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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】低血糖の予防および処置
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/197 20060101AFI20221005BHJP
   A61P 3/08 20060101ALI20221005BHJP
   A61K 31/5685 20060101ALI20221005BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221005BHJP
   A61K 38/28 20060101ALI20221005BHJP
   A61K 31/64 20060101ALI20221005BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
A61K31/197
A61P3/08
A61K31/5685
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61K38/28
A61K31/64
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507918
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(85)【翻訳文提出日】2022-04-06
(86)【国際出願番号】 SE2020050771
(87)【国際公開番号】W WO2021029813
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】1950921-5
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】2050506-1
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516363950
【氏名又は名称】ダイアミド・メディカル・アクチボラゲット
【氏名又は名称原語表記】DIAMYD MEDICAL AB
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エスぺス,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】カールソン,プレ-オラ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA19
4C084AA22
4C084DB34
4C084MA02
4C084NA14
4C084ZB21
4C084ZC35
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA21
4C086EA19
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB21
4C086ZC35
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA45
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZB21
4C206ZC35
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、対象における低血糖を予防またはそのリスクを低減するための方法における使用のための、任意にGABA受容体のポジティブアロステリックモジュレーターとの併用における、ガンマ-アミノ酪酸に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における低血糖を予防またはそのリスクを低減するための方法における使用のための、ガンマ-アミノ酪酸(GABA)またはGABA受容体作動薬。
【請求項2】
対象における低血糖を予防またはそのリスクを低減するための方法における使用のための、GABA受容体のポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、およびデヒドロエピアンドロステロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物と併用される、GABAまたはGABA受容体作動薬。
【請求項3】
前記対象は、1型糖尿病、2型糖尿病、インスリン依存性糖尿病、および/または内因性インスリン産生障害に罹患している、請求項1または2に記載の使用のためのGABAまたはGABA受容体作動薬。
【請求項4】
前記対象におけるインスリン誘導性低血糖を予防またはそのリスクを低減するための、先行する請求項のいずれか1項に記載の使用のためのGABAまたはGABA受容体作動薬。
【請求項5】
前記対象における非インスリン誘導性低血糖を予防またはそのリスクを低減するための、請求項1~3のいずれか1項に記載の使用のためのGABAまたはGABA受容体作動薬。
【請求項6】
前記低血糖は、スルホニル尿素、ベータ遮断薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、運動、膵島移植、および/または肥満手術によって誘導される、請求項5に記載の使用のためのGABAまたはGABA受容体作動薬。
【請求項7】
前記低血糖は、スルホニル尿素によって誘導される、請求項5に記載の使用のためのGABAまたはGABA受容体作動薬。
【請求項8】
請求項4に記載の使用のために、GABAまたはGABA受容体作動薬と、任意に、GABA受容体のポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、およびデヒドロエピアンドロステロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物との併用で、医薬品において使用するための、インスリン。
【請求項9】
請求項7に記載の使用のために、GABAまたはGABA受容体作動薬と、任意に、GABA受容体のポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、およびデヒドロエピアンドロステロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物との併用で、医薬品において使用するための、スルホニル尿素。
【請求項10】
対象における低血糖拮抗調節の異常を処置するための方法における使用のための、ガンマ-アミノ酪酸(GABA)またはGABA受容体作動薬。
【請求項11】
対象における低血糖拮抗調節の異常を処置するための方法における使用のための、GABA受容体のポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、およびデヒドロエピアンドロステロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物と併用される、ガンマ-アミノ酪酸(GABA)またはGABA受容体作動薬。
【請求項12】
対象が正常血中グルコース範囲(4~10mmol/L)または標的血中グルコース範囲(4~8mmol/L)にて過ごす時間を増やすための方法における使用のための、ガンマ-アミノ酪酸(GABA)またはGABA受容体作動薬。
【請求項13】
前記対象は、1型糖尿病、2型糖尿病、インスリン依存性糖尿病、および/または内因性インスリン産生障害を患う、請求項10~12のいずれか1項に記載の使用のためのGABAまたはGABA受容体作動薬。
【請求項14】
GABAまたは前記GABA受容体作動薬は、食事または就寝前の1時間以内に前記対象に投与される、請求項1~7または10~13のいずれか1項に記載の使用のためのGABAまたはGABA受容体作動薬。
【請求項15】
請求項8に記載の使用のための、インスリンと、GABAまたはGABA受容体作動薬と、任意に、GABA受容体のポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、およびデヒドロエピアンドロステロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含む医薬組成物。
【請求項16】
請求項9に記載の使用のための、スルホニル尿素と、GABAまたはGABA受容体作動薬と、任意に、GABA受容体のポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、およびデヒドロエピアンドロステロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、低血糖を予防、低血糖のリスクを低減、および低血糖に対する拮抗調節反応の障害を処置する方法と、このような処置において有用な化合物とに関する。
【0002】
背景
健康な個体において、低血糖は、インスリン放出の抑制、作用が迅速なグルカゴンおよびエピネフリンの活性化、これに続く、作用が緩速な成長ホルモンおよびコルチゾールの放出に関与する一連のホルモンによって、有効に対処される。このホルモン応答は、グルコース産生を増加させ、末梢でのグルコース利用を減少させ、これによって脳へのグルコースの運搬を増加させるように働く。
【0003】
1型糖尿病において、そして2型糖尿病においてもある程度は、以下の3つの主要な要因のために拮抗調節反応が障害されている:1)インスリンを体内から除去できない、2)グルカゴン放出が低下しているまたは欠如している、および3)低血糖に対する自律神経応答が低下している。さらに、強度のインスリン処置を受けている患者は拮抗調節反応異常が増大しているということも示されている(McCrimmon & Sherwin, 2010)。低血糖が繰り返し発症すると、1型糖尿病患者においても健康な個体においても低血糖に対する自覚障害が導かれることが示されており(Davis et al., 1992)(Heller & Cryer, 1991)、その特徴として、拮抗調節反応の放出および症状の開始に対する閾値の上昇(グルコース濃度の低下)がある。
【0004】
インスリン以外に、スルホニル尿素などの特定の抗糖尿病薬も、低血糖リスクの上昇に関連している。また、肥満手術、ならびにベータ遮断薬および選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの薬物も、低血糖および無自覚性低血糖のリスクを増大させるようである(White, 2007)。拮抗調節反応に関連するその他の要因は、性別、年齢、および身体活動である。加齢は拮抗調節反応の低下に関連しており、女性は、調節反応の低下に関連しているが、以前からある低血糖のために低下度合が小さい。また、運動も、拮抗調節反応の低下に関連している。
【0005】
動物実験によって、拮抗調節反応の減弱と、視床下部腹内側部などの重要な脳グルコース感知部位におけるGABAシグナル伝達の増大とが関連付けられている(Chan et al., 2008)。さらに、糖尿病マウスおよび低血糖を経験しているマウスにおいて、皮質GABA受容体結合の測定値の低下と、大脳皮質におけるGABA受容体発現の低下とが観察されている(Antony et al, 2010)。ヒトにおいて、GABA拮抗薬であるモダフィニルが14人の健康な成人で試験されたところ、低血糖後のノルアドレナリン作動性反応は低下したが、他のホルモンは影響を受けないことが示された。別の実験においては、ポジティブGABA受容体モジュレーターであるアルプラゾラムで処置した1型糖尿病患者において、運動後の拮抗調節反応の減弱が増大した。また、健康な個体において、アルプラゾラムでの処置の結果として拮抗調節反応が顕著に低下し(Hedrington et al., 2010)、インスリン誘導性低血糖に対する神経内分泌反応が阻害されたことが示された(Giordano et al., 2003)。健康な男性における研究においては、経口GABA摂取の長期使用によって、インスリン誘導性低血糖に対する成長ホルモンの反応が顕著に低下したことが示された。これらの研究から、GABA作動性シグナル伝達の増大が拮抗調節反応の減弱と低血糖リスクとに関連している可能性が示唆される。
【0006】
WO2009/114718は、イオンチャネル型グルタミン酸受容体を活性化してグルカゴン放出を刺激する化合物の有効量の投与を含む低血糖処置方法について記載する。よって、この方法は、グルタミン酸受容体に対して作用すると考えられるGABAの投与によりグルカゴン放出を刺激して循環グルカゴンレベルを急速に増加させることによって、既に存在する低血糖を処置するためのものである。WO2009/114718は、GABAにはイオンチャネル型グルタミン酸受容体を活性化してグルカゴン放出を刺激する化合物としての機能が期待できると示唆しているが、この示唆を裏付ける実験データまたは理論的な理由については記載していない。
【0007】
発明の概要
驚くべきことに、本発明において、本出願人らは、経口GABAでの処置後に長期1型糖尿病患者において拮抗調節反応が正常化することを観察している。内因性インスリン産生が測定限界未満である5人の患者において、GABA処置によって、低血糖誘導時のコルチゾールおよびノルエピネフリンの基礎レベルが下方制御されて拮抗調節反応が回復した。また、低血糖の間におけるグルカゴンおよび成長ホルモンの反応の増大も観察されている。
【0008】
よって、本発明は、第1の態様において、対象における低血糖を予防またはそのリスクを低減するための方法における使用のためのガンマ-アミノ酪酸(GABA)に関する。
【0009】
さらなる一態様において、本発明は、対象における低血糖を予防またはそのリスクを低減するための方法における使用のための、GABA受容体のポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、およびデヒドロエピアンドロステロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物と併用される、GABAに関する。
【0010】
一実施形態において、上記対象は、1型糖尿病、2型糖尿病、インスリン依存性糖尿病、および/または内因性インスリン産生障害に罹患している。
【0011】
一実施形態において、上記対象は、本発明に係る処置よりも前のcペプチドの空腹時血漿レベルが0.01nmol/L未満である。一実施形態において、上記対象は、本発明に係る処置よりも前の混合食負荷試験におけるcペプチドの最大(Cmax)血漿レベルが0.01nmol/L未満である。
【0012】
一実施形態において、GABAは、上記対象におけるインスリン誘導性低血糖の予防またはそのリスク低減における使用のためのものである。
【0013】
一実施形態において、GABAは、上記対象における非インスリン誘導性低血糖の予防またはそのリスク低減における使用のためのものである。
【0014】
一実施形態において、上記非インスリン誘導性低血糖は、スルホニル尿素、ベータ遮断薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、運動、膵島移植、および/または肥満手術によって誘導される。
【0015】
一実施形態において、上記非インスリン誘導性低血糖は、スルホニル尿素によって誘導される。
【0016】
さらなる一態様において、本発明は、本発明に係る使用のために、GABAと、任意に、GABA受容体のポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、およびデヒドロエピアンドロステロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物との併用で、医薬品において使用するための、インスリンに関する。
【0017】
さらなる一態様において、本発明は、本発明に係る使用のために、GABAと、任意に、GABA受容体のポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、およびデヒドロエピアンドロステロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物との併用で、医薬品において使用するための、スルホニル尿素に関する。
【0018】
さらなる一態様において、本発明は、対象における低血糖拮抗調節の異常を処置するための方法における使用のための、ガンマ-アミノ酪酸(GABA)に関する。
【0019】
さらなる一態様において、本発明は、対象における低血糖拮抗調節の異常を処置するための方法における使用のための、GABA受容体のポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、およびデヒドロエピアンドロステロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物と併用される、ガンマ-アミノ酪酸(GABA)に関する。
【0020】
さらなる一態様において、本発明は、対象が正常血中グルコース範囲(4~10mmol/L)または標的血中グルコース範囲(4~8mmol/L)にて過ごす時間を増やすための方法における使用のための、ガンマ-アミノ酪酸(GABA)に関する。
【0021】
一実施形態において、上記対象は、1型糖尿病、2型糖尿病、インスリン依存性糖尿病、および/または内因性インスリン産生障害を患う。
【0022】
一実施形態において、対象は、cペプチドレベルが、標準的なアッセイでは検出不可能、すなわち0.01nmol/L未満である。
【0023】
さらなる一態様において、本発明は、本発明に係る使用のための、インスリンと、GABAと、任意に、GABA受容体のポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、およびデヒドロエピアンドロステロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含む医薬組成物に関する。
【0024】
さらなる一態様において、本発明は、本発明に係る使用のための、スルホニル尿素と、GABAと、任意に、GABA受容体のポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、およびデヒドロエピアンドロステロンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物とを含む医薬組成物に関する。
【0025】
上述される態様において、GABAは、1日当たり600mgなどの、1日当たり200mg~1200mgの用量にて投与されてよい。
【0026】
一態様において、対象における低血糖の予防またはそのリスク低減におけるGABAの使用は、高血糖関連自律神経不全(HAAF)の処置または予防のための処置の一部である。
【0027】
また、本発明は、以下に定義されるようなGABA受容体作動薬またはGABA受容体作動薬などのGABA受容体作動薬の、上記と同様の治療的および製薬学的使用にも関する。よって、さらなる態様において、GABAは、上述されるような本発明における別のGABA受容体作動薬で置き換えられる。
【0028】
いくつかの実施形態において、GABAまたはGABA受容体作動薬は、食後の低血糖のリスクを低減するために、食事前の1時間以内に対象に投与される。いくつかの実施形態において、GABAまたはGABA受容体作動薬は、就寝中の低血糖のリスクを低減するために、就寝前の1時間以内に対象に投与される。
【0029】
本明細書中に記載される本発明に係るいくつかの実施形態において、PAMは、アルプラゾラムまたはジアゼパムなどのベンゾジアゼピンである。PAMの1日用量は、好ましくは、規定1日用量の約50%またはそれ未満など、規定1日用量の約10%~25%などといったように、規定1日用量の100%(アルプラゾラムについては1mg、ジアゼパムについては10mg)未満である。
【0030】
定義
