(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(54)【発明の名称】非侵襲的な脈動循環支持装置
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
A61H7/00 322A
A61H7/00 320Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573766
(86)(22)【出願日】2019-06-11
(85)【翻訳文提出日】2021-12-10
(86)【国際出願番号】 FR2019051401
(87)【国際公開番号】W WO2020249875
(87)【国際公開日】2020-12-17
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521542890
【氏名又は名称】カーディオ イノヴェイティブ システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ル ブレ,ルナン
(72)【発明者】
【氏名】ディキシミエ,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】シャスタニエ,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】バイリアール,オリヴィエ
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD03
4C100BB05
4C100BC12
4C100CA20
4C100DA02
4C100DA05
4C100DA09
4C100DA10
(57)【要約】
対象者の身体の少なくとも一部(Z)における血液量の循環を促進することを意図した非侵襲的な脈動循環支持装置(1)であって、
- 対象者の身体の少なくとも一部に適用されるように構成された可撓性の構造体(100)であり、互いに沿って延びる一連の対になった隣接するパウチ(100)を含む可撓性の構造体(100)と、
- 漏れのない様式で可撓性の構造体に流体接続され、内層と外層との間の一連のパウチにおいて脈動波を発生させるように構成された、生理学的に同期された脈動を生成するための手段(200)と、
を含み、対になった隣接するパウチのうち1つが、少なくとも部分的に、対になった隣接するパウチのうちもう一方を覆う(スケール調整された構造である)、装置(1)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の身体の少なくとも一部における血液量の循環を促進することを意図した非侵襲的な脈動循環支持装置であって、
- 前記対象者の身体の少なくとも一部に適用されるように構成された可撓性の構造体であり、
i 互いに沿って延びる第1の一連の対になった隣接するパウチを含む分配層であり、前記対になった隣接するパウチのうち1つが、少なくとも部分的に、前記対になった隣接するパウチのうちもう一方を覆う、分配層、
ii 前記分配層を覆う生成層であり、互いに沿って延びる第2の一連の対になった隣接するパウチを含む生成層、
を含む可撓性の構造体と、
- 漏れのない様式で前記可撓性の構造体に流体接続され、内層と外層との間の前記生成層の前記第2の一連のパウチにおいて脈動波を発生させるように構成された、脈動を生成するための手段と、
を含み、前記生成層の前記第2の一連のパウチは、互いに沿って延びる一連の対になった隣接する可膨張性のパッドを含み、前記分配層の前記第1の一連の対になったパウチは、非圧縮性流体で満たされたパウチを含み、前記生成するための手段により前記生成層内で発生する前記脈動波の伝搬を可能にすることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記第2の一連のパウチのパウチは、スケール調整された構造で取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の一連のパウチの前記パウチの各々は、患者の身体の側面に弾性で可撓性の内層と、より剛性の外層とを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記可膨張性のパッドの各々は、脈動を生成するための手段と流体接続された脈動流体吸入ダクトを含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記可撓性の構造体は、非伸縮性で可撓性の外層を含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
対象者の顔の少なくとも一部に配置されるように構成されたマスクを含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
パンツを含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
ジャケットを含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
