(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】関節窩プロテーゼを移植するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/17 20060101AFI20221005BHJP
A61F 2/40 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
A61B17/17
A61F2/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507908
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(85)【翻訳文提出日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 US2020045211
(87)【国際公開番号】W WO2021030146
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516058229
【氏名又は名称】ハウメディカ オステオニクス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Howmedica Osteonics Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デランサート,ピエリック
(72)【発明者】
【氏名】スローン,ウィリアム・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ボール,ロバート・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルチ,ジャイルス
(72)【発明者】
【氏名】ボイロー,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】アスワル,ジョージ・エス
(72)【発明者】
【氏名】ワーナー,ジョン・ジェイピィ
(72)【発明者】
【氏名】タシュジアン,ロバート・ゼット
(72)【発明者】
【氏名】キーナー,ジェイ・ディ
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA11
4C097BB04
4C160LL04
4C160LL12
4C160LL21
(57)【要約】
関節窩プロテーゼを移植するための様々な装置及び方法が開示される。様々な実施形態では、肩の手術を実施するための方法は、リーミング軸に沿ってガイドピンを関節窩表面へと誘導することを含み得る。部分リーミングガイドは、ガイドピンに沿って、関節窩表面と接触して配置され得る。関節窩表面をリーミングするために、ガイドピンに沿ってリーマが誘導され得る。リーマが部分リーミングガイドに接触するまで、ガイドピンに沿ってリーマはさらに前進され得、このような接触により、リーミングは関節窩表面の一部のみに制限される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肩の手術を実行するための方法であって、
リーミング軸に沿ってガイドピンを関節窩表面へと誘導することと、
前記ガイドピンに沿って、部分リーミングガイドを前記関節窩表面と接触させて配置することと、
前記関節窩表面をリーミングするために、前記ガイドピンに沿ってリーマを前進させることと、
前記リーマが前記部分リーミングガイドに接触するまで、前記ガイドピンに沿って前記リーマをさらに前進させることであって、このような接触により、リーミングは前記関節窩表面の一部のみに制限される、前記さらに前進させることと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
関節窩ベースプレートのアンカーペグを受け入れるように構成されチャネルを、前記関節窩表面から内側へ肩甲骨に形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リーミング軸を中心とするアンカーペグチャネルを形成するために、前記ガイドピンに沿ってドリルを前進させることをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
本体と、前記本体の周辺に内向きに形成された開孔とを備えたアンカーペグチャネル形成ガイドを、前記関節窩表面に向かって前進させて、前記リーミング軸からオフセットされた前記開孔により、前記アンカーペグチャネル形成ガイドを前記関節窩表面に対して固定することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記リーマを前進させること、及び前記リーマをさらに前進させることは、前記リーマのリーミング面を、前記リーマ軸に対して180度未満の角度で往復運動させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記関節窩ベースプレートの前記アンカーペグを、前記関節窩表面に形成された前記アンカーペグチャネルに挿入することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
スクリュー経路ガイドを前記ベースプレートと結合させて、前記スクリュー経路ガイド及び前記ベースプレートを通して前記肩甲骨に1つ以上のスクリュー穴を形成することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のスクリュー穴の深さを、前記スクリュー経路ガイドの対応する深さ制御面で制御することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
患者の前記肩甲骨のスキャンに応じた画像データに基づいて、前記リーミング軸を定義することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
肩の手術用のキットであって、
患者の肩甲骨に一致するように成形された患者適合面を有する部分リーミングガイドであって、リーミング軸の周りの関節窩リーミングを関節窩の一部のみに制限するように構成された前記部分リーミングガイドと、
前記関節窩の一部に一致するように成形された患者適合面を有するアンカーペグチャネルガイドであって、前記リーミング軸からオフセットされたチャネルを有する前記アンカーペグチャネルガイドと、
を含む、前記キット。
【請求項11】
関節窩ベースプレートの開孔に挿入されるように成形された突出部を有するスクリュー経路ガイドであって、前記突出部は、前記突出部を通して延在するチャネルを含む、前記スクリュー経路ガイドをさらに含む、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
アンカー部材を有する前記関節窩ベースプレートをさらに含む、請求項10に記載のキット。
【請求項13】
前記患者の前記肩甲骨の3次元(3D)モデルをさらに含む、請求項10に記載のキット。
【請求項14】
前記肩甲骨の複数の表面に一致するように構成された複数の接触部材を有する位置合わせガイドであって、前記関節窩にガイドワイヤを配置するように構成された開孔を有する前記位置合わせガイドをさらに含む、請求項10に記載のキット。
【請求項15】
前記アンカーペグチャネルガイドは、前記関節窩の前記リーミング対象部分に載るように構成された部分を有する、請求項10に記載のキット。
【請求項16】
停止面と、骨表面をリーミングするように構成された1つ以上のリーミング機能を有するリーミング部とを備えたリーミングデバイスをさらに含む、請求項10に記載のキット。
【請求項17】
前記リーミングデバイスは、前記リーマ本体を通るガイド穴をさらに有し、前記ガイド穴は、前記ガイド穴を通してガイドピンを受け入れられるサイズ及び形状を有し、前記リーミング部は、180度未満の角度を画定する弧状構造を有する、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
前記リーミングデバイスは、前記リーミング部を備えた第1の下方部分と、前記下方部分に対して角度付けられた第2の上方部分とを有し、前記ガイド穴は、前記第2の上方部分を通して形成される、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
肩の治療処置で使用される部分リーミングガイドであって、
患者の肩甲骨の一部に一致するように成形された患者適合面を有するガイド本体と、