「GABA受容体作動薬」という用語は、一般的に、本明細書中において使用される場合、GABA受容体またはGABA受容体の活性を直接亢進させる化合物(当該化合物の非存在下における当該GABA受容体の活性との比較で)を指す。本明細書中に記載される本発明において有用な「GABA受容体作動薬」は、GABA、ムシモール、チオムシモール、cis-アミノクロトン酸(CACA)、ホモタウリン、バマルゾール(bamaluzole)、ガバミド(gabamide)、GABOB、ガボキサドール(gaboxadol)、イボテン酸、イソグバシン、イソニペコチン酸、フェニバット、ピカミロン、プロガビド、キスクアラミン(quisqualamine)、プロガビド酸(progabide acid)(SL 75102)などの化合物を含む。
【0031】
「PAM」または「ポジティブアロステリックモジュレーター」という用語は、GABA受容体および/またはGABA受容体のポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)を指し、当業者に周知されている。PAMの例は、アルコール(たとえば、エタノール、イソプロパノール)、アベルメクチン(たとえば、イベルメクチン)、バルビツール酸系(たとえば、フェノバルビタール)、ベンゾジアゼピン、臭化物(たとえば、臭化カリウム)、カルバメート(たとえば、メプロバメート、カリソプロドール)、クロラロース、クロルメザノン、クロメチアゾール、ジヒドロエルゴリン(たとえば、エルゴロイド(ジヒドロエルゴトキシン))、エタゼピン(etazepine)、エチホキシン、イミダゾール(たとえば、エトミデート)、カヴァラクトン(カヴァ中に見いだされる)、ロレクレゾール、神経活性ステロイド(たとえば、アロプレグナノロン、ガナキソロン)、非ベンゾジアゼピン系(たとえば、ザレプロン、ゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロン)、ペトリクロラール、フェノール(たとえば、プロポフォール)、ピペリジンジオン(piped dinedione)(たとえば、グルテチミド、メチプリロン)、プロパニジド、ピラゾロピリジン(たとえば、エタゾレート)、キナゾリノン(たとえば、メタカロン)、タツナミソウ(skullcap)の成分(たとえば、バイカレインなどのフラボノイドを含むがこれらに限定されないScutellaria種の成分)、スチリペントール、スルホニルアルカン(たとえば、スルホンメタン、テトロナル、トリオナル)、カノコソウ(valerian)の成分(たとえば、吉草酸、バレレン酸(valerenic acid))、および特定の揮発性物質および/またはガス(たとえば、抱水クロラール、クロロホルム、ジエチルエーテル、セボフルラン)を含むが、これらに限定されない。GABA受容体活性化リガンドとの併用で使用される場合のPAMとしては、アルコール、および/またはカヴァラクトン、および/またはタツナミソウもしくはタツナミソウ成分、および/またはカノコソウもしくはカノコソウ成分、および/または揮発性ガスが除外され得る。PAMは、バルビツール酸系(barbituate)、ベンゾジアゼピン、キナゾリノン、および神経ステロイドからなる群より選択される薬剤を含んでよい。バルビツール酸系(barbituate)の例は、アロバルビタール(5,5-ジアリルバルビツール酸)、アモバルビタール(5-エチル-5-イソペンチル-バルビツール酸)、アプロバルビタール(5-アリル-5-イソプロピル-バルビツール酸)、アルフェナール(alphenal)(5-アリル-5-フェニル-バルビツール酸)、バルビタール(5,5-ジエチルバルビツール酸)、ブラロバルビタール(5-アリル-5-(2-ブロモ-アリル)-バルビツール酸)、ペントバルビタール(5-エチル-5-(l-メチルブチル)-バルビツール酸)、フェノバルビタール(5-エチル-5-フェニルバルビツール酸)、およびセコバルビタール(5-[(2R)-ペンタン-2-イル]-5-プロプ-2-エニル-バルビツール酸)などを含むが、これらに限定されない。ベンゾジアゼピンの例は、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ケタゾラム、ロラゼパム、ニトラゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、およびトリアゾラムなどを含むが、これらに限定されない。神経ステロイドの例は、アロプレグナノロンおよびプレグナノロンを含むが、これらに限定されない。PAMは、好ましくは、WHOの医薬品統計法共同研究センターにより管理される解剖治療化学(ATC)分類法(https://www.whocc.no/atc_ddd_index/)において当該化合物について提供されている規定1日用量(DDD)の、10%~100%、好ましくは10%~25%を1日用量として投与される。さらに、WO2015140081中に開示される2-シアノ-3-シクロプロピル-3-ヒドロキシ-n-アリール-チオアクリルアミド誘導体を、本発明におけるPAMとして使用してもよい。これらは、式Iの化合物、またはその互変異性アイソフォーム、
【0032】
【化1】
【0033】
またはその互変異性アイソフォーム(式中、R1は、ハロゲン、ニトロ、低級アルキルスルホニル、シアノ、トリフルオロメチル(trifluromethyl)低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、カルボキシ、低級アルキルアミノスルホニル、パーフルオロ低級アルキル、低級アルキルチオ、ヒドロキシ低級アルキル、アルコキシ低級アルキル、低級アルキルチオ低級アルキル、低級アルキルスルフィニル低級アルキル、低級アルキルスルホニル低級アルキル、低級アルキルスルフィニル、低級アルカノイル、アロイル、アリール、アリールオキシからなる群より選択され、ここで、上記で使用される用語「低級」は好ましくは炭素原子1~3個を指し、R2は、水素、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、および、アルキルカルボニルからなる群より選択され、各アルキル残基は好ましくは炭素原子1~3個を有する)、および、それらの互変異性アイソフォーム、非毒性でありかつ製薬学的に許容される塩またはプロドラッグとして定義できる。
【0034】
「低血糖関連自律神経不全」またはHAAFという用語は、対象が低血糖事象に気付かずに回避できないことを指す。この原因は以下のようであると考えられる:近い過去に医原性低血糖が生じていて先行しており、これが、グルカゴン反応欠如下でのグルコースレベル降下に対するエピネフリン反応の低下によるグルコース拮抗調節異常と、自律神経反応低下とその結果としての神経性症状の反応の低下による無自覚性低血糖とを引き起こし、そのために低血糖を繰り返すという悪循環を生じている(Cryer, 2001)。
【0035】
「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」またはSSRIという用語は、神経伝達物質セロトニンの細胞外レベルを、シナプス前細胞中へのその再吸収(再取り込み)の制限により増大させて、シナプス間隙におけるセロトニン(シナプス後受容体に結合できる)のレベルを増大させることによって機能する薬物のクラスに関する。SSRIの例は、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、およびセルトラリンである。
【0036】
「予防」という用語は、全面的な予防および部分的な予防の両方を包含すること、すなわち、予防される事象または状態の重症度および/または発生可能性を、対象における過去の当該事象のパターンと比較しておよび/または未処置のコントロールと比較して、全面的または部分的に減少させることを包含することを意図している。低血糖の重症度の評価および/またはスコア化は、当技術分野において周知されている(Ryan, 2004)。
【0037】
発明の詳細な説明
下記の治験実施計画書(Study Protocol)1に従う試験を、Regenerate-1(EudraCT番号:2018-001115-73)という試験名称にて開始した。
【0038】
驚くべきことに、GABAが、1型糖尿病患者における病的に増加した循環グルカゴン濃度を低減して正常濃度に近づけることができることが見いだされた。グルカゴンレベルを低減して正常値にするというGABAのこの能力は、WO2019/114718などの先行技術において、GABAがグルタミン酸受容体に働きかけることによって循環グルカゴンレベルを急激に増大させると示唆されている(ただし示されてはいない)ことを考慮すると、驚くべきことである。
【0039】
グルカゴン濃度は、通常、1型糖尿病患者および2型糖尿病患者の両方において病的に増加しており、よって、こうした患者においては、低血糖に応答してグルカゴンをさらに増大させる能力がほとんどない、または欠如している。こうした患者を重症低血糖から保護するためには、この拮抗調節ホルモン(血中グルコース上昇ホルモン)の反応の欠如に対処することが重要である。本発明は、この臨床問題に対する解決策の提供を目指す。
【0040】
本出願人らは、正常血糖における循環グルカゴンレベルを正常化することによって、低血糖発作の際にグルカゴンを増大させる能力を回復させることができることを示した。これは、正常血糖における循環グルカゴンレベルが正常よりも高い患者にGABAを投与することによって実施できる。
【0041】
さらに、1型または2型糖尿病患者は、健常者と比較して、低血糖に対しての反応によるその他のインスリン拮抗調節ホルモン(成長ホルモン、コルチゾール、およびエピネフリン(アドリナリン))の増加が、正常よりも少ない。治験実施計画書1に従う試験における用量漸増パートから、低血糖に対するこうしたホルモンの反応もGABA処置によって回復し得ることが示される。理論に拘束されるものではないが、上記ケースでは、正常血糖における正常生理的濃度も回復される可能性がある。
【0042】
また、本発明は、GABAと、対象における低血糖を予防もしくはそのリスクを低減するための方法においてプラスの作用を有する、またはこのような方法におけるGABAの作用を増大させる、またはそれ自体が治療効果を有していてGABAと相乗的に作用する、その他の化合物との併用にも関する。
【0043】
GABAの作用を増大させる化合物の例は、上記に定義されるようなポジティブアロステリックモジュレーターを含む。
【0044】
それ自体が治療効果を有していてGABAと相乗的に作用する化合物の例は、フルオキセチンなどのSSRI、および内因性ホルモンであるデヒドロエピアンドロステロンを含む。
【0045】
治験実施計画書1
以下の治験実施計画書を使用して、経口GABA療法が低血糖に及ぼす作用を調べることができる。
【0046】
目的:
第1の目的
第1の目的は、経口GABA処置の短期および長期安全性を評価することである。
【0047】
第2の目的
第2の目的は、3つの処置群の間における作用の違いを評価することである。さらには、経口GABA処置をアルプラゾラム処置と併用した場合または併用しない場合の、Cペプチド測定による内因性インスリン分泌回復、全般的な糖尿病状態、血清GABAレベル、患者の免疫系および生活の質(QoL)への影響(DTSQ調査票およびRAND-36調査票を使用)についてのアウトカムを分析することである。
【0048】
エンドポイント:
第1のエンドポイント
この試験における第1のエンドポイントは、以下である:
・GABA処置またはアルプラゾラムを併用するGABA処置に関連する可能性または蓋然性のあるAE/SAEの数
ベースライン値に対する、検査パラメータ、身体検査、およびバイタルサインの経時的変化。
【0049】
第2のエンドポイント
・すべての処置(低用量連日経口GABA処置、高用量連日経口GABA処置、高用量経口GABAとアルプラゾラム処置との併用)について、ベースラインと、3か月間の処置の後、6か月間の処置の後、およびフォローアップ来診のそれぞれとの間における、混合食負荷試験(MMTT)中のCペプチドの差異(曲線下面積[AUC] 平均 0~120分)。
【0050】
・すべての処置について、ベースラインと、3か月間の処置の後、6か月間の処置の後、およびフォローアップ来診のそれぞれとの間における、MMTT中のCペプチドの差異(曲線下面積[AUC] 平均 0~120分)。超高感度ELISAで分析。
【0051】
・すべての処置について、ベースラインと、3か月間の処置の後、6か月間の処置の後、およびフォローアップ来診のそれぞれとの間における、MMTT中の刺激時Cペプチド最大値の差異。
【0052】
・すべての処置について、ベースラインと、3か月間の処置の後、6か月間の処置の後、およびフォローアップ来診のそれぞれとの間における、MMTT中の刺激時Cペプチド最大値の差異。超高感度ELISAで分析。
【0053】
・処置間の差異、ベースラインと、3か月間の処置の後、6か月間の処置の後、およびフォローアップ来診との間における、MMTT中のCペプチドの差異(曲線下面積[AUC] 平均 0~120分)。
【0054】
・すべての処置について、ベースラインと6か月間の処置との間における、低血糖クランプ中のグルカゴンの差異(曲線下面積[AUC] 平均 0~120分)。
【0055】
・処置間の差異、ベースラインと6か月間の処置との間における、低血糖クランプ中のグルカゴンの差異(曲線下面積[AUC] 平均 0~120分)。
【0056】
・血漿Cペプチド、グルカゴン、プロインスリン、プロインスリン/Cペプチド、グルカゴン様ペプチド1、脂質、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、およびインスリン調整HbA1c(IDAAC)などの、糖尿病状態を示す変数。外因性インスリンの1日摂取量、血糖の変動性、および自己申告低血糖の回数。
【0057】
・GAD65および膵島抗原2に対する血清自己抗体(およびアイソタイプ)、ならびに血液中の免疫細胞の全般的特性などの、免疫系に及ぼす影響を示す変数。
【0058】
・3か月間および6か月間の処置の後ならびにフォローアップ来診におけるGABA血漿レベルの分析。
【0059】
・質問票による患者QoLの測定。
試験デザイン
試験のデザインおよび手順の説明
試験に関連する任意の手順の実施前に、患者は、書面にてインフォームドコンセントを提供する。試験の第1パートは6人の患者を含み、安全性および用量漸増試験として、低用量(200mg)、中用量(600mg)、および高用量(1200mg)のGABAを使用する3つのステップで実施する。次いで、安全性パラメータ、血漿GABA濃度、インスリン耐性、および耐糖能を評価する。1人目の患者が上述される3つの用量漸増ステップを完了した後、DSMBにより安全性データが審査され、安全性上の懸念が生じなければ残りの5人の患者についても開始できる。
【0060】
処置スケジュールは以下のとおりである。
6人の患者全員が用量漸増試験を完了したら、DSMBが安全性データを再度審査する。安全性上の懸念が生じなければ、本試験のこのパートに既に含まれている対象を、次いで、少なくとも1か月間にわたるウォッシュアウト期間後に、主試験に登録する。
【0061】
主試験は、3アーム非盲検単施設臨床試験である。適格な患者を3つの実薬アームの1つに無作為化して、経口GABA処置を6か月間または経口GABAとアルプラゾラムとの併用を3か月間投与し、続いて、GABA単独での処置を3か月間実施する(総処置期間6か月)。
【0062】
患者を、割り当てた処置群に応じて、計7~9か月間にわたって追跡する。すべての患者は、試験期間全体を通じて、主治医から通常の標準治療および強化インスリン処置を継続して受ける。
【0063】
1日目(来診2回目)、すなわちスクリーニング来診の2~4週間後に(用量漸増試験に含まれていた患者については、スクリーニング来診は行なわないが、少なくとも1か月間のウォッシュアウト期間はある)、当該試験に適格である患者を、Cペプチドレベルにより階層化して1:1:1の比率で無作為化して、以下を投与する:
1)Remygen 200mgを6か月間(1日目~181日目)、
2)Remygen 600mgを6か月間(44日目~225日目)
3)Remygen 600mgを6か月間(44日目~225日目)、およびアルプラゾラム0.5mgを3か月間(44日目~134日目)
アーム1、アーム2、およびアーム3についての処置スケジュールは、表2、表3、および表4中にそれぞれ記載される。
【0064】
スクリーニング来診時に、患者に3桁の連続スクリーニング番号を割り当て、これを3桁の患者識別表示(患者番号)(すなわちXXX)として使用する。
【0065】
個々の患者を、Remygenに6か月間、およびアルプラゾラムに3か月間曝露する。すべての患者は、試験期間全体を通じて、主治医から強化インスリン処置を継続して受ける。
【0066】
【表1】
【0067】
*DSMBは、1人目の患者を評価して、残りの5人の患者が当該試験を始めてよいか否かを決定する。6人の患者全員が用量漸増ステップを完了した後、DSMBは、安全性データを再度審査して、主試験を開始してよいか否かを決定する。
【0068】
【表2】
【0069】
*DSMBは、含まれている患者のうち最初の4人の安全性データを評価する。
【0070】
【表3】
【0071】
*DSMBは、含まれている患者のうち最初の4人の安全性データを評価して、第2の処置アームを開始してよいか否かを決定する。したがって、処置アーム2についての処置の開始は遅延される。
【0072】
#DSMBは、1か月間の処置の後に、処置アーム2に含まれている患者のうち最初の4人の安全性データを評価して、より高用量のGABAでの処置によって安全性上の懸念が生じていないことを確認する。
【0073】
【表4】
【0074】
*DSMBは、処置アーム1に含まれている患者のうち最初の4人の安全性データを評価して、処置アーム3を開始してよいか否かを決定する。したがって、処置アーム3についての処置の開始は遅延される。
【0075】
£処置は44日目にアルプラゾラム0.5mgにて開始する。処置を、45日目に、低用量GABA(200mg)およびアルプラゾラム0.5mgに増やす。46日目に、高用量GABA(600mg)およびアルプラゾラム0.5mgを投与し、これを残りの処置期間も続ける。患者は、44~46日目に、錠剤服用後3時間にわたり、念のため病院で観察下に置かれる。
【0076】
#DSMBは、1か月間の処置の後に、処置アーム3に含まれている患者のうち最初の4人の安全性データを評価して、より高用量のGABA+アルプラゾラムでの処置によって安全性上の懸念が生じていないことを確認する。
【0077】
$3か月後にアルプラゾラムでの処置を停止し、患者は経口GABAのみを3か月間にわたり継続する。
【0078】
【表5】
【0079】
省略形:AE=有害事象;BP=血圧;HBA1c=ヘモグロビンA1c;MMTT=混合食負荷試験;ITT=インスリン負荷試験;FGM=フラッシュグルコースモニタリング;T1D=1型糖尿病;PK=薬物動態
【0080】
【表6】
【0081】
省略形:AE=有害事象;BP=血圧;HBA1c=ヘモグロビンA1c;MMTT=混合食負荷試験;ITT=インスリン負荷試験;FGM=フラッシュグルコースモニタリング;T1D=1型糖尿病;QoL=生活の質;PK=薬物動態
【0082】
【表7】
【0083】
省略形:AE=有害事象;BP=血圧;HBA1c=ヘモグロビンA1c;MMTT=混合食負荷試験;ITT=インスリン負荷試験;FGM=フラッシュグルコースモニタリング;T1D=1型糖尿病;QoL=生活の質;PK=薬物動態
【0084】
【表8-1】
【0085】
【表8-2】
【0086】
省略形:AE=有害事象;BP=血圧;HBA1c=ヘモグロビンA1c;MMTT=混合食負荷試験;ITT=インスリン負荷試験;FGM=フラッシュグルコースモニタリング;T1D=1型糖尿病;QoL=生活の質;PK=薬物動態
試験手順
試験の手順および評価は下記セクション中に記載され、詳細は、安全性、糖尿病状態評価、免疫学的評価、血漿GABAレベル、便サンプル、生活の質、併用薬評価、人口統計、および採血手順についての各セクション中に提示される。また、AEの記録および報告についても以下に記載される。
【0087】
試験におけるすべての出来事のタイミングが、表5~表8中および以下に示される。
すべての来診
留意するべきことに、患者は、すべての試験来診について、一晩絶食(10時間超、水は許容される)後の翌朝に、Remygenおよびアルプラゾラムの1日用量を服用せずに、参加するべきである。患者は、来診中に、Remygenおよびアルプラゾラムの1日用量をその日のいつ服用するべきかについて、指示を受ける。感染(発熱を含む)のエビデンスのある患者については、完全な来診は、5日間、または患者が回復するまで、延期するべきである。
