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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(54)【発明の名称】CBD製剤およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/05 20060101AFI20221005BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20221005BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20221005BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20221005BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20221005BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20221005BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221005BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20221005BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20221005BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20221005BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221005BHJP
【FI】
A61K31/05
A61P17/00
A61P37/08
A61P17/06
A61P17/10
A61P31/22
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/18
A61K47/14
A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508456
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(85)【翻訳文提出日】2022-04-07
(86)【国際出願番号】 US2020045408
(87)【国際公開番号】W WO2021030190
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】62/884,955
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/985,235
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】522052059
【氏名又は名称】ジュピター ウェルネス, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522052060
【氏名又は名称】ヘルスエイド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ウイルソン, グリン
(72)【発明者】
【氏名】フーグリー, トニー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA11
4C076BB01
4C076BB31
4C076DD38
4C076DD45
4C076DD46
4C076DD52
4C076EE53
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA37
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZA89
4C206ZB13
4C206ZB33
4C206ZC75
(57)【要約】
本明細書で提供されるのは、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)とを含む製剤である。また、製剤を使用する方法も提供される。本開示は、カンナビノイドと、N-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体とを含む、局所製剤を提供する。別の局面では、本開示は、哺乳動物の皮膚状態を処置する方法であって、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビノイドと、N-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体とを含む、局所製剤。
【請求項2】
前記カンナビノイドが、植物性カンナビノイド、内因性カンナビノイド、または天然に存在しないカンナビノイドを含む、請求項1に記載の局所製剤。
【請求項3】
前記カンナビノイドが植物性カンナビノイドである、請求項1に記載の局所製剤。
【請求項4】
前記植物性カンナビノイドが、アサ属植物由来の植物性カンナビノイドを含む、請求項3に記載の局所製剤。
【請求項5】
前記アサ属植物由来のフィトカナビノイドが、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピルバリアント(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)、カンナビエルソイン(CBE)およびカンナビシトラン(CBT)のうちの1またはそれより多くを含む、請求項4に記載の局所製剤。
【請求項6】
前記アサ属植物由来の植物性カンナビノイドがCBDを含む、請求項4に記載の局所製剤。
【請求項7】
前記アサ属植物由来植物性カンナビノイドが、少なくとも95%カンナビノイド(w/v)のカンナビノイド総含有量を有するカンナビノイド単離物を含む、請求項4~6のいずれか1項に記載の局所製剤。
【請求項8】
前記カンナビノイドが内因性カンナビノイドを含む、請求項1に記載の局所製剤。
【請求項9】
前記内因性カンナビノイドがアナンダミドを含む、請求項8に記載の局所製剤。
【請求項10】
前記カンナビノイドが天然に存在しないカンナビノイドを含む、請求項1に記載の局所製剤。
【請求項11】
前記天然に存在しないカンナビノイドがCP55,940、WIN55,212-2、またはナビロンを含む、請求項10に記載の局所製剤。
【請求項12】
前記カンナビノイドが約0.01%~約0.5%重量/体積(w/v)、好ましくは約0.02%~約0.5%(w/v)の濃度である、請求項1~11のいずれか1項に記載の局所製剤。
【請求項13】
前記APMまたはその低級アルキル誘導体が、約0.05%~約5%(w/v)、好ましくは約0.2~約2%(w/v)の濃度である、請求項1~12のいずれか1項に記載の局所製剤。
【請求項14】
前記製剤中の前記N-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステルまたはその低級アルキル誘導体と前記カンナビノイドとの比が、約4:1~約10:1(重量による)の範囲にある、請求項1~13のいずれか1項に記載の局所製剤。
【請求項15】
湿潤剤をさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の局所製剤。
【請求項16】
前記湿潤剤が、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、尿素、亜麻仁、藻抽出物、Aloe vera葉抽出物、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項15に記載の局所製剤。
【請求項17】
エモリエント剤をさらに含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の局所製剤。
【請求項18】
前記エモリエント剤が、ステアリン酸グリセリル、パルミチン酸イソステアリル、スクアレン、ステアリン酸PEG-100、リコリン酸セチル、ステアリン酸トリデシル、ヘキサカプリル酸/ヘキサカプリン酸ジペンタエリスリチル、セテアレス-20、ステアリン酸、Simmondsia chinensis種子油、グリコールステアレート、セチルアルコール、ステアリルアルコール、乳酸セチル、ジメチコン、ポリエチレングリコール、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項17に記載の局所製剤。
【請求項19】
さらに吸収促進剤を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の局所製剤。
【請求項20】
前記吸収促進剤が、ジメチルイソソルビド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、またはその両方を含む、請求項19に記載の局所製剤。
【請求項21】
さらに保存料を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の局所製剤。
【請求項22】
前記保存料が、ジアゾリジニル尿素、ソルビン酸、パラベン、フェノキシエタノール、カプリリルグリコール、エチルヘキシルグリセリン、ヘキシレングリコール、またはそれらの組み合わせを含む、請求項21に記載の局所製剤。
【請求項23】
追加の活性剤を含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の局所製剤。
【請求項24】
前記追加の活性剤がリドカインを含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の局所製剤。
【請求項25】
前記局所製剤が約4~約7.5のpHを有する、請求項1~24のいずれか1項に記載の局所用製剤。
【請求項26】
前記局所製剤が、バーム、ローション、液体、またはゲルの形態である、請求項1~25のいずれか1項に記載の局所製剤。
【請求項27】
哺乳動物の皮膚の状態を処置する方法であって、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項28】
前記皮膚の状態が、湿疹、アトピー性皮膚炎、非アトピー性皮膚炎、乾癬、皮膚筋炎、強皮症、脂漏性皮膚炎、日光角化症、表皮水疱症、ざ瘡、壊疽性膿皮症、または皮膚新生物を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記皮膚の状態が皮膚炎を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記皮膚炎が非アトピー性皮膚炎を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記皮膚の状態が、虫刺され、ポイズンアイビー、ポイズンオーク、温熱熱傷、化学熱傷、または放射線熱傷を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記皮膚の状態が湿疹を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記皮膚の状態が、口唇ヘルペスを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