前記患者適合面の上の第1の高さにあるリーマ深さ停止面であって、リーミングの深さを制御するために前記リーミングデバイスの深さ停止として機能するように配置された前記リーマ深さ停止面と、
前記リーマ深さ停止面から前記取り付け面まで前記ガイド本体を通して延在する第1の穴であって、リーミング軸と位置が合わせられる前記第1の穴と、
を備えた、前記部分リーミングガイド。
【請求項20】
前記ガイド本体は、前記第1の高さよりも高い第2の高さに隆起面と、前記隆起面から前記患者適合面まで前記ガイド本体を通して延在する第2の穴とを備える、請求項19に記載の部分リーミングガイド。
【請求項21】
前記ガイド本体は、前記隆起面と前記取り付け面との間に画定されたレシーバ本体を備える、請求項20に記載の部分リーミングガイド。
【請求項22】
前記第1の穴からオフセットされた位置で前記ガイド本体を通る前記第2の穴であって、前記肩甲骨に対し前記ガイド本体の回転配向を行う前記第2の穴をさらに備えた、請求項19に記載の部分リーミングガイド。
【請求項23】
肩の治療処置で使用されるアンカーペグチャネルガイドであって、
患者の肩甲骨に一致するように成形された患者適合面と、前記取り付け面の反対側に外側面とを有するガイド本体と、
前記ガイド本体を通して配備されたチャネルであって、前記肩甲骨のリーミング軸からオフセットして配置された前記チャネルと、
を備え、
前記ガイド本体は、前記ガイド本体を通る回転位置合わせ穴を備える、
前記アンカーペグチャネルガイド。
【請求項24】
前記ガイド本体の外周の中心は、前記チャネルの中心から離間される、請求項23に記載のガイド。
【請求項25】
前記ガイド本体を前記肩甲骨に固定するために少なくとも1つの周辺穴をさらに備えた、請求項23に記載のガイド。
【請求項26】
肩の処置で使用されるスクリュー経路ガイドであって、
関節窩ベースプレートと嵌合するように成形された第1の面と、前記第1の面の反対側の第2の面と、前記第1の面と前記第2の面の間で前記第2の面から陥凹した第3の面とを有するガイド本体を備え、
前記ガイド本体は、前記第1の面から延在し、かつ前記関節窩ベースプレートの対応する開孔に挿入されるように成形された突出部を含み、
前記ガイド本体は、前記第3の面から前記突出部を通って前記突出部の遠位端まで延在するチャネルを含む、
前記スクリュー経路ガイド。
【請求項27】
前記ガイド本体を通して形成されたガイドチャネルであって、ガイドピンを前記ガイドチャネルを通して受け入れる前記ガイドチャネルをさらに備えた、請求項26に記載のガイド。
【請求項28】
前記ガイドチャネルから前記ガイド本体の外周まで延在するスロットをさらに備えた、請求項27に記載のガイド。
【請求項29】
前記第1の面から延在し、かつ前記関節窩ベースプレートの対応する開孔に挿入されるように成形された複数の突出部をさらに備えた、請求項26に記載のガイド。
【請求項30】
複数のチャネルをさらに備え、各チャネルは、複数の第3の面のうちの1つから、前記複数の突出部のうちの対応する1つを通って延在する、請求項29に記載のガイド。
【請求項31】
前記第3の面のうちの少なくとも1つは、前記患者に定めされた高さに配備され、前記少なくとも1つの第3の面から延在する前記チャネルを通して、肩甲骨に形成される周辺スクリュー穴の深さが制御される、請求項30に記載のガイド。
【請求項32】
肩の手術で使用されるリーマであって、
停止面と、骨表面をリーミングするように構成された1つ以上のリーミング機能を有するリーミング部とを備えたリーマ本体と、
前記リーマ本体を通るガイド穴であって、前記ガイド穴を通してガイドピンを受け入れられるサイズ及び形状を有する前記ガイド穴と、
を備え、
前記リーミング部は、180度未満の角度を画定する弧状構造を有する、
前記リーマ。
【請求項33】
前記リーマ本体は、前記リーミング部を中に備えた第1の下方部分と、前記下方部分に対して角度付けられた第2の上方部分とを有し、前記ガイド穴は、前記第2の上方部分を通して形成される、請求項32に記載のリーマ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願の参照による組み込み
本出願と共に提出されたアプリケーションデータシートにおいて外国または国内の優先権主張が確認されたあらゆる全ての出願は、米国特許法施行規則第1.57条の下、参照により本出願に組み込まれるものとする。
【0002】
本出願は、肩プロテーゼの移植に関連して肩甲骨の関節窩領域の準備を改善する装置及び方法、並びにこのような装置及び方法の使用後に移植できる装置を対象とする。
【背景技術】
【0003】
肩関節の容態は、時に肩関節形成により解決され得る。このような治療の恩恵を受けるであろう患者に、全肩関節形成術が利用可能となるように、集中的に努力が積み重ねられている。全肩関節形成術では、関節窩は通常、リーミングされ、リーミング後に関節窩関節コンポーネントが肩甲骨に取り付けられる。関節コンポーネントは、上腕骨頭または上腕骨関節コンポーネントが動きやすいように、滑らかな面を備える。
【0004】
肩甲骨上で関節窩関節コンポーネントを支持するために、関節窩ベースプレートが使用され得る。関節窩ベースプレートは、その内側にアンカーペグを含み得、アンカーペグは、肩甲骨に関節窩ベースプレートを固定する部分として、肩甲骨に挿入されるように構成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
関節窩ベースプレートの装着を向上させるために、関節窩の準備を改善する装置及び方法が必要である。例えば、本明細書で開示され、特許請求される装置及び方法は、関節窩ベースプレートを移植する前に除去される骨の量を減らすことにより、関節窩の準備を改善し得る。また、本明細書で開示され、特許請求される装置及び方法は、例えば特定の患者の関節窩の中心位置、または中心位置から離間した位置など、ベースプレートのアンカーペグの位置に柔軟性をもたらすことにより、関節窩の準備を改善し得る。本明細書で開示され、特許請求される装置及び方法は、特定の患者が、関節窩の一領域のリーミングの軽減、最小化、または排除の恩恵を受けることを可能にし、外科医が、阻害性骨棘または他の問題のある骨形成を除去するなど、関節窩の別の領域をリーミングすることを可能にすることにより、関節窩の準備を改善し得る。従来技術に対するさらなる改善は、本明細書の下記に説明され、特許請求される。
【0006】
一実施形態では、肩の手術を実行するための方法が開示される。方法は、リーミング軸に沿ってガイドピンを関節窩表面へと誘導することを含み得る。方法は、ガイドピンに沿って、部分リーミングガイドを関節窩表面と接触させて配置することを含み得る。関節窩表面をリーミングするために、ガイドピンに沿ってリーマが前進され得る。リーマが部分リーミングガイドに接触するまで、ガイドピンに沿ってリーマはさらに前進され得、このような接触により、リーミングは関節窩表面の一部のみに制限される。
【0007】
いくつかの実施形態では、方法は、関節窩表面から内側へ肩甲骨にチャネルを形成することを含み得、チャネルは、関節窩ベースプレートのアンカーペグを受け入れるように構成される。リーミング軸を中心とするアンカーペグチャネルを形成するために、ガイドピンに沿ってドリルが前進され得る。方法は、本体と、本体の周辺に内向きに形成された開孔とを備えたアンカーペグチャネル形成ガイドを、関節窩表面に向かって前進させて、リーミング軸からオフセットされた開孔により、アンカーペグチャネル形成ガイドを関節窩表面に対して固定することを含み得る。いくつかの実施形態では、リーマを前進させること、及びリーマをさらに前進させることは、リーマのリーミング面を、リーマ軸に対して180度未満の角度で往復運動させることを含む。様々な実施形態では、方法はさらに、関節窩ベースプレートのアンカーペグを、関節窩表面に形成されたアンカーペグチャネルに挿入することを含み得る。スクリュー経路ガイドがベースプレートに結合され得、スクリュー経路ガイド及びベースプレートを通して1つ以上のスクリュー穴が肩甲骨に形成され得る。1つ以上のスクリュー穴の深さは、スクリュー経路ガイドの対応する深さ制御面により制御され得る。方法はさらに、患者の肩甲骨のスキャンに応じた画像データに基づいて、リーミング軸を定義することを含み得る。
【0008】