【0088】
すべての来診のタイミング、来診1回目~来診10回目(アーム1)/来診11回目(アーム2および3)
安全性および用量漸増試験と主試験との両方について、1回目の来診であるスクリーニング来診(来診1回目)を、予定された来診2回目(ベースライン)の14~28日前に行なうべきである。安全性および用量漸増試験においては、登録されている患者は、指定された日に指定された施設に来ることが可能でなければならない。本試験のこのパートについては、来診ウィンドウは許容されない。
【0089】
主試験においては、来診は、来診4回目を±3日以内、来診5回目~来診8回目(アーム1)/9回目(アーム2および3)を±5日以内、来診9回目および10回目(アーム1)/10回目および11回目(アーム2および3)を±14日以内に設定するべきである。
【0090】
1か月間のGABA処置の後に、DSMBは、アーム1に含まれている患者のうち最初の4人の安全性データを評価して、アーム2および3における処置を開始してよいか否かを決定する。そのためアーム2および3における1人目の患者の来診4回目(処置開始)を遅延する場合があるが、この承認が下りた後、14日以内に日程を設定する。
【0091】
来診の説明-安全性および用量漸増
来診S1、スクリーニング(-14~-28日目)
試験対象となる可能性のある患者に、当該試験の手順、起こり得るリスク、およびベネフィットについて、書面および口頭で情報を提供する。試験の任意の具体的な手順を行なう前に、患者はインフォームドコンセント文書(ICF)に署名しなければならない。書面形式でのインフォームドコンセントが得られたら、以下の行為および評価を行ない、ICF署名後に生じたSAEがある場合には、これを記録する:
・選択/除外基準に照らして適格かどうかを確認
・人口統計(年齢および性別を含む)
・病歴
・T1Dの家族歴
・体重および身長を含む全身身体検査
・神経学的評価
・ECG
・併用薬
・バイタルサイン(血圧[BP])
・血液学および臨床化学を調べるための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、HbA1c、および空腹時グルコース)を調べるための血液試料
・血糖変化/変動デバイス(FreeStyleリブレPro、FGM)を患者に渡す
検査は表5に従って行なう。
【0092】
来診S2、ベースライン(1日目)
来診S2(ベースライン、1日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・選択/除外基準に照らして適格かどうかを確認
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・ECG
・併用薬
・バイタルサイン(BP)
・血液学、臨床化学、GABAレベル、および免疫学的分析のための採血
・微量アルブミン尿、クレアチニン、およびGABAを調べるための尿検査
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
・混合食負荷試験(MMTT)
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、MMTT誘導性Cペプチド、HbA1c、空腹時グルコース、およびMMTT誘導性グルコース)を調べるための血液試料
・血糖変化/変動デバイス(FreeStyleリブレPro、FGM)を患者に渡す
検査は表5に従って行なう。
【0093】
来診S3、ベースライン(2日目)
来診S3(ベースライン、2日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・低血糖クランプ
・糖尿病状態(クランプ誘導性のグルカゴン、エピネフリン、ノルエピネフリン、成長ホルモン、コルチゾール、およびグルコース)を調べるための血液試料
検査は表5に従って行なう。
【0094】
来診S4、(3日目)
来診S4(3日目)
・GABAでの処置開始(最低用量)
・GABAの薬物動態評価のための採血
・GABAの尿検査
検査は表5に従って行なう。
【0095】
来診S5(5日目)
来診S5(5日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・AE
・血液学、臨床化学、および免疫学的分析のための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・低血糖クランプ
・糖尿病状態(空腹時グルコース、クランプ誘導性のグルカゴン、エピネフリン、ノルエピネフリン、成長ホルモン、コルチゾール、およびグルコース)を調べるための血液試料
検査は表5に従って行なう。
【0096】
来診S6(6日目)
来診S6(6日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・全身身体検査
・神経学的評価
・ECG
・バイタルサイン(BP)
・AE
・微量アルブミン尿、クレアチニン、およびGABAを調べるための尿検査
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
・GABAの用量漸増(中用量)
・GABAの薬物動態評価のための採血
検査は表5に従って行なう
来診S7(8日目)
来診S7(8日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・AE
・血液学、臨床化学、および免疫学的分析のための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・低血糖クランプ
・糖尿病状態(空腹時グルコース、クランプ誘導性のグルカゴン、エピネフリン、ノルエピネフリン、成長ホルモン、コルチゾール、およびグルコース)を調べるための血液試料
検査は表5に従って行なう
来診S8(9日目)
来診S8(9日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・全身身体検査
・神経学的評価
・ECG
・バイタルサイン(BP)
・AE
・微量アルブミン尿、クレアチニン、およびGABAを調べるための尿検査
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
・GABAの用量漸増(最高用量)
・GABAの薬物動態評価のための採血
検査は表5に従って行なう
来診S9(10日目)
来診S9(10日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・AE
・低血糖クランプ
・糖尿病状態(クランプ誘導性のグルカゴン、エピネフリン、ノルエピネフリン、成長ホルモン、コルチゾール、およびグルコース)を調べるための血液試料。
【0097】
検査は表5に従って行なう
来診S10(11日目)
来診S10(11日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・ECG
・バイタルサイン(BP)
・AE
・血液学、臨床化学、GABAレベル、および免疫学的分析のための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
・混合食負荷試験(MMTT)
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、MMTT誘導性Cペプチド、HbA1c、空腹時グルコース、およびMMTT誘導性グルコース)を調べるための血液試料
・血糖変化/変動デバイス(FreeStyleリブレPro、FGM)を患者が返却
検査は表5に従って行なう
まず、1人の患者がすべての来診を行なう。次いで、DSMBが安全性データを審査し、安全性上の懸念がなければ、登録されている残りの5人の患者も試験を開始できる。
【0098】
次いで、DSMBが、安全性および用量漸増試験からの安全性データを再度審査して、主試験を開始してよいか否かを決定する。
【0099】
来診の説明-主試験、処置アーム1
来診1回目、スクリーニング(-14~-28日目)
安全性および用量漸増試験に含まれていた患者に、主試験への参加を提案し、彼らには、スクリーニング来診は行なわないが、少なくとも1か月間にわたるウォッシュアウト期間が適用される。試験対象となる可能性のある患者には、当該試験の手順、起こり得るリスク、およびベネフィットについて、書面および口頭で情報を提供する。試験の任意の具体的な手順を行なう前に、患者はインフォームドコンセント文書(ICF)に署名しなければならない。書面形式でのインフォームドコンセントが得られたら、以下の行為および評価を行ない、ICF署名後に生じたSAEがある場合には、これを記録する:
・選択/除外基準に照らして適格かどうかを確認
・人口統計(年齢および性別を含む)
・病歴
・T1Dの家族歴
・体重および身長を含む全身身体検査
・神経学的評価
・ECG
・併用薬
・バイタルサイン(血圧[BP])
・血液学および臨床化学を調べるための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、HbA1c、および空腹時グルコース)を調べるための血液試料
・血糖変化/変動デバイス(FreeStyleリブレPro、FGM)を患者に渡す
・患者に患者日誌を渡し、次回来診より前の3日間にわたって自身の血中グルコースおよびインスリン用量を集めるように指示
検査は表6に従って行なう
来診2回目、ベースライン(1日目)
来診2回目(ベースライン、1日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・選択/除外基準に照らして適格かどうかを確認
・処置アーム1、2、または3への無作為化
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・併用薬
・バイタルサイン(BP)
・血液学、臨床化学、GABAレベル、および免疫学的分析、およびPBMC単離のための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・患者に便サンプルの提供を依頼
・混合食負荷試験(MMTT)
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、MMTT誘導性Cペプチド、HbA1c、空腹時グルコース、ならびにMMTT誘導性のグルコース、インスリン、プロインスリン、グルカゴン、GLP-1、および脂質)を調べるための血液試料
・QoL質問票
・来診までの3日間にわたって血中グルコースおよびインスリン用量(外因性インスリン用量/kg/24時間)を集める
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
検査は表6に従って行なう
来診3回目、ベースライン(2日目)
来診3回目(ベースライン、2日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・高血糖クランプ
・糖尿病状態(クランプ誘導性のグルカゴン、エピネフリン、ノルエピネフリン、成長ホルモン、コルチゾール、およびグルコース)を調べるための血液試料
・クランプの実施後に、GABAでの処置を開始する。患者に、試験来診で来院する日以外はGABAの1日用量を午前中に食物と一緒に服用するべきであることを注意喚起する。
【0100】
検査は表6に従って行なう
来診4回目(7日目)
来診4回目(7日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・併用薬
・バイタルサイン(BP)
・AE
・血液学、臨床化学、GABAレベル、および空腹時グルコースを調べるための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・来診までの3日間にわたって血中グルコースおよびインスリン用量(外因性インスリン用量/kg/24時間)を集める
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
来診5回目(30日目)
来診4回目(7日目)および来診5回目(30日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・ECG
・併用薬
・バイタルサイン(BP)
・AE
・血液学、臨床化学、GABAレベル、および免疫学的分析のための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・来診までの3日間にわたって血中グルコースおよびインスリン用量(外因性インスリン用量/kg/24時間)を集める
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、HbA1c、空腹時グルコース、グルカゴン、GLP-1、および脂質)を調べるための血液試料
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
検査は表6に従って行なう
来診5回目の後、DSMBが、1か月間のGABA処置を完了した最初の4人の患者からの安全性データを評価して、処置アーム2および3を開始してよいか否かを評価する。
【0101】
来診6回目および7回目(90日目および180日目)
来診6回目(90日目)および来診7回目(180日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・併用薬
・バイタルサイン(BP)
・AE
・血液学、臨床化学、GABAレベル、免疫学的分析、およびPBMC単離のための採血(PBMCは来診7回目のみにおいて集める)
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・患者に便サンプルの提供を依頼
・混合食負荷試験(MMTT)
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、MMTT誘導性Cペプチド、HbA1c、空腹時グルコース、ならびにMMTT誘導性のグルコース、インスリン、プロインスリン、グルカゴン、GLP-1、および脂質)を調べるための血液試料
・QoL質問票(来診7回目)
・来診までの3日間にわたって血中グルコースおよびインスリン用量(外因性インスリン用量/kg/24時間)を集める
・血糖変化/変動デバイス(FreeStyleリブレPro、FGM)を患者に渡す(来診7回目)
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
検査は表6に従って行なう
来診8回目(181日目)
来診8回目(181日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・低血糖クランプ
・糖尿病状態(クランプ誘導性のグルカゴン、エピネフリン、ノルエピネフリン、成長ホルモン、コルチゾール、およびグルコース)を調べるための血液試料
・GABA処置を終了する。
【0102】
検査は表6に従って行なう
来診9回目、フォローアップ(210日目)
来診9回目(フォローアップ、210日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・ECG
・併用薬
・AE
・血液学、臨床化学、GABAレベル、および免疫学的分析、およびPBMC単離のための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・患者に便サンプルの提供を依頼
・混合食負荷試験(MMTT)
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、MMTT誘導性Cペプチド、HbA1c、空腹時グルコース、ならびにMMTT誘導性のグルコース、インスリン、プロインスリン、グルカゴン、GLP-1、および脂質)を調べるための血液試料
・QoL質問票
・来診までの5日間にわたって血中グルコースおよびインスリン用量を集める(外因性インスリン用量/kg/24時間)
・血糖変化/変動デバイス(FreeStyleリブレPro、FGM)を患者が返却
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
検査は表6に従って行なう
来診10回目、フォローアップ(211日目)
来診10回目(フォローアップ、211日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・低血糖クランプ
・糖尿病状態(クランプ誘導性のグルカゴン、エピネフリン、ノルエピネフリン、成長ホルモン、コルチゾール、およびグルコース)を調べるための血液試料
来診の説明-主試験、処置アーム2
来診1回目、スクリーニング(-14~-28日目)
試験の任意の具体的な手順を行なう前に、患者はインフォームドコンセント文書(ICF)に署名しなければならない。安全性および用量漸増試験に含まれていた患者に、主試験への参加を提案し、彼らは、新たにインフォームドコンセントに署名する必要はなく、新たにスクリーニング来診を行なう必要もないが、少なくとも1か月間にわたるウォッシュアウト期間は適用される。試験対象となる可能性のある患者には、当該試験の手順、起こり得るリスク、およびベネフィットについて、書面および口頭で情報を提供する。書面形式でのインフォームドコンセントが得られたら、以下の行為および評価を行ない、ICF署名後に生じたSAEがある場合には、これを記録する:
選択/除外基準に照らして適格かどうかを確認
・人口統計(年齢および性別を含む)
・病歴
・T1Dの家族歴
・体重および身長を含む全身身体検査
・神経学的評価
・ECG
・併用薬
・バイタルサイン(血圧[BP])
・血液学および臨床化学を調べるための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、HbA1c、および空腹時グルコース)を調べるための血液試料
・血糖変化/変動デバイス(FreeStyleリブレPro、FGM)を患者に渡す
・患者に患者日誌を渡し、次回来診より前の3日間にわたって自身の血中グルコースおよびインスリン用量を集めるように指示
検査は表7に従って行なう
来診2回目、ベースライン(1日目)
来診2回目(ベースライン、1日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・選択/除外基準に照らして適格かどうかを確認
・処置アーム1、2、または3への無作為化
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・併用薬
・バイタルサイン(BP)
・血液学、臨床化学、GABAレベル、および免疫学的分析、およびPBMC単離のための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・患者に便サンプルの提供を依頼
・混合食負荷試験(MMTT)
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、MMTT誘導性Cペプチド、HbA1c、空腹時グルコース、ならびにMMTT誘導性のグルコース、インスリン、プロインスリン、グルカゴン、GLP-1、および脂質)を調べるための血液試料
・QoL質問票
・来診までの3日間にわたって血中グルコースおよびインスリン用量(外因性インスリン用量/kg/24時間)を集める
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
検査は表7に従って行なう
来診3回目、ベースライン(2日目)
来診3回目(ベースライン、2日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・低血糖クランプ
・糖尿病状態(クランプ誘導性のグルカゴン、エピネフリン、ノルエピネフリン、成長ホルモン、コルチゾール、およびグルコース)を調べるための血液試料
検査は表7に従って行なう
来診4回目(44日目)
来診4回目(44日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・併用薬
・バイタルサイン(BP)
・血液学、臨床化学、GABAレベルを調べるための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・患者に便サンプルの提供を依頼?
