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特表2022-543660臭気低減のための沈降炭酸カルシウム
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  • 特表-臭気低減のための沈降炭酸カルシウム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】臭気低減のための沈降炭酸カルシウム
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20221005BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20221005BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20221005BHJP
   C08K 9/00 20060101ALI20221005BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/26
C08K3/013
C08K9/00
C08J5/00 CER
C08J5/00 CEZ
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507644
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2020072109
(87)【国際公開番号】W WO2021028305
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】19290069.4
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319006807
【氏名又は名称】イメルテック ソシエテ パル アクシオン サンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ベルジョー アナイス
(72)【発明者】
【氏名】コッペル シリル
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブ アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】クレパン ルブロン ジェローム
【テーマコード(参考)】
4F071
4J002
【Fターム(参考)】
4F071AA20
4F071AB21
4F071AB26
4F071AD01
4F071AH07
4F071BA01
4F071BB06
4J002AA011
4J002AA021
4J002AB011
4J002AC001
4J002AC031
4J002AC061
4J002AJ001
4J002BB031
4J002BB121
4J002BB181
4J002BC031
4J002BD041
4J002BG031
4J002CB001
4J002CD001
4J002CF001
4J002CK021
4J002CL001
4J002CN011
4J002CN021
4J002CP031
4J002DE186
4J002DE206
4J002DE236
4J002DE266
4J002DJ006
4J002DJ036
4J002DJ046
4J002DL006
4J002FA046
4J002FB086
4J002FB266
4J002FD016
4J002GN00
(57)【要約】
本開示は、基材、機能的充填剤、及び充填組成物の臭気を低減するための沈降炭酸カルシウムを含む無機添加剤を含む充填組成物、並びに関連する使用、方法及び製造物品に関し、沈降炭酸カルシウムは、約18m2/gを超える比表面積、少なくとも約0.05cm3/gの粒子間細孔容積、約0.1cm3/g未満の粒子内細孔容積、及び約100nm以下のDpを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、充填組成物の臭気を低減するための無機添加剤とを含む充填組成物であって、無機添加剤が、約18m2/gを超える比表面積、少なくとも約0.05cm3/gの粒子間細孔容積、約0.1cm3/g未満の粒子内細孔容積、及び約100nm以下のDpを有する沈降炭酸カルシウムを含む、充填組成物。
【請求項2】
無機添加剤が、充填組成物の総質量に対して、約0.5~約10質量%、又は約1~約6質量%、又は約1~約2質量%の量で存在する、請求項1に記載の充填組成物。
【請求項3】
