(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(54)【発明の名称】イムノコンジュゲート
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20221006BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221006BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20221006BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20221006BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221006BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221006BHJP
A61K 31/5517 20060101ALI20221006BHJP
A61K 31/7076 20060101ALI20221006BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20221006BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20221006BHJP
【FI】
A61K39/395 L
A61P35/00
A61P35/02
A61K47/68
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/5517
A61K31/7076
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506456
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(85)【翻訳文提出日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 AU2020050781
(87)【国際公開番号】W WO2021016668
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516287689
【氏名又は名称】デンドロサイト バイオテック ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,ジョージナ ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】アバディア,エドワード
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC021
4C084ZC022
4C085AA27
4C085BB01
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086EA18
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4H045AA11
4H045AA30
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、CD300fに特異的に結合し、少なくとも1つの細胞毒性剤に連結されている抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲート、および当該イムノコンジュゲートを含む組成物に関する。本発明はまた、造血幹細胞および前駆細胞を枯渇させるためのイムノコンジュゲートの使用、造血幹細胞移植のために対象を準備するためのイムノコンジュゲートの使用、およびCD300fに関連する状態の治療のためのイムノコンジュゲートの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、
前記抗体またはその抗原結合断片が、CD300fの細胞外ドメインに特異的に結合し、かつ、
前記抗体またはその抗原結合断片が、下記(a)および(b)を含む、イムノコンジュゲート:
(a)下記(i)および/または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)および/または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)。
【請求項2】
前記重鎖可変領域が、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、請求項1に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項3】
前記軽鎖可変領域が、配列番号6で表されるアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、請求項1または2に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項4】
前記重鎖可変領域に含まれるアミノ酸配列は、
配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であり、かつ、
配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項5】
前記軽鎖可変領域に含まれるアミノ酸配列は、
配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であり、かつ、
配列番号6で表されるアミノ酸配列を含むCDR1と、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含むCDR2と、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含むCDR3と、を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項6】
前記重鎖可変領域が、配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項7】
前記軽鎖可変領域が、配列番号5で表されるアミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項8】
前記重鎖が、配列番号13で表されるアミノ酸配列を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項9】
前記軽鎖が、配列番号14で表されるアミノ酸配列を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項10】
前記ピロロベンゾジアゼピン部分が、ピロロベンゾジアゼピン二量体である、請求項1~9のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項11】
前記ピロロベンゾジアゼピン二量体が、リンカーを介して前記抗体またはその抗原結合断片に連結されている、請求項10に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項12】
前記リンカーが、ペプチドを含む、請求項11に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲートを含む、医薬組成物。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲートまたは請求項13に記載の医薬組成物の有効量を投与する工程を含む、CD300fの発現に関連する状態の治療方法。
【請求項15】
前記状態が、AMLである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
下記(a)および(b)を対象に投与する工程を含む、造血幹細胞移植のために前記対象を準備する方法:
(a)請求項1~12のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲートの有効量;
(b)リンパ球枯渇剤。
【請求項17】
下記(a)および(b)を対象に投与する工程を含む、造血幹細胞移植のために前記対象を準備する方法:
(a)少なくとも1つの細胞毒性剤に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片がCD300fに特異的に結合するイムノコンジュゲートの有効量;
(b)リンパ球枯渇剤の有効量。
【請求項18】
前記細胞毒性剤が、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記リンパ球枯渇剤が、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩である、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記細胞毒性剤が、PBD二量体であり、
前記リンパ球枯渇剤が、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩である、
請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
CD300fに特異的に結合する前記抗体またはその抗原結合断片が、下記(a)および(b)を含む、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法:
(a)下記(i)および/または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)および/または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)。
【請求項22】
CD300fに特異的に結合する前記抗体またはその抗原結合断片が、下記(a)および(b)を含む、請求項17~21のいずれか1項に記載の方法:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む、重鎖可変領域;
(b)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む、軽鎖可変領域。
【請求項23】
下記(a)および(b)を含む、造血幹細胞移植のために対象を準備するための医薬組成物:
(a)少なくとも1つの細胞毒性剤に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片がCD300fに特異的に結合するイムノコンジュゲート;
(b)リンパ球枯渇剤。
【請求項24】
前記細胞毒性剤が、ピロロベンゾジアゼピン部分である、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記ピロロベンゾジアゼピン部分が、ピロロベンゾジアゼピン二量体である、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記イムノコンジュゲートが、請求項1~12のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲートである、請求項23~25のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記リンパ球枯渇剤が、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩である、請求項23~26のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
下記(a)および(b)を含む、造血幹細胞移植のために対象を準備するためのキット:
(a)少なくとも1つの細胞毒性剤に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片がCD300fに特異的に結合する、イムノコンジュゲート;
(b)リンパ球枯渇剤。
【請求項29】
前記細胞毒性剤が、ピロロベンゾジアゼピン部分である、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
前記ピロロベンゾジアゼピン部分が、ピロロベンゾジアゼピン二量体である、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
前記イムノコンジュゲートが、請求項1~12のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲートである、請求項28~30のいずれか1項に記載のキット。
【請求項32】
前記リンパ球枯渇剤が、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩である、請求項28~31のいずれか1項に記載のキット。
【請求項33】
対象において造血幹細胞および前駆細胞を枯渇させる方法であって、
前記方法は、少なくとも1つの細胞毒性剤に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの有効量を対象に投与する工程を含み、
前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合する、
方法。
【請求項34】
前記細胞毒性剤が、ピロロベンゾジアゼピン部分である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記ピロロベンゾジアゼピン部分が、ピロロベンゾジアゼピン二量体である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記イムノコンジュゲートが、請求項1~12のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲートである、請求項33~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
請求項1~12のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲートの有効量または請求項13、23~27のいずれか1項に記載の組成物の有効量を対象に投与する工程を含む、造血幹細胞移植のために対象を準備する方法。
【請求項38】
造血幹細胞移植のために対象を準備する方法であって、
前記方法は、少なくとも1つの細胞毒性剤に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの有効量を対象に投与する工程を含み、
前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合する、
方法。
【請求項39】
前記抗体またはその抗原結合断片が、下記(a)および(b)を含む、請求項33~38のいずれか1項に記載の方法:
(a)下記(i)および/または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)および/または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)。
【請求項40】
前記細胞毒性剤が、ピロロベンゾジアゼピン部分である、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記ピロロベンゾジアゼピン部分が、ピロロベンゾジアゼピン二量体である、請求項38~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記イムノコンジュゲートが、請求項1~12のいずれか1項に記載のイムノコンジュゲートである、請求項38~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
リンパ球枯渇剤を投与する工程をさらに含む、請求項38~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記リンパ球枯渇剤が、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩である、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、CD300fポリペプチドに特異的に結合するイムノコンジュゲートおよび当該イムノコンジュゲートを含む組成物に関する。本開示はまた、造血幹細胞および前駆細胞を枯渇させるためのイムノコンジュゲートの使用、造血幹細胞移植のために対象を準備するためのイムノコンジュゲートの使用、およびCD300fに関連する状態の治療のためのイムノコンジュゲートの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
血液疾患とは、血液および造血器官の障害である。血液疾患の例としては、遺伝性血液障害(先天性代謝異常、ヘモグロビン症、骨髄異形成・骨髄増殖症候群など)、悪性血液腫瘍(リンパ腫など)、白血病(白血病急性骨髄性白血病(AML)など)が挙げられる。
【0003】
AMLは、骨髄系の血液細胞の癌である。AMLは異常な白血球の急速な増殖を特徴としており、異常な白血球は骨髄に蓄積して正常な血液細胞の産生を妨げる。AMLは成人が罹患する最も一般的な急性白血病であり、その発症率は年齢とともに増加する。そのため、人類の高齢化に伴いAMLの発症率も増加すると予想されている。
【0004】
血液疾患の病因に関する理解は大いに進歩したが、患者の転帰は依然として満足のいくものではない。血液疾患および血液状態に対する治療オプションには血液幹細胞の移植があり、典型的には化学療法または放射線療法と併用する。
【0005】
造血幹細胞移植は、AMLなどの骨髄性白血病や、他の悪性血液腫瘍および遺伝性障害の治療に利用できる。しかし、実質的なドナーの定着が可能となるのは、患者の骨髄における造血幹細胞のニッチからレシピエント細胞が除去され、ドナー細胞が定着できる空間が確保されている場合だけである。移植細胞を完全に定着させるためには、前処置レジメンを施して、レシピエントの骨髄における造血幹細胞のニッチを枯渇させ、移植細胞に対する免疫応答を抑制し、残存病変による負荷を低減させる。伝統的な前処置レジメンには、放射線照射および/または化学療法剤が含まれる。アルキル化剤(ブスルファン、メルファランなど)または放射線照射は、造血幹細胞および前駆細胞(HSPC)を枯渇させる。一方、リンパ除去剤(フルダラビン、シクロホスファミドなど)は、レシピエントのリンパ球を枯渇させる。しかし、放射線照射やアルキル化剤などの化学療法剤は、特定の患者コホートにとっては非常に過酷であることがある。例えば、高齢の患者または遺伝性血液障害に罹患している患者は、放射線照射および化学療法剤により造血幹細胞および前駆細胞を枯渇させる治療が不適であることが多い。そのため、放射線照射または化学療法剤(アルキル化剤など)を用いる効果的な前処置レジメンは、悪性血液腫瘍の治療に必ずしも利用できる訳ではなく、遺伝性血液障害の治療に利用できるケースは稀である。AMLと診断された患者の大半を高齢患者が占めているので、このことはAMLなどの悪性血液腫瘍にとって問題となる。
【0006】
造血幹細胞移植の進歩にもかかわらず、治療関連死亡率(TRM)は依然として高く、特に65歳以上で顕著である(Kroeger N., Blood. 2012;119(24):5632-5639)。
【0007】
悪性血液腫瘍(骨髄性白血病など)を治療するための、また造血幹細胞移植において使用するための、造血幹細胞、前駆細胞および悪性血液腫瘍にある標的に結合する代替分子が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
CD300fは、免疫調節分子CD300fファミリーのメンバーであり、染色体17q25に位置する遺伝子複合体によってコードされている。このタンパク質は、膜貫通糖タンパク質であり、細胞質領域および細胞外ドメインを有している。細胞質領域は、抑制性ITIM部位モチーフおよびPI3Kリン酸化部位モチーフの両方を有している。CD300fは、抗原提示細胞などの正常な骨髄性細胞において発現する。CD300fは、造血幹細胞および前駆細胞や、AMLなどの悪性血液腫瘍において高発現してしている。それゆえ、CD300fは、AMLなどのCD300fの発現に関連する状態を治療するための標的となり、造血幹細胞移植などにおいて造血幹細胞および前駆細胞を枯渇させるための標的ともなる。
【0009】
DCR-2は、CD300fの細胞外ドメインに特異的に結合するモノクローナル抗体である。本発明者らが見出したところによると、DCR-2とピロロベンゾジアゼピン部分(PBD部分)とを連結させると、白血病細胞を効果的に殺傷する。
【0010】
第1態様が提供するのは、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートである。ここで、抗体またはその抗原結合断片は、CD300fの細胞外ドメインに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む:
(a)下記(i)および/または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)および/または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)。
【0011】
第2態様が提供するのは、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートである。ここで、抗体またはその抗原結合断片は、CD300fの細胞外ドメインに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む、重鎖可変領域;
(b)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む、軽鎖可変領域。
【0012】
第3態様が提供するのは、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートである。ここで、抗体またはその抗原結合断片は、CD300fの細胞外ドメインに特異的に結合し、配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および/または配列番号5で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0013】
第4態様が提供するのは、第1態様~第3態様のいずれか1つのイムノコンジュゲートを含む組成物である。
