(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(54)【発明の名称】抗ガレクチン9抗体と化学療法剤の組合せがん治療
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20221006BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221006BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20221006BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221006BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20221006BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20221006BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20221006BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20221006BHJP
C12N 5/09 20100101ALN20221006BHJP
C12N 5/078 20100101ALN20221006BHJP
C07K 14/52 20060101ALN20221006BHJP
【FI】
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P35/04
A61P43/00 121
A61K31/337
A61K31/7068
G01N33/574 A
C07K16/18 ZNA
C12N5/09
C12N5/078
C07K14/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506485
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(85)【翻訳文提出日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 US2020044777
(87)【国際公開番号】W WO2021022256
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2020/031181
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511060836
【氏名又は名称】ニューヨーク・ユニバーシティ
(71)【出願人】
【識別番号】521478599
【氏名又は名称】ピュアテック・エル・ワイ・ティ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PURETECH LYT, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小出 昌平
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】小出 明子
(72)【発明者】
【氏名】チェン,リンシアオ
(72)【発明者】
【氏名】フィリポビッチ,アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】エレンコ,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ボレン,ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AC14
4B065BA25
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4H045AA10
4H045AA30
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4H045DA01
4H045DA76
4H045DA86
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
ヒトガレクチン9に結合する抗体(抗Gal9抗体、例えば、G9.2-17)と、1つまたは複数の化学療法剤、例えば、ゲムシタビン、パクリタキセル、またはこれらの組合せを含む、充実性腫瘍に対する組合せ治療。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充実性腫瘍を処置するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量のヒトガレクチン9に結合する抗体(抗Gal9抗体)を投与するステップを含み、前記抗Gal9抗体が、抗体G9.2-17と同じ重鎖相補性決定領域(CDR)および同じ軽鎖CDRを有し、前記対象が、1つまたは複数の化学療法剤を含む抗がん治療を受けている、方法。
【請求項2】
充実性腫瘍を処置するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量のヒトガレクチン9に結合する抗体(抗Gal9抗体)および有効量の1つまたは複数の化学療法剤を投与するステップを含み;前記抗Gal9抗体が、抗体G9.2-17と同じ重鎖相補性決定領域(CDR)および同じ軽鎖CDRを有する、方法。
【請求項3】
充実性腫瘍を処置するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量の1つまたは複数の化学療法剤を投与するステップを含み;前記対象が、抗体G9.2-17と同じ重鎖相補性決定領域(CDR)および同じ軽鎖CDRを有する、ヒトガレクチン-9に結合する抗体(抗Gal9抗体)を含む治療を受けている、方法。
【請求項4】
前記充実性腫瘍が、転移性充実性腫瘍である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記充実性腫瘍が膵管腺癌(PDAC)である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記1つまたは複数の化学療法剤が、代謝拮抗剤、微小管阻害剤、またはこれらの組合せを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記代謝拮抗剤がゲムシタビンであり、および/または、前記微小管阻害剤がパクリタキセルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗Gal9抗体が、前記対象に、約0.5mg/kg~約32mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される、請求項1、2、4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記抗Gal9抗体が、前記対象に、約2mg/kg~約16mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される、請求項1、2、4~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記抗Gal9抗体が、前記対象に、約2mg/kg、約4mg/kg、約8mg/kg、約12mg/kg、または約16mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記抗Gal9抗体が前記対象に1日目および15日目に投与され、前記ゲムシタビンおよびパクリタキセルが前記対象に1日目、8日目および15日目に投与される28日間のサイクルを含む、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記パクリタキセルが、タンパク質結合パクリタキセルであり、好ましくはナノ粒子アルブミン結合パクリタキセルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記パクリタキセルが、前記対象に125mg/m
2で静脈内に投与される、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ゲムシタビンが前記対象に1000mg/m
2で投与される、請求項7~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記抗ガレクチン9抗体が、配列番号1として示された軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号2として示された軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号3として示された軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含み、かつ/または、配列番号4として示された重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号5として示された重鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号6として示された重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む、請求項7~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記抗Gal9抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(V
H)および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(V
L)を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記抗Gal9抗体がIgG4分子である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記抗Gal9抗体が、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記対象がヒト患者である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記対象がガレクチン9陽性のがん細胞または免疫細胞を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
ガレクチン9陽性のがん細胞または免疫細胞が、前記対象に由来する腫瘍オルガノイド内に検出される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記対象が、ガレクチン9のレベルを対照値と比べて上昇させている、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記対象が、ガレクチン9の血清レベルまたは血漿レベルを前記対照値と比べて上昇させている、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記対象が、全身抗がん治療の少なくとも1つのラインを施されていた、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記対象が、ゲムシタビンおよび/もしくはパクリタキセルを伴う既往の治療を施されていない、または、前記抗Gal9抗体の投与の少なくとも6カ月前に、ゲムシタビンおよび/もしくはパクリタキセルを伴う既往の治療を施されていた、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記対象が、処置前、処置時、および/または処置後に、以下の特徴:
(a)前記対象からの腫瘍生検試料中の1つまたは複数の腫瘍マーカーであって、任意選択で、前記1つまたは複数の腫瘍マーカーがCA15-3、CA-125、CEA、CA19-9、および/または、アルファフェトプロテインを含む、腫瘍マーカー;
(b)サイトカインプロファイル;ならびに
(c)ガレクチン9レベル
のうちの1つまたは複数について検査される、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記対象における1つまたは複数の有害作用の発生をモニタリングするステップをさらに含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記1つまたは複数の有害作用が、肝機能障害、血液毒性、神経毒性、皮膚毒性、胃腸毒性、またはこれらの組合せを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
有害作用が観察される場合、前記抗Gal9抗体の前記用量、前記1つもしくは複数の化学療法剤の前記用量、またはこれらの両方を低減するステップをさらに含む、請求項27または請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記対象が正常の上限(ULN)の10倍を超えるアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)のレベル、ULNの5倍を超えるビリルビンのレベル、またはこれらの両方を有する場合、前記パクリタキセルの投与が中断される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
中程度から重度の肝機能障害が観察される場合、前記抗Gal9抗体の前記用量、前記ゲムシタビンの前記用量、前記パクリタキセルの前記用量、またはこれらの組合せを低減するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
重度の血液毒性、神経毒性、皮膚毒性、および/または胃腸毒性が観察される場合、前記抗Gal9抗体、前記ゲムシタビン、前記パクリタキセルの前記用量、もしくはこれらの組合せを低減するステップまたはそれらの投与を終了するステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記パクリタキセルの前記用量が100mg/m
2~75mg/m
2に低減される、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ゲムシタビンの前記用量が800mg/m
2~600mg/m
2に低減される、請求項31~33のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体の内容が本明細書に組み込まれる、2019年8月1日に出願された米国仮出願第62/881,894号の利益、および2020年5月1日に出願されたPCT出願第PCT/US2020/031181号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ガレクチン9は、2つの炭水化物認識ドメイン(CRD)からなるタンデムリピートレクチンであり、1997年にホジキンリンパ腫(HL)を患う患者において初めて発見され、報告された(Tureciら、J.Biol.Chem.、1997、272巻、6416~6422)。3つのアイソフォームが存在し、細胞内に配置される場合もあり、細胞外に配置される場合もある。黒色腫、ホジキンリンパ腫、肝細胞がん、膵がん、胃がん、結腸がん、および腎明細胞がんを含む広範囲にわたるがんでは、ガレクチン9レベルの上昇が観察されている(Wdowiakら、Int.J.Mol.Sci.、2018、19巻、210)。腎がんでは、ガレクチン9の発現が高度である患者は、腫瘍サイズの大きな疾患の進行のいっそうの進展を示した(Kawashimaら、BJU Int.、2014、113巻:320~332)。黒色腫では、ガレクチン9は腫瘍のうちの57%において発現され、進行性黒色腫を伴う患者の血漿中では、健常対照と比較して顕著に増大した(Enningaら、Melanoma Res.、2016年10月、26巻(5号):429~441)。多数の研究は、予後診断マーカーとして、より最近では、潜在的な新たな薬物標的としての、ガレクチン9の有用性を示している(Enningaら、2016;Kawashimaら、BJU Int、2014、113巻:320~332;Kageshitaら、Int J Cancer.、2002年6月20日、99巻(6号):809~16、および所収の参考文献)。
【0003】
ガレクチン9は、接着、がん細胞の凝集、アポトーシス、および走化性など多数の細胞過程において重要な役割を果たすことが記載されている。近年の研究は、ガレクチン9について、例えば、Th1型応答に対する負の調節、Th2の分極化、およびマクロファージの、M2表現型への分極化を介して腫瘍を支援する免疫モジュレーションにおける役割を示している。この作業はまた、ガレクチン9が、TIM-3(T-cell immunoglobulin and mucin protein 3)受容体との相互作用を介する、T細胞の直接的な不活化に参与することを示した研究も含む(Dardalhonら、J Immunol.、2010、185巻、1383~1392;Sanchez-Fueyoら、Nat Immunol.、2003、4巻、1093~1101)。
【0004】
ガレクチン9はまた、T細胞の分化の腫瘍抑制性表現型への分極のほか、寛容原性のマクロファージのプログラミングおよび獲得性免疫抑制の促進において役割を果たすことも見出されている(Daleyら、Nat Med.、2017、23巻、556~567)。膵管腺癌(PDA)についてのマウスモデルでは、腫瘍微小環境(TME)内の自然免疫細胞上で見出される、ガレクチン9と受容体であるデクチン1との間におけるチェックポイント相互作用の遮断は、TME内の抗腫瘍免疫応答を増大させ、腫瘍の進行を遅らせることが示されている(Daleyら、Nat Med.、2017、23巻、556~567)。ガレクチン9はまた、肺がんにおける生存の延長および再発危険性の低下と関連している、マクロファージ由来ケモカイン(MDC)であるCVL22の分泌の低減を結果としてもたらす、M2型マクロファージの表面マーカーであるCD206に結合することも見出されている(Enningaら、J Pathol.、2018年8月、245巻(4号):468~477)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本開示は、動物モデルにおいて、例示的な抗ガレクチン9抗体(例えば、G9.2-17(IgG4))とゲムシタビンおよびパクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセルまたはnab-パクリタキセル)などの化学療法剤との両方を伴う組合せ治療において相乗効果が観察されるという予想外の発見に基づく。
【0006】
したがって、本明細書で提供されるのは、抗ガレクチン9抗体(例えば、G9.2-17またはその機能的変異体)と1つまたは複数の化学療法剤(例えば、ゲムシタビン、パクリタキセルタンパク質結合などのパクリタキセル(例えば、nab-パクリタキセルもしくはアブラキサン(登録商標))、またはこれらの組合せ)との共使用を伴う充実性腫瘍を処置するための方法である。
【0007】
一部の実施形態では、本明細書で開示される充実性腫瘍を処置するための方法は、それを必要とする対象に、有効量のヒトガレクチン9に結合する抗体(抗Gal9抗体)を投与するステップを含みうる。抗ガレクチン9抗体は、抗体G9.2-17と同じ重鎖相補性決定領域(CDR)および同じ軽鎖CDRを有しうる。対象は、1つまたは複数の化学療法剤を含む抗がん治療を受けていてもよい。
【0008】
一部の実施形態では、本明細書で開示される充実性腫瘍を処置するための方法は、それを必要とする対象に、有効量のヒトガレクチン9に結合する抗体(抗Gal9抗体)および有効量の1つまたは複数の化学療法剤を投与するステップを含みうる。抗Gal9抗体は、抗体G9.2-17と同じ重鎖相補性決定領域(CDR)および同じ軽鎖CDRを有しうる。
【0009】
一部の実施形態では、本明細書で開示される充実性腫瘍を処置するための方法は、それを必要とする対象に、有効量の1つまたは複数の化学療法剤を投与するステップを含みうる。対象は、抗体G9.2-17と同じ重鎖相補性決定領域(CDR)および同じ軽鎖CDRを有するヒトガレクチン9に結合する抗体(抗Gal9抗体)を含む治療を受けていてもよい。
【0010】
本明細書で開示される方法のうちのいずれかは、転移性充実性腫瘍を処置するために適用されうる。一部の例では、充実性腫瘍は膵管腺癌(PDAC)、例えば転移性PDACである。
【0011】
一部の実施形態では、本明細書で開示される方法のうちのいずれかに関与する1つまたは複数の化学療法剤は、代謝拮抗剤(例えば、ヌクレオシドアナログ)、微小管阻害剤、またはこれらの組合せを含みうる。一部の例では、ヌクレオシドアナログはゲムシタビンであり、および/または微小管阻害剤はパクリタキセル、例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル(例えば、アブラキサン(登録商標))である。
【0012】
一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、対象に約0.5mg/kg~約32mg/kg(例えば、約0.5mg/kg~約16mg/kg、約2mg/kg~約32mg/kgまたは約2mg/kg~約16mg/kg)の用量で投与される。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、対象に週に1回、投与される。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、対象に2または3週間ごとに1回、投与される。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、対象に2mg/kg、4mg/kg、8mg/kg、12mg/kg、または16mg/kgから選択される用量で投与される。一部の実施形態では、抗体は、2週間ごとに1回投与される。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、対象に2mg/kg、4mg/kg、8mg/kg、12mg/kg、または16mg/kgから選択される用量で2週間ごとに1回投与される。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、2週間ごとに1回1サイクルにわたるか、2週間ごとに1回2サイクルにわたるか、2週間ごとに1回3サイクルにわたるか、2週間ごとに1回4サイクルにわたるか、または2週間ごとに1回4サイクルを超える投与される。一部の実施形態では、処置の持続期間は、0~3カ月間、0~6カ月間、3~6カ月間、6~12カ月間、12~24カ月間、またはこれを超える期間である。一部の実施形態では、処置の持続期間は、12~24カ月間、またはこれを超える期間である。一部の実施形態では、サイクルは、3カ月間~6カ月間、もしくは6カ月間~12カ月間、もしくは12カ月間~24カ月間、またはこれを超える持続期間にわたる。一部の実施形態では、サイクルの長さは、例えば、一時的に改変される場合もあり、より長い持続期間、例えば、3週間または4週間にわたり、恒久的に改変される場合もある。これらの実施形態のうちのいずれかでは、抗ガレクチン9抗体は、対象に週に1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、または4週間ごとに1回投与される。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、対象に、静脈内注入により投与される。一部の実施形態では、がんは、PDAである。一部の実施形態では、がんは転移性がんである。
【0013】
一部の実施形態では、抗Gal9抗体は、対象に約0.5mg/kg~約32mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与されうる。一部の例では、抗Gal9抗体は、対象に約0.5mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される。一部の実施形態では、抗Gal9抗体は、対象に約2mg/kg~約16mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与されうる。一部の例では、抗Gal9抗体は、対象に約2mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される。一部の例では、抗Gal9抗体は、対象に約4mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される。一部の例では、抗Gal9抗体は、対象に約8mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される。一部の例では、抗Gal9抗体は、対象に約12mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される。一部の例では、抗Gal9抗体は、対象に約16mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される。一部の例では、抗Gal9抗体は、対象に約32mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される。
【0014】
一部の実施形態では、方法は28日のサイクルを含み、ここで、抗Gal9抗体は、対象に1日目および15日目に投与され、ゲムシタビンおよびパクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は対象に1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の例では、パクリタキセルは対象に125mg/m2で静脈内に投与される。一部の例では、ゲムシタビンは対象に1000mg/m2で投与される。
【0015】
一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号1として示された軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号2として示された軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号3として示された軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含み、かつ/または配列番号4として示された重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号5として示された重鎖相補性決定領域(CDR2)、および配列番号6として示された重鎖相補性決定領域3(CDR3)、を含む。
【0016】
一部の実施形態では、抗Gal9抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含みうる。一部の例では、抗Gal9抗体は、IgG分子、例えば、IgG4分子でありうる。具体例では、抗Gal9抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖を含みうる。
【0017】
一部の実施形態では、本明細書で開示される方法のうちのいずれかにより処置される対象は、ヒト患者でありうる。一部の例では、対象はガレクチン9陽性のがん細胞または免疫細胞を有する。このようなガレクチン9陽性のがん細胞または免疫細胞は、対象に由来する腫瘍オルガノイド内に検出されうる。一部の例では、対象は、ガレクチン9のレベルを対照値と比べて上昇させうる。例えば、対象は、ガレクチン9の血清レベルまたは血漿レベルを対照値と比べて上昇させうる。
【0018】
