(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(54)【発明の名称】マスサイトメトリーのための追加的質量タグポリマー
(51)【国際特許分類】
G01N 27/62 20210101AFI20221006BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20221006BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G01N27/62 V
G01N33/53 Y
C12Q1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506187
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(85)【翻訳文提出日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 US2020045470
(87)【国際公開番号】W WO2021026483
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520497025
【氏名又は名称】フリューダイム カナダ インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】512080756
【氏名又は名称】ザ ガバニング カウンシル オブ ザ ユニバーシティ オブ トロント
【氏名又は名称原語表記】THE GOVERNING COUNCIL OF THE UNIVERSITY OF TORONTO
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【氏名又は名称】穐場 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100121463
【氏名又は名称】矢口 哲也
(72)【発明者】
【氏名】リュー,ペン
(72)【発明者】
【氏名】マホニス,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】バラノフ,ウラジーミル
(72)【発明者】
【氏名】ウィニック,ミッチェル エー.
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ヒュンジュン
【テーマコード(参考)】
2G041
4B063
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041DA14
2G041EA12
2G041GA06
2G041JA03
2G041JA04
4B063QA01
4B063QA18
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4B063QQ08
4B063QR48
4B063QS39
4B063QS40
4B063QX10
(57)【要約】
ジルコニウム及びハフニウムの質量タグなどの濃縮金属同位体を含む新しい種類の質量タグポリマーが提供される。これらの新規な質量タグのケミストリーはランタニド質量タグのケミストリーとは異なり、マスサイトメトリーで使用することができる新規な質量のチャネルを開く。これらのポリマーは、マスサイトメトリー、放射性同位体の治療的送達、又は治療的同位体のスクリーニングに使用され得る。態様には、キット、作製方法、及びポリマー、同位体組成物、又はその両方を使用する方法が含まれる。キットはポリマーを含み得る。ポリマーは、ジルコニウム及び/又はハフニウムなどの濃縮同位体をキレート化するペンダント基を含み得る。キットは、濃縮されたジルコニウム又はハフニウムの同位体を含む同位体組成物を含み得る。ポリマーは、生理活性材料にコンジュゲートされ得る。態様にはまた、キットを作製することが含まれ得る。態様には、例えばマスサイトメトリーのためのキットの使用が含まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キットであって、
ジルコニウムおよび/またはハフニウムをキレート化するペンダント基を含むポリマー、および
濃縮されたジルコニウムまたはハフニウムの同位体を含む同位体組成物
を含む、キット。
【請求項2】
前記濃縮されたジルコニウムまたはハフニウムの同位体がペンダント基に担持されている、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記ポリマーが、ヒドロキサメート、アザマクロサイクル、フェノキシアミン、サロフェン、および/またはシクラムのリガンドまたはその誘導体を含む、請求項1または2に記載のキット。
【請求項4】
前記ポリマーがヒドロキサメートを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のキット。
【請求項5】
前記ポリマーがデスフェリオキサミン(Desferrioxamine:DFO)またはその誘導体を含む、請求項4に記載のキット。
【請求項6】
前記ポリマーがアザマクロサイクルを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のキット。
【請求項7】
前記ポリマーが1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸(1,4,7,10-tetraazacyclododecane-1,4,7,10-tetraacetic acid:DOTA)またはその誘導体を含む、請求項6に記載のキット。
【請求項8】
前記ポリマーが、溶解性を補助する親水性基の1つまたは複数の鎖をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のキット。
【請求項9】
前記ポリマーがペグ化ペンダント基をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のキット。
【請求項10】
前記ペグ化ペンダント基が前記ポリマーの担持を補助する、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
前記ペグ化ペンダント基が、ジルコニウムおよび/またはハフニウムをキレート化する前記ペンダント基とは別である、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のキットを作製する方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のキットを使用する、マスサイトメトリーの方法。
【請求項14】
キットであって、
ヒドロキサメートを含む複数のペンダント基を含むポリマー、および
前記ペンダント基によってキレート化され得る濃縮された金属同位体を含む同位体組成物
を含む、キット。
【請求項15】
前記金属同位体がジルコニウム同位体またはハフニウム同位体である、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
前記金属同位体がジルコニウム同位体である、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
前記金属同位体がハフニウム同位体である、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
追加的な濃縮されたジルコニウム同位体および/またはハフニウム同位体を含む追加的な同位体組成物をさらに含む、請求項14から17のいずれか一項に記載のキット。
【請求項19】
前記同位体組成物が非放射性である、請求項14から18のいずれか一項に記載のキット。
【請求項20】
前記同位体組成物が前記ポリマーとは別に提供される、請求項14から19のいずれか一項に記載のキット。
【請求項21】
前記同位体組成物が溶液中にある、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
前記同位体組成物が、非プロトン性溶媒を含む溶液中で提供される、請求項21に記載のキット。
【請求項23】
前記非プロトン性溶媒がジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide:DMSO)である、請求項22に記載のキット。
【請求項24】
前記同位体組成物が酸性溶液中で提供される、請求項21に記載のキット。
【請求項25】
前記同位体組成物を前記ポリマーに担持するための金属担持緩衝液をさらに含む、請求項14から24のいずれか一項に記載のキット。
【請求項26】
前記金属担持緩衝液がアルカリを含む、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記金属担持緩衝液が酸性pHにある、請求項25に記載のキット。
【請求項28】
前記同位体組成物が前記ポリマーの1つまたは複数のペンダント基に担持されている、請求項14から20のいずれか一項に記載のキット。
【請求項29】
前記ポリマーが溶液中にある、請求項14から28のいずれか一項に記載のキット。
【請求項30】
前記ポリマーが凍結乾燥されている、請求項14から20のいずれか一項に記載のキット。
【請求項31】
前記濃縮された金属同位体の少なくとも5個の原子が前記ポリマーに担持されている、請求項14から30のいずれか一項に記載のキット。
【請求項32】
前記濃縮された金属同位体の少なくとも20個の原子が前記ポリマーに担持されている、請求項31に記載のキット。
【請求項33】
前記濃縮された金属同位体の40個未満の原子が前記ポリマーに担持されている、請求項31または32に記載のキット。
【請求項34】
前記同位体組成物が前記ポリマーに安定的に結合している、請求項14から33のいずれか一項に記載のキット。
【請求項35】
前記ポリマーに担持された前記同位体組成物の10%未満が、競合する遊離キレート剤で失われる可能性がある、請求項14から34のいずれか一項に記載のキット。
【請求項36】
生理学的条件下で、前記同位体組成物の95%超が前記ポリマーに結合したままである、請求項14から35のいずれか一項に記載のキット。
【請求項37】
マスサイトメトリーのアッセイで使用される場合、前記同位体組成物の95%超が前記ポリマーに結合したままである、請求項14から36のいずれか一項に記載のキット。
【請求項38】
前記ポリマーがペグ化ペンダント基を含む、請求項14から37のいずれか一項に記載のキット。
【請求項39】
前記ポリマーが、前記金属同位体を担持する前および後の両方で、前記ポリマーの溶解性を補助するペンダント基を含むように修飾されている、請求項14から38のいずれか一項に記載のキット。
【請求項40】
前記ポリマーが、前記金属同位体の前記ペンダント基への担持の前後に、前記ポリマーの溶解性を補助する親水性基を含むペンダント基をさらに含む、請求項14から39のいずれか一項に記載のキット。
【請求項41】
溶解性を補助する親水性基を含む前記ペンダント基が、ヒドロキサム酸を含むペンダント基とは別である、請求項14から40のいずれか一項に記載のキット。
【請求項42】
前記ポリマーの1つまたは複数のペンダント基が、繰り返し親水性基の鎖を含む、請求項14から41のいずれか一項に記載のキット。
【請求項43】
前記親水性基が前記ペンダント基の配位ケミストリーに影響を及ぼさない、請求項42に記載のキット。
【請求項44】
前記ポリマーの溶解性により、溶液中の前記金属同位体の担持が補助される、請求項14から43のいずれか一項に記載のキット。
【請求項45】
前記ポリマーが抗体にコンジュゲートされる場合、得られる溶解性により、前記抗体のエピトープへの抗体結合が向上する、請求項40から44のいずれか一項に記載のキット。
【請求項46】
前記ポリマーの溶解性により、ポリマーに結合した抗体の標的結合が向上する、請求項40から45のいずれか一項に記載のキット。
【請求項47】
前記親水性基が少なくとも1つのポリエチレングリコール(polyethylene glycol:PEG)基を含む、請求項40から46のいずれか一項に記載のキット。
【請求項48】
前記ポリマーがペグ化されている、請求項40から47のいずれか一項に記載のキット。
【請求項49】
前記ポリマーが少なくとも100個のPEG基を含む、請求項40から48のいずれか一項に記載のキット。
【請求項50】
前記PEG基が複数のペンダント基にわたって分布している、請求項40から49のいずれか一項に記載のキット。
【請求項51】
少なくともいくつかのペンダント基が20個を超えるPEG基を含む、請求項14から50のいずれか一項に記載のキット。
【請求項52】
前記ポリマーの全てのペンダント基の50%未満が、ジルコニウムおよび/またはハフニウムをキレート化し、前記ポリマーの全てのペンダント基の50%超が、複数のPEG基を含む、請求項14から51のいずれか一項に記載のキット。
【請求項53】
前記ポリマーのPEG基の数が、溶液中の前記ポリマーへの前記金属同位体の担持を補助する、請求項14から52のいずれか一項に記載のキット。
【請求項54】
前記ポリマーにコンジュゲートされた生理活性材料をさらに含む、請求項14から53のいずれか一項に記載のキット。
【請求項55】
前記生理活性材料が親和性試薬を含む、請求項54に記載のキット。
【請求項56】
前記親和性試薬が抗体である、請求項55に記載のキット。
【請求項57】
前記ポリマーの1つまたは複数のペンダント基が、前記金属同位体の少なくとも6つの配位部位を配位させる、請求項14から56のいずれか一項に記載のキット。
【請求項58】
前記ポリマーの1つまたは複数のペンダント基が、DFOまたはその誘導体を含む、請求項14から57のいずれか一項に記載のキット。
【請求項59】
前記同位体組成物と区別可能な別の追加的同位体組成物を含む、請求項14から58のいずれか一項に記載のキット。
【請求項60】
前記追加的同位体組成物の1つまたは複数がジルコニウムまたはハフニウムを含む、請求項59に記載のキット。
【請求項61】
前記追加的同位体組成物の1つまたは複数がランタニドを含む、請求項59または60に記載のキット。
【請求項62】
ジルコニウムまたはハフニウムではなくランタニドをキレート化する複数のペンダント基を含むポリマーをさらに含む、請求項14から61のいずれか一項に記載のキット。
【請求項63】
別々の同位体組成物を担持したポリマーにそれぞれ共有結合した複数の抗体を含む、請求項14から62のいずれか一項に記載のキット。
【請求項64】
前記ポリマーがリビング重合によって形成されている、請求項14から63のいずれか一項に記載のキット。
【請求項65】
前記ポリマーが、アニオン重合、制御ラジカル重合、カチオン重合、および開環重合のうちの少なくとも1つによって形成されている、請求項14から64のいずれか一項に記載のキット。
【請求項66】
前記ポリマーが1.5未満の多分散指数を有する、請求項14から65のいずれか一項に記載のキット。
【請求項67】
前記ポリマーが1.2未満の多分散指数を有する、請求項66に記載のキット。
【請求項68】
前記ポリマーが2~100個のペンダント基を含む、請求項14から68のいずれか一項に記載のキット。
【請求項69】
前記ポリマーが5~30個の例の前記ペンダント基を含む、請求項68に記載のキット。
【請求項70】
前記ポリマーが少なくとも5個の例の前記ペンダント基を含む、請求項14から68のいずれか一項に記載のキット。
【請求項71】
前記ポリマーが、少なくとも10個の原子の濃縮ジルコニウム同位体を含む、請求項14から70のいずれか一項に記載のキット。
【請求項72】
前記ポリマーが、20個と30個の間の原子の濃縮ジルコニウム同位体を含む、請求項71に記載のキット。
【請求項73】
前記ポリマーが一端で官能化されている、請求項14から72のいずれか一項に記載のキット。
【請求項74】
前記ポリマーが、生理活性材料に結合するように官能化されている、請求項73に記載のキット。
【請求項75】
前記生理活性材料が親和性試薬を含む、請求項74に記載のキット。
【請求項76】
前記親和性試薬が抗体である、請求項75に記載のキット。
【請求項77】
前記ポリマーが、チオール反応性ケミストリー、アミン反応性ケミストリー、またはクリックケミストリーによって前記生理活性材料に結合するように官能化されている、請求項76に記載のキット。
【請求項78】
キットであって、
複数のペンダント基を含むポリマー、および
濃縮されたジルコニウムまたはハフニウムの同位体を含む同位体組成物
を含み、
前記複数のペンダント基は、DFOまたはその誘導体を含み、
前記複数のペンダント基は、前記ポリマーの溶解性を補助し、かつ/または前記同位体組成物の前記ポリマーへの担持を補助するPEG基を含む、
キット。
【請求項79】
請求項1から78のいずれか一項に記載のキットを作製する方法。
【請求項80】
マスサイトメトリーのためのポリマーを作製する方法であって、前記方法は、
ヒドロキサメートを含むペンダント基の複数の例を含むポリマーを提供することを含む、
方法。
【請求項81】