【0014】
第5態様が提供するのは、それを必要とする対象において、CD300fの発現に関連する状態を治療する方法である。この方法は、第1態様~第3態様のいずれか1つのイムノコンジュゲートまたは第4態様の組成物の有効量を対象に投与する工程を含む。
【0015】
他の第5態様が提供するのは、それを必要とする対象におけるCD300fの発現に関連する状態の治療における使用のための、第1態様~第3態様のいずれか1つのイムノコンジュゲートまたは第4態様の組成物である。
【0016】
あるいは、他の第5態様が提供するのは、それを必要とする対象においてCD300fの発現に関連する状態を治療する医薬の製造における、第1態様~第3態様のいずれか1つのイムノコンジュゲートまたは第4態様の組成物の使用である。
【0017】
第6態様が提供するのは、第1態様~第3態様のいずれか1つのイムノコンジュゲートまたは第4態様の組成物を含むキットである。
【0018】
第7態様が提供するのは、下記(a)および(b)を対象に投与する工程を含む、造血幹細胞移植のために対象を準備する方法である:
(a)少なくとも1つの細胞毒性剤に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片がCD300fに特異的に結合する、イムノコンジュゲートの有効量;
(b)リンパ球枯渇剤の有効量。
【0019】
他の第7態様が提供するのは、造血幹細胞移植のための対象の準備における使用のための、下記(a)および(b)である:
(a)少なくとも1つの細胞毒性剤に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片がCD300fの細胞外ドメインに特異的に結合する、イムノコンジュゲート;
(b)リンパ球枯渇剤。
【0020】
あるいは、他の第7態様が提供するのは、造血幹細胞移植のために対象を準備させる医薬の製造における、少なくとも1つの細胞毒性剤に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの使用である。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合する。前記対象は、リンパ球枯渇剤を投与されているか、既に投与されたか、または今後投与される予定である。
【0021】
第8態様が提供するのは、造血幹細胞移植のために対象を準備する方法であって、前記対象に下記(a)および(b)を投与する工程を含む方法である:
(a)少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片がCD300fに特異的に結合する、イムノコンジュゲートの有効量;
(b)リンパ球枯渇剤の有効量。
【0022】
他の第8態様が提供するのは、造血幹細胞移植のための対象の準備における使用のための、下記(a)および(b)である:
(a)少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片がCD300fに特異的に結合する、イムノコンジュゲート;
(b)リンパ球枯渇剤。
【0023】
あるいは、他の第8態様が提供するのは、造血幹細胞移植のために対象を準備させる医薬の製造のための、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの使用である。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合する。前記対象は、リンパ球枯渇剤を投与されているか、既に投与されたか、または今後投与される予定である。
【0024】
第9態様が提供するのは、下記(a)および(b)を対象に投与する工程を含む、造血幹細胞移植のために前記対象を準備する方法である:
(a)少なくとも1つの細胞毒性剤に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片がCD300fに特異的に結合する、イムノコンジュゲートの有効量;
(b)フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩の有効量。
【0025】
他の第9態様が提供するのは、造血幹細胞移植のための対象の準備における使用のための、下記(a)および(b)である:
(a)少なくとも1つの細胞毒性剤に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片がCD300fに特異的に結合する、イムノコンジュゲート;
(b)フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩。
【0026】
あるいは、他の第9態様が提供するのは、造血幹細胞移植のために対象を準備させる医薬の製造のための、少なくとも1つの細胞毒性剤に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの使用である。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合する。前記対象は、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩を投与されているか、既に投与されたか、または今後投与される予定である。
【0027】
第10態様が提供するのは、下記(a)および(b)を対象に投与する工程を含む、造血幹細胞移植のために前記対象を準備する方法である:
(a)少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片がCD300fに特異的に結合する、イムノコンジュゲートの有効量;
(b)フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩の有効量。
【0028】
他の第10態様が提供するのは、造血幹細胞移植のための対象の準備における使用のための、下記(a)および(b)である:
(a)少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片がCD300fに特異的に結合する、イムノコンジュゲート;
(b)フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩。
【0029】
あるいは、他の第10態様が提供するのは、造血幹細胞移植のために対象を準備させる医薬の製造のための、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの使用である。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合する。前記対象は、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩を投与されているか、既に投与されたか、または今後投与される予定である。
【0030】
第11態様が提供するのは、下記(1)および(2)を対象に投与する工程を含む、造血幹細胞移植のために前記対象を準備する方法である:
(1)少なくとも1つの細胞毒性剤に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片はCD300fに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む、イムノコンジュゲートの有効量:
(a)下記(i)および/または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)および/または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(2)リンパ球枯渇剤(典型的には、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩)の有効量。
【0031】
他の第11態様が提供するのは、造血幹細胞移植のための対象の準備における使用のための、下記(1)および(2)である:
(1)少なくとも1つの細胞毒性剤に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲート;
(2)リンパ球枯渇剤(典型的には、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩);
ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む:
(a)下記(i)および/または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)および/または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)。
【0032】
あるいは、他の第11態様が提供するのは、造血幹細胞移植のために対象を準備させる医薬の製造における、少なくとも1つの細胞毒性剤に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの使用である。ここで、前記対象は、リンパ球枯渇剤(典型的には、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩)を、投与されているか、既に投与されたか、または今後投与される予定である。
前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む:
(a)下記(i)および/または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)および/または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)。
【0033】
第12態様が提供するのは、下記(1)および(2)を対象に投与する工程を含む、造血幹細胞移植のために前記対象を準備する方法である:
(1)少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片はCD300fに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む、イムノコンジュゲートの有効量:
(a)下記(i)および/または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)および/または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(2)リンパ球枯渇剤の有効量(典型的には、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩)。
【0034】
他の第12態様が提供するのは、造血幹細胞移植のための対象の準備における使用のための、下記(1)および(2)である:
(1)少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲート;
(2)リンパ球枯渇剤(典型的には、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩);
ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む:
(a)下記(i)および/または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)および/または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)。
【0035】
あるいは、他の第12態様が提供するのは、造血幹細胞移植のために対象を準備させる医薬の製造における、少なくとも1つの細胞毒性剤(典型的には、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分)に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの使用である。ここで、前記対象は、リンパ球枯渇剤(典型的には、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩)を投与されているか、既に投与されたか、または今後投与される予定である。前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む:
(a)下記(i)および/または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)および/または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)。
【0036】
第13態様が提供するのは、下記(1)および(2)を対象に投与する工程を含む、造血幹細胞移植のために前記対象を準備する方法である:
(1)少なくとも1つの細胞毒性剤に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片はCD300fに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む、イムノコンジュゲートの有効量:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む、重鎖可変領域;
(b)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む、軽鎖可変領域;
(2)リンパ球枯渇剤(典型的には、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩)の有効量。
【0037】
他の第13態様が提供するのは、造血幹細胞移植のための対象の準備における使用のための、下記(a)および(b)である:
(a)少なくとも1つの細胞毒性剤に連結された抗体またはその抗原結合断片を含む、イムノコンジュゲート;
(b)リンパ球枯渇剤(典型的には、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩);
ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む、重鎖可変領域;
(b)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む、軽鎖可変領域。
【0038】
あるいは、他の第13態様が提供するのは、
造血幹細胞移植のために対象を準備させる医薬の製造における、少なくとも1つの細胞毒性剤に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの使用である。前記対象は、リンパ球枯渇剤(典型的には、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩)を投与されているか、既に投与されたか、または今後投与される予定である。前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む、重鎖可変領域;
(b)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む、軽鎖可変領域。
【0039】
第14態様が提供するのは、下記(1)および(2)を対象に投与する工程を含む、造血幹細胞移植のために前記対象を準備する方法である:
(1)少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片はCD300fに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む、イムノコンジュゲートの有効量:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む、重鎖可変領域;
(b)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む、軽鎖可変領域;
(2)リンパ球枯渇剤(典型的には、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩)の有効量。
【0040】
他の第14態様が提供するのは、造血幹細胞移植のための対象の準備における使用のための、下記(1)および(2)である:
(1)少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲート;
(2)リンパ球枯渇剤(典型的には、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩);
ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む、重鎖可変領域;
(b)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む、軽鎖可変領域。
【0041】
あるいは、他の第14態様が提供するのは、造血幹細胞移植のために対象を準備させる医薬の製造における、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの使用である。ここで、前記対象は、リンパ球枯渇剤(典型的には、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩)を、投与されているか、既に投与されたか、または今後投与される予定である。前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む、重鎖可変領域;
(b)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)と、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)と、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)と、を含む、軽鎖可変領域。
【0042】
第15態様が提供するのは、造血幹細胞移植のために対象を準備するための医薬組成物である。この医薬組成物は、下記(a)および(b)を含む:
(a)少なくとも1つの細胞毒性剤(典型的には、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分)に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片がCD300fに特異的に結合する、イムノコンジュゲート;
(b)リンパ球枯渇剤(典型的には、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩)。
【0043】
第16態様が提供するのは、造血幹細胞移植のために対象を準備するための医薬組成物である。この医薬組成物は、下記(1)および(2)を含む:
(1)少なくとも1つの細胞毒性剤(典型的には、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分)に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片はCD300fに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む、イムノコンジュゲート:
(a)下記(i)および/または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)および/または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(2)リンパ球枯渇剤(典型的には、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩)。
【0044】
第17態様が提供するのは、造血幹細胞移植のために対象を準備するための医薬組成物である。この医薬組成物は、下記(1)および(2)を含む:
(1)少なくとも1つの細胞毒性剤(典型的には、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分)に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片はCD300fに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む、イムノコンジュゲート:
(a)下記(i)および/または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)および/または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(2)リンパ球枯渇剤(典型的には、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩)。
【0045】
第18態様が提供するのは、造血幹細胞移植のために対象を準備するためのキットである。このキットは、下記(a)および(b)を含む:
(a)少なくとも1つの細胞毒性剤(典型的には、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分)に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートであって、前記抗体またはその抗原結合断片がCD300fに特異的に結合する、イムノコンジュゲート;
(b)リンパ球枯渇剤(典型的には、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩)。
【0046】
第19態様が提供するのは、造血幹細胞移植のために対象を準備するためのキットである。このキットは、下記(1)および(2)を含む:
(1)第1態様、第2態様または第3態様のいずれか1つのイムノコンジュゲート;
(2)リンパ球枯渇剤(典型的には、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩)。
【0047】
第20態様が提供するのは、対象における造血幹細胞および前駆細胞を枯渇させる方法である。この方法は、少なくとも1つの細胞毒性剤(典型的には、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分)に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの有効量を対象に投与する工程を含む。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合する。
【0048】