・混合食負荷試験(MMTT)
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、MMTT誘導性Cペプチド、HbA1c、空腹時グルコース、ならびにMMTT誘導性のグルコース、インスリン、プロインスリン、グルカゴン、GLP-1、および脂質)を調べるための血液試料
・QoL質問票
・来診までの3日間にわたって血中グルコースおよびインスリン用量(外因性インスリン用量/kg/24時間)を集める
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
・GABAでの処置を開始する。患者に、試験来診で来院する日以外はGABAの1日用量を午前中に食物と一緒に服用するべきであることを注意喚起する。
【0103】
検査は表7に従って行なう
来診5回目(51日目)
来診5回目(51日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・併用薬
・バイタルサイン(BP)
・AE
・血液学、臨床化学、GABAレベル、および空腹時グルコースを調べるための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・来診までの3日間にわたって血中グルコースおよびインスリン用量(外因性インスリン用量/kg/24時間)を集める
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
検査は表7に従って行なう
来診6回目(74日目)
来診6回目(74日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・ECG
・併用薬
・バイタルサイン(BP)
・AE
・血液学、臨床化学、GABAレベル、および免疫学的分析のための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、HbA1c、空腹時グルコース、グルカゴン、GLP-1、脂質)を調べるための血液試料
・来診までの3日間にわたって血中グルコースおよびインスリン用量(外因性インスリン用量/kg/24時間)を集める
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
検査は表7に従って行なう
来診6回目の後、DSMBが、1か月間の高用量GABAでの処置を完了した最初の4人の患者からの安全性データを評価して、処置を継続してよいか否かを評価する。
【0104】
来診7回目および8回目(134日目および224日目)
来診7回目(134日目)および来診8回目(224日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・併用薬
・バイタルサイン(BP)
・AE
・血液学、臨床化学、GABAレベル、免疫学的分析、およびPBMC単離のための採血(PBMCは来診8回目のみにおいて集める)
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・患者に便サンプルの提供を依頼
・混合食負荷試験(MMTT)
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、MMTT誘導性Cペプチド、HbA1c、空腹時グルコース、ならびにMMTT誘導性のグルコース、インスリン、プロインスリン、グルカゴン、GLP-1、および脂質)を調べるための血液試料
・QoL質問票(来診8回目)
・来診までの3日間にわたって血中グルコースおよびインスリン用量(外因性インスリン用量/kg/24時間)を集める
・血糖変化/変動デバイス(FreeStyleリブレPro、FGM)を患者に渡す(来診8回目)
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
検査は表7に従って行なう
来診9回目(225日目)
来診9回目(225日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・低血糖クランプ
・糖尿病状態(クランプ誘導性のグルカゴン、エピネフリン、ノルエピネフリン、成長ホルモン、コルチゾール、およびグルコース)を調べるための血液試料
・GABA処置を終了する。
【0105】
検査は表7に従って行なう
来診10回目、フォローアップ(254日目)
来診10回目(フォローアップ、254日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・ECG
・併用薬
・AE
・血液学、臨床化学、GABAレベル、免疫学的分析、およびPBMC単離のための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・患者に便サンプルの提供を依頼
・混合食負荷試験(MMTT)
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、MMTT誘導性Cペプチド、HbA1c、空腹時グルコース、ならびにMMTT誘導性のグルコース、インスリン、プロインスリン、グルカゴン、GLP-1、および脂質)を調べるための血液試料
・QoL質問票
・来診までの3日間にわたって血中グルコースおよびインスリン用量(外因性インスリン用量/kg/24時間)を集める
・血糖変化/変動デバイス(FreeStyleリブレPro、FGM)を患者が返却
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
検査は表7に従って行なう
来診11回目、フォローアップ(255日目)
来診11回目(フォローアップ、255日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・低血糖クランプ
・糖尿病状態(クランプ誘導性のグルカゴン、エピネフリン、ノルエピネフリン、成長ホルモン、コルチゾール、およびグルコース)を調べるための血液試料
・検査を表7に従って行なう
来診の説明-主試験、処置アーム3
来診1回目、スクリーニング(-14~-28日目)
試験の任意の具体的な手順を行なう前に、患者はインフォームドコンセント文書(ICF)に署名しなければならない。安全性および用量漸増試験に含まれていた患者に、主試験への参加を提案し、彼らは、新たにインフォームドコンセントに署名する必要はなく、新たにスクリーニング来診を行なう必要もないが、少なくとも1か月間にわたるウォッシュアウト期間は適用される。試験対象となる可能性のある患者には、当該試験の手順、起こり得るリスク、およびベネフィットについて、書面および口頭で情報を提供する。書面形式でのインフォームドコンセントが得られたら、以下の行為および評価を行ない、ICF署名後に生じたSAEがある場合には、これを記録する:
選択/除外基準に照らして適格かどうかを確認
・人口統計(年齢および性別を含む)
・病歴
・T1Dの家族歴
・体重および身長を含む全身身体検査
・神経学的評価
・ECG
・併用薬
・バイタルサイン(血圧[BP])
・血液学および臨床化学を調べるための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、HbA1c、および空腹時グルコース)を調べるための血液試料
・血糖変化/変動デバイス(FreeStyleリブレPro、FGM)を患者に渡す
・患者に患者日誌を渡し、次回来診より前の3日間にわたって自身の血中グルコースおよびインスリン用量を集めるように指示
検査は表8に従って行なう
来診2回目、ベースライン(1日目)
来診2回目(ベースライン、1日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・選択/除外基準に照らして適格かどうかを確認
・処置アーム1、2、または3への無作為化
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・併用薬
・バイタルサイン(BP)
・血液学、臨床化学、GABAレベル、および免疫学的分析、およびPBMC単離のための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・患者に便サンプルの提供を依頼
・混合食負荷試験(MMTT)
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、MMTT誘導性Cペプチド、HbA1c、空腹時グルコース、ならびにMMTT誘導性のグルコース、インスリン、プロインスリン、グルカゴン、GLP-1、および脂質)を調べるための血液試料
・QoL質問票
・来診までの3日間にわたって血中グルコースおよびインスリン用量(外因性インスリン用量/kg/24時間)を集める
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
検査は表8に従って行なう
来診3回目、ベースライン(2日目)
来診3回目(ベースライン、2日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・低血糖クランプ
・糖尿病状態(クランプ誘導性のグルカゴン、エピネフリン、ノルエピネフリン、成長ホルモン、コルチゾール、およびグルコース)を調べるための血液試料
検査は表8に従って行なう
来診4回目(44日目)
来診4回目(44日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・併用薬
・バイタルサイン(BP)
・血液学、臨床化学、GABAレベルを調べるための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・患者に便サンプルの提供を依頼
・混合食負荷試験(MMTT)
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、MMTT誘導性Cペプチド、HbA1c、空腹時グルコース、ならびにMMTT誘導性のグルコース、インスリン、プロインスリン、グルカゴン、GLP-1、および脂質)を調べるための血液試料
・QoL質問票
・来診までの3日間にわたって血中グルコースおよびインスリン用量(外因性インスリン用量/kg/24時間)を集める
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
・GABAおよびアルプラゾラムでの処置を開始する。患者に、試験来診で来院する日以外はGABAおよびアルプラゾラムの1日用量を午前中に食物と一緒に服用するべきであることを注意喚起する。
【0106】
・44~46日目に錠剤を服用してもらい、その後、各回とも、病棟にて3時間の観察期間を設ける。
【0107】
検査は表8に従って行なう
来診5回目(51日目)
来診5回目(51日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・併用薬
・バイタルサイン(BP)
・AE
・血液学、臨床化学、GABAレベル、および空腹時グルコースを調べるための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・来診までの3日間にわたって血中グルコースおよびインスリン用量(外因性インスリン用量/kg/24時間)を集める
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
検査は表8に従って行なう
来診6回目(74日目)
来診6回目(74日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・ECG
・併用薬
・バイタルサイン(BP)
・AE
・血液学、臨床化学、GABAレベル、および免疫学的分析のための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、HbA1c、空腹時グルコース、グルカゴン、GLP-1、脂質)を調べるための血液試料
・来診までの3日間にわたって血中グルコースおよびインスリン用量(外因性インスリン用量/kg/24時間)を集める
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
検査は表8に従って行なう
来診6回目の後、DSMBが、1か月間の高用量GABAとアルプラゾラムとの併用処置を完了した最初の4人の患者からの安全性データを評価して、処置を継続してよいか否かを評価する。
【0108】
来診7回目(134日目)
来診7回目(134日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・併用薬
・バイタルサイン(BP)
・AE
・血液学、臨床化学、GABAレベル、免疫学的分析、およびPBMC単離のための採血(PBMCは来診8回目のみにおいて集める)
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・患者に便サンプルの提供を依頼
・混合食負荷試験(MMTT)
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、MMTT誘導性Cペプチド、HbA1c、空腹時グルコース、ならびにMMTT誘導性のグルコース、インスリン、プロインスリン、グルカゴン、GLP-1、および脂質)を調べるための血液試料
・QoL質問票(来診8回目)
・来診までの3日間にわたって血中グルコースおよびインスリン用量(外因性インスリン用量/kg/24時間)を集める
・血糖変化/変動デバイス(FreeStyleリブレPro、FGM)を患者に渡す(来診8回目)
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
・患者に、アルプラゾラムの服用は停止して、来診9回目までGABAを継続するよう指示する。
【0109】
検査は表8に従って行なう
来診8回目(224日目)
来診8回目(224日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・併用薬
・バイタルサイン(BP)
・AE
・血液学、臨床化学、GABAレベル、免疫学的分析、およびPBMC単離のための採血(PBMCは来診8回目のみにおいて集める)
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・患者に便サンプルの提供を依頼
・混合食負荷試験(MMTT)
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、MMTT誘導性Cペプチド、HbA1c、空腹時グルコース、ならびにMMTT誘導性のグルコース、インスリン、プロインスリン、グルカゴン、GLP-1、および脂質)を調べるための血液試料
・QoL質問票(来診8回目)
・来診までの3日間にわたって血中グルコースおよびインスリン用量(外因性インスリン用量/kg/24時間)を集める
・血糖変化/変動デバイス(FreeStyleリブレPro、FGM)を患者に渡す(来診8回目)
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
検査は表8に従って行なう
来診9回目(225日目)
来診9回目(225日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・低血糖クランプ
・糖尿病状態(クランプ誘導性のグルカゴン、エピネフリン、ノルエピネフリン、成長ホルモン、コルチゾール、およびグルコース)を調べるための血液試料
・GABA処置を終了する。
【0110】
検査は表8に従って行なう
来診10回目、フォローアップ(254日目)
来診10回目(フォローアップ、254日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・体重を含む全身身体検査
・神経学的評価
・ECG
・併用薬
・AE
・血液学、臨床化学、GABAレベル、免疫学的分析、およびPBMC単離のための採血
・微量アルブミン尿およびクレアチニンを調べるための尿検査
・患者に便サンプルの提供を依頼
・混合食負荷試験(MMTT)