一部の実施形態では、対象は、全身抗がん治療の少なくとも1つのラインを施されていた場合がある。代替的に、または加えて、対象は、ゲムシタビンおよび/またはパクリタキセルを伴う既往の治療を施されていない場合がある。一部の例では、対象は、抗Gal9抗体の投与の少なくとも6カ月前に、ゲムシタビンおよび/またはパクリタキセルを伴う既往の治療を施されていた場合がある。
【0019】
本明細書で開示される方法のうちのいずれかでは、対象は、処置前、処置時、および/または処置後に、以下の特徴:(a)対象からの血液試料中の1つまたは複数の腫瘍マーカーであって、任意選択で、1つまたは複数の腫瘍マーカーがCA15-3、CA-125、CEA、CA19-9、および/またはアルファフェトプロテイン、ならびに他の任意の腫瘍型特異的腫瘍マーカーを含む、腫瘍マーカー;(b)サイトカインプロファイル;ならびに(c)ガレクチン9血清/血漿レベル、d)末梢血単核細胞免疫表現型解析、e)腫瘍組織生検/切除標本多重免疫表現型解析、f)腫瘍組織生検/切除標本ガレクチン9発現レベルおよびパターン、g)その他の任意の免疫スコア試験、例えば:PDL-1免疫組織化学、腫瘍遺伝子変異量(TMB)、腫瘍マイクロサテライト不安定性状態、ならびに例えば以下のパネル:Immunoscore(登録商標)-HalioDx、ImmunoSeq-Adaptive Biotechnologies、TIS、NanoString nCounter(登録商標)遺伝子発現系で開発された、18遺伝子シグネチャー、PanCancer IO 360(商標)アッセイ(NanoString Technologies)等のうちの1つまたは複数について検査される。標的腫瘍に特異的な他の適切なバイオマーカーも検査されうる。
【0020】
本明細書で開示される方法のうちのいずれかは、対象における1つまたは複数の有害作用の発生をモニタリングするステップをさらに含みうる。例示的な有害作用には、肝機能障害、血液毒性、神経毒性、皮膚毒性、胃腸毒性、またはこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。1つまたは複数の有害作用が観察される場合、本明細書で開示される方法は、抗Gal9抗体の用量、1つもしくは複数の化学療法剤の用量、またはこれらの両方を低減するステップをさらに含みうる。例えば、中程度から重度の肝機能障害が対象において観察される場合、方法は、抗Gal9抗体の用量、ゲムシタビンの用量、パクリタキセルの用量、またはこれらの組合せを低減するステップをさらに含みうる。
【0021】
一部の例では、対象が正常の上限(ULN)の10倍を超えるアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)のレベル、ULNの5倍を超えるビリルビンのレベル、またはこれらの両方を有する場合、パクリタキセルの投与は中断される。一部の実施形態では、重度の血液毒性、神経毒性、皮膚毒性、および/または胃腸毒性が観察される場合、方法は、抗Gal9抗体、ゲムシタビン、パクリタキセルの用量、もしくはこれらの組合せを低減するステップまたはそれらの投与を終了するステップをさらに含みうる。
【0022】
一部の例では、パクリタキセルの用量は100mg/m2~75mg/m2に低減される場合もある。代替的に、または加えて、ゲムシタビンの用量は800mg/m2~600mg/m2に低減される。
【0023】
また、PDACなどの充実性腫瘍の処置における使用のための抗Gal9抗体のうちのいずれかおよび1つまたは複数の化学療法剤を含む医薬組成物、ならびに充実性腫瘍の処置における使用のため医薬を製造するための、抗Gal9抗体と1つまたは複数の化学療法剤との組合せの使用も本開示の範囲内である。
【0024】
本発明の1つまたは複数の実施形態についての詳細は、下記の記載に明示される。本発明の他の特色または利点は、以下の図面およびいくつかの実施形態についての詳細な記載から明らかであり、また、付属の特許請求の範囲からも明らかである。
【0025】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、図面の、本明細書で提供される具体的実施形態についての詳細な記載と組み合わせた参照により、よりよく理解されうる、本開示のある特定の態様をさらに裏付けるように組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A】処置レジメンごとに群化された同所mPA6115膵臓がん異種移植マウスモデルのカプラン-マイヤー生存曲線およびログランク検定を示すグラフ含む図である。群1=非処置;群2=化学媒体対照、生理食塩液;群3=アイソタイプIgG1マウス;群4=抗Gal9 mAb;群5=ゲムシタビン/アブラキサン;ならびに群6=抗Gal9 mAbおよびゲムシタビン/アブラキサン。
図1Aは6つの群全ての生存曲線を示す。
図1Bは群1、5、および6の生存曲線を示す。
図1Cは群1、4、および6の生存曲線を示す。
図1Dは群1、4、5、および6の生存曲線を示す。
【
図1B】処置レジメンごとに群化された同所mPA6115膵臓がん異種移植マウスモデルのカプラン-マイヤー生存曲線およびログランク検定を示すグラフ含む図である。群1=非処置;群2=化学媒体対照、生理食塩液;群3=アイソタイプIgG1マウス;群4=抗Gal9 mAb;群5=ゲムシタビン/アブラキサン;ならびに群6=抗Gal9 mAbおよびゲムシタビン/アブラキサン。
図1Aは6つの群全ての生存曲線を示す。
図1Bは群1、5、および6の生存曲線を示す。
図1Cは群1、4、および6の生存曲線を示す。
図1Dは群1、4、5、および6の生存曲線を示す。
【
図1C】処置レジメンごとに群化された同所mPA6115膵臓がん異種移植マウスモデルのカプラン-マイヤー生存曲線およびログランク検定を示すグラフ含む図である。群1=非処置;群2=化学媒体対照、生理食塩液;群3=アイソタイプIgG1マウス;群4=抗Gal9 mAb;群5=ゲムシタビン/アブラキサン;ならびに群6=抗Gal9 mAbおよびゲムシタビン/アブラキサン。
図1Aは6つの群全ての生存曲線を示す。
図1Bは群1、5、および6の生存曲線を示す。
図1Cは群1、4、および6の生存曲線を示す。
図1Dは群1、4、5、および6の生存曲線を示す。
【
図1D】処置レジメンごとに群化された同所mPA6115膵臓がん異種移植マウスモデルのカプラン-マイヤー生存曲線およびログランク検定を示すグラフ含む図である。群1=非処置;群2=化学媒体対照、生理食塩液;群3=アイソタイプIgG1マウス;群4=抗Gal9 mAb;群5=ゲムシタビン/アブラキサン;ならびに群6=抗Gal9 mAbおよびゲムシタビン/アブラキサン。
図1Aは6つの群全ての生存曲線を示す。
図1Bは群1、5、および6の生存曲線を示す。
図1Cは群1、4、および6の生存曲線を示す。
図1Dは群1、4、5、および6の生存曲線を示す。
【
図2】コックス回帰解析からそれぞれ計算された、群1、群2、および群3に対する群4~6のハザード比(HR)およびそれらの95%信頼区間(%95CI)を示すグラフ含む図である、ここで、群1=非処置の同所mPA6115マウス;群2=化学媒体対照、生理食塩液処置同所mPA6115マウス;群3=アイソタイプIgG1マウスで処置した同所mPA6115マウス;群4=抗Gal9 mAbで処置した同所mPA6115マウス;群5=ゲムシタビン/アブラキサンで処置した同所mPA6115マウス;ならびに群6=抗Gal9 mAbおよびゲムシタビン/アブラキサンで処置した同所mPA6115マウス。
【
図3】研究持続期間にわたり、週に2回測定された各処置群の平均体重のグラフを含む図である、ここで、群1=非処置の同所mPA6115マウス;群2=化学媒体対照、生理食塩液処置同所mPA6115マウス;群3=アイソタイプIgG1マウスで処置した同所mPA6115マウス;群4=抗Gal9 mAbで処置した同所mPA6115マウス;群5=ゲムシタビン/アブラキサンで処置した同所mPA6115マウス;ならびに群6=抗Gal9 mAbおよびゲムシタビン/アブラキサンで処置した同所mPA6115マウス。
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
本明細書で提供されるのは、充実性腫瘍、例えば膵腺癌(PDA)を処置するための、抗ガレクチン9抗体、例えばG9.2-17と、化学療法剤、例えば、ゲムシタビンおよびパクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミンコンジュゲートパクリタキセルなどのタンパク質結合パクリタキセル、例えば、アブラキサン(登録商標))とを共使用する方法である。一部の実施形態では、充実性腫瘍は転移性である。一部の実施形態では、本明細書で開示される方法は、具体的用量および/または投与スケジュールを提供する。一部の場合に、本明細書で開示される方法は、具体的患者集団、例えば、既往の処置受け、既往の処置を介して、疾患の進行を示す患者、または既往の処置に対して耐性(デノボ耐性または獲得耐性)である患者をターゲティングする。
【0028】
タンデム-リピートレクチンである、ガレクチン9は、細胞間相互作用、および細胞-マトリックス間相互作用をモジュレートすることにおいて役割を果たすことが示されている、ベータ-ガラクトシド結合性タンパク質である。ガレクチン9は、ホジキン病組織内、および他の病理学的状態において過剰発現されることが見出されている。一部の場合には、ガレクチン9はまた、腫瘍微小環境(TME)内で循環することも見出されている。
【0029】
ガレクチン9は、PDA内のマクロファージ上のほか、がん細胞上でも、高度に発現される自然免疫受容体である、デクチン1と相互作用する(Daleyら、Nat Med.2017、23巻(5号):556~6)。ガレクチン9の供給源に関わらず、そのデクチン1との相互作用の破壊は、CD4+細胞およびCD8+細胞の、抗腫瘍免疫の不可欠のメディエーターへのリプログラミングをもたらすことが示されている。したがって、ガレクチン9は、デクチン1により媒介されるシグナル伝達を遮断するための、重要な治療標的として用いられる。したがって、一部の実施形態では、本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体は、ガレクチン9と、デクチン1との相互作用を破壊する。
【0030】
ガレクチン9はまた、全ての種類の急性骨髄白血病(M3(急性前骨髄球性白血病)を除く)において、白血病性幹細胞の表面上で発現される細胞表面I型糖タンパク質である、TIM-3と相互作用するが、正常ヒト造血幹細胞(HSC)内では発現されない。ガレクチン9のリガンド結合から生じるTIM-3シグナル伝達は、免疫細胞に対して、多面的な効果を及ぼし、Th1細胞内のアポトーシスを誘導し(Zhuら、Nat Immunol.、2005、6巻:1245~1252)、腫瘍壊死因子α(TNFα)の分泌を刺激し、単球の、樹状細胞への成熟をもたらし、自然免疫による炎症を結果としてもたらすことが見出されている(Kuchrooら、Nat Rev Immunol.、2008、8巻:577~580)。さらに、ガレクチン9/TIM-3シグナル伝達は、白血病性幹細胞の自己再生を促進する、2つの経路である、NF-κBシグナル伝達およびβ-カテニンシグナル伝達を共活性化させることが見出されている(Kikushigeら、Cell Stem Cell、2015、17巻(3号):341~352)。ガレクチン9/TIM-3間の結合に干渉する抗ガレクチン9抗体であれば、とりわけ、白血病および他の血液悪性腫瘍に対して、治療効果を及ぼしうるであろう。したがって、一部の実施形態では、本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体は、ガレクチン9とTIM-3との相互作用を破壊する。
【0031】
さらに、ガレクチン9は、M2分極化マクロファージ上で高度に発現されるマンノース受容体である、CD206と相互作用し、これにより、腫瘍の生存を促進する(Enningaら、J Pathol.、2018年8月、245巻(4号):468~477)。CD206を発現させる腫瘍関連マクロファージは、腫瘍免疫抑制、血管新生、転移、および再発のメディエーターである(例えば、Scodellerら、Sci Rep.、2017年11月7日、7巻(1号):14655、および所収の参考文献を参照されたい)。具体的には、M1(古典的にはまた、活性化マクロファージとも称される)は、Th1関連サイトカインおよび細菌産物により誘発され、高レベルのIL-12を発現させ、殺腫瘍性である。対照的に、M2(いわゆる代替的活性化マクロファージ)は、Th2関連因子により活性化され、IL-10など、高レベルの抗炎症性サイトカインを発現させ、腫瘍進行を容易とする(BiswasおよびMantovani、Nat Immunol.、2010年10月、11巻(10号):889~96)。M2の腫瘍促進性効果は、血管新生の促進、浸潤および転移の進行、ならびに化学療法誘導性アポトーシスからの腫瘍細胞の保護を含む(Huら、Tumour Biol.、2015年12月、36巻(12号):9119~9126、および所収の参考文献)。腫瘍関連マクロファージは、M2様表現型であり、腫瘍促進性の役割を有すると考えられる。ガレクチン9は、骨髄細胞の、M2表現型への分化を媒介することが示されている(Enningaら、Melanoma Res.、2016年10月;26巻(5号):429~41)。ガレクチン9の、CD206への結合は、デクチンについて既に示されていることと同様に、TAMの、M2表現型へのリプログラミングを結果としてもたらしうる可能性がある。理論に束縛されることを望まずに述べると、ガレクチン9の、CD206との相互作用の遮断は、抗ガレクチン9抗体、例えば、G9.2-17抗体が、治療的に有益でありうる、1つの機構をもたらしうる。したがって、一部の実施形態では、本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体は、ガレクチン9と、CD206との相互作用を破壊する。
【0032】
ガレクチン9はまた、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)および4-1BBと相互作用することも示されている(Bi Sら、Proc Natl Acad Sci U S A.、2011、108巻(26号):10650~5;Madireddiら、J Exp Med.、2014、211巻(7号):1433~48)。
【0033】
抗ガレクチン9抗体は、ガレクチン9と関連する疾患(例えば、ガレクチン9シグナル伝達が、役割を果たす疾患)を処置するための治療剤として用いられうる。理論に束縛されずに述べると、抗ガレクチン9抗体は、ガレクチン9により媒介されるシグナル伝達経路を遮断しうる。例えば、抗体は、ガレクチン9と、その結合パートナー(例えば、デクチン1、TIM-3、またはCD206)との相互作用に干渉し、これにより、ガレクチン9/リガンド間相互作用により誘発されるシグナル伝達を遮断しうる。代替的に、または加えて、抗ガレクチン9抗体は、ガレクチン9を発現させる罹患細胞に対する遮断作用および/または細胞傷害作用、例えば、ADCC、CDC、またはADCPを誘導することによってもまた、その治療効果を及ぼしうる。罹患細胞とは、疾患の起始および/または発症に、直接的に、または間接的に寄与する細胞を指す。
【0034】
本明細書では、例えば、ADCCを介して、ガレクチン9により媒介されるシグナル伝達(例えば、ガレクチン9/デクチン1またはガレクチン9/Tim-3により媒介されるシグナル伝達経路)を抑制するか、またはガレクチン9を発現させる罹患細胞を消失させることが可能な抗ガレクチン9抗体が開示される。したがって、本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体は、ガレクチン9シグナル伝達のうちのいずれかを阻害し、かつ/またはガレクチン9陽性罹患細胞を消失させ、これにより、ガレクチン9と関連する疾患の処置の利益をもたらすために使用されうる。それらの各々の関与性の開示が、本明細書で言及される目的および対象物についての参照により組み込まれる、例えば、WO2019/084553、PCT/US2020/024767およびPCT/US2020/031181を参照されたい。
【0035】
本明細書で報告される通り、代表的な抗Gal9抗体(G9.2-17)と化学療法剤(ゲムシタビンおよびnab-パクリタキセル)との組合せ治療は、本明細書で開示される動物モデルにおいて首尾よく生存を延長した。代表的な抗Gal9抗体とゲムシタビンおよびnab-パクリタキセルの生存時間に対する相乗効果が動物モデルにおいて観察された。これらの結果は、抗ガレクチン9抗体と本明細書で開示されるものなどの化学療法剤との組合せを伴う、本明細書で開示される抗腫瘍法であれば、標的の充実性腫瘍に対する、抗体または化学療法単独よりも優れた治療有効性を達成することを裏付ける。
【0036】
したがって、本明細書では、本明細書で開示される、ある特定の充実性腫瘍を処置するための、抗ガレクチン9抗体および化学療法剤の治療的使用について記載される。
【0037】
ガレクチン9に結合する抗体
本開示は、本明細書で開示される処置法における使用のための、抗ガレクチン9抗体であるG9.2-17およびその機能的変異体を提供する。
【0038】
抗体(複数形でも互換的に使用される)とは、免疫グロブリン分子の可変領域内に配置された、少なくとも1つの抗原認識部位を介する、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的への特異的結合が可能な免疫グロブリン分子である。本明細書で使用される、「抗体」という用語、例えば、抗ガレクチン9抗体は、無傷(例えば、全長)ポリクローナル抗体または無傷(例えば、全長)モノクローナル抗体だけでなく、また、その抗原結合性断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvなど)、単鎖(scFv)、その突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、キメラ抗体、ダイアボディー、ナノボディー、直鎖状抗体、単鎖抗体、多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)、ならびに要求される特異性の抗原認識部位を含む、免疫グロブリン分子の、他の任意の改変構成であって、抗体のグリコシル化変異体、抗体のアミノ酸配列変異体、および共有結合的改変抗体を含む改変構成も包摂する。抗体、例えば、抗ガレクチン9抗体は、IgD、IgE、IgG、IgA、またはIgM(またはこれらのサブクラス)など、任意のクラスの抗体を含み、抗体は、何らかの特定のクラスの抗体である必要はない。その重鎖の定常ドメインの抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスに割り当てられうる。免疫グロブリンには、5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2に、さらに分けられうる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する、重鎖定常ドメインは、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元構成は、周知である。
【0039】
典型的な抗体分子は、通例、抗原への結合に関与する、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む。VH領域およびVL領域は、「フレームワーク領域」(「FR」)として公知の、より保存的な領域を散在させた、「相補性決定領域」(「CDR」)としてもまた公知の、超可変領域に、さらに細分されうる。各VHおよび各VLは、典型的に、アミノ末端から、カルボキシ末端に、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置された、3つのCDRと、4つのFRとから構成される。本発明の異なる実施形態では、本発明の抗体(またはその抗原結合性断片)のFRは、ヒト生殖細胞株列配列と同一である場合もあり、天然で、または人工的に修飾されている場合もある。アミノ酸のコンセンサス配列は、2つまたはこれを超えるCDRについての比較対照解析に基づき、規定されうる。フレームワーク領域およびCDRの広がりは、それらの全てが当技術分野で周知である、当技術分野で公知の方法、例えば、Kabat定義、Chothia定義、AbM定義、EU定義、「Contact」番号付けスキーム、「IMGT」番号付けスキーム、「AHo」番号付けスキーム、および/またはcontact定義を使用して、正確に同定されうる。例えば、Kabat,E.A.ら(1991)、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、5版、U.S.Department of Health and Human Services、NIH刊行物第91-3242号;Chothiaら(1989)、Nature、342巻:877;Chothia,C.ら(1987)、J.Mol.Biol.、196巻:901~917;Al-lazikaniら(1997)、J.Molec.Biol.、273巻:927~948;Edelmanら、Proc Natl Acad Sci U S A.、1969年5月;63巻(1号):78~85;およびAlmagro、J.Mol.Recognit.、17巻:132~143(2004);MacCallumら、J.Mol.Biol.、262巻:732~745(1996);Lefranc M Pら、Dev Comp Immunol、2003年1月;27巻(1号):55~77;ならびにHonegger AおよびPluckthun A、J Mol Biol、2001年6月8日、309巻(3号):657~70を参照されたい。また、hgmp.mrc.ac.uk and bioinf.org.uk/absも参照されたい。
【0040】
一部の実施形態では、本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体は、各々が可変ドメインおよび定常ドメインを含む2つの重鎖および2つの軽鎖を含有する全長抗体である。代替的に、抗ガレクチン9抗体は、全長抗体の抗原結合性断片でありうる。全長抗体の「抗原結合性断片」という用語の中に包摂される結合性断片の例は、(i)VLドメイン、VHドメイン、CLドメイン、およびCH1ドメインからなる一価断片である、Fab断片;(ii)ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋により連結された、2つのFab断片を含む二価断片である、F(ab’)2断片;(iii)VHドメインおよびCH1ドメインからなる、Fd断片;(iv)抗体の単一のアームのVLドメインおよびVHドメインからなる、Fv断片;(v)VHドメインからなる、dAb断片(Wardら(1989)、Nature、341巻:544~546);ならびに(vi)機能性を保持する、単離相補性決定領域(CDR)を含む。さらに、Fv断片の2つのドメインである、VLと、VHとは、個別の遺伝子によりコードされるが、組換え法を使用して、それらを単一のタンパク質鎖として作製することを可能とする、合成リンカーを介して接続される場合があり、この場合、VL領域と、VH領域とは、対合して、単鎖Fv(scFv)として公知の一価分子を形成する。例えば、Birdら(1988)、Science、242巻:423~426;およびHustonら(1988)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85巻:5879~5883を参照されたい。
【0041】
本明細書で記載される抗体、例えば、抗ガレクチン9抗体のうちのいずれかは、モノクローナル抗体の場合もあり、ポリクローナル抗体の場合もある。「モノクローナル抗体」とは、同種抗体集団を指し、「ポリクローナル抗体」とは、異種抗体集団を指す。これらの2つの用語は、抗体の供給源、またはそれが作られる方式を限定しない。
【0042】
参照抗体G9.2-17とは、ヒトガレクチン9に結合することが可能な抗体を指し、それらの両方が下記に示される、配列番号7の重鎖可変ドメインおよび配列番号8の軽鎖可変ドメインを含む。一部の実施形態では、本明細書で開示される方法における使用のための抗ガレクチン9抗体は、G9.2-17抗体である。一部の実施形態では、本明細書で開示される方法における使用のための抗ガレクチン9抗体は、参照抗体G9.2-17と同じ重鎖相補性決定領域(CDR)および/または参照抗体G9.2-17と同じ軽鎖相補性決定領域を有する抗体である。同じVH CDRおよび/またはVL CDRを有する2つの抗体とは、それらのCDRが、同じ手法(例えば、当技術分野で公知の、Kabat法、Chothia法、AbM法、Contact法、またはIMGT法。例えば、bioinf.org.uk/abs/を参照されたい)により決定される場合に、同一であることを意味する。
【0043】
参照抗体G9.2-17の重鎖CDRおよび軽鎖CDRは、下記の表1(Kabat法を使用して決定された)に示される:
【0044】
【0045】
一部の例では、本明細書で開示される方法における使用のための抗ガレクチン9抗体は、(Kabatによるスキームに従い)配列番号4として示された重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号5として示された重鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号6として示された重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含むことが可能であり、かつ/または(Kabatによるスキームに従い)配列番号4として示された重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号5として示された重鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号6として示された重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含みうる。参照抗体G9.2-17を含む抗ガレクチン9抗体は、本明細書で開示される任意のフォーマット、例えば、全長抗体またはFabでありうる。本明細書で使用される「G9.2-17(Ig4)」という用語は、IgG4分子であるG9.2-17抗体を指す。同様に、「G9.2-17(Fab)」という用語は、Fab分子であるG9.2-17抗体を指す。
【0046】
一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体またはその結合性部分は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、この場合、軽鎖可変領域の、CDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号1、2、および3に示された軽鎖可変領域の、CDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸配列に対して、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、およびこの中の任意の増分)の配列同一性を有する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体またはその結合性部分は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、この場合、重鎖可変領域のCDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号4、5、および6に示された重鎖可変領域のCDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸配列に対して少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、およびこの中の任意の増分)の配列同一性を有する。
