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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(54)【発明の名称】免疫療法のための融合ポリペプチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20221006BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20221006BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20221006BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20221006BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20221006BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20221006BHJP
   C07K 16/30 20060101ALI20221006BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20221006BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20221006BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221006BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20221006BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20221006BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221006BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20221006BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 11/08 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20221006BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K19/00 ZNA
C07K14/705
C12N15/12
C12N15/13
C07K14/725
C07K16/30
C07K16/28
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N5/0783
A61K35/17 Z
A61P35/00
A61P35/02
A61K47/68
A61K39/395 N
A61P37/06
A61P31/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P3/10
A61P37/02
A61P1/04
A61P17/06
A61P5/14
A61P25/00
A61P11/08
A61P9/00
A61P13/12
A61P7/06
A61P7/00
A61P1/18
A61P21/04
A61P11/00
A61P25/02
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K39/395 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503794
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 US2020042753
(87)【国際公開番号】W WO2021016174
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】62/876,338
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500213834
【氏名又は名称】メモリアル スローン ケタリング キャンサー センター
(71)【出願人】
【識別番号】399026731
【氏名又は名称】スローン - ケタリング・インスティテュート・フォー・キャンサー・リサーチ
(71)【出願人】
【識別番号】522023761
【氏名又は名称】メモリアル ホスピタル フォー キャンサー アンド アライド ディジージズ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】サデライン, ミチェル
(72)【発明者】
【氏名】ドブリン, アントン
(72)【発明者】
【氏名】ハミエ, モハマド
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC27
4C076EE59
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZA021
4C084ZA201
4C084ZA361
4C084ZA511
4C084ZA551
4C084ZA591
4C084ZA661
4C084ZA751
4C084ZA811
4C084ZA891
4C084ZA961
4C084ZB071
4C084ZB081
4C084ZB082
4C084ZB151
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB311
4C084ZC061
4C084ZC351
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
4C087BB65
4C087NA14
4C087ZA02
4C087ZA20
4C087ZA36
4C087ZA51
4C087ZA55
4C087ZA59
4C087ZA66
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZA89
4C087ZA96
4C087ZB07
4C087ZB08
4C087ZB15
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZB31
4C087ZC06
4C087ZC35
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA42
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本開示の主題は、腫瘍および病原体抗原に対する免疫応答を増強するための方法および組成物を提供する。本開示の主題は、細胞(例えば、抗原認識受容体を含む免疫応答細胞)において発現させて細胞の活性および/または効率を改善することができる融合ポリペプチドに関する。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン、ならびに共刺激分子の細胞内ドメインを含む。本開示の主題は、免疫療法のための活性および有効性を改善することができる融合ポリペプチドを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン、ならびに
b)第1の共刺激分子の細胞内ドメイン
を含む融合ポリペプチド。
【請求項2】
前記共刺激リガンドが、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーメンバー、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーメンバー、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の融合ポリペプチド。
【請求項3】
前記TNFファミリーメンバーが、4-1BBL、OX40L、CD70、GITRL、CD40L、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項4】
前記Igスーパーファミリーメンバーが、CD80、CD86、ICOSLG、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項5】
前記共刺激リガンドがCD80である、請求項1、2、および4のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項6】
CD80の前記細胞外ドメインが、配列番号1に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%相同または同一であるアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の融合ポリペプチド。
【請求項7】
CD80の前記細胞外ドメインが、配列番号1に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる、請求項5または6に記載の融合ポリペプチド。
【請求項8】
CD80の前記膜貫通ドメインが、配列番号2に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%相同または同一であるアミノ酸配列を含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項9】
CD80の前記膜貫通ドメインが、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその断片を含むかまたはそれからなる、請求項5~8のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項10】
前記第1の共刺激分子が、CD28、4-1BB、OX40、ICOS、DAP-10、CD27、CD40、NKG2D、CD2、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項11】
前記第1の共刺激分子が4-1BBである、請求項1~10のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項12】
4-1BBの前記細胞内ドメインが、配列番号3に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%相同または同一であるアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の融合ポリペプチド。
【請求項13】
4-1BBの前記細胞内ドメインが、配列番号3に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる、請求項11または12に記載の融合ポリペプチド。
【請求項14】
前記共刺激リガンドがCD80であり、前記第1の共刺激分子が、CD28、4-1BB、OX40、ICOS、DAP-10、CD27、CD40、NKG2D、CD2、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1、2、および4~13のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項15】
前記共刺激リガンドがCD80であり、前記第1の共刺激分子が4-1BBである、請求項14に記載の融合ポリペプチド。
【請求項16】
配列番号4に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%相同または同一であるアミノ酸配列を含む、請求項15に記載の融合ポリペプチド。
【請求項17】
配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項15または16に記載の融合ポリペプチド。
【請求項18】
第2の共刺激分子の細胞内ドメインをさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項19】
前記第2の共刺激分子が、CD28、4-1BB、OX40、ICOS、DAP-10、CD27、CD40、NKG2D、CD2、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項18に記載の融合ポリペプチド。
【請求項20】
前記第2の共刺激分子がCD28である、請求項18または19に記載の融合ポリペプチド。
【請求項21】
CD28の前記細胞内ドメインが、配列番号5に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%相同または同一であるアミノ酸配列を含む、請求項20に記載の融合ポリペプチド。
【請求項22】
CD28の前記細胞内ドメインが、配列番号5に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる、請求項20または21に記載の融合ポリペプチド。
【請求項23】
前記共刺激リガンドがCD80であり、前記第1の共刺激分子が4-1BBであり、前記第2の共刺激分子がCD28である、請求項18~22のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項24】
配列番号6に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%相同または同一であるアミノ酸配列を含む、請求項23に記載の融合ポリペプチド。
【請求項25】
配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項23または24に記載の融合ポリペプチド。
【請求項26】
抗原認識受容体を含む細胞を刺激することが可能である、請求項1~25のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項27】
抗原認識受容体を含む免疫応答細胞の活性を増強することが可能である、請求項1~26のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項28】
前記活性が、細胞傷害性、細胞増殖、および細胞の存続を含む、請求項27に記載の融合ポリペプチド。
【請求項29】
前記抗原認識受容体が、キメラ抗原受容体(CAR)、T細胞受容体(TCR)、またはTCR様融合分子である、請求項26~28のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項30】
サイトカイン受容体のシグナル伝達ドメインをさらに含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項31】
前記サイトカイン受容体が、CD121a、CDw121b、IL-18Ra、IL18Rb、CD122、CD25、CD132、CD124、CD213a13、CD127、IL-9R、IL15Ra、CDw125、CDw131、CD126、CD130、IL11Ra、Cd114、CD212、CD4、CDw217、CD118、およびCDw119からなる群から選択される、請求項30に記載の融合ポリペプチド。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか一項に記載の融合ポリペプチドをコードする核酸。
【請求項33】
請求項32に記載の核酸を含むベクター。
【請求項34】
請求項1~31のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド、請求項30に記載の核酸、または請求項33に記載のベクターを含む細胞。
【請求項35】
抗原に結合する抗原認識受容体をさらに含む、請求項34に記載の細胞。
【請求項36】
前記抗原認識受容体が、キメラ抗原受容体(CAR)、T細胞受容体(TCR)、またはTCR様融合分子である、請求項35に記載の細胞。
【請求項37】
前記抗原が、腫瘍抗原または病原体抗原である、請求項35に記載の細胞。
【請求項38】
前記抗原が腫瘍抗原である、請求項37に記載の細胞。
【請求項39】
前記腫瘍抗原が、CD19、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、癌胎児性抗原(CEA)、CD8、CD7、CD10、CD20、CD22、CD30、CD33、CLL1、CD34、CD38、CD41、CD44、CD49f、CD56、CD74、CD133、CD138、CD123、CD44V6、サイトメガロウイルス(CMV)感染細胞の抗原(例えば、細胞表面抗原)、上皮糖タンパク質-2(EGP-2)、上皮糖タンパク質-40(EGP-40)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、受容体チロシンタンパク質キナーゼErb-B2、3、4(erb-B2、3、4)、葉酸結合タンパク質(FBP)、胎児型アセチルコリン受容体(AChR)、葉酸受容体-α、ガングリオシドG2(GD2)、ガングリオシドG3(GD3)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER-2)、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、インターロイキン-13受容体サブユニットアルファ-2(IL-13Rα2)、κ-軽鎖、キナーゼ挿入ドメイン受容体(KDR)、Lewis Y(LeY)、L1細胞接着分子(L1CAM)、黒色腫抗原ファミリーA、1(MAGE-A1)、ムチン16(MUC16)、ムチン1(MUC1)、メソテリン(MSLN)、ERBB2、MAGEA3、p53、MART1、GP100、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、サバイビン、hTERT、EphA2、NKG2Dリガンド、がん-精巣抗原NY-ESO-1、癌胎児抗原(h5T4)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、ROR1、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG-72)、血管内皮成長因子R2(VEGF-R2)、ウィルムス腫瘍タンパク質(WT-1)、BCMA、NKCS1、EGF1R、EGFR-VIII、CD99、CD70、ADGRE2、CCR1、LILRB2、PRAME CCR4、CD5、CD3、TRBC1、TRBC2、TIM-3、インテグリンB7、ICAM-1、CD70、Tim3、CLEC12A、およびERBBから選択される、請求項37または38に記載の細胞。
【請求項40】
前記腫瘍抗原がCD19である、請求項37~39のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項41】
前記抗原認識受容体が外因性または内因性である、請求項35~40のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項42】
前記抗原認識受容体が組換えにより発現される、請求項35~41のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項43】
前記抗原認識受容体がベクターから発現される、請求項35~42のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項44】
リンパ系列の細胞または骨髄性系列の細胞である、請求項34~43のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項45】
前記リンパ系列の前記細胞が、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞から選択される、請求項44に記載の細胞。
【請求項46】
T細胞である、請求項34~45のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項47】
前記T細胞が人工多能性幹細胞に由来する、請求項46に記載の細胞。
【請求項48】
前記T細胞がCD8 T細胞である、請求項46または47に記載の細胞。
【請求項49】
前記CD8 T細胞がCD4非依存的である、請求項48に記載の細胞。
【請求項50】
前記T細胞が、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、γδ T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、制御性T細胞、およびナチュラルキラーT(NKT)細胞からなる群から選択される、請求項46~49のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項51】
前記融合ポリペプチドおよび前記抗原認識受容体が、前記T細胞のゲノム内の遺伝子座で組み込まれる、請求項46~50のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項52】
前記遺伝子座が、TRAC遺伝子座、TRBC遺伝子座、TRDC遺伝子座、およびTRGC遺伝子座からなる群から選択される、請求項51に記載の細胞。
【請求項53】
前記遺伝子座がTRAC遺伝子座またはTRBC遺伝子座である、請求項51または52に記載の細胞。
【請求項54】
前記遺伝子座がTRAC遺伝子座である、請求項53に記載の細胞。
【請求項55】
前記抗原認識受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である、請求項51~54のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項56】
前記抗原認識受容体および前記融合ポリペプチドの発現が、内因性プロモーターの制御下にある、請求項51~55のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項57】
前記内因性プロモーターが、内因性TRACプロモーター、内因性TRBCプロモーター、内因性TRDCプロモーター、および内因性TRGCプロモーターからなる群から選択される、請求項56に記載の細胞。
【請求項58】
前記内因性プロモーターがTRACプロモーターである、請求項57に記載の細胞。
【請求項59】
前記融合ポリペプチドおよび前記抗原認識受容体が、免疫阻害分子をコードする遺伝子座で組み込まれる、請求項35~58のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項60】
前記免疫阻害分子が、CTLA-4、PD-1、LAG3、BTLA、B7-1、B7-H1、B7-H3、B7-H4、TIM3、SHP-1、SHP-2、TIGIT、CD160、およびLAIR1からなる群から選択される、請求項59に記載の細胞。
【請求項61】
自己である、請求項34~60のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項62】
同種である、請求項34~60のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項63】
請求項34~62のいずれか一項に記載の細胞の有効量を含む組成物。
【請求項64】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む医薬組成物である、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
新生物、自己免疫疾患、および/または感染性疾患を処置および/または防止するためのものである、請求項63または64に記載の組成物。
【請求項66】
前記融合ポリペプチドの発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能である調節因子をさらに含む、請求項63~65のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項67】
前記調節因子が、前記融合ポリペプチドの発現を制御することが可能なプロモーター、前記共刺激リガンドの発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子、前記共刺激分子の発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子からなる群から選択される、請求項66に記載の組成物。
【請求項68】
前記共刺激リガンドの発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な前記分子が、前記共刺激リガンドに結合する抗体、ならびに前記共刺激リガンドに結合し、前記共刺激リガンドの発現および/または活性を調節またはモジュレートする融合タンパク質からなる群から選択される、請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
前記調節因子が抗CD80抗体であり、前記融合ポリペプチドが、CD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む、請求項66~68のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項70】
前記調節因子が、CD80に結合し、CD80の活性をモジュレートする融合タンパク質であり、前記融合ポリペプチドがCD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む、請求項66~69のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項71】
前記融合タンパク質が、CD80に結合するCTLA-4断片を含む、請求項70に記載の組成物。
【請求項72】
CD80に結合する前記CTLA-4断片が、アバタセプトまたはベラタセプトである、請求項71に記載の組成物。
【請求項73】
前記共刺激分子の発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な前記分子が、前記共刺激分子に結合する抗体、ならびに前記共刺激分子に結合し、前記共刺激分子の発現および/または活性を調節またはモジュレートする融合タンパク質からなる群から選択される、請求項72に記載の組成物。
【請求項74】
a)請求項1~31のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド;およびb)抗原に結合する抗原認識受容体を含む組成物。
【請求項75】
前記融合ポリペプチドが、第1のプロモーターに作動可能に連結される、請求項74に記載の組成物。
【請求項76】
前記抗原認識受容体が、第2のプロモーターに作動可能に連結される、請求項74または75に記載の組成物。
【請求項77】
前記第1および第2のプロモーターの一方または両方が、内因性または外因性である、請求項75または76に記載の組成物。
【請求項78】
前記外因性プロモーターが、伸長因子(EF)-1プロモーター、CMVプロモーター、SV40プロモーター、PGKプロモーター、およびメタロチオネインプロモーターからなる群から選択される、請求項77に記載の組成物。
【請求項79】
前記第1および第2のプロモーターの一方または両方が、誘導型プロモーターである、請求項75または76に記載の組成物。
【請求項80】
前記誘導型プロモーターが、NFAT転写応答エレメント(TRE)プロモーター、CD69プロモーター、CD25プロモーター、およびIL-2プロモーターからなる群から選択される、請求項79に記載の組成物。
【請求項81】
a)請求項1~31のいずれか一項に記載の融合ポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチド;およびb)抗原に結合する抗原認識受容体をコードする第2のポリヌクレオチドを含む核酸組成物。
【請求項82】
前記融合ポリペプチドに作動可能に連結された第1のプロモーターをさらに含む、請求項81に記載の核酸組成物。
【請求項83】
前記抗原認識受容体に作動可能に連結された第2のプロモーターをさらに含む、請求項81または82に記載の核酸組成物。
【請求項84】
前記第1および第2のプロモーターの一方または両方が、内因性または外因性である、請求項82または83に記載の核酸組成物。
【請求項85】
前記外因性プロモーターが、伸長因子(EF)-1プロモーター、CMVプロモーター、SV40プロモーター、PGKプロモーター、およびメタロチオネインプロモーターからなる群から選択される、請求項84に記載の核酸組成物。
【請求項86】
前記第1および第2のプロモーターの一方または両方が誘導型プロモーターである、請求項82または83に記載の核酸組成物。
【請求項87】
前記誘導型プロモーターが、NFAT転写応答エレメント(TRE)プロモーター、CD69プロモーター、CD25プロモーター、およびIL-2プロモーターからなる群から選択される、請求項86に記載の核酸組成物。
【請求項88】
請求項63~80のいずれか一項に記載の組成物または請求項81~87のいずれか一項に記載の核酸組成物を含む細胞。
【請求項89】
前記リンパ系列の細胞または前記骨髄性系列の細胞である、請求項88に記載の細胞。
【請求項90】
前記リンパ系列の前記細胞が、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞からなる群から選択される、請求項89に記載の細胞。
【請求項91】
T細胞である、請求項88~90のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項92】
前記T細胞が人工多能性幹細胞に由来する、請求項91に記載の細胞。
【請求項93】
前記T細胞がCD8 T細胞である、請求項91または92に記載の細胞。
【請求項94】
前記CD8 T細胞がCD4非依存的である、請求項93に記載の細胞。
【請求項95】
前記T細胞が、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、γδ T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、制御性T細胞、およびナチュラルキラーT(NKT)細胞からなる群から選択される、請求項91~94のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項96】
前記組成物または前記核酸組成物が、前記T細胞のゲノム内の遺伝子座で組み込まれる、請求項88~95のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項97】
前記遺伝子座が、TRAC遺伝子座、TRBC遺伝子座、TRDC遺伝子座、およびTRGC遺伝子座からなる群から選択される、請求項96に記載の細胞。
【請求項98】
前記遺伝子座がTRAC遺伝子座またはTRBC遺伝子座である、請求項96または97に記載の細胞。
【請求項99】
前記遺伝子座がTRAC遺伝子座である、請求項98に記載の細胞。
【請求項100】
前記抗原認識受容体がキメラ抗原受容体(CAR)である、請求項96~99のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項101】
前記抗原認識受容体および前記融合ポリペプチドの発現が、内因性プロモーターの制御下にある、請求項96~100のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項102】
前記内因性プロモーターが、内因性TRACプロモーター、内因性TRBCプロモーター、内因性TRDCプロモーター、および内因性TRGCプロモーターからなる群から選択される、請求項101に記載の細胞。
【請求項103】
前記内因性プロモーターがTRACプロモーターである、請求項102に記載の細胞。
【請求項104】
前記組成物または前記核酸組成物が、免疫阻害分子をコードする遺伝子座で組み込まれる、請求項91~103のいずれか一項に記載の細胞。
【請求項105】
前記免疫阻害分子が、CTLA-4、PD-1、LAG3、BTLA、B7-1、B7-H1、B7-H3、B7-H4、TIM3、SHP-1、SHP-2、TIGIT、CD160、およびLAIR1からなる群から選択される、請求項104に記載の細胞。
【請求項106】
細胞を産生するための方法であって、細胞に、請求項32に記載の核酸または請求項33に記載のベクターを導入することを含む、方法。
【請求項107】
請求項32に記載の核酸、請求項33に記載のベクター、請求項34~62および88~105のいずれか一項に記載の細胞、または請求項63~80のいずれか一項に記載の組成物、または請求項81~87のいずれか一項に記載の核酸組成物を含むキット。
【請求項108】
新生物、病原体感染、および/または感染性疾患を処置および/または防止するための書面の指示をさらに含む、請求項99に記載のキット。
【請求項109】
対象における腫瘍負荷を低減させる方法であって、前記対象に、請求項34~62および88~105のいずれか一項に記載の細胞、または請求項63~80のいずれか一項に記載の組成物、または請求項81~87のいずれか一項に記載の核酸組成物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項110】
前記対象における腫瘍細胞数を低減させる、腫瘍サイズを低減させる、および/または前記腫瘍を根絶する、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
新生物の再発を有する対象を処置する方法であって、前記対象に、請求項34~62および88~105のいずれか一項に記載の細胞、または請求項63~80のいずれか一項に記載の組成物、または請求項81~87のいずれか一項に記載の核酸組成物の有効量を投与する方法。
【請求項112】
対象における新生物を処置および/または防止する方法であって、前記対象に、請求項34~62および88~105のいずれか一項に記載の細胞、または請求項63~80のいずれか一項に記載の組成物、または請求項81~87のいずれか一項に記載の核酸組成物の有効量を投与する方法。
【請求項113】
前記細胞または前記組成物の前記投与の前に、前記対象が免疫療法を受けた、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記新生物または腫瘍ががんである、請求項109~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記新生物または腫瘍が、血液のがんおよび固形腫瘍からなる群から選択される、請求項109~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記血液のがんが、B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病、および非ホジキンリンパ腫からなる群から選択される、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
対象における自己免疫疾患または感染性疾患を処置および/または防止する方法であって、前記対象に、請求項34~62および88~105のいずれか一項に記載の細胞、または請求項63~80のいずれか一項に記載の組成物、または請求項81~87のいずれか一項に記載の核酸組成物の有効量を投与する方法。
【請求項118】
前記自己免疫疾患または感染性疾患が、関節リウマチ(RA)、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、乾癬、乾癬性関節炎、強皮症、自己免疫性甲状腺疾患、グレーヴス病、クローン病、多発性硬化症、全身性硬化症、喘息、移植臓器拒絶、移植に関連する疾患または状態、高安動脈炎、巨細胞動脈炎、川崎病、結節性多発動脈炎、ベーチェット症候群、ウェゲナー肉芽腫症、ANCA-脈管炎、チャーグストラウス症候群、顕微鏡的多発血管炎、結合組織病の血管炎、ヘノッホシェーンライン紫斑病、クリオグロブリン血症性血管炎、皮膚白血球破砕性血管炎、サルコイドーシス、コーガン症候群、ウィスコットアルドリッチ症候群、CNSの原発性血管炎、閉塞性血栓血管炎、腫瘍随伴性動脈炎、骨髄異形成症候群、持久性隆起性紅斑、アミロイドーシス、自己免疫性筋炎、ギランバレー症候群、組織球症、アトピー性皮膚炎、肺線維症、糸球体腎炎、ホイップル病、スティル病、シェーグレン症候群、骨髄線維症、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、木村病、全身性硬化症、慢性大動脈周囲炎、慢性前立腺炎、特発性肺線維症、慢性肉芽腫症、特発性ブレオマイシン誘発性肺炎症、シタラビン誘発性肺炎症、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性リンパ球減少症、慢性自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性肝炎、橋本甲状腺炎、アトピー性甲状腺炎、グレーヴス病、多腺性自己免疫症候群、自己免疫性アジソン症候群、および重症筋無力症からなる群から選択される、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記対象に、前記融合ポリペプチドの発現、活性を調節またはモジュレートすることが可能な調節因子を投与することをさらに含む、請求項109~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記調節因子が、前記融合ポリペプチドの発現を制御することが可能なプロモーター、前記共刺激リガンドの発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子、前記共刺激分子の発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子からなる群から選択される、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記共刺激リガンドの発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な前記分子が、前記共刺激リガンドに結合する抗体、ならびに前記共刺激リガンドに結合し、前記共刺激リガンドの発現および/または活性を調節またはモジュレートする融合タンパク質からなる群から選択される、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記調節因子が抗CD80抗体であり、前記融合ポリペプチドがCD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む、請求項119~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記調節因子が、CD80に結合し、CD80の活性をモジュレートする融合タンパク質であり、前記融合ポリペプチドが、CD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む、請求項119~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記融合タンパク質が、CD80に結合するCTLA-4断片である、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
CD80に結合する前記CTLA-4断片が、アバタセプトまたはベラタセプトである、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記共刺激分子の発現、活性を調節またはモジュレートすることが可能な前記分子が、前記共刺激分子に結合する抗体、前記共刺激分子に結合し、前記共刺激分子の発現、活性を調節またはモジュレートする融合タンパク質からなる群から選択される、請求項120に記載の方法。
【請求項127】
前記調節因子が細胞を枯渇させることが可能である、請求項119~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記調節因子が、前記細胞の投与に関連する1つまたは複数の副作用を減らすかまたは排除することが可能である、請求項119~127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記1つまたは複数の副作用が、オフ腫瘍ターゲット効果、サイトカイン放出症候群、神経毒性、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記対象に、チェックポイント免疫遮断剤を投与することをさらに含む、請求項109~129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記チェックポイント免疫遮断剤が、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗LAG3抗体、抗B7-H3抗体、抗TIM3抗体、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項130に記載の方法。
【請求項132】
前記チェックポイント免疫遮断剤が抗PD-1抗体である、請求項130または131に記載の方法。
【請求項133】
腫瘍負荷を低減させる、新生物を処置および/もしくは防止する、ならびに/または新生物の再発を有する対象を処置する、ならびに/または自己免疫疾患もしくは感染性疾患を処置および/もしくは防止することにおける使用のための、請求項34~62および88~105のいずれか一項に記載の細胞、または請求項63~80のいずれか一項に記載の組成物、または請求項81~87のいずれか一項に記載の核酸組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年7月19日に提出された米国特許仮出願第62/876,338号の優先権を主張する。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットでEFS-Webを介して提出され、その全体がそれにより参照により本明細書に組み込まれる配列表を含有する。ASCIIのコピーは2020年7月20日に作成され、名称は「072734_1102_ST25.txt」であり、サイズは126,019バイトである。
【0003】
1.緒言
本開示の主題は、免疫療法のための活性および有効性を改善することができる融合ポリペプチドを提供する。
【背景技術】
【0004】
2.発明の背景