哺乳動物の皮膚の不快感を緩和する方法であって、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項35】
前記皮膚の不快感が、発疹に関連する1またはそれより多くの症状を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記皮膚の不快感が、湿疹、アトピー性皮膚炎、非アトピー性皮膚炎、乾癬、皮膚筋炎、強皮症、脂漏性皮膚炎、日光角化症、表皮水疱症、ざ瘡、壊疽性膿皮症、または皮膚新生物と関連する1またはそれより多くの症状を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記皮膚の不快感が、虫刺され、ポイズンアイビー、ポイズンオーク、化学熱傷、温熱熱傷、または放射線熱傷に関連する1またはそれより多くの症状を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記放射線熱傷が、紫外線熱傷、X線熱傷、レーザー誘発性熱傷、宇宙旅行誘発性熱傷、またはそれらの組み合わせである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記皮膚の不快感が、口唇ヘルペスに関連する1またはそれより多くの症状を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記皮膚の不快感が、刺激、腫れ、痛み、ヒリヒリ感、および/または赤みを含む、請求項34~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
哺乳動物の痛みを処置する方法であって、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項42】
前記痛みが筋肉痛または関節痛を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
哺乳動物の関節炎を処置するための方法であって、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項44】
前記関節炎が、変形性関節症、関節リウマチ、または乾癬性関節炎を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
哺乳動物の痛みまたは不快感を緩和する方法であって、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項46】
前記痛みまたは不快感が、筋肉の痛みもしくは不快感、または関節の痛みもしくは不快感を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
哺乳動物の関節の健康を促進するための方法であって、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項48】
関節の健康を促進することが、健康な関節機能を維持または促進することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
哺乳動物の炎症を軽減する方法であって、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項50】
前記炎症が、皮膚の炎症、筋肉の炎症、または関節の炎症を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
哺乳動物における痛みおよび炎症を軽減する方法であって、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項52】
前記痛みおよび炎症が、皮膚の状態、筋肉痛、または関節炎に関連している、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記哺乳動物がヒトである、請求項27~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記哺乳動物がイヌまたはネコである、請求項27~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
請求項1~26のいずれか1項に記載の局所製剤の有効量を前記哺乳動物に投与することを含む、請求項27~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記投与することが、経口投与することを含む、請求項27~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記カンナビノイドが、内因性カンナビノイド、植物性カンナビノイド、または天然に存在しないカンナビノイドを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記カンナビノイドが植物性カンナビノイドである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記植物性カンナビノイドのカンナビノイドが、アサ属植物由来の植物性カンナビノイドである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記アサ属植物由来のフィトカナビノイドが、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピルバリアント(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)、カンナビエルソイン(CBE)およびカンナビシトラン(CBT)のうちの1またはそれより多くを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記アサ属植物由来の植物性カンナビノイドがCBDを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記アサ属植物由来の植物性カンナビノイドが、少なくとも95%カンナビノイド(w/v)の総カンナビノイド含有量を有するカンナビノイド単離物を含む、請求項59~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記カンナビノイドが内因性カンナビノイドを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項64】
前記内因性カンナビノイドがアナンダミドを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記カンナビノイドが天然に存在しないカンナビノイドを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項66】
前記天然に存在しないカンナビノイドが、CP55,940、WIN55,212-2、またはナビロンを含む、請求項65に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
炎症は、傷害および感染に対する免疫系応答の重要な部分である。しかしながら、炎症は、赤み、刺激、痛み、および腫れなどの、多種多様な望ましくない下流効果に関連する。炎症に関連する状態としては、皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎)、乾癬、湿疹、ポイズンアイビーかぶれなどの炎症皮膚状態;関節炎によるものなどの関節炎症;および筋炎とも呼ばれる筋肉炎症などが挙げられる。このような状態、特に炎症が局所的である場合には、炎症を抑制する局所処置が有用である。局所適用されるリドカインは、炎症に関連する痛みの軽減には素早く効くかもしれないが、リドカインは鎮痛剤であるため、赤みや腫れなど炎症に関連する他の症状の軽減には作用しない。炎症に関連する痛みを素早く軽減し、さらに局所的な炎症による他の症状も軽減するためには、他の治療が必要となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
簡単な概要
本開示は、カンナビノイドと、N-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体とを含む、局所製剤を提供する。
【0003】
別の局面では、本開示は、哺乳動物の皮膚状態を処置する方法であって、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0004】
別の局面では、本開示は、哺乳動物の皮膚の不快感を緩和する方法であって、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0005】
別の局面では、本開示は、哺乳動物の痛みを処置する方法であって、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0006】
別の局面では、本開示は、哺乳動物の関節炎を処置するための方法であって、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0007】
別の局面では、本開示は、哺乳動物の痛みまたは不快感を緩和する方法であって、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0008】
別の局面では、本開示は、哺乳動物の関節の健康を促進するための方法であって、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0009】
別の局面では、本開示は、哺乳動物の痛みおよび炎症を軽減する方法であって、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0010】
本開示の他の目的、利点、および新規の特徴は、以下の詳細な説明からより明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本明細書で提示するのは、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む局所製剤である。また、皮膚状態、関節状態、およびその他の痛みと炎症の症状を処置または軽減するための方法も提示する。特定の実施形態では、局所製剤は、そのような方法で使用される。
【0012】
