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  • 特表-放射支援電解装置セルおよびパネル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】放射支援電解装置セルおよびパネル
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/00 20210101AFI20221005BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20221005BHJP
   C25B 1/55 20210101ALI20221005BHJP
   C25B 9/50 20210101ALI20221005BHJP
   C25B 9/65 20210101ALI20221005BHJP
   C25B 15/02 20210101ALI20221005BHJP
   C25B 15/021 20210101ALI20221005BHJP
   C25B 9/67 20210101ALI20221005BHJP
   C25B 9/60 20210101ALI20221005BHJP
   C25B 11/052 20210101ALI20221005BHJP
   C25B 11/061 20210101ALI20221005BHJP
   C25B 11/063 20210101ALI20221005BHJP
   C25B 11/065 20210101ALI20221005BHJP
   C25B 9/70 20210101ALI20221005BHJP
   C25B 11/087 20210101ALI20221005BHJP
   C25B 11/077 20210101ALI20221005BHJP
   C25B 11/075 20210101ALI20221005BHJP
   C25B 11/03 20210101ALI20221005BHJP
   H01M 4/90 20060101ALI20221005BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20221005BHJP
【FI】
C25B9/00 A
C25B1/04
C25B1/55
C25B9/50
C25B9/65
C25B15/02
C25B15/021
C25B9/67
C25B9/60
C25B11/052
C25B11/061
C25B11/063
C25B11/065
C25B9/70
C25B11/087
C25B11/077
C25B11/075
C25B11/03
H01M4/90 Z
H01M8/10 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507646
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(85)【翻訳文提出日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 US2020044927
(87)【国際公開番号】W WO2021026186
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】62/922,418
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522048753
【氏名又は名称】ナンオプテック コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】グエラ, ジョン エム.
【テーマコード(参考)】
4K011
4K021
5H018
5H126
【Fターム(参考)】
4K011AA11
4K011AA21
4K011AA22
4K011AA29
4K011AA50
4K021AA01
4K021BA02
4K021BA17
4K021BC04
4K021BC05
4K021CA01
4K021CA05
4K021CA06
4K021CA11
4K021CA12
4K021CA15
4K021DB06
4K021DB18
4K021DB19
4K021DB21
4K021DC03
5H018AA03
5H018AA06
5H018AS01
5H126BB06
(57)【要約】
高効率水素生成のための放射支援(典型的に、太陽光支援)電解装置セルおよびパネルは、光電極(1)および電極対(2、3)であって、該光電極(1)は、アノード(3)と共有されるカソード(2)に電気的に結合された光アノード、またはカソードと共有されるアノードに電気的に結合された光カソードのいずれかを備えている、光電極(1)および電極対(2、3)と、電解質と、ガス分離器とを備え、全ては、該共有カソード(2)または共有アノードによって2つのチャンバ(7A、7b)に分割された容器(9)内にあり、その少なくとも一部(10)は、電解電流および水素生成を増加させる共有カソード(2)(またはアノード)に光電圧を印加するために該光アノード(1)(または光カソード)によって要求される電磁放射に対して透過性である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解装置セルであって、前記電解装置セルは、
a.液体電解質を保持することが可能な容器と、
b.光電極、第1の電極、および第2の電極と
を備え、
(i)前記光電極は、光アノードであり、前記第1の電極は、カソードであり、前記第2の電極は、アノードであるか、または、
(ii)前記光電極は、光カソードであり、前記第1の電極は、アノードであり、前記第2の電極は、カソードであり、
前記第1の電極は、前記容器を別個の第1および第2のチャンバに分割しており、前記第1および第2のチャンバの各々は、液体電解質を保持することが可能であり、前記光電極は、前記第1のチャンバ内に配置され、前記第2の電極は、前記第2のチャンバ内に配置されており、
c.前記容器は、それに衝突する放射の少なくとも一部が前記光電極に到達することを可能にし、
d.前記容器は、前記第1の電極において発生させられたガスを除去するために配置された第1の開口と、前記第2の電極および/または前記光電極において発生させられたガスを除去するために配置された少なくとも1つの第2の開口とを有し、
e.前記光電極は、前記第1の電極に電気的に接続され、電圧源が、前記第1の電極と第2の電極との間に電圧差を提供するように配置されている、
電解装置セル。
【請求項2】
前記光電極と前記第1の電極との間で前記第1のチャンバ内に配置された第1のガス分離器と、前記第1の電極と前記第2の電極との間で前記第2のチャンバ内に配置された第2のガス分離器とをさらに備え、前記第1および第2のガス分離器は、それらをガス気泡が通過することを防止するが、それらを電流が通過することを可能にする、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項3】
前記光電極は、ルーバまたは開口を提供されている、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項4】
前記光電極は、放射を少なくとも近赤外線に吸収し、それによって、前記容器内の電解質を加熱する能力を有する、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項5】
放射を前記光電極上に方向付けるように配置されたフレネルレンズまたは円筒形リフレクタの形態における光放射集光器をさらに備えている、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項6】
前記光電極および第2の電極の各々は、チタン、ニッケル、炭素、または黒鉛のうちの1つ以上を備えているそれら自体の伝導性電極基部を有する、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項7】
前記第1および第2の電極のうちの1つは、ニッケル上またはステンレス鋼上の水酸化ニッケル、チタン上の混合金属酸化物(MMO)、チタン上のめっきニッケルまたは水酸化ニッケルフィルム、チタン上またはステンレス鋼上のニッケルまたは水酸化ニッケル粒子を備えている、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項8】
前記ガス分離器は、ポリオレフィンの不織フェルトを備えている、請求項2に記載の電解装置セル。
【請求項9】
前記ガス分離器の表面は、ガス気泡がそれに付着することを防止するように、またはそれを低減させるように処理されている、請求項2に記載の電解装置セル。
【請求項10】
前記光電極は、(1)チタニアによって通常吸収されるそれの範囲を超えた光を吸収するように染色されたチタニア、(2)窒素、炭素、シリコン、または他の元素を用いてドープされたチタニア、(3)チタン酸ストロンチウム、(4)タングステンまたはタングステン酸化物、硫化カドミウム、鉄または鉄の酸化物、またはシリコンを伴うチタニアおよびチタンの化合物および合金、(5)保護ニッケル表面粒子を播種されたシリコン、(6)上でリストアップされるようなドーパント、染料、または化合物をさらに備えている二酸化チタンのナノチューブ、(7)半導体材料をさらに備えているカーボンナノチューブ、(8)グラフェンのみ、または上でリストアップされる光アノード材料と組み合わせられたグラフェン、(9)強化された光吸収のために量子ドットまたはフォトニックバンドギャップ結晶のいずれかを組み込む光アノード、および、(10)半導体のバンドギャップがより多くの太陽光スペクトルを有利に吸収するように改変されるように、バンドエッジが水素および/または酸素発生電位とより有利に整列させられるようにも、ナノ構造が二酸化チタン(チタニアまたはTiO)等の半導体を歪ませる光アノード、および、(11)歪ませられたチタニア光アノードと組み合わせた上記光アノード材料のうちのいずれかまたは全てのうちの少なくとも1つを備えている、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項11】