濃縮金属同位体を含む同位体組成物を提供することをさらに含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記濃縮金属同位体がジルコニウムまたはハフニウムの塩化物塩である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記濃縮金属同位体が非放射性である、請求項81または82に記載の方法。
【請求項84】
前記同位体組成物の前記ポリマーへの担持をさらに含む、請求項80から83のいずれかに記載の方法。
【請求項85】
リビング重合によって前記ペンダント基を重合することを含む、請求項80から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記リビング重合が、アニオン重合、制御ラジカル重合、カチオン重合、および開環重合のうちの少なくとも1つを含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記ポリマーの少なくともいくつかのペンダント基がヒドロキサメートを含む、請求項80から86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記ポリマーの少なくともいくつかのペンダント基がペグ化されている、請求項80から87のいずれかに記載の方法。
【請求項89】
前記担持の工程が、非プロトン性溶媒の存在下である、請求項84に記載の方法。
【請求項90】
前記非プロトン性溶媒がDMSOである、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記担持の工程が酸の存在下である、請求項89または90に記載の方法。
【請求項92】
前記同位体組成物が、濃縮されたジルコニウムまたはハフニウムの同位体である、請求項81に記載の方法。
【請求項93】
前記同位体組成物が塩である、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記塩が塩化物塩である、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記塩が四塩化物塩またはオキシ塩化物塩である、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
酸化ジルコニウムの同位体を濃縮することをさらに含む、請求項80から95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
強酸の添加によって前記濃縮同位体を塩に変換することをさらに含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記塩が塩化物塩であり、前記強酸がHClを含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記塩が四塩化物またはオキシ塩化物の塩である、請求項97または98に記載の方法。
【請求項100】
生理活性材料への付着のために前記ポリマーを官能化することをさらに含む、請求項80から99のいずれかに記載の方法。
【請求項101】
前記ポリマーを生理活性材料にコンジュゲートすることをさらに含む、請求項80から100のいずれかに記載の方法。
【請求項102】
前記生理活性材料が親和性試薬を含む、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記親和性試薬が抗体である、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
ペンダント基を前記ポリマーに付着させることをさらに含み、少なくともいくつかのペンダント基は、ヒドロキサメート、アザマクロサイクル、フェノキシアミン、サロフェン、および/またはシクラムのリガンドまたはその誘導体を含む、請求項80から103のいずれかに記載の方法。
【請求項105】
前記ポリマーがヒドロキサメートを含む、請求項80から104のいずれかに記載の方法。
【請求項106】
前記ポリマーがDFOまたはその誘導体を含む、請求項80から105のいずれかに記載の方法。
【請求項107】
前記ポリマーが、溶解性を補助する親水性基の1つまたは複数の鎖をさらに含む、請求項80から106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記ポリマーの1つまたは複数のペンダント基をペグ化することをさらに含む、請求項80から107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記ペンダント基のペグ化が前記ポリマーの担持を補助する、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記ペグ化ペンダント基が、ジルコニウムおよび/またはハフニウムをキレート化する前記ペンダント基とは別である、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
請求項1から78のいずれか一項に記載のキットを使用する、マスサイトメトリーの方法。
【請求項112】
マスサイトメトリーの方法であって、
濃縮されたジルコニウムまたはハフニウムの同位体を含む質量タグ付き生理活性材料で、生体試料の細胞を標識すること、および
前記細胞に結合した質量タグを質量分析によって検出すること
を含む、方法。
【請求項113】
前記質量タグ付き生理活性材料が、請求項1から78のいずれか一項に記載のキットによって提供される、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
請求項1から78のいずれか一項に記載のキットを使用することによって、前記質量タグ付き生理活性材料を提供することをさらに含む、請求項112に記載の方法。
【請求項115】
マスサイトメトリーの方法であって、
第1の質量タグ付き親和性試薬を提供することであって、
前記親和性試薬はポリマーにコンジュゲートされており、
前記ポリマーは、ヒドロキサメートを含むペンダント基の複数の例を含み、
前記ポリマーは、濃縮金属同位体を含む同位体組成物を担持している、
第1の質量タグ付き親和性試薬を提供することと、
前記第1の質量タグ付き親和性試薬を含む複数の質量タグ付き親和性試薬で生体試料の細胞を標識することと、
前記細胞に結合した質量タグを質量分析によって検出することと
を含む、方法。
【請求項116】
ジルコニウムまたはハフニウムの濃縮同位体を含む同位体組成物であって、前記濃縮同位体が塩化物塩である、同位体組成物。
【請求項117】
ヒドロキサメートを含む複数のペンダント基を含むポリマー。
【請求項118】
細胞に結合した複数の質量タグを質量分析によって検出することを含み、前記複数の質量タグの少なくとも1つの質量タグが、濃縮されたジルコニウムまたはハフニウムの同位体を含む、マスサイトメトリーの方法。
【請求項119】
マスサイトメトリーのためのバーコード化キットであって、
ジルコニウムおよび/またはハフニウムの濃縮同位体を含む質量タグであって、それぞれが濃縮同位体の固有の組合せを含む別々の混合物中で組み合わされる質量タグ、を含み、
各混合物は、他の試料または実験条件でプールする前に、特定の試料または実験条件を標識するための固有のバーコードを提供する、
バーコード化キット。
【請求項120】
前記質量タグが共有結合のために官能化されている、請求項119に記載のキット。
【請求項121】
前記質量タグがマレイミドによって官能化されている、請求項120に記載のキット。
【請求項122】
前記質量タグが抗体にコンジュゲートされている、請求項119に記載のキット。
【請求項123】
前記ポリマーが双性イオン性である、請求項1から78のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月31日に出願された米国仮特許出願第63/059,545号及び2019年8月8日に出願された米国仮特許出願第62/884,548号に対する優先権の利益を主張し、これらの両方の内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
マスサイトメトリーでは、細胞を質量タグ付き生理活性材料(抗体又はオリゴヌクレオチドなど)で標識し、質量タグを、単一細胞分解能で質量分析によって検出することができる。これらの質量タグは、通常、濃縮ランタニド同位体を担持したランタニドキレート化ポリマーである。区別することができる質量タグ付き生理活性材料の数は、異なる質量の同位体の数によって決定される。追加的質量タグは、マスサイトメトリーの用途においてより多くの標的を同時に検出することを可能にするが、新規なケミストリーを開発する必要があり得る。
【発明の概要】
【0003】
本開示の態様は、キット、作製方法、並びにポリマー及び/又は同位体組成物を使用する方法を含む。特定のキット及び方法が本明細書に記載されているが、キットの各構成要素及び/又は方法の各工程のいかなる単位又は組合せも、本出願の範囲内である。
【0004】
キットはポリマーを含み得る。ポリマーは、ジルコニウム及び/又はハフニウムなどの濃縮同位体をキレート化するペンダント基を含み得る。キットは、濃縮されたジルコニウム又はハフニウムの同位体を含む同位体組成物をさらに含み得る。
【0005】
特定の態様では、ポリマーは、ヒドロキサメート(例えばヒドロキサム酸)、アザマクロサイクル、フェノキシアミン、サロフェン、シクラムリガンド、及び/又はそれらの誘導体を含む1つ又は複数のペンダント基を含み得る。ポリマーは、ジルコニウム又はハフニウムの少なくとも1つと八配位錯体を形成するヒドロキサメート、アザマクロサイクル、フェノキシアミン、サロフェン、又はシクラムの誘導体を含み得る。例えば、ジルコニウム及びハフニウムの少なくとも1つは、ポリマーのペンダント基と八配位錯体を形成し得る。
【0006】
特定の態様では、ポリマーは、デスフェリオキサミン(Desferrioxamine:DFO)及び/又はその誘導体などのヒドロキサメート基を含む。代替的又は追加的に、ポリマーは、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸(1,4,7,10-tetraazacyclododecane-1,4,7,10-tetraacetic acid:DOTA)又はその誘導体などのアザマクロサイクルを含み得る。ポリマーは、ポリマー担持を補助し得るペグ化ペンダント基などの溶解補助部分をさらに含み得る。ペグ化ペンダント基は、ジルコニウム及び/又はハフニウムをキレート化するペンダント基とは別であり得る。ジルコニウム及び/又はハフニウムをキレート化するペンダント基は、ペグ化され得る(例えば、ジルコニウム及び/又はハフニウムをキレート化しないペンダント基に加えて)。例えば、ペンダント基は、DFO誘導体(例えば、4個のヒドロキサメート基を含む)を含み得、ヒドロキサメート基間にエーテルなどの溶解補助基を含み得る。キレート化ペンダント基の溶解性を向上させることにより、不溶性、凝集、立体障害、及び/又は非特異的結合をもたらすことなく、より多くのペンダント基をポリマー質量タグに組み込むことが可能になり得る。例えば、このようなポリマーは、10個を超える、15個を超える、20個を超える、又は25個を超えるキレート化ペンダント基(例えば、DFO又はその誘導体の例)を含み得る。
【0007】
ペグ化が上記の例に記載されているが、任意の適切な溶解補助基が使用され得る。このような溶解補助基には、エーテル(例えば、ポリエチレングリコールなどのポリエーテル)、オキサゾリン(又はポリオキサゾリン)、及び双性イオンポリマーなどの荷電基が含まれる。オキサゾリン(及び、例えばその誘導体)は、そのような溶解補助基の1つであり、エチレングリコール基の代わりに、又はそれに加えて使用され得る。例えば、ポリマー質量タグは、ポリマーの溶解性を向上させるために、ポリオキサゾリン(例えば、ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)、(2-エチル-2-オキサゾリン)、(2-プロピル-2-オキサゾリン)などのポリ(2-オキサゾリン))を含み得、かつ/又は、凝集、立体障害、及び/若しくは非特異的結合を低減し得る。溶解補助基は荷電され得る。例えば、正電荷と負電荷との組合せは、溶解性が向上した双性イオンポリマーを提供し得、かつ/又は凝集、立体障害、及び/又は非特異的結合を低減し得る。
【0008】
本出願のキットは、ヒドロキサメートを含むポリマーを含み得る。例えば、ポリマーの複数のペンダント基は、ヒドロキサメートを含み得る。キットは、ペンダント基によってキレート化することができる濃縮金属同位体を含む同位体組成物をさらに含み得る。
【0009】
本出願のポリマー(例えば、同位体組成物を担持した)は、抗体などの親和性試薬などの生理活性材料にコンジュゲートされ得る。例えば、抗体は、がん細胞で優先的に発現されるエピトープを標的とし得る。ポリマーは、抗体にコンジュゲートされ得る。ポリマーの溶解性によって、抗体のそのエピトープへの抗体結合が補助され得る。このようにして、キットは、本明細書に記載される担持ポリマーにコンジュゲートされた生理活性材料を含み得る。
【0010】
特定の態様では、キットは、ジルコニウム同位体及び/又はハフニウム同位体を含む組成物などの濃縮金属同位体の同位体組成物を含み得る。例えば、金属同位体はジルコニウム同位体であり得る。別の例では、金属同位体はハフニウム同位体である。キットは、追加的なジルコニウム及び/又はハフニウムの同位体を含む追加的同位体組成物を含み得る。同位体組成物は、非放射性であり得、例えば質量分析用途(例えばマスサイトメトリーのための質量タグとして)で使用するためのものであり得る。あるいは、同位体組成物は、例えば放射性医薬品用途(例えば、89-Zr PETイメージングなどのバイオメディカル・イメージング)で使用するための89Zrなどの放射性同位体を含み得る。同位体組成物は、(ポリマーの1つ又は複数のペンダント基が同位体組成物の濃縮金属同位体をキレート化するように)キット内のポリマーに担持され得る。あるいは、同位体組成物は、ポリマーとは別に提供され得る。
【0011】
同位体組成物は、ピリジン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide:DMF)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide:DMSO)、及び/又はヘキサメチルリン酸トリアミド(hexamethylphosphoramide:HMPA)などの非プロトン性溶媒(例えば極性非プロトン性溶媒)を含む(例えば非プロトン性溶媒の)溶液中で提供され得る。代替的又は追加的に、同位体組成物は、酸性溶液中で提供され得る。同位体組成物は、濃縮金属同位体(例えば、ジルコニウム又はハフニウムの同位体)の塩化物塩形態を含み得、又は溶液に溶解した塩化物塩形態を含み得る。同位体組成物は、本出願のポリマーに担持するのに適した形態で提供され得る。
【0012】
同位体組成物は、ポリマーとは別に提供され得る。例えば、同位体組成物は溶液中にある。あるいは、同位体組成物は、ポリマーの1つ又は複数のペンダント基に担持され得る。ポリマーは溶液中にあり得る。あるいは、ポリマーは凍結乾燥され得る。
【0013】
ポリマーは、ペグ化ペンダント基など、ポリマーの溶解性を補助する(例えば増大させる)ペンダント基を含み得る。例えば、ポリマーは、金属同位体を担持する前及び/又は後に、ポリマーの溶解性を補助するペンダント基を含むように修飾され得る。ペンダント基は、金属同位体をペンダント基に担持する前及び後に、ポリマーの溶解性を補助する親水性基を含み得る。特定の態様では、ポリマーはペグ化され得る。
【0014】
ポリマーは、生理活性材料を結合するように官能化され得る。特定の態様では、ポリマーは、チオール反応性ケミストリー、アミン反応性ケミストリー、又はクリックケミストリーによって官能化され得る。例えば、ポリマーは、チオール反応性のために官能化(例えば、マレイミド基を介して抗体のFc部分のチオール基に付着)され得る。
【0015】
例えば、キットは、複数のペンダント基を含むポリマーと、濃縮されたジルコニウム又はハフニウムの同位体を含む同位体組成物とを含み得る。複数のペンダント基は、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol:PEG)基、及び/又はDFO若しくはその誘導体を含む基を含み得る。PEG基は、ポリマーの溶解性を補助し、かつ/又は同位体組成物のポリマーへの担持を補助し得る。個々のペンダント基は、DFO(又はその誘導体)基、PEG基、又はその両方を含む。同位体組成物は、ポリマーとは別に提供され、又はポリマーに担持され得る。
【0016】
キットは、同位体組成物をポリマーに担持し、かつ/又は担持ポリマーを生理活性材料に結合するための任意の追加的構成要素(例えば、緩衝液、フィルタなど)をさらに含み得る。代替的又は追加的に、キットは、緩衝液、標準物質、細胞バーコード、及び/又は異なる質量の重原子を含む試薬などの、マスサイトメトリーのための追加的試薬を含み得る。