本明細書において、用語「約」は、特に断らない限り、示された範囲、値、または構造の+20%を意味する。用語「から本質的になる」は、請求の範囲を、指定された材料またはステップ、および請求された発明の基本的かつ新規な特徴に重大な影響を与えないものに限定する。本明細書で使用される用語「a」および「an」は、列挙された構成要素の「1つまたはそれより多く」を指すことが理解されるべきである。代替物(例えば、「または」)の使用は、代替物のいずれか一方、両方、またはそれらの任意の組合せを意味すると理解されるべきである。本明細書で使用される場合、用語「含む」および「有する」は同義的に使用され、これらの用語およびその変形は、非限定的に解釈されることを意図している。用語「含む」は、特許請求の範囲に言及されるような記載された特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を意味するが、1つまたはそれより多くの他の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはそれらの群の存在または追加を排除しないことを意味する。本明細書で提供される任意の範囲は、その範囲内の全ての値およびより狭い範囲を含む。
【0013】
カンナビノイド
本明細書に提供されるのは、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む製剤および製剤の使用である。
【0014】
用語「カンナビノイド」は、1つまたはそれより多くのカンナビノイド受容体に結合し、内因性カンナビノイド系に作用する化合物のクラスを指す。カンナビノイドとしては、植物性カンナビノイド、内因性カンナビノイド、および天然に存在しないカンナビノイドが挙げられる。内因性カンナビノイド系は、哺乳動物に存在する、カンナビノイド受容体に結合する脂質ベースの神経伝達物質である内因性カンナビノイドを含む生物学的システムである。カンナビノイド受容体1(CB1)およびカンナビノイド受容体2(CB2)は中枢神経系および末梢神経系に発現され、カンナビノイド受容体3(CB3)は中枢神経系に発現される。その他の非古典的なカンナビノイド受容体としては、Gタンパク質共役型受容体(GPR55)、GRP119およびGPR18、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPARs)、一過性受容体電位バニロイド1(transient receptor potential vanilloid 1;TRPV1)などが挙げられる。
【0015】
カンナビノイド受容体を介した内因性カンナビノイドシグナル伝達は、気分、食欲、記憶などの認知プロセスに影響を与える。カンナビノイドは、他の様々な細胞タイプおよび組織上にも存在する。例えば、CB2は、単球、マクロファージ、ならびにB細胞およびT細胞に発現される。
【0016】
特定の実施形態では、カンナビノイドは、植物性カンナビノイドである。植物性カンナビノイドは、植物によって天然に産生されるカンナビノイドである。植物性カンナビノイドは、典型的には、C21またはC22(カルボキシル化形態について)テルペノフェノール化合物である。カンナビノイドを産生する植物としては、アサ属植物(Cannabis)、Echinacea purpurea、Echinacea angustifolia、Acmelia oleracea、Helichrysum umbraculigerumおよびRadula marginataが挙げられる。植物性カンナビノイドの例としては、ドデカ-2E,4E,8Z,10E/Z-テトラエン酸-イソブチルアミド(dodeca-2E,4E,8Z,10E/Z-tetraneoic-acid-isobutylamid)、β-カリオフィレン、ペロテチネン(perottetinene)、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジロール酸(CBDA)、カンナビノールプロピルバリアント(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)、カンナビエルソイン(CBE)およびカンナビシトラン(CBT)などが挙げられる。
【0017】
特定の実施形態では、植物性カンナビノイドは、アサ属植物由来の植物性カンナビノイドを含んでいる。カンナビスとは、一般に、Cannabis sativa、Cannabis sativa forma indicaおよびCannabis ruderalisを含む植物の属を指す。アサ属植物によって産生される植物性カンナビノイドの例としては、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビノール(CBN)、カンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピルバリアント(CBNV)、カンナビトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)、カンナビエルソイン(CBE)およびカンナビシトラン(CBT)が挙げられる(例えば、Prandiら、Molecules 23(7), 1526, 2018を参照のこと)。アサ属植物由来のカンナビノイドは、この植物の雌花に存在する毛状突起の分泌腔に蓄積される。また、カンナビノイドは、この植物の種子、根および茎に、より低濃度で存在することもある。多くのアサ属植物株は、THCAまたはCBDAのいずれかを生成される主なカンナビノイドとして有するが、様々なカンナビノイドが一緒に存在することが一般的である。THCAとCBDAが熱処理などによって脱炭酸されると、その分子はそれぞれTHCとCBDに変換される。
【0018】
特定の実施形態において、アサ属植物由来植物性カンナビノイドは、CBDを含む。一部の実施形態では、アサ属植物由来植物性カンナビノイドは、CBDおよび少なくとも1つの他のアサ属植物由来植物性カンナビノイドを含む。
【0019】
特定の実施形態では、カンナビノイドは、内因性カンナビノイドを含む。内因性カンナビノイドは、内因的に発現し、内因性カンナビノイド系のカンナビノイド受容体に結合する脂質ベースの神経伝達物質である。内因性カンナビノイドの例としては、アナンダミド、アラキドノイル-エタノールアミド(AEA)、2-アラキドノイル-グリセロール(2-AG)、2-アラキドニルグリセリルエーテル(ノラジンエーテル)、N-アラキドノイルドメイン(NADA)、ビロダミン(OAE)およびリゾホスファチジルイノシトール(LPI)が挙げられる。特定の実施形態では、内因性カンナビノイドは、アナンダミドを含む。
【0020】
特定の具体的な実施形態では、カンナビノイドは、天然に存在しないカンナビノイド(「合成カンナビノイド」とも呼ばれる)を含む。天然に存在しないカンナビノイドの例としては、強力なTHC模倣物であるCP55,940;WIN55,212-2(これはカンナビノイド受容体アゴニスト活性を有するアミノアルキルインドール誘導体である)、ナビロン(これは構造的にTHCに非常に類似している)、JWH-018(1-ペンチル-3-(1-ナフトイル)インドール)、ジメチルヘプチルピラン、HU-210(これはTHCの約100倍の強力である)、HU-331(これはカノビジオールから合成されたキノン抗癌剤(quinone anticancinogenic drug)である)、JWH-133(これは、強力な選択的CB2受容体アゴニストである)、Levonantradol(Nantrodolum)、またはAM-2201(これは、強力なカンナビノイド受容体アゴニストである)が挙げられる。ある特定の実施形態では、合成カンナビノイドは、CP55,940、WIN 55,212-2、またはナビロンを含む。
【0021】
N-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル
前述のように、本明細書で提供されるのは、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む製剤および製剤の使用である。N-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)は、アスパルテームと呼ばれることもある。
【0022】
用語「APMの低級アルキル誘導体」とは、APMの1-メチルエステルのメチル基が、エチル、プロピル、イソプロピルまたはブチルなどの2~4個の炭素を有するアルキル基で置換された化合物を指す。
【0023】
製剤
本明細書で提供されるのは、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体とを含む製剤である。このような製剤には、医薬製剤(「医薬組成物」ともいう)および非医薬製剤(「非医薬組成物」ともいう)が含まれる。適切な製剤は、選択された投与経路に依存する。任意の許容され得る技術、担体、および賦形剤は、本明細書に記載の製剤を製剤化するのに適している;例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,第19版(Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975; Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,第7版(Lippincott Williams & Wilkins1999)に記載されているものである。医薬製剤とは、疾患、障害もしくは状態の処置、または疾患、障害もしくは状態の1もしくはそれより多くの症状の処置に使用するための製剤をいう。非医薬品製剤とは、ダイエタリーサプリメントおよびニュートラシューティカル製剤(nutraceutical formulation)などの、医薬製剤以外の製剤を指す。
【0024】
特定の実施形態では、カンナビノイドは、カンナビノイド単離物の形態で製剤中に提供される。用語「カンナビノイド単離物」は、高度に精製された、アサ属植物由来のカンナビノイドを指す。カンナビノイド単離物は、例えば、CO抽出、エタノール抽出、またはブタン抽出によって製造することができる。カンナビノイド単離物の物理的形態としては、例えば、結晶、粉末、ワックス、または樹脂が挙げられる。カンナビノイド単離物は、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%のカンナビノイド(w/v)の総カンナビノイド含有量を有することができる。特定の実施形態では、カンナビノイド単離物は、少なくとも95%(w/v)の総カンナビノイド含有量を有する。
【0025】
一部の実施形態では、カンナビノイドは、製剤中に約0.01%~約0.5%重量/体積(w/v)で提供される。特定の実施形態では、カンナビノイドは、製剤中に約0.025%~約0.5%(w/v)で提供される。特定の実施形態では、カンナビノイドは、約0.01%~約0.05%、約0.05%~約0.1%、約0.1%~約0.2%、約0.2%~約0.3%、約0.3%~約0.4%、または約0.4%~約0.5%(w/v)で製剤に提供される。好ましくは、カンナビノイドは、約0.02%~約0.5%(w/v)、または約0.25%~約0.4%(w/v)の濃度である。
【0026】