前記第1および第2の電極のうちの1つは、混合金属酸化物を用いて、または、ニッケルまたは水酸化ニッケルのフィルムまたは粒子を用いてコーティングされたチタン金属基部を備えている、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項12】
前記第1および第2の電極のうちの1つは、シートまたは発泡体形態におけるステンレス鋼、リボンまたは発泡体形態におけるニッケル、黒鉛、またはチタンのうちの1つ以上を備えている、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項13】
前記第1および第2のチャンバは、化学組成において異なる2つの電解質を含む、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項14】
前記光電極は、ダイオードとして機能する、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項15】
パネルを形成するように物理的に接続され、電気的に直列または並列で接続された請求項1に記載の複数の電解装置セルを備えている電解装置パネル。
【請求項16】
電解をもたらす方法であって、前記方法は、
請求項1に記載の電解装置セルを提供することと、
前記セルの前記第1および第2のチャンバ内に電解質を設置することと、
前記光電極を放射にさらしながら、前記第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加することと
を含む、方法。
【請求項17】
電気化学セルであって、前記電気化学セルは、アノード電極と、カソード電極と、前記アノードおよびカソード電極と接触している第1の電解質と、電圧制御手段とを備え、前記電圧制御手段は、前記アノード電極とカソード電極との間に電位差を印加し、および/または、電気化学セルによって発生させられた電圧を受け取り、それによって、前記電極において電気化学反応をもたらし、
1つの電極は、
容器と、
前記容器内に配置された第2の電解質と、
前記1つの電極と反対の極性の光電極であって、前記光電極は、前記第2の電解質と接触して前記容器内に配置され、前記光電極は、前記電気化学セルに衝突する放射を受け取るように配置されている、光電極と、
前記容器の外面上の導電性部材と
を備え、
前記導電性部材は、前記第1の電解質と接触し、前記光電極に電気的に接続されている、
電気化学セル。
【請求項18】
電気化学セルであって、前記電気化学セルは、アノード電極と、カソード電極と、前記アノードおよびカソード電極と接触する電解質と、電圧制御手段とを備え、前記電圧制御手段は、前記アノード電極とカソード電極との間に電位差を印加し、および/または、電気化学セルによって発生させられた電圧を受け取り、それによって、前記電極において電気化学反応をもたらし、
少なくとも1つの電極は、光電極であり、前記光電極は、前記電気化学セルの外部に衝突する放射を受け取り、赤外線放射を吸収し、前記電解質を加熱するために配置され、それによって、電解効率を改良する、電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水素の効率的生成のための放射支援電解装置に関し、放射支援電解装置は、
(i)少なくとも光アノード、カソード、およびアノード、または、(ii)少なくとも光カソード、アノード、およびカソードと、容器とを備え、容器は、事例(i)において、該カソードによって、または、事例(ii)において、アノードによって少なくとも2つの別個のチャンバに分割され、さらに、該チャンバは、少なくとも1つの電解質と、少なくとも1つのガス分離器と、少なくとも1つの光カソード、光アノード、アノード、またはカソードとをさらに含み、該容器の少なくとも一部は、電気的に光活性であるように該光アノードまたは光カソードによって要求される電磁照射に対して透過性であり、それによって、該光アノードが照射され、該カソードに電気的に接続されている間、電位が該カソードと該アノードとの間に印加されるとき、または、該光カソードが該アノードに電気的に接続されている間、電位が該アノードと該カソードとの間に印加されるとき、該電解質は、該照射された光アノードまたは光カソードなしに取得されるものより高い電解率において少なくとも2つのガス状生成物に電解される。
【背景技術】
【0002】
当技術分野で周知であるように、アルカリ性またはポリマーの電解質膜、またはプロトン交換膜(P.E.M.)電解装置を用いた電解は、種々の化学製品を生産するために、種々の電極および種々の電解質を採用することができる。一例では、固体または水性である電解質中のガス分離器またはP.E.M.によって分離されるアノードとカソードとの間に印加される電位が、カソードにおいて水素を生成し、アノードにおいて、通常、酸素(印加される電位、電極、および電解質に応じる)を生成する。後者の酸素生成は、水素生成目的のために、寄生エネルギー損失である。さらに、酸素生成の反応率は、水素生成よりかなり遅く、したがって、反応の電解率および水素の流動は、酸素生成率によって統御され、それによって制限される。酸素反応率を増加させるために行われ得るいずれのことも、したがって、電解効率および水素生成の率を増加させるであろう。電解効率は、電解によって生成される水素等の生成物の主な費用が、要求される電気の高い費用であるので、重要である。さらに、より高い電解効率が、水素および他の電解生成物の生成における二酸化炭素排出量を低減させるために所望される。「グリッド」からの電気は、電力の1キロワット/時あたり0.6キログラム(kg)の典型的な二酸化炭素排出量を有する(これは、全国平均であり、州によって増減する)。したがって、電力を低減させることは、水素および他の電解生成物の費用および二酸化炭素排出量を低下させる。
【0003】
電解装置設計、動作、および効率に影響を及ぼす多くの場合競合する微妙な差異および因子の包括的な理解は、達成することが困難であり得るが、電解は、その基本的動作において簡潔的に単純であり、負および正極が、酸性、アルカリ性、またはイオン性流体、または固体P.E.M.であり得る電解質中で間隔を置かれる。水性アルカリ性電解質中の電極を横断する電位の印加時、負極Mは、以下のように電気化学的にヒドロキシイオンOHを生成する。
M+HO+e←→M+OH(1)
負極(またはカソード)反応は、可逆的である。
【0004】
電解装置の正極(またはアノード)において起こる反応は、以下である(水酸化ニッケルアノード例に関して示される)。
Ni(OH)+OH←→NiOOH+HO+e (2)
したがって、アルカリ性電解装置における水酸化ニッケル正極に関する水素生成プロセスは、以下の式によって統御される。
Ni(OH)+OH→NiOOH+HO+e (3)
【0005】
水素生成効率または正極の電解効率および正極材料の利用は、以下の反応によって制御されるエネルギー寄生酸素発生プロセスによって影響を受ける。
2OH→HO+1/2O+2e (4)
電解中、この場合、水素を生成する目的のために電解装置に印加される電流の一部は、代わりに、酸素発生反応(4)によって消費される。式(4)の酸素発生は、それが、より低い水素生成率に寄与するので、望ましくない。
【0006】
両方の反応(酸素および水素発生)が同時に起こる1つの理由は、それらの電気化学的電位値が、非常に近いからである。それらの間のギャップを広げ、反応(3)におけるニッケル(またはアノード)電気化学的電位を低下させるために、または酸素発生反応(4)の電気化学的電位を上昇させるために行われ得るいずれのことも、水素生成のより高い率をもたらすであろう。ここでは、電解に焦点が当てられているが、酸素反応率を改良することが、例えば、バッテリおよび燃料セル等の他の電気化学デバイスにも有益であろうことが分かるであろう。酸素発生反応(4)の電気化学的電位が、酸素発生電位とも称されることに留意されたい。米国特許第6,017,655号は、水酸化ニッケルアノードへの開示される添加剤の使用によってこのギャップを広げるための1つの試みである。
【0007】
本明細書に開示される別の方法は、日光を用いてアノードにおける酸素の生成を支援することであり、それは、アノードと共有されるカソードと反対側に光触媒アノードまたは光アノードを追加することによって、より速い反応率および水素生成に対するより少ない寄生効果を有し、該カソードは、光アノードとアノードとの間に配置され、電解装置容器にシールされ、光アノードとアノードとの間のイオンの寄生流動を防止する。hが、プランクの定数であり、νが、光の周波数である、半導体光アノードによって要求されるエネルギーhνのその光によって活性化され、共有カソードに電気的に接続されると、光アノードは、それとカソードとの間に光電圧電位を生成し、それは、次に、当量だけカソードとアノードとの間に要求される電気化学的電位を低減させると同時に、酸素を生成し、カソードにおいて水素を生成する。一般に、光アノード(およびまた、光カソード)は、モノリシック形態における半導体、修正された半導体、または半導体化合物、またはモノリシック形態上のペーストであり、それらは、光の光子を吸収し、次いで、それを、水を直接電解するか、または電解のために通常要求される電圧を低減させるかのいずれかであり得る表面電荷の対に変換する。理想的に、そのような半導体光アノードは、水素発生電位、酸素発生電位のいずれか、または、両方と重複する伝導および価電子バンドエッジを有する。両方である場合、自発的な水電解が、光アノードが照明されるときに起こり、それは、光分解として公知である。そうでなければ、バイアス電圧または過電位電圧が、それが理論上の1.48VDC電解電位をかなり下回り得るが、依然として、バンドエッジおよびそのそれぞれの発生電位のいずれかの間のギャップを埋めることによって電解を開始するように要求され、その場合、プロセスは、光電気化学水素生成と呼ばれる。例えば、Guerraの米国特許第7,485,799号およびGuerra et alの米国特許第8,673,399号は、光アノードを開示し、ナノ構造が、二酸化チタン(チタニアまたはTiO)等の半導体を歪ませ、それによって、半導体のバンドギャップが、より多くの太陽光スペクトルを有利に吸収するように改変され、バンドエッジが、水素および/または酸素発生電位とより有利に整列させられる。