細胞に基づく免疫療法は、がんの処置に関して治癒の潜在性を有する治療である。T細胞および他の免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)と呼ばれる、選択された抗原に対して特異的な天然のもしくは改変されたT細胞受容体(TCR)または抗原の合成受容体をコードする遺伝物質の導入を通して腫瘍抗原を標的とするように改変され得る。患者の操作されたCAR T細胞は、一連の液性および固形の悪性腫瘍に対して顕著な有効性を実証している。しかし、患者の大部分では処置の失敗および再発が起こっている。したがって、改善された免疫療法が依然として必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
3.発明の概要
本開示の主題は、免疫療法(例えば、T細胞免疫療法)の活性および有効性を増強することができる融合ポリペプチドを提供する。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、a)共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン、ならびにb)第1の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。
【0006】
ある特定の実施形態では、共刺激リガンドは、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーメンバー、および免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーメンバー、およびそれらの組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、TNFファミリーメンバーは、4-1BBL、OX40L、CD70、GITRL、CD40L、およびそれらの組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、Igスーパーファミリーメンバーは、CD80、CD86、ICOSLG、およびそれらの組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはCD80である。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0007】
ある特定の実施形態では、第1の共刺激分子は、CD28、4-1BB、OX40、ICOS、DAP-10、CD27、CD40、NKG2D、CD2、およびそれらの組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、第1の共刺激分子は4-1BBである。ある特定の実施形態では、4-1BBの細胞内ドメインは、配列番号3に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、4-1BBの細胞内ドメインは、配列番号3に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、4-1BBの細胞内ドメインは、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0008】
ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはCD80であり、第1の共刺激分子は、CD28、4-1BB、OX40、ICOS、DAP-10、CD27、CD40、NKG2D、CD2、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0009】
ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはCD80であり、第1の共刺激分子は4-1BBである。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号4に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0010】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドはさらに、第2の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。ある特定の実施形態では、第2の共刺激分子は、CD28、4-1BB、OX40、ICOS、DAP-10、CD27、CD40、NKG2D、CD2、およびそれらの組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、第2の共刺激分子はCD28である。ある特定の実施形態では、第1の共刺激分子は4-1BBであり、第2の共刺激分子はCD28である。ある特定の実施形態では、CD28の細胞内ドメインは、配列番号5に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD28の細胞内ドメインは、配列番号5に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD28の細胞内ドメインは、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0011】
ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはCD80であり、第1の共刺激分子は4-1BBであり、第2の共刺激分子はCD28である。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号6に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0012】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、抗原認識受容体を含む細胞を刺激することが可能である。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、抗原認識受容体を含む細胞の活性を増強することが可能である。ある特定の実施形態では、活性は細胞傷害性、細胞増殖、細胞の存続、およびそれらの組合せを含む。
【0013】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドはさらに、サイトカイン受容体のシグナル伝達ドメインを含む。ある特定の実施形態では、サイトカイン受容体は、CD121a、CDw121b、IL-18Ra、IL18Rb、CD122、CD25、CD132、CD124、CD213a13、CD127、IL-9R、IL15Ra、CDw125、CDw131、CD126、CD130、IL11Ra、Cd114、CD212、CD4、CDw217、CD118、およびCDw119からなる群から選択される。
【0014】
本開示の主題はさらに、本明細書に開示される融合ポリペプチドをコードする核酸分子および核酸分子を含むベクターを提供する。
【0015】
本開示の主題はまた、本明細書に開示される融合ポリペプチド、核酸分子、またはベクターを含む細胞も提供する。
【0016】
ある特定の実施形態では、細胞はさらに、抗原認識受容体を含む。ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)、T細胞受容体(TCR)、およびTCR様融合分子からなる群から選択される。
【0017】
ある特定の実施形態では、抗原は、腫瘍抗原または病原体抗原である。ある特定の実施形態では、抗原は腫瘍抗原である。ある特定の実施形態では、腫瘍抗原は、CD19、炭酸脱水酵素IX(CAlX)、癌胎児性抗原(CEA)、CD8、CD7、CD10、CD20、CD22、CD30、CD33、CLL1、CD34、CD38、CD41、CD44、CD49f、CD56、CD74、CD133、CD138、CD123、CD44V6、サイトメガロウイルス(CMV)感染細胞の抗原(例えば、細胞表面抗原)、上皮糖タンパク質-2(EGP-2)、上皮糖タンパク質-40(EGP-40)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、受容体チロシンタンパク質キナーゼErb-B2、Erb-B3、Erb-B4、葉酸結合タンパク質(FBP)、胎児型アセチルコリン受容体(AChR)、葉酸受容体-α、ガングリオシドG2(GD2)、ガングリオシドG3(GD3)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER-2)、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、インターロイキン-13受容体サブユニットアルファ-2(IL-13Rα2)、κ-軽鎖、キナーゼ挿入ドメイン受容体(KDR)、Lewis Y(LeY)、L1細胞接着分子(L1CAM)、黒色腫抗原ファミリーA、1(MAGE-A1)、ムチン16(MUC16)、ムチン1(MUC1)、メソテリン(MSLN)、ERBB2、MAGEA3、p53、MART1、GP100、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、サバイビン、hTERT、EphA2、NKG2Dリガンド、がん-精巣抗原NY-ES0-1、癌胎児抗原(h5T4)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、ROR1、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG-72)、血管内皮成長因子R2(VEGF-R2)、ウィルムス腫瘍タンパク質(WT-1)、BCMA、NKCS1、EGF1R、EGFR-VIII、CD99、CD70、ADGRE2、CCR1、LILRB2、PRAME CCR4、CD5、CD3、TRBC1、TRBC2、TIM-3、インテグリンB7、ICAM-1、CD70、Tim3、CLEC12A、およびERBBからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、腫瘍抗原はCD19である。
【0018】
ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は、外因性または内因性である。ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は組換えにより発現される。ある特定の実施形態では、抗原認識受容体はベクターから発現される。
【0019】
ある特定の実施形態では、細胞はリンパ系列の細胞である。ある特定の実施形態では、細胞は、骨髄性系列の細胞である。ある特定の実施形態では、リンパ系列の細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、樹状細胞、およびそこからリンパ系細胞が分化し得る幹細胞からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、細胞はT細胞である。ある特定の実施形態では、T細胞は、人工多能性幹細胞に由来する。ある特定の実施形態では、T細胞はCD8 T細胞である。ある特定の実施形態では、CD8 T細胞はCD4非依存的である。ある特定の実施形態では、T細胞は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、制御性T細胞、γδ T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、およびナチュラルキラーT(NKT)細胞からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドおよび抗原認識受容体は、T細胞のゲノム内の遺伝子座で組み込まれる。ある特定の実施形態では、遺伝子座は、TRAC遺伝子座、TRBC遺伝子座、TRDC遺伝子座、およびTRGC遺伝子座からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、遺伝子座はTRAC遺伝子座またはTRBC遺伝子座である。ある特定の実施形態では、遺伝子座はTRAC遺伝子座である。ある特定の実施形態では、抗原認識受容体はキメラ抗原受容体(CAR)である。ある特定の実施形態では、抗原認識受容体および融合ポリペプチドの発現は、内因性プロモーターの制御下にある。ある特定の実施形態では、内因性プロモーターは、内因性TRACプロモーター、内因性TRBCプロモーター、内因性TRDCプロモーター、および内因性TRGCプロモーターからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、内因性プロモーターはTRACプロモーターである。
【0020】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドおよび抗原認識受容体は、免疫阻害分子をコードする遺伝子座内に組み込まれる。ある特定の実施形態では、免疫阻害分子は、CTLA-4、PD-1、LAG3、BTLA、B7-1、B7-H1、B7-H3、B7-H4、TIM3、SHP-1、SHP-2、TIGIT、CD160、およびLAIR1からなる群から選択される。
【0021】
ある特定の実施形態では、細胞は自己である。ある特定の実施形態では、細胞は同種である。
【0022】
本開示の主題は、本明細書に開示される細胞を含む組成物を提供する。ある特定の実施形態では、組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む医薬組成物である。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、新生物、自己免疫疾患、および/または感染性疾患を処置および/または防止するためのものである。ある特定の実施形態では、新生物はがんである。
【0023】
ある特定の実施形態では、組成物はさらに、融合ポリペプチドの発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な調節因子を含む。
【0024】
ある特定の実施形態では、調節因子は、融合ポリペプチドの発現を制御することが可能なプロモーター、共刺激リガンドの発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子、ならびに共刺激分子の発現および活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子からなる群から選択される。
【0025】
ある特定の実施形態では、共刺激リガンドの発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子は、共刺激リガンドに結合する抗体、ならびに共刺激リガンドに結合し、共刺激リガンドの発現および/または活性を調節またはモジュレートする融合タンパク質からなる群から選択される。
【0026】
ある特定の実施形態では、調節因子は抗CD80抗体であり、融合ポリペプチドはCD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。
【0027】
ある特定の実施形態では、調節因子は、CD80に結合し、CD80の活性をモジュレートする融合タンパク質であり、融合ポリペプチドは、CD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、融合タンパク質は、CD80に結合するCTLA-4断片を含む。ある特定の実施形態では、CD80に結合するCTLA-4断片は、アバタセプトまたはベラタセプトである。
【0028】
ある特定の実施形態では、共刺激分子の発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子は、共刺激分子に結合する抗体、ならびに共刺激分子に結合し、共刺激分子の発現および/または活性を調節またはモジュレートする融合タンパク質からなる群から選択される。
【0029】
本開示の主題はさらに、a)本明細書に開示される融合ポリペプチド;およびb)抗原に結合する抗原認識受容体を含む組成物を提供する。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、第1のプロモーターに作動可能に連結される。ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は、第2のプロモーターに作動可能に連結される。
【0030】
加えて、本開示の主題はさらに、a)本明細書に開示される融合ポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチド;およびb)抗原に結合する抗原認識受容体をコードする第2のポリヌクレオチドを含む組成物を提供する。ある特定の実施形態では、核酸組成物は、融合ポリペプチドに作動可能に連結された第1のプロモーターをさらに含む。ある特定の実施形態では、核酸組成物は、抗原認識受容体に作動可能に連結された第2のプロモーターをさらに含む。
【0031】
ある特定の実施形態では、第1および第2のプロモーターの一方または両方は、内因性または外因性である。ある特定の実施形態では、外因性プロモーターは、伸長因子(EF)-1プロモーター、サイトメガロウイルス前初期プロモーター(CMV)プロモーター、シミアンウイルス40初期プロモーター(SV40)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、およびメタロチオネインプロモーターからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、第1および第2のプロモーターの一方または両方は、誘導型プロモーターである。ある特定の実施形態では、誘導型プロモーターは、NFAT転写応答エレメント(TRE)プロモーター、CD69プロモーター、CD25プロモーター、およびIL-2プロモーターから選択される。
【0032】
本開示の主題はさらに、本明細書に開示される組成物または本明細書に開示される核酸組成物を含む細胞を提供する。ある特定の実施形態では、組成物または核酸組成物は、T細胞のゲノム内の遺伝子座で組み込まれる。ある特定の実施形態では、遺伝子座は、TRAC遺伝子座、TRBC遺伝子座、TRDC遺伝子座、およびTRGC遺伝子座からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、遺伝子座はTRAC遺伝子座またはTRBC遺伝子座である。ある特定の実施形態では、組成物または核酸組成物は、免疫阻害分子をコードする遺伝子座内に組み込まれる。ある特定の実施形態では、免疫阻害分子は、CTLA-4、PD-1、LAG3、BTLA、B7-1、B7-H1、B7-H3、B7-H4、TIM3、SHP-1、SHP-2、TIGIT、CD160、およびLAIR1からなる群から選択される。
【0033】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される細胞、組成物、または核酸組成物は、腫瘍負荷を低減させる、新生物を処置および/もしくは防止する、自己免疫疾患を処置および/もしくは防止する、病原体感染(例えば、感染性疾患)を処置および/もしくは防止する、ならびに/または新生物の再発を有する対象を処置することにおける使用のためのものである。
【0034】
本開示の主題はさらに、細胞を産生するための方法を提供する。ある特定の実施形態では、方法は、細胞に、本明細書に開示される核酸分子、核酸組成物、またはベクターを導入することを含む。
【0035】
本開示の主題は、本明細書に開示される核酸分子、ベクター、細胞、組成物、または核酸組成物を含むキットを提供する。ある特定の実施形態では、キットは、新生物、病原体感染(例えば、感染性疾患)、および/または自己免疫疾患を処置および/または防止するための書面の指示をさらに含む。
【0036】
本開示の主題は、対象における腫瘍負荷を低減させる、新生物(例えば、がん)の再発を有する対象を処置する、新生物(例えば、がん)を処置および/もしくは防止する、病原体感染(例えば、感染性疾患)を処置および/もしくは防止する、ならびに/または自己免疫疾患を処置および/もしくは防止する方法を提供する。ある特定の実施形態では、方法は、対象に、本明細書に開示される細胞、組成物、または核酸組成物の有効量を投与することを含む。ある特定の実施形態では、方法は、対象における腫瘍細胞数を低減させる、腫瘍サイズを低減させる、および/または腫瘍を根絶する。ある特定の実施形態では、新生物または腫瘍は、血液のがんおよび固形腫瘍からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、新生物または腫瘍は固形腫瘍である。ある特定の実施形態では、血液のがんは、B細胞白血病、多発性骨髄腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病、および非ホジキンリンパ腫からなる群から選択される。
【0037】
ある特定の実施形態では、自己免疫疾患および感染性疾患は、関節リウマチ(RA)、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、乾癬、乾癬性関節炎、強皮症、自己免疫性甲状腺疾患、グレーヴス病、クローン病、多発性硬化症、全身性硬化症、喘息、移植臓器拒絶、移植に関連する疾患または状態、高安動脈炎、巨細胞動脈炎、川崎病、結節性多発動脈炎、ベーチェット症候群、ウェゲナー肉芽腫症、ANCA-脈管炎、チャーグストラウス症候群、顕微鏡的多発血管炎、結合組織病の血管炎、ヘノッホシェーンライン紫斑病(Hennoch-Schonlein purpura)、クリオグロブリン血症性血管炎、皮膚白血球破砕性血管炎、サルコイドーシス、コーガン症候群、ウィスコットアルドリッチ症候群、CNSの原発性血管炎、閉塞性血栓血管炎、腫瘍随伴性動脈炎、骨髄異形成症候群、持久性隆起性紅斑、アミロイドーシス、自己免疫性筋炎、ギランバレー症候群、組織球症、アトピー性皮膚炎、肺線維症、糸球体腎炎、ホイップル病、スティル病、シェーグレン症候群、骨髄線維症、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、木村病、全身性硬化症、慢性大動脈周囲炎、慢性前立腺炎、特発性肺線維症、慢性肉芽腫症、特発性ブレオマイシン誘発性肺炎症、シタラビン誘発性肺炎症、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性リンパ球減少症、慢性自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性肝炎、橋本甲状腺炎、アトピー性甲状腺炎、グレーヴス病、多腺性自己免疫症候群、自己免疫性アジソン症候群、および重症筋無力症からなる群から選択される。
【0038】
ある特定の実施形態では、方法はさらに、対象に、融合ポリペプチドの発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な調節因子を投与することを含む。ある特定の実施形態では、調節因子は、融合ポリペプチドの発現を制御することが可能なプロモーター、共刺激リガンドの発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子、ならびに共刺激分子の発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、共刺激リガンドの発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子は、共刺激リガンドに結合する抗体、および共刺激リガンドに結合し、共刺激リガンドの発現、活性を調節またはモジュレートする融合タンパク質からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、調節因子は抗CD80抗体であり、融合ポリペプチドはCD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、調節因子は、CD80に結合し、CD80の活性をモジュレートする融合タンパク質であり、融合ポリペプチドは、CD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、融合タンパク質は、CD80に結合するCTLA4断片である。ある特定の実施形態では、CD80に結合するCTLA4断片は、アバタセプトまたはベラタセプトである。
【0039】
ある特定の実施形態では、共刺激分子の発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子は、共刺激分子に結合する抗体、ならびに共刺激分子に結合し、共刺激分子の発現および/または活性を調節またはモジュレートする融合タンパク質からなる群から選択される。
【0040】
ある特定の実施形態では、調節因子は、細胞を枯渇させることが可能である。ある特定の実施形態では、調節因子は、細胞の投与に関連する1つまたは複数の副作用を減らすかまたは排除することが可能である。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の副作用は、オフ腫瘍ターゲット効果、サイトカイン放出症候群、神経毒性、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0041】
ある特定の実施形態では、方法はさらに、対象に、チェックポイント免疫遮断剤を投与することを含む。ある特定の実施形態では、チェックポイント免疫遮断剤は、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗LAG3抗体、抗B7-H3抗体、抗TIM3抗体、およびそれらの組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、チェックポイント免疫遮断剤は、抗PD-1抗体である。
【0042】
例として提供されるが、本開示の主題を記載された具体的な実施形態に限定することを意図しない以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて理解され得る。
4.図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、本開示の主題のある特定の実施形態に従う細胞を示す。
【0044】
図2-1】図2A~2Hは、抗腫瘍T細胞応答をブーストするためのユニバーサルCD80-4-1BB融合ポリペプチドを示す。図2Aは、CD80-4-1BB融合ポリペプチドあり(右)またはなし(左)での1928z CARの発現を示すFACSプロファイルを示す。T細胞を、1928zおよびCD80/4-1BB融合ポリペプチドを安定に発現するように、ガンマレトロウイルスベクターで形質導入する。図2Bは、外因性CD80分子、外因性4-1BBL分子またはCD80/4-1BB融合ポリペプチドを共発現する10個の19-28-z CAR T細胞で処置した、NALM6 CD19白血病細胞を保有するマウスのカプラン・マイヤー生存分析を示す。図2Cは、CD80/4-1BB融合ポリペプチドあり(右)またはなし(左)での1928z-1xx CAR T細胞の発現を示すFACSプロファイルを示す。1928z-1xxおよびCD80/4-1BB融合ポリペプチドを、TRAC遺伝子座へと標的化し、内因性TRACプロモーターの制御下で発現させた。図2Dは、CD80/4-1BB融合ポリペプチドの共発現ありまたはなしの2×10個の19-28-z-1xx CAR T細胞で処置した、NALM6 CD19白血病細胞を保有するマウスのカプラン・マイヤー生存分析を示す。図2Eは、CD80/4-1BB融合ポリペプチドあり(中央および右)またはなし(左)での19-HITの発現を示すFACSプロファイルを示す。図2E左および図2E中央は、TRAC遺伝子座へと標的化され、内因性TRACプロモーターの制御下で発現された19-HITおよびCD80/4-1BB融合ポリペプチドに関する。図2E右は、高レベルのCD80/4-1BB融合ポリペプチドを発現するようにSFGガンマ-レトロウイルスベクターで形質導入した19-HIT T細胞に関する。図2Fは、CD80/4-1BB融合ポリペプチドありまたはなしの10個の19-HIT T細胞で処置した、NALM6 CD19白血病細胞を保有するマウスのカプラン・マイヤー生存分析を示す。図2Gは、CD80/4-1BB融合ポリペプチドあり(右)またはなし(左)でのNY-ESO-1 TCRの発現を示すFACSプロファイルを示す。NY-ESO-1 TCRまたはCD80/4-1BB融合ポリペプチドをコードするガンマレトロウイルスベクターを使用した。図2Hは、CD80/4-1BB融合ポリペプチドありまたはなしの2×10個のNY-ESO-1 TCR T細胞で処置した、HLAA2.1/NYESO複合体を発現するSK-MEL-23黒色腫細胞系を保有するマウスのカプラン・マイヤー生存分析を示す。P値を、ログランクマンテル・コックス検定によって決定した。
図2-2】同上。
図2-3】同上。
図2-4】同上。
【0045】
図3図3Aおよび3Bは、PDL-1阻害性リガンドの存在下でのCD80-4-1BBの抗腫瘍利益の維持を示す。図3Aは、CD80/4-1BB融合ポリペプチドありまたはなしの5×10個の19-CAR T細胞で処置した、PDL-1分子を過剰発現するNALM6 CD19白血病細胞を保有するマウスのカプラン・マイヤー生存分析を示す。図3Bは、CD80/4-1BB融合ポリペプチドありまたはなしの10個のHIT T細胞で処置した、PDL-1分子を過剰発現するNALM6 CD19白血病細胞を保有するマウスのカプラン・マイヤー生存分析を示す。P値を、ログランクマンテル・コックス検定によって決定した。
【0046】
図4図4Aおよび4Bは、CD80-4-1BB発現レベルが抗腫瘍応答効率を支配することを示す。図4Aは、内因性TRAC遺伝子座の制御下の、またはTRBC遺伝子座へと標的化された、外因性EF1aもしくはPGKプロモーターの制御下でのCD80/4-1BB融合ポリペプチドの発現を示すFACSプロファイルを示す。全ての条件において、1928z-1xxを、内因性TRACプロモーターの制御下で発現させた。T細胞を、抗CD80抗体を使用して、CD80発現に基づいて、形質導入後にビーズ選別した。CD80の平均蛍光強度を示した。図4Bは、CAR T細胞注射の15日後の、ホタルルシフェラーゼを発現するNALM6腫瘍細胞の全光束シグナルを示す。P値をマン・ホイットニーt検定によって決定した(determined Mann-Whitney t-test)。
【0047】
図5図5、CD80/4-1BB融合ポリペプチドありの2.5×10個の1928z-1xx CAR T細胞で処置した、NALM6 CD19白血病細胞を保有するマウスのカプラン・マイヤー生存分析を示す。内因性4-1BB遺伝子ノックアウトを、タンパク質CAS9および特異的gRNAの電気穿孔によって得た。4-1BBの破壊が、注入されたCAR T細胞の68%において達成された。TRBC gRNAを対照として使用した。P値を、ログランクマンテル・コックス検定によって決定した。
【0048】
図6図6は、2.5×10個のCAR T細胞で処置した、NALM6 CD19白血病細胞を保有するマウスのカプラン・マイヤー生存分析を示す。タンパク質CAS9および特異的gRNAの電気穿孔によって得た、内因性PD-1遺伝子ノックアウト。PD-1の破壊が、注入されたCAR T細胞の55%において達成される。TRBC gRNAを対照として使用する。P値を、ログランクマンテル・コックス検定によって決定した。
【0049】
図7図7Aおよび7Bは、CD80/4-1BB融合ポリペプチドありの8×10個の1928z CAR CD8 T細胞で処置した(図7A)またはCD80/4-1BB融合ポリペプチドありの4×10個の1928z CAR CD8 T細胞で処置した(図7B)、NALM6 CD19白血病細胞を保有するマウスのカプラン・マイヤー生存分析を示す。P値を、ログランクマンテル・コックス検定によって決定した。
【発明を実施するための形態】
【0050】
5.発明の詳細な説明
本開示の主題は、免疫療法(例えば、T細胞免疫療法)の活性および/または有効性を増強することが可能である融合ポリペプチドを提供する。融合ポリペプチドは、抗原認識受容体(例えば、CAR、TCR、またはTCR様融合分子)を含む細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)の活性および/または有効性を増強することができる。本開示の主題はまた、標的抗原に対する細胞の免疫応答を誘導および/もしくは増強するために、ならびに/または新生物もしくは他の疾患/障害(例えば、自己免疫疾患および感染性疾患)を処置および/もしくは防止するためにそのような融合ポリペプチドを使用する方法も提供し、例えば、ここでは抗原特異的免疫応答の増加が望ましい。本開示の主題は、少なくとも部分的に、本明細書に開示される融合ポリペプチドが、抗原認識受容体(例えば、CAR、TCR、またはTCR様融合分子)を含む細胞の活性(例えば、細胞傷害性)を増強することができるという発見に基づいている。
【0051】
本開示の非限定的な実施形態を、本明細書および実施例に記載する。
【0052】
開示を限定ではなく明快にする目的で、詳細な説明を、以下の小区分に分ける:
5.1.定義;
5.2.融合ポリペプチド;
5.3.細胞;
5.4.抗原認識受容体;
5.5.組成物およびベクター;
5.6.ポリペプチドおよびアナログ;
5.7.投与;
5.8.製剤化;
5.9.処置の方法;ならびに
5.10.キット
5.1.定義
【0053】
特にそれ以外であると定義していない限り、本明細書で使用する全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有する。以下の参考文献は、本開示の主題で使用される用語の多くの一般的な定義を当業者に提供する: Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology (2nd ed. 1994); The Cambridge Dictionary of Science and Technology (Walker ed., 1988); The Glossary of Genetics, 5th Ed., R. Rieger et al. (eds.), Springer Verlag (1991);およびHale & Marham, The Harper Collins Dictionary of Biology (1991)。
【0054】
本明細書で使用される場合、「約」または「およそ」という用語は、値が測定または決定される方法、すなわち測定系の限界に部分的に依存する、当業者によって決定された特定の値の許容される誤差範囲内を意味する。例えば、「約」は、当技術分野での実践に従って3標準偏差以内または3標準偏差より上を意味し得る。あるいは、「約」は、所定の値の最大20%、例えば最大10%、最大5%、または最大1%の範囲を意味し得る。あるいは、特に生物系または生物プロセスに関して、用語は、一桁以内、例えば値の5倍以内または2倍以内を意味し得る。
【0055】
本明細書で使用される場合、「共刺激分子」は、抗原に対するリンパ球の効率的な応答を提供することができる抗原受容体またはそのリガンド以外の細胞表面分子を指す。ある特定の実施形態では、共刺激分子は、最適なリンパ球活性化を提供することができる。
【0056】
本明細書で使用される場合、「共刺激リガンド」は、その受容体(例えば、共刺激分子)に結合すると、共刺激応答、例えば抗原認識受容体(例えば、キメラ抗原受容体(CAR))がその標的抗原に結合する場合に刺激をもたらす細胞内応答を産生する分子を指す。
【0057】
「免疫応答細胞」とは、免疫応答において機能する細胞またはその前駆体、もしくは子孫を意味する。ある特定の実施形態では、免疫応答細胞はリンパ系列の細胞である。リンパ系列の細胞の非限定的な例としては、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、およびそこからリンパ系細胞が分化し得る幹細胞が挙げられる。ある特定の実施形態では、免疫応答細胞は骨髄性系列の細胞である。
【0058】
「免疫応答細胞を活性化する」とは、免疫応答の開始をもたらす細胞におけるシグナル伝達の誘導またはタンパク質発現の変化を意味する。例えば、CD3鎖がリガンドの結合および免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITAM)に応答して集合すると、シグナル伝達カスケードが産生される。ある特定の実施形態では、内因性TCRまたは外因性CARが抗原に結合すると、結合した受容体付近の多くの分子の集合(例えば、CD4またはCD8、CD3γ/δ/ε/ζ等)を含む免疫シナプスの形成が起こる。膜結合シグナル伝達分子のこの集合は、CD3鎖内に含有されるITAMモチーフをリン酸化させることができる。このリン酸化は次に、T細胞活性化経路を開始し、最終的に転写因子、例えばNF-κBおよびAP-1を活性化する。これらの転写因子は、T細胞の全体的な遺伝子発現を誘導して、T細胞媒介免疫応答を開始するために、マスターレギュレーターT細胞タンパク質の増殖および発現のためにIL-2産生を増加させる。
【0059】
「免疫応答細胞を刺激する」とは、強固で持続的な免疫応答をもたらすシグナルを意味する。様々な実施形態では、これは免疫細胞(例えば、T細胞)の活性化後に起こるか、またはCD28、CD137(4-lBB)、OX40、CD40、およびICOSを含むがこれらに限定されない受容体を通して同時に媒介される。複数の刺激シグナルを受けることは、強固で長期間のT細胞媒介免疫応答を開始するために重要であり得る。T細胞は、急速に阻害され、抗原に対して不応性となり得る。これらの共刺激シグナルの効果は変動し得るが、それらは一般的に、完全かつ持続的な根絶のために抗原に強固に応答する長命、増殖性で抗アポトーシス性のT細胞を生成するために遺伝子発現の増加をもたらす。
【0060】
「抗原認識受容体」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原に対するその結合に応答して免疫または免疫応答細胞(例えば、T細胞)を活性化することが可能な受容体を指す。
【0061】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、インタクト抗体分子のみならず、免疫原結合能を保持する抗体分子の断片も意味する。そのような断片もまた当技術分野で周知であり、in vitroおよびin vivoの両方で通常、用いられる。したがって、本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、インタクト免疫グロブリン分子のみならず、周知の活性な断片F(ab’)およびFabも意味する。インタクト抗体のFe断片を欠如するF(ab’)およびFab断片は、循環中からより急速に取り除かれ、より少ないインタクト抗体の非特異的組織結合を有し得る(Wahl et al., J. Nucl. Med. 24:316-325 (1983)。本明細書で使用される場合、抗体は、ネイティブ抗体全体、二重特異性抗体;キメラ抗体;Fab、Fab’、一本鎖V領域断片(scFv)、融合ポリペプチド、および非従来型抗体を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてVと略す)および重鎖定常(C)領域で構成される。重鎖定常領域は3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3で構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてVと略す)および軽鎖定常C領域で構成される。軽鎖定常領域は1つのドメインCで構成される。VおよびV領域はさらに、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域へと細分することができ、この間にフレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が点在する。各VおよびVは、アミノ末端からカルボキシ末端へと以下の順に整列する3つのCDRおよび4つのFRで構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1の構成成分(C1q)を含む、宿主組織または因子に対する免疫グロブリンの結合を媒介し得る。
【0062】
本明細書で使用される場合、「CDR」は、免疫グロブリン重鎖および軽鎖の超可変領域である抗体の相補性決定領域アミノ酸配列として定義される。例えば、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 4th U. S. Department of Health and Human Services, National Institutes of Health (1987)を参照されたい。一般的に、抗体は、可変領域に3つの重鎖および3つの軽鎖CDRまたはCDR領域を含む。CDRは、抗体が抗原またはエピトープに結合するための接触残基の大部分を提供する。ある特定の実施形態では、CDR領域は、Kabatのシステム(Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)を使用して表される。
【0063】
本明細書で使用される場合、「一本鎖可変断片」または「scFv」という用語は、共有結合により連結されてV::Vヘテロ二量体を形成する免疫グロブリンの重鎖(V)および軽鎖(V)の可変領域の融合タンパク質である。VおよびVは、直接接合されるかまたはペプチドコードリンカー(例えば、10、15、20、25アミノ酸)によって接合され、VのN末端をVのC末端と、またはVのC末端をVのN末端と接続する。リンカーは通常、柔軟性のためにグリシンに、ならびに溶解性のためにセリンまたはスレオニンに富む。定常領域の除去、およびリンカーの導入にもかかわらず、scFvタンパク質は、元の免疫グロブリンの特異性を保持する。一本鎖Fvポリペプチド抗体は、Huston, et al. (Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 85:5879-5883, 1988)によって記載されるように、VおよびVコード配列を含む核酸から発現させることができる。同様に、米国特許第5,091,513号、第5,132,405号、および第4,956,778号;ならびに米国特許出願公開第20050196754号および第20050196754号を参照されたい。阻害活性を有するアンタゴニスト性のscFvが記載されている(例えば、Zhao et al., Hyrbidoma (Larchmt) 2008 27(6):455-51; Peter et al., J Cachexia Sarcopenia Muscle 2012 August 12; Shieh et al., J Imunol2009 183(4):2277-85; Giomarelli et al., Thromb Haemost 2007 97(6):955-63; Fife eta., J Clin Invst 2006 116(8):2252-61; Brocks et al., Immunotechnology 1997 3(3):173-84; Moosmayer et al., Ther Immunol 1995 2(10:31-40)を参照されたい。刺激活性を有するアゴニスト性のscFvが記載されている(例えば、Peter et al., J Bioi Chern 2003 25278(38):36740-7; Xie et al., Nat Biotech 1997 15(8):768-71; Ledbetter et al., Crit Rev Immunol1997 17(5-6):427-55; Ho et al., BioChim Biophys Acta 2003 1638(3):257-66を参照されたい)。