一部の実施形態では、N-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体の濃度は約0.05%~約2%(w/v)である。一部の実施形態では、N-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体の濃度は、約0.2~約2%(w/v)である。一部の実施形態では、N-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体の濃度は、約0.2%~約0.4%、約0.4%~約0.6%、約0.6%~約0.8%、約0.8%~約1.0%、約1.0%~約1.2%、約1.2%~約1.4%、約1.4%~約1.6%、約1.6%~約1.8%、または約1.8%~約2.0%(w/v)である。好ましくは、APMまたは低級アルキル誘導体は、約0.5%~約1.5%(w/v)の濃度である。
【0027】
一部の実施形態では、製剤中のN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステルまたはその低級アルキル誘導体の、カンナビノイドに対する比は、約4:1~約10:1(重量による)の範囲にある。一部の実施形態では、製剤中のN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステルまたはその低級アルキル誘導体の、カンナビノイドに対する比は、約4:1~約5:1、約5:1~約6:1、約6:1~約7;1、約7:1~約8:1、約8:1~約9:1、または約9:1~約10:1(重量による)である。一部の実施形態では、製剤中のN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステルまたはその低級アルキル誘導体の、カンナビノイドに対する比は、約5:1~約8:1(重量による)の範囲にある。
【0028】
本明細書で使用する場合、「担体」および「生理学的に許容される担体」は互換的に使用され、そして当業者に知られているような、採用した投与量および濃度においてレシピエントに一般に無毒な、すなわち、適宜、ヒトのような動物に投与されたときに、有害な、アレルギー性の、または他の不都合な反応を生じない分子実体および組成物である、任意のおよびすべての溶媒、緩衝剤、分散媒、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、保存料(例えば、抗細菌剤(antibacterial agents)、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存料、抗酸化剤、タンパク質、薬物、薬物安定剤、ポリマー、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、矯味矯臭剤、染料、このような材料およびこれらの組み合わせ、、を包含する(例えば、参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版、Mack Printing Company, 1990, pp.1289-1329を参照のこと)。任意の従来の担体が活性成分と不適合である場合を除き、本明細書で提供される医薬製剤または非医薬製剤におけるその使用が企図される。特定の実施形態では、担体は、局所製剤に含まれるのに適している。
【0029】
製剤は、固体、液体、またはエアゾールのいずれの形態で投与されるかに応じて、異なるタイプの担体を含んでよい。本明細書に記載されるような製剤(および任意の追加の活性剤)は、静脈内に、皮内に、動脈内に、腹腔内に、病巣内に、頭蓋内に、関節内に、前立腺内に、脾臓内に、腎臓内に、胸腔内に、気管内に、鼻腔内に、硝子体内に、膣内に、直腸内に、腫瘍内に、筋肉内に、腹腔内に、皮下に、結膜下に、小胞内に(intravesicularlly)、粘膜内に、心膜内に、臍帯内に、眼内に、経口に、局所に(topically)、局所に(locally)、吸入(例えば、エアゾール吸入)、注射、注入、連続注入、標的細胞を直接浸す局在化灌流により、カテーテルを介して、洗浄液を介して、クリーム中で、脂質組成物(例えば、リポソーム)中、または当業者に知られている他の方法もしくは上記の任意の組み合わせによって、投与することができる(例えば、参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences,第18版、Mack Printing Company, 1990を参照のこと)。
【0030】
特定の実施形態では、製剤は局所製剤である。局所製剤は、例えば、溶液、懸濁液、泡、ローション、ゲル、ペースト、薬用スティック、バーム(例えば、リップバーム)、スプレー、粉末(例えば、ボディパウダーまたはベビーパウダー)、クリームまたは軟膏の形態であり得る。このような製剤は、必要に応じて、湿潤剤、エモリエント剤、吸収促進剤、可溶化剤、安定剤、張力増強剤、緩衝剤、保存料、および/または追加の治療剤を含む。
【0031】
一部の実施形態において、局所製剤は、湿潤剤を含む。局所製剤は、湿潤効果を提供するために使用される1つまたはそれより多くの「湿潤剤」を含むことができる。好ましくは、湿潤剤は、組成物中で安定なままである。結果として得られる濃度が所望の湿潤効果を提供するのであれば、単一の湿潤剤または湿潤剤の組み合わせの任意の適切な濃度を採用することができる。典型的には、適切な量の湿潤剤は、採用される特定の単一の湿潤剤または複数の湿潤剤に依存することになる。単一の湿潤剤または湿潤剤の組み合わせの合計の好ましい濃度範囲は、製剤の約0.1%~約70%、より好ましくは約5.0%~約30%、より具体的には約10%~約25%であり得る。本明細書で使用するための非限定的な例としては、グリセリン、多価アルコール、ヒアルロン酸、およびシリコーンオイルが挙げられる。ある特定の実施形態では、湿潤剤は、グリセリン、プロピレングリコール(すなわち、ポリプロピレングリコール)、グリセレス-7(グリセリンのポリエチレングリコールエーテル)、ブチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、尿素、亜麻仁、藻抽出物、Aloe vera葉抽出物、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0032】
実施形態において、局所製剤は、エモリエント剤を含む。局所製剤は、皮膚に軟化効果または鎮静(soothing)効果を持たせるためにエモリエント剤を含んでもよい。ある特定の実施形態では、エモリエント剤は、ステアリン酸グリセリル、パルミチン酸イソステアリル、スクアレン、セテアレス-20、Simmondsia chinensis種子油、ステアリン酸グリコール、ステアレス-21、ステアレス-2、セチルアルコール、ステアリルアルコール、乳酸セチル、ジメチコン、ポリエチレングリコール(PEG)、セテアリルアルコール、セテアレス-20、ステアリン酸PEG-100、ココ酸PEG-7グリセリル、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20またはポリソルベート80)、ジメチコン、ステアリン酸トリデシル、トリメリト酸トリデシル、ヘキサカプリル酸/ヘキサカプリン酸ジペンタエリスリチルリシノール酸セチル、C13-C14イソパラフィンまたはそれらの任意の組合せを含んでもよい。エモリエント剤が提供され得る濃度範囲の例としては、約0.1%~約10%、または約0.5%~約5%(w/v)が挙げられる。
【0033】
実施形態において、局所製剤は、吸収促進剤を含んでもよい。吸収促進剤とは、膜透過を促進することによって吸収を増加させるように機能する薬剤をいう。ある特定の実施形態では、吸収促進剤は、ジメチルイソソルビド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、またはその両方。吸収増強剤が提供され得る濃度範囲の例としては、約0.1%~約10%、または約0.5%~約5%(w/v)が挙げられる。
【0034】
実施形態では、局所製剤は、抗微生物特性を示す保存料を含んでもよい。例えば、保存剤は、その貯蔵寿命にわたって細菌および/または真菌を最小限に抑えるために、ゲル化製剤中に存在することができる。本明細書で使用するための非限定的な例としては、ジアゾリジニル尿素、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、EDTA四ナトリウム、およびエチルパラベンが挙げられる。保存料は、メチルパラベンおよびプロピルパラベンなどのパラベンの組合せを含んでもよい。ある特定の実施形態では、保存料は、メルフェンおよびチオメルサル;安定化二酸化塩素;ならびに塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウムおよび塩化セチルピリジニウムなどの第四級アンモニウム化合物、ソルビン酸、パラベン、フェノキシエタノール、カプリリルグリコール、エチルヘキシルグリセリン、ヘキシレングリコールまたはそれらの組合せなどである。特定の実施形態では、保存料は、ソルビン酸、パラベン、フェノキシエタノール、カプリリルグリコール、エチルヘキシルグリセリン、およびヘキシレングリコール、またはそれらの組合せから選択される。保存料が提供され得る濃度範囲の例としては、約0.1%~約10%、または約0.5%~約5%(w/v)が挙げられる。
【0035】
カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体の局所製剤は、1またはそれより多くの「親油性溶媒」を含有することができる。親油性溶媒は、水および/または低級鎖アルコールと混和可能であり、25℃において水(約23.8mmHg)よりも小さい蒸気圧を有することができる。親油性溶媒は、グリコール、具体的には、プロピレングリコールであり得る。特に、プロピレングリコールは、ポリエチレングリコールのクラスからのものであり得、具体的には、分子量が200~20000の範囲のポリエチレングリコールを挙げることができる。親油性溶媒は、グリコールエーテルのクラスからのもの、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル(トランスキュトール、または2-(2-エトキシエトキシ)エタノール{CAS NO 001893}またはエトキシジグリコール(ethyoxydiglycol)))であり得る。
【0036】
一部の実施形態では、局所製剤は、懸濁剤として1またはそれより多くのポリマーを含む懸濁物の形態である。例示的なポリマーとしては、セルロース系ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性ポリマー、および架橋カルボキシル含有ポリマーなどの水に不溶なポリマーが挙げられる。本明細書に記載の特定の製剤は、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/ブチルアクリレートコポリマー、アルギン酸ナトリウムおよびデキストランから選択される粘膜付着性ポリマーを含む。
【0037】