【0008】
したがって、半導体光アノードは、エネルギーhνを有する光を用いて照明されると、バンドエッジが、酸素および/または水素発生電位に近接するか、またはそれと重複するので、要求される印加電位(または電圧)を大幅に低減させるか、または、さらには排除する。光エネルギーの吸収は、下記の(5)におけるように、半導体表面(SC)において電子(e-)および正孔(p+)の電荷対を形成する。
hν+SC→(e+p (5)
電子および正電荷が、外部印加電位からではなく、光と半導体光アノードとの相互作用から生じることを除いて、酸素発生に関する統御反応(6)は、従来のアノードに関する上記の(4)と同じであることが分かり得る。
2p+2OH→HO+1/2O (6)
【0009】
本明細書に開示される発明に不可欠である重要な半導体光アノードおよび光カソード電極の特性は、それらが、ダイオードであり、より具体的に、それらが、したがって、フォトダイオードであることである。光アノードは、カソードに電気的に接続され、順に、直流(D.C.)電力供給源の負の端子に電気的に接続されるときのみ光電圧を生成するように機能することができ、逆に、光カソードは、アノードに電気的に接続され、順に、D.C.電力供給源の正の端子に電気的に接続されなければならない。いずれの場合も、電極が、共通の電解質中に浸漬されることを理解されたい。本発明の動作に等しく重要であるフォトダイオードのさらなる特性は、フォトダイオードの光電流が、ある印加電圧においてピークに到達し、その後、追加の印加電圧に伴って増加しないであろうことである。
【0010】
アルカリ性電解装置および他の電気化学デバイスが、光アノード(または光カソード)の追加によって改良され得ることが分かり得る。現在、例えば、ニッケルまたは水酸化ニッケル等のアノードおよび典型的にはステンレス鋼カソードに印加される外部電気は、水性電解質から、カソードにおいて水素を生成し、アノードにおいて酸素を生成する。電解質中の水を分解するために要求される理論上の電圧は、1.23VDC(直流ボルト)である。しかしながら、酸素電位を克服するために要求される過電圧は、実際の理論上の電圧を1.48VDCにする。1.48VDCを用いて水素を生成し得る電解装置は、次いで、100%のファラデー効率を有するであろう。実践では、多くの商業的電解装置は、ほぼ3.0VDCを要求する効率が50%にすぎないものから、2.0VDCを要求する効率が75%のものである。同様に、別の電気化学デバイスでは、典型的なNi-MH(ニッケル金属水素化物)バッテリにおける充電サイクル中の電解効率は、約66%である。これは、電解質の抵抗からの追加の損失、反応の率を減速させる電極表面に形成される静電容量層(分極)、および抵抗を再び増加させるガス状生成物の気泡形成からのさらなる損失が存在するからである。光触媒アノードまたは光アノードの追加は、水を電解し、水素を生成するために要求される電力の量を低減させるか、または、さらには排除することが分かるであろう。光は、光触媒と協働し、いわゆる「ゼロバイアス」または光分解モードにおいて要求されるいかなる外部電力も伴わずに、または光電気化学モードにおいて有意に低減された電力を伴ってのいずれかで、水を直接電解する。例えば、米国特許第8,673,399号に教示される光アノードは、外部電気を伴わなくても、すなわち、自発的に水から水素を生成することが可能である。同じ光アノードは、外部電気直流DC電力供給源によって供給される0.9VDCの追加の電位のみを用いて最大水素生成量を有する。水の電解のために要求される1.48VDCの最小電解ファラデー電圧と比較すると、照明された光アノードが、少なくとも0.6VDC(1.48Vおよび0.9Vの差)の光電圧を生成しているという結論につながる。また、実際に、そのような光アノードとカソードとの間の光電圧の直接測定は、太陽光照射レベルに応じて、-0.6VDCから最大-0.85VDCを示す。そのような光アノードを従来のカソードおよびアノード対に電気的に接続し、カソードが、電気的に共有され、光アノードとアノードとの間に物理的に設置されることは、水素の当量を生成するために、それぞれ、従来のアルカリ性またはP.E.M.(ポリマー電解質膜またはプロトン交換膜)電解装置によって要求されるものの半分から3分の1の電力要件をもたらすことが分かるであろう。例えば、通常の1立方メートルあたりのキロワット時(kWh/Nm)として表される水素ガスの総発熱量は、3.54kWh/Nmであり、「通常」は、それが0℃の温度および1大気(ATM)圧において測定されることを意味する。商業的なアルカリ性電解装置は、典型的に、通常の1立方メートルの水素ガスを生成するために、4.8kWhを要求し、(3.54kWhを4.8kWhで除算することによって取得される)74%の電気エネルギーベースでの電解効率をもたらす。P.E.M.電解装置は、典型的に、61%の効率に関して、5.8kWhを要求する。本明細書に教示される一実施形態における太陽光支援電解装置は、820W/mまたは1平方メートルあたりのワットの日光(天文学的正午付近の夏のBostonの典型)を用いて、60℃(太陽光支援電解装置パネルの内側の平均よどみ温度)において照明される間、通常の1立方メートルを生成するために、1.6kWhのみを要求する。電気エネルギーベースでは、それは、221%(3.54kWhを1.6kWhで除算したもの)である。これは、余分なエネルギーが、日光および光触媒光アノードによって提供されているので、可能であり、熱力学の第1の法則は、合計エネルギーが、保存されるので、破られない。とは言え、特に、後で「要求に応じて」使用するための断続的な再生可能エネルギー源からの場合、1キロワット時の余剰電力を貯蔵することを所望する公共事業体を検討するとする。そのkWhは、電解装置に給電し、水を水素に分解することができ、それは、次いで、燃料セルを介して電気を生成するために後で使用するために貯蔵される。効率74%を伴うアルカリ性電解装置および典型的な効率45%を伴う燃料セルに関して、往復(R-T)効率は、33.3%である。公共事業体は、それらが貯蔵したkWhの0.33kWhしか回収することが可能ではなく、2/3または0.66kWhを効率損失で失うであろう。しかしながら、電気エネルギーベースで221%の効率を伴う太陽光支援電解装置は、その同じ燃料セルを用いて、99.5%のR-T効率を返すであろう。公共事業体は、それが貯蔵した電力の本質的に全てを回収することが可能であり、貯蔵は、ほぼ無損失である。
【0011】
したがって、本発明は、電解生成物を生成するためにより少ない電力を要求する電解のために、特に、水素への水性電解質のより効率的な電解のために、このように説明されたもの等の光アノードまたは当技術分野で公知のまたはまだ発明されていない任意の他の光アノードおよび/または光カソードも同様に採用する放射支援電解装置を提供する。水素を生成するために水を電解することに加えて、本明細書に開示される発明は、より広範に、液体燃料の電解および/または光触媒合成さえも含む多くの他の有益な電解生成物を生成し得る太陽光支援電気化学である。太陽光支援電気化学は、燃料セル、バッテリ、および電気化学センサ等の電解装置以外の電気化学デバイスに同様に適用される。
【0012】
光アノードまたは光カソードによって供給される光電圧に加えて、「太陽光支援」に含まれる光熱利得も、存在することができ、電解効率に対するその利益が、下で詳細に説明されるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、電解および他の電気化学デバイスのために要求される外部電気の量を低減させるために、光、光電極、および電極を採用する放射支援電解装置を提供することを追求し、該光電極は、アノード電極に対して使用されるとき、カソードに電気的に接続される光アノード、または、カソード電極に対して使用されるとき、アノードに電気的に接続される光カソードを備え、1つの用途は、電気エネルギーベースで高い電解効率を伴う日光および水からの水素の電解生成である。
【0014】
故に、本発明は、電解装置セルを提供し、電解装置セルは、
a)液体電解質を保持することが可能な容器と、
b)光電極、第1の電極、および第2の電極であって、(i)光電極は、光アノードであり、第1の電極は、カソードであり、第2の電極は、アノードであるか、または(ii)光電極は、光カソードであり、第1の電極は、アノードであり、第2の電極は、カソードであるかのいずれかであり、第1の電極は、容器を別個の第1および第2のチャンバに分割し、それらの各々は、液体電解質を保持することが可能であり、光電極は、第1のチャンバ内に配置され、第2の電極は、第2のチャンバ内に配置された光電極、第1の電極、および第2の電極と
を備え、
c)該容器は、それに衝突する放射の少なくとも一部が光電極に到達することを可能にし、
d)容器は、第1の電極において発生させられたガスを除去するために配置された第1の開口と、第2の電極および/または光電極において発生させられたガスを除去するために配置された少なくとも1つの第2の開口とを有し、
e)光電極は、第1の電極に電気的に接続され、電圧源が、第1の電極と第2の電極との間に電圧差を提供するように配置される。
【0015】
