培養下SH-SY5Y KD細胞を、ポリD-リジン(PDL)コーティングした96ウェルプレートのウェルごとにプレーティングした。rAAVhu68-SMN1(2×10
6~6.25×10
4VG/細胞)の滴定曲線での感染前に24時間細胞を播種した。SH-SY5Y KD細胞を、2日間感染させ、次いで固定し、SMNについて染色した。GEM/細胞の数を、CX5 CellInsightを使用したハイコンテントイメージングにより評価した。
【
図12】rAAVhu68-SMN1効力に対する中空粒子の効果を示す。DOX(100μg/mL)で前処理したSH-SY5Y sh120細胞を1×10
4細胞/ウェルでプレーティングし、ウェルごとにrAAVhu68-SMN1(4×10
6VG/細胞)及び中空AAVhu68粒子を1:1及び1:3の最終的な完全粒子:中空粒子比で感染させた。カプシドの混合を、AAV9カプシド力価に基づいて実施した。
【
図13A】1:1のアセトン:メタノール固定後のSH-SY5Y KD細胞(shRNA120によるノックダウン)におけるGemin2-SMN1染色の例示的な画像を、CX5 CellInsightを使用して示す。マージされた画像は、SMN1及びGemin2の重複するシグナルを示す。
【
図13B】1:1のアセトン:メタノール固定後のSH-SY5Y KD細胞(shRNA120によるノックダウン)におけるGemin2-SMN1染色の例示的な画像を、CX5 CellInsightを使用して示す。マージされた画像は、SMN1及びGemin2の重複するシグナルを示す。
【
図14】SMN1抗体が細菌精製SMNタンパク質を特異的に検出することを示す。100及び200ngの精製SMNタンパク質ならびに200ngの非関連タンパク質(RS1)をSDS-PAGEによって分析し、SMN1抗体でブロットした。Mono.:モノクローナル抗体、poly.:ポリクローナル抗体、I.B.:免疫ブロット。
【
図15】ウエスタンブロットによるSMN1抗体の特異性及び感受性の試験を示す。50ngの細菌精製SMNタンパク質または50ngのHEK293T全細胞溶解物をSDS-PAGEによって分析し、上記の表に記載のSMN1抗体を4℃で一晩ブロットした。N.B.:Novus Biological、T.F.:Thermo-Fisher、mono.:モノクローナル抗体、poly.:ポリクローナル抗体、I.B.:免疫ブロット。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
本出願において、文脈から別途明確でない限り、(i)「a」という用語は、「少なくとも1つ」を意味すると理解されてもよく、(ii)「または」という用語は、「及び/または」を意味すると理解されてもよく、(iii)「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語は、それら自体によって提示されるか、または1つ以上の追加の構成要素もしくは工程と共に提示されるかにかかわらず、項目化された構成要素または工程を包含すると理解されてもよく、(iv)「約」及び「およそ」という用語は、当業者によって理解されるように、標準的な変動を可能にすると理解されてもよく、(v)範囲が提供される場合、エンドポイントが含まれる。
【0021】
約またはおよそ:本明細書で使用される場合、数値に関する「およそ」または「約」という用語は、別段の記載がない限り、または文脈から明らかでない限り(そのような数値が可能な値の0%未満または100%を超える場合を除いて)、数値のいずれかの方向(それを超えるまたはそれ未満)で5%、10%、15%、または20%の範囲内に入る数値を含むと一般的に理解される。
【0022】
抗体:本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、特定の標的抗原に特異的結合を付与するのに十分な標準的免疫グロブリン配列要素を含むポリペプチドを指す。当該技術分野で知られているように、自然界で産生されるインタクトな抗体は、2つの同一の重鎖ポリペプチド(それぞれ約50kD)及び2つの同一の軽鎖ポリペプチド(それぞれ約25kD)で構成されるおよそ150kDの四量体作用物質であり、これらは、一般に「Y字型」構造と呼ばれるものに互いに会合する。各重鎖は、少なくとも4つのドメイン(それぞれ約110アミノ酸長)-アミノ末端可変(VH)ドメイン(Y構造の先端に位置する)と、続いて3つの定常ドメイン:CH1、CH2、及びカルボキシ末端CH3(Yの茎の基部に位置する)とで構成されている。「スイッチ」として知られる短い領域は、重鎖可変領域及び定常領域を接続する。「ヒンジ」は、CH2及びCH3ドメインを抗体の残りに接続する。このヒンジ領域における2つのジスルフィド結合は、インタクトな抗体において、2つの重鎖ポリペプチドを互いに接続する。各軽鎖は、アミノ末端可変(VL)ドメイン、続いて別の「スイッチ」によって互いに分離されるカルボキシ末端定数(CL)ドメインという2つのドメインで構成されている。インタクトな抗体四量体は、重鎖及び軽鎖が単一のジスルフィド結合によって互いに連結されている2つの重鎖-軽鎖二量体で構成されており、2つの他のジスルフィド結合は、重鎖ヒンジ領域を互いに接続しているため、二量体は互いに接続され、四量体が形成される。自然に産生される抗体も、典型的にはCH2ドメイン上でグリコシル化される。自然抗体内の各ドメインは、圧縮された反平行ベータバレル内に互いに詰め合わさった2つのベータシート(例えば、3本鎖、4本鎖、または5本鎖シート)から形成された「免疫グロブリン折り畳み」を特徴とする構造を有する。各可変ドメインは、「相補性決定領域」として知られる3つの超可変ループ(CDR1、CDR2、及びCDR3)、ならびに4つのやや不変の「フレームワーク」領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)を含有する。自然抗体が折り畳まれるとき、FR領域は、ドメインの構造フレームワークを提供するベータシートを形成し、重鎖及び軽鎖の両方からのCDRループ領域は、三次元空間に集約され、それらは、Y構造の先端に位置する単一の超可変抗原結合部位を作製する。自然発生の抗体のFc領域は、補体系の要素に結合し、例えば、細胞毒性を媒介するエフェクター細胞を含む、エフェクター細胞上の受容体にも結合する。当該技術分野で知られているように、Fc受容体に対するFc領域の親和性及び/または他の結合属性は、グリコシル化または他の改変を介して調節され得る。いくつかの実施形態において、本発明に従って産生及び/または利用される抗体は、そのようなグリコシル化を改変または操作したFcドメインを含む、グリコシル化Fcドメインを含む。本発明の目的のために、ある特定の実施形態において、自然抗体に見られるような十分な免疫グロブリンドメイン配列を含む任意のポリペプチドまたはポリペプチドの複合体は、そのようなポリペプチドが自然に産生される(例えば、抗原に反応する生物によって生成される)か、または組換え工学、化学合成、または他の人工系もしくは方法論によって産生されるかにかかわらず、「抗体」と称され、及び/または「抗体」として使用され得る。いくつかの実施形態において、抗体はポリクローナルであり、いくつかの実施形態において、抗体はモノクローナルである。いくつかの実施形態において、抗体は、マウス、ウサギ、霊長類、またはヒト抗体の特徴である定常領域配列を有する。いくつかの実施形態において、抗体配列要素は、当該技術分野で知られているように、ヒト化、霊長類化、キメラ等である。さらに、本明細書で使用される場合「抗体」という用語は、適切な実施形態において(別段の記載がない限り、または文脈から明らかでない限り)、代替の提示において抗体の構造的特徴及び機能的特徴を利用するための、当該技術分野で既知のまたは開発された構築物もしくは形式のいずれかを指すことができる。例えば、いくつかの実施形態において、本発明に従って利用される抗体は、インタクトなIgA、IgG、IgEまたはIgM抗体、二重または多重特異的抗体(例えば、Zybodies(登録商標)等)、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fd’断片、Fd断片、及び単離されたCDRまたはそれらのセット等の抗体断片、単鎖Fv、ポリペプチド-Fc融合体、単一ドメイン抗体(例えば、IgNARまたはそれらの断片等のサメ単一ドメイン抗体)、カメロイド抗体、マスク抗体(例えば、Probody(登録商標))、小型モジュラー免疫薬剤(SMIP(商標))、単一鎖またはタンデム二重特異性抗体(TandAb(登録商標))、VHH、Anticalin(登録商標)、Nanobody(登録商標)ミニボディ、BiTE(登録商標)、アンキリン反復タンパク質またはDARPIN(登録商標)、Avimer(登録商標)、DART、TCR様抗体、Adnectin(登録商標)、Affilin(登録商標)、Transbody(登録商標)、Affibody(登録商標)、TrimerX(登録商標)、MicroProtein、Fynomer(登録商標)、Centyrin(登録商標)、及びKALBITOR(登録商標)から選択されるが、限定されない形式である。いくつかの実施形態において、抗体は、それが自然に産生される場合にもたらされる共有結合改変(例えば、グリカンの結合)を欠いてもよい。いくつかの実施形態において、抗体は、共有結合改変(例えば、グリカン、ペイロード[例えば、検出可能な部分、治療部分、触媒部分等]、または他のペンダント基[例えば、ポリエチレングリコール等]の付着)を含有してもよい。
【0023】
アデノ随伴ウイルス(AAV):本明細書で使用される場合、「アデノ随伴ウイルス」及び「AAV」という用語は、Parvoviridae科及びDependoparvovirus属のウイルス粒子の全体または一部を指す。AAVは、小さな複製欠損、非エンベロープウイルスである。AAVには、AAV血清型1、AAV血清型2、AAV血清型3(血清型3A及び3Bを含む)、AAV血清型4、AAV血清型5、AAV血清型6、AAV血清型7、AAV血清型8、AAV血清型9、AAV血清型10、AAV血清型11、AAV血清型12、AAV血清型13、ヘビAAV、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、ヤギAAV、エビAAV、及び上記のいずれかの任意のバリアントが含まれるが、これらに限定されない。野生型AAVは複製欠損であり、複製するためには典型的には、ヘルパーウイルス、例えば、アデノウイルス、ヘルペス、またはワクシニアウイルスによる細胞の同時感染を必要とする。
【0024】
アプタマー:本明細書で使用される場合、「アプタマー」という用語は、特定の分子標的(例えば、SMNポリペプチド)にしっかりと結合する核酸(例えば、RNA、DNA)から構成される巨大分子を指す。特定のアプタマーは、直鎖ヌクレオチド配列によって記載されることができ、典型的には、長さが約15~60ヌクレオチドである。いかなる理論に拘束されることを望むものではないが、アプタマーにおけるヌクレオチド鎖は、分子を複雑な三次元形状に折り畳む分子内相互作用を形成し、この三次元形状によって、アプタマーがその標的分子の表面にしっかりと結合することが可能になることが企図される。すべての可能なヌクレオチド配列の領域内に存在する分子形状の驚異的な多様性を考えると、アプタマーは、タンパク質及び小分子を含む多様な分子標的について得られ得る。高度の特異性に加えて、アプタマーは、典型的には、標的に対して非常に高い親和性(例えば、タンパク質に対するピコモル~低ナノモルの範囲の親和性)を有する。多くの実施形態において、アプタマーは化学的に安定であり、活性が低下することなく煮沸または凍結され得る。合成分子であるため、アプタマーは、特定の用途のためにその機能を最適化することができる様々な改変を受けやすい。例えば、アプタマーは、インビボ用途での使用のために、血液中の酵素による分解に対するそれらの感受性を劇的に低減させるように改変され得る。加えて、アプタマーは、それらの生体内分布または血漿滞留時間を変更するように改変され得る。
【0025】
含む:1つ以上の指名された要素または工程を「含む」として本明細書に記載される組成物または方法は、オープンエンドであり、指定された要素または工程が必須であるが、他の要素または工程が組成物または方法の範囲内で追加され得ることを意味する。冗長を避けるために、1つ以上の指定された要素または工程を「含む」(comprising)(または「含む」(comprises))として記載される任意の組成物または方法は、同じ指定された要素または工程「から本質的になる(consisting essentially of)」(または「から本質的になる」(consists essentially of)対応する、より限定された組成物または方法も記載することも理解され、組成物または方法が、指定された必須の要素または工程を含み、組成物または方法の基本的及び新規特徴(複数可)に実質的に影響を与えない追加の要素または工程も含み得ることを意味する。また、1つ以上の指定された要素または工程を「含む」または「から本質的になる」として本明細書に記載される任意の組成物または方法は、任意の他の指定されてない要素または工程を除外して、指定された要素または工程「からなる(consisting of)」(または「からなる」(consists of))対応する、より限定され、かつクローズエンドの組成物または方法を記載することも理解される。本明細書に開示される任意の組成物または方法において、任意の指定された必須の要素または工程の既知または開示された均等物は、その要素または工程に対して置換し得る。
【0026】
検出部分:本明細書で使用される場合「検出部分」という用語は、検出可能な任意の元素、分子、官能基、化合物、断片または部分を指す。いくつかの実施形態において、検出部分は、単独で提供されるか、または利用される。いくつかの実施形態において、検出部分は、別の薬剤(例えば抗体またはその抗原結合断片)に会合して(例えば結合して)提供及び/または利用される。検出部位の例としては、様々な蛍光色素(例えば、蛍光体(例えば、Alexa-Fluor488、FluoProbe488、またはDyLight488)、蛍光色素、アクリジン色素、SYBR色素、ローダミン色素、オキサジン色素等)、リガンド、放射性核種(例えば、3H、14C、18F、19F、32P、35S、135I、125I、123I、64Cu、187Re、111In、90Y、99mTc、177Lu、89Zr等)、化学発光剤(例えば、アクリジニウムエステル、安定化ジオキセタン等)、電気化学発光剤(例えば、Sulfo Tag等)、生物発光剤(例えば、ルシフェリン)、スペクトル分解可能な無機蛍光半導体ナノ結晶(例えば、量子ドット)、金属ナノ粒子(例えば、金、銀、銅、または白金)、ナノクラスター、常磁性金属イオン、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、またはアルカリホスファターゼ)、比色標識(例えば、色素またはコロイド金)、ビオチン、ジオキシゲニン、ハプテン、及び抗血清またはモノクローナル抗体が利用可能であるタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
決定する:本明細書に記載の多くの方法は、「決定する」工程を含む。当業者は、本明細書を読めば、そのような「決定すること」が、例えば、本明細書で明示的に言及される特定の技法を含む、当業者に利用可能な様々な技法のうちのいずれかの使用を利用するか、またはそれを通じて達成することができることを理解するであろう。いくつかの実施形態において、決定することは、物理的な試料の操作を伴う。いくつかの実施形態において、決定することは、例えば、関連する分析を実施するように適合させたコンピュータまたは他の処理装置を利用して、データまたは情報の考察及び/または操作を伴う。いくつかの実施形態において、決定することは、供給源から関連する情報及び/または材料を入手することを伴う。いくつかの実施形態において、決定することは、試料または実体の1つ以上の特徴を同等の参照と比較することを伴う。
【0028】
発現:本明細書で使用される場合、核酸配列の「発現」または「コード化」という用語は、以下の事象のうちの1つ以上を指す:(1)DNA配列からのRNA鋳型の産生(例えば、転写による)、(2)RNA転写産物のプロセシング(例えば、スプライシング、エディティング、5’キャップ形成、及び/または3’末端形成による)、(3)RNAのポリペプチドまたはタンパク質への翻訳、及び/または(4)ポリペプチドもしくはタンパク質の翻訳後改変。
【0029】
断片:本明細書で使用される場合、「断片」または「部分」という用語は、全体の個別の部分を含むが、全体の構造に見出される1つ以上の部分が欠如している構造を指す。いくつかの実施形態において、断片は、そのような個別の部分からなる。いくつかの実施形態において、断片は、全体に見出される特徴的な構造要素または部分からなるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド断片は、ヌクレオチド全体に見出される、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、またはそれ以上の単量体単位(例えば、核酸)を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド断片は、ヌクレオチド全体に見出される単量体単位(例えば、残基)の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、25%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態において、材料または実体全体は、全体の「親」と称され得る。
【0030】
遺伝子:本明細書で使用される場合、「遺伝子」という用語は、産物(例えば、RNA産物及び/またはポリペプチド産物)をコードするDNA配列を指す。いくつかの実施形態において、遺伝子は、コード配列(すなわち、特定の産物をコードする配列)を含む。いくつかの実施形態において、遺伝子は、非コード配列を含む。いくつかの特定の実施形態において、遺伝子は、コード(例えば、エキソン)配列及び非コード(例えば、イントロン)配列の両方を含み得る。いくつかの実施形態において、遺伝子は、例えば、遺伝子発現の1つ以上の態様(例えば、誘導性発現等)を制御または影響し得る1つ以上の調節要素を含んでもよい。
【0031】