・糖尿病状態(空腹時Cペプチド、MMTT誘導性Cペプチド、HbA1c、空腹時グルコース、ならびにMMTT誘導性のグルコース、インスリン、プロインスリン、グルカゴン、GLP-1、および脂質)を調べるための血液試料
・QoL質問票
・来診までの3日間にわたって血中グルコースおよびインスリン用量(外因性インスリン用量/kg/24時間)を集める
・血糖変化/変動デバイス(FreeStyleリブレPro、FGM)を患者が返却
・自己申告による重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される)
検査は表8に従って行なう
来診11回目、フォローアップ(255日目)
来診11回目(フォローアップ、255日目)に、以下の行為および評価を行なう:
・低血糖クランプ
・糖尿病状態(クランプ誘導性のグルカゴン、エピネフリン、ノルエピネフリン、成長ホルモン、コルチゾール、およびグルコース)を調べるための血液試料
検査は表8に従って行なう
患者日誌
患者に、スクリーニング来診から開始する患者日誌を渡す(別紙1)。患者は、日誌の使用方法および書き込む情報について、試験係員から念入りな指示を受ける。該当する試験における、来診2回目から、最後から2番目の来診まで、患者は、各来診の3日前に、自身の血中グルコースレベル(指穿刺、または患者がFGM/CGMデバイスを持っている場合はそれを使用)およびインスリン用量を記録する。また、患者は、病気および重症低血糖があればそれについて、使用した可能性のある併用薬があればそれについて書面に残すためにも、日誌を使用する。各来診の間、治験実施者(investigator)/試験看護師が日誌を読む。
【0111】
試験停止基準
治験依頼者(sponsor)および治験実施者は、安全上の理由から、または試験の正当性を脅かすその他の理由から、試験をいつでも停止できる権利を留保する。こうした停止は、患者の健康を損なわないような時間枠にて実施され得る。
【0112】
試験を時期尚早に停止または中断した場合には、治験実施者は直ちに患者に知らせて、適切な療法およびフォローアップを保証するべきである。治験依頼者は、試験を停止する計画がある場合には、その旨を規制当局およびIECに通知する。
【0113】
決定基準
患者は、スクリーニング来診(来診1回目)時にICFに署名した際に、試験に含められる。適切な独立倫理委員会(Independent Ethics Committee、IEC)および規制当局からの承認が得られるまでは、患者の登録はなされない。
【0114】
試験開始前に、試験開始に必要なすべての規制要求事項が満たされていることを確認する。すべての重要書類は、治験依頼者と治験実施者とのそれぞれのファイルに収めなくてはならない。
【0115】
疾患管理
すべての患者は、主治医から、インスリン頻回注射によってまたはインスリンポンプによって、強化インスリン処置を継続して受け、血糖管理のための経口または注射による非インスリン型医薬品を使用するべきではない。もし誤ってこのような薬物が試験中に導入された場合、このことを理由として当該患者の試験を停止するものではない。糖尿病管理における第1の責務は、処置すること、または糖尿病医療提供者に紹介することであるが、試験チームは、必要に応じて、電話でやり取りすることにより、厳重な追加サポートを提供する。糖尿病管理は、必要に応じて試験スタッフが試験来診と試験来診との間に電話によってモニタリングする。患者は、各来診前の3日間にわたって、自身のインスリン用量を記録する。
【0116】
米国糖尿病学会(ADA)により現時点で出されている推奨に準拠して、以下の糖尿病処置目標を、患者および処置医に提供する。
【0117】
・食前グルコース 4.4~7.2mmol/L
・就寝時/終夜グルコース 5~8.3mmol/L
・HbA1c 53mmol/mol未満(糖尿病コントロールおよび合併症トライアル(Diabetes Control and Complications Trial、DCCT)に準拠)
これらの目標はガイダンスのみを目的とするものであり、達成されなくても当該規定を違反しているとはみなされないが、各患者および各処置医がこれらの推奨の達成のために最善を尽くすことが重要であるとみなされている。
【0118】
データ安全監視委員会(Data Safety Monitoring Board)
独立したDSMBが指名される。DSMBは、すべての用量漸増ステップが完了した際に1人目の患者を評価して、残りの5人の患者が当該試験を始めてよいか否かを決定する。6人の患者全員が安全性および用量漸増試験を完了したら、DSMBは安全性データを再度審査して、主試験を開始してよいか否かを決定する。
【0119】
次いで、DSMBは、1か月間のGABAでの処置(処置アーム1)を完了した最初の4人の患者からの安全性データを評価して、処置アーム2および3を開始してよいか、または患者についての安全性上の懸念があるために試験を停止するべきかを評価する。次いで、DSMBは、処置アーム2および3における1か月間の処置を完了した最初の4人の患者の安全性データについても評価して、より高用量のGABA、およびGABAとアルプラゾラムとの併用での処置によって、安全性上の懸念が生じていないことを確認する。DSMBの業務手順および職務を概説するために、DSMB認可状(DSMB charter)が作成される。
【0120】
試験集団
試験は、スウェーデン国ウプサラの1つの施設で行い、約24人の患者を含む。スクリーニング時において診断から5年以上経過しているT1D患者に、当該試験についての情報を提供して、試験への参加を依頼する。
【0121】
選択基準
1.国の規制に従って患者がインフォームドコンセントを提供
2.スクリーニング時に1型糖尿病診断から5年以上経過
3.1型糖尿病の診断年齢が25歳未満でなければならない
4.年齢が18歳以上50歳以下
5.空腹時Cペプチドレベルが検出不可能なレベルから0.12nmol/Lまでの範囲内であるべきである
6.授胎可能な男性にとって、適切な避妊は以下のとおり:
a.コンドーム(男性)
b.異性との性交を避ける
c.女性パートナーが以下に列記される避妊法を使用する:
・経口用(低用量ゲスターゲン(リネストレノールおよびノルエチステロン(norestisteron))を除く)、注射用、または埋込型のホルモン性避妊薬
・併用(エストロゲンおよびプロゲストーゲンを含有)
・経口、膣内、または経皮用の、排卵抑制に関与するプロゲステロンホルモン性避妊法
・子宮内デバイス
・子宮内ホルモン放出システム(たとえば、プロゲスチン放出コイル)
・両側卵管閉塞術
除外基準
1.妊娠可能な女性
2.免疫抑制療法による処置を以前にまたは現時点で受けている(ただし、外用および吸入用のステロイドは許容される)
3.インスリン以外の任意の経口用または注射用抗糖尿病薬での処置
4.バクロフェン、バリウム(Valium)、アカンプロサート、ニューロンチン、またはリリカなどの、GABAの作用を妨害する可能性のある薬物で治療中の患者
5.HbA1c>90mmol/mol
6.eGFR<60ml/分
7.高い血漿アラニンアミノトランスフェラーゼ濃度(女性は0.75μkatl/lを超える、または男性は1.1μkat/lを超える)、および/または高い血漿アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ濃度(女性は0.60μkat/lを超える、または男性は0.75μkat/lを超える)。
【0122】
8.がん疾患があることが分かっている
9.血液中での二酸化炭素蓄積を伴う睡眠時無呼吸または肺障害があることが分かっている
10.膵炎またはその他の膵外分泌障害の病歴
11.癲癇、重症筋無力症、頭部外傷または脳血管発作、または近位筋における持続性運動単位活動(continuous motor unit activity)の臨床的特徴
12.アルコールまたは薬物乱用の病歴
13.1回目投与前の2週間以内における糖尿病以外の顕著な疾病
14.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または肝炎があることが分かっている
15.母乳育児中の女性
16.試験期間中に適切な避妊法を使用する意思のない男性。
【0123】
17.ベンゾジアゼピンまたは試験薬中の任意の賦形剤に対して過敏症があることが分かっている
18.新規化学物質を用いた他の臨床試験に、3か月以内、または当該新規化学物質の5半減期以内のうちいずれか長い方に、参加している。
【0124】
19.本治験実施計画書の規定に従えない、または従う意思がない
20.指示に従えないおよび/もしくは治験実施計画書に従えないと治験実施者がみなした場合、または、試験手順中に対象の現時点での臨床状態に悪影響を生じ得ると治験実施者が判断するようなその他の理由がある場合
募集およびスクリーニング
5年以上前に1型糖尿病の診断を受けている18歳以上50歳以下の年齢の患者に、試験への参加を依頼する。適格である患者は、当該試験についての説明を受け、患者情報を書面で受け取る。患者は、試験の性質について確認する時間の経過後に、治験チームに質問する機会を与えられる。その後、患者が参加に同意したら、患者は個人としてICF書面に署名して日付を記入する。試験に関連する任意の手順の実施前に、患者は、書面にてインフォームドコンセントを提供する。
【0125】
次いで、患者は、この署名と日付を記入した患者情報/ICF書のコピーを受け取る。
患者の再スクリーニング
特定の状況下において、治験実施者の判断により、患者の再スクリーニングが1回許容される。このような状況の例として、患者のHbA1cが低下して90mmol/mol未満になった場合、男性が子供を持つ予定ができた場合、およびパートナーが妊娠した場合があるが、この限りではない。
【0126】
患者の離脱基準
患者は、将来的な治療に損害が及ぶことなく試験からいつでも離脱できる権利についての情報を含む当該試験についての情報を、口頭および書面にて提供される。また、患者にとって最善であるとみなされる場合には、いつでも、治験実施者または治験依頼者の判断により、患者を離脱させることができる。患者が試験から脱落した場合または試験から離脱した場合には、CRF中の適切な離脱関連ページ(試験停止報告(Study Termination Report))に記入しなければならない。留意するべきことに、インフォームドコンセントを提出し患者番号の割り当てを受けたすべての患者が試験停止報告に記入しなければならない。
【0127】
試験中にフォローアップ不可能となった患者がいる場合には、評価の完了と、未処理のデータがあればその回収のために、当該患者と連絡をとるための妥当な努力が費やされるべきである。
【0128】
無作為化後に離脱した患者を他の人に差し替えてはならない。
留意するべきことに、インスリン必要量に変化があっても、これが当該患者の試験離脱理由とはならない。
【0129】
患者離脱
ヘルシンキ宣言に従って、治験実施者は、患者に、当該試験からいつでも離脱できる権利があること、および、離脱しても当該患者の将来的な処置に損害が及ばないことを説明しなければならない。いかなる種類の離脱についても、その理由をCRFの適切なセクションに記録しなければならない。
【0130】
当該試験からの離脱は、2つの主なカテゴリに分類できる:
完全な離脱(すなわち、治験薬を停止し、有効性および安全性の評価は継続)。9~12か月フォローアップ(処置アームに依存)をできる限り完全に実施するために、可能であれば、完全な離脱が考えられる患者に、9か月目または12か月目の来診(処置アームに依存)(完全な来診が好ましいが、少なくとも、MMTT、CペプチドおよびHbA1cの試料採取と、AEの聞き取り)のために戻ることを考慮できないか尋ねるべきである。こうした理由から、フォローアップ不可能となった患者との接触が試みられるべきである。
【0131】
当該試験へのさらなる参加とフォローアップ来診とから離脱する標準的な理由には、以下があり得る:
・患者の決定(参加同意の撤回)
・患者フォローアップが不可能
治験薬からの離脱(すなわち、1種またはいくつかの種類の治験薬を停止するが、有効性および安全性の評価を含むフォローアップ来診は継続)
治験薬のさらなる服用からは離脱するがフォローアップ来診および安全性評価は継続する標準的な理由には、以下があり得る:
・許容できないAE
・患者の希望
・治験実施者の判断
・患者をフォローアップ不可能/患者が現れない
・介入性の疾病
患者が、当該試験に含められた後で以下のことを発病したり経験したり受けたりした場合には、GABAを与えるべきではない:
・脳損傷、癲癇、頭部外傷、神経疾患
・免疫抑制処置
・がん、がん処置
・膵炎
・インスリン(および本試験において投与される併用レジメン)以外の他の任意の糖尿病薬
・バクロフェン、バリウム(Valium)、アカンプロサート、ニューロンチン、またはリリカなどの、GABAの作用を妨害する薬物での処置
・薬物/アルコールの乱用
患者が、当該試験に含められた後で以下のことを発病したり経験したり受けたりした場合には、アルプラゾラムを与えるべきではない:
・薬物/アルコールの乱用
・オピオイド類似体含有の任意の鎮痛薬
・血液中での二酸化炭素蓄積を伴う睡眠時無呼吸または肺障害
・重症筋無力症
・任意の過剰摂取症状、すなわち、眩暈、眠気、困難な呼吸、錯乱、筋力低下、意識不明、協調運動障害、激越、攻撃性、幻覚など。
【0132】
しかしながら、患者が試験から離脱する際にはいつでも、または、任意のさらなる来診に来ない理由が何であっても、その患者が当該試験から離脱する理由を提示して、当該患者についての最終的な試験評価を完了しなければならない。当該患者に関するすべての書類は、できる限り完全なものでなければならない。
【0133】
現れないというのが理由で離脱した場合には、治験実施者は、現れない理由を知るためにフォローアップしなければならない。介入性の疾病またはAEが理由で離脱した場合には、CRF中に十分に記録しなければならず、補助的な情報が入手できれば、および/またはそうした情報が適切であれば、それを追加する。
【0134】
試験の評価
安全性変数の評価
安全性評価は以下を含む:
・AEの出現
・検査測定値(血液学および臨床化学)
・尿検査
・神経学的評価を含む身体検査
・バイタルサイン
検査による安全性評価
・血液学:(平均赤血球ヘモグロビン量[MCH]、平均赤血球容積[MCV]、平均赤血球ヘモグロビン濃度[MCHC]、ヘモグロビン、血小板、総白血球の数および分類)
・臨床化学:クレアチニン、カルシウム、肝機能検査(アラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT]、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ[AST]、アルカリホスファターゼ[ALP]、ビリルビン)
・尿検査:微量アルブミン尿クレアチニン
この評価のアウトカムを「正常」または「異常」として記録する。異常所見(基準範囲を外れる値)は、「臨床的に有意」または「臨床的に有意でない」として評価する。
【0135】
評価のタイミングは上述される。
上述される臨床検査(血液学、臨床化学、および尿検査)をウプサラ大学病院において分析する。血液試料の採取、処理、および保存についての全詳細は、当該試験のための検査マニュアル中に提供される。
【0136】
有害事象
試験薬の1回目投与(処置アーム1については来診3回目、処置アーム2および3については来診4回目)から最後の試験来診までの試験期間全体を通して、AEを記録する。治験薬(IMP)の1回目経口服用日よりも前に生じた事象は、病歴として記録する。
【0137】
SAEについては、ICF署名時から記録する。
AEについては、現時点での最新バージョンのMedDRAを使用してコード化する。
【0138】
身体検査
すべての患者は、全身身体検査を受ける(皮膚、口、喉、心血管、腹部、リンパ腺、および神経/筋骨格[反射を含む]を含む全身の外観)。
【0139】
評価のタイミングは上述される。
この評価のアウトカムを、「正常」または「異常」として記録する。アウトカムが異常であると評価された場合には、この所見を「臨床的に有意」または「臨床的に有意でない」として分類する。
【0140】