【0017】
本出願の態様は、本明細書で論じられるキット又はその一部を作製することを含む。本出願の態様は、例えばマスサイトメトリーのための、本明細書に記載のキットの使用を含む。
【0018】
本出願の態様は、マスサイトメトリーのためのポリマーを作製する方法を含み、その方法は、ヒドロキサメートを含むペンダント基の複数の例を含むポリマーを提供することを含む。
【0019】
特定の態様では、キットを作製する方法は、ポリマーを作製すること、濃縮金属同位体を含む同位体組成物を提供すること、同位体組成物(例えば、同位体組成物の濃縮金属同位体)をポリマーに担持すること、及び担持ポリマーを生理活性材料に付着させることのうちの1つ又は複数を含み得る。
【0020】
マスサイトメトリーの方法は、濃縮されたジルコニウム又はハフニウムの同位体を含む質量タグ付き生理活性材料で生体試料の細胞を標識すること、及び質量分析によって、細胞に結合した質量タグを検出することを含み得る。当該方法は、例えば第三者からキットを入手すること、又は本明細書に記載のキットを作製することによって、本出願のキットを提供することを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】市販のランタニド質量タグポリマーの調製を示す。
【
図2】本出願の例示的な質量タグポリマーの調製を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の態様は、キット、作製方法、並びにポリマー及び/又は同位体組成物を使用する方法を含む。特定のキット及び方法が本明細書に記載されているが、キットの各構成要素及び/又は方法の各工程のいかなる単位又は組合せも、本出願の範囲内である。
【0023】
本明細書で使用される場合、試料は、細胞試料又は生体液などの生体試料である。細胞試料は、細胞懸濁液、又は固体支持体上の細胞(組織など)を含み得る。特定の態様では、細胞の一部が提供され得る。生体試料は、血液又は固形組織を含む任意の組織から、又は細胞培養物から得られ得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、生理活性材料は、生物システムの一部に結合又は生物システムの一部を修飾する任意の材料であり得る。例えば、生理活性材料は、抗体、アミノ酸、ヌクレオシド、ヌクレオチド、アプタマー、タンパク質、抗原、ペプチド、核酸、オリゴヌクレオチド、酵素、脂質、アルブミン、細胞、炭水化物、ビタミン、ホルモン、ナノ粒子、無機支持体、ポリマー、単分子、又は薬物であり得る。特定の場合において、生体分子は、抗体(例えば、組換え抗体又は抗体フラグメントを含む)、及びアプタマー(例えば、DNAアプタマー又はRNAアプタマー)、レクチン、ビオチン/ストレプトアビジン、受容体/リガンド、又は任意の他の適切な生体分子など、その三次構造に基づいて特定の標的に結合する親和性試薬であり得る。特定の態様では、生体分子は、DNA標的若しくはRNA標的、又は中間体(ハイブリダイゼーション機構の中間体オリゴヌクレオチド、又は抗体中間体に付着したオリゴヌクレオチドなど)にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドであり得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、質量タグは、濃縮金属同位体などの濃縮重原子を含む任意のタグを含む。質量タグは、濃縮金属同位体を担持したポリマーを含み得、任意選択で、コンジュゲートされた生理活性材料を含み得る。質量タグは、それらの濃縮金属同位体の原子質量に基づいて区別可能であり得る。
【0026】
本明細書で使用される場合、マスサイトメトリーは、例えば単一細胞分解能で区別可能な複数の質量タグを同時に検出し、生体試料中の質量タグを検出する任意の方法である。マスサイトメトリーには、懸濁マスサイトメトリー及びイメージング・マス・サイトメトリー(imaging mass cytometry:IMC)が含まれる。マスサイトメトリーは、レーザー放射、イオンビーム放射、電子ビーム放射、及び/又は誘導結合プラズマ(inductively coupled plasma:ICP)のうちの1つ又は複数によって細胞試料の質量タグを微粒子化及びイオン化し得る。マスサイトメトリーは、例えば飛行時間型(time of flight:TOF)又は磁気セクタ型の質量分析(mass spectrometry:MS)によって、単一細胞から別々の質量タグを同時に検出し得る。
【0027】
本出願の態様は、本明細書で論じられるキット又はその一部を作製することを含む。本出願の態様は、例えばマスサイトメトリー又は放射性同位体の送達のための、本明細書に記載のキットの使用を含む。
【0028】
本出願の態様は、マスサイトメトリーのためのポリマーを作製する方法を含み、その方法は、ヒドロキサメートを含むペンダント基の複数の例を含むポリマーを提供することを含む。
【0029】
特定の態様では、キットを作製する方法は、ポリマーを作製すること、濃縮金属同位体を含む同位体組成物を提供すること、同位体組成物(例えば、同位体組成物の濃縮金属同位体)をポリマーに担持すること、及び担持ポリマーを生理活性材料に付着させることのうちの1つ又は複数を含み得る。
【0030】
キットはポリマーを含み得る。ポリマーは、ジルコニウム及び/又はハフニウムなどの濃縮同位体をキレート化するペンダント基を含み得る。キットは、ジルコニウム又はハフニウムの同位体などの濃縮同位体を含む同位体組成物をさらに含み得る。
【0031】
キット、キットの構成要素、及びキットを作製する工程は、適切な保存媒体を含み得る。例えば、溶媒及び共可溶化剤は、以下に限定されるものではないが、水、注射用滅菌水(sterile water for injection:SWFI);生理食塩水;アルコール、例えばエタノール、ベンジルアルコールなど;グリコール及びポリアルコール、例えばプロピレングリコール、グリセリンなど;ポリアルコールのエステル、例えばジアセチン、トリアセチンなど;ポリグリコール及びポリエーテル、例えばポリエチレングリコール400、プロピレングリコールメチルエーテルなど;ジオキソラン、例えばイソプロピルリデングリセリンなど;ジメチルイソソルビド;ピロリドン誘導体、例えば、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、ポリビニルピロリドン(共可溶化剤のみ)など;ポリオキシエチレン化脂肪アルコール;ポリオキシエチレン化脂肪酸のエステル;ポリソルベート、例えば、Tween(商標)、ポリプロピレングリコールのポリオキシエチレン誘導体、例えば、Pluronics(商標)を含み得る。特定の態様では、上に列挙した共可溶化剤を、例えば、本明細書に記載のPEG基の代わりに、又はそれに加えて、本明細書に記載の質量タグポリマーに組み込み得る。適切な安定化剤には、以下に限定されるものではないが、1つ又は複数の単糖類(例えば、ガラクトース、フルクトース、及びフコース)、二糖類(例えばラクトース)、多糖類(例えばデキストラン)、環状オリゴ糖類(例えば、アルファ-シクロデキストリン、ベータ-シクロデキストリン、ガンマ-シクロデキストリン)、脂肪族ポリオール(例えば、マンニトール、ソルビトール、及びチオグリセロール)、環状ポリオール(例えばイノシトール)、有機溶媒(例えば、エチルアルコール及びグリセロール)、及び/又は非プロトン性溶媒(ピリジン、酢酸エチル、DMF、HMPA、及びDMSO)が含まれる。上記の溶媒及び/又は安定化剤は、重合からペンダント基の付着、及び/又はキレート剤による修飾、ポリマーの同位体組成物の担持、ポリマーの生理活性材料への結合、又は上記の試薬のいずれかの保存(例えば、キットで提供するために)の任意の工程において使用され得る。特定の態様では、溶液は酸性であり得る。本出願の酸性溶液は、強酸、例えば硝酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、塩酸、及び塩素酸のうちの1つ又は複数を含み得る。酸は、0.01%超(例えば、0.05%超、0.1%、0.2%、0.3%、0.5%、1%、2%、又は5%)、及び/又は10%未満(例えば、5%未満、2%、1%、0.5%、0.2%、又は0.1%)で存在し得る。例えば、酸は0.05%~2%で存在し得る。酸性溶液は、pHが、6以下、5以下、4.5以下、又は4以下であり得る。本出願の凍結乾燥組成物は、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満の水分含有量(重量基準)を有し得る。
【0032】
任意の工程(例えば、本明細書で論じられる組成物をキットで提供する場合)において、組成物は凍結乾燥され得る。例えば、組成物(例えば、ポリマー、同位体組成物、担持ポリマー、又は生理活性材料にコンジュゲートされたポリマー)は、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満の水分含有量(例えば、質量基準)で凍結乾燥され得る。そのような凍結乾燥により、マスサイトメトリーでの使用前にキットでの保存が可能になり得、かつ/又は、凍結乾燥により、ポリマーが生理活性材料に後に付着するために安定化される場合、アッセイ設計の柔軟性が可能になり得る。
【0033】
キレート剤及びキレート化ペンダント基
本明細書で使用されるキレート剤は、金属原子を一緒に配位させる(例えば、安定的に配位させる)リガンドの群を指す。キットは、本出願の1つ又は複数のキレート剤を含むポリマーを含み得る。キレート剤は、ポリマーのペンダント基に存在し得、かつ/又はポリマー骨格に組み込まれ得る。特定の態様では、キレート剤はポリマーのペンダント基に含まれる。
【0034】
特定の態様では、ポリマーは、ヒドロキサメート(本明細書ではヒドロキサム酸と交換可能に使用される)、アザマクロサイクル、フェノキシアミン、サロフェン、シクラム、及び/又はそれらの誘導体などのリガンドを含む1つ又は複数のペンダント基を含み得る。ポリマーは、当技術分野で公知のキレート剤、又はヒドロキサメート、アザマクロサイクル、フェノキシアミン、サロフェン、若しくはシクラムを含むその誘導体を含み得る。特定の態様では、本出願のキレート剤は、ジルコニウム又はハフニウムの原子の6つ以上の、6つを超える、又は8つの部位を配位させ得る。例えば、キレート剤は、ジルコニウム及びハフニウムの少なくとも1つと八配位錯体を形成し得る。例えば、ジルコニウム及びハフニウムの少なくとも1つは、ポリマーのペンダント基と八配位錯体を形成し得る。
【0035】
特定の態様では、ポリマーのキレート剤は、DFO及び/又はその誘導体などのヒドロキサメート基を含む。特定の態様では、キレート剤は、ジルコニウム又はハフニウムの結合が、DFOと比較して向上したDFO誘導体である。例えば、DFO誘導体は、ジルコニウム原子及び/又はハフニウム原子の8つの部位を配位させ得、ジルコニウム及び/又はハフニウムの結合(例えば安定的結合)を補助するリガンド(ヒドロキサメート基)間のスペーシングを任意選択で含み得る。
【0036】
特定の態様では、DFO誘導体は、八座誘導体(すなわち、8つの配位部位で金属をキレート化する)であり得る。代替的又は追加的に、DFO誘導体は、ヒドロキサメート基間に配置された、エーテル基などの溶解補助基を含み得る。そのようなDFO誘導体は、Briandらによる「A solid phase-assisted approach for the facile synthesis of a highly water-soluble zirconium-89 chelator for radiopharmaceutical development.」(Dalton Transactions、46.47(2017):第16387~16389頁)に、放射性医薬品用途について記載されている。
【0037】
代替的又は追加的に、ポリマーは、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸(DOTA)キレート剤又はその誘導体などのアザマクロサイクルを含み得る。特定の実施形態では、キレート剤は、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラアセトアミド(1,4,7,10-tetraazacyclododecane-1,4,7,10-tetraacetamide:DOTAM)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ(メチレンホスホン酸)(1,4,7,10-tetraazacyclododecane-1,4,7,10-tetra(methylene)phonic acid:DOTP)、及びDOTAのうちの1つを含み得る(例えば、ジルコニウム又はハフニウムの同位体を担持するか、又はジルコニウム又はハフニウムの同位体とは別に提供される)。特定の態様では、キレート剤は、ジルコニウム又はハフニウムの結合が、DOTAと比較して向上した(かつランタニドへの結合が潜在的に減少した)DOTA誘導体である。例えば、DOTA誘導体は、ジルコニウム原子及び/又はハフニウム原子の8つの部位を配位させ得、結合する(例えば安定的に結合する)ジルコニウム及び/又はハフニウムを補助するリガンド間のスペーシングを任意選択で含み得る。例えば、DOTA誘導体は、ランタニド同位体と比較して、ジルコニウム及び/又はハフニウムへの結合が増加し得る。
【0038】
ジルコニウム及び/又はハフニウムを配位させるのに適したキレート剤、並びに89Zrの治療的送達又はポジトロン放出断層撮影(positron emission tomography:PET)スキャンによる検出などの用途におけるキレート剤の使用については、Patraら(米国特許出願公開第20170106206号明細書)及びWadasら(米国特許出願公開第20190038785号明細書)によって論じられている。
【0039】
ポリマーは、ポリマー担持を補助し得るペグ化ペンダント基などの、本明細書にさらに記載される溶解補助基をさらに含み得る。ポリマーは、濃縮金属同位体をキレート化するペンダント基とは別のペグ化ペンダント基を含み得る。代替的又は追加的に、ペグ化ペンダント基はキレート剤も含み得る。
【0040】
ペンダント基のケミストリーは、マクロサイクルへの様々な官能基の付加によって最適化することができる。例えば、リガンドと任意選択の溶解補助基との組合せなどのペンダントアーム組成物、リガンドのスペーシング、及び/又は同じペンダントアーム上のリガンド間のリンカー組成物は、本明細書に記載の金属同位体の安定的な配位を補助し得、本明細書に記載の他の所望の特性をさらに提供し得る。ペンダント基のキレート剤は、本出願のポリマーに付着する場合のケミストリーのために特異的に開発され得る。
【0041】
ポリマー
本出願のキットを作製する方法は、ポリマーを提供することを含み得る。ポリマーの提供には、第三者からポリマーを得ることを含み得る。あるいは、ポリマーの提供には、リビング重合によってペンダント基を重合することを含み得る。リビング重合では、連鎖停止反応及び連鎖移動反応がないか又は最小限であり得、連鎖開始反応速度が連鎖成長反応速度よりも速くなり得る。得られたポリマー鎖は、従来の連鎖重合で見られるよりも一定の速度で成長し得、ポリマーの長さは一貫性を維持し得る(すなわち、ポリマーの長さは、本明細書に記載されるように多分散指数が低い)。本出願のポリマーを作製するために使用されるリビング重合は、アニオン重合、制御ラジカル重合(触媒連鎖移動重合、イニファータ媒介重合、安定フリーラジカル媒介重合(stable free radical mediated polymerization:SFRP)、原子移動ラジカル重合(atom transfer radical polymerization:ATRP)、可逆的付加-開裂連鎖移動(reversible addition-fragmentation chain transfer:RAFT)重合、及びヨウ素移動重合など)、カチオン重合、及び/又は開環重合のうちの1つ又は複数を含み得る。重合されたペンダント基は、キレート剤、溶解補助基、又はその両方を含み得る。ポリマーの個々のペンダント基は、キレート剤、溶解補助基、又はその両方を含み得る。ポリマーのペンダント基は、重合後に、キレート剤及び/又は溶解補助基を付加するために官能化され得る。代替的又は追加的に、少なくともいくつかのペンダント基は、重合前にキレート剤及び/又は溶解補助基を含み得る。
【0042】
ポリマーは、例えば、マスサイトメトリーによる定量を可能にするため、かつ/又はコンジュゲートされた生理活性材料に対して一貫した効果を有するように、低い多分散性を有し得る。例えば、ポリマーは、1.5未満、1.4未満、1.3未満、1.2未満、又は1.1未満の多分散指数を有し得る。
【0043】