【0047】
例えば、ガレクチン9のCRD1領域および/またはCRD2領域に結合するさらなるガレクチン9抗体については、それらの各々の内容が、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、共有、同時係属の米国特許出願第16/173,970号、ならびに共有、同時係属の国際特許出願第PCT/US18/58028号および同第PCT/US2020/024767号において記載されている。
【0048】
一部の実施形態では、本明細書で開示される抗ガレクチン9抗体は、参照抗体G9.2-17の対応するVL CDRと、個別にまたは集合的に比較して、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、およびこの中の任意の増分)の配列同一性を有する軽鎖CDRを含む。代替的に、または加えて、一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、参照抗体G9.2-17の対応するVH CDRと、個別にまたは集合的に比較して、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、およびこの中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖CDRを含む。
【0049】
2つのアミノ酸配列の間の「同一性パーセント」は、KarlinおよびAltschul、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90巻:5873~77、1993における通りに改変された、KarlinおよびAltschul、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87巻:2264~68、1990、のアルゴリズムを使用して決定される。このようなアルゴリズムは、Altschulら、J.Mol.Biol.、215巻:403~10、1990によるNBLASTプログラムおよびXBLASTプログラム(version 2.0)に組み込まれている。スコア=50、ワード長=3とするXBLASTプログラムにより、BLASTタンパク質検索を実施して、本発明のタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得ることができる。2つの配列の間にギャップが存在する場合、Altschulら、Nucleic Acids Res.、25巻(17号):3389~3402、1997において記載されている、Gapped BLASTが利用されうる。BLASTプログラムおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトのパラメータが使用されうる。
【0050】
他の実施形態では、本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体は、参照抗体G9.2-17のHC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3と比べて、併せて、最大で8つのアミノ酸残基の変異(付加、欠失、および/または置換を含む、8つ、7つ、6つ、5つ、4つ、3つ、2つ、または1つの変異(複数可))を含有する、HC CDR1、HC CDR2、およびHC CDR3を含むVHを含む。代替的に、または加えて、一部の実施形態では、本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体は、参照抗体G9.2-17のLC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3と比べて、併せて、最大で8つのアミノ酸残基の変異(付加、欠失、および/または置換を含む、8つ、7つ、6つ、5つ、4つ、3つ、2つ、または1つの変異(複数可))を含有する、LC CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3を含むVHを含む。
【0051】
一例では、アミノ酸残基変異は、保存的アミノ酸残基置換である。本明細書で使用される、「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸置換がなされるタンパク質の相対的電荷またはサイズ特徴を変更しないアミノ酸置換を指す。変異体は、当業者に公知の、ポリペプチド配列を変更するための方法であって、このような方法を集成する参考文献、例えば、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、J.Sambrookら編、2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、1989;または「Current Protocols in Molecular Biology」、F.M.Ausubelら編、John Wiley&Sons,Inc.、New Yorkにおいて見出される方法などの方法に従い調製されうる。アミノ酸の保存的置換は、以下の群:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;および(g)E、D内のアミノ酸の間でなされる置換を含む。
【0052】
一部の実施形態では、本明細書で開示される重鎖CDRを有する、本明細書で開示される抗ガレクチン9抗体は、生殖細胞系列VH断片のサブクラスに由来するフレームワーク領域を含有する。このような生殖細胞系列VH領域は、当技術分野で周知である。例えば、IMGTデータベース(www.imgt.org)またはwww.vbase2.org/vbstat.phpを参照されたい。例は、IGHV1サブファミリー(例えば、IGHV1-2、IGHV1-3、IGHV1-8、IGHV1-18、IGHV1-24、IGHV1-45、IGHV1-46、IGHV1-58、およびIGHV1-69)、IGHV2サブファミリー(例えば、IGHV2-5、IGHV2-26、およびIGHV2-70)、IGHV3サブファミリー(例えば、IGHV3-7、IGHV3-9、IGHV3-11、IGHV3-13、IGHV3-15、IGHV3-20、IGHV3-21、IGHV3-23、IGHV3-30、IGHV3-33、IGHV3-43、IGHV3-48、IGHV3-49、IGHV3-53、IGHV3-64、IGHV3-66、IGHV3-72、およびIGHV3-73、IGHV3-74)、IGHV4サブファミリー(例えば、IGHV4-4、IGHV4-28、IGHV4-31、IGHV4-34、IGHV4-39、IGHV4-59、IGHV4-61、およびIGHV4-B)、IGHVサブファミリー(例えば、IGHV5-51、またはIGHV6-1)、およびIGHV7サブファミリー(例えば、IGHV7-4-1)を含む。
【0053】
代替的に、または加えて、一部の実施形態では、本明細書で開示される軽鎖CDRを有する、抗ガレクチン9抗体は、生殖細胞系列Vκ断片に由来するフレームワーク領域を含有する。例は、IGKV1フレームワーク(例えば、IGKV1-05、IGKV1-12、IGKV1-27、IGKV1-33、またはIGKV1-39)、IGKV2フレームワーク(例えば、IGKV2-28)、IGKV3フレームワーク(例えば、IGKV3-11、IGKV3-15、またはIGKV3-20)、およびIGKV4フレームワーク(例えば、IGKV4-1)を含む。他の場合に、抗ガレクチン9抗体は、生殖細胞系列Vλ断片に由来するフレームワークを含有する軽鎖可変領域を含む。例は、IGλ1フレームワーク(例えば、IGλV1-36、IGλV1-40、IGλV1-44、IGλV1-47、IGλV1-51)、IGλ2フレームワーク(例えば、IGλV2-8、IGλV2-11、IGλV2-14、IGλV2-18、IGλV2-23)、IGλ3フレームワーク(例えば、IGλV3-1、IGλV3-9、IGλV3-10、IGλV3-12、IGλV3-16、IGλV3-19、IGλV3-21、IGλV3-25、IGλV3-27)、IGλ4フレームワーク(例えば、IGλV4-3、IGλV4-60、IGλV4-69)、IGλ5フレームワーク(例えば、IGλV5-39、IGλV5-45)、IGλ6フレームワーク(例えば、IGλV6-57)、IGλ7フレームワーク(例えば、IGλV7-43、IGλV7-46)、IGλ8フレームワーク(例えば、IGλV8-61)、IGλ9フレームワーク(例えば、IGλV9-49)、またはIGλ10フレームワーク(例えば、IGλV10-54)を含む。
【0054】
一部の実施形態では、本明細書で開示される方法における使用のための抗ガレクチン9抗体は、参照抗体G9.2-17と同じ重鎖可変領域(VH)および/または同じ軽鎖可変領域(VL)を有する抗体であることが可能であり、VH領域およびVL領域のアミノ酸配列を下記に示す:
【0055】
【0056】
一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号7の重鎖可変領域に対して少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有する。代替的に、または加えて、抗ガレクチン9抗体は、配列番号8の軽鎖可変領域に対して少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有する。
【0057】
一部の場合に、本明細書で開示される抗ガレクチン9抗体は、参照抗体G9.2-17の機能的変異体である。機能的変異体は、参照抗体と、構造的に類似し(例えば、本明細書で開示されるG9.2-17の重鎖CDRおよび/もしくは軽鎖CDRのうちの1つまたは複数内に、限定数のアミノ酸残基変異を含むか、または本明細書で開示されるG9.2-17の重鎖CDRおよび/もしくは軽鎖CDR、または本明細書で開示されるG9.2-17のVHおよび/もしくはVLと比べた配列同一性を有する)、ヒトガレクチン9に対する、実質的に同様の結合アフィニティー(例えば、同じ桁数のKD値を有する)を伴う。
【0058】
一部の実施形態では、本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体は、ガレクチン9に結合し、この活性を、少なくとも20%(例えば、この中の任意の増分を含む、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはこれを超えて)阻害しうる。阻害剤の効能の尺度をもたらす、見かけの阻害定数(KiappまたはKi,
app)は、酵素活性を低減するのに要求される阻害剤の濃度と関連し、酵素濃度には依存しない。本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体の阻害活性は、当技術分野で公知の規定の方法により決定されうる。
【0059】
抗体のKi,
app値は、異なる濃度の抗体の、反応(例えば、酵素活性)の程度に対する阻害効果を測定することにより決定される場合があり;阻害剤濃度の関数としての、擬1次速度定数(v)の変化を、改変モリソン式(式1)に当てはめることから、見かけのKi値の推定値を得る。競合的阻害剤について、Kiappは、Ki,
appを、基質濃度と対比したプロットについての線形回帰解析から抽出されるy切片から得られうる。
【0060】
【0061】
[式中、Aは、総酵素濃度(E)で除された、阻害剤(I)の非存在下における、酵素反応の初期速度(vo)である、vo/Eと等しい]。一部の実施形態では、本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体は、標的である、抗原または抗原エピトープに対して、1000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、50、40、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5pM、またはこれ未満のKiapp値を有する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、第1の標的(例えば、ガレクチン9のCRD2)に対して、第2の標的(例えば、ガレクチン9のCRD1)に対するKiappと比べて、低値のKiappを有する。Kiappの差違(例えば、特異性についての、または他の比較のための)は、少なくとも1.5、2、3、4、5、10、15、20、37.5、50、70、80、91、100、500、1000、10,000、または105倍でありうる。一部の例では、抗ガレクチン9抗体は、第1の抗原(例えば、第1のコンフォメーションにある、第1のタンパク質、またはその模倣体)を、第2の抗原(例えば、第2のコンフォメーションにある、同じ第2のタンパク質、もしくはその模倣体;または第2のタンパク質)と比べて大幅に阻害する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体のうちのいずれかは、抗体の、標的抗原、またはその抗原性エピトープに対するKiappを低減するように、さらにアフィニティー成熟されうる。
【0062】
一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、例えば、マクロファージなど、腫瘍浸潤性免疫細胞内の、デクチン1シグナル伝達を抑制する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、ガレクチン9により誘発される、デクチン1シグナル伝達を、少なくとも30%(例えば、この中の任意の増分を含む、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはこれを超えて)抑制する。このような阻害活性は、規定のアッセイなど、従来の方法により決定されうる。代替的に、または加えて、抗ガレクチン9抗体は、ガレクチン9により開始される、T細胞免疫グロブリンムチン3(TIM-3)シグナル伝達を抑制する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、例えば、一部の実施形態では、例えば、腫瘍浸潤性免疫細胞内の、T細胞免疫グロブリンムチン3(TIM-3)シグナル伝達を、少なくとも30%(例えば、この中の任意の増分を含む、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはこれを超えて)抑制する。このような阻害活性は、規定のアッセイなど、従来の方法により決定されうる。
【0063】
一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、例えば、腫瘍浸潤性免疫細胞内の、CD206シグナル伝達を抑制する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、ガレクチン9により誘発される、CD206シグナル伝達を、少なくとも30%(例えば、この中の任意の増分を含む、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはこれを超えて)抑制する。このような阻害活性は、規定のアッセイなど、従来の方法により決定されうる。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、ガレクチン9の、CD206への結合を、少なくとも30%(例えば、この中の任意の増分を含む、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはこれを超えて)遮断または阻止する。このような阻害活性は、規定のアッセイなど、従来の方法により決定されうる。
【0064】
一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、ガレクチン9を発現させる標的細胞内の、ADCCなど、細胞性細胞傷害作用を誘導し、例えば、この場合、標的細胞は、がん細胞または免疫抑制性免疫細胞である。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、T細胞などの免疫細胞内、またはがん細胞内のアポトーシスを、少なくとも30%(例えば、この中の任意の増分を含む、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはこれを超えて)誘導する。このような阻害活性は、規定のアッセイなど、従来の方法により決定されうる。一部の実施形態では、本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体のうちのいずれかは、ガレクチン9を発現させる標的細胞に対する、補体依存性細胞傷害作用(CDC)などの細胞性細胞傷害作用を誘導する。
【0065】
抗体依存性細胞媒介性食作用(ADCP)は、食作用を介して、それらの作用の一部または全部を媒介する抗体についての、重要な作用機構である。この場合に、抗体は、抗原提示細胞による、特異的抗原の取込みを媒介する。ADCPは、そのうちのマクロファージ上のFcγRIIa(CD32a)が、主要な経路を表す、FcγRIIa、FcγRI、およびFcγRIIIaを介して、単球、マクロファージ、好中球、および樹状細胞により媒介されうる。
【0066】
一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、標的細胞、例えば、がん細胞、または免疫抑制性ガレクチン9を発現させる免疫細胞に対する細胞性食作用(ADCP)を誘導する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、標的細胞、例えば、がん細胞、または免疫抑制性免疫細胞に対する食作用を、少なくとも30%(例えば、この中の任意の増分を含む、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはこれを超えて)増大させる。
【0067】
一部の実施形態では、本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体は、標的細胞、例えば、がん細胞、または免疫抑制性免疫細胞に対する、補体依存性細胞傷害作用(CDC)などの細胞性細胞傷害作用を誘導する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、標的細胞に対するCDCを、少なくとも30%(例えば、この中の任意の増分を含む、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはこれを超えて)増大させる。
【0068】
一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、例えば、腫瘍浸潤性T細胞における、T細胞の活性化を誘導する、すなわち、T細胞活性化の、ガレクチン9媒介性阻害を、直接的に、または間接的に抑制する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、T細胞の活性化を、少なくとも30%(例えば、この中の任意の増分を含む、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはこれを超えて)促進する。T細胞の活性化は、アッセイ(例えば、CD44、TNFアルファ、IFNガンマ、および/またはPD-1の測定)などの従来の方法により決定されうる。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、CD4+細胞の活性化を、少なくとも30%(例えば、この中の任意の増分を含む、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはこれを超えて)促進する。非限定例では、抗ガレクチン抗体は、CD4+細胞内の、CD44の発現を誘導する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、CD4+細胞内の、CD44の発現を、少なくとも30%(例えば、この中の任意の増分を含む、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはこれを超えて)増大させる。非限定例では、抗ガレクチン抗体は、CD4+細胞内の、IFNガンマの発現を誘導する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、CD4+細胞内の、IFNガンマの発現を、少なくとも30%(例えば、この中の任意の増分を含む、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはこれを超えて)増大させる。非限定例では、抗ガレクチン抗体は、CD4+細胞内の、TNFアルファの発現を誘導する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、CD4+細胞内の、TNFアルファの発現を、少なくとも30%(例えば、この中の任意の増分を含む、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはこれを超えて)増大させる。
【0069】
一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、CD8+細胞の活性化を、少なくとも30%(例えば、この中の任意の増分を含む、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはこれを超えて)促進する。非限定例では、抗ガレクチン抗体は、CD8+細胞内の、CD44の発現を誘導する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、CD8+細胞内の、CD44の発現を、少なくとも30%(例えば、この中の任意の増分を含む、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはこれを超えて)増大させる。非限定例では、抗ガレクチン抗体は、CD8+細胞内の、IFNガンマの発現を誘導する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、CD8+細胞内の、IFNガンマの発現を、少なくとも30%(例えば、この中の任意の増分を含む、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはこれを超えて)増大させる。非限定例では、抗ガレクチン抗体は、CD8+細胞内の、TNFアルファの発現を誘導する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、CD8+細胞内の、TNFアルファの発現を、少なくとも30%(例えば、この中の任意の増分を含む、31%、35%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはこれを超えて)増大させる。
【0070】
一部の実施形態では、本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体は、標的抗原(例えば、ガレクチン9)、またはその抗原性エピトープに対する、適切な結合アフィニティーを有する。本明細書で使用される、「結合アフィニティー」とは、見かけの会合定数またはKAを指す。KAは、解離定数(KD)の逆数である。本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体は、標的抗原または抗原性エピトープに対する、少なくとも10-5、10-6、10-7、10-8、10-9、10-10M、またはこれ未満の結合アフィニティー(KD)を有しうる。結合アフィニティーの上昇は、KDの低下に対応する。結合アフィニティー(または結合特異性)は、平衡透析、平衡結合、ゲル濾過、ELISA、表面プラズモン共鳴、または分光法(例えば、蛍光アッセイを使用する)を含む、様々な方法により決定されうる。結合アフィニティーを査定するための、例示的な条件は、HBS-P緩衝液(10mMのHEPES pH7.4、150mMのNaCl、0.005%(v/v)のSurfactant P20)中の条件である。
【0071】
これらの技法は、結合した結合性タンパク質の濃度を、標的タンパク質濃度の関数として測定するのに使用されうる。ある特定の条件下で、結合した結合性タンパク質の濃度比([結合]/[総計])は、一般に、以下の式:
[結合]/[総計]=[標的]/(Kd+[標的])
により、全標的タンパク質の濃度([標的])と関係づけられる。
【0072】
しかしながら、場合によって、例えば、ELISA解析またはFACS解析などの方法を使用して決定される、アフィニティーの定量的測定値であって、KAに比例するので、高アフィニティーが、例えば、2倍であるのかどうかの決定などの比較に使用されうる、アフィニティーの定量的測定値を得るか、アフィニティーの定性的測定値を得るか、または機能アッセイ、例えば、in vitroアッセイまたはin vivoアッセイにおける、例えば、活性によるアフィニティーの推定値を得れば十分であるので、常に、KAの正確な決定が必要なわけではない。一部の場合に、in vitro結合アッセイは、in vivo活性を指し示す。他の場合に、in vitro結合アッセイは、in vivo活性を、必ずしも指し示すわけではない。一部の場合には、緊密な結合が有益であるが、他の場合には、緊密な結合は、in vivoにおいて所望される通りではなく、結合アフィニティーの小さな抗体が、より所望される。
【0073】
一部の実施形態では、本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体のうちのいずれかの重鎖は、重鎖定常領域(CH)またはその部分(例えば、CH1、CH2、CH3、またはこれらの組合せ)をさらに含む。重鎖定常領域は、任意の適切な由来、例えば、ヒト、マウス、ラット、またはウサギでありうる。一具体例では、重鎖定常領域は、本明細書で記載される、任意のIgGサブファミリーのヒトIgG(ガンマ重鎖)に由来する。
【0074】
一部の実施形態では、本明細書で記載される抗体の重鎖定常領域は、単一のドメイン(例えば、CH1、CH2、またはCH3)、または定常領域の単一のドメイン(例えば、配列番号10、12~14、および21)のうちのいずれかの組合せを含む。一部の実施形態では、本明細書で記載される抗体の軽鎖定常領域は、定常領域の単一のドメイン(例えば、CL)を含む。例示的な軽鎖配列および重鎖配列は、下記に列挙される。例示的な軽鎖配列および重鎖配列は、下記に列挙される。hIgG1 LALA配列は、FcgRへの結合を抑制する2つの突然変異である、L234AおよびL235A(EU番号付け)のほか、補体C1qへの結合を失効化させ、これにより、全ての免疫エフェクター機能を失効化させる、P329G突然変異(EU番号付け)を含む。hIgG4 Fab Arm Exchange突然変異体配列は、Fab Arm Exchangeを抑制する突然変異(S228P;EU番号付け)を含む。IL2シグナル配列(MYRMQLLSCIALSLALVTNS;配列番号9)は、可変領域のN末端に配置されうる。分泌時に切断され、このため、成熟抗体分子内には存在しない、IL2シグナル配列は、発現ベクター内で使用される。成熟タンパク質(分泌の後における)は、重鎖について「EVQ」で始まり、軽鎖について「DIM」で始まる。例示的な重鎖定常領域のアミノ酸配列を下記に示す:
【0075】
【0076】
一部の実施形態では、上記の重鎖定常領域のうちのいずれかを有する抗ガレクチン9抗体が、以下の軽鎖定常領域を有する軽鎖と対合される:
軽鎖定常領域(配列番号11)
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
例示的な全長抗ガレクチン9抗体を下記に示す:
【0077】
【0078】