【0064】
本明細書で使用される場合、「親和性」という用語は、結合強度の尺度を意味する。親和性は、抗体結合部位と抗原決定基との間の立体化学的適合の緊密度、それらの間の接触面積のサイズ、ならびに/または荷電基および疎水性基の分布に依存し得る。本明細書で使用される場合、「親和性」という用語はまた、可逆的複合体の形成後の抗原-抗体結合の強度を指す「アビディティ」も含む。抗原に対する抗体の親和性を計算するための方法は、当技術分野で公知であり、様々な抗原結合実験、例えば機能的アッセイ(例えば、フローサイトメトリーアッセイ)を含むがこれらに限定されない。
【0065】
「キメラ抗原受容体」または「CAR」という用語は、本明細書で使用される場合、免疫細胞または免疫応答細胞を活性化または刺激することが可能である細胞内シグナル伝達ドメインおよび膜貫通ドメインに融合した細胞外抗原結合ドメインを含む分子を指す。ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合ドメインはscFvを含む。scFvは、抗体の可変の重領域と軽領域との融合に由来し得る。あるいはまたはさらに、scFvはFab’に由来し得る(抗体に由来するのではなくて、例えば、Fabライブラリーから得られる)。ある特定の実施形態では、scFvは、膜貫通ドメインに、次いで細胞内シグナル伝達ドメインに融合される。ある特定の実施形態では、CARは、抗原に関して高い結合親和性またはアビディティを有するように選択される。
【0066】
本明細書で使用される場合、「核酸分子」という用語は、目的のポリペプチドまたはその断片をコードする任意の核酸分子を含む。そのような核酸分子は、内因性の核酸配列と100%相同または同一である必要はないが実質的な同一性を示し得る。内因性の配列と「実質的な同一性」または「実質的な相同性」を有するポリヌクレオチドは典型的に、二本鎖核酸分子の少なくとも1つの鎖とハイブリダイズすることが可能である。「ハイブリダイズする」とは、様々なストリンジェンシーの条件下で相補的ポリヌクレオチド配列(例えば、本明細書で記載される遺伝子)またはその一部との間で二本鎖分子を形成する対を意味する(例えば、Wahl, G. M. and S. L. Berger (1987) Methods Enzymol. 152:399; Kimmel, A. R. (1987) Methods Enzymol. 152:507を参照されたい)。
【0067】
例えば、ストリンジェントな塩濃度は通常、約750mM未満のNaClおよび75mMのクエン酸三ナトリウム、例えば約500mM未満のNaClおよび50mMのクエン酸三ナトリウム、または約250mM未満のNaClおよび25mMのクエン酸三ナトリウムである。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、有機溶媒、例えばホルムアミドの非存在下で得ることができるが、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、少なくとも約35%ホルムアミド、例えば少なくとも約50%ホルムアミドの存在下で得ることができる。ストリンジェントな温度条件は通常、少なくとも約30℃、少なくとも約37℃、または少なくとも約42℃の温度を含む。様々な追加のパラメーター、例えばハイブリダイゼーション時間、洗浄剤、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の濃度、および担体DNAを含めるかまたは除外するかは、当業者に周知である。様々なレベルのストリンジェンシーは、必要に応じてこれらの様々な条件を組み合わせることによって達成される。ある特定の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、30℃、750mMのNaCl、75mMのクエン酸三ナトリウム、および1%SDS中で起こる。ある特定の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、37℃、500mMのNaCl、50mMのクエン酸三ナトリウム、1%SDS、35%ホルムアミド、および100μg/mlの変性サケ精子DNA(ssDNA)中で起こる。ある特定の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、42℃、250mMのNaCl、25mMのクエン酸三ナトリウム、1%SDS、50%ホルムアミド、および200μg/mlのssDNA中で起こる。これらの条件に関する有用な変形形態は、当業者には容易に明らかとなる。
【0068】
ほとんどの適用に関して、ハイブリダイゼーション後の洗浄するステップもまた、ストリンジェンシーが変動する。洗浄のストリンジェンシー条件は、塩濃度によっておよび温度によって定義され得る。上記のように、洗浄のストリンジェンシーは、塩濃度を減少させることによって、または温度を上昇させることによって増加させることができる。例えば、洗浄ステップに関するストリンジェントな塩濃度は、約30mM未満のNaClおよび3mMのクエン酸三ナトリウム、例えば約15mM未満のNaClおよび1.5mMのクエン酸三ナトリウムであり得る。洗浄ステップのためのストリンジェントな温度条件は通常、少なくとも約25℃、少なくとも約42℃、または少なくとも約68℃の温度を含む。ある特定の実施形態では、洗浄ステップは、25℃、30mMのNaCl、3mMのクエン酸三ナトリウム、および0.1%SDS中で起こる。ある特定の実施形態では、洗浄ステップは、42℃、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、および0.1%SDS中で起こる。ある特定の実施形態では、洗浄ステップは、68℃、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、および0.1%SDS中で起こる。これらの条件に関する追加の変形形態は、当業者には容易に明らかとなる。ハイブリダイゼーション技術は、当業者に周知であり、例えば、Benton and Davis (Science 196:180, 1977); Grunstein and Rogness (Proc. Natl. Acad. Sci., USA 72:3961, 1975); Ausubel et al. (Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience, New York, 2001); Berger and Kimmel (Guide to Molecular Cloning Techniques, 1987, Academic Press, New York);およびSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkに記載される。
【0069】
「実質的に同一」または「実質的に相同な」とは、参照アミノ酸配列(例えば、本明細書に記載されるアミノ酸配列のいずれか1つ)または核酸配列(例えば、本明細書に記載される核酸配列のいずれか1つ)と少なくとも約50%相同または同一を示すポリペプチドまたは核酸分子を意味する。ある特定の実施形態では、そのような配列は、比較のために使用されるアミノ酸または核酸の配列と少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一である。
【0070】
配列同一性は、配列分析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group,University of Wisconsin Biotechnology Center、1710 University Avenue、Madison、Wis.53705、BLAST、BESTFIT、GAP、またはPILEUP/PRETTYBOXプログラム)を使用ことによって測定することができる。そのようなソフトウェアは、様々な置換、欠失、および/または他の改変に対して相同性の程度を割り当てることによって同一または類似の配列を一致させる。保存的置換は典型的には、以下の群内の置換を含む:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リシン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。同一性の程度を決定するための例示的なアプローチでは、BLASTプログラムを、近縁の配列を示すe-3~e-100の間の確率スコアで使用してもよい。
【0071】
「アナログ」とは、参照ポリペプチドまたは核酸分子の機能を有する構造的に関連するポリペプチドまたは核酸分子を意味する。
【0072】
「リガンド」という用語は、本明細書で使用される場合、受容体に結合する分子を指す。ある特定の実施形態では、リガンドは別の細胞上の受容体に結合し、細胞-細胞認識および/または相互作用を可能にする。
【0073】
「構成的発現」または「構成的に発現された」という用語は、本明細書で使用される場合、全ての生理的条件下での発現または発現されることを指す。
【0074】
「疾患」とは、細胞、組織、または臓器の正常な機能に傷害を与えるまたは妨害する任意の状態、疾患、または障害、例えば新生物および細胞の病原体感染を意味する。
【0075】
「有効量」とは、治療効果を有するために十分な量を意味する。ある特定の実施形態では、「有効量」は、新生物の持続的な増殖、成長、または転移(例えば、浸潤または遊走)を停止、好転、または阻害するために十分な量である。
【0076】
「内因性」とは、細胞または組織において通常発現される核酸分子またはポリペプチドを意味する。
【0077】
「外因性」とは、細胞に内因的に存在しない核酸分子またはポリペプチドを意味する。したがって「外因性」という用語は、細胞において発現される任意の組換え核酸分子またはポリペプチド、例えば外来の、異種の、および過剰発現された核酸分子およびポリペプチドを包含する。「外因性」核酸とは、ネイティブ野生型細胞に存在しない核酸を意味し、例えば外因性核酸は、配列、位置/場所、または両方が内因性相対物とは異なり得る。明快にするために、外因性核酸は、そのネイティブの内因性相対物と比較して同じまたは異なる配列を有し得、これは、細胞そのものまたはその前駆体に遺伝子操作によって導入されてもよく、非ネイティブプロモーターまたは分泌配列などの代替の制御配列に必要に応じて連結してもよい。
【0078】
「異種核酸分子またはポリペプチド」とは、細胞または細胞から得た試料に通常存在しない核酸分子(例えば、cDNA、DNA、またはRNA分子)またはポリペプチドを意味する。この核酸は、別の生物に由来してもよく、または例えば細胞もしくは試料において通常発現されないmRNA分子であり得る。
【0079】
「モジュレートする」とは、正または負に変更することを意味する。例示的なモジュレーションは、約1%、約2%、約5%、約10%、約25%、約50%、約75%、または約100%の変化を含む。
【0080】
「増加する」とは、少なくとも約5%正に変更することを意味する。変更は、約5%、約10%、約25%、約30%、約50%、約75%、約100%、またはそれより多くであり得る。
【0081】
「低減する」とは、少なくとも約5%負に変更することを意味する。変更は、約5%、約10%、約25%、約30%、約50%、約75%、またはさらに約100%であり得る。
【0082】
「単離された」、「精製された」または「生物学的に純粋な」という用語は、材料であって、そのネイティブの状態で見られるようにそれに通常付随する構成成分を様々な程度で含まない材料を指す。「単離する」とは、元の起源または周囲からの分離の程度を示す。「精製する」とは、単離よりも高い分離の程度を示す。「精製された」または「生物学的に純粋な」タンパク質は、任意の不純物がタンパク質の生物学的特性に実質的に影響を及ぼさず、他の有害な結果を引き起こしもしないように他の材料を十分に含まない。すなわち、核酸またはペプチドは、それが組換えDNA技術によって産生される場合に細胞材料、ウイルス材料、もしくは培養培地を、または化学合成される場合に前駆的化学物質もしくは他の化学物質を実質的に含まなければ精製されている。純度および均一性は典型的に、分析化学技術、例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーを使用して決定される。「精製された」という用語は、核酸またはタンパク質が電気泳動ゲルにおいて本質的に1つのバンドを生じることを示し得る。改変、例えばリン酸化またはグリコシル化に供することができるタンパク質の場合、異なる改変は、異なる単離されたタンパク質を生じ得、これを個別に精製することができる。
【0083】
「単離された細胞」とは、細胞に天然に付随する分子および/または細胞構成成分から分離されている細胞を意味する。
【0084】
「抗原結合ドメイン」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞上に存在する特定の抗原決定基または抗原決定基のセットに特異的に結合することが可能なドメインを指す。
【0085】
「リンカー」とは、本明細書で使用される場合、2つまたはそれより多くのポリペプチドまたは核酸を互いに接続されるように共有結合により付着する官能基(例えば、化学物質またはポリペプチド)を意味するものとする。本明細書で使用される場合、「ペプチドリンカー」は、2つのタンパク質を共にカップリングするために(例えば、VおよびVドメインをカップリングするために)使用される1つまたは複数のアミノ酸を指す。ある特定の実施形態では、リンカーは、GGGGSGGGGSGGGGS[配列番号7]に記載の配列を含む。
【0086】
「新生物」とは、細胞または組織の病的な増殖およびその後の他の組織または臓器への遊走または浸潤によって特徴付けられる疾患を意味する。新生物の成長は典型的に制御されず、進行性であり、正常な細胞の複製を誘発しないかまたはその中止を引き起こす条件下で起こる。新生物は、膀胱、骨、脳、乳房、軟骨、グリア、食道、卵管、胆嚢、心臓、腸、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、神経組織、卵巣、膵臓、前立腺、骨格筋、皮膚、脊髄、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、気管、尿生殖器、尿管、尿道、子宮、および膣、またはその組織もしくは細胞タイプから選択される臓器を含むがこれらに限定されない多様な細胞タイプ、組織、または臓器を冒し得る。新生物は、がん、例えば肉腫、癌、または形質細胞腫(形質細胞の悪性腫瘍)を含む。ある特定の実施形態では、新生物はがんである。
【0087】
「受容体」とは、1つまたは複数のリガンドに選択的に結合する、細胞膜上に存在するポリペプチドまたはその一部を意味する。
【0088】
「認識する」とは、標的に選択的に結合することを意味する。腫瘍を認識するT細胞は、腫瘍抗原に結合する受容体(例えば、TCRまたはCAR)を発現することができる。
【0089】
「参照」または「対照」とは、比較の標準物質を意味する。例えば、CARおよびscFvを発現する細胞によるscFv-抗原結合レベルを、CARのみを発現する対応する細胞におけるscFv-抗原結合レベルと比較してもよい。
【0090】
「分泌された」とは、小胞体、ゴルジ体を通しての分泌経路を介して細胞から放出される、および、細胞形質膜で一過性に融合しタンパク質を細胞外に放出する小胞として細胞から放出される、ポリペプチドを意味する。
【0091】
「シグナル配列」または「リーダー配列」とは、それらが分泌経路に入ることを方向付ける、新たに合成されたタンパク質のN末端に存在するペプチド配列(例えば、5、10、15、20、25、または30アミノ酸)を意味する。例示的なリーダー配列としては、ヒトIL-2シグナル配列(例えば、MYRMQLLSCIALSLALVTNS[配列番号8])、マウスIL-2シグナル配列(例えば、MYSMQLASCVTLTLVLLVNS[配列番号9]);ヒトカッパリーダー配列(例えば、METPAQLLFLLLLWLPDTTG[配列番号10])、マウスカッパリーダー配列(例えば、METDTLLLWVLLLWVPGSTG[配列番号11]);ヒトCD8リーダー配列(例えば、MALPVTALLLPLALLLHAARP[配列番号12]);切断型ヒトCD8シグナルペプチド(例えば、MALPVTALLLPLALLLHA[配列番号13]);ヒトアルブミンシグナル配列(例えば、MKWVTFISLLFSSAYS[配列番号14]);およびヒトプロラクチンシグナル配列(例えば、MDSKGSSQKGSRLLLLLVVSNLLLCQGVVS[配列番号15])が挙げられるがこれらに限定されない。
【0092】
「可溶性」とは、水性環境において自由に拡散可能であるポリペプチドを意味する(例えば、膜に結合していない)。
【0093】
「特異的に結合する」とは、目的の生物学的分子(例えば、ポリペプチド)を認識し、それに結合するが、本開示のポリペプチドを天然に含む試料、例えば生物試料中の他の分子を実質的に認識も結合もしないポリペプチドまたはその断片を意味する。
【0094】
「腫瘍抗原」という用語は、本明細書で使用される場合、正常なまたは非新生物細胞と比較して腫瘍細胞上で独自にまたは差次的に発現される抗原(例えば、ポリペプチド)を指す。ある特定の実施形態では、腫瘍抗原は、抗原認識受容体(例えば、CD19、MUC-16)を介して免疫応答を活性化もしくは誘導することが可能な、または受容体-リガンド結合(例えば、CD47、PD-L1/L2、B7.1/2)を介して免疫応答を抑制することが可能な、腫瘍によって発現される任意のポリペプチドを含む。
【0095】
「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」という用語は、それらを米国特許法に帰する広い意味を有すると意図され、「含む(includes)」、「含むこと(including)」等を意味し得る。
【0096】
本明細書で使用される場合、「処置」は、処置される個体または細胞の疾患経過を変更する試みでの臨床介入を指し、予防のために、または臨床病理の過程の間のいずれかに実施することができる。処置の治療効果としては、疾患の発生または再発を防止すること、症状の軽減、疾患の任意の直接または間接的な病的結果の縮小、転移を防止すること、疾患進行速度を減少すること、疾患状態の好転または緩和、および寛解または予後の改善が、限定なしに挙げられる。疾患または障害の進行を予防することによって、処置は、罹患したもしくは診断された対象、または障害を有することが疑われる対象における障害による悪化を防止することができるが、処置はまた、障害のリスクがある対象または障害を有することが疑われる対象における障害の発生または障害の症状を防止し得る。
【0097】
本明細書における「個体」または「対象」は、ヒトまたは非ヒト動物、例えば哺乳動物などの脊椎動物である。哺乳動物としては、ヒト、霊長類、農場動物、競技用動物、齧歯類、およびペットが挙げられるがこれらに限定されない。非ヒト動物対象の非限定的な例としては、マウス、ラット、ハムスター、およびモルモットなどの齧歯類;ウサギ;イヌ;ネコ;ヒツジ;ブタ;ヤギ;ウシ;ウマ;ならびに非ヒト霊長類、例えば類人猿およびサルが挙げられる。「免疫無防備状態」という用語は、本明細書で使用される場合、免疫不全を有する対象を指す。前記対象は、健康な免疫系を有する人では通常疾患を引き起こさないが、免疫系の機能が不良であるかまたは抑制されている人を冒し得る生物によって引き起こされる感染症である、日和見感染症に対して非常に脆弱である。
【0098】
本明細書で使用される場合、分子またはポリペプチドの「機能的断片」は、分子またはポリペプチドの主な機能の少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%を保持する分子またはポリペプチドの断片を含む。
【0099】
本開示の主題の他の態様は、以下の開示に記載され、本開示の主題の範囲内である。
5.2.融合ポリペプチド
【0100】
本開示の主題は、抗原認識受容体(例えば、CAR、TCR、またはTCR様融合分子)を含む細胞の活性および/または有効性を増強することが可能である融合ポリペプチドを提供する。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、a)共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン、ならびにb)第1の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。
5.2.1.共刺激リガンド
【0101】
共刺激リガンドは、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーメンバー、免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーメンバー、およびそれらの組合せからなる群から選択することができる。TNFファミリーメンバーは、4-1BBL、OX40L、CD70、GITRL、CD40L、およびそれらの組合せからなる群から選択することができる。Igスーパーファミリーメンバーは、CD80、CD86、ICOSリガンド(ICOSLG(「CD275」としても公知)、およびそれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0102】
ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはCD80である。ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはヒトCD80である。ある特定の実施形態では、CD80は、NCBI参照番号:NP_005182を有するアミノ酸配列(配列番号16)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号16を以下に提供する。
【化1】
【0103】
ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。配列番号1の機能的断片は、少なくとも約50、少なくとも約75、少なくとも約100、少なくとも約125、少なくとも約150、少なくとも約175、または少なくとも約200、または少なくとも約220アミノ酸の長さである配列番号1の連続する部分であり得る。ある特定の実施形態では、配列番号1の機能的断片は、CD80の細胞外ドメインの主な機能の少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%を保持する。CD80の細胞外ドメインの主な機能の非限定的な例としては、CD28に結合すること/それと相互作用すること、CTLA-4に結合すること/それと相互作用すること、PD-L1に結合すること/それと相互作用すること、およびCD80ホモ二量体形成に寄与することが挙げられる。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)を含むかまたはそれからなる。配列番号1を以下に提供する。
【化2】
【0104】
ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその断片を含むかまたはそれからなる。配列番号2の断片は、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約15、または少なくとも約20アミノ酸の長さであり得る。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)を含むかまたはそれからなる。配列番号2を以下に提供する。
【化3】
【0105】
ある特定の実施形態では、共刺激リガンドは4-1BBLである。ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはヒト4-1BBLである。ある特定の実施形態では、4-1BBLは、NCBI参照番号:NP_003802.1を有するアミノ酸配列(配列番号17)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号17を以下に提供する。
【化4-1】
【化4-2】
【0106】
ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはOX40Lである。ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはヒトOX40Lである。ある特定の実施形態では、OX40Lは、NCBI参照番号:NP_003317を有するアミノ酸配列(配列番号18)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号18を以下に提供する。
【化5】
【0107】
ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはCD70である。ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはヒトCD70である。ある特定の実施形態では、CD70は、NCBI参照番号:NP_001243を有するアミノ酸配列(配列番号19)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号19を以下に提供する。
【化6】
【0108】
ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはCD86である。ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはヒトCD86である。ある特定の実施形態では、CD86は、NCBI参照番号:NP_787058.5を有するアミノ酸配列(配列番号20)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号20を以下に提供する。
【化7-1】
【化7-2】
【0109】
ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはGITRLである。ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはヒトGITRLである。ある特定の実施形態では、GITRLは、NCBI参照番号:NP_005083.2を有するアミノ酸配列(配列番号21)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号21を以下に提供する。
【化8】
【0110】
ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはICOSリガンド(ICOSLG)である。ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはヒトICOSLGである。ある特定の実施形態では、ICOSLGは、NCBI参照番号:NP_056074.1を有するアミノ酸配列(配列番号22)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号22を以下に提供する。
【化9】
【0111】
ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはCD40L(「CD154」としても公知)である。ある特定の実施形態では、共刺激リガンドはヒトCD40Lである。ある特定の実施形態では、CD40Lは、NCBI参照番号:NP_000065.1を有するアミノ酸配列(配列番号23)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号23を以下に提供する。
【化10】
【0112】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、第2の共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、第3の共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、第4の共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、第5の共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、第1の、第2の、第3の、第4の、および第5の共刺激リガンドは、互いに同じかまたは異なり得る。
【0113】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、CD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。
5.2.2.共刺激分子
【0114】
共刺激分子の非限定的な例としては、CD28、4-1BB、OX40、ICOS、DAP-10、CD27、CD40、NKG2D、CD2、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0115】
ある特定の実施形態では、共刺激分子は4-1BBである。4-1BBは、腫瘍壊死因子(TNF)リガンドとして作用し、刺激活性を有し得る。ある特定の実施形態では、共刺激分子はヒト4-1BBである。ある特定の実施形態では、4-1BBは、NCBI参照番号:NP_001552を有するアミノ酸配列(配列番号24)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号24を以下に提供する。
【化11】
【0116】
ある特定の実施形態では、4-1BBの細胞内ドメインは、配列番号3に記載のアミノ酸配列(または配列番号24のアミノ酸214~255)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、4-1BBの細胞内ドメインは、配列番号3に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。配列番号3の機能的断片は、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、または少なくとも約40アミノ酸の長さである配列番号3の連続する部分であり得る。ある特定の実施形態では、配列番号3の機能的断片は、4-1BBの細胞内ドメインの主な機能の少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%を保持する。4-1BBの細胞内ドメインの主な機能の非限定的な例としては、免疫応答細胞(例えば、T細胞)の活性化および増殖のための共刺激シグナル伝達を提供すること、ならびに下流のアダプター(例えば、TRAF)と相互作用することおよび活性化することが挙げられる。ある特定の実施形態では、4-1BBの細胞内ドメインは、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号3を以下に提供する:
【化12】
【0117】
ある特定の実施形態では、共刺激分子はCD28である。ある特定の実施形態では、共刺激分子はヒトCD28である。ある特定の実施形態では、CD28は、NCBI参照番号:NP_006130を有するアミノ酸配列(配列番号25)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号25を以下に提供する。
【化13】
【0118】
ある特定の実施形態では、CD28の細胞内ドメインは、配列番号5に記載のアミノ酸配列(または配列番号25のアミノ酸180~219)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD28の細胞内ドメインは、配列番号5に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。配列番号5の機能的断片は、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、または少なくとも約35アミノ酸の長さである配列番号5の連続する部分であり得る。ある特定の実施形態では、配列番号5の機能的断片は、CD28の細胞内ドメインの主な機能の少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%を保持する。CD28の細胞内ドメインの主な機能の非限定的な例としては、免疫応答細胞(例えば、T細胞)の活性化および増殖のための共刺激シグナル伝達を提供すること、ならびにタンパク質アダプター(例えば、PI3K、GRB2、およびLCK)と相互作用することが挙げられる。ある特定の実施形態では、CD28の細胞内ドメインは、配列番号5に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号5を以下に提供する:
【化14】
【0119】
ある特定の実施形態では、共刺激分子はOX40である。ある特定の実施形態では、共刺激分子はヒトOX40である。ある特定の実施形態では、OX40は、NCBI参照番号:NP_003318.1を有するアミノ酸配列(配列番号26)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、OX40の細胞内ドメインは、配列番号26のアミノ酸236~277もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、OX40の細胞内ドメインは、配列番号26のアミノ酸236~277またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、OX40の細胞内ドメインは、配列番号26のアミノ酸236~277を含むかまたはそれからなる。配列番号26を以下に提供する。
【化15】
【0120】
ある特定の実施形態では、共刺激分子はICOSである。ある特定の実施形態では、共刺激分子はヒトICOSである。ある特定の実施形態では、ICOSは、NCBI参照番号:NP_036224.1を有するアミノ酸配列(配列番号27)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一で相同である(homologous or identical homologous)、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、ICOSの細胞内ドメインは、配列番号27のアミノ酸162~199もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、ICOSの細胞内ドメインは、配列番号27のアミノ酸162~199またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、ICOSの細胞内ドメインは、配列番号27のアミノ酸162~199を含むかまたはそれからなる。配列番号27を以下に提供する。
【化16】
【0121】
ある特定の実施形態では、共刺激分子はDAP-10である。ある特定の実施形態では、共刺激分子はヒトDAP-10である。ある特定の実施形態では、DAP-10は、NCBI参照番号:NP_001007470.1を有するアミノ酸配列(配列番号28)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、DAP10の細胞内ドメインは、配列番号28のアミノ酸70~92もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、DAP10の細胞内ドメインは、配列番号28のアミノ酸70~92またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、DAP10の細胞内ドメインは、配列番号28のアミノ酸70~92を含むかまたはそれからなる。配列番号28を以下に提供する。
【化17】
【0122】
ある特定の実施形態では、共刺激分子はCD27である。ある特定の実施形態では、共刺激分子はヒトCD27である。ある特定の実施形態では、CD27は、NCBI参照番号:NP_001233.1を有するアミノ酸配列(配列番号29)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一で相同である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD27の細胞内ドメインは、配列番号29のアミノ酸213~260もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD27の細胞内ドメインは、配列番号29のアミノ酸213~260またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD27の細胞内ドメインは、配列番号29のアミノ酸213~260を含むかまたはそれからなる。配列番号29を以下に提供する。
【化18】
【0123】
ある特定の実施形態では、共刺激分子はCD40である。ある特定の実施形態では、共刺激分子はヒトCD40である。ある特定の実施形態では、CD40は、NCBI参照番号:NP_001241.1を有するアミノ酸配列(配列番号30)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD40の細胞内ドメインは、配列番号30のアミノ酸216~277もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD40の細胞内ドメインは、配列番号30のアミノ酸216~277またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD40の細胞内ドメインは、配列番号30のアミノ酸216~277を含むかまたはそれからなる。配列番号30を以下に提供する。
【化19】
【0124】
ある特定の実施形態では、共刺激分子はNKG2Dである。ある特定の実施形態では、共刺激分子はヒトNKG2Dである。ある特定の実施形態では、NKG2Dは、NCBI参照番号:NP_031386.2を有するアミノ酸配列(配列番号31)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一で相同である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、NKG2Dの細胞内ドメインは、配列番号31のアミノ酸73~216もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、NKG2Dの細胞内ドメインは、配列番号31のアミノ酸73~216またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、NKG2Dの細胞内ドメインは、配列番号31のアミノ酸73~216を含むかまたはそれからなる。配列番号31を以下に提供する。
【化20】
【0125】
ある特定の実施形態では、共刺激分子はCD2である。ある特定の実施形態では、共刺激分子はヒトCD2である。ある特定の実施形態では、CD2は、NCBI参照番号:NP_001315538を有するアミノ酸配列(配列番号32)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD2の細胞内ドメインは、配列番号32のアミノ酸236~351もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD2の細胞内ドメインは、配列番号32のアミノ酸アミノ酸236~351またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD2の細胞内ドメインは、配列番号32のアミノ酸236~351を含むかまたはそれからなる。配列番号32を以下に提供する。
【化21】
【0126】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、第2の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、第3の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、第4の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、第5の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。ある特定の実施形態では、第1の、第2の、第3の、第4の、および第5の共刺激分子は、互いに同じかまたは異なり得る。
【0127】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、4-1BBである第1の共刺激分子の細胞内ドメイン、およびCD28である第2の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。
5.2.3.サイトカイン受容体
【0128】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドはさらに、サイトカイン受容体を含む。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドはさらに、サイトカイン受容体のシグナル伝達ドメインを含む。サイトカイン受容体またはサイトカイン受容体のシグナル伝達ドメインは、融合ポリペプチドのN末端またはC末端に配置され得る。ある特定の実施形態では、サイトカイン受容体またはサイトカイン受容体のシグナル伝達ドメインは、融合ポリペプチドのC末端に配置される。ある特定の実施形態では、サイトカイン受容体またはサイトカイン受容体のシグナル伝達ドメインは、共刺激リガンド(例えば、CD80、4-1BBL、OX40L、CD70、GITRL、CD40L、CD86、またはICOSLG)のC末端に配置される。サイトカイン受容体の非限定的な例としては、CD121a、CDw121b、IL-18Ra、IL18Rb、CD122、CD25、CD132、CD124、CD213a13、CD127、IL-9R、IL15Ra、CDw125、CDw131、CD126、CD130、IL11Ra、Cd114、CD212、CD4、CDw217、CD118、およびCDw119が挙げられる。