GABAの1回目投与(処置アーム1については来診3回目、処置アーム2および3については来診4回目)までの間の所見があれば、それをCRFの病歴ページに既往症として報告する。
【0141】
以降の試験来診では、患者は、新たな医学的状態があるかどうか、または既往症が悪化していないかについて、検査を受ける。既往症に変化がある場合、または新たな状態がある場合には、これをCRFのAEページに記入しなければならず、薬物が投与されていれば、それを併用薬のページに記入しなければならない。
【0142】
神経学的検査
すべての患者は、何回目かの来診時に、標準臨床神経学的検査を受ける。評価のタイミングは上述される。
【0143】
この神経学的検査は、力、バランス、および協調の乱れといった、神経筋疾患の軽度の徴候の可能性を検出するために行なう。
【0144】
この評価のアウトカムを、「正常」または「異常」として記録する。異常所見は、「臨床的に有意」または「臨床的に有意でない」として評価する。
【0145】
神経学的検査は以下を含む:
・四肢の反射
・ロンベルク(バランスおよび協調)
・まっすぐな歩行、2メートル(バランスおよび協調)
・片脚立ち、左および右、片足につき15秒間(バランスおよび協調)
・指鼻(協調)
・模倣(脳神経)
・バビンスキー反射(中枢機能)
・筋力(握手)、二頭筋、三頭筋、遠位伸筋、および屈筋
こうした検査は、予定された来診の間に、治験実施者の判断によって、繰り返し実施してよい。脳波(EEG)による神経疾患のスクリーニングは、感受性および特異性が低いため、含まれない。しかしながら、神経機能不全の徴候が検出された場合には、さらなる評価のために、患者を神経内科医に紹介するべきである。
【0146】
試験来診中、患者は、新たな医学的状態があるかどうか、または既往症が悪化していないかについて、検査を受ける。既往症に変化がある場合、または新たな状態がある場合には、これをCRFのAEページに記入しなければならない。
【0147】
心電図検査
心電図検査(ECG)は、全身身体検査の一部として記録する。評価のタイミングは上述される。
【0148】
バイタルサイン
以下のバイタルサインを安全性変数として監視する:
・横になって5分間経過後の仰臥位での収縮期および拡張期血圧(mmHg)
また、重量、身長、およびBMIについても記録する。
【0149】
この評価のアウトカムを、「正常」または「異常」として記録する。異常所見は、「臨床的に有意」または「臨床的に有意でない」として評価する。評価のタイミングは上述される。
【0150】
糖尿病状態の変数の評価
混合食負荷試験
MMTTによって食事刺激性のグルコースおよびCペプチドを評価する。また、主試験においては、インスリンおよびプロインスリンの濃度についても測定する。MMTTは、実施マニュアル(別紙2)中の指示に従って行わなければならない。
【0151】
評価のタイミングは上述される。
患者は:
・一晩絶食後(10時間超)(すなわち、患者は、食事を摂ってはならないが、水を飲むことは許容される)、試験施設に来るべきである。
【0152】
・当日朝に、Remygen、および該当する場合にはアルプラゾラムを服用してはならない
・MMTT前の6時間は短時間作用型/直接作用型インスリンの投与を受けてはならない。患者は、前日/前夜の基礎インスリンの投与が許容されるが、当日朝のMMTT前にはこれが許容されない。
【0153】
・CSII(インスリンポンプ)を用いる患者は、基礎用量インスリンを継続しなければならないが、MMTT直前の6時間にはボーラス用量を追加してはならない。
【0154】
・試験当日朝に患者の家庭用血中グルコース計で計測した空腹時血漿グルコースレベルが、4~12mmol/Lの範囲内でなければならない。
【0155】
患者が、上述される基準のうちいずれかを満たさない場合には、MMTTの日程を変更するべきであり、患者は可能であれば5日以内に試験施設に戻るべきである。
【0156】
予定された来診日の朝、患者の血糖レベルが4mmol/L未満である場合には、患者はデキストロース錠剤を服用した後で試験施設に来てよい。患者が試験施設に着いた時に血糖レベルが4mmol/Lを超えていれば、患者はMMTTを行なってよい。血糖レベルが依然として4mmol/L未満である場合には、下記の指示に従って来診日程を変更するべきである。
【0157】
ケトアシドーシスの臨床徴候を示す、または患者の家庭用血中グルコース計で計測した空腹時血漿グルコースが明らかに上昇(12mmol/L[216mg/dl]を超える)している患者については、完全な来診を延期するべきであり、患者は、予定された来診の5日以内に試験施設に戻るべきである。すべての試験手順/検査を延期しなければならないことが留意される。
【0158】
また、安全性上の理由から、患者が食事またはインスリンを必要とする場合にも、来診の日程を変更するべきである。
【0159】
患者は試験前の10時間にわたって絶食し、次いで翌朝に試験を行なう。当該試験の用量漸増パートにおいては、混合食負荷試験の30分前に試験薬を服用するが、主試験においては、この試験の終了後に試験薬を服用する。開始前には、p-グルコースが4~12mmol/lの範囲内にあるべきである。
【0160】
試験の間に、静脈カテーテルを挿入して採血する。次いで、ネスレのResource protein 360mlの5分以内での経口摂取の前(時間0)と、その15、30、60、90、および120分後とに、p-グルコースおよびCペプチド(インスリンおよびプロインスリン)について血液を分析する。
【0161】
低血糖クランプ
低血糖に対する拮抗調節ホルモンの反応を評価するために、低血糖クランプを行なう。低血糖クランプは、実施マニュアル中に記載される指示に従って行わなければならない。(別紙3)
評価のタイミングは上述される。
【0162】
患者は、
・一晩絶食後(10時間超)(すなわち、患者は、食事を摂ってはならないが、水を飲むことは許容される)、試験施設に来るべきである。
【0163】
・当日朝に、Remygen、および該当する場合にはアルプラゾラムを服用してはならない
・試験前の6時間は短時間作用型/直接作用型インスリンの投与を受けてはならない。患者は、前日/前夜の基礎インスリンの投与が許容されるが、当日朝の試験前にはこれが許容されない。
【0164】
・CSII(インスリンポンプ)を用いる患者は、基礎用量インスリンを継続しなければならないが、試験直前の6時間にはボーラス用量を追加してはならない。
【0165】
予定された来診日の朝、患者の血糖レベルが4mmol/L未満である場合には、患者はデキストロース錠剤を服用した後で試験施設に来てよい。血糖レベルが4mmol/Lを超えていれば、患者は試験を行なってよい。
【0166】
当該試験の用量漸増パートにおいては、患者は、低血糖クランプ開始の30分前に試験薬を服用する。一方、主試験においては、低血糖クランプの終了後に試験薬を服用する。グルコース、グルカゴン、エピネフリン、ノルエピネフリン、成長ホルモン、およびコルチゾールについて調べるために、ベースライン血液試料を得る。次いで、速度2mU×kg-1×分-1での静脈内インスリン注入によって、クランプを開始する。次いで、100mg/mlのグルコースを様々な注入速度で投与して、血中グルコース濃度を5.5mmol/l、次いで2.5mmol/lにてクランプし、30分間にわたって安定に保つ。最適なグルコース注入速度を見つけるために、血中グルコースを繰り返し評価する。安定なグルコース濃度に到達したら、上述される拮抗調節ホルモンのレベルを求めるための採血を、これら標的レベルの各々において行なう。その後、インスリン注入を停止して、患者に食事を許可し、正常血糖が達成されるまで観察する。必要であれば、血中グルコース濃度を正常とするためにさらなるグルコース投与を行なってもよい。
【0167】
ヘモグロビンA1c
HbA1cレベルを測定するために血液試料を採取して、ウプサラ大学病院において分析する。評価のタイミングは上述される。
【0168】
空腹時グルコースおよび空腹時Cペプチド
空腹時グルコースレベルおよび空腹時Cペプチドレベルを測定するために血液試料を採取して、ウプサラ大学において分析する。評価のタイミングは上述される。
【0169】
グルカゴン、グルカゴン様ペプチド1、脂質
グルカゴン、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)、および脂質の血漿レベルを測定するために血液試料を採取して、ウプサラ大学病院において分析する。評価のタイミングは、セクション7.2~7.5および表55~表8中に記載される。
【0170】
血糖の変動/変化
FreeStyleリブレPro FGMシステムは、傾向の検出と、パターン、および望ましい範囲より上または下へのグルコースレベル偏移の追跡とによって、糖尿病を有する人における療法調整を容易にすることができる、プロ仕様のグルコースモニタリングデバイスである。FreeStyleリブレPro FGMシステムの読み取り値は、患者が直接、リアルタイムで確認することはできない。FreeStyleリブレPro FGMシステムは、高血糖および低血糖のエピソードの検出を補助して、療法調整を容易にする。
【0171】
患者は、安全性および用量漸増試験の来診1回目および来診2回目に、該当施設においてFreestyleリブレProを受け取り、各試験期間後の施設へのFreeStyleリブレ返却方法についての指示を受ける。主試験のために、患者は、来診1回目(すべての処置アーム)、来診7回目(処置アーム1)、来診8回目(処置アーム2および3)の間に、該当施設においてFreestyleリブレProを受け取り、各試験期間後の施設へのFreeStyleリブレ返却方法についての指示を受ける。しかしながら、来診9回目(処置アーム1)および来診10回目(処置アーム2および3)については、患者は、来診の14日前に施設に来てFreestyleリブレを受け取って作動させるよう指示を受ける。次いで、患者は、処置アームに応じて来診9回目または来診10回目に、Freestyleリブレを返却する。グルコースモニタリングシステムの配布および評価のタイミングは、上述される。
【0172】
免疫系評価
生化学分析法
血清自己抗体の評価、サイトカイン分析、および免疫細胞のプロファイリング
患者から末梢血を採取する。ウプサラ大学病院の中央臨床化学研究室において、GAD抗体およびIA2抗体について分析する。自己抗体の上昇は、GABA処置がいくつかのβ細胞の再生を誘導してその結果として自己免疫応答が再度誘発されたことを示している可能性がある。
【0173】
さらに、血漿中の種々のサイトカインの循環レベルを分析して、末梢血単核細胞(PBMC)の単離および特徴付けを行なう。
【0174】
サイトカインプロファイルの評価を、種々のサイトカイン(IL-2、IL-6、IL-10、IL-17、IL-21、IL-33、IL-35、IFN-ガンマ、およびTGF-ベータを含む)の循環レベルを測定することによって行なう。
【0175】
PBMCプロファイルの評価を、抗原提示細胞、T細胞、制御性T細胞、制御性B細胞、およびその他の自然免疫細胞などの種々の免疫細胞の割合をフローサイトメトリー使用により求めることによって行なう。また、PBMCを使用して、免疫制御遺伝子の発現を調べ、in vitroアッセイを行なう。
【0176】
分離した血漿を遠心分離によりEDTA-チューブ中に得て、速やかに凍結させる。免疫学試験用の血液試料を、血漿と末梢血単核細胞(PBMC)とに分離する。血漿試料を-80℃において保存する。単離したPBMCを凍結保存する。
【0177】
種々のサイトカイン(IL-2、IL-6、IL-10、IL-17、IL-21、IL-33、IL-35、IFN-ガンマ、およびTGF-ベータを含む)の循環レベルを、血漿試料中において、市販のELISAおよびLuminexの技術(RnD Systems、英国アビンドン;Cloud-Clone社、米国ヒューストン)を使用して、ウプサラ大学において分析する。PBMCをさらに調べて、抗原提示細胞、T細胞、制御性T細胞、制御性B細胞、およびその他の自然免疫細胞などの種々の免疫細胞の割合を、フローサイトメトリー使用によって求める。また、ウプサラ大学において、PBMCを使用して、免疫制御遺伝子の発現を調べ、in vitroアッセイを行なう。
【0178】
血漿GABAレベル
処置時における血漿GABAレベルを測定するために、血液試料を採取する。試料をウプサラ大学において分析する。安全性および用量漸増試験の間に、血漿中におけるGABAの薬物動態プロファイルを評価する。これを行なうために、表示用量1回分のGABAを服用してから0、30、60、90、120、180、300分後、および24時間後に、血液試料を採取する。主試験においては、トラフ濃度サンプリングによって血漿中のGABAを測定する。評価のタイミングは上述される。
【0179】
便サンプル
患者に便サンプルの提供を依頼する。これらの試料を使用して、代謝されずに腸を通過したGABAの量を分析する。評価のタイミングは、セクション7.3~7.5および表6~表8中に記載される。
【0180】
尿試料
また、安全性および用量漸増試験の間に、尿試料も採取して、尿を経て排泄されるGABAの量を分析する。評価のタイミングは、セクション7.2および表5中に記載される。
【0181】
生活の質の評価
糖尿病治療満足度質問表(Diabetes Treatment Satisfaction Questionnaire、DTSQ)(別紙4)およびRAND-36質問票(別紙5)を用いて、生活の質を評価する。評価のタイミングは、7.2~7.5および表5~表8中に記載される。
【0182】
併用薬の評価
併用薬がある場合には、CRFに記録しなければならない。以下に留意する:新たな医学的状態が生じたためまたは既存の医学的状態が悪化したために新たな薬物を導入または既に使用している薬物を変える場合には、当該状態をAEとして報告しなければならない。
【0183】
評価のタイミングは上述される。
人口統計およびその他のベースライン特徴
人口統計およびベースラインデータ
スクリーニング来診(来診1回目)時に、下記の人口統計およびベースラインデータを集める:
・年齢
・性別
病歴
スクリーニング来診(来診1回目)時に、病歴を記録する。
【0184】
スクリーニング来診(来診1回目)時に、患者の過去の病歴についての徹底的な確認を、病歴CRFによって実施および記録する。
【0185】
スクリーニング来診(来診1回目)時に、すべての既往症/疾患を病歴CRFページにて報告する。来診1回目から処置開始(アーム1については来診3回目、アーム2および3については来診4回目)までの間に生じたすべてのAEについても、病歴とみなす。
【0186】
現時点での最新バージョンの医薬品規制用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities、MedDRA)を使用して、病歴をコード化する。
【0187】
T1Dの家族歴
また、患者のT1D診断日およびT1D家族歴についても記録する。
【0188】
採血手順
糖尿病状態評価、検査による安全性評価、GABAレベル、および免疫学的試験のための血液試料を、表5~表8に従って採取するべきである。
【0189】
患者1人から採取する血液の総体積は、安全性および用量漸増試験においては約450~500mL、主試験期間においては約600mLである。
【0190】
患者の処置
試験処置
試験薬:Remygen経口服用、食物と共に服用。
【0191】
患者を処置群に割り当てる方法
主試験のために、統計担当者が無作為化リストを作成する。来診2回目に適格性を確認した後、1:1:1の比率(アーム1:アーム2:アーム3)で患者を無作為化する。無作為化は、来診1回目にCペプチドレベルによって階層化して、各年齢群から同数の患者が各アーム中に含まれるようにする。
【0192】
・アーム1:低用量のGABA
・アーム2:高用量のGABA
・アーム3:高用量のGABA+アルプラゾラム
盲検化およびコードブレーク
当該試験は非盲検試験であり、そのため、盲検化およびコードブレークの手順は不要である。
【0193】
試験薬
当該試験においては、下記の薬物品目を使用する:
A.