一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、およびこの中の任意の増分)の配列同一性に対する、1を有する重鎖IgG1定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体の定常領域は、配列番号13を含む重鎖IgG1定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体の定常領域は、配列番号10からなる重鎖IgG4定常領域を含む。
【0079】
一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号13に対する、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、およびこの中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号13を含む重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号13からなる重鎖IgG4定常領域を含む。
【0080】
一部の実施形態では、定常領域は、ヒトIgG4に由来する。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号20に対する、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、およびこの中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号20を含む重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号20からなる重鎖IgG4定常領域を含む。
【0081】
これらの実施形態のうちのいずれかでは、抗ガレクチン9抗体は、配列番号11に対する、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、およびこの中の任意の増分)の配列同一性を有する軽鎖IgG4定常領域を含む。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号11を含む軽鎖定常領域を含む。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号11からなる軽鎖定常領域を含む。
【0082】
一部の実施形態では、IgGは、Fc受容体との係合が最小である突然変異体である。一例では、定常領域は、ヒトIgG1 LALAに由来する。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、およびこの中の任意の増分)の配列同一性に対する、1を有する重鎖IgG1定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号12を含む重鎖IgG1定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号12からなる重鎖IgG1定常領域を含む。
【0083】
一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、修飾定常領域を含む。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、免疫不活性の修飾定常領域、例えば、補体媒介性溶解を誘発したり、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC)を刺激したりしない、修飾定常領域を含む。ADCC活性は、米国特許第5,500,362号において開示されている方法を使用して評価されうる。他の実施形態では、定常領域は、Eur.J.Immunol.(1999)、29巻:2613~2624;PCT出願第PCT/GB99/01441号;および/または英国特許出願第9809951.8号において記載されている通りに修飾される。一部の実施形態では、IgG4定常領域は、重鎖交換が低減された突然変異体である。一部の実施形態では、定常領域は、ヒトIgG4 Fab Arm Exchange S228P突然変異体に由来する。
【0084】
一実施形態では、抗ガレクチン9抗体の定常領域は、配列番号14に対する、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、およびこの中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体の定常領域は、配列番号14を含む重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体の定常領域は、配列番号14からなる重鎖IgG4定常領域を含む。
【0085】
一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号21に対する、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、およびこの中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号21を含む重鎖IgG4定常領域を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号21からなる重鎖IgG4定常領域を含む。
【0086】
一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、軽鎖については、配列番号15に対応する鎖;および配列番号10(hIgG1);12(hIgG1 LALA);13(hIgG4);20(hIgG4);14(hIgG4 mut);および21(hIgG4 mut)に対応する、例示的な重鎖のアミノ酸配列を有する。
【0087】
一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号15を含むか、これから本質的になるか、またはこれからなる軽鎖を有する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号16~19、22、および23からなる群から選択される配列のうちのいずれか1つを含むか、これから本質的になるか、またはこれからなる重鎖を有する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号15を含むか、これから本質的になるか、またはこれからなる軽鎖、および配列番号16~19からなる群から選択される配列のうちのいずれか1つを含むか、これから本質的になるか、またはこれからなる重鎖を有する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号15を含む軽鎖、および配列番号16~19、22、および23からなる群から選択される配列のうちのいずれか1つを含む重鎖を有する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号15から本質的になる軽鎖、および配列番号16~19、22、および23からなる群から選択される配列のうちのいずれか1つから本質的になる重鎖を有する。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号15からなる軽鎖、および配列番号16~19、22、および23からなる群から選択される配列のうちのいずれか1つからなる重鎖を有する。具体的な一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号15から本質的になる軽鎖、および配列番号19から本質的になる重鎖を有する。別の具体的実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号15から本質的になる軽鎖、および配列番号20から本質的になる重鎖を有する。
【0088】
一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号16に対する、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、およびこの中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号16を含む重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号16からなる重鎖配列を含む。
【0089】
一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号17に対する、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、およびこの中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号17を含む重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号17からなる重鎖配列を含む。
【0090】
一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号18に対する、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、およびこの中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号18を含む重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号18からなる重鎖配列を含む。
【0091】
一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号22に対する、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、およびこの中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号22を含む重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号22からなる重鎖配列を含む。
【0092】
一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号19に対する、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、およびこの中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号19を含む重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号19からなる重鎖配列を含む。
【0093】
一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号23に対する、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、およびこの中の任意の増分)の配列同一性を有する重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号23を含む重鎖配列を含む。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号23からなる重鎖配列を含む。
【0094】
これらの実施形態のうちのいずれかでは、抗ガレクチン9抗体は、配列番号15に対する、少なくとも80%(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%、およびこの中の任意の増分)の配列同一性を有する軽鎖配列を含む。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号15を含む軽鎖配列を含む。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、配列番号15からなる軽鎖配列を含む。
【0095】
具体例では、本明細書で開示される処置法において使用される抗ガレクチン9抗体は、配列番号19の重鎖および配列番号15の軽鎖を有する。一部の実施形態では、本明細書で開示される処置法において使用される抗ガレクチン9抗体は、G9.2-17 IgG4である。
【0096】
抗ガレクチン9抗体の調製
本明細書で記載される、ガレクチン9に結合することが可能な抗体は、組換え技術を含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の、任意の方法により作られうる。下記では1つの例が示される。
【0097】
本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体の重鎖および軽鎖をコードする核酸は、各ヌクレオチド配列が、適切なプロモーターに作動的に連結された、1つの発現ベクターにクローニングされうる。一例では、重鎖および軽鎖をコードするヌクレオチド配列の各々は、顕著に異なるプロモーターに作動的に連結される。代替的に、重鎖および軽鎖の両方が、同じプロモーターから発現されるように、重鎖および軽鎖をコードするヌクレオチド配列は、単一のプロモーターと作動的に連結されうる。必要な場合、内部リボソーム侵入部位(IRES)が、重鎖コード配列と軽鎖コード配列との間に挿入されうる。
【0098】
一部の例では、抗体の2つの鎖をコードするヌクレオチド配列は、同じ細胞に導入される場合もあり、異なる細胞に導入される場合もある、2つのベクターにクローニングされる。2つの鎖が、異なる細胞内で発現される場合、これらの各々は、このような鎖を発現させる宿主細胞から単離され、単離された重鎖および軽鎖は、抗体の形成を可能とする、適切な条件下で、混合およびインキュベートされうる。
【0099】
一般に、抗体の1つまたは全ての鎖をコードする核酸配列は、当技術分野で公知の方法を使用して、適切なプロモーターと作動的に連結された、適切な発現ベクターにクローニングされうる。例えば、ヌクレオチド配列およびベクターは、各分子上に、互いと対合することが可能であり、リガーゼにより一体に接続されうる、相補性末端を創出するように、適切な条件下で、制限酵素と接触しうる。代替的に、合成核酸リンカーが、遺伝子の末端にライゲーションされうる。これらの合成リンカーは、ベクター内の特定の制限部位に対応する核酸配列を含有する。発現ベクター/プロモーターの選択は、抗体の作製における使用のための宿主細胞の種類に依存するであろう。
【0100】
サイトメガロウイルス(CMV)中期/早期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスLTR、HIV-LTR、HTLV-1 LTRなどのウイルスLTR、サルウイルス40(SV40)早期プロモーター、E.coli lac UV5プロモーター、および単純ヘルペスウイルスtkプロモーターを含むがこれらに限定されない、様々なプロモーターが、本明細書で記載される抗体の発現に使用されうる。
【0101】
調節性プロモーターもまた、使用されうる。このような調節性プロモーターは、E.coliに由来するlacリプレッサーを、転写モジュレーターとして使用して、lacオペレーターを保有する哺乳動物細胞プロモーターからの転写を調節する調節性プロモーター[Brown,M.ら、Cell、49巻:603~612(1987)]、テトラサイクリンリプレッサー(tetR)を使用する調節性プロモーター[Gossen,M.およびBujard,H.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89巻:5547~5551(1992);Yao,F.ら、Human Gene Therapy、9巻:1939~1950(1998);Shockelt,P.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92巻:6522~6526(1995)]を含む。他の系は、アストラジオール、RU486、ジフェノールムリスレロン、またはラパマイシンを使用する、FK506二量体、VP16、またはp65を含む。誘導系は、Invitrogen、Clontech、およびAriadから市販されている。
【0102】
オペロンと共にリプレッサーを含む、調節性プロモーターも使用されうる。一実施形態では、E.coliに由来するlacリプレッサーは、lacオペレーターを保有する哺乳動物細胞プロモーターからの転写を調節する転写モジュレーター(M.Brownら、Cell、49巻:603~612(1987);GossenおよびBujard(1992);M.Gossenら、Natl.Acad.Sci.USA、89巻:5547~5551(1992))であって、哺乳動物細胞における遺伝子発現を制御するように、テトラサイクリンリプレッサー(tetR)を、転写活性化因子(VP 16)と組み合わせて、tetR-哺乳動物細胞転写活性化因子融合タンパク質である、tTa(tetR-VP 16)を創出し、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)主要中期-早期プロモーターに由来する、tetOを保有する最小プロモーターと組み合わせて、tetR-tetオペレーター系を創出する転写モジュレーターとして機能しうる。一実施形態では、テトラサイクリン誘導性スイッチが使用される。テトラサイクリンリプレッサー(tetR)は、tetR-哺乳動物細胞転写因子融合誘導体ではなく、単独で、テトラサイクリンオペレーターが、CMVIEプロモーターのTATAエレメントの下流に、適正に位置した場合に、哺乳動物細胞における遺伝子発現を調節する、強力なトランス型モジュレーターとして機能しうる(Yaoら、Human Gene Therapy、10巻(16号):1392~1399(2003))。このテトラサイクリン誘導性スイッチの、1つの特定の利点は、その調節効果を達成するのに、一部の場合には、細胞に毒性でありうる、テトラサイクリンリプレッサー-哺乳動物細胞トランス型活性化因子またはリプレッサー融合タンパク質(Gossenら、Natl.Acad.Sci.USA、89巻:5547~5551(1992);Shockettら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92巻:6522~6526(1995))の使用を要求しないことである。
【0103】
加えて、ベクターは、例えば、以下:哺乳動物細胞内の、安定的トランスフェクト細胞または一過性トランスフェクト細胞の選択のためのネオマイシン遺伝子などの選択用マーカー遺伝子;高レベルの転写のための、ヒトCMVの中期/早期遺伝子に由来するエンハンサー/プロモーター配列;mRNAの安定性のための、SV40に由来する転写終結シグナルおよびRNAプロセシングシグナル;SV40ポリオーマ複製起点、および適正なエピソーム内の複製のためのColE1;多用途の多重クローニング部位である、内部リボソーム侵入部位(IRES);ならびにセンスRNAおよびアンチセンスRNAのin vitro転写のための、T7 RNAプロモーターおよびSP6 RNAプロモーターの一部または全部を含有しうる。当技術分野では、トランス遺伝子を含有するベクターを作製するのに適するベクターおよび方法が周知であり、市販されている。
【0104】
本明細書で記載される方法を実施するのに有用なポリアデニル化シグナルの例は、ヒトコラーゲンIポリアデニル化シグナル、ヒトコラーゲンIIポリアデニル化シグナル、およびSV40ポリアデニル化シグナルを含むがこれらに限定されない。
【0105】
抗体のうちのいずれかをコードする核酸を含む、1つまたは複数のベクター(例えば、発現ベクター)は、抗体を作製するのに適する宿主細胞に導入されうる。宿主細胞は、抗体またはその任意のポリペプチド鎖の発現に適切な条件下で培養されうる。このような抗体またはそのポリペプチド鎖は、従来の方法、例えば、アフィニティー精製を介して、培養細胞から(例えば、細胞または培養物上清から)回収されうる。必要な場合、抗体のポリペプチド鎖は、抗体の産生を可能とする適切な時間にわたり、適切な条件下でインキュベートされうる。
【0106】
一部の実施形態では、本明細書で記載される抗体を調製するための方法は、本明細書でもまた記載される、抗ガレクチン9抗体の重鎖および軽鎖の両方をコードする、組換え発現ベクターを伴う。組換え発現ベクターは、従来の方法、例えば、リン酸カルシウム媒介トランスフェクションにより、適切な宿主細胞(例えば、dhfr-CHO細胞)に導入されうる。陽性形質転換体宿主細胞は、細胞または培養培地から回収されうる抗体を形成する、2つのポリペプチド鎖の発現を可能とするのに適切な条件下で選択および培養されうる。必要な場合、宿主細胞から回収される2つの鎖は、抗体の形成を可能とするのに適切な条件下でインキュベートされうる。
【0107】
一例では、一方は、抗ガレクチン9抗体の重鎖をコードし、他方は、抗ガレクチン9抗体の軽鎖をコードする、2つの組換え発現ベクターが提供される。2つの組換え発現ベクターのいずれも、従来の方法、例えば、リン酸カルシウム媒介トランスフェクションにより、適切な宿主細胞(例えば、dhfr-CHO細胞)に導入されうる。代替的に、発現ベクターの各々は、適切な宿主細胞に導入されうる。陽性形質転換体は、抗体のポリペプチド鎖の発現を可能とする、適切な条件下で選択および培養されうる。2つの発現ベクターが、同じ宿主細胞に導入される場合、その中で産生される抗体は、宿主細胞または培養培地から回収されうる。必要な場合、ポリペプチド鎖は、宿主細胞または培養培地から回収され、次いで、抗体の形成を可能とするのに適切な条件下でインキュベートされうる。2つの発現ベクターが、異なる宿主細胞に導入される場合、これらの各々は、対応する宿主細胞または対応する培養培地から回収されうる。次いで、2つのポリペプチド鎖は、抗体の形成に適切な条件下でインキュベートされうる。
【0108】
標準的な分子生物学法は、組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞にトランスフェクトし、形質転換体について選択し、宿主細胞を培養し、抗体を、培養培地から回収するのに使用される。例えば、一部の抗体は、プロテインAカップリングマトリックスまたはプロテインGカップリングマトリックスを伴うアフィニティークロマトグラフィーにより単離されうる。
【0109】
本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体の重鎖、軽鎖、またはこれらの両方をコードする核酸のうちのいずれか、このような核酸を含有するベクター(例えば、発現ベクター);およびベクターを含む宿主細胞は、本開示の範囲内にある。
【0110】
このようにして調製された抗ガレクチン9抗体は、ガレクチン9の生物学的活性の軽減、改善、または中和が検出および/または測定される、当技術分野で公知の方法を使用して特徴付けられうる。例えば、一部の実施形態では、ELISA型アッセイが、デクチン1シグナル伝達またはTIM-3シグナル伝達の、ガレクチン9を介する阻害の、定性的測定または定量的測定に適する。
【0111】
抗ガレクチン9抗体の生体活性は、候補抗体を、デクチン1およびガレクチン9と共にインキュベートし、以下の特徴:(a)デクチン1とガレクチン9との結合、結合により媒介されるシグナル伝達の阻害;(b)充実性腫瘍の任意の側面の阻止、改善、または処置;(c)デクチン1活性化の遮断または低下;(d)ガレクチン9の合成、産生、または放出の阻害(低減)のうちのいずれか1つまたは複数をモニタリングすることにより検証されうる。代替的に、上記で記載されたプロトコールを使用して、抗ガレクチン9抗体の生体活性を検証するのに、TIM-3が使用されうる。代替的に、上記で記載されたプロトコールを使用して、抗ガレクチン9抗体の生体活性を検証するのに、CD206が使用されうる。
【0112】
一部の実施形態では、生体活性または有効性は、対象において、例えば、末梢および腫瘍内におけるT細胞比、T細胞の活性化を測定することにより、またはマクロファージ表現型解析により評価される。
【0113】
抗ガレクチン9抗体の生体活性を決定する、さらなるアッセイは、(従来の)CD8+ T細胞およびCD4+ T細胞の活性化の測定(in vitroアッセイまたはin vivoアッセイにおいて、例えば、炎症性サイトカインレベル、例えば、IFNガンマ、TNFアルファ、CD44、ICOS、グランザイムB、パーフォリン、IL2(上方調節);CD26LおよびIL-10(下方調節)を測定することによる);マクロファージの、例えば、M2表現型から、M1表現型へのリプログラミング(例えば、MHCIIの上昇、CD206の低減、TNF-アルファおよびiNOSの上昇)の測定(in vitroまたはin vivoにおける)を含むが、代替的に、ADCCのレベルは、例えば、本明細書で記載される、in vitroアッセイにおいても評価されうる。
【0114】
医薬組成物
本明細書で記載される、抗ガレクチン9抗体のほか、コード核酸または核酸セット、このような核酸を含むベクター、またはベクターを含む宿主細胞は、標的疾患の処置における使用のための医薬組成物を形成するように、医薬的に許容される担体(賦形剤)と混合されうる。「許容可能な」とは、担体は、組成物の有効成分と適合性であり(好ましくは、有効成分を安定化させることが可能であり)、処置される対象に対して、有害ではないことを意味する。医薬的に許容される賦形剤(担体)は、当技術分野で周知の緩衝液を含む。例えば、「Remington:Science and Practice of Pharmacy」、20版(2000)、Lippincott Areiams and Wilkins、K.E.Hoover編を参照されたい。
【0115】
本方法で使用される医薬組成物は、凍結乾燥製剤または水溶液の形態にある、医薬的に許容される担体、賦形剤、または安定化剤を含みうる(「Remington:Science and Practice of Pharmacy」、20版(2000)、Lippincott Areiams and Wilkins、K.E.Hoover編)。許容可能な担体、賦形剤、または安定化剤は、一般に、使用される投与量および濃度で、レシピエントに対して、非毒性であり、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンを含む、抗酸化剤;保存剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノールアルコール、ブチルアルコール、またはベンジルアルコール;メチルパラベンまたはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルチノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリシンなどのアミノ酸;単糖、二糖、およびグルコース、マンノース、もしくはデキストランを含む、他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;ならびに金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/またはTWEEN(登録商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。一部の例では、本明細書で記載される医薬組成物は、Epsteinら(1985)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82巻:3688;Hwangら(1980)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77巻:4030;ならびに米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号において記載されている方法など、当技術分野で公知の方法により調製されうる、抗体(またはコード核酸)を含有するリポソームを含む。循環時間が増強されたリポソームについては、米国特許第5,013,556号において開示されている。特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、およびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を伴う逆相蒸発法により作出されうる。所望の直径を伴うリポソームをもたらすように、リポソームは、規定された小孔径のフィルターを通して押し出れる。