5.2.4.例示的な融合ポリペプチド
【0129】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、a)CD80である共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン;ならびにb)4-1BB、CD28、OX40、ICOS、DAP-10、CD27、CD40、NKG2D、CD2、およびそれらの組合せからなる群から選択される第1の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。
5.2.4.1.CD80/4-1BB融合ポリペプチド
【0130】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、a)CD80である共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン;ならびにb)4-1BBである第1の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。
【0131】
ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0132】
ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)を含むかまたはそれからなる。
【0133】
ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)を含むかまたはそれからなる。
【0134】
ある特定の実施形態では、4-1BBは、配列番号24に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、4-1BBは、配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0135】
ある特定の実施形態では、4-1BBの細胞内ドメインは、配列番号3に記載のアミノ酸配列(または配列番号24のアミノ酸214~255)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、4-1BBの細胞内ドメインは、配列番号3に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、4-1BBの細胞内ドメインは、配列番号3に記載のアミノ酸配列(または配列番号24のアミノ酸214~255)を含むかまたはそれからなる。
【0136】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号4に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号4を以下に提供する。
【0137】
【化22】
5.2.4.2.CD80/4-1BB-CD28融合ポリペプチド
【0138】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、a)CD80である共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン;b)4-1BBである第1の共刺激分子の細胞内ドメイン;ならびにc)CD28である第2の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。
【0139】
ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0140】
ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)を含むかまたはそれからなる。
【0141】
ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)を含むかまたはそれからなる。
【0142】
ある特定の実施形態では、4-1BBは、配列番号24に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、4-1BBは、配列番号24に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0143】
ある特定の実施形態では、4-1BBの細胞内ドメインは、配列番号3のアミノ酸配列(または配列番号24のアミノ酸214~255)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、4-1BBの細胞内ドメインは、配列番号3に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、4-1BBの細胞内ドメインは、配列番号3に記載のアミノ酸配列(または配列番号24のアミノ酸214~255)を含むかまたはそれからなる。
【0144】
ある特定の実施形態では、CD28は、配列番号25に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD28は、配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0145】
ある特定の実施形態では、CD28の細胞内ドメインは、配列番号5に記載のアミノ酸配列(または配列番号25のアミノ酸180~219)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD28の細胞内ドメインは、配列番号5に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD28の細胞内ドメインは、配列番号5に記載のアミノ酸配列(または配列番号25のアミノ酸180~219)を含むかまたはそれからなる。
【0146】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号6に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号6を以下に提供する。
【化23】
5.2.4.3.CD80/CD28融合ポリペプチド
【0147】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、a)CD80である共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン;ならびにb)CD28である第1の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。
【0148】
ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0149】
ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)を含むかまたはそれからなる。
【0150】
ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)を含むかまたはそれからなる。
【0151】
ある特定の実施形態では、CD28は、配列番号25に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD28は、配列番号25に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0152】
ある特定の実施形態では、CD28の細胞内ドメインは、配列番号5に記載のアミノ酸配列(または配列番号25のアミノ酸180~219)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD28の細胞内ドメインは、配列番号5に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD28の細胞内ドメインは、配列番号5に記載のアミノ酸配列(または配列番号25のアミノ酸180~219)を含むかまたはそれからなる。
5.2.4.4.CD80/OX40融合ポリペプチド
【0153】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、a)CD80である共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン;ならびにb)OX40である第1の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。
【0154】
ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0155】
ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)を含むかまたはそれからなる。
【0156】
ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)を含むかまたはそれからなる。
【0157】
ある特定の実施形態では、OX40は、配列番号26に記載のアミノ酸配列もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、OX40の細胞内ドメインは、配列番号26のアミノ酸236~277もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、OX40の細胞内ドメインは、配列番号26のアミノ酸236~277またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、OX40の細胞内ドメインは、配列番号26のアミノ酸236~277を含むかまたはそれからなる。
5.2.4.5.CD80/ICOS融合ポリペプチド
【0158】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、a)CD80である共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン;ならびにb)ICOSである第1の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。
【0159】
ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0160】
ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)を含むかまたはそれからなる。
【0161】
ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)を含むかまたはそれからなる。
【0162】
ある特定の実施形態では、ICOSは、配列番号27に記載のアミノ酸配列もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一で相同である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、ICOSの細胞内ドメインは、配列番号27のアミノ酸162~199もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、ICOSの細胞内ドメインは、配列番号27のアミノ酸162~199またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、ICOSの細胞内ドメインは、配列番号27のアミノ酸162~199を含むかまたはそれからなる。
5.2.4.6.CD80/DAP-10融合ポリペプチド
【0163】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、a)CD80である共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン;ならびにb)DAP-10である第1の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。
【0164】
ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0165】
ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)を含むかまたはそれからなる。
【0166】
ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)を含むかまたはそれからなる。
【0167】
ある特定の実施形態では、DAP-10は、配列番号28に記載のアミノ酸配列もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、DAP10の細胞内ドメインは、配列番号28のアミノ酸70~92もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、DAP10の細胞内ドメインは、配列番号28のアミノ酸70~92またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、DAP10の細胞内ドメインは、配列番号28のアミノ酸70~92を含むかまたはそれからなる。
5.2.4.7.CD80/CD27融合ポリペプチド
【0168】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、a)CD80である共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン;ならびにb)CD27である第1の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。
【0169】
ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0170】
ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)を含むかまたはそれからなる。
【0171】
ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)を含むかまたはそれからなる。
【0172】
ある特定の実施形態では、CD27は、配列番号29に記載のアミノ酸配列もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一で相同である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD27の細胞内ドメインは、配列番号29のアミノ酸213~260もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD27の細胞内ドメインは、配列番号29のアミノ酸213~260またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD27の細胞内ドメインは、配列番号29のアミノ酸213~260を含むかまたはそれからなる。
5.2.4.8.CD80/CD40融合ポリペプチド
【0173】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、a)CD80である共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン;ならびにb)CD40である第1の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。
【0174】
ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0175】
ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)を含むかまたはそれからなる。
【0176】
ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)を含むかまたはそれからなる。
【0177】
ある特定の実施形態では、CD40は、配列番号30に記載のアミノ酸配列もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD40の細胞内ドメインは、配列番号30のアミノ酸216~277もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD40の細胞内ドメインは、配列番号30のアミノ酸216~277またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD40の細胞内ドメインは、配列番号30のアミノ酸216~277を含むかまたはそれからなる。
5.2.4.9.CD80/NKG2D融合ポリペプチド
【0178】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、a)CD80である共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン;ならびにb)NKG2Dである第1の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。
【0179】
ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0180】
ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)を含むかまたはそれからなる。
【0181】
ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)を含むかまたはそれからなる。
【0182】
ある特定の実施形態では、NKG2Dは、配列番号31に記載のアミノ酸配列もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一で相同である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、NKG2Dの細胞内ドメインは、配列番号31のアミノ酸73~216もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、NKG2Dの細胞内ドメインは、配列番号31のアミノ酸73~216またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、NKG2Dの細胞内ドメインは、配列番号31のアミノ酸73~216を含むかまたはそれからなる。
5.2.4.9.CD80/CD2融合ポリペプチド
【0183】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、a)CD80である共刺激リガンドの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメイン;ならびにb)CD2である第1の共刺激分子の細胞内ドメインを含む。
【0184】
ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0185】
ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列またはその機能的断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の細胞外ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸1~242)を含むかまたはそれからなる。
【0186】
ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)と少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD80の膜貫通ドメインは、配列番号2に記載のアミノ酸配列(または配列番号16のアミノ酸243~263)を含むかまたはそれからなる。
【0187】
ある特定の実施形態では、CD2は、配列番号32に記載のアミノ酸配列もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD2の細胞内ドメインは、配列番号32のアミノ酸236~351もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD2の細胞内ドメインは、配列番号32のアミノ酸236~351またはその断片を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD2の細胞内ドメインは、配列番号32のアミノ酸236~351を含むかまたはそれからなる。
5.2.5.融合ポリペプチドの活性
【0188】
本開示の融合ポリペプチドは、抗原認識受容体(例えば、CAR、TCR、またはTCR様分子)を含む細胞を刺激することが可能である。ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、シスおよび/またはトランスでT細胞に刺激を提供する。
【0189】
ある特定の実施形態では、本開示の融合ポリペプチドに含まれる共刺激リガンドは、CD80である。CD80は、CD28、CTLA-4、およびPD-L1と相互作用することができる。CD80は、T細胞によって発現される主な共刺激分子であるCD28分子のリガンドである。活性化されると、T細胞はCTLA-4およびPD-L1を発現し、これはT細胞受容体(「TCR」)およびCD28の下流のシグナル伝達を負に調節する。CTLA-4は、CD80と相互作用することによってCD28の競合剤(competitor)として機能する(CTLA-4/CD80の相互作用の親和性は通常、CD80/CD28より高い)。PD-L1、PDL1の受容体は、TCRおよびCD28の下流のシグナロソームの脱リン酸化によってT細胞阻害剤として機能する。CTLA-4と同様に、PD-L1もまた、ある特定の条件下でCD80と相互作用することが可能である。
【0190】
本開示の融合ポリペプチド(例えば、CD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む融合ポリペプチド)は、3つの異なる受容体:CD28、CTLA-4、およびPD-L1をライゲーションすることができる。そうすることによって、これらのライゲーションは、(i)共刺激分子(例えば、4-1BB、CD28、OX40、ICOS、DAP-10、CD27、CD40、NKG2D、またはCD2)の細胞内ドメインを通してシグナル伝達すること、ならびに(ii)CTLA4/CD80およびPDL-1/PD-1ライゲーションと競合し、それによってT細胞に対する阻害性のシグナル伝達を活性化シグナル伝達へとシフトさせることを提供する。T細胞上でのCD80の構成的発現(例えば、高レベルで)は、内因性CD28との相互作用の際に強い共刺激を提供する。CTLA-4およびPD-L1と相互作用することによって、CD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む融合ポリペプチドは、内因性のCD80/CTLA4およびPD-1/PD-L1(例えば、低レベルで発現される)と競合して、T細胞に正のシグナル伝達を与えることができる。CTLA-4は、操作されたバイスタンダーT細胞上に発現される。PD-L1は、異なる細胞タイプ(主に抗原提示細胞および腫瘍細胞)に発現され、操作されたT細胞上でもまた見出され得る。CD80の細胞内ドメインを共刺激由来シグナル伝達ドメイン(例えば、共刺激分子(例えば、CD28、および/または4-1BB等)の細胞内ドメイン)と交換することにより、CD80シグナル伝達を負から正へとシフトさせる。
【0191】
本開示の融合ポリペプチド(例えば、CD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む融合ポリペプチド)は、CD28分子との結合(engagement)を介してのシスおよびトランスでT細胞の刺激、ならびに1つまたは複数の共刺激分子(例えば、4-1BBおよび/またはCD28)の細胞内ドメインを介してのシグナル伝達の送達を提供する。その上、CD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む融合ポリペプチドは、CTLA-4およびPD-L1と結合することができ、2つの阻害性分子は腫瘍微小環境において上方調節されることが公知である。これらの相互作用はT細胞阻害をT細胞活性化へとシフトさせる。このように、本開示の融合ポリペプチド(例えば、CD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む融合ポリペプチド)は、T細胞に共刺激を与え、好ましくない腫瘍微小環境において発現されるT細胞阻害性受容体から確実に利益をもたらす。
5.2.6.融合ポリペプチドの調節可能性
【0192】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは調節することができ、例えば調節可能である。調節因子は、融合ポリペプチドの発現および/または活性を調節またはモジュレートすることができる。調節因子によって、融合ポリペプチドの発現および/または活性のスイッチをオンにする、またはスイッチをオフにすることができる。融合ポリペプチドは、その発現レベル(すなわち、構成的に高い、構成的に低い、または誘導可能)を制御することによって、または外因性の分子(例えば、抗体、Ig融合タンパク質)の投与によって調節することができる。これらのアプローチは、融合ポリペプチドの機能のスイッチをオンおよびオフにする目的を果たす。
【0193】
調節因子の非限定的な例としては、融合ポリペプチドの発現を制御することが可能なプロモーター(例えば、誘導型プロモーター)、融合ポリペプチドに含まれる共刺激リガンドの発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子、ならびに融合ポリペプチドに含まれる共刺激分子の発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子が挙げられる。
【0194】
融合ポリペプチドに含まれる共刺激リガンドの発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子は、共刺激リガンドに結合する抗体、ならびに共刺激リガンドに結合し、共刺激リガンドの発現および/または活性をモジュレートする融合タンパク質を含む。ある特定の実施形態では、調節因子は、共刺激リガンドに結合する抗体である。
【0195】
融合ポリペプチドに含まれる共刺激分子の発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子は、共刺激分子に結合する抗体、ならびに共刺激分子に結合し、共刺激分子の発現および/または活性をモジュレートする融合タンパク質を含む。ある特定の実施形態では、調節因子は、共刺激分子に結合する抗体である。
【0196】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、CD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含み、調節因子は抗CD80抗体である。
【0197】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、CD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含み、調節因子は、CD80に結合し、CD80の活性をモジュレートする融合タンパク質である。ある特定の実施形態では、融合タンパク質は、CD80に結合するCTLA4断片を含む。ある特定の実施形態では、CTLA4断片は、アバタセプトおよびベラタセプトからなる群から選択される。
5.2.7.融合ポリペプチドをコードする核酸分子
【0198】
本開示の主題はさらに、本明細書に開示される融合ポリペプチドをコードする核酸分子を提供する。加えて、本開示の主題は、本明細書に記載される核酸分子を含むベクターを提供する。ベクターはウイルスベクターまたは非ウイルスベクターであり得る。ある特定の実施形態では、ベクターはウイルスベクターである。ある特定の実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、例えばガンマレトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである。
5.3.細胞
【0199】
本開示の主題は、本明細書に開示される融合ポリペプチドを含む細胞を提供する。ある特定の実施形態では、融合タンパク質は、細胞の抗腫瘍効果を促進することが可能である。ある特定の実施形態では、細胞は、リンパ系列の細胞および骨髄性系列の細胞からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、細胞は免疫応答細胞である。ある特定の実施形態では、免疫応答細胞はリンパ系列の細胞である。
【0200】
ある特定の実施形態では、細胞はリンパ系列の細胞である。リンパ系列の細胞は、抗体の産生、細胞性免疫系の調節、血液中の外来作用物質の検出、宿主に対して外来である細胞の検出等を提供することができる。リンパ系列の細胞の非限定的な例としては、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、樹状細胞、そこからリンパ系細胞が分化し得る幹細胞が挙げられる。ある特定の実施形態では、幹細胞は、多能性幹細胞(例えば、胚性幹細胞)である。
【0201】
ある特定の実施形態では、細胞はT細胞である。T細胞は、胸腺で成熟し、主に細胞性免疫を担うリンパ球であり得る。T細胞は、適応免疫系に関係している。本開示の主題のT細胞は、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞(セントラルメモリーT細胞、幹細胞様メモリーT細胞(または幹様メモリーT細胞)、および2つのタイプのエフェクターメモリーT細胞:例えば、TEM細胞およびTEMRA細胞を含む)、制御性T細胞(サプレッサーT細胞としても公知)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、ナチュラルキラーT細胞、粘膜関連インバリアントT細胞、およびγδ T細胞を含むがこれらに限定されない任意のタイプのT細胞であり得る。細胞傷害性T細胞(CTLまたはキラーT細胞)は、感染した体細胞または腫瘍細胞の死を誘導することが可能なTリンパ球のサブセットである。患者自身のT細胞を、抗原認識受容体、例えばCARまたはTCRの導入を通して特異的抗原を標的とするように遺伝子改変してもよい。T細胞は、CD4 T細胞またはCD8 T細胞であり得る。ある特定の実施形態では、T細胞はCD4 T細胞である。ある特定の実施形態では、T細胞はCD8 T細胞である。ある特定の実施形態では、CD8 T細胞はCD4非依存的である。ある特定の実施形態では、T細胞は、人工多能性幹細胞(iPSC)に由来する。ある特定の実施形態では、T細胞は、CD4非依存的であるCD8 T細胞であり、CD8 T細胞はiPSCに由来する。
【0202】
ある特定の実施形態では、細胞はNK細胞である。ナチュラルキラー(NK)細胞は、細胞性免疫の一部であり、自然免疫応答の際に作用するリンパ球であり得る。NK細胞は、標的細胞上でその細胞傷害効果を実施するために予め活性化を必要としない。
【0203】
本開示の主題のヒトリンパ球のタイプとしては、末梢ドナーリンパ球、例えばSadelain, M., et al. 2003 Nat Rev Cancer 3:35-45(CARを発現するように遺伝子改変された末梢ドナーリンパ球を開示する)、Morgan, R.A., et al. 2006 Science 314:126-129(αおよびβヘテロ二量体を含む全長の腫瘍抗原認識T細胞受容体複合体を発現するように遺伝子改変された末梢ドナーリンパ球を開示する)、Panelli, M.C., et al. 2000 J Immunol 164:495-504; Panelli, M.C., et al. 2000 J Immunol 164:4382-4392(腫瘍生検中の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)に由来するリンパ球培養を開示する)、およびDupont, J., et al. 2005 Cancer Res 65:5417-5427; Papanicolaou, G.A., et al. 2003 Blood 102:2498-2505(人工抗原提示細胞(AAPC)またはパルスした樹状細胞を用いる選択的にin vitroで増大させた抗原特異的末梢血白血球を開示する)に開示されるリンパ球が、限定なしに挙げられる。
【0204】
細胞(例えば、T細胞)は、自己、非自己(例えば、同種)であるか、または操作された前駆細胞もしくは幹細胞からin vitroで得ることができる。
【0205】
ある特定の実施形態では、本開示の細胞は、腫瘍微小環境をモジュレートすることが可能である。腫瘍は、免疫による認識および排除から腫瘍を保護するために悪性細胞による一連の機構を伴う、宿主免疫応答に対して好ましくない微小環境を有する。この「好ましくない腫瘍微小環境(hostile tumor microenvironment)」は、浸潤性制御性CD4 T細胞(Treg)、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)、腫瘍関連マクロファージ(TAM)、TGF-βを含む免疫抑制性サイトカイン、および活性化T細胞によって発現される免疫抑制性受容体(CTLA-4およびPD-1)に標的化されるリガンドの発現を含む多様な免疫抑制因子を含む。免疫抑制のこれらの機構は、寛容の維持、および不適切な免疫応答の抑制において役割を果たすが、腫瘍微小環境内では、これらの機構は有効な抗腫瘍免疫応答を防止する。集合的に、これらの免疫抑制因子は、標的化腫瘍細胞と遭遇すると養子移入されたCAR改変T細胞の顕著なアネルギーまたはアポトーシスのいずれかを誘導することができる。
【0206】
ある特定の実施形態では、細胞は骨髄性系列の細胞である。骨髄性系列の細胞の非限定的な例としては、単球、マクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球、赤血球、巨核球、およびそこから骨髄系の細胞が分化し得る幹細胞が挙げられる。
【0207】
ある特定の実施形態では、幹細胞は多能性幹細胞(例えば、胚性幹細胞または人工多能性幹細胞)である。
【0208】
ある特定の実施形態では、細胞はさらに、抗原認識受容体を含む。ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は細胞を活性化することが可能である。細胞が抗原認識受容体および融合ポリペプチドを共発現するように、細胞に、抗原認識受容体および融合ポリペプチドを形質導入することができる。
【0209】
融合ポリペプチドは、第1のプロモーターに作動可能に連結され得る。抗原認識受容体は、第2のプロモーターに作動可能に連結され得る。第1のプロモーターは第2のプロモーターと同じであり得る。あるいは、第1のプロモーターは第2のプロモーターとは異なる。第1および第2のプロモーターは内因性または外因性であり得る。外因性プロモーターの非限定的な例としては、伸長因子(EF)-1プロモーター、サイトメガロウイルス前初期プロモーター(CMV)プロモーター、シミアンウイルス40初期プロモーター(SV40)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、およびメタロチオネインプロモーターが挙げられる。ある特定の実施形態では、第1および第2のプロモーターの一方または両方は、誘導型プロモーターである。ある特定の実施形態では、誘導型プロモーターは、NFAT転写応答エレメント(TRE)プロモーター、CD69プロモーター、CD25プロモーター、およびIL-2プロモーターから選択される。
【0210】
ある特定の実施形態では、細胞はT細胞であり、融合ポリペプチドおよび抗原認識受容体は、T細胞のゲノム内の遺伝子座で組み込まれる。遺伝子座の非限定的な例としては、TRAC遺伝子座、TRBC遺伝子座、TRDC遺伝子座、およびTRGC遺伝子座が挙げられる。ある特定の実施形態では、遺伝子座はTRAC遺伝子座またはTRBC遺伝子座である。CARをT細胞のゲノム内の部位へと標的化する方法は、その両方のその全体が参照により組み込まれる、WO2017180989およびEyquem et al., Nature. (2017 Mar 2); 543(7643): 113-117に開示されている。
【0211】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドおよび抗原認識受容体は、免疫阻害分子をコードする遺伝子座で組み込まれる。免疫阻害分子の非限定的な例としては、CTLA-4、PD-1、LAG3、BTLA、B7-1、B7-H1、B7-H3、B7-H4、TIM3、SHP-1、SHP-2、TIGIT、CD160、およびLAIR1が挙げられる。
5.4.抗原認識受容体
【0212】
ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は目的の抗原に結合する。ある特定の実施形態では、抗原は腫瘍抗原または病原体抗原である。ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)である。ある特定の実施形態では、抗原認識受容体はT細胞受容体(TCR)である。ある特定の実施形態では、抗原認識受容体はTCR様融合分子である。
5.4.1.抗原
【0213】
ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は腫瘍抗原に結合する。任意の腫瘍抗原(抗原性ペプチド)を本明細書に記載される腫瘍関連実施形態に使用することができる。抗原の起源としては、がんタンパク質が挙げられるがこれらに限定されない。抗原は、ペプチドとして、またはインタクトタンパク質もしくはその一部として発現され得る。インタクトタンパク質またはその一部は、ネイティブまたは変異誘発であり得る。腫瘍抗原の非限定的な例としては、CD19、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、癌胎児性抗原(CEA)、CD8、CD7、CD10、CD20、CD22、CD30、CD33、CLL1、CD34、CD38、CD41、CD44、CD49f、CD56、CD74、CD133、CD138、CD123、CD44V6、サイトメガロウイルス(CMV)感染細胞の抗原(例えば、細胞表面抗原)、上皮糖タンパク質-2(EGP-2)、上皮糖タンパク質-40(EGP-40)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、受容体チロシンタンパク質キナーゼErb-B2、Erb-B3、Erb-B4、葉酸結合タンパク質(FBP)、胎児型アセチルコリン受容体(AChR)、葉酸受容体-α、ガングリオシドG2(GD2)、ガングリオシドG3(GD3)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER-2)、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)、インターロイキン13受容体サブユニットアルファ-2(IL-13Rα2)、κ-軽鎖、キナーゼ挿入ドメイン受容体(KDR)、Lewis Y(LeY)、L1細胞接着分子(L1CAM)、黒色腫抗原ファミリーA、1(MAGE-A1)、ムチン16(MUC16)、ムチン1(MUC1)、メソテリン(MSLN)、ERBB2、MAGEA3、p53、MART1、GP100、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、サバイビン、hTERT、EphA2、NKG2Dリガンド、がん-精巣抗原NY-ES0-1、癌胎児抗原(h5T4)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、ROR1、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG-72)、血管内皮成長因子R2(VEGF-R2)、ウィルムス腫瘍タンパク質(WT-1)、BCMA、NKCS1、EGF1R、EGFR-VIII、CD99、CD70、ADGRE2、CCR1、LILRB2、PRAME、およびERBBが挙げられる。
【0214】
ある特定の実施形態では、抗原認識受容体はCD19に結合する。ある特定の実施形態では、抗原認識受容体はマウスCD19ポリペプチドに結合する。ある特定の実施形態では、マウスCD19ポリペプチドは配列番号33に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号33を以下に提供する。
【化24】
【0215】
ある特定の実施形態では、抗原認識受容体はヒトCD19ポリペプチドに結合する。ある特定の実施形態では、ヒトCD19ポリペプチドは配列番号34に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号34を以下に提供する。
【化25】
【0216】
ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は、CD19タンパク質の細胞外ドメインに結合する。
【0217】
ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は、例えば免疫無防備状態の対象における、例えば病原体感染または他の感染性疾患を処置および/または防止することにおける使用のために、病原体抗原に結合する。病原体の非限定的な例としては、疾患を引き起こすことが可能なウイルス、細菌、真菌、寄生虫、および原虫が挙げられる。
【0218】