遺伝子治療:本明細書で使用される場合、「遺伝子治療」という用語は、そのような治療が求められる障害または状態を治療または予防するための特定のゲノムDNA配列の挿入または欠失を指す。いくつかの実施形態において、ゲノムDNA配列の挿入または欠失は、特定の細胞(例えば、標的細胞)において生じる。標的細胞は、哺乳類由来であってもよく、及び/または哺乳類対象における細胞であってもよい。哺乳類には、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ラマ等が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、異種DNAは、標的細胞に移される。異種DNAは、異種DNAが発現され、それによってコードされる治療産物が産生されるような方法で、選択された標的細胞に導入されてもよい。加えてまたは代替的に、異種DNAは、何らかの方法で、治療産物をコードするDNAの発現を媒介することができるか、または何らかの方法で、治療産物の発現を直接もしくは間接的に媒介するペプチドもしくはRNA等の産物をコードし得る。遺伝子治療はまた、欠陥のある遺伝子を置き換えるか、または哺乳類もしくはそれが導入されている細胞によって産生された遺伝子産物を補充する遺伝子産物をコードする核酸を送達するために使用され得る。治療産物をコードする異種DNAは、その産物またはその発現を増強するか、またはそれ以外の場合には変化させるために、罹患する宿主の細胞への導入前に改変され得る。遺伝子治療はまた、遺伝子発現の阻害剤もしくはリプレッサー、または他の調節物質の送達を伴ってもよい。遺伝子治療は、インビボまたはエクスビボ技法を含み得る。いくつかの実施形態において、ウイルス及び非ウイルスベースの遺伝子導入方法を使用して、目的のポリペプチドをコードする核酸を哺乳類細胞または標的組織に導入することができる。非ウイルスベクター送達系としては、DNAプラスミド、裸核酸、及びポロキサマーまたはリポソーム等の送達ビヒクルと複合体化された核酸が挙げられる。ウイルスベクター送達系には、細胞への送達後にエピソームまたは統合されたゲノムのいずれかを有するDNA及びRNAウイルスが含まれる。遺伝子治療手順の概説については、Anderson,Science 256:808-813(1992)、Miller,Nature 357:455-460(1992)、Feuerbach et al.Kidney International 49:1791-1794(1996)、Urnov et al.Nature Reviews Genetics 11,636-646(2010)、及びCollins et al.Proceedings Biologicial Sciences/The Royal Society,282(1821):pii 20143003(2015)を参照のこと。
【0032】
ヘルパー機能:本明細書で使用される場合、「ヘルパー機能」という用語は、組換えウイルスベクター(例えば、AAV)が宿主細胞によって複製及びパッケージングされることを可能にする機能を指す。ヘルパー機能は、例えば、組換えウイルスベクター(例えば、AAV)複製及びパッケージングを補助する、ヘルパーウイルスとして、またはヘルパーウイルス遺伝子として、いくつかの形態で提供され得るが、これらに限定されない。ヘルパーウイルス遺伝子には、E1A、E1B、E2A、E4、及びVA等のアデノウイルスヘルパー遺伝子が含まれるが、これらに限定されない。ヘルパーウイルスには、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア等のポックスウイルス、及びバキュロウイルスが含まれるが、これらに限定されない。アデノウイルスは、いくつかの異なる亜群を包含するが、亜群Cのアデノウイルス5型(Ad5)が最も一般的に使用されている。ヒト、非ヒト哺乳類、及びトリ起源の多数のアデノウイルスが知られており、ATCC等の保管所から入手可能である。ATCC等の保管所からも入手可能なヘルペスファミリーのウイルスは、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)及び仮性狂犬病ウイルス(PRV)を含む。保管所から入手可能なバキュロウイルスとしては、Autographa californica核多角体病ウイルスが挙げられる。
【0033】
宿主細胞:本明細書で使用される場合、「宿主細胞」という用語は、外因性DNA(組換えまたはそれ以外)が導入された細胞を指す。本開示を読んだ当業者は、このような用語が特定の対象細胞を指すだけでなく、このような細胞の子孫も指すことを理解するであろう。変異または環境の影響のいずれかにより、ある特定の改変が後続の世代で生じ得るため、そのような子孫は、実際には、親細胞と同一ではなく、本明細書で使用される場合「宿主細胞」という用語の範囲内に依然として含まれる。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、外因性DNA(例えば、組換え核酸配列)を発現するのに好適な生命の界のうちのいずれかから選択される原核細胞及び真核細胞を含む。
【0034】
「改善する」、「増加する」、「阻害する」、または「低下する」:本明細書で使用される場合、「改善する」、「増加する」、「阻害する」、「低下する」という用語、またはそれらの文法的均等物は、ベースラインまたは他の参照測定値に対して相対的な値を示す。いくつかの実施形態において、適切な参照測定値は、(例えば、その前及び/またはその後)特定の薬剤もしくは治療の非存在下、または適切な同等の参照薬剤の存在下で、他の点では同等の条件下で、特定の系(例えば、単一の試料における、例えば、培地の)における測定値であってもよく、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態において、適切な参照測定値は、関連する薬剤または治療の存在下で、特定の方法で反応することが知られているか、または期待される、同等の系内の測定値であってもよく、またはそれを含んでもよい。
【0035】
作動可能に連結されている:本明細書で使用される場合、「作動可能に連結された」という用語は、記載の構成成分が、それらが意図される方法で機能することを可能にする関係にある近位を指す。いくつかの実施形態において、調節要素は、機能要素に「作動可能に連結される」。いくつかのそのような実施形態において、作動可能に連結された調節要素は、機能要素の発現及び/または活性が調節要素と適合する条件下で達成されるような方法で関連付けられる。いくつかの実施形態において、「作動可能に連結された」調節要素は、目的のコーディング要素と隣接しており(例えば、共有結合されている)、いくつかの実施形態において、調節要素は、目的の機能要素に対してトランスで、またはそれ以外の場合には目的の機能要素から離れて作用する。
【0036】
ペイロード:本明細書で使用される場合、「ペイロード」という用語は、細胞、組織、器官、生物、及び/または細胞を含む系に導入されることが所望される目的の核酸配列(例えば、標的ポリペプチド等の標的ペイロードをコードする配列を含む)を指す。ペイロードは、治療目的を有する異種タンパク質、例えば、酵素または抗体であり得る。ペイロードは、治療目的を有する異種核酸、例えば、CRISPR/CasガイドRNAであり得る。当業者は、ペイロードが任意の目的の異種タンパク質または核酸から選択され得ることを認識するであろう。
【0037】
ポリペプチド:本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」という用語は、一般に、少なくとも3つのアミノ酸のポリマーの当該技術分野で認識される意味を有する。当業者は、「ポリペプチド」という用語が、本明細書に列挙される完全な配列を有するポリペプチドだけでなく、そのような完全なポリペプチドの機能的断片(例えば、少なくとも1つの活性を保持する断片)を表すポリペプチドも包含するように十分に一般的であるように意図されていることを理解するであろう。さらに、当業者は、タンパク質配列が一般に、活性を破壊することなくいくつかの置換を許容することを理解する。したがって、活性を保持し、同じクラスの別のポリペプチドと少なくとも約30~40%の全体の配列同一性を共有し、多くの場合には約50%、60%、70%、または80%を超え、さらに通常、はるかに高い同一性の少なくとも1つの領域を含み、1つ以上の高度に保存された領域において多くの場合には90%、またはさらに95%、96%、97%、98%、もしくは99%を超え、通常少なくとも3~4個、多くの場合には20個まで、またはそれを超えるアミノ酸を包含する、任意のポリペプチドは、本明細書で使用される場合、関連用語「ポリペプチド」内に包含される。ポリペプチドは、L-アミノ酸、D-アミノ酸、またはそれらの両方を含有し得、当該技術分野で既知の様々なアミノ酸改変または類似体のいずれかを含有し得る。有用な改変は、例えば、末端アセチル化、アミド化、メチル化等を含む。いくつかの実施形態において、タンパク質は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、合成アミノ酸、及びそれらの組み合わせを含み得る。「ペプチド」という用語は、一般に、約100アミノ酸未満、約50アミノ酸未満、20アミノ酸未満、または10アミノ酸未満の長さを有するポリペプチドを指すために使用される。
【0038】
組換え:本明細書で使用される場合、「組換え」という用語は、組換え手段によって設計、操作、調製、発現、作製、製造、及び/または単離されたポリペプチド、例えば、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現させたポリペプチド;組換えコンビナトリアルヒトポリペプチドライブラリーから単離されたポリペプチド;トランスジェニックであるか、またはそれ以外の場合には、遺伝子もしくは遺伝子(複数可)、またはポリペプチドもしくはその1つ以上の構成成分(複数可)、部分(複数可)、要素(複数可)、もしくはドメイン(複数可)の発現をコードする、及び/または指示する遺伝子構成成分を発現するように操作された動物(例えば、マウス、ウサギ、ヒツジ、魚等)から単離されたポリペプチド;及び/または選択された核酸配列要素を互いにスプライシングすること、もしくはライゲーションすること、選択された配列要素を化学的に合成すること、及び/またはそれ以外の場合にはポリペプチドもしくはその1つ以上の構成成分(複数可)、部分(複数可)、要素(複数可)、もしくはドメイン(複数可)の発現をコードする、及び/または指示する核酸を産生することを伴う任意の他の手段によって調製、発現、作製、または単離されたポリペプチドを指すことが意図される。いくつかの実施形態において、このような選択された配列要素のうちの1つ以上が自然界に見出される。いくつかの実施形態において、このような選択された配列要素のうちの1つ以上は、インシリコで設計される。いくつかの実施形態において、1つ以上のこのような選択された配列要素は、既知の配列要素の変異誘発(例えば、インビボまたはインビトロで)、例えば、目的の供給源生物(例えば、ヒト、マウス等)の生殖細胞系中等の自然または合成供給源から生じる。
【0039】
参考文献:本明細書で使用される場合、比較が実施されるものに対する標準または対照を記載する。例えば、いくつかの実施形態において、目的の薬剤、動物、個体、集団、試料、配列または値を、参照もしくは対照の薬剤、動物、個体、集団、試料、配列または値と比較する。いくつかの実施形態において、参照または対照は、目的の試験または決定と実質的に同時に試験及び/または決定される。いくつかの実施形態において、参照または対照は、任意に、有形の媒体に具体化された歴史的な参照または対照である。典型的には、当業者によって理解されるように、参照または対照は、評価されているものと同等の条件または状況下で決定または特徴付けられる。当業者は、特定の可能な参照または対照への信頼及び/または比較を正当化するのに十分な類似性が存在するときに理解することになる。
【0040】
実質的に:本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、目的の特徴または特性の全範囲もしくはほぼ全範囲または程度を示す定性的条件を指す。生物学的分野の当業者は、生物学的及び化学的現象が、かつてない限り、完全性に達する、及び/または完全性に進む、または絶対的な結果を達成または回避することはほとんどないことを理解するであろう。したがって、「実質的に」という用語は、多くの生物学的及び化学的現象に固有の潜在的な完全性の欠如を捉えるために本明細書で使用される。
【0041】
形質導入:本明細書で使用される場合、「形質導入」という用語は、組換えウイルスベクターが1つ以上の特定の細胞型に入り、組換えウイルスベクター内に含有されるDNAを細胞内に移入する能力を指す。形質導入は、細胞または細胞集団における組換えウイルスDNAまたは組換えウイルスDNAから発現される組換えウイルスRNAの量を測定することによって、及び/またはDNAから発現される組換えウイルスDNAまたはRNAを含有する集団における細胞の数を評価することによって評価することができる。形質導入効率は、開始量の組換えウイルスベクター(例えば、インビボで注入される、またはインビトロで細胞に適用されるベクターの開始量)からの形質導入のレベルの尺度であり、及び/または特定の対照、例えば、プロトタイプの組換えウイルスベクターを参照して、定量的または定性的であり得る。例えば、候補組換えウイルスベクターが、対照ベクターの2倍の数の細胞を形質導入する場合、及び/または候補組換えウイルスベクターによる形質導入からの細胞当たりの組換えウイルスDNAの量が、対照ベクターによる形質導入の2倍であり、各ベクターの開始量が同じであった場合(例えば、対象に注入されるか、または細胞に適用される各ベクターの量が同じであった場合)、候補組換えウイルスベクターの形質導入効率は、対照ベクターの形質導入効率より200%高いか、または2倍であると言える。
【0042】
ベクター:本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、それが連結された別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。非限定的な例として、ベクターの1つの型は、ウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントがウイルスゲノムにライゲーションされ得る。別の型のベクターは、「プラスミド」であり、追加のDNAセグメントがライゲーションされ得る環状二本鎖DNAループを指す。ある特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞(例えば、複製の細菌起源を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳類ベクター)での自律複製が可能である。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳類ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込むことができ、それによって宿主ゲノムと共に複製される。さらに、ある特定のベクターは、それらが作動可能に連結された遺伝子の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書において「発現ベクター」と称される。
【0043】
標準的な技法は、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、及び組織培養ならびに形質転換(例えば、電気穿孔、リポフェクション)のために使用され得る。酵素反応及び精製技法は、メーカーの仕様に従って、または当該技術分野で一般的に達成されるように、または本明細書に記載のように、実施され得る。前述の技法及び手順は、一般に、当該技術分野で周知の従来の方法に従って、ならびに本明細書全体を通して引用及び議論される種々の一般的及びより具体的な参照に記載されるように、実施され得る。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989))、参照によりその全体を本明細書に組み込む)を参照されたい。
【0044】
特定の実施形態の詳細な説明
本開示は、とりわけ、組換えウイルスベクターの効力(例えば、生物学的活性)を決定するための定量的な細胞ベースのインビトロアッセイを提供する。本開示は、一部は、定量的かつ正確な両方である少なくとも1つのペイロード(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド)をコードする組換えウイルスベクター(例えば、AAVベクター)の効力、例えば、相対的な効力を決定するためのアッセイの発見に基づいている。特に、本明細書に記載の効力アッセイは、長くて面倒であり、比較的高い失敗率を有していた従来の方法よりも改善されている。したがって、本開示は、とりわけ、遺伝子治療のための組成物、ならびに遺伝子治療方法を用いた疾患及び障害(例えば、脊髄性筋萎縮症)の治療において有用な組換えウイルスベクターの効力を決定するための改善された方法及び組成物を提供する。
【0045】
理論に拘束されることを望むものではないが、いくつかの実施形態において、(i)同じ型の非改変基準宿主細胞と比較して、少なくとも1つのペイロード(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド)の発現が低下した改変宿主細胞、及び/または(ii)コイル小体対(GEM)の存在の検出は、本明細書に記載の組換えウイルスベクターの効力アッセイの改善を可能にすると考えられる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法で使用されるSMN遺伝子(例えば、SMN1またはSMN2遺伝子)、例えば、SH-SY5Y KD細胞内にノックダウン(例えば、構成的または条件付き)を含むヒト改変宿主細胞(例えば、神経芽腫細胞株)は、他の型の宿主細胞(例えば、初代細胞及び/または非ヒト哺乳類細胞、例えば、マウス細胞)よりも生理学的に関連性が高く、及び/または培養しやすい。いくつかの実施形態において、SH-SY5Y KD細胞は、SMN遺伝子(例えば、SMN1またはSMN2遺伝子)内に、例えば、SMN遺伝子(例えば、SMN1またはSMN2遺伝子)に対する阻害性核酸、例えば、SMN1に対するshRNA(例えば、SMN1遺伝子に対するドキシサイクリン誘導性shRNA、例えば、shRNA120またはshRNA128)を含むか、または発現するノックダウン(例えば、構成的または条件付き)を含む。
【0046】
組換えウイルスベクター