沈降炭酸カルシウムが、約10~約60nmの間の範囲のDpを有する、請求項1又は2に記載の充填組成物。
【請求項4】
無機添加剤が、充填組成物の臭気を、
a.ISO13725臭気試験に従って少なくとも約5%、若しくは少なくとも約8%、若しくは少なくとも約10%、又は
b.VDA270臭気試験に従って少なくとも約0.5単位、若しくは少なくとも約0.7単位、若しくは少なくとも約1単位、又は
c.Renault Champ des odeurs(登録商標)試験に従って少なくとも約0.4単位、若しくは少なくとも約0.6単位、若しくは少なくとも約0.8単位、
低減するのに十分な量で存在する、請求項1~3のいずれか1項に記載の充填組成物。
【請求項5】
天然繊維、ガラス繊維、無機添加剤以外の鉱物充填剤、及びそれらの組合せから選択される機能的充填剤をさらに含み、任意に鉱物充填剤が、珪藻土、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、HARタルク、微粒子化タルク、珪灰石、及びそれらの組合せから選択されてもよい、請求項1又は2に記載の充填組成物。
【請求項6】
機能的充填剤が、充填組成物の総質量に対して、少なくとも約5質量%、又は少なくとも約10質量%、又は約5質量%~約80質量%、又は約10質量%~約80質量%の量で存在する、請求項5に記載の充填組成物。
【請求項7】
機能的充填剤が、表面処理されており、任意に処理表面が、有機部分、例えば、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、又はアルキルスルホネート、例えばC10-C20アルキルスルホネート若しくはC14-C17アルキルスルホネートであってもよいか、又はこれら表面処理を含んでもよい、請求項5又は6に記載の充填組成物。
【請求項8】
基材が、充填組成物の総質量に対して、少なくとも約20質量%、又は約25質量%、又は約30質量%、又は約50質量%の量で存在する、請求項1~7のいずれか1項に記載の充填組成物。
【請求項9】
基材が、ポリマー、ポリマーブレンド、塗料若しくは塗料ベース、紙、板紙、又は複合材であり、任意にポリマーが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、シラン末端ポリマー、シリコーン、ポリスルフィド、エポキシ、及びアクリル樹脂の1種又は複数を含んでもよく、任意にポリマーブレンドが、エラストマーを含んでもよい、請求項1~8のいずれか1項に記載の充填組成物。
【請求項10】
基材を含む組成物の臭気を低減するための無機添加剤の使用であって、無機添加剤及び/又は基材が、請求項1~9のいずれか1項に記載される通りである、前記使用。
【請求項11】
基材及び鉱物充填剤を含む充填組成物の臭気を低減する方法であって、充填組成物に、充填組成物の臭気を低減するための請求項1~10のいずれか1項に記載される無機添加剤を添加するステップを含む、前記方法。
【請求項12】
基材及び機能的充填剤を含む充填組成物からの放出物を低減するための無機添加剤の使用であって、無機添加剤及び/又は基材が、請求項1~11のいずれか1項に記載される通りであり、機能的充填剤が、請求項5~7のいずれか1項に記載される通りである、前記使用。
【請求項13】
充填組成物を作製する方法であって、基材、機能的充填剤、及び充填組成物の臭気を低減するのに十分な量の無機添加剤を合わせて、無機添加剤を含まない充填組成物と比較して無機添加剤を含む充填組成物の臭気が低減されるようにするステップを含み、無機添加剤及び/又は基材が、請求項1~11のいずれか1項に記載されており、機能的充填剤が、請求項5~7のいずれか1項に記載されており、任意に前記方法が、基材、機能的充填剤、及び無機添加剤を配合するステップを含んでもよく、任意に加工助剤と共に配合してもよい、前記方法。
【請求項14】
例えば、押出し成形又は成型によって、充填組成物から物品を成形するステップをさらに含む、請求項11又は13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の充填組成物から成形された物品であるか、又は請求項11若しくは13~14のいずれか1項に記載の方法によって得ることができる物品であって、任意に自動車内物品、例えば、ダッシュボード、内装品、又は内部ボディパネルである、前記物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、基材、機能的充填剤(functional filler)、及び充填組成物の臭気を低減するための無機添加剤を含む充填組成物(filled composition)であって、無機添加剤が、無機添加剤を含まない充填組成物の臭気を低減するのに十分な量で存在する充填組成物、並びに関連する使用、方法及び製造物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリアミド、及びポリエステル、シラン末端ポリマー、シリコーン、ポリスルフィド、エポキシ、及びアクリル樹脂(acrylics)などのポリマーは、消費者及び産業上の用途において、並びに臭気レベルを制御することが望ましい又は必要とされる多くの場合において、広く使用されている。