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特表2022-543745掘削機のバケットの位置を検出するための、位置検出デバイス及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(54)【発明の名称】掘削機のバケットの位置を検出するための、位置検出デバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/43 20060101AFI20221006BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
E02F3/43 A
E02F9/26 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505217
(86)(22)【出願日】2020-08-11
(85)【翻訳文提出日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 DK2020050231
(87)【国際公開番号】W WO2021028002
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】PA201900955
(32)【優先日】2019-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522031788
【氏名又は名称】ユニコントロール エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ハートウィグ アンデルセン,カスパー
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AC09
2D003BA06
2D003BB04
2D003DA02
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
(57)【要約】
運転台(32)及び1つまたは複数のブーム(8)を有する掘削機(6)における、バケット(4)の位置を検出するための、位置検出デバイス(2)が開示される。掘削機(6)は、取付構成物(12)によって運転台(32)に回転可能に装着された、第1のブーム(8)を備える。取付構成物(12)は、掘削機(6)の通常の使用中に、基本的に垂直方向に延びた長手方向軸(X)を有するシャフト(14)によって、運転台(32)に回転可能に装着される。バケット(4)は、スティック(24)に回転可能に取り付けられる。スティック(24)は、第1のブーム(8)、または第1のブーム(8)に回転可能に装着された第2のブームのいずれかに回転可能に装着される。運転台(32)は、長手方向軸(Y)と、長手方向軸(Y)に対して直交して延びた横軸(X)とを有する。取付構成物(12)は、第1のブーム(8)が、シャフト(14)の長手方向軸(Z)に対して回転できるよう、配置かつ構成される。位置検出デバイス(2)は、1つまたは複数の人工衛星から衛星信号を受信するよう配置かつ構成された、1つまたは複数のアンテナ(20)を備える。位置検出デバイス(2)は、シャフト(14)の長手方向軸(Z)周りの回転に対する、第1のブーム(8)の角度位置(α)を検出するよう構成された、センサアセンブリ(10)を備える。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転台(32)、及び1つまたは複数のブーム(8)を備えたアームを有する掘削機(6)における、バケット(4)の位置を検出するための位置検出デバイス(2)であって、前記アームは、取付構成物(12)によって、前記運転台(32)に回転可能に装着された第1のブーム(8)を備え、前記取付構成物(12)は、(前記掘削機(6)が水平面に置かれた)前記掘削機(6)の通常の使用中に基本的に垂直方向に延びた長手方向軸(Z)を有するシャフト(14)によって、前記運転台(32)に回転可能に装着され、前記バケット(4)はスティック(24)に回転可能に取り付けられ、前記スティック(24)は最も遠位の前記ブーム(8)に回転可能に装着され、前記運転台(32)は、長手方向軸(Y)、及び前記長手方向軸(Y)に対して直交して延びた横軸(X)を有し、前記取付構成物(12)は、前記第1のブーム(8)、したがって前記アームが、前記シャフト(14)の前記長手方向軸(Z)周りを回転するのを可能にするよう配置かつ構成され、前記位置検出デバイス(2)は、1つまたは複数の人工衛星から衛星信号を受信するよう配置かつ構成されたアンテナ(20)などの、1つまたは複数の3D位置決めデバイスを備え、前記位置検出デバイス(2)は、前記シャフト(14)の前記長手方向軸(Z)周りの、前記第1のブーム(8)の回転に関する量(D)を計測するよう、及び計測した前記量(D)に基づいて、前記第1のブーム(8)の、前記シャフト(14)の前記長手方向軸(Z)周りの回転に対する角度位置(α)を判断するよう構成された、センサアセンブリ(10)を備え、ここで前記位置検出デバイス(2)は、前記センサアセンブリ(10)を較正するよう構成された、制御ユニットを備えることを特徴とする、位置検出デバイス(2)。
【請求項2】
前記量(D)は、前記運転台(32)と前記取付構成物(12)との間の距離であることを特徴とする、請求項1に記載の位置検出デバイス(2)。
【請求項3】
前記センサアセンブリ(10)は、前記運転台(32)または前記運転台(32)に装着された構成物における固定位置(P)と、前記取付構成物(12)または前記取付構成物(12)に装着された構成物における固定位置と、の間の距離を計測するよう構成されることを特徴とする、請求項2に記載の位置検出デバイス(2)。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記第1のブーム(8)におけるいくつかの所定の回転位置に対応したワイヤ長さの、所定のリストを使用することによって、前記センサアセンブリ(10)を較正するよう構成され、前記センサアセンブリ(10)はワイヤセンサ(18)を備えることを特徴とする、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の位置検出デバイス(2)。
【請求項5】
前記位置検出デバイス(2)は、2つの離隔された取付ブラケット(42)、及びワイヤシース(38)を備え、前記ワイヤシース(38)は、前記ワイヤシース(38)の各端部に配置された2つのシースマウント(40)間に延び、前記ワイヤ(16)は、前記ワイヤシース(38)の中に摺動可能に配置され、前記ワイヤシース(38)の延長に延びることを特徴とする、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の位置検出デバイス(2)。
【請求項6】
前記シャフトの前記長手方向軸(Z)に対する、前記取付構成物(12)の回転を表示するよう構成された、ディスプレイユニットを備えることを特徴とする、請求項1~5のうちいずれか一項に記載の位置検出デバイス(2)。
【請求項7】
前記制御ユニットは、所定のプロトコルを使用して、前記シャフト(14)の前記長手方向軸(Z)周りの回転に対する、前記第1のブーム(8)の角度位置(α)を計測することによって、前記センサアセンブリ(10)を較正するよう、及び様々な角度位置(α)を有する複数の構成について、前記センサアセンブリ(10)からの出力を検出するよう、構成されることを特徴とする、請求項1~6のうちいずれか一項に記載の位置検出デバイス(2)。
【請求項8】
前記所定のプロトコルは、前記角度位置(α)を検出するために、
a)前記運転台(32)、または前記運転台(32)に固定された構成物において利用可能なセンサを使用して計測された、前記運転台(32)の方向及び位置と、
b)前記ブーム(8)の方向と、
c)前記シャフト(14)の前記長手方向軸の位置と、
d)前記ブーム(8)または前記バケット(4)における固定点の位置と、
のうち、1つまたは複数の計測値を適用することを特徴とする、請求項7に記載の位置検出デバイス(2)。
【請求項9】
運転台(32)及び1つまたは複数のブーム(8)を有する掘削機(6)における、バケット(4)の位置を判断するための方法であって、前記掘削機(6)は第1のブーム(8)を備え、前記第1のブーム(8)は取付構成物(12)によって前記運転台(32)に回転可能に装着され、前記取付構成物(12)は、(前記掘削機(6)が水平面に置かれたときの)前記掘削機(6)の通常の使用中に、基本的に垂直方向に延びた長手方向軸(Z)を有するシャフト(14)によって、前記運転台(32)に回転可能に装着され、前記バケット(4)は、最も遠位の前記ブーム(8)に回転可能に取り付けられたスティックに回転可能に取り付けられ、前記運転台(32)は、長手方向軸(Y)、及び前記長手方向軸(Y)に対して直交して延びた横軸(X)を有し、前記取付構成物(12)は、前記第1のブーム(8)、したがって前記アームが、前記シャフト(14)の前記長手方向軸(Z)周りを回転可能になるよう配置かつ構成され、位置検出デバイス(2)は、1つまたは複数の人工衛星から衛星信号を受信するよう配置かつ構成されたアンテナ(20)など、少なくとも1つの3D位置決めデバイスを備え、前記方法は、前記シャフト(14)の前記長手方向軸(Z)周りの回転に対する、前記第1のブーム(8)の角度位置(α)を検出するステップを備え、ここで前記方法は、所定のプロトコルを使用すること、及び様々な角度位置(α)に対応した前記掘削機(6)の複数の構成について、前記センサアセンブリ(10)から出力を検出すること、によって、前記シャフト(14)の前記長手方向(Z)周りの回転に対する、前記第1のブーム(8)の角度位置(α)を計測することで、前記センサアセンブリ(10)を較正するステップを含むことを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記角度位置(α)は、前記シャフト(14)の前記長手方向軸(Z)周りの、前記第1のブーム(8)の回転に関する量(D)を計測することによって判断することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記量(D)は、前記運転台(32)と前記取付構成物(12)との間の距離(D)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記運転台(32)と前記取付構成物(12)との間の距離(D)は、ワイヤセンサ(18)を使用して計測される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記所定のプロトコルは、角度位置(α)を検出するために、