試験薬: Remygen経口服用
投薬量および間隔: 処置アームに応じた用量、1日1回、食物と共に服用。
【0194】
IMP供給元: Diamyd Medical社、スウェーデン国ストックホルム。
B.
試験薬 Alprazolam Orion(登録商標)、経口服用
投薬量および間隔: 0.5mg、1日1回、食物と共に服用。
【0195】
IMP供給元: Orion Pharma社、スウェーデン国ダンデリード182 11、Box 85
供給、包装、取り扱い、および保管
Remygenは、円盤形で500mgの圧縮錠剤で、直径はおよそ10mm、経口服用用であり、200mgの活性成分GABAおよび賦形剤を含有する。Remygenは、錠剤40個入りの密閉ボトルで、乾燥デバイスに入って供給される。ボトルは、治験実施者および/または試験看護師が、適切な時間に適切な量だけ患者に渡す。
【0196】
Alprazolam Orionは、白色で長円形の錠剤(サイズ:9×6mm)で、経口服用用であり、0.5mgのアルプラゾラムを含有する。Alprazolam Orionは、錠剤20個入りのボトルで供給される。錠剤は、治験実施者および/または試験看護師が、2週間に1回、患者に渡す。
【0197】
適切なラベルの付いたRemygenのボトルが、地元の薬局(Apoteket、ウプサラ)に直接供給され、次いでクリニックに、次いで、含まれている患者に配布される。家庭での服用のための指示は、治験実施者が患者に提供する。
【0198】
アルプラゾラムは、ウプサラのApoteketが購入して適切なラベルを付け、次いでクリニック、さらに、含まれている患者へと配布される。家庭での服用のための指示は、治験実施者が患者に提供する。
【0199】
クリニックでは、Remygenおよびアルプラゾラムを、意図しない使用から保護された安全な場所(たとえば、施錠式キャビネットまたは薬物保管室)の、室温(15~25℃)における制御された環境下で、保管しなければならない。治験実施者は、患者に、家庭で使用する薬物を、室温で、(子供の手の届かない)安全な場所に保管するように指示しなければならない。
【0200】
すべての試験薬には、国および地域の規制に従った情報がラベル表示される。
試験薬についての説明責任
この試験のために供給されるすべての試験薬は、試験期間全体を通して安全な場所に保管しなければならない。治験実施者が承認した1人の人が、試験薬を患者に渡すべきであり、説明責任は治験実施者にある。すべての使用済(空の薬容器)および未使用のGABAを、来診11回目(安全性および用量漸増試験)、来診8回目(処置アーム1)、または来診9回目(処置アーム2および3)に返却するよう、患者に指示するべきである。
【0201】
渡したすべての薬物について、試験薬の在庫目録(配布記録)を常に残さなければならず、常に最新にしておかなければならない。試験期間全体を通して、使用済および未使用の薬物は、該当施設または薬局に保管しなければならない。治験実施者/薬剤師は、受け取った、使用した、および返却されたすべての薬物についての記録を残さなければならない。薬局および試験施設は、保管温度を適切に測定および記録する義務がある。
【0202】
試験が完了したら、すべての未使用および使用済(空の薬容器)のGABA試験薬容器を、Diamyd Medicalに返却しなければならない(当該薬物供給元が、そうしなくてもよいことを承認した場合を除く)。未使用のアルプラゾラムは、地元の薬局(Apoteket、ウプサラ)に返却する。
【0203】
併用療法
患者は、治験実施者の判断によって、併存疾患に対しての適切な療法を受ける。スクリーニングにおける除外基準に記載されている薬物を受けた患者は、試験に含めるべきではない。スクリーニングからGABA処置開始までの期間中に、除外基準に記載されている薬物を処方された患者は、当該試験から離脱するべきである。治療域の小さい併用薬を処方されている患者を含める場合には注意しなければならず、このような薬物は、不注意に、当該患者の処置に導入してはならない。
【0204】
併用薬がある場合には、CRFに記録しなければならない。以下に留意する:新たな医学的状態が生じたためまたは既存の医学的状態が悪化したために新たな薬物を導入または既に使用している薬物を変える場合には、当該状態をAEとして報告しなければならない。
【0205】
試験後の処置
最終用量の完了後には、患者への試験薬の提供はしない。それ以降、患者は、治験実施者の判断によりかつ処方に応じて、療法を受ける。
【0206】
有害事象
有害事象(AE)の定義
AEは、臨床試験中に医薬品を投与された対象において生じた、必ずしも当該処置との因果関係をもたない任意の不都合な医学的事象として定義される。
【0207】
よって、AEは、試験中に発生または強度悪化した、不利かつ意図せぬ任意の臨床徴候または症状、任意の病気または疾患であり得る。また、これには、異常な検査所見も含まれ、たとえば、この異常が、結果として試験離脱を導いた場合、重篤である場合、臨床徴候もしくは症状に関連する場合、または臨床上関連があると考えられる場合が含まれる。
【0208】
また、事故、および薬物療法(薬物および/または用量)を変更した理由、任意の医学的/看護的/薬学的な相談、および入院/外科手術も含まれる。
【0209】
新たな所見、臨床的に有意な検査値、または既往症の悪化がある場合には、対象医薬品との関連があると考えられるか否かにかかわらず、治験実施者がAEとして報告しなければならない。
【0210】
留意するべきことに、試験薬が与えられる前または対象が臨床試験に登録する前から存在していて試験中に悪化しなかった病気のための入院および/または外科手術は、AEではない。
【0211】
T1D関連事象
ベースラインと以降の来診との間に自己申告された重症低血糖(他者の補助を必要とすること、および/または発作、および/または意識消失として定義される重症低血糖)のエピソードの回数を、CRFに記載する。低血糖、Cペプチドの変化、インスリン投薬量の変更、およびHbA1c/血中グルコースの増加は、SAEの定義を満たす場合以外は、AEとして報告しない。
【0212】
重篤度
SAEは、死亡に至る、生命を脅かす、機能不能が重大もしくは永続的である、入院もしくは入院期間の延長が必要である、または先天性異常もしくは先天性欠損を来すAEとして定義される。
【0213】
これらの特徴/結果は、当該事象が生じている時に考慮されなければならない。たとえば、生命を脅かす事象についていえば、その発生中に対象に死亡リスクがある事象を指すものであって、仮に重症度がさらに高かったら死亡していたかもしれないような事象を指すものではない。
【0214】
いくつかの医学的事象は、対象を危険にさらす可能性がある、または上述される特徴/結果の1つを予防するための介入を要する可能性がある。このような事象(重要な医学的事象と称される)もまた、定義に従い、重篤とみなされるべきである。
【0215】
強度
軽度:AEが一過性で、容易に許容される。
【0216】
中程度:AEが患者に不快感を生じ、患者の日常活動を妨げる。
重症:AEが患者の日常活動を著しく妨害し、普通に生活できないまたは生命を脅かす可能性がある。
【0217】
注意:重篤AEと重症AEとは区別されるべきである。重症という用語は、事象の強度を示すために使用され、当該事象を必ずしも重篤とみなす必要はない。重篤という用語は、患者/事象のアウトカムまたは作用に基づくものであり、規制上の報告義務を定義するためのガイドとしての役割を果たす。
【0218】
試験薬との関連
試験薬との関連を評価する。因果関係評価が「おそらく関連なし(Unlikely related)」、「関連があるかもしれない(Possibly related)」、および「おそらく関連あり(Probably related)」であるAEは、有害反応とみなされる。
【0219】
関連なし(Not related):このカテゴリは、評価時の注意深い医学的考察の結果として外的要因(疾患、環境など)に起因することが明確かつ明白であると判断され、かつ試験薬との関係において「可能性わずか(remote)」、「明らか(plausible)」、または「可能性あり(probable)」についての基準を満たさないような、AEに対して適用できる。
【0220】
おそらく関連なし:時間的関連が存在しないもしくは疑わしい、および/またはその他の要因に起因することが確かもしくはほぼ確実である。
【0221】
関連があるかもしれない:時間的関連が存在する。その他の、可能性のある要因(たとえば、同時疾患または併用薬)が存在し得る。投与中止(dechallenge)または用量減量による改善がみられていてもみられていなくてもよい。
【0222】
おそらく関連あり:時間的関連が存在する。その他の可能性のある要因(患者の、分かっている臨床状態、または併用薬によって、合理的に説明されない)は存在しなくてもよい。投与中止または用量減量(実施された場合)による改善が生じている。投与再開(rechallenge)(実施された場合)による症状の再発が生じている。特定の検査による調査(実施された場合)によって関連が確認されている。
【0223】
有害事象の報告
すべてのAEをCRFに記録して、試験薬との関連、強度、重篤度、試験薬による作用、およびアウトカムを定義しなければならない。また、治験実施者は、患者ファイル/メモにAEを記録するべきである。
【0224】
SAEの時間軸および報告
すべてのSAEを、試験薬に起因すると考えられるか否かにかかわらず、別のSAE報告書で報告しなければならない。SAEは、インフォームドコンセントの署名時からものを報告する。
【0225】
指定されたCROは、ICHの優良臨床試験基準(Good Clinical Practice、GCP)および地域の規制に従って、すべてのSAEを報告する責任がある。治験依頼者およびCROは、当該試験における安全性報告責任を記載する「実施協定(Working Agreement)」という協定に記入および署名する。この協定は、治験実施者が報告するSAEの各々についての報告を治験依頼者が直接受けることを保証するものである。
【0226】
明示されている報告要件を満たすために、治験実施者は、SAEの記録および報告についての以下のプロセスに従うべきである。
【0227】
SAEの可能性に気づいたら直ちに、どのような場合であってもその認識後24時間以内に、ファックスまたは電子メールでCROに連絡することが、治験実施者の責任である。
【0228】
最初の報告時に、治験実施者は、少なくとも、患者番号、生年月日、SAEの種類、および因果関係の暫定評価を提供しなければならない。この報告には、SAE報告書を使用するべきである。最初の報告をする際に情報が足りない場合には、その後、できるだけ速やかに、好ましくは最初の報告から5日以内に、追加の情報をSAE書にてファックスまたは電子メールにより送信するべきである。番号/電子メールアドレスは、治験実施者サイトファイル(Investigator Site File)中およびSAE報告書中に提供される。
【0229】
適切な場合には、入院または検死報告書を入手可能とするべきである。すべてのSAEを、解決(すなわち、無症候化、安定化、または死亡)まで追跡する。
【0230】
治験実施者からSAE報告書およびその他の関連CRFページについての電子メールまたはファックスのコピーを受け取ることは、CROの責任である。CROは、当該報告書で提供された情報を審査して、これをSAEデータベースに入力する。SAE報告書には固有の番号が割り当てられ、これをSAE報告書に記入し、以降のすべてのやり取りにおいて当該報告書を特定するために使用する。報告の受領通知を、48時間以内にファックスまたは電子メールによって報告者に送信する。不整合または足りない情報がある場合には、CROが治験実施者に直接連絡する。
【0231】
治験依頼者は、SAEがSUSARに分類されるか否かを評価する責任がある。SUSARに分類された場合、CROは、適時、適切な要件に従って、規制当局およびIECに提出する責任がある。規制当局に承認されたら、当該報告をCIOMS文書に記入して、これをそこへ電子メールで提出する。次いで、規制当局は、この情報をEudraVigilanceデータベースに電子的に送信する責任がある。
【0232】
死亡に至るおよび生命を脅かすSUSARについては、CROは、できるだけ速やかに、どのような場合であってもこのような例を治験依頼者/CROが認識して7暦日以内に、規制当局および倫理委員会に報告するべきである。続いて、この例についての関連する事後情報を、さらに8日以内に連絡する。その他のすべてのSUSARについては、できるだけ速やかに、ただしCROが初めて認識してから長くても15日以内に、関連する規制当局および関連する倫理委員会に報告するものとする。
【0233】
未解決の事象
患者が試験を完了した時にAE/SAEが存在する場合、最終的なアウトカムが分かるまで、またはその状態が安定するまで、その事象の経過を追跡しなければならない。
【0234】
妊娠報告書
妊娠可能な女性を試験に含めてはならない。
【0235】
統計方法
サンプルサイズの推定
潜在的有効性の評価に使用される主要な第2のエンドポイントは、処置後にベースラインからの改善を示すCペプチド値(2時間のMMTTから得た)の割合である。出願人らのアプローチは、解析に使用できるデータ点の数が最大となり、また、MMTTを120分間行なう毎に6つのCペプチド測定値が得られる(0、15、30、60、90、120分の時点)という観察に基づいている。さらに、このようなCペプチド測定値の各々を、「0.05nmol/l未満(検出不可能)」、「0.05nmol/l~0.2nmol/l」、および「0.2nmol/l超」という3つのカテゴリのうちの1つに分類することができる。0.2という値は、DCCTによって、Cペプチドの最低生理活性レベルとして確立されたものである。
【0236】
よって、各Cペプチド結果を類別でき、次いで、経時的変化の概要を「偏移」の交差分類表(表9)中に示すことができる。
【0237】
【表9】
【0238】