例えば、タルク充填ポリプロピレンなどの充填ポリマーは、自動車又は他の産業上の用途において広く使用されている。自動車内及びボンネット内用途では、最終パーツの臭気レベルは、自動車製造者によって示される仕様を満たす必要がある。自動車内/ボンネット内パーツには、強化、耐熱性及び寸法安定性のために、タルクなどの鉱物充填剤、又はガラス繊維若しくは天然繊維などの繊維が、ポリプロピレンなどのポリマーにおいて使用されることが多い。しかし、これらの充填剤は、臭気を増大する場合もある。さらに、太陽光によるUV曝露は、例えばポリマー分解によって、自動車パーツにおいて使用される材料に影響を及ぼすことがあり、ポリマーの分解は、使用される材料の色、形状及び/又は機械的特性(例えば、引張強度)に有害な影響を及ぼす場合があり、臭気レベルを増大するおそれがある。したがって、引き続き、自動車用途などにおいて使用するための、新しい改善された充填組成物を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様によれば、基材及び充填組成物の臭気を低減するための無機添加剤を含む充填組成物であって、無機添加剤が、約18m2/gを超える比表面積、少なくとも約0.05cm3/gの粒子間細孔容積、約0.1cm3/g未満の粒子内細孔容積、及び約100nm以下のDp(基本粒子サイズ)を有する沈降炭酸カルシウムを含む、充填組成物が提供される。
第2の態様によれば、充填組成物は、天然繊維、ガラス繊維、無機添加剤以外の鉱物充填剤、及びそれらの組合せから選択される機能的充填剤をさらに含むことができ、任意に鉱物充填剤は、珪藻土、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、HARタルク、微粒子化タルク、珪灰石、及びそれらの組合せから選択される。
第3の態様によれば、機能的充填剤は、表面処理されており、任意に処理表面は、有機部分、例えば、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、又はアルキルスルホネート、例えばC10-C20アルキルスルホネート若しくはC14-C17アルキルスルホネートを含むか、又はそれらである。
第4の態様によれば、基材を含む組成物の臭気を低減するための、このような無機添加剤の使用が提供される。
第5の態様によれば、充填組成物から成形された物品が提供される。
第6の態様によれば、基材及び鉱物充填剤を含む充填組成物の臭気を低減する方法であって、充填組成物に、充填組成物の臭気を低減するためのこのような無機添加剤を添加するステップを含む方法が提供される。
【0004】
第7の態様によれば、充填組成物を作製する方法であって、無機添加剤を含まない充填組成物と比較して無機添加剤を含む充填組成物の臭気が低減されるように、基材、機能的充填剤、及び充填組成物の臭気を低減するのに十分な量の無機添加剤を合わせるステップを含む方法が提供される。
【0005】
本発明の記述される態様の任意の特定の1つ又は複数に関して提供される詳細、例及び優先事項は、本発明のすべての態様に等しく適用される。本明細書に記載される実施形態、例及び優先事項の、それらのすべての可能な変形形態のいかなる組合せも、本明細書では別段指定されない限り、又は文脈と別段明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】臭気制御試験において得られた結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