本開示は、とりわけ、組換えウイルスベクター(例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター)を提供する。組換えウイルスベクターは、遺伝子を哺乳類細胞(例えば、ヒト細胞)に挿入するために広く使用されるようになった。多くの形態のベクターを使用して、本明細書に記載のペイロード(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド)を送達することができる。発現ベクターの非限定的な例として、ウイルスベクター(例えば、遺伝子治療に適したベクター)、プラスミドベクター、バクテリオファージベクター、コスミド、ファージミド、及び人工染色体が挙げられる。
【0047】
ウイルスベクターの非限定的な例として、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス(例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MMLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス、マウス乳癌ウイルス、またはラウス肉腫ウイルス)、アデノウイルス、SV40型ウイルス、ポリオーマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、乳頭腫ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、またはポリオウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
いくつかの実施形態において、組換えウイルスベクターは、レトロウイルスベクターを含むか、またはレトロウイルスベクターである。レトロウイルスは、Retroviridae科に属するエンベロープウイルスである。複製欠損レトロウイルスの産生のためのプロトコルは、当該技術分野で既知である(例えば、Kriegler,M.、Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,W.H.Freeman Co.,New York(1990)及びMurry,E.J.,Methods in Molecular Biology,Vol.7,Humana Press,Inc.,Cliffton,N.J.(1991)を参照されたい)。次いで、組換えウイルスを単離し、対象の細胞にインビボまたはエクスビボのいずれかで送達することができる。いくつかのレトロウイルス系が当該技術分野で既知であり、例えば、米国特許第5,994,136号、同第6,165,782号、及び同第6,428,953号を参照されたい。いくつかの実施形態において、レトロウイルスは、Retroviridae科のレンチウイルスを含むか、またはそれらである。いくつかの実施形態において、レンチウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1及びHIV-2)、サル免疫不全ウイルス(S1V)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウマ感染症貧血(EIA)、またはヴィスナウイルスを含むか、またはそれらである。
【0049】
いくつかの実施形態において、組換えウイルスベクターは、アデノウイルスベクターを含むか、またはアデノウイルスベクターである。アデノウイルスベクターは、任意の起源、任意の亜群、任意の亜型、亜型の混合物、または任意の血清型に由来し得る。例えば、アデノウイルスは、亜群A(例えば、血清型12、18、及び31)、亜群B(例えば、血清型3、7、11、14、16、21、34、35、及び50)、亜群C(例えば、血清型1、2、5、及び6)、亜群D(例えば、血清型8、9、10、13、15、17、19、20、22~30、32、33、36~39、及び42~48)、亜群E(例えば、血清型4)、亜群F(例えば、血清型40及び41)、非分類血清型(例えば、血清型49及び51)、または任意の他のアデノウイルス血清型のものであり得る。アデノウイルス血清型1~51は、American Type Culture Collection(ATCC,Manassas,Va.)から入手可能である。非群Cアデノウイルス、さらには非ヒトアデノウイルスを使用して、複製欠損アデノウイルスベクターを調製することができる。非群Cアデノウイルスベクター、非群Cアデノウイルスベクターの産生方法、及び非群Cアデノウイルスベクターの使用方法は、例えば、米国特許第5,801,030号、同第5,837,511号及び同第5,849,561号、ならびに国際特許出願第WO97/12986号及び同第WO98/53087号に開示されており、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。アデノウイルスベクターのさらなる例は、米国公開第20150093831号、同第20140248305号、同第20120283318号、同第20100008889号、同第20090175897号、及び同第20090088398号に見出すことができ、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0050】
組換えウイルスベクターは、アルファウイルスに基づいてもよい。アルファウイルスとしては、Sindbis(及びVEEV)ウイルス、Auraウイルス、Babankiウイルス、Barmah Forestウイルス、Bebaruウイルス、Cabassouウイルス、Chikungunyaウイルス、Eastern equine encephalitisウイルス、Evergladesウイルス、Fort Morganウイルス、Getahウイルス、Highlands Jウイルス、Kyzylagachウイルス、Mayaroウイルス、Me Triウイルス、Middelburgウイルス、Mosso das Pedrasウイルス、Mucamboウイルス、Ndumuウイルス、O’nyong-nyongウイルス、Pixunaウイルス、Rio Negro virusウイルス、Ross Riverウイルス、Salmon Pancreasウイルス、Semliki Forestウイルス、Southern elephant sealウイルス、Tonateウイルス、Trocaraウイルス、Unaウイルス、Venezuelan equine encephalitisウイルス、Western equine encephalitisウイルス、及びWhataroaウイルスが挙げられる。一般に、このようなウイルスのゲノムは、宿主細胞の細胞質において翻訳可能な非構造的(例えば、レプリコン)及び構造的タンパク質(例えば、カプシド及びエンベロープ)をコードする。Ross Riverウイルス、Sindbisウイルス、Semliki Forestウイルス(SFV)、及びVenezuelan equine encephalitisウイルス(VEEV)は、すべて、導入遺伝子送達のためのウイルス伝達ベクターを開発するために使用されている。偽型ウイルスは、アルファウイルスエンベロープ糖タンパク質及びレトロウイルスカプシドを組み合わせることによって形成され得る。アルファウイルスベクターの例は、米国公開第20150050243号、同第20090305344号、及び同第20060177819号に見出すことができ、それらのベクター及び作製方法は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0051】
いくつかの実施形態において、組換えウイルスベクターは、AAVベクターである。AAV系は概して当該技術分野において周知である(例えば、Kelleher and Vos,Biotechniques,17(6):1110-17(1994)、Cotten et al.,P.N.A.S.U.S.A.,89(13):6094-98(1992)、Curiel,Nat Immun,13(2-3):141-64(1994)、Muzyczka,Curr Top Microbiol Immunol,158:97-129(1992)、及びAsokan A,et al.,Mol.Ther.,20(4):699-708(2012)を参照されたく、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる))。AAVベクターを産生及び使用するための方法は、例えば、米国特許第5,139,941号及び同第4,797,368号に記載されており、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0052】
一般に、本明細書に記載の方法及び組成物で使用されるAAVベクターは、任意のAAV血清型であってもよい。いくつかのAAV血清型が特徴付けられており、AAV1、AAV2、AAV3(例えば、AAV3B)、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、及びAAV11、ならびにそれらのバリアント及び/またはハイブリッドが挙げられる。例えば、いくつかの実施形態において、AAVベクターは、AAV2/5、AAV2/6、AAV2/8、またはAAV2/9ベクター(例えば、AAV2 ITRを有するAAV6、AAV8、またはAAV9血清型)である。いくつかの実施形態において、AAV9バリアントは、例えば、WO2016/049230、米国特許第8,927,514号、US2015/0344911、及び米国特許第8,734,809号に記載されるものを含み、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0053】
いくつかの実施形態において、AAV血清型は、N Pulicherla et al.(Molecular Therapy 19(6):1070-1078(2011)(これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる))による記載のように、これらに限定されないがAAV9.68、AAV9.9、AAV9.11、AAV9.13、AAV9.16、AAV9.24、AAV9.45、AAV9.47、AAV9.61、AAV9.84等の、AAV9における変異を有し得る、または含み得る。ある特定の実施形態において、AAV9バリアントは、例えば、WO2018/160585(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるように、AAVhu68またはそのバリアントを含む。他のAAVベクターは、例えば、Sharma et al.,Brain Res Bull.2010 Feb 15;81(2-3):273に記載されており、その全体が参照により、本明細書に組み込まれる。
【0054】
いくつかの実施形態において、AAVベクターは、自然発生のAAVを含むか、または自然発生のAAVである。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、改変AAV(すなわち、自然発生のAAVのバリアント)である。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、遺伝子治療の1つ以上の特性を改善するために、例えば、中和抗体による免疫応答または認識を回避または低減するために、及び/またはより効率的及び/または標的化された形質導入のために、AAV配列に改変を導入するために、例えばDNAシャッフル、ペプチド挿入、またはランダム変異誘発によって、指向性進化によって産生され得る(Asuri et al.Molecular Therapy 20.2(2012):329-338を参照されたい)。AAVベクターを操作するために指向性進化を使用する方法は、例えば、米国特許第8,632,764号に見出だされ得る。いくつかの実施形態において、改変AAVは、特定のトロピズムを含むように改変される。
【0055】
AAVベクターのAAV配列は、典型的には、シス作用の5’及び3’反転末端反復配列を含む(例えば、B.J.Carter,in”Handbook of Parvoviruses ”,ed.,P.Tijsser,CRC Press,pp.155-168(1990)(これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。ITR配列は、約145bp長である。いくつかの実施形態において、ITRをコードする実質的に全体の配列は、AAVベクター内で使用されるが、これらの配列のある程度の微量の改変は許容され得る。これらのITR配列を改変する能力は、当業者に既知である。(例えば、Sambrook et al.,“Molecular Cloning.A Laboratory Manual“、2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(1989);及びK.Fisher et al.,J Virol,70:520 532(1996)を参照されたい。これらはそれぞれその全体を参照により本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態において、本開示のAAVベクターは、ペイロードを含有する「シス作用型」プラスミドであり、選択されたペイロード配列及び関連調節要素は、5’及び3’AAV ITR配列に隣接している。AAV ITR配列は、既知の哺乳類AAV型及び/または本明細書に記載のものを含む任意の既知のAAVから得られ得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、AAVベクターは、例えば、大きなペイロード(例えば、約5kbを超えるペイロード)の送達のために、及び/または単一のAAVベクターの投与に関連する安全上の懸念に対処するために、二重または三重AAVベクターであってもよい。いくつかの実施形態において、二重AAVベクターは、2つの別々のAAVベクターを含んでもよく、それぞれは、目的の大型のペイロードの完全な配列の断片を含み、組換え時に、断片は、目的の大型のペイロードの完全な配列、またはその機能部分を形成する。いくつかの実施形態において、三重AAVベクターは、3つの別々のAAVベクターを含んでもよく、それぞれは、目的の大型のペイロードの配列の断片を含み、組換えられると、断片は、目的の大型のペイロードの完全な配列、またはその機能部分を形成する。
【0057】
複数のAAV(例えば、二重または三重AAVベクター)を同じ細胞に送達して共形質導入することができ、ここでペイロードの2つまたは3つの断片は一緒に組換えられ、目的の大きなペイロード全体の単一のmRNA転写産物を産生する。いくつかの実施形態において、断片化されたペイロードは、非重複配列を含む。いくつかの実施形態において、断片化されたペイロードは、指定された重複配列を含む。いくつかの実施形態において、二重または三重トランスフェクションの複数のAAVベクターは、同じ型のAAVベクター(例えば、同じ血清型及び/または同じ構築物)であり得る。いくつかの実施形態において、二重または三重の複数のAAVベクターは、異なる型のAAVベクター(例えば、異なる血清型または構築物)であり得る。
【0058】
本開示に従って有用な例示的なAAVベクターとしては、一本鎖(複数可)または自己相補的(sc)AAV核酸ベクターが挙げられる。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、一本鎖(ss)または自己相補的(sc)AAV核酸ベクターを含む。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、本明細書に記載の発現構築物と、発現構築物に隣接する逆位末端反復(ITR)配列(例えば、野生型ITR配列または操作されたITR配列)を含む1つ以上の領域とを含む。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、ウイルスカプシドによってカプシド化される。いくつかの実施形態において、taウイルスカプシドは、60個のカプシドタンパク質サブユニットを含む。いくつかの実施形態において、ウイルスカプシドは、VPl、VP2、及びVP3を含む。いくつかの実施形態において、VPl、VP2、及びVP3サブユニットは、約1:1:10にそれぞれ記載されている。
【0059】
いくつかの実施形態において、本開示のAAVベクターのITR配列は、任意のAAV血清型(例えば、AAV1、AAV2、AAV3(例えば、AAV3B)、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、及びAAV11、ならびにそれらのバリアント及び/またはハイブリッド)に由来し得るか、または複数の血清型に由来し得る。いくつかの実施形態において、ITR配列は、1つ以上の他の血清型に由来する。ITR配列を含有するITR配列及びプラスミドは、当該技術分野で既知であり、市販されている(例えば、Vector Biolabs,Philadelphia,PA;Cellbiolabs,San Diego,CA;Agilent Technologies,Santa Clara,Ca;及びAddgene,Cambridge,MA;及びKessler et al.PNAS.1996 Nov 26;93(24):14082-7;Machida.Methods in Molecular Medicine(商標).Viral Vectors for Gene Therapy Methods and Protocols.10.1385/1-59259-304-6:201(著作権)Humana Press Inc.2003.Chapter 10.Targeted Integration by Adeno-Associated Virus;ならびに米国特許第5,139,941及び同第5,962,313号、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0060】