一部の実施形態では、局所製剤は、カンナビノイドおよび/またはN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)若しくは低級アルキル誘導体の可溶性を補助する可溶化剤を含有する。用語「可溶化剤」は、一般に、薬剤のミセル溶液または真の溶液の形成をもたらす薬剤を含む。ある種の許容可能な非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80は、可溶化剤として有用である。例としては、グリコール、ポリグリコール、例えば、ポリエチレングリコール400、およびグリコールエーテルが挙げられる。
【0038】
特定の実施形態では、局所製剤は、追加の活性剤を含む。追加の活性剤は、例えば、鎮痛作用および/または抗炎症作用を有していてもよい。局所製剤に含まれ得る他の追加の活性剤の例としては、リドカイン、ゴロギアン(gorogian)抽出物、Aloe vera葉抽出物、オメガ脂肪酸(例えば、オメガ3オイル)、およびホホバオイルが挙げられる。
【0039】
特定の実施形態では、追加の活性剤は、リドカイン(またはリドカインHCL)である。リドカインは、ニューロンシグナル伝達を遮断する速効性局所麻酔薬である。リドカインの典型的な濃度は、0.1~2%(w/v)である。例えば、局所製剤は、約0.5%または0.6%のリドカイン(w/v)を含んでもよい。
【0040】
特定の実施形態では、追加の活性剤は、ゴルゴニアン(gorgonian)抽出物である。ゴルゴニアン抽出物は市販されており、Pseudopterogorgia elisabethae(一般にシーウィップとして知られている)に由来する。ゴルゴニアン抽出物は、皮膚鎮静作用および抗炎症作用を有する。特定の実施形態において、ゴルゴニアン抽出物は、約0.1%~約1%(w/v)の濃度で存在する。
【0041】
特定の実施形態では、追加の活性剤は、ホホバ油である。ホホバ油は、Simmondsia chinensisの種子から抽出され、その皮膚鎮静作用のために使用される。特定の実施形態において、ホホバ油は、約1%~約5%(w/v)、または約3%(w/v)の濃度で存在する。
【0042】
特定の実施形態において、追加の活性剤は、Aloe vera葉抽出物である。アロエは、一般に湿潤剤として使用されるが、その皮膚鎮静効果のために使用することもできる。特定の実施形態において、Aloe vera葉抽出物は、約0.05%~約5%(w/v)、または約0.01%(w/v)の濃度で存在する。
【0043】
特定の実施形態では、追加の活性剤はオメガ脂肪酸(例えば、オメガ-3油)であり、これは約0.1%~約10%(w/v)、例えば約0.1%~約5%、または約1%~約10%(w/v)の濃度で存在し得る。
【0044】
カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体の局所製剤は、最終溶液の粘度を高めるゲル化剤も含有することができる。ゲル化剤は、乳化剤としても作用することができる。製剤は、透明なゲルおよびソフトゲルを形成することができ、皮膚に適用すると、分解および劣化して、皮膚上で乾燥しないゲルをもたらすことができる。代表的には、ゲル化剤の濃度および組み合わせは、完成品の物理的安定性に依存する。ゲル化剤の好ましい濃度範囲は、製剤の約0.01%~約20%、より好ましくは約0.1%~約10%、より具体的には約0.5%~約5%(w/v)であってもよい。本明細書で使用するための非限定的な例には、セルロース、アクリレートポリマーおよびアクリレートクロスポリマーのクラスが含まれる。好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、Pluronic PF127ポリマー、カルボマー980、カルボマー1342およびカルボマー940、より好ましくはヒドロキシプロピルセルロース、Pluronic PF127 カルボマー 980およびカルボマー1342、より具体的にはヒドロキシプロピルセルロース (Klucel(登録商標) EF、GFおよび/またはHF)、Pluronic PF127、カルボマー 980および/またはカルボマー1342 (Pemulen(登録商標)TR-1、TR-2および/またはCarbopol(登録商標) ETD 2020)。
【0045】
カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体の局所製剤は、1またはそれより多くの抗酸化剤、チオール含有化合物ラジカルスカベンジャー、および/または安定化剤を含むことができ、好ましい濃度範囲は製剤の約0.001%~約0.1%、より好ましくは約0.1%~約5%(w/v)である。本明細書で使用するための非限定的な例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、パルミチン酸アスコルビル、クエン酸、ビタミンE、ビタミンEアセテート、ビタミンE-TPGS、アスコルビン酸、ナトリウムメタビスルファイト、トコフェルソランおよび没食子酸プロピルなどが挙げられる。より具体的には、抗酸化剤は、パルミチン酸アスコルビル、ビタミンEアセテート、ビタミンE-TPGS、ビタミンEまたはブチル化ヒドロキシトルエンであり得る。
【0046】
カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体の局所製剤は、必要に応じて、1またはそれより多くのキレート剤を含むことが可能である。本明細書で使用される場合、用語「キレート剤(chelating agent)」または「キレーター(chelator)」は、金属イオンが化学反応に容易に参加することも化学反応の触媒もできないように、錯体を形成することによって系から金属イオンを除去することができる皮膚に有益な薬剤のことを指す。本明細書で使用するためのキレート剤は、好ましくは、製剤の約0.001%~約10%、より好ましくは約0.05%~約5.0%(w/v)の範囲の濃度で配合される。本明細書で使用するための非限定的な例としては、EDTA、エデト酸二ナトリウム(disodium edeate)、エデト酸二カリウム(dipotassium edeate)、シクロデキストリン、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、グルコン酸およびグルコン酸カリウムが挙げられる。好ましくは、キレート剤は、EDTA、EDTA二ナトリウム、EDTA二カリウム、EDTA三ナトリウム、またはグルコン酸カリウムであり得る。
【0047】
カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体の局所製剤は、任意の美容的に適した形態、好ましくはゲル、ローション、またはクリームとして、しかし軟膏またはオイルベースでも、ならびにスプレーできる液体形態(例えば、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体とを、ローションまたは軟膏が皮膚に適用されたときに有するであろう脂っこい外観を伴わずに美容的に許容できる方法で乾燥するベース、ビヒクルまたは担体に含むスプレー)でも提供可能である。特定の実施形態では、カンナビノイドおよびN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体を含む局所投与製剤は、バーム(例えばリップバーム)、ローション、液体、液体スプレー(例えば鼻用スプレー)、またはゲルとして製剤化することができる。一部の特定の実施形態では、局所投与製剤は、ゲルとして製剤化される。他の特定の実施形態では、局所投与製剤はリップバームとして製剤化され、これは、例えば、口唇ヘルペスに関連する症状を治療または緩和するのに有用であり得る。
【0048】
さらに、局所製剤には、着色料、香料などの一般的に使用される適合性のある皮膚科学的に許容され得る添加物、ならびにカミツレなどの植物性物質(botanical)の任意の組み合わせを含めることができる。
【0049】
特定の実施形態では、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体を含む局所投与製剤は、約4~約7.5のpHを有する。特定の実施形態では、局所製剤は、約4~約4.5、約4.5~約5、約5~約5.5、約5.5~約6、約6~約6.5、または約6.5~約7のpHを有する。好ましくは、局所製剤は、約4.9~約5.1など、約4.5~約6.5の範囲内のpHを有する。
【0050】
一部の実施形態では、局所製剤は、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸および塩酸などの酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびトリス-ヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基;ならびにクエン酸/デキストロース、重炭酸ナトリウムおよび塩化アンモニウムなどの緩衝剤などが挙げられる、1またはそれより多くのpH調整剤または緩衝化剤を含む。このような酸、塩基および緩衝剤は、局所製剤のpHを許容可能な範囲に維持するために必要な量で含まれる。
【0051】
一部の実施形態では、局所製剤は、組成物の重量オスモル濃度を許容可能な範囲にするために必要な量の1つまたは複数の塩を含む。このような塩としては、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムのカチオンおよび塩化物、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩または重亜硫酸塩のアニオンを有するものが挙げられる;適した塩としては塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウムおよび硫酸アンモニウムが挙げられる。
【0052】
一部の実施形態では、局所製剤は、物理的安定性を高めるため、または他の目的のために、1またはそれより多くの界面活性剤を含む。適切な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび植物油、例えばポリオキシエチレン(60)水添ヒマシ油;ならびにポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテル、例えばオクトキシノール10、オクトキシノール40が挙げられる。
【0053】