別の実施形態では、肩の手術のためのキットが開示される。キットは、患者の肩甲骨に一致するように成形された患者適合面を有する部分リーミングガイドを含み得る。部分リーミングガイドは、リーミング軸周りの関節窩リーミングを、関節窩の一部のみに制限するように構成され得る。キットは、関節窩の一部に一致するように成形された患者適合面を有するアンカーペグチャネルガイドを含み得る。アンカーペグチャネルガイドは、リーミング軸からオフセットされたチャネルを有し得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、キットは、関節窩ベースプレートの開孔に挿入されるように成形された突出部を有するスクリュー経路ガイドを含み得、突出部は、突出部を通して延在するチャネルを含む。キットは、アンカー部材を有する関節窩ベースプレートを含み得る。キットは、患者の肩甲骨の三次元(3D)モデルを含み得る。キットは、肩甲骨の複数の表面に一致するように構成された複数の接触部材を有する位置合わせガイドを含み得、位置合わせガイドは、関節窩にガイドワイヤを配置するように構成された開孔を含む。アンカーペグチャネルガイドは、関節窩のリーミング対象部分に載るように構成された部分を有し得る。キットは、停止面と、骨表面をリーミングするように構成された1つ以上のリーミング機能を有するリーミング部とを備えたリーミングデバイスを含み得る。リーミングデバイスはさらに、リーマ本体を通るガイド穴を含み得、ガイド穴は、ガイド穴を通してガイドピンを受け入れられるサイズ及び形状を有する。リーミング部は、180度未満の角度を画定する弧状構造を含み得る。リーミングデバイスは、リーミング部を備えた第1の下方部分と、下方部分に対して角度付けられた第2の上方部分とを含み得、ガイド穴は、第2の上方部分を通して形成される。
【0010】
別の実施形態では、肩の治療処置で使用される部分リーミングガイドが開示される。部分リーミングガイドは、患者の肩甲骨の一部に一致するように成形された患者適合面を有するガイド本体を含み得る。部分リーミングガイドは、患者適合面の上の第1の高さにリーマ深さ停止面を含み得、リーマ深さ停止面は、リーミングの深さを制御するためにリーミングデバイスの深さ停止として機能するように配置される。部分リーミングガイドは、リーマ深さ停止面から取り付け面までガイド本体を通して延在する第1の穴を含み得、第1の穴はリーミング軸と位置が合わせられる。
【0011】
いくつかの実施形態では、ガイド本体は、第1の高さよりも高い第2の高さに隆起面と、隆起面から患者適合面までガイド本体を通して延在する第2の穴とを含み得る。ガイド本体は、隆起面と取り付け面との間に画定されたレシーバ本体を含み得る。第2の穴は、第1の穴からオフセットされた位置にガイド本体を通して形成され得、第2の穴は、肩甲骨に対しガイド本体の回転配向を行う。
【0012】
別の実施形態では、肩の治療処置で使用されるアンカーペグチャンネルガイドが開示される。アンカーペグチャネルガイドは、患者の肩甲骨に一致するように成形された患者適合面と、取り付け面の反対側に外側面とを有するガイド本体を含み得る。アンカーペグチャネルガイドは、ガイド本体を通して配備されたチャネルを含み得、チャネルは、肩甲骨のリーミング軸からオフセットして配置される。ガイド本体は、ガイド本体を通る回転位置合わせ穴を含み得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、アンカーペグチャネルガイドのガイド本体の外周の中心は、チャネルの中心から離間され得る。ガイド本体を肩甲骨に固定するために、少なくとも1つの周辺穴が設けられ得る。
【0014】
別の実施形態では、肩の処置で使用されるスクリュー経路ガイドが開示される。スクリュー経路ガイドは、関節窩ベースプレートと嵌合するように成形された第1の面と、第1の面の反対側の第2の面と、第1の面と第2の面の間で第2の面から陥凹した第3の面とを有するガイド本体を含み得る。ガイド本体は、突出部を含み得、突出部は、第1の面から延在し、関節窩ベースプレートの対応する開孔に挿入されるように成形される。ガイド本体は、第3の面から突出部を通って突出部の遠位端まで延在するチャネルを含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、ガイドチャネルは、ガイド本体を通して形成され得、ガイドチャネルは、ガイドワイヤをガイドチャネル内を通して受け入れる。スロットが、ガイドチャネルからガイド本体の外周まで延在し得る。複数の突出部が、第1の面から延在し、関節窩ベースプレートの対応する開孔に挿入されるように成形され得る。複数のチャネルも設けられ得、各チャネルは、複数の第3の面のうちの1つから、複数の突出部のうちの対応する1つを通って延在する。第3の面のうちの少なくとも1つは、患者に定めされた高さに配備され、少なくとも1つの第3の面から延在するチャネルを通して、肩甲骨に形成される周辺スクリュー穴の深さが制御され得る。
【0016】
別の実施形態では、肩の手術で使用されるリーマが開示される。リーマは、停止面と、骨表面をリーミングするように構成された1つ以上のリーミング機能を有するリーミング部とを備えたリーマ本体を含み得る。リーマは、リーマ本体を通るガイド穴を含み得、ガイド穴は、ガイド穴を通してガイドピンを受け入れられるサイズ及び形状を有する。リーミング部は、180度未満の角度を画定する弧状構造を有し得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、リーマ本体は、リーミング部を中に備えた第1の下方部分と、下方部分に対して角度付けられた第2の上方部分とを含み得、ガイド穴は、第2の上方部分を通して形成される。
【0018】
様々な実施形態は、例示目的で添付図面に描かれ、実施形態の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、開示される異なる実施形態の様々な特徴を組み合わせて、追加の実施形態を形成してもよく、これは本開示の一部を成す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】人間の上腕骨及び関節窩を有する肩甲骨のモデルを示し、関節窩には、関節アセンブリが結合され、関節アセンブリは、肩甲骨の後壁を通って突出する内側端を有する関節窩ベースプレートを含み、上腕骨には、リバース型インプラントアセンブリが結合される。
【
図1A】関節窩、及び関節窩に関連する撮像情報を収集するのに使用され得る撮像素子の概略図と、このような撮像情報の分析に基づいて選択、設計、及び/または製造され得る2つの例示的なベースプレートの概略図である。
【
図1B】撮像情報により実行することができる方法のフローチャートである。
【
図1C】関節窩を含む肩甲骨の一部の概略図であり、ベースプレートを移植する前に除去する関節窩の一部を特定する。
【
図2】患者適合内側面を有する部分と、リーミングまたは他の方法で修正された関節窩骨表面と嵌合するように構成された部分とを有するベースプレートの側面斜視図である。
【
図3】関節窩ベースプレートを取り付けるために少なくとも部分的に準備された関節窩の概略図であり、準備は、関節窩の限られた領域をリーミングすることを含む。
【
図3A】外側面にリーマ深さ停止が配備された部分リーミングガイドの一実施形態の上面斜視図である。
【
図3C】リーマ深さ停止に対して、及びガイドを通して配備された2つの穴の長手方向軸に対して垂直な平面に沿った、
図3A及び
図3Bの部分リーミングガイドの断面図である。
【
図4】関節窩を準備する方法の間の関節窩の概略図であり、ガイドピンガイドが関節窩の縁及び/または関節窩の周りの肩甲骨の部分に対して配置されており、ガイドピンがガイドピンガイド内のガイドピン穴を通して配置されている。
【
図5】関節窩を準備する方法の間の関節窩の概略図であり、
図3Aの部分リーミングガイドが、
図4に示されるステップで配置されたガイドピンに沿って前進されており、さらに、ガイドピンのリーマを部分リーミングガイドの深さ停止に向かって前進させることが示される。
【
図5A】
図5に示されるリーマの底面斜視図である。
【
図6】関節窩を準備する方法の間の関節窩の概略図であり、アンカーペグ準備ガイドが関節窩上に前進されており、ガイドが関節窩に固定され、さらに、ガイドを通して器具を前進させて、関節窩内にベースプレートアンカーペグを受け入れるための止まり穴または他の開口部もしくはチャネルを形成することが示される。
【
図6A】
図6に示されるアンカーペグチャネル形成ガイドの内側側面図である。
【
図6B】
図6に示されるアンカーペグチャネル形成ガイドの側面斜視図である。
【
図7】関節窩ベースプレートを関節窩内に移植する方法の間の関節窩の概略図である。
【
図8】関節窩ベースプレートに嵌合された周辺スクリュー経路ガイドの斜視図であり、周辺スクリュー経路ガイドは、周辺スクリューチャネルを準備するために使用され得る。
【
図8A】様々な周辺スクリュー経路を示す、
図8の周辺スクリュー経路ガイドの側面斜視図である。
【
図8B】ガイドを取り外すためのスロット機能を示す、