いくつかの実施形態において、AAVベクターは、以下の血清型のうちのいずれかから選択される血清型、及びそのバリアントを含み得るか、またはそれらに基づき得るが、これらに限定されないが、以下が挙げられる:AAV9.68、AAV1、AAV10、AAV106.1/hu.37、AAV11、AAV114.3/hu.40、AAV12、AAV127.2/hu.41、AAV127.5/hu.42、AAV128.1/hu.43、AAV128.3/hu.44、AAV130.4/hu.48、AAV145.1/hu.53、AAV145.5/hu.54、AAV145.6/hu.55、AAV16.12/hu.11、AAV16.3、AAV16.8/hu.10、AAV161.10/hu.60、AAV161.6/hu.61、AAV1-7/rh.48、AAV1-8/rh.49、AAV2、AAV2.5T、AAV2-15/rh.62、AAV223.1、AAV223.2、AAV223.4、AAV223.5、AAV223.6、AAV223.7、AAV2-3/rh.61、AAV24.1、AAV2-4/rh.50、AAV2-5/rh.51、AAV27.3、AAV29.3/bb.l、AAV29.5/bb.2、AAV2G9、AAV-2-pre-miRNA-101、AAV3、AAV3.1/hu.6、AAV3.1/hu.9、AAV3-11/rh.53、AAV3-3、AAV33.12/hu.17、AAV33.4/hu.15、AAV33.8/hu.16、AAV3-9/rh.52、AAV3a、AAV3b、AAV4、AAV4-19/rh.55、AAV42.12、AAV42-10、AAV42-11、AAV42-12、AAV42-13、AAV42-15、AAV42-1b、AAV42-2、AAV42-3a、AAV42-3b、AAV42-4、AAV42-5a、AAV42-5b、AAV42-6b、AAV42-8、AAV42-aa、AAV43-1、AAV43-12、AAV43-20、AAV43-21、AAV43-23、AAV43-25、AAV43-5、AAV4-4、AAV44.1、AAV44.2、AAV44.5、AAV46.2/hu.28、AAV46.6/hu.29、AAV4-8/r11.64、AAV4-8/rh.64、AAV4-9/rh.54、AAV5、AAV52.1/hu.20、AAV52/hu.19、AAV5-22/rh.58、AAV5-3/rh.57、AAV54.1/hu.21、AAV54.2/hu.22、AAV54.4R/hu.27、AAV54.5/hu.23、AAV54.7/hu.24、AAV58.2/hu.25、AAV6、AAV6.1、AAV6.1.2、AAV6.2、AAV7、AAV7.2、AAV7.3/hu.7、AAV8、AAV-8b、AAV-8h、AAV9、AAV9.11、AAV9.13、AAV9.16、AAV9.24、AAV9.45、AAV9.47、AAV9.61、AAV9.84、AAV9.9、AAVA3.3、AAVA3.4、AAVA3.5、AAVA3.7、AAV-b、AAVC1、AAVC2、AAVC5、AAVCh.5、AAVCh.5Rl、AAVcy.2、AAVcy.3、AAVcy.4、AAVcy.5、AAVCy.5R1、AAVCy.5R2、AAVCy.5R3、AAVCy.5R4、AAVcy.6、AAV-DJ、AAV-DJ8、AAVF3、AAVF5、AAV-h、AAVH-1/hu.l、AAVH2、AAVH-5/hu.3、AAVH6、AAVhE1.1、AAVhER1.14、AAVhEr1.16、AAVhEr1.18、AAVhER1.23、AAVhEr1.35、AAVhEr1.36、AAVhEr1.5、AAVhEr1.7、AAVhErl.8、AAVhEr2.16、AAVhEr2.29、AAVhEr2.30、AAVhEr2.31、AAVhEr2.36、AAVhEr2.4、AAVhEr3.1、AAVhu.1、AAVhu.10、AAVhu.11、AAVhu.12、AAVhu.13、AAVhu.14/9、AAVhu.15、AAVhu.16、AAVhu.17、AAVhu.18、AAVhu.19、AAVhu.2、AAVhu.20、AAVhu.21、AAVhu.22、AAVhu.23.2、AAVhu.24、AAVhu.25、AAVhu.27、AAVhu.28、AAVhu.29、AAVhu.29R、AAVhu.3、AAVhu.31、AAVhu.32、AAVhu.34、AAVhu.35、AAVhu.37、AAVhu.39、AAVhu.4、AAVhu.40、AAVhu.41、AAVhu.42、AAVhu.43、AAVhu.44、AAVhu.44Rl、AAVhu.44R2、AAVhu.44R3、AAVhu.45、AAVhu.46、AAVhu.47、AAVhu.48、AAVhu.48Rl、AAVhu.48R2、AAVhu.48R3、AAVhu.49、AAVhu.5、AAVhu.51、AAVhu.52、AAVhu.53、AAVhu.54、AAVhu.55、AAVhu.56、AAVhu.57、AAVhu.58、AAVhu.6、AAVhu.60、AAVhu.61、AAVhu.63、AAVhu.64、AAVhu.66、AAVhu.67、AAVhu.7、AAVhu.8、AAVhu.9、AAVhu.t19、AAVLG-10/rh.40、AAVLG-4/rh.38、AAVLG-9/hu.39、AAVLG-9/hu.39、AAV-LK01、AAV-LK02、AAVLK03、AAV-LK03、AAV-LK04、AAV-LK05、AAV-LK06、AAV-LK07、AAV-LK08、AAV-LK09、AAV-LK10、AAV-LK11、AAV-LK12、AAV-LK13、AAV-LK14、AAV-LK15、AAV-LK17、AAV-LK18、AAV-LK19、AAVN721-8/rh.43、AAV-PAEC、AAV-PAEC11、AAV-PAEC12、AAV-PAEC2、AAV-PAEC4、AAV-PAEC6、AAV-PAEC7、AAV-PAEC8、AAVpi.1、AAVpi.2、AAVpi.3、AAVrh.10、AAVrh.12、AAVrh.13、AAVrh.13R、AAVrh.14、AAVrh.17、AAVrh.18、AAVrh.19、AAVrh.2、AAVrh.20、AAVrh.21、AAVrh.22、AAVrh.23、AAVrh.24、AAVrh.25、AAVrh.2R、AAVrh.31、AAVrh.32、AAVrh.33、AAVrh.34、AAVrh.35、AAVrh.36、AAVrh.37、AAVrh.37R2、AAVrh.38、AAVrh.39、AAVrh.40、AAVrh.43、AAVrh.44、AAVrh.45、AAVrh.46、AAVrh.47、AAVrh.48、AAVrh.48、AAVrh.48.1、AAVrh.48.1.2、AAVrh.48.2、AAVrh.49、AAVrh.50、AAVrh.51、AAVrh.52、AAVrh.53、AAVrh.54、AAVrh.55、AAVrh.56、AAVrh.57、AAVrh.58、AAVrh.59、AAVrh.60、AAVrh.61、AAVrh.62、AAVrh.64、AAVrh.64Rl、AAVrh.64R2、AAVrh.65、AAVrh.67、AAVrh.68、AAVrh.69、AAVrh.70、AAVrh.72、AAVrh.73、AAVrh.74、AAVrh.8、AAVrh.8R、AAVrh8R、AAVrh8R A586R変異体、AAVrh8R R533A変異体、BAAV、B P61 AAV、B P62 AAV、B P63 AAV、ウシAAV、ヤギAAV、Japanese AAV10、真型AAV(ttAAV)、UPENN AAV10、AAV-LK16、AAAV、AAV Shuffle100-1、AAV Shuffle100-2、AAV Shuffle100-3、AAV Shuffle100-7、AAV Shuffle10-2、AAV Shuffle10-6、AAV Shuffle10-8、AAV SM100-10、AAV SM100-3、AAV SM10-1、AAV SM10-2、及び/またはAAV SM10-8。
【0061】
いくつかの実施形態において、AAV血清型は、AAVDJ8(またはAAV-DJ8)等のAAVDJまたはそのバリアントであり得、これらはGrimm et al.(Journal of Virology 82(12):5887-5911(2008))に、または米国特許第7,588,772号に記載されており、これらのそれぞれは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、AAV血清型は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第US6,156,303号に記載される配列、またはその誘導体を含むか、または有することができる。いくつかの実施形態において、AAV血清型は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、真型AAV(ttAAV)(WO2015121501の配列番号2)、「UPenn AAV10」(WO2015121501の配列番号8)、「Japanese AAV10」(WO2015121501の配列番号9)、またはそれらのバリアント等であるが、これらに限定されない、国際出願公開第WO2015121501号に記載される配列であり得るか、または含み得る。
【0062】
いくつかの実施形態において、AAV血清型は、任意の数の種に由来し得る。例えば、いくつかの実施形態において、AAVは、トリAAV(AAAV)であり得る。いくつかの実施形態において、AAV血清型は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,238,800号に記載される配列であってもよく、またはそれを含む。いくつかの実施形態において、AAV血清型は、ウシAAV(BAAV)であってもよい。BAAV血清型は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第9,193,769号に記載される配列であってもよく、またはそれを含む。BAAV血清型は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,427,396号に記載の配列であってよいか、またはその配列を有することができる。いくつかの実施形態において、AAVは、カプリンAAVであってもよい。カプリンAAV血清型は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7427396号に記載の配列であってよいか、またはそれを含むことができる。AAV血清型はまた、前述のいずれかのバリアントまたはハイブリッドであってもよい。
【0063】
いくつかの実施形態において、AAVは、Pulicherla et al.(Molecular Therapy 19(6):1070-1078(2011)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)による記載のように、アミノ酸(390~627)(VP1番号付け)内に変異を有するAAV9カプシドライブラリーによって産生される血清型であり得る。いくつかの実施形態において、血清型及び対応するヌクレオチド及びアミノ酸置換は、これらに限定されないが、以下であってよい:AAV9.1(G1594C;D532H)、AAV6.2(T1418A及びT1436X;V473D及びI479K)、AAV9.3(T1238A;F413Y)、AAV9.4(T1250C及びA1617T;F417S)、AAV9.5(A1235G、A1314T、A1642G、C1760T;Q412R、T548A、A587V)、AAV9.6(T1231A;F411I)、AAV9.9(G1203A、G1785T;W595C)、AAV9.10(A1500G、T1676C;M559T)、AAV9.11(A1425T、A1702C、A1769T;T568P、Q590L)、AAV9.13(A1369C、A1720T;N457H、T574S)、AAV9.14(T1340A、T1362C、T1560C、G1713A、L447H)、AAV9.16(A1775T;Q592L)、AAV9.24(T1507C、T1521G;W503R)、AAV9.26(A1337G、A1769C;Y446C、Q590P)、AAV9.33(A1667C;D556A)、AAV9.34(A1534G、C1794T;N512D)、AAV9.35(A1289T、T1450A、C1494T、A1515T、C1794A、G1816A;Q430L、Y484N、N98K、V606I)、AAV9.40(A1694T、E565V)、AAV9.41(A1348T、T1362C;T450S)、AAV9.44(A1684C、A1701T、A1737G;N562H、K567N)、AAV9.45(A1492T、C1804T;N498Y、L602F)、AAV9.46(G1441C、T1525C、T1549G;G481R、W509R、L517V)、9.47(G1241A、G1358A、A1669G、C1745T;S414N、G453D、K557E、T582I)、AAV9.48(C1445T、A1736T;P482L、Q579L)、AAV9.50(A1638T、C1683T、T1805A;Q546H、L602H)、AAV9.53(G1301A、A1405C、C1664T、G1811T;R134Q、S469R、A555V、G604V)、AAV9.54(CI531A、T1609A;L511I、L537M)、AAV9.55(T1605A;F535L)、AAV9.58(C1475T、C1579A;T492I、H527N)、AAV.59(T1336C;Y446H)、AAV9.61(A1493T;N498I)、AAV9.64(C1531A、A1617T;L511I)、AAV9.65(C1335T、T1530C、C1568A;A523D)、AAV9.68(C1510A、P504T)、AAV9.80(G1441A,;G481R)、AAV9.83(C1402A、A1500T;P468T、E500D)、AAV9.87(T1464C、T1468C;S490P)、AAV9.90(A1196T;Y399F)、AAV9.91(T1316G、A1583T、C1782G、T1806C;L439R、K528I)、AAV9.93(A1273G、A1421G、A1638C、C1712T、G1732A、A1744T、A1832T;S425G、Q474R、Q546H、P571L、G578R、T582S、D611V)、AAV9.94(A1675T;M559L)及びAAV9.95(T1605A;F535L)。
【0064】
いくつかの実施形態において、AAVベクターは、改変カプシドタンパク質(例えば、修飾VP3領域を含むカプシドタンパク質)を含むカプシドを含む。改変カプシドタンパク質の産生方法は、当該技術分野において既知である(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるUS20130310443を参照されたい)。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、野生型カプシドタンパク質中の表面曝露アミノ酸(例えば、表面曝露チロシン)に対応する位置に少なくとも1つの非天然アミノ酸置換を含む改変カプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、野生型カプシドタンパク質中の表面曝露されたチロシンアミノ酸に対応する位置に非チロシンアミノ酸(例えば、フェニルアラニン)、野生型カプシドタンパク質中の表面曝露されたスレオニンアミノ酸に対応する位置に非スレオニンアミノ酸(例えば、バリン)、野生型カプシドタンパク質中の表面曝露されたリジンアミノ酸に対応する位置に非リジンアミノ酸(例えば、グルタミン酸)、野生型カプシドタンパク質中の表面曝露されたセリンアミノ酸に対応する位置に非セリンアミノ酸(例えば、バリン)、またはそれらの組み合わせを含む改変カプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上のアミノ酸置換を有する改変カプシドタンパク質が含まれるカプシドを含む。
【0065】
いくつかの実施形態において、AAVベクターは、目的の遺伝子のコード配列、例えば、コード配列に作動可能に連結された発現制御配列の発現を促進する配列を含む1つ以上の領域を含む。発現制御配列の非限定的な例としては、プロモーター、絶縁体、サイレンサー、応答要素、イントロン、エンハンサー、開始部位、終結シグナル、及びポリ(A)テールが挙げられる。このような制御配列の任意の組み合わせが、本明細書において企図される(例えば、プロモーター及び/またはエンハンサー)。いくつかの実施形態において、発現構築物は、WPRE等の他の調節要素を含む。
【0066】
AAVベクターは、本明細書に記載の任意のポリペプチドまたはペイロードをコードする核酸に、本明細書に記載のベクターでトランスフェクトされた細胞における転写、翻訳、及び/または発現を可能にする方法で作動可能に連結された従来の制御要素を含むことができる。発現制御配列としては、適切な転写開始、終結、プロモーター及びエンハンサー配列、スプライシング及びポリアデニル化(ポリA)シグナル等の効率的なRNAプロセシングシグナル(例えば、ウサギβ-グロビンポリAシグナル)、細胞質mRNAを安定化する配列、翻訳効率を向上させる配列(例えば、Kozakコンセンサス配列)、タンパク質安定性を向上させる配列、ならびに所望により、コード産物の分泌を向上させる配列が挙げられる。天然、構成的、誘導性、及び/または組織特異的であるプロモーターを含むいくつかの発現制御配列は、当該技術分野で既知であり、本明細書に記載のベクターに含まれ得る。構成的プロモーターの例としては、これらに限定されないが、レトロウイルス性ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター(任意にRSVエンハンサーを伴う)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(任意にCMVエンハンサーを伴う)、SV40プロモーター、及びジヒドロ葉酸レダクターゼプロモーターが挙げられる。
【0067】
誘導性プロモーターは遺伝子発現の調節を可能にし、外因的に供給される化合物、温度等の環境因子、または特定の生理学的状態(例えば、急性期、細胞の特定の分化状態、または複製細胞内のみ)の存在によって調節され得る。誘導性プロモーター及び誘導性系は、Invitrogen、Clontech、及びAriadを含むがこれらに限定されない、様々な商業的供給源から入手可能である。多くの他の系が記載されており、当業者によって容易に選択することができる。外因的に供給されるプロモーターによって調節される誘導性プロモーターの例としては、亜鉛誘導性ヒツジメタロチオニン(MT)プロモーター、デキサメタゾン(Dex)誘導性マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、T7ポリメラーゼプロモーター系、エクジソン昆虫プロモーター、テトラサイクリン抑制性システム、テトラサイクリン誘導性系、RU486誘導性系、及びラパマイシン誘導性系が挙げられる。有用であり得るさらに他の種類の誘導性プロモーターは、温度、急性相、細胞の特定の分化状態等の特定の生理学的状態によって、または複製細胞のみにおいて調節される。