他の第20態様が提供するのは、対象における造血幹細胞および前駆細胞の枯渇における使用のための、少なくとも1つの細胞毒性剤(典型的には、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分)に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートである。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合する。
【0049】
あるいは、他の第20態様が提供するのは、対象における造血幹細胞および前駆細胞を枯渇させる医薬の製造における、少なくとも1つの細胞毒性剤(典型的には、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分)に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの使用である。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合する。
【0050】
第21態様が提供するのは、第1態様、第2態様または第3態様のいずれか1つのイムノコンジュゲートの有効量を対象に投与する工程を含む、前記対象における造血幹細胞および前駆細胞を枯渇させる方法である。
【0051】
他の第21態様が提供するのは、対象における造血幹細胞および前駆細胞の枯渇における使用のための、第1態様、第2態様または第3態様のいずれか1つのイムノコンジュゲートである。
【0052】
あるいは、他の第21態様が提供するのは、対象における造血幹細胞および前駆細胞を枯渇させる医薬の製造における、第1態様、第2態様または第3態様のイムノコンジュゲートの使用である。
【0053】
第22態様が提供するのは、第1態様、第2態様または第3態様のいずれか1つのイムノコンジュゲートの有効量を対象に投与する工程を含む、造血幹細胞移植のために前記対象を準備する方法である。
【0054】
他の第22態様が提供するのは、造血幹細胞移植のための対象の準備における使用のための、第1態様、第2態様または第3態様のいずれか1つのイムノコンジュゲートである。
【0055】
あるいは、他の第22態様が提供するのは、造血幹細胞移植のために対象を準備させる医薬の製造における、第1態様、第2態様または第3態様のいずれか1つのイムノコンジュゲートの使用である。
【0056】
第23態様が提供するのは、少なくとも1つの細胞毒性剤(典型的には、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分)に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの有効量を対象に投与する工程を含む、造血幹細胞移植のために対象を準備する方法である。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合する。
【0057】
他の第23態様が提供するのは、造血幹細胞移植のための対象の準備における使用のための、少なくとも1つの細胞毒性剤(典型的には、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分)に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートである。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合する。
【0058】
あるいは、他の第23態様が提供するのは、造血幹細胞移植のために対象を準備させる医薬の製造における、少なくとも1つの細胞毒性剤(典型的には、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分)に連結されたイムノコンジュゲートの使用である。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合する。
【0059】
第24態様が提供するのは、少なくとも1つの細胞毒性剤(典型的には、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分)に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの有効量を対象に投与する工程を含む、造血幹細胞移植のために対象を準備する方法である。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む:
(a)下記(i)および/または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)および/または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)。
【0060】
他の第23態様が提供するのは、造血幹細胞移植のための対象の準備における使用のための、少なくとも1つの細胞毒性剤(典型的には、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分)に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートである。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む:
(a)下記(i)および/または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)および/または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)。
【0061】
あるいは、他の第23態様が提供するのは、造血幹細胞移植のために対象を準備させる医薬の製造における、少なくとも1つの細胞毒性剤(典型的には、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分)に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの使用である。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片はCD300fに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む:
(a)下記(i)および/または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)および/または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)、および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】
図1Aは、CD33およびCD300fの遺伝子発現を、線形回帰分析により比較したグラフである。
図1Bは、患者由来AML細胞のCD33およびCD300fのMFI比を、線形回帰分析により比較したグラフである(n=33)。
図1Cは、HSPCの複数のサブタイプにおけるCD300f遺伝子の発現を表すグラフである。****は、P<0.0001を表す(巨核球-赤血球系前駆細胞 vs. 他の全てのサブタイプ)。
図1Dは、正常な骨髄(BM)から得られたHSPCにおけるCD300fのMFI比を表すグラフである。
【
図2】
図2は、フローサイトメトリーによってHSPC群を同定するためのゲーティング戦略のフローである。
【
図3】
図3は、健康なドナーからから得た末梢血のサブセットにおけるCD300fのMFI比を表すグラフである(n=3)。平均値およびSEMを示す。
【
図4】
図4Aは、ヒトデータセットの種々の臓器におけるRNA配列データから得られる、CD300f遺伝子の発現を表すグラフである。****は、P<0.0001を表す(血球、脾臓または肺 vs. 全臓器)。灰色のバーは、造血器官を表す。TPM(100万個の転写物あたりの相対値)。
図4Bは、種々の臓器におけるRNA配列データから得られる、CD33遺伝子の発現を表すグラフである。****は、P<0.0001を表す(血球、脾臓、肺臓 vs. 全臓器)。灰色のバーは、造血器官を示す。TPM(100万個の転写物あたりの相対値)。
【
図5】
図5は、HL-60細胞におけるDCR-2の内部移行の動態を表すグラフである。内部移行率(%)=全体染色のMFIの相対MFI-表面染色の相対MFI。
【
図6】
図6は、PBD二量体と直接複合体化しているDCR-2(DCR-2PBD)の細胞毒性と、PBD二量体と直接複合体化しているCMRF-81(CMRF-81PBD)の細胞毒性を比較したグラフである。HL-60細胞、U937細胞、THP-1細胞およびZ-138細胞における細胞毒性を検討した。RPMI(GlutamaxおよびPen/Strepを含む)およびFCSの中で、細胞株およびイムノコンジュゲートを72時間インキュベートし、イムノコンジュゲートの毒性を決定した。グラフによると、DCR-2-PBDは、CD300f
+AML細胞株を効率的に殺傷するが、CD300f
-ホジキンリンパ腫細胞株を殺傷しない。
【
図7】
図7は、造血前駆細胞のコロニー形成単位に対する、DCR-2 PBDの用量依存性の細胞毒性を表すグラフである。
【
図8】
図8は、骨髄系コロニー形成単位、赤血球系コロニー形成単位および多能コロニー形成単位に対する、DCR-2PBDの用量依存性の細胞毒性を表すグラフである。BFU:バースト形成単位。GEMM:顆粒球、赤血球、マクロファージおよび巨核球。GM:顆粒球マクロファージ。
【
図9】
図9は、DCR-2 PBDの濃度の増加に伴う、AMLのコロニー形成単位の阻害を表すグラフである。duplicateで実施した。*は、P<0.05を表す(196.2pMにおけるCRGH1に対するCFU阻害)。**は、P<0.01を表す(1.6pMにおけるCRGH9に対するCFU阻害)。***は、P<0.001を表す(39.2pMおよび196.2pMにおけるCRGH9に対するCFU阻害)。
【
図10】
図10Aは、DCR-2PBDの細胞毒性を評価するためのフローを表す。
図10Bは、DCR-2PBDの時間依存的な細胞毒性を表すグラフである。FCSを含有するRPMIの中で、細胞株およびイムノコンジュゲートを最大96時間インキュベートした後、生存率を決定した。このグラフによると、DCR-2PBDは、迅速な細胞毒性を呈する。
【
図11】
図11Aは、バイスタンダー的な殺傷を測定するアプローチを表すフローである(バイスタンダー殺傷アッセイ)。
図11Bは、DCR-2PBDによるバイスタンダー的な殺傷の効果を表すグラフである。細胞株HL-60(CD300f
+ve細胞)、Mino(CD300f
-ve細胞)、またはHL-60およびMinoの混合集団を、FCSを含有するRPMIの中で、種々の濃度のDCR-2PBDと共に96時間インキュベートした後、細胞の生存率を決定した。混合集団では、Minoの生存率のみを決定した。
【
図12】
図12は、単球由来樹状細胞の生存における、DCR-2PBD、CMRF-81PBDおよびPBS対照の影響を表すグラフである。
【
図13】
図13は、DCR-2PBDで治療しLPSで活性化させた後における、新鮮な末梢血の樹状細胞のフローサイトメトリー分析のためのゲーティングを表す。
【
図14】
図14のヒストグラムは、LPSで刺激した樹状細胞における活性化マーカーであるCD80およびCD83の上方制御をDCR-2は阻害せず、それゆえ、DCR-2はDCの活性化を阻害しないことを表している。
【
図15】
図15Aは、混合リンパ球反応において、T細胞の増殖に対するDCR-2PBDの影響を試験するアプローチを表すフローである。
図15Bは、混合リンパ球反応においてDCR-2PBDがT細胞の増殖を阻害しないことを表すグラフである。したがって、DCR-2PBDは、T細胞に対する抗原提示を阻害せず、T細胞は分裂できる。
【
図16】
図16Aは、HL-60異種移植マウスモデルにおいて、in vivoにおけるADCの効力を試験するアプローチを表すフローである。5×10
6個のHL-60細胞をマウスに注射した。
図16Bは、PBS、CMRF-81PBDまたはDCR-2PBDにより治療した後における、HL-60異種移植マウスの生存を表すグラフである。
【
図17】
図17は、PBS、CMRF-81PBDまたはDCR-2PBDによってU937 NSG異種移植マウスを治療した後における(投与量:150μg/kgおよび300μg/kg)、U937腫瘍の体積に対する影響を表すグラフである。
【
図18】
図18は、PBS、CMRF-81PBDまたはDCR-2PBDによって治療した後における(投与量:150μg/kgおよび300μg/kg)、U937異種移植マウスの生存を表すグラフである。
【
図19】
図19は、DCR-2PBD単独、フルダラビン単独、またはDCR-2PBDとフルダラビンとの組合せの、HL-60細胞に対する用量依存性の細胞毒性を表すグラフである。
【
図20】
図20Aは、DCR-2-PBDまたはアイソタイプ-PBDを注射してから7日後のヒト化NSGマウスのBMにおける、CD34
+細胞およびCD34
+CD38
-CD90
+細胞の総細胞数を表すグラフである(DCR-2-PBDはn=6、アイソタイプ-PBDはn=5)。**は、P<0.01を表す(アイソタイプ対照コホートと比較すると、DCR-2-PBDコホートではCD34
+細胞およびCD34
+CD38
-CD90
+細胞が減少した)。
図20Bは、DCR-2-PBDおよびアイソタイプ-PBDで治療したヒト化マウスの、血液1μLあたりの細胞数を表すグラフである。**は、P<0.01を表す(アイソタイプ-PBDコホートと比較すると、DCR-2-PBDコホートの末梢血では、骨髄細胞が減少していた)。
【
図21】
図21は、マウスに注射してから6日後における、BMにおける初代AML細胞の計数を表すグラフである。アイソタイプ-PBDおよびDCR-2-PBDで治療した(DCR-2-PBDはn=6、アイソタイプ-PBDはn=5)。*は、P<0.05を表す(アイソタイプ-PBDコホートと比較すると、DCR-2-PBDコホートでは骨髄における初代AML細胞が減少していた)。
【発明を実施するための形態】
【0063】
CD300fは、免疫調節分子であるCD300ファミリーのメンバーであり、ヒト染色体17q25に位置する遺伝子複合体によってコードされている。CD300fは、膜貫通糖タンパク質である。その細胞質領域は、抑制性の免疫受容体抑制性チロシンモチーフ(ITIM)と、ホスファチジルイノシチド-3-キナーゼ(PI3K)リン化部位との両方を有している。CD300ファミリーの他のメンバーと同様に、CD300fは、Ig様細胞外ドメインを1個有している膜貫通糖タンパク質である。
【0064】
本発明者らは既に、CD300fの細胞外ドメインに特異的に結合するモノクローナル抗体を単離している。本明細書においては、このモノクローナル抗体をDCR-2と称する。DCR-2は、WO2018/094460に開示されている。DCR-2を産生するハイブリドーマは、2016年9月27日に、ブダペスト条約に基づいて、CellBank Australia(214 Hawkesbury Rd., Westmead, NSW 2145, Australia)に寄託されている(アクセッション番号:CBA20160029)。
【0065】
DCR-2は、AMLおよびCD34+CD38-白血病幹細胞(LSC)において発現している複数のCD300fのアイソフォームに結合する。
【0066】
この度、本発明者らが見出したところによると、DCR-2が1つ以上のピロロベンゾジアゼピン部分(1つ以上のピロロベンゾジアゼピン二量体など)に連結されると、効果的に白血病細胞を殺傷する。
【0067】
したがって、一態様により提供されるのは、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分(より典型的には、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン二量体)に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートである。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fの細胞外ドメインに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む:
(a)下記(i)および/または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)および/または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)。
【0068】
典型的には、ピロロベンゾジアゼピン部分は、ピロロベンゾジアゼピン二量体である。
【0069】
本技術分野で周知の任意の方法により、PBD二量体と本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片とを連結できる。PBD二量体と抗体とを連結する方法は本技術分野で周知である。例えば、WO2011/130613、WO2011/130616、WO2011/130578、WO2016/064749、US20160256561に開示されている。
【0070】
一実施形態において、イムノコンジュゲートは、下記式(I)またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む。
Ab-(L-P)m (I)
式中、
Abは、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片である。
Lは、リンカーである。
Pは、ピロロベンゾジアゼピン二量体である。
mは、1~10から選択される整数である。典型的には、mは、1、2、3または4である。
【0071】
一実施形態において、イムノコンジュゲートは、下記式(Ia)またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む。
【化1】
式中、
Abは、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片である。
R
2は、C
1~C
6アルキレンまたは下記である。
【化2】
Lは、リンカーであるか、または存在しない。
R
1は、C
1~C
6アルキル(メチルなど)または下記である。
【化3】
nは、0または1である。
mは1、2、3または4である。
【0072】
他の実施形態において、イムノコンジュゲートは、下記式(Ib)またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む。
【化4】
式中、
Abは、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片である。
R
2はC
1~C
6アルキル(メチルなど)または下記である。
【化5】
Lは、リンカーであるか、または存在しない。
R
1は、C
1~C
6アルキル(メチルなど)または下記である。
【化6】
R
5は、下記である。
【化7】
nは、0または1である。
mは、1、2、3または4である。
【0073】
リンカーは、抗体またはPBD二量体の機能に悪影響を及ぼすことなくPBD二量体と抗体とを複合体化させる、任意のリンカーでありうる。抗体薬物複合体の作製に好適なリンカーは、本技術分野で周知である。例えば、US20160303247、US20160367699、US20180147294、US6,214,345、WO2016/064749、US20160256561に開示されている。
【0074】
いくつかの実施形態において、リンカーは、切断可能なリンカーである。切断可能なリンカーは、pH感受性またはプロテアーゼ感受性のリンカーでありうる。いくつかの実施形態において、切断可能なリンカーは、2アミノ酸長以上のペプチジルユニットを有している。典型的には、切断可能なリンカーは、細胞内のペプチダーゼ酵素またはプロテアーゼ酵素に対して感受性を有している。ペプチジルユニットの例としては、Phe-Leu、Val-Ala、Val-Citが挙げられる。いくつかの実施形態において、切断可能なリンカーは、PBD二量体に直接的に連結された切断可能なペプチジルユニット(Phe-Leu、Val-Alaなど)を有している。他の実施形態において、切断可能なペプチジルユニットは、さらなるユニット(スペーサーなど)を介してPBD二量体に連結されている。
【0075】
いくつかの実施形態において、切断可能な第1ペプチジルユニットはPBD二量体に直接連結されており、切断可能な第2ペプチジルユニットは抗体に直接連結されている。いくつかの実施形態において、切断可能な第1ペプチジルユニットおよび第2ペプチジルユニットは、同じである。いくつかの実施形態において、切断可能な第1ペプチドユニットおよび第2ペプチドユニットは、異なっている。
【0076】
抗体とリンカーとの間の結合は、チオエーテル結合、ジスルフィド結合、アミド結合またはエステル結合を介していてもよい。一実施形態において、リンカーと抗体との連結は、抗体のシステイン残基のチオール基とリンカーのマレイミド基とを介している。
【0077】
いくつかの実施形態において、リンカーは、切断不可能なリンカーである。
【0078】
種々の実施形態において、リンカーは、C1~C6アルキレン、C1~C6ヘテロアルキレン、C2~C6アルケニレン、C2~C6ヘテロアルケニレン、C2~C6アルキニレン、C2~C6ヘテロアルキニレン、C3~C8シクロアルキレン、C3~C8ヘテロシクロアルキレン、C6~C14アリーレンまたはC6~C14ヘテロアリーレンを有している。
【0079】
一実施形態において、イムノコンジュゲートに含まれているリンカーは、下記構造を有する。
【化8】
式中、R
3は、下記(a)~(d)からなる群より選択される。
(a)C
1~C
6アルキレン
(b)下記式(式中、qは1~6の整数であり、rは1~15の整数である)
【化9】
(c)下記式(式中、qは1~6の整数であり、R
4はC
1~C
6アルキレンである)
【化10】
(d)下記式(式中、qは1~6の整数である)
【化11】
【0080】
一実施形態において、イムノコンジュゲートに含まれているリンカーは、下記構造を有する。
【化12】
式中、
qは、1~6の整数である。
rは、1~15の整数(典型的には1~12の整数であり、より典型的には1、2、3、4、5、6、7、8、9および10からなる群から選択される整数)である。一実施形態において、rは2である。
