(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】短波赤外線領域における造影剤としてのアザ-BODIPYタイプのフルオロフォア化合物の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 49/00 20060101AFI20221005BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20221005BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
A61K49/00
G01N33/483 C
G01N21/64 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507772
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2020071865
(87)【国際公開番号】W WO2021023731
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511148237
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ グルノーブル アルプス
(71)【出願人】
【識別番号】510148500
【氏名又は名称】ユニベルシテ ドゥ ブルゴーニュ
(71)【出願人】
【識別番号】501455677
【氏名又は名称】サントル・ナシオナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シアンティフィーク
(71)【出願人】
【識別番号】511074305
【氏名又は名称】インセルム(インスティチュート ナショナル デ ラ サンテ エ デ ラ リシェルシェ メディカル)
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サンセ,リュシー
(72)【発明者】
【氏名】ゴーゼ,クリスティーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ボディオ,ユーエン
(72)【発明者】
【氏名】ビュセル,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】プリケット,ジャケ
(72)【発明者】
【氏名】ゴダール,アメリ
(72)【発明者】
【氏名】カロット,ガディール
(72)【発明者】
【氏名】ジョスラン,ベロニク
(72)【発明者】
【氏名】ル ゲベル,グザヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】コール,ジャン-ラック
(72)【発明者】
【氏名】デナ,フランク
【テーマコード(参考)】
2G043
2G045
4C085
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043BA16
2G043DA02
2G043EA01
2G045AA25
2G045CB01
2G045FA16
2G045FA37
4C085HH03
4C085KB56
4C085LL18
(57)【要約】
本発明は、1000~1700nmの範囲の光学窓における造影剤としてのアザ-BODIPYフルオロフォア化合物の使用に関する。本発明はまた、注射システムと、該フルオロフォアまたは組成物と、を含むキット中の、該フルオロフォア化合物、ならびに薬学的に許容される賦形剤および/または溶媒を含む該組成物の造影剤としての使用、かつまた、生物学的標的(例えば、健康な細胞または腫瘍細胞、タンパク質、DNA、RNAなど)を特定するための方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのフルオロフォア化合物の1000~1700nmの範囲の光学窓における造影剤としての使用であって、
【化1】
-R
1、R
2、R
3およびR
4が、同一であるかまたは異なり、任意選択でハロゲン、-NR
cR
d、-OR
d、ヒドラジン、-CF
3および-CNから選択される少なくとも1つの基で置換されたC5~C7アリールまたはヘテロアリール基を表し、
-R
1、R
2、R
3、およびR
4の少なくとも1つが、-NR
cR
d基、ならびに任意選択でハロゲン、-OR
d、ヒドラジン、-CF
3および-CNから選択される基で置換されたC5~C7アリール基であり、
-R
5およびR
6が、同一であるかまたは異なり、水素;ハロゲン;アルデヒド、ケトン、カルボン酸またはエステル官能基を含むC1~C15基;ニトリル;-SO
3Na;任意選択でケトン、エステルまたは芳香族基で置換されたビニル基;アルキルまたは芳香族基で置換されたイミン;任意選択でアルキルまたは芳香族基で置換されたアルキン基;SPh;芳香族カルコゲン(SePh、TePh);アミド;任意選択でハロゲン、-NR
cR
d、-OR
d、ヒドラジン、-CF
3および-CNから選択された少なくとも1つの基で置換されたC5~C7アリールまたはヘテロアリール基を表し、
-任意選択でR
3およびR
5ならびに/またはR
4およびR
6が、共有結合され、一緒に、任意選択でハロゲン、-NR
cR
d、-OR
d、ヒドラジン、-CF
3および-CNから選択された少なくとも1つの基で置換されたC5~C7アリールまたはヘテロアリール基を形成し、
-R
cおよびR
dが、同一であるかまたは異なり、水素、または線状もしくは分枝状C1~C3アルキル鎖を表し、
-R
aおよびR
bは、同一であるかまたは異なり、以下:
・好ましくはフッ素および塩素を含む群から選択される、ハロゲン、
・任意選択で1つ以上の芳香族またはヘテロ芳香族基を含み、好ましくは四級アンモニウム、硫酸、スルホン酸およびホスホン酸官能基から選択される1つ以上の親水性官能基の形態で、O、N、Pおよび/またはSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意選択で含む、C1~C50、脂肪族またはヘテロ脂肪族、線状または分枝状、飽和または不飽和基、
・任意選択で1つ以上の芳香族またはヘテロ芳香族基を含み、好ましくはアミン、カルボン酸、N-ヒドロスクシンイミド型の活性化エステル、ペンタフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、スクアレート、およびより具体的にはジエチルスクアレート、マレイミド、チオール、イソチオシアネート、イソシアネート、オキサジアゾリルメチルスルホン、アジド、置換または非置換テトラジン、トリアゾール、トランスシクロオクチン、シクロオクチン、およびより具体的にはジベンゾシクロオクチンおよびビシクロノニン、ならびにPPh
2AuCl錯体から選択される1つ以上の生体共役官能基の形態で、O、N、Pおよび/またはSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意選択で含む、C1~C50、脂肪族またはヘテロ脂肪族、線状または分枝状、飽和または不飽和基、
・任意選択で1つ以上の芳香族もしくはヘテロ芳香族基を含み、好ましくは1つ以上の生体共役官能基の形態で、O、N、Pおよび/またはSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意選択で含む、C1~C50、脂肪族またはヘテロ脂肪族、線状または分枝状、飽和または不飽和基を介して共有結合した生物学的ベクター、
・キレート剤および金属で形成された、治療目的の金属錯体、
・キレート剤および放射性金属で形成された、放射性金属錯体、または
・流体力学的直径が、10nm未満の分子、環状または線状ペプチド、抗体、抗体フラグメント、ナノボディ、アフィボディ、アプタマー、短鎖DNAもしくはRNA配列、糖、多糖類、アミノ酸、ビタミン、AMD3100タイプの分子、PSMAリガンド、ステロイド、脂肪酸、ポリアミン、ポリフェノール、DNA塩基またはカフェイン誘導体を表す、使用。
【請求項2】
前記フルオロフォア化合物が、式Iの化合物から選択され、式中、R
5およびR
6が、水素である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記フルオロフォア化合物が、式Iの化合物から選択され、式中、R
1およびR
2が、同一であるかまたは異なり、-NR
cR
d基、ならびに任意選択でハロゲン、-OR
d、ヒドラジン、-CF
3および-CNから選択された基で置換されたC5~C7アリール基を表す、先行請求項のいずれかに一項に記載の使用。
【請求項4】
前記フルオロフォア化合物が、式Iの化合物から選択され、式中、R
1および/またはR
2は、好ましくはパラ位にある-NR
cR
d基で置換されたフェニル基を表す、先行請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記フルオロフォア化合物が、式Iの化合物から選択され、式中、R
aおよびR
bが、同一であるかまたは異なり、ハロゲン、好ましくフッ素から、以下の式の親水性基から、
【化2】
以下の式の生体共役官能基を含む群から、
【化3】
-NH
2および-Si(OMe)
3、
【化4】
などの生物学的ベクターを含む群から、
PPh
2-Au(I)、PPh
2-Pt(II)、PPh
2-Pt(IV)、フネイルピリジン(phneylpyridine)-Au(III)から、
DOTA-In(III)、DOTAGA-In(III)、NODAGA-Cu(II)、NODAGA-Ga(III)から、または
α
vβ
3インテグリン標的c(RGDfK)、ニューロピリン標的ATWLPPR、抗CD44、チオグルコース、過アセチル化チオグルコース、葉酸、AMD3100タイプのリガンド、PSMAリガンド、スペルミン、スペルミジン、カダベリン、プトレシン、レスベラトロール、DNA塩基、カフェイン、およびプロゲステロンから選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記フルオロフォア化合物が、式IIのフルオロフォア化合物から選択され、
【化5】
式中、
-Ra、Rb、Rc、Rdが、上記の定義を有し、
-ReおよびRfが、同一であるかまたは異なり、水素、ハロゲン、-NR
cR
d、-OR
d、ヒドラジン、-CF