手袋を含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
ブーツ又はストッキングを含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
対象者の身体のいくつかの部分を覆う非侵襲的な脈動循環支持アセンブリであって、前記対象者の身体の部分の各々に対して、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの装置を含むことを特徴とする、非侵襲的な脈動循環支持アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非侵襲的な脈動循環支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
循環器系は、内皮細胞によって内部に沿って並んだ加圧閉鎖流体回路を形成する。この内皮は、一酸化窒素合成による血管緊張、血液凝固、炎症反応、アテローム性動脈硬化症の制御、免疫系、血管新生、及びアポトーシス等、その生理学的機能を維持するために不可欠な接線方向のせん断力を連続的且つ脈動様式で受ける。
【0003】
この内皮機能のいかなる病理学的障害も、時に劇的な結果に至る循環器系機能障害を誘発する。
【0004】
心臓サポートシステムが存在し、これは、外科的処置中に心臓の活動を部分的又は完全に置き換えるため、又は心臓が停止したか若しくは弱すぎる場合にこの活動を回復させるために使用される。これらのサポートシステムは、ほとんどの場合、侵襲的なシステムであり、対象者の体内にツールを導入し、その後、このツールを使用して脈動を発生させること、又は対象者から血液を採取し、体外の巨大な機械において採取された血液を治療し、その後、対象者の体内に血液を注入することを必要とする。いずれの場合でも、現在のシステムは、専門家の介入を必要とするため、実施するのにコストがかかり、複雑である。
【0005】
非侵襲的なシステムは、特許文献1及び特許文献2に記載されている。これらの文献は、対象者の身体の少なくとも一部における血液量の循環を促進するように、1つ又は複数のパウチのレベルにおいて脈動波を生成するのに適したコンソールに接続された1つ以上のパウチで構成されている構造体を含む非侵襲的な循環支持装置を記載している。
【0006】
単一のパウチを含む装置の場合、欠点は、脈動波の分配を正確に制御することができないということ、又は、治療されることになる対象者の身体の一部におけるパウチの圧力ゾーンに従ってそれを変調することができないということである。
【0007】
いくつかのパウチを含む装置の場合、パウチは対になって隣接して置かれ、これは、単一のパウチの以前の欠点を部分的に解決するのを可能にしている。しかし、2つの隣接するパウチ間の接合部のレベルで、生成される脈動波の伝搬において連続性は失われる。さらに、この接合部は、装置の動作中に、対象者に有害なターニケットによる影響を誘発する。
【0008】
さらなる非侵襲的なECP(External Counter Pulsation:体外式カウンターパルセーション)システムは、血液逆流を誘発する体外式カウンターパルセーションを生成する。既知の様式において、これらのシステムは、身体の下部においてターニケットとして作用し、これは、生命維持に必要な器官(心臓を含む)に向けて血液を上流に導く。言い換えると、ECPは、少なくとも約130mmHgの背圧で、ターニケットによる影響のために血液循環を中断する。一部のECPシステムにおいて、ターニケットによる影響は連続的になり、次に、心拍数と同期し、ターニケットによる影響は、次に、拡張期の間に誘発される。この例では、流体力学タイプによる影響が生じ、すなわち:冠動脈潅流を増加させる大動脈逆行性の圧力波が発生し;静脈還流量を有意に増加させることなく、ターニケットによる影響が発生し、従って、右心室前負荷及び心拍出量には無効である。この技術は、身体の下部に加えられる約200から300mmHgの圧力を必要とし、これは、対象者の生理学的収縮期圧よりもかなり大きい。連続的なターニケットによる影響を伴うこの圧力は、血管圧迫を誘発し、事実上、血管に対する機械的圧力による影響をトリガする。この方法では、内皮細胞及び血管における悪影響が、残念ながら生じる。
【0009】
一般的に静脈リンパ排出法から成るプレソセラピー装置及び方法も知られている。通常、プレソセラピー法による静脈リンパ排出は、生理学的圧力勾配装置を使用し、空気圧縮機によって可膨張性のブーツを活性化させる(圧力は、徐々に上昇し、40から80ミリバールに及ぶ)。このマッサージの目的は、リンパ循環を活性化し、免疫防御系を刺激し、さらに、深いリラクゼーションを誘発することである。このように、重い脚及びセルライトの現象は徐々に減少する。しかし、プレソセラピーは、いかなる心臓リズムの外側であっても、長期間にわたって血管を圧迫し、これは、血液循環を妨害するという欠点を有する。さらに、リンパ循環を活性化するように、プレソセラピーはかなりのリンパ系の圧迫を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2010/070018号