a)前記運転台(32)、または前記運転台(32)に固定された構成物において利用可能なセンサを使用して計測された、前記運転台(32)の方向及び位置と、
b)前記ブーム(8)の方向と、
c)前記シャフト(14)の前記長手方向軸の位置と、
d)スティック(24)、ブーム(6)、またはバケット(4)における固定点の位置と、
のうち、1つまたは複数の計測値を適用することを特徴とする、請求項9~12のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記センサアセンブリ(10)を較正するステップは、前記運転台(32)の位置が、前記運転台(32)または前記運転台(32)に堅固に固定された構成物において利用可能な、いくつかのセンサを使用して計測される、較正手順を使用して実行され、前記掘削機(6)は、前記シャフト(14)の周りを前記取付構成物(12)が回転するときに動かされる構成物(4、8、8’、24)、として定義されたアームを備え、前記較正手順は、前記掘削機(6)を所定の位置に設置するステップを含み、ここでは前記シャフト(14)の位置、及び前記アームにおける固定点の位置が公知であり、前記較正手順は、前記アームを前記シャフト(14)に対して、前記運転台(32)の前記横軸(X)に対して複数の異なる角度位置に回転させるステップをさらに含み、(前記アームが位置付けられた)これら角度位置の各々について、前記アームと、前記運転台(32)の前記横軸(X)との間の角度(α)が判断されることを特徴とする、請求項9~13のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記掘削機(6)は、前記取付構成物(12)を前記シャフト(14)に対して回転させるときに動かされる構成物(4、8、8’、24)、として定義されたアームを備え、前記センサアセンブリ(10)を較正するステップは、前記運転台(32)の位置が、前記運転台(32)または前記運転台(32)に堅固に固定された構成物において、利用可能なセンサを使用して計測される較正手順を使用することによって実行され、前記較正手順は、前記掘削機(6)を所定の位置に配置するステップを含み、ここでは前記シャフト(14)の位置が公知であり、前記較正手順は、前記アームにおける点の絶対位置を計測するステップをさらに含み、前記較正手順は、前記アームを前記シャフト(14)に対して、前記運転台(32)の前記横軸(X)に対して複数の異なる角度位置に回転させるステップをさらに含み、(前記アームが位置付けられた)これら角度位置の各々について、前記アームと前記運転台(32)の前記横軸(X)との間の角度(α)が判断されることを特徴とする、請求項9~13のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記掘削機(6)は、前記取付構成物(12)を前記シャフト(14)に対して回転させるときに動かされる構成物(4、8、8’、24)、として定義されたアームを備え、前記センサアセンブリ(10)を較正するステップは、前記運転台(32)の位置が、前記運転台(32)または前記運転台(32)に堅固に固定された構成物において、利用可能なセンサを使用することで計測される較正手順を使用することによって実行され、前記較正手順は、前記運転台(32)または前記運転台(32)に堅固に固定された構成物における所定の点と、前記アームにおける固定点との間に延びたベクトルを計測するステップを含み、前記ベクトルは、1つまたは複数の人工衛星から衛星信号を受信し、それによって位置を計測するよう配置かつ構成されたGNSSアンテナにより、点の位置を計測することによって計測され、前記較正手順は、前記運転台(32)の方向ベクトルと、前記所定の点及び前記アームにおける固定点の間に延びたベクトルと、を比較するステップをさらに含み、前記比較するステップは、前記アームと前記運転台(32)の前記横軸(X)との間の、複数の異なる角度(α)について実行されることを特徴とする、請求項9~13のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記掘削機(6)は、前記取付構成物(12)を前記シャフト(14)の周りに回転させるときに動かされる構成物(4、8、8’、24)、として定義されたアームを備え、前記センサアセンブリ(10)を較正するステップは、前記アームに設置されたいくつかのジャイロスコープが、所定の点からの、前記アームの相対角度を計測するために使用される較正手順を使用して実行され、前記相対角度の計測は、前記アームと前記運転台(32)の前記横軸(X)との間の、複数の異なる角度(α)について実行されることを特徴とする、請求項9~13のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記掘削機(6)は、前記取付構成物(12)を前記シャフト(14)の周りに回転させるときに動かされる構成物(4、8、8’、24)、として定義されたアームを備え、前記センサアセンブリ(10)を較正するステップは、前記アームに設置された1つもしくは複数の加速度器、及び/またはジャイロスコープ、及び/または磁力計を、前記運転台(32)または前記運転台(32)に堅固に固定された構成物に設置された、1つもしくは複数の加速度器、及び/またはジャイロスコープ、及び/または磁力計と共に使用して角度(α)を計測する、較正手順を使用して実行され、前記相対角度の計測は、前記アームと前記運転台(32)の前記横軸(X)との間の、複数の異なる角度(α)について実行されることを特徴とする、請求項9~13のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1~9のいずれか一項に記載された位置検出デバイス(2)を備える、掘削機(6)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削機のバケットの位置を検出するためのデバイス、及び方法に関する。より詳細には、本発明は、運転台と、掘削機のブームに回転可能に装着されたスティックに回転可能に取り付けられたバケットと、を有する掘削機における、バケットの1つまたは複数の構成物の位置を検出するためのデバイス、及び方法に関する。この掘削機は、取付構成物によって運転台に回転可能に装着されたブームを備える。ブームは、垂直軸に対して、かつ水平軸に対して回転するよう配置される。
【背景技術】
【0002】
掘削機は穴を掘る機械であり、一般的に履帯またはホイールに取り付けられる。一般的な掘削機は、2部材の連結機構、または3部材の連結機構の端部に取り付けられたバケットを有する。掘削機が、2部材の連結機構の端部に取り付けられたバケットを有する場合、ブームと呼ばれる連結要素のうちの一方は、掘削機の取付構成物に枢動可能に取り付けられ、上方向に外側に延びる。連結要素のうちの他方は、一般的にスティックと呼ばれ、その一方の端部が、ブームの外側端部に枢動可能に取り付けられ、ブームの枢軸から下方向に延びる。
【0003】
掘削機が、3部材の連結機構の端部に取り付けられたバケットを有する場合、第1のブームは、掘削機の取付構成物に枢動可能に取り付けられ、上方向に外側に延びる。第2のブームは、第1のブームの遠位端に回転可能に取り付けられ、第1のブームとスティックとの間に延びる。スティックは、第2のブームの遠位に枢動可能に取り付けられる。
【0004】
いくつかの構造において、スティックは伸縮自在アームとして設けられる。
【0005】
バケットは、スティックの外側端部に、回転可能に装着される。一般的な掘削機は、3つまたは4つの液圧シリンダを備え、これらは、オペレータまたは機械制御システムの制御下で、ブーム、スティック、及びバケットを独立して動かすよう配置される。掘削機には、一般的に液圧駆動部が設けられ、これは、履帯に対して機械ベースを回転されるよう配置かつ構成され、積み下ろしなどの動作のために、バケットを再配置させるのを可能にする。
【0006】
掘削機を効率的に操作するためには、熟練のオペレータが必要である。機械ベース、ブーム、スティック、及びバケットの間における連結の各々は旋回式であり、任意で単一の液圧シリンダを伸縮させることで、バケットの掘削縁部を円弧状に動かすことになる。
【0007】