3および-CNからの少なくとも1つの基を表す、先行請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記フルオロフォア化合物が、式IまたはIIの化合物から選択され、式中、RcおよびRdが、-CH
3である、先行請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記フルオロフォア化合物が、薬学的に許容される賦形剤および/または溶媒をさらに含む組成物に含まれる、先行請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記組成物が、4~10、好ましくは6~8の範囲での、または7.4のpHを有する、先行請求項に記載の使用。
【請求項10】
前記フルオロフォア化合物が、カプセル化されている、先行請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
注射システムと、上記で定義される式IまたはIIのフルオロフォア化合物、ならびに薬学的に許容される賦形剤および/または溶媒を含む組成物と、を含む、キット。
【請求項12】
少なくとも以下の工程:
-採取または培養した試料の細胞を、上記で定義される式IまたはIIのフルオロフォア化合物を含む組成物で標識する工程、
-好ましくは顕微鏡、フローサイトメトリー、蛍光反射(2Dまたは3D)による光学イメ-ジング、光学プローブにより、1000~1700nmの前記光学窓において蛍光を測定する工程、および
-標的細胞を同定する工程、を含む、生物学的標的のインビトロ同定のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学イメージングの技術分野および造影剤の分野に属し、より具体的には、超遠赤外線に対応する1000~1700nmの波長範囲で発光することができる有機造影剤の分野に属する。
【0002】
本発明は、1000~1700nmの光学窓における、アザ-BODIPYフルオロフォア化合物の造影剤としての使用に関する。本発明はまた、注射システムと、該フルオロフォアまたは組成物と、を含む、キット中の、該フルオロフォア化合物、ならびに薬学的に許容される賦形剤および/または溶媒を含む該組成物の造影剤としての使用、かつまた、生物学的標的(健康な細胞もしくは腫瘍細胞、タンパク質、DNA、RNA、脂質、またはその他の動物もしくは植物の生物学的標的部分など)のインビトロまたはインビボでの同定の方法に関する。
【0003】
説明では、([ ])の間の参照は、実施例の最後にある参考文献一覧を参照している。
【背景技術】
【0004】
光学イメージングは、900~1700nmの検出範囲(NIR IIまたはSWIR(Short Wave Infrared)と呼ばれる超遠赤外線に対応する範囲)の高感度カメラの登場により、新たなブームを経験している。この検出範囲は、および/またはより高い解像度および感度とともに、理論的には組織のより深い位置にある蛍光シグナルの観察が可能なるので(NIR Iイメージングと比較して)、光学イメージングにおいて特に興味深い。Bruns et al、Carr et al、Thimsen
et al[1]の論文に記載されているこれらの観察は、この光学範囲の組織の自家蛍光が低いために可能である。
【0005】
1000nm未満では、例えば、シアニンの範囲、Alexa、Atto、BODIPY、DyLight、ローダミン、フルオレセイン、インドシアニングリーンなど、多くの有機分子が造影剤として記載されている。さらに、これらの光学範囲での光学イメージングで使用できるQDOTなどの無機化合物がある。1000~1700nmの光学範囲の「可視」化合物には、1000nm未満の光学範囲と比較して、分解能および検出深度を向上させる光学範囲で発光するという利点がある。
【0006】
これらの新しいカメラおよび1000~1700nmの波長に適合したさまざまな光学ツール(レンズなど)の出現により、適合した造影剤の開発が必要になっている。
【0007】
したがって、これらの新しいツールで使用できる造影剤を特定すること、したがって、観察される画像の品質を大幅に向上させ、標的細胞(例えば腫瘍)をより簡単に特定し、マルチ蛍光分析での検出範囲を広げることが本当に必要である。
【0008】
単独で、カプセル化され、または目的の分子(例えば、抗体または生物学的リガンド)もしくは目的の細胞(例えば、マクロファージまたは幹細胞)に移植されて、1000~1700nmの検出範囲で発光することができるフルオロフォア化合物のクラスを本出願者が特定し、アザ-BODIPYと名付けたことは、本出願者の功績によるものである。
【0009】
本発明による造影剤の使用により、チューブ内、インビトロ、インビボまたはエクスビ
ボでの生物学的標的の分布を追跡することも可能になる。
【0010】
他の利点は、例示として与えられ、限定的ではない添付の図によって示される以下の実施例を読むことで当業者に明らかになり得る。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、式Iのフルオロフォア化合物の1000~1700nmの範囲の光学窓における造影剤としての使用であって、
【化1】
式中、
-R
1、R
2、R
3およびR
4は、同一であるかまたは異なり、任意選択でハロゲン、-NR
cR
d、-OR
d、ヒドラジン-CF
3および-CNから選択された少なくとも1つの基で置換されたC5~C7アリールまたはヘテロアリール基を表し、
-R
1、R
2、R
3、およびR
4の少なくとも1つは、-NR
cR
d基、ならびに任意選択でハロゲン、-OR
d、ヒドラジン、-CF
3および-CNから選択される基で置換されたC5~C7アリール基であり、
-R
5およびR
6は、同一であるかまたは異なり、水素;ハロゲン;アルデヒド、ケトン、カルボン酸またはエステル官能基を含むC1~C15基;ニトリル;-SO
3Na;任意選択でケトン、エステルまたは芳香族基で置換されたビニル基;アルキルまたは芳香族基で置換されたイミン;任意選択でアルキルまたは芳香族基で置換されたアルキン基;SPh;芳香族カルコゲン(SePh、TePh);アミド;任意選択でハロゲン、-NR
cR
d、-OR
d、ヒドラジン、-CF
3および-CNから選択された少なくとも1つの基で置換されたC5~C7アリールまたはヘテロアリール基を表し、
-任意選択でR
3およびR
5ならびに/またはR
4およびR
6は、共有結合され、一緒に、任意選択でハロゲン、-NR
cR
d、-OR
d、ヒドラジン、-CF
3および-CNから選択された少なくとも1つの基で置換されたC5~C7アリールまたはヘテロアリール基を形成し、
-R
cおよびR
dは、同一であるかまたは異なり、水素、または線状もしくは分枝状C1~C3アルキル鎖を表し、
-R
aおよびR
bは、同一であるかまたは異なり、以下:
・好ましくはフッ素および塩素を含む群から選択される、ハロゲン、
・任意選択で1つ以上の芳香族またはヘテロ芳香族基を含み、好ましくは四級アンモニウム、硫酸、スルホン酸およびホスホン酸官能基から選択される1つ以上の親水性官能基の形態で、O、N、Pおよび/またはSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意選択で含む、C1~C50、脂肪族またはヘテロ脂肪族、線状または分枝状、飽和または不飽和基、
・任意選択で1つ以上の芳香族またはヘテロ芳香族基を含み、好ましくは、アミン、カルボン酸、N-ヒドロスクシンイミド型の活性化エステル、ペンタフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、スクアレート、およびより具体的にはジエチルスクアレート、マレイミド、チオール、イソチオシアネート、イソシアネート、オキサジアゾリルメチルス
ルホン、アジド、置換もしくは非置換テトラジン、トリアゾール、トランスシクロオクチン、シクロオクチン、およびより具体的にはジベンゾシクロオクチン、ビシクロノニン、ならびにPPh
2AuCl錯体から選択される1つ以上の生体共役官能基の形態で、O、N、Pおよび/またはSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意選択で含む、C1~C50、脂肪族またはヘテロ脂肪族、線状または分枝状、飽和または不飽和基、
・好ましくは上記で定義された1つ以上の生体共役官能基の形態で、O、N、Pおよび/またはSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意選択で含む、C1~C50、脂肪族またはヘテロ脂肪族、線状または分枝状、飽和または不飽和基を介して共有結合した生物学的ベクター、
・キレート剤および金属で形成された、治療目的の金属錯体、
・キレート剤および放射性金属で形成された、放射性金属錯体、または
・流体力学的直径が10nm未満の分子、環状もしくは線状ペプチド、抗体、抗体フラグメント、ナノボディ、アフィボディ、アプタマー、短鎖DNAもしくはRNA配列、糖、多糖類、アミノ酸、ビタミン、AMD3100タイプの分子、PSMAリガンド、ステロイド(例えばプロゲステロン)、脂肪酸(例えばC4~C36)、ポリアミン(例えばC4~C14)、ポリフェノール、DNA塩基またはカフェイン誘導体を表す、使用に関する。
【0012】
有利には、フルオロフォア化合物は、塩または薬学的に許容される塩の形態であり得る。
【0013】
本発明の文脈において、「光学窓」は、波長範囲を意味する。本発明による造影剤として使用されるフルオロフォアは、1000~1700nm、好ましくは1000~1300nm、さらにより好ましくは1000~1100nmの範囲の光学窓において発光することができる。
【0014】
「生物学的標的」とは、健康なまたは病理細胞、細胞小器官、例えばタンパク質、脂質、DNA/RNAなどの動物または植物細胞の成分だけでなく、抗体、細胞外マトリックスの成分、または生体液の成分を意味する。
【0015】
「造影剤」とは、人為的にコントラストを増加させ、自然にコントラストが低いまたはコントラストがない、したがって、その環境下で区別するのが困難な、解剖学的構造(例えば、臓器)または病理学的構造(例えば、腫瘍)の視覚化を可能にする分子または物質を意味する。本発明の文脈において、造影剤は、NIR IIまたはSWIRとも呼ばれる超遠赤外線に属する1000nm~1700nmの範囲で発光する。