【0116】
一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体またはコード核酸(複数可)は、例えば、コアセルベーション法により、または界面重合により調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)内、またはマクロエマルジョン中の、ヒドロキシメチルセルロースマイクロカプセル内またはゼラチンマイクロカプセル内およびポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセル内に封入される。当技術分野では、このような技法について公知であり、例えば、「Remington:Science and Practice of Pharmacy」、20版、Mack Publishing(2000)を参照されたい。
【0117】
他の例では、本明細書で記載される医薬組成物は、持続放出フォーマットで製剤化されうる。適切な持続放出調製物の例は、抗体を含有する、固体の疎水性ポリマーによる半透性マトリックスであって、成型品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態にあるマトリックスを含む。持続放出マトリックスの例は、ポリエステル、ハイドロゲル(例えば、ポリ(メタクリル酸2-ヒドロキシエチル)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸と7-エチル-L-グルタメートとのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーと、酢酸ロイプロリドとから構成される注射用マイクロスフェア)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、イソ酪酸酢酸スクロース、およびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。
【0118】
in vivoにおける投与のために使用される医薬組成物は、滅菌でなければならない。これは、例えば、滅菌濾過膜を介する濾過により、たやすく達せられる。治療用抗体組成物は、一般に、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、静脈内注射用溶液バッグ、または皮下注射用注射針で穿刺可能な止栓を有するバイアルに入れられる。
【0119】
本明細書で記載される医薬組成物は、経口投与、非経口投与、もしくは直腸内投与、または吸入もしくは吹送による投与のための、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、顆粒、溶液もしくは懸濁液、坐剤など、単位用量の剤形でありうる。
【0120】
錠剤などの固体組成物を調製するために、主要有効成分は、本発明の化合物、または非毒性で医薬的に許容されるその塩の均一な化合物を含有する、固体の前製剤組成物を形成するように、医薬担体、例えば、トウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、ソルビトール、滑石、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、二リン酸カルシウム、またはガムなど、従来の錠剤成分、および他の医薬希釈剤、例えば、水と混合され得る。これらの前製剤組成物を、均一であると称する場合、組成物が、錠剤、丸剤、カプセルなど、有効な単位剤形に、たやすく細分され得るように、有効成分が、組成物全体にわたり、一様に分散していることが意図される。次いで、この固体前製剤組成物が、本発明の有効成分0.1~約500mgを含有する、上記で記載した種類の単位剤形に、細分される。新規の組成物の錠剤または丸剤は、作用の延長の利点を有する剤形をもたらすように、コーティイングされる場合もあり、他の形で複合化される場合もある。例えば、錠剤または丸剤は、後者が、前者を包み込む形態にある、内部投与成分および外部投与成分を含み得る。2つの成分は、胃内の崩壊に抵抗し、内部成分が、無傷のまま、十二指腸に通過するか、または放出を遅らせることを可能とするのに用いられる、腸溶性層で隔てられる場合がある。このような腸溶性層またはコーティングには、多数のポリマー酸、およびポリマー酸の、シェラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースなどの材料との化合物を含む、様々な材料が使用されうる。適切な表面活性剤(surfactant)は、特に、ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、Tween(登録商標)20、40、60、80、または85)、および他のソルビタン(例えば、Span(商標)20、40、60、80、または85)などの非イオン性薬剤を含む。表面活性剤を伴う組成物は、0.05~5%の間の表面活性剤を含むと好都合であり、0.1~2.5%の間でありうる。必要な場合は、他の成分、例えば、マンニトールまたは他の医薬的に許容される媒体も添加されうることが察知される。
【0121】
適切なエマルジョンは、Intralipid(商標)、Liposyn(商標)、Infonutrol(商標)、Lipofundin(商標)、およびLipiphysan(商標)など、市販の脂肪エマルジョンを使用して調製され得る。有効成分は、あらかじめ混合されたエマルジョン組成物中に溶解する場合もあり、代替的に、油(例えば、ダイズ油、ヒマワリ油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、またはアーモンド油)中に溶解する場合もあり、リン脂質(例えば、鶏卵リン脂質、ダイズリン脂質、またはダイズレシチン)および水と混合すると、エマルジョンが形成され得る。エマルジョンの毒性を調整するように、他の成分、例えば、グリセロールまたはグルコースも添加され得ることが察知される。適切なエマルジョンは、典型的に、最大で、20%、例えば、5~20%の間の油を含有する。脂肪エマルジョンは、0.1~1.0.im、特に、0.1~0.5.imの間の脂肪液滴を含むことが可能であり、5.5~8.0の範囲のpHを有し得る。
【0122】
エマルジョン組成物は、抗体を、Intralipid(商標)またはその成分(ダイズ油、鶏卵リン脂質、グリセロール、および水)と混合することにより調製されるエマルジョン組成物でありうる。
【0123】
吸入または吹送のための医薬組成物は、医薬的に許容される、水性溶媒中もしくは有機溶媒中の溶液および懸濁液、またはこれらの化合物、および粉末を含む。液体組成物または固体組成物は、上記で明示された、医薬的に許容される、適切な賦形剤を含有し得る。一部の実施形態では、組成物は、局所効果または全身効果のための、経口経路または経鼻呼吸器経路投与される。
【0124】
滅菌であることが好ましい、医薬的に許容される溶媒中の組成物は、ガスの使用により噴霧されうる。噴霧溶液は、噴霧化デバイスから直接吸入される場合もあり、噴霧化デバイスが、顔用マスク、テント、または間欠的陽圧型吸入機に取り付けられる場合もある。溶液組成物、懸濁液組成物、または粉末組成物は、好ましくは、製剤を、適切な方式で送達するデバイスから、経口投与される場合もあり、経鼻投与される場合もある。
【0125】
組合せがん治療
本開示は、ゲムシタビンおよび/またはパクリタキセル(例えば、アブラキサン(登録商標))などの1つまたは複数の化学療法剤と組み合わせて、抗ガレクチン抗体のうちのいずれか、例えばG9.2-17(例えば、G9.2-17(IgG4))を使用して、PDAC、結腸直腸がん(CRC)、肝細胞癌(HCC)、または胆管癌(CAA)などの充実性腫瘍を処置するための方法を提供する。
【0126】
理論に束縛されずに述べると、それらのデクチン1に対する阻害を介する、抗ガレクチン9抗体は、例えば、CD4+ T細胞および/またはCD8+ T細胞を活性化させることによる、例えば、腫瘍微小環境に浸潤したγδT細胞の活性の阻害、および/または腫瘍細胞に対する免疫監視の増強を介して、腫瘍細胞に対する免疫応答をリプログラミングしうることが考えられる。したがって、抗ガレクチン9抗体と、本明細書に記載されるものなどの1つまたは複数の化学療法剤とを組み合わせて使用すれば、抗腫瘍効能を、顕著に増強することが予測されるであろう。
【0127】
膵管腺癌(PDA)は、長期生存者が少数である、壊滅的な疾患である(Yadavら、Gastroenterology、2013、144巻、1252~1261)。発がん性炎症の併発の非存在下の、突然変異単独では、腫瘍形成に不十分であるので、PDAの進行では、炎症が最重要である(Guerraら、Cancer Cell、2007、11巻、291~302)。PDAでは、自然免疫と、獲得免疫とが、協同作用して、腫瘍の進行を促進する。特に、腫瘍微小環境(TME)内の、特異的な自然免疫のサブセットは、獲得免疫エフェクター細胞を、腫瘍許容性の表現型に教育する傾向がある。M2分極腫瘍関連マクロファージ(TAM)および骨髄樹状細胞(DC)を含む抗原提示細胞(APC)集団は、腫瘍保護性Th1細胞を支援する、免疫抑制性Th2細胞の発生を誘導する(Ochiら、J of Exp Med.、2012、209巻、1671~1687;Zhuら、Cancer Res.、2014、74巻、5057~5069)。同様に、骨髄由来抑制性細胞(MDSC)は、PDA内の、抗腫瘍CD8+細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の応答を失効化させ、転移性の進行を促進することが示されている(Connollyら、J Leuk Biol.、2010、87巻、713~725;Pylayeva-Guptaら、Cancer Cell、2012、21巻、836~847;Bayneら、Cancer Cell、2012、21巻、822~835)。
【0128】
大腸がん、結腸がん、または直腸がんとしてもまた公知の結腸直腸がん(CRC)は、結腸および直腸に影響を及ぼす、任意のがんである。CRCは、腫瘍細胞の遺伝子変更により駆動され、腫瘍-宿主間相互作用によってもまた影響されることが公知である。近年の報告は、CRC内のある特定のTリンパ球亜集団の密度と、CRCにおける好適な臨床転帰との直接的な相関を裏付けることから、CRCの腫瘍進行の抑制における、T細胞媒介性免疫の主要な役割を裏書きしている。
【0129】
肝細胞癌(HCC)は、原発肝がんのうちの、最も一般的な種類である。肝細胞癌は、B型肝炎感染またはC型肝炎感染により引き起こされる肝硬変などの慢性肝疾患を伴う人々において、最も高頻度で生じる。HCCは、通例、慢性ウイルス感染に起因して、広範なリンパ球浸潤を伴う、硬変肝を伴う。多くの研究は、腫瘍浸潤エフェクターCD8+ T細胞、およびヘルパーT17(Th17)細胞が、手術に対する腫瘍反応の後における生存の改善と相関することを裏付けている。しかし、腫瘍浸潤エフェクターT細胞は、腫瘍の増殖および転移のコントロールに成功していない(Pangら、Cancer Immunol Immunother、2009;58巻:877~886)。
【0130】
胆管癌は、胆管に発するがんの群である。胆管癌は、一般に、肝臓との関連における、その位置により分類される。例えば、胆管癌の全症例のうちの10%未満を構成する、肝内胆管癌は、肝臓内の細胆管に発する。別の例では、胆管癌症例の過半数を構成する、肝門部胆管癌(クラッキン腫瘍としてもまた公知である)は、2つの主要な胆管が合流し、肝臓を離れる、肝門に発する。他の胆管癌は、肝臓外の胆管に始まる、遠位胆管癌として分類される。
【0131】
一部の態様では、本開示は、本明細書で開示されるものなどの充実性腫瘍を処置する方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、充実性腫瘍と関連する1つまたは複数の症状を軽減するか、改善するか、または消失させる方法を提供する。本明細書で開示される処置方法は、G9.2-17などの抗Gal9抗体と1つまたは複数の化学療法剤との組合せ治療を伴う。一部の例では、有効量の抗Gal9抗体が、充実性腫瘍(例えば、PDAC)を有する対象に施され、ここで、対象は、1つまたは複数の化学療法剤を伴う処置が進行している。一部の例では、有効量の1つまたは複数の化学療法剤が充実性腫瘍(例えば、PDAC)を有する対象に施され、ここで、対象は、抗Gal9抗体を伴う処置が進行している。他の例では、有効量の抗Gal9抗体および有効量の1つまたは複数の化学療法剤が対象に、併用してまたは逐次的に、施される。
【0132】
一部の実施形態では、本開示の方法は、抗腫瘍活性を、処置前のレベル、または対照の対象におけるレベルと比較して、少なくとも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはこれを超えて増大させる(例えば、時間経過にわたり、細胞の増殖、腫瘍の増殖、腫瘍の体積、および/もしくは腫瘍量(burdenまたはload)を低減するか、または転移性病変の数を低減する)。一部の実施形態では、軽減は、医薬組成物の投与の前の対象における、細胞の増殖、腫瘍の増殖、および/または腫瘍の体積と、医薬組成物の投与の後におけるこれらの量とを比較することにより測定される。一部の実施形態では、対象におけるがんを処置または改善する方法は、がんの1つまたは複数の症状が、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはこれを超えて改善されることを可能とする。一部の実施形態では、医薬組成物の投与前、投与時、および投与後に、対象におけるがん性細胞および/またはバイオマーカーは、組織または臓器に由来する、血液、血清、血漿、尿、腹水、および/または生検などの生物学的試料中で測定される。一部の実施形態では、方法は、対象における腫瘍体積、サイズ、腫瘍量(loadまたはburden)を、検出不能なサイズ、または処置前における、対象の腫瘍体積、サイズ、腫瘍量(loadまたはburden)の約1%、2%、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、もしくは90%未満に低減する、本発明の組成物の投与を含む。他の実施形態では、方法は、対象における細胞増殖速度または腫瘍増殖速度を、検出不能な速度、または処置前における速度の約1%、2%、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、もしくは90%未満に低減する、本発明の組成物の投与を含む。他の実施形態では、方法は、対象における転移性病変の発生、または数もしくはサイズを、検出不能な比率、または処置前における比率の約1%、2%、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、もしくは90%未満に低減する、本発明の組成物の投与を含む。
【0133】
「約」または「およそ」という用語は、当業者により決定される、特定の値についての、許容可能な誤差範囲内であって、値がどのようにして測定または決定されるのか、すなわち、測定系の限界に、部分的に依存する誤差範囲内を意味する。例えば、「約」は、当技術分野における慣行に従い、許容可能な標準偏差の範囲内を意味しうる。代替的に、「約」は、所与の値の、最大で±20%、例えば、最大で±10%、より好ましくは、最大で±5%であり、さらにより好ましくは、最大で±1%の範囲も意味しうる。代替的に、特に、生物学的系または生物学的過程に関して、「約」という用語は、値の桁数内、好ましくは2倍以内も意味しうる。特定の値が、本出願および特許請求の範囲において記載される場合、そうでないことが言明されない限りにおいて、「約」という用語は、特定の値について、許容可能な誤差範囲内を含意し、この文脈では、許容可能な誤差範囲内を意味する。
【0134】
本明細書で使用される「~を処置すること」という用語は、1つまたは複数の活性薬剤を含む組成物の、標的疾患もしくは標的障害、疾患/障害の症状、または疾患/障害に対する素因を有する対象への、障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害に対する素因を治癒させるか、治すか、緩和するか、和らげるか、変更するか、修復するか、改善する(ameliorate)か、改善する(improve)か、またはこれに影響を及ぼすことを目的とする適用または投与を指す。
【0135】
標的疾患/障害を緩和することは、疾患の発症もしくは進行を遅延させること、または疾患の重症度を軽減すること、または生存を延長することを含む。疾患を緩和することは必ずしも、治癒結果を要求しない。本明細書で使用される、標的疾患または標的障害の発症「を遅延させること」とは、疾患の進行を延期し、妨害し、緩徐化し、遅らせ、妨げ、安定化させ、かつ/または先送りすることを意味する。この遅延は、処置される疾患および/または個体の履歴に応じて、時間の長さが変動する場合がある。疾患の発症「を遅延させる」か、もしくは緩和するか、または疾患の発病を遅延させる方法とは、所与の時間枠内における、疾患の1つ以上の症状の発症の可能性を、方法を使用しない場合と比較して低減し、かつ/または所与の時間枠内における、症状の程度を、方法を使用しない場合と比較して軽減する方法である。このような比較は、典型的に、統計学的に有意な結果をもたらすのに十分な、多数の対象を使用する臨床研究に基づく。
【0136】
疾患の「発症」または「進行」とは、疾患の初期発現および/またはその後の進行を意味する。疾患の発症は、検出可能な場合があり、当技術分野において周知の、標準的な臨床的技法を使用して評価されうる。しかし、発症とはまた、検出不能でありうる進行も指す。本開示の目的で、発症または進行とは、症状の生物学的経過を指す。「発症」は、発生、再発、および発病を含む。本明細書で使用される、標的疾患または標的障害の「発病」または「発生」は、初期発病および/または再発を含む。
【0137】
一部の実施形態では、本明細書で記載される抗体、例えば、そのIgG4形態などのG9.2-17は、処置を必要とする対象に、in vivoにおいて、腫瘍内の免疫抑制性免疫細胞内の、ガレクチン9(および/またはデクチン1もしくはTIM-3もしくはCD206)の活性を、少なくとも20%(例えば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはこれを超えて)阻害するのに十分な量で投与される。他の実施形態では、本明細書で記載される抗体、例えば、G9.2-17は、腫瘍内の免疫抑制性免疫細胞内の、ガレクチン9(および/またはデクチン1もしくはTIM-3もしくはCD206)の活性レベルを、少なくとも20%(例えば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはこれを超えて)(処置前のレベル、または対照の対象におけるレベルと比較して)低減するのに有効な量で投与される。一部の実施形態では、本明細書で記載される抗体、例えば、G9.2-17は、処置を必要とする対象に、in vivoにおいて、TAM内のM1様プログラミングを、少なくとも20%(例えば、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはこれを超えて)(処置前のレベル、または対照の対象におけるレベルと比較して)促進するのに十分な量で投与される。
【0138】
処置される疾患の種類、または疾患の部位に応じて、医薬組成物を、対象に投与するのに、医学技術分野の当業者に公知である、従来の方法が使用され得る。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、対象に、静脈内注入により投与され得る。
【0139】
注射用組成物は、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノールおよびポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)など、多様な担体を含有し得る。静脈内注射のために、抗体および生理学的に許容される賦形剤を含有する医薬製剤が注入される点滴法により、抗体が投与され得る。生理学的に許容される賦形剤は、例えば、5%のテキストロース、0.9%の生理食塩液、リンゲル液、または他の適切な賦形剤を含みうる。筋内調製物、例えば、抗体の適切な可溶性塩形態の滅菌製剤は、注射用水、0.9%の生理食塩液、または5%のグルコース溶液などの医薬賦形剤中で溶解させる場合があり、これらにより投与され得る。
【0140】
一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体が、1つまたは複数の化学療法剤と併用して投与される方法が提供される。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、1つまたは複数の化学療法剤の前または後に投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数の化学療法剤は、全身投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数の化学療法剤は、局所投与される。一部の実施形態では、1つまたは複数の化学療法剤は、静脈内投与により、例えば、ボーラスとして、またはある時間にわたる連続注入により、筋内経路、腹腔内経路、脳脊髄内経路、皮下経路、動脈内経路、関節内経路、滑膜内経路、髄腔内経路、腫瘍内経路、経口経路、吸入経路、または外用経路により投与される。一実施形態では、1つまたは複数の化学療法剤は、対象に、静脈内注入により投与される。
【0141】
有効量の、本明細書で記載される医薬組成物は、全身経路または局所経路である、適切な経路を介する処置を必要とする対象(例えば、ヒト)に投与されうる。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、静脈内投与により、例えば、ボーラスとして、またはある時間にわたる連続注入により、筋内経路、腹腔内経路、脳脊髄内経路、皮下経路、動脈内経路、関節内経路、滑膜内経路、髄腔内経路、腫瘍内経路、経口経路、吸入経路、または外用経路により投与される。一実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、対象に、静脈内注入により投与される。ジェット噴霧器超音波噴霧器を含む、液体製剤のための市販の噴霧器が、投与に有用である。液体製剤は、直接噴霧される場合があり、凍結乾燥粉末は、再構成の後で噴霧されうる。代替的に、本明細書で記載される抗体は、フルオロカーボン製剤および用量計量型吸入器を使用して、エアゾール化される場合もあり、凍結乾燥粉末および微粉化粉末として吸入される場合もある。
【0142】
本明細書で使用される「有効量」とは、単独で、または1もしくは複数の他の活性薬剤と組み合わせて、対象に治療効果を付与するのに要求される、各活性薬剤の量を指す。一部の実施形態では、治療効果は、ガレクチン9の活性および/または量/発現の低減、デクチン1シグナル伝達の低減、デクチン1シグナル伝達の低減、デクチン1シグナル伝達の低減、または腫瘍微小環境内の抗腫瘍免疫応答の上昇である。抗腫瘍応答の上昇の非限定例は、エフェクターT細胞の活性化レベルの上昇、またはTAMの、M2表現型から、M1表現型への切替えを含む。場合によって、抗腫瘍応答は、ADCC応答の上昇を含む。ある量の抗体が、治療効果を達成したのかどうかの決定は、当業者に明らかであろう。当業者により認識されている通り、有効量は、処置される特定の状態、状態の重症度、個々の患者のパラメータであって、医療従事者の知見および専門知識の範囲内にある、年齢、健康状態、体格、性別、および体重、処置の持続期間、併用療法(存在する場合)の性格、具体的な投与経路などの因子を含むパラメータに応じて変化する。これらの因子は、当業者に周知であり、規定の実験だけで対処されうる。個々の成分またはそれらの組合せの最大用量、すなわち、穏当な医学的判断に従う、安全最高用量が使用されることが一般に好ましい。
【0143】
半減期など、経験的な検討項目は一般に、投与量の決定に寄与する。例えば、一部の場合には、抗体の半減期を延長し、抗体が宿主の免疫系に攻撃されることを防止するように、ヒト化抗体または完全ヒト抗体など、ヒト免疫系に適合性の抗体が使用され得る。投与頻度は、治療の経過にわたり決定および調整される場合があり、一般に、標的疾患/障害の処置、および/または抑制、および/または改善、および/または遅延に基づくが必ずしもそうではない。代替的に、抗体の持続的連続放出製剤が適切であり得る。当技術分野では、持続放出を達成するための、多様な製剤およびデバイスが公知である。
【0144】
一例では、本明細書で記載される抗体の投与量は、抗体の1回または複数回の投与を施された個体において、経験的に決定される。個体は、アンタゴニストの漸増投与量を施される。アンタゴニストの有効性を評価するために、疾患/障害の指標が追跡され得る。
【0145】
本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体のうちのいずれかは、本明細書で記載される方法のうちのいずれかにおいて使用され得る。一部の実施形態では、抗ガレクチン9抗体は、G9.2-17である。G9.2-17抗体は、本明細書で開示されるIgG4分子(G9.2-17(IgG4))であり得る。具体例では、本明細書で使用される抗ガレクチン9抗体(G9.2-17)は、配列番号19の重鎖および配列番号15の軽鎖を有する。抗Gal9抗体は、本明細書で開示されるように製剤化されえ、処置を必要とする対象に適切な経路、例えば、静脈内注入を介して施され得る。
【0146】
一部の場合に、本明細書で開示される抗ガレクチン9抗体(例えば、G9.2-17)は、対象に、適切な用量、例えば、約0.5~約32mg/kgで投与されうる。例は、0.5mg/kg~1mg/kg、1mg/kg~2mg/kg、2mg/kg~3mg/kg、3mg/kg~4mg/kg、4mg/kg~8mg/kg、8mg/kg~12mg/kg、12mg/kg~16mg/kg、16mg/kg~20mg/kg、20mg/kg~24mg/kg、24mg/kg~28mg/kg、もしくは28mg/kg~32mg/kg(例えば、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kg、21mg/kg、22mg/kg、23mg/kg、24mg/kg、25mg/kg、26mg/kg、27mg/kg、28mg/kg、29mg/kg、30mg/kg、31mg/kg、もしくは32mg/kg)、またはこれらの範囲内の、任意の増分を含む。一部の実施形態では、抗体は、約0.5mg/kg~1mg/kg、約1mg/kg~2mg/kg、約2mg/kg~4mg/kg、約4mg/kg~8mg/kg、約8mg/kg~12mg/kg、約12mg/kg~16mg/kg、約16mg/kg~20mg/kg、約20mg/kg~24mg/kg、約24mg/kg~28mg/kg、もしくは約28mg/kg~32mg/kg(例えば、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、約20mg/kg、約21mg/kg、約22mg/kg、約23mg/kg、約24mg/kg、約25mg/kg、約26mg/kg、約27mg/kg、約28mg/kg、約29mg/kg、約30mg/kg、約31mg/kg、もしくは約32mg/kg)の用量で、またはこれらの範囲内の、任意の増分で、投与される。
【0147】