掘削機の操作に関連付けられた1つの課題は、いかにしてバケットの位置をオペレータに示すかである。大型掘削機(一般的に12,000~15,000kgより大型)のために、バケットの位置を判断するための様々なデバイスが開発されてきた。バケットの位置を判断するための、1つの公知の方法は、角度センサ(慣性計測ユニット(IMU))を利用して、機械ベース、ブーム、スティック、及びバケットの間の相対角度を検出することである。その後、計測された角度及び連結要素の長さが与えられた場合、幾何学の原理を使用してバケットの位置を計算することが可能である。実際、IMUは、重力ベクトルに対するセグメントの角度を計測するよう構成される。
【0008】
しかし先行技術の位置検出デバイスは、小型掘削機(一般的に12,000~15,000kg未満)のバケットの位置を検出するために使用するには好適ではない。一般的に小型掘削機は、運転台及びバケットを備える。バケットはスティックに回転可能に取り付けられ、スティックはブームに回転可能に装着され、ブームは場合によっては第2のブームに回転可能に装着され、第2のブームは取付構成物によって運転台に回転可能に装着される。取付構成物は、シャフトによって運転台に回転可能に装着される。シャフトは、長手方向軸(後側から前側に延びた軸に対して垂直)を有し、かつ掘削機の通常の使用中に基本的に垂直方向に延びる。取付構成物は、ブームが、シャフトの長手方向軸に対して回転できるよう、配置かつ構成される。IMUを、シャフトの長手方向軸に対するブームの回転を計測するために適用することは、通常は可能ではない。したがって、先行技術の位置検出デバイスは、ブームがシャフトの長手方向軸に対して回転できることを考慮に入れない。したがって、先行技術の位置検出デバイスは、小型掘削機に関して、バケットの位置を精確には判断できない。そのため、先行技術の位置検出デバイスの使用は、不正確なバケット位置の判断をもたらすことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そのため、小型掘削機のバケットの位置を、より精確に判断可能なデバイス及び方法が必要である。
【0010】
本発明の目標は、請求項1で定義した位置検出デバイスによって、及び請求項9で定義した方法によって、実現させることができる。好ましい実施形態は従属請求項で定義され、以下の記載で説明し、添付の図面に例示する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による位置検出デバイスは、運転台、及び1つまたは複数のブームを備えたアーム、を有する掘削機の、バケットの位置を検出するための位置検出デバイスである。この掘削機は第1のブームを備え、これは、掘削機の通常の使用中に基本的に垂直方向に延びた長手方向軸を有するシャフトによって、運転台に回転可能に装着される。バケットはスティックに回転可能に取り付けられ、このスティックは最も遠位のブームに回転可能に装着される。運転台は長手方向軸(運転台の後側から前側に延びた軸)、及び長手方向軸に対して垂直方向に延びた横軸(この軸は水平方向に延び、長手方向軸に対して側方に延びる)を有する。取付構成物は、第1のブーム、したがってアームがシャフトの長手方向軸周りを回転するよう、配置かつ構成される。位置検出デバイスは、1つまたは複数の人工衛星から衛星信号を受信するよう配置かつ構成されたアンテナなど、1つまたは複数の3D位置決めデバイスを備える。位置検出デバイスはセンサアセンブリを備え、シャフトの長手方向軸周りにおける第1のブームの回転に関連した量を計測するよう構成され、この計測した量に基づいて、シャフトの長手方向軸周りの回転に対する、第1のブームの角度位置を検出する。位置検出デバイスは、センサアセンブリを較正するよう構成された、制御ユニットを備える。
【0012】
それによって、小型掘削機のバケットの位置をより精確に判断可能な、位置検出デバイスを提供することが可能である。位置検出デバイスは、シャフトの長手方向軸周りの回転に対する、第1のブームの角度位置を考慮に入れるのを可能にする。
【0013】
バケットの位置、という用語は、バケットの1つもしくは複数の構成物の座標、及び/またはバケットの方向、及び/または相対位置(所定の位置もしくは線、または水平面などの面までの距離)、及び/または相対的方向(例えば垂直方向または水平方向など所定の方向に対する角度)、を意味する。
【0014】
用語「通常の使用中」は、「掘削機が水平面に置かれたとき」を意味する。
【0015】
バケットという用語は、任意の掘削機の付属装置(スティックの遠位端に取り付けるのに好適な、任意のツール)を意味する。したがって、バケットは掘削機のバケット、掘削機に取り付けられたオーガなどのドリル付属装置、ブラシ式草刈り機、コンクリート破砕機、コンパクタホイール、破砕バケット、ドラムカッター、森林根覆い機、液圧サム、またはプレートコンパクタ、であってよい。
【0016】
第1のブームの近位端は、第1のブームが垂直軸及び水平軸に対して回転できるよう、回転可能に取り付けられる。1つの実施形態において、アンテナは、全地球的航法衛生システム(GNSS)アンテナである。1つの実施形態において、アンテナは、他の3D位置決めデバイスに置き換えられる。1つの実施形態において、3D位置決めデバイスは、レーザセンサである。1つの実施形態において、3D位置決めデバイスは、カメラなどの光学センサである。
【0017】
本発明による位置検出デバイスは、運転台を有する掘削機におけるバケットの位置を検出するための、位置検出デバイスである。位置検出デバイスは、バケットの方向も検出するよう構成される。バケットが多くの方法でスティックに回転可能に装着でき、1つまたは複数の回転軸に対して、スティックに関して回転可能であることを強調することは重要である。
【0018】
バケットは、スティックに回転可能に取り付けられ、このスティックは、最も遠位のブームに回転可能に装着される。アームは、1つ、2つ、またはそれより多くのブームを備え得る。スティックは、最も遠位のブームに装着される。しかし、最も近位のブームは、取付構成物によって運転台に回転可能に装着され、取付構成物はシャフトによって運転台に回転可能に装着される。シャフトは、1つの部材であってよい。しかしシャフトは、いくつかの分離したセグメントであってもよい。
【0019】
1つの実施形態において、スティックは、長さを変えることができる伸縮自在アームとして形成される。別の実施形態において、スティックは長さが固定される。
【0020】
シャフトは、(掘削機が水平面に配置された)掘削機の通常の使用中に、基本的に垂直方向に延びた長手方向軸を有する。運転台は、(その後端部から前端部へ延びた)長手方向軸、及び長手方向軸に対して直交して延びた横軸を有する。
【0021】
取付構成物は、ブームが、シャフトの長手方向軸に対して回転できるよう、配置かつ構成される。
【0022】
位置検出デバイスは、1つまたは複数の人工衛星から衛星信号を受信するよう配置かつ構成された、少なくとも1つのアンテナを備える。アンテナは、全地球的航法衛生システムすなわちGNSS受信器と呼ばれ得る。好ましい実施形態において、位置検出デバイスは、1つまたは複数の人工衛星から衛星信号を受信するよう配置かつ構成された、2つのアンテナを備える。位置検出デバイスは、これらの衛星信号に基づいて位置を判断するよう構成された、ユニットを備える。
【0023】
位置検出デバイスは、シャフトの長手方向軸周りの回転に対する、第1のブームの角度位置を検出するよう構成された、センサアセンブリを備える。好ましい実施形態において、位置検出デバイスは、シャフトの長手方向軸周りの回転に対する、第1のブームの角度位置を、継続的に検出するよう構成される。
【0024】
1つの実施形態において、シャフトの長手方向軸周りの回転に対する、第1のブームの角度位置は、任意の所定の方向と、運転台の横軸及び運転台の長手方向軸によって広がる面における、第1のブーム(の少なくとも一部、例えば近位部分)における長手方向軸の投影と、の間の角度として定義される。この面は、シャフトの長手方向軸に対して直交して延びる。
【0025】
好ましい実施形態において、シャフトの長手方向軸周りの回転に対する、第1のブームの角度位置は、運転台の長手方向軸と、運転台の横軸及び運転台の長手方向軸によって広がる面における、第1のブームの近位部分における長手方向軸の投影と、の間の角度として定義される。
【0026】
1つの実施形態において、シャフトの長手方向軸周りの、第1のブームの回転に関する量は、運転台と取付構成物との間の距離である。
【0027】
1つの実施形態において、シャフトの長手方向軸周りの、第1のブームの回転に関する量は、角度計測値である。
【0028】
1つの実施形態において、センサアセンブリは、運転台と取付構成物との間の距離を計測するよう構成される。それによって、シャフトの長手方向軸周りの回転に対する、第1のブームの角度位置を検出するという、信頼性のある、簡単で効率的な方法を提供することが可能である。
【0029】
1つの実施形態において、センサアセンブリは、第1の要素のグループにおける1つの所定位置と、第2の要素のグループにおける所定位置との間の距離を計測するよう構成される。ここで、第1の要素のグループは運転台を含み、第2の要素のグループは、第1のブーム及び取付構成物を含む。
【0030】
距離の計測は、レーザ距離計測センサ、超音波距離センサ、及びワイヤセンサを含む、任意の好適な距離検出ユニットを使用して実行され得る。
【0031】
1つの実施形態において、制御ユニットは、所定のプロトコルを使用して、シャフトの長手方向軸周りの回転に対する、第1のブームの角度位置を計測することによって、センサアセンブリを較正するよう、及び様々な角度位置を有する複数の構成について、センサアセンブリからの出力を検出するよう、構成される。