驚くべきことに、組成物、例えば鉱物充填ポリマーの臭気の改善は、沈降炭酸カルシウムを含む相対的に少量の無機添加剤(すなわち、鉱物充填剤以外の無機添加剤)を組み込むことによって達成可能であることが見出された。沈降炭酸カルシウムは、約18m2/gを超えるか、又は約24m2/gを超えるか、又は約30m2/gを超える比表面積、少なくとも約0.05cm3/g、又は少なくとも約0.08cm3/g、又は少なくとも約0.1cm3/gの粒子間細孔容積、約0.1cm3/g未満、又は約0.08cm3/g未満、又は約0.05cm3/g未満の粒子内細孔容積、及び約100nm以下、又は約80nm以下、又は約60nm以下、又は約10nm~約60nm、又は約30nm~約60nmのDp(基本粒子サイズ)を有することができる。このことは、ひいては、充填組成物の他の特性、例えば機械的性能に有害な影響を及ぼすことなく、充填組成物、例えば充填ポリマー組成物における、相対的に低価格の鉱物充填剤のさらなる使用を可能にし得る。
【0008】
試験方法
本明細書に記載される(任意に、充填)組成物、例えばポリマー組成物、又はそれから形成された物品の臭気は、任意の適切な方法によって決定され得る。ある特定の実施形態では、臭気は、VDA 270、例えばVDA 270(変法C3)に従って決定される。VDA 270規格に従って、試料を、気密(hermectic)バッグに入れ(0.3g/l、空気10リットルのうち9リットルの残り(9 litres of 10 air)中試料0.3gに等しい)、次に約80℃の熱サイクルに付す(変法C3)。臭気評価を、訓練を受けた5人のヒトで実施する。それぞれのヒトは、以下の尺度に従って臭気を評定する。
1-知覚できない
2-知覚でき、不快ではない
3-明らかに知覚できるが、不快ではない
4-不快である
5-非常に不快である
6-許容できない
次に、試料ごとに5つの評定を平均して、VDA 270試験結果を提供する。VDA 270に従って臭気を試験するのに適したキットは、例えば、Odournet GmbHなどの会社から入手可能である。
【0009】
さらに、ある特定の実施形態では、無機添加剤を組み込むことによって、充填組成物の機械的特性(例えば、剛性)の改善も同時に達成することができる。ある特定の実施形態では、機械的特性は、任意の適切な測定方法によって決定され得る通り、充填組成物の寸法安定性又は構造的完全性である。ある特定の実施形態では、機械的特性は、剛性である。他の実施形態、例えば充填組成物が充填ポリマー組成物である実施形態では、「剛性」は、充填組成物の相対的可撓性を意味する。この意味の剛性は、自動車内パーツ及び部品に望ましい特性である。このような実施形態では、剛性は、曲げ弾性率に直結する。曲げ弾性率が高いほど、材料は硬い。曲げ弾性率が低いほど、可撓性は高い。充填ポリマー組成物又はそれから形成された物品の剛性は、任意の適切な方法によって決定され得る。ある特定の実施形態では、充填ポリマー組成物又はそれから形成された物品の剛性は、ISO178に従ってその曲げ弾性率を測定することによって決定される。
【0010】
粒子サイズdpは、BS4359-2から誘導された方法に従って測定された透過性によって決定される。この方法の基本は、ペレットの空気透過性の測定であり、これは「Blaine」又は「Lea & Nurse法」に類似している。dpの計算は、Carman & Malherbe式から導かれる。
【数1】
【0011】
Carman & Malherbe式に従って決定される平均粒径dsは、ペレットの空隙率と完全に独立しているわけではないことが示され得る。結果的に、参照空隙率ε=0.45を考慮して補正を行い、dpを次式に従って計算した。
【数2】
【0012】
定義及び単位は、以下の通りである。
q=PCCペレットを通過した空気体積流量(cm3/g)、
ε=空隙率、
W=PCCの質量、
L=ペレットの厚さ、
D=PCCの密度(g/cm3)、
A=ペレットの断面積(cm2)、
ds=Carman & Malherbeによる平均粒径(μm)、及び
dp=平均粒径(μm)。
【0013】
本明細書で使用される場合、「比表面積」は、BET方法に従って、前記表面を完全に被覆する単分子層を形成するように、前記粒子の表面上に吸着したアルゴンの量によって決定された、単位質量に対する無機添加剤の表面積を意味する(BET方法、AFNOR規格X11-621及び622、又はISO9277による測定)。