特定の態様では、ポリマーは有機骨格を含み得る。ポリマーは、アクリル酸、カルボン酸、アクリロニトリル、メタクリル酸メチルなどのアクリレートモノマーを含み得る。特定の態様では、ポリマーは、多糖、ポリペプチド、又はポリヌクレオチドなどのバイオポリマーを含むことができる。ポリマーは、ビニルエーテル、イソブチレン、スチレン、及び/又はN-ビニルカルバゾールなどの電子に富むアルケンを含み得る。代替的又は追加的に、ポリマーは、エチレン、プロピレン、スチレン、アミン、ヘキセン、アスパラギン酸、アクリルアミド、活性化エステル、それらの任意の誘導体、及び/又は当技術分野で公知の任意の他の適切な骨格(リビング重合に適した任意のポリマーなど)を含み得る。ポリマーは、コポリマーであり得る(かつ異なるペンダント基の付着を補助し得る)。本出願のポリマーは、線状、分岐状、又は超分岐状であり得る。特定の態様では、ポリマーは線状ポリマーであり得る。
【0044】
本出願のポリマー骨格は、その骨格に任意の適切な数の繰り返し単位(例えば、ペンダント基を含むように修飾され得る)、例えば2個超、5個、10個、20個、30個、40個、50個、100個の繰り返し単位を含み得る。例えば、ポリマーは、2個以上100個以下、5個と80個の間、10個と50個の間、又は20個と40個の間の繰り返し単位を含み得る。
【0045】
Fluidigmによって販売されているランタニド質量タグポリマー(Maxpar(登録商標)試薬)は、
図1に示すように抗体とのコンジュゲーションを可能にする。具体的には、ポリマーは、ランタニド同位体を担持することができる複数のペンダント基を含む。ポリマーはチオール反応性のために官能化され、抗体の還元(例えば、(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(tris(2-carboxyethyl)phosphine:TCEP)を介して)により、ポリマー質量タグへのコンジュゲーションを可能にするチオール(-SH)基が提供される。濾過に基づいた精製工程は、金属(ランタニド溶液)をポリマーに担持した後、還元された抗体について個別に実施される。
【0046】
対照的に、
図2は、本出願のジルコニウム又はハフニウムの質量タグポリマーを示す。金属キレート化ペンダント基に加えて、ポリマーは、溶解性を補助するペンダント基であるが、図中の黒色ペンダント基によって表される金属(例えば、本明細書でさらに説明する金属)はキレート化しないペンダント基を含み得る。ジルコニウム又はハフニウムの同位体などの金属イオン(M+)の溶液は、ポリマーのキレート化ペンダント基(例えば、DFO又はその誘導体を含むペンダント基)に担持され得る。本明細書で論じるように、DFO誘導体は、八座キレート化(例えば、4つのヒドロキサメート基を介して)を可能にし得、かつ/又はヒドロキサメート間に1つ又は複数の溶解補助部分を含み得る。特に、
図2のM+記号は、4+電荷を有する金属(例えば、4+電荷を有するジルコニウム又はハフニウム)などの任意の電荷を有する金属イオンを指す。生体分子への(例えば、抗体又はその断片などの親和性試薬への)ポリマーの付着は、チオール反応性ケミストリー、アミン反応性ケミストリー、クリックケミストリー、又は当技術分野で公知の任意の適切なコンジュゲーション機構によるものであり得る。特定の態様では、本出願の質量タグポリマーは、開環重合によって形成され得る。主題の質量タグを作製する特定の態様では、ポリマー骨格のアジド開始重合が含まれ、ペンダント基(キレート化ペンダント基と非キレート化溶解補助ペンダント基との混合物など)を後に組み込み得る(例えばアミノリシスによって)。そのような質量タグは、クリックケミストリー媒介コンジュゲーションのためのアジド官能基を含み得る。例えば、生体分子(抗体など)のアミン修飾又はアミノ酸モチーフの修飾により、アジドとの反応のためのジベンゾシクロオクチン(dibenzocyclooctyne:DBCO)基が提供され得る。そのような質量タグポリマーの設計及び合成は、抗体への金属担持及び/又はコンジュゲーションを可能にする溶解性を有し得、凝集、立体障害、及び/又は非特異的結合をさらに低減し得る。さらに、そのようなアプローチは、より簡単な合成、収率の増加、チオール以外の部分とのコンジュゲーションが可能な質量タグ、及び/又はより多くの金属の組込みを可能にし得る。
【0047】
特定の態様では、ポリマーは、デスフェリオキサミン(DFO)及び/又はその誘導体などのヒドロキサメート基を含む。代替的又は追加的に、ポリマーは、DOTA又はその誘導体などのアザマクロサイクルを含み得る。ポリマーは、ポリマー担持を補助し得るペグ化ペンダント基などの溶解補助部分をさらに含み得る。ペグ化ペンダント基は、ジルコニウム及び/又はハフニウムをキレート化するペンダント基とは別であり得る。ジルコニウム及び/又はハフニウムをキレート化するペンダント基は、ペグ化され得る(例えば、ジルコニウム及び/又はハフニウムをキレート化しないペンダント基に加えて)。例えば、ペンダント基は、DFO誘導体(例えば、4個のヒドロキサメート基を含む)を含み得、ヒドロキサメート基間にエーテルなどの溶解補助基を含み得る。キレート化ペンダント基の溶解性を向上させることにより、不溶性、凝集、立体障害、及び/又は非特異的結合をもたらすことなく、より多くのペンダント基をポリマー質量タグに組み込むことが可能になり得る。例えば、このようなポリマーは、10個を超える、15個を超える、20個を超える、又は25個を超えるキレート化ペンダント基(例えば、DFO又はその誘導体の例)を含み得る。
【0048】
ペグ化が上記の例に記載されているが、任意の適切な溶解補助基が使用され得る。このような溶解補助基には、エーテル(例えば、ポリエチレングリコールなどのポリエーテル)、オキサゾリン(又はポリオキサゾリン)、及び双性イオンポリマーなどの荷電基が含まれる。オキサゾリン(及び、例えばその誘導体)は、そのような溶解補助基の1つであり、エチレングリコール基の代わりに、又はそれに加えて使用され得る。例えば、ポリマー質量タグは、ポリマーの溶解性を向上させるために、ポリオキサゾリン(例えば、ポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)、(2-エチル-2-オキサゾリン)、(2-プロピル-2-オキサゾリン)などのポリ(2-オキサゾリン))を含み得、かつ/又は、凝集、立体障害、及び/若しくは非特異的結合を低減し得る。溶解補助基は荷電され得る。例えば、正電荷と負電荷との組合せは、溶解性が向上した双性イオンポリマーを提供し得、かつ/又は凝集、立体障害、及び/又は非特異的結合を低減し得る。
【0049】
ペンダント基の修飾
ポリマーは、ペグ化ペンダント基など、ポリマーの溶解性を補助する(例えば増大させる)ペンダント基を含み得る。例えば、ポリマーは、金属同位体を担持する前及び/又は後に、ポリマーの溶解性を補助するペンダント基を含むように修飾され得る。ここで、ペンダント基は、金属同位体をペンダント基に担持する前及び後に、ポリマーの溶解性を補助する親水性基を含む。このようにして、ポリマーの1つ又は複数のペンダント基は、繰り返し親水性基(例えば、ポリマーの溶解性を補助する)の鎖を含み得る。例えば、配位ペンダント基は、親水性基を含み得、かつ/又は親水性基を含むペンダント基とは別であり得る。繰り返し親水性基の鎖は、ポリマーの配位ペンダント基の配位ケミストリーに影響しない可能性がある。親水性基はPEG基を含み得る。ポリマーの補助された(例えば増加した)溶解性により、溶液中の金属同位体の担持が補助(例えば増加)され得る。
【0050】
特定の態様では、ペンダント基(例えば、キレート剤及び/又は溶解補助基を有する)は、骨格の重合時に組み込まれ得る。代替的又は追加的に、ペンダント基、溶解補助基(例えば鎖)、又はその両方は、例えば当技術分野で公知の任意の付着ケミストリーによって、ポリマー骨格によって提供される官能基に付着され得る。例えば、溶解補助基を有する(かつキレート剤がない)ペンダント基に対してキレート剤を有するペンダント基の割当量が得られるように、溶解補助基に対するキレート剤の割合がポリマーに加えられ得る。適切な付着ケミストリーには、カルボキシル対アミン反応性ケミストリー(例えばカルボジイミドとの反応など)、アミン反応性ケミストリー(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミド(N-hydroxysuccinimide:NHS)エステル、イミドエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ヒドロキシメチルホスフィンなどとの反応など)、スルフヒドリル反応性ケミストリー(例えば、マレイミド、ハロアセチル(ブロモアセチル又はヨードアセチル)、ピリジルジスルフィド、チオスルホナート、ビニルスルホンなどとの反応など)、アルデヒド反応性ケミストリー(例えば、ヒドラジド、アルコキシアミンなどとの反応など)、ヒドロキシル反応性ケミストリー(例えば、イソチオシアナートとの反応など)が含まれ得る。代替の付着方法には、歪み促進クリックケミストリー(例えば、DBCO-アジド又はトランスーシクロオクテン(trans-cyclooctene:TCO)-テトラジンによる)などのクリックケミストリーが含まれる。
【0051】
ポリマーは、少なくとも一部が鎖状に構築され得る溶解補助基を含み得る。本明細書で使用される溶解補助基は、金属原子を配位させなくてもよい。ポリマーは、溶解性を補助する(例えば増加させる)ためにペグ化され得る。例えば、ポリマーは、少なくとも50個、少なくとも100個、少なくとも200個、又は少なくとも500個のPEG単位(例えばPEG基)を含み得る。PEG単位は、ポリマーの複数のペンダント基がペグ化され得るように、複数のペンダント基にわたって分布し得る。例えば、少なくともいくつかのペンダント基は、5個を超える、10個を超える、20個を超える、30個を超える、又は40個を超えるPEG単位(例えば鎖状に構築される)を含み得る。ポリマーのPEG単位の数は、ポリマーへの金属同位体の担持を補助(例えば増加)し得る。特定の態様では、ポリマーの全てのペンダント基の50%未満が、ジルコニウム及び/又はハフニウムをキレート化し、ポリマーの全てのペンダント基の50%超が、複数のPEG単位を含む。例えば、ポリマーのペンダント基の60%未満~30%超、例えば50%未満~40%超がキレート剤を含み得る。
【0052】
特定の態様では、ポリマーのペグ化は、PEG単位の鎖をポリマーのペンダント基に付着させることを含み得る。鎖は、5個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、又は50個以上のPEG単位を含み得る。ペグ化ペンダント基は、キレート剤を含み得るか、又はキレート剤を含むペンダント基とは別であり得る。キレート剤及び溶解補助基(例えばPEG)の量、分布、及び/又は割合により、ポリマーへの同位体組成物の担持が補助され得る。例えば、キレート剤及び溶解補助基(例えばPEG)の量、分布、及び/又は割合により、ポリマーに担持することができる同位体組成物(例えば組成物の濃縮同位体)の量が最大(例えば、最大値の80%以内、90%以内、又は95%以内)にされ得る。ポリマーの担持については、本明細書でさらに論じられる。
【0053】
ペグ化が上記の例に記載されているが、任意の適切な溶解補助基が使用され得る。このような溶解補助基には、エーテル(又はポリエーテル)、オキサゾリン(又はポリオキサゾリン)、及び、例えば双性イオンポリマーにおける荷電基が含まれる。オキサゾリン(及び、例えばその誘導体)は、そのような溶解補助基の1つであり、エチレングリコール基の代わりに、又はそれに加えて使用され得る。例えば、ポリマー質量タグは、ポリマーの溶解性を向上させるためにポリオキサゾリン(例えばポリ(2-オキサゾリン))を含み得、かつ/又は、凝集、立体障害、及び/若しくは非特異的結合を低減し得る。溶解補助基は荷電され得る。例えば、正電荷と負電荷との組合せは、溶解性が向上した双性イオンポリマーを提供し得、かつ/又は凝集、立体障害、及び/又は非特異的結合を低減し得る。
【0054】
ポリマー(例えば、担持前、担持後、及び/又は生理活性材料へのコンジュゲーション後)は、凝集しない可能性がある(例えば凝集しにくい可能性がある)。例えば、ポリマーの90%超、95%超、98%超、99%超、又は実質的に全てが凝集しない可能性がある。本明細書に記載されるように、ポリマーは、同位体組成物を非担持であり得、同位体組成物を担持し得、かつ/又は生理活性材料にコンジュゲートされ得る。ポリマーは、本明細書に記載されるように溶液中にあり得る。例えば、ポリマーの90%超、95%超、98%超、99%超、又は実質的に全てが凝集しない可能性がある。キットで提供(例えば、本明細書に記載の追加的構成要素を用いて)されるポリマーは、少なくとも1ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、又は少なくとも1年間、安定であり得る。
【0055】
本出願のポリマーは、任意の適切な数のペンダント基(例えば、ポリマー主鎖の繰り返し単位に付着された)、例えば2個超、5個、10個、20個、30個、40個、50個、100個のペンダント基を含み得る。例えば、ポリマーは、2個以上100個以下、5個と80個の間、10個と50個の間、又は20個と40個の間のペンダント基を含み得る。
【0056】
本出願の同位体組成物
キットは、ランタニド同位体又は遷移同位体を含む組成物などの濃縮金属同位体の同位体組成物を含み得る。濃縮金属同位体は、元素の周期表の第3族、第4族、第6族、第7族、第9族、第10族、第11族、第13族、又は第15族の同位体を含み得る。特定の態様では、同位体組成物は、ジルコニウム同位体又はハフニウム同位体などの第4族の同位体を含み得る。例えば、金属同位体はジルコニウム同位体であり得る。別の例では、金属同位体はハフニウム同位体である。キットは、追加的なジルコニウム及び/又はハフニウムの同位体を含む追加的同位体組成物を含み得る。同位体組成物は非放射性であり得る。あるいは、同位体組成物は、89Zrなどの放射性同位体を含み得る。同位体組成物は、(ポリマーの1つ又は複数のペンダント基が同位体組成物の濃縮金属同位体をキレート化するように)キット内のポリマーに担持され得る。あるいは、同位体組成物は、ポリマーとは別に提供され得る。
【0057】
特定の態様では、キットは、ジルコニウム同位体及び/又はハフニウム同位体を含む組成物などの濃縮金属同位体の同位体組成物を含み得る。例えば、金属同位体はジルコニウム同位体であり得る。ジルコニウム同位体は、天然に存在する同位体、90Zr、91Zr、92Zr、94Zr、96Zrであり得る。ジルコニウム同位体は、非放射性であり得る。あるいは、ジルコニウム同位体は、89Zrなどの放射性同位体であり得る。別の例では、金属同位体はハフニウム同位体である。ハフニウム同位体は、174Hf、176Hf、177Hf、178Hf、179Hf、又は180Hfであり得る。
【0058】
本明細書に記載されるように、本出願のキットは、ヒドロキサメートを含むポリマーを含み得る。例えば、ポリマーの複数のペンダント基は、ヒドロキサメートを含み得る。キットは、ペンダント基によってキレート化することができる濃縮金属同位体を含む同位体組成物をさらに含み得る。
【0059】
同位体組成物は、ピリジン、酢酸エチル、DMF、DMSO、及び/又はHMPAなどの非プロトン性溶媒(例えば極性非プロトン性溶媒)を含む(例えば非プロトン性溶媒の)溶液中で提供され得る。代替的又は追加的に、同位体組成物は、酸性溶液、例えばpHが6以下、5以下、4.5以下、例えば4と6の間の溶液中で提供され得る。同位体組成物は、濃縮金属同位体の塩化物塩形態(例えば、ジルコニウム又はハフニウムの同位体の結晶化塩化物塩形態)を含み得、又は溶液に溶解した塩化物塩形態を含み得る。例えば、塩化物塩は、0.1mg/ml超(例えば、0.2mg/ml超、0.5mg/ml、1mg/ml、2mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、20mg/ml、又は50mg/ml)、及び/又は100mg/ml未満(例えば、50mg/ml未満、20mg/ml、10mg/ml、又は5mg/ml)の濃度で溶解され得る。例えば、塩化物塩は、0.5mg/ml~20mg/mlで溶解され得る。同位体組成物は、本出願のポリマーに担持するのに適した形態で提供され得る。
【0060】
本出願のポリマーは、ジルコニウム又はハフニウムなどの非ランタニド金属同位体と一緒に提供され得、又は非ランタニド金属同位体を担持し得る。特定の態様では、金属同位体はジルコニウム同位体であり得る。特定の態様では、金属同位体はハフニウム同位体であり得る。
【0061】
本明細書に記載されるように、金属同位体は濃縮金属同位体であり得、天然に存在する金属中よりも高い存在量で単一の同位体が存在する。例えば、濃縮金属同位体は、95%超、99%、又は99.9%の純度で存在し得る。同位体濃縮は、前駆体元素の衝撃によるものであり得る。例えば、イットリウム89(89Y)は、プロトン衝撃によってジルコニウム89(89Zr)に変換され得る。あるいは、濃縮は、原子量(すなわち質量に基づく)によるものであり得、例えば遠心分離又はセクタ型質量分析(例えばカルトロン)による。
【0062】