【0032】
所定のプロトコルは、「発明を実施するための形態」で定義される任意のプロトコルであってよく、次のように称される:
-第1の較正手順;
-第2の較正手順;
-第3の較正手順;
-第4の較正手順;または
-第5の較正手順。
【0033】
1つの実施形態において、所定のプロトコルは、角度位置を検出するために、以下の計測値のうち1つまたは複数を適用する:
a)運転台(または運転台に固定された構成物)に利用可能なセンサを使用して計測された、運転台の方向及び位置;
b)ブームの方向;
c)シャフトの長手方向軸の位置;及び/または
d)アームまたはバケットの固定点の位置。
シャフトの長手方向軸の位置は、回転軸に相当する。
【0034】
本発明による位置検出デバイス及び方法は、1つまたは複数のIMUを含み得る1つまたは複数のセンサを適用し得る。IMUは、加速度計、ジャイロスコープ、ならびに、ときとして磁力計及び圧力センサを使用して、特定の力、及び/または角速度、及び/または本体の方向を計測し記録するよう構成された、電子デバイスを意味する。IMUを使用することによって、衛星信号が利用不能である場合、衛星ベースの無線航法システム受信器が作動可能である。以下において、衛星信号を受信するアンテナを称する場合、GNSS(全地球的航法衛生システム)アンテナを意味する。
【0035】
1つの実施形態において、所定のプロトコルは、角度位置を検出するために運転台(または運転台に固定された構成物)で利用可能なセンサを使用して計測された、運転台の方向を適用する。
【0036】
1つの実施形態において、所定のプロトコルは、角度位置を検出するために、ブームの方向を適用する。
【0037】
1つの実施形態において、所定のプロトコルは、角度位置を検出するために、シャフトの位置を適用する。
【0038】
1つの実施形態において、所定のプロトコルは、角度位置を検出するために、バケットにおける固定点の位置を適用する。
【0039】
1つの実施形態において、所定のプロトコルは、角度位置を検出するために、バケットにおける固定点の位置を適用する。
【0040】
1つの実施形態において、センサアセンブリは、回転シリンダの半径方向の移動を計測するよう構成される。それによって、この半径方向の移動を、回転角度を判断するために使用することができる。
【0041】
1つの実施形態において、センサアセンブリは、運転台または運転台に装着された構成物における固定位置と、取付構成物または取付構成物に装着された構成物における固定点と、の間の距離を計測するよう構成される。それによって、標準的な計測要素を適用することで、簡易な方法によって、シャフトの長手方向軸周りの回転に対する、第1のブームの角度位置を検出するのを可能にする。
【0042】
1つの実施形態において、シャフトの長手方向軸周りの回転に対する、第1のブームの角度位置は、運転台と取付構成物との間に延びた回転シリンダの長さを計測することによって検出される。
【0043】
1つの実施形態において、センサアセンブリは、ワイヤセンサを備える。それによって、シャフトの長手方向軸周りの回転に対するブームの角度位置を検出する、簡単で効率的かつ信頼性のある方法を提供することが可能である。用語(ワイヤセンサの)ワイヤは、ストリング、コード、またはラインを含むワイヤと基本的に同じ機械的特性を有する、任意で好適な構造を意味する。
【0044】
1つの実施形態において、位置検出デバイスは、運転台(もしくは運転台に装着された構成物)、及び/またはブーム、及び/またはスティック、及び/またはバケットに接続された、1つもしくは複数の傾斜センサ、または1つもしくは複数のIMUを備える。それによって、上記の構成要素のうち1つの傾斜を、考慮に入れることができる。それによって、バケットの位置及び/または方向の判断は、より精確になる。傾斜センサは、シャフトに対して回転可能に取り付けられた構成物の、任意の連結要素または接合部に取り付けられ得る。
【0045】
位置検出デバイスは、制御ユニットを備える。それは、ブームの所定のいくつかの回転位置において、ワイヤの長さにおける所定のリストを使用することによって、センサアセンブリを較正するよう構成される。それによって、その距離に基づいて、シャフトの長手方向軸周りの回転に対する、第1のブームの角度位置を検出するために、簡単なセンサアセンブリを適用することが可能である。センサアセンブリは、シャフトの長手方向軸周りの、第1のブームの回転に関連した量を計測するよう、及びこの計測した量に基づいて、シャフトの長手方向軸周りの回転に対する第1のブームの角度位置を判断するように、構成される。簡単なセンサであるこの手段を使用して、必要な角度計測を実施することができる。
【0046】
1つの実施形態において、この量は、運転台(または運転台に固定された構成物)と、取付構成物との間の距離である。
【0047】
1つの実施形態において、この量は、1つまたは複数の回転センサによって計測された回転である。
【0048】
1つの実施形態において、この量は、1つまたは複数の振動センサによって計測された振動信号である。
【0049】
較正は、運転台の方向を判断するために、掘削機のGNSS受信器を使用して実行され得る。ワイヤ、ストリング、もしくはロープ、または直線梁によって、所定の方向(例えば運転台の長手方向軸に平行)に延びた、較正線を提供することが可能である。その後、運転台を、その回転垂直軸に対して回転させることができ、その一方で第1のブームは較正線に対して平行を保たれる。回転角度、及びワイヤの長さの対応した値に留意することによって、図5を参照して示し説明したもののような表に、記入することが可能である。
【0050】
1つの実施形態において、位置検出デバイスは、2つの離隔された取付ブラケット、及びワイヤシースを備える。ワイヤシースは、ワイヤシースの各端部に配置された2つのシースマウント間に延びる。ワイヤはこのワイヤシースの中に摺動可能に配置され、ワイヤシースの延長に延びる。このソリューションは、実施が容易であり、ワイヤを様々な位置に取り付けることを可能にする。したがって、位置検出デバイスは、ワイヤセンサを取り付けなければならない様々な形状及び構成物を有する掘削機に、取り付けることができる。
【0051】
ワイヤは、ワイヤシースの各端部から突出することが好ましい。
【0052】
1つの実施形態において、位置検出デバイスは、シャフトの長手方向軸に対する取付構成物の回転を表示するよう構成された、ディスプレイユニットを備える。それによって、オペレータは、より効率的に掘削機を制御できる。
【0053】
位置検出デバイスが、ディスプレイに接続された制御ユニットを備えることは、有利となり得る。ここで制御ユニットは、シャフトの長手方向軸周りの回転に対する第1のブームの検出された角度位置を、継続的に受信するよう構成される。
【0054】
1つの実施形態において、位置検出デバイスは、バケットの位置及び/または方向を表示するよう構成されたディスプレイユニットを備える。それによって、オペレータは、より効率的に掘削機を制御できる。
【0055】
本発明による方法は、運転台、及び1つまたは複数のブームを備えたアームを有する掘削機の、バケットの位置を判断するための方法である。この掘削機は第1のブームを備え、第1のブームは取付構成物によって運転台に回転可能に装着され、この取付構成物は、掘削機の通常の使用中に基本的に垂直方向に延びた長手方向軸を有するシャフトによって、運転台に回転可能に装着される。バケットは、スティックに回転可能に取り付けられ、このスティックは、最も遠位のブームに回転可能に取り付けられる。運転台は、長手方向軸と、長手方向軸に対して直交して延びた横軸とを有する。取付構成物は、第1のブーム、したがってアームが、シャフトの長手方向軸周りに回転するよう配置かつ構成される。位置検出デバイスは、1つまたは複数の人工衛星から衛星信号を受信するよう配置かつ構成されたアンテナなど、少なくとも1つの3D位置決めデバイスを備える。方法は、シャフトの長手方向軸周りの回転に対する、第1のブームの角度位置を検出するステップを含む。方法は、所定のプロトコルを使用し、かつ様々な角度位置に対応した掘削機の複数の構成についての、センサアセンブリからの出力を検出することで、シャフトの長手方向軸周りの回転に対する第1のブームの角度位置を計測することによって、センサアセンブリを較正するステップを含む。
【0056】
それによって、バケットの位置及び/または方向の、先行技術よりも精確な判断を提供することが可能である。用語「通常の使用中」は、「掘削機が水平面に置かれたとき」を意味する。
【0057】
1つの実施形態において、位置検出デバイスは、センサアセンブリを較正するよう構成された制御ユニットを備える。
【0058】
1つの実施形態において、角度位置は、運転台と取付構成物との間の距離を計測することによって判断される。それによって、容易かつ信頼できる方法で角度位置を判断することが可能である。運転台(または運転台に固定された構成物)における特定の所定位置間の距離、ならびに取付構成物(または取付構成物に固定された構成物)における2つの所定位置間それぞれの、2つの計測を有することを強調する必要がある。
【0059】
1つの実施形態において、運転台と取付構成物との間の距離は、ワイヤセンサを使用して計測される。それによって、簡単で堅牢かつ信頼できる、角度位置を検出する方法を提供することが可能である。
【0060】
1つの実施形態において、所定のプロトコルは、角度位置を検出するために、運転台(または運転台に固定された構成物)において利用可能なセンサを使用して計測された、運転台の方向を適用する。