粒子内細孔容積は、個々の粒子に含有される細孔容積を表し、それらの非多孔質性質により沈降した個々の炭酸カルシウム粒子については測定することができない。粒子間細孔容積は、粒子間空間の細孔容積を表し、以下の方法に従って、窒素吸着によって決定される。粒子サイズ特性(例えば、全細孔容積;沈降した炭酸カルシウム粒子については粒子間細孔容積ともいう;及び平均細孔サイズ)は、BJH(Barrett-Joyner-Halenda)モデルの一部である円筒形想定(4V/A)を使用して測定される。BJHモデルは、BET比表面積の計算のために使用されるものと同じN2吸収等温線から導かれる(BET方法、AFNOR規格X11-621及び622、又はISO9277による測定)。BJHモデルは、Barrett et al., Am. Chem. Soc., 73 (1951), pages 373 to 380に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、Micromeritics TRISTAR 3000及びMicromeritics VACPREP 061を使用することができる。試料は、例えば、105℃のオーブンで一晩脱気し、続いて窒素流下で180℃で30分間脱気し、窒素流下で30分間冷却することができる。等温線は、例えば、0.05~0.98の範囲の相対圧力P/P0について測定することができる。平均細孔サイズは、細孔直径を指す。多孔質容積は、累積であり、BJHによって1.7~50nmの間の細孔サイズについての脱着分岐で得られる。
【0014】
本明細書に記載される本開示の実施形態のいずれかによれば、無機添加剤は、充填組成物の臭気を、
a.ISO13725臭気試験に従って少なくとも約5%、若しくは少なくとも約8%、若しくは少なくとも約10%、又は
b.VDA270臭気試験に従って少なくとも約0.5単位、若しくは少なくとも約0.7単位、若しくは少なくとも約1単位、又は
c.Renault Champ des odeurs(登録商標)試験に従って少なくとも約0.4単位、若しくは少なくとも約0.6単位、若しくは少なくとも約0.8単位、
低減するのに十分な量で存在することができる。
【0015】
また、無機添加剤は、充填組成物の総質量に対して、約0.5~約10質量%、又は約1~約6質量%、又は約1~約2質量%の量で存在することができる。
本明細書に記載される本開示の実施形態のいずれかによれば、充填組成物は、天然繊維、ガラス繊維、無機添加剤以外の鉱物充填剤、及びそれらの組合せから選択される機能的充填剤をさらに含むことができ、任意に鉱物充填剤は、珪藻土、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、HARタルク、微粒子化タルク、珪灰石、及びそれらの組合せから選択される。
【0016】
本明細書に記載される本開示の実施形態のいずれかによれば、機能的充填剤は、充填組成物中に、充填組成物の総質量に対して、少なくとも約5質量%、又は少なくとも約10質量%、又は約5質量%~約80質量%、又は約10質量%~約80質量%の量で存在することができる。また機能的充填剤は、表面処理することができ、任意に処理表面は、有機部分、例えば、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、又はアルキルスルホネート、例えばC10-C20アルキルスルホネート若しくはC14-C17アルキルスルホネートを含むか、又はそれらである。
本明細書に記載される本開示の実施形態のいずれかによれば、基材は、充填組成物中に、充填組成物の総質量に対して、少なくとも約20質量%、又は少なくとも約25質量%、又は少なくとも約30質量%、又は少なくとも約50質量%、又は約20質量%~約95質量%、又は約70質量%~約90質量%の量で存在する。基材は、ポリマー、ポリマーブレンド、塗料若しくは塗料ベース、紙、板紙、又は複合材であってもよく、任意にポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、シラン末端ポリマー、シリコーン、ポリスルフィド、エポキシ、及びアクリル樹脂のうち1種又は複数を含み、任意にポリマーブレンドは、エラストマーを含む。ポリマーは、バージン、リサイクル、又はそれらの混合物であってもよい。
本明細書に記載される本開示の実施形態のいずれかによれば、本明細書に記載される無機添加剤は、やはり本明細書に記載される基材を含む組成物の臭気を低減するために使用することができる。また無機添加剤は、基材及び機能的充填剤を含む充填組成物からの臭気又はVOC放出を低減するために使用することができ、無機添加剤及び/又は基材及び/又は機能的充填剤は、本明細書に記載される通りである。
【0017】
本明細書に記載される本開示の実施形態のいずれかによれば、本明細書に記載される基材及び鉱物充填剤を含む充填組成物の臭気を低減する方法であって、充填組成物に、充填組成物の臭気を低減するための本明細書に記載される無機添加剤を添加するステップを含む、方法。
【0018】