図8の周辺スクリュー経路ガイドの側面斜視図である。
【
図8C】深さ停止面、及び内側に配備されたベースプレート嵌合突出部を示す、
図8の周辺スクリュー経路ガイドの側面図である。
【
図8D】中に形成されたベースプレート嵌合チャネルを示す、
図8の周辺スクリュー経路ガイドの内側斜視図である。
【
図9】図示されるまたは本明細書で説明されるコンポーネントのうちの任意の2つ以上を含む、提供可能ないくつかのキットのうちの1つを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本出願は、関節窩アセンブリと人間の肩甲骨との健全な接合提供の成功率を改善させることを対象とする。これらの改善は、肩関節形成術外科手術においてさらなる成功を可能にすることを目的としている。またこれらの改善により、外科治療の実施に関与する外科医、技師、または他の人材は、ベースプレートアンカーペグを任意で中心にまたは偏心に配置すること、並びに、例えば骨棘または他の阻害性のある骨を除去するなど、一部リーミングを伴う手術を実施するか否かを決定することも可能となり、さらに同時に、そのような部分のリーミングを軽減、最小化、または排除するために、少なくとも部分的に患者に適合したベースプレート内側表面が提供される。
【0021】
図1は、いくつかの肩の医療処置で生じ得る懸念を例示し、リバース型肩インプラントが中に配備された肩の上腕骨50及び肩甲骨55を示す。上腕骨50は、上腕骨切除部52を有する。上腕骨インプラントアセンブリ53は、上腕骨アンカー(上腕骨切除部52の下に示される)と、リバース型関節体54とを含む。リバース型関節体54は、上腕骨切除部52の上に配備され得る。リバース型関節体54は、少なくとも部分的に上腕骨切除部52の下にあってもよい。肩甲骨55は関節窩を有し、これは、通常上腕骨50の骨頭が関節接合する肩甲骨55の部分である。リバース型肩関節形成によれば、この機能は、肩甲骨55に結合された関節体66により提供される。関節体66を支持するための関節窩ベースプレート62を含む関節窩アセンブリ60が設けられ得る。関節窩ベースプレート62は、肩甲骨55と結合され得る。関節窩ベースプレート62は、肩甲骨55の中に進入するように構成されたアンカーペグ64を有し得る。関節窩ベースプレート62は、リーミングなしで、または最小限のリーミングで、関節窩上に設置され得る。関節窩ベースプレート62は、本明細書で説明される装置及び方法を使用して、部分リーミングにより関節窩上に設置され得る。
【0022】
最適ではない事例では、関節窩ベースプレート62が肩甲骨55上に不適切に設置される。
図1は、アンカーペグ64の内側端が肩甲骨55の後方面78を貫通するという最適ではない方法で、関節窩ベースプレート62のアンカーペグ64が肩甲骨55内に配置され得ることを示す。この事例では、アンカーペグ64は、肩甲骨55の外部に露出され得る。この結果は、いくつかの理由で最適ではない。アンカーペグ64と肩甲骨55の骨との接合の安全性は、これらの構造の直接接触箇所の長さに応じる。直接接触は、骨内殖の機会をもたらし、安全性をもたらす。完全に露出された長さに沿った箇所では、このような内殖は生じない。さらに、露出された端により、肩甲骨55の周りの軟組織に炎症が生じ得る。さらに、望ましくない位置でアンカーペグ64が骨を穿孔した場合、穿孔により、肩甲骨が弱体化し、骨折のリスクが増大し得る。
【0023】
図1Aは、肩甲骨55の外側面の概略を示す。関節窩58は、関節窩縁68により関節窩58の残りから離間した関節面を含む。健康な肩関節は通常、関節窩縁68内に、略円形の下方部分70を含む細長関節面を有する。より具体的には、下方部分70は、関節窩縁68の円形セグメントにより画定され得る。関節窩縁68の円形部分は、中心72の周りに配置され得る。より一般的に、中心72は、下方部分70の中心部分、例えば幾何学中心であり得る。中心72は、関節窩縁68の最上位部分(
図1Aにおける図形の上部に位置する)から、関節窩縁68の最下位部分(
図1Aの底部に位置する)まで延在する関節窩縁68の下上方向軸上に、または下上方向軸に沿って、配置され得る。中心72は、関節窩58全体または関節窩縁68の幾何学中心の下方に配置された下上方向位置にて、関節窩縁68にわたり延在する翼弦の中心部分、例えば中間点に位置し得る。例えば、中心72は、関節窩縁68の最下位点から、関節窩58全体または関節窩縁68の幾何学中心までの距離の約1/2~2/3の位置に存在し得る。
【0024】
下記でさらに詳しく論述されるように、撮像素子80を使用して、肩甲骨55がスキャンされ、撮像情報が収集され得る。この情報は、画像処理システム82で処理され得る。画像処理システム82は、撮像素子80からのスキャンデータに対応する撮像情報を記憶することができるメモリを含み得る。画像処理システム82はまた、命令を実行することができる1つ以上のハードウェアプロセッサを含み得る。画像処理システム82は、撮像情報を処理して、肩甲骨55の前述の全ての構造を識別し得る。また、撮像情報を処理して、アンカーペグを装着するための肩甲骨55内の方向にアンカー経路84が配置され得る。アンカー経路84は、関節窩58の下方部分70の中心72からオフセットされ得る。
図1Aに示されるように、オフセットは、前方面76の方向にされ得る。アンカー経路は、中心72と前方面76との間に配置され得る開口部の中心86に存在し得る。中心86は、中心72から、肩甲骨55の前方面76に隣接する関節窩縁68の前面までの距離の10%の位置に配置されてもよい。中心86は、中心72から、肩甲骨55の前方面76に隣接する関節窩縁68の前面までの距離の20%の位置に配置されてもよい。中心86は、中心72から、肩甲骨55の前方面76に隣接する関節窩縁68の前面までの距離の30%の位置に配置されてもよい。中心86は、中心72から、肩甲骨55の前方面76に隣接する関節窩縁68の前面までの距離の40%の位置に配置されてもよい。中心86は、中心72から、肩甲骨55の前方面76に隣接する関節窩縁68の前面までの距離の50%の位置に配置されてもよい。中心86は、中心72から、肩甲骨55の前方面76に隣接する関節窩縁68の前面までの距離の60%の位置に配置されてもよい。いくつかの事例では、中心86は、例えばこれらまたは他の百分率のうちのいずれかの百分率で肩甲骨55の後方面78により近い、前方面76に向かう以外の方向に配置される。さらに中心86は、患者の必要性に応じて、例えば下方向、上方向、あるいは前方向、後方向、下方向、または上方向のいずれかの間のある方向など、他の方向に存在してもよい。
【0025】
図1Aは、患者の医療処置フローでは、中央に配置されたアンカーペグ164Aを備えた第1のベースプレート162Aと、オフセットされたアンカーペグ164Bを備えた第2のベースプレート162Bとの間での選択が可能になり得ることを示す。例えば肩甲骨55で中心72の真下に形成される止まり穴が第1のベースプレート162Aのアンカーペグ164Aを包囲することを可能にする十分な深さを、中心72の真下の骨が有する場合、第1のベースプレート162Aは、中心72に装着するのに適している。例えば肩甲骨55で中心86の真下に形成される止まり穴が第2のベースプレート162Bのアンカーペグ164Bを包囲することを可能にする十分な深さを、中心72の真下の骨は有さないが、中心86の真下の骨が有する場合、第2のベースプレート162Bは、中心86に装着するのに適している。
【0026】
画像処理システム82は、任意の適切な方法で撮像情報を処理するように構成され得る。
図1Bは、少なくとも部分的に画像処理システム82により実行され得る1つの方法を示す。ステップ88にて、プロセスは、撮像情報を受信し得る。例えば、撮像素子80は、ネットワークにより、撮像情報を受信するように構成されたプロセッサを有するコンピュータに接続され得る。ネットワークには、撮像素子80が位置する同一設備内のインターネット接続、無線接続、または有線接続が含まれ得る。いくつかの用途では、撮像情報を含むデータファイルは、画像処理コンピュータに物理的に搬送され得る。いくつかの用途では、撮像素子80は、撮像情報を処理するように構成されたプロセッサを有するコンピュータに直接接続される。
【0027】