【0061】
1つの実施形態において、所定のプロトコルは、角度位置を検出するために運転台(または運転台に固定された構成物)において利用可能なセンサを使用して計測された、運転台の方向及び位置を適用する。
【0062】
1つの実施形態において、所定のプロトコルは、角度位置を検出するために、ブームの方向を適用する。
【0063】
1つの実施形態において、所定のプロトコルは、角度位置を検出するために、シャフトの長手方向軸の位置を適用する。
【0064】
1つの実施形態において、所定のプロトコルは、角度位置を検出するために、バケットにおける固定点の位置を適用する。
【0065】
1つの実施形態において、センサアセンブリを較正するステップは、運転台の位置が、運転台または運転台に堅固に固定された構成物において利用可能ないくつかのセンサを使用して計測される、較正手順を使用して実行される。掘削機は、シャフト周りに取付構成物を回転させるときに動かされる構成物、として定義されたアームを備える。較正手順は、掘削機を所定の位置に配置するステップを含み、ここではシャフト及びアームの固定点の位置が公知である。さらに較正手順は、アームをシャフトに対して、運転台の横軸に対して複数の異なる角度位置に回転させるステップを含む。これらの(アームが位置付けられた)角度位置の各々について、アームと運転台の横軸との間の角度が判断される。
【0066】
1つの実施形態において、掘削機は、シャフト周りに取付構成物を回転させるときに動かされる構成物、として定義されるアームを備える。センサアセンブリを較正するステップは、運転台の位置が、運転台または運転台に堅固に固定された構成物において利用可能なセンサを使用して計測される、較正手順を使用して実行される。較正手順は、掘削機を所定の位置に配置するステップを備え、ここではシャフトの位置は公知である。さらに較正手順は、アームにおける点の絶対位置を計測するステップを備える。さらに較正手順は、アームをシャフトに対して、運転台の横軸に対して複数の異なる角度位置に回転させるステップを含む。これらの(アームが位置付けられた)角度位置の各々について、アームと運転台の横軸との間の角度が判断される。
【0067】
1つの実施形態において、掘削機は、シャフト周りに取付構成物を回転させるときに動かされる構成物、として定義されるアームを備える。センサアセンブリを較正するステップは、運転台の位置が、運転台または運転台に堅固に固定された構成物において利用可能なセンサを使用して計測される、較正手順を使用して実行される。較正手順は、運転台または運転台に堅固に固定された構成物における所定の点と、アームにおける固定点との間に延びた、ベクトルを計測するステップを含む。このベクトルは、1つまたは複数の人工衛星から衛星信号を受信し、それによって位置を計測するよう配置かつ構成されたGNSSアンテナなどの3D位置決めデバイスで、点の位置を計測することによって、計測される。さらに較正手順は、運転台の方向ベクトル、及び所定の点とアームにおける固定点との間に延びたベクトル、を比較するステップを備える。後者のステップは、アームと運転台の横軸との間における、複数の異なる角度について実行される。
【0068】
1つの実施形態において、掘削機は、シャフト周りの取付構成物を回転させるときに動かされる構成物、として定義されるアームを備える。センサアセンブリを較正するステップは、アームに配置されたいくつかのジャイロスコープが、所定の点からのアームの相対角度を計測するために使用される、較正手順を使用して実行される。相対角度の計測は、アームと運転台の横軸との間の、複数の異なる角度について実行される。
【0069】
1つの実施形態において、掘削機は、シャフト周りの取付構成物を回転させるときに動かされる構成物、として定義されるアームを備える。センサアセンブリを較正するステップは、アームに配置された1つもしくは複数の加速度計、及び/またはジャイロスコープ、及び/または磁力計が、運転台または運転台に堅固に固定された構成物に位置付けられた、1つもしくは複数の加速度計、及び/またはジャイロスコープ、及び/または磁力計と共に、角度を計測するために使用される、較正手順を使用して実行される。相対角度の計測は、アームと運転台の横軸との間の、複数の異なる角度について実行される。
【0070】
1つの実施形態において、位置検出デバイスは、運転台及び1つまたは複数のブームを有する掘削機の、バケットの位置を検出するための位置検出デバイスである。掘削機は第1のブームを備え、第1のブームは取付構成物によって運転台に回転可能に装着され、この取付構成物は、掘削機の通常の使用中に基本的に垂直方向に延びた長手方向軸を有するシャフトによって、運転台に回転可能に装着される。バケットはスティックに回転可能に取り付けられ、このスティックは、第1のブーム、または第1のブームに回転可能に装着された第2のブームのいずれかに回転可能に装着される。運転台は、長手方向軸と、長手方向軸に対して直交して延びた横軸とを有する。取付構成物は、第1のブームがシャフトの長手方向軸に対して回転できるよう配置かつ構成される。位置検出デバイスは、1つまたは複数の人工衛星から衛星信号を受信するよう配置かつ構成された、1つまたは複数のアンテナを備える。位置検出デバイスは、シャフトの長手方向軸周りの回転に対する第1のブームの角度位置を検出するよう構成された、センサアセンブリを備える。このセンサアセンブリは、運転台と取付構成物との間の距離を計測するよう構成される。センサアセンブリは、運転台または運転台に装着された構成物における固定点と、取付構成物または取付構成物に装着された構成物における固定点と、の間の距離を計測するよう構成される。センサアセンブリはワイヤセンサを備える。位置検出デバイスは、離隔された2つの取付ブラケット及びワイヤシースを備え、このワイヤシースは、ワイヤシースの各端部に配置された2つのシースマウント間に延びる。ワイヤは、このワイヤシースの中に摺動可能に配置され、その延長に延びる。
【0071】
1つの実施形態において、位置検出デバイスは、センサアセンブリが、第1の要素のグループにおける1つの所定位置と、第2の要素のグループにおける所定位置との間の距離を計測するよう構成され、ここで第1の要素のグループは運転台を含み、第2の要素のグループは、第1のブーム及び取付構成物を含んだ、位置検出デバイスである。
【0072】
1つの実施形態において、位置検出デバイスは、シャフトの長手方向軸に対する取付構成物の回転を表示するよう構成された、ディスプレイユニットを備えた、位置検出デバイスである。
【0073】
1つの実施形態において、方法は、運転台及び1つまたは複数のブームを有する掘削機の、バケットの位置を判断するための方法である。掘削機は第1のブームを備え、第1のブームは取付構成物によって運転台に回転可能に装着され、この取付構成物は、掘削機の通常の使用中に基本的に垂直方向に延びた長手方向軸を有するシャフトによって、運転台に回転可能に装着される。バケットはスティックに回転可能に取り付けられ、このスティックは、第1のブーム、または第1のブームに回転可能に装着された第2のブームのいずれかに回転可能装着される。運転台は、長手方向軸と、長手方向軸に対して直交して延びた横軸とを有する。取付構成物は、第1のブームがシャフトの長手方向軸に対して回転できるよう配置かつ構成される。位置検出デバイスは、1つまたは複数の人工衛星から衛星信号を受信するよう配置かつ構成された、少なくとも1つのアンテナを備える。方法は、シャフトの長手方向軸周りの回転に対する第1のブームの角度位置を検出するステップを含む。ここで角度位置は、運転台と取付構成物との間の距離を計測することによって判断される。運転台と取付構成物との間の距離は、ワイヤセンサを使用して計測される。ワイヤセンサは、離隔された2つの取付ブラケット及びワイヤシースを備える。このワイヤシースは、ワイヤシースの各端部に配置された2つのシースマウント間に延びる。ワイヤは、このワイヤシースの中に摺動可能に配置され、その延長に延びる。
【0074】
本発明による位置検出デバイスを備えた掘削機を有することは、有利となり得る。
【0075】
本発明は、本明細書の以下で与えられた「発明を実施するための形態」から、より完全に理解されよう。添付の図面は、例示のみに与えられ、本発明を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1A】本発明による位置検出デバイスが設けられた掘削機を示す図である。
図1B図1Aに示された位置検出デバイスの、ワイヤセンサのワイヤの拡大図である。
図2A】本発明による位置検出デバイスが設けられた掘削機の正面図である。
図2B図1Aに示された位置検出デバイスの、ワイヤセンサのワイヤにおける別の拡大図である。
図3A】本発明による位置検出デバイスのワイヤセンサを示す図である。
図3B図3Aに示されたワイヤセンサの別の図である。
図4A】本発明による位置検出デバイスのワイヤセンサ示す図である。
図4B】本発明による位置検出デバイスが設けられた掘削機を示す図である。
図5】いかにして掘削機のブームの回転角度が判断されるかを示す、フローチャートである。
図6A】本発明による位置検出デバイスが設けられた掘削機の側面図である。
図6B図6Aに示された掘削機の斜視図である。
図7A】本発明による位置検出デバイスが設けられた掘削機の斜視図である。
図7B】本発明による位置検出デバイスが設けられた、別の掘削機の斜視図である。
図8】本発明による位置検出デバイスのディスプレイ示す図である。