【0016】
「BODIPY」は、ホウ素-ジピロメテン単位を含む化合物であり、狭い蛍光を高い量子収率で発光する特性を有する、主に強力なUV吸収色素として知られている。それらはすべて、4,4-ジフルオロ-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセンに由来する。
【化2】
【0017】
「アザ-BODIPY」とは、8位に窒素原子を含むBODIPY化合物を意味する。
【化3】
【0018】
本発明の目的のために、「脂肪族」は、非芳香族基を意味する。脂肪族基は、環状であり得る。脂肪族基は、ヘキサンのように飽和していても、ヘキセンおよびヘキシンのように不飽和であってもよい。開鎖基(直鎖または分枝状にかかわらず)は、どのタイプの環も含まないため、脂肪族である。脂肪族基は、単結合(アルカン)によって結合した飽和(アルカン)、または二重結合(アルケン)もしくは三重結合(アルキン)を有する不飽和であってもよい。「ヘテロ脂肪族」基は、酸素、窒素、リン、および硫黄が最も一般的である1つ以上のヘテロ原子を有する脂肪族基である。
【0019】
「誘導体」という用語は、1つ以上の化学反応によって親化合物から作製された化合物または分子を指す。
【0020】
一般に、「最終的に」または「任意選択的に」という用語が先行するかどうかにかかわらず、「置換された」または「非置換の」という用語、および本発明の式に含有される置換基は、所与の構造内の水素ラジカルを特定の置換基のラジカルで置き換えることを指す。所与の構造内の複数の位置が、所与の基から選択される複数の置換基によって置き換えられ得る場合、置換基は、各位置で同じであっても異なっていてもよい。本明細書で使用される場合、「置換された」という用語は、有機化合物の許可されているすべての置換基を含むことを意図している。
【0021】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、線状および分枝状アルキル基を指す。同様の取り決めが、「アルケニル」、「アルキニル」などの他の一般的な用語に適用される。例示的なアルキル基には、これらに限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、アリル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、n-ヘキシル、sec-ヘキシルなどが含まれ、これらはまた、1つ以上の置換基を有し得る。アルケニル基には、エテニル、プロペニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテニル-2-1-イルなどが含まれるが、これらに限定されない。代表的なアルキニル基には、エチニル、2-プロピニル(プロパルギ1)、1-プロピニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書で使用される場合、「任意選択で1つ以上のヘテロ原子を含む」という用語は、O、N、PおよびSから選択される主鎖ヘテロ原子を有するか、またはそれに含まれる基を指す。
【0023】
一般に、本明細書で使用される場合、「不飽和の」という用語は、分子構造が1つ以上の炭素-炭素二重結合または三重結合を含有する基を指す。
【0024】
一般に、本明細書で使用される場合、「芳香族基」、「芳香族環もしくは芳香族複素環」または「アリール」もしくは「ヘテロアリール」という用語は、単環式もしくは多環式不飽和、安定した、置換もしくは非置換炭化水素基を指し、好ましくは3~14個の炭素原子を有し、芳香族性に関するHuckel則を満たす少なくとも1つの環を含む。芳香
族基の例としては、フェニル、インダニル、インデニル、ナフチル、フェナントリル、およびアントラシルが含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
一般に、本明細書で使用される場合、「環状」とは、置換または非置換であり、任意選択で1つ以上のヘテロ原子を含む、主鎖内または側鎖上の3~8員の環状フラグメントを指す。そのようなヘテロアリール基の例には、以下:ピリジニル、チアゾリル、チアゾリル、チエニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、ベンズアゼピニル、チアナフタレニル、インドリル、インドリニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、トリアジニル、チアントレン、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサンチニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インダゾリル、プリニル、キノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリニル、インドリニル、イソインドリニル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソキサゾリル、オキシンドリル、ベンゾキサゾリニル、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、イサチニル、ジヒドロピリジル、ピリミジニル、s-トリアゾリニル、オキサゾリル、およびチオフラニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
一般に、「独立して」という用語は、これらの用語が参照する置換基、原子、または基が、互いに独立して変数のリストから選択されるという事実を指す(すなわち、それらは同一であるかまたは異なり得る)。
【0027】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素、好ましくはフッ素および塩素から選択される原子を指す。
【0028】
「生体共役官能基」は、本発明の化合物が目的の分子、より具体的には生物学的関心の分子、好ましくは生物学的ベクターに共有結合することを可能にする化学官能基として定義される。そのような官能基の例には、これらに限定されないが、アミン、カルボン酸、N-ヒドロスクシンイミドタイプの活性化エステル、ペンタフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、スクアレート官能基、より具体的には、ジエチルスクアレート、マレイミド、チオール、イソチオシアネート、イソシアネート、オキサジアゾリルメチルスルホン、アジド、置換または非置換テトラジン、トリアゾール、トランス-シクロオクチン、シクロオクチンタイプ官能基、より具体的にはジベンゾシクロオクチン、ビシクロノニンおよびPPh2AuCl錯体がある。
【0029】
「生物学的ベクター」とは、任意のカプセル化システム、または共有結合した、または生体共役官能基を介さない特定の生物学的標的の認識を可能にする任意のリガンドを意味する。
【0030】
「キレート剤」とは、イオンを恒久的に固定して錯体を形成する性質を有する任意の化学物質、より具体的には金属カチオンを意味する。これには、環状かどうかにかかわらず、ポリアミンファミリーのキレート剤を含み得る。
【0031】
「放射性金属」とは、例えばガリウム-68またはフッ素-18などのガンマまたはベータ+放射線、またはルテチウム-177またはアクチニウム-225などのベータ-放射線またはアルファ放射線を放出する放射性金属を意味する。
【0032】
「治療目的の金属錯体」とは、それ自体で、または外部もしくは内部刺激による活性化後に、治療特性を有する原子を含む任意の錯体を意味する。それは、例えば、PR2M(M=Ru(II)、Os(II)、Ru(III)、Au(I)または(III)、Pt(II)、Pt(IV)、Pd(II)、Ir(III)、Cu(I)、Cu(II))(R=アルキル、アリール、ヘテロアリール、好ましくはトリアザホスファダマンタン)、カルベン-M(M=Ru(II)、Os(II)、Ru(III)、Au(I)または(III)、Pt(II)、Pt(IV)、Ir(III)、Cu(I)、Cu(II))、フェニルピリジン-M(M=Au(III)、Pt(II)、Ru(II)、Ir(III)、Re(V)、Au(II)、Pt(IV)、Pd(II)、Ir(III)、Cu(II)、Re(V)、Re(III)、Cu(II))、ポリピリジン(M=Au(III)、Pt(II)、Ru(II)、Ir(III)、Re(V)、Re(III)、Cu(II)、Os(II))S-M(M=Au(I)、Au(III)、Cu(I)、Cu(II)、Ti(IV)、Zr(IV)、アルキンAu(I)、ジチオカルバメート-M(M=Au(I)、Au(III)、Cu(I)、Cu(II)、キノリン-M(M=Ga、Fe)、η3-アレーン-M(M=Ru(II)、Os(II)、Cr(VI)、Mo(III))、メタロセン-M(M=Fe(II)、Fe(III)、Ti(IV)、Ti(III)、Zr(IV)、Ir(III)、Rh(III)、Cr(VI)、Ta(III)、Os(II))、サレンおよびサラン-M(M=Au(III)、Ti(IV)、Zr(IV)、Cu(II)、Pt(II)、Pd(II)、マロン酸誘導体-M(M=Pt(II)、Ti(IV))、エチレンジアミン-M(M=Pt(II)、Pd(II)、Cu(II)、Au(III)、Ru(II)、Os(II))、ベンズアルジミン-M(M=Ru(II)、Rh(III)、Ir(III))から選択される錯体であり得る。
【0033】
同様に、「放射性金属錯体」とは、放射性金属原子を含む任意の錯体を意味する。錯体は、DTPA、NOTA、NODAGA、DOTA、DOTAGA、p-NCS-Bn-DOTA、p-NCS-Bn-NOTA、DFO、サルコファジン、架橋サイクラム、サラン、サレン、HBED、ビピリジンタイプのポリピリジン、ターピリジン、フェナントロリン、ホスフィンまたはジホスフィンポリピリジン、カルベン、アレーン、シクロペンタジエン、アルキン、チオレート、フェニルピリジン、フェニルトリアゾール、から選択されるキレート剤、およびGa68、Ga67、AlF18、In111、Zr89、Sc43、Sc44、Sm153、Cu61、Cu64、Co55、Co57、Tb152、Tb157、Ru103、Ru97、Ru95、Os191 Au198、Au199、Ti45、Pt195、Pt193、Pd100、Re186、Re188から選択される放射性金属で構成され得る。錯体は、例えば、DOTAGA-111Inなどのセラノスティック適用の場合、例えば、DOTAまたはNODAGAタイプと、Lu177、Y90、Ac225、Pb212、Bi212、Eb109、Yt161、Sc47、Cu67、Tb161、Os191、Pt195、Pt193、Au199、Pd103、Re186、Re188、Sm153から選択されるPET/SPECTおよび光学イメージングまたはその他において検出可能なバイモーダルプローブを得るためにGa68およびIn111から選択される放射性金属と、で構成され得る。