ウイルスの非限定的な例としては、Retroviridae(例えば、ヒト免疫不全ウイルス、例えばHIV-1(HDTV-III、LAVE、またはHTLV-III/LAV、またはHIV-IIIとも称される;および他の分離株、例えばHIV-LP;Picornaviridae(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);Calciviridae(例えば、胃腸炎を引き起こす株);Togaviridae(例えば、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス);Flaviridae(例えば、デングウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);Coronoviridae(例えば、コロナウイルス);Rhabdoviridae(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);Filoviridae(例えば、エボラウイルス);Paramyxoviridae(例えば、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス);Orthomyxoviridae(例えば、インフルエンザウイルス); Bungaviridae(例えば、ハンタンウイルス、ブニヤウイルス(bunga virus)、フレボウイルスおよびナイラウイルス(Naira virus));Arena viridae(出血熱ウイルス);Reoviridae(例えば、レオウイルス、オルビウイルス、およびロタウイルス);Birnaviridae;Hepadnaviridae(B型肝炎ウイルス);Parvovirida(パルボウイルス);Papovaviridae(乳頭腫ウイルス、ポリオーマウイルス);Adenoviridae(ほとんどのアデノウイルス);Herpesviridae(単純ヘルペスウイルス(HSV)1型および2型、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス;Poxviridae(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);ならびにIridoviridae(例えば、アフリカブタ熱ウイルス);ならびに分類不能ウイルス(例えば、デルタ型肝炎の因子(B型肝炎ウイルスの欠陥サテライトであると考えられる)、非A非B型肝炎の因子(クラス1=内部伝播;クラス2=非経口伝播(すなわち、C型肝炎);ノーウォークおよび関連ウイルス、ならびにアストロウイルス)が挙げられる。
【0219】
細菌の非限定的な例としては、Pasteurella、Staphylococci、Streptococcus、Escherichia coli、Pseudomonas種、およびSalmonella種が挙げられる。感染性細菌の具体的な例としては、Helicobacter pyloris、Borelia burgdorferi、Legionella、Legionella pneumophilia、Mycobacteria sps(例えば、M.tuberculosis、M.avium、M.intracellulare、M.kansaii、M.gordonae、M.leprae)、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Listeria monocytogenes、Streptococcus pyogenes(A群連鎖球菌)、Streptococcus agalactiae(B群連鎖球菌)、Streptococcus(ビリダンス群)、Streptococcus faecalis、Streptococcus bovis、Streptococcus(嫌気性種)、Streptococcus pneumoniae、病原性Campylobacter sp.、Campylobacter jejuni、Enterococcus sp.、Haemophilus influenzae、Bacillus antracis、corynebacterium diphtheriae、corynebacterium sp.、Erysipelothrix rhusiopathiae、Clostridium spp.、Clostridium perfringers、Clostridium tetani、Enterobacter aerogenes、Klebsiella pneumoniae、Pasturella multocida、Bacteroides sp.、Fusobacterium nucleatum、Streptobacillus moniliformis、Treponema pallidium、Treponema pertenue、Leptospira、Rickettsia、およびActinomyces israelli、Mycoplasma、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas fluorescens、Corynobacteria diphtheriae、Bartonella henselae、Bartonella quintana、Coxiella burnetii、chlamydia、shigella、Yersinia enterocolitica、Yersinia pseudotuberculosis、Listeria monocytogenes、Mycoplasma spp.、Vibrio cholerae、Borrelia、Francisella、Brucella melitensis、Proteus mirabilis、およびProteusが挙げられるがこれらに限定されない。
【0220】
ある特定の実施形態では、病原体抗原は、サイトメガロウイルス(CMV)に存在するウイルス抗原、エプスタインバーウイルス(EBV)に存在するウイルス抗原、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に存在するウイルス抗原、またはインフルエンザウイルスに存在するウイルス抗原である。
5.4.2.T細胞受容体(TCR)
【0221】
ある特定の実施形態では、抗原認識受容体はTCRである。TCRは、インバリアントCD3鎖分子との複合体の一部として発現される2つの可変鎖からなるジスルフィド結合したヘテロ二量体タンパク質である。TCRは、T細胞の表面上に見出され、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合したペプチドとして抗原を認識する役割を担う。ある特定の実施形態では、TCRは、アルファ鎖およびベータ鎖を含む(それぞれ、TRAおよびTRBによってコードされる)。ある特定の実施形態では、TCRは、ガンマ鎖およびデルタ鎖を含む(それぞれ、TRGおよびTRDによってコードされる)。
【0222】
TCRの各鎖は、2つの細胞外ドメイン:可変(V)領域および定常(C)領域で構成される。定常領域は、細胞膜の近位にあり、その後に膜貫通領域および短い細胞質尾部が続く。可変領域はペプチド/MHC複合体に結合する。両方の鎖の可変ドメインは各々が3つの相補性決定領域(CDR)を有する。
【0223】
ある特定の実施形態では、TCRは、3つの二量体シグナル伝達モジュール:CD3δ/ε、CD3γ/ε、およびCD247ζ/ζまたはζ/ηと受容体複合体を形成することができる。TCR複合体がその抗原およびMHCと結合すると(ペプチド/MHC)、TCR複合体を発現するT細胞が活性化される。
【0224】
ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は内因性TCRである。ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は、天然に存在するTCRである。
【0225】
ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は外因性TCRである。ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は組換えTCRである。ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は、天然に存在しないTCRである。ある特定の実施形態では、天然に存在しないTCRは、任意の天然に存在するTCRと少なくとも1アミノ酸残基が異なる。ある特定の実施形態では、天然に存在しないTCRは、任意の天然に存在するTCRと、少なくとも約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約20、約25、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、またはそれより多くのアミノ酸残基が異なる。ある特定の実施形態では、天然に存在しないTCRは、天然に存在するTCRから少なくとも1アミノ酸残基が改変されている。ある特定の実施形態では、天然に存在しないTCRは、天然に存在するTCRから少なくとも約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約20、約25、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、約100、またはそれより多くのアミノ酸残基が改変されている。
5.4.3.キメラ抗原受容体(CAR)
【0226】
ある特定の実施形態では、抗原認識受容体はキメラ抗原受容体(CAR)である。CARは、免疫エフェクター細胞に目的の特異性をグラフトまたは付与する、操作された受容体である。CARを使用して、モノクローナル抗体の特異性をT細胞にグラフトすることができ、そのコード配列の移入はレトロウイルスベクターによって容易となる。
【0227】
CARには3つの世代が存在する。「第1世代」CARは、典型的に細胞外抗原結合ドメイン(例えば、scFv)で構成され、これは膜貫通ドメインに融合され、膜貫通ドメインは細胞質/細胞内シグナル伝達ドメインに融合される。「第1世代」CARは、de novo抗原認識を提供し、HLA媒介抗原提示とは無関係に単一の融合分子内でそのCD3ζ鎖シグナル伝達ドメインを通してCD4およびCD8 T細胞の両方の活性化を引き起こすことができる。「第2世代」CARは、様々な共刺激分子(例えば、CD28、4-1BB、ICOS、OX40、CD27、CD40、およびNKG2D)からの細胞内シグナル伝達ドメインをCARの細胞質尾部に付加して、T細胞に追加のシグナルを提供する。「第2世代」CARは、共刺激(例えば、CD28または4-1BB)および活性化(CD3ζ)の両方を提供するCARを含む。「第3世代」CARは、複数の共刺激(例えば、CD28および4-1BB)および活性化(CD3ζ)を提供するCARを含む。ある特定の実施形態では、CARは、第2世代CARである。ある特定の実施形態では、CARは、抗原に結合する細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含み、細胞内シグナル伝達ドメインは共刺激シグナル伝達ドメインを含む。ある特定の実施形態では、CARはさらに、ヒンジ(hinger)/スペーサー領域を含む。
【0228】
ある特定の非限定的な実施形態では、CARの細胞外抗原結合ドメイン(例えば、scFvまたはそのアナログ)は、約2×10-7Mまたはそれ未満の解離定数(K)で抗原に結合する。ある特定の実施形態では、Kは、約2×10-7Mもしくはそれ未満、約1×10-7Mもしくはそれ未満、約9×10-8Mもしくはそれ未満、約1×10-8Mもしくはそれ未満、約9×10-9Mもしくはそれ未満、約5×10-9Mもしくはそれ未満、約4×10-9Mもしくはそれ未満、約3×10-9もしくはそれ未満、約2×10-9Mもしくはそれ未満、約1×10-9Mもしくはそれ未満、約1×10-10Mもしくはそれ未満、または約1×10-11Mもしくはそれ未満である。ある特定の非限定的な実施形態では、Kは、約1×10-8Mまたはそれ未満である。ある特定の非限定的な実施形態では、Kは、約1×10-9Mまたはそれ未満である。ある特定の非限定的な実施形態では、Kは、約1×10-9M~約1×10-7Mである。
【0229】
細胞外抗原結合ドメイン(例えば、scFvまたはそのアナログにおける)の結合は、例えば、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、FACS解析、バイオアッセイ(例えば、成長阻害)、またはウェスタンブロットアッセイによって確認することができる。これらのアッセイの各々は一般的に、目的の複合体に特異的な標識された試薬(例えば、抗体またはscFv)を用いることによって特定の目的のタンパク質-抗体複合体の存在を検出する。例えば、scFvを放射活性標識し、ラジオイムノアッセイ(RIA)に使用することができる(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Weintraub, B., Principles of Radioimmunoassays, Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques, The Endocrine Society, March, 1986を参照されたい)。放射活性同位元素は、γカウンターもしくはシンチレーションカウンターを使用するなどの手段によって、またはオートラジオグラフィーによって検出することができる。ある特定の実施形態では、CARの細胞外抗原結合ドメインは、蛍光マーカーによって標識される。蛍光マーカーの非限定的な例としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)、青色蛍光タンパク質(例えば、EBFP、EBFP2、アズライト(Azurite)、およびmKalama1)、シアン蛍光タンパク質(例えば、ECFP、セルリアン(Cerulean)、およびCyPet)、および黄色蛍光タンパク質(例えば、YFP、シトリン(Citrine)、Venus、およびYPet)が挙げられる。
5.4.3.1.CARの細胞外抗原結合ドメイン
【0230】
ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは抗原に特異的に結合する。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインはscFvである。ある特定の実施形態では、scFvはヒトscFvである。ある特定の実施形態では、scFvはヒト化scFvである。ある特定の実施形態では、scFvはマウスscFvである。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、必要に応じて架橋されたFabである。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインはF(ab)である。ある特定の実施形態では、前述の分子のいずれかは、異種配列との融合タンパク質に含まれて、細胞外抗原結合ドメインを形成し得る。ある特定の実施形態では、scFvは、抗原-Fc融合タンパク質によってscFvファージライブラリをスクリーニングすることによって同定される。scFvは、ヒトVおよび/またはV遺伝子を有するマウスに由来し得る。scFvをまた、ラクダ重鎖(例えば、ラクダ、ラマ等からのVHH)または細胞表面受容体の部分的天然のリガンドによって置換することもできる。ある特定の実施形態では、抗原は、腫瘍抗原、例えば本明細書に開示される抗原である。ある特定の実施形態では、抗原は、病原体抗原、例えば本明細書に開示される抗原である。
【0231】
ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインはマウスscFvである。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、ヒトCD19ポリペプチドに結合するマウスscFvである。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、配列番号35に記載のアミノ酸配列を含み、ヒトCD19ポリペプチド(例えば、配列番号34に記載のアミノ酸配列またはその一部を含むヒトCD19ポリペプチド)に特異的に結合する。ある特定の実施形態では、配列番号35のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列が、配列番号36に記載される。ある特定の実施形態では、scFvは、「SJ25C1」として指定されるクローンに由来する。
【0232】
ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、配列番号37に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含む重鎖可変領域(V)CDR1、配列番号38に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むV CDR2、および配列番号39に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むV CDR3を含む。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、配列番号37に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、配列番号38に記載のアミノ酸配列を含むV CDR2、および配列番号39に記載のアミノ酸配列を含むV CDR3を含む。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、配列番号40に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含む軽鎖可変領域(V)CDR1、配列番号41に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むV CDR2、および配列番号42に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むV CDR3を含む。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、配列番号40に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むV CDR2、および配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むV CDR3を含む。
【0233】
ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、配列番号37に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むV CDR1、配列番号38に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むV CDR2、配列番号39に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むV CDR3、配列番号40に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むV CDR1、配列番号41に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むV CDR2、および配列番号42に記載のアミノ酸配列またはその保存的改変を含むV CDR3を含む。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、配列番号37に記載の配列を有するアミノ酸を含むV CDR1、配列番号38に記載のアミノ酸配列を含むV CDR2、配列番号39に記載のアミノ酸配列を含むV CDR3、配列番号40に記載のアミノ酸配列を含むV CDR1、配列番号41に記載のアミノ酸配列を含むV CDR2、および配列番号42に記載のアミノ酸配列を含むV CDR3を含む。
【0234】
ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、配列番号43に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%)相同または同一であるアミノ酸配列を含むVを含む。例えば、細胞外抗原結合ドメインは、配列番号43に記載のアミノ酸配列と約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%相同または同一であるアミノ酸配列を含むVを含む。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVを含む。
【0235】
ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、配列番号44に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%)相同または同一であるアミノ酸配列を含むVを含む。例えば、細胞外抗原結合ドメインは、配列番号44に記載のアミノ酸配列と約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%相同または同一であるアミノ酸配列を含むVを含む。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むVを含む。
【0236】
ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、配列番号43に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%)相同または同一であるアミノ酸配列を含むV、および配列番号44に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%)相同または同一であるアミノ酸配列を含むVを含む。
【0237】
ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVを含む。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むVを含む。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、配列番号43に記載のアミノ酸配列を含むVおよび配列番号44に記載のアミノ酸配列を含むVを、必要に応じて(iii)VとVとの間のリンカー配列、例えばリンカーペプチドと共に含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号7に記載のアミノ酸配列を含む。
【0238】
配列番号35~44を以下の表1に提供する。
表1
【表1-1】
【表1-2】
【0239】
本明細書で使用される場合、「保存的配列改変」という用語は、アミノ酸配列を含む本開示のCAR(例えば、CARの細胞外抗原結合ドメイン)の結合特徴に有意な影響を及ぼさず結合特徴も変更しないアミノ酸改変を指す。保存的改変は、アミノ酸の置換、付加、および欠失を含み得る。改変は、当技術分野で公知の標準的な技術、例えば部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発によって本開示のCARのヒトscFvに導入することができる。アミノ酸は、電荷および極性などのその物理化学特性に従って群に分類することができる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が同じ群内のアミノ酸によって交換されている置換である。例えば、アミノ酸を電荷によって分類することができ:正電荷を持つアミノ酸は、リシン、アルギニン、ヒスチジンを含み、負電荷を持つアミノ酸は、アスパラギン酸、グルタミン酸を含み、中性の電荷を持つアミノ酸は、アラニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンを含む。加えて、アミノ酸は極性によって分類することができ:極性アミノ酸は、アルギニン(塩基性極性)、アスパラギン、アスパラギン酸(酸性極性)、グルタミン酸(酸性極性)グルタミン、ヒスチジン(塩基性極性)、リシン(塩基性極性)、セリン、スレオニン、およびチロシンを含み、非極性アミノ酸は、アラニン、システイン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、およびバリンを含む。このように、CDR領域内の1つまたは複数のアミノ酸残基を、同じ群からの他のアミノ酸残基と交換することができ、変更された抗体を、本明細書に記載される機能的アッセイを使用して機能(すなわち、上記の(c)から(l)に記載の機能)の保持に関して試験することができる。ある特定の実施形態では、指定された配列またはCDR領域内で1つ以下、2つ以下、3つ以下、4つ以下、5つ以下の残基が変更される。
【0240】
特定の配列(例えば、配列番号43および44)と少なくとも約80%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%(例えば、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%)の相同性または同一性を有するVおよび/またはVアミノ酸配列は、指定された配列と比較して置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有し得るが、標的抗原(例えば、CD19)に結合する能力を保持する。ある特定の実施形態では、全体で1~10個のアミノ酸が、特定の配列(例えば、配列番号43および44)において置換、挿入、および/または欠失される。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、細胞外抗原結合ドメインのCDR外の領域で(例えば、FRにおいて)起こる。ある特定の実施形態では、細胞外抗原結合ドメインは、その配列(配列番号43および44)の翻訳後修飾を含む、配列番号43および44から選択されるVおよび/またはV配列を含む。
【0241】
本明細書で使用される場合、2つのアミノ酸配列間のパーセント相同性は、2つの配列間のパーセント同一性と等価である。2つの配列間のパーセント同一性は、2つの配列の最適なアライメントのために導入する必要があるギャップの数および各ギャップの長さを考慮に入れた、配列が共有する同一の位置の数の関数である(すなわち、%相同性=同一の位置の数/位置の総数×100)。2つの配列間の配列の比較およびパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。
【0242】
2つのアミノ酸配列間のパーセント相同性は、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE. Meyers and W. Miller (Comput. Appl. Biosci., 4:11-17 (1988))のアルゴリズムを使用して、PAM120重み付き残基表(weight residue table)、ギャップ長ペナルティ12およびギャップペナルティ4を使用して決定することができる。加えて、2つのアミノ酸配列間のパーセント相同性は、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラム(www.gcg.comで入手可能)に組み込まれているNeedlemanおよびWunsch(J. Mol. Biol. 48:444-453 (1970))のアルゴリズムを使用して、Blossum62行列またはPAM250行列のいずれか、およびギャップ重み16、14、12、10、8、6、または4、および長さ重み1、2、3、4、5、または6を使用して決定することができる。
【0243】
加えてまたはあるいは、本開示の主題のアミノ酸配列はさらに、例えば関連する配列を同定するために、公開されたデータベースに対して検索を実行するための「クエリ配列」として使用することができる。そのような検索は、Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10のXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実行することができる。BLASTタンパク質検索は、本明細書に開示される指定された配列(例えば、scFv m903、m904、m905、m906、およびm900の重鎖および軽鎖可変領域配列)に対して相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて実行することができる。比較目的のためにギャップを含むアライメントを得るために、Gapped BLASTを、Altschul et al., (1997) Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402に記載されるように利用することができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを使用することができる。
5.4.3.2.CARの膜貫通ドメイン
【0244】
ある特定の非限定的な実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、膜の少なくとも一部に及ぶ疎水性アルファヘリックスを含む。異なる膜貫通ドメインは、異なる受容体安定性をもたらす。抗原認識後、受容体は集合し、シグナルが細胞に伝達される。本開示の主題に従って、CARの膜貫通ドメインは、CD8ポリペプチド、CD28ポリペプチド、CD3ζポリペプチド、CD40ポリペプチド、4-1BBポリペプチド、OX40ポリペプチド、CD84ポリペプチド、CD166ポリペプチド、CD8aポリペプチド、CD8bポリペプチド、ICOSポリペプチド、ICAM-1ポリペプチド、CTLA-4ポリペプチド、CD27ポリペプチド、CD40ペプチド、NKG2Dペプチド、合成ポリペプチド(免疫応答に関連するタンパク質に基づかない)、またはそれらの組合せのネイティブまたは改変膜貫通ドメインを含み得る。
CD8
【0245】
ある特定の実施形態では、膜貫通ドメインはCD8ポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CD8ポリペプチドは、以下に提供するNCBI参照番号:NP_001139345.1を有するアミノ酸配列(配列番号45)(本明細書における相同性は、BLASTまたはFASTAなどの標準的なソフトウェアを使用して決定され得る)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたは有する。ある特定の実施形態では、CD8ポリペプチドは、少なくとも20、または少なくとも30、または少なくとも40、または少なくとも50、および最大235アミノ酸の長さである配列番号45の連続する部分であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。あるいはまたはさらに、非限定的な様々な実施形態では、CD8ポリペプチドは、配列番号45のアミノ酸1~235、1~50、50~100、100~150、150~200、または200~235のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、配列番号45のアミノ酸137~209を含むかまたはそれからなるCD8ポリペプチドを含む。配列番号45を以下に提供する。
【化26】
【0246】
ある特定の実施形態では、CD8ポリペプチドは、以下に提供するGenBank No:AAA92533.1を有するアミノ酸配列(配列番号46)(本明細書における相同性は、BLASTまたはFASTAなどの標準的なソフトウェアを使用して決定され得る)もしくその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD8ポリペプチドは、少なくとも約20、または少なくとも約30、または少なくとも約40、または少なくとも約50、または少なくとも約60、または少なくとも約70、または少なくとも約100、または少なくとも約200、および最大247アミノ酸の長さである配列番号46の連続する部分であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。あるいはまたはさらに、非限定的な様々な実施形態では、CD8ポリペプチドは、配列番号46のアミノ酸1~247、1~50、50~100、100~150、150~200、151~219、または200~247を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、配列番号46のアミノ酸151~219を含むかまたはそれからなるCD8ポリペプチドを含む。配列番号46を以下に提供する。
【化27】
【0247】
ある特定の実施形態では、CD8ポリペプチドは、以下に提供する配列番号47に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる:
【化28】
【0248】
本開示の主題に従って、「CD8核酸分子」は、CD8ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。
【0249】
配列番号47のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号48に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化29】
CD28
【0250】
ある特定の実施形態では、本開示のCARの膜貫通ドメインはCD28ポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CD28ポリペプチドは、配列番号25に記載のアミノ酸配列もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。非限定的なある特定の実施形態では、CD28ポリペプチドは、少なくとも20、または少なくとも30、または少なくとも40、または少なくとも50、および最大220アミノ酸の長さである配列番号25の連続する部分であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。あるいはまたはさらに、非限定的な様々な実施形態では、CD28ポリペプチドは、配列番号25のアミノ酸1~220、1~50、50~100、100~150、114~220、150~200、153~179、または200~220のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARは、CD28(例えば、ヒトCD28)の膜貫通ドメインまたはその一部を含む。ある特定の実施形態では、CD28の膜貫通ドメインまたはその一部は、配列番号25のアミノ酸153~179を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARは、配列番号25のアミノ酸153~179を含むかまたはそれからなるCD28ポリペプチドを含む。
【0251】
配列番号25のアミノ酸153~179をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号49に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化30】
CD84
【0252】
ある特定の実施形態では、本開示のCARの膜貫通ドメインは、CD84ポリペプチドのネイティブまたは改変膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、CD84ポリペプチドは、NCBI参照番号:NP_001171808.1を有するアミノ酸配列(配列番号50)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。非限定的なある特定の実施形態では、CD84ポリペプチドは、少なくとも20、または少なくとも30、または少なくとも40、または少なくとも50、および最大345アミノ酸の長さである配列番号50の連続する部分であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。あるいはまたはさらに、非限定的な様々な実施形態では、CD84ポリペプチドは、配列番号50のアミノ酸1~345、1~50、50~100、100~150、150~200、200~250、226~250、250~300、または300~345のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、配列番号50のアミノ酸226~250を含むかまたはそれからなるCD84ポリペプチドを含む。
【0253】
配列番号50を以下に提供する:
【化31】
【0254】
本開示の主題に従って、「CD84核酸分子」は、CD84ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。配列番号50のアミノ酸226~250をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号51に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化32】
CD166
【0255】
ある特定の実施形態では、本開示のCARの膜貫通ドメインは、CD166ポリペプチドのネイティブまたは改変膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、CD166ポリペプチドは、NCBI参照番号:NP_001618.2を有するアミノ酸配列(配列番号52)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。非限定的なある特定の実施形態では、CD166ポリペプチドは、少なくとも20、または少なくとも30、または少なくとも40、または少なくとも50、および最大583アミノ酸の長さである配列番号52の連続する部分であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。あるいはまたはさらに、非限定的な様々な実施形態では、CD166ポリペプチドは、配列番号52のアミノ酸1~583、1~50、50~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~350、350~400、400~450、450~500、500~550、528~549、528~553、または550~583のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、配列番号52のアミノ酸528~553を含むかまたはそれからなるCD166ポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、配列番号52のアミノ酸528~549を含むかまたはそれからなるCD166ポリペプチドを含む。
【0256】
配列番号52を以下に提供する:
【化33】
【0257】
本開示の主題に従って、「CD166核酸分子」は、CD166ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。配列番号52のアミノ酸528~553をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号53に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化34】
CD8a
【0258】
ある特定の実施形態では、本開示のCARの膜貫通ドメインは、CD8aポリペプチドのネイティブまたは改変膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、CD8aポリペプチドは、NCBI参照番号:NP_001139345.1を有するアミノ酸配列(配列番号54)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD8aポリペプチドは、少なくとも20、または少なくとも30、または少なくとも40、または少なくとも50、および最大235アミノ酸の長さである配列番号54の連続する部分であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。あるいはまたはさらに、非限定的な様々な実施形態では、CD8aポリペプチドは、配列番号54のアミノ酸1~235、1~50、50~100、100~150、150~200、183~207、または200~235のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、配列番号54のアミノ酸183~207を含むかまたはそれからなるCD8aポリペプチドを含む。
【0259】
配列番号54を以下に提供する:
【化35】
【0260】
本開示の主題に従って、「CD8a核酸分子」は、CD8aポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。配列番号54のアミノ酸183~207をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号55に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化36】
CD8b
【0261】
ある特定の実施形態では、本開示のCARの膜貫通ドメインは、CD8bポリペプチドのネイティブまたは改変膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、CD8bポリペプチドは、NCBI参照番号:NP_742099.1を有するアミノ酸配列(配列番号56)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD8bポリペプチドは、少なくとも20、または少なくとも30、または少なくとも40、または少なくとも50、および最大221アミノ酸の長さである配列番号56の連続する部分であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。あるいはまたはさらに、非限定的な様々な実施形態では、CD8bポリペプチドは、配列番号56のアミノ酸1~221、1~50、50~100、100~150、114~220、150~200、171~195、または200~221のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、配列番号56のアミノ酸171~195を含むかまたはそれからなるCD8bポリペプチドを含む。
【0262】
配列番号56を以下に提供する:
【化37】
【0263】
本開示の主題に従って、「CD8b核酸分子」は、CD8bポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。配列番号56のアミノ酸171~195をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号57に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化38】
ICOS
【0264】