【特許文献2】国際公開第2014/080016号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、均一で、連続的且つ規則的な脈動波伝搬を可能にし、対象者の身体の一部における装置の圧力ゾーンに従って脈動波の正確な制御及び/又は変調を可能にする非侵襲的な脈動循環支持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明は、対象者の身体の少なくとも一部における血液量の循環を促進することを意図した非侵襲的な脈動循環支持装置に関し、当該装置は、対象者の身体の少なくとも一部に適用されるように構成された可撓性の構造体であり、互いに沿って延びる一連の対になった隣接するパウチを含む可撓性の構造体と、漏れのない様式で可撓性の構造体に流体接続され、内層と外層との間の一連のパウチにおいて脈動波を発生させるように構成された、脈動を生成するための手段とを含み、対になった隣接するパウチのうち1つが、少なくとも部分的に、対になった隣接するパウチのうちもう一方を覆う。
【0013】
有利ではあるが、任意的に、本発明による装置は、以下の技術的特徴のうち少なくとも1つを有する:
- 一連のパウチのパウチは、スケール調整された構造で取り付けられる;
- パウチの各々は、患者の身体の側面に弾性で可撓性の内層と、より剛性の外層とを含む;
- パウチの各々は、脈動を生成するための手段と流体接続された脈動流体吸入ダクトを含む;
- 可撓性の構造体は、多層ケーシングであり、一連の対になった隣接するパウチは、分配層を形成する;
- 多層ケーシングは、分配層を覆う生成層を含み、脈動を生成するための手段に流体接続される;
- 生成層は、互いに沿って延びる一連の対になった隣接する可膨張性のパッドを含む;
- 可膨張性のパッドの各々は、脈動を生成するための手段と流体接続された脈動流体吸入ダクトを含む;
- 多層ケーシングは、非伸縮性で可撓性の外層を含む;
- 当該装置は、対象者の顔の少なくとも一部に配置されるように構成されたマスクを含む;
- 当該装置はパンツを含む;
- 当該装置はジャケットを含む;
- 当該装置は手袋を含む;及び、
- 当該装置はブーツ又はストッキングを含む。
【0014】
本発明はまた、対象者の身体のいくつかの部分を覆う非侵襲的な脈動循環支持アセンブリに関し、当該アセンブリは、対象者の身体の部分の各々に対して、上記の技術的特徴のうち少なくとも1つを有する少なくとも1つの装置を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明のさらなる特徴及び利点が、以下の本発明の一実施形態の説明を読むことによって明らかになる。
【
図1】本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置の概略図である。
【
図2】
図1の装置において使用されるパウチを形成する多層構造体の一例の概略図である。
【
図5】本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置の第2の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
より明確にするために、同一又は類似の要素は、全ての図において同一の参照符号によって特定される。
【0017】
図1を参照して、本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置1が記載される。本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置1は、使用中に、対象者の身体の一部Zにおける血液量の循環を、対象者の心臓Yに向かう方向Xにおいて促進するように、対象者の身体の一部Zに置かれることを意図している。
【0018】
対象者の身体の一部Zは、単に例示として本明細書において使用される回転する円筒形チューブ部分によって、本明細書において概略的に表されている。特に、一部Zは、対象者の上肢又は下肢であってもよく、又は実際には、後者の胴体又は頭部であってもよい。本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置1の構造は、後者が、そのような本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置1を装備することになる対象者の身体の一部Zの全ての形状及び幾何学的形状に適合するのを可能にする。
【0019】
本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置1は、本明細書において、一連の対になった隣接するパウチ100を含む。