本発明の本電解装置セルは、光電極と第1の電極との間の第1のチャンバ内に配置された第1のガス分離器と、第1の電極と第2の電極との間の第2のチャンバ内に配置された第2のガス分離器とをさらに備え、第1および第2のガス分離器は、それらをガス気泡が通過することを防止するが、それらを電流が通過することを可能にし得る。光電極は、ルーバまたは開口を提供され得、および/または、放射を少なくとも近赤外線に吸収し、それによって、容器内の電解質を加熱する能力を有し得る。本発明の電解装置セルは、放射を光電極上に方向付けるように配置されたフレネルレンズまたは円筒形リフレクタの形態における光放射集光器をさらに備え得る。存在するとき、ガス分離器は、ポリオレフィンの不織フェルトを備え得る。ガス分離器の表面は、存在するとき、ガス気泡がそれに付着することを防止するために、またはそれを低減させるために処理され得る。第1および第2のチャンバは、化学組成において異なる2つの電解質を含み得、光電極は、ダイオードとして機能し得る。
【0016】
本発明は、電解をもたらす方法も提供し、方法は、
本発明の電解装置セルを提供することと、
セルの第1および第2のチャンバ内に電解質を設置することと、
光電極を放射にさらしながら、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加することと、
を含む。
【0017】
本発明は、アノード電極と、カソード電極と、アノードおよびカソード電極と接触している第1の電解質と、アノード電極とカソード電極との間に電位差を印加し、および/または電気化学セルによって発生させられた電圧を受け取り、それによって、電極において電気化学反応をもたらす電圧制御手段とを備えている電気化学セルも提供し、
1つの電極は、
容器と、
該容器内に配置された第2の電解質と、
該1つの電極と反対の極性であり、該第2の電解質と接触して該容器内に配置された光電極であって、該光電極は、該電気化学セルに衝突する放射を受け取るように配置されている、光電極と、
該第1の電解質と接触し、該光電極に電気的に接続される、該容器の外面上の導電性部材と
を備えている。
【0018】
本発明は、アノード電極と、カソード電極と、アノードおよびカソード電極と接触する電解質と、アノード電極とカソード電極との間に電位差を印加し、および/または、電気化学セルによって発生させられた電圧を受け取り、それによって、電極において電気化学反応をもたらす電圧制御手段とを備えている電気化学セルも提供し、少なくとも1つの電極は、電気化学セルの外部に衝突する放射を受け取り、赤外線放射を吸収し、電解質を加熱するために配置され、それによって、電解効率を改良する、光電極である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の構造または動作は、その目的および利点とともに、一意の参照番号が、部分毎に全体を通して使用されている図面に関連して続く詳細な説明を熟読することによって最も深く理解され得る。
【0020】
図1図1は、光アノードとアノードとが、共通カソードの反対側にあるか、または光カソードとカソードとが、共通アノードの反対側にある太陽光支援電解装置セルの概略断面である。
【0021】
図2図2は、複数の接続されたセルを備えている太陽光支援電解装置パネルの正面概略図である。
【0022】
図3図3は、ルーバの1つの配置および形態を示す光アノード(または光カソード)の正面図レンダリングである。
【0023】
図4図4は、照明された光アノードが共有カソードと電気接触するときに生じる電解電流の増加を示す太陽光支援電解装置セルの測定された電解電流I対印加された電圧VのプロットまたはI(V)プロットである。
【0024】
図5図5は、光アノードおよびカソード、または光カソードおよびアノードを備えている光電極の概略断面である。
【0025】
図6図6は、光熱電解のための光熱電極を採用する太陽光支援電解装置の変形例の概略断面である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
放射支援電解装置パネルを形成するために、単独で、または複数で使用される放射支援(典型的に、太陽光支援)電解装置セルが、本明細書において開示される。電解装置セルは、光電極と、アノードと、カソードと、イオンを通過させながらガス生成物を別個に保つための随意のガス分離器手段とを備え、容器が、容器に衝突する放射が光電極に到達することを可能にし、典型的に、容器は、光電極によって要求される電磁スペクトルの少なくとも一部を透過させることが可能である窓を備えているであろう。
【0027】
図1を参照すると、好ましい実施形態では、電解装置セルは、液体電解質を保持することが可能である容器9を備え、容器9は、紫外線透過(UVT)アクリル、ホウケイ酸3.3ガラス、または他の材料であり得る光透過性部分または窓10を具備する。さらに、窓10は、帯電防止、反射防止、熱遮断、または、他の光学コーティングおよび構造を用いてコーティング(限定ではないが、回折格子およびホログラフィック集光または光指向光学系を含む)されることができる。図示の簡略化のために、示される容器は、非伝導性材料であり、したがって、電極とケースとの絶縁は、要求されないか、または、示されない。しかしながら、容器が、導電性である材料を含み得る電解装置技術分野で現在一般的に使用されている材料および裏打ち材料のうちのいずれかを備え得ることを理解されたい。しかしながら、容器内の太陽光熱利得および熱利得が電解効率にもたらす利益を完全に利用するために、下で詳細に議論されるように、容器は、ポリプロピレンの発泡体等の非常に良好な断熱性を有する材料から構築されるべきであるか、または、限定ではないが、繊維ガラスまたは構造的発泡ボードを含む断熱材料を用いてさらにコーティングまたは包まれるべきである。
【0028】
第1の電極(カソード)3が、容器9内に密閉して搭載され、第1の電極は、容器9の内部を別個の第1のチャンバ7Aと第2のチャンバ7Bとに分割する。光アノード1が、第1のチャンバ7A内に搭載され、第2の電極(アノード)2が、第2のチャンバ7B内に搭載される。第1のガス分離器5Aが、光アノード1とカソード3との間で第1のチャンバ7A内に密閉して搭載され、第2のガス分離器5Bが、カソード3とアノード2との間で第2のチャンバ7B内に密閉して搭載される。ガス分離器5Aおよび5Bは、典型的に、約2~4mmの厚さを伴うポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはその他の不織フェルトであり得る。加えて、ガス分離手段は、ガス気泡がその表面に付着することを防止するように、または、それを低減させるように熱的、化学的、または別様に処理された表面を有することができる。ガス分離器5Aおよび5Bは、容器9にシールされる。容器9が、アクリルである場合、該シールの1つの手段は、例えば、厚いアクリル溶剤セメントを使用する溶剤溶接を用いて遂行されることができる。ガス分離器5Aおよび5Bは、容器の内部を3つの電解チャンバに効果的に分割し、3つの電解チャンバは、それぞれ、光アノード1、カソード2、およびアノード3において発生させられたガスを保持する。容器9の上端(図1に図示されるような)は、光アノード1、カソード2、およびアノード3から発生させられたガスを除去するために、それぞれ、出口開口13A、13B、および13Cを提供される。
【0029】
光アノード1およびアノード2の各々は、それら自体の伝導性電極基部を有し、伝導性電極基部は、チタン、ニッケル、炭素、黒鉛、またはアルカリ性環境のために好適な他の伝導性材料を備え得、それらの上に、追加の材料が、強化された性能のために追加され得る。アノード2材料は、ニッケル上またはステンレス鋼上の水酸化ニッケル、チタン上の混合金属酸化物(MMO)、チタン上のめっきニッケルまたは水酸化ニッケルフィルム、チタン上またはステンレス鋼上のニッケルまたは水酸化ニッケル粒子、または、他の好適なアノードであり得る。ルーバまたは他の開口4が、光アノードの照明面(窓10に隣接する)とカソード2との間にイオン経路を提供するために、光アノード1の中に形成される。ルーバは、例えば、いかなる受光光アノード表面も失われないので、単純な開口より有利である。光アノードは、物理的かつ電気的に連続的であるが、この図がルーバ4を通過する平面内の断面図であるので、図1において分割されて見える。
【0030】
カソード3は、例えば、316ステンレス鋼、黒鉛、またはニッケルまたはステンレス鋼発泡体リボンを備え得る。
【0031】
第1のチャンバ7Aは、光アノード1、第1のガス分離器5A、およびカソード2の片側に接触する電解質6を含む一方、第2のチャンバ7Bは、カソード2の反対側、第2のガス分離器5B、およびアノード3に接触する電解質11を含む。通常、同じ電解質が、チャンバ5Aおよび5Bの各々において使用されるであろうが、しかしながら、カソード2は、容器9に密閉して固定されるので、各電解質が、カソード-アノード電解質または光アノード-カソード電解質のいずれかのために最適化され得るように、一方のチャンバを電解質11を用いて充填し、他方のチャンバを異なる電解質6を用いて充填する機械が、提供される。容器にシールされたカソードによって分離された2つの異なるチャンバによってもたらされる電解質選定のこの自由度は、特に、光アノード(または光カソード)の選択に関して重要である。光アノードチャンバに関する電解質を選定する能力は、光電圧および/または光アノード寿命に大きな影響を及ぼし得る。さらに、複数のガス状電解生成物が、この方法において、単一のセルから生成されることができる。
【0032】
容器9および窓10の両方は、図1において実質的に立方体状として示されるが、それらが、凸状円筒面または凹状円筒面を有し得ることを理解されたい。凹状円筒面は、それが、過剰な圧力(通気孔の故障時、または意図的なより高い圧力の動作条件を可能にするための)がケース内に蓄積する場合、余分な強度を提供する点において有用である一方、凸状円筒面は、外部集光器光学系のための光学的により効率的な焦点面を提供することができる。
【0033】
電解装置セルが、光アノード1と、カソード2と、アノード3とを備えているものとして上記に説明されたが、電極の極性が、逆転され、したがって、セルが、光カソード1と、アノード2と、カソード3とを備えていることもあることを理解されたい。
【0034】