その後、ステップ90にて、肩甲骨55の外側部分または外側面56の特性が把握され得る。外側部分の特徴の把握は、肩甲骨55の全てまたは一部の仮想モデルを作成するためのセグメント化を含み得る。ステップ90は、上腕骨50の全てまたは一部の仮想モデルを形成することを含み得る。ステップ90は、関節窩58の全てまたは一部の仮想モデルを形成することを含み得る。ステップ90で形成される仮想モデルは、関節窩縁68のモデルを含み得る。ステップ90で形成される仮想モデルは、関節窩縁68の下方部分70のモデルを含み得る。ステップ90にて、下方部分70の中心72が仮想モデルにおいて特定され得る。関節窩58の特性を把握して、例えば下方部分70の湾曲の半径を取得することにより、中心72の位置が特定され得る。中心72は、下方部分70の湾曲の半径の中心として識別され得る。
【0028】
ステップ90は、肩甲骨55の外側面56の特性を把握することを含み得る。肩甲骨55は、関節窩58のすぐ近くに、例えば関節窩58の周りに配置される外側に対向する骨に、配置され得る。いくつかの事例では、肩甲骨55はさらに、例えば肩甲骨55の前方面76に沿って、及び/または後方面78に沿って、外側面56の内側の特性が把握される。ステップ90は、関節窩58の1つ以上の位置において、前方面76と後方面78との間の肩甲骨55の厚さを特定することを含み得る。例えば、関節窩58の下の骨の厚さまたは深さは、任意の点の下における、関節窩の表面と、関節窩の前方面76及び後方面78のうちの1つの外壁との間の測定値で、特定され得る。深さは、ベースプレートアンカーペグの長さに対して、例えばそのような長さより短いかまたは長いかが、特定され得る。
【0029】
ステップ90はまた、中心72の厚さまたは深さを特定することと、中心72の厚さまたは深さが関節窩ベースプレート62のアンカーペグ64を完全に包含するのに十分ではない場合は、中心72から離間した位置の厚さまたは深さを特定することとを含み得る。ステップ90は、十分な肩甲骨の深さ、厚さ、または品質を有する複数の位置に基づいて、アンカーペグ64を装着する位置の範囲を特定し得る。
【0030】
画像処理システム82は、中心86の位置及びアンカー経路84が特定されるステップ92を実行し得る。画像処理システム82は、任意の適切な技法により、中心86の位置を特定し得る。例えば、画像処理システム82のハードウェアプロセッサは、中心72からオフセットされた所与の位置の厚さまたは深さの寸法を特定する方法を実施するコードを実行し得る。中心72から前方へ増分距離を置いた位置に関して、画像処理システム82は、肩甲骨の厚さまたは深さを特定し得る。所与の患者に関して、厚さまたは深さが十分である場合、アンカー経路84並びに中心86の位置が確立され得る。厚さまたは深さが十分でない場合、画像処理システム82により、中心72からさらなる増分が評価され得る。このさらなる増分に対応する骨の状況、例えば厚さまたは深さは、厚さまたは深さが十分であるかを判定するために、画像処理システム82により評価され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、画像処理システム82は、
図1Bの方法の追加ステップを実行して、例えば関節窩をさらに処理するか否か、及び/または関節窩ベースプレート62の構成を生成するか否かを検討する。関節窩ベースプレート62の構成は、関節窩ベースプレート62の近位もしくは遠位(または外側もしくは内側)部分の中心と、アンカーペグ64の中心の位置との間のオフセット量を含み得る。いくつかの実施形態では、アンカーペグ64が延在する方向は通常、関節窩ベースプレート62の外側面または内側面に垂直であり得る。いくつかの方法では、画像処理システム82は、中心86の位置及びアンカーペグ64の対応する位置、並びに肩甲骨55内のアンカー経路84及びアンカーペグ64の対応する構成(例えば配向及び長さ)を特定すると、ステップ92を終了する。開口部86は、ステップ90での分析に基づいて、必要に応じて、中心72の前方に配置される(例えば第1のベースプレート162Aを使用する)、あるいは、例えば中心72の後方に、中心72の下方に、中心72の上方に、または中心72の前方、後方、下方、及び上方の任意の組み合わせに、中心72からオフセットされる(例えば第2のベースプレート162Bを使用する)ことが、有利に決定され得る。
図1Aは、中心72に対する中心86の方向が前面76に向かう場合、第2のベースプレート162Bを使用して、ベースプレート162Bの横部分が関節窩58を中心に維持され得ることを示す。また、後方面78がより全体的に内側-外側に延在し、前方面76が後方面78に向かってより湾曲する場合、中心86の位置の範囲は、中心72と後方面78との間に設けられ得る。
【0032】
ステップ93にて、画像処理システム82は、関節窩58のいずれかの部分をリーミングするか否かを決定し得る。例えば、一部の患者には、関節窩ベースプレートを移植するのに適切な表面(例えば平坦面または平面)を準備するために、関節窩58の一部をリーミングすることが好ましくあり得る。いくつかの実施形態では、画像処理システム82は、関節窩58のいずれかの部分をリーミングするか否かを自動的に決定するようにプログラムされた処理電子機器を含み得る。別の実施形態では、臨床医が、画像処理システム82とインタラクトして、関節窩58のいずれかの部分をリーミングするか否かを決定し得る。関節窩58をリーミングしないと決定された場合、方法はブロック94に進む。
【0033】
しかし、関節窩58を少なくとも部分的にリーミングすると決定された場合、方法はステップ95に進んで、関節窩58の平坦部分及び患者特有部分の位置及び範囲を特定する。
図1Cに示されるように、例えば関節窩58は、リーミングしない状態を残した患者特有部分77と、関節窩ベースプレートを挿入する前にリーミングするリーミング対象部分75とを含み得る。
図1Cに示されるように、例えばリーミング対象部分75は、関節窩58表面全体の一部のみを含み得る。リーミング対象部分75は、一部の患者の関節窩ベースプレート62の移植を促進するために、平坦化され得る。いくつかの配置では、リーミング対象部分75は、骨棘または他の阻害性のある骨の成長または形成を含み得る、または取り囲み得る。患者特有部分77は、リーミングしない患者の解剖学的構造に一致するまたは実質的に一致するように、成形または輪郭形成され得る。リーミング対象部分及び患者特有部分の位置及び範囲が特定されると、方法はステップ94に進み得る。
【0034】
ステップ94では、関節窩ベースプレート62(例えば第1のベースプレート162Aまたは第2のベースプレート162B)に関して、並びにベースプレート62の移植の前に関節窩58と肩甲骨を準備するのに使用され得る様々なガイド(下記のセクションIで説明)に関して、並びに関節窩モデル、様々な器具(下記のセクションIで説明)、及び他のバックテーブル補助具(下記のセクションIで説明)に関して、仕様または構成が出力され得る。出力は、図面形式であり得る。出力は、迅速な製造設備により使用されるコンピュータコードであってもよい。ステップ94における出力は、レビュー受信者、製造受信者、医師である顧客、及び/または患者である顧客を含む複数の受信者に、直接的または間接的に送信され得る。
【0035】
ステップ96にて、ステップ94の構成または仕様の出力が、製造設備により受信され得る。構成または仕様は、ステップ96にて他の当事者により受信されてもよい。ステップ96は、任意の種類の3Dプリンタまたは別の積層造形形態が、ステップ94で出力された命令を受信することを伴ってもよい。ステップ98にて、命令は、関節窩ベースプレート62、ガイド、器具、及びバックテーブル補助具を形成する3Dプリンタまたは他の積層造形設備により、受信され、実施され得る。様々な実施形態では、例えば、リーマ及び/またはリーマガイドのリーミング軸は、患者の肩甲骨のスキャン及び/または3Dモデルに基づいて少なくとも部分的に定義され得る。ステップ98は、これらの物品を形成して、その後、これらの物品を好適な仕上げプロセスにかけることにより、関節窩ベースプレート62、ガイド、器具、及びバックテーブル補助具を生成する。ステップ98は、
図1Bの方法が終了するとすぐに、またはその後に、関節窩ベースプレート62、ガイド、器具、及びバックテーブル補助具を外科医に移送することを含んでもよい。
【0036】
I. 関節窩ベースプレートを移植する方法
本明細書に開示される様々な実施形態は、関節窩ベースプレートを患者の肩甲骨内に移植するための方法及び器具に関する。ガイドピン装着ガイドを使用して関節窩58にガイドピンを取り付け、関節窩58の一部を部分的にリーミングし、関節窩ベースプレート62を関節窩内に移植するために、方法及び器具が使用され得る。患者に適合したアンカーペグ形成ガイドを使用して、関節窩ベースプレートのアンカーペグ用のアンカーチャネルが形成され得る。スクリュー経路ガイドを使用して、関節窩ベースプレートにスクリュー穴が形成され得る。
【0037】
A. 部分リーミングガイド