【0081】
一実施形態において、イムノコンジュゲートに含まれているリンカーは、下記構造を有する。
【化13】
【0082】
一実施形態において、イムノコンジュゲートは、下記構造を有するか、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【化14】
式中、
Abは本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片である。
mは、1、2、3または4である。
【0083】
実施例に示す通り、本発明者らが見出したところによると、DCR-2は、それ単独では、AMLのNOS/SCIDマウスモデルにおいて生存を延長したり疾患の負荷を軽減したりしない。しかし、ピロロベンゾジアゼピン二量体と連結させると、得られるイムノコンジュゲートには以下の特徴が見られた。
(a)AML細胞を充分に殺傷する。
(b)CD300f-ve細胞をバイスタンダー的に殺傷する。
(c)PBD二量体と結合したCMRF-81mAbよりも、HL-60を接種したNSGマウスの生存を延長する。
(d)PBD二量体と結合したCMRF-81mAbよりも、U937を接種したマウスの腫瘍増殖を遅らせ、生存を延長する。
(e)フルダラビンと相乗的に作用し、細胞毒性作用を増強する。
【0084】
一態様において、本開示は、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分(典型的には、1つ以上のピロロベンゾジアゼピン二量体)に結合した抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートに関する。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fの細胞外ドメインに特異的に結合する。前記抗体またはその抗原結合断片は、下記(a)および(b)を含む:
(a)下記(i)を含む重鎖可変領域:
(i)モノクローナル抗体DCR-2の重鎖可変領域の相補性決定領域1(CDR1)と同一であるCDR1、モノクローナル抗体DCR-2の重鎖可変領域の相補性決定領域2(CDR2)と同一であるCDR2および/またはモノクローナル抗体DCR-2の重鎖可変領域の相補性決定領域3(CDR3)と同一であるCDR3;
(b)下記(i)を含む軽鎖可変領域:
(i)モノクローナル抗体DCR-2の軽鎖可変領域の相補性決定領域1(CDR1)と同一であるCDR1、モノクローナル抗体DCR-2の軽鎖可変領域の相補性決定領域2(CDR2)と同一であるCDR2および/またはモノクローナル抗体DCR-2の軽鎖可変領域の相補性決定領域3(CDR3)と同一であるCDR3。
【0085】
配列表に記載のアミノ酸および核酸配列を、表1に示す。
【0086】
【0087】
DCR-2の重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列は、下記の通りである。
M E S G G G L V Q P G G P L K L S C A A S G F G F S G S W M S W V R Q A P G K G L E W I G Q I N P D S S T I N Y T P S L K D K F I I S R D N A K N T L Y L Q I N K V R S E D T A L Y Y C A R R G F F E G Y S A W F A Y W (配列番号1)
DCR-2の重鎖可変領域のCDR1のアミノ酸配列は、GFGFSGSW(配列番号2)である。
【0088】
DCR-2の重鎖可変領域のCDR2のアミノ酸配列は、INPDSSTI(配列番号3)である。
【0089】
DCR-2の重鎖可変領域のCDR3のアミノ酸配列は、ARRGFFEGYSAWFAY(配列番号4)である。
【0090】
DCR-2の軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列は、下記の通りである。
I L M T Q T P K F L L V S A G D R V T I T C K A S Q S V S N D V A W Y Q Q K P G Q S P S L L I Y Y A S N R N T G V P D R F T G S G Y E T D F T F T I S T V Q A E D L A V Y F C Q Q D Y T S P W T F G G G (配列番号5)
【0091】
DCR-2の軽鎖可変領域のCDR1のアミノ酸配列は、QSVSND(配列番号6)である。
【0092】
DCR-2の軽鎖可変領域のCDR2のアミノ酸配列は、YAS(配列番号7)である。
【0093】
DCR-2の軽鎖可変領域のCDR3のアミノ酸配列は、QQDYTSPWT(配列番号8)である。
【0094】
したがって、本開示は一態様において、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン部分(典型的には、1つ以上のピロロベンゾジアゼピン二量体)に連結された抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートに関する。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fの細胞外ドメインに特異的に結合し、下記(a)および/または(b)を含む:
(a)下記(i)または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列;
(ii)GFGFSGSW(配列番号2)を含む相補性決定領域1(CDR1)、INPDSSTI(配列番号3)を含む相補性決定領域2(CDR2)および/またはARRGFFEGYSAWFAY(配列番号4)を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列;
(ii)QSVSND(配列番号6)を含む相補性決定領域1(CDR1)、YAS(配列番号7)を含む相補性決定領域2(CDR2)および/またはQQDYTSPWT(配列番号8)を含む相補性決定領域3(CDR3)。
【0095】
一実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、下記(a)および(b)を含む:
(a)下記(i)または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)。
【0096】
一実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、下記(a)および/または(b)を含む:
(a)下記(i)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列;
(b)下記(i)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列。
【0097】
一実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、下記(a)または(b)を含む:
(a)下記(i)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)。
【0098】
一実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、下記(a)および(b)を含む:
(a)下記(i)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列と同一である相補性決定領域2(CDR2)および配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)。
【0099】
一実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。一実施形態において、重鎖可変領域は、配列番号1で表されるアミノ酸配列と100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0100】
一実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。一実施形態において、軽鎖可変領域は、配列番号5で表されるアミノ酸配列と100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0101】
種々の実施形態において、CD300fに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、下記(a)~(ee)を含む:
(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(b)配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
(c)配列番号5で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(d)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(e)配列番号1で表されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および、配列番号5で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(f)配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および、配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
(g)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;
(h)配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
(i)配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
(j)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、および、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR2;
(k)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、および、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
(l)配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、および、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
(m)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、および、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR3;
(n)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
(o)配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;
(p)配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3;
(q)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、および、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;
(r)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、および、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3;
(s)配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、および、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3;
(t)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、および、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3;
(u)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、および、配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;
(v)配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、および、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;
(w)配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR3、および、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3;
(x)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、および、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;
(y)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR3、配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、および、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3;
(z)配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR3、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、および、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3;
(aa)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR2、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む重鎖CDR3、配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2、および、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3;
(bb)配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列を含み、かつ、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含むCDR2、および、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域;
(cc)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列を含み、かつ、配列番号6で表されるアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含むCDR2、および、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域;
(dd)配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列を含み、かつ、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含むCDR2、および、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域、ならびに、配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列を含み、かつ、配列番号6で表されるアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含むCDR2、および、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域;
(ee)配列番号15で表されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および、配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
【0102】
一実施形態において、CD300fに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号13で表されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0103】
一実施形態において、CD300fに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号14で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0104】
一実施形態において、CD300fに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号13で表されるアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号14で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0105】
一実施形態において、CD300fに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0106】
一実施形態において、特異的にCD300fに結合する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0107】
一実施形態において、CD300fに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、下記を含む:
配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含むCDR2、および、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域;および、
配列番号6で表されるアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含むCDR2、および、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域。
【0108】
一実施形態において、CD300fに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、下記を含む:
配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含むCDR2、および、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域;および、
配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ、配列番号6で表されるアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含むCDR2、および、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域。
【0109】
一実施形態において、CD300fに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、下記を含む:
配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ、配列番号2で表されるアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含むCDR2、および、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む重鎖可変領域;および、
配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ、配列番号6で表されるアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含むCDR2、および、配列番号8で表されるアミノ酸配列を含むCDR3を含む軽鎖可変領域。
【0110】
2つのアミノ酸配列間の同一性(%)は、本技術分野で周知の任意のアラインメントアルゴリズムを用いて決定できる。例えば、配列解析プログラムのFASTAパッケージ(Lipman & Pearson, (1985) Science 227(4693): 1435-1441)、BLAST(Altschul et al. J. Mol. Biol. 215(3):403-410)が挙げられる。
【0111】
DCR-2は、2016年9月27日にブダペスト条約に基づいてCellBank Australia(214 Hawkesbury Road, Westmead, NSW 2145, Australia)に寄託されたハイブリドーマから得られる(アクセッション番号:CBA20160029)。ブダペスト条約に基づき寄託された、アクセッション番号:CNA20160029のハイブリドーマは、DCR-2を産生する。
【0112】
イムノコンジュゲートとは、薬物などの部分と連結している抗原結合タンパク質を表す。典型的には、イムノコンジュゲートは、抗体薬物複合体(ADC)である。
【0113】
抗体とは、抗原に対して特異的に結合できる免疫グロブリン分子を表す。抗体は、組換え抗体または修飾抗体であってもよく、キメラ抗体、ヒト化抗体、脱免疫化抗体、CDR移植抗体、二重特異性抗体、ヒト抗体などが挙げられる。全長抗体は、典型的には、2本の重鎖に共有結合している2本の軽鎖を含む。全長抗体の重鎖は、それぞれ、重鎖可変領域および重鎖定常領域を含む。全長抗体の軽鎖は、それぞれ、軽鎖可変領域および軽鎖定常領域を含む。全長抗体は、IgG、IgM、IgE、IgD、IgAのうち任意のタイプでありうる。一実施形態において、抗体は、IgGである。