【0068】
いくつかの実施形態において、制御配列は、組織特異的遺伝子発現能力を付与する。ある場合には、組織特異的制御配列は、組織特異的方法で転写を誘導する組織特異的転写因子を結合する。このような組織特異的制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサー等)は当該技術分野で周知である。いくつかの実施形態において、プロモーターは、ニワトリβ-アクチンプロモーター(CB7)、Cbhプロモーター、polIIプロモーター、またはpolIIIプロモーターである。
【0069】
いくつかの実施形態において、プロモーターは、組織または細胞特異的プロモーターである。例えば、ニューロン特異的プロモーターには、ヒトシナプシンI(SYN)プロモーター(例えば、Li et al.Proc,Natl Acad Sci USA 1993;90:1460-1464に記載され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、マウスカルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII(CaMKII)プロモーター(例えば、Mayford et al.,Proc Natl Acad Sci USA 1996;93:13250-13255に記載され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、ラットチューブリンアルファI(Tal)プロモーター(例えば、Gloster et al.J.Neurosci 1994;14:7319-7330に記載され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、ラットニューロン特異的エノラーゼ(NSE)プロモーター(例えば、Forss-Petter et al,Neuron 1990;5:187-197に記載され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、及びヒト血小板由来成長因子ベータ鎖(PDGF)プロモーター(例えば、Sasahara et al,Cell 1991;64:217-227に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)が含まれ得る。
【0070】
別の実施形態において、本明細書に記載の任意のペイロードをコードする核酸の天然プロモーターまたはその断片を使用してもよい。いくつかの実施形態において、エンハンサー要素、ポリアデニル化部位、またはKozakコンセンサス配列等の他の天然発現制御要素もまた、天然の発現を模倣するために使用され得る。
【0071】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のAAVベクターにおけるペイロードは、任意の長さ、例えば、2~10,000ヌクレオチド長、またはそれらの間の任意の整数値であってもよい。いくつかの実施形態において、ペイロードをコードする核酸配列は、少なくとも20ヌクレオチド、少なくとも50ヌクレオチド、少なくとも75ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチド、少なくとも150ヌクレオチド、少なくとも200ヌクレオチド、少なくとも250ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、少なくとも350ヌクレオチド、少なくとも400ヌクレオチド、少なくとも450ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチド、少なくとも550ヌクレオチド、少なくとも600ヌクレオチド、少なくとも650ヌクレオチド、少なくとも700ヌクレオチド、少なくとも750ヌクレオチド、少なくとも800ヌクレオチド、少なくとも850ヌクレオチドを含む。ヌクレオチド、少なくとも880ヌクレオチド、少なくとも900ヌクレオチド、少なくとも950ヌクレオチド、少なくとも1000ヌクレオチド、少なくとも1100ヌクレオチド、少なくとも1200ヌクレオチド、少なくとも1300ヌクレオチド、少なくとも1400ヌクレオチド、少なくとも1500ヌクレオチド、少なくとも1600ヌクレオチド、少なくとも1700ヌクレオチド、少なくとも1800ヌクレオチド、少なくとも2000ヌクレオチド、少なくとも2500ヌクレオチド、少なくとも3000ヌクレオチド、少なくとも4000ヌクレオチド、少なくとも5000ヌクレオチド、少なくとも6000ヌクレオチド、少なくとも7000ヌクレオチド、少なくとも8000ヌクレオチド、少なくとも9000ヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、ペイロードをコードする核酸配列は、50~25,000ヌクレオチド長、100~20,000ヌクレオチド長、500~10,000ヌクレオチド長、1,000~8,000ヌクレオチド長、及び/または2,000~5,000ヌクレオチド長を含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、本方法は、形質導入のために、本明細書に記載の組換えウイルスベクターの感染多重度(MOI)を最適化することを含む。いくつかの実施形態において、線形範囲のアッセイ結果を産生するMOIが選択される。いくつかの実施形態において、複数のMOIをアッセイすることは、段階希釈によって達成される。いくつかの実施形態において、宿主細胞(例えば、本明細書に記載の少なくとも1つのSMNポリペプチド、例えば、SH-SY5Y KD細胞の発現を含むか、または低減させた改変宿主細胞)は、段階希釈によって達成される異なるMOI(例えば、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、または約10MOI)で組換えウイルスベクターを用いて形質導入される。いくつかの実施形態において、約1.2倍、約1.4倍、約1.6倍、約1.8倍、約2倍、約2.2倍、約2.4倍、約2.2倍、約2.4倍、または約3段階希釈またはそれらの組み合わせが使用される。いくつかの実施形態において、約5つの異なるMOIは、段階希釈によって試験される。
【0073】
いくつかの実施形態において、ウイルスベクターを、約6.1×105VG/細胞~約4.0×106VG/細胞、例えば、約6.1×105VG/細胞、約6.2×105VG/細胞、約6.3×105VG/細胞、約6.4×105VG/細胞、約6.5×105VG/細胞、約7.0×105VG/細胞、約7.5×105VG/細胞、約8.0×105VG/細胞、約8.5×105VG/細胞、約9.0×105VG/細胞、約9.5×105VG/細胞、約9.8×105VG/細胞、約1.0×106VG/細胞、約1.5×106VG/細胞、約1.6×106VG/細胞、約2.0×106VG/細胞、約2.5×106VG/細胞、約3.0×106VG/細胞、約3.5×106VG/細胞、または約4.0×106VG/細胞のMOIで細胞培養に添加する。
【0074】
いくつかの実施形態において、ウイルスベクターを、約6.1×105VG/細胞+/-50%、6.1×105VG/細胞+/-40%、6.1×105VG/細胞+/-30%、6.1×105VG/細胞+/-20%、6.1×105VG/細胞+/-10%、6.1×105VG/細胞+/-5%、または6.1×105VG/細胞+/-1%のMOIで細胞培養に添加する。
【0075】
いくつかの実施形態において、ウイルスベクターを、約9.8×105VG/細胞+/-50%、9.8×105VG/細胞+/-40%、9.8×105VG/細胞+/-30%、9.8×105VG/細胞+/-20%、9.8×105VG/細胞+/-10%、9.8×105VG/細胞+/-5%、または9.8×105VG/細胞+/-1%のMOIで細胞培養に添加する。
【0076】
いくつかの実施形態において、ウイルスベクターを、約1.6×106VG/細胞+/-50%、1.6×106VG/細胞+/-40%、1.6×106VG/細胞+/-30%、1.6×106VG/細胞+/-20%、1.6×106VG/細胞+/-10%、1.6×106VG/細胞+/-5%、または1.6×106VG/細胞+/-1%のMOIで細胞培養に添加する。
【0077】
いくつかの実施形態において、ウイルスベクターを、約2.5×106VG/細胞+/-50%、2.5×106VG/細胞+/-40%、2.5×106VG/細胞+/-30%、2.5×106VG/細胞+/-20%、2.5×106VG/細胞+/-10%、2.5×106VG/細胞+/-5%、または2.5×106VG/細胞+/-1%のMOIで細胞培養に添加する。
【0078】
いくつかの実施形態において、ウイルスベクターを、約4×106VG/細胞+/-50%、4×106VG/細胞+/-40%、4×106VG/細胞+/-30%、4×106VG/細胞+/-20%、4×106VG/細胞+/-10%、4×106VG/細胞+/-5%、または4×106VG/細胞+/-1%のMOIで細胞培養物に添加する。
【0079】
いくつかの実施形態において、効力アッセイ結果の線形範囲を産生するMOIが選択される。他の実施形態において、非線形範囲の効力アッセイ結果を産生するMOIが選択される。いくつかの実施形態において、効力アッセイのシグナル対ノイズ比は、約2.5であるが、または2.5以上、例えば、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、約9.0、約9.5、約10、もしくはそれ以上のシグナル対ノイズ比である。いくつかの実施形態において、約2.5以上のシグナル対ノイズ比は、非線形範囲の効力アッセイ結果の使用を可能にする。
【0080】
AAVベクターの産生
AAVベクターを得るための方法は、当該技術分野で既知である。典型的には、AAVカプシドタンパク質またはその断片をコードする核酸配列、機能的rep遺伝子、AAV反転末端反復(ITR)及びペイロードで構成されるAAVベクター、及び/または組換えAAVベクターのAAVカプシドタンパク質AAV rep及びcap遺伝子へのパッケージングを可能にするのに十分なヘルパー機能を含む宿主細胞を培養することを伴う方法は、組換えウイルスが由来し得る任意のAAV血清型に由来し得、本明細書に記載の任意のAAV血清型を含むがこれらに限定されない、AAVゲノムITRとは異なるAAV血清型に由来し得る。擬似型AAVの製造は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際特許出願公開第WO01/83692号に開示される。
【0081】
AAVカプシド内のAAVベクターを包装するために宿主細胞内で培養される成分は、トランスで宿主細胞に提供され得る。代替的に、必要な構成要素(例えば、AAVベクター、rep配列、cap配列、及び/またはヘルパー機能)のうちの任意の1つ以上は、当業者に既知の方法を使用して、必要な構成要素のうちの1つ以上を含有するように操作された安定な宿主細胞によって提供され得る。いくつかの実施形態において、そのような安定な宿主細胞は、誘導性プロモーターの制御下に必要な成分(複数可)を含有する。他の実施形態において、必要な構成要素(複数可)は、構成的プロモーターの制御下にあってもよい。他の実施形態において、選択された安定な宿主細胞は、構成的プロモーターの制御下にある選択された成分、及び1つ以上の誘導性プロモーターの制御下にある他の選択された成分を含有し得る。例えば、安定した宿主細胞は、構成的プロモーターの制御下でのE1ヘルパー機能と、誘導性プロモーターの制御下でのrep及び/またはcapタンパク質とを含む、産生され得る。他の安定した宿主細胞は、当業者によって、日常的な方法を使用して産生され得る。
【0082】
本開示のAAVベクターを産生するために必要な組換えAAV、rep配列、cap配列、及びヘルパー機能は、任意の適切な遺伝子要素(例えば、ベクター)を使用してパッケージング宿主細胞に送達され得る。選択された遺伝子要素は、当該技術分野で既知の任意の好適な方法、例えば、核酸操作の当業者に送達されてもよく、遺伝子工学、組換え工学、及び合成技法を含む(例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。同様に、AAVビリオンの産生方法は周知であり、任意の好適な方法を本開示と共に使用することができる(例えば、K.Fisher et al.,J.Virol.,70:520-532(1993)及び米国特許第5,478,745号を参照されたい。これらはそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0083】
いくつかの実施形態において、AAVベクターは、三重トランスフェクション法を使用して産生され得る(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,001,650号に記載される)。いくつかの実施形態において、AAVベクターは、宿主細胞を、AAV粒子、AAVヘルパー機能ベクター、及び付属機能ベクターにパッケージ化されるAAVベクター(ペイロードを含む)でトランスフェクトすることによって産生される。AAVヘルパー機能ベクターは、AAV複製及びカプシド形成のためにトランスで機能するヘルパー機能配列(例えば、rep及びcap)をコードする。いくつかの実施形態において、AAVヘルパー機能ベクターは、任意の検出可能な野生型AAVビリオン(例えば、機能的rep及びcap遺伝子を含有するAAVビリオン)を産生することなく、効率的なAAVベクター産生を支持する。本開示と共に使用するのに好適なベクターの非限定的な例としては、pHLP19(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,001,650号を参照されたい)及びpRep6cap6ベクター(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,156,303号を参照されたい)が挙げられる。
【0084】
アクセサリー機能ベクターは、AAVが複製に依存する非AAV由来のウイルス及び/または細胞機能(すなわち、「アクセサリー機能」)のためのヌクレオチド配列をコードする。アクセサリー機能には、AAV複製に必要な機能が含まれ、これには、AAV遺伝子転写の活性化、ステージ特異的AAV mRNAスプライシング、AAV DNA複製、cap発現産物の合成、及びAAVカプシドアセンブリに関与する部分が含まれるが、これらに限定されない。ウイルスベースの付属機能は、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス1型以外)、及びワクシニアウイルス等の任意の既知のヘルパーウイルスに由来し得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、本開示は、トランスフェクトされた宿主細胞を提供する。「トランスフェクション」という用語は、細胞による外来性DNAの取り込みを指して使用され、細胞は、外因性DNAが細胞膜内に導入されたときに「トランスフェクション」されている。いくつかのトランスフェクション技法は、当技術分野で一般的に知られている(例えば、Graham et al.(1973)Virology,52:456;Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning,a laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratories,New York,Davis et al.(1986)Bacial Methods in Molecular Biology,Elsevier;及びChu et al.(1981)Gene 13:197を参照されたい)。そのような技法を使用して、ヌクレオチド統合ベクター及び他の核酸分子等の1つ以上の外因性核酸を、好適な宿主細胞に導入することができる。
【0086】
いくつかの実施形態において、宿主細胞は哺乳類細胞である。宿主細胞は、AAVヘルパー構築物、AAVミニ遺伝子プラスミド、付属機能ベクター、及び/または組換えAAVの産生に関連する他の転移DNAのレシピエントとして使用され得る。この用語は、トランスフェクトされた元の細胞の子孫を含む。したがって、本明細書で使用される場合「宿主細胞」は、外因性DNA配列でトランスフェクトした細胞を指し得る。単一の親細胞の子孫は、自然の、偶発的な、または意図的な変異のために、必ずしも元の親としての形態、またはゲノムもしくは全DNA補体において完全に同一ではない場合があることを理解されたい。
【0087】
対象への送達に好適なAAVウイルスベクターを産生及び単離するためのさらなる方法は、例えば、米国特許第7,790,449号、同第7,282,199号、WO2003/042397、WO2005/033321、WO2006/110689、及び米国特許第7,588,772号に記載されており、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0088】
いくつかの実施形態において、プロデューサー細胞株は、ITRに隣接するペイロードをコードする構築物と、rep及びcapをコードする構築物とで一時的にトランスフェクトされる。別の系では、rep及びcapを安定して供給するパッケージング細胞株は、ITRに隣接するペイロードをコードする構築物で一時的にトランスフェクトされる。これらの系のそれぞれにおいて、AAVビリオンは、ヘルパーアデノウイルスまたはヘルペスウイルスの感染に応答して産生され、rAAVは、汚染ウイルスから分離される。他の系は、AAVを回復するためにヘルパーウイルスへの感染を必要としない。いくつかの実施形態において、ヘルパー機能(例えば、アデノウイルスE1、E2a、VA、及びE4、またはヘルペスウイルスUL5、UL8、UL52、及びUL29、及びヘルペスウイルスポリメラーゼ)もまた、トランス系によって供給される。そのような系において、ヘルパー機能は、ヘルパー機能をコードする構築物を有する細胞の一過性トランスフェクションによって供給され得るか、または細胞を操作して、その発現を転写レベルまたは転写後レベルで制御することができるヘルパー機能をコードする遺伝子を安定して含有するようにすることができる。
【0089】