上記で説明されたように、一部の患者には、関節窩58を部分的にのみリーミングすることが望ましい場合がある。
図2は、関節窩ベースプレート262Aを示し、アンカーペグ264が関節窩ベースプレート262Aから延在する。関節窩ベースプレート262Aは、患者に適合した内側を有する患者適合部分267と、リーミングまたは他の方法で修正された関節窩骨表面と嵌合するように構成された平面部分265とを有し得る。患者適合部分267は、
図1Bに関連して上記で論じられたように、患者の関節窩58の3Dモデルを使用して形成され得る。平面部分265は、部分リーミング対象面と嵌合するために、実質的に平坦であり得る。例えば、
図3に示されるように、関節窩58は、部分リーミング対象部分75及び非リーミング対象部分77を含み得る。部分77はリーミングされていないが、軟骨除去による露出など、本明細書に開示されるガイドを使用して、修正され得る。示されるように、リーミング対象部分75は、関節窩58全体のうちの限られた部分のみである。従って、移植時、平面部分265は、リーミング対象部分75に対して配置され得、患者特有部分267は、関節窩58のリーミングされていない自然な部分77に対して配置され得る。
【0038】
図3に示される関節窩58の部分リーミングを可能にするために、部分リーミングガイド300を使用して、患者の関節窩58の一部のみがリーミングされ得る。
図3~
図3Cに示されるように、部分リーミングガイド300は、関節窩58の非リーミング対象部分77など、患者の肩甲骨の非リーミング対象部分に一致するように成形された患者適合面302を含むガイド本体301を含み得る。部分リーミングガイド300は、患者適合面302の上の第1の高さに、リーマ深さ停止面303を含み得る。深さ停止面303は、リーミングデバイスが肩甲骨のリーミング対象部分75を平坦化する深さを設定する高さに、配置されるように構成される。従って、リーミングデバイスは、深さ停止面303より下に延在するリーミング面を有し得、肩甲骨を平坦化またはリーミングして、リーミング対象部分75を形成し得る。
図2及び
図3に示されるように、肩甲骨のリーミング対象部分75は、リーミング後の肩甲骨の非リーミング対象部分77より低位にあり得る。従って、リーマ深さ停止面303は、リーミングの深さ及び範囲を制御するリーミングデバイスの深さ止めとして機能するように配置され、関節窩58から一部(例えばリーミング対象部分75)のみをリーミングすることが確保され得る。ガイド300の使用後、関節窩58は、
図3に示されるリーミング対象面75と非リーミング対象面77との組み合わせを有し、これは下記でさらに論述される。
【0039】
図3A~
図3Cに示されるように、第1の貫通穴304は、ガイド本体301内に、リーマ深さ停止面303から患者適合取り付け面302まで延在するように設けられ得る。第1の穴304は、リーミング軸307と位置を合わされ得、またはリーミング軸307を定め得、リーミングデバイスは、関節窩58を部分的にリーミングするためにリーミング軸307を中心に回転し得る。ガイド本体301の一部を有し得るレシーバ本体306は、同じくガイド本体301の一部を形成し得る上面303から上方に延在し得る。レシーバ本体306は、第2の高さに隆起面309を含み得る。第2の穴305は、隆起面309から患者適合取り付け面302まで、ガイド本体301のレシーバ本体306部分を通して延在し得る。第2の穴305は、第1の穴307からオフセットされ得、患者の肩甲骨に対してガイド本体301の回転配向または回転位置合わせを行うように、配置され得る。第2の穴305は、回転位置合わせ軸308を定義し得、部分リーミングガイド300は、回転位置合わせ軸308を中心に配向され得る。ガイド本体301は、第1の穴304を通る第1のガイドピン(例えば
図4のガイドピン403)、及び第2の穴305を通る第2のガイドピン(例えば
図4のガイドピン406)に沿って前進され得る。これらのピンは、様々な実施形態において、互いに位置が合わされ得る、または互いに角度が付けられ得る。第1のガイドピ及び第2のガイドピンは、下記のセクションI.B.で説明されるのと同様の方法で設けられ得る。
【0040】
さらに、
図3Cに示されるように、第1の穴304は、患者適合取り付け面302に向かって外向きに広がるフレア状またはテーパー状の遠位面311を有し得る。第2の穴305は、患者適合取り付け面302に向かって外向きに広がるフレア状またはテーパー状の遠位面312を含み得る。テーパー状面311、312は、穴304、305へのガイドピンの挿入を容易にすることから、第1及び第2のガイドピンに沿って部分リーミングガイド300を誘導するのに役立ち得る。
【0041】
B. ガイドピン配置ガイド
関節窩58の準備及び関節窩ベースプレート62の移植に使用される器具は、ベースプレート62の適切な移植を保証するために、確実に肩甲骨の好適な部分と正確に位置を合わせることが重要であり得る。
図4は、関節窩58を準備する方法の間の関節窩の概略図であり、ガイドピンガイド400が関節窩58の縁68及び/または関節窩58の周りの肩甲骨の部分に対して配置されている。ガイドピンガイド400は、中央部分405と、複数の接触部材とを含み得、複数の接触部材は、中央部分405から延在する突出部または脚部402として形成され得る。脚部402は、脚部402が関節窩58の縁68に対して配置されるように、患者に適合し得る。関節窩58の縁68に対して脚部402を配置することは、ガイド400を解剖学的構造と正確に位置を合わせるのに役立ち得る。
【0042】
第1の開口部401は、中央部分405を通して形成され得る。
図4に示されるように、第1のガイドピン403は、ガイドピン穴として機能し得る第1の開口部401を通して配置され得る。ベースプレートを移植するために肩甲骨を準備する間、第1のガイドピン403を使用して、器具が関節窩58上で誘導され得る。様々な実施形態では、第1のガイドピン403は、通常、リーミング軸と位置が合わされ得る。1つ以上の第2の開口部404(例えば404S、404A)が、ガイド400を通して配備され得る。第2の開口部404(複数可)を使用して、関節窩58に対してガイド400及び後続器具の回転配向が行われ得、及び/または第1のガイドピン403を配置する間、関節窩に対してガイド400の回転留めあるいは回転固定が行われ得る。1つ以上の追加のガイドピン406、406aは、肩甲骨に沿って互いにオフセットされた位置で、複数の第2の開口部404S、404Aのうちの1つにそれぞれ挿入されて、器具を肩甲骨に誘導するための回転位置合わせガイドとして機能し得る。例えば、関節窩58の後方側に配備された接触部材402Pのすぐ隣の上方配置開口部404Sは、1つの技法でガイドピン406を受け入れることができる。例えば、開口部404Sは、
図5及び
図6に関連して下記でさらに論述されるように、ピン406の配置にも使用され得る。ガイドの一実施形態では、
図6に関連して論述されるように、開口部404Aは、例えばピン406aなどの別のピンの配置に使用され得る。ガイドピン403(及び/または第2の開口部404に挿入された追加のガイドピン)が設置されると、ガイド400は肩甲骨から取り外され得る。ガイドピン403は、追加の器具を肩甲骨に誘導するために、関節窩58に挿入された状態が維持される。追加のガイドピン(例えばピン406及び/または406a)も、様々な治療器具の回転位置合わせを提供するために、関節窩58に挿入された状態が維持され得る。
【0043】
C. 部分リーミング用のリーマ
上記で説明されたように、一部の患者には、関節窩58を部分的にのみリーミングすることが望ましい場合がある。
図5では、部分リーミングガイド300が関節窩58の表面に対して配置され得、これは、患者適合面302(
図3A~
図3Cを参照)が関節窩58に対して配置される。部分リーミングガイド300の第1の穴304は、ガイドピン403に沿って誘導され、関節窩58に対して配置され得る。いくつかの実施形態では、第2の穴305は、第2のガイドピン406に沿って誘導され得る。あるいは、ガイド300が関節窩58と接触して配置された後に、第2のガイドピン406が第2の穴305を通して配置され得る。ガイドピン403は、リーミング軸Rに沿って、または平行に配備され得る(
図5Aを参照)。第2のガイドピン406は、所望の方位に部分リーミングガイド300の回転位置合わせが行われるように、配置され得る。いくつかの用途では、第2のガイドピン406の所望の位置は、ガイド400の第2の開口部404(またはそのうちの1つ)の位置と同じである。
【0044】
リーミングデバイス500(例えばパイリーマ)は、ガイドピン403に沿って誘導され得る。例えば、リーミングデバイス500は、停止面505と、ブレード503(