図9A】本発明による位置検出デバイスを備えた掘削機の上面図である。
図9B図9Aに示された掘削機の、別の構成における上面図である。
図9C図9A及び図9Bに示された掘削機の、別の構成における上面図である。
図9D図9A図9B、及び図9Cに示された掘削機の、別の構成における上面図である。
図10A】本発明による位置検出デバイスを備えた掘削機の上面図である。
図10B図10Aに示された掘削機の、別の構成における上面図である。
図10C図10A及び図10Bに示された掘削機の、別の構成における上面図である。
図10D図10A図10B、及び図10Cに示された掘削機の、別の構成における上面図である。
図11A】対応したセンサデータ及び角度データを伴う表である。
図11B】本発明による位置検出デバイスのセンサアセンブリによって測定された距離に応じた、ブームの角度を表わすグラフである。
図11C】本発明による位置検出デバイスのセンサアセンブリからの電気出力データに応じた、ブームの角度を表わすグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0077】
次に、本発明の好ましい実施形態を例示する目的の図面を、詳細に参照すると、本発明による位置検出デバイスが設けられた掘削機6が、図1Aに例示される。掘削機6は、運転台32及びブーム8を備える。ブーム8は取付構成物12に装着される。取付構成物12は、掘削機6が水平面に配置されたときに、垂直方向に延びた長手方向軸を有するシャフト(図示せず)によって、運転台32に回転可能に装着される。
【0078】
掘削機6は、取付構成物12と運転台32との間に延びた、回転シリンダ34を備える。回転シリンダ34は、起動された際に、シャフトの長手方向軸に対して取付構成物12を回転させるよう配置される。したがって、回転シリンダ34を制御することによって、取付構成物12、したがってブーム8を、シャフトの長手方向軸に対して回転させることが可能である。
【0079】
掘削機6は、ワイヤセンサ(図3A及び図3B参照)を有する位置検出デバイスを備える。このワイヤセンサは、ワイヤセンサと取付構成物12における固定点との間に延びたワイヤ16の長さを計測するよう、配置かつ構成される。ワイヤセンサは、ワイヤの長さ、したがって基準点に対する長さの変化を検出するよう構成される。それによってワイヤセンサは、回転シリンダ34の起動の際に、2つの点P、Pの間の距離が変化したときを、検出することができる。このようにワイヤセンサは、これらの点P、Pの間の距離Dを検出することができる。
【0080】
図1Bは、図1Aに示された位置検出デバイスの、ワイヤセンサのワイヤ16の拡大図を例示する。ワイヤ16が、回転シリンダ34の長さに対して平行に延びるのが確認できる。回転シリンダ34は、取付構成物12に回転可能に取り付けられ、それによって取付構成物12は、回転シリンダ34が伸長する際に、回転シリンダ34に対して回転可能になる。回転シリンダ34は、基本的に水平方向に、掘削機の運転台から突出する。
【0081】
図2Aは、本発明による位置検出デバイスが設けられた掘削機6の正面図を例示する。掘削機6は、掘削機6の基部に設けられた2列の平行履帯36、36’を含んだ、駆動アセンブリ22を備える。掘削機6は、掘削機6の基部に回転可能に取り付けられた、運転台32を備える。したがって運転台32は、(掘削機が水平面に置かれたときに)回転の垂直軸に対して回転できる。
【0082】
掘削機6は、運転台32の前部に回転可能に取り付けられた、取付構成物12を備える。掘削機6は、取付構成物12に回転可能に装着された、ブーム8を備える。ブーム8は、(掘削機が水平面に置かれたときに)水平軸周りに回転されるよう配置される。ブーム8は、(掘削機が水平面に置かれたときに)垂直軸周りにも回転されるよう配置される。位置検出デバイスは、垂直軸に対する回転角度を検出するよう構成される。
【0083】
図2Bは、図1Aに示された位置検出デバイスの、ワイヤセンサのワイヤ16の拡大図を例示する。位置検出デバイスは、ワイヤシース38の中に配置されたワイヤ16を含んだ、センサアセンブリ10を備える。ワイヤシース38は、取付ブラケット42に固定されたシースマウント40の中に挿入される。シースマウント40には外側にねじ山が設けられ、取付ブラケット42の開口部の中にねじ込まれる。この開口部には、対応したねじ山が設けられる。したがって、シースマウント40を移動させることができ、それによってシースマウント40を回転させることで、取付ブラケット42の長さに沿って位置は調整される。
【0084】
図3Aは、本発明による位置検出デバイス2のワイヤセンサを例示し、その一方で図3Bは、図3Aに示されたワイヤセンサ18の別の図を例示する。位置検出デバイス2は、ワイヤセンサ18(ときとしてケーブル伸長位置センサと称される)を備え、それは、ワイヤセンサ18のハウジングから延びたワイヤ16の、長さ及び/または長さの変化を計測するよう配置かつ構成される。ワイヤ16は、ワイヤシース38の中に摺動可能に配置される。ワイヤシース38は、取付ブラケット42に固定されたシースマウント40の中に挿入される。図2Aに例示されたのと同じ方法で、シースマウント40には外側にねじ山が設けられ、取付ブラケット42の開口部の中にねじ込まれる。この開口部には対応したねじ山が設けられる。したがって、シースマウント40を移動させることができ、それによってシースマウント40の回転の際に、取付ブラケット42の長さに沿って位置は調整される。
【0085】
図4Aは、異なる方向から見た、図3A及び図3Bに示されたワイヤセンサ18を例示する。ワイヤセンサ18が、掘削機のバッテリの上、かつ回転可能に取り付けられて直立位置に配置されたカバー44の下方、に配置されているのが確認できる。それによって、ワイヤセンサ18は雨から防護される。ワイヤセンサ18は、別の位置に配置され得ること、及びバッテリへの自由な接近を可能にするためにバッテリの上部にワイヤセンサ18を配置しないことが有利となり得ること、を強調することは重要である。
【0086】
図4Bは、図4Aに例示されたような位置検出デバイスが設けられた、掘削機6を例示する。ワイヤセンサ18は、掘削機のバッテリの上、かつ掘削機6の運転台32に回転可能に装着されたものの下方に配置される。ワイヤ16がワイヤセンサ18から突出しているのが、確認できる。
【0087】
図5は、いかにして、シャフトの長手方向軸周りにおける掘削機のブームの回転角度が判断されるかを示す、フローチャートである。まず、ワイヤの長さ(または長さの変化)が計測される。例えば回転センサを使用して、長さではない別の量を計測することが可能となる。これは、図3A図3B図4A、及び図4Bに示されるワイヤセンサを使用し、かつ図3A図3B図4A、及び図4Bを参照して説明するように成され得る。ワイヤの長さが計測できる場合、回転角はそれに基づいて判断される。1つの実施形態において、回転角は、対応した長さ及び角度値が与えられた表を使用して判断される。このような表は、いくつかの表項目を備え得る。各々は、長さ範囲を対応した角度と結合するか、または角度範囲を対応した長さに結合する。この角度は、以下の表1を使用して計算することができる。
【0088】
【表1】
【0089】
一般的に、回転角度は、数式を公知の角度及び対応した量と組み合わせて使用することによって、判断される。
【0090】
長さが計測できていない場合、新たな長さ計測が行なわれる。
【0091】
しかし、回転角度が判断されている場合、この回転角度が使用されてバケットの位置を(例えば計算して)判断する。このような計算は、一般的に人工衛星ベースの位置決めシステム(全地球的航法衛生システムすなわちGNSS)を使用して判断された、位置データを使用する。図5に例示されたプロセスは、連続して行うことができる。
【0092】
図6Aは、本発明による位置検出デバイスが設けられた掘削機6の側面を例示する。掘削機6は、駆動アセンブリ22が設けられた基部に取り付けられた、運転台32を備える。したがって、掘削機6は履帯式車両(履帯を備えた車両)である。しかし別の実施形態において、掘削機6はホイール式であり得る。掘削機6は、運転台32に回転可能に取り付けられた、取付構成物12を備える。取付構成物12は、シャフト14によって、運転台32の対応した受入れ構成物に取り付けられる。掘削機6が、図6Aに示されるように水平面に配置されたとき、シャフト14は直立することになる(垂直方向に延びる)。
【0093】
掘削機6は、第1のブーム接合部30によって取付構成物12に回転可能に装着された、ブーム8を備える。第1のシリンダ26は、第1のシリンダ接合部28によって、取付構成物12に回転可能に取り付けられる。第1のブーム接合部30及び第1のシリンダ接合部28は、互いから離隔される。それによって、第1のシリンダ26の起動は、ブーム8を第1のブーム接合部30に対して回転させる。
【0094】
スティック24は、第2のブーム接合部30’によって、ブーム8の遠位端に回転可能に装着される。第2のシリンダ26’は、第2のシリンダ接合部28’によってブーム8に、かつ第3のシリンダ接合部28’’によってスティック24に、回転可能に装着される。それによって、第2のシリンダ26’の起動は、スティック24を、第2のブーム接合部30、したがってブーム8に対して回転させる。
【0095】
掘削機6は、スティック24の遠位端に回転可能に装着された、バケット4を備える。第3のシリンダ26’’は、第3のシリンダ26’’の起動が、バケット4をスティック24に対して回転させるように、スティック24及びバケット4に回転可能に装着される。
【0096】