一部の実施形態では、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体を含む局所製剤は経皮製剤である。具体的な実施形態では、経皮製剤は、経皮送達デバイスおよび経皮送達パッチを採用し、親油性エマルジョンまたは緩衝化、水性溶液、ポリマーもしくは接着剤に溶解および/もしくは分散されたものとすることができる。様々な実施形態において、そのようなパッチは、医薬剤の連続的、拍動的、またはオンデマンド送達のために構築される。追加の実施形態において、カンナビノイドおよびN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体の経皮送達は、イオントフォレーシスパッチ等によって達成される。特定の実施形態では、経皮パッチは、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体の制御された送達を提供する。特定の実施形態において、吸収の速度は、速度制御膜を使用することによって、またはカンナビノイドおよびN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)もしくは低級アルキル誘導体をポリマーマトリクスもしくはゲルの中に捕捉することによって遅くされる。代替の実施形態では、吸収を増加させるために吸収促進剤が使用される。吸収促進剤または担体は、皮膚通過を補助する吸収可能な薬学的に許容され得る溶媒を含む。例えば、一実施形態では、経皮デバイスは、裏打ち部材と、カンナビノイドおよびN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体を、必要に応じて担体とともに含むリザーバと、必要に応じて、カンナビノイドおよびN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体を、長期間にわたって制御された所定の速度で宿主の皮膚に送達する速度制御障壁、および皮膚にデバイスを固定する手段を備える包帯の形態にある。
【0054】
カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体を含む製剤を局所投与する際には、製剤の投与前に、処置すべき哺乳動物の皮膚を、必要に応じて前処理(石鹸と水で皮膚を洗浄したり、またはアルコール系洗浄剤で皮膚を清浄にしたりするなど)することが可能である。
【0055】
特定の実施形態では、局所製剤は、ボディパウダーまたはベビーパウダーのような粉末(power)の形態であってもよい。製剤は、米またはトウモロコシの微粉末、香料、および/または乾燥剤としての酸化亜鉛を含んでもよい。
【0056】
特定の実施形態では、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体を含む製剤が経口投与されてもよい。経口投与される本発明の製剤は、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体を、当業者に公知の標準的な方法によって適切な薬学的に許容できる担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせることによって調製することができる。経口製剤は、液剤、錠剤、散剤、丸剤、ドラジェ、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー、懸濁剤等の形態であってよい。
【0057】
一部の実施形態では、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体を含む製剤は、吸入による投与用に製剤化される。吸入による投与に適した様々な形態としては、エアゾール、ミストまたは粉末が挙げられるが、これらに限定されるものではない。カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体の製剤は、適切なプロペラント(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロルテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガス)の使用により加圧パックまたはネブライザからのエアゾールスプレー提示の形態で便利に送達されてもよい。特定の実施形態では、加圧エアゾールの投与単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定される。特定の実施形態では、吸入器または送気器で使用するための、例示にすぎないが、ゼラチンなどのカプセルおよびカートリッジは、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体と乳糖またはデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物を含んで製剤化されている。特定の実施形態では、吸入可能な製剤は、鼻腔用スプレーの形態である。
【0058】
例示的な局所製剤は、CBDおよびAMPに加えて、以下の成分のうちの1またはそれより多くを含んでもよい:ステアリン酸グリセリル、パルミチン酸イソステアリル、スクアレン、ステアリン酸PEG-100、リコリン酸セチル、ステアリン酸トリデシル、ヘキサカプリル酸/ヘキサカプリン酸ジペンタエリスリチル、セテアレス-20、ステアリン酸、ジアゾリジニル尿素、グリセリン、ジメチルイソソルビド、Aloe vera葉抽出物、グリセレス-7、ソルビン酸。EDTA、メチルパラベン、プロピルパラベン、ホホバ油、ステアリン酸グリコール、ステアレス-21、ステアレス-2、セチルアルコール、PEG-7グリセリルココエート、乳酸セチル、リドカイン、ジメチコン、ポリアクリルアミド、C13-14イソパラフィン、ラウレス-7、オメガ-3油、Gorgonian抽出物、およびヒアルロン酸。
【0059】
本明細書に記載のカンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)または低級アルキル誘導体とを含む製剤は、従来の混合、溶解、乳化、カプセル化、封入または凍結乾燥プロセスによって製造することができる。製剤は、タンパク質を薬学的に使用できる調製物に加工することを容易にする1またはそれより多くの生理学的に許容され得る担体、希釈剤、賦形剤または助剤を用いて、従来の方法で製剤化することができる。適切な製剤は、選択された投与経路に依存する。
【0060】
本明細書に開示される局所製剤は、(a)親水性成分と水を混合して第1混合物を形成し、(b)疎水性成分を混合して第2混合物を形成し、(c)第1混合物と第2混合物を一緒に混合して第3混合物を形成することによって調製され得る。ステップ(a)において、AMPまたはその低級アルキル誘導体は、他の親水性成分と一緒に混合されてもよい。好ましくは、AMPは、他の親水性成分が既に一緒に混合された後に添加される。ステップ(b)において、カンナビノイドは、他の疎水性成分と一緒に混合されてもよい。好ましくは、カンナビノイドは、他の疎水性成分が既に一緒に混合された後に添加される。特定の他の実施形態では、カンナビノイドは、さらなるステップであるステップ(d)において第3混合物に添加されてもよい。必要に応じて、追加の成分(例えば、増粘剤)が、さらなるステップであるステップ(e)において、AMPまたは低級アルキル誘導体とカンナビノイドとの両方を含む混合物に添加されてもよい。
【0061】
特定の実施形態では、親水性成分(例えば、グリセリン、ジメンチルイソソルビド、グリセレス-7、ステアリン酸PEG-100、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、Aloe vera葉抽出物(100X)、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸および/またはポリソルベート20)と水とを組み合わせて混合することにより、局所製剤を調製する。水性混合物を撹拌し、例えば65~80℃、好ましくは70~72℃で加熱してもよい。次いで、適切な濃度(例えば、約0.2%~約2%(w/v)の範囲内)のAPMを水性混合物と混合し、溶解するまで攪拌してもよい。得られた混合物(「第1混合物」)は、同様に、(必要に応じて)再び加熱されてもよい。
【0062】
疎水性成分(例えば、ステアリン酸イソセチル、アルラセル165、パルミチン酸イソセチル、ホホバ油、ステアリン酸トリデシル、トリメリト酸トリデシル、ヘキサカプリル酸/ヘキサカプリン酸ジペンタエリスリチル、PEG-7、セテアリルアルコール、セテアレス-20、リシノール酸セチルおよび/またはステアリン酸)などを組み合わせて、混合してもよい。また、この混合物(「第2混合物」)を攪拌しながら、例えば65~80℃(I.、70~72℃)で加熱し、透明で均一な混合物となるまで適切な温度で保持してもよい。
【0063】
次に、適切な濃度(例えば、0.01~0.5%(w/v))のCBDを第2混合物に混合した後、第1混合物に添加して、カンナビノイドおよびAPMの両方を含む組成物を形成してもよい。あるいは、CBDは、第2混合物が第1混合物と混合された後に添加されてもよい。第1混合物と第2混合物との混合は、好ましくは、例えばプロペラ攪拌機を用いて、しかし渦を形成することなく、急速な攪拌で行われる。
【0064】
カンナビノイドおよびAPMの両方を含む組成物は、温度が60℃に冷えるまで攪拌されるべきである。この温度で、混合を例えばホモミキサーを用いる高せん断混合に切り替えるべきである。次に、増粘剤(例えば、ポリアクリルアミド(および)C13-14イソパラフィン(および)ラウレス-7;1.5%)をゆっくりと添加してもよい。高剪断混合を適切な時間継続し得、そしてゲート型ミキサーに切り替えてもよい。混合は、混合物が25~30℃の温度に冷却されるまで継続してもよい。得られる製剤の外観は、白色で光沢があり粘性があることが好ましく、pHは4.9~5.1の範囲が好ましく、比重は0.97~0.99の範囲が好ましく、水分含有量は50~61%の範囲が好ましい。
【0065】
使用方法
本明細書に提供されるのは、先に記載したとおりのカンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む製剤を使用する方法である。
【0066】
「哺乳動物」には、ヒト、ならびに実験動物や家庭用ペットなどの家畜(例えば、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ)および野生動物などの非家畜動物の両方が含まれる。特定の具体的な実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。特定の具体的な実施形態では、哺乳動物は、イヌまたはネコなどのペットである。
【0067】
上記いずれかの実施形態に係る「被験体」は、哺乳動物である。哺乳動物には、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌおよびウマ)、霊長類(例えば、ヒトおよびサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。好ましくは、被験体はヒトである。特定の実施形態では、被験体は、フェニルケトン尿症を有さない。
【0068】
「処置」、「処置すること」または「改善すること」とは、症状を軽減もしくは除去し、期間を短縮し、または状態、疾患もしくは障害の発症もしくは進行を遅延させるための被験体(例えば、患者)の状態、疾患または障害の医学的管理を指す。
【0069】