【0114】
本明細書において用いられるとき、抗体の「抗原結合断片」は、抗体の抗原結合ドメインを含み、典型的には、全長抗体と同じエピトープに特異的に結合する抗体の一部を含む。典型的には、抗体の抗体断片は、抗体の重鎖および/または軽鎖の可変領域の一部を含む。典型的には、抗原結合断片は、(i)重鎖可変領域のCDR1領域、CDR2領域および/またはCDR3領域、および/または、(ii)軽鎖可変領域のCDR1領域、CDR2領域および/またはCDR3領域を含む。より典型的には、抗原結合断片は、(i)重鎖可変領域のCDR1領域、CDR2領域およびCDR3領域、および/または、(ii)軽鎖可変領域のCDR1領域、CDR2領域およびCDR3領域を含む。さらに典型的には、抗原結合断片は、(i)重鎖可変領域のCDR1領域、CDR2領域およびCDR3領域、および、(ii)軽鎖可変領域のCDR1領域、CDR2領域およびCDR3領域を含む。いくつかの実施形態において、抗体の抗原結合断片は、抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。重鎖可変領域および軽鎖可変領域の部分は、異なるポリペプチド鎖に位置していてもよいし(Fv断片など)、軽鎖可変領域および重鎖可変領域がペプチドリンカーで連結されている1本のポリペプチド鎖に位置していてもよい(scFvタンパク質)。抗体の抗原結合断片の例としては、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、sFv、scFvが挙げられる。
【0115】
本明細書において用いられるとき、抗体の抗原結合断片には、抗体の抗原結合ドメインを含む1つ以上のポリペプチドが含まれる(F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、sFv、scFvなど)。
【0116】
「抗原結合ドメイン」とは、抗原に特異的に結合できる抗体の領域を表す。典型的には、抗原結合ドメインは、(i)抗体の軽鎖可変領域のCDR1、CDR2および/またはCDR3、および/または、(ii)抗体の重鎖可変領域のCDR1、CDR2および/またはCDR3を含む。より典型的には、抗原結合ドメインは、抗体の軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3、および/または、抗体の重鎖可変領域のCDR1、CDR2および/またはCDR3を含む。さらに典型的には、抗原結合ドメインは、抗体の軽鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3、ならびに、抗体の重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3を含む。
【0117】
用語「可変領域」とは、抗体の軽鎖および/または重鎖の部分であって、抗原に特異的に結合できる部分を表す。可変領域は、相補性決定領域(CDR)およびフレームワーク領域(FR)を含む。フレームワーク領域は、可変領域のうち、相補性決定領域以外の部分である。
【0118】
用語「相補性決定領域」とは、抗体の軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域の可変領域の3つのアミノ酸配列のうちの1つを表し、抗体が抗原に対して特異的に結合する能力の主要な原因である。軽鎖および重鎖の可変領域の3つの相補性決定領域を、CDR1、CDR2およびCDR3と称する。
【0119】
軽鎖および重鎖の可変領域のCDR領域およびフレームワーク(FR)領域を決定する方法は、本技術分野で周知である。例えば、CDRおよびFRに割り当てられるアミノ酸の位置は、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest, National Institute of Health, Bethesda, MD, 1987 and 1991; Enhanced Clothia Numbering Scheme; Clothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917; Clothia et al. Nature 342: 877-883; Honnegher and Plukthun, J. Mol. Biol. 309: 657-670.に従って定義できる。抗体またはその抗原結合断片は、CD300fの細胞外ドメインに特異的に結合する。本明細書において用いられるとき、「CD300fの細胞外ドメインに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片」とは、他の抗原と比較するとCD300fの細胞外ドメインに対して、より頻繁に、より迅速に、より長時間にわたって、またはより高い親和性で相互作用する抗体またはその抗原結合断片である。
【0120】
抗体の可変ドメインは、本技術分野で周知の従来技術によってクローニングできる(例えば、Sambrook and Russell, Eds, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rdEd, vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2001を参照)。一般的に、抗体(マウス抗体など)の軽鎖可変領域および重鎖可変領域の配列は、種々の分子クローニング手法により得られる(RT-PCR、5’-RACE、cDNAライブラリースクリーニングなど)。
【0121】
本明細書において用いられるとき、キメラ抗体とは、ある種の抗体(典型的にはマウス抗体)の相補性決定領域(CDR;典型的には可変領域)と、抗体分子の定常ドメインとを含む抗体タンパク質を表す。いくつかの実施形態において、フレームワーク領域(FR)は、他の種(ヒトなど)に由来する。
【0122】
ヒト化抗体とは、キメラ抗体の一種である。ヒト化抗体では、CDRのアミノ酸配列がある種(マウスなど)の抗体に由来しており、定常領域のアミノ酸配列が(および、典型的にはフレームワーク領域も)ヒト抗体に由来する。
【0123】
一実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、キメラ抗体である。このキメラ抗体は、DCR-2の相補性決定領域(CDR)と、典型的にはDCR-2のフレームワーク領域(FR)とを含む。キメラ抗体は、ヒト抗体の軽鎖および重鎖の定常領域を含んでいてもよい。キメラ化モノクローナル抗体に由来する抗体成分を使用することにより、マウス定常領域の免疫原性に伴う潜在的な問題が軽減される。典型的には、抗体は、ヒト化抗体である。マウス抗体および抗体断片のヒト化は、当業者にとって周知である(例えば、US5225539、US6054297、US7566771に開示されている)。例えば、ヒト化モノクローナル抗体は、(i)マウス免疫グロブリンの重鎖可変鎖および軽鎖可変鎖から、マウスの相補的決定領域をヒトの可変領域に移植し、次に、(ii)フレームワーク領域におけるマウスの残基をヒトの残基で置換することにより、作製できる。ヒトの定常領域配列に加えてヒトのフレームワーク領域配列を使用することにより、HAMA反応を惹起する機会がさらに減少する。
【0124】
抗体は、充分に確立された種々の技術により、血清およびハイブリドーマ培養物から単離および精製できる。単離技術の例としては、プロテインAセファロースを使用したアフィニティクロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィが挙げられる。例えば、Coligan, pp.2.7.1-2.7.12, pp.2.9.1-2.9.3を参照。また、Baines et al., "Purification of Immunoglobulin G (IgG)," in Methods in Molecular Biology, Vol. 10, pages 79-104 (The Humana Press, Inc. 1992)をも参照。
【0125】
いくつかの実施形態において、抗体の抗原結合断片は、抗体の重鎖および/または軽鎖の可変領域の部分を含む。重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域の部分は、異なるポリペプチド鎖に位置していてもよいし(Fv断片など)、軽鎖可変領域および重鎖可変領域がペプチドリンカーにより連結されている1本のポリペプチド鎖に位置していてもよい(scFvタンパク質など)。抗体断片の例としては、F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、sFv、scFvが挙げられる。典型的には、抗体断片は、(i)重鎖可変領域のCDR1領域、CDR2領域およびCDR3領域、および/または、(ii)軽鎖可変領域のCDR1領域、CDR2領域およびCDR3領域を含む。特定のエピトープを認識する抗体断片は、公知の技術により作製できる。例えば、F(ab’)2断片は、抗体分子をペプシンで消化することにより作製できる。上記の方法および他の方法は、例えば、Coligan, pp.2.8.1-2.8.10, pp.2.10.-2.10.4に開示されている。あるいは、Fab’発現ライブラリを構築して、所望の特異性を有するFab’断片を迅速かつ容易に同定することもできる。
【0126】
いくつかの実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、天然に存在するIgGよりも半減期が短い。造血幹細胞移植においては、移植されるドナー組織への損傷を低減するために、抗体の半減期を短縮することが有用である。例えば、胎児性Fc受容体(FcRn)認識部位を除去することにより、抗体の半減期を短縮できる。IgG抗体のFcRn認識部位は、IgGのFc部分のCH2~CH3領域に存在する。IgGのCH2~CH3領域を取り除くと、FcRn認識領域が除去され、これにより抗体の半減期が短縮される。F(ab’)2、Fab’、Fab、Fv、sFv、scFvなどの抗体断片は、FcRn認識部位を欠いている。
【0127】
抗体薬物複合体(ADC)を作製する方法は本技術分野で周知である。例えば、Alley et al., Current Opinion in Chemical Biology, 2010 14:1-9、US20160303247、US20160367699、US20180147294、WO2016/064749、US9399641、US10010624に開示されている。PBD二量体および抗体(またはその抗原結合断片)を複合体化させるためのPBD二量体およびリンカーの組合せは、例えば、WO2011/130613、WO2011/130616、WO2011/130578、WO2016/064749に開示されている。さらに、ADCを調製するためのキットが、例えば、Levena Biopharma, CAから市販されている。
【0128】
本明細書に記載のイムノコンジュゲートを、医薬組成物として製剤化してもよい。したがって、さらなる態様が提供するのは、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン分子(典型的には、1つ以上のピロロベンゾジアゼピン二量体)に連結された本明細書に記載の単離されたDCR-2抗体またはその抗原結合断片と、薬学的に許容されるキャリアとを含む医薬組成物を提供する。
【0129】
「薬学的に許容されるキャリア」とは、当該キャリアが組成物に含まれる他の成分との適合性を有しており、対象に対して有害でないことを表す。組成物は、下記に記載の他の治療薬を含有していてもよい。例えば、従来の液状ビヒクルまたは稀釈剤に加えて、所望の投与方法にとって適当な種類の医薬品添加物(賦形剤、結合剤、保存剤、安定剤など)を利用して、組成物を製剤化してもよい。製剤化は、医薬品製造分野で周知の技術によることができる(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., 2005, Lippincott Williams & Wilkinsを参照)。
【0130】
医薬組成物の形態は、典型的には、無菌の注射用水性懸濁液である。この懸濁液は、公知の技術に従って製剤化でき、水性懸濁液の製造に適した添加剤との混合物の形で有効成分を含有している。このような添加剤の例としては、懸濁剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム、アラビアガムなど)が挙げられる。分散剤または湿潤剤の例としては、天然のホスファチド(例えば、レシチン、ポリオキシエチレンステアリン酸エステルなどのアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物、ヘプタデカエチレンオキシセタノールなどのエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレイン酸エステルなどのエチレンオキシドと脂肪酸由来部分エステルおよびヘキシトールとの縮合物、ポリエチレンソルビタンモノオレイン酸エステルなどのエチレンオキシドと脂肪酸由来部分エステルおよびヘキシトール無水物との縮合物)が挙げられる。水性懸濁液はまた、1つ以上の保存剤(エチルベンゾエート、n-プロピルベンゾエート、p-ヒドロキシベンゾエートなど)、1つ以上の着色剤、1つ以上の香料、1つ以上の甘味料(スクロース、サッカリンなど)を含んでもよい。
【0131】
無菌の注射用調製物はまた、非毒性かつ非経口的に許容される稀釈剤または溶媒(1,3-ブタンジオールなど)中の、無菌の注射用溶液または懸濁液であってもよい。採用できる許容可能なビヒクルおよび溶媒の例としては、水、リンゲル液、生理食塩水が挙げられる。さらに、無菌の不揮発性油も、溶媒または懸濁媒として常用できる。この目的には、無刺激性の任意の不揮発性油を使用できる(合成されたモノジグリセリドまたはジグリセリドなど)。さらに、オレイン酸などの脂肪酸も、注射用製剤の調製において使用される。
【0132】
WO2018/094460に開示されている通り、DCR-2は、CD300fを発現する細胞に結合する(造血幹細胞および前駆細胞、AML細胞、白血病幹細胞など)。
【0133】
したがって、本明細書に記載のイムノコンジュゲートは、CD300fの発現に関連する状態に罹患している対象を治療するために使用できる。したがって、さらなる態様が提供するのは、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン分子(典型的には、1つ以上のピロロベンゾジアゼピン二量体)に結合した抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、CD300fの発現に関連する状態(AMLなど)を治療する方法である。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合し、下記(a)および(b)を含む:
(a)下記(i)および/または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)および/または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一(典型的には、少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、または少なくとも99%同一)であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)。
【0134】
一実施形態において、CD300fの発現に関連する状態は、骨髄性白血病である。一実施形態において、骨髄性白血病は、AMLである。
【0135】
種々の実施形態においては、本明細書に記載のイムノコンジュゲートの有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、CD300fの発現に関連する状態(AMLなど)を治療する方法が提供される。
【0136】
典型的には、イムノコンジュゲートを、本明細書に記載の薬学的に許容される組成物として投与する。
【0137】
同種間造血幹細胞移植に伴う病的状態の大部分は、非特異的で毒性のある前処置剤に起因している。レシピエントの造血幹細胞および前駆細胞(HSPC)を上首尾に定着させるには、これを除去することが求められる。本明細書に記載のCD300fイムノコンジュゲートは、HSPC、AML細胞株およびコロニー形成単位を効果的に枯渇させる。実施例に記載の通り、本明細書に記載のCD300fイムノコンジュゲートを単回注射すると、複数の細胞株が含まれているマウス異種移植片の生存を延長し、移植された初代AMLを枯渇させる。ヒト化マウスモデルにおいて、抗体複合体を単回注射すると、CD34+HSPCおよびCD34+CD38-CD90+HSCが枯渇される。
【0138】
CD300fを標的とすることにより、HSPCおよびAML細胞の効率的な枯渇させられる。このことは、本明細書に記載のCD300fイムノコンジュゲートを同種間造血幹細胞移植のための前処置レジメンにおいて使用することができ、それゆえ、放射線照射またはアルキル化剤療法などの非特異的で毒性のある前処置剤を使用しなくて済むことを意味している。
【0139】
したがって、一態様において提供されるのは、造血幹細胞移植のために対象を準備する方法であって、抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの有効量を対象に投与する工程を含む方法である。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合し、少なくとも1つの細胞毒性剤(少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン二量体など)に連結されている。一実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、下記(a)および(b)を含む:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖可変領域;
(b)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖可変領域。
【0140】
さらなる態様が提供するのは、抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの有効量を対象に投与する工程を含む、対象における造血幹細胞を枯渇させる方法である。ここで、前記抗体またはその抗原結合断片は、CD300fに特異的に結合し、少なくとも1つの細胞毒性剤(少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン二量体など)に連結されされている。一実施形態において、前記抗体またはその抗原結合断片は、下記(a)および(b)を含む:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖可変領域;
(b)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖可変領域。
【0141】
本明細書において用いられるとき、細胞毒性剤とは、細胞と接触するか、または細胞に導入されたときに、細胞に対して細胞傷害効果を有する化合物である。細胞傷害効果とは、細胞死または細胞生存率の低下でありうる。
【0142】
実施例に記載の通り、本発明者らがさらに見出したところによると、AML細胞株HL-60をDCR-2と連結したピロロベンゾジアゼピン二量体(DCR-2PBD)およびフルダラビンで処理すると、併用処置による細胞傷害効果は、DCR-2PBDの細胞傷害効果およびフルダラビンの細胞傷害効果の合計よりも大きくなる。これに関連して本発明者らが見出したところによると、DCR-2PBDとフルダラビンとの組合せの細胞傷害効果は、相乗的である。
【0143】
DCR-2PBDとフルダラビンとの組合せ効果は相乗的である。そのため、本発明者らが予想するところによると、フルダラビンをDCR-2PBDと組合せて使用すると、より低濃度かつ認容可能な濃度でフルダラビンを使用できる。本発明者らが予想するところによると、この相乗効果は、造血幹細胞移植のために対象を準備するときに利用できる。放射線照射およびアルキル化剤による治療をなくし、使用するフルダラビンの濃度を低下させることにより、高濃度のフルダラビンの毒性のために従前は造血幹細胞移植が治療オプションとならなかった患者に移植を施せる可能性がある(高齢の対象、遺伝性障害に罹患している対象など)。
【0144】
したがって、一実施形態が提供するのは、造血幹細胞移植のために対象を準備する方法である。この方法は、CD300fに特異的に結合し、少なくとも1つのピロロベンゾジアゼピン二量体に連結されている抗体またはその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートの有効量と、リンパ球枯渇剤の有効量とを対象に投与する工程を含む。本明細書において用いられるとき、リンパ球枯渇剤とは、対象に投与したときにリンパ球を枯渇させる薬剤である。一実施形態において、リンパ球枯渇剤は、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩である。一実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、下記(a)および(b)を含む:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む重鎖可変領域;
(b)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)を含む軽鎖可変領域。
【0145】
一実施形態において、重鎖可変領域は配列番号1を含み、軽鎖可変領域は配列番号5を含む。
【0146】
一実施形態が提供するのは、造血幹細胞移植のために対象を準備するための医薬組成物である。この医薬組成物は、下記(1)および(2)を含む:
(1)CD300fに特異的に結合し、少なくとも1つのPBD二量体に結合している抗体またはその抗原結合断片イムノコンジュゲート;
(2)リンパ球枯渇剤。
【0147】
一実施形態において、リンパ球枯渇剤は、フルダラビンまたはその薬学的に許容される塩である。
【0148】