図5A)などの1つ以上のリーミング機能を含むリーミング部502とを備え得る。開口部501は、リーミングデバイス500を通して設けられ得る。リーミングデバイス500の開口部501は、ガイドピン403に沿って前進され、肩甲骨に対して配置され得る。リーミング部502及びブレード503は、肩甲骨に対して配置され得る。リーミングデバイス500は、リーミング軸Rを中心に回転し得る。部分リーミングを可能にするために、リーミングデバイス500は、リーミング軸Rに対して180度未満の角度で、リーミング軸Rを中心に往復運動し得る。いくつかの事例では、リーミングデバイス500は、リーミング軸Rに対して120度未満の角度で、リーミング軸Rを中心に往復運動し得る。いくつかの事例では、リーミングデバイス500は、リーミング軸Rに対して90度未満の角度で、リーミング軸Rを中心に往復運動し得る。いくつかの事例では、リーミングデバイス500は、リーミング軸Rに対して75度未満の角度で、リーミング軸Rを中心に往復運動し得る。いくつかの事例では、リーミングデバイス500は、リーミング軸Rに対して60度未満の角度で、リーミング軸Rを中心に往復運動し得る。いくつかの事例では、リーミングデバイス500は、リーミング軸Rに対して45度未満の角度で、リーミング軸Rを中心に往復運動し得る。いくつかの事例では、リーミングデバイス500は、リーミング軸Rに対して30度未満の角度で、リーミング軸Rを中心に往復運動し得る。いくつかの事例では、リーミングデバイス500は、リーミング軸Rに対して15度未満の角度で、リーミング軸Rを中心に往復運動し得る。リーミングデバイス500は、リーミングデバイス500の停止面505が部分リーミングガイド300のリーマ深さ停止面303に接触するまで、往復運動及び前進することができる。患者の解剖学的構造の患者特有モデルに基づいて、肩甲骨の好適な深さ及び範囲がリーミングされることを確実にするために、部分リーミングガイド300のリーマ深さ停止面303、及びリーミングデバイス500の停止面505が協働し得る。従って、いくつかの用途では、リーミングデバイス500及びリーミングガイド300は、一緒にキットで外科医に提供され得る。
【0045】
リーミングデバイス500は、リーミングガイド300と組み合わせて使用され得るので、デバイス500の一側面からその反対側面まで、例えばブレード503の一端からブレードのもう一端まで、狭い形状を設けることが、好都合であり得る。より具体的には、ブレード503は、弧Aに沿って配向され得、弧Aは、弧角度を画定し、デバイス500の本体512の下方にある第1の部分511の第1の側面510から、第1の部分511の第2の側面513まで配置される。下方の第1の部分511は、本体512の上方に延在する第2の部分514に対して横方向に配向され得る。第1の側面510と第2の側面513との間の弧Aの角度は、例えば10~90度と小さくあり得、例えば約20度、約30度、約40度、約50度などであり得る。
【0046】
本体512の上方に延在する第2の部分513は、リーミング軸R周りにリーミングデバイス500を回転させるためのハンドルとして機能し得る。いくつかの事例では、リーミングデバイス500は、モータまたは他の機構の作用によりリーミングデバイス500を振動させるように係合し得るドライバと、結合される、またはそのようなドライバの一部であり得る。
【0047】
D. 患者に適合したアンカーペグ形成ガイド
図6~
図6Bは、臨床医が患者の肩甲骨にアンカーペグチャネル605を形成することを支援するように構成されたアンカーペグチャネル形成ガイド600を示す。本明細書で説明されるいくつかの方法では、
図4及び
図5のうちの1つ以上で示されるステップに続き得る方法において、アンカーペグチャネル形成ガイド600が使用される。言い換えると、部分的にリーミングされた関節窩またはリーミングされていない関節窩に、アンカーペグチャネルを形成するために、ガイド600が使用され得る。
【0048】
アンカーペグチャネル605は、関節窩ベースプレート62のアンカーペグ64を受け入れるように、配置及びサイズ設定され得る。アンカーペグチャネル形成ガイド600は、患者の肩甲骨に一致するように成形された患者適合面606を有するガイド本体を備え得る。外側面602は、患者適合面606の反対側に設けられ得る。様々な実施形態では、外側面602は一般に平面であり得る。アンカーペグチャネル形成ガイド600は、ガイド600のガイド本体を通して配備されたチャネル601を含み得る。様々な実施形態では、チャネル601は、肩甲骨のリーミング軸Rからオフセットして配置され得る。リーミングが行われない様々な実施形態では、チャネル601は、ガイド400の第1の開口部401により画定され得るような中央部分からオフセットして配置され得る。
【0049】
複数の回転位置合わせ穴603a、603bも、ガイド600のガイド本体を通して設けられ得る。回転位置合わせ穴603a、603bは、肩甲骨に対するアンカーペグチャネル形成ガイド600の正確な回転位置合わせを提供するように配置され得る。回転位置合わせ穴603a、603bは、使用中に回転あるいは移動しないようにガイド600を固定するために、使用され得る。例えば、肩甲骨に対してガイド600の位置合わせまたは固定化を行うために、ピン406a、406が回転位置合わせ穴603a、603bを通して挿入され得る。いくつかの変形形態では、ガイド600が穴603a、603bのうちの2つ目の穴がなくとも十分に安定化または固定化され得る場合、穴603a、603bのうちの1つだけが存在する。
図6に示されるように、臨床医は、ドリル432を使用して、チャネル601を通してドリルで穴をあけて、アンカーペグチャネルを形成することができ、アンカーペグチャネルは、チャネル601の内周と同じサイズであり、(ベースプレート162bの事例のように)オフセットされたペグベースプレートの場合、ガイドピンガイド400によりその第1の開口部401を通して形成された患者の肩甲骨の穴または軸605から、アンカーペグチャネルはオフセットされる。いくつかの実施形態では、ドリル432は、ガイド400を通して形成されたガイドピン(ガイドピン403など)に沿って前進され得、リーミング軸Rを中心に配置され得る。このような事例では、ガイド600は任意である。アンカーペグチャネルがチャネル601を通して関節窩に形成されると、ガイド600は取り外され得る。
図6~
図6Bに示されるように、ガイド本体の外周の中心(例示の実施形態では、軸605と位置が合わせられる)は、チャネル601の中心から離間またはオフセットされ得る。オフセットの量及び方向は、患者特有であり得る。少なくとも1つの周辺穴(例えば穴603aまたは603b)を使用して、ガイド本体が肩甲骨に固定され得る。
【0050】
様々穴実施形態では、チャネル601を通して肩甲骨にチャネルを形成するためにガイド600が使用された後、ガイド600は、肩甲骨から取り外され得、ベースプレート62のアンカーペグ64(例えばベースプレート162Bのアンカーペグ164B)は、ガイド600により形成されたアンカーペグチャネルへ挿入され得る。
図7に示されるように、関節窩58に形成されたアンカーペグチャネル605内にアンカーペグ164Bを移植するために、例えばツール63が臨床医により使用され得る。別の実施形態では、中心配置のペグチャネルが形成される場合、ツール63を使用してベースプレート162Aが挿入され得る。第2のガイドピン69(ガイドピン406または406aと同じであり得る)は、肩甲骨に挿入され得、関節窩ベースプレート62の回転位置合わせを提供し得る。例えば、第2のガイドピン69は、前述のガイド400の周辺穴404を通して挿入され得る。
【0051】
E. スクリュー経路ガイド
関節窩ベースプレート62は、1本以上のスクリューで肩甲骨に固定され得る。スクリューがベースプレート62及び肩甲骨に対して適切に位置合わせされることを確実にするために、スクリュー経路ガイド700が関節窩ベースプレート62に嵌合され、これにより、臨床医がスクリューを患者の肩甲骨に挿入することが可能になり得る。いくつかの方法では、そのような経路に沿って形成されるスクリュー経路またはチャネルは、患者特有な様態に作成される。スクリュー経路ガイド700は、関節窩ベースプレート62と嵌合するように構成された、例えば成形された第1の面702aと、第1の面702aの反対側の第2の面702bとを有するガイド本体701を含み得る。第3の面702cは、第2の面702bから陥凹し得、第1の面702aと第2の面702bとの間に配置され得る。
図8~