取付構成物は、シャフト14の長手方向軸Zに対して回転されるように配置される。これは、運転台32及び取付構成物14に回転可能に装着されたシリンダ(図示せず)を適用することによって、成され得る。
【0097】
位置検出デバイスは、ワイヤ16、及びワイヤ16に装着されたワイヤセンサ18を含んだ、センサアセンブリ10を備える。ワイヤセンサ18は、ワイヤの長さ及び/または長さの変化を検出するよう配置される。ワイヤ16は、ワイヤセンサ18と、取付構成物14の装着点との間に延びる。それによってワイヤセンサ18は、取付構成物12とワイヤセンサ18との間の距離を検出できる。この距離を使用して、シャフト14の長手方向軸Zに対するブーム8の回転角度を判断することができる。
【0098】
別の実施形態において、ワイヤセンサ18を、取付構成物12と、運転台32における固定点または運転台32に固定された構成物と、の間の距離を判断するよう配置かつ構成された、別のセンサと交換し得る。
【0099】
角度は、図5を参照して説明したような所定の表を使用して計算することができる。
【0100】
掘削機6は、位置検出デバイスの制御ユニット(図示せず)に接続された、運転台取付式のGNSS受信器20を備える。GNSS受信器20は、他の位置に取り付けられることを強調することは重要である。
【0101】
図6Bは、図6Aに示された掘削機6の斜視図である。掘削機6は、掘削機6の運転台における屋根構造に取り付けられた、2つのGNSS受信器20を備える。取付構成物12は、シャフトの長手方向軸Z周りを回転できることが確認できる。ブーム8の近位部の長手方向軸Bが表わされる。運転台32の横軸X及び長手方向軸Yも表わされる。ブーム8の回転角度αは、概ね90°であることが確認できる。したがってブーム8は、運転台32の長手方向軸Y及び垂直軸(シャフトの長手方向軸Zに対して平行な軸)に広がる面に沿って延びる。回転シリンダ34は、運転台32と、取付構成物12との間に延びる。回転シリンダ34は、取付構成物12を運転台32に回転可能に装着するためのシャフトに対して、取付構成物12を回転させるよう、配置かつ構成される。
【0102】
位置検出デバイスは、バケット4の位置を計算するよう構成された、計算ユニット(図示せず)を備える。1つの実施形態において、計算ユニットは、運転台取付式のGNSS受信器20と、運転台32、ブーム8、スティック24、及びバケット4、の間の相対角度を計測するよう配置された角度センサ(図示せず)と、を使用して提供された位置データ、ならびに検出した回転角度αに基づいて、バケット4の位置を計算するよう構成される。これらのデータが利用可能である場合、幾何学的原理を使用して、バケット4の位置を計算することが可能である。
【0103】
好ましい実施形態において、位置検出デバイスは、所定の構成物、または位置もしくは線もしくは高さに対して、バケット4を可視化するよう構成された、ディスプレイを備える。それによって、利用しやすく、オペレータによって容易に使用される位置検出デバイスを提供することが可能である。
【0104】
位置検出デバイスはワイヤセンサ18を備え、それは、ワイヤセンサ18のハウジングから突出したワイヤ16を有する。ワイヤ16は、ワイヤセンサ18のハウジングと、取付構成物12における固定点との間に延びる。
【0105】
図7Aは、本発明による位置検出デバイスが設けられた掘削機6の、斜視図を例示する。掘削機6は、運転台取付式の2つのGNSS受信器20が設けられた、運転台32を備える。掘削機6は、ブーム8と、ブーム8に回転可能に取り付けられたスティック24とを備える。掘削機6は取付構成物12を備え、それによってブーム8は運転台32に回転可能に取り付けられ、それによってブーム8は、通常の使用中(掘削機6が水平面で操作されるとき)に基本的に垂直方向に延びた回転軸の周りを、回転できる。掘削機6は、ブーム8を上記の回転軸に対して回転させるよう配置された、回転シリンダ34を備える。掘削機6は、スティック34の遠位端に回転可能に装着された、バケット4を備える。
【0106】
位置検出デバイスは、回転シリンダ34に配置された距離センサを有するセンサアセンブリ10を備え、取付構成物12における固定点と、回転シリンダ34に配置された距離センサとの間に延びた、ワイヤ16の長さを検出する。センサアセンブリ10は、距離センサによって、ワイヤ16の長さを検出する。ワイヤ16の長さは、上記の回転軸に対するブーム8の回転角度を検出するために適用される。
【0107】
図7Bは、本発明による位置検出デバイスが設けられた、別の掘削機6の斜視図を例示する。掘削機6は、運転台取付式の2つのGNSS受信器20が設けられた、運転台32を備える。掘削機6は、第1のブーム8、第2のブーム8’、及び第2のブーム8’に回転可能に取り付けられたスティック24、を備える。掘削機6は取付構成物12を備え、それによって第1のブーム8は運転台32に回転可能に取り付けられ、それによって第1のブーム8は、通常の使用中(掘削機6が水平面で操作されるとき)に基本的に垂直方向に延びた回転軸の周りを回転できる。掘削機6は、第1のブーム8を上記の回転軸に対して回転させるよう配置された、回転シリンダ(図示せず)を備える。掘削機6は、スティック34の遠位端に回転可能に装着された、バケット4を備える。
【0108】
図8は、本発明による位置検出デバイスのディスプレイを例示する。掘削機の上面図が、左下領域に示される。掘削機の運転台の長手方向軸に対して基本的に平行に延びた線が表わされ、バケットからこの線までの距離が、上部中間のボックスに示される。このボックスからバケットから線までの距離が、3.81mであることが確認できる。
【0109】
バケットの側面が、ディスプレイの右中間領域に示される。バケットのブレードがほとんど水平に配置されていること、及び(バケットのすぐ下の線で表わされた)地上レベルに非常に近付いていること、が確認できる。しかし、左上のボックスにおいて、バケットの縁部における左角の高さが0.05m、その一方でバケットの縁部における右角の高さが0.09mであることが確認できる。したがって、バケットは100%水平方向に配置されていない。
【0110】
図9A図9B図9C、及び図9Dは、本発明による位置検出デバイスを備えた掘削機6の上面を例示する。掘削機6は、較正手順中に、様々な構成で配置される。ここで掘削機6のブーム8は固定され、その一方で、ブーム8と運転台32の横軸Xとの間の角度αは変化する(運転台32がブーム8に対して回転される)。図9Aにおいて、角度αは、運転台32の横軸Xに対して概ね90°である。図9Bにおいて、角度αは、運転台32の横軸Xに対して約80°である。図9Cにおいて、角度αは、運転台32の横軸Xに対して概ね70°である。図9Dにおいて、角度αは、運転台32の横軸Xに対して約60°である。
【0111】
図10A図10B図10C、及び図10Dは、本発明による位置検出デバイスを備えた掘削機6の上面図である。掘削機6は、較正手順中に、様々な構成で配置される。ここで掘削機6の運転台32は固定され、その一方で、ブーム8と運転台32の横軸Xとの間の角度αは、変化される(これは回転シリンダ34を使用して成される)。図10Aにおいて、角度αは、運転台32の横軸Xに対して概ね90°である。図10Bにおいて、角度αは、運転台32の横軸Xに対して約80°である。図10Cにおいて、角度αは、運転台32の横軸Xに対して概ね70°である。図10Dにおいて、角度αは、運転台32の横軸Xに対して約60°である。
【0112】
位置検出デバイスは、位置検出デバイスのセンサアセンブリを較正するよう構成された、制御ユニットを備える。センサアセンブリの較正は、様々な較正手順を使用して成すことができる。
【0113】
[第1の較正手順]
センサアセンブリの較正は、運転台32の方向及び位置が、全体の較正手順中に公知である、第1の較正手順を使用して成すことができる。運転台32の方向及び位置は、運転台32または運転台32に固定された構成物において利用可能なセンサを使用して、計測することができる。第1の較正手順は、掘削機6を所定の位置に配置するステップを含む。ここで、(ブーム8が回転可能に装着された)シャフト14の位置、及びスティック24、バケット4、またはブーム8における固定点の位置は、公知である。このステップは、シャフト14、及びバケット4またはブーム8における固定点を、地面の公知の位置に位置付けることによって、実現することができる。
【0114】
第1の較正手順は、ブーム8を、運転台32の横軸Xに対して複数の角度位置に回転させるステップを、さらに含む。これら角度位置の各々について、ブーム8と運転台32の横軸Xとの間の角度αを判断することを可能にする。ブーム8と、運転台32の横軸Xとの間における角度αの計算は、簡単な幾何学式を使用して成すことができる。シャフト14の位置が、二次元座標における原点として定義され、ブームがこの座標に沿って延びる場合、ブーム8と運転台32の横軸Xとの間の角度αは、横座標と運転台32の長手方向軸Yとの間の角度に、単純に対応することになる。運転台32の方向が公知である場合、横座標と運転台32の長手方向軸Yとの間の角度は、公知となる。第1の較正手順を使用することによって、較正曲線、較正表、または数式を提供することが可能であり、それによって位置検出デバイスのセンサアセンブリからのデータに基づいて、ブーム8と運転台32の横軸Xとの間の角度αを判断することができる。表1及び図11Aに示される表は、対応する角度及びセンサデータ計測値の例を示す。
【0115】
[第2の較正手順]