図1において例示されている一連のパウチ100は、対象者の身体の一部Zに沿って均一に分配された6つのパウチ100を含む。パウチ100の数は、関心のある対象者の身体の一部Zに従って変わり、それは、1から6の間であってもよく、又は実際には、6を超えてもよい。パウチ100の各々は、本明細書において、対象者の身体の一部Zを取り囲む。パウチ100の各々は、脈動を生成するための脈動コンソール200形成手段にパウチ100を流体接続するのに適した吸入ダクト114を含む。本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置1の同じ脈動コンソール200が、一連のパウチ100のうち全てのパウチ100を制御し、異なるパウチ100は互いに独立している。脈動コンソールを形成する脈動を生成するための手段200は、さらなる情報のために参照することができる特許文献1に記載されている異なる構造を有してもよい。従って、これらについては、本明細書においてさらに記載されない。
【0020】
従って、パウチ100は、その吸入ダクト114を介して可膨張性である。このため、よりシンプルな実施形態において、弾性的に変形可能な壁を有する。
図2を参照して、パウチ100のさらなる実施形態が続いて記載される。
【0021】
対象者の身体の一部Zでは、一連のパウチ100の対になった隣接するパウチ100が、対になった隣接するパウチのうち1つが、少なくとも部分的に、対になった隣接するパウチのうちもう1つを覆うように取り付けられる。この部分的な重なりは、脈動コンソール200によって生成される脈動波の伝搬において連続性を得るのを可能にする。特に、そのように具体化された本発明の非侵襲的な脈動循環支持装置1は、(熱傷、創傷、腫脹等の存在等)必要に応じて、対象者の身体の一部Zの特定のゾーンに差別化された圧力を加える、必要に応じて加えない可能性を保持しつつ、動作中に、波状の(Xの方向に沿った)、中断なく、全体的に、規則的且つ均一な求心性のマッサージ作用を可能にする。好ましくは、脈動コンソール200は、それによって生成された脈動波を、それによって対象者に置かれたセンサから受信した生理学的信号115と同期させるように構成される。生理学的信号は、例えば、心臓リズムに由来し、特に、この心臓リズムの拡張期に対応する。さらに、対象者の血圧に関するデータは、コンソール200によって生成される圧力を当該対象者に適応させるように、並行して観察されてもよい。心不整脈の場合、生理学的信号は、対象者の呼吸サイクルに由来してもよい。
【0022】
特定の構成において、パウチ100は、
図1において例示されているように、スケール調整された構造で取り付けられる。対になった隣接するパウチが、本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置1を形成する一連のパウチ100における対になった隣接するパウチのうちもう1つを少なくとも部分的に覆う限り、パウチ100のさらなる構成が、本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置1に対して構想されてもよい。
【0023】
図2は、本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置1において使用されるパウチ100の各々を形成する多層構造体の一実施形態の概略図である。
【0024】
図1において表されているパウチ100の各々を形成する多層構造体は:
- 例えば、ネオプレン、ポリウレタン、ラテックス等の弾性材料で作られた内層102、
- 圧縮波の伝搬を身体の内側に向かって導く剛性又は非伸縮性の可撓性材料から成る外壁をその平面内に有することができる可膨張性のパッドで形成された外層104、及び
- ゲル、マイクロビーズ、又はその両方の組み合わせであってもよい流体を有する中間層106であって、上記の構造体が適用される部分において静脈及びリンパ排出の自然な生理学的方向に沿って心臓に向かう進行性の脈動圧力波の伝搬を可能にし、以下、本明細書において、静脈及びリンパ排出の自然な生理学的方向は、
図1及び2において表されている方向Xである、中間層106、
を含む。
【0025】
パウチ100の各々を形成する多層構造体は、さらに、生体適合性材料で作られた空洞110を含み且つ対象者の身体と接触するように意図された微孔質の壁を含むさらなる層108を含む。空洞110は、コネクタ112を介して、生体適合性及び/又は生物学的流体物質で満たされてもよい。微孔質の壁は、対象者の身体の皮膚に直接接触する。脈動の間、この層108の空間110に含有された物質は、微孔質の部分を通過することによって対象者の身体に適用される。
【0026】
外層104は、吸入ダクト114により、本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置1のパウチ100において脈動波を発生させるための脈動手段200と漏れのない様式で流体接続される。
【0027】
パウチ100が適用される身体の一部に沿った脈動の伝搬を実行するために、中間層106は、可変の一貫性の、ゼラチン質、顆粒状、又は他の物質を含み、パウチ100の各々をX方向において形成する上記の多層構造体に沿って徐々に脈動の各々を分配させる。
【0028】
図5を参照して、次に、本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置10の第2の実施形態が記載される。
【0029】