いくつかの実施形態において、ITR及びrep/cap遺伝子に隣接するペイロードは、バキュロウイルスに基づくベクターに感染することによって、昆虫宿主細胞に導入される。このような産生系は、当該技術分野において既知である(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Zhang et al.,2009,Human Gene Therapy 20:922-929を参照されたい)。これら及び他のAAV産生系の作製及び使用方法は、米国特許第5,139,941号、同第5,741,683号、同第6,057,152号、同第6,204,059号、同第6,268,213号、同第6,491,907号、同第6,660,514号、同第6,951,753号、同第7,094,604号、同第7,172,893号、同第7,201,898号、同第7,229,823号、及び同第7,439,065号にも記載されており、これらはそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0090】
組換えベクターを産生するための前述の方法は、限定するものではなく、他の好適な方法が当業者には明らかであろう。
【0091】
ペイロード
目的の例示的なペイロードは、SMN(例えば、ヒトSMN)である。ヒトSMNは、38kDaの多機能タンパク質であり、細胞質及び核の両方で普遍的に発現され、見出され、SMNの作用機序を反映するコイル小体対(GEM)と呼ばれる異なる構造で核内に濃縮される。特に高いレベルのSMN発現は、中枢神経系(CNS)の神経細胞に見出される。細胞質では、SMNは、Gemin(Gemin2~8)と呼ばれるタンパク質と相互作用してSMN複合体を形成することによって、スプライソソームの組み立てに重要な役割を果たす。形成されると、SMN複合体は、Smタンパク質と小核RNA(snRNA)とを一緒にして、核内のmRNAへのmRNA前処理に不可欠な小核リボ核タンパク質(snRNP)を形成することにより重要である。
【0092】
いくつかの実施形態において、組換えウイルスレクターの産生のためのペイロードは、少なくとも1つのSMNポリペプチドをコードする1つ以上の核酸を含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのSMNポリペプチドは、ヒトSMNポリペプチドを含むか、またはヒトSMNポリペプチドである。
【0093】
いくつかの実施形態において、ペイロードは、SMN遺伝子(例えば、SMN1またはSMN2遺伝子)もしくはその断片を含む。いくつかの実施形態において、SMN遺伝子(例えば、SMN1またはSMN2遺伝子)は、ヒトSMN1もしくはSMN2遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、SMN遺伝子(例えば、SMN1またはSMN2遺伝子)は、コドン最適化される。いくつかの実施形態において、SMN1遺伝子(例えば、コドン最適化SMN1遺伝子)は、WO2018/160585(例えば、WO2018/160585の配列番号1)に開示される核酸配列を含む。SMNlの例示的なヒト核酸(GenBank受託番号NM_000344.4)、ヒトアミノ酸配列、及びヒトコドン最適化核酸配列を表1に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【0094】
宿主細胞
本開示は、とりわけ、本明細書に記載の少なくとも1つのウイルスベクターによる形質導入のための宿主細胞(例えば、本明細書に記載の少なくとも1つのSMNポリペプチド、例えば、SH-SY5Y KD細胞の発現を含むか、または低減させた改変宿主細胞)を提供する。宿主細胞は、本明細書に記載の少なくとも1つのベクターでトランスフェクトした元の細胞の子孫細胞を含む。親細胞の子孫細胞は、自然、偶然、または意図的な変異のために、親細胞としての形態またはゲノム含有量において実質的に同一ではない場合がある。
【0095】
本開示は、細胞がウイルスベクターに対して許容度が異なることを認識する。さらに、本開示は、細胞が、ウイルスベクターによってコードされるタンパク質を転写及び翻訳する能力が異なることを認識する。したがって、いかなる特定の理論に拘束されることを望むものではないが、本開示は、本明細書に記載の効力アッセイに使用される宿主細胞(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド、例えば、本明細書に記載のSH-SY5Y KD細胞の発現を含むか、または低減させた改変宿主細胞)が、ウイルスベクターに対して非常に許容的である必要があることを認識する。したがって、様々な実施形態によれば、本明細書に記載のアッセイは、目的のペイロードをコードするウイルスベクターに対して許容的な細胞を利用する。
【0096】
いくつかの実施形態において、宿主細胞は哺乳類細胞を含むか、または哺乳類細胞である。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、ヒト、サル、類人猿、ハムスター、ラット、もしくはマウス細胞を含むか、またはそれらである。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、ヒト細胞を含むか、またはヒト細胞である。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、非ヒト哺乳類細胞(例えば、マウス細胞)ではない。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、不死化細胞を含むか、または不死化細胞である。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、腫瘍もしくは骨髄腫細胞を含むか、またはそれである。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、細胞株を含むか、または細胞株である。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、初代細胞ではない。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、神経細胞組織に由来する。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、腎組織に由来する。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、肝組織に由来する。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、眼組織に由来する。
【0097】
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、神経芽細胞腫細胞(例えば、SH-SY5Y、B35、IMR-32またはSK-N-AS細胞)、HeLa細胞(例えば、HeLa-RC32細胞)、腎細胞(例えば、Huh7、HEK293、293EBNA、MSR293、MDCK、HaK、Vero細胞、CV1、またはBHK細胞)、CHO細胞(例えば、CHO Kl、DXB-11 CHO、またはVeggie-CHO細胞)、COS細胞(例えば、COS-7細胞)、肝細胞(例えば、HepG2細胞)、網膜細胞(例えば、RPE1、R28、またはMU-PH1細胞)、線維芽細胞(例えば、NIH/3T3細胞)、または前述の細胞に由来する細胞株もしくはバリアントを含むか、またはそれらである。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、神経芽腫細胞(例えば、SH-SY5Y細胞)を含むか、または神経芽腫細胞である。
【0098】
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、改変宿主細胞を含むか、または改変宿主細胞である。いくつかの実施形態において、改変宿主細胞は、目的のペイロード(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド)の発現を欠くか、または低減された発現を有する。いくつかの実施形態において、改変宿主細胞は、本明細書に記載の宿主細胞(例えば、哺乳類、例えば、本明細書に記載のヒト宿主細胞;または例えば、本明細書に記載の宿主細胞の神経芽細胞腫(例えば、神経芽細胞腫)、例えば、哺乳類神経細胞(例えば、神経芽細胞腫)、例えば、ヒト神経細胞(例えば、神経芽細胞腫)を含み、SMN遺伝子(例えば、SMN1またはSMN2遺伝子)内にノックダウン(例えば、構成的または条件付き)をさらに含む、いくつかの実施形態において、改変宿主細胞は、SMN遺伝子(例えば、SMN1またはSMN2遺伝子)に対する阻害性核酸(例えば、shRNA)を含む。ある特定の実施形態において、改変宿主細胞は、SH-SY5Y細胞(例えば、SH-SY5Y KD細胞)を含むか、またはSH-SY5Y細胞である。いくつかの実施形態において、SH-SY5Y KD細胞は、SMN遺伝子(例えば、SMN1またはSMN2遺伝子)内にノックダウン(例えば、構成的または条件付き)を含み、ノックダウンは、例えば、SMN遺伝子(例えば、SMN1またはSMN2遺伝子)に対する阻害性核酸、例えば、SMN1に対するshRNA(例えば、SMN1に対するドキシサイクリン誘導性shRNA、例えば、shRNA120またはshRNA128)、Jangi et al.,Proc Natl Acad Sci.114(12):E2347-E2356,2017(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載の例えば、shRNAを含むか、または発現する。いくつかの実施形態において、SH-SY5Y細胞は、例えば、Jangi et al.Proc Natl Acad Sci.114(12):E2347-E2356,2017に記載のように、SMN1遺伝子に対するshRNA(例えば、SMN1遺伝子に対するドキシサイクリン誘導性shRNA、例えば、shRNA120またはshRNA128)を発現する少なくとも1つのレンチウイルスベクターを用いて形質導入される。いくつかの実施形態において、SMN1に対する阻害性核酸(例えば、shRNA)は、本明細書に記載の組換えウイルスベクターを標的としないか、または影響を及ぼさない(例えば、阻害性核酸、例えば、shRNAは、本明細書に記載の組換えウイルスベクターのペイロード(例えば、コドン最適化SMN1遺伝子)を標的としない)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の宿主細胞または改変宿主細胞は、初代細胞を含まない(例えば、初代細胞でない)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の宿主細胞または改変宿主細胞は、細胞株、例えば、不死化/連続細胞株を含む(例えば、不死化/連続細胞株である)。
【0099】
目的のペイロード(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド)の発現を欠くか、または低減させた改変宿主細胞は、目的のペイロード(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド)のノックアウトもしくはノックダウン(例えば、条件付きノックアウトまたはノックダウン)を含む任意の好適な手段によって得ることができる。例えば、改変宿主細胞は、shRNA、siRNA、クラスター化され、規則的に間隔が空いている短い回文の反復(CRISPR)転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、及び/またはジンクフィンガーエンドヌクレアーゼ(ZFN)を使用して、目的のペイロード(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド)のノックダウンを含むことができる。いくつかの実施形態において、改変宿主細胞は、目的のペイロード(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド)に対する阻害性核酸を含む。いくつかの実施形態において、阻害性核酸は、shRNA、siRNA、またはmiRNAを含む。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、目的のペイロード(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド)をノックダウンするための少なくとも1つのshRNAを含む。いくつかの実施形態において、shRNAは、shRNA120またはshRNA128を含む。いくつかの実施形態において、阻害性核酸(例えば、shRNA)は、本明細書に記載の組換えウイルスベクターを標的としない。いくつかの実施形態において、阻害性核酸(例えば、shRNA)は、本明細書に記載の組換えウイルスベクターのペイロード(例えば、コドン最適化SMN1遺伝子)を標的としない。
【0100】
いくつかの実施形態において、宿主細胞(例えば、本明細書に記載の少なくとも1つのSMNポリペプチド、例えば、SH-SY5Y KD細胞の発現を含むか、または低減させた改変宿主細胞)は、比較的短い期間、例えば、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、または約24時間の期間内に播種され、形質導入される。
【0101】
いくつかの実施形態において、改変宿主細胞は、目的のペイロード(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド)の発現レベルの低下、例えば、同じ型の非改変基準宿主細胞と比較して、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約65倍、約70倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約96倍、約97倍、約98倍、約99倍、またはそれ以上の発現レベルの低下を含む。
【0102】
いくつかの実施形態において、トランスフェクションの前に、宿主細胞(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド、例えば、本明細書に記載のSH-SY5Y KD細胞の発現を含むか、または低減させた改変宿主細胞)を、複数回、例えば、約10回~約30回継代させる。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、少なくとも10回、例えば、少なくとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも14回、少なくとも15回、少なくとも16回、少なくとも17回、少なくとも18回、少なくとも19回、少なくとも20回、少なくとも21回、少なくとも22回、少なくとも23回、少なくとも24回、少なくとも25回、少なくとも26回、少なくとも27回、少なくとも28回、少なくとも29回、少なくとも30回、またはそれ以上継代される。いくつかの実施形態において、トランスフェクションの前に、宿主細胞は、少なくとも1つの凍結解凍サイクル、例えば、少なくとも2回、3回、4回、またはそれ以上の凍結解凍サイクルに供される。
【0103】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組換えウイルスベクターによる形質導入の前に、宿主細胞(例えば、本明細書に記載の少なくとも1つのSMNポリペプチド、例えば、SH-SY5Y KD細胞の発現を含むか、または低減させた改変宿主細胞)を基質(例えば、細胞培養容器)に播種する。宿主細胞は、細胞培養容器内で培養することができる。細胞培養容器は、細胞培養皿、プレート、またはフラスコを含み得る。例示的な細胞培養容器は、35mm、60mm、100mm、もしくは150mmの皿、マルチウェルプレート(例えば、6ウェル、12ウェル、24ウェル、48ウェル、または96ウェルプレート)、またはフラスコ(例えば、Tフラスコ、例えば、T-25、T-75、またはT-160フラスコ)、もしくはシェーカーフラスコを含む。いくつかの実施形態において、細胞培養容器は、ガラス底アッセイプレートを含むか、またはガラス底アッセイプレートである。
【0104】
いくつかの実施形態において、宿主細胞(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド、例えば、本明細書に記載のSH-SY5Y KD細胞の発現を含むか、または低減させた改変宿主細胞)は、ある特定の密度で播種される。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、約5.0×103~約5.0×104細胞/ウェルの密度で播種される。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、約5.0×103、約5.5×103、約6.0×103、約6.5×103、約7.0×103、約7.5×103、約8.0×103、約8.5×103、約9.0×103、約9.5×103、約1.0×104、約1.5×104、約2.0×104、約2.5×104、約3.0×104、約3.5×104、約4.0×104、約4.5×104、または約5.0×104細胞/ウェルの密度で播種される。ある特定の実施形態において、宿主細胞は、約5.0×103の密度で播種される。
【0105】
組換えウイルスベクターの効力の決定
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組換えウイルスベクターの効力(例えば、生物学的活性)は、目的のペイロード(例えば、少なくともSMNポリペプチド上)の発現レベルによって決定される。いくつかの実施形態において、効力アッセイは、(i)目的のペイロード(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド)をコードする本明細書に記載の組換えウイルスベクターを用いて宿主細胞(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド、本明細書に記載の例えばSH-SY5Y KD細胞を含むか、または低減させた改変宿主細胞)を形質導入することと、(ii)目的のペイロードの検出のために、宿主細胞を第1の薬剤(例えば、任意に検出部分を含む)と接触させることと、(iii)第1の薬剤の検出のために、宿主細胞を第2の薬剤(例えば、任意に検出部分を含む)と接触させることと、(iv)コイル小体対(GEM)の存在を検出することと、を含む。いくつかの実施形態において、宿主細胞(例えば、ヒト宿主細胞、例えば、神経芽腫細胞株、例えば、SH-SY5Y細胞(例えば、SH-SY5Y KD細胞))は、同じ型の非改変基準宿主細胞と比較して、目的のペイロード(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド)の発現を低下させるように改変される。