「有効量」とは、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体とを含む製剤の、鎮痛作用および抗炎症作用などの所望の生理的変化を与える量を指す。特定の実施形態では、有効量は、治療上有効な量である。所望の生理学的変化は、例えば、疾患の症状の減少、または疾患の症状の重症度の減少であってもよく、または疾患の症状の進行の減少であってもよい。所望の生理学的変化は、皮膚の刺激または関節の不快感などの刺激、不快感、痛み、または炎症の緩和を含んでもよい。特定の実施形態では、所望の生理学的変化は、疾患の治療を伴わない。
【0070】
特定の実施形態では、方法は、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の皮膚状態を処置することを含む。
【0071】
本明細書で使用される皮膚の状態とは、皮膚に影響を及ぼすあらゆる疾患、障害、または傷害を指す。皮膚の状態としては、例えば、慢性皮膚状態、身体の他の部分に影響を及ぼす症状に加えて皮膚科的症状(例えば、クローン病に関連する発疹)、昆虫によって引き起こされる病変(例えば、ハチ刺されまたはアリ刺傷)、薬剤(例えば、抗生物質またはNSAID)に対する反応、またはポイズンアイビーもしくはポイズンオークなどの刺激物への曝露により引き起こされる症状などが挙げられる。
【0072】
特定の実施形態では、皮膚の状態は、炎症に関連する皮膚の状態である。
【0073】
特定の実施形態では、皮膚の状態は、湿疹、アトピー性皮膚炎、非アトピー性皮膚炎、乾癬、皮膚筋炎、強皮症、脂漏性皮膚炎、日光角化症、表皮水疱症、ざ瘡、壊疽性膿皮症、または皮膚新生物を含む。
【0074】
特定の実施形態では、皮膚の状態は、虫刺され、ポイズンアイビー、ポイズンオーク、化学熱傷、または放射線熱傷を含む。
【0075】
特定の実施形態において、皮膚の状態は、湿疹を含む。
【0076】
特定の実施形態において、皮膚の状態は、皮膚炎を含む。皮膚炎とは、皮膚刺激状態の広範なクラスを指す。皮膚炎の種類の例としては、アトピー性皮膚炎、非アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、毛包性湿疹が挙げられる。
【0077】
特定の実施形態では、皮膚炎は、アトピー性皮膚炎を含む。アトピー性皮膚炎は、湿疹としても知られており、これは、しばしば肘の内側、膝の裏側、および/または首の皮膚が赤く、痒みを持って剥がれ落ちる慢性的な状態である。アトピー性皮膚炎の症状としては、紅斑(皮膚が赤くなること)、硬化/丘疹形成、苔癬化、滲出/痂皮形成などが挙げられる。苔癬化とは、厚く、乾燥した、革のような皮膚斑の発生をいう。
【0078】
特定の実施形態では、皮膚炎は、非アトピー性皮膚炎を含む。非アトピー性皮膚炎とは、一般に、湿疹以外の皮膚炎を指す。例えば、非アトピー性皮膚炎は、接触性アレルギー性皮膚炎を含む。
【0079】
特定の実施形態では、皮膚の状態は、日光角化症を含む。日光角化症とは、太陽光の紫外線への慢性的な曝露によって引き起こされる、外皮層上の粗く鱗状の病変によって特徴付けられる状態を指す。日光角化症は、皮膚の不快感、ならびにかゆみおよび灼熱感を含む症状を引き起こすことがある。また、日光角化症は、癌化することもある。
【0080】
特定の実施形態では、皮膚の状態は、口唇ヘルペスを含み、これは、口の周りに発生し得る小さな液体で満たされた病変であり、単純ヘルペスウイルスによって感染する。口唇ヘルペスは、不快感、痛み、および/または刺痛を引き起こすことがある。
【0081】
特定の実施形態では、方法は、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の皮膚の不快感を緩和することを含む。
【0082】
特定の実施形態では、皮膚の不快感は、発疹に関連する1またはそれより多くの症状を含む。特定の実施形態では、皮膚の不快感は、湿疹、アトピー性皮膚炎、非アトピー性皮膚炎、乾癬、皮膚筋炎、強皮症、脂漏性皮膚炎、日光角化症、表皮水疱症、ざ瘡、壊疽性膿皮症、または皮膚新生物のうちの1またはそれより多くの症状と関連する。
【0083】
特定の実施形態では、皮膚の不快感は、虫刺され、ポイズンアイビー、ポイズンオーク、化学熱傷、温熱熱傷(thermal burn)、および/または放射線熱傷に関連する。放射線熱傷は、紫外線熱傷(例えば、日焼け)、赤外線熱傷(例えば、温熱熱傷)、X線熱傷、レーザー誘発性熱傷、宇宙旅行誘発性熱傷、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0084】
特定の実施形態では、皮膚の不快感は、温熱熱傷に関連している。温熱熱傷は、典型的には、高温の表面、高温の液体、蒸気または炎との接触、または高温の表面と直接接触することなく赤外線放射から生じる、過剰な熱によって引き起こされる皮膚損傷である。本明細書に記載の局所製剤は、例えば、温熱熱傷に関連する痛み、腫れ、炎症、および/または赤みを治療するために使用され得る。
【0085】
特定の実施形態では、発疹に関連する症状は、刺激、腫れ、痛み、および/または赤みを含む症状を含んでもよい。
【0086】
実施形態では、方法は、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の痛みを処置することを含む。特定の実施形態では、痛みは、皮膚痛、筋肉痛、または関節痛である。
【0087】
実施形態では、方法は、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の関節炎を処置することを含む。特定の実施形態では、関節炎は、変形性関節症、関節リウマチ、または乾癬性関節炎である。
【0088】
実施形態では、方法は、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の痛みまたは不快感を緩和することを含む。特定の実施形態では、痛みまたは不快感は、筋肉の痛みまたは不快感、または関節の痛みまたは不快感を含む。
【0089】
実施形態では、方法は、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の関節の健康を促進することを含む。特定の実施形態では、関節の健康を促進することは、健康な関節機能を維持または促進することを含む。
【0090】
実施形態では、方法は、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の炎症を軽減することを含む。特定の実施形態では、炎症は、皮膚の炎症、筋肉の炎症、または関節の炎症を含む。
【0091】
実施形態では、方法は、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む組成物の有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における痛みおよび炎症を軽減することを含む。特定の実施形態では、痛みおよび炎症は、皮膚の状態、筋肉痛、または関節炎に関連している。
【0092】
実施形態では、方法は、有効量のカンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を局所的に投与することを含む。
【0093】
実施形態では、方法は、有効量のカンナビノイドおよびN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を経口投与することを含む。
【0094】
他の適切な投与経路としては、静脈内、非経口、経皮、直腸、エアゾール、眼科、肺、経粘膜、膣、耳鼻科、および鼻腔投与が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、例示に過ぎないが、非経口投与には、筋肉内注射、皮下注射、静脈内注射、髄内注射、ならびに髄腔内注射、直接脳室内注射、腹腔内注射、リンパ内注射、および鼻腔内注射が含まれる。
【0095】
特定の実施形態では、カンナビノイドおよびN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体が全身に投与される。特定の実施形態では、カンナビノイドおよびN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体は、全身様式というよりも局所的に投与される。
【0096】
カンナビノイドおよびN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体(単独で、または1もしくはそれより多くの他の追加の治療剤と組み合わせて使用される)の適切な投与量は、疾患または状態の種類、投与経路、被験体の体重、疾患の重症度および進行、本ポリペプチドの投与目的が予防かもしくは治療か、以前もしくは現在の治療的介入、被験体の臨床歴ならびにカンナビノイドおよびN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体に対する応答、ならびに担当医師の判断に依存する。投与を担当する施術者は、組成物中の有効成分(複数可)の濃度および処置される被験体への適切な投与量を決定することができる。様々な時点にわたる単回または複数回の投与、ボーラス投与、およびパルス注入を含むがこれらに限定されない様々な投与スケジュールが、本明細書において企図される。
【0097】
本発明のカンナビノイドおよびN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体は、意図する目的を達成するために有効な量で使用することができる。疾患状態を処置または予防するために使用する場合、カンナビノイドおよびN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)もしくはその低級アルキル誘導体、またはそれらの製剤は、治療上有効な量で投与される。治療上有効な量の決定は、特に本明細書に提供される詳細に照らして、当業者の能力の範囲内である。
【0098】
全身投与の場合、有効量は、最初に細胞培養アッセイなどのin vitroアッセイから推定することができる。次いで、細胞培養で決定されたIC50を含む循環濃度範囲を達成するために、動物モデルで用量を処方することができる。このような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために利用することができる。初期投与量はまた、当該技術分野で周知の技術を使用して、in vivoデータ、例えば、動物モデルから推定することができる。ヒトへの投与は、動物データに基づき、当業者によって容易に最適化され得る。投与量および投与間隔はそれぞれ、治療効果を維持するのに十分なカンナビノイドおよびN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体の血漿レベルを提供するように調整され得る。血漿中のレベルは、例えば、HPLCにより測定することができる。
【0099】