一部の実施形態では、ガレクチン9抗体は、2mg/kgで投与される。一部の実施形態では、ガレクチン9抗体は、4mg/kgで投与される。一部の実施形態では、ガレクチン9抗体は、8mg/kgで投与される。一部の実施形態では、ガレクチン9抗体は、12mg/kgで投与される。一部の実施形態では、ガレクチン9抗体は、16mg/kgで投与される。一部の場合に、抗ガレクチン9抗体の複数回投与は、対象に、適切な間隔またはサイクルで、例えば、毎週1回、2~4週間ごと(例えば、2、3、または4週間ごと)に1回実施され得る。処置は、適切な期間、例えば、最長で3カ月後まで、最長で6カ月後まで、もしくは最長で12カ月後まで、または最長で24カ月後までまたはこれを超える期間、持続し得る。
【0148】
一部の例では、抗ガレクチン9抗体は、本明細書で開示される充実性腫瘍(例えば、PDA)を有するヒト患者に、約3mg/kgの用量で、2週間ごとに1回、静脈内注入を介して投与される。他の例では、抗ガレクチン9抗体は、標的である充実性腫瘍を有するヒト患者に、静脈内注入を介して、約15mg/kg、2週間ごとに1回の用量で投与される。
【0149】
一部の例では、抗Gal9抗体(例えば、IgG4形態でのG9.2-17)約2mg/kg~16mg/kgが、処置を必要とする対象に2週間ごとに1回、施されうる。一部の例では、抗Gal9抗体(例えば、本明細書で開示されるIgG4形態でのG9.2-17、配列番号19の重鎖および配列番号15の軽鎖を有する)は、対象に、約0.5mg/kg、1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、もしくは約20mg/kgの用量で、またはこの中の任意の増分で、2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される。
【0150】
一部の例では、抗Gal9抗体(例えば、本明細書で開示されるIgG4形態でのG9.2-17、配列番号19の重鎖および配列番号15の軽鎖を有する)は、対象に約2mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される。一部の例では、抗Gal9抗体は、対象に約4mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される。一部の例では、抗Gal9抗体は、対象に約8mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される。一部の例では、抗Gal9抗体は、対象に約12mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される。一部の例では、抗Gal9抗体は、対象に約16mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される。
【0151】
一部の例では、抗Gal9抗体(例えば、本明細書で開示されるIgG4形態でのG9.2-17、配列番号19の重鎖および配列番号15の軽鎖を有する)は、対象に、0.5mg/kg~1mg/kg、約1mg/kg~2mg/kg、約3mg/kg~4mg/kg、約4mg/kg~8mg/kg、約8mg/kg~12mg/kg、約12mg/kg~16mg/kg、約16mg/kg~20mg/kg、約20mg/kg~24mg/kg、約24mg/kg~28mg/kg、もしくは約28mg/kg~32mg/kg(例えば、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、約20mg/kg、約21mg/kg、約22mg/kg、約23mg/kg、約24mg/kg、約25mg/kg、約26mg/kg、約27mg/kg、約28mg/kg、約29mg/kg、約30mg/kg、約31mg/kg、もしくは約32mg/kg)の用量で、またはこの中の任意の増分で、週に1回、静脈内注射により投与される。
【0152】
一部の例では、抗Gal9抗体(例えば、本明細書で開示されるIgG4形態でのG9.2-17、配列番号19の重鎖および配列番号15の軽鎖を有する)は、対象に、0.5mg/kg~1mg/kg、1mg/kg~2mg/kg、3mg/kg~4mg/kg、4mg/kg~8mg/kg、8mg/kg~12mg/kg、12mg/kg~16mg/kg、16mg/kg~20mg/kg、20mg/kg~24mg/kg、24mg/kg~28mg/kg、もしくは28mg/kg~32mg/kg(例えば、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kg、21mg/kg、22mg/kg、23mg/kg、24mg/kg、25mg/kg、26mg/kg、27mg/kg、28mg/kg、29mg/kg、30mg/kg、31mg/kg、もしくは32mg/kg)の用量で、またはこれらの範囲内の、任意の増分で、またはこれらの範囲内の、任意の増分で、週に1回、静脈内注射により投与される。
【0153】
一部の例では、抗Gal9抗体(例えば、本明細書で開示されるIgG4形態でのG9.2-17、配列番号19の重鎖および配列番号15の軽鎖を有する)は、対象に、約0.5mg/kg、1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、もしくは約20mg/kgの用量で、またはこの中の任意の増分で、週に1回、静脈内注射により投与される。
【0154】
具体的な実施形態では、間隔またはサイクルは、1週間である。具体的な実施形態では、間隔またはサイクルは、2週間である。一部の実施形態では、レジメンは、2週間ごとに1回、1サイクルにわたるか、2週間ごとに1回、2サイクルにわたるか、2週間ごとに1回、3サイクルにわたるか、2週間ごとに1回、4サイクルにわたるか、または2週間ごとに1回、4サイクルを超える。一部の実施形態では、処置は、2週間ごとに1回1~3カ月間にわたるか、2週間ごとに1回3~6カ月間にわたるか、2週間ごとに1回6~12カ月間にわたるか、もしくは2週間ごとに1回12~24カ月間にわたるか、またはこれを超える期間にわたる。
【0155】
具体的な実施形態では、間隔またはサイクルは、3週間である。一部の実施形態では、レジメンは、3週間ごとに1回、1サイクルにわたるか、3週間ごとに1回、2サイクルにわたるか、3週間ごとに1回、3サイクルにわたるか、3週間ごとに1回、4サイクルにわたるか、または3週間ごとに1回、4サイクルを超える。一部の実施形態では、処置は、3週間ごとに1回1~3カ月間にわたるか、3週間ごとに1回3~6カ月間にわたるか、3週間ごとに1回6~12カ月間にわたるか、もしくは3週間ごとに1回12~24カ月間にわたるか、またはこれを超える期間にわたる。
【0156】
具体的な実施形態では、間隔またはサイクルは、4週間またはこれを超える期間である。一部の実施形態では、レジメンは、4週間もしくはこれを超える期間ごとに1回、1サイクルにわたるか、4週間もしくはこれを超える期間ごとに1回、2サイクルにわたるか、4週間もしくはこれを超える期間ごとに1回、3サイクルにわたるか、4週間もしくはこれを超える期間ごとに1回、4サイクルにわたるか、または4週間もしくはこれを超える期間ごとに1回、4サイクルを超えるサイクルにわたる。一部の実施形態では、処置は、4週間もしくはこれを超える期間ごとに1回、1~3カ月間にわたるか、4週間もしくはこれを超える期間ごとに1回、3~6カ月間にわたるか、4週間もしくはこれを超える期間ごとに1回、6~12カ月間にわたるか、または4週間もしくはこれを超える期間ごとに1回、12~24カ月間にわたるか、もしくはこれを超える期間にわたる。一部の実施形態では、処置は、多様な時点、例えば、2週間後、3週間後、4週間後、または4週間を超える期間後の組合せにおける処置の組合せである。一部の実施形態では、処置間隔は、処置に対する患者の応答に従い調整される。一部の実施形態では、投与量(複数可)は、処置に対する患者の応答に従い調整される。一部の実施形態では、投与量は、処置間隔間で変更される。一部の実施形態では、処置は、一時的に、停止される場合がある。一部の実施形態では、抗ガレクチン9治療は、一時的に、停止される。一部の実施形態では、化学療法は、一時的に、停止される。一部の実施形態では、両方が、一時的に、停止される。これらの実施形態のうちのうちのいずれかでは、抗Gal9抗体は、本明細書で開示されるIgG4形態でのG9.2-17であり得、配列番号19の重鎖および配列番号15の軽鎖を有する。
【0157】
1つまたは複数の化学療法剤は、代謝拮抗剤、微小管阻害剤、またはこれらの組合せを含みうる。代謝拮抗剤には、例えば、葉酸アンタゴニスト(例えば、メトトレキサート)ならびにヌクレオチドアナログ、例えば、ピリミジンアンタゴニスト(例えば、5-フルオロウラシル、フォクスウリジン、シタラビン、カペシタビン、およびゲムシタビン)、プリンアンタゴニスト(例えば、6-メルカプトプリンおよび6-チオグアニン)、およびアデノシンデアミナーゼ阻害剤(例えば、クラドリビン、フルダラビンおよびペントスタチン)が含まれる。
【0158】
一部の例では、本明細書で開示される方法で使用される代謝拮抗剤はゲムシタビンであり、これは静脈内注入により施されうる。対象に施されるゲムシタビンの量は、身長と体重、全体的な健康または他の健康上の問題、および処置されるがんの種類を含めて、多くの要因に依存するが、これらは、アメリカ食品医薬品局によって提供されるガイダンス(例えば、承認されたゲムシタビン製品の薬物ラベルを参照されたい)に従う医師の知識の範囲内であろう。一部の例では、対象は、ゲムシタビンを静脈内注入により1000mg/m2の用量で任意選択で30分間にわたり毎週1回、最長で7週間にわたり投与されうるが、これに続いて処置から1週間の休薬期間がある。その後のサイクルは、4週間のうちの連続3週間にわたり、毎週1回の注入で構成されうる。1つまたは複数の有害作用が生じる場合、ゲムシタビンの用量は低減される場合もあり、または処置は中断される場合がある。ゲムシタビン処置に関連する有害作用を管理するためのより詳細は、下記の実施例2に提供する。
【0159】
微小管阻害剤は、細胞の微小管の形成を阻害し、それにより細胞増殖を遮断する化合物のクラスである。一部の例では、微小管阻害剤とは、微小管の重合を促進する安定剤である。例としては、タキサンおよびエポチロンが挙げられる。他の例では、微小管阻害剤は、微小管の解重合を促進する不安定化剤である。例としては、ビンカアルカロイドが挙げられる。一部の例では、本明細書で開示される方法で使用される微小管阻害剤は、パクリタキセルである。一部の場合に、パクリタキセルは遊離形態である。他の場合では、パクリタキセルは、タンパク質、例えば、アルブミンにコンジュゲートしている。具体例では、パクリタキセルはアブラキサン(登録商標)であり、これはナノ粒子アルブミンコンジュゲートパクリタキセルである。
【0160】
対象に施されるパクリタキセル、例えば、nab-パクリタキセルなどのタンパク質結合パクリタキセルの量は、身長と体重、全体的な健康または他の健康上の問題、および処置されるがんの種類を含めて、多くの要因に依存するが、これらは、アメリカ食品医薬品局によって提供されるガイダンス(例えば、承認されたパクリタキセル製品の薬物ラベルを参照されたい)に従う医師の知識の範囲内であろう。例えば、ナノ粒子アルブミンコンジュゲートパクリタキセル(nab-パクリタキセル、例えばアブラキサン(登録商標))の場合、これは、対象に静脈内注射により260mg/m2で30分間にわたり3週間ごとに施されうる。重度の有害作用(例えば好中球減少症や重度の感覚神経障害)が観察される場合は、パクリタキセルの用量は低減される場合もある。一部の場合に、nab-パクリタキセルの用量は180mg/m2に低減される場合もある。抗Gal9抗体と組み合わせた場合、パクリタキセルの用量は125mg/m2でありうる。必要に応じて、パクリタキセルの用量は100mg/m2または75mg/m2に低減される場合もある。パクリタキセルに関連する有害作用を管理するためのより詳細は、下記の実施例2に提供する。
【0161】
いくつかの具体例では、抗Gal9抗体(例えば、IgG4形態でのG9.2-17)、ゲムシタビン、およびパクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミンコンジュゲートパクリタキセルまたはアブラキサン(登録商標))は、処置を必要とする対象に、下記の実施例2で提供される処置レジメンおよび投与スケジュールに従って、投与されうる。例えば、処置は、28日からそれぞれなる1つまたは複数のサイクルを含みうる。各サイクルでは、抗Gal9抗体(例えば、G9.2-17(IgG4))は、対象(例えば、PDACを有するヒト患者)に、約2mg/kg~16mg/mg(例えば、約2mg/kg、約4mg/kg、約8mg/kg、約12mg/kg、または約16mg/kg)の用量で、2週間ごとに1回(例えば、1日目および15日目)、静脈内注入を介して施される。ゲムシタビンおよびパクリタキセル(例えば、アブラキサン(登録商標)などのタンパク質結合パクリタキセル)は、FDAにより承認の通りに予定された投与量および投与を使用して、対象に、毎週1回、3週間にわたり投与されうるが、これに続いて、処置無しの1週間がある(例えば、28日サイクルのうちの1日目、8日目、および15日目に)。例えば、ゲムシタビンは、対象に各サイクルで1000mg/m2で毎週1回静脈内注射を介して施されえ、パクリタキセルは、対象に125mg/m2で毎週1回施されうる。必要に応じて、ゲムシタビンの用量は800mg/m2または600mg/m2に低減される場合もある。代替的に、または加えて、パクリタキセルの用量は100mg/m2または75mg/m2に低減される場合もある。
【0162】
一部の実施形態では、本明細書で記載される充実性腫瘍(例えば、PDA)を処置するための方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、抗Gal9抗体は、対象に約0.5mg/kg~約32mg/kgの用量で、1日目および15日目に(すなわち、2週間ごとに1回(q2w))、静脈内注入を介して投与され、ゲムシタビンおよびパクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は対象に1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の例では、パクリタキセルは、対象に125mg/m2で静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。一部の例では、ゲムシタビンは、対象に1000mg/m2で静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。必要に応じて、ゲムシタビンの用量は800mg/m2または600mg/m2に低減される場合もある。代替的に、または加えて、パクリタキセルの用量は100mg/m2または75mg/m2に低減される場合もある。
【0163】
一部の実施形態では、本明細書で記載される充実性腫瘍(例えば、PDA)を処置するための方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、抗Gal9抗体は、対象に、約0.5mg/kg~1mg/kg、約1mg/kg~2mg/kg、約3mg/kg~4mg/kg、約4mg/kg~8mg/kg、約8mg/kg~12mg/kg、約12mg/kg~16mg/kg、約16mg/kg~20mg/kg、約20mg/kg~24mg/kg、約24mg/kg~28mg/kg、または約28mg/kg~32mg/kg(例えば、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、約20mg/kg、約21mg/kg、約22mg/kg、約23mg/kg、約24mg/kg、約25mg/kg、約26mg/kg、約27mg/kg、約28mg/kg、約29mg/kg、約30mg/kg、約31mg/kg、または約32mg/kg)の用量で、1日目および15日目に(すなわち、2週間ごとに1回(q2w))、静脈内注入を介して投与され、ゲムシタビンおよびパクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は対象に1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の例では、パクリタキセルは、対象に125mg/m2で静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。一部の例では、ゲムシタビンは、対象に1000mg/m2で静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。必要に応じて、ゲムシタビンの用量は800mg/m2または600mg/m2に低減される場合もある。代替的に、または加えて、パクリタキセルの用量は100mg/m2または75mg/m2に低減される場合もある。
【0164】
一部の実施形態では、本明細書で記載される充実性腫瘍(例えば、PDA)を処置するための方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、抗Gal9抗体は、対象に、0.5mg/kg~1mg/kg、1mg/kg~2mg/kg、3mg/kg~4mg/kg、4mg/kg~8mg/kg、8mg/kg~12mg/kg、12mg/kg~16mg/kg、16mg/kg~20mg/kg、20mg/kg~24mg/kg、24mg/kg~28mg/kg、もしくは28mg/kg~32mg/kg(例えば、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kg、21mg/kg、22mg/kg、23mg/kg、24mg/kg、25mg/kg、26mg/kg、27mg/kg、28mg/kg、29mg/kg、30mg/kg、31mg/kg、もしくは32mg/kg)の用量で、またはこれらの範囲内の、任意の増分で、1日目および15日目に(すなわち、2週間ごとに1回(q2w))、静脈内注入を介して投与され、 ゲムシタビンおよびパクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は対象に1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の例では、パクリタキセルは、対象に125mg/m2で静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。一部の例では、ゲムシタビンは、対象に1000mg/m2で静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。必要に応じて、ゲムシタビンの用量は800mg/m2または600mg/m2に低減される場合もある。代替的に、または加えて、パクリタキセルの用量は100mg/m2または75mg/m2に低減される場合もある。
【0165】
一部の実施形態では、本明細書で記載される充実性腫瘍(例えば、PDA)を処置するための方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、抗Gal9抗体は、対象に約2mg/kg~約16mg/kgの用量で、1日目および15日目に(すなわち、2週間ごとに1回(q2w))、静脈内注入を介して投与され、ゲムシタビンおよびパクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は対象に1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の例では、パクリタキセルは、対象に125mg/m2で静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。一部の例では、ゲムシタビンは、対象に1000mg/m2で静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。必要に応じて、ゲムシタビンの用量は800mg/m2または600mg/m2に低減される場合もある。代替的に、または加えて、パクリタキセルの用量は100mg/m2または75mg/m2に低減される場合もある。
【0166】
一部の実施形態では、本明細書で記載される充実性腫瘍(例えば、PDA)を処置するための方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、抗Gal9抗体は、対象に、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、もしくは約20mg/kgの用量で、またはこの中の任意の増分で、1日目および15日目に(すなわち、2週間ごとに1回(q2w))、静脈内注入を介して投与され、ゲムシタビンおよびパクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は対象に1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の例では、パクリタキセルは、対象に125mg/m2で静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。一部の例では、ゲムシタビンは、対象に1000mg/m2で静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。必要に応じて、ゲムシタビンの用量は800mg/m2または600mg/m2に低減される場合もある。代替的に、または加えて、パクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)の用量は100mg/m2または75mg/m2に低減される場合もある。
【0167】
一部の実施形態では、方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、
(1)抗Gal9抗体は、対象に、約0.5mg/kg~1mg/kg、約1mg/kg~2mg/kg、約3mg/kg~4mg/kg、約4mg/kg~8mg/kg、約8mg/kg~12mg/kg、約12mg/kg~16mg/kg、約16mg/kg~20mg/kg、約20mg/kg~24mg/kg、約24mg/kg~28mg/kg、もしくは約28mg/kg~32mg/kg(例えば、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、約20mg/kg、約21mg/kg、約22mg/kg、約23mg/kg、約24mg/kg、約25mg/kg、約26mg/kg、約27mg/kg、約28mg/kg、約29mg/kg、約30mg/kg、約31mg/kg、もしくは約32mg/kg)の用量で、またはこの中の任意の増分で、1日目および15日目に(すなわち、2週間ごとに1回(q2w))、静脈内注入を介して投与され、
(2)ゲムシタビンは、対象に1000mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与され(例えば、静脈内注射)、
(3)パクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は、対象に125mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。
【0168】
一部の実施形態では、方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、
(1)抗Gal9抗体は、対象に、0.5mg/kg~1mg/kg、1mg/kg~2mg/kg、3mg/kg~4mg/kg、4mg/kg~8mg/kg、8mg/kg~12mg/kg、12mg/kg~16mg/kg、16mg/kg~20mg/kg、20mg/kg~24mg/kg、24mg/kg~28mg/kg、もしくは28mg/kg~32mg/kg(例えば、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kg、21mg/kg、22mg/kg、23mg/kg、24mg/kg、25mg/kg、26mg/kg、27mg/kg、28mg/kg、29mg/kg、30mg/kg、31mg/kg、もしくは32mg/kg)の用量で、またはこの中の任意の増分で、1日目および15日目に(すなわち、2週間ごとに1回(q2w))、静脈内注入を介して投与され、
(2)ゲムシタビンは、対象に1000mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与され(例えば、静脈内注射)、
(3)パクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は、対象に125mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。
【0169】
一部の実施形態では、方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、
(1)抗Gal9抗体は、対象に、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、約20mg/kg、約21mg/kg、約22mg/kg、約23mg/kg、約24mg/kg、約25mg/kg、約26mg/kg、約27mg/kg、約28mg/kg、約29mg/kg、約30mg/kg、約31mg/kg、もしくは約32mg/kg)の用量で、またはこの中の任意の増分で、1日目および15日目に(すなわち、2週間ごとに1回(q2w))、静脈内注入を介して投与され、
(2)ゲムシタビンは、対象に1000mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与され(例えば、静脈内注射)、
(3)パクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は、対象に125mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。
【0170】
一部の実施形態では、方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、
(1)抗Gal9抗体は、対象に、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、もしくは約20mg/kgの用量で、またはこの中の任意の増分で、1日目および15日目に(すなわち、2週間ごとに1回(q2w))、静脈内注入を介して投与され、
(2)ゲムシタビンは、対象に1000mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与され(例えば、静脈内注射)、
(3)パクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は、対象に125mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。
【0171】
一部の実施形態では、方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、
(1)抗Gal9抗体は、対象に約2mg/kgの用量で、1日目および15日目に(すなわち、2週間ごとに1回(q2w))、静脈内注入を介して投与され、
(2)ゲムシタビンは、対象に1000mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与され(例えば、静脈内注射)、
(3)パクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は、対象に125mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。
【0172】
一部の実施形態では、方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、
(1)抗Gal9抗体は、対象に約4mg/kgの用量で、1日目および15日目に(すなわち、2週間ごとに1回(q2w))、静脈内注入を介して投与され、