ある特定の実施形態では、本開示のCARの膜貫通ドメインは、ICOSポリペプチドのネイティブまたは改変膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、ICOSポリペプチドは、配列番号27に記載のアミノ酸配列もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。非限定的なある特定の実施形態では、ICOSポリペプチドは、少なくとも20、または少なくとも30、または少なくとも40、または少なくとも50、および最大199アミノ酸の長さである配列番号27の連続する部分であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。あるいはまたはさらに、非限定的な様々な実施形態では、ICOSポリペプチドは、配列番号27のアミノ酸1~199、1~50、50~100、100~150、141~165、または150~199のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、配列番号27のアミノ酸141~165を含むかまたはそれからなるICOSポリペプチドを含む。
【0265】
本開示の主題に従って、「ICOS核酸分子」は、ICOSポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。配列番号27のアミノ酸141~165をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号58に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化39】
CTLA-4
【0266】
ある特定の実施形態では、本開示のCARの膜貫通ドメインは、CTLA-4ポリペプチドのネイティブまたは改変膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、CTLA-4ポリペプチドは、NCBI参照番号:NP_005205.2を有するアミノ酸配列(配列番号59)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CTLA-4ポリペプチドは、少なくとも20、または少なくとも30、または少なくとも40、または少なくとも50、および最大223アミノ酸の長さである配列番号59の連続する部分であるアミノ酸配列を含むかまたは有する。あるいはまたはさらに、非限定的な様々な実施形態では、CTLA-4ポリペプチドは、配列番号59のアミノ酸1~223、1~50、50~100、100~150、150~200、162~186、または200~223を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメインは、配列番号59のアミノ酸162~186を含むかまたはそれからなるCTLA-4ポリペプチドを含む。
【0267】
配列番号59を以下に提供する:
【化40】
【0268】
本開示の主題に従って、「CTLA-4核酸分子」は、CTLA-4ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。配列番号59のアミノ酸162~186をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号60に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化41】
ICAM-1
【0269】
ある特定の実施形態では、本開示のCARの膜貫通ドメインは、ICAM-1ポリペプチドのネイティブまたは改変膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、ICAM-1ポリペプチドは、NCBI参照番号:NP_000192.2を有するアミノ酸配列(配列番号61)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、ICAM-1ポリペプチドは、少なくとも20、または少なくとも30、または少なくとも40、または少なくとも50、および最大532アミノ酸の長さである配列番号61の連続する部分であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。あるいはまたはさらに、非限定的な様々な実施形態では、ICAM-1ポリペプチドは、配列番号61のアミノ酸1~532、1~50、50~100、100~150、150~200、200~225、250~300、300~350、350~400、400~450、481~507、450~500、または500~532のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARの膜貫通ドメイン(the e transmembrane domain)は、配列番号61のアミノ酸481~507を含むかまたはそれからなるICAM-1ポリペプチドを含む。
【0270】
配列番号61を以下に提供する:
【化42】
【0271】
本開示の主題に従って、「ICAM-1核酸分子」は、ICAM-1ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。配列番号61のアミノ酸481~507をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号62に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化43】
5.4.3.3.ヒンジ/スペーサー領域
【0272】
ある特定の実施形態では、CARはさらに、細胞外抗原結合ドメインを膜貫通ドメインに連結するヒンジ/スペーサー領域を含む。ヒンジ/スペーサー領域は、抗原結合ドメインが異なる方向に配向して容易に抗原認識ができるように十分に柔軟であり得る。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域は、CD8ポリペプチド、CD28ポリペプチド、CD3ζポリペプチド、CD40ポリペプチド、4-1BBポリペプチド、OX40ポリペプチド、CD84ポリペプチド、CD166ポリペプチド、CD8aポリペプチド、CD8bポリペプチド、ICOSポリペプチド、ICAM-1ポリペプチド、CTLA-4ポリペプチド、CD27ポリペプチド、CD40ペプチド、NKG2Dペプチド、合成ポリペプチド(免疫応答に関連するタンパク質に基づかない)、またはそれらの組合せのネイティブまたは改変ヒンジ領域を含み得る。ヒンジ/スペーサー領域は、IgG1からのヒンジ領域、または免疫グロブリンのCHCH領域、およびCD3の一部、CD28ポリペプチドの一部(例えば、配列番号25の一部)、CD8ポリペプチドの一部(例えば、配列番号45の一部、または配列番号46の一部)、それと少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%相同もしくは同一である前述のいずれかの変形形態、または合成スペーサー配列であり得る。
CD28
【0273】
ある特定の実施形態では、本開示のCARのヒンジ/スペーサー領域は、本明細書に記載されるCD28ポリペプチドのネイティブまたは改変ヒンジ領域を含む。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域は、配列番号25のアミノ酸114~152を含むかまたはそれからなるCD28ポリペプチドを含む。配列番号25のアミノ酸114~152をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号63に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化44】
CD84
【0274】
ある特定の実施形態では、本開示のCARのヒンジ/スペーサー領域は、本明細書に記載されるCD84ポリペプチドのネイティブまたは改変ヒンジ領域を含む。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域は、配列番号50のアミノ酸187~225のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCD84ポリペプチドを含む。配列番号50のアミノ酸187~225をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号64に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化45】
CD166
【0275】
ある特定の実施形態では、本開示のCARのヒンジ/スペーサー領域は、本明細書に記載されるCD166ポリペプチドのネイティブまたは改変ヒンジ領域を含む。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域は、配列番号52のアミノ酸489~527を含むかまたはそれからなるCD166ポリペプチドを含む。配列番号52のアミノ酸489~527をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号65に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化46】
【0276】
ある特定の実施形態では、本開示のCARのヒンジ/スペーサー領域に含まれるCD166ポリペプチドは、配列番号52のアミノ酸484~527を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域は、配列番号52のアミノ酸506~527を含むかまたはそれからなるCD166を含む。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域は、配列番号52のアミノ酸517~527を含むかまたはそれからなるCD166ポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域は、配列番号66または配列番号67に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるCD166ポリペプチドを含む。
【化47】
【0277】
ある特定の実施形態では、本開示のCARのヒンジ/スペーサー領域および膜貫通ドメインに含まれるCD166ポリペプチドは、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、または配列番号74に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【化48-1】
【化48-2】
CD8a
【0278】
ある特定の実施形態では、本開示のCARのヒンジ/スペーサー領域は、本明細書に記載されるCD8aポリペプチドのネイティブまたは改変ヒンジ領域を含む。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域は、配列番号54のアミノ酸137~182を含むかまたはそれからなるCD8aポリペプチドを含む。配列番号54のアミノ酸137~182をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号75に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化49】
CD8b
【0279】
ある特定の実施形態では、本開示のCARのヒンジ/スペーサー領域は、本明細書に記載されるCD8bポリペプチドのネイティブまたは改変ヒンジ領域を含む。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域は、配列番号56のアミノ酸132~170を含むかまたはそれからなるCD8bポリペプチドを含む。配列番号56のアミノ酸132~170をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号76に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化50】
ICOS
【0280】
ある特定の実施形態では、本開示のCARのヒンジ/スペーサー領域は、本明細書に記載されるICOSポリペプチドのネイティブまたは改変ヒンジ領域を含む。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域は、配列番号27のアミノ酸102~140を含むかまたはそれからなるICOSポリペプチドを含む。配列番号27のアミノ酸102~140をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号77に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化51】
CTLA-4
【0281】
ある特定の実施形態では、本開示のCARのヒンジ/スペーサー領域は、本明細書に記載されるCTLA-4ポリペプチドのネイティブまたは改変ヒンジ領域を含む。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域は、配列番号59のアミノ酸123~161を含むかまたはそれからなるCTLA-4ポリペプチドを含む。配列番号59のアミノ酸123~161をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号78に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化52】
ICAM-1
【0282】
ある特定の実施形態では、本開示のCARのヒンジ/スペーサー領域は、本明細書に記載されるICAM-1ポリペプチドのネイティブまたは改変ヒンジ領域を含む。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域は、配列番号61のアミノ酸442~480を含むかまたはそれからなるICAM-1ポリペプチドを含む。配列番号61のアミノ酸442~480をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号79に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化53】
【0283】
ある特定の実施形態では、ヒンジ/スペーサー領域は、細胞外抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に位置する。ある特定の実施形態では、ヒンジ/スペーサー領域は、CD8ポリペプチド、CD28ポリペプチド、CD3ζポリペプチド、CD4ポリペプチド、4-1BBポリペプチド、OX40ポリペプチド、CD166ポリペプチド、CD8aポリペプチド、CD8bポリペプチド、ICOSポリペプチド、ICAM-1ポリペプチド、CTLA-4ポリペプチド、CD27ポリペプチド、CD40ペプチド、NKG2Dペプチド、合成ポリペプチド(免疫応答に関連するタンパク質に基づかない)、またはそれらの組合せを含む。ある特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8ポリペプチド、CD28ポリペプチド、CD3ζポリペプチド、CD4ポリペプチド、4-1BBポリペプチド、OX40ポリペプチド、CD166ポリペプチド、CD8aポリペプチド、CD8bポリペプチド、ICOSポリペプチド、ICAM-1ポリペプチド、CTLA-4ポリペプチド、CD27ポリペプチド、CD40ペプチド、NKG2Dペプチド、合成ポリペプチド(免疫応答に関連するタンパク質に基づかない)、またはそれらの組合せを含む。
【0284】
ある特定の実施形態では、膜貫通ドメインおよびヒンジ/スペーサー領域は、同じ分子に由来する。ある特定の実施形態では、膜貫通ドメインおよびヒンジ/スペーサー領域は、異なる分子に由来する。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域はCD28ポリペプチドを含み、CARの膜貫通ドメインはCD28ポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域はCD28ポリペプチドを含み、CARの膜貫通ドメインはCD28ポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域はCD84ポリペプチドを含み、CARの膜貫通ドメインはCD84ポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域はCD166ポリペプチドを含み、CARの膜貫通ドメインはCD166ポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域はCD8aポリペプチドを含み、CARの膜貫通ドメインはCD8aポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域はCD8bポリペプチドを含み、CARの膜貫通ドメインはCD8bポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARのヒンジ/スペーサー領域はCD28ポリペプチドを含み、CARの膜貫通ドメインはICOSポリペプチドを含む。
5.4.3.4.CARの細胞内シグナル伝達ドメイン
A.CD3ζ
【0285】
ある特定の非限定的な実施形態では、CARは細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある特定の非限定的な実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、細胞(例えば、リンパ系列の細胞、例えばT細胞)を活性化または刺激することができるCD3ζポリペプチドを含む。野生型(「ネイティブ」)CD3ζは、3つの免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(「ITAM」)(例えば、ITAM1、ITAM2、およびITAM3)、3つの塩基リッチストレッチ(BRS)領域(BRS1、BRS2、およびBRS3)を含み、抗原が結合した後、活性化シグナルを細胞(例えば、リンパ系列の細胞、例えばT細胞)に伝達する。ネイティブCD3ζ鎖の細胞内シグナル伝達ドメインは、内因性TCRからのシグナルの一次伝達物質である。本明細書の実施形態で使用されるCD3ζは、ネイティブCD3ζではなく、改変CD3ζである。ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、NCBI参照番号:NP_932170を有するアミノ酸配列(配列番号80)またはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、少なくとも20、または少なくとも30、または少なくとも40、または少なくとも50、または少なくとも100、または少なくとも110、または少なくとも113、および最大164アミノ酸の長さである配列番号80の連続する部分であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。あるいはまたはさらに、ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、配列番号80のアミノ酸1~50、50~100、100~150、50~164、52~164、55~164、または150~164のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、配列番号80のアミノ酸52~164を含むかまたはそれからなる。
【0286】
配列番号80を以下に提供する:
【化54】
【0287】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、改変ヒトCD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、改変ヒトCD3ζポリペプチドは、配列番号81のアミノ酸配列もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号81を以下に提供する:
【化55】
【0288】
配列番号81のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号82に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化56】
【0289】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、改変CD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、改変ヒトCD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、配列番号83もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号83を以下に提供する:
【化57】
【0290】
配列番号83のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号84に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化58】
免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)
【0291】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、1つ、2つ、または3つのITAMを含むかまたはそれからなる改変CD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、配列番号85に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるネイティブITAM1を含む。
【化59】
【0292】
配列番号85のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号86に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化60】
【0293】
ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、1つまたは複数の機能喪失変異を含むITAM1バリアントを含む。ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、2つの機能喪失変異を含むかまたはそれからなる1つのITAM1バリアントからなる。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の(例えば、2つの)機能喪失変異の各々は、ITAM1においてチロシン残基の変異を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、ITAM1バリアント(例えば、2つの機能喪失変異からなるバリアント)は、以下に提供する配列番号87に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【化61】
【0294】
配列番号87のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号88に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化62】
【0295】
ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、以下に提供する配列番号89に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるネイティブITAM2を含む。
【化63】
【0296】
配列番号89のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号90に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化64】
【0297】
ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、1つまたは複数の機能喪失変異を含むITAM2バリアントを含む。ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、2つの機能喪失変異を含むかまたはそれからなる(consisting o)1つのITAM2バリアントからなる。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の(例えば、2つの)機能喪失変異の各々は、ITAM2においてチロシン残基の変異を含む。ある特定の実施形態では、ITAM2バリアント(例えば、2つの機能喪失変異からなるバリアント)は、以下に提供する配列番号91に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【化65】
【0298】
配列番号91のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号92に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化66】
【0299】
ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、以下に提供する配列番号93に記載のアミノ酸配列を含むネイティブITAM3を含む。
【化67】
【0300】
配列番号93のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号94に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化68】
【0301】
ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、1つまたは複数の機能喪失変異を含むITAM3バリアントを含む。ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、2つの機能喪失変異を含むかまたはそれからなる1つのITAM3バリアントからなる。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の(例えば、2つの)機能喪失変異の各々は、ITAM3においてチロシン残基の変異を含む。ある特定の実施形態では、ITAM3バリアント(例えば、2つの機能喪失変異からなるバリアント)は、以下に提供する配列番号95に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【化69】
【0302】
配列番号95のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号96に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化70】
【0303】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、1つもしくは複数の機能喪失変異を含むITAM1バリアント、1つもしくは複数の機能喪失変異を含むITAM2バリアント、1つもしくは複数の機能喪失変異を含むITAM3バリアント、またはそれらの組合せを含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる改変CD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、1つまたは複数(例えば2つ)の機能喪失変異を含むITAM2バリアントおよび1つまたは複数(例えば2つ)の機能喪失変異を含むITAM3バリアントを含む改変CD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、ネイティブITAM1、2つの機能喪失変異を含むまたはそれからなるITAM2バリアント、および2つの機能喪失変異を含むかまたはそれからなるITAM3バリアントを含む改変CD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号85に記載のアミノ酸配列からなるネイティブITAM1、配列番号91に記載のアミノ酸配列からなるITAM2バリアント、および配列番号95に記載のアミノ酸配列からなるITAM3バリアントを含む改変CD3ζポリペプチドを含む(例えば、「1XX」と指定される構築物)。ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、配列番号83に記載のアミノ酸配列を含む(comprising)かまたはそれからなる。
【0304】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、1つまたは複数の(例えば、2つの)機能喪失変異を含むITAM1バリアント、および1つまたは複数の(例えば、2つの)機能喪失変異を含むITAM3バリアントを含む改変CD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、2つの機能喪失変異を含むITAM1バリアント、ネイティブITAM2、および2つの機能喪失変異を含むITAM3バリアントを含む改変CD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号87に記載のアミノ酸配列からなるITAM1バリアント、配列番号89に記載のアミノ酸配列からなるネイティブITAM2、および配列番号95に記載のアミノ酸配列からなるITAM3バリアントを含む改変CD3ζポリペプチドを含む(例えば、「X2X」と指定される構築物)。
【0305】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、1つまたは複数の(例えば、2つの)機能喪失変異を含むITAM1バリアント、および1つまたは複数の(例えば、2つの)機能喪失変異を含むITAM2バリアントを含む改変CD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、2つの機能喪失変異を含むかまたはそれからなるITAM1バリアント、2つの機能喪失変異(wo loss-of-function mutations)を含むかまたはそれからなるITAM2バリアント、およびネイティブITAM3を含む改変CD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号87に記載のアミノ酸配列からなるITAM1バリアント、配列番号91に記載のアミノ酸配列からなるITAM2バリアント、および配列番号93に記載のアミノ酸配列からなるネイティブITAM3を含む改変CD3ζポリペプチドを含む(例えば、「XX3」と指定される構築物)。
【0306】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、1つまたは複数の(例えば、2つの)機能喪失変異を含むITAM1バリアントを含む改変CD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、2つの機能喪失変異を含むかまたはそれからなるITAM1バリアント、ネイティブITAM2、およびネイティブITAM3を含む改変CD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号87に記載のアミノ酸配列からなるITAM1バリアント、配列番号89に記載のアミノ酸配列からなるネイティブITAM2、および配列番号93に記載のアミノ酸配列からなるネイティブITAM3を含む改変CD3ζポリペプチドを含む(例えば、「X23」と指定される構築物)。
【0307】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、ネイティブITAM1、ネイティブITAM2、および1つまたは複数の(例えば、2つの)機能喪失変異を含むITAM3バリアントを含む改変CD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、ネイティブITAM1、ネイティブITAM2、および2つの機能喪失変異を含むかまたはそれからなるITAM1バリアントを含む改変CD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号85に記載のアミノ酸配列からなるネイティブITAM1、配列番号89に記載のアミノ酸配列からなるネイティブITAM2、および配列番号95に記載のアミノ酸配列からなるITAM3バリアントを含む改変CD3ζポリペプチドを含む(例えば、「12X」と指定される構築物)。
【0308】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、ネイティブITAM1、1つまたは複数の(例えば、2つの)機能喪失変異を含むITAM2バリアント、およびネイティブITAM3を含む改変CD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、ネイティブITAM1、2つの機能喪失変異を含むかまたはそれからなるITAM2バリアント、およびネイティブITAM3を含む改変CD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号85に記載のアミノ酸配列からなるネイティブITAM1、配列番号91に記載のアミノ酸配列からなるITAM2バリアント、および配列番号93に記載のアミノ酸配列からなるネイティブITAM3バリアントを含む改変CD3ζポリペプチドを含む(例えば、「1X3」と指定される構築物)。
【0309】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、1つまたは2つのITAMの欠失を含む改変CD3ζポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、ITAM1およびITAM2の欠失を含むかまたはそれからなり、例えば改変CD3ζポリペプチドは、ネイティブITAM3またはITAM3バリアントを含み、ITAM1もITAM2も含まない。ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、配列番号93に記載のアミノ酸配列からなるネイティブITAM3を含み、ITAM1(ネイティブまたは改変)もITAM2(ネイティブまたは改変)も含まない(例えば、「D12」と指定される構築物)。
【0310】
ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、ITAM2およびITAM3の欠失を含むかまたはそれからなり、例えば改変CD3ζポリペプチドは、ネイティブITAM1またはITAM1バリアントを含み、ITAM2もITAM3も含まない。ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、配列番号85に記載のアミノ酸配列からなるネイティブITAM1を含み、ITAM2(ネイティブまたは改変)もITAM3(ネイティブまたは改変)も含まない(例えば、「D23」と指定される構築物)。
【0311】
ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、ITAM1およびITAM3の欠失を含むかまたはそれからなり、例えば改変CD3ζポリペプチドは、ネイティブITAM2またはITAM2バリアントを含み、ITAM1もITAM3も含まない。ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、配列番号89に記載のアミノ酸配列からなるネイティブITAM2を含み、ITAM1(ネイティブまたは改変)もITAM3(ネイティブまたは改変)も含まない(例えば、「D13」と指定される構築物)。
【0312】
ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、ITAM1の欠失を含むかまたはそれからなり、例えば改変CD3ζポリペプチドは、ネイティブITAM2またはITAM2バリアント、およびネイティブITAM3またはITAM3バリアントを含み、ITAM1(ネイティブまたは改変)を含まない。
【0313】
ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、ITAM2の欠失を含むかまたはそれからなり、例えば改変CD3ζポリペプチドは、ネイティブITAM1またはITAM1バリアント、およびネイティブITAM3またはITAM3バリアントを含み、ITAM2(ネイティブまたは改変)を含まない。
【0314】
ある特定の実施形態では、改変CD3ζポリペプチドは、ITAM3の欠失を含むかまたはそれからなり、例えば改変CD3ζポリペプチドは、ネイティブITAM1またはITAM1バリアント、およびネイティブITAM2またはITAM2バリアントを含み、ITAM3(ネイティブまたは改変)を含まない。
B.共刺激シグナル伝達領域
【0315】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、少なくとも共刺激シグナル伝達領域をさらに含む。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの共刺激シグナル伝達領域は、共刺激分子(例えば、5.2.2節に開示される共刺激分子)の細胞内ドメインを含む。ある特定の実施形態では、共刺激分子は、CD28、4-1BB、OX40、CD27、CD40、ICOS、DAP-10、CD2、およびNKG2Dからなる群から選択される。
【0316】
少なくとも1つの共刺激シグナル伝達領域は、CD28ポリペプチド、4-1BBポリペプチド、OX40ポリペプチド、ICOSポリペプチド、DAP-10ポリペプチド、CD27ポリペプチド、CD40ポリペプチド、CD2ポリペプチド、NKG2Dポリペプチド、またはそれらの組合せを含み得る。少なくとも1つの共刺激シグナル伝達領域は、CD28の細胞内ドメインもしくはその一部、4-1BBの細胞内ドメインもしくはその一部、OX40の細胞内ドメインもしくはその一部、ICOSの細胞内ドメインもしくはその一部、DAP-10の細胞内ドメインもしくはその一部、CD27の細胞内ドメインもしくはその一部、CD40の細胞内ドメインもしくはその一部、CD2の細胞内ドメインもしくはその一部、NKG2Dの細胞内ドメインもしくはその一部、またはそれらの組合せを含み得る。
【0317】
共刺激分子は、共刺激リガンド(例えば、5.2.1節に開示される共刺激リガンド)に結合することができる。一例として、4-1BBリガンド(すなわち、4-1BBL)は、CARシグナルと組み合わせてCAR T細胞のエフェクター細胞機能を誘導する細胞内シグナルを提供するために4-1BB(「CD137」としても公知)に結合し得る。4-1BBポリペプチド、ICOSポリペプチド、またはDAP-10ポリペプチドを含む共刺激シグナル伝達領域を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、U.S.7,446,190に開示されている。
【0318】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28ポリペプチド(例えば、CD28の細胞内ドメイン)を含む共刺激シグナル伝達領域を含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD28の細胞内ドメインまたはその一部を含む共刺激シグナル伝達領域を含む。ある特定の実施形態では、CD28ポリペプチドは、配列番号25に記載のアミノ酸配列もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD28ポリペプチドは、少なくとも20、または少なくとも30、または少なくとも40、または少なくとも50、および最大220アミノ酸の長さである配列番号25の連続する部分であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。あるいはまたはさらに、非限定的な様々な実施形態では、CD28ポリペプチドは、配列番号25のアミノ酸1~220、1~50、50~100、100~150、150~200、180~220、180~219、または200~220のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD28の細胞内ドメインまたはその一部を含む共刺激シグナル伝達領域を含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD28の細胞内ドメインまたはその一部を含む共刺激シグナル伝達領域を含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号25のアミノ酸180~220を含むかまたはそれからなるCD28ポリペプチドを含む共刺激シグナル伝達領域を含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号25のアミノ酸180~219を含むかまたはそれからなるCD28ポリペプチドを含む共刺激シグナル伝達領域を含む。
【0319】
ある特定の実施形態では、CD28ポリペプチドは、配列番号101もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD28ポリペプチドは、配列番号101(または配列番号25のアミノ酸180~220)に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号101を以下に提供する:
【化71】
【0320】
配列番号101のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号102に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる(comprises of consists of)。
【化72】
【0321】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD28の脱免疫された細胞内ドメインまたはその一部を含む。ある特定の実施形態では、ヒトCD28の脱免疫された細胞内ドメインまたはその一部は、配列番号103もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD28ポリペプチドは、配列番号103に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号103を以下に提供する:
【化73】