【0034】
当業者によって理解されるように、構成成分の量、分子量、反応条件などの特性などを表すものを含むすべての数値は近似値であり、すべての場合において「約」という用語によって変更され得ると理解される。これらの値は、以下の説明の教示を使用する当業者が求める特性に応じて変化し得る。また、これらの値には、それぞれの試験測定で見られる標準偏差から必然的に生じる固有の変動性が含まれていることも理解される。
【0035】
当業者はまた、メンバーが同じ方法で一緒に分類される場合、例えば、Markush
群において、本発明は、リストされた群全体だけでなく、群の各メンバーを個別に、および主要群の可能な下位群のすべてを包含することを容易に認識するであろう。さらに、すべての実際上では、本発明は、主要群だけでなく、群メンバーのうちの1つ以上が不在の主要群も包含する。したがって、本発明は、列挙された群の1つ以上のメンバーの明示的な除外を提供する。したがって、保留は、開示のカテゴリーまたは実施形態のうちのいずれかに適用され得、それにより、列挙された要素、種、または実施形態のうちの1つ以上は、例えば、明示的な消極的な限定で使用される場合、そのようなカテゴリーまたは実施形態から除外され得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「異性体」という用語は、1つ以上の幾何学的、光学的、エナンチオマー、ジアステレオマー、エピマー、アトロピック、立体異性体、互変異性、立体構造または特定のアノマー形態で存在し得る化合物を指す。シス型およびトランス型;EおよびZの形態;c、tおよびrの形態;c、tおよびrの形態;エンドおよびエキソの形態;R、Sおよびメソの形態;DおよびLの形態;dおよびlの形態;(+)および(-)の形態;ケト、エノールおよびエノラートの形態;シンおよびアンチの形態;シンクリナルおよびアンチクリナルの形態;αおよびβの形態;アキシャルおよびエクアトリアルの形態;舟型、イス型、ねじれ型、シェル型、半イス型、ならびにそれらの組み合わせに限定される異性体の例は、以下、集合的に「異性体」(または「異性型」)と呼ぶ。本開示において、「異性体」という用語は、構成が異なり、異なる線状式[2]によって記述される構造異性体または構成異性体を除外する。
【0037】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され得、式中、R1、R2、R3およびR4は、同一であるかまたは異なる。R1、R2、R3、およびR4は、独立して、C5~C7アリールまたはヘテロアリール基を表し得る。R1、R2、R3およびR4は、独立して、ハロゲン、-NRcRd、-ORd、ヒドラジン、-CF3および-CNから選択される少なくとも1つの基で置換され得る。
【0038】
フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され得、式中、R1、R2、R3およびR4のうちの少なくとも1つが、-NRcRd基、ならびに任意選択でハロゲン、-ORd、ヒドラジン、-CF3および-CNから選択された基で置換されたC5~C7アリール基である。好ましくはそれがC6アリール基である場合、-NRcRd基はパラ位にある。
【0039】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され、式中、R5およびR6は、同一であるかまたは異なる。R5およびR6は、独立して、水素;ハロゲン;アルデヒド、ケトン、カルボン酸またはエステル官能基を含むC1~C15基;ニトリル;-SO3Na;任意選択でケトン、エステルまたは芳香族基で置換されたビニル基;アルキルまたは芳香族基で置換されたイミン;任意選択でアルキルまたは芳香族基で置換されたアルキン基;SPh;芳香族カルコゲン(SePh、TePh);アミド;任意選択でハロゲン、-NRcRd、-ORd、ヒドラジン、-CF3および-CNから選択された少なくとも1つの基で置換されたC5~C7アリールまたはヘテロアリール基を表す。好ましくはR5およびR6は、水素または-SO3Naである。
【0040】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され、式中、RcおよびRdは、同一であるかまたは異なる。RcおよびRdは、独立して水素または線状もしくは分枝状C1~C3アルキル鎖を表し得る。好ましくは-NRcRdは、-NH2、-NMe2、-NEt2、-NPr2を含む群から選択され、-NMe2が好ましい。
【0041】
有利には、R3およびR5ならびに/またはR4およびR6は共有結合し、一緒に、任意選択でハロゲン、-NRcRd、-ORd、ヒドラジン、-CF3および-CNから選
択される少なくとも1つの基で置換され得る、C5~C7アリールまたはヘテロアリール基を形成し得る。
【0042】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され得、式中、R5およびR6は、水素である。
【0043】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され得、式中、R1およびR2は、同一であるかまたは異なり、-NRcRd基、ならびに任意選択でハロゲン、-ORd、ヒドラジン、-CF3および-CNから選択された基によって置換されるC5~C7アリール基を表す。好ましくは、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され得、式中、R1および/またはR2は、好ましくはパラ位にある-NRcRd基で置換されたフェニル基を表す。
【0044】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され得、式中、RaおよびRbが同一であるかまたは異なる。RaおよびRbは、ハロゲン、好ましくはフッ素または塩素を表し得る。
【0045】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され得、式中、RaおよびRbは、同一であるかまたは異なる。RaおよびRbは、C1~C50、好ましくはC2~C30脂肪族またはヘテロ脂肪族、線状または分枝状、飽和または不飽和基を表し得、任意選択で1つ以上の芳香族またはヘテロ芳香族基を含み、好ましくは四級アンモニウム、硫酸塩、スルホン酸塩およびホスホン酸塩官能基から選択される1つ以上の親水性官能基の形態で、O、N、Pおよび/またはSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意選択で含む。
【0046】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され得、式中、RaおよびRbは、同一であるかまたは異なる。RaおよびRbは、C1~C50、好ましくはC5~C30、脂肪族またはヘテロ脂肪族、線状または分枝状、飽和または不飽和基を表し得、任意選択で1つ以上の芳香族またはヘテロ芳香族基を含み、好ましくはアミン、カルボン酸、N-ヒドロスクシンイミド型の活性化エステル、ペンタフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、スクアレート、およびより具体的にはジエチルスクアレート、マレイミド、チオール、イソチオシアネート、イソシアネート、オキサジアゾリルメチルスルホン、アジド、置換もしくは非置換テトラジン、トリアゾール、トランスシクロオクチン、シクロオクチン、およびより具体的にはジベンゾシクロオクチン、ビシクロノニン、ならびにPPh2AuCl錯体から選択される1つ以上の生体共役官能基の形態で、O、N、Pおよび/またはSから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意選択で含む。
【0047】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され得、式中、RaおよびRbは、同一であるかまたは異なる。RaおよびRbは、上で定義されたような生体共役官能基を含む基を介して共有結合された生物学的ベクターを表し得る。
【0048】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され、式中、RaまたはRbは、同一であるかまたは異なり、ボロセラピー(ホウ素中性子捕捉療法、すなわちBNCT)においてセラノスティクス活性を得るために、10BSH(ホウ素10に富む、Na2B12H11SHまたはナトリウムボロカプテート)を含む。
【0049】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され得、式中、RaおよびRbは、同一であるかまたは異なる。RaおよびRbは、治療目的のための金属錯体、好ましくは式PR2M(式中、Mは、Ru(II)、Os(II)、Ru(III)、Au(I)または(III)、Pt(II)、Pt(IV)、Pd(II)、Ir(III)