動作時、日光が、光アノード1を照明すると、光電位または光電圧Vpeが、光アノード1とカソード3との間に生成され、水素が、カソードにおいて生成される一方、酸素が、光アノードにおいて生成される。同時に、電位Vpsが、同じカソード3とアノード2との間に印加される。カソードがアノードによって、および光アノードによって電気的に共有されるという事実から、互いに有益な相乗効果が生じ、さらに、それが容器を2つの明確に異なる電解装置チャンバに分離するので、カソードは、光アノードおよび日光によって生成される光電位Vpeに等しい量だけ、アノードに対してより負であるように「見える」。これは、アノードにおいて電圧を追加することと電気的に同等であり、したがって、アノードとカソードとの間の実際の電位は、Vps+Vpeである。アノードにおいて酸素生成反応を増加させ、したがって、カソードにおいて水素生成率を増加させるのは、この追加された電圧である。一方、そのチャンバ内のその側での光アノードとカソードとの結合により、カソードの他の側で生成される追加の水素が、存在する。光アノードは、ダイオードまたはフォトダイオードであるので、それは、共有カソードにおける電位Vpsの効果から分離される。
【0035】
図2を参照すると、複数の太陽光支援電解装置セル14が、光源に面するように位置付けられ得る平面太陽光支援電解装置パネル15を形成するために、隣接して搭載されている。ルーバ付き光アノード(または光カソード)が、窓10を通して見られる。隣接するセル14は、電気的に直列または並列に接続されることができ、それぞれ、より高い出力電圧またはより高い電流容量の直流DC電力供給源を要求する。電力入力接続16および17は、それぞれ、正および負であり、負は、光電極に接続され、正は、光電極が、光アノードおよびカソード対を備えているとき、アノードに接続され、光電極が、アノードに結合された光カソードを備えているとき、正は、正端子に接続されるであろう。各セル14は、既に説明されたような窓10を有する。窓10は、Evonic Degussa、Cyro、およびその他によって生産される紫外線透過性(鋳造が好ましいが、押し出しも許容可能である)UVTアクリルであり得るか、または、それは、Schottおよびその他からのホウケイ酸3.3ガラスであり得る。図に示されないが、窓は、反射防止コーティング、耐傷性コーティング、帯電防止コーティング、または回折またはホログラフィック光学格子または他のホログラフィック光学構造等の他の光学コーティングを用いてさらにコーティングされることができる。容器の残りの部分は、溶剤溶接、超音波溶接、鋳造、または射出圧縮成型されたアクリルまたは他のプラスチックであり得るか、または、それは、裏打ちの有無を問わず、アルカリ性環境のために好適な鋼または他の金属であり得る。図1の容器9のように、ここでの容器9も、可能な限り長い持続時間にわたって光熱加熱の利益の多くを保持するために、高い断熱値を伴う材料から製作されるか、または、適用された断熱をさらに提供されるべきである。
【0036】
図3を参照すると、光アノード1の一実施形態が、多数のルーバ4とともに示される。光アノード1は、当技術分野で公知の任意の光触媒アノードまたは光アノード材料であり得る。より多くの半導体が、少なくとも電解質に対して不活性である観点から、光カソードより光アノードをもたらす。半導体がp型であるか、n型であるかは、例えば、ドーピングの追加を含むいくつかの因子によって決定される。とは言え、電解質に対して不活性である光カソードは、確実に開発されるであろうし、それは、現在開発中であり、したがって、光電極がカソードに電気的に結合された光アノード備え得ること、または、光電極がアノードに電気的に結合された光カソードを備え得ることは、本発明の範囲内である。さらに、あらゆる種類の光アノード材料が使用され得ることが、本発明の精神および意図内である。可能な光アノード材料の例が、米国特許第7,485,799号および第8,673,399号に提供され、その内容は、参照することによって本明細書に組み込まれ、半導体のバンドギャップが、より多くの太陽光スペクトルを有利に吸収するように改変され、バンドエッジが、水素および/または酸素発生電位とより有利に整列させられるように、ナノ構造が二酸化チタン(チタニアまたはTiO)等の半導体を歪ませる光アノードを開示している。
【0037】
当技術分野であるかどうかにかかわらず、追加の光アノード1(および光カソード)材料も、本発明の範囲および精神内である。それらは、限定ではないが、(1)チタニアによって通常吸収されるそれ以外の光を吸収するように染色されたチタニア、(2)窒素、炭素、シリコン、または他の元素を用いてドープされるチタニア、(3)チタン酸ストロンチウム、(4)タングステンまたはタングステン酸化物、硫化カドミウム、鉄または鉄の酸化物、シリコン、またはその他を伴うチタニアおよびチタンの化合物および合金、(5)保護ニッケル表面粒子を播種されるシリコン、(6)上でリストアップされるようなドーパント、染料、または化合物をさらに備えている二酸化チタンのナノチューブ、(7)半導体材料をさらに備えているカーボンナノチューブ、(8)グラフェンのみ、または上で列挙された光アノード材料と組み合わせられたグラフェン、(9)強化された光吸収のために量子ドットまたはフォトニックバンドギャップ結晶のいずれかを組み込む光アノード、および(10)米国特許第7,485,799号および第8,673,399号に教示される歪ませられたチタニア光アノードと組み合わせた上記光アノード材料のうちのいずれかまたは全てを含む。
【0038】
アノード2に関する材料は、電解装置、バッテリ、または燃料セルの電気化学技術分野において公知の任意の材料であり得る。任意のあらゆる種類のアノード材料が使用され得ることが、本発明の精神および意図内である。例は、米国特許第5,348,822号および第5,637,423号および第6,017,655号(その内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に提供されるような水酸化ニッケルである。
【0039】
アノード2は、商業的電解装置およびNi-MHバッテリにおいて現在見出されていない材料およびアノードも備え得る。例えば、混合金属酸化物(MMO、典型的に、ルテニウム、チタン、およびイリジウムの酸化物の混合物)を用いて、または、ニッケルまたは水酸化ニッケルのフィルムまたは粒子を用いてコーティングされたチタン金属基部(ロッド、板、シート、箔、拡張メッシュ、またはその他)も、好適なアノードとしての役割を果たし得る。これらのアノードは、限定ではないが、炭素および黒鉛等の他の伝導性基部またはアルカリ性環境内でアノード(充電の間)またはカソード(放電の間)のいずれかとして機能し得る他の伝導性材料を有することができる。該アノードを製造する手段は、限定ではないが、ペーストの適用、焼結、石灰化、熱酸化、陽極酸化、合金化、めっき、粉末コーティング、機械的圧縮、鋳造、真空蒸着、化学蒸着、またはその他のうちの1つ以上のものを含み得るステップを含む。これらまたは他のプロセスを用いて、およびこれらまたは他の材料を用いて形成されるアノードは、本発明の精神および範囲内である。
【0040】
一般に、太陽光支援電解装置セルは、電気化学セルまたは電解装置と同様、少なくとも1つの正極と、少なくとも1つの負極と、正極および負極を包囲する電解質とを備えている。加えて、太陽光支援電解装置セルは、少なくとも1つの光アノードをさらに備えている。電解質11は、水酸化カリウム溶液(KOH)または炭酸カリウム溶液(KCO)を備え得るアルカリ性電解質であり、限定ではないが、低温または高温性能、またはより効率的なガス放出、または粘度または重合等の有益な漏出封じ込め特性、またはより高い屈折率等の改良された性能のために、他の電解質および添加剤および/または共電解質をさらに備え得る。第2の異なる電解質6が、採用されるとき、それは、酸性またはアルカリ性であり得、電解質11と異なる化学種であり得る。このように、2つの別個の電解質が、それらの特定のチャンバおよび電極のために最適化されることができる。
【0041】
カソード電極3は、シートまたは発泡体形態における316ステンレス鋼、ニッケル発泡体リボン、炭素、黒鉛、またはチタンのうちの1つ以上を備えていることができる。例えば、電解装置、バッテリ、および燃料セルの電気化学技術分野において公知である、限定ではないが、本明細書に列挙されるものを含む任意のあらゆる種類の材料および基質が使用され得ることが、本発明の精神および意図内である。
【0042】
図4を参照すると、ニッケル(200合金)アノードと共有されるステンレス鋼のカソードに対して、この場合、700W/mの日光における光アノードを用いて達成される0.6VDCの追加の光電位の電解電流に対する大きい効果が、電流対電圧またはI(V)プロットとしてプロットされ、比較されている。系列1は、従来のアルカリ性電解装置として動作するアノードおよびカソードに関するI(V)プロットであり、電圧は、電極のこの対のみに印加される。系列2は、共有カソードに電気的に接続され、日光を用いて照明される光アノードを伴うI(V)プロットである。太陽光支援電解装置セルからの電流は、本発明に教示されるような容器にシールされた共有カソードの間に接続されたフルーク電流計を用いて測定され、直流(DC)電圧供給源は、アノードとカソードとの間にある範囲の印加電位電圧、具体的に、0.2VDCの増分における1.0VDC~3.8VDCを提供した。光アノードによって供給された光電位は、0.6VDCであったが、本明細書に別の場所で議論されるように、この値は、太陽光照射に依存し、この特定の光アノードに関して0.85VDCと同程度に高くあり得る。電解質温度は、この測定中、一定であり、27℃であった。したがって、この比較は、光電位寄与のみを例証し、光アノード(または光カソード)によって提供され得る追加の光熱寄与を例証しない。それは、さらに、光アノードに面するカソード側における水素の直接生成を含まない。光アノード、カソード、およびアノードの物理的面積は、全て、8.6cm×91cm、または786cmであった。電流は、必要な場合にのみ提供される面積で除算することによって取得され得る電流密度ではなく、未加工値においてプロットされる。