本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置10は、本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置10を装着すると対象者の身体の一部Zを取り囲む多層ケーシング15を含む。ケーシング15は:
- 例えば、ネオプレン、ポリウレタン、ラテックス等の弾性材料で形成される内層12;
- 本明細書において、一連の対になった隣接するパウチ130を含む、分配層13;
- 本明細書において、一連の対になった隣接する可膨張性のパッド140を含む生成層14;及び
- その平面において非伸縮性の可撓性材料で作られたか又は剛性材料で作られた外層11;
を含む。
【0030】
内層12は、本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置10の使用中に、対象者の身体の一部Zに接触するように意図され、変形及び伸縮に適したフィルムの一般的な形で提供される。代替の実施形態によると、内層12は微孔質であり、生体適合性及び/又は生物学的流体物質を含浸させることができる。脈動の間、内層12のミクロポアに含浸する物質が、対象者の身体に適用される。
【0031】
分配層13を形成し、
図5において例示されている一連のパウチ130は、本明細書において、対象者の身体の一部Zに沿って均一に分配された6つのパウチ130を含む。パウチ130の各々は、本明細書において、対象者の身体の一部Zを取り囲み、内層12によって上記の対象者の身体の一部Zから分離され、従って、内層12は、パウチ130の各々と対象者の身体の一部Zとの間のインターフェースとして機能し、異なるパウチ130は、互いに独立している。パウチ130は、弾性的に変形可能な壁を有し、非圧縮性流体で満たされ、本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置10が適用される一部Zにおいて、静脈及びリンパ排出の自然な生理学的方向に沿って心臓に向かう進行性の脈動圧力波の伝搬を可能にしている。例えば、この非圧縮性流体は、ゼラチン質、顆粒状、又は他の流体である。
図1において例示されている上記の第1の実施形態に対して、一連のパウチ130の対になった隣接するパウチ130は、対になった隣接するパウチの一方が、少なくとも部分的に、対になった隣接するパウチのもう一方を覆うように取り付けられている。この部分的な重なりは、(熱傷、創傷、腫脹等の存在等)必要に応じて、対象者の身体の一部Zの特定のゾーンに差別化された圧力を加える、必要に応じて加えない可能性を保持しつつ、脈動コンソール200によって生成された脈動波の伝搬における連続性を得ることを可能にしている。
【0032】
生成層14を形成し、
図5において例示されている一連のパッド140は、本明細書において、対象者の身体の一部Zに沿って均一に分配された6つのパッド140を含む。パッド140の各々は、本明細書において、分配層13を取り囲むため、分配層13は、内層12と当該生成層14との間に挟まれる。このように、生成層14は分配層13を覆っている。さらに、パッド140の各々は、脈動を生成するための脈動コンソール200形成手段にパッド140を流体接続するのに適した吸入ダクト114を含む。本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置10の同じ脈動コンソール200が、一連のパッド140のパッド140のうち全てを制御し、個々のパッド140は互いに独立している。従って、パッド140は、その吸入ダクト114を介して可膨張性である。このため、パッド140は、弾性変形可能な壁を有している。パッド140において使用される流体は空気であり、いかなる他の流体も代替的に使用可能である。従って、そのように具体化された本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置10は、(熱傷、創傷、腫脹等の存在等)必要に応じて、対象者の身体の一部Zの特定のゾーンに差別化された圧力を加える、必要に応じて加えない可能性を保持しつつ、動作中に、波状の(Xの方向に沿った)、中断なく、全体的に、規則的且つ均一な求心性のマッサージ作用を可能にする。次に、内層12によって、圧力が生成層14から対象者の身体の一部Zに向かって伝達される。
【0033】
外層11は、内層12のように、可撓性フィルムの形で提供される。外層11は、その平面において非伸縮性であるため、生成層14におけるコンソール200によって生成された一連の可膨張性のパッド140の変形は、分配層13を介して対象者の身体の一部Zに加えられることになる圧力波を生成するように、本質的に対象者の身体の一部Zの方向においてのみ実行され得る。しかし、外層11は、対象者の身体の一部Zの周囲における本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置10の装着を可能にするのに十分なほど可撓性である。
【0034】
代替の実施形態では、本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置10は、多層ケーシング15の内側、特に内層12近くの温度を調節するための手段を含む。