濃縮金属同位体の塩形態は、本出願のポリマーへの可溶化及び/又は担持を可能にするために提供され得る。塩は、塩化物塩又はシュウ酸塩であり得る。特定の態様では、塩形態は、オキシ塩化物形態又は四塩化物形態などの塩化物形態であり得る。例えば、濃縮金属同位体は、四塩化ジルコニウム又は四塩化ハフニウムであり得る。
【0063】
治療的使用には、89Zrなどの放射性同位体が所望され得る。例えば、抗体にコンジュゲートしたポリマーへの89Zrの担持により、抗体によって送達される89Zr原子の数が増加し得る。
【0064】
マスサイトメトリーの用途では、異なる濃縮同位体を含み、異なる生理活性材料に結合した複数の区別可能な質量タグが使用され得る。さらに、放射性同位体は使用者にとって危険であり得るため、マスサイトメトリーのための質量タグはそのような同位体は含まなくてもよい。このようにして、マスサイトメトリーのためのジルコニウム同位体又はハフニウム同位体は、89Zrを除外し得、原子量によって濃縮され得る。そのような場合、ジルコニウム又はハフニウムなどの天然に存在する金属は、1)分子量による同位体濃縮、及び2)本出願のポリマーへの担持に適した形態を得ることの両方によって処理され得る。
【0065】
本出願のキットを作製する方法は、同位体組成物を提供することを含み得る。特定の実施形態では、作製方法は、ポリマー及び同位体組成物の両方を提供することを含み得る。同位体組成物の提供には、第三者から同位体組成物を得ることを含み得る。あるいは、同位体組成物の提供には、同位体(ジルコニウム又はハフニウムの同位体など)を濃縮すること、及び/又は同位体を塩に変換することの1つ又は複数が含まれ得る。
【0066】
塩形態(塩化物塩又はシュウ酸塩など)を溶液に溶解し、本出願のポリマーに担持し得る。ジルコニウム又はハフニウムは、塩として、又は溶液中で提供され得る。特定の態様では、ジルコニウム又はハフニウムは、例えば、Hollandら(Holland、Jason P.、Yiauchung Sheh、Jason S.Lewisによる「Standardized methods for the production of high specific-activity zirconium-89」、Nuclear medicine and biology 36、第7号(2009)第729~739頁)、Mohandasら(Mohandas、K.S.、D.J.Frayによる「Electrochemical deoxidation of solid zirconium dioxide in molten calcium chloride」、Metallurgical and materials transactions B 40.5(2009)第685~699頁)、又はTuyenら(Tuyen、Ngo Vanらによる「Preparation of High Quality Zirconium Oxychloride from Zircon of Vietnam」)によって、塩の形態で提供され得る。
【0067】
同位体組成物の提供には、原料からジルコニウム又はハフニウムを精製すること、例えばジルコニウム又はハフニウムの酸化物形態を砂から精製すること、又はジルコニウム又はハフニウムの酸化物形態を他の方法で得ることが含まれ得る。特定の態様では、方法には、例えば強塩基(例えば水酸化ナトリウム)の添加、及び少なくとも500℃、少なくとも600℃、少なくとも700℃、又は500℃と800℃の間の温度でのインキュベーションの後に、アルカリ分解によって砂から乾燥酸化ジルコニウム(例えばジルコン酸ナトリウム)を得ることが含まれ得る。同位体組成物の提供には、ジルコニウム若しくはハフニウムの同位体を濃縮すること、又はジルコニウム若しくはハフニウムの濃縮同位体を得ることが含まれ得る。例えば、ジルコニウム又はハフニウムの同位体の酸化物形態は、例えばカルトロン(磁気セクタ型)によって、質量により濃縮され得る。特定の同位体を得る代替手段は当技術分野で公知であり、遠心分離又は衝撃が含まれる。例えば、89Zrは、89Yのサイクロトロン衝撃などの衝撃(例えばプロトン衝撃)によって得られ得る。同位体組成物は、塩化物塩(例えば、オキシ塩化物又は四塩化物)などの塩として提供され得る。特定の態様では、濃縮されたジルコニウム又はハフニウムの同位体の酸化物形態は、(塩酸)などの強酸の添加によってオキシ塩化物塩に変換され得る。そのような変換は、少なくとも80℃、少なくとも90℃、又は少なくとも95℃などの高温で行い得る。あるいは、塩化物ガスへの電気分解など、塩化物ガスへの曝露によって四塩化ジルコニウムが得られ得る。
【0068】
本出願の態様は、濃縮金属同位体(例えば、上記の濃縮金属同位体を得ることによって、又は上記の工程のうちの1つ又は複数を行うことによって)を提供することを含み得る。特定の態様では、濃縮金属同位体は、ポリマーへの担持(例えば本明細書でさらに説明する)に適した形態で提供され得る。
【0069】
ポリマー担持
キットは、同位体組成物をポリマーに担持するための金属担持緩衝液を含み得る。金属担持緩衝液は、本出願のポリマーに担持する前に、溶液中の同位体組成物と混合され得る。金属担持緩衝液は、酸性溶液(例えば強酸、例えば硝酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、塩酸、及び塩素酸のうちの1つ又は複数を含む)であり得る。同位体組成物は、本出願のポリマーに担持するのに適した形態で提供され得る。代替的又は追加的に、担持緩衝液は、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウムなどの酢酸塩(例えば酢酸アルカリ)、及び/又は炭酸塩又は重炭酸塩などの別のアルカリと対になった酢酸塩を含み得る。
【0070】
同位体組成物は、ポリマーとは別に提供され得る。例えば、同位体組成物は溶液中にある。あるいは、同位体組成物は、ポリマーの1つ又は複数のペンダント基に担持され得る。ポリマーは溶液中にあり得る。あるいは、ポリマーは凍結乾燥され得る。
【0071】
特定の態様では、濃縮金属同位体の少なくとも5個の原子がポリマーに担持される。例えば、濃縮金属同位体の少なくとも10個の原子、20個の原子、30個の原子、40個の原子、50個の原子、又は100個の原子、例えば、5個と50個の間の原子、10個と40個の間の原子、又は20個と30個の間の原子が、ポリマーに担持され得る。
【0072】
同位体組成物は、ポリマーによって安定的に(例えば、同位体組成物の金属原子が生理学的条件下及び/又は実験条件下でポリマーのペンダント基から解離しないように)結合され得る。例えば、ポリマーに担持された同位体組成物の10%未満が、競合する遊離キレート剤(例えば、DFO、DOTA、ジエチレントリアミン五酢酸(diethylenetriaminepentaacetic acid:DTPA)、エチレンジアミン四酢酸(ethylenediaminetetraacetic acid:EDTA)、これらの誘導体など)で失われ得る。競合する遊離(例えば非担持の)キレート剤は、ポリマーの担持キレート剤と化学的に類似又は同一であり得、生理学的条件下で担持ポリマーと混合され得る。元の同位体-キレート剤錯体の解離は、高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography:HPLC)、MS、又は蛍光によって測定することができる。代替的又は追加的に、同位体組成物の90%超、95%超、98%超、又は99%超は、生理学的条件下及び/又は実験条件下(マスサイトメトリーアッセイなど)で、ポリマーに結合したままであり得る。
【0073】
ポリマーの少なくともいくつかのペンダント基は、ジルコニウム及び/又はハフニウムなどの金属を配位させ得る。ペンダント基(例えば配位ペンダント基)は、金属同位体の少なくとも6つの配位部位、又は6つを超える配位部位(金属同位体の8つの配位部位など)を配位させ得る。
【0074】
ポリマーのペンダント基(例えば1つ又は複数のペンダント基)は、DFO又はその誘導体を含み得る。例えば、ペンダント基は、金属同位体の6つを超える配位部位を配位させるDFOの誘導体を含み得る。ここで、ペンダント基は、4つのヒドロキサメート基を含むDFO誘導体を含み得る。ペンダント基は、最も近いヒドロキサム基から少なくとも8個の結合で離間した第1のヒドロキサメート基(例えば同じペンダント基の)を含むDFO誘導体を含み得る。特定の態様では、キレート剤は、1つの基が金属原子から解離しても8つの部位を安定的に配位させるように、4つを超えるヒドロキサメート基を含み得る。
【0075】
キットを作製する態様は、同位体組成物を本出願のポリマーに担持することを含み得る。担持する工程は、ピリジン、酢酸エチル、DMF、DMSO、及び/又はHMPAなどの非プロトン性溶媒を含む溶液の存在下であり得る。代替的又は追加的に、担持は、酸の存在下で、例えば本明細書に記載の酸性溶液中で行われ得る。代替的又は追加的に、担持は、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウムなどの酢酸塩(例えば酢酸アルカリ)、及び/又は炭酸塩又は重炭酸塩などの別のアルカリと対になった酢酸塩の存在下であり得る。
【0076】
生理活性材料への質量タグのコンジュゲーション
キットは、例えば共有結合を介して、質量タグ(例えばポリマー質量タグ)にコンジュゲートされた生理活性材料をさらに含み得る。例えば、生理活性材料は、親和性試薬(抗体など)又はオリゴヌクレオチドであり得る。生理活性材料(例えば親和性試薬)は、溶液であり得、又は凍結乾燥され得る。キットを作製する態様は、ポリマー(例えば、同位体組成物を担持した)を生理活性材料にコンジュゲートすることをさらに含み得る。
【0077】
例えば、生理活性材料は、抗体、アミノ酸、ヌクレオシド、ヌクレオチド、アプタマー、タンパク質、抗原、ペプチド、核酸、オリゴヌクレオチド、酵素、脂質、アルブミン、細胞、炭水化物、ビタミン、ホルモン、ナノ粒子、無機支持体、ポリマー、単分子、又は薬物であり得る。特定の場合において、生体分子は、抗体(例えば、組換え抗体又は抗体フラグメントを含む)、及びアプタマー(例えば、DNAアプタマー又はRNAアプタマー)、レクチン、ビオチン/ストレプトアビジン、受容体/リガンド、又は任意の他の適切な生体分子など、その三次構造に基づいて特定の標的に結合する親和性試薬であり得る。特定の態様では、生体分子は、DNA標的若しくはRNA標的、又は中間体(ハイブリダイゼーション機構の中間体オリゴヌクレオチド、又は抗体中間体に付着したオリゴヌクレオチドなど)にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドであり得る。
【0078】
質量タグは、生理活性材料にコンジュゲートされ得る。生理活性材料は、オリゴヌクレオチド、親和性試薬(例えば、抗体、アプタマー、レクチン、又はリガンド若しくは人工的に選択されたペプチドに結合するタンパク質などの別の特異的結合パートナー)、又はバイオセンサ(例えば、低酸素、タンパク質合成、細胞周期、及び/又は細胞死などの条件下で沈着又は結合する)を含み得る。生理活性材料は、内因性標的又は中間体などの標的に結合し得る。親和性試薬は、分析物に非共有結合的に特異的に結合する三次構造を含み得る。生理活性材料が抗体を含む例では、抗体という用語は、一般に、組換え抗体及びそのフラグメント(例えば、Fab部分を含むだけ)を含む。生理活性材料がオリゴヌクレオチドを含む例では、オリゴヌクレオチドは、DNA又はRNA(例えば、mRNA、miRNA、siRNAなど)などの内因性標的にハイブリダイズし(直接的又は間接的に)、ハイブリダイゼーション機構(例えば信号増幅のための)でオリゴヌクレオチド中間体にハイブリダイズし、かつ/又は、抗体(又は他の親和性試薬)中間体にコンジュゲートしたオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし得る(直接的又は間接的に)。特定の態様では、ポリマーは、PEGリンカーなどの任意の適切なリンカーによって生理活性材料から分離され得る。
【0079】
あるいは、キットは、本明細書に記載されるか又は当業者に公知の任意のケミストリーによって、生理活性材料へのコンジュゲーションに適したポリマーを提供し得る。例えば、本出願のポリマーは、例えばマレイミド、ビオチン、アジド、又は本明細書で論じられる任意の他の反応性基による末端基官能化を含み得る。
【0080】
様々な適切なコンジュゲーション手段が、当技術分野で公知である。例えば、質量タグは、例えば共有結合(例えば、アミンケミストリー、チオールケミストリー、リン酸ケミストリー、酵素反応、酸化還元反応(例えば金属ハロゲン化物で)、及び親和性中間体(例えば、ストレプトアビジン又はビオチン)、又は歪み促進クリックケミストリー若しくは金属触媒クリックケミストリーなどのクリックケミストリーの形態)によって、生理活性材料にコンジュゲートされ得る。
【0081】
ポリマーは、生理活性材料を結合するように官能化され得る。特定の態様では、ポリマーは、チオール反応性ケミストリー、アミン反応性ケミストリー、又はクリックケミストリーによって官能化され得る。例えば、ポリマーは、チオール反応性のために官能化(例えば、マレイミド基を介して抗体のFc部分のチオール基に付着)され得る。
【0082】
追加的キット構成要素
上記の構成要素の任意の組合せがキットで提供され得る。キットは、ポリマー、同位体組成物、同位体組成物を担持したポリマー、別々に提供されたポリマー及び同位体組成物、又は同位体組成物を担持し、抗体にコンジュゲートされたポリマーを含み得る。
【0083】
キットは、同位体組成物をポリマーに担持し、かつ/又は担持ポリマーを生理活性材料に結合するための任意の追加的構成要素(例えば、緩衝液、フィルタなど)をさらに含み得る。代替的又は追加的に、キットは、緩衝液、標準物質、細胞バーコード、及び/又は異なる質量の重原子を含む試薬(例えば、生理活性材料に付着されるか、又は生理活性材料への付着のために提供された質量タグ)などの、マスサイトメトリーのための追加的試薬を含み得る。
【0084】
キットは、上記の同位体組成物と区別可能な別の(例えば、異なる質量の濃縮同位体を有する)追加的同位体組成物を含み得る。追加的同位体組成物は、ジルコニウム、ハフニウム、及び/又はランタニド同位体を含み得る。例えば、キットは、ジルコニウム又はハフニウムではなくランタニドをキレート化(例えば安定的にキレート化)する複数のペンダント基を含む追加的ポリマーをさらに含み得る。特定の態様では、キットは、別々の同位体組成物を担持したポリマーに共有結合した複数の抗体(例えば異なる標的に対する)を含み得る。そのような抗体の集合は、単一のパネルで一緒に提供され得る。パネルは、溶液で、又は質量で10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満の水分を含む凍結乾燥混合物で提供され得る。
【0085】
マスサイトメトリーの方法
ジルコニウム及び/又はハフニウムの1つ又は複数の濃縮同位体を含む質量タグは、質量分析によって分析され得る。例えば、単一細胞、組織、又は生体溶液が分析され得る。
【0086】
特定の態様では、ジルコニウム及び/又はハフニウムの1つ又は複数の濃縮同位体を、懸濁マスサイトメトリー又はイメージング・マス・サイトメトリー(IMC)などのマスサイトメトリーのワークフローにおいて使用し得る。本明細書で使用される場合、マスサイトメトリーは、生体試料中の質量タグの元素分析を指す。マスサイトメトリーは、細胞分解能又はより良好な分解能を有し得る。特定の態様では、元素分析は、飛行時間型質量分析又は磁気セクタ型質量分析などの質量分析であり得る。個々の質量タグは、他の質量タグと区別する濃縮同位体又は同位体の固有の組合せを含み得る。
【0087】
質量タグは、80amuを超える質量を有する原子などの重原子を含み得る。質量タグは、遷移元素、ランタニド、貴金属、及び/又はメタロイドを含み得る。少なくともいくつかの質量タグは、濃縮金属同位体を結合している複数のペンダント基を含む有機ポリマーを含み得る。そのようなポリマーは、単一の同位体を含む質量タグと比較して、金属同位体チャネルにおける信号を改善し得る。しかし、質量タグは立体障害をもたらし得、かつ/又は、溶解性が低いと、質量タグが結合している親和性試薬の結合又は特異性が低減され得る。放射性同位体は使用者にリスクをもたらす可能性があり、質量分析による検出には不要であり得るため、マスサイトメトリーに使用される質量タグは放射性同位体を有さなくてもよい。
【0088】