【0043】
本発明は、これまで太陽光支援電解装置セルに関連して説明されたが、本発明は、はるかに広範であり、太陽光支援を、限定ではないが、バッテリ、電気化学センサ、および燃料セルを含む多くの他の電気化学デバイスに適用するために、他の要素と組み合わせて使用され得る光電極の使用に及ぶ。例えば、この最後の場合の燃料セルでは、光アノードを従来のアノードと共有されるカソードに接触させること、または光カソードを従来のカソードと共有されるアノードに電気的に接触させることの利点は、電解の逆に適用されることができ、すなわち、燃料セル内で水素と酸素とを組み合わせ、電気および水を生成することにも適用されることができる。燃料セルは、電解におけるものと実質的に同じ理由(最終燃料セル効率を結果として統御する酸素反応の遅い率)から、45%と同程度に低いものからわずか約60%の低い効率に悩まされる。光電極装置を燃料セルと組み合わせることは、照明されるときのその効率を同様に増加させるであろう。
【0044】
図5は、電気化学セル内のカソードとしての役割を果たすことを意図する光電極装置(概して、500と指定される)を図示し、光電極装置は、アノード電極と、アノードおよびカソード電極と接触している第1の電解質と、電圧制御手段とも備え、電圧制御手段は、アノードおよびカソード電極間に電位差を印加し、それによって、電極において電気化学反応をもたらす。光電極装置は、容器9を備え、容器9中で、液体の第2の電解質6が保持される。容器9は、窓10と、電解中に発生させられたガスの収集のためのガス出口13Aおよび13Bとをさらに備えている。容器9の表面の一部は、導電性部材503によって形成され、導電性部材503は、第1の電解質(図示せず)と接触し、電気化学セルの実際のカソードとしての役割を果たす。光アノード1は、第2の電解質6と接触して容器9内に配置され、容器9の基部を通過するコネクタ510によって伝導性部材503に恒久的に接続される。エネルギーhνを伴う光が、窓または透明部分10を通して光アノードを照明すると、コネクタ510は、伝導性部材503に光電位を配置する。光電極装置500が、アノードとしての役割を果たすように意図される場合、光電極が、光カソードであろうことを理解されたい。このように、2つの電極を要求する任意の電気化学デバイスに関して、この光電極装置は、該電極のうちの少なくとも1つのために置き換えられることができ、それは、照明されると、該電気化学デバイスの改良された電気効率のための電気バイアスを瞬時に提供する追加の利益を伴う。
【0045】
電解装置、バッテリ、燃料セル、および電気化学センサ等の電気化学デバイスに向けられ得る太陽光支援の全範囲を本開示において主張することが、さらに意図される。このより広範な範囲は、単独で、または一緒に、光電位利得に加えて、光熱効率利得を含む。例えば、有益な光電位を生成する光電極は、同時に、より多くの太陽光スペクトルを吸収し、加熱された状態になり、その熱を電解質および他の電極に伝達することによって、電気化学的効率に光熱的に寄与することもある。GuerraおよびGuerra et alの前述で議論される光アノードは、自発的水分解のために太陽光スペクトルの紫外線(UV)および青色高エネルギー部分を吸収するように工学設計される光アノードの1つのそのような例であるが、近IR(NIR)へのかなりの吸収を有し続ける。この後者の吸収は、少なくとも直接的にその光触媒能力に寄与しない。しかし、電解質および他の電極に対する加熱効果は、水素生成および電解効率におけるかなりの利得をもたらす。しかし、光電極は、光熱的のみであることができ、光電位の不在下でも、依然として、電気化学デバイスの効率を改良することができる。電気化学的効率に対する電解質温度の影響の簡潔な議論が、最初に必要となる。先に、1アンペアの電解電流が、水素ガスの7sccm(標準立方センチメートル/分)流動に調和させられる本明細書に与えられる関係は、標準圧力および20℃の標準温度に関して与えられる。電解質および電極の温度を適度な40°だけ上昇させることは、この流量のほぼ20%の増加をもたらす(実際の関係は、摂氏ではなく、ケルビンスケールであり、したがって、20%の増加である)。60℃以上への温度のそのような増加は、良好に設計されたセルおよびパネルを用いて1年中いつでも日光を用いて達成することが容易であり、光電極が、光電位作成のために通常使用されるものより深く太陽光スペクトルおよび近赤外線(NIR)および赤外線(IR)を吸収し得ることのみを要求する。電解質が沸点に到達しないことが、重要である。何故なら、それが電解質/電極境界における電解効率を減少させるからである。しかし、本明細書に議論される適度な温度増加において、必要な場合、増加させられた圧力および/または電解質濃度と組み合わせて、沸騰が、制御および回避されることができる。しかし、アンペアと水素流動との関係からの約20%~30%の増加に加えて、温度の増加は、合計すると20%の増加より重要である以下の他のより厳密な効率改良をもたらす:(1)より高い効率に関して、電解質のコンダクタンスは、温度に伴って増加し、抵抗は、減少する;(2)従来の電極材料の過電位は、温度に伴って減少する;(3)加熱に伴う電解セル内の増加させられる動態は、電解質/電極境界における静電容量および分極効果を低減させる;(4)ガス生成物は、電極からより迅速に発泡し、放出され、それによって、「間隙率抵抗」として知られているものを低減させる。
【0046】
光熱太陽光支援電解装置が、図6に示される。図1の太陽光支援電解装置が、光アノード1が光電位および光熱加熱の両方を提供し得る点において、光熱的でもあり得ることが、先述の議論から明白であるはずであるが、本明細書のデバイスは、光熱的のみである。したがって、それは、2つの電極のみを要求し、そのうちの少なくとも1つは、太陽光照射によって加熱され、それによって、熱を電解質および他の電極に伝達する。前述のように、電解質6、ガス分離器5、電解からのガス生成物の収集のためのガス継手13Aおよび13B、窓または透明部分10、カソード3、およびアノード2を伴う容器9が、存在する。しかしながら、ここでは、アノード2は、光吸収および加熱を強化するコーティングをさらに備えている。そのようなコーティングは、熱的平板型太陽光収集器の技術分野において周知であり、当然ながら、ここでは主張されない。加熱効果を強化する停滞空気容積18(再び、熱的平板型太陽光収集器パネルのように)も、提供される。窓10は、加熱を強化するためのコーティングも備えていることができ、実際、窓10は、追加のコーティング、アルゴンまたは他のガスの充填、および加熱効果をさらに強化するための内部の追加の膜を伴うガラスまたは類似する材料の少なくとも2つのシートを備えていることができる。再び、これらの技法の全ては、当技術分野で周知であり、ここでは主張されず、該太陽光支援が、電解質および他の電極を加熱するために日光を吸収する光熱電極である太陽光支援電解装置と組み合わせたそれらの使用のみが、主張される。
【0047】
(実施例)
【0048】
以下の例は、採用される光アノードが、両方の特性を有する点において、「太陽光支援」への光電位寄与および光熱寄与の両方を具現化する太陽光支援電解装置の利点を例証するであろう。別個の図面は、それが図1に提供される概略図に厳密に従うので、提供されない。太陽光支援電解装置セルは、(1)等級1のチタン基部上の歪ませられた二酸化チタンを備えている米国特許第8,673,399号に教示されるような光アノードと、(2)チタン基部上のニッケルシートまたは混合金属酸化物(MMO)コーティングのリボンを備えている商業的に入手可能なアノードと、(3)不織ポリエチレンフェルトを備えているガス分離器と、(4)316ステンレス鋼シートを備えているカソードと、(5)溶剤溶接紫外線透過性鋳造アクリル円筒を備えている容器とを備えている。セルの外側寸法は、10cm外径×1.0メートル高さであり、アクリル壁厚は、6mmである。セルは、電解質充填も可能にする水素および酸素のための収集管を接続するためのガス継手をさらに備えていた。水酸化カリウム(KOH、26%において)および炭酸カリウム(KCO、重量比20%において)の両方が、個々に電解質として試験され、満足の行くものであると見出され、KOHは、使用される材料のうちのいくつかに対して苛性であることを犠牲にして、約10%の追加の性能を提供した。2つの等級2のチタン接点および1つの360ステンレス鋼接点が、セル端部キャップを通して突出し、アノードおよびカソードを横断して電位を印加し、次いで、光アノードがカソードに接続される状態およびそれが接続解除される状態のI(V)性能を測定するために、光アノード、アノード、およびカソードが、それぞれ、シールされたケースを通して電気的にアクセスされることを可能にする。光源は、Thor Labs線量計を用いて測定されるような1平方メートルあたり約700ワットの自然日光(Concord,MA、5月の天文学的正午において)であった。しかしながら、この例におけるものに類似する結果が、Orielからの太陽光シミュレータを用いて取得された。電解質の温度が、監視され、光アノードがカソードに接続される状態およびそれがカソードから接続解除される状態および光がオンの状態および光がオフの状態の電解電流および水素発生を比較するとき、等しく保たれた。光アノードによってカソードに生成される光電圧は、0.85VDCと同程度に高く測定されたが、この値は、日光に依存するので、より典型的に、0.6VDCであった。MMOまたはニッケルかどうかにかかわらず、ステンレス鋼カソードとアノードとの間の電解電流(すなわち、水素生成)は、照明された光アノードがカソードに電気的に接続される状態で50%以上増加した。光アノードが接続解除または覆われると、電流の増加は、光アノードが寄与する光電圧と同等の量だけカソードとアノードとの間の印加電圧を増加させることによってのみ合致され得る。これは、共有カソードに対する光アノードの効果が、それがアノードに対してより負の電位を有するようにさせることであり、それは、アノード/カソード対上の正の電位を増加させることと同じであることを確認する。さらに、光アノードは、常に酸素を生成し、それによって、カソードにおける水素生成をさらに増加させる。この50%の増加が、光電圧のみからのものであることに留意することが重要である。実際に、同じ光アノードは、近赤外線(NIR)へのその高い光学吸収により、光熱寄与も同様にもたらす。結果として、電解電流は、20℃における従来のアノード/カソードベースライン電解を上回って、45℃における同じセルにおいて50%同様に増加することが分かった。したがって、この例では、合計太陽光支援は、100%であり、水素生成は、従来のアルカリ性電解装置のそれの2倍であり、したがって、半分の電力のみが、生成される水素の単位あたりに要求された。この実施例の値である700W/mを上回る太陽光照射および45℃より高いよどみ温度では、要求される電力は、3分の1と同程度に低くあり得る。