【0322】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、マウスCD28の細胞内ドメインまたはその一部を含む共刺激シグナル伝達領域を含む。ある特定の実施形態では、CD28ポリペプチドは、NCBI参照番号:NP_031668.3を有するアミノ酸配列(配列番号97)もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。非限定的なある特定の実施形態では、CD28ポリペプチドは、少なくとも約20、または少なくとも約30、または少なくとも約40、または少なくとも約50、および最大218アミノ酸の長さである配列番号97の連続する部分であるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。あるいはまたはさらに、非限定的な様々な実施形態では、CD28ポリペプチドは、配列番号97のアミノ酸1~218、1~50、50~100、100~150、114~220、150~200、178~218、または200~218のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、本開示のCARの共刺激シグナル伝達領域は、配列番号97のアミノ酸178~218を含むかまたはそれからなるCD28ポリペプチドを含む。
【0323】
配列番号97を以下に提供する:
【化74】
【0324】
配列番号97のアミノ酸178~218をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号98に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化75】
【0325】
ある特定の実施形態では、CD28ポリペプチドは、配列番号99のアミノ酸配列もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、CD28ポリペプチドは、配列番号99に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。配列番号99を以下に提供する:
【化76】
【0326】
配列番号99のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号100に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化77】
【0327】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、2つの共刺激分子を含む共刺激シグナル伝達領域、例えばCD28および4-1BBの共刺激シグナル伝達領域、またはCD28およびOX40の共刺激シグナル伝達領域を含む。
【0328】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BBポリペプチドを含む共刺激シグナル伝達領域を含む。ある特定の実施形態では、4-1BBポリペプチドは、配列番号24に記載のアミノ酸配列もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0329】
ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、4-1BBの細胞内ドメインまたはその一部を含む共刺激シグナル伝達領域を含む。ある特定の実施形態では、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒト4-1BBの細胞内ドメインまたはその一部を含む共刺激シグナル伝達領域を含む。ある特定の実施形態では、4-1BBの細胞内シグナル伝達ドメインまたはその一部は、配列番号3もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。ある特定の実施形態では、4-1BBの細胞内ドメインは、配列番号3に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0330】
配列番号3のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供する配列番号104に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化78】
【0331】
OX40ポリペプチドは、配列番号26に記載のアミノ酸配列もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたは有し得る。
【0332】
ICOSポリペプチドは、配列番号27に記載のアミノ酸配列もしくはその断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同もしくは同一で相同である、および/または必要に応じて最大1つ、もしくは最大2つ、もしくは最大3つの保存的アミノ酸置換を含み得るアミノ酸配列を含むかまたは有し得る。
【0333】
ある特定の実施形態では、本開示のCARは、ヒト細胞において核酸配列を発現させるための誘導型プロモーターをさらに含む。CAR遺伝子を発現させることにおける使用のためのプロモーターは、構成的プロモーター、例えばユビキチンC(UbiC)プロモーターであり得る。
【0334】
ある特定の実施形態では、異なるタンパク質に由来するCARのドメイン/モチーフ/領域間の変異部位および/または接合部は、脱免疫される。異なるCAR部分の間の接合部の免疫原性は、NetMHC 4.0サーバーを使用して予測することができる。次の部分からの少なくとも1つのアミノ酸を含有する各ペプチドに関して、全ての対立遺伝子に関してHLA A、B、およびCに対する結合親和性を予測することができる。各ペプチドの免疫原性のスコアを、各ペプチドに関して割り当てることができる。免疫原性スコアは、免疫原性スコア=[(50-結合親和性)*HLA頻度]の式を使用して計算することができる。nは各ペプチドに関する予測数である。
5.4.3.5.例示的なCAR
1928z CAR
【0335】
ある特定の実施形態では、細胞は、本開示の融合ポリペプチド、ならびにCD19(例えば、ヒトCD19)に結合する細胞外抗原結合ドメイン、CD28ポリペプチド(例えば、ヒトCD28ポリペプチド、例えば、CD28(例えば、ヒトCD28)の膜貫通ドメインまたはその一部分)を含む膜貫通ドメイン、CD3ζポリペプチド(例えば、ヒトCD3ζポリペプチド)を含む細胞内シグナル伝達ドメイン、およびCD28ポリペプチド(例えば、ヒトCD28ポリペプチド、例えば、CD28(例えば、ヒトCD28)の細胞内ドメインまたはその一部分(of a portion thereof))を含む共刺激シグナル伝達ドメインを含むCARを含む。ある特定の実施形態では、CARは、「1928z」として表わされる。ある特定の実施形態では、CAR(例えば、1928z)は、以下に提供される配列番号105に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CAR(例えば、1928z)は、配列番号105に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号105に記載のアミノ酸配列を含むCARは、CD19(例えば、ヒトCD19)に結合することができる。
【化79】
【0336】
配列番号105のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供される配列番号106に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化80-1】
【化80-2】
【0337】
ある特定の実施形態では、CARは、CD8リーダーをさらに含む。ある特定の実施形態では、CD8リーダーは、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれを有する。
【0338】
配列番号13のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供される配列番号107に記載される。
【化81】
1928z-1xx CAR
【0339】
ある特定の実施形態では、本開示のCARは、CD19ポリペプチド(例えば、ヒトCD19ポリペプチド)に結合する細胞外抗原結合ドメイン、CD28ポリペプチド(例えば、ヒトCD28ポリペプチド、例えば、CD28(例えば、ヒトCD28)の膜貫通ドメインまたはその一部分)を含む膜貫通ドメイン、CD28ポリペプチド(例えば、ヒトCD28)に由来するヒンジ/スペーサー領域、ネイティブITAM1、2つの機能喪失型変異からなるITAM2バリアントおよび2つの機能喪失型変異からなるITAM3バリアントを含む改変されたCD3ζポリペプチド(例えば、改変されたヒトCD3ζポリペプチド)を含む細胞内シグナル伝達ドメイン、ならびにCD28ポリペプチド(例えば、ヒトCD28ポリペプチド、例えば、CD28(例えば、ヒトCD28)の細胞内ドメインまたはその一部分(of a portion thereof))を含む共刺激シグナル伝達領域を含む。ある特定の実施形態では、CARは、「1928z-1xx」として表わされる。ある特定の実施形態では、CAR(例えば、1928z-1xx)は、以下に提供される配列番号109に記載のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、少なくとも約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、CAR(例えば、1928z-1xx)は、配列番号109に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号109に記載のアミノ酸配列を含むCARは、CD19(例えば、ヒトCD19)に結合することができる。
【化82-1】
【化82-2】
【0340】
配列番号109のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は、以下に提供される配列番号110に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
【化83】
【0341】
ある特定の実施形態では、CARは、CD8リーダーをさらに含む。ある特定の実施形態では、CD8リーダーは、配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれを有する。
【0342】
配列番号13のアミノ酸配列をコードする例示的な核酸配列は、配列番号107に記載のヌクレオチド配列を含むかまたはそれからなる。
5.4.4.TCR様融合分子
【0343】
ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は、TCR様融合分子である。TCR融合分子の非限定的な例には、HLA非依存的TCRベースのキメラ抗原受容体(「HIT-CAR」としても公知の、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願番号PCT/US19/017525号に開示されるもの)およびT細胞受容体融合構築物(TRuC)(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるBaeuerle et al., ”Synthetic TRuC receptors engaging the complete T cell receptor for potent anti-tumor response”, Nature Communications volume 10, Article number: 2087 (2019)に開示されるもの)が含まれる。
【0344】
ある特定の実施形態では、HLA非依存的様式で、抗原に結合するTCR様融合分子は、細胞外抗原結合ドメインおよび定常ドメインを含む抗原結合鎖を含む。ある特定の実施形態では、定常ドメインは、ネイティブのまたは改変されたTRACペプチド、ネイティブのまたは改変されたTRBCペプチド、ネイティブのまたは改変されたTRDCペプチド、ネイティブのまたは改変されたTRGCペプチド、およびその任意のバリアントまたは機能的断片からなる群から選択されるT細胞受容体定常領域を含む。ある特定の実施形態では、定常ドメインは、ネイティブのまたは改変されたTRACペプチドを含む。ある特定の実施形態では、定常ドメインは、ネイティブのまたは改変されたTRBCペプチドを含む。ある特定の実施形態では、定常ドメインは、別の定常ドメインと、ホモダイマーまたはヘテロダイマーを形成することが可能である。ある特定の実施形態では、抗原結合鎖は、CD3ζポリペプチドと会合することが可能である。ある特定の実施形態では、抗原結合鎖は、抗原への結合の際に、抗原結合鎖に会合したCD3ζポリペプチドを活性化することが可能である。ある特定の実施形態では、CD3ζポリペプチドの活性化は、免疫応答細胞を活性化することが可能である。ある特定の実施形態では、TCR様融合分子は、CD3複合体と一体化することが可能であり、HLA非依存的抗原認識を提供することが可能である。ある特定の実施形態では、TCR様融合分子は、CD3/TCR複合体中の内因性TCRを置き換える。ある特定の実施形態では、TCR様融合分子の細胞外抗原結合ドメインは、別の細胞外抗原結合ドメインとダイマー化することが可能である。ある特定の実施形態では、TCR様融合分子の細胞外抗原結合ドメインは、細胞表面受容体に対するリガンド、細胞表面リガンドに対する受容体、抗体の抗原結合部分もしくはその断片、またはTCRの抗原結合部分を含む。ある特定の実施形態では、TCR様融合分子の細胞外抗原結合ドメインは、1つまたは2つの免疫グロブリン可変領域を含む。ある特定の実施形態では、TCR様融合分子の細胞外抗原結合ドメインは、抗体の重鎖可変領域(V)を含む。ある特定の実施形態では、TCR様融合分子の細胞外抗原結合ドメインは、抗体の軽鎖可変領域(V)を含む。ある特定の実施形態では、TCR様融合分子の細胞外抗原結合ドメインは、別の細胞外抗原結合ドメインとダイマー化することが可能である。ある特定の実施形態では、TCR様融合分子の細胞外抗原結合ドメインは、抗体のVを含み、Vは、抗体のVを含む別の細胞外抗原結合ドメインとダイマー化することが可能であり、可変断片(Fv)を形成する。ある特定の実施形態では、TCR様融合分子の細胞外抗原結合ドメインは、抗体のVを含み、Vは、抗体のVを含む別の細胞外抗原結合ドメインとダイマー化することが可能であり、可変断片(Fv)を形成する。
【0345】
TCR様融合分子は、腫瘍抗原または病原体抗原に結合し得る。ある特定の実施形態では、TCR様融合分子は、腫瘍抗原に結合する。ある特定の実施形態では、TCR融合分子は、CD19に結合する。ある特定の実施形態では、TCR様融合分子は、ヒトCD19に結合する。ある特定の実施形態では、TCR融合分子は、「19-HIT」として表わされる。ある特定の実施形態では、TCR様融合分子(例えば、19-HIT)は、以下に提供される配列番号111に記載のアミノ酸配列と少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%相同または同一であるアミノ酸配列を含む。ある特定の実施形態では、TCR様融合分子(例えば、19-HIT)は、配列番号111に記載のアミノ酸配列を含む。配列番号111に記載のアミノ酸配列を含むTCR融合分子は、CD19(例えば、ヒトCD19)に結合することができる。
【化84】
【0346】
ある特定の実施形態では、細胞は、TCR様融合分子および本開示の融合ポリペプチドを含む。ある特定の実施形態では、細胞は、高レベルの融合ポリペプチドを発現する。
5.5.組成物およびベクター
【0347】
本開示の主題(the present discloses subject matter)は、本開示の融合ポリペプチド(例えば、セクション5.2で開示される)および本開示の抗原認識受容体(例えば、セクション5.4で開示される)を含む組成物を提供する。かかる組成物を含む細胞もまた提供される。
【0348】
ある特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、第1のプロモーターに作動可能に連結される。ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は、第2のプロモーターに作動可能に連結される。
【0349】
さらに、本開示の主題(the present discloses subject matter)は、本開示の融合ポリペプチド(例えば、セクション5.2で開示される)をコードする第1のポリヌクレオチドおよび本開示の抗原認識受容体(例えば、セクション5.4で開示される)をコードする第2のポリヌクレオチドを含む核酸組成物を提供する。かかる核酸組成物を含む細胞もまた提供される。
【0350】
ある特定の実施形態では、核酸組成物は、融合ポリペプチドに作動可能に連結された第1のプロモーターをさらに含む。ある特定の実施形態では、核酸組成物は、抗原認識受容体に作動可能に連結された第2のプロモーターをさらに含む。
【0351】
ある特定の実施形態では、第1および第2のプロモーターの1つまたは両方は、内因性または外因性である。
【0352】
ある特定の実施形態では、外因性プロモーターは、伸長因子(EF)-1プロモーター、CMVプロモーター、SV40プロモーター、PGKプロモーター、およびメタロチオネインプロモーターから選択される。ある特定の実施形態では、第1および第2のプロモーターの1つまたは両方は、誘導型プロモーターである。ある特定の実施形態では、誘導型プロモーターは、NFAT転写応答エレメント(TRE)プロモーター、CD69プロモーター、CD25プロモーター、およびIL-2プロモーターから選択される。
【0353】
ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は、TCRであり、融合ポリペプチドは、安定な高い発現レベルの融合ポリペプチドを誘導することが可能である、第1のプロモーターに作動可能に連結さる。
【0354】
ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は、TCR様融合分子(例えば、HIT CAR)であり、融合ポリペプチドは、安定な高い発現レベルの融合ポリペプチドを誘導することが可能である、第1のプロモーターに作動可能に連結される。
【0355】
ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は、キメラ抗原受容体であり、キメラ抗原受容体および融合ポリペプチドの発現は、内因性プロモーターの制御下にある。内因性プロモーターの非限定的な例には、内因性TRACプロモーター、内因性TRBCプロモーター、内因性TRDCプロモーター、および内因性TRGCプロモーターが含まれる。ある特定の実施形態では、内因性プロモーターは、内因性TRACプロモーターである。
【0356】
組成物および核酸組成物は、当該分野で公知の方法によって、または本明細書に記載されるように、対象に投与され得るまたはおよび/(or and/)細胞中に送達され得る。細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)の遺伝子改変は、実質的に均一な細胞組成物を組換えDNA構築物で形質導入することによって達成され得る。ある特定の実施形態では、レトロウイルスベクター(ガンマ-レトロウイルスまたはレンチウイルスのいずれか)は、細胞中への核酸組成物の導入のために用いられる。例えば、融合ポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドおよび抗原認識受容体をコードする第2のポリヌクレオチドは、レトロウイルスベクター中にクローニングされ得、発現は、その内因性プロモーターから、レトロウイルスのロングターミナルリピートから、または目的の標的細胞型に特異的なプロモーターから駆動され得る。非ウイルスベクターも同様に使用され得る。
【0357】
抗原認識受容体(例えば、CAR、TCR、またはTCR様融合分子)を含むようにするための細胞の初回遺伝子改変について、レトロウイルスベクターが形質導入のために一般に用いられるが、任意の他の適切なウイルスベクターまたは非ウイルス送達系が使用されてもよい。抗原認識受容体および融合ポリペプチドは、単一のマルチシストロン性発現カセットで、単一のベクターの複数の発現カセットで、または複数のベクターで構築され得る。ポリシストロン性発現カセットを創出するエレメントの例には、種々のウイルス性および非ウイルス性の内部リボソーム進入部位(IRES、例えば、FGF-1 IRES、FGF-2 IRES、VEGF IRES、IGF-II IRES、NF-κB IRES、RUNX1 IRES、p53 IRES、A型肝炎IRES、C型肝炎IRES、ペスチウイルスIRES、アフトウイルスIRES、ピコルナウイルスIRES、ポリオウイルスIRESおよび脳心筋炎ウイルスIRES)ならびに切断可能なリンカー(例えば、2Aペプチド、例えば、P2A、T2A、E2AおよびF2Aペプチド)が含まれるがこれらに限定されない。レトロウイルスベクターおよび適切なパッケージング系の組合せもまた適切であり、カプシドタンパク質は、ヒト細胞に感染するために機能的である。PA12(Miller, et al. (1985) Mol. Cell. Biol. 5:431-437);PA317(Miller, et al. (1986) Mol. Cell. Biol. 6:2895-2902);およびCRIP(Danos, et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:6460-6464)が含まれるがこれらに限定されない種々のアンホトロピックウイルス産生細胞系が公知である。非アンホトロピック粒子、例えば、VSVG、RD114またはGALVエンベロープでシュードタイプ化された粒子および当該分野で公知の任意の他のものもまた適切である。ある特定の実施形態では、P2Aペプチドは、以下に提供される配列番号108に記載のアミノ酸配列を含むかまたはそれを有する:
【化85】
【0358】
形質導入の可能な方法には、例えば、Bregni, et al. (1992) Blood 80:1418-1422の方法による、細胞と産生細胞との直接的共培養、または例えば、Xu, et al. (1994) Exp. Hemat. 22:223-230;およびHughes, et al. (1992) J. Clin. Invest. 89:1817の方法による、適切な成長因子およびポリカチオンありもしくはなしで、ウイルス上清単独もしくは濃縮されたベクターストックと共に培養することも含まれる。
【0359】
他の形質導入ウイルスベクターが、細胞を改変するために使用され得る。ある特定の実施形態では、選択されたベクターは、高い効率の感染ならびに安定な組込みおよび発現を示す(例えば、Cayouette et al., Human Gene Therapy 8:423-430, 1997;Kido et al., Current Eye Research 15:833-844, 1996;Bloomer et al., Journal of Virology 71:6641-6649, 1997;Naldini et al., Science 272:263-267, 1996;およびMiyoshi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94:10319, 1997を参照のこと)。使用され得る他のウイルスベクターには、例えば、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター、およびアデノ(adena)随伴ウイルスベクター、ワクシニアウイルス、ウシパピローマウイルス、またはヘルペスウイルス、例えば、エプスタイン・バーウイルス(例えば、Miller, Human Gene Therapy 15-14, 1990;Friedman, Science 244:1275-1281, 1989;Eglitis et al., BioTechniques 6:608-614, 1988;Tolstoshev et al., Current Opinion in Biotechnology 1:55-61, 1990;Sharp, The Lancet 337:1277-1278, 1991;Cornetta et al., Nucleic Acid Research and Molecular Biology 36:311-322, 1987;Anderson, Science 226:401-409, 1984;Moen, Blood Cells 17:407-416, 1991;Miller et al., Biotechnology 7:980-990, 1989;LeGal La Salle et al., Science 259:988-990, 1993;およびJohnson, Chest 107:77S- 83S, 1995のベクターもまた参照のこと)が含まれる。レトロウイルスベクターが、特によく開発され、臨床実践場面において使用されてきた(Rosenberg et al., N. Engl. J. Med 323:370, 1990;Andersonら、米国特許第5,399,346号)。
【0360】
非ウイルスアプローチもまた、細胞の遺伝子改変に用いられ得る。例えば、核酸分子は、リポフェクションの存在下で核酸を投与すること(Feigner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84:7413, 1987;Ono et al., Neuroscience Letters 17:259, 1990;Brigham et al., Am. J. Med. Sci. 298:278, 1989;Staubinger et al., Methods in Enzymology 101:512, 1983)、アシアロオロソムコイド-ポリリシンコンジュゲーション(Wu et al., Journal of Biological Chemistry 263:14621, 1988;Wu et al., Journal of Biological Chemistry 264:16985, 1989)、または外科的条件下でのマイクロインジェクション(Wolff et al., Science 247:1465, 1990)によって、細胞中に導入され得る。遺伝子移入のための他の非ウイルス手段には、リン酸カルシウム、DEAEデキストラン、電気穿孔、およびプロトプラスト融合を使用するin vitroでのトランスフェクションが含まれる。リポソームもまた、細胞中へのDNAの送達のために、潜在的に有益であり得る。対象の罹患組織中への正常遺伝子の移植は、正常核酸を培養可能な細胞型(例えば、自己もしくは異種初代細胞またはその後代)中にex vivoで移入させ、その後、細胞(またはその子孫)を、標的化された組織中に注射するかまたは全身性に注射することによっても達成され得る。組換え受容体は、トランスポザーゼまたは標的化されたヌクレアーゼ(例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼまたはTALEヌクレアーゼ、CRISPR)を使用しても、誘導され得るかまたは得られ得る。一過的発現は、RNA電気穿孔によって得られ得る。
【0361】
任意の標的化されたゲノム編集法もまた、本開示の融合ポリペプチドおよび/または抗原認識受容体を細胞または対象に送達するために使用され得る。ある特定の実施形態では、CRISPRシステムが、本開示の融合ポリペプチドおよび/または抗原認識受容体を送達するために使用される。ある特定の実施形態では、ジンクフィンガーヌクレアーゼが、本開示の融合ポリペプチドおよび/または抗原認識受容体を送達するために使用される。ある特定の実施形態では、TALENシステムが、本開示の融合ポリペプチドおよび/または抗原認識受容体を送達するために使用される。
【0362】
クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)システムは、原核生物細胞において発見されたゲノム編集ツールである。ゲノム編集のために利用される場合、このシステムは、Cas9(そのガイドとしてcrRNAを利用してDNAを改変することができるタンパク質)、CRISPR RNA(Cas9と活性な複合体を形成するtracrRNA(一般にはヘアピンループ形態)に結合する領域と共に、それを宿主DNAの正しいセクションにガイドするためにCas9によって使用されるRNAを含有する、crRNA)、トランス活性化crRNA(crRNAに結合し、Cas9と共に活性な複合体を形成する、tracrRNA)、およびDNA修復鋳型の必要に応じたセクション(特異的DNA配列の挿入を可能にする細胞修復プロセスをガイドするDNA)を含む。CRISPR/Cas9は、標的細胞をトランスフェクトするために、プラスミドを用いる場合が多い。crRNAは、各適用のために設計される必要があるが、それは、これが、細胞中の標的DNAを同定しそれに直接結合するためにCas9が使用する配列だからである。修復鋳型を保有するCAR発現カセットもまた、各適用のために設計される必要があるが、それは、これが、切断のいずれの側の配列とも重複しなければならず、挿入配列をコードしなければならないからである。複数のcrRNAおよびtracrRNAは、シングルガイドRNA(sgRNA)を形成するために、一緒にまとめられ得る。このsgRNAは、Cas9遺伝子と一緒に接合され得、細胞中にトランスフェクトされるために、プラスミドにされ得る。
【0363】
ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、ジンクフィンガーDNA結合ドメインをDNA切断ドメインと組み合わせることによって生成される人工制限酵素である。ジンクフィンガードメインは、特異的DNA配列を標的とするように操作され得、これにより、ジンクフィンガーヌクレアーゼがゲノム内の所望の配列を標的とすることを可能にする。個々のZFNのDNA結合ドメインは、典型的には、複数の個々のジンクフィンガーリピートを含有し、各々が複数の塩基対を認識し得る。新たなジンクフィンガードメインを生成するための最も一般的な方法は、既知の特異性のより小さいジンクフィンガー「モジュール」を組み合わせることである。ZFN中の最も一般的な切断ドメインは、II型制限エンドヌクレアーゼFokI由来の非特異的切断ドメインである。内因性相同組換え(HR)機構と相同なDNA鋳型を保有するCAR発現カセットとを使用して、ZFNは、CAR発現カセットをゲノム中に挿入するために使用され得る。標的化された配列がZFNによって切断されると、HR機構は、損傷した染色体と相同なDNA鋳型との間の相同性について検索し、次いで、染色体の2つの切断された末端間の鋳型の配列をコピーし、それにより、相同なDNA鋳型がゲノム中に組み込まれる。
【0364】
転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)は、DNAの特異的配列を切断するように操作され得る制限酵素である。TALENシステムは、ZFNとほとんど同じ原理で動作する。これらは、転写活性化因子様エフェクターDNA結合ドメインをDNA切断ドメインと組み合わせることによって生成される。転写活性化因子様エフェクター(TALE)は、特異的ヌクレオチドに対する強い認識を有する2つの可変の位置を有する33~34アミノ酸の反復モチーフから構成される。これらのTALEのアレイをアセンブルすることによって、TALEのDNA結合ドメインは、所望のDNA配列に結合するように操作され得、それにより、ゲノム中の特異的な位置で切断するようにヌクレアーゼをガイドし得る。ポリヌクレオチド治療法における使用のためのcDNA発現は、任意の適切なプロモーター(例えば、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)、サルウイルス40(SV40)、またはメタロチオネインプロモーター)から指示され得、任意の適切な哺乳動物調節エレメントまたはイントロン(例えば、伸長因子1aエンハンサー/プロモーター/イントロン構造)によって調節され得る。例えば、所望の場合、特定の細胞型において遺伝子発現を優先的に指示することが公知のエンハンサーが、核酸の発現を指示するために使用され得る。使用されるエンハンサーには、組織特異的または細胞特異的エンハンサーとして特徴付けられるものが限定なしに含まれ得る。あるいは、ゲノムクローンが治療的構築物として使用される場合、調節は、同族調節配列によって、または所望の場合、上記プロモーターもしくは調節エレメントのいずれかを含む異種供給源に由来する調節配列によって、媒介され得る。
【0365】
ゲノム編集剤/システムを送達するための方法は、必要に依存して変動し得る。ある特定の実施形態では、選択されたゲノム編集法の構成成分は、1つまたは複数のプラスミドでのDNA構築物として送達される。ある特定の実施形態では、構成成分は、ウイルスベクターを介して送達される。一般的な送達法には、電気穿孔、マイクロインジェクション、遺伝子銃、インパルフェクション(impalefection)、静水圧、持続注入、超音波処理、マグネトフェクション、アデノ随伴ウイルス、ウイルスベクターのエンベロープタンパク質シュードタイプ化、複製コンピテントなベクターのシスおよびトランス作用性エレメント、単純ヘルペスウイルス、ならびに化学的ビヒクル(例えば、オリゴヌクレオチド、リポプレックス、ポリマーソーム、ポリプレックス、デンドリマー、無機ナノ粒子、および細胞透過性ペプチド)が含まれるがこれらに限定されない。
【0366】
本開示の組成物または核酸組成物は、ゲノム中のいずれの場所にも配置され得る。ある特定の実施形態では、組成物または核酸組成物は、TRAC遺伝子座、TRBC遺伝子座、TRDC遺伝子座、および/またはTRGC遺伝子座が含まれるがこれらに限定されない、T細胞のゲノム内の遺伝子座に配置される。ある特定の実施形態では、組成物または核酸組成物の配置は、内因性T細胞受容体の発現を破壊させる。ある特定の実施形態では、抗原認識受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)である。
【0367】
ある特定の実施形態では、組成物または核酸組成物は、免疫阻害分子をコードする遺伝子座に組み込まれる。免疫阻害分子の非限定的な例には、CTLA-4、PD-1、LAG3、BTLA、B7-1、B7-H1、B7-H3、B7-H4、TIM3、SHP-1、SHP-2、TIGIT、CD160、およびLAIR1が含まれる。
5.6.ポリペプチドおよびアナログ
【0368】
所望の目的のための手法で、例えば、細胞において発現された場合にそれらの抗新生物および/または抗腫瘍活性を増強するための手法で改変された、本開示のポリペプチド(例えば、CD19、4-1BB、CD80、CD28、CD3ζなど、またはその断片)もまた、本開示の主題に含まれる。本開示の主題は、配列中に変更を生じることによってアミノ酸配列または核酸配列を最適化するための方法、ならびに改変されたアミノ酸配列および核酸配列を提供する。かかる変更には、ある特定の変異、欠失、挿入、または翻訳後改変が含まれ得る。本開示の主題は、本開示の任意のポリペプチドのアナログをさらに含む。アナログは、アミノ酸配列差異により、翻訳後改変により、または両方により、本開示のポリペプチドとは異なり得る。アナログは、本開示の主題のアミノ酸配列(an amino, acid sequence)の全てまたは一部と少なくとも約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%またはそれよりも高い相同性(homologous)を示し得る。配列比較の長さは、少なくとも5、10、15もしくは20アミノ酸残基、例えば、少なくとも25、50、もしくは75アミノ酸残基、または100よりも多くのアミノ酸残基である。再び、同一性の程度を決定するための例示的なアプローチでは、BLASTプログラムを使用することができ、e-3とe-100との間の確率スコアは密接に関連した配列を示す。改変には、ポリペプチドのin vivoおよびin vitroでの化学的誘導体化、例えば、アセチル化、カルボキシル化、リン酸化、またはグリコシル化が含まれる;かかる改変は、ポリペプチド合成もしくはプロセシングの間に、または単離された改変酵素による処置の後に生じ得る。アナログはまた、一次配列中の変更によって、ポリペプチドとは異なり得る。これらには、天然のおよび誘導された(例えば、Sambrook, Fritsch and Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2d ed.), CSH Press, 1989または上記Ausubel et al.に記載されるような、照射もしくは硫酸エタンメチル(ethanemethylsulfate)への曝露によるランダム変異誘発から、または部位特異的変異誘発によって生じる)の両方の遺伝的バリアントが含まれる。L-アミノ酸(amina acids)以外の残基、例えば、D-アミノ酸または天然に存在しないもしくは合成のアミノ酸、例えば、βもしくはγアミノ酸を含有する、環化されたペプチド、分子、およびアナログもまた含まれる。
【0369】
全長ポリペプチドに加えて、本開示の主題は、本開示のポリペプチドのいずれか1つの断片もまた提供する。本明細書で使用される場合、用語「断片」は、少なくとも5、10、13、または15アミノ酸を意味する。ある特定の実施形態では、断片は、少なくとも20連続するアミノ酸、少なくとも30連続するアミノ酸、または少なくとも50連続するアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、断片は、少なくとも60~80、100、200、300またはそれよりも多くの連続するアミノ酸を含む。断片は、当業者に公知の方法によって生成され得、または通常のタンパク質プロセシング(例えば、新生ポリペプチドからの生物活性にとって必要ではないアミノ酸の除去、または選択的mRNAスプライシングもしくは選択的タンパク質プロセシング事象によるアミノ酸の除去)から生じ得る。
【0370】
非タンパク質アナログは、本開示のタンパク質(例えば、融合ポリペプチド)の機能的活性を模倣するように設計された化学構造を有する。かかるアナログは、元のポリペプチドの生理活性を上回り得る。アナログ設計の方法は、当該分野で周知であり、アナログの合成は、細胞において発現された場合に、得られたアナログが元のポリペプチドの抗新生物活性を増加させるように、化学構造を改変することによって、かかる方法に従って実施され得る。これらの化学的改変には、代替R基の置換、および参照ポリペプチドの特定の炭素原子における飽和の程度の変動が含まれるがこれらに限定されない。ある特定の実施形態では、タンパク質アナログは、in vivo分解に対して比較的耐性であり、投与の際のより延長された治療効果を生じる。機能的活性を測定するためのアッセイには、以下の実施例に記載されるものが含まれるがそれらに限定されない。
5.7.投与
【0371】
本開示の細胞を含む組成物は、抗原に対する免疫応答を誘導および/もしくは増強するため、ならびに/または新生物(例えば、がん)、病原体感染、もしくは感染性疾患を処置および/もしくは防止するために、対象に全身性にまたは直接提供され得る。ある特定の実施形態では、本開示の細胞、組成物、または核酸組成物は、目的の臓器(例えば、新生物に冒された臓器)中に直接注射される。あるいは、本開示の細胞、組成物、または核酸組成物は、例えば、循環系(例えば、腫瘍脈管構造)中への投与によって、目的の臓器に間接的に提供される。拡大および分化剤が、in vitroまたはin vivoでの細胞(例えば、T細胞(例えば、CTL細胞)またはNK細胞)の産生を増加させるために、細胞、組成物、または核酸組成物の投与の前、その間またはその後に提供され得る。
【0372】
本開示の細胞、組成物、または核酸組成物は、静脈内、皮下、結節内、腫瘍内、髄腔内、胸膜内、腹腔内が含まれるがこれらに限定されない任意の適切な経路で投与され得る。通常、最終的に約1×1010またはそれよりも多くに達する、少なくとも約1×10個の細胞が投与される。本開示の細胞は、細胞の精製された集団を構成し得る。当業者は、蛍光活性化細胞選別(FACS)などの種々の周知の方法を使用して、集団中の本開示の細胞のパーセンテージを容易に決定することができる。本開示の細胞を含む集団における純度の適切な範囲は、約50%~約55%、約5%~約60%、および約65%~約70%である。ある特定の実施形態では、純度は、約70%~約75%、約75%~約80%、または約80%~約85%である。ある特定の実施形態では、純度は、約85%~約90%、約90%~約95%、および約95%~約100%である。投薬量は、当業者によって容易に調整され得る(例えば、純度における減少は、投薬量における増加を要求し得る)。細胞は、注射、カテーテルなどによって導入され得る。本開示の組成物は、本開示の細胞またはそれらの前駆体および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物であり得る。投与は、自己または異種であり得る。例えば、細胞、または前駆体は、1つの対象から得られ得、同じ対象または異なる適合性の対象に投与され得る。末梢血由来の細胞またはその後代(例えば、in vivo、ex vivoまたはin vitroで誘導されるもの)は、カテーテル投与が含まれる局所注射、全身性注射、局所注射、静脈内注射、または非経口投与を介して投与され得る。本開示の主題の治療的組成物(例えば、本開示の細胞を含む医薬組成物)を投与する場合、注射可能な単位剤形(液剤、懸濁剤、乳剤)で製剤化され得る。
【0373】
ある特定の実施形態では、医薬組成物は、融合ポリペプチド(例えば、セクション5.2.4で開示されるもの)の発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な調節因子をさらに含む。
5.8.製剤化
【0374】
本開示の細胞を含む組成物は、選択されたpHに緩衝化され得る無菌液体調製物、例えば、等張水性液剤、懸濁剤、乳剤、分散液剤(dispersion)、または粘性組成物として、簡便に提供され得る。液体調製物は、通常、ゲル剤、他の粘性組成物、および固体組成物よりも、調製が容易である。さらに、液体組成物は、特に注射によって投与するのに、いくらかより簡便である。他方、粘性組成物は、特定の組織とのより長い接触期間を提供するための適切な粘度範囲内で製剤化され得る。液体または粘性組成物は、例えば、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る担体を含み得る。
【0375】