質量タグは、例えば、共有結合(例えば、アミンケミストリー、チオールケミストリー、リン酸ケミストリー、酵素反応、又は、歪み促進クリックケミストリー若しくは金属触媒クリックケミストリーなどのクリックケミストリーの形態)によって、生理活性材料にコンジュゲートされ得る。生理活性材料は、親和性試薬(例えば、抗体又はその断片、アプタマー、レクチンなど)、又は内因性標的(例えば、DNA又はRNA)若しくは中間体(例えば、抗体-オリゴヌクレオチド中間体及び/又はオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション機構)にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブであり得る。本明細書に記載されるように、適切な付着ケミストリーには、カルボキシル-アミン反応性ケミストリー(例えば、カルボジイミドとの反応など)、アミン反応性ケミストリー(例えば、NHSエステル、イミドエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、ヒドロキシメチルホスフィンなどとの反応など)、スルフヒドリル反応性ケミストリー(例えば、マレイミド、ハロアセチル(ブロモアセチル又はヨードアセチル)、ピリジルジスルフィド、チオスルホナート、ビニルスルホンなどとの反応など)、アルデヒド反応性ケミストリー(例えば、ヒドラジド、アルコキシアミンなどとの反応など)、ヒドロキシル反応性ケミストリー(例えば、イソチオシアナートとの反応など)が含まれ得る。代替の付着方法には、歪み促進クリックケミストリー(例えば、DBCO-アジド又はTCO-テトラジンによる)などのクリックケミストリーが含まれる。
【0089】
マスサイトメトリーのための追加的試薬には、金属含有バイオセンサ(例えば、低酸素、タンパク質合成、細胞周期、及び/又は細胞死などの条件下で沈着又は結合する)、及び/又は化学的特性に基づいて構造体(例えば、DNA、細胞膜、層)に結合する金属含有組織化学的化合物が含まれる。そのような質量タグは、ただ1つのキレート剤(例えば、本明細書に記載の1つのDFO又はその誘導体)を含み得る。加えて、他の試料又は実験条件でプールする前に特定の試料又は実験条件を標識するために、質量タグ(例えば、本出願又は他の質量タグの)を組み合わせて固有のバーコードが提供され得る。ジルコニウム及び/又はハフニウムの質量タグがバーコード化に使用される実施形態では、質量タグは、ポリマー質量タグ(例えば、抗体に付着した)又は小分子質量タグ(細胞内の部分に対する共有結合など、付着のために官能化された単一のキレート剤など)であり得る。例えば、バーコード質量タグは、細胞に付着するための官能基を含むDFOの誘導体であり得る。付着は、例えば、チオール反応性ケミストリー又はアミン反応性ケミストリーによるものであり得る。例えば、官能基は、チオール(例えば、細胞内のタンパク質のシステインによって提示されるチオール)と反応するマレイミドであり得る。別の例では、官能基は、アミンと反応するイソチオシアナートであり得る。DFO誘導体は、3つのヒドロキサメート基を含み得、又は4つのヒドロキサメート基(すなわち、ジルコニウム又はハフニウムの原子を8つの配位部位に保持する)を含み得る。本明細書に記載されるように、質量タグは、1つ又は複数の溶解補助部分で修飾され得る。溶解補助部分は親水性であり得、又は荷電され得る。反対の電荷の基は、一緒になって双性イオン質量タグを提供し得る。親水性溶解補助部分は、例えば、エチレングリコール(例えば、PEG中、エチレングリコール単位の鎖)又はオキサゾリン(例えばポリオキサゾリン中)であり得る。特定の態様では、個々のエチレングリコール単位などの溶解補助部分は、DFO誘導体のヒドロキサメート基間に配置され得る。バーコード化試薬は、当技術分野で公知のように調製され得る。例えば、バーコード化キットは、別個の混合物を含み得、それぞれが、質量タグバーコードの固有の組合せ(例えば、ジルコニウム同位体及び/又はハフニウム同位体の固有の組合せ)を含む。質量タグバーコードの混合物は特定の試料の細胞に適用され得、その後、細胞を試料全体にプールすることができる。プールした試料は質量タグ付き抗体で染色し、一緒に分析し得る(例えば同じ細胞懸濁液中で)。所与の細胞事象においてマスサイトメトリーによって検出されたバーコード質量タグの組合せを使用して、その細胞がどの試料由来であったかを特定し得る(例えば、その細胞事象を特定の試料データセットに分類するために)。特定の態様では、バーコードを使用して、生細胞をバーコード化し得る(例えば、染色プロトコルにおける細胞の固定化及び/又は透過処理の前に)。
【0090】
質量タグは、元素分析の前に、サンプリング、微粒子化、及びイオン化され得る。例えば、生体試料中の質量タグは、レーザビーム、イオンビーム、又は電子ビームなどの放射線によって、サンプリング、微粒子化、及び/又はイオン化され得る。代替的又は追加的に、質量タグは、誘導結合プラズマ(ICP)などのプラズマによって微粒子化及びイオン化され得る。懸濁マスサイトメトリーでは、質量タグを含む細胞全体を、ICP-TOF-MSなどのICP-MSに流し得る。イメージング・マス・サイトメトリーでは、放射線の形態により、質量タグを含む組織試料などの固体生体試料の一部(例えば、ピクセル、対象領域)が除かれ得る(及び任意選択的にイオン化及び微粒子化し得る)。IMCの例には、質量タグ付き試料のレーザアブレーション(Laser Ablation:LA)-ICP-MS及び二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectrometr:SIMS)-MSが含まれる。特定の態様では、イオン光学系は、質量タグの同位体以外のイオンを枯渇させ得る。例えば、イオン光学系により、より軽いイオン(例えば、C、N、O)、有機分子イオンが除かれ得る。ICP用途では、イオン光学系により、例えば高域四重極フィルタを介して、Ar及び/又はXeなどのガスが除かれ得る。特定の態様では、IMCにより、細胞分解能又は細胞内分解能を有する質量タグ(例えば、質量タグに関連した標的)の画像が提供され得る。
【0091】
マスサイトメトリーによって検出される1つ又は複数の質量タグは、本明細書に記載の濃縮されたジルコニウム又はハフニウムの同位体を含み得る。特定の場合には、ジルコニウム又はハフニウム(例えば、ジルコニウム又はハフニウムの濃縮同位体)を含む抗体を動物被験体に投与し得、対象の組織中のジルコニウムの分布をIMCによって評価し得る。例えば、異なるジルコニウム同位体でタグ付けされた同じ抗体を異なる時点で投与するパルスチェイス実験により、経時的なジルコニウムの代謝及び/又は分布の画像化が可能になり得る。そのようなアッセイは、89Zrの送達のための1つ又は複数の抗体をスクリーニングするために行われ得る(例えばオフターゲット作用なしで)。
【0092】
マスサイトメトリーの方法は、濃縮されたジルコニウム又はハフニウムの同位体を含む質量タグ付き生理活性材料で生体試料の細胞を標識すること、及び質量分析によって、細胞に結合した質量タグを検出することを含み得る。当該方法は、例えば第三者からキットを入手すること、又は本明細書に記載のキットを作製することによって、本出願のキットを提供することを含み得る。
【0093】
特定の態様では、マスサイトメトリーの方法は、第1の質量タグ付き親和性試薬を提供することを含み得、その親和性試薬はポリマーにコンジュゲートされ、そのポリマーは、ヒドロキサメートを含むペンダント基の複数の例を含み、また、そのポリマーは、濃縮金属同位体を含む同位体組成物を担持している。その方法は、第1の質量タグ付き親和性試薬を含む複数の質量タグ付き親和性試薬で、生体試料の細胞を標識することをさらに含む。この方法は、質量分析によって、細胞に結合した質量タグを検出することをさらに含み得る。細胞は、例えば懸濁マスサイトメトリーによって、又は固体支持体から個々の細胞(又は細胞の一部)をサンプリングすることによって、単一細胞分解能で検出され得る。
【0094】
特定の態様では、マスサイトメトリーの方法は、細胞に結合した複数の質量タグを検出することを含み、複数の質量タグのうちの少なくとも1つの質量タグは、濃縮されたジルコニウム又はハフニウムの同位体を含む。
【0095】
追加的な使用
本出願のポリマーには、マスサイトメトリー以外で使用するために、89Zrなどの放射性同位体が担持され得る。例えば、89Zr担持ポリマーは、特定の組織又は細胞型(例えばがん細胞)に対して89Zrを標的化する抗体などの生理活性材料に付着され得る。89Zrは、マスサイトメトリー以外の手段によって、例えばPETスキャンによって、検出及び/又は画像化し得る。代替的又は追加的に、89Zrを担持したポリマーは、ヒト被験体における放射線療法などの治療用途のために、又は動物モデルにおいて可能性のある療法を調べるために使用され得る。このようにして、67Ga、68Ga、90Y、177Lu、又は225Acなどの89Zr以外の放射性同位体が使用され得る。
【0096】
このようにして、本出願のキット及び方法は、濃縮89Zr同位体を含む同位体組成物を含み得る。特定の態様では、89Zrはポリマーにコンジュゲートされ得る。ポリマーは、生理活性材料に付着するためのものであり得、又は抗体などの生理活性材料にコンジュゲートして提供され得る。例えば、抗体は、がん細胞で優先的に発現されるエピトープを標的とし得る。
【0097】
使用方法は、本発明のポリマー(例えば、89Zrを担持し、治療用生理活性材料に結合した)を動物被験体に投与することを含み得る。そのような方法は、例えばマスサイトメトリー、又はPETスキャンなどの別の手段によって、放射性同位体を検出することをさらに含み得る。
【0098】
適用例としては、HERCEPTIN(商標)(トラスツズマブ)、RITUXAN(商標)(リツキシマブ)、ZEVALIN(商標)(イブリツモマブ・チウキセタン)、LYMPHOCIDE(商標)(エプラツズマブ)、GLEEVAC(商標)、及びBEXXAR(商標)(ヨウ素131トシツモマブ)、Neulasta、プロベンジ、ニボルマブ、ブリナツモマブなどの抗腫瘍剤が含まれる。
【0099】
本発明の化合物と組み合わせて使用することができる他の抗新生物剤/化合物には、ERBITUX(商標)(IMC-C225)、キナーゼドメイン受容体(kinase domain receptor:KDR)阻害剤(例えば、キナーゼドメイン受容体に特異的に結合する抗体及び抗原結合領域)などの抗血管新生化合物、AVASTIN(商標)又はVEGF-TRAP(商標)、及び抗血管内皮増殖因子(anti-vascular endothelial growth factor:anti-VEGF)受容体剤(例えばVEGFに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)などの抗VEGF剤(例えば、VEGFに特異的に結合する抗体若しくは抗原結合領域、又は可溶性VEGF受容体若しくはそのリガンド結合領域)、ABX-EGF(パニツムマブ)、IRESSA(商標)(ゲフィチニブ)、TARCEVA(商標)(エルロチニブ)、抗Ang1剤、及び抗Ang2剤(例えば、EGFR又はその受容体に特異的に結合する抗体又は抗原結合領域、例えばTie2/Tek)などの上皮増殖因子受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)阻害剤(例えば、EGFRに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)、及び抗Tie2キナーゼ阻害剤(例えば、Tie2キナーゼに特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)が含まれる。
【0100】
本発明の化合物と併せて使用することができる他の抗血管新生化合物/薬剤には、キャンパス、IL-8、B-FGF、Tek拮抗剤、抗TWEAK剤(例えば、特異的に結合する抗体若しくは抗原結合領域、又は可溶性TWEAK受容体拮抗剤、インテグリンのそのリガンドへの結合に拮抗するADAMディスインテグリンドメイン、特異的に結合する抗eph受容体及び/又は抗エフリン抗体若しくは抗原結合領域、及び抗血小板由来増殖因子(platelet-derived growth factor:PDGF)-BB拮抗剤(例えば、特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)、並びにPDGF-BBリガンドに特異的に結合する抗体若しくは抗原結合領域、及び血小板由来増殖因子受容体(platelet-derived growth factor receptor:PDGFR)キナーゼ阻害剤(例えば、特異的に結合する抗体又は抗原結合領域)が含まれる。
【0101】
本発明の化合物と併せて使用することができる他の抗血管新生剤/抗腫瘍剤には、以下が含まれる。すなわち、SD-7784(Pfizer、米国);シレンジタイド(Merck KGaA、ドイツ、EPO 770622);ペガプタニブオクタナトリウム、(Gilead Sciences、米国);アルファスタチン、(BioActa、英国);M-PGA、(Celgene、米国);イロマスタット、(Arriva、米国);エマキサニブ、(Pfizer、米国);バタラニブ、(Novartis、スイス);2-メトキシエストラジオール、(EntreMed、米国);TLC ELL-12、(Elan、アイルランド);アネコルタブ酢酸、(Alcon、米国);アルファ-D 148 Mab、(Amgen、米国);CEP-7055、(Cephalon,米国);抗Vn Mab、(Crucell、オランダ)DAC:抗血管新生剤、(ConjuChem、カナダ);アンジオシジン、(InKine Pharmaceutical、米国);KM-2550、(協和発酵、日本);SU-0879、(Pfizer、米国);CGP-79787、(Novartis、スイス);the ARGENT technology of Ariad、米国;YIGSR-Stealth、(Johnson&Johnson、米国);フィブリノーゲン-E断片、(BioActa、英国);Trigenの血管新生阻害剤、英国;TBC-1635、(Encysive Pharmaceuticals、米国);SC-236、(Pfizer、米国);ABT-567、(Abbott、米国);メタスタチン、(EntreMed、米国);血管新生阻害剤、(Tripep、スウェーデン);マスピン、(そーせい、日本);2-メトキシエストラジオール、(Oncology Sciences Corporation、米国);ER-68203-00、(WVAX、米国);ベネフィン(Lane Labs、米国);Tz-93、(ツムラ、日本);TAN-1120、(武田薬品、日本);FR-111142、(フジサワ、日本);血小板第4因子(RepliGen、米国);血管内皮増殖因子拮抗剤、(Borean、デンマーク);ベバシズマブ(pINN)、(Genentech、米国);XL 784、(Exelixis、米国);XL 647、(Exelixis、米国);MAb、アルファ5ベータ3インテグリン、第二世代、(Applied Molecular Evolution、米国及びMedImmune、米国);遺伝子治療、網膜症(Oxford BioMedica、英国);エンザスタウリン塩酸塩(USAN)、(Lilly、米国);CEP 7055、(Cephalon、米国及びSanofi-Synthelabo、フランス);BC 1、(Genoa Institute of Cancer Research、イタリア);血管新生阻害剤(Alchemia、オーストラリア);VEGF拮抗剤、(Regeneron、米国);rBPI 21及びBPI由来の抗血管新生剤、(XOMA、米国);PI 88、(Progen、オーストラリア);シレンギチド(pINN)、(Merck KGaA、ドイツ;Munich Technical University、ドイツ、Scripps Clinic and Research Foundation、米国);セツキシマブ(INN)、(Aventis、フランス);AVE 8062、(味の素、日本);AS 1404、(Cancer Research Laboratory、ニュージーランド);SG 292、(Telios、米国);エンドスタチン、(Boston Children’s Hospital、米国);ATN 161、(Attenuon、米国);アンジオスタチン、(Boston Children’s Hospital、米国);2-メトキシエストラジオール、(Boston Children’s Hospital、米国);ZD 6474、(AstraZenec、英国);ZD 6126、(AngiogenePharmaceuticals、英国);PPI 2458、(Praecis、米国);AZD 9935、(AstraZeneca、英国);AZD 2171、(AstraZeneca、英国);バタラニブ(pINN)、(Novartis,Switzerland and Schering AG、ドイツ);組織因子経路阻害剤、(EntreMed、米国);ペガプタニブ(Pinn)、(Gilead Sciences、米国);キサントリゾール、(Yonsei University、韓国);ワクチン、遺伝子ベース、VEGF-2、(Scripps Clinic and Research Foundation、米国);SPV5.2、(Supratek、カナダ);SDX 103、(University of California at San Diego、米国);PX 