【0049】
この実施例は、単純に、本発明の利点の1つの例証であり、いかようにも、本発明の範囲を限定する、または他の光アノード、アノード、カソード、電解質、ガス分離器材料、窓材料、または容器の使用を除外することを意味していない。例えば、不織ポリオレフィンまたは不織ポリプロピレンフェルトも、ガス分離器として使用されることができ、光アノードは、本明細書に議論される光アノードのうちのいずれかおよび、限定ではないが、染色されたチタニア、ドープされたチタニア、タングステン、硫化カドミウム、鉄酸化物のうちのいずれか、硫化カドミウムまたはタングステンまたは鉄酸化物のうちのいずれかと合金化または配合されたチタニア、ニッケルコーティングを伴うシリコン、および部分的に、グラフェンまたはカーボンナノチューブを備えている光アノードを含む任意の他の光アノードであり得、従来のアノードは、商業的Ni-MHバッテリにおけるような水酸化ニッケルまたは本明細書に既に説明されたようなフィルムまたは粒子としてチタン上にめっきされるニッケルであり得、カソードは、ステンレス鋼または黒鉛を含む商業的アルカリ性電解装置において見出される標準的カソードを備えていることができる。容器は、金属ケースでもあり得、透明窓は、ホウケイ酸3.3ガラスであり得る。同様に、サイズは、より大きい、またはより小さい、またはより薄い、またはより厚くあり得る。
【0050】
多くの光アノードは、10sun以上の光濃度において動作することが可能である。いくつかの光アノードの水素生成は、最大10sunの濃度と線形であり、その後、水素生成は、より緩慢に増加するが、それでも、光学集光器の使用は、太陽光支援電解装置セルの経済性または性能に有益であり得る。本発明の範囲は、したがって、日光または他の光源が、収集され、集光され、該発明における光アノードを照明するために使用されるように、本明細書に請求される太陽光支援電解装置セルを光学集光器と組み合わせることを含む。光学集光器の例は、限定ではないが、全てが回転形態または円筒形形態のいずれかである、フレネルレンズ、放物線リフレクタ、楕円リフレクタ、および非結像光学系を含む。
【0051】
最後に、太陽光支援電解装置の効率に対する光熱および光電位の両方の寄与が、日没後に、実際に、夜間も十分に継続することに留意されたい。十分に断熱された容器およびパネルは、日没後の何時間にもわたって太陽光加熱を保持するであろう。光電位も、ガスで飽和されている電解質が、ここで、燃料セルまたはバッテリと同様に動作する点において、貯蔵される。したがって、外部電力が、夜間を通した連続の水素生成のためにアノードおよびカソードに印加される続けることができるだけではなく、電解質が冷却され、光電位が低下するとき、夜間を通してゆっくりと減衰するだけの昼間の日光からの実質的な電解効率利益も伴う。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-03-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解装置セルであって、前記電解装置セルは、
a.液体電解質を保持することが可能な容器と、
b.光電極、第1の電極、および第2の電極と
を備え、
(i)前記光電極は、光アノードであり、前記第1の電極は、カソードであり、前記第2の電極は、アノードであるか、または、
(ii)前記光電極は、光カソードであり、前記第1の電極は、アノードであり、前記第2の電極は、カソードであり、
前記第1の電極は、前記容器を別個の第1および第2のチャンバに分割しており、前記第1および第2のチャンバの各々は、液体電解質を保持することが可能であり、前記光電極は、前記第1のチャンバ内に配置され、前記第2の電極は、前記第2のチャンバ内に配置されており、
c.前記容器は、それに衝突する放射の少なくとも一部が前記光電極に到達することを可能にし、
d.前記容器は、前記第1の電極において発生させられたガスを除去するために配置された第1の開口と、前記第2の電極および/または前記光電極において発生させられたガスを除去するために配置された少なくとも1つの第2の開口とを有し、
e.前記光電極は、前記第1の電極に電気的に接続され、電圧源が、前記第1の電極と第2の電極との間に電圧差を提供するように配置されている、
電解装置セル。
【請求項2】
前記光電極と前記第1の電極との間で前記第1のチャンバ内に配置された第1のガス分離器と、前記第1の電極と前記第2の電極との間で前記第2のチャンバ内に配置された第2のガス分離器とをさらに備え、前記第1および第2のガス分離器は、それらをガス気泡が通過することを防止するが、それらを電流が通過することを可能にする、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項3】
前記光電極は、ルーバまたは開口を提供されている、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項4】
前記光電極は、放射を少なくとも近赤外線に吸収し、それによって、前記容器内の電解質を加熱する能力を有する、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項5】
放射を前記光電極上に方向付けるように配置されたフレネルレンズまたは円筒形リフレクタの形態における光放射集光器をさらに備えている、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項6】
前記光電極および第2の電極の各々は、チタン、ニッケル、炭素、または黒鉛のうちの1つ以上を備えているそれら自体の伝導性電極基部を有する、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項7】
前記第1および第2の電極のうちの1つは、ニッケル上またはステンレス鋼上の水酸化ニッケル、チタン上の混合金属酸化物(MMO)、チタン上のめっきニッケルまたは水酸化ニッケルフィルム、チタン上またはステンレス鋼上のニッケルまたは水酸化ニッケル粒子を備えている、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項8】
前記ガス分離器は、ポリオレフィンの不織フェルトを備えている、請求項2に記載の電解装置セル。
【請求項9】
前記ガス分離器の表面は、ガス気泡がそれに付着することを防止するように、またはそれを低減させるように処理されている、請求項2に記載の電解装置セル。
【請求項10】
前記光電極は、(1)チタニアによって通常吸収されるそれの範囲を超えた光を吸収するように染色されたチタニア、(2)窒素、炭素、シリコン、または他の元素を用いてドープされたチタニア、(3)チタン酸ストロンチウム、(4)タングステンまたはタングステン酸化物、硫化カドミウム、鉄または鉄の酸化物、またはシリコンを伴うチタニアおよびチタンの化合物および合金、(5)保護ニッケル表面粒子を播種されたシリコン、(6)上でリストアップされるようなドーパント、染料、または化合物をさらに備えている二酸化チタンのナノチューブ、(7)半導体材料をさらに備えているカーボンナノチューブ、(8)グラフェンのみ、または上でリストアップされる光アノード材料と組み合わせられたグラフェン、(9)強化された光吸収のために量子ドットまたはフォトニックバンドギャップ結晶のいずれかを組み込む光アノード、および、(10)半導体のバンドギャップがより多くの太陽光スペクトルを有利に吸収するように改変されるように、バンドエッジが水素および/または酸素発生電位とより有利に整列させられるようにも、ナノ構造が二酸化チタン(チタニアまたはTiO)等の半導体を歪ませる光アノード、および、(11)歪ませられたチタニア光アノードと組み合わせた上記光アノード材料のうちのいずれかまたは全てのうちの少なくとも1つを備えている、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項11】
前記第1および第2の電極のうちの1つは、混合金属酸化物を用いて、または、ニッケルまたは水酸化ニッケルのフィルムまたは粒子を用いてコーティングされたチタン金属基部を備えている、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項12】
前記第1および第2の電極のうちの1つは、シートまたは発泡体形態におけるステンレス鋼、リボンまたは発泡体形態におけるニッケル、黒鉛、またはチタンのうちの1つ以上を備えている、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項13】
前記第1および第2のチャンバは、化学組成において異なる2つの電解質を含む、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項14】
前記光電極は、ダイオードとして機能する、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項15】
パネルを形成するように物理的に接続され、電気的に直列または並列で接続された請求項1に記載の複数の電解装置セルを備えている電解装置パネル。