(2)ゲムシタビンは、対象に1000mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与され(例えば、静脈内注射)、
(3)パクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は、対象に125mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。
【0173】
一部の実施形態では、方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、
(1)抗Gal9抗体は、対象に約8mg/kgの用量で、1日目および15日目に(すなわち、2週間ごとに1回(q2w))、静脈内注入を介して投与され、
(2)ゲムシタビンは、対象に1000mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与され(例えば、静脈内注射)、
(3)パクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は、対象に125mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。
【0174】
一部の実施形態では、方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、
(1)抗Gal9抗体は、対象に約12mg/kgの用量で、1日目および15日目に(すなわち、2週間ごとに1回(q2w))、静脈内注入を介して投与され、
(2)ゲムシタビンは、対象に1000mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与され(例えば、静脈内注射)、
(3)パクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は、対象に125mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。
【0175】
一部の実施形態では、方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、
(1)抗Gal9抗体は、対象に約16mg/kgの用量で、1日目および15日目に(すなわち、2週間ごとに1回(q2w))、静脈内注入を介して投与され、
(2)ゲムシタビンは、対象に1000mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与され(例えば、静脈内注射)、
(3)パクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は、対象に125mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。
【0176】
一部の実施形態では、方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、
(1)抗Gal9抗体は、対象に約32mg/kgの用量で、1日目および15日目に(すなわち、2週間ごとに1回(q2w))、静脈内注入を介して投与され、
(2)ゲムシタビンは、対象に1000mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与され(例えば、静脈内注射)、
(3)パクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は、対象に125mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。
【0177】
上記の投与方法の実施形態のうちのうちのいずれかでは、必要に応じて、ゲムシタビンの用量は800mg/m2または600mg/m2に低減される場合もあり、代替的に、または加えて、パクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)の用量は、100mg/m2または75mg/m2に低減される場合もある。
【0178】
一部の実施形態では、方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、
(1)抗Gal9抗体は、対象に、約0.5mg/kg~1mg/kg、約1mg/kg~2mg/kg、約3mg/kg~4mg/kg、約4mg/kg~8mg/kg、約8mg/kg~12mg/kg、約12mg/kg~16mg/kg、約16mg/kg~20mg/kg、約20mg/kg~24mg/kg、約24mg/kg~28mg/kg、もしくは約28mg/kg~32mg/kg(例えば、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、約20mg/kg、約21mg/kg、約22mg/kg、約23mg/kg、約24mg/kg、約25mg/kg、約26mg/kg、約27mg/kg、約28mg/kg、約29mg/kg、約30mg/kg、約31mg/kg、もしくは約32mg/kg)の用量で、またはこの中の任意の増分で、1日目および15日目に(すなわち、2週間ごとに1回(q2w))、静脈内注入を介して投与され、
(2)ゲムシタビンは、対象に800mg/m2、600mg/m2、または1000mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与され(例えば、静脈内注射)、
(3)パクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は、対象に100mg/m2、75mg/m2または125mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。
【0179】
一部の実施形態では、方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、
(1)抗Gal9抗体は、対象に、0.5mg/kg~1mg/kg、1mg/kg~2mg/kg、3mg/kg~4mg/kg、4mg/kg~8mg/kg、8mg/kg~12mg/kg、12mg/kg~16mg/kg、16mg/kg~20mg/kg、20mg/kg~24mg/kg、24mg/kg~28mg/kg、もしくは28mg/kg~32mg/kg(例えば、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kg、21mg/kg、22mg/kg、23mg/kg、24mg/kg、25mg/kg、26mg/kg、27mg/kg、28mg/kg、29mg/kg、30mg/kg、31mg/kg、もしくは32mg/kg)の用量で、またはこれらの範囲内の、任意の増分で、またはこれらの範囲内の、任意の増分で、またはこの中の任意の増分で、1日目および15日目に(すなわち、2週間ごとに1回(q2w))、静脈内注入を介して投与され、
(2)ゲムシタビンは、対象に800mg/m2、600mg/m2、または1000mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与され(例えば、静脈内注射)、
(3)パクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は、対象に100mg/m2、75mg/m2または125mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。
【0180】
一部の実施形態では、方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、
(1)抗Gal9抗体は、対象に、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、もしくは約20mg/kgの用量で、またはこの中の任意の増分で、1日目および15日目に(すなわち、2週間ごとに1回(q2w))、静脈内注入を介して投与され、
(2)ゲムシタビンは、対象に800mg/m2、600mg/m2、または1000mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与され(例えば、静脈内注射)、
(3)パクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は、対象に100mg/m2、75mg/m2または125mg/m2の用量で1日目、8日目、および15日目に静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。
【0181】
上記の投与方法のうちのいずれかでは、処置サイクルは12~24カ月の期間にわたって持続することができる。
【0182】
本明細書で記載される方法実施形態のうちのいずれかにおいて、抗ガレクチン9抗体は、(単独でまたは1つもしくは複数の化学療法剤、例えば、ゲミシタビンおよびnab-パクリタキセルと組み合わせて、例えば、本明細書で記載される用量で)週に1回、2週間ごとに1回、1サイクルにわたるか、2週間ごとに1回、2サイクルにわたるか、2週間ごとに1回、3サイクルにわたるか、2週間ごとに1回、4サイクルにわたるか、または2週間ごとに1回、4サイクルを超えるサイクルにわたり、投与され得る。一部の実施形態では、処置は、1~3カ月間、3~6カ月間、6~12カ月間、12~24カ月間、またはこれを超える期間にわたる。一部の実施形態では、処置は、2週間ごとに1回1~3カ月間にわたるか、2週間ごとに1回3~6カ月間にわたるか、2週間ごとに1回6~12カ月間にわたるか、もしくは2週間ごとに1回12~24カ月間にわたるか、またはこれを超える期間にわたる。
【0183】
一部の実施形態では、本明細書で記載される充実性腫瘍(例えば、PDA)を処置するための方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、抗Gal9抗体は、対象に、約0.5mg/kg~1mg/kg、約1mg/kg~2mg/kg、約3mg/kg~4mg/kg、約4mg/kg~8mg/kg、約8mg/kg~12mg/kg、約12mg/kg~16mg/kg、約16mg/kg~20mg/kg、約20mg/kg~24mg/kg、約24mg/kg~28mg/kg、もしくは約28mg/kg~32mg/kg(例えば、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、約20mg/kg、約21mg/kg、約22mg/kg、約23mg/kg、約24mg/kg、約25mg/kg、約26mg/kg、約27mg/kg、約28mg/kg、約29mg/kg、約30mg/kg、約31mg/kg、もしくは約32mg/kg)の用量で、またはこの中の任意の増分で、1日目、7日目、15日目および21日目に(すなわち、毎週1回(q1w))、静脈内注入を介して投与され、ならびにゲムシタビンおよびパクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は、対象に1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の例では、パクリタキセルは、対象に125mg/m2で静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。一部の例では、ゲムシタビンは、対象に1000mg/m2で静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。必要に応じて、ゲムシタビンの用量は800mg/m2または600mg/m2に低減される場合もある。代替的に、または加えて、パクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)の用量は100mg/m2または75mg/m2に低減される場合もある。
【0184】
一部の実施形態では、本明細書で記載される充実性腫瘍(例えば、PDA)を処置するための方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、抗Gal9抗体は、対象に、0.5mg/kg~1mg/kg、1mg/kg~2mg/kg、3mg/kg~4mg/kg、4mg/kg~8mg/kg、8mg/kg~12mg/kg、12mg/kg~16mg/kg、16mg/kg~20mg/kg、20mg/kg~24mg/kg、24mg/kg~28mg/kg、もしくは28mg/kg~32mg/kg(例えば、0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、20mg/kg、21mg/kg、22mg/kg、23mg/kg、24mg/kg、25mg/kg、26mg/kg、27mg/kg、28mg/kg、29mg/kg、30mg/kg、31mg/kg、もしくは32mg/kg)の用量で、またはこれらの範囲内の、任意の増分で、またはこれらの範囲内の、任意の増分で、1日目、7日目、15日目および21日目に(すなわち、毎週1回(q1w))、静脈内注入を介して投与され、ならびにゲムシタビンおよびパクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は、対象に1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の例では、パクリタキセルは、対象に125mg/m2で静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。一部の例では、ゲムシタビンは、対象に1000mg/m2で静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。必要に応じて、ゲムシタビンの用量は800mg/m2または600mg/m2に低減される場合もある。代替的に、または加えて、パクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)の用量は100mg/m2または75mg/m2に低減される場合もある。
【0185】
一部の実施形態では、本明細書で記載される充実性腫瘍(例えば、PDA)を処置するための方法は、28日の1つまたは複数の処置サイクルを含み、ここで、抗Gal9抗体は、対象に、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、もしくは約20mg/kgの用量で、またはこの中の任意の増分で、1日目、7日目、15日目および21日目に(すなわち、毎週1回(q1w))、静脈内注入を介して投与され、ならびにゲムシタビンおよびパクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)は、対象に1日目、8日目、および15日目に投与される。一部の例では、パクリタキセルは、対象に125mg/m2で静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。一部の例では、ゲムシタビンは、対象に1000mg/m2で静脈内に投与される(例えば、静脈内注射)。必要に応じて、ゲムシタビンの用量は800mg/m2または600mg/m2に低減される場合もある。代替的に、または加えて、パクリタキセル(例えば、ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)の用量は100mg/m2または75mg/m2に低減される場合もある。
【0186】
一部の場合に、Gal-9抗体処置は化学療法(例えば、ゲムシタビンおよびnab-パクリタキセル)と併用で開始され得る。代替的に、Gal-9抗体処置は、化学療法レジメン(例えば、ゲムシタビンおよびnab-パクリタキセル)が既に開始された後に始めてもよい。一部の場合に、Gal-9抗体処置が化学療法(例えば、ゲムシタビンおよびnab-パクリタキセル)と併用で投与され、その後化学療法は中断される。一部の場合に、化学療法が停止される場合、抗Gal-9抗体処置レジメンの投与は継続され得る。
【0187】
上記の実施形態のうちのいずれかでは、間隔またはサイクルは、毎週1回であり得る。上記の実施形態のうちのいずれかでは、間隔またはサイクルは、2週間ごとに1回であり得る。一部の実施形態では、レジメンは、2週間ごとに1回、1サイクルにわたるか、2週間ごとに1回、2サイクルにわたるか、2週間ごとに1回、3サイクルにわたるか、2週間ごとに1回、4サイクルにわたるか、または2週間ごとに1回、4サイクルを超えるサイクルにわたり得る。一部の実施形態では、処置は、2週間ごとに1回1~3カ月間にわたるか、2週間ごとに1回3~6カ月間にわたるか、2週間ごとに1回6~12カ月間にわたるか、もしくは2週間ごとに1回12~24カ月間にわたるか、またはこれを超える期間にわたり得る。
【0188】
上記の実施形態のうちのいずれかでは、間隔またはサイクルは、3週間でありうる。一部の実施形態では、レジメンは、3週間ごとに1回、1サイクルにわたるか、3週間ごとに1回、2サイクルにわたるか、3週間ごとに1回、3サイクルにわたるか、3週間ごとに1回、4サイクルにわたるか、または3週間ごとに1回、4サイクルを超えるサイクルにわたり得る。一部の実施形態では、処置は、3週間ごとに1回1~3カ月間にわたるか、3週間ごとに1回3~6カ月間にわたるか、3週間ごとに1回6~12カ月間にわたるか、もしくは3週間ごとに1回12~24カ月間にわたるか、またはこれを超える期間にわたり得る。
【0189】
上記の実施形態のうちのいずれかでは、間隔またはサイクルは、4週間もしくはこれを超える期間であり得る。一部の実施形態では、レジメンは、4週間もしくはこれを超える期間ごとに1回、1サイクルにわたるか、4週間もしくはこれを超える期間ごとに1回、2サイクルにわたるか、4週間もしくはこれを超える期間ごとに1回、3サイクルにわたるか、4週間もしくはこれを超える期間ごとに1回、4サイクルにわたるか、または4週間もしくはこれを超える期間ごとに1回、4サイクルを超えるサイクルにわたり得る。一部の実施形態では、処置は、4週間もしくはこれを超える期間ごとに1回1~3カ月間にわたるか、4週間もしくはこれを超える期間ごとに1回3~6カ月間にわたるか、4週間もしくはこれを超える期間ごとに1回6~12カ月間にわたるか、もしくは4週間もしくはこれを超える期間ごとに1回12~24カ月間にわたるか、またはこれを超える期間にわたり得る。一部の実施形態では、処置は、多様な時点、例えば、2週間後、3週間後、4週間後、または4週間を超える期間後の組合せにおける処置の組合せであり得る。一部の実施形態では、処置間隔は、処置に対する患者の応答に従い調整され得る。一部の実施形態では、投与量(複数可)は、処置に対する患者の応答に従い調整される。一部の実施形態では、投与量は、処置間隔間で変更される。一部の実施形態では、処置は、一時的に、停止する場合がある。一部の実施形態では、抗ガレクチン9治療は、一時的に、停止される。一部の実施形態では、化学療法は、一時的に、停止される。一部の実施形態では、両方が、一時的に、停止される。これらの実施形態のうちのうちのいずれかでは、抗Gal9抗体は、本明細書で開示されるIgG4形態でのG9.2-17であり得、配列番号19の重鎖および配列番号15の軽鎖を有する)。
【0190】
処置に対する応答はまた、血液中および腫瘍内の免疫表現型、サイトカインプロファイル(血清)、血液(血清または血漿)中の可溶性ガレクチン9レベル、免疫組織化学による、ガレクチン9の腫瘍組織(腫瘍細胞、間質細胞、免疫細胞)内の発現レベルおよび発現パターン、腫瘍遺伝子変異量(TMB)、PDL-1発現(例えば、免疫組織化学による)、ミスマッチ修復状態、または疾患に関与性の腫瘍マーカー(例えば、3カ月後、6カ月後、もしくは12カ月後、または後の時点において測定される)のうちの1つまたは複数によっても特徴付けられうる。このような腫瘍マーカーの非限定例は、Ca15-3、CA-125、CEA、CA19-9、アルファフェトタンパク質を含む。これらのパラメータは、処置の開始前のベースラインレベルと比較される場合もあり、本明細書で記載される対照群と比較される場合もある。
【0191】
本明細書で開示される方法のうちのいずれかにおいて、対象は、処置前、処置時、および/または処置後に、以下の特徴:
(a)対象からの血液試料中の1つまたは複数の腫瘍マーカーであって、任意選択で、1つまたは複数の腫瘍マーカーがCA15-3、CA-125、CEA、CA19-9、および/またはアルファフェトプロテイン、ならびに他の任意の腫瘍型特異的腫瘍マーカーを含む、腫瘍マーカー;(b)サイトカインプロファイル;および(c)ガレクチン9血清/血漿レベル、d)末梢血単核細胞免疫表現型解析、e)腫瘍組織生検/切除標本多重免疫表現型解析、f)腫瘍組織生検/切除標本ガレクチン9発現レベルおよびパターン、g)その他の任意の免疫スコア試験、例えば:PDL-1免疫組織化学、腫瘍遺伝子変異量(TMB)、腫瘍マイクロサテライト不安定性状態、ならびに例えば以下のパネル:Immunoscore(登録商標)-HalioDx、ImmunoSeq-Adaptive Biotechnologies、TIS、NanoString nCounter(登録商標)遺伝子発現系で開発された、18遺伝子シグネチャー、PanCancer IO 360(商標)アッセイ(NanoString Technologies)等のうちの1つまたは複数について検査されうる。PDACなどの標的腫瘍に特異的な他の適切なバイオマーカーも使用されうる。
【0192】
一部の実施形態では、Gal-9抗体が化学療法、例えば、ゲムシタビンおよびnab-パクリタキセルと共に投与される場合、本明細書で記載される方法は、血液中または腫瘍内における、免疫細胞および免疫細胞マーカーのレベルをモジュレートし得る。このような変化は、マルチプレックスのフローサイトメトリーおよびマルチプレックスの免疫組織化学など、当技術分野で公知の方法を使用して、患者の血液試料中および組織試料中で測定され得る。例えば、処置開始前のベースライン、および処置期間中の多様な時点において、PBMCの免疫表現型マーカーおよび免疫機能マーカーについてのパネルが評価され得る。表Aは、これらの評価法に有用なマーカーの非限定例を列挙する。フローサイトメトリー(FC)は、細胞の表現型および機能について解析する、えり抜きの技術を有する、迅速、かつ、高度に有益な方法であり、免疫表現型のモニタリングにおいて卓越している。FCは、血液など、複雑な化合物中の希少なサブセットを含む、多くの細胞のサブセットの特徴付けを可能とし、大量のデータを得るのに迅速な方法を表す。FCの利点は、高速、高感度、および高特異度である。免疫細胞亜型について解析し、分類するのに、標準化された抗体パネルおよび手順が使用されうる。マルチプレックスIHCは、腫瘍免疫コンテキストについて、免疫サブセットの数および位置の両方において記載する、目的の定量データをもたらす、強力なツール探索であり、単一の組織切片上で、複数のマーカーが評価されることを可能とする。コンピュータアルゴリズムは、発色型IHC法と、デジタル病理学法による染色とを組み合わせて、患者生検についての全スライド画像から、IHCベースのバイオマーカー含量を定量するのに使用され得る。
【0193】
【0194】
したがって、一部の実施形態では、本明細書で記載される方法は、抗gal9抗体が化学療法と組み合わせて投与される場合、表Aにおけるものなどの免疫活性化マーカーをモジュレートし得る。これらのマーカーは、処置の開始前のベースラインレベルと比較される場合もあり、例えば、化学療法のみを施されている対照群(例えば、ある特定の間隔で、例えば、3カ月後、6カ月後または12カ月後)と比較される場合もある。一部の実施形態では、サイトカインプロファイルはモジュレートされる。
【0195】
一部の実施形態では、本開示は、対象における免疫応答をモジュレートする方法を提供する。免疫応答とは、免疫細胞活性のモジュレーション、例えば、T細胞の活性化の影響を受ける、T細胞媒介性免疫応答、および/またはB細胞媒介性免疫応答であり得る。本開示の一実施形態では、免疫応答は、T細胞媒介性である。本明細書で使用される、「~をモジュレートすること」という用語は、変化させること、または変更することを意味し、上方にモジュレートすること、および下方にモジュレートすることの両方を包摂する。例えば、「免疫応答をモジュレートすること」とは、1つまたは複数の免疫応答パラメータ(複数可)の状態を変化させるか、または変更することを意味する。T細胞媒介性免疫応答の例示的なパラメータは、T細胞のレベル(例えば、エフェクターT細胞の増大または減少)、およびT細胞の活性化のレベル(例えば、ある特定のサイトカインの産生の増大または減少)を含む。B細胞媒介性免疫応答の例示的なパラメータは、B細胞レベル、B細胞活性化レベル、およびB細胞媒介性抗体産生レベルの上昇を含む。
【0196】
免疫応答が、モジュレートされると、一部の免疫応答パラメータは、低下し得るが、他の免疫応答パラメータは、上昇し得る。例えば、一部の場合には、免疫応答をモジュレートすることは、1つまたは複数の免疫応答パラメータの上昇(または上方調節)、および1つまたは複数の、他の免疫応答パラメータの低下(または下方調節)を引き起こし、結果は、免疫応答の全般的増大、例えば、炎症性免疫応答の全般的増大である。別の例では、免疫応答をモジュレートすることは、1つまたは複数の免疫応答パラメータの上昇(または上方調節)、および1つまたは複数の、他の免疫応答パラメータの低下(または下方調節)を引き起こし、結果は、免疫応答の全般的減少、例えば、炎症性応答の全般的減少である。
【0197】
一部の実施形態では、抗gal9抗体が化学療法と組み合わせて投与される、本明細書で記載される方法は、対象における、血液(血清または血漿)中の可溶性ガレクチン9レベル、または、免疫組織化学による、ガレクチン9の腫瘍組織(腫瘍細胞、間質細胞、免疫細胞)内の発現レベルおよび発現パターン(例えば、3カ月後、6カ月後、もしくは12カ月後、または後の時点において測定される)、をモジュレートしうる。対象におけるガレクチン9レベルは、処置の開始前のベースラインレベルと比較される場合もあり、例えば、化学療法単独を施されている対照群と比較される場合もある。
【0198】
一部の実施形態では、本明細書で記載される方法は、血液(血清または血漿)中の可溶性ガレクチン9レベル、または免疫組織化学による、ガレクチン9の腫瘍組織(腫瘍細胞、間質細胞、免疫細胞)内の発現レベルおよび発現パターン(例えば、3カ月後、6カ月後、もしくは12カ月後、または後の時点において測定される)のうちの1つまたは複数の低下を結果としてもたらしうる。
【0199】
一部の実施形態では、抗gal9抗体が化学療法と組み合わせて投与される、本明細書で記載される方法は、疾患に関与性の、1つまたは複数の腫瘍マーカー(増大または減少)(例えば、3カ月後、6カ月後、もしくは12カ月後、または後の時点において測定される)をモジュレートしうる。このような腫瘍マーカーの非限定例は、Ca15-3、CA-125、CEA、CA19-9、アルファフェトタンパク質を含む。これらのパラメータは、処置の開始前のベースラインレベルと比較される場合もあり、例えば、化学療法単独を施されている対照群と比較される場合もある。
【0200】
一部の実施形態では、抗gal9抗体が化学療法(例えばゲムシタビンおよびnab-パクリタキセル)と組み合わせて投与される、本明細書で提供される方法は、全奏効(例えば、3カ月後、6カ月後、もしくは12カ月後で)を、例えば、処置の開始前のベースラインレベルと比較して、または化学療法単独を施されている対照群と比較して改善し得る。一部の実施形態では、方法は、完全奏効、部分奏効、または安定(例えば、RECIST基準もしくはiRECIST基準に従って3カ月後、6カ月後、もしくは12カ月後において測定される)を結果としてもたらし得る。一部の実施形態では、方法は、例えば、化学療法単独を施されている対照群と比較して、完全奏効、部分奏効、または安定(例えば、3カ月後、6カ月後、もしくは12カ月後において測定される)の可能性を改善し得る。一部の実施形態では、処置は、例えば、ある特定の時間における、例えば、6または12カ月後または後の時点における、生存の延長、または生存の可能性の増大を結果としてもたらし得る。