478、(ProIX、米国);メタスタチン、(EntreMed、米国);トロポニンI、(Harvard University、米国);SU 6668、(SUGEN、米国);OXI 4503、(OXiGENE、米国);o-グアニジン、(Dimensional Pharmaceuticals、米国);モツポラミンC、(British Columbia University、カナダ);CDP 791、(Celltech Group、英国);アチプリモド(plNN)、(GlaxoSmithKline、英国);E 7820、(エーザイ、日本);CYC 381、(Harvard University、米国);AE 941、(Aeterna、カナダ);ワクチン、血管新生、(EntreMed、米国);ウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化因子阻害剤、(Dendreon、米国);オグルファニド(pINN)、(Melmotte、米国);HIF-1アルファ阻害剤、(Xenova、英国);CEP 5214、(Cephalon、米国);BAY RES 2622、(Bayer、ドイツ);アンジオシジン、(InKine、米国);A6、(Angstrom、米国);KR 31372、(Korea Research Institute of Chemical Technology、韓国);GW 2286、(GlaxoSmithKline、英国);EHT 0101、(ExonHit、フランス);CP 868596、(Pfizer、米国);CP 564959、(OSI,米国);CP 547632、(Pfizer、米国);786034、(GlaxoSmithKline、米国);KRN 633、(キリンブルワリー、日本);薬物送達システム、眼内、2-メトキシエストラジオール(EntreMed、米国);アンジネックス、(Maastricht University、オランダ及びMinnesota University、米国);ABT 510、(Abbott、米国);AAL 993、(Novartis、スイス);VEGI、(ProteomTech、米国);腫瘍壊死因子アルファ阻害剤、(National Institute on Aging、米国);SU 11248、(Pfizer、米国及びSUGEN、米国);ABT 518、(Abbott、米国);YH16、(Yantai Rongchang、中国);S-3APG、(Boston Children’s Hospital、米国及びEntreMed、米国);MAb、KDR、(ImClone Systems、米国);MAb、アルファ5ベータ1、(Protein Design、米国);KDRキナーゼ阻害剤、(Celltech Group、英国及びJohnson&Johnson、米国);GFB 116、(South Florida University、米国及びYale University、米国);CS 706、(三共、日本);コンブレタスタチンA4プロドラッグ、(Arizona State University、米国);コンドロイチナーゼAC、(IBEX、カナダ);BAY RES 2690、(Bayer、ドイツ);AGM 1470、(Harvard University、米国、武田薬品、日本、及びTAP、米国);AG 13925、(Agouron、米国);テトラチオモリブデン酸塩、(University of Michigan、米国);GCS 100、(Wayne State University、米国)CV 247、(Ivy Medical、英国);CKD 732、(Chong Kun Dang、韓国);MAb、血管内皮増殖因子、(Xenova、英国);イルソグラジン(INN)、(日本新薬、日本);RG 13577、(Aventis、フランス);WX 360、(Wilex、ドイツ);スクアラミン(pIN)、(Genaera、米国);RPI 4610、(Sima、米国);ヘパラナーゼ阻害剤、(InSight、イスラエル);KL 3106、(Kolon、韓国);ホノキオール、(Emory University、米国);ZK CDK、(Schering AG、ドイツ);ZKアンジオ、(Schering AG、ドイツ);ZK 229561、(Novartis、スイス及びSchering AG、ドイツ);XMP 300、(XOMA、米国);VGA 1102、(大正製薬、日本);VEGF受容体調節剤、(Pharmacopeia、米国);VE-カドヘリン-2拮抗剤、(ImClone Systems、米国);バソスタチン、(National Institutes of Health、米国);ワクチン、Flk-1、(ImClone Systems、米国);TZ 93、(ツムラ、日本);タムスタチン(Beth Israel Hospital、米国);切断型可溶性FLT 1(血管内皮増殖因子受容体1)、(Merck&Co、米国);Tie-2リガンド、(Regeneron、米国);28H1(Roche Pharmaceuticals、スイス)及びトロンボスポンジン1阻害剤(Allegheny Health,Education and Research Foundation、米国)などの抗FAP剤が含まれる。
【0102】
ユーティリティ
マスサイトメトリーでは、細胞を質量タグ付き生理活性材料(抗体又はオリゴヌクレオチドなど)で標識し、多くの場合、単一細胞分解能で、質量分析によって質量タグを検出する。これらの質量タグは、一般的に、濃縮ランタニド同位体を担持したランタニドキレート化ポリマーである。区別することができる質量タグ付き生理活性材料の数は、異なる質量のランタニド同位体の数である。本発明は、マスサイトメトリー分析のための新規な種類の質量タグ、具体的にはジルコニウム及びハフニウムの質量タグを提示する。これらの新しい質量タグの配位ケミストリーは、ランタニド質量タグの配位ケミストリーとは異なる。
【0103】
マスサイトメトリーに利用できる区別可能な質量タグの一覧を発展させることに加えて、本明細書に記載の質量タグは、治療的使用が可能であり、又はマスサイトメトリーで使用されない放射性形態についての治療の可能性を評価するために使用され得る。例えば、89Zrは、治療的使用のために抗体にコンジュゲートされたジルコニウムの放射性同位体である。本明細書に記載のジルコニウムポリマーは、抗体が89Zrを送達する能力を増加させ得る。薬物開発の重要な側面は、例えば、オフターゲット分布が最小限である標的組織及び/又は細胞型への送達をスクリーニングするために、薬物送達の機構及び分布を理解することである。マスサイトメトリーで従来使用されている天然に存在するランタニド同位体は放射性ではない。このようにして、本明細書で提供される質量タグにより、化学的に同一の放射性ジルコニウム類似体を有する質量タグの分布を検出する独自の能力が可能になる。例えば、ジルコニウムタグ付き抗体の異なる同位体を用いたパルスチェイスを行うことができ(例えば、動物被験体に投与する)、イメージング・マス・サイトメトリーによって組織を分析することができる。このようにして、本出願の方法は、ジルコニウム同位体の分布を、他の標的及び組織形態の状況における細胞分解能又は細胞内分解能で、IMCによって、かつ任意選択で、さらに光学顕微鏡又は蛍光顕微鏡によって特定することを含み得る。このような実験で放射性89Zrが使用されない場合でも、非放射性ジルコニウム同位体の分布を推定して、89Zrの分布を表すことができる。このようにして、本明細書に記載される方法及びキットは、たとえその方法又はキットがジルコニウムの非放射性同位体のみを使用し得る場合であっても、治療的使用のための89Zrタグ付き抗体のスクリーニングを提供し得る。特定の態様では、89Zr分布を、放射能アッセイ(例えばPET)によってアッセイし、さらにIMCによって調べ得る。
【0104】
本発明のいくつかのキット及び方法の開発には、より多くの質量チャネルのマスサイトメトリー、知識治療試薬、無機ケミストリー(例えば、金属精製、同位体濃縮、及び/又は塩形態への変換のための)、及び有機ケミストリー(例えば、複数のジルコニウム同位体又はハフニウム同位体を安定的に担持した多分散性の低いポリマーを生成すること)の価値の理解が必要であり得る。なお、本発明者らの知るところでは、複数のジルコニウム同位体又はハフニウム同位体を含むポリマーは、89Zrなどの同位体により治療的な送達が増加する可能性があるにもかかわらず、公表されていない。そのようなポリマーは、キレート化されたジルコニウム又はハフニウムの安定性を崩壊させ、立体障害、凝集、及び/又は溶解性が低いことにより、抗体の特異性を低下させる危険性があり、そのいずれも、治療的使用におけるオフターゲット作用の危険性があり得る。特定の態様では、隣接するペンダント基のリガンドが、ジルコニウム又はハフニウムの同位体とポリマーとの会合をさらに安定化し得る。
【0105】
ジルコニウム又はハフニウムの同位体をポリマーに担持することによって、キレート化されたジルコニウム又はハフニウムの抗体への直接結合と比較して、抗体中間体を介して送達される原子の数を増加させることができる。しかし、ポリマーの開発及び使用は、担持又は非担持のポリマーの1つ又は複数の凝集、同位体のポリマーへの不十分な担持、ポリマーへの担持に不適合な形態の同位体、隣接するペンダント基のリガンドなどの隣接ポリマー構造による配位安定性の崩壊、抗体親和性に対するポリマーの立体障害、及びポリマーのサイズの変動性によって阻害され得、これらのいずれも検出及び/又は標的特異的送達を妨げ得る。
【0106】
例示的な態様
主題のキット及び方法の例示的な態様を以下に列挙する。
【0107】
1.キットであって、
ジルコニウム及び/又はハフニウムをキレート化するペンダント基を含むポリマー、及び
濃縮されたジルコニウム又はハフニウムの同位体を含む同位体組成物
を含む、キット。
【0108】
2.前記濃縮されたジルコニウム又はハフニウムの同位体が前記ペンダント基に担持されている、態様1に記載のキット。
【0109】
3.前記ポリマーが、ヒドロキサメート、アザマクロサイクル、フェノキシアミン、サロフェン、及び/又はシクラムのリガンド又はその誘導体を含む、態様1又は2に記載のキット。
【0110】
4.前記ポリマーが、ジルコニウム又はハフニウムの少なくとも1つと八配位錯体を形成するヒドロキサメート、アザマクロサイクル、フェノキシアミン、サロフェン、及び/又はシクラムの誘導体を含む、態様1から3のいずれか一項に記載のキット。
【0111】
5.ジルコニウム及びハフニウムの少なくとも1つが、前記ポリマーのペンダント基と八配位錯体を形成する、態様1から4のいずれか一項に記載のキット。
【0112】
6.前記ポリマーがヒドロキサメートを含む、態様1から5のいずれか一項に記載のキット。
【0113】
7.前記ポリマーがDFO又はその誘導体を含む、態様6に記載のキット。
【0114】
8.前記ポリマーがアザマクロサイクルを含む、態様1から7のいずれか一項に記載のキット。
【0115】
9.前記ポリマーがDOTA又はその誘導体を含む、態様8に記載のキット。
【0116】
10.前記ポリマーが、溶解性を補助する親水性基の1つ又は複数の鎖をさらに含む、態様1から3のいずれか一項に記載のキット。
【0117】
11.前記ポリマーがペグ化ペンダント基をさらに含む、態様1から10のいずれか一項に記載のキット。
【0118】
12.前記ペグ化ペンダント基が前記ポリマーの担持を補助する、態様11に記載のキット。
【0119】
13.前記ペグ化ペンダント基が、ジルコニウム及び/又はハフニウムをキレート化する前記ペンダント基とは別である、態様12に記載のキット。
【0120】
14.態様1から13のいずれか一項に記載のキットを作製する方法。
【0121】
15.態様1から14のいずれか一項に記載のキットを使用する、マスサイトメトリーの方法。
【0122】
16.キットであって、
ヒドロキサメートを含む複数のペンダント基を含むポリマー、及び
前記ペンダント基によってキレート化され得る濃縮された金属同位体を含む同位体組成物
を含む、キット。
【0123】
17.前記金属同位体がジルコニウム同位体又はハフニウム同位体である、態様16に記載のキット。
【0124】
18.前記金属同位体がジルコニウム同位体である、態様17に記載のキット。
【0125】
19.前記金属同位体がハフニウム同位体である、態様17に記載のキット。
【0126】
20.追加的な濃縮されたジルコニウム同位体及び/又はハフニウム同位体を含む追加的な同位体組成物をさらに含む、態様16から19のいずれか一項に記載のキット。
【0127】
21.前記同位体組成物が非放射性である、態様16から20のいずれか一項に記載のキット。
【0128】
22.前記同位体組成物が前記ポリマーとは別に提供される、態様16から21のいずれか一項に記載のキット。
【0129】
23.前記同位体組成物が溶液中にある、態様16から22のいずれか一項に記載のキット。
【0130】
24.前記同位体組成物が、非プロトン性溶媒を含む溶液中で提供される、態様16から23のいずれか一項に記載のキット。
【0131】
25.前記非プロトン性溶媒がDMSOである、態様24に記載のキット。
【0132】
26.前記同位体組成物が酸性溶液中で提供される、態様16から25のいずれか一項に記載のキット。
【0133】
27.前記同位体組成物を前記ポリマーに担持するための金属担持緩衝液をさらに含む、態様16から26のいずれか一項に記載のキット。
【0134】
28.前記金属担持緩衝液がアルカリを含む、態様27に記載のキット。
【0135】
29.前記金属担持緩衝液が酸性pHにある、態様28に記載のキット。
【0136】
30.前記同位体組成物が前記ポリマーの1つ又は複数のペンダント基に担持されている、態様16から29のいずれか一項に記載のキット。
【0137】
31.前記ポリマーが溶液中にある、態様16から30のいずれか一項に記載のキット。
【0138】
32.前記ポリマーが凍結乾燥されている、態様16から30のいずれか一項に記載のキット。
【0139】
33.前記濃縮された金属同位体の少なくとも5個の原子が前記ポリマーに担持されている、態様16から32のいずれか一項に記載のキット。
【0140】
34.前記濃縮された金属同位体の少なくとも20個の原子が前記ポリマーに担持されている、態様33に記載のキット。
【0141】
35.前記濃縮された金属同位体の40個未満の原子が前記ポリマーに担持されている、態様33又は34に記載のキット。
【0142】
36.前記同位体組成物が前記ポリマーに安定的に結合している、態様16から35のいずれか一項に記載のキット。
【0143】
37.前記ポリマーに担持された前記同位体組成物の10%未満が、競合する遊離キレート剤で失われる可能性がある、態様16から36のいずれか一項に記載のキット。
【0144】
38.生理学的条件下で、前記同位体組成物の95%超が前記ポリマーに結合したままである、態様16から37のいずれか一項に記載のキット。
【0145】
39.マスサイトメトリーのアッセイで使用される場合、前記同位体組成物の95%超が前記ポリマーに結合したままである、態様16から38のいずれか一項に記載のキット。
【0146】
40.前記ポリマーがペグ化ペンダント基を含む、態様16から39のいずれか一項に記載のキット。
【0147】
41.前記ポリマーが、前記金属同位体を担持する前及び後の両方で、前記ポリマーの溶解性を補助するペンダント基を含むように修飾されている、態様16から40のいずれか一項に記載のキット。
【0148】
42.前記ポリマーが、前記金属同位体の前記ペンダント基への担持の前後に、前記ポリマーの溶解性を補助する親水性基を含むペンダント基をさらに含む、態様16から41のいずれか一項に記載のキット。
【0149】
43.溶解性を補助する親水性基を含む前記ペンダント基が、ヒドロキサム酸を含むペンダント基とは別である、態様16から42のいずれか一項に記載のキット。
【0150】
44.前記ポリマーの1つ又は複数のペンダント基が、繰り返し親水性基の鎖を含む、態様16から43のいずれか一項に記載のキット。
【0151】
45.前記親水性基が前記ペンダント基の配位ケミストリーに影響を及ぼさない、態様16から44のいずれか一項に記載のキット。
【0152】
46.前記ポリマーの溶解性の増加により、溶液中の前記金属同位体の担持が補助される、態様16から45のいずれか一項に記載のキット。
【0153】
47.前記ポリマーが抗体にコンジュゲートされる場合、結果として生じる溶解性により、前記抗体のエピトープへの抗体結合が向上する、態様42から46のいずれか一項に記載のキット。
【0154】
48.前記ポリマーの溶解性の増加により、ポリマーに結合した抗体の標的結合が向上する、態様42から47のいずれか一項に記載のキット。
【0155】
49.前記親水性基が少なくとも1つのPEG基を含む、態様42から48のいずれか一項に記載のキット。
【0156】
50.前記ポリマーがペグ化されている、態様16から49のいずれか一項に記載のキット。
【0157】
51.前記ポリマーが少なくとも100個のPEG基を含む、態様16から50のいずれか一項に記載のキット。