一実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、下記(a)および(b)を含む:
(a)下記(i)および/または(ii)を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号1で表されるアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号3で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号4で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3);
(b)下記(i)および/または(ii)を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号5で表されるアミノ酸配列と少なくとも70%同一であるアミノ酸配列;
(ii)配列番号6で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域1(CDR1)、配列番号7で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域2(CDR2)および/または配列番号8で表されるアミノ酸配列を含む相補性決定領域3(CDR3)。
【0149】
一実施形態において、重鎖可変領域は配列番号1を含み、軽鎖可変領域は配列番号5を含む。
【0150】
本明細書に記載の医薬組成物は、任意の適切な手段により投与されうる。投与は、典型的には、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、皮内注射、脳槽内注射、点滴などの非経口投与である(例えば、無菌の注射用水溶液または懸濁液として)。投与は、典型的には、非毒性の薬学的に許容されるビヒクルまたは稀釈剤を含む投与単位製剤において行う。抗体またはその抗原結合断片を、例えば、即時放出または長期放出に適した形態で投与してもよい。即時放出または長期放出は、化合物を含む適切な医薬組成物の使用により達成できる。あるいは、特に長期放出の場合には、皮下インプラントまたは浸透圧ポンプなどの装置の使用によっても達成できる。
【0151】
投与のための医薬組成物は、投薬単位の形態で便利に提供してもよい。この形態は、薬学分野で周知の任意の方法により調製できる。一般的には、化合物と液体キャリアとを均一かつ密接に関連させることにより、医薬組成物を調製する。医薬組成物には、疾患の進行または状態に対して所望の効果を生じさせるのに充分な量の活性化合物が含まれている。本明細書において用いられるとき、用語「組成物」には、特定量の特定成分を含む製品に加えて、特定量の特定成分の組合せから直接的または間接的に生じる任意の製品が含まれることが意図される。
【0152】
薬学的に許容される塩の例としては、薬学的に許容されるカチオンの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩など);薬学的に許容される無機酸の酸付加塩(塩酸塩、オルトリン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、スルファミン酸塩、臭化水素酸塩など);薬学的に許容される有機酸の塩(酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ムチン酸塩、グルコン酸塩、安息香酸塩、琥珀酸塩、シュウ酸塩、フェニル酢酸塩、トリハロ酢酸塩(トリフルオロ酢酸塩など)、メタンスルホン酸塩、トリハロメタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、サリチル酸塩、スルファニル酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、エデト酸塩、ステアリン酸塩、パルミチン酸塩、オレイン酸塩、ラウリン酸塩、パントテン酸塩、タンニン酸塩、アスコルビン酸塩、吉草酸塩など)が挙げられる。
【0153】
一般的に、用語「治療」とは、対象、組織または細胞に影響を及ぼし、所望の薬学的効果および/または生理学的効果を得ることを意味する。治療には、次の(a)~(c)のいずれかが含まれる。(a)疾患が発生する傾向にあるが疾患を有するとは診断されていない対象において、疾患の発生を予防すること。(b)疾患を阻害すること(すなわち、疾患の進行を阻止すること)。(c)疾患の影響を軽減または改善すること(すなわち、疾患の影響を後退させること)。一実施形態においては、治療の結果、レシピエント対象において、CD300fを発現している細胞(AML細胞および/またはLSC細胞など)の数が減少する。
【0154】
用語「対象」とは、本発明の方法による治療を必要とする疾患を有している、任意の動物を表す。霊長類(ヒトなど)に加えて、他の種々の哺乳動物を本発明の方法により治療できる。一例を挙げると、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット、または他のウシ類、ヒツジ類、ウマ類、イヌ類、ネコ類、齧歯類もしくはネズミ類の生物種などの哺乳動物を治療できる(ただし、これらに限定されない)。特に、イヌは、多発性骨髄腫を発症することが知られている。
【0155】
用語「治療有効量」とは、組織、系、動物またはヒトの生物学的反応または医学的反応であって、研究者、獣医師、医師または他の臨床家が求めている反応を惹起する、イムノコンジュゲートの量を表す。
【0156】
造血幹細胞移植およびAMLの治療または予防において、適切な用量レベルは、一般的に約0.01~50mg/kg患者体重/日であり、単回投与であってもよいし、複数回投与であってもよい。用量は、好ましくは約0.1~約25mg/kg/日であり、より好ましくは約0.5~約10mg/kg/日である。適切な用量レベルは、約0.01~25mg/kg/日、約0.05~10mg/kg/日または約0.1~5mg/kg/日でありうる。この範囲内で、用量は、0.05~0.5mg/kg/日または0.5~5mg/kg/日でありうる。
【0157】
理解されるであろうことには、任意の特定の患者のための投薬の特定の用量レベルおよび投与頻度は、変化することがあり、また種々の因子に依存する。因子の例としては、使用される特定の化合物の活性、化合物の代謝安定性および作用の長さ、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与方法および投与時刻、排泄速度、薬物の組合せ、特定の状態の重篤度、治療を受けている対象が挙げられる。
【0158】
また、本明細書において開示されるのは、本明細書に記載のイムノコンジュゲートを含む、CD300fの発現に関連する状態(AMLなど)の治療のためのキットである。キットは、典型的には、イムノコンジュゲートで満たされた1つ以上の容器を含む。
【0159】
一実施形態において、キットは、1つ以上の容器に含まれるイムノコンジュゲートと、CD300fの発現に関連する状態(AMLなど)の治療に有用な1つ以上の他の治療薬および/または造血幹細胞移植に有用な1つ以上の他の治療薬と、を含む。
【0160】
本明細書において用いられるとき、抗原に対して「特異的に結合する」抗体またはその抗原結合断片とは、他の抗原または細胞に対するときよりも、より頻繁に、より迅速に、より長い持続時間で、および/または、より高い親和性で当該抗原と反応または会合する、抗体またはその抗原結合断片である。例えば、CD300fに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、他の抗原または細胞に対するときよりも、より頻繁に、より迅速に、より長い持続時間で、および/または、より高い親和性でCD300fと反応または結合する、抗体またはその抗原結合断片である。典型的には、CD300fに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片は、CD300fの細胞外ドメインに特異的に結合する。したがって、抗体またはその抗原結合断片は、他の抗原または細胞に対するときよりも、CD300fの細胞外ドメインとより頻繁に、より迅速に、より長い持続時間で、および/または、より高い親和性で反応または結合する。
【0161】
「抗体薬物複合体」(ADC)とは、1つ以上の薬物(細胞毒素など)と複合体化している抗体またはその抗原結合断片である。典型的にはリンカーを介して複合体化している。
【0162】
本明細書において用いられるとき、用語「連結された(linked, coupled)」は、同じ意味であり、交換可能に使用されうる。
【0163】
本明細書において用いられるとき、「リンカー」とは、抗体またはその抗原結合断片と、薬物(例えば、細胞毒素)などの部分とを連結する分子である。リンカーは、典型的には、抗体に含まれるシステインのチオール基またはリシンのアミン基を介して抗体に連結されている。典型的には、チオール反応性基(マレイミドにおけるもののような二重結合など)、脱離基(クロロ基、ブロモ基、ヨード基、R-スルファニル基、スルホニル基など)、アミン反応性基(カルボキシル基、本明細書で定義される基など)との反応によって、リンカーは形成される。用語「リンカー」は、複合体化している状態のリンカーを表す際に使用される。このとき、リンカー、抗体(またはその抗原結合断片)および細胞毒素との間で結合が形成されるので、反応性末端の一方または両方は存在していない。
【0164】
本明細書において用いられるとき、用語「アルキル」および「アルキレン」とは、直鎖または分枝の飽和炭化水素基を表す。適切に使用されるとき、アルキル基またはアルキレン基は、特定の個数の炭素原子を有していることがある(C1-6アルキル、C1-6アルキレンなど)。これらの基は、1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子を有しており、炭素原子は直鎖状または分枝状に配置されている。好適なアルキレン基の例としては、メチレン、エチレン、n-プロピレン、i-プロピレン、n-ブチレン、i-ブチレン、t-ブチレン、n-ペンチレン、2-メチルブチレン、3-メチルブチレン、4-メチルブチレン、n-ヘキシレン、2-メチルペンチレン、3-メチルペンチレン、4-メチルペンチレン、5-メチルペンチレン、2-エチルブチレン、3-エチルブチレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレンが挙げられる(ただし、これらには限定されない)。好適なアルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、4-メチルブチル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、5-メチルペンチル、2-エチルブチル、3-エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルが挙げられる(ただし、これらには限定されない)。
【0165】
本明細書において用いられるとき、用語「アルケニレン」とは、炭素原子間に1つ以上の二重結合を有し、2~10個の炭素原子を有する直鎖または分枝の炭化水素基を表す。適切に使用されるとき、アルケニレン基は、特定の数の炭素原子を有していることがある。例えば、「C2~C6アルケニレン」のC2~C6には、直線状または分枝状に配置されている2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子を有する基が含まれる。アルケニレン基の例としては、エテニレン、プロペニレン、イソプロペニレン、ブテニレン、ブタジエニレン、ペンテニレン、ペンタジエニレン、ヘキセニレン、ヘキサジエニレン、ヘプテニレン、オクテニレン、ノネニレン、デセニレンが挙げられる(ただし、これらには限定されない)。
【0166】
本明細書において用いられるとき、用語「アルキニレン」とは、1つ以上の三重結合を有し、2~10個の炭素原子を有する、直鎖または分枝の炭化水素基を表す。適切に使用されるとき、アルキニレン基は、特定の数の炭素原子を有していることがある。例えば、「C2~C6アルキニレン」のC2~C6には、直線状または分枝状に配置されている2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子を有する基が含まれる。好適なアルキニレン基の例としては、エチニレン、プロピニレン、ブチニレン、ペンチニレン、ヘキシニレンが挙げられる(ただし、これらには限定されない)。
【0167】
本明細書において用いられるとき、用語「シクロアルキレン」とは、飽和環状炭化水素を表す。シクロアルキレン環は、特定の数の炭素原子を有していることがある。例えば、3~8員シクロアルキレン基には、3個、4個、5個、6個、7個または8個の炭素原子が含まれる。好適なシクロアルキレン基の例としては、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレンが挙げられる(ただし、これらには限定されない)。
【0168】
本明細書において用いられるとき、用語「アリーレン」とは、安定な単環式、二環式または三環式の炭素環を意味しており、各環は最大で7個の原子を有しており、少なくとも1個の環は芳香族である。アリール基の例としては、フェニレン、ナフチレン、テトラヒドロナフチレン、インダニレン、フルオレニレン、フェナントレニレン、ビフェニレン、ビナフチレンが挙げられる(ただし、これらには限定されない)。
【0169】
本明細書において用いられるとき、用語「ヘテロアルキレン」「ヘテロアルキニレン」または「ヘテロシクロアルキレン」とは、少なくとも1個の炭素原子がヘテロ原子により置換されている炭化水素を表す。ヘテロ原子は、N、N(R)、S、S(O)、S(O)2およびOからなる群より独立して選択される。
【0170】
本明細書において用いられるとき、用語「ヘテロアリーレン」とは、安定な単環式、二環式または三環式の環を表しており、各環は最大で7個の原子を有しており、少なくとも1個の環は芳香族であり、少なくとも1個の環は1~4個のヘテロ原子を有している。ヘテロ原子は、O、NおよびSからなる群より選択される。
【0171】
理解されたいことには、本明細書において用いられている用語は、特定の実施形態のみを記載するためのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられるとき、単数形の「a」「an」および「the」は、文脈上明らかに異なる場合を除き、複数への言及を包含している。したがって、例えば、「抗体(an antibody)」との言及は、複数の当該抗体を包含している。異なる定義がなされていない限り、本明細書において用いられている全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。
【0172】
本明細書に記載のものと類似または均等の任意の材料および方法を使用して、本発明を実施または試験できる。しかし、好ましい材料および方法は、本明細書に記載のものである。
【0173】
本明細書に記載の全ての刊行物は、プロトコルおよび試薬を説明および開示する目的のために引用される。これらのプロトコルおよび試薬は、上記刊行物中に開示されており、本発明に関連して使用できる。本明細書のいかなる内容も、先の発明を理由に、本発明が上記刊行物中の開示に先行する権利がないことの自認として解釈されない。
【0174】
本明細書において言及されている全ての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。当業者であれば理解するであろうところによると、広汎に説明されている本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、特定の実施形態に示されているように、本発明に多数の変形および/または変更を施すことができる。したがって、本実施形態は、あらゆる点において例示的であり、限定的ではないと解釈すべきである。
【0175】
下記の特許請求の範囲および上述の本発明の説明においては、明示的な言明または必然的な含意に基づいて文脈上そうではない場合を除いて、単語「含む」およびその変化形(comprise, comprises, comprising)は、包括的な意味で使用される。すなわち、記載された特徴点が存在することを特定しているが、本発明の種々の実施形態において、さらなる特徴点の存在または追加を排除しない。
【0176】
本出願はオーストラリア特許出願第2019902714号の優先権を主張する。同出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0177】
本発明の性質を例示して、これをより明確に理解できるようにするために、以下に非限定的な実施例を提供する。
【実施例】
【0178】
造血幹細胞移植(HSCT)は、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性新生物、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、骨髄機能不全症候群、鎌状赤血球症、サラセミア、原発性免疫不全障害、遺伝性代謝障害、遺伝子改変自家移植などの多くの状態の治療に利用されている。
【0179】
造血幹細胞移植における治療関連死亡率(TRM)は、特に65歳超においては、依然として顕著である。HSCT前処置の一環としての、抗体により造血幹細胞および前駆細胞(HSPC)を枯渇させる治療を開発すれば、HSPCを枯渇させる従来の方法(アルキル化剤、放射線照射など)を減らしたりなくしたりできる可能性がある。
【0180】
CD300fは、正常な骨髄性抗原提示細胞(APC)に見られる抑制性の受容体である(Borrego F. Blood. 2013;121(11):1951-1960; Clark et al. Trends Immunol. 2009; 30(5):209-217)。CD300fは、AML細胞およびHSPCにおいて、高発現している(Korver et al. Leukemia. 2009;23(9):1587-1597; Abadir et al. Mol Oncol. 2019; 13(10):2107-2120)。本発明者らは、同種間HSCTの前処置に抗CD300f ADCを用いて、伝統的な非特異的毒性物質を減少および/または不使用とすることにより、再発および毒性を低下させる方法を実証した。
【0181】
〔材料および方法〕
[組織サンプルの作製]
AML患者の血液サンプルおよび骨髄サンプル(BMサンプル)は、Concord Repatriation General Hospital (CRGH)またはRoyal Prince Alfred (RPA) Hospital (Sydney Australia)において採取した。健康なドナーの末梢血サンプル(PBサンプル)またはBMサンプルは、CRGHにおいて採取した。臍帯血サンプル(CBサンプル)は、Sydney CB bankにおいて採取した。Sydney Local District Human Research Ethics Committeeの倫理的承認の下、全てのドナーにインフォームド・コンセントを提供した(HREC/12/CRGH/59, HREC/11/CRGH/61 & 118)。Ficoll-Paque Plus(GE Healthcare)による密度勾配遠心分離を使用して、製造者のプロトコルに従い、単核細胞(MC)をサンプルから単離した。BM吸引液は、健康な参加者の後腸骨稜から採取した。22ゲージの針にサンプルを通してBM断片を破砕した後、上述したMCの単離に先立って濾過した。ヒト単球は、CD14マイクロビーズによる選択によってMCから精製した(AutoMACS Pro(Miltenyi Biotec)を使用した)。
【0182】
[細胞株]
AML細胞株のHL-60およびTHP-1ならびに赤白血病細胞株のHELは、Christchurch School of Medicine, University of Otagoから取得した。U973、Z-138およびMino細胞株は、American Type Culture Collection(ATCC)から取得した。全ての細胞株は、10%FCS、2mM Gluta-MAX、100U/mLペニシリンおよび100μg/mLストレプトマイシンを含有するcomplete RPMI 1640(完全RPMI;ThermoFisher)中で維持した。
【0183】
[遺伝子発現]
AMLの遺伝子発現データは、Gene Expression Omnibus microarray dataset GSE14468(Wouters et al. Blood. 2009; 113(13):3088-3091)から検索した。HSPCの遺伝子発現は、GSE42519、GSE17054およびGSE19599から検索した(Rapin et al. Blood. 2014;123(6):894-904; Majeti et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2009;106(9):3396-3401)。一連のマトリクスファイルをRで解析し、CD300LF(1553043_a_at)およびCD33(206120_at)に対応するプローブIDおよびシグナル値を抽出した。GTExデータをRStudioで解析した。CD300LFおよびCD33について、組織タイプおよび100万個の転写物あたりの転写データを、このデータセットに含まれる全ての実験から抽出した。
【0184】
[抗体ならびにDCR-2ピロロベンゾジアゼピン(PBD)およびアイソタイプ-PBDの作製]
モノクローナル抗体DCR-2(IgG1、κ)は、2016年9月27日にブダペスト条約に基いてCellBank Australia(214 Hawkesbury Road, Westmead, NSW 2145, Australia)に寄託されたハイブリドーマから産生させた(アクセッション番号:CBA20160029)。DCR-2は、マウス免疫グロブリンG1抗体であり、CD300fの全ての細胞外形態に結合する。
【0185】
天然のシステインを反応させることにより、カテプシンBで切断可能リンカーであるMA-PEG4-VA-PBD(SET0212-Levena Biopharma, CA)を介して抗体とピロロベンゾジアゼピン二量体とを複合体化させた。概略すると、mAbを10mMジチオエリトリトールで還元して、鎖間のジスルフィドから遊離したチオールを露出させ、PD-10カラムで精製した。還元された抗体(抗体の2mLアリコート)を、10倍モル過剰(10mg/mL)のPBDリンカー(MA-PEG4-PBD)と3時間反応させた。次に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で一晩透析した。抗体に対する薬物の最終的なモル比は、DCR-2-PBDは3.3であり、アイソタイプ-PBDは4.6であった。