対象1人につきこのような分類が6つあり、かつ処置群1つにつき対象が10人であるので、上記のような処置別の表は各々がn=60での観察に基づき、本解析においては観察数は全180個となる。下記図1は、本出願人らの試験が、一連の仮説的な真のベネフィットレベルについて、かつ試験全体においてサンプルサイズが異なることを考慮して、処置のベネフィットを検出できる確率を示す。すなわち、以下の各サンプルサイズは、本試験の両処置アームに登録した対象の数を表す。この解析は、一個体および複数の個体全体におけるベネフィットの発生の独立および同一リスク確率を表す。本出願人らは、正の依存性が存在する(その結果、一個体についての1つの観察が成功すると、その個体からのその他の観察についてのベネフィット確率が上がる)可能性があるのではないかと考えており、このケースにおいて、本出願人らの推定は慎重である。また、成功確率には個体差がある可能性もある。しかしながら、本出願人らによる混合一般化線形モデリングの使用はこの可能性の根拠となり得るものであり、また、治療反応可能性における個体差の推定をもたらし得るものである。
【0239】
検出確率は、本出願人らの試験における少なくとも1人の個体について、2時間のMMTTからの6つのCペプチド測定値のうちの少なくとも1つが有益に改善される確率である。これは下記のように計算した。
【0240】
1-BIN(0;180、π)
式中、「BIN」は2項確率密度関数を指し、試験180回および成功確率「π」である。
【0241】
本出願人らは、本出願人らの試験は、実際のベネフィット率が約1.5%と小さい場合に処置のベネフィットを検出する可能性が高い(80%以上)ことを観察する。よって、本出願人らは、ベネフィットが非常に低い確率で発生する場合でも本出願人らの試験は処置のベネフィットを検出できる能力が十分にあると結論づける。
【0242】
統計解析
詳細な統計解析計画書(SAP)は、データベースロック前に十分余裕をもって書いて、完成させる。この計画書は以下に提示される統計解析の概要に従うが、統計解析を完了するのに必要な詳細は提供される。本出願人らは、混合一般化回帰解析における真のベネフィット率を推定する。1つの処置につき対象n=10(すなわち、Cペプチド観察値60個)に基づいて統計精度を慎重に評価したところ、処置の有益な作用が50%であるとすると、得られる95%信頼区間の精度は、真のベネフィット率の推定について、±13%であると考えられる。割合の推定における精度を求める際、50%の効果というのは非常に慎重な選択であるため、本出願人らは、このサンプルサイズは、この早期相処置プロトコールにおける処置のベネフィットを検出および比較するという目的において、非常に良好な精度レベルを提供すると結論づける。言うまでもなく、本出願人らのサンプルサイズ評価は、同じ個体から得られたデータ間における独立性を前提としている(そうである可能性は低いが)。しかしながら、以下に記載されるように、本出願人らは、ベネフィット割合について統計的推論をする際に統計モデル化を使用してこの変動成分を抽出するため、よって精度および能力が大幅に改善されると予想する。
【0243】
本出願人らは、2項連結分散構造(binomial link and variance structure)を有するランダム効果一般化線形モデルを使用して、ベネフィット率を推定する。一対象における相関関係を説明するために、対象をランダム効果としてモデル中に含める。このモデル推定および付随する95%信頼区間は、Wald統計に基づき得る。このモデルは、対象30人全員からの観察値180個(1つの処置群につき60個)すべてを含み、処置レベルに対する固定効果を含む。処置間におけるベネフィット率における潜在的差異を、Wald検定で検定する。このモデルがデータにフィットしない場合には、本出願人らは、次いで、混合ロジスティック回帰モデルのフィッティングを試み、その場合、推定しようとするパラメータは、オッズ比を使用して比較したベネフィットと処置とのオッズであろう。
【0244】
ベースラインと3か月間および6か月間の処置の後との間ならびにベースラインとフォローアップ来診との間において起こり得る変化の各々について、前出の解析を繰り返す。ベネフィットの長期的傾向、および処置レベルへの依存を、マルコフ状態遷移モデルを使用して調べる。結果を解釈する際には、偽発見率を考慮する。
【0245】
記述統計法を使用して評価するその他のエンドポイントは、以下である:
・すべての処置(低用量連日経口GABA処置、高用量連日経口GABA処置、高用量経口GABAとアルプラゾラム処置との併用)について、ベースラインと、3か月間の処置の後、6か月間の処置の後、およびフォローアップ来診のそれぞれとの間における、混合食負荷試験(MMTT)中のCペプチドの差異(曲線下面積[AUC] 平均 0~120分)。
【0246】
・すべての処置について、ベースラインと、3か月間の処置の後、6か月間の処置の後、およびフォローアップ来診のそれぞれとの間における、MMTT中のCペプチドの差異(曲線下面積[AUC] 平均 0~120分)。超高感度ELISAで分析。
【0247】
・すべての処置について、ベースラインと、3か月間の処置の後、6か月間の処置の後、およびフォローアップ来診のそれぞれとの間における、MMTT中の刺激時Cペプチド最大値の差異。
【0248】
・すべての処置について、ベースラインと、3か月間の処置の後、6か月間の処置の後、およびフォローアップ来診のそれぞれとの間における、MMTT中の刺激時Cペプチド最大値の差異。超高感度ELISAで分析。
【0249】
・処置間の差異、ベースラインと、3か月間の処置の後、6か月間の処置の後、およびフォローアップ来診との間における、MMTT中のCペプチドの差異(曲線下面積[AUC] 平均 0~120分)。
【0250】
・すべての処置について、ベースラインと6か月間の処置との間における、低血糖クランプ中のグルカゴンの差異(曲線下面積[AUC] 平均 0~120分)。
【0251】
・処置間の差異、ベースラインと6か月間の処置との間における、低血糖クランプ中のグルカゴンの差異(曲線下面積[AUC] 平均 0~120分)。
【0252】
・血漿Cペプチド、グルカゴン、プロインスリン、プロインスリン/Cペプチド、グルカゴン様ペプチド1、脂質、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、およびインスリン調整HbA1c(IDAAC)などの、糖尿病状態を示す変数。外因性インスリンの1日摂取量、血糖の変動性、および自己申告低血糖の回数。
【0253】
・GAD65および膵島抗原2に対する血清自己抗体(およびアイソタイプ)、ならびに血液中の免疫細胞の全般的特性などの、免疫系に及ぼす影響を示す変数。
【0254】
・3か月間および6か月間の処置の後ならびにフォローアップ来診におけるGABA血漿レベルの分析。
【0255】
・質問票による患者QoLの測定。
データが入手できれば、正式な統計検定を行なう。AUC値を対数変換し、正規理論法(たとえば、t検定またはANOVA)を使用して差異を推定する。同様に、糖尿病状態および免疫変数の概要を、平均、中央値、四分位数、および信頼区間の表によって示す。パラメトリックな方法(ANOVA)またはノンパラメトリックな方法(Wilcoxon)方法のいずれかによって、仮説検定を行なう。カテゴリーデータ(QoLおよび安全性など)の概要を度数分布表によって示し、可能な場合には、フィッシャーの正確確率検定または正確カイ二乗を使用して、処置同士を比較する。すべての統計検定は、p<0.05有意水準にて行なう。
【0256】
解析するデータセット
・最大の解析対象集団(FAS)は、少なくとも1回用量の試験薬を服用していて、少なくとも1回のベースライン後評価およびこれに対応する任意の有効性評価項目についてのベースライン測定を受けた、すべての無作為化した患者からなる。
【0257】
・完了例は、対応試験期間を完了していて第2の有効性データを入手できる、FASに含まれるすべての患者からなる。
【0258】
治験実施計画書に適合した対象集団(PPS)は、治験実施計画書に従ってGABA処置を受けていて、有効性の評価に影響を及ぼし得るその他の重要な治験実施計画書違反を有さない、FASに含まれるすべての患者からなる。
【0259】
・安全性解析対象集団は、少なくとも1回用量のGABAを服用した、すべての無作為化した患者からなる。
【0260】
FASを第1の解析データセットとみなし、第1および第2の有効性評価項目のすべてについて使用する。PPSおよび完了例を使用して第1の有効性解析を繰り返し、これらの解析を感度分析とみなす。FASおよびPPSまたは完了例からの結果に食い違いがある場合には、これを分析および考察する。
【0261】
第2の変数について、FASのみに基づいて解析する。
ベースラインの提示は、安全性解析対象集団およびFASに基づく。安全性の提示は安全性解析対象集団に基づく。
【0262】
仮説および統計方法
第1のエンドポイント変数の解析
有害事象:
AEを、医薬品規制用語集(MedDRA)システムに従ってコード化して、器官別大分類(SOC)および基本語を用いて表にする。
【0263】
要約表は、以下を有する患者の総数および患者番号を用いて提示される:
・AE
・重篤なAE
・関連するAEおよび重篤なAE
・中止に至ったAE
AEは、基本語階層において各患者について1回だけ数える。
【0264】
少なくとも1つのAEを有する患者の総数およびAEの数を、SOCおよび基本語によって導き出して概要を示す。
【0265】
また、AEを、強度および処置との関連に対して表にする(「おそらく関連なし」、「関連があるかもしれない」、および「おそらく関連あり」というアウトカムは関連ありに分類し、「関連なし」というアウトカムは関連なしに分類)。患者が、同じ基本語に分類される事象を1つを超えて有する場合には、次いで、最も悪い強度および最も悪い関連を使用する。この表の中では、AEを有する患者を患者番号で識別している。
【0266】
試験治療下で発現したAE(TEAE)とは、治療開始後に発現したまたは治療中に悪化した事象である。よって、発症時点が治療開始時またはその後である事象は、試験治療下での発現である。要約表にはTEAEのみを含める。治療前のSAEを列記する。
【0267】
試験治療下で発現した重篤な有害事象(TESAE)を別個に列記する。
AEのリスト中に、相対的な発現日を記入する。相対的な日は、IMPの1回目投与日またはそれ以降に生じたAEについては、(IMPの1回目投与日-AE開始日)+1で、それ以外については(IMPの1回目投与日-AE開始日)で計算する。
【0268】
その他の安全性エンドポイント:
その他のすべての安全性エンドポイントを、要約統計量を使用して提示する。また、ベースラインからの検査測定値およびバイタルサインの変化についても、概要を示す。シフト表は、正常/異常(NCS/CS)の判断が存在するすべてのエンドポイントについてのシフトを提示する。
【0269】
有意水準、多重比較、および多重度
第1の解析における有意水準は5%である。複合分析についての調整はせず、第1の解析以外の解析からのp値は記述式とみなす。
【0270】
共変量についての調整
ベースライン解析からの変化はベースラインについて調整し、その他のすべての解析は無作為化階層(Cペプチドレベル)について調整する。
【0271】
統計解析計画書からのずれ
最終的なSAPからのずれがある場合には、最終の臨床報告中に記載するべきである。
【0272】
治験実施計画書1の用量漸増パートにおける低血糖クランプ試験の結果
cペプチドレベルが検出不可能(標準的なアッセイにおいて、すなわち0.01nmol/L未満)であった患者のみを、以下のデータに含める(6人中5人)。
【0273】
グルカゴン、コルチゾール、エピネフリン、成長ホルモン、およびグルコースの血漿レベルを、ベースラインにおいて測定した(T1D対象においてグルコース増加)。血漿グルコースをまず正常血糖レベル(5.5mmol/L)に下げてホルモンレベルをモニタリングし、次いで、低血糖レベル(2.5mmol/L)に下げてホルモンレベルをモニタリングした。差異を計算して、低血糖に対する反応の測定値とした。
【0274】
GABA処置により、以下の作用がみられた。
・ベースライン(クランプなし)でのコルチゾールおよびノルエピネフリンのレベルがGABA処置により減少。
【0275】
・正常血糖(5.5mmol/Lにクランプ)でのコルチゾール、グルカゴン、成長ホルモン、およびノルエピネフリンのレベルがGABA処置により減少。
【0276】
・コルチゾール、エピネフリン、グルカゴン、および成長ホルモンの拮抗調節反応(5.5mmol/Lから2.5mmol/Lにクランプしたときのレベルの変化)がGABA処置に伴って増加。
【0277】
・正常血中グルコース範囲における時間がGABA処置に伴って増加。
・正常血中グルコース範囲より下であった時間がGABA処置により減少。
【0278】
・正常血中グルコース範囲より上であった時間がGABA処置により減少。
測定したホルモンレベルについての全詳細が、以下の表10~表14中に提供される。以下の表の中で、来診3回目は投与前の期間に、来診5回目は1日当たり200mgのGABAでの処置期間中に、来診7回目は1日当たり600mgのGABAでの処置期間中に、来診9回目は1日当たり1200mgのGABAでの処置期間中に実施された。血漿グルコースレベルは表15中に提供される。
【0279】
正常血中グルコース範囲(4~10mmol/L)内、これより上、およびこれより下にて過ごした時間を求めるために、当該試験の用量漸増パートにおける6人の患者全員についての血中グルコースレベルを、特定の時間間隔で測定した。結果が以下の表16中に提供される。これらの結果は、拮抗調節反応が改善されたことを示す。
【0280】
【表10】
【0281】
【表11】
【0282】
【表12】
【0283】
【表13】
【0284】
【表14】
【0285】
【表15】
【0286】
【表16】
【0287】
参考資料
本明細書中において引用されるすべての参考資料について、特に、それらの全体を引用により本明細書に援用する。
【0288】
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【国際調査報告】