センサアセンブリの較正は、運転台32の方向及び位置が、全体の較正手順中に公知である、第2の較正手順を使用して成すことができる。運転台32の方向及び位置は、運転台32または運転台32に固定された構成物において利用可能なセンサを使用して、計測することができる。第2の較正手順は、掘削機6を所定の位置に配置するステップを含む。ここで、(ブーム8が回転可能に装着された)シャフトの位置が公知である。これは、シャフト14、及びバケット4における固定点を、地面の公知の位置に位置付けることによって成すことができる。第2の較正手順は、ブーム8またはバケット4における絶対位置を計測するステップを、さらに含む。スティック24、ブーム8、またはバケット4の点における絶対位置は、(例えば1つまたは複数の人工衛星から衛星信号を受信し、それによって位置を計測するよう配置かつ構成されたアンテナなどの)センサによって計測することができる。第2の較正手順を使用することによって、較正曲線、較正表(表1もしくは図11Aに示された表を参照)、または数式を提供することが可能になり、それによって位置検出デバイスのセンサアセンブリからのデータに基づいて、ブーム8と運転台32の横軸Xとの間の角度αを判断することができる。
【0116】
[第3の較正手順]
センサアセンブリの較正は、運転台32の方向及び位置が、全体の較正手順中に公知である、第3の較正手順を使用して成すことができる。運転台32の方向及び位置は、運転台32または運転台32に固定された構成物において利用可能なセンサを使用して、計測することができる。第3の較正手順は、運転台32または運転台32に固定された構成物における所定の点から、スティック24、ブーム8、またはブラケット4における固定点までの、ベクトルを計測するステップを含む。このベクトルは、1つまたは複数の人工衛星から衛星信号を受信し、それによって位置を計測するよう配置かつ構成されたアンテナで、点の位置を計測することによって、計測することができる。
【0117】
第3の較正手順は、運転台32または運転台32に固定された構成物における方向ベクトルと、運転台32または運転台32に固定された構成物における所定の点から、スティック24、ブーム8、またはバケット4における固定点までのベクトルと、を比較するステップを、さらに含む。これらベクトル間の相対角度は、ブーム8と運転台32の横軸Xとの間のαに相当する。この手順は、ブーム8と、運転台32の横軸Xとの間の複数の角度αについて実行される。各角度αの、位置検出デバイスにおけるセンサアセンブリの出力を検出することによって、図11Bもしくは図11C、または表(表1もしくは図11Aに示される表を参照)に示されるような較正曲線を提供するのを可能にする。
【0118】
[第4の較正手順]
センサアセンブリの較正は、ブーム8、及び/またはバケット4、及び/またはスティック(もしくはスティックに装着された別の構成物)に設置されたジャイロスコープが、ここではゼロ点であるが、任意の角度αとすることができる所定の角度からの、スィングブームの相対角度を計測するために使用される、第4の較正手順を使用して成すことができる。
【0119】
このときブーム8は、(例えばブーム8の当初の方向によって定義される)ゼロ度などの所定の角度まで回転されている。ブーム8の任意の別の回転は、角度αの変化によって影響を受けた少なくとも1つのセンサによって追尾され得る。センサは、ブーム、スティック、バケット4(またはそれらに装着された別の構成物)に位置されたジャイロスコープとし得る。ジャイロスコープのみが角度αの相対変化についての情報を提供する。しかし、ジャイロスコープは、ゼロ度から始まる角度の変位を計測するために使用されるため、計測は、絶対角度αに相当することになる。各角度αについての、位置検出デバイスにおけるセンサアセンブリの出力を検出することによって、図11Bもしくは図11C、または表(表1もしくは図11Aに示される表を参照)に示されるような較正曲線を提供することが可能である。
【0120】
[第5の較正手順]
センサアセンブリの較正は、スティック24、ブーム6、またはバケットに設置された、1つもしくは複数の加速度計、及び/またはジャイロスコープ、及び/または磁力計が、運転台32、もしくは運転台32に固定された構成物に設置された、1つもしくは複数の加速度計、及び/またはジャイロスコープ、及び/または磁力計と共に使用されて角度αを計測する、第5の較正手順を使用して成すことができる。
【0121】
この方法は、運転台32が非水平面に配置されたときに、特に好適である。このとき掘削機6は、シャフト14の長手方向軸Zが重力ベクトルとは平行ではない(または反平行の)所定に位置に位置付けられる。この状況において、掘削機6の部品に位置され、角度αの変化によって影響を受けた三軸加速度器から直接、角度αを計算することが可能である。代替として、シャフト14の長手方向軸Zが、重力ベクトルに対して平行、もしくはほぼ平行である場合、磁気計及び/またはコンパスを、1つもしくは複数の加速度計、及び/またはジャイロスコープ、及び/または磁力計の代わりに利用され得る。各角度αについて、位置検出デバイスにおけるセンサアセンブリの出力を検出することによって、図11Bもしくは図11C、または表(表1もしくは図11Aに示される表を参照)に示されるような較正曲線を提供するのを可能にする。
【0122】
一般的に、運転台32の方向は、いくつかの方法で検出することができる。
【0123】
1つの実施形態において、運転台32の方向は、1つまたは複数の人工衛星から衛星信号を受信するよう配置かつ構成された、2つのGNSSアンテナを使用することによって検出することができる。
【0124】
1つの実施形態において、運転台32の方向は、単一のGNSSアンテナを3D位置検出デバイス(例えば3D位置センサ)と共に使用して、検出することができる。1つの実施形態において、3D位置検出デバイスは、レーザセンサである。
【0125】
1つも実施形態において、運転台32の方向は、(例えば1つまたは複数の人工衛星から衛星信号を受信するよう配置かつ構成されたアンテナによって検出された)単一の絶対位置を、掘削機6の回転を検出することと組み合わせて使用して、検出することができる。
【0126】
1つの実施形態において、運転台32の方向は、コンパスを使用して検出することができる。
【0127】
運転台32における公知の点の位置は、1つまたは複数の人工衛星から衛星信号を受信するよう配置かつ構成されたアンテナから、得ることができる。
【0128】
ピボット点(シャフト14)の位置は、運転台32の方向、運転台32の揺れ、及び運転台32または運転台32に固定された構成物における位置の情報を、例えば計測点からピボット点(シャフト14)までの前方長さ、側方長さ、及び下方長さと組み合わせて使用して、計算することができる。
【0129】
ブーム6またはバケット4における点の絶対位置は、ブーム6またはバケット4に固定された、(1つまたは複数の人工衛星から衛星信号を受信するよう配置かつ構成された)アンテナを使用して、計測することができる。
【0130】
図11Aは、本発明による位置検出デバイスのセンサアセンブリからの対応したセンサデータ、及び本発明による方法を使用して判断された角度データ、を伴う表を例示する。データは、以下のように称されるプロトコルの1つを使用して提供することができる:
-第1の較正手順;
-第2の較正手順;
-第3の較正手順;
-第4の較正手順;または
-第5の較正手順。
【0131】
センサデータと角度データとの間の関係を表わす数式を生成することも可能である。
【0132】
図11Bは、本発明による位置検出デバイスのセンサアセンブリによって計測された距離Dに応じた、ブームの角度αを表わすグラフを例示する。点がほとんど直線に並んでいるのが確認できる。したがって、センサデータ(計測した距離D)と式による角度データとの間の関係を表わすことが可能である。図11Bの特定の例において、センサデータと角度データとの間の関係を表わすために使用された式は、線形回帰モデル:α=aD+bである。線は単なる例であり、(線の代わりの)異なるモデルを適用することができることは、強調する必要がある。線などの数学モデルに適合させる代わりに、補間または補外することが可能である。任意の好適な数学モデルが適用され得る。さらに、任意の好適な数の表項目が使用され得る。
【0133】
実際、点は一般的に直線上には載らない。
【0134】
図11Cは、本発明による位置検出デバイスのセンサアセンブリからの出力データUに応じた、ブームの角度αを表わすグラフを例示する。この例示的な例において、点がほとんど直線に並んでいるのが確認できる。したがって、センサデータ(計測した距離D)と、α=aU+bで示された線の式による角度データとの間の関係を表わすことが可能である。
【符号の説明】
【0135】
2 位置検出デバイス
4 バケット
6 掘削機
8、8’ ブーム
10 センサアセンブリ
12 取付構成物
14 シャフト
16 ワイヤ
18 ワイヤセンサ
20 アンテナ(GNSS受信器)
22 駆動アセンブリ
24 スティック
26、26’、26’’ シリンダ
28、28’ シリンダ接合部
30、30’、30’’’ ブーム接合部
32 運転台
34 回転シリンダ
36、36’ 履帯
38 ワイヤシース
40 シースマウント
42 取付ブラケット
44 カバー
X 横軸
Y、B、Z 長手方向軸
、P
D 距離
α 角度
U 出力データ(例えば電圧)
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A-9D】
図10A-10D】
図11A
図11B
図11C
【国際調査報告】