、Cu(I)、Cu(II)を含む群から選択される金属であり、Rは、C1~12アルキル、アリール、ヘテロアリール、好ましくはトリアザホスファダマンタン、カルベン-M(Mは、M=Ru(II)、Os(II)、Ru(III)、Au(I)または(III)、Pt(II)、Pt(IV)、Ir(III)、Cu(I)、Cu(II)を含む群から選択される金属である)、フェニルピリジン-M(Mは、Au(III)、Pt(II)、Ru(II)、Ir(III)、Re(V)、Re(III)、Cu(II)を含む群から選択される金属である)、ポリピリジン-M(Mは、Au(III)、Pt(II)、Ru(II)、Ir(III)、Re(V)、Re(III)、Cu(II)、Os(II)からなる群から選択される金属である)、S-M(Mは、Au(I)、Au(III)、Cu(I)、Cu(II)、Ti(IV)、Zr(IV)、アルキン-Au(I)からなる群から選択される金属である)、ジチオカルバメート-M(Mは、Au(I)、Au(III)、Cu(I)、Cu(II)を含む群から選択される金属である)、キノリン-M(Mは、Ga、Feを含む群から選択される金属である)、η3-アレーン-M(Mは、Ru(II)、Os(II)、Cr(VI)、Mo(III)を含む群から選択される金属である)、メタロセン-M(Mは、Fe(II)、Fe(III)、Ti(IV)、Ti(III)、Zr(IV)、Ir(III)、Rh(III)、Cr(VI)、Ta(III)、Os(II)を含む群から選択される金属である)、サレンおよびサラン-M(Mは、Au(III)、Ti(IV)、Zr(IV)、Cu(II)、Pt(II)、Pd(II)からなる群から選択される金属である)、マロネート誘導体-M(Mは、Pt(II)、Ti(IV)からなる群から選択される金属である)、エチレンジアミン-M(Mは、Pt(II)、Pd(II)、Cu(II)、Au(III)、Ru(II)、Os(II)からなる群から選択される金属である)、ベンザルジミン-M(Mは、Ru(II)、Rh(III)、Ir(III)からなる群から選択される金属である)である)の錯体から選択される金属錯体を表す。
【0050】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され得、式中、RaおよびRbは、同一であるかまたは異なる。RaおよびRbは、キレート剤および放射性金属によって形成された放射性金属錯体を表し得る。錯体は、DTPA、NOTA、NODAGA、DOTA、DOTAGA、p-NCS-Bn-DOTA、p-NCS-Bn-NOTA、DFO、サルコファジン、架橋サイクラム、サラン、サレン、HBED、ビピリジン、ターピリジン、フェナントロリン、ホスフィンまたはジホスフィン、カルベン、アレーン、シクロペンタジエン、アルキン、チオレート、フェニルピリジン、フェニルトリアゾールから選択されるキレート剤、およびGa68、Ga67、AlF18、In111、Zr89、Sc43、Sc44、Sm153、Cu61、Cu64、Co55、Co57、Tb152、Tb157、Ru103、Ru97、Ru95、Os191 Au198、Au199、Ti45、Pt195、Pt193、Pd100、Re186、Re188から選択される放射性金属で構成され得る。錯体は、セラノスティック適用の場合、例えば、DOTAまたはNODAGAタイプと、Lu177、Y90、Ac225、Pb212、Bi212、Eb109、Yt161、Sc47、Cu67、Tb161、Os191、Pt195、Pt193、Au199、Pd103、Re186、Re188、Sm153から選択されるPET/SPECTおよび光学イメージングまたはその他において検出可能なバイモーダルプローブを得るためにGa68およびIn111から選択される放射性金属と、で構成され得る。
【0051】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され得、式中、RaおよびRbは、同一であるかまたは異なり、金クラスターまたは金属錯体などの10nm未満の流体力学的直径を有する分子を意味する小分子、環状または線状ペプチド(例えばαvβ3インテグリン標的c(RGDfK)またはニューロピリン標的ATWLPPR)、抗体(例えば、抗CD44型)、抗体フラグメントまたは膜標的化ナノボディまたは細胞内受容体、アフィボディ、アプタマー、短鎖DNAもしくはRNA配列、糖(例えば、チオグ
ルコースまたは過アセチル化チオグルコース)もしくは多糖類、アミノ酸、ビタミン(例えば、葉酸タイプ)、AMD3100タイプのリガンド、PSMAリガンド、ステロイド、脂肪酸、ポリアミン(例えば、スペルミン、スペルミジン、カダベリンまたはプトレシンタイプ)、ポリフェノール(例えば、レスベラトロール)、DNA塩基、カフェイン誘導体、プロゲステロンから選択される。
【0052】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され得、式中、RaおよびRbは、同一であるかまたは異なり、ハロゲン、好ましくはフッ素から選択される。
【0053】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され得、式中、R
aおよびR
bは、同一であるかまたは異なり、以下の式の親水性基から選択される。
【化4】
【0054】
本出願では、記号
【化5】
は、表された基の分子への付着点を表す。例えば、B(ホウ素原子)への付着点であり得る。
【0055】
有利なことに、フルオロフォア化合物は、R
aおよびR
bが同一であるかまたは異なり、以下の式の生体共役官能基を含む群から選択される式Iの化合物から選択され得る。
【化6】
-NH
2および-Si(OMe)
3
【0056】
好ましくは、生体共役官能基は、N-ヒドロキシスクシンイミド、コンジュゲートイソチオシアネート、テトラジン、ジエチルスクアレート、マレイミド、オキサジアゾリルメチルスルホン、ペンタフルオロフェニル、アジド、PPh2AuCl錯体およびNH2官能基から選択され得る。
【0057】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され得、式中、R
aおよび/またはR
bは、共有結合した生物学的ベクターを含み、例えば、以下の式に応答する。
【化7】
【0058】
有利には、フルオロフォア化合物は、RaおよびRbが同一であるかまたは異なり、PPh2-Au(I)、PPH2-Pt(II)、PPH2-Pt(IV)、フネイルピリジン(phneylpyridine)-Au(III)から選択される、式Iの化合物から選択され得る。
【0059】
有利には、フルオロフォア化合物は、RaおよびRbが同一であるかまたは異なり、DOTA-In(III)、DOTAGA-In(III)、NODAGA-Cu(II)、NODAGA-Ga(III)から選択される、式Iの化合物から選択され得る。
【0060】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され得、式中、RaおよびRbは、同一であるかまたは異なり、環状または線状ペプチド(例えばαvβ3インテグリン標的c(RGDfK)またはニューロピリン標的ATWLPPR)、抗体(例えば、抗CD44型)、抗体フラグメントまたは膜標的化ナノボディまたは細胞内受容体、短鎖DNAもしくはRNA配列、糖(例えば、チオグルコースまたは過アセチル化チオグルコース)もしくは多糖類、アミノ酸、ビタミン(例えば、葉酸タイプ)、AMD3100タイプのリガンド、PSMAタイプのリガンド、ステロイド(例えばプロゲステロン)、脂肪酸(例えばC4~C36)、ポリアミン(例えば、スペルミン、スペルミジン、カダベリンまたはプトレシンタイプ)、ポリフェノール(例えば、レスベラトロール)、DNA塩基、カフェイン誘導体(例えばカフェイン)から選択される。
【0061】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され得、式中、RaおよびRbは、同一であるかまたは異なり、環状または線状ペプチド(例えばαvβ3インテグリン標的c(RGDfK)またはニューロピリン標的ATWLPPR)、抗体(例えば、抗CD44型)、膜標的化抗体フラグメントまたは細胞内受容体、短鎖DNAもしくはRNA配列、糖(例えば、チオグルコースまたは過アセチル化チオグルコース)もしくは多糖類、アミノ酸、ビタミン(例えば、葉酸タイプ)、AMD3100タイプのリガンド、ステロイド(例えばプロゲステロン)、脂肪酸(例えばC4~C36)、ポリアミン(例えば、スペルミン、スペルミジン、カダベリンまたはプトレシンタイプ)、ポリフェノー
ル(例えば、レスベラトロール)、DNA塩基、カフェイン誘導体(例えばカフェイン)から選択される。
【0062】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iの化合物から選択され得、式中、R
aおよびR
bは、同一であるかまたは異なり、以下の式の群から選択される。
【化8】
【0063】
有利には、フルオロフォア化合物は、式Iのフルオロフォア化合物から選択され得、式中、R
5およびR
6はHであり、R
1およびR
2は
【化9】
であり、R
3およびR
4は、それぞれ、式IIの
【化10】
であり、
【化11】
式中、
-R
a、R
b、R
c、R
dは、上記の定義を有し、
-R
eおよびR
fは、同一であるかまたは異なり、水素、ハロゲン、-NR
cR
d、-OR
d、ヒドラジン、-CF
3およびCNのうちの少なくとも1つを表す。
【0064】
有利には、フルオロフォア化合物は、式IまたはIIの化合物から選択され得、式中、RcおよびRdが-CH3である。
【0065】
有利には、フルオロフォア化合物は、IIの化合物から選択され得、式中、ReおよびRfは、Hまたは-OMeであり、好ましくはパラ位にある。
【0066】
有利には、フルオロフォア化合物は、薬学的に許容される賦形剤および/または溶媒をさらに含む組成物に含まれ得る。これは、当業者がそのpH、浸透圧、粘度または溶解度を変更するために組成物に入れることができる任意の薬学的に許容される賦形剤であり得る。例としては、NaCl(0.9%の水性)、5g/Lグルコース溶液、ppi水、またはPBSおよび他の薬学的に許容される緩衝液などの緩衝液が含まれる。
【0067】
有利には、組成物は、4~10の範囲、好ましくは6~8または6.8~7.6の範囲
のpHを有し得る。好ましくは組成物のpHは7.4である。
【0068】
有利には、組成物中のフルオロフォア化合物の濃度は、0.1~1000μmol/L、好ましくは1~100μmol/Lまたは10~40μmol/Lの範囲(これらの値は特にインビトロ検出に適合する)であるか、またはマウスにおいて4nmol/kg~300μmol/kg、好ましくは40nmol/kg~12.5μmol/kg、または約1~1.5μmol/kg(これらの値は特にインビボ検出に適合する)の範囲である。
【0069】