本明細書に記載される本開示の実施形態のいずれかによれば、充填組成物を作製する方法は、無機添加剤を含まない充填組成物と比較して無機添加剤を含む充填組成物の臭気が低減されるように、それぞれ本明細書に記載される、基材、機能的充填剤、及び充填組成物の臭気を低減するのに十分な量の無機添加剤を合わせるステップを含むことができる。任意に、本方法は、基材、機能的充填剤、及び無機添加剤を、任意に加工助剤と共に配合するステップを含むことができる。物品は、本明細書に記載される充填組成物から、かつ/又は例えば、押出し成形若しくは成型によって、充填組成物から物品を成形するステップをさらに含む前述の方法によって、形成することができる。物品は、自動車内物品、例えば、ダッシュボード、内装品、又は内部ボディパネルであってもよい。
誤解を避けるために、本願は、以下の番号付きの段落に記載される主題を対象とする。
1.基材と、充填組成物の臭気を低減するための無機添加剤とを含む充填組成物であって、無機添加剤が、約18m2/gを超える比表面積、少なくとも約0.05cm3/gの粒子間細孔容積、約0.1cm3/g未満の粒子内細孔容積、及び約100nm以下のDpを有する沈降炭酸カルシウムを含む、充填組成物。
2.無機添加剤が、充填組成物の総質量に対して、約0.5~約10質量%、又は約1~約6質量%、又は約1~約2質量%の量で存在する、前記1.に記載の充填組成物。
3.沈降炭酸カルシウムが、約10~約60nmの間の範囲のDpを有する、前記1.又は2.に記載の充填組成物。
4.無機添加剤が、充填組成物の臭気を、
a.ISO13725臭気試験に従って少なくとも約5%、若しくは少なくとも約8%、若しくは少なくとも約10%、又は
b.VDA270臭気試験に従って少なくとも約0.5単位、若しくは少なくとも約0.7単位、若しくは少なくとも約1単位、又は
c.Renault Champ des odeurs(登録商標)試験に従って少なくとも約0.4単位、若しくは少なくとも約0.6単位、若しくは少なくとも約0.8単位、
低減するのに十分な量で存在する、前記1.~3.のいずれかに記載の充填組成物。
5.天然繊維、ガラス繊維、無機添加剤以外の鉱物充填剤、及びそれらの組合せから選択される機能的充填剤をさらに含み、任意に鉱物充填剤が、珪藻土、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、HARタルク、微粒子化タルク、珪灰石、及びそれらの組合せから選択されてもよい、前記1.又は2.に記載の充填組成物。
6.機能的充填剤が、充填組成物の総質量に対して、少なくとも約5質量%、又は少なくとも約10質量%、又は約5質量%~約80質量%、又は約10質量%~約80質量%の量で存在する、前記5.に記載の充填組成物。
7.機能的充填剤が、表面処理されており、任意に処理表面が、有機部分、例えば、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、又はアルキルスルホネート、例えばC10-C20アルキルスルホネート若しくはC14-C17アルキルスルホネートであってもよいか、又はこれら表面処理を含んでもよい、前記5.又は6.に記載の充填組成物。
【0019】
8.基材が、充填組成物の総質量に対して、少なくとも約20質量%、又は約25質量%、又は約30質量%、又は約50質量%の量で存在する、前記1.~7.のいずれかに記載の充填組成物。
【0020】
9.基材が、ポリマー、ポリマーブレンド、塗料若しくは塗料ベース、紙、板紙、又は複合材であり、任意にポリマーが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、シラン末端ポリマー、シリコーン、ポリスルフィド、エポキシ、及びアクリル樹脂のうち1種又は複数を含んでもよく、任意にポリマーブレンドが、エラストマーを含んでもよい、前記1.~8.のいずれかに記載の充填組成物。
【0021】
10.基材を含む組成物の臭気を低減するための無機添加剤の使用であって、無機添加剤及び/又は基材が、前記1.~9.のいずれかに定義される通りである、前記使用。
11.基材及び鉱物充填剤を含む充填組成物の臭気を低減する方法であって、充填組成物に、充填組成物の臭気を低減するための前記1.~10.のいずれか1つに定義される無機添加剤を添加するステップを含む、前記方法。
12.基材及び機能的充填剤を含む充填組成物からの放出物を低減するための無機添加剤の使用であって、無機添加剤及び/又は基材が、前記1.~11.のいずれか1つに定義される通りであり、機能的充填剤が、前記5.~7.のいずれか1つに定義される通りである、使用。