【0106】
いくつかの実施形態において、アッセイは、組換えウイルスベクターによってコードされるポリペプチド(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド)の効力を決定するために使用される。いくつかの実施形態において、組換えウイルスベクターの効力は、蛍光アッセイによって決定される。いくつかの実施形態において、組換えウイルスベクターの効力は、比色アッセイによって決定される。いくつかの実施形態において、組換えウイルスベクターの効力は、酵素アッセイによって決定される。いくつかの実施形態において、効力アッセイは、GEMの検出のためのイメージング(例えば、蛍光イメージング、例えば、ハイコンテントイメージング(HCI))を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で言及される効力とは、例えば、標準試料との相対効力を指す。
【0107】
SMNポリペプチドの検出
いくつかの実施形態において、目的のペイロード(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド)は、第1の薬剤と第2の薬剤との組み合わせで検出される。いくつかの実施形態において、第1の薬剤は、標識される。いくつかの実施形態において、第2の薬剤は、標識される。
【0108】
いくつかの実施形態において、第1の薬剤は、目的のペイロード(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド)に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む。例示的な抗SMN抗体またはその断片は、当該技術分野で既知であり、市販されている(例えば、Novus Biologicals,Littletown,CO;Thermo Fisher Scientific;Waltham,MA;及びGenTex,Irvine,CAから入手可能な製品を参照されたい)。いくつかの実施形態において、第1の薬剤はアプタマーを含む。いくつかの実施形態において、アプタマーは、RNA、DNA、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、アプタマーは、目的のペイロード(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド)に緊密に結合する。
【0109】
いくつかの実施形態において、第1の薬剤は、検出部分を含む。いくつかの実施形態において、第1の薬剤は、検出部分と共有結合的または非共有結合的に会合している。いくつかの実施形態において、第2の薬剤は、検出部分を含む。いくつかの実施形態において、第2の薬剤は、検出部分と共有結合的または非共有結合的に会合している。いくつかの実施形態において、第1の薬剤及び第2の薬剤は、検出部分を含む。いくつかの実施形態において、第1の薬剤及び第2の薬剤は、検出部分と共有結合的または非共有結合的に会合している。
【0110】
検出部分は、検出可能な任意の要素、分子、官能基、化合物、断片、または部分を含み得る。いくつかの実施形態において、検出部分は、蛍光色素(例えば、フルオレセイン色素、アクリジン色素、SYBR色素、ローダミン色素、またはオキサジン色素)、放射性核種(例えば、3H、14C、18F、19F、32P、35S、135I、125I、123I、64Cu、187Re、111In、90Y、99mTc、177Lu、または89Zr)、化学発光剤(例えば、アクリジニウムエステルまたは安定化ジオキセタン)、電気化学発光剤(例えば、Sulfo Tag)、生物発光剤(例えば、ルシフェリン)、無機蛍光半導体ナノ結晶(例えば、量子ドット)、金属ナノ粒子(例えば、金、銀、銅、または白金)、ナノクラスター、常磁性金属イオン、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等)、比色標識(例えば、色素またはコロイド金)、もしくは前述の任意の誘導体を含むか、またはそれらである。いくつかの実施形態において、検出部分は、蛍光色素もしくはその誘導体を含むか、またはそれらである。いくつかの実施形態において、検出部位は、フルオロフォアを含むか、またはフルオロフォアである(例えば、Alexa-Fluor488、FluoProbe488、またはDyLight488)。
【0111】
コイル小体対(GEM)の検出
ヒトSMNポリペプチドは、普遍的に発現され、細胞質及び核の両方で見出される。核では、SMNはコイル小体対(GEM)と呼ばれる異なる構造に集中している。いくつかの実施形態において、GEMの存在は、例えば、核内の明るく、密集したGEM構造の結果として、目視検査によって検出される。
【0112】
いくつかの実施形態において、GEMの存在は、イメージングによって検出される。いくつかの実施形態において、イメージングは、蛍光イメージング(例えば、ハイコンテントイメージング(HCI))を含む。例えば、HCIは、自動顕微鏡法、マルチパラメータ画像処理、及び細胞集団から定量的データを抽出するための可視化ツールを使用する一連の分析方法を説明する。HCIを使用して、個々の細胞または細胞構造における標的の空間分布等のパラメータを定量的に報告することができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、HCIは、高スループットフォーマットでの試料の蛍光イメージングを含む。いくつかの実施形態において、GEMの存在は、HCIを使用して検出される。いくつかの実施形態において、HCIは、宿主細胞(例えば、少なくとも1つのSMNポリペプチド、例えば、本明細書に記載のSH-SY5Y KD細胞を含むか、または低減させた改変宿主細胞)における亜細胞レベルでの変化(例えば、核におけるGEMの存在)を検出する。
【0113】
いくつかの実施形態において、GEMの存在は、GEMのマーカー(例えば、Gemin2~8ポリペプチドのうちの1つ以上)をアッセイすることによって検出される。いくつかの実施形態において、GEMのマーカーは、GEMとの共局在を示す。いくつかの実施形態において、GEMのマーカーは、Gemin1ポリペプチド、Gemin2ポリペプチド、Gemin3ポリペプチド、Gemin4ポリペプチド、Gemin5ポリペプチド、Gemin6ポリペプチド、Gemin7ポリペプチド、及び/またはGemin8ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、GEMのマーカーは、イメージングによってアッセイされる。いくつかの実施形態において、GEMのマーカーは、蛍光イメージング(例えば、ハイコンテントイメージング(HCI))によってアッセイされる。
【0114】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の効力アッセイは、組換えウイルスベクター(例えば、SMNポリペプチドをコードするペイロードを含む)の安定性を示す。いくつかの実施形態において、効力は、組換えウイルスベクターの温熱ストレス後に決定される。いくつかの実施形態において、組換えウイルスベクターは、特定の温度で(例えば、温熱ストレスを引き起こす)特定の時間の長さにわたって供される。いくつかの実施形態において、組換えウイルスベクターは、約40℃~約80℃、例えば、約40℃、約45℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、または約80℃の温度に供される)。いくつかの実施形態において、組換えウイルスベクターは、特定の温度(例えば、温熱ストレスを引き起こす)で1分、2分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、45分、60分、またはそれ以上保持される。
【0115】
いくつかの実施形態において、組換えウイルスベクター(例えば、SMNポリペプチドをコードするペイロードを含む)の効力は、中空カプシドの存在下では低下しない。いくつかの実施形態において、組換えウイルスベクターは、複数の中空ウイルスカプシドを含む。いくつかの実施形態において、組換えウイルスベクターは、複数の中空ウイルスカプシド(例えば、中空AAVカプシド)を含み、例えば、組換えウイルスベクターを含むカプシドに対する中空カプシドの比率は、約2:1~約1:10、例えば、約1:1~約1:3である。いくつかの実施形態において、組換えウイルスベクター調製物(例えば、AAV調製物)は、30%以下の中空カプシド、例えば、40%、25%、20%、15%、10%、7.5%、5%、2.5%、1%、またはそれ以下の中空カプシドを含む。
【0116】
いくつかの実施形態において、組換えウイルスベクターの相対的効力は、例えば、標準曲線に対する平行線分析(PLA)によって、例えば、線形回帰データフィット後の標準試料の相対的効力によって決定される。いくつかの実施形態において、組換えウイルスベクターの相対的効力は、標準試料と比較して、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%、またはそれ以上である。任意の適切な標準試料を使用し得る。本明細書で使用される場合、「標準試料」は、その濃度及び/または効力が既知である組換えウイルスベクター(例えば、SMNポリペプチドをコードする)を含む組成物を指す。
【0117】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のアッセイは、高い正確度で効力を決定する。いくつかの実施形態において、効力は、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、またはそれ以上の正確度で決定される。いくつかの実施形態において、効力は、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の精度で決定される。
【0118】
使用
本開示は、とりわけ、細胞または組織に遺伝子治療を送達する方法を提供する。特に、本開示は、本明細書に記載の方法で効力をアッセイした複数の組換えウイルスベクター(例えば、AAVベクター)を含む組成物(例えば、薬学的組成物)で対象を治療する方法を提供する。
【0119】
いくつかの実施形態において、本発明の方法及びキットは、遺伝子治療の評価及び/またはモニタリングのために使用し得る。いくつかの実施形態において、遺伝子治療は、本明細書に記載の方法でアッセイされた複数の組換えウイルスベクター(例えば、AAVベクター)を含む組成物(例えば、薬学的組成物)の投与を含む。いくつかの実施形態において、遺伝子治療を評価及び/またはモニタリングための試料は、遺伝子治療の開始前に得られ得る。いくつかの実施形態において、試料は、第1の遺伝子治療処置または用量の後に得られる。いくつかの実施形態において、試料は、遺伝子治療の終了後に得られる。いくつかの実施形態において、試料は、遺伝子治療が実施される前、実施される間、もしくは実施後の特定の時点、間隔、または任意の他の時間の測定基準で得られる。
【0120】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法で効力をアッセイした複数の組換えウイルスベクター(例えば、AAVベクター)を含む組成物(例えば、薬学的組成物)は、疾患、障害、または状態に罹患しているか、または疾患、障害、または状態のリスクに曝されている対象に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の複数の組換えウイルスベクター(例えば、AAVベクター)を含む組成物(例えば、薬学的組成物)は、1つ以上の追加の治療薬と組み合わせて対象に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の複数の組換えウイルスベクター(例えば、AAVベクター)を含む組成物(例えば、薬学的組成物)は、器官、組織、または細胞とエクスビボで接触する。器官、組織、または細胞は、対象に導入することができ、そうでなければレシピエントの免疫系によって引き起こされる損傷から保護することができる。
【0121】
いくつかの実施形態において、疾患または障害は、運動ニューロン疾患または障害、例えば、運動ニューロンの1つ以上の機能に影響を及ぼす疾患または障害を含むか、または疾患または障害である。いくつかの実施形態において、中枢神経系(CNS)運動ニューロンにおけるタンパク質欠乏または機能障害は、運動ニューロン疾患または障害を引き起こす。いくつかの実施形態において、運動ニューロンは、脳組織内にある。いくつかの実施形態において、運動ニューロンは、脊髄組織内にある。例示的な運動ニューロンの疾患及び障害には、脊髄性筋萎縮症(SMA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、原発性側索硬化症(PLS)、偽球根運動失調症、遺伝性痙性対麻痺、進行性筋萎縮症(PMA)、進行性球根麻痺(PBP)、及び遠位遺伝性運動ニューロパチーが含まれるが、これらに限定されない。
【0122】
本明細書に記載の複数の組換えウイルスベクター(例えば、AAVベクター)を含む組成物(例えば、薬学的組成物)の送達のために企図される脳領域には、運動皮質及び/または脳幹が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の複数の組換えウイルスベクター(例えば、AAVベクター)を含む組成物(例えば、薬学的組成物)は、脊髄に送達される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の複数の組換えウイルスベクター(例えば、AAVベクター)を含む組成物(例えば、薬学的組成物)は、下位運動ニューロンに送達される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の複数の組換えウイルスベクター(例えば、AAVベクター)を含む組成物(例えば、薬学的組成物)は、神経細胞、グリア細胞、及び/またはSchwann細胞に送達される。いくつかの実施形態において、グリア細胞は、ミクログリア細胞、乏突起膠細胞、または星状細胞を含むか、またはそれらである。
【0123】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の複数の組換えウイルスベクター(例えば、AAVベクター)を含む組成物(例えば、薬学的組成物)は、SMAを有するか、またはSMAのリスクがある対象に投与される。いくつかの実施形態において、対象は、脊髄における運動ニューロン変性及び/または骨格筋萎縮を呈する。いくつかの実施形態において、対象は、筋力低下、身体障害、及び/または死亡リスクの増加を含む1つ以上の症状を呈する。
【0124】
SMAは、米国では1万人に1人の発症率で、小児の死亡を引き起こす、最も一般的に遺伝する進行性遺伝性神経筋疾患である。いくつかの実施形態において、対象は、子供である。いくつかの実施形態において、対象は、青少年である。SMAは、亜型間及び亜型内の年齢発症、重症度、進行速度、及びばらつきの幅広い範囲を有する。SMA1型~4型の4つの亜型について、1型は、2歳以内の最悪の予後及び死亡に関連する最も重篤な型であると分類される。いくつかの実施形態において、SMAは、SMA1型、SMA2型、SMA3型、SMA4型、またはそれらの組み合わせを含むか、またはそれらである。いくつかの実施形態において、対象は、SMN1遺伝子のホモ接合変異を含む。いくつかの実施形態において、対象は、例えば、野生型SMN1遺伝子を有する対象と比較して、SMNポリペプチドの発現が低減する。
【0125】
GenBank受託番号を含む、本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参照文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。加えて、材料、方法、及び実施例は、例示に過ぎず、限定することを意図するものではない。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様または同等の方法及び材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、好適な方法及び材料を本明細書に記載する。
【0126】
本開示を以下の実施例によってさらに例示する。実施例を例示のみを目的として提供する。本開示の範囲または内容をいかなる方法でも限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0127】
以下の実施例は、本発明の作製方法及び使用方法の完全な開示及び説明を当業者に提供するために示され、本発明者らが自身の発明とみなすものの範囲を限定するものではなく、以下の実験が実施されたすべてのまたは唯一の実験であることを表すことを意図するものでもない。
【0128】
実施例1.効力アッセイの開発
本実施例は、ロバストな効力アッセイの開発を示す。本実施例は、AAVhu68ウイルスベクターによってコードされるSMNタンパク質の効力を決定するための重要な試薬及びプロセスを説明する。
【0129】
1.1抗SMN抗体によるSMNタンパク質検出
抗体特異性は、ハイコンテントイメージング(HCI)アッセイの実施に不可欠である。E.coli(Origene)で産生された市販の精製したSMNタンパク質に対して、5つの異なる市販の抗体(表2)の特異性をウエスタンブロットで試験した。
図14にウエスタンブロットで示すように、これらの5つの抗体(メーカーの推奨に基づいて異なる希釈で試験した)は、精製したSMNタンパク質(100及び200ng)を認識したが、陰性対照として使用したRS1タンパク質は認識しなかった。
【表2】
【0130】
高レベルの内因性SMNタンパク質を発現するHEK293全細胞溶解物(50ng)に対して抗体の特異性をさらに評価した。
図15に示すように、GeneTex及びThermo-Fisherから購入した抗体は、細菌精製SMNタンパク質及び内因性SMNタンパク質の両方を検出するように見える。さらに、3つのGeneTex抗体の感受性は、HEK293細胞溶解物中の50ngほど低い精製SMN1タンパク質または内因性SMNタンパク質を検出できないNovus BiologicalモノクローナルSMN1抗体と比較して、高かった(