有利には、フルオロフォア化合物をカプセル化することができる。本発明の文脈において、「カプセル化された」とは、いくつかのフルオロフォア化合物を一緒にグループ化し、場合によっては保護し、脂質ナノ粒子、特に多糖類に基づくナノ製剤、カーボンナノチューブ、ミセルなどの目的の標的にそれらを導くことを可能にする任意の生物学的に適合性のある物体を意味する。例えば、フルオロフォア化合物は、Gravier et alの論文[3]に記載されているリポソーム、Hirsjarvi et alの論文[4]に記載されている脂質カプセル、またはGarcia et alの論文[5]に記載されている多糖類ナノ製剤などの疎水性ナノドメインを含む親油性製剤にカプセル化され得る。
【0070】
有利には、フルオロフォア化合物は、ナノ粒子に共有結合され得る。カップリングは、上で定義したとおり生体共役官能基を保有するRaまたはRbの基を介して実施され得る。式IまたはIIの化合物に共有結合することができるナノ粒子は、10kDa未満のサイズを有する小さなナノ粒子のタイプ、または脂質ナノ粒子であり得る。これらは、例えば、金ナノクラスターまたはリピドットであり得る。
【0071】
本発明はまた、注射システムを含むキット、および上記で定義された式IまたはIIのフルオロフォア化合物、ならびに薬学的に許容される賦形剤および/または溶媒を含む組成物に関する。
【0072】
本発明はまた、生物学的標的(例えば、健康な細胞または腫瘍細胞、タンパク質、DNA、RNAなど)を少なくとも以下の工程を含むインビトロで同定するための方法に関する。
-採取または培養したサンプルの細胞を、上記で定義した式IまたはIIのフルオロフォア化合物を含む組成物で標識する。
-光学窓内の蛍光の測定は、1000~1700nmの範囲で構成され、
-標的細胞の同定。
【0073】
有利なことに、本発明によるインビトロ同定法において、組成物中のフルオロフォア濃度は、0.1~1000μmol/L、好ましくは1から100μmol/Lまたは10~40μmol/Lの範囲である。
【0074】
有利には、サンプルの細胞の標識は、注入によって、またはフルオロフォアを含む組成物の噴霧によって実施される。
【0075】
有利には、1000~1700nmの間隔に含まれる光学窓における蛍光の測定は、当業者に知られており、該蛍光を測定することができる任意の手段によって実施される。これは、例えば、共焦点顕微鏡法または落射蛍光フローサイトメトリー、蛍光反射(2Dまたは3D)による光学イメージング、または手術を支援するための、またはマルチウェルプレートの読み取りに適合する光学プローブによるものであり得る。
【0076】
本発明はまた、生物学的標的(例えば、健康な細胞または腫瘍細胞、タンパク質、DNA、RNAなど)のインビボ同定のための方法に関し、少なくとも以下の工程:
-上記で定義された式IまたはIIのフルオロフォア化合物を含む組成物を注射または噴霧により、対象の細胞を標識する工程、
-1000~1700nmの範囲で含む、光学窓において蛍光を測定する工程、および
-標的細胞を同定する工程を含む。
【0077】
有利なことに、本発明によるインビボ同定方法において、組成物中のフルオロフォア濃度は、マウスにおいて4nmol/kg~300μmol/kg、好ましくは40nmol/kg~12.5μmol/kg、または約1~1.5μmol/kgの範囲である。
【0078】
有利には、サンプルの細胞の標識は、注入によって、またはフルオロフォアを含む組成物の噴霧によって実施される。
【0079】
有利には、1000~1700nmの間隔に含まれる光学窓における蛍光の測定は、当業者に知られており、該蛍光を測定することができる任意の手段によって実施される。これは、例えば、落射蛍光または共焦点顕微鏡、フローサイトメトリー、蛍光反射(2Dまたは3D)による光学イメージング、または手術を支援するために使用される、またはプレートリーダーに適合されたものなどの携帯型光学プローブによるものであり得る。
【0080】
本明細書で使用されるインビボモデルは、マウスに基づいている。有利には、本発明による方法において、インビボで投与される組成物中のフルオロフォア濃度は、マウスにおいて4nmol/kg~300μmol/kg、好ましくは40nmol/kg~12.5μmol/kg、または約1~1.5μmol/kgの範囲である。他の投与は、例えばReagan-Shaw et alの論文に記載されているように、種間変換に従って行うことができる[6]。
【0081】
非限定的な方法で、本発明に関連する以下の利点に言及することができる。
-観察された画像の品質の向上、画像の解像度の向上(NIRイメージングと比較して)、
-インビボでの腫瘍の観察を含む、腫瘍細胞のより簡単な識別、
-生物学的標的の深部組織検出、
-インビトロまたはインビボでのチューブ内の生物学的標的の分布をモニタリングする可能性、
-マルチラベリング分析において使用できる波長範囲の拡大、
-複数の標識における蛍光化合物の範囲の拡張、
-SWIRまたは超遠赤外線と呼ばれる1000nmを超える光学範囲におけるイメージングの可能性、
-また、このイメージング技術を光音響イメージングと組み合わせる可能性、
-組織の散乱および自家蛍光の低減。
【0082】
さらに、本発明によれば、光学造影剤は、単独で使用することも、目的の分子に結合させることも、またはナノ製剤にカプセル化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1】アザ-BODIPY(AG22)注射前および注射後24時間の右後肢にU87MG腫瘍を有するマウスを示す。上段は、NIRイメージングで記録したものである。Fluo800は、780nmでの励起、および830~900nmでの収集に対応する。下段は、830nm(SWIR800)で励起し、発光を1064nmのロングパスフィルター、すなわち1064~1700nmを使用して収集したものである。
【
図2】化合物AG22およびAG04の発光スペクトルを示す。
【
図3】左から右に、AG66化合物注射前、注射後5時間、48時間後の右後肢にU87MG腫瘍を有するマウスを示す。
【実施例】
【0084】
実施例1:本発明による造影剤の合成
材料および方法
特に明記しない限り、反応は通常の雰囲気下でテクニカルグレードのCarlo Erba溶媒中で実施した。無水条件を必要とする実験は、アルゴン下で実施した。乾燥溶媒は、Carlo Erbaから購入し、安定化せず、MB-SPS-800(MBraun)またはPureSolv-MD-5(Inert(登録商標))を使用して乾燥させた。すべての市販試薬は、Sigma-Aldrich(登録商標)またはACROS Organics(登録商標)から購入し、精製せずに受け取ったまま使用した。TOTA-Boc(boc-1-アミノ-4,7,10-トリオキサ-13-トリデカンアミン)は、Iris Biotech GmbH(登録商標)から購入し、10B-BSHは、Katchem(登録商標)から購入した。反応モニタリングをHPLC-MSおよび厚さ0.2mmのMerck(登録商標)60F254シリカゲルプレートでの薄層クロマトグラフィーで行い、UV(254nm)で明らかにした。クロマトグラフィーカラムの精製は、Sigma-Aldrich(登録商標)テクニカルシリカゲル、40~63μm、230~400メッシュ、60Åで行った。
【0085】
NMRスペクトル(1H、13C)をBruker 500 Avance IIIまたはBruker 600 Avance III HD(二重共鳴ブロードバンドプローブを備える)で記録した。化学シフトをppmで表し、残留溶媒シグナルを基準として、TMS(1H、13C)に対して示す。高分解能質量スペクトルをThermo LTQ Orbitrap XL ESI-MS分光計で記録した。NMRおよび質量分析をPlateforme d’Analyse Chimique et de Synthese Moleculaire de l’Universite de Bourgogne(PACSMUB)で行った。
【0086】
HPLC-MS分析は、ダイオードアレイ検出器(Thermo-Dionex DAD 3000-RS)と、Phenomenex Kinetex(登録商標)カラム(2.6μm、C18、100Å、LC 50×2.1mmカラム)を備えたシンプルなMSQ Plus四重極型質量分析計とを備えたThermo-Dionex Ultimate 3000機器(ポンプ+オートサンプラー(20℃)+カラムオーブン(25℃))で行った。特性評価に使用した勾配は以下のとおりであった(勾配A)。
【表1】
【0087】
セミ分取HPLC精製を、2つのLC-20ATポンプ、SPD-20A UV/Vi
s検出器、FRC-10Aフラクションコレクター、SIL-10APサンプラー、およびCBM-20Aコントロールユニットを備えた島津HPLC機器で行った。使用したカラムは、Shim-Pack GIST 5μm C18 10×250mmカラムで、使用した勾配は以下のとおりである。
【表2】
【0088】
化合物AG22
【化12】
18μLのN,N-ジメチルプロパルギルアミン(156μmol、2当量)をアルゴン(シュレンクガラス製品)下で2mLのTHF(テトラヒドロフラン)に溶解する。次に、臭化マグネシウムエチル(0.17mL、170μmol、2.2当量)を添加し、混合物を45分間還流し、室温に戻し、次にカニューレを介して、アザ-BODIPY前駆体(50mg、78μmol、1当量)を含有する第2のシュレンクに移す。次に、混合物をアルゴン下で、45分間還流下で撹拌し、次に2mLのEtOHを添加することにより反応を停止させる。溶媒を減圧下での蒸発により除去する。形成された粗生成物を10mLのAcOEtに可溶化し、次に10mLの蒸留水を添加する。撹拌後、分液漏斗で沈降させた後、有機相を取っておき、水相を10mLのAcOEtで2回抽出する。有機相を合わせ、2回希釈したNaHCO
3水溶液10mLで2回洗浄し、無水MgSO
4上で乾燥させる
。得られた溶液を濾過し、減圧下での蒸発により溶媒を除去する。残留物をシリカゲルクロマトグラフィーカラム(溶離液:98/2 DCM/MeOH→100%MeOH)で精製して、AG22を紫色のキラキラ光る粉末(51.1mg、66.3μmole、85%)として単離する。
【0089】
1H NMR(CDCl3、500MHz)δ(ppm):8.18(d;3J=8.