【0022】
13.充填組成物を作製する方法であって、無機添加剤を含まない充填組成物と比較して無機添加剤を含む充填組成物の臭気が低減されるように、基材、機能的充填剤、及び充填組成物の臭気を低減するのに十分な量の無機添加剤を合わせるステップを含み、無機添加剤及び/又は基材が、前記1.~11.のいずれか1つに定義される通りであり、機能的充填剤が、前記5.~7.のいずれか1つに定義される通りであり、任意に前記方法が、基材、機能的充填剤、及び無機添加剤を、任意に加工助剤と共に配合するステップを含む、前記方法。
14.例えば、押出し成形又は成型によって、充填組成物から物品を成形するステップをさらに含む、前記11.又は13.のいずれかに記載の方法。
15.前記1.~14.のいずれかに記載の充填組成物から成形された物品であるか、又は前記11若しくは13.~14.のいずれかに記載の方法によって得ることができる、物品。
16.自動車内物品、例えば、ダッシュボード、内装品、又は内部ボディパネルである、前記15.に記載の物品。
【実施例
【0023】
組成物の調製
以下の物理的特徴を有する沈降炭酸カルシウム試料(PCC-1)を、試験において使用した。PCC-1は、約32m2/gのBET(ISO9277)比表面積を有する多孔質PCCである。PCC1は、BJHによって測定される約0.05cm3/gの平均細孔容積を有し、本説明に記載される通りBS4359-2から誘導された方法によって測定される50~60nmの間のDpを有する。
以下を含む組成物1を調製した。
78質量%のポリプロピレンホモポリマー(「PP」)、
20質量%の半レッチング(semi-retted)麻(レッチングは、茎からの麻繊維の分離を可能にするプロセスである。レッチングは、制御雰囲気中、高温で熱処理することによって達成される)、及び
2質量%のPCC-1。
以下を含む比較組成物を調製した。
80質量%のポリプロピレンホモポリマー(「PP」)、及び
20質量%の半レッチング麻。
【0024】
組成物1を、以下の通り調製した。必要濃度を上回る濃度の添加剤を提示するマスターバッチを調製する。
・次に、そのマスターバッチをPPで希釈して、適切な添加剤濃度を得る。
・次に、押出し成形を実施して、顆粒を得る。
【0025】
臭気制御試験
組成物1は、自動車適用における使用を標的にし、したがって使用したすべてのプロトコールは、主に自動車産業のためのものである。
測定は、ISO13725規制に従って実施され、以下を含む。
・組成物1及び比較組成物の試料を、生成直後に、アルミメッキPEバッグ内で保存した。
・試料を、生成後10日未満で測定した(規制では、試料は6週間未満のものでなければならないことが言及されている)。
・顆粒200~300gを、試料の量/空気の体積を制御可能にする、試験のための気候チャンバに入れた。
・次に、試料を70℃で2時間調整し、次に所与の体積の空気を収集し、このような空気の臭気を、パネリストによって評価した。
・臭気強度を、ブタノール参照と比較することによって推定した。データの不確実性は、ヒトの鼻の知覚変化に起因して約40%であると推定される。
図1は、得られた結果を示す。
別の臭気試験を、Renault方法-Champ des odeurs(登録商標)に従って実施した。
この方法では、5人のパネリストが個々に臭気を評価する。強度をブタノール参照と比較する。強度は、以下の通り特定することができる。
〇尺度は0~5である。
〇許容上限は2.5である。
〇臭気強度は、「木のような」、「カビのような/土のような」などの様々な記述も使用して説明される。結果に矛盾がある場合には、以下のプロトコールが適用される。
【0026】
パネリストのすべてのメンバーは、他の回答を見ることができることに留意しなければならない。多様な結果が得られる場合には、試料を再評価する。
【0027】
Renault方法に従って5人から得られた結果を平均し、平均値を以下の表1に提示する。
【表1】

【0028】
表1に示されるデータから、PP及び麻だけを含む比較組成物は、臭気に関して要件を満たしていないことが分かる(全体的強度は2.5を上回る)。また、PP、麻及びPCC-1を含む組成物1は、臭気試験に合格したことが分かる。
本発明の他の実施形態は、本明細書に開示される明細書及び本発明の実施を考慮することにより、当業者に明らかとなろう。本明細書及び実施例は、単に例示的なものとみなされ、本発明の真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって示されることが企図される。
図1
【国際調査報告】