無菌の注射可能な液剤は、所望により種々の量の他の成分と共に、遺伝子改変された細胞を、必要な量の適切な溶媒中に組み込むことによって調製され得る。かかる組成物は、適切な担体、希釈剤、または賦形剤、例えば、無菌の水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどと混合され得る。組成物は、凍結乾燥もされ得る。組成物は、所望の投与の経路および調製物に依存して、補助物質、例えば、湿潤剤、分散剤、または乳化剤(例えば、メチルセルロース)、pH緩衝化剤、ゲル化または粘度増強添加剤、防腐剤、香味剤、顔料などを含有し得る。これにより参照により本明細書に組み込まれる”REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCE”, 17th edition, 1985などの標準的なテキストが、過度の実験なしに適切な調製物を調製するために参考にされ得る。
【0376】
抗菌防腐剤、抗酸化剤、キレート剤、および緩衝剤が含まれる、組成物の安定性および無菌性を増強する種々の添加剤が添加され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって確実にされ得る。注射可能な医薬形態の延長された吸収は、吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらされ得る。しかし、本開示の主題によれば、使用される任意のビヒクル、希釈剤、または添加剤は、遺伝子改変された細胞またはそれらの前駆体と適合性である必要がある。
【0377】
組成物は、等張であり得る、即ち、血液および涙液と同じ浸透圧を有し得る。組成物の所望の等張性は、塩化ナトリウム、または他の薬学的に許容される剤、例えば、デキストロース、ホウ酸、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコールまたは他の無機もしくは有機溶質を使用して達成され得る。塩化ナトリウムは、特に、ナトリウムイオンを含有する緩衝剤のためのものであり得る。
【0378】
組成物の粘度は、所望の場合、薬学的に許容される増粘剤(thickening agent)を使用して、選択されたレベルで維持され得る。例えば、メチルセルロースは、容易にかつ経済的に入手可能であり、扱いが容易である。他の適切な増粘剤には、例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマーなどが含まれる。増粘剤(thickener)の濃度は、選択された剤に依存し得る。重要な点は、選択された粘度を達成する量を使用することである。明らかに、適切な担体および他の添加剤の選択は、投与の正確な経路、および特定の剤形、例えば、液体剤形の性質(例えば、組成物が、液剤、懸濁剤、ゲル剤または別の液体形態、例えば、持続放出形態または液体充填形態へと製剤化されるかどうか)に依存する。
【0379】
投与される細胞の量は、処置されている対象によって変動する。ある特定の実施形態では、約10個と約1010個との間、約10個と約10個との間、または約10個と約10個との間の本開示の細胞が、ヒト対象に投与される。ある特定の実施形態では、約10個と約10個との間の本開示の細胞が、ヒト対象に投与される。より有効な細胞は、さらにより少ない数で投与され得る。ある特定の実施形態では、少なくとも約1×10個の本開示の細胞が、ヒト対象に投与される。ある特定の実施形態では、少なくとも約1×10個の本開示の細胞が、ヒト対象に投与される。有効用量とみなされるものの正確な決定は、それらのサイズ、年齢、性別、体重、および特定の対象の状態が含まれる、各対象について個別の因子に基づき得る。投薬量は、本開示および当該分野の知識から、当業者によって容易に確認され得る。
【0380】
当業者は、組成物中の、ならびに方法において投与される細胞および必要に応じた添加剤、ビヒクル、および/または担体の量を容易に決定することができる。典型的には、任意の添加剤(活性な細胞(複数可)および/または剤(複数可)に加えて)は、リン酸緩衝食塩水中に、0.001~50%(重量)溶液の量で存在し、活性成分は、マイクログラム~ミリグラムのオーダーで、例えば、約0.0001~約5wt%、約0.0001~約1wt%、約0.0001~約0.05wt%または約0.001~約20wt%、約0.01~約10wt%、または約0.05~約5wt%で存在する。動物またはヒトに投与される任意の組成物について、以下が決定され得る:適切な動物モデル、例えば、マウスなどのげっ歯類において、致死用量(LD)およびLD50を決定することなどによる、毒性;適切な応答を惹起する、組成物の投薬量、その中の構成成分の濃度、および組成物を投与するタイミング。かかる決定は、当業者の知識、本開示および本明細書で引用される文書から、過度の実験を要求しない。そして、逐次的投与のための時間は、過度の実験なしに確認され得る。
5.9.処置の方法
【0381】
本開示の主題は、それを必要とする対象における免疫応答を誘導および/または増加させるための方法を提供する。本開示の細胞、組成物、および核酸組成物は、治療または医薬において使用され得る。本開示の細胞およびそれを含む組成物は、対象における新生物を処置および/または防止するために使用され得る。本開示の細胞、組成物および核酸組成物は、新生物に罹患している対象の生存を延長させるために使用され得る。本開示の細胞、組成物、および核酸組成物は、対象における新生物を処置および/または防止するためにも使用され得る。ある特定の実施形態では、新生物は、がんである。本開示の細胞、組成物、および核酸組成物は、対象、例えば、免疫無防備状態のヒト対象における病原体感染または他の感染性疾患を処置および/または防止するためにも使用され得る。本開示の細胞、組成物、および核酸組成物は、対象における自己免疫疾患を処置および/または防止するためにも使用され得る。かかる方法は、既存の状態の緩和または再発の防止である所望の効果を達成するために、有効量での本開示の細胞、本開示の組成物(例えば、医薬組成物)、または本開示の核酸組成物を投与することを含む。処置のために、投与される量は、所望の効果を生じるのに有効な量である。有効量は、1回の投与または一連の投与で提供され得る。有効量は、ボーラスで、または連続灌流によって、提供され得る。
【0382】
「有効量」(または「治療有効量」)は、処置の際に有益なまたは所望の臨床結果をもたらすのに十分な量である。有効量は、1つまたは複数の用量で対象に投与され得る。処置に関して、有効量は、疾患を緩和、寛解、安定化、逆転させるのに、もしくはその進行を緩徐化するのに、または疾患の病理学的結果を他の方法で低減させるのに十分な量である。有効量は、一般に、ケースバイケースで医師によって決定され、当業者の技術範囲内である。典型的には、いくつかの因子が、有効量を達成するための適切な投薬量を決定する場合に考慮される。これらの因子には、対象の年齢、性別および体重、処置されている状態、状態の重症度ならびに投与される細胞の形態および有効濃度が含まれる。
【0383】
抗原特異的T細胞を使用する養子免疫療法について、約10~1010個の範囲(例えば、約10個)の細胞用量が、典型的には注入される。宿主中への本開示の細胞の投与および引き続く分化の際に、特異的抗原に特異的に向けられたT細胞が誘導される。
【0384】
本開示の主題は、対象における新生物を処置および/または防止するための方法を提供する。この方法は、本開示の細胞、本開示の組成物、または本開示の核酸組成物の有効量を、新生物を有する対象に投与することを含み得る。
【0385】
新生物の非限定的な例には、血液がん(例えば、白血病、リンパ腫、および骨髄腫)、卵巣がん、乳がん、膀胱がん、脳がん、結腸がん、腸がん、肝臓がん、肺がん、膵がん、前立腺がん、皮膚がん、胃がん、神経膠芽腫、咽喉がん、黒色腫、神経芽細胞腫、腺癌、神経膠腫、軟部組織肉腫、および種々の癌(前立腺がんおよび小細胞肺がんが含まれる)が含まれる。適切な癌には、星状細胞腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、乏突起神経膠腫、上衣腫、髄芽細胞腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、軟骨肉腫、骨原性肉腫、膵管腺癌、小細胞および大細胞肺腺癌、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、扁平上皮癌、気管支肺胞癌、上皮腺癌、およびその肝臓転移、リンパ管肉腫(lymphangiosarcoma)、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、ヘパトーマ、胆管癌、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、横紋筋肉腫、結腸癌、基底細胞癌、汗腺癌、乳頭癌、皮脂腺癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、胆管癌、絨毛癌、セミノーマ、胚性癌、ウィルムス腫瘍、精巣腫瘍、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、白血病、多発性骨髄腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、および重鎖病、乳房腫瘍、例えば、乳管および小葉腺癌、子宮頸部の扁平上皮および腺癌、子宮および卵巣上皮癌、前立腺腺癌、膀胱の移行扁平上皮癌、BおよびT細胞リンパ腫(結節性およびびまん性)、形質細胞腫、急性および慢性白血病、悪性黒色腫、軟部組織肉腫ならびに平滑筋肉腫が含まれるがこれらに限定されない、腫瘍学の分野で公知の任意のものがさらに含まれる。ある特定の実施形態では、新生物は、がんである。ある特定の実施形態では、新生物は、血液がん(例えば、白血病、リンパ腫、および骨髄腫)、卵巣がん、前立腺がん、乳がん、膀胱がん、脳がん、結腸がん、腸がん、肝臓がん、肺がん、膵がん、前立腺がん、皮膚がん、胃がん、神経膠芽腫、および咽喉がんからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、本開示の細胞、組成物、核酸組成物は、従来の治療介入に適していない血液がん(例えば、白血病、リンパ腫、および骨髄腫)または卵巣がんを処置および/または防止するために使用され得る。ある特定の実施形態では、本開示の細胞、組成物、核酸組成物は、固形腫瘍を処置および/または防止するために使用され得る。
【0386】
本開示の主題は、対象におけるウイルス感染症を処置および/または防止するための方法を提供する。この方法は、本開示の細胞、本開示の組成物、または本開示の核酸組成物の有効量を、ウイルス感染症を有する対象に投与することを含み得る。ウイルス感染症の非限定的な例には、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、A、B、C、D、E、FまたはG型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、アデノウイルス、BKポリオーマウイルス、コロナウイルス、コクサッキーウイルス、ポリオウイルス、単純ヘルペス1型、単純ヘルペス2型、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス8型、水痘帯状疱疹ウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、パピローマウイルス、狂犬病ウイルス、および風疹ウイルスによって引き起こされるウイルス感染症が含まれる。他のウイルス標的には、Paramyxoviridae(例えば、ニューモウイルス、モルビリウイルス、メタニューモウイルス、レスピロウイルスまたはルブラウイルス)、Adenoviridae(例えば、アデノウイルス)、Arenaviridae(例えば、アレナウイルス、例えば、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス)、Arteriviridae(例えば、ブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルスまたはウマ動脈炎ウイルス)、Bunyaviridae(例えば、フレボウイルスまたはハンタウイルス)、Caliciviridae(例えば、ノーウォークウイルス)、Coronaviridae(例えば、コロナウイルスまたはトロウイルス)、Filoviridae(例えば、エボラ様ウイルス)、Flaviviridae(例えば、ヘパシウイルスまたはフラビウイルス)、Herpesviridae(例えば、シンプレックスウイルス、バリセロウイルス、サイトメガロウイルス、ロゼオロウイルス、またはリンホクリプトウイルス)、Orthomyxoviridae(例えば、インフルエンザウイルスまたはトゴトウイルス)、Parvoviridae(例えば、パルボウイルス)、Picomaviridae(例えば、エンテロウイルスまたはヘパトウイルス)、Poxviridae(例えば、オルソポックスウイルス、アビポクッスウイルス、またはレポリポックスウイルス)、Retroviridae(例えば、レンチウイルスまたはスプーマウイルス)、Reoviridae(例えば、ロタウイルス)、Rhabdoviridae(例えば、リッサウイルス、ノビラブドウイルス、またはベシクロウイルス)、およびTogaviridae(例えば、アルファウイルスまたはルビウイルス)が含まれる。ある特定の実施形態では、ウイルス感染症には、ヒト呼吸器コロナウイルス、インフルエンザウイルスA~C、A~G型肝炎ウイルス、および単純ヘルペスウイルス1~9が含まれる。ある特定の実施形態では、対象は、免疫不全を有する。
【0387】
本開示の主題は、対象における細菌感染症を処置および/または防止するための方法を提供する。この方法は、本開示の細胞、本開示の組成物、または本開示の核酸組成物の有効量を、細菌感染症を有する対象に投与することを含み得る。細菌感染症には、Mycobacteria、Rickettsia、Mycoplasma、Neisseria meningitides、Neisseria gonorrheoeae、Legionella、Vibrio cholerae、Streptococci、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Pseudomonas aeruginosa、Corynobacteria diphtheriae、Clostridium spp.、腸管毒素原性Eschericia coli、Bacillus anthracis、Rickettsia、Bartonella henselae、Bartonella quintana、Coxiella burnetii、chlamydia、Mycobacterium leprae、Salmonella、shigella、Yersinia enterocolitica、Yersinia pseudotuberculosis;Legionella pneumophila;Mycobacterium tuberculosis;Listeria monocytogenes;Mycoplasma spp.、Pseudomonas fluorescens、Vibrio cholerae、Haemophilus influenzae、Bacillus anthracis、Treponema pallidum、Leptospira、Borrelia、Corynebacterium diphtheriae、Francisella、Brucella melitensis、Campylobacter jejuni、Enterobacter、Proteus mirabilis、Proteus、およびKlebsiella pneumoniaeが含まれるがこれらに限定されない。
【0388】
本開示の主題は、対象における自己免疫疾患を処置および/または防止するための方法を提供する。この方法は、本開示の細胞、本開示の組成物、または本開示の核酸組成物の有効量を、自己免疫疾患を有する対象に投与することを含み得る。
【0389】
本開示の主題は、対象における自己免疫疾患を処置および/または防止するための方法を提供する。この方法は、本開示の細胞、本開示の組成物、または本開示の核酸組成物の有効量を、感染性疾患を有する対象に投与することを含み得る。
【0390】
自己免疫疾患および炎症性疾患またはそれらの状態の非限定的な例には、関節炎、例えば、関節リウマチ(RA)、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、乾癬、乾癬性関節炎、強皮症、自己免疫性甲状腺疾患、グレーヴス病、クローン病、多発性硬化症、全身性硬化症、喘息、臓器移植片の拒絶、移植に関連する疾患または状態、高安動脈炎、巨細胞動脈炎、川崎病、結節性多発動脈炎、ベーチェット症候群、ウェゲナー肉芽腫症、ANCA-脈管炎、チャーグストラウス症候群、顕微鏡的多発血管炎、結合組織病の血管炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、クリオグロブリン血症性血管炎、皮膚白血球破砕性血管炎、サルコイドーシス、コーガン症候群、ウィスコット・アルドリッチ症候群、CNSの原発性血管炎、閉塞性血栓血管炎、腫瘍随伴性動脈炎、骨髄異形成症候群、持久性隆起性紅斑、アミロイドーシス、自己免疫性筋炎、ギラン・バレー症候群、組織球症、アトピー性皮膚炎、肺線維症、糸球体腎炎、ホイップル病、スティル病、シェーグレン症候群、骨髄線維症、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、木村病、全身性硬化症、慢性大動脈周囲炎、慢性前立腺炎、特発性肺線維症、慢性肉芽腫症、特発性ブレオマイシン誘発性肺炎症、シタラビン誘発性肺炎症、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性リンパ球減少症、慢性自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性肝炎、橋本甲状腺炎、アトピー性甲状腺炎、グレーヴス病、自己免疫性多内分泌腺症候群、自己免疫性アジソン症候群、および/または重症筋無力症が含まれる。本開示の主題によれば、上記種々の方法は、チェックポイント免疫遮断剤を対象に投与することを含み得る。
【0391】
ある特定の実施形態では、チェックポイント免疫遮断剤は、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗LAG3抗体、抗B7-H3抗体、抗TIM3抗体、およびそれらの組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、チェックポイント免疫遮断剤は、抗PD-L1抗体または抗PD-1抗体である。ある特定の実施形態では、チェックポイント免疫遮断剤は、抗PD-1抗体である。
【0392】
本開示の主題によれば、上記種々の方法は、融合ポリペプチドの発現、活性を調節またはモジュレートすることが可能な調節因子を、対象に投与することを含み得る。
【0393】
ある特定の実施形態では、調節因子は、融合ポリペプチドの発現を制御することが可能なプロモーター、共刺激リガンドの発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子、共刺激分子の発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子からなる群から選択される。
【0394】
ある特定の実施形態では、共刺激リガンドの発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子は、共刺激リガンドに結合する抗体、ならびに共刺激リガンドに結合し、共刺激リガンドの発現および/または活性を調節またはモジュレートする融合タンパク質からなる群から選択される。
【0395】
ある特定の実施形態では、調節因子は、抗CD80抗体であり、融合ポリペプチドは、CD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。
【0396】
ある特定の実施形態では、調節因子は、CD80に結合し、CD80の活性をモジュレートする融合タンパク質であり、融合ポリペプチドは、CD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、融合タンパク質は、CD80に結合するCTLA-4断片である。ある特定の実施形態では、CD80に結合するCTLA-4断片は、アバタセプトまたはベラタセプトである。
【0397】
ある特定の実施形態では、共刺激分子の発現、活性を調節またはモジュレートすることが可能な分子は、共刺激分子に結合する抗体、共刺激分子に結合し、共刺激分子の発現、活性を調節またはモジュレートする融合タンパク質からなる群から選択される。
【0398】
ある特定の実施形態では、調節因子は、細胞を枯渇させることが可能である。ある特定の実施形態では、調節因子は、細胞の投与に関連する1つまたは複数の副作用を減らすかまたは除去することが可能である。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の副作用は、オフ腫瘍ターゲット効果、サイトカイン放出症候群、神経毒性、およびそれらの組合せからなる群から選択される。ある特定の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0399】
対象は、進行形態の疾患を有し得、この場合、処置目標には、疾患進行の軽減もしくは逆転、および/または副作用の寛解が含まれ得る。対象は、すでに処置された状態の履歴を有し得、この場合、治療目標には、典型的には、再発のリスクにおける低下または遅延が含まれる。
【0400】
治療に適切なヒト対象は、典型的には、臨床基準によって識別され得る2つの処置群を構成する。「進行疾患」または「高い腫瘍負荷」を有する対象は、臨床的に測定可能な腫瘍を保有する対象である。臨床的に測定可能な腫瘍は、腫瘍量に基づいて検出され得る腫瘍である(例えば、触診、CATスキャン、ソノグラム、マンモグラムまたはX線による;陽性の生化学的または組織病理学的マーカーは単独では、この集団を同定するためには不十分である)。医薬組成物は、それらの状態を緩和することを目標として、抗腫瘍応答を惹起するためにこれらの対象に投与される。理想的には、腫瘍量における低減が結果として生じるが、任意の臨床的改善が利益を構成する。臨床的改善には、腫瘍の進行のリスクもしくは速度の減少、または腫瘍の病理学的結果における低減が含まれる。
【0401】
適切な対象の第2の群は、当該分野で「アジュバント群」として公知である。これらは、新生物の履歴を有しているが、別の様式の治療に対して応答性であった個体である。以前の治療には、外科的切除、放射線療法、および従来型の化学療法が含まれ得るがこれらに限定されない。結果として、これらの個体は、臨床的に測定可能な腫瘍を有さない。しかし、彼らは、元の腫瘍部位の近傍の、または転移による、疾患の進行のリスクがあると疑われている。この群は、高リスク個体および低リスク個体へとさらに細分され得る。細分は、初回処置の前または後に観察された特色(feature)に基づいてなされる。これらの特色は、臨床分野において公知であり、各異なる新生物について適切に定義される。高リスクサブグループに典型的な特色は、腫瘍が隣接する組織に浸潤しているサブグループ、またはリンパ節の関与を示すサブグループである。
【0402】
別の群は、新生物になる遺伝的素因を有するが、新生物の臨床的徴候をまだ証明していない。例えば、乳がんに関連する遺伝的変異について試験陽性であるが、まだ妊娠可能な年齢である女性は、防止的手術を実施するのが適切になるまで、新生物の発生を防止するための予防的処置において、1つまたは複数の本明細書に記載される細胞を受けることを希望することができる。
【0403】
腫瘍抗原に結合する抗原認識受容体および細胞の抗腫瘍効果を増強する融合ポリペプチドの発現の結果として、養子移入された細胞には、腫瘍部位における向上した選択的な細胞溶解活性が与えられる。さらに、腫瘍またはウイルス感染へのそれらの局在化およびそれらの増殖に引き続いて、T細胞は、腫瘍またはウイルス感染部位を、生理的な抗腫瘍または抗ウイルス応答に関与する広範な免疫細胞(腫瘍浸潤リンパ球、NK細胞、NKT細胞、樹状細胞、およびマクロファージ)のための高度に伝導性の(conductive)環境へと変える。
【0404】
さらに、本開示の主題は、対象における、例えば、免疫無防備状態の対象における病原体感染(例えば、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、寄生生物感染、または原生動物感染)を処置および/または防止するための方法を提供する。この方法は、本開示の細胞、本開示の組成物、または本開示の核酸組成物の有効量を、病原体感染を有する対象に投与することを含み得る。処置に対して感受性の例示的なウイルス感染には、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタインバーウイルス(EBV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、およびインフルエンザウイルス感染が含まれるがこれらに限定されない。
【0405】
さらなる改変が、本開示の細胞(例えば、T細胞)に導入され、免疫学的合併症(「悪性T細胞形質転換」として公知)、例えば、移植片対宿主病(GvHD)のリスク、または健康な組織が腫瘍細胞と同じ標的抗原を発現する場合、GvHDと類似の転帰をもたらすことのリスクを回避するかまたは最小限にすることができる。この問題に対する潜在的な解法は、自殺遺伝子を本開示の細胞へと操作することである。適切な自殺遺伝子には、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(hsv-tk)、誘導型カスパーゼ9自殺遺伝子(iCasp-9)、および切断型ヒト上皮成長因子受容体(EGFRt)ポリペプチドが含まれるがこれらに限定されない。ある特定の実施形態では、自殺遺伝子は、EGFRtポリペプチドである。EGFRtポリペプチドは、抗EGFRモノクローナル抗体(例えば、セツキシマブ)を投与することによるT細胞除去を可能にし得る。EGFRtは、本開示のCARの抗原認識受容体の上流に共有結合的に接合され得る。自殺遺伝子は、本開示のCARをコードする核酸を含むベクター内に含まれ得る。この手法で、悪性T細胞形質転換(例えば、GVHD)の間に自殺遺伝子を活性化するように設計されたプロドラッグ(例えば、プロドラッグ(例えば、iCasp-9を活性化することができるAP1903))の投与は、自殺遺伝子が活性化されたCAR発現T細胞においてアポトーシスを誘発する。本開示のCAR中への自殺遺伝子の組込みは、非常に短い期間内にCAR T細胞の大部分を除去する能力と共に、追加的レベルの安全性を与える。自殺遺伝子が組み込まれた本開示の細胞(例えば、T細胞)は、CAR T細胞注入後の所与の時点において先制して除去され得、または毒性の最も早い徴候の時点で根絶され得る。
【0406】
さらに、セクション5.2.4で開示されるように、融合ポリペプチドの発現および/または活性は、調節因子(例えば、セクション5.2.4で開示されるもの)によって調節またはモジュレートされ得る。ある特定の実施形態では、調節因子は、例えば、本開示の細胞の投与に関連する副作用(複数可)、例えば、オフ腫瘍ターゲット効果、サイトカイン放出症候群、および/または神経毒性を減らすかまたは除去するために、本開示の細胞を枯渇させ得る。
【0407】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法または使用は、融合ポリペプチド(例えば、セクション5.2.4で開示されるもの)の発現および/または活性を調節またはモジュレートすることが可能な調節因子を投与することをさらに含む。調節因子は、本開示の細胞またはそれを含む組成物の投与(例えば、初回投与)の前に、それと同時に、またはその後に投与され得る。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法または使用は、抗CD80抗体を投与することをさらに含み、細胞に含まれる融合ポリペプチドは、CD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される方法または使用は、CD80に結合しCD80の活性をモジュレートする融合タンパク質を投与することをさらに含み、細胞に含まれる融合ポリペプチドは、CD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。ある特定の実施形態では、融合タンパク質は、例えば、CD80に結合するCTLA-4断片である。
5.10.キット
【0408】
本開示の主題は、免疫応答を誘導および/もしくは増強するため、ならびに/または対象における新生物もしくは病原体感染を処置および/もしくは防止するためのキットを提供する。ある特定の実施形態では、キットは、本開示の細胞、本開示の組成物、または本開示の核酸組成物の有効量を含む。ある特定の実施形態では、キットは、無菌容器を含む;かかる容器は、ボックス、アンプル、ボトル、バイアル、管、バッグ、ポーチ、ブリスターパック、または当該分野で公知の他の適切な容器形態であり得る。かかる容器は、プラスチック、ガラス、ラミネート紙、金属ホイル、または医薬を保持するために適切な他の材料で作製され得る。ある特定の非限定的な実施形態では、キットは、同じまたは異なるベクター中に必要に応じて含まれ得る、目的の抗原に対する抗原認識受容体(例えば、CARまたはTCR)をコードする単離された核酸分子、および発現可能な形態で融合ポリペプチドをコードする単離された核酸分子を含む。
【0409】
所望の場合、細胞、組成物、または核酸組成物は、細胞、組成物、または核酸組成物を、新生物(例えば、がん)もしくは病原体感染(例えば、感染性疾患)、もしくは免疫障害(例えば、自己免疫疾患)を有しているか、またはそれを発症するリスクがある対象に投与することに関する指示と一緒に提供される。指示は、一般に、新生物、または病原体感染(例えば、感染性疾患)、または免疫障害(例えば、自己免疫疾患)の処置および/または防止のための細胞、組成物または核酸組成物の使用についての情報を含む。ある特定の実施形態では、指示は、以下のうち少なくとも1つを含む:治療剤の説明;新生物、病原体感染(例えば、感染性疾患)、もしくは免疫障害(例えば、自己免疫疾患)またはその症状の処置または防止のための投薬スケジュールおよび投与;使用上の注意;警告;適応症;禁忌(counter-indication);過量情報;有害反応;動物薬理学;臨床研究;および/または参考文献。指示は、容器(存在する場合)上に直接、または容器に貼付されるラベルとして、または容器中にもしくは容器と共に供給される別々のシート、パンフレット、カードもしくはフォルダーとして印刷され得る。
【実施例
【0410】
6.実施例
本開示の実施は、他に示されない限り、当業者の技術範囲内に十分に入る、分子生物学(組換え技法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の技法を用いる。かかる技法は、”Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, second edition (Sambrook, 1989); ”Oligonucleotide Synthesis” (Gait, 1984); ”Animal Cell Culture” (Freshney, 1987); ”Methods in Enzymology” ”Handbook of Experimental Immunology” (Weir, 1996); ”Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells” (Miller and Calos, 1987); ”Current Protocols in Molecular Biology” (Ausubel, 1987); ”PCR: The Polymerase Chain Reaction”, (Mullis, 1994); ”Current Protocols in Immunology” (Coligan, 1991)などの文献中で完全に説明されている。これらの技法は、本開示のポリヌクレオチドおよびポリペプチドの産生に適用可能であり、したがって、本開示の主題を作製および実施する際に考慮され得る。特定の実施形態のための特に有用な技法は、以下のセクションで議論される。
【0411】
以下の実施例は、当業者に、本開示の細胞および組成物を作製および使用する方法についての完全な開示および説明を提供するために提示されているのであって、本発明者らが自身の発明とみなすものの範囲を限定することを意図しない。
(実施例1)
CD80/4-1BB共刺激分子
【0412】
本開示の融合ポリペプチドを生成した。この融合ポリペプチドは、ヒトCD80の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインならびにヒト4-1BBの細胞内ドメインを含む(「CD80/4-1BB融合ポリペプチド」として表わされる)。このCD80/4-1BB融合ポリペプチドを、ヒトCD19を標的化するCAR(「1928z」または「1928z-1xx」)、HLA非依存的TCR受容体(HIT)であるCD19標的化TCR様融合分子(「19-HIT」として表わされる)、またはNY-ESO-1 TCRを含むT細胞にトランスフェクトした。CD80/4-1BB融合ポリペプチドありの1928z CAR、CD80/4-1BB融合ポリペプチドなしの1928z CAR、CD80/4-1BB融合ポリペプチドありの1928z-1xx CAR、CD80/4-1BB融合ポリペプチドなしの1928z-1xx CAR、CD80/4-1BB融合ポリペプチドありの19-HIT、CD80/4-1BB融合ポリペプチドなしの19-HITの発現を測定し、CD80/4-1BB融合ポリペプチドありのNY-ESO-1 TCR、またはCD80/4-1BBなしのNY-ESO-1 TCRを測定した。FACS発現結果は、図2A、2C、2Eおよび2Gに示される。米国特許第9,220,728号は、外因性共刺激リガンド(例えば、CD80、4-1BBL)がCAR T細胞の細胞傷害性を増強できることを開示している。外因性共刺激リガンドを含むCAR T細胞の細胞傷害性を比較するために、NALM6 CD19白血病細胞を保有するマウスを、(a)1928zおよびこのCD80/4-1BB融合ポリペプチド(「1928z-CD80/4-1BB」)を含む10個のT細胞、(b)1928zおよび外因性4-1BBL分子(「1928z-4-1BBL」)を含む10個のT細胞、または(c)1928zおよび外因性CD80分子(「1928z-CD80」)を含む10個のT細胞で処置した。これらのマウスの生存率を測定し、結果は、図2Bに示される。図2Bに示されるように、CD80/4-1BB融合ポリペプチドは、T細胞の細胞傷害性および/または抗腫瘍活性を増強した(例えば、1928z-4-1BBLを発現するT細胞または1928z-CD80を発現するT細胞で処置したマウスと比較して、1928z-CD80/4-1BBを発現するT細胞で処置したマウスの生存率を増加させた)。
【0413】
さらに、NALM6 CD19白血病細胞を、(a)19-28z-1xxおよびこのCD80/4-1BB融合ポリペプチド(「19-28z-1xx-CD80/4-1BB」)を含む2×10個のT細胞、(b)19-28z-1xxを含む2×10個のT細胞、(c)19-HITを含む10個のT細胞、または(d)19-HITおよびこのCD80/4-1BB融合ポリペプチド(「19-HIT-CD80/4-1BB」)を含む10個のT細胞で処置した。これらのマウスの生存率を測定し、結果は、図2Dおよび2Fに示される。さらに、HLAA2.1/NYESO複合体を発現するSK-MEL-23黒色腫細胞系を保有するマウスを、CD80/4-1BB融合ポリペプチドなしの2×10個のNY-ESO-1 TCR T細胞またはCD80/4-1BB融合ポリペプチドありの10個のNY-ESO-1 TCR T細胞で処置した。これらのマウスの生存率を測定し、結果は、図2Hに示される。
【0414】
図2D、2F、および2Hに示されるように、CD80/4-1BB融合ポリペプチドは、未処置のマウスおよび19-28z-1xx CAR単独を含むT細胞または19-HIT単独を含むT細胞で処置したマウスと比較して、生存率を改善した。19-HITおよびCD80/4-1BB融合ポリペプチドをTRAC遺伝子座へと標的化し、内因性TRACプロモーターの制御下で発現させた、19-HIT-CD80/4-1BBで処置したマウスの生存率は、CD80/4-1BB融合ポリペプチドの低い発現に恐らくは起因した。本明細書で示される全ての結果は、抗腫瘍T細胞応答を改善するための本開示のCD80/4-1BB融合ポリペプチドの広い使用を支持する。
(実施例2)
【0415】
PDL-1分子を過剰発現するNALM6 CD19白血病細胞を保有するマウスを、CD80/4-1BB融合ポリペプチドなしの19-28z-1xxを含む5×10個のT細胞、CD80/4-1BB融合ポリペプチドありの19-28z-1xxを含む5×10個のT細胞、CD80/4-1BB融合ポリペプチドなしの19-HITを含む10個のT細胞、またはCD80/4-1BB融合ポリペプチドありの19-HITを含む10個のT細胞で処置した。これらのマウスの生存率を測定し、結果は、図3Aおよび3Bに示される。図3Aおよび3Bに示されるように、本開示のCD80/4-1BB融合ポリペプチドは、腫瘍微小環境中に存在するPD-1などの阻害性分子の存在にもかかわらず、T細胞抗腫瘍応答を保つことができる。
(実施例3)
【0416】
本発明者らは、CD80/4-1BB融合ポリペプチドの発現レベルが抗腫瘍応答効率を支配するかどうかを調査した。図4Aおよび4Bに示されるデータは、CD80-41-BBの発現のレベルによって決定される、T細胞抗腫瘍応答の微調整調節を強調する。HITおよびTCR特異的T細胞は、CD80-4-1BBの高い発現から利益を得るが、CAR T細胞は、CD80-4-1BBが内因性TRACプロモーターの下で発現される場合、改善された抗腫瘍応答を付与する。
(実施例4)
【0417】
本開示のCD80/4-1BB融合ポリペプチドが内因性4-1BBの欠如を代償できるかどうかを調査した。NALM6 CD19白血病細胞を保有するマウスを、1928z-1xxおよび外因性4-1BBL分子および外因性CD80分子(「1928z-1xx-CD80 4-1BBL」)を含む2.5×10個のT細胞、または1928z-1xxおよびCD80/4-1BB融合ポリペプチド(1928z-1xx-CD80/4-1BB」)を含む2.5×10個のT細胞で処置した。内因性4-1BB遺伝子ノックアウトを、タンパク質CAS9および特異的gRNAの電気穿孔によって得た。内因性4-1BBの破壊が、注入されたCAR T細胞の68%において達成された。TRBC gRNAを対照として使用した。これらのマウスの生存率を測定し、結果は、図5に示される。図5に示されるように、外因性CD80および外因性4-1BBLの組合せならびにCD80/4-1BB融合ポリペプチドが、より良い生存を提供するCD80/4-1BB融合ポリペプチドと匹敵するCAR T細胞の抗腫瘍効果を提供したにもかかわらず、前者(外因性CD80および外因性4-1BBLの組合せ)は、CD80/4-1BB融合ポリペプチドとは対照的に、T細胞活性化の際に上方調節される4-1BB分子の内因性発現に依存する。内因性4-1BBの非存在下では、CD80/4-1BB融合ポリペプチドは、CD80-4-1BBL TRBCノックアウトと類似のレベルまで、CAR T細胞抗腫瘍応答を改善した。
(実施例5)
【0418】
次に、本発明者らは、阻害性分子PD-1の破壊がCD80-4-1BBの存在下での抗腫瘍応答を増強するかどうかを調査した。NALM6 CD19白血病細胞を保有するマウスを、本開示のCD80/4-1BB融合ポリペプチドありの1928z-1xxを含む2.5×10個のT細胞で処置した。内因性PD-1遺伝子ノックアウトを、タンパク質CAS9および特異的gRNAの電気穿孔によって得た。PD-1の破壊が、注入されたCAR T細胞の55%において達成された。TRBC gRNAを対照として使用した。これらのマウスの生存率を測定し、結果は、図6に示される。図6に示されるデータは、遺伝子操作の多重化の実現可能性を実証しており、本開示のCD80/4-1BB融合ポリペプチドを発現するT細胞との関連で(in the context T cells)KO PD-1分子の利益を強調する。
(実施例6)
【0419】
CD4CAR T細胞は、CD8CAR T細胞応答を維持することが公知である。しかし、CD4 T細胞の存在に由来する副作用を軽減するために、本発明者らは、本開示のCD80/4-1BB融合ポリペプチドがCD4CAR T細胞の非存在を代償できるかどうかを調査した。
【0420】
NALM6 CD19白血病細胞を保有するマウスを、(a)1928zおよび本開示のCD80/4-1BB融合ポリペプチド(「1928z-CD80/4-1BB」)を含む4×10個のCD8 T細胞、(b)1928zおよび外因性4-1BBL分子(「1928z-4-1BBL」)を含む4×10個のCD8 T細胞、(c)1928z-CD80/4-1BBを含む8×10個のCD8 T細胞、または(d)1928z-4-1BBLを含む8×10個のCD8 T細胞で処置した。これらのマウスの生存率を測定し、結果は、図7Aおよび7Bに示される。図7Aおよび7Bに示されるように、本開示のCD80/4-1BB融合ポリペプチドは、最適なCD8CAR T細胞応答に必要な(need for)共刺激を提供することによって、CD4 T細胞の非存在を代償した。
本開示の主題の実施形態
【0421】
上述の説明から、変更および改変が、本開示の主題を種々の使用および条件に採用するために、本開示の主題に対してなされ得ることが明らかである。かかる実施形態もまた、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【0422】
本明細書中の変数の任意の定義における要素の目録の列挙は、任意の単一の要素またはリストされた要素の組合せ(または下位組合せ)としての、その変数の定義を含む。本明細書の実施形態の列挙は、任意の単一の実施形態としての、または任意の他の実施形態もしくはその部分と組み合わせた、その実施形態を含む。
【0423】
本明細書中で言及される全ての特許および刊行物は、各個々の特許および刊行物がこれにより参照により本明細書に組み込まれると具体的かつ個々に示されるのと同じ程度まで、これにより参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
2022543742000001.app
【国際調査報告】