9Hz;4H);8.05(d;3J=9.0Hz;4H);6.97(d;3J=9.0Hz;4H);6.77(d;3J=8.9Hz;4H);6.77(s;2H);3.86(s;6H);3.27(s;4H);3.08(s;12H);2.26(s;12H)。
【0090】
13C NMR{1H}(CDCl3,150MHz)δ(ppm):160.8;156.5;150.8;143.0;142.4;132.0;130.6;125.6;121.0;115.6;113.4;112.0;55.4;48.0;42.3;40.2
【0091】
HR-MS(ESI)(Da):C48H52BN7O2[M+H]+のm/z計算値770.42755;実測値770.43559。
【0092】
分析用HPLC(勾配A):Tr=4.46分。
【0093】
化合物AG24
【化13】
AG22(30mg、39μmol、1当量)を3mLのDCM(ジクロロメタン)に溶解する。次にヨードメタン(1.5mL、大過剰)を添加し、反応媒体を室温で1時間撹拌する。次に、溶媒を減圧下で除去し、得られた粗生成物を10mLのH
2O/DCM混合物(1:1)に可溶化する。DCM(3×5mL)で水相を抽出し、次に第2の工程で得られた有機相を水(8×10mL)で抽出する。回収した水相を蒸発させ、形成された沈殿物をHPLC(勾配A)で精製する。得られた固体を凍結乾燥して、青緑色の固体として純粋なAG24を得る(17.8mg、17.2μmol、44%)。
【0094】
1H NMR(DMSO、500MHz)δ(ppm):8.24(d;3JHe-Hf=8.9Hz;4H);8.10(d;3JHb-Hc=9.0Hz;4H);7.22(s;2H);7.11(d;3JHb-Hc=9.0Hz;4H);6.86(d;3JHe-Hf=8.9Hz;4H);4.00(s;4H);3.87(s;6H);3.07(s;12H);2.78(s;18H)。
【0095】
HR-MS(ESI)(Da):m/z=C50H58BN7O2
2+[M]2+の計算値399.73670;実測値399.73869。
【0096】
分析用HPLC(勾配A):Tr=4.49分。
【0097】
化合物AG38
【化14】
AG22(250mg、0.32mmol、1当量)を50mLのTHFおよび8mLのH
2Oに溶解させる。NaHCO
3(137mg、1.63mmol、5.1当量)添加し、続いて4-ブロモエチル安息香酸(144mg、0.67mmol、2.1当量)を添加する。反応混合物を室温で一晩撹拌する。90mLのEt
2Oおよび90mLのH
2Oを添加し、有機相と水相を分離する。水相を4-ブロモメチル安息香酸の残りの痕跡を除去するためのEt
2O(6×60mL)で洗浄した。次に、水相を、ロータリーエバポレーター(35℃の浴)中で水を蒸発させることにより、初期容量の1/3に減少させる。次に塩酸(3M)10mLを添加する。次にフラスコの内容物を遠心分離する。上清を除去し、ペレットをEt
2O 15mLに懸濁し、再び遠心分離する。この操作を3回繰り返し、次に得られたペレットをMeOHに可溶化し、ロータリーエバポレーター(35℃浴)で蒸発乾固させて、純粋なAG38を黒色のフレーク状粉末(336mg、0.28mmol、85%)として得る。
【0098】
1H NMR(DMSO、500MHz)δ(ppm):8.30(d;3J=8.9Hz;4H);8.12(d;3J=9.0Hz;4H);7.95(d;3J=8.3Hz;4H);7.43(d;3J=8.3Hz;4H);7.28(s;2H);7.08(d;3J=9.0Hz;4H);6.88(d;3J=8.9Hz;4H);4.24(s;4H);3.96(s;4H);3.74(s;6H);3.08(s;12H);2.76(s;12H)。
【0099】
分析用HPLC(勾配A):Tr=4.50分。
【0100】
化合物AG57
【化15】
AG22(75mg;0.097mmol、1当量)を、アルゴン下で250mLフラスコ内の60mL乾燥THFに溶解する。次に、4-ブロモエチル安息香酸(23mg;0.106mmol、1.1当量)を添加し、混合物を一晩還流下で撹拌する。冷却後、上澄みを除去し、形成された沈殿物をTHF(3×15mL)、ジエチルエーテル(2×15mL)、およびペンタン(2×15mL)で洗浄する。すべての上清を合わせ、溶媒を減圧下で除去する。得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィーカラム(8:2トルエン/MeOH→100%MeOH)で精製して、AG57を黒色のフレーク状粉末(20.7mg、0.021mmol、22%)として単離する。
【0101】
1H NMR(DMSO、500MHz)δ(ppm):8.36(d;3J=8.9Hz;4H);8.07(d;3J=9.0Hz;4H);7.98(d;3J=8.3Hz;2H);7.24(d;3J=8.3Hz;2H);7.00(d;3=9.0Hz;4H);6.96(s;2H);6.82(d;3J=8.9Hz;4H);3.84(s;2H);3.75(s;6H);3.39(s;2H);3.25(s;2H);3.06(s;12H);2.58(s;6);2.24(s;6H)
【0102】
分析用HPLC(勾配A):4.48分。
【0103】
化合物AG46
【化16】
AG38(250mg、0.209mmol、1当量)を100mLフラスコ内の10mL無水DMF(ジメチルホルムアミド)に溶解する。HBTU(208mg、0.548mmol、2.6当量)を10mLの無水DMFに溶解してから、反応混合物に添加する。次に、341μL(1.959mmol、9.3当量)のDIPEA(ジイソプロピルエチルアミン)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌する。109.2mg(0.618mmol、2.9当量)の2-アミノエチルマレイミド塩酸塩を10mLの無水DMFに溶解した後、反応媒体に加え、室温で一晩撹拌し、蒸発乾固させた後、セミ分取HPLC(25%ACN勾配→100%プログラム30分)によって純粋なAG46を緑色の固体(151mg、0.133mmol、63%)として単離する。
【0104】
1H NMR(MeOD、500MHz)δ(ppm):8.36(d;3J=8.9Hz;4H);8.19(d;3J=8.9Hz;4H);7.72(d;3=8.2Hz;4H);7.39(d;3J=8.2Hz;4H);7.22(s;2H);7.18(d;3J=8.9Hz;4H);7.09(d;3J=8.9Hz;4H);6.76(s;4H);4.18(s;4H);3.87(s;4H);3.76(s;6H);3.71(dd;3J=6.3Hz;3J=4.6Hz;2H);3.52(dd;3J=6.3Hz;3J=4.6Hz;2H);3.20(s;12H);2.84(s;12H)
【0105】
13C NMR(DMSO,150MHz):171.1;165.6;160.9;158.6;158.3;158.1;157.8;155.9;151.0;142.1;141.6;136.0;134.6;132.5;132.0;130.4;130.1;127.6;124.3;119.8;116.7;116.0;114.7;113.7;112.1;64.6;55.4;54.0;49.1;37.7;37.1。
【0106】
HR-MS(ESI)(Da):C76H78BN11O8
2+[M]2+のm/z計算値641.80585、実測値641.80752。
【0107】
HPLC分析(勾配A):Tr=4.56分。
【0108】
化合物AG49
【化17】
AG46(120mg;79μmol;1当量)を10mLフラスコ内の2mLのACN(アセトニトリル)に溶解する。次に、42mg(166μmol;2.5当量)のBSHを添加し、反応物を40℃で48時間撹拌する。反応混合物をファルコンチューブに移し、遠心分離する。上澄みを取り除き、ペレットをACN(3×15mL)、DCM(1×15mL)、Et
2O(2×15mL)、ペンタン(2×15mL)で再度洗浄し、AG49を青色沈殿物(62mg、41.9μmol、53%)として単離する。
【0109】
1H NMR(DMSO、500MHz)δ(ppm):8.65-8.63(m;1H);8.48-8.42(m;1H);8.33-8.30(m;4H);8.13-8.11(m;4H);7.82-7.75(m;4H);7.39-7.36(m;4H);7.28-7.27(m;2H);7.09-7.07(m;4H);7.00-6.99(m;1H);6.89-6.85(m;4H);4.17(t;3J=17.9Hz;4H);3.97-3.90(m;4H);3.74-3.73(m;6H);3.62(dd;3J=8.0Hz;4J=3.1Hz;2H);3.59-3.55(m;2H);3.54-3.48(m;4H);3.07(s;12H);3.03(d;3J=8.5Hz;1H);2.99(d;3J=8.5Hz;1H);2.78-2.73(m;13H);1.03(bs;11H)。
【0110】
HR-MS(ESI)(Da):C76H90B10B12N11Na2+O8S2+[M+2Na]2+のm/z計算値746.90622、実測値746.90811。
【0111】
HPLC分析(勾配A):Tr=5.32分。
【0112】
化合物AG58
【化18】
AG35-3(35mg;0.029mmol;1当量)を50mLフラスコ内の3mLのDMFに溶解する。次に、3mLのDMFに溶解した25mgのHBTU(Hexafluorophosphate Benzotriazole Tetramethyl Uronium)(2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)(0.067mmol;2.3当量)を導入し、続いて40μLのDIPEA(0.232mmol、8当量)を導入する。反応物をアルゴン下で、室温で30分間撹拌した。3mLのDMF中のH
2N-CH
2-CH-(SO
3
-)
2の0.5M溶液(TBAまたはテトラブチルアンモニウム塩)(61μL、0.030mmol、1.1当量)を反応媒体に添加し、次にこれを室温で1時間撹拌する。次に、3mLのDMF中の14mg(0.030mmol、1.1当量)のTOTA-Bocを溶液に添加し、これをさらに室温で1時間撹拌する。反応混合物を蒸発乾固し、30mLのACNに可溶化し、次に15mLのHCl(3M)を添加する。反応物を40℃で2時間撹拌する。反応粗生成物を蒸発乾固し、セミ分取HPLC(勾配25%→100%、プログラム40分)で精製し、凍結乾燥して、純粋なAG58を緑色の粉末(7mg、5μmol、18%)として得る。