【請求項16】
電気化学セルであって、前記電気化学セルは、アノード電極と、カソード電極と、前記アノードおよびカソード電極と接触している第1の電解質と、電圧制御手段とを備え、前記電圧制御手段は、前記アノード電極とカソード電極との間に電位差を印加し、および/または、電気化学セルによって発生させられた電圧を受け取り、それによって、前記電極において電気化学反応をもたらし、
1つの電極は、
容器と、
前記容器内に配置された第2の電解質と、
前記1つの電極と反対の極性の光電極であって、前記光電極は、前記第2の電解質と接触して前記容器内に配置され、前記光電極は、前記電気化学セルに衝突する放射を受け取るように配置されている、光電極と、
前記容器の外面上の導電性部材と
を備え、
前記導電性部材は、前記第1の電解質と接触し、前記光電極に電気的に接続されている、
電気化学セル。
【請求項17】
電気化学セルであって、前記電気化学セルは、アノード電極と、カソード電極と、前記アノードおよびカソード電極と接触する電解質と、電圧制御手段とを備え、前記電圧制御手段は、前記アノード電極とカソード電極との間に電位差を印加し、および/または、電気化学セルによって発生させられた電圧を受け取り、それによって、前記電極において電気化学反応をもたらし、
少なくとも1つの電極は、光電極であり、前記光電極は、前記電気化学セルの外部に衝突する放射を受け取り、赤外線放射を吸収し、前記電解質を加熱するために配置され、それによって、電気化学効率を改良する、電気化学セル。
【請求項18】
前記光電極は、1.48VDCより小さいバイアス電圧供給源を用いて前記第1の電極に電気的に接続されている、請求項1に記載の電解装置セル。
【請求項19】
電解をもたらす方法であって、前記方法は、
請求項1または請求項18に記載の電解装置セルを提供することと、
前記セルの前記第1および第2のチャンバ内に電解質を設置することと、
前記光電極を放射にさらしながら、前記第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加することと
を含む、方法。
【請求項20】
前記容器は、導電性である、請求項1に記載の電解装置セルまたは請求項17に記載の電気化学セル。


【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明は、アノード電極と、カソード電極と、アノードおよびカソード電極と接触する電解質と、アノード電極とカソード電極との間に電位差を印加し、および/または、電気化学セルによって発生させられた電圧を受け取り、それによって、電極において電気化学反応をもたらす電圧制御手段とを備えている電気化学セルも提供し、少なくとも1つの電極は、電気化学セルの外部に衝突する放射を受け取り、赤外線放射を吸収し、電解質を加熱するために配置され、それによって、電解効率を改良する、光電極である。
本発明はさらに、例えば、以下を提供する。
(項目1)
電解装置セルであって、前記電解装置セルは、
a.液体電解質を保持することが可能な容器と、
b.光電極、第1の電極、および第2の電極と
を備え、
(i)前記光電極は、光アノードであり、前記第1の電極は、カソードであり、前記第2の電極は、アノードであるか、または、
(ii)前記光電極は、光カソードであり、前記第1の電極は、アノードであり、前記第2の電極は、カソードであり、
前記第1の電極は、前記容器を別個の第1および第2のチャンバに分割しており、前記第1および第2のチャンバの各々は、液体電解質を保持することが可能であり、前記光電極は、前記第1のチャンバ内に配置され、前記第2の電極は、前記第2のチャンバ内に配置されており、
c.前記容器は、それに衝突する放射の少なくとも一部が前記光電極に到達することを可能にし、
d.前記容器は、前記第1の電極において発生させられたガスを除去するために配置された第1の開口と、前記第2の電極および/または前記光電極において発生させられたガスを除去するために配置された少なくとも1つの第2の開口とを有し、
e.前記光電極は、前記第1の電極に電気的に接続され、電圧源が、前記第1の電極と第2の電極との間に電圧差を提供するように配置されている、
電解装置セル。
(項目2)
前記光電極と前記第1の電極との間で前記第1のチャンバ内に配置された第1のガス分離器と、前記第1の電極と前記第2の電極との間で前記第2のチャンバ内に配置された第2のガス分離器とをさらに備え、前記第1および第2のガス分離器は、それらをガス気泡が通過することを防止するが、それらを電流が通過することを可能にする、項目1に記載の電解装置セル。
(項目3)
前記光電極は、ルーバまたは開口を提供されている、項目1に記載の電解装置セル。
(項目4)
前記光電極は、放射を少なくとも近赤外線に吸収し、それによって、前記容器内の電解質を加熱する能力を有する、項目1に記載の電解装置セル。
(項目5)
放射を前記光電極上に方向付けるように配置されたフレネルレンズまたは円筒形リフレクタの形態における光放射集光器をさらに備えている、項目1に記載の電解装置セル。
(項目6)
前記光電極および第2の電極の各々は、チタン、ニッケル、炭素、または黒鉛のうちの1つ以上を備えているそれら自体の伝導性電極基部を有する、項目1に記載の電解装置セル。
(項目7)
前記第1および第2の電極のうちの1つは、ニッケル上またはステンレス鋼上の水酸化ニッケル、チタン上の混合金属酸化物(MMO)、チタン上のめっきニッケルまたは水酸化ニッケルフィルム、チタン上またはステンレス鋼上のニッケルまたは水酸化ニッケル粒子を備えている、項目1に記載の電解装置セル。
(項目8)
前記ガス分離器は、ポリオレフィンの不織フェルトを備えている、項目2に記載の電解装置セル。
(項目9)
前記ガス分離器の表面は、ガス気泡がそれに付着することを防止するように、またはそれを低減させるように処理されている、項目2に記載の電解装置セル。
(項目10)
前記光電極は、(1)チタニアによって通常吸収されるそれの範囲を超えた光を吸収するように染色されたチタニア、(2)窒素、炭素、シリコン、または他の元素を用いてドープされたチタニア、(3)チタン酸ストロンチウム、(4)タングステンまたはタングステン酸化物、硫化カドミウム、鉄または鉄の酸化物、またはシリコンを伴うチタニアおよびチタンの化合物および合金、(5)保護ニッケル表面粒子を播種されたシリコン、(6)上でリストアップされるようなドーパント、染料、または化合物をさらに備えている二酸化チタンのナノチューブ、(7)半導体材料をさらに備えているカーボンナノチューブ、(8)グラフェンのみ、または上でリストアップされる光アノード材料と組み合わせられたグラフェン、(9)強化された光吸収のために量子ドットまたはフォトニックバンドギャップ結晶のいずれかを組み込む光アノード、および、(10)半導体のバンドギャップがより多くの太陽光スペクトルを有利に吸収するように改変されるように、バンドエッジが水素および/または酸素発生電位とより有利に整列させられるようにも、ナノ構造が二酸化チタン(チタニアまたはTiO )等の半導体を歪ませる光アノード、および、(11)歪ませられたチタニア光アノードと組み合わせた上記光アノード材料のうちのいずれかまたは全てのうちの少なくとも1つを備えている、項目1に記載の電解装置セル。
(項目11)
前記第1および第2の電極のうちの1つは、混合金属酸化物を用いて、または、ニッケルまたは水酸化ニッケルのフィルムまたは粒子を用いてコーティングされたチタン金属基部を備えている、項目1に記載の電解装置セル。
(項目12)
前記第1および第2の電極のうちの1つは、シートまたは発泡体形態におけるステンレス鋼、リボンまたは発泡体形態におけるニッケル、黒鉛、またはチタンのうちの1つ以上を備えている、項目1に記載の電解装置セル。
(項目13)
前記第1および第2のチャンバは、化学組成において異なる2つの電解質を含む、項目1に記載の電解装置セル。
(項目14)
前記光電極は、ダイオードとして機能する、項目1に記載の電解装置セル。
(項目15)
パネルを形成するように物理的に接続され、電気的に直列または並列で接続された項目1に記載の複数の電解装置セルを備えている電解装置パネル。
(項目16)
電解をもたらす方法であって、前記方法は、
項目1に記載の電解装置セルを提供することと、
前記セルの前記第1および第2のチャンバ内に電解質を設置することと、
前記光電極を放射にさらしながら、前記第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加することと
を含む、方法。
(項目17)
電気化学セルであって、前記電気化学セルは、アノード電極と、カソード電極と、前記アノードおよびカソード電極と接触している第1の電解質と、電圧制御手段とを備え、前記電圧制御手段は、前記アノード電極とカソード電極との間に電位差を印加し、および/または、電気化学セルによって発生させられた電圧を受け取り、それによって、前記電極において電気化学反応をもたらし、
1つの電極は、
容器と、
前記容器内に配置された第2の電解質と、
前記1つの電極と反対の極性の光電極であって、前記光電極は、前記第2の電解質と接触して前記容器内に配置され、前記光電極は、前記電気化学セルに衝突する放射を受け取るように配置されている、光電極と、
前記容器の外面上の導電性部材と
を備え、
前記導電性部材は、前記第1の電解質と接触し、前記光電極に電気的に接続されている、
電気化学セル。
(項目18)
電気化学セルであって、前記電気化学セルは、アノード電極と、カソード電極と、前記アノードおよびカソード電極と接触する電解質と、電圧制御手段とを備え、前記電圧制御手段は、前記アノード電極とカソード電極との間に電位差を印加し、および/または、電気化学セルによって発生させられた電圧を受け取り、それによって、前記電極において電気化学反応をもたらし、
少なくとも1つの電極は、光電極であり、前記光電極は、前記電気化学セルの外部に衝突する放射を受け取り、赤外線放射を吸収し、前記電解質を加熱するために配置され、それによって、電解効率を改良する、電気化学セル。
【国際調査報告】