【0186】
[コロニー形成単位毒性アッセイ]
24ウェルプレート(Corning, NY, USA)に注入した半固体メチルセルロース培地(MethoCult Classic, Stemcell Technologies)に、2×104細胞/ウェルの密度でCFUコロニーを播種した。37℃、5%CO2中にて14日間コロニーを培養し、顕微鏡観察により計数した。全臍帯血のPBMCを使用した。異なる複数の濃度のDCR-2と、等濃度のPBD二量体と複合体化したヤギ抗マウス二次抗体とを併せたものに、CD34+前駆細胞を連続的に曝露した。対照としては、PBD二量体と複合体化した二次抗体のみを使用した。
【0187】
[活性化マーカーの発現および単球由来樹状細胞(MoDC)毒性アッセイ]
DCに対する活性化マーカーの上方制御における、DCR-2PBDの活性を測定した。具体的には、DCR-2PBDを含むまたは抗体を含まない条件にて全PBMCを6時間インキュベートしてから洗浄し、次に、12時間LPSで刺激した。対照となるDCは、DCR-2PBDまたはLPSに暴露しなかった。骨髄性DCをゲートアウトした。具体的には、死細胞およびLin+(CD3、CD20、CD19、CD56、CD14)を除去し、次に、HLA-DR+細胞およびCD11c+細胞をゲーティングした。活性化マーカーであるCD80およびCD83を、フローサイトメトリーで評価した。DCR-2PBDを含む条件でインキュベートした活性化DCと、DCR-2PBDを含まない条件でインキュベートした活性化DCとを比較することにより、活性化の変化を決定した。活性化DCは、不活性化DCと比較した。
【0188】
DCR-2PBDの抗原提示に対する影響を評価した。具体的には、DCR-2PBDまたはアイソタイプ-PBDと全PBMCとを24時間インキュベートした後で洗浄した。次に、CFSEで標識した同種のT細胞(ナイーブCD4、磁気により分離した)を加え、CFSEの発現の減少からT細胞の分裂を測定した。より詳細には、次の通りである。AutoMACS Proおよび抗CD3 mAb(HIT3a, Biolegend)を使用して、磁気的な選択により、PBMCからT細胞を枯渇させた。全てのサンプルにおいて、90%超のT細胞を枯渇させた。CD3を枯渇させたPBMCを、DCR-2-PBD(200pmol)、アイソタイプ-PBD(200pmol)またはPBSを含む完全RPMI培地中で、24時間インキュベートした。洗浄して結合しなかったADCを除去した後、CD3を枯渇させたPBMCを使用して、CFSEで標識した同種のナイーブCD4+T細胞を刺激した。このナイーブCD4+T細胞は、RosetteSep Kit(Stem Cell Technologies 17555)を使用して準備したものである。5日目に、フローサイトメトリーを使用して、CFSEの減少によりT細胞の増殖を評価した。T細胞は、抗CD3 AF700(SP34-2)を使用して同定した。DCR-2-PBD群およびアイソタイプ-PBD群の結果を、PBS対照群によって標準化した。刺激用の集団は3つのPBMCドナーから調製し、実験はduplicateで行った。
【0189】
[内部移行アッセイ]
実験室内にて、DCR-2(IgG1)とアイソタイプ対照として抗破傷風トキソイドmAbであるCMRF-81(IgG1)とを産生させ、精製し、フィコエリトリン(PE)と直接複合体化させた(Abadir et al. Mol Oncol. 2019; 13(10):2107-2120)。DCR-2-PEまたはCMRF-81-PE(10μg/mL)と共に、氷上にて20分間細胞をインキュベートし、洗浄して結合していないmAbを除去した。次に、37℃、5%CO2にて記載の時間だけインキュベートすることにより、内部移行させた。インキュベーションの後、細胞表面に残存している残留mAbを、ヤギ抗マウス(GAM)二次抗体であるIgG-AF488抗体で検出した。フローサイトメトリー分析のために、1%パラホルムアルデヒド/PBS中にて細胞を固定した。表面および全体の相対蛍光指数(MFI)は、「37℃における(ある時点における結合抗体のMFI-ある時点におけるアイソタイプ対照のMFI)÷0℃における(ある時点におけるアイソタイプ対照のMFI-ある時点における結合抗体のMFI)」として算出した。内部移行率は、「100-(表面染色の相対MFI÷全体染色の相対MFI)」により評価した。免疫蛍光顕微鏡実験では、細胞をDCR-2で染色した後に風乾し、4%パラホルムアルデヒドで固定した。あるいは、37℃にて30分間インキュベートした後に固定した。1%のBSA/PBSにより湿潤化してから、GAM IgG-AF488抗体および18μMのDAPI(ThermoFisher)で染色した。
【0190】
[細胞毒性アッセイ]
細胞毒性の決定は、次の様に行った。5000個のAML細胞またはリンパ腫細胞を、DCR-2-PBD、アイソタイプ-PBDまたはPBS対照と共に、完全RPMI中、37℃、5%CO2にて96時間インキュベートした。培養物の全容量は、200μLとした。次に、フローサイトメトリーにより、DAPI-生存細胞を計数した。条件ごとの生存数を対照群の平均と比較して、生存率(%)を計算した。上述の通り、CD300f-Mino細胞をバイスタンダー的に殺傷した。インキュベーションの後、生存しているバイスタンダー細胞を、抗CD20-PE抗体(2H7)およびDAPIで同定した。動態の分析は、上述の通り行った。記載の時点において、細胞を3回洗浄した後、完全RPMI中に再懸濁し、96時間培養してから分析した。ADCとフルダラビンとの相乗効果は、サンプル中においてDCR-2-PBDおよび/またはフルダラビンを組合せることにより、上述の通り評価した。Combination Index(CI)は、Compusynソフトウェア(Hsu et al. OncoImmunology. 2018;7(4): e1419114)を使用して計算した。
【0191】
[活性化マーカーの発現および単球由来樹状細胞(MoDC)毒性アッセイ]
DCR-2-PBD(200pmol)を含むまたは含まない条件で、完全RPMI培地中でPBMCをインキュベートした。12時間後、洗浄した細胞を、LPSを含むまたは含まない条件で、さらに12時間インキュベートした。次に、DC集団における活性化マーカーの発現について、表現型を決定した。既報の通り、MoDCは、CD14+単球に由来していた(Fromm et al. J Leukoc Biol. 2020;107(2):323-339)。DCR-2-PBDまたはアイソタイプ-PBD(200pmol)を加えてから72時間後に、フローサイトメトリーにより生存細胞を計数した。
【0192】
[混合白血球反応]
AutoMACS Proおよび抗CD3 mAb(HIT3a, Biolegend)を使用して、磁気的な選択により、PBMCからT細胞を枯渇させた。全てのサンプルにおいて、90%超のT細胞を枯渇させた。CD3を枯渇させたPBMCを、DCR-2-PBD(200pmol)、アイソタイプ-PBD(200pmol)またはPBSを含む完全RPMI培地中で、24時間インキュベートした。洗浄して結合しなかったADCを除去した後、CD3を枯渇させたPBMCを使用して、CFSEで標識した同種のナイーブCD4+T細胞を刺激した。このナイーブCD4+T細胞は、RosetteSep Kit(Stem Cell Technologies 17555)を使用して準備したものである。5日目に、フローサイトメトリーを使用して、CFSEの減少によりT細胞の増殖を評価した。T細胞は、抗CD3 AF700(SP34-2)を使用して同定した。DCR-2-PBD群およびアイソタイプ-PBD群の結果を、PBS対照群によって標準化した。刺激用の集団は3つのPBMCドナーから調製し、実験はduplicateで行った。
【0193】
[コロニー形成単位毒性アッセイ]
24ウェルプレート(Corning, NY, USA)に注入した半固体メチルセルロース培地(MethoCult Classic, Stemcell Technologies)に、2×104細胞/ウェルの密度でCB細胞を播種した。37℃、5%CO2中にて14日間細胞を培養し、コロニー形成単位を計数した。各ウェルには、DCR-2-PBDまたはアイソタイプ-PBDを加え、連続的に曝露させた。各実験においては、3つのCBサンプルを2連のウェルで試験した。
【0194】
[マウス異種移植アッセイ]
Australian BioResourcesから取得したNOD.Cg-PrkdcscidII2rgtm1Wjl/SzJマウス(NSGマウス)を、特定病原体除去条件にて飼育した。皮下モデルでは、2×106個のU937細胞を、右側腹部の皮下に注射した。デジタルノギスを用いて毎日腫瘍を測定した。腫瘍の平均体積が100mm3超になったとき、DCR-2-PBD、アイソタイプ-PBDまたはPBSを腹腔内に1回注射した。各条件が同程度の平均腫瘍体積となるように、マウスを割り振った(130.3~137.2mm3)。腫瘍体積が1000mm3超になるまで測定を続け、この時点で、倫理プロトコルの要請に則りマウスを安楽死させた。
【0195】
HL-60白血病モデルに関して、5×106個のHL-60細胞を静脈内投与する24時間前に、NSGマウスに200cGyの放射線を照射した。7日目に、DCR-2-PBD、アイソタイプ-PBDまたはPBSをマウスに注射し、疾患の進行および生存をモニターした。臨床スコアが4を超えるか、70日目に到達した時点で、マウスを安楽死させた。
【0196】
ヒト化マウスモデルには、凍結CD34+細胞(純度:95%超)を使用した。CD34+細胞は、プールしていた2つのCBサンプルから、製造者の指示に従って正の選択により単離した(Miltenyi 130-046-702)。それぞれのNSGマウスに150cGyの放射線を照射してから4時間後に、10万個のCD34+細胞を注射した。静脈血中におけるヒトCD45+細胞の割合として決定される定着率を、12週目に評価した。マウスを、PBにおけるヒトCD45+の割合の平均値が同程度となるように、マウスを治療群に割り振った(DCR-2-PBDコホート:10.16%、アイソタイプ-PBDコホート:10.74%)。次に、300μg/kgのDCR-2-PBDまたはアイソタイプ-PBDをマウスに注射した。7日目にマウスを安楽死させ、BM(両側の大腿骨および脛骨)および300μLの血液に含まれるヒトCD45+細胞をフローサイトメトリーで計数し、表現型を決定した。
【0197】
初代AML異種移植に関して、NSGマウスに150cGyの放射線を24時間照射した後、8×106個のCRGH11由来のAML細胞(表S1のサンプル10)を静脈内注射した。定着した時点で(PBにおいてヒトCD45+が1%を超えた時点で)、DCR-2-PBDまたはアイソタイプ-PBDをマウスに投与した。6日後にマウスを安楽死させ、BMを回収して、フローサイトメトリーにより計数および表面マーカーを分析した。
【0198】
側腹部注射モデルに関して、2×106個のU937細胞をNSGマウスに皮下注射した。次に、ノギスを用いて毎日腫瘍を測定し、体積を計算した。6日目に、150μg/kgのDCR-2ADC、アイソタイプ-ADCまたは同量のPBSをマウスに注射した。腫瘍の体積が1000mm3に達した時点で、マウスを安楽死させた。生存率および腫瘍サイズを記録した。
【0199】
[フローサイトメトリー]
初代AMLサンプルおよびBMサンプルにおけるCD300fの発現には、Influx flow cytometer(BD Biosciences)を用いた。マウスAML細胞株の実験には、Accuri flow cytometer(BD Biosciences)を用いた。他のアッセイには、Fortessa LSR flow cytometer(BD Biosciences)を用いた。TiSNEを含む分析には、FlowJo(FlowJo LLC)を用いた。
【0200】
[統計解析]
統計解析には、Prism(GraphPad Software, Inc.)を用いた。エラーバーは、標準誤差に対応している。2つの群の平均値の差を、t検定により評価した。ANNOVAおよびに検定後比較より、多群検定を行った。生存率の差はLogrank検定(Mantel-Cox検定)により評価した。
【0201】
〔結果〕
CD300fの分布を評価するために、遺伝子発現データを解析した。CD33を標的とするゲムツズマブオゾガマイシンは、表面分子を結合する唯一のAML承認治療薬である。そのため、AMLにおけるCD300fの発現をCD33と比較した。AML患者(n=460)の発現アレイデータを解析し、CD33とCD300とを比較した(
図1A)。CD300fの平均発現レベルは、CD33よりも有意に高かった(8.39log
2 vs. 7.89log
2;P<0.0001)。European LeukemiaNetリスク群の中では、CD300の発現に有意差はなかった。
【0202】
CD300fおよびCD33のタンパク質発現を、フローサイトメトリーで比較した(
図1B)。平均蛍光強度比(MFI比)には、有意差がなかった。発現には、中程度から強い相関があった(r=0.63、P<0.0001)。初代AMLのCD34
+CD38
-サブセットにおけるCD300fタンパク質の発現は、CD33タンパク質の発現とは有意な相関を示さなかった。1細胞における発現を、TiSNEを用いて、9つのAMLのセットで比較した。その結果、CD300fおよびCD33について、同じような分布が見られた。遺伝発現アレイデータが示すところによると、CD300fの発現は造血幹細胞および骨髄性造血前駆細胞で見られ、発現が最も低いのは巨核球-赤血球系前駆細胞であった(
図1C、P<0.0001)。フローサイトメトリーによるタンパク質発現からは、HSPC群間のMFI比における有意差が全く得られなかった。標準的なゲーティング戦略を使用して、HSPCのサブセットを決定した(
図2)。末梢血の単核細胞におけるタンパク質の発現によると、単球および好中球ではCD300fが発現していたが、リンパ球では発現が見られなかった(
図3)。抗CD300fによる治療における潜在的なオフ・ターゲット効果に関して、複数の臓器のヒトGTxデータベースから取得したRNA配列データ(RNA-seqデータ)を解析した。CD33およびCD300LFのいずれも、他の全ての臓器と比較して、血液、脾臓および肺における発現が著しく高かった(P<0.0001、
図4)。The Human Protein Atlas(https://www.proteinatlas.org/)による免疫組織染色分析が示すところによると、CD33およびCD300fは、肺マクロファージにおいて発現しているが、肺胞細胞では発現していなかった。
【0203】
[CD300fに対する抗体は、結合すると内部移行する]
フローサイトメトリーにより、マウス抗ヒトCD300f抗体であるDCR-2の内部移行能力を評価した。DCR-2は、HL-60細胞に結合すると迅速に内部移行する(
図5)。30分後には顕著な内部移行が見られ、180分後には50%超が内部移行した。HL-60、CD14
+単球および初代AML細胞において、30分後における内部移行を蛍光顕微鏡により確認した。内部移行のデータは、DCR-2がADCの開発に好適なmAbであることを示している。
【0204】
[in vitroにおけるDCR-2-PBDの細胞毒性]
DCR-2およびアイソタイプ対照mAbをPBD二量体毒素と複合体化させて、潜在的な細胞毒性を評価した。DCR-2-PBDおよびアイソタイプ-PBDの、CD300f
+細胞株およびCD300f
-細胞株に対する細胞毒性を試験した。結果を
図6および表2に示す。
【0205】
【0206】
DCR-2-PBDは、CD300f+AML細胞株であるHL-60、U937およびTHP-1を殺傷し、IC50は低ピコモルオーダーであった(HL-60:5.44pM、U937:6.74pM、THP-1:29.39pM)。このIC50は、他のPBD系ADCと同程度であった(Chou TC. Cancer Res. 2010;70(2):440-446; Li et al. Mol Cancer Ther. 2018;17(2):554-564)。CD300-リンパ腫細胞株であるZ-138に関して、DCR-2-PBDおよびアイソタイプ-PBDのIC50は200pM超であった。HL-60およびU937に対するアイソタイプ-PBDのIC50は、200pMであった。
【0207】
CFUアッセイにより、HSPCおよび初代AMLに対するDCR-2-PBDの活性を試験した。CFUの総数の有意な減少が、7.84pM(p=0.0033)、39.21pM(p<0.0001)および196.1pM(p<0.0001)において観察された(
図7)。主要なCFUサブタイプは全て、DCR-2-PBDの濃度が32.9pMおよび196.1pMのときに阻害された(
図8)。したがって、DCR-2PBDは、用量依存的に造血前駆細胞を効果的に枯渇させる。DCR-2PBDは、多能前駆細胞、赤血球系前駆細胞および骨髄前駆細胞を用量依存的に枯渇させるのに有効である。
【0208】
次の2つの初代AMLサンプルを試験した。一つはCD300fの発現が低い(MFI比:2.6)CRGH1であり、もう一つはCD300fの発現が高い(MFI:109.9)CRGH9である(
図9)。196.1pMにおいて、CRGH1に対する有意な毒性が示された(P5.036)。全ての用量レベルにおいて、CRGH9に対する有意な毒性が見られた(P<0.001)。このことは、DCR-2PBDがAML細胞を枯渇させるのにも有効であることを示している。
【0209】
DCR-2-PBDがHL-60細胞株に対する細胞毒性を生じさせるのに必要な曝露時間を評価した。結果を
図10に示す。DCR-2PBDへの曝露から5時間以内に、HL-60細胞の生存率は10%未満に低下した。12時間後にはHL-60細胞の98%超が死滅し、24時間後および96時間後には99%超が死滅していた。
【0210】
AMLの表面標的(CD300fなど)は、AML症例において不均一に発現する場合がある。そこで、本発明者らは、効果的なADCにとっては、バイスタンダー的な殺傷が有用であると考えた。CD300fを発現しない細胞に対してDCR-2PBDが影響を及ぼすか否かを検討するために、CD300f-リンパ腫細胞株であるMinoの生存率を比較することにより、バイスタンダー的な殺傷を調査した。具体的には、DCR-2-PBDの存在下において、Minoのみの培養物における生存率と、MinoおよびHL-60を混合した培養物(50%HL-60/50%Minoおよび25%HL-60/75%Mino)における生存率を比較した。種々の濃度のDCR-2PBDと一緒に、細胞を96時間インキュベートした(
図11)。Minoの割合が75%の条件では、DCR-2-PBDの濃度が25pMにおいて、Minoのみの対照と比較して生存率が有意に低下した(
図10、p=0.0002)。Minoの割合が50%である条件では、DCR-2-PBDの濃度が25pM(p<0.0001)および12.5pM(p=0.0004)のいずれにおいても、生存率が有意に低下した(
図11)。HL-60と組合せた場合におけるMino細胞の減少により、DCR-2-PBDがバイスタンダー的な殺傷能が確認された。
【0211】
最終分化した抗原提示細胞(単球由来樹状細胞(MoDC))に対してDCR-2PBDが及ぼす影響を、CMRF-81PBDおよびPBSが及ぼす影響と比較した。結果を
図12に示す。
図12から分かるように、DCR-2PBDは、MoDC細胞にほとんど影響を及ぼさなかった。このことは、DCR-2PBDが抗原提示に対してほとんど影響を及ぼさないことを示唆する。さらに、樹状細胞をDCR-2PBDで処理した後で、当該樹状細胞をLPSで処理すると、樹状細胞活性化マーカーであるHLA-DRおよびCD11cが上方制御され(
図13)、CD80およびCD83も上方制御された(
図14)。このことにより、DCR-2PBDは、樹状細胞の活性化マーカーの上方制御を妨げないことが示された。さらに、
図15が示すところによると、DCR-2PBDは、混合リンパ球反応において、T細胞の増殖に影響を及ぼさない。
【0212】
[DCR-2-PBDは、マウスAML細胞株モデルの生存を延長する]
AMLマウスモデルに対するDCR-2PBDの効果を検討するために、マウスに250cGyの放射線を照射し、HL-60を静脈内注射した(
図16)。これにより、細胞がBMに重度に浸潤し、臨床上のエンドポイントを満たした(中央値:23日)。7日目に、PBSまたは300μg/kgのCMRF-81PBDもしくはDCR-2PBDのいずれかをマウスに単回注射し、生存をモニターした。生存のデータを
図16に示す。DCR-2-PBD(300μg/kg)を単回注射することにより、アイソタイプ-PBDと比較して、生存が有意に延長された(
図16、p=0.0058)。DCR-2-PBDで処置した8匹のマウスのうち6匹が、実験のエンドポイントまで生存した。70日目まで生存したマウスでは、ヒト細胞が検出されなかった。他の全てのマウスにおけるヒトCD45
+細胞の割合は、安楽死時点において、76%~88%であった。
【0213】
U937細胞に基づくマウスモデルにおけるDCR-2PBDの効果を検討するために、マウスに細胞株U937を皮下注射した。6日後、PBS、150mg/kgもしくは300mg/kgのCMRF-81PBD、または150mg/kgもしくは300mg/kgのDCR-2PBDをマウスに腹腔内投与し、腫瘍の増殖をモニターした。マウスの腫瘍体積および生存を評価した。結果をそれぞれ
図17および
図18に示す。腫瘍増殖は遅延され、150μg/kgのDCR-2-PBD群(p=0.0017)および300μg/kgのDCR-2-PBD(p=0.0017)の両群において、300μg/kgのアイソタイプ-PBD群と比較して生存が有意に延長された。
【0214】