【0158】
52.前記PEG基が複数のペンダント基にわたって分布している、態様16から51のいずれか一項に記載のキット。
【0159】
53.少なくともいくつかのペンダント基が20個を超えるPEG基を含む、態様16から52のいずれか一項に記載のキット。
【0160】
54.前記ポリマーの全てのペンダント基の50%未満が、ジルコニウム及び/又はハフニウムをキレート化し、前記ポリマーの全てのペンダント基の50%超が、複数のPEG基を含む、態様16から53のいずれか一項に記載のキット。
【0161】
55.前記ポリマーのPEG基の数が、溶液中の前記ポリマーへの前記金属同位体の担持を補助する、態様16から54のいずれか一項に記載のキット。
【0162】
56.前記ポリマーにコンジュゲートされた生理活性材料をさらに含む、態様16から55のいずれか一項に記載のキット。
【0163】
57.前記生理活性材料が親和性試薬を含む、態様56に記載のキット。
【0164】
58.前記親和性試薬が抗体である、態様57に記載のキット。
【0165】
59.前記親和性試薬が溶液中にある、態様56から58のいずれか一項に記載のキット。
【0166】
60.前記親和性試薬が凍結乾燥されている、態様56から58のいずれか一項に記載のキット。
【0167】
61.前記ポリマーの1つ又は複数のペンダント基が、前記金属同位体の少なくとも6つの配位部位を配位させる、態様16から60のいずれか一項に記載のキット。
【0168】
62.前記ポリマーの1つ又は複数のペンダント基が、前記金属同位体の6つを超える部位を配位させる、態様16から60のいずれか一項に記載のキット。
【0169】
63.前記ポリマーの1つ又は複数のペンダント基が、前記金属同位体の8つの配位部位を配位させる、態様16から60のいずれか一項に記載のキット。
【0170】
64.前記ポリマーの1つ又は複数のペンダント基が、DFO又はその誘導体を含む、態様16から61のいずれか一項に記載のキット。
【0171】
65.前記ポリマーの1つ又は複数のペンダント基が、4つのヒドロキサメート基を含むDFO誘導体を含む、態様16から61のいずれか一項に記載のキット。
【0172】
66.前記ポリマーの1つ又は複数のペンダント基が、最も近いヒドロキサム基から少なくとも8個の結合で離間した第1のヒドロキサメート基を含むDFO誘導体を含む、態様16から61のいずれか一項に記載のキット。
【0173】
67.前記同位体組成物と区別可能な別の追加的同位体組成物を含む、態様16から66のいずれか一項に記載のキット。
【0174】
68.前記追加的同位体組成物の1つ又は複数がジルコニウム又はハフニウムを含む、態様67に記載のキット。
【0175】
69.前記追加的同位体組成物の1つ又は複数がランタニドを含む、態様67又は68のキット。
【0176】
70.ジルコニウム又はハフニウムではなくランタニドをキレート化する複数のペンダント基を含むポリマーをさらに含む、態様16から69のいずれか一項に記載のキット。
【0177】
71.別々の同位体組成物を担持したポリマーにそれぞれ共有結合した複数の抗体を含む、態様16から70のいずれか一項に記載のキット。
【0178】
72.前記ポリマーがリビング重合によって形成されている、態様16から71のいずれか一項に記載のキット。
【0179】
73.前記ポリマーが、アニオン重合、制御ラジカル重合、カチオン重合、及び開環重合のうちの少なくとも1つによって形成されている、態様16から72のいずれか一項に記載のキット。
【0180】
74.前記ポリマーが1.5未満の多分散指数を有する、態様16から73のいずれか一項に記載のキット。
【0181】
75.前記ポリマーが1.2未満の多分散指数を有する、態様16から74のいずれか一項に記載のキット。
【0182】
76.前記ポリマーが2~100個のペンダント基を含む、態様16から75のいずれか一項に記載のキット。
【0183】
77.前記ポリマーが5~30個の例の前記ペンダント基を含む、態様16から76のいずれか一項に記載のキット。
【0184】
78.前記ポリマーが少なくとも5個の例の前記ペンダント基を含む、態様16から77のいずれか一項に記載のキット。
【0185】
79.前記ポリマーが、少なくとも10個の原子の濃縮ジルコニウム同位体を含む、態様16から78のいずれか一項に記載のキット。
【0186】
80.前記ポリマーが、20個と30個の間の原子の濃縮ジルコニウム同位体を含む、態様79に記載のキット。
【0187】
81.前記ポリマーが一端で官能化されている、態様16から80のいずれか一項に記載のキット。
【0188】
82.前記ポリマーが、生理活性材料に結合するように官能化されている、態様81に記載のキット。
【0189】
83.前記生理活性材料が親和性試薬を含む、態様82に記載のキット。
【0190】
84.前記親和性試薬が抗体である、態様83に記載のキット。
【0191】
85.前記ポリマーが、チオール反応性ケミストリー、アミン反応性ケミストリー、又はクリックケミストリーによって前記生理活性材料に結合するように官能化されている、態様84に記載のキット。
【0192】
86.キットであって、
複数のペンダント基を含むポリマー、及び
濃縮されたジルコニウム又はハフニウムの同位体を含む同位体組成物
を含み、
前記複数のペンダント基は、DFO又はその誘導体を含み、
前記複数のペンダント基は、前記ポリマーの溶解性を補助し、かつ/又は前記同位体組成物の前記ポリマーへの担持を補助するPEG基を含む、
キット。
【0193】
87.態様1から86のいずれか一項に記載のキットの作製方法。
【0194】
88.マスサイトメトリーのためのポリマーを作製する方法であって、前記方法は、
ヒドロキサメートを含むペンダント基の複数の例を含むポリマーを提供することを含む、
方法。
【0195】
89.濃縮金属同位体を含む同位体組成物を提供することをさらに含む、態様88に記載の方法。
【0196】
90.前記濃縮金属同位体がジルコニウム又はハフニウムの塩化物塩である、態様89に記載の方法。
【0197】
91.前記濃縮金属同位体が非放射性である、態様90に記載の方法。
【0198】
92.前記同位体組成物の前記ポリマーへの担持をさらに含む、態様88から92のいずれかに記載の方法。
【0199】
93.リビング重合によって前記ペンダント基を重合することを含む、態様87から92のいずれか一項に記載の方法。
【0200】
94.前記リビング重合が、アニオン重合、制御ラジカル重合、カチオン重合、及び開環重合のうちの少なくとも1つを含む、態様93に記載の方法。
【0201】
95.前記ポリマーの少なくともいくつかのペンダント基がヒドロキサメートを含む、態様87から93のいずれか一項に記載の方法。
【0202】
96.前記ポリマーの少なくともいくつかのペンダント基がペグ化されている、態様87から94のいずれかに記載の方法。
【0203】
97.前記担持の工程が、非プロトン性溶媒の存在下である、態様92に記載の方法。
【0204】
98.前記非プロトン性溶媒がDMSOである、態様96に記載の方法。
【0205】
99.前記担持の工程が酸の存在下である、態様97又は98に記載の方法。
【0206】
100.前記同位体組成物が、濃縮されたジルコニウム又はハフニウムの同位体である、態様89に記載の方法。
【0207】
101.前記同位体組成物が塩である、態様100に記載の方法。
【0208】
102.前記塩が塩化物塩である、態様101に記載の方法。
【0209】
103.前記塩が四塩化物塩又はオキシ塩化物塩である、態様102に記載の方法。
【0210】
104.強塩基の添加及び/又は少なくとも500℃の温度でのインキュベーションの後に、乾燥酸化ジルコニウムを砂から得る、態様105に記載の方法。
【0211】
105.酸化ジルコニウムの同位体を濃縮することをさらに含む、態様87から104のいずれか一項に記載の方法。
【0212】
106.強酸の添加によって前記濃縮同位体を塩に変換することをさらに含む、態様105に記載の方法。
【0213】
107.前記塩が塩化物塩であり、前記強酸がHClを含む、態様106に記載の方法。
【0214】
108.前記塩が四塩化物又はオキシ塩化物の塩である、態様106又は107に記載の方法。
【0215】
109.前記濃縮同位体を少なくとも80℃の温度で塩に変換することをさらに含む、態様105から109のいずれかに記載の方法。
【0216】
110.生理活性材料への付着のために前記ポリマーを官能化することをさらに含む、態様86から109のいずれかに記載の方法。
【0217】
111.前記ポリマーを生理活性材料にコンジュゲートすることをさらに含む、態様86から110のいずれかに記載の方法。
【0218】
112.前記生理活性材料が親和性試薬を含む、態様111に記載の方法。
【0219】
113.前記親和性試薬が抗体である、態様112に記載の方法。
【0220】
114.ペンダント基を前記ポリマーに付着させることをさらに含み、少なくともいくつかのペンダント基は、ヒドロキサメート、アザマクロサイクル、フェノキシアミン、サロフェン、及び/又はシクラムのリガンド又はその誘導体を含む、態様86から113のいずれかに記載の方法。
【0221】
115.前記ポリマーが、ジルコニウム又はハフニウムの少なくとも1つと八配位錯体を形成するヒドロキサメート、アザマクロサイクル、フェノキシアミン、サロフェン、及び/又はシクラムの誘導体を含む、態様114に記載の方法。
【0222】
116.ジルコニウム及びハフニウムの少なくとも1つが、前記ポリマーのペンダント基と八配位錯体を形成する、態様86から115のいずれかに記載の方法。
【0223】
117.前記ポリマーがヒドロキサメートを含む、態様86から116のいずれかに記載の方法。
【0224】
118.前記ポリマーがDFO又はその誘導体を含む、態様86から117のいずれかに記載の方法。
【0225】
119.前記ポリマーが、溶解性を補助する親水性基の1つ又は複数の鎖をさらに含む、態様86から118のいずれか一項に記載の方法。
【0226】
120.前記ポリマーの1つ又は複数のペンダント基をペグ化することをさらに含む、態様86から119のいずれか一項に記載の方法。
【0227】
121.前記ペンダント基のペグ化が前記ポリマーの担持を補助する、態様120に記載の方法。
【0228】
122.前記ペグ化ペンダント基が、ジルコニウム及び/又はハフニウムをキレート化する前記ペンダント基とは別である、態様121に記載の方法。
【0229】
123.態様1から86のいずれか一項に記載のキットを使用する、マスサイトメトリーの方法。
【0230】
124.マスサイトメトリーの方法であって、
濃縮されたジルコニウム又はハフニウムの同位体を含む質量タグ付き生理活性材料で、生体試料の細胞を標識すること、及び
前記細胞に結合した質量タグを質量分析によって検出すること
を含む、方法。
【0231】
125.前記質量タグ付き生理活性材料が、態様1から86のいずれか一項に記載のキットによって提供される、態様124に記載の方法。
【0232】
126.態様1から86のいずれか一項に記載のキットを使用することによって、前記質量タグ付き生理活性材料を提供することをさらに含む、態様124に記載の方法。
【0233】
127.マスサイトメトリーの方法であって、
第1の質量タグ付き親和性試薬を提供することであって、
前記親和性試薬はポリマーにコンジュゲートされており、
前記ポリマーは、ヒドロキサメートを含むペンダント基の複数の例を含み、
前記ポリマーは、濃縮金属同位体を含む同位体組成物を担持している、
第1の質量タグ付き親和性試薬を提供することと、
前記第1の質量タグ付き親和性試薬を含む複数の質量タグ付き親和性試薬で生体試料の細胞を標識することと、
前記細胞に結合した質量タグを質量分析によって検出することと
を含む、方法。
【0234】
128.ジルコニウム又はハフニウムの濃縮同位体を含む同位体組成物であって、前記濃縮同位体が塩化物塩である、同位体組成物。
【0235】
129.ヒドロキサメートを含む複数のペンダント基を含むポリマー。
【0236】
130.細胞に結合した複数の質量タグを質量分析によって検出することを含み、前記複数の質量タグの少なくとも1つの質量タグが、濃縮されたジルコニウム又はハフニウムの同位体を含む、マスサイトメトリーの方法。
【0237】
131.ジルコニウム及び/又はハフニウムをキレート化する前記ペンダント基が溶解補助部分を含む、態様7に記載のキット。
【0238】
132.前記溶解補助部分が、ヒドロキサメート間に配置される、態様131に記載のキット。
【0239】
133.前記溶解補助部分がエーテルである、態様131又は132に記載のキット。
【0240】
134.マスサイトメトリーのためのバーコード化キットであって、
ジルコニウム及び/又はハフニウムの濃縮同位体を含む質量タグであって、それぞれが濃縮同位体の固有の組合せを含む別々の混合物中で組み合わされる質量タグ、を含み、
各混合物は、他の試料又は実験条件でプールする前に、特定の試料又は実験条件を標識するための固有のバーコードを提供する、
バーコード化キット。
【0241】
135.前記質量タグが共有結合のために官能化されている、態様134に記載のキット。
【0242】
136.前記質量タグがマレイミドによって官能化されている、態様135に記載のキット。
【0243】
137.前記質量タグが抗体にコンジュゲートされている、態様134に記載のキット。
【0244】
138.質量タグポリマーを作製する方法であって、
ポリマー骨格を形成するためのアジド開始重合の第1の工程と、
ペンダント基の混合物を組み込む第2の工程であって、ペンダント基の前記混合物は、
DFO又はその誘導体を含むキレート化ペンダント基、
溶解補助ペンダント基、
を含む第2の工程と、
濃縮されたジルコニウム又はハフニウムの同位体を含む同位体組成物を提供する第3の工程であって、前記同位体組成物は溶液中の金属である、第3の工程と
を含む、方法。
【0245】
139.前記第2の工程がアミノリシスによるものである、態様138に記載の方法。
【0246】
140.前記第2の工程で生成された前記ポリマーに前記同位体組成物を担持する第3の工程をさらに含む、態様138又は139に記載の方法。
【0247】
141.質量タグキットであって、
濃縮されたジルコニウム又はハフニウムの同位体を含む同位体組成物、及び
DFO又はその誘導体及び溶解補助部分を含む複数のペンダント基を含むポリマー
を含み、
前記ポリマーは、抗体又はその抗体断片に付着しているか、又は前記抗体又はその抗体断片に付着するために官能化されている、
質量タグキット。
【0248】
142.DFO又はその誘導体を含まない複数の溶解補助ペンダント基をさらに含む、態様141に記載のキット。
【0249】
143.前記ポリマーが、チオール反応性ケミストリー、アミン反応性ケミストリー、又はクリックケミストリーによる付着のために官能化されている、態様141又は142に記載のキット。
【0250】
144.前記ポリマーがマレイミドで官能化されている、態様143に記載のキット。
【0251】
145.前記ポリマーがNHSエステルで官能化されている、態様143に記載のキット。
【0252】
146.前記ポリマーがアジドで官能化されている、態様143に記載のキット。
【0253】
147.前記ポリマーが、前記ペンダント基の組込みの前にアジド開始によって重合された、態様146に記載のキット。
【0254】
148.前記同位体が非放射性である、態様141に記載のキット。
【0255】
149.複数の前記ペンダント基が、4つのヒドロキサメート基を含むDFO誘導体を含む、態様141又は142に記載のキット。
【0256】
150.前記DFO誘導体が、ヒドロキサメート間に散在している複数の溶解補助部分を含む、態様149に記載のキット。
【0257】
151.前記ポリマーが少なくとも20個の例の前記DFO誘導体を提供する、態様150に記載のキット。
【0258】
152.前記溶解補助部分の少なくともいくつかが親水性である、態様141のキット。
【0259】
153.前記溶解補助部分の少なくともいくつかがポリエーテルを含む、態様152に記載のキット。
【0260】
154.前記ポリエーテルがポリエチレングリコールである、態様153に記載のキット。
【0261】
155.前記溶解補助部分の少なくともいくつかが、ヒドロキサメート間に配置されたエーテルを含む、態様152に記載のキット。
【0262】
156.前記溶解補助部分の少なくともいくつかがオキサゾリンを含む、態様152に記載のキット。
【0263】
157.前記溶解補助部分の少なくともいくつかが、ポリオキサゾリンを含む、態様156に記載のキット。
【0264】
158.前記ポリマーが双性イオン性である、態様141に記載のキット。
【0265】
159.前記同位体組成物が溶液中の金属である、態様141に記載のキット。
【0266】
160.前記ポリマーが前記同位体組成物を担持している、態様141のキット。
【0267】
上に列挙した例のいずれも、本出願の他の箇所に記載されている追加的な態様をさらに含み得る。
【国際調査報告】