図2)。
【0131】
1.2細胞株の選択
次の工程は、使用する細胞型を決定することであった。細胞株は、培養しやすく、可能であれば目的の疾患の作用機序に関連して感染しやすい必要がある。試験した細胞株には、HeLa-RC32及びSH-SY5Yが含まれた。SMNの高い内因性発現により、HeLa-RC32細胞株を使用することは困難であったが、HCIにより検出されたバックグラウンドシグナルが高く、
図1に示すように結果のばらつきが増加した。
【0132】
ヒト神経芽腫細胞株SH-SY5Yは、インビトロでの急性なSMN低下の効果を評価するために、SMAの代表的な細胞培養モデルとして以前に使用した。神経細胞株SH-SY5Yは、SMNの作用機序に関連しており、AAV9ベクターに許容的である。SMNについて条件付きでノックダウンしたSH-SY5Y細胞(例えば、Jangi et al.Proc Natl Acad Sci.114(12):E2347-E2356、2017に記載のSH-SY5Y KD細胞)は、HCIによって検出されたSMNバックグラウンドの大幅な低減を示し、結果としてアッセイのばらつきを示した。
【0133】
条件付きSMNノックダウンの効率を確認するために、操作されたSH-SY5Y細胞株、SH-SY5Y shRNA120及びSH-SY5Y shRNA128細胞(2つの異なるshRNA配列を発現する2つのSMN KD細胞株)を播種し、DOXで3日間及び7日間処理した。しかしながら、細胞が不健康に見えるため、7日間のDOX処理をさらなる開発で使用しないものとする。ウエスタンブロッティングによって評価したSMNの発現(
図2)は、SH-SY5Y shRNA120及びSH-SY5Y shRNA128細胞における3日間のDOX処理後、0日目(未処理細胞)と比較してSMN内因性タンパク質の大幅な低下を示す。結論として、SMN発現は、両shRNAによって効率的にノックダウンされている。
【0134】
1.3感染パラメータの最適化
SH-SY5Ysh120細胞の最適継代の決定
GEM形成に対する細胞継代の影響を調べるために、異なる継代で操作したSH-SY5Ysh120細胞をドキシサイクリンで3日間処理し、凍結した。アッセイを、
図3の詳細な説明に記載のように実施した。初期の継代からの細胞を使用して得られたデータは、11、15、及び25継代(より高い継代は試験しなかった)での細胞と比較して低いシグナル及び傾きを有した。したがって、このアッセイでは、11~25継代の細胞のみを使用した。
【0135】
培養下SH-SY5Ysh120細胞対凍結状態からの細胞のプレーティング
細胞は、多くの場合、細胞ベースのバイオアッセイの最も可変かつ予測不可能な成分であり、培養下細胞は、ばらつきが高くなる傾向がある。培養下に維持された細胞及び凍結状態から解凍及びプレーティングされた細胞(「解凍及び開始」細胞)の性能を比較した。SH-SY5Ysh120細胞について顕著な差異は見られなかった(
図4)。「解凍及び開始」細胞は、rAAVhu68-SMN1感染後のGEMの形成のために、十分な細胞バンクを維持すること、及び各細胞バンクの評価を必要とするが、この方法は、分析者にとってより便利であり、アッセイ時間を低減し、細胞を同期させ、継代によるばらつきを排除する。したがって、「解凍及び開始」細胞をアッセイで使用した。
【0136】
96ウェルプレートにおけるプレーティング密度の最適化
効力アッセイに使用する最適な細胞密度を決定するために、SH-SY5Ysh120細胞を96ウェルプレート中のウェルごとに6つの異なる細胞密度でプレーティングした。異なるrAAVhu68-SMN1 MOIで細胞当たり形成されたGEMの数を調べた。ウェル当たり2×10
4の細胞を用いて実施した方法開発中の予備実験を、それらの実験の参照として使用した。
図5に示すように、所与のMOIに関して、試験したすべての細胞密度に関して良好なシグナルが達成された。これらの結果に基づいて、ベクター材料を節約するために、アッセイ開発に、1×10
4細胞/ウェルのより低い細胞密度を使用した。
【0137】
感染時間の最適化
rAAVhu68-SMN1によるSH-SY5Ysh120細胞の感染を最適化して、3日間細胞を感染させることが、より良い曲線またはシグナル対バックグラウンド比を産生するかどうかを決定した。以下の
図6に示すように、感染後3日間細胞をインキュベートすることで、細胞当たり形成されるGEMの数が増加されるのではなく、アッセイの長さが延長される。細胞を2日間感染させることを、さらなる開発に使用した。
【0138】
アッセイをさらに合理化するために、同日対翌日の感染プロトコルを比較した。同日にプレーティングして感染した細胞によって形成されたGEMの数は、翌日に感染した細胞と比較して多かったが、アッセイのダイナミックレンジは同様のままであった(
図7)。さらに、同日に細胞をプレーティングして感染させると、実験の長さも短くなり、1週間に2つではなく3つのアッセイが可能になる。したがって、同日感染をさらなる開発作業に使用した。
【0139】
rAAVhu68-SMN1及びアデノウイルス5の同時感染は必要ない
ヒトアデノウイルス5(Ad5)は、産生細胞株によるrAAVhu68-SMN1の産生におけるヘルパーウイルスとして使用される。この種類のアプローチは、rAAVhu68-SMN1だけでなく、不要なヘルパーウイルスを排除するために追加の精製工程を必要とするアデノウイルス粒子も産生する。しかしながら、一部の試料は、精製後に残留Ad5を含有し得る。Ad5が効力アッセイの結果に影響を及ぼし得るかどうかを決定するために、SH-SY5Ysh120細胞を、ヒトアデノウイルス5の存在または非存在下で同時感染させた(
図8)。50MOIでのAd5の存在に有意差は見られなかった。
【0140】
1.4免疫染色の最適化
一次抗体及び二次抗体の最適化
SH-SY5Y KD細胞におけるGEM染色及び検出を改善するために、2つの濃度の一次抗体(1:250及び1:500)を、2つの濃度の3種の異なる二次抗体(Alexa-Fluor488ヤギ抗マウス、Alexa-Fluor488 IgG1ヤギ抗マウス、及びAlexa-Fluor555ヤギ抗マウス;1:500及び1:1000)で試験した。染色後、細胞当たりの検出されたGEMの数は、使用した一次抗体/二次抗体の組み合わせとは無関係に同様であった。結論として、アッセイ開発中に一次抗体及び二次抗体を1:500希釈で使用し、アッセイ用に同じ濃度で組み合わせて使用した。
【0141】
細胞固定
細胞固定の質は、免疫蛍光の質を決定し、結果として、効力アッセイの結果を決定する。固定の温度は、固定の効率、画像の品質に影響を与える重要なパラメータであり、細胞形態(ブルブ形成、空胞形成等)に影響を与え得る。rAAVhu68-SMN1の異なるMOIについて細胞当たりの検出されたGEMの数は、4℃またはRTで4%PFA/PBS中で固定された細胞間で同等であった(
図9)。その結果、より使いやすいため細胞をRTで固定した。
【0142】
ブロッキングバッファー
ブロッキングバッファーは、免疫染色の質を向上させる抗体の非特異的結合を防止するために不可欠である。ブロッキングが部分的または不十分である場合、抗体は、特異的抗体-抗原反応性に関連しない様々な部位に結合し得る。LI-CORバッファーによるブロッキングを、自家製5%正常ヤギ血清(NGS)/PBSと比較した。rAAVhu68-SMN1の異なるMOIについて細胞当たりに検出されたGEMの数は、LI-CORブロッキング試薬または5%NGS/PBS中でインキュベートする細胞間で同等であった(
図10)。結果として、組成物が完全に特徴付けられ、制御されるので、細胞を5%NGS/PBSブロッキング試薬中でインキュベートした。
【0143】
1.5データの取得及び分析
神経芽細胞腫SH-SY5Y KD細胞株を、1×104細胞/ウェルの比較的低い細胞密度でプレーティングした。その結果、より多く表す分析のために、取得した画像の数は、20フィールド/ウェルから30フィールド/ウェルに増加した。
【0144】
GEMを検出及び定量化するためのパラメータは、アッセイの品質及び信頼性に不可欠である。分析の2つの主要なパラメータは、定量化の領域及びGEM定量化の方法である。SMN複合体の形成が細胞質内で行われるため、GEM定量化の領域は、核及び核の外側の8ピクセルを含んだ。分析を核または核の外側の4ピクセルに限定すると、GEM/細胞の数は比例してのみ低下するが、アッセイの結果には影響しない。
【0145】
「ローカルマキシマ」方法は、スポット検出領域内の画素強度のスパイクを識別するGEMの数を決定するためのピーク検出方法である。この方法に基づいて、1つのスポット領域内で多くのピーク(1ピーク=1オブジェクト)を検出することができ、細胞当たりに検出されるオブジェクトの数が増加する。大きさ、形状、及び強度について計数、測定し得る領域としてスポットを識別する「ボックス」方法を実施した。この方法を用いることで、1細胞当たりの検出オブジェクト数は低下するが、1細胞当たりのGEM数をより多く表すと考えられた。さらに、予想されるように、DOX処理細胞ではGEMは検出されなかった。結論として、「ボックス」方法解析を用いて、GEMを、核内にその外側の8ピクセルを加えて定量化した。
【0146】
多くの生物学的応答はシグモイド曲線に適合する。1細胞当たりに形成されたGEMの数の上限に達するように、広い範囲のrAAVhu68-SMN1のMOI(6.25×104~8×106VG/細胞)を試験した。しかしながら、曲線の上部漸近線には一貫して到達しなかった。したがって、曲線の線形部分(6×105~4×106VG/細胞)を平行線分析に使用した。
【0147】
1.6効力アッセイの再現性
再現性を評価するために、アッセイを異なる日に2名の異なる分析者によって3回実施し、結果を比較した。
図11に示すように、3つの実験は同様であり、平均結果を表す曲線上に低標準偏差でさらに示す。
【0148】
1.7アッセイの安定性を示す特性の調査
GEM形成効力アッセイが安定性を示すかどうかを決定するために、rAAVhu68-SMN1材料を、様々な期間にわたって異なる温度での温熱ストレスに供した(表3)。温熱ストレス後の試料のゲノム力価を決定した。ゲノム力価のわずかな低下を有する試料のみを、アッセイにおけるそれらの濃度を新たに決定したゲノム力価に従って調整した後に、効力について試験した。表3に提示する結果は、ゲノム力価の低下に依存しない効力に著しい低下があったことを示す。結論として、GEM形成アッセイは、安定性を示すものであり、SAR及び安定性研究に使用することができる。
【表3】
【0149】
1.8効力アッセイに対する中空カプシドの効果
AAV材料は、精製プロセス中に除去することができない中空AAV粒子の一部を含有し(例えば、rAAVhu68-SMN1の標準試料は、中空粒子の5.6%を含有する)、完全粒子の形質導入の効率に影響を及ぼし得る。ウイルスベクター効力に対する中空粒子の影響を決定するために、固定量の完全粒子を含有するrAAVhu68-SMN1材料を中空カプシド調製物でスパイクして、両者間の1:1及び1:3の比率を達成した。HEK293懸濁細胞をヘルパー、Rep/Cap及びSMN1プラスミドで一過性トランスフェクションした後に中空粒子を得、CIMQカラム上で完全カプシドから分離し、0.01%Pluronic-F68を含むHarvardバッファー中で中和し、濃縮し、バッファー交換した。カプシド力価ならびにrAAVhu68-SMN1及び中空カプシド材料中の残留不純物のレベルも、完全対中空比率及びマトリックス評価の計算のために決定した(表4)。高レベルのHEK HCPが中空の調製物中に見出され、完全粒子の感染力に影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、中空粒子材料は、rAAVhu68-SMN1効力には影響を及ぼさず(
図12)、それ自体はいかなる活性も生じなかった。
【表4】
【0150】
結論
rAAVhu68-SMN1等のAAV-SMN組換えウイルスベクターのために開発された細胞ベースの効力アッセイは、ハイコンテントイメージングによるGEMの正確な検出及び定量化に依存する。このアッセイは、SMNタンパク質のバックグラウンド発現を低下させる、SMN1遺伝子の条件付きノックダウンを有するSH-SY5Y KD神経芽腫細胞株を使用する。この細胞株の使用により、アッセイは作用機序との関連性がより高いものとなり、アッセイ性能を向上させる。さらに、アッセイは適格であり、99.6%の正確度を示し、9.2%の精度は、50~150%の相対的効力の線形範囲であった。
【0151】
例示的なアッセイ条件は以下の通りであった:
・細胞モデル:SMN KDヒト神経芽腫SH-SY5Y shRNA120をドキシサイクリンで前処理した。
・細胞播種密度:ウェル当たり1×104の細胞。凍結状態から直接プレーティングした。
・4×106VG/細胞の開始MOI及び1.6倍段階希釈による5点曲線を、標準、試料、及び対照について三つ組で行う。
・ヘルパーウイルス(Ad5)は必要ない。
【0152】
結論として、このアッセイは、SMN(例えば、SMN1)製剤原料及び製剤の放出、特徴付け、及び安定性の研究のための、SMNをコードする遺伝子(複数可)(例えば、rAAVhu68-SMN1)活性を含有するウイルスベクターの相対的効力を測定するために使用することができる。
【0153】
実施例2.Gemin2及びSMN1の共局在
以下の実施例は、宿主細胞をアセトン:メタノールの1:1混合物で固定したときに、Gemin2が免疫蛍光によって可視化され得ることを示した。染色及び検出されたGEMの数を改善する試みの中で、SH-SY5Y KD細胞(shRNA120によるノックダウン)をAAVhu68-SMN1に感染させた。この実験の目標は、CellInsight CX5ハイコンテントイメージング(HCI)によって、Gemin2及びSMNタンパク質がSH-SY5Y KD細胞のGEMに共局在していることを示すことであった。
【0154】
0日目:細胞をプレーティングする
1.ドキシサイクリンで前処理した凍結SH-SY5Y KD細胞を、37℃の水浴中で2分間解凍した後、温かい培地(42.3%DMEM+42.3%HamのF-12栄養素混合物+15%FBS)中で再懸濁した。
2.細胞を遠心分離し(250gで5分間)、次いで5mLの培地に再懸濁し、計数した。
3.次いで、総体積20mLの細胞中の1×106細胞について1×104細胞/200μLまたは5×104細胞/mLで細胞をプレーティングした。91%生存細胞(0.9×106細胞;13mL培地中の5mL細胞)についてドキシサイクリンを0.18×106生存細胞/mLに添加した。
4.次いで、200μLを各ウェルに添加した。
5.各プレートをフード内に20分間放置した。
6.各プレートを5%CO2で、37℃で一晩インキュベートした。
【0155】
1日目:細胞感染
1.培地を、37℃の水浴中で20分間温めた。
2.AAVhu68-SMN1(4.27e13GC/ml)を解凍した。
3.希釈を、以下(表5)に記載のように、2mLの低タンパク質結合ディープウェルプレート中で実施し、次いで各ウェル中で6~7回上下に混合した。
【表5】
4.次いで、細胞を含有するすべてのウェルから培地を除去し、150μlの完全培地を非感染細胞に添加し、150μlのAAVhu68-SMN1を添加した。
5.プレートを5%CO
2下で、37℃で48時間インキュベートした。
【0156】
3日目:細胞染色
1.培地をマルチチャンネルピペットでプレートから吸引し、直接漂白剤に投棄した。
2.100μlのメタノール:アセトン1:1混合液(作りたて)中、-20℃で15分間固定した。
3.固定液を吸引し、化学フード内のボトルに投棄した。
4.DPBSで2×300μl洗浄した。
5.300μlのLicorのPBSブロッキングバッファー(IFプロトコルの開始時に冷蔵庫から取り出す)を添加し、続いて室温で1.5時間、ベリーダンサー上でゆっくりと(速度約2)揺動させた。
6.ブロッキングバッファーをシンクに投棄し、ペーパータオル上でプレートを下に向けて余分なバッファーを取り除いた。
7.SMN1抗体(GTX101047(ウサギ))及びGemin2(マウス)抗体をLicorバッファーで、1:250で希釈した。
8.ウェル当たり100μlの一次抗体(SMN1及び/またはGemin2)を添加し、室温で2時間、ベリーダンサー上でゆっくりと(速度約2)揺動させた。
9.3×300μlのDPBS+0.1%Tween(登録商標)-20で3回洗浄し、ベリーダンサー上で合計15分間(3*5分間)ゆっくりと(速度約2)揺動させた。
10.二次蛍光抗体を光から保護するために、以下のすべての工程を暗所(プレートをアルミホイル紙で覆った)で実施した。
11.Alexa-Fluor594ヤギ抗マウス、Alexa-Fluor488ヤギ抗ウサギ抗体をLicorブロッキングバッファーで、1:500で希釈した。
12.ウェル当たり100μlの対応する二次抗体を添加し、室温で1時間、ベリーダンサー上でゆっくりと(速度約2)揺動させた。
13.3×300μlのDPBS+0.1%Tween(登録商標)-20で3回洗浄し、ベリーダンサー上で合計15分間ゆっくりと揺動した(速度約2)。(3*5分間)。
14.DPBSで希釈したDAPI(1:6,000)200μlを攪拌せずに室温で20分間添加した。
15.DAPIを除去し、200μlのPBSを添加した。
16.ホイル紙に4℃で保存した。
【0157】
4日目:イメージング
CellInsight CX5 HCIプラットフォームを使用して画像を取得した。
【0158】
結果:
Gemin2(赤色)染色は、画像を取得するために必要な高曝露時間(約0.5秒)で決定したように弱かったが、細胞内のGemin2位置を決定した。SMN1(緑色)染色は良好であり、低曝露時間は約0.2秒であった。ごく少数のGemin2陽性構造を細胞質に局在させた(写真当たり約1、上記の写真の赤い矢印)。AAVhu68-SMN1による細胞感染後により多くのSMN1及びGemin2陽性構造を可視化した。HCIで取得した画像は、SMN1及びGemin2の重複シグナルを示す(
図13A~B)。
【0159】
結論として、これらの結果は、SMN1及びGemin2の共局在性を示し、AAVhu68-SMN1による宿主細胞感染後に観察されたSMN1構造がGEMであることを示す。
【0160】
均等物及び範囲
当業者は、日常的な実験だけを使用して本明細書に記載の本発明の特定の実施形態の多くの均等物を認識するか、または確認することができるであろう。本発明の範囲は、上記の説明に限定されることを意図するものではなく、むしろ、以下の特許請求の範囲に記載の通りである。
【配列表】
【国際調査報告】