特定の実施形態では、カンナビノイドとN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含む製剤の1日の投与量は、約1μg/kg~約100mg/kgまたはそれより多くのカンナビノイド、および約1μg/kg~約100mg/kgまたはそれより多くのN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体である。状態に応じて、数日またはより長期にわたる反復投与については、疾患症状の所望の抑制(例えば、痛み、発赤、または痒みの消失)が生じるまで処置を持続することができる。一部の実施形態では、製剤の単回用量は、約0.005mg/kg~約10mg/kgの範囲のカンナビノイドと、約0.001~約100mg/kgのN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体とを含む。
【0100】
一部の実施形態では、局所用量は、1回の投与につき10~100mgのCBDを含んでもよい。
【0101】
一部の実施形態では、局所用量は、1回の投与につき10~100mgのN-L-α-アスパルチル-L-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含んでもよい。
【0102】
一部の実施形態では、経口用量は、投与あたり約5μg/kg/体重~約25μg/kg/体重、約25μg/kg/体重~約50μg/kg/体重、約50μg/kg/体重~約250μg/kg/体重、または約250μg/kg/体重~約500μg/kg/体重、およびそこから派生する任意の範囲のカンナビノイドを含んでもよい。
【0103】
一部の実施形態では、経口用量は、1回の投与あたり、約5μg/kg/体重~約25μg/kg/体重、約25μg/kg/体重~約50μg/kg/体重、約50μg/kg/体重~約250μg/kg/体重、または約250μg/kg/体重~約500μg/kg/体重のN-L-α-アスパルチルL-フェニルアラニン1-メチルエステル(APM)またはその低級アルキル誘導体を含んでもよい。
【0104】
このような用量は、断続的に、例えば、1日あたり2~3回、毎週、または3週間ごとに投与することができる。最初の、より高いローディング用量と、それに続く1もしくはそれより多くのより低い用量が投与されてもよい。しかしながら、他の投与レジメンもまた使用され得る。特定の実施形態では、製剤は局所製剤であり、症状が発生している間、製剤は皮膚の患部に1日に少なくとも2回局所的に投与される。
【実施例
【0105】
実施例1
アトピー性皮膚炎処置用局所CBD製剤
アトピー性皮膚炎(AD)は、最も一般的な炎症性皮膚疾患の1つであり、米国では小児の13%、成人の約7%が罹患している。この疾患の経過は慢性的だが断続的であり、活動的な場合には、強いそう痒と発疹は衰弱をもたらし得る。症状の負担は甚大であり得、うつ病、不安および睡眠障害は頻繁にある合併症である(Fishbein et al., J Allergy Clin Immunol Pract. 2019 pii: S2213-2198(19)30635-X)。ADは炎症事象のカスケードによって刺激されることが多いため、コルチコステロイド免疫抑制剤および抗ヒスタミン剤が処方されることが多い。しかし、慢性的に使用する場合、これらの薬剤は重篤な有害事象を引き起こす危険性が高い。そのため、安全かつ有効なADの長期緩和が求められている。
【0106】
本研究の目的は、アトピー性皮膚炎の処置における新規カンナビジオール(CBD)/アスパルテームローションの有効性を探ることである。
【0107】
3つの配合を比較する:500mg/3FL OZのCBD、アスパルテーム(APM)、ホホバ種子油、Aloe barbadensis葉液、グリセリン、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸グリセリル、特定の追加のマイナー成分、および水を含む、配合1;APMを欠いていること(APMを置き換えるために追加の水が加えられる)以外は配合1と同一である配合2;およびCBDとAPMを欠いている(CBDとAPMを置き換えるために追加の水が加えられる)以外は配合1と同一である配合3。
【0108】
被験体は、民族を問わず、18歳から65歳の慢性皮膚掻痒症と診断された男女とする。
【0109】
主要アウトカム尺度は、29日目に医師による全般重症度評価(Investigator’s Static Global Assessment;ISGA)において成功を収めた被験体の割合である。成功は、ISGAスコア0(クリア)または1(ほぼクリア)で、ベースラインから少なくとも2グレード改善したものと定義される。
【0110】
本試験は、二重盲検プラセボ対照試験である。合計90人の被験体が登録される。90人の被験体には、配合のうちの1つが投与される。この試験は3つのアームを有する:
アーム1:配合1を1日に少なくとも2回適用する被験体
アーム2:配合2を1日に少なくとも2回適用する被験体
アーム3:配合3を1日に少なくとも2回適用する被験体
【0111】
試験第I相では、最初のサイト訪問時に登録および安全性評価を含む。まず、被験体候補がサイトを訪問し、治験責任医師(PI)が各被験体候補の除外基準および組み入れ基準についてスクリーニングする。PIは、各被験体候補の病歴を確認し、PIが被験体被験体はこの試験に適格であると判断した場合、PIは被験体にインフォームドコンセントの様式を提示し、被験体はインフォームドコンセントの様式を完成し、署名する。被験体には、それぞれ被験体試験番号が割り当てられる。最初の被験体には 001番が割り当てられ、それ以降の被験体には002、003などの連続した番号が割り当てられる。PIは、各被験体のベースラインISGAスコアを評価および記録し、割り当てられた介入を、アトピー性皮膚炎が発生している被験体の皮膚領域に適用する。各被験体に、(アームの割り当てに基づく)割り当てられた介入の50mLチューブ(2週間分の供給)を提供する。
【0112】
試験第II相は、自宅での毎日の処置を含む。29日間、各被験体は、PIから供給された介入を必要に応じて何度でも(1日に少なくとも2回)適用する。
【0113】
試験第III相は、15日目(すなわち、ベースライン訪問から15日間)にサイト訪問を含む。サイト訪問の間に、PIは各被験体のISGAスコアを評価および記録し、各被験体に(アームの割り当てに基づく)割り当てられた介入の2本目の50mLチューブ(2週間分の供給)を提供する。
【0114】
試験第IV相は、19日目(すなわち、ベースラインの訪問から29日間)に最終のサイト訪問を含む(will in clue)。最終サイト訪問の間に、PIは各被験体のISGAスコアを評価し記録する。
【0115】
被験体は、3つのアームのうち1つに無作為に割り付けられ、それぞれ以下の介入治療を受けることになる:アーム1-配合1;アーム2-配合2;またはアーム3-配合3。
【0116】
試験期間は29日間(±3日間)である。追跡処置は行わない。
【0117】
以下の組み入れ基準を使用する:HanifinおよびRajkaの基準によるADの臨床診断;5%以上処置可能なBSA%(頭皮を除く)のADの関与を含む;ベースライン/1日目のISGAスコアが軽度(2)または中程度(3)である;その他の点では健康な被験体;18~65歳の男性または女性;およびインフォームドコンセントを与えることが可能である。
【0118】
以下の除外基準を用いる:PIにより決定した場合に、試験目的を妨げる可能性のある病歴;不安定なADまたは高効力局所コルチコステロイドの任意の一貫した必要性;生物学的療法(静脈内免疫グロブリンを含む)の使用歴;ADの経過を変える可能性のある全身または局所療法の最近または予想される併用使用;最近または現在の、他の研究試験への参加;母乳での授乳中、妊娠中、または試験参加中での妊娠を計画している女性;および被験体が同意を提供できないかまたは割り当てられた臨床訪問を行うことができない。
【0119】
試験期間中、被験体は自宅で介入処置、すなわちアーム1、2または3を適用する。
【0120】
医師による全般重症度評価(ISGA)スコア(表1参照)は、所定の時点における病変の全体的な外観を最もよく表す以下の記述子を用いて選択される。形態学的記述の下にある全ての特性が存在する必要はない。
【0121】
【表1】
【0122】
各訪問時に、各被験体の痒みの領域の全体写真を、約30cmの距離から12MP iPhone(登録商標)7(またはそれより上)のカメラを使用して撮影する。
【0123】
ISGAスコアは、PIによって評価される。これは、ベースライン時の第I相のサイト訪問時、ならびに15日目および29日目のサイト訪問時に行われる。
【0124】
統計解析を行い、配合1が配合2または配合3よりも統計的に有意に高い有効性を有するかどうかを決定する。
【0125】
一次帰無仮説(Primary Null Hypothesis)H:配合1による29日間の処置後にISGAスコアに基づいて成功を収める被験体の割合は、プラセボローション(配合3)またはアスパルテームを欠くローション(配合2)による29日間の処置後にISGAスコアに基づいて成功を収める被験体の割合と同じである。
【0126】
一次対立仮説(Primary Alternative Hypothesis)H:配合1による29日間の処置後にISGAスコアに基づいて成功を収める被験体の割合は、配合3(すなわち、プラセボローション)または配合2(アスパルテームを含まない)による29日間の処置後にISGAスコアに基づいて成功を収める被験体の割合より大きい。
【0127】
配合1対配合3について数学的に書くと次のようになる:
:p配合1-p配合3=0
:p配合1-p配合3>0
【0128】
統計解析:割合のカイ二乗検定および処置を因子とするロジスティック回帰を含む予定。
【0129】
本試験では、アトピー性皮膚炎の処置において、配合2および3と比較して、配合1がより高い有効性を示すことが期待される。
【0130】
上述した様々な実施形態を組み合わせてさらなる実施形態を提供することができる。2019年8月9日に出願された米国特許出願第62/884,955号および2020年3月4日に出願された米国特許出願第62/985,235号を含め、本明細書で言及されおよび/または出願データシートに記載の米国特許、米国特許出願公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物は全て、参照によりその全体が本明細書に援用される。実施形態の局面は、必要に応じて、様々な特許、出願、および刊行物の概念を採用して、なおさらなる実施形態を提供するために改変され得る。
【0131】
これらの変更およびその他の変更は、上記の詳細な説明に照らして、実施形態に行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を明細書および特許請求の範囲に開示された特定の実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲とともに、すべての可能な実施形態を含むように解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。
【国際調査報告】