【0035】
次に、本発明による異なる脈動要素が記載される。
【0036】
図3は、本発明による脈動マスク500の概略図である。脈動マスク500は、
図1、2、及び5を参照して記載される本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置1で具体化された顔面部分502で構成される。
【0037】
顔面部分502は、眼窩、口、鼻、及び耳のレベルにおいて開口部506を有してもよい。吸入ダクト114のセットは、顔面部分502のパウチ100のセットに脈動コンソール200を接続する。パウチ100のセットを介して生成及び制御される脈動の各々は、フェイシャルマッサージを行うように、顔面部分502において徐々に伝搬される。矢印510によって伝達される水平軸は、空洞性回路(cavernous circuit)に向かう脈動波の経路を表している。
【0038】
マスク500は、顔面及び頸部の静脈リンパのうっ血(venolymphatic stasis)を治療するための非侵襲的な脈動循環支持体として機能し、顔面及び部分的に頭皮に適用され装着される。顔面部分502は、リズミカルで規則的な同期で、対象の心肺リズムと調和して作動することができる。
【0039】
マスク500は、以下の機能:
- 一次:拡張期に同期したせん断力が加わることによる内皮機能不全の副作用の回復及び修復、リンパ及び静脈のうっ血の軽減;
- 二次:血液循環の血行動態改善;
- 皮膚循環の改善、アンチエイジング製品又はスキンケア製品等、既存の化粧品の取り込みと浸透の促進;
をさらに有する。
【0040】
マスク502のパウチ100の内層は、対象者の顔及び頸部の形状に適応した生物学的又は生体適合性材料のマスク上にモデル化されてもよい。内部表面は微孔質であってもよく、効能に従って、使用される製品又は流体の温度変化を伴い又は伴わず、美容的性質の流体の皮膚への拡散を可能にする。
【0041】
図4は、本発明による脈動パンツ600の概略図である。
【0042】
脈動パンツ600は、脚部分602、ウエストバンド部分604、及び、任意的にブーツ部分606で構成される。上述の部分の各々は、本発明による非侵襲的な脈動循環支持装置1を形成する。本発明のこのバージョンにおいて、パンツ600は、微孔質層を有さない。
【0043】
脈動波は、脈動コンソール200に異なるパウチ100を流体接続する吸入ダクト114のセットを介して、上記の脈動コンソール200からブーツ部分606のレベルにおいて始まる。次に、脈動の各々は、矢印608によって伝達される軸に沿って心臓に向かって伝搬される。
【0044】
このシステムは、脈動マスク500に対して上述した機能の他に、修復的使用及び予防的使用の両方を有する:
血管新生を促進することによるせん断力による内皮機能不全の修復;及び
内皮機能不全の予防。
【0045】
特定のバージョンにおいて、脈動パンツ600は、個人の衣服を介して皮膚に接触する第1の層を含んでもよい。
【0046】
腰椎下部をマッサージするために、ウエストバンド604の後部の修正を構想することができる。
【0047】
異なる部分(ズボン、ウエストバンド、脚)間の伝達は、拡張期と協調及び同期する。
【0048】
同様に、本発明による1つ以上の非侵襲的な脈動循環支持装置1を使用して形成される脈動スリーブ、脈動ジャケット、脈動アンダーウェア、脈動ブーツ、脈動手袋、並びに完全な脈動スーツを構想することができる。
【0049】
完全な脈動スーツを、マスク、ジャケット、脈動パンツ、脈動手袋、及び脈動靴を組み立てることによって得ることもできる。この場合、第1の実施形態によると、各脈動アセンブリは、専用の脈動手段200と関連付けられてもよい。第2の実施形態によると、単一の脈動手段200が、脈動スーツを形成する脈動アセンブリ全てに使用されてもよい。
【0050】
脈動パルスの伝搬は、脈動ブーツ又は脈動手袋等、いくつかの遠位の供給源に基づき同期される。
【0051】
各脈動アセンブリは、対象者のニーズに従って、別々に使用されてもよい。
【0052】
本発明による各脈動装置は、停滞した静脈リンパ容量の徐々の減少を可能にする非侵襲的な循環支持装置である。静脈リンパ還流の増加を介して右心前負荷を増加させることによって、本発明による装置は心機能を改善する。並行して、内皮刺激効果を介して及び血管拡張効果を介して、本発明による装置は、その使用により、全体的な血行動態改善を誘発する。長期的には、本発明の脈動装置によって生成されるせん断力は、内皮機能を回復させ保つ。罹患率及び死亡率を低下させることができるこのより生理学的な方法は、小児及び成人の両方だけでなく、動物の対象にも適用可能である。生成されるせん断力に加えて、本発明による脈動装置は、対象者の身体の一部Zに排出効果をもたらし、これは、血液微小循環を改善し、従って、静脈内皮刺激をさらに改善する。
【0053】
明らかに、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明に多くの修正を加えることができる。
【国際調査報告】