フルダラビンは、宿主のリンパ球を枯渇させることによりドナー細胞の定着を促進する目的で、複数の同種HSCTレジメンにおいて使用されている。抗CD300fによる治療は、レシピエントHSPCを枯渇させるかもしれないが、前処置レジメンの一部として宿主のリンパ球を枯渇することはないと考えられる。これらの補完的な役割を考慮して、DCR-2-PBDとフルダラビンとの相乗効果を評価した。HL-60細胞に対するDCR-2PBDおよびフルダラビンの組合せの効果を検討するために、in vitroにおいてHL-60細胞をインキュベートした。インキュベート条件は、DCR-2PBDのみ、フルダラビンのみ、またはDCR-2PBDとフルダラビンとの混合物とし、濃度は種々に変更した。96時間後に生存細胞を計数し、結果をプロットした(
図19)。同じ実験を、THP-1細胞でも行った。DCR-2-PBDおよびフルダラビンの両方の存在下におけるHL-60およびTHP-1に対する細胞毒性は、いずれか一方のみの細胞毒性よりも高く、相乗効果が確認された。CIは、HL-60では0.82であり、THP-1では0.76であった。
【0215】
この結果が意味しているのは、フルダラビンおよびDCR-2PBDを併用すると、より低いフルダラビンの濃度において、同様の細胞傷害効果が得られるということである。このことから、従前はフルダラビン治療に耐えられなかった造血幹細胞移植を必要とする対象に対しても、より低用量のフルダラビンを用いた併用治療が可能になると考えられる。
【0216】
[DCR-2-PBDは、マウス異種移植において初代HSPCおよびAML細胞の両方を枯渇させた]
抗CD300f ADCがHSCT前処置に有効でありうることをさらに示すために、DCR-2-PBDを使用して、正常なCD34
+移植マウスモデルにおけるHSPCおよび骨髄細胞を選択的に枯渇させた。DCR-2-PBDの単回用量(300μg/kg)を注射したヒト化マウスは、アイソタイプ-PBD処置群と比較して、CD34
+細胞および初代CD34
+CD38
-CD90
+細胞のいずれの平均値も、有意に枯渇させていた(
図20A)。CD34
+細胞では、0.29×10
5 vs. 9.42×10
5であり、p=0.001であった。初代CD34
+CD38
-CD90
+細胞では、0.05×10
4 vs. 5.54×10
4であり、p=0.008であった。CD34
+集団においても、CD34
+CD38
-CD90
+集団においても、ヒトCD45
+細胞の合計割合の差異は有意であった。CD34
+集団では、3.09% vs. 20.62%であり、p<0.0001であった。CD34
+CD38
-CD90
+集団では、0.16% vs. 2.17%であり、p=0.008であった。末梢血中の骨髄細胞を枯渇させることにより、DCR-2-PBDの選択性が示された(0.31細胞/μL vs. 14.89細胞/μL、p=0.0002)。しかし、長寿命でCD300fを発現していないリンパ球では、選択性は示されなかった(208.5細胞/μL vs. 263細胞/μL、
図20B)。
【0217】
DCR-2-PBDまたはアイソタイプ-PBDの単回用量(300μg/kg)をマウスに注射し、7日目にBM移植細胞を計数することにより、初代AMLに対するDCR-2-PBDの有効性を実証した(
図21)。DCR-2-PBDは、アイソタイプ対照と比較して、BMに存在するヒトAML細胞を有意に枯渇させた(
図21)。合計数の平均値は、0.37×10
6 vs. 1.45×10
6であり、p=0.019であった。DCR-2-PBDは、アイソタイプ-PBDと比較して、AML細胞を有意に減少させた。全細胞における割合の平均値は、12.32 vs. 38.92%であり、p=0.03であった。
【0218】
〔結論〕
DCR-2-PBDは、AML細胞株およびHSPCに対して特異的な、in vitroにおける毒性を示した。PBD二量体成分により、迅速な細胞毒性およびバイスタンダー的な殺傷が見られた。
【0219】
PBD二量体は、抗CD300f抗体上に取り込まれると、短時間の曝露であっても有意な細胞毒性を示した。このことは、前処置剤として理想的である。
【0220】
CD300fは、HSPCの主要なサブタイプにわたって均一に分布しているので、前処置剤としてより有効である。現在研究されているAMLの標的は、しばしば、HSPCにおける発現が変化する。
【0221】
〔概要〕
DCR-2-PBDは、下記の特性を示す:
・造血系以外では、標的が限定的である可能性が高い。
・容易に内部移行し、毒素を送達できる。
・in vitroおよびin vivoにおいて、CD300fを発現しているAML細胞株に対して有効である。
・正常なCD34+造血前駆細胞を枯渇させる。
・24時間以内の曝露で有効である。
・CD300f+ve細胞およびCD300f-ve細胞が混在しているコロニーを殺傷できる。
・抗原提示に対して限定的な影響しか及ぼさない。
・フルダラビンとの相乗効果を示し、細胞毒性が増強される。
・造血幹細胞移植のための対象の前処置に有効である。
【0222】
〔配列表〕
配列番号1
Met Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly Pro Leu Lys Leu
Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Gly Phe Ser Gly Ser Trp Met Ser Trp
Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Ile Gly Gln Ile Asn
Pro Asp Ser Ser Thr Ile Asn Tyr Thr Pro Ser Leu Lys Asp Lys Phe
Ile Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Asn Thr Leu Tyr Leu Gln Ile Asn
Lys Val Arg Ser Glu Asp Thr Ala Leu Tyr Tyr Cys Ala Arg Arg Gly
Phe Phe Glu Gly Tyr Ser Ala Trp Phe Ala Tyr Trp
配列番号2
Gly Phe Gly Phe Ser Gly Ser Trp
配列番号3
Ile Asn Pro Asp Ser Ser Thr Ile
配列番号4
Ala Arg Arg Gly Phe Phe Glu Gly Tyr Ser Ala Trp Phe Ala Tyr
配列番号5
Ile Leu Met Thr Gln Thr Pro Lys Phe Leu Leu Val Ser Ala Gly Asp
Arg Val Thr Ile Thr Cys Lys Ala Ser Gln Ser Val Ser Asn Asp Val
Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ser Pro Ser Leu Leu Ile Tyr
Tyr Ala Ser Asn Arg Asn Thr Gly Val Pro Asp Arg Phe Thr Gly Ser
Gly Tyr Glu Thr Asp Phe Thr Phe Thr Ile Ser Thr Val Gln Ala Glu
Asp Leu Ala Val Tyr Phe Cys Gln Gln Asp Tyr Thr Ser Pro Trp Thr
Phe Gly Gly Gly
配列番号6
Gln Ser Val Ser Asn Asp
配列番号7
Tyr Ala Ser
配列番号8
Gln Gln Asp Tyr Thr Ser Pro Trp Thr
配列番号9
atggagtctg gaggtggcct ggtgcagcct ggaggacccc tgaaactctc ctgtgcagcc 60
tcaggattcg gttttagtgg atcttggatg agttgggtcc ggcaggctcc agggaaaggg 120
ctagaatgga ttggacaaat taatccagat agcagtacga taaattatac accatctcta 180
aaggataaat tcatcatctc cagagacaac gccaaaaata ccctgtacct gcaaattaac 240
aaagtgagat ctgaggacac agccctttat tactgtgcaa gacgggggtt ctttgaaggt 300
tactccgcct ggtttgctta ctgg 324
配列番号10
attttgatga cccagactcc caaattcctg cttgtatcag caggagacag ggtgaccata 60
acctgcaagg ccagtcagag tgtgagtaat gatgtagctt ggtaccaaca gaagccaggg 120
cagtctcctt cactcctgat atactatgca tccaatcgca acactggagt ccctgatcgc 180
ttcactggca gtggatatga gacggatttc actttcacca tcagcactgt gcaggctgaa 240
gacctggcag tttatttctg tcagcaggat tatacctctc cgtggacgtt cggtggaggc 300
配列番号11
atggtcctga gcctgctgta cctgctgaca gctctgcctg gcatcctgtc tgaggtccag 60
ctgcaagagt ctggccccat ggaatctggc ggaggattgg ttcaacctgg cggccctctg 120
aagctgtctt gtgccgcttc tggcttcggc ttctccggct cttggatgtc ctgggtccga 180
caggctcctg gcaaaggcct ggaatggatc ggccagatca accccgactc ctccaccatc 240
aactacaccc ctagcctgaa ggacaagttc atcatctccc gggacaacgc caagaacacc 300
ctgtacttgc agatcaacaa agtgcggagc gaggacaccg ctctgtacta ctgtgccaga 360
cggggcttct tcgagggcta ctctgcttgg tttgcctact ggggccaggg cacactggtc 420
acagtttctg ccgcctctac caagggaccc agcgttttcc ctctggctcc atcctccaag 480
tctacctctg gcggaacagc tgctctgggc tgcctggtca aggactactt tcctgagcca 540
gtgaccgtgt cctggaactc tggcgctctg acatctggcg tgcacacctt tccagctgtg 600
ctgcagtcct ccggcctgta ctctctgtcc tctgtcgtga ccgtgccttc cagctctctg 660
ggaacccaga cctacatctg caatgtgaac cacaagcctt ccaacaccaa ggtggacaag 720
aaggtggaac ccaagtcctg cgacaagacc cacacctgtc ctccatgtcc tgctccagaa 780
ctgctcggcg gaccttccgt gttcctgttt cctccaaagc ctaaggacac cctgatgatc 840
tctcggaccc ctgaagtgac ctgcgtggtg gtggatgtgt ctcacgagga tcccgaagtg 900
aagttcaatt ggtacgtgga cggcgtggaa gtgcacaatg ccaagaccaa gcctagagag 960
gaacagtaca actccaccta tagagtggtg tccgtgctga ccgtgctgca ccaggattgg 1020
ctgaacggca aagagtacaa gtgcaaggtg tccaacaagg ccctgcctgc tcctatcgaa 1080
aagaccatct ccaaggccaa gggccagcct agggaacccc aggtttacac cttgcctcca 1140
tctcgggacg agctgaccaa gaaccaggtg tccctgacct gtctcgtgaa gggcttctac 1200
ccctccgata tcgccgtgga atgggagtct aatggccagc ctgagaacaa ctacaagaca 1260
acccctcctg tgctggactc cgacggctca ttcttcctgt actccaagct gacagtggac 1320
aagtccagat ggcagcaggg caacgtgttc tcctgctccg tgatgcacga ggccctgcac 1380
aatcactaca cccagaagtc cctgtctctg tcccctggca ag 1422
配列番号12
atggactctc aggcccaggt gctgatgctg ctgctgttgt gggtgtccgg cacctgtggc 60
gacatcctga tgacccagac tcctaagttc ctgctggtgt ctgccggcga cagagtgacc 120
atcacatgca aggcctctca gtccgtgtcc aacgacgtgg cctggtatca gcagaagcct 180
ggccagtctc ctagcctgct gatctactac gcctccaaca gaaacaccgg cgtgcccgat 240
agattcaccg gctctggcta cgagacagac ttcaccttca ccatctccac cgtgcaggcc 300
gaggatctgg ccgtgtactt ctgccagcaa gactacacct ctccatggac ctttggcgga 360
ggcaccaagc tggaaatcaa gcggacagtg gccgctcctt ccgtgttcat cttcccacct 420
tccgacgagc agctgaagtc tggcacagcc tctgtcgtgt gcctgctgaa caacttctac 480
cctcgggaag ccaaggtgca gtggaaggtg gacaatgccc tgcagtccgg caactcccaa 540
gagtctgtga ccgagcagga ctccaaggac agcacctaca gcctgtcctc cacactgacc 600
ctgtccaagg ccgactacga gaagcacaag gtgtacgcct gcgaagtgac ccatcagggc 660
ctgtctagcc ctgtgaccaa gtctttcaac cggggcgagt gc 702
配列番号13
Met Val Leu Ser Leu Leu Tyr Leu Leu Thr Ala Leu Pro Gly Ile Leu
Ser Glu Val Gln Leu Gln Glu Ser Gly Pro Met Glu Ser Gly Gly Gly
Leu Val Gln Pro Gly Gly Pro Leu Lys Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly
Phe Gly Phe Ser Gly Ser Trp Met Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly
Lys Gly Leu Glu Trp Ile Gly Gln Ile Asn Pro Asp Ser Ser Thr Ile
Asn Tyr Thr Pro Ser Leu Lys Asp Lys Phe Ile Ile Ser Arg Asp Asn
Ala Lys Asn Thr Leu Tyr Leu Gln Ile Asn Lys Val Arg Ser Glu Asp
Thr Ala Leu Tyr Tyr Cys Ala Arg Arg Gly Phe Phe Glu Gly Tyr Ser
Ala Trp Phe Ala Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ala
Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys
Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr
Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser
Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser
Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr
Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys
Lys Val Glu Pro Lys Ser Cys Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys
Pro Ala Pro Glu Leu Leu Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro
Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys
Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp
Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu
Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu
His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn
Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly
Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Arg Asp Glu
Leu Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr
Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn
Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe
Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn
Val Phe Ser Cys Ser Val Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr
Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro Gly Lys
配列番号14
Met Asp Ser Gln Ala Gln Val Leu Met Leu Leu Leu Leu Trp Val Ser
Gly Thr Cys Gly Asp Ile Leu Met Thr Gln Thr Pro Lys Phe Leu Leu
Val Ser Ala Gly Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Lys Ala Ser Gln Ser
Val Ser Asn Asp Val Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ser Pro
Ser Leu Leu Ile Tyr Tyr Ala Ser Asn Arg Asn Thr Gly Val Pro Asp
Arg Phe Thr Gly Ser Gly Tyr Glu Thr Asp Phe Thr Phe Thr Ile Ser
Thr Val Gln Ala Glu Asp Leu Ala Val Tyr Phe Cys Gln Gln Asp Tyr
Thr Ser Pro Trp Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg
Thr Val Ala Ala Pro Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp Glu Gln
Leu Lys Ser Gly Thr Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe Tyr
Pro Arg Glu Ala Lys Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln Ser
Gly Asn Ser Gln Glu Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser Thr
Tyr Ser Leu Ser Ser Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu Lys
His Lys Val Tyr Ala Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser Ser Pro
Val Thr Lys Ser Phe Asn Arg Gly Glu Cys
配列番号15
Met Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly Ser Leu Arg Leu
Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Gly Phe Ser Gly Ser Trp Met Ser Trp
Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val Ala Asn Ile Asn
Pro Asp Ser Ser Thr Ile Asn Tyr Val Asp Ser Val Lys Gly Arg Phe
Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Asn Ser Leu Tyr Leu Gln Met Ser
Lys Val Arg Ser Glu Asp Thr Ala Leu Tyr Tyr Cys Ala Arg Arg Gly
Phe Phe Glu Gly Tyr Ser Ala Trp Phe Ala Tyr Trp
【受託番号】
【0223】
CBA20160029
【配列表】
【国際調査報告】