図8Dに示されるように、ガイド本体701は、ガイド700の第1の面702aから延在する1つ以上の突出部704を含み得る。突出部704は、関節窩ベースプレート62の対応する開孔に挿入されるサイズ及び形状を有し得る。
【0052】
図8A、
図8B、及び
図8Dに示されるように、チャネル705は、突出部704を通して配置され得、第3の面702cから突出部704を通って突出部704の遠位端707まで延在し得る。第3の面702cは、深さ制御面として機能し得、患者に定められた高さに配置され、チャネル705を通して肩甲骨内に形成される周辺スクリュー穴の深さが制御され得る。示されるように、「Axe2」~「Axe5」とラベル付けされた軸は、チャネル705を通して定義され得る。軸Axe2~Axe5は、互いに非平行であってもよく、ベースプレートを肩甲骨に固定するために選択され得る。ガイドチャネル703は、
図8Aに示されるように軸Axe1を定めるように、ガイド本体701を通して形成され得る。一実施形態では、ガイドチャネル703は、その中を通してガイドワイヤまたはガイドピンを受け入れるように成形及び配置され得る。ガイド700をベースプレート62と位置合わせするために、ガイドピン上にガイドチャネル703が提供され得る。いくつかの事例では、ベースプレートは、ガイドチャネル703に受け入れられ得るテーパー状近位部材(
図9のベースプレート262に関連して図示される)を有する。ガイドチャネル703は、ガイドとベースプレート262の間の接合がしっかりと固定され得るように、内側にテーパー状に形成され得る。スロット706が、ガイドチャネル703からガイド本体701の外周まで延在し得る。スロット706により、ガイド700が曲がって、ベースプレート262のテーパー状近位部材からガイド700を取り外すことが容易になり得る。ガイド700とベースプレート262の間の接合が嵌合テーパー状面を伴わない場合、スロット706は任意であり得る。
【0053】
臨床医は、周辺チャネル705を通して、及び関節窩ベースプレート62、ベースプレート262、または本明細書に開示された別のベースプレートの対応する開孔を通して、患者の肩甲骨にドリルで穴を開け得る。上記で説明されたように、第3の面702cは、対応する周辺スクリュー穴の深さを制限する深さまで陥凹し得る。例えば、面702cは、チャネル705を通って前進されるドリルの拡幅部分と接触して、ドリルが目的よりも遠くに挿入されることを阻止し得る。
【0054】
ドリルで穴が開けられると、臨床医は、スクリュー経路ガイド700を取り外す。ガイド700の取り外しは、スロット706の周りまたは反対側にガイドの本体を曲げることを含み得る。臨床医は、ベースプレート62の開孔を通して挿入する1本以上のスクリューと、ガイド700及びベースプレートを通して肩甲骨に形成されたスクリュー穴とを使用して、関節窩ベースプレート62を関節窩58に固定し得る。
【0055】
II. 関節窩準備及びベースプレート装着のためのキット及びシステム
関節窩58の準備及び関節窩ベースプレート62の移植に関して本明細書で説明されるコンポーネントは、システム800に組み込まれ得、システム800は、本明細書で説明されるコンポーネントのうちの少なくとも2つのコンポーネントのキット800を含む。キット800は、
図9に示される物品のうちの任意の2つ、またはこれらのコンポーネントと、他のキットで本明細書に説明される他のコンポーネントとの組み合わせを含み得る。
【0056】
例えば、
図9に示されるように、キット800は、例えば、全関節窩ベースプレート62(関節窩ベースプレート162A、162B、262のうちのいずれか1つ以上など)、スクリュー経路ガイド700、アンカーペグ形成ガイド600、ガイドピンガイド400、部分リーミングガイド300、及び3次元(3D)モデル900のうちの少なくとも2つを含み得る。患者の肩甲骨の3Dモデル900は、患者の解剖学的構造のスキャンに基づき、臨床医が手術のために肩を準備することを支援し得る。都合の良いことに、キット800内のコンポーネントの集合により、臨床医は、1つのトレイまたはキットに配置された全てのコンポーネントで、関節窩ベースプレート62を準備し設置することが可能となり得る。さらに、図示されていないが、キット800は、リーミングデバイス500及び他のシステムコンポーネントなど、任意の他の適切なアイテムを含み得る。キット800は、部分リーミングガイド300及びリーミングデバイス500を含み得る。キット800は、ベースプレート162B及びアンカーペグチャネル形成ガイド600を含み得る。キット800は、ベースプレート162A及び
図9に示される他の物品を含み得るが、アンカーペグチャネル形成ガイド600を除外し得る。キットには、任意の適切な数のコンポーネントが提供され得る。
【0057】
用語
本明細書で使用されるように、相対的用語「外側(lateral)」及び「内側(medial)」は、解剖学的構造に関連して定義されるものとする。従って、内側は、正中線に向かう方向を指し、外側は、正中線から離れる方向を指す。
【0058】
特定の実施形態及び実施例が本明細書で説明されたが、本開示で図示及び説明される納入システムの多くの態様は、さらなる実施形態または許容可能な実施例を形成するために、異なって組み合わされてもよく、及び/または変更されてもよいことが、当業者には理解されよう。全てのこのような変更及び変形は、本明細書で本開示の範囲内に含まれることが意図される。多種多様な設計及び手法が可能である。本明細書で開示されるどの特徴、構造、またはステップも、必須または不可欠ではない。
【0059】
本開示の目的に合わせて、特定の態様、利点、及び新規の特徴が本明細書で説明される。必ずしも全てのそのような利点が、いずれかの特定の実施形態に従って達成されるわけではないことが理解されよう。従って、例えば、本明細書で教示される1つの利点または利点群を達成するように、本明細書で教示または示唆され得る他の利点を必ずしも達成せずに、本開示が具現化または実施されてもよいことを、当業者は認識するであろう。
【0060】
さらに、例示的な実施形態が本明細書で説明されたが、本開示に基づいて当業者が認識する同等の要素、変更、省略、組み合わせ(例えば様々な実施形態にわたる態様の組み合わせ)、適合、及び/または改変が、あらゆる全ての実施形態の範囲に含まれる。特許請求の範囲の限定は、特許請求の範囲で用いられる言語に基づいて広義に解釈されるべきであり、本明細書で説明される実施例、または出願の審査中に説明される実施例に限定されるべきではなく、実施例は非排他的に解釈されるべきである。さらに、開示される処理及び方法の動作は、動作の再順序付け、及び/または追加動作の挿入、及び/または動作の削除を含む任意のやり方で、変更されてもよい。よって、本明細書及び実施例は、例示としてのみ解釈され、真の範囲及び趣旨は、特許請求の範囲及びその同等物の全範囲により示されることが、意図される。
【0061】
数ある中でも「~できる(can)」、「~得る(might)」、「~得る(may)」、及び「例えば(e.g.)」など、本明細書で使用される仮定的言語は、特に明記されない限り、または使用される文脈で他に理解されない限り、特定の特徴、要素、及び/または状態をいくつかの実施形態は含むが、他の実施形態は含まないことを伝えることが、通常意図される。従って、このような仮定的言語は通常、特徴、要素、ブロック、及び/または状態が1つ以上の実施形態に多少なりとも必要であること、あるいはこれらの特徴、要素、及び/または状態が任意の特定の実施形態に含まれるか否か、または実行されるか否かを、発明者の入力またはプロンプトの有無に関わらず判断するロジックを、1つ以上の実施形態が必ず含むことを、示唆する意図はない。
【0062】
本明細書で開示される範囲は、あらゆる全ての重複、副範囲、及びそれらの組み合わせも包含する。「~まで(up to)」、「少なくとも(at least)」、「~より大きい/~を超える(greater than)」、「~より小さい/~未満(less than)」、及び「~の間(between)」などの言語は、記載された数を含む。「約(about)」または「おおよそ(approximately)」などの用語が前置された数は、記載された数を含み、状況に基づいて(例えば±1%、±5%、±10%、±15%など、状況下で合理的に可能な限り正確に)解釈されるべきである。例えば「約0.01インチ」は、「0.01インチ」を含む。「実質的に/略(substantially)」などの用語が前置された句は、記載された句を含み、状況に基づいて(例えば状況下で合理的に可能な限り)解釈されるべきである。例えば「略線形」は、「線形」を含む。
【国際調査報告】