【0113】
1H NMR(DMSO、500MHz)δ(ppm):8.69(t;3J=4.4Hz;1H);8.50(t;3J=5.5Hz;1H);8.23(d;3J=8.9Hz;4H);8.12(d;3J=9.0Hz;4H);7.94(d;3J=8.3Hz;2H);7.90(d;3J=8.3Hz;2H);7.63(d;3J=8.3Hz;2H);7.60(bs;3H);7.56(d;3J=8.3Hz;2H);7.18(s;2H);6.98(d;3J=8.9Hz;4H);6.87(d;3J=8.9Hz;4H);4.60(s;2H);4.28(s;2H);3.95(t;3
J=4.4Hz;2H);3.80(s;2H);3.72(t;3J=4.9Hz;1H);3.63(s;6H);3.51-3.41(m;12H);3.33(dd;3J=12.4Hz;3J=6.6Hz;4H);3.07(s;12H);3.06-3.01(m;4H);2.85-2.82(m;2H);2.72(s;6H);1.79-1.73(m;4H);1.60-1.55(m;2H)。
【0114】
HR-MS(ESI)(Da):C76H93BN10O13S2
2+[M]2+のm/z計算値714.32235、実測値714.32560。
【0115】
HPLC分析(勾配A):Tr=4.32分。
【0116】
化合物AG60
【化19】
AG57-3(21mg;0.021mmol;1当量)を2mLのDMFに溶解する。20mg(0.052mmol;2.5当量)のHBTUを2mLに溶解してから、AG57-3溶液に添加し、続いて32μL(0.160mmol;8.6当量)のDIPEAを添加する。反応混合物をアルゴン下で、30℃で撹拌した。30分後、10mg(0.024mmol;1.1当量)のTOTA-Bocを加え、溶液を30℃で1.5時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物をシリカゲルクロマトグラフィーカラム(溶離液:100%DCM→50/50のDCM/MeOH)で精製し、TOTA中間体を黒色固体として単離できるようにする。
【0117】
次に、アルゴン下の25mLフラスコ内で、前の中間体を4mLの乾燥DCMに溶解す
る。ヨードメタン(1mL、大過剰)を添加し、反応物を室温で1時間撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物を20mLのACNに可溶化する。HCl水溶液(3M)10mLを添加し、反応物を40℃で2時間撹拌させておく。反応媒体を蒸発乾固し、セミ分取HPLC(20%ACN勾配→30分で100%)で精製し、次に一晩凍結乾燥して純粋なAG60を青色の固体(4mg、2.4μmol、14%)として単離する。
【0118】
1H NMR(ACN、500MHz)δ(ppm):8.21-8.19(m;2H);8.18-8.15(m;2H);8.11-8.08(m;4H);7.89(t;3J=8.6Hz;2H);7.86(s;1H);7.52(bs;3H);7.36(d;3J=8.0Hz;1H);7.32(d;3J=8.1Hz;1H);7.04-7.01(m;4H);7.00(d;3J=8.7Hz;2H);6.89-6.86(m;4H);4.01(s;1H);3.86(s;1H);3.85(s;1H);3.81(s;1H);3.80(s;3H);3.76(s;3H);3.66(q;J=5.5Hz;2H);3.60-3.58(m;4H);3.57-3.55(m;6H);3.53(t;3J=5.8Hz;2H);3.44(quin;3J=6.4Hz;3H)3.35(s;1H);3.08(s;12H);2.83(s;5H);2.70(s;3H);2.66(s;3H);2.60(s;3H);1.90-1.85(m;3H);1.83-1.78(m;2H)。
【0119】
HR-MS(ESI)(Da):C67H85BN9O6
3+[M]3+のm/z計算値374.22331、実測値374.22292。
【0120】
HPLC分析(勾配A):Tr=4.18分。
【0121】
化合物AG47
【化20】
10mLフラスコ内で、2-アミノエチルマレイミド塩酸塩(10.3mg;58μmol;1当量)を2mLのACNに溶解する。次に、
10B-BSH(12.3mg;58μmol;1当量)を添加し、反応物を室温で1時間撹拌する。反応粗生成物を蒸発乾固させて、AG47を白色の固体として単離する(23mg;58μmol;1当量)。
【0122】
化合物AG66
【化21】
100mLフラスコ内で、AG38(200mg;178μmol;1当量)を16mLのDMFに溶解する。HBTU(158mg;406μmol;2.3当量)を16mLに溶解してから反応物に添加し、続いてDIPEA(248μL;800μmol;8当量)を添加する。反応物をアルゴン下で、室温で30分間撹拌させておいた。AG47(72mg;186μmol;1.05当量)を16mLのDMFに溶解し、反応媒体に加える。反応物を室温で1時間撹拌する。TOTA-Boc(78mg;186μmol;1.05当量)を16mLのDMFに溶解してから、添加する。1時間後、フラスコの内容物を分液漏斗に移し、100mLのDCMおよび50mLのH
2Oを添加する。2つの相を分離し、水相をDCM(3×50mL)で抽出する。有機相を合わせ、ブライン(1×100mL)で洗浄し、蒸発乾固させる。得られた粗生成物を40mLのACNに可溶化し、15mLのHCl(3M)を添加する。混合物を40℃で2時間撹拌させておき、粗生成物を蒸発乾固させてから、セミ分取HPLC(勾配A)で精製する。得られた生成物をCl
-イオン交換樹脂(IRA410)上に流し、AG66を緑色の沈殿物(33mg、21μmol;12%)として単離する。
【0123】
1H NMR(ACN-d3/D2O、600MHz、343K)δ(ppm):8.19(d、3J=8.2Hz;4H);8.07(d3J=8.3Hz、4H);7.68-7.64(m、4H);7.35-7.22(m;10H);7.11(s、2H);7.01-6.99(m、4H);4.10(s;2H);3.95(s;2H);3.78(s、2H);3.65-3.63(m、8H)、3.55-3.52(m、12H);3.50-3.48(m、3H);3.42-3.38(m、2H)、3.35-3.32(m、2H)、3.04-3.02(m、2H);2.99-2.96(m、1H);2.92-2.88(m、1H);2.74(s、6H);2.66(s、6H)、1.85(p、3J=5.9Hz、2H);1.80-1.76(m、2H);1.21(bs;11H)
【0124】
13C NMR(ACN-d3/D2O、125MHz、343K)δ(ppm):28.1;30.3;30.4;38.9;39.4;39.8;41.1;41.1;4
3.3;43.4;45.3;51.7;56.4;56.6;57.4;67.4;67.5;70.1;70.3;71.1;71.2;71.2;71.2;71.3;71.4;88.2;115.9;119.1;125.8;129.4;129.6;129.6;129.9;131.3;131.4;132.5;132.6;134.1;134.3;134.4;137.7;138.1;138.2;142.3;144.5;147.9;159.2;163.3;169.6;169.6;180.4;181.9。
【0125】
11B NMR(ACN-d3/D2O、193MHz、343K):-9.39(bs、アザ-BODIPY);-14.59(bs、BSH);-16.20(s、BSH);-19.10(bs、BSH)
【0126】
10B NMR(ACN-d3/D2O、64MHz、343K):-9.08(bs、アザ-BODIPY);-16.27(s、BSH);-17.28(s、BSH)。
【0127】
HR-MS(ESI)(Da):C80H107
11B10B12N11O9S+[M]+のm/z計算値1528.96140、実測値1528.96362。
【0128】
HPLC分析(勾配A):Tr=4.53分。
【0129】
実施例2:小動物の蛍光イメージング法
現在の倫理的推奨に従って、5週齢のメスのNMRI Nu/Nuマウスを5匹のグループに分けてケージに入れ、餌と水を自由に摂取させ、昼/夜の照明を12:00~12:00に設定する。
【0130】
6週齢で、U87MG腫瘍細胞(300万/100μL)を右下肢に皮下注射した。この注射中に動物をガス麻酔で鎮静させた。動物は、腫瘍発生の期間、すなわち約3週間、ケージに戻す。
【0131】
腫瘍が約100mm3以上に達したとき、AG22化合物を含有する溶液をガス麻酔下に置かれた動物の尾静脈に静脈内注射する(25~50μg/マウス)。その後、動物は外部イメージングフェーズ中に目覚める。イメージングセッションごとに、動物をガス麻酔下に置き、イメージングを行ってから、動物をケージに戻す。
【0132】
830nmで励起してイメージングを行い、次に1064~1700nmのロングパスフィルターを使用して蛍光シグナルを収集する。
【0133】
AG22化合物の注射の前および24時間後に、右後肢にU87MG腫瘍を有するマウスを観察する(
図1)。上段は、NIRイメージングで記録したものである。Fluo800は、780nmでの励起、および830~900nmでの収集に対応する。下段は、830nm(SWIR800)で励起し、1064nmのロングパスフィルターを使用して発光を収集したものである。
【0134】
化合物AG66を用いて実験を繰り返す。
【0135】
左から右に、それぞれ、AG66化合物の注射前、注射後5時間、および48時間後に観察した、右後肢にU87MG腫瘍を有するマウスを示す。
【0136】
したがって、本発明による化合物は、1000~1700nmの波長範囲で観察することができ、これらの波長は、より良好な分解能で検出深度を容易にする。
【0137】
本発明による化合物はまた、ホウ素錯体などの小さな化合物の送達を可能にする。
【0138】
参考文献一覧
[1]Bruns et al,Nat Biomed Eng.2017;doi:10.1038/s41551-017-0056/Carr et al,Proc Natl Acad Sci USA.2018 115(17):4465-70/Thimsen et al,Nanophotonics 2017;6(5):1043-1054).
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【国際調査報告】