【0201】
本明細書で記載される方法のうちのいずれかにおいて、部分奏効、安定、完全奏効、部分奏効、安定、進行、疾患の進行(例えば、3カ月後、6カ月後、もしくは12カ月後、または後の時点において測定される)は、RECIST基準またはiRECIST基準に従って評価し得る。
【0202】
一部の実施形態では、抗gal9抗体が化学療法(例えばゲムシタビンおよびnab-パクリタキセル)と組み合わせて投与される、本明細書で提供される方法は、例えば、化学療法単独を施されている対照群と比較して、(例えば、6カ月後において測定される)疾患進行までの時間を延長するか、または無進行生存期間を延長しうる。一部の実施形態では、処置は、対照群と比較して、無進行生存(例えば、処置開始の3カ月後、6カ月後、もしくは12カ月後、または後の時点において測定される)の可能性の増大を結果としてもたらし得る。
【0203】
一部の実施形態では、抗gal9抗体が化学療法(例えばゲムシタビンおよびnab-パクリタキセル)と組み合わせて投与される、本明細書で提供される方法は、例えば、化学療法単独を施されている対照群と比較して、RECIST 1.1基準に従う応答の持続および深度(例えば、処置開始の3カ月後、6カ月後、もしくは12カ月後、または後の時点において測定される)を改善しうる。
【0204】
一部の実施形態では、抗gal9抗体が化学療法(例えばゲムシタビンおよびnab-パクリタキセル)と組み合わせて投与される、本明細書で提供される方法は、処置の開始前のベースラインと比較してまたは対照群と比較して、生活の質を改善することができ、かつ/または症状のコントロールを改善する(例えば、ECOGスケールを使用して、1カ月後、3カ月後、6カ月後、もしくは12カ月後、または後の時点において測定される)。
【0205】
本明細書で開示される標的充実性腫瘍、例えば、PDACを有する対象は、規定の健康診断、例えば、検査室検査、臓器機能検査、遺伝子検査、介入手順(生検、手術)、任意の関与性のイメージングモダリティーおよび全ての関与性のイメージングモダリティーにより同定され得る。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法により処置される対象は、抗がん治療、例えば、化学療法、放射線療法、免疫療法、または手術を受けているか、またはこれらにかけられている、ヒトがん患者である。一部の実施形態では、対象は、既往の抗腫瘍免疫モジュレート剤を施されている。このような免疫モジュレート剤の非限定例は、抗PD1、抗PD-L1、抗CTLA-4、抗OX40、抗CD137などを含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、対象は、処置を通した疾患の進行を示す。他の実施形態では、対象は、処置に対して耐性(デノボ耐性または獲得耐性)である。一部の実施形態では、このような対象は、進行性(例えば、手術不能または転移性)悪性腫瘍を有すると裏付けられる。代替的に、または加えて、一部の実施形態では、対象は、対応する充実性腫瘍を処置するために、臨床状況下で一般に使用される治療を指す、標準治療選択肢が利用可能でないか、またはこのような標準処置選択肢に不適格である。
【0206】
一部の場合に、対象は、不応性疾患、例えば、不応性PDACを有するヒト患者でありうる。本明細書で使用される、「不応性」とは、処置に応答しないか、または処置に対して耐性となる腫瘍を指す。一部の場合に、対象は、再発性疾患、例えば、再発性PDACを有するヒト患者であり得る。本明細書で使用される、「再発した」または「再発」とは、処置による改善(例えば、部分奏効または完全奏効)期間の後に再帰または進行する腫瘍を指す。
【0207】
一部の実施形態では、本明細書で開示される方法により処置されるヒト患者は、下記の実施例2で開示される、組入れ基準および除外基準のうちの1つまたは複数を満たし得る。例えば、ヒト患者は、18歳を超えてもよく、組織学的に確認された、切除不能の転移性がん(例えば、腺癌および扁平上皮癌)を有し得る。患者は、RECIST v1.1に従い測定可能な疾患を有し得る。一部の場合に、ヒト患者は、バイオマーカー解析(例えば、IHCにより評価され得る、ガレクチン9の腫瘍組織発現)のために利用可能な、最近の登録保管腫瘍試料(例えば、5年以内に得られた)を有し得る。一部の場合に、ヒト患者は、転移性がん状況下で、全身治療の少なくとも1つのラインを施されていた、PDAC患者である。このような患者は、ゲムシタビン含有レジメンにナイーブであるか、またはゲムシタビン含有レジメンを使用して処置されてから、少なくとも6カ月間経過している場合がある。患者は、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータスが0~1および/またはカルノフスキースコア>70を有し得る。患者はまた、十分な血液機能および末端臓器機能を有しうる、例えば、1L当たりの好中球カウント≧1×109個、1L当たりの血小板カウント≧100×109個、第1部におけるHCCについては、1L当たり≧50×109個;先行週において、輸血を伴わない、ヘモグロビン≧8.5g/dL、クレアチニン≦1.5×ULN、AST(SGOT)≦3×ULN(HCCまたは肝転移が存在する場合は、≦5×ULN)、ALT(SGPT)≦3×ULN、(HCCまたは肝転移が存在する場合は、≦5×ULN)ビリルビン≦1.5×ULN(公知のジルベール病を伴う患者は、ビリルビンが、≦3.0×ULNでありうる)、アルブミン≧3.0g/dL、INRおよびPTT≦1.5×ULN;ならびに/またはアミラーゼおよびリパーゼ≦1.5×ULNを有し得る。一部の場合に、ヒト患者は、研究開始の4週間前以内に、活動性の感染症または抗生物質の非経口投与を要求する感染症の証拠および重篤な感染症をまったく示さない。膵液瘻、胆汁瘻、または腸瘻は、適切で、非感染性で、開存性のドレーン管によりコントロールされる条件で許容される。
【0208】
代替的に、または加えて、本明細書で開示される任意の処置に置かれるヒト患者対象は、以下がないとし得る:(i)原発が未知の転移性がん、(ii)臨床的に著明な、コントロール不能の活動性出血、任意の出血体質(例えば、活性の消化性潰瘍疾患);(iii)処置の1回目の投与から4週間以内の放射線療法、(iv)菌状増殖腫瘍塊または局所進行PDACを伴うこと;(v)既往のがん治療に起因して、CTCAEにおける、≧悪性度3の毒性(禿頭および白斑を除く);(v)第2の悪性腫瘍の履歴、(vi)6カ月以内における、>New York Heart Association(NYHA)クラス2の、重度であるか、もしくはコントロール不能の全身疾患、うっ血性心不全、または心筋梗塞(MI)の証拠、(vii)重篤な非治癒性創傷、活動性潰瘍、または非処置骨折;(viii)頻繁なドレナージ手順を要求する、コントロール不能の胸水、心膜液、または腹水;(ix)キメラ抗体もしくはヒト化抗体または融合タンパク質に対する、重度のアレルギー反応、アナフィラキシー反応、または他の過敏性反応の履歴;(x)処置の6カ月以内における、顕著な血管疾患(例えば、手術による修復を要求する大動脈瘤、または最近の動脈血栓症)、処置の3カ月前以内における、肺塞栓症、脳卒中、または一過性虚血性発作の履歴、および/または処置の6カ月前以内における、腹瘻または消化器穿孔の履歴;(xi)活動性の自己免疫障害(I型糖尿病、ホルモン置換法だけを要求する甲状腺機能低下症、白斑、乾癬、または禿頭を除く);(xii)全身免疫抑制処置を要求すること;(xii);広域スペクトル鎮痛剤による介入(経口剤および/またはパッチ剤)に不応性の腫瘍関連疼痛(>悪性度3);(xiii)ビスホスホネートの使用にも関わらない、コントロール不能の高カルシウム血症; (xiv)臓器移植(複数可)を施されていること。
【0209】
一部の場合に、対象は、ガレクチン9のレベルを、対照レベルと比べて上昇させているヒト患者である。ガレクチン9のレベルは、ヒト患者における、ガレクチン9の血漿レベルまたは血清レベルであり得る。他の例では、ガレクチン9のレベルは、細胞表面ガレクチン9のレベル、例えば、がん細胞上のガレクチン9のレベルであり得る。例えば、下記の実施例で開示される方法により調製され得る、患者由来臓器型腫瘍スフェロイド(PDOT)内のがん細胞上で発現される、表面ガレクチン9のレベルであり得る。対照レベルとは、充実性腫瘍がない、同じ種(例えば、ヒト)の対象のマッチ試料中の、ガレクチン9のレベルを指す場合がある。一部の例では、対照レベルは、健常対象におけるガレクチン9のレベルを表す。
【0210】
このような対象を同定するために、適切な生物学的試料は、充実性腫瘍を有することが疑われる対象から得られる可能性があり、従来の方法、例えば、ELISAまたはFACSを使用して、この中に含有されるガレクチン9のレベル(例えば、遊離ガレクチン9、細胞表面発現ガレクチン9、または全ガレクチン9)を決定するように、生物学的試料が解析されうる。一部の実施形態では、例えば、オルガノイド培養物は、本明細書で記載される通りに調製され、対象におけるガレクチン9レベルを評価するように使用される。オルガノイド調製工程の一部として得られた、ある特定の画分に由来する単一細胞もまた、対象におけるガレクチン9レベルの評価に適する。一部の場合に、遊離形態にあるか、または細胞表面で発現される、ガレクチン9のレベルを測定するためのアッセイは、ガレクチン9に特異的に結合する(例えば、ヒトガレクチン9に特異的に結合する)抗体の使用を伴う。当技術分野で公知の抗ガレクチン9抗体のうちのいずれかは、上記で記載されたアッセイのうちのいずれかにおいて、適切性について調べられる場合があり、次いで、規定の方式のアッセイなどのアッセイにおいて使用されうる。一部の実施形態では、本明細書で記載される抗体(例えば、G9.2-17抗体)は、このようなアッセイにおいて使用されうる。一部の実施形態では、それらの各々の関与性の開示が、本明細書で言及される目的および対象物についての参照により組み込まれる、同時係属中の米国特許出願第16/173,970号および共同所有の同時係属中の国際特許出願PCT/US18/58028において記載された抗体である。一部の例では、抗ガレクチン9抗体は、Fab分子である。本明細書で開示される、ガレクチン9レベルを決定するためのアッセイ法もまた、本開示の範囲内にある。
【0211】
充実性腫瘍の組合せ治療における使用のためのキット
本開示はまた、充実性腫瘍、例えば、PDA、CRC、HCC、または胆管癌、および本明細書に記載される他のものの処置または緩和における使用のためのキットも提供する。このようなキットは、抗ガレクチン9抗体、例えば、本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体のうちのいずれか(例えば、G9.2-17(IgG4))と、任意選択で、これもまた、本明細書で記載される、抗ガレクチン9抗体と共使用される、1つまたは複数の化学療法剤(例えば、ゲムシタビンおよび/またはパクリタキセル)とを含む、1つまたは複数の容器を含み得る。
【0212】
一部の実施形態では、キットは、本明細書で記載される方法のうちのいずれかに従う使用のための指示書を含み得る。組み入れられる指示書は、抗ガレクチン9抗体と、1つまたは複数の化学療法剤との投与であって、本明細書で記載される標的疾患などの標的疾患を処置するか、この発病を遅延させるか、または緩和する投与についての記載を含み得る。一部の実施形態では、キットは、例えば、本明細書で記載される診断法を適用して、個体が、標的疾患を有するのかどうかを同定することに基づき、処置に適する個体選択することについての記載をさらに含む。さらに他の実施形態では、指示書は、抗体を、標的疾患の危険性がある個体に投与することについての記載を含む。
【0213】
抗ガレクチン9抗体と1つまたは複数の化学療法剤との使用に関する指示書は、一般に、意図された処置のための、投与量、投与スケジュール、および投与経路についての情報を含む。容器は、単位用量パッケージの場合もあり、バルクパッケージ(例えば、複数回投与用パッケージ)の場合もあり、単位用量未満のパッケージの場合もある。本発明のキットに備えられる指示書は、典型的に、ラベルまたはパッケージインサート(例えば、キット内に組み入れられる紙片)に書かれた指示書であるが、コンピュータ読取り型指示書(例えば、磁気保存ディスク上または光学保存ディスク上に所収の指示書)もまた、許容可能である。
【0214】
ラベルまたはパッケージインサートは、組成物が、充実性腫瘍を処置し、これらの発病を遅延させ、かつ/またはこれらを和らげるために使用されることを指し示す。一部の実施形態では、指示書は、本明細書で記載される方法のうちのいずれかを実施するために提供される。
【0215】
本発明のキットは、適切なパッケージング内にある。適切なパッケージングは、バイアル、ボトル、ジャー、可撓性のパッケージング(例えば、シーリング型マイラーバッグまたはプラスチックバッグ)などを含むがこれらに限定されない。また、具体的デバイス、など、インヘラー、鼻腔内投与用デバイス(例えば、噴霧器)、またはミニポンプなどの注入デバイスと組み合わせた使用のためのパッケージも想定される。一部の実施形態では、キットは、滅菌アクセスポートを有する(例えば、容器は、皮下注射針により穿刺されうる止栓を有する、静脈内溶液用のバッグまたはバイアルであり得る)。一部の実施形態では、容器もまた、滅菌アクセスポートを有する(例えば、容器は、皮下注射針により穿刺されうる止栓も有する、静脈内溶液用のバッグまたはバイアルであり得る)。組成物中の、少なくとも1つの活性薬剤は、本明細書で記載される抗ガレクチン9抗体としての抗ガレクチン9抗体である。
【0216】
キットは、任意選択で、緩衝液などのさらなる成分、および解釈のための情報を提供する場合もある。通常、キットは、容器、容器上のラベル、または容器と関連するパッケージインサート(複数可)を含む。一部の実施形態では、本発明は、上記で記載したキットの内容物を含む製品を提供する。
【0217】
一般的技法
本発明の実施では、そうでないことが指し示されない限りにおいて、当技術分野の技術の範囲内にある、分子生物学(組換え法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学についての従来の技法を援用する。このような技法については、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、2版(Sambrookら、1989)、Cold Spring Harbor Press;「Oligonucleotide Synthesis:Methods and Applications」(M.J.Gait編、1984);「Methods in Molecular Biology」、Humana Press;「Cell Biology:A Laboratory Notebook」(J.E.Cellis編、1998)、Academic Press;「Animal Cell Culture」(R.I.Freshney編、1987);「Introduction to Cell and Tissue Culture」(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1998)、Plenum Press;「Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures」(A.Doyle、J.B.Griffiths、およびD.G.Newell編、1993~8)、J.Wiley and Sons;「Methods in Enzymology」(Academic Press,Inc.);「Handbook of Experimental Immunology」(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編);「Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells」(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987);「Current Protocols in Molecular Biology」(F.M.Ausubelら編、1987);「PCR:The Polymerase Chain Reaction」(Mullisら編、1994);「Current Protocols in Immunology」(J.E.Coliganら編、1991);「Short Protocols in Molecular Biology」(Wiley and Sons、1999);Immunobiology(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997);「Antibodies」(P.Finch、1997);「Antibodies:a practical approach」(D.Catty編、IRL Press、1988~1989);「Monoclonal antibodies:a practical approach」(P.ShepherdおよびC.Dean編、Oxford University Press、2000);「Using Antibodies:A Laboratory Manual」(E.HarlowおよびD.Lane、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999);「The Antibodies」(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers、1995)などの文献において完全に記載されている。
【0218】
さらに詳述することはしないが、当業者は、上記の記載に基づき、本発明を、最大限に利用しうると考えられる。したがって、以下の具体的実施形態は、例示的なものであるに過ぎず、いかなる形であれ、本開示の残りの部分に対する限定であるとはみなされないものとする。本明細書で引用される、全ての刊行物は、本明細書で言及される目的または対象物について、参照により組み込まれる。
【実施例】
【0219】
本開示を具体的な実施形態を参照して説明してきたが、本開示のその精神および範囲から逸脱しない限りにおいて、多様な変化を行うことが可能であることおよび同等物と置き換えることが可能であることが、当業者であれば理解されるものとする。加えて、多くの改変が、特定の状態、材料、組成物、方法、方法ステップ、ステップを本開示の目的、精神および範囲に適合させるように行われてもよい。そのような改変は全て、本開示の範囲内であることが意図される。
【0220】
実施例1
膵臓がんマウスモデルにおけるがん処置のための化学療法剤と組み合わせた抗ガレクチン9抗体のin vivo研究
処置することが困難な充実性腫瘍の処置のための抗ガレクチン9 IgG4完全ヒト抗体(G9.2-17(IgG4))の前臨床評価を-単剤として、または他の全身化学療法抗がんモダリティーと組み合わせて-膵臓がんのマウスモデルにおいて行った。
【0221】
使用した特定の動物は、雌C57BL/6マウスにおける同所mPA6115膵臓がん異種移植モデルであった。このモデルを作製するために、最初に、腫瘍を、ヒトPDACとの形態学的類似性を保持する膵管腺癌(PDAC)のマウス同種移植モデルであるmPA6115マウスから供給した。mPA6115マウス株は、条件付き変異体Kras(KrasLSL-G12D/WT)、Trp53の構成的欠失(P53KO/KO)、およびPdx1遺伝子のプロモーターにより駆動されるCreを担持し、8週齢で重度のPDAC腫瘍を発症した。
【0222】
その際、触知可能な腫瘍を有するmPA6115マウスを犠牲にし、その膵臓腫瘍を採取した。採取した腫瘍組織を小断片(およそ2mm3)に切断し、同系のレシピエントであるC57BL/6マウスに皮下(SC)移植した。このシーズ腫瘍を、シーズ腫瘍の体積が700~1000mm3に達するまで、C57BL/6マウスの皮下に維持した。シーズ腫瘍が所望の体積に達したら、腫瘍を採取し、直径約2mm3の断片に切断した。次いで、腫瘍を氷冷Roswell Park Memorial Institute(RPMI)1640培地(無血清)で洗浄して、隣接非腫瘍組織を除去した。次いで、腫瘍片を同所移植まで氷冷RPMI1640培地に入れた。シーズ腫瘍を採取した同日、6~7週齢の雌C57BL/6マウスを膵臓同所移植に供した。具体的には、動物を完全に麻酔した後、左下部胸郭の下に小縦切開を作製して、脾臓および脾臓の下の膵臓を露出させた。マウス1匹ごとにシーズ腫瘍1片を6-0絹縫合糸で膵臓へと縫い込んだ。次いで、腫瘍片を取り囲む組織を6-0絹縫合糸で縫合し、腫瘍片を膵臓組織で包んだ。次いで腹部を4-0絹縫合糸で閉鎖した。腫瘍移植後、動物を温かいケージで維持し、続いて、麻酔からの完全回復後、動物室へと戻した。
【0223】
移植を行った当日、実装マウスをその体重に基づいて6群に無作為に群化し、「Matched distribution」法(StudyDirector商標ソフトウェア、バージョン3.1.399.19)に基づいて無作為化を行った。無作為化の日付を0日目として表示した。移植の3日後、動物は群番号に従って投与レジメンを開始した。各群の投与レジメンを表2に下に提供する。
【0224】
【0225】
これらの研究の場合、抗ガレクチン9マウスIgG1を使用した。抗Gal9 mAbと呼ばれるこの抗体は、ヒトG9.2-17抗体のマウスIgG1バージョンであったが、これは、G9.2-17と同じガレクチン9上の炭水化物結合ドメイン2(CRD2)を結合すると共に、G9.2-17と同じVH領域およびVL領域を有する。したがって、抗Gal9 mAbを使用して結果として得られるデータは、G9.2-17のヒト有効性と相関性である。抗Gal9 mAbのみでマウスを処置することに加えて(群4)、移植したマウスの群5および6もまた、標準治療化学療法(ゲムシタビン/アブラキサンレジメン)、または抗Gal9 mAbと化学療法の組合せでも処置した。
【0226】
膵臓同所移植後、群1~7のマウスを罹患率および死亡率について毎日チェックした。規定のモニタリングの間、腫瘍の成長と処置が行動に、例えば、運動性、食物および水の消費量、体重の増加/減少、目/髪のつやの喪失、ならびにその他の任意の異常に、及ぼす任意の影響について動物をチェックした。StudyDirector(商標)ソフトウェア(バージョン3.1.399.19)を使用して無作為化した後、体重と腫瘍体積を週ごとに2回測定した。測定およびモニタリングを、0日目から最後のマウスが死亡で見つかった66日目まで記載の通り、収集した。血液、血漿、脾臓、および腫瘍を、寿命末期に各マウスから採取した。下の表3に、実験群ごとのマウスの平均寿命を示す。対照アーム(群1、2、および3)全てにおいて最長の生存は33日目であったが、一方、最後のマウスは、それぞれ、群4(抗ガレクチン9 IgG1)、群5(ゲムシタビン/アブラキサン)、群6(組合せ治療)において、55日目、41日目、および66日目に死亡した。
【0227】
【0228】
同所KPC腫瘍を生着させた動物の生存の主要評価項目を、カプラン-マイヤー法を使用して個別に検討し、ログランク検定を使用して統計学的に比較して、各群の生存曲線を推定することにより評価した。具体的には、カプラン-マイヤー生存曲線/ログランク検定(SPSS 18)を使用した。カプラン-マイヤー生存曲線およびログランク検定を
図1A~1Dに示す。ログランク検定の結果を表4に提供する。
【0229】
【0230】
コックス回帰解析(生存Rパッケージのcoxph関数)を使用して、それぞれ、群1、群2、および群3に対する群4~6のハザード比(HR)およびそれらの95%信頼区間(%95CI)を計算した。また、コックス回帰解析を使用して、群4に対する群5および群6のハザード比(HR)およびそれらの95%信頼区間(%95CI)を計算した。最後に、コックス回帰解析を使用して、群5に対する群6のハザード比(HR)およびその95%信頼区間(%95CI)を計算した。コックス回帰解析の結果を
図2および表5に示す。
【0231】
【0232】
群1を参照として使用したコックス回帰解析の場合、群4および群6は群1よりも有意に低いハザード比を有したが、一方、群2および群3は群1とは有意に異なるハザード比を有していなかった。群2を参照として使用したコックス回帰解析では、群6は群2よりも有意に低いハザード比を有した;しかし、群3は群2との有意に異なるハザード比を有していなかった。群3を参照として使用したコックス回帰解析の場合は、群4、群5、および群6は群3とは有意に異なるハザード比を有していなかった。群4を参照として使用したコックス回帰解析では、群5および群6は、群4とは有意に異なるハザード比を有していなかった。最後に、群5を参照として使用したコックス回帰解析は、群6は、群5とは有意に異なるハザード比を有していなかったことを、示した。
【0233】
これらのデータは、抗ガレクチン9抗体とゲムシタビン/アブラキサンとの組合せが十分に認容され、長期間にわたって投与され得ることが裏付けられた(抗ガレクチン9 IgG1抗体(マウスIgG1バージョン)については最大投与量は16用量およびゲムシタビン/アブラキサンについては10用量、ならびに非処置動物に勝る達成された延命効果(群6vs群1:コックス解析、HR=0.336、HR(95%CI)=(0.14、0.806)、p=0.015;ならびに平均生存についてp=0.051 ログランク検定)。抗ガレクチン9 IgG1単独が、非処置の動物に勝る延命効果を達成した(群4vs群1:コックス解析、HR=0.348、HR(95%CI)=(0.146、0.83)、p=0.017)。
【0234】
群6の最後のマウスが死んでいるのが見出された66日目の当該マウスからの膵臓に腫瘍はまったく見られず、研究を終了した。履歴データに基づくと、媒体群における同所mPA6115モデルの生着率は100%であった。したがって、群6の最後のマウスは、抗ガレクチン9/ゲムシタビン/アブラキサンレジメン組合せに対する完全奏効例であった。
【0235】
同所KPC腫瘍を生着させたマウスにおいて、全てのマウスを安楽死させるかマウスが死亡するまで、移植/無作為化(0日目)後週ごとに2回、体重を測定した。
図3に、StudyDirector(商標)ソフトウェア(バージョン3.1.399.19)を使用することにより測定された、研究期間の持続期間にわたり収集された体重測定値を示す。群4の最後のマウスは瀕死状態であり55日目に安楽死させたが、腫瘍重量は2544.6mg(TV=1877.07mm
3)であった。51日目から55日目まで、処置初日での体重と比較した体重変化が12.36%から-2.25%であった群4では、最後のマウス1匹だけが存在した。体重減少は、腫瘍の成長により誘発された状態と相関している可能性が最も高かった。
【0236】
全体として、本実施例のデータによって、同所膵臓がん異種移植モデルmPA6115における、抗ガレクチン9レジメンおよび抗ガレクチン9/ゲムシタビン/アブラキサンレジメン組合せに関する安全性と有効性が確認された。
【0237】
実施例2
転移性充実性腫瘍を伴う対象において、単独でのおよび化学療法剤と組み合わせのG9.2-17(IgG4)の、安全性、薬物動態および抗腫瘍活性のフェーズ1a/1bオープンラベル、多施設研究
ガレクチン9は、膵がん、結腸直腸がん、および肝細胞癌における充実性腫瘍を含む、多くの充実性腫瘍により過剰発現される分子である。さらに、ガレクチン9は、腫瘍関連マクロファージ上のほか、腫瘍内免疫抑制性ガンマデルタT細胞上でも発現され、これにより、がん関連免疫抑制の強力なメディエーターとして作用する。本明細書で記載される通り、ガレクチン9をターゲティングするモノクローナル抗体(例えば、G9.2-17)が開発されている。データは、G9.2-17が、膵臓腫瘍の増殖を、同所KPCモデルにおいて、50%停止させ、KPC動物の生存を、2倍を超えて延長することを裏付けている。加えて、抗ガレクチン9抗体は、動物研究において化学療法剤との治療上の相乗効果のシグナルを示す。
【0238】
このフェーズI/II多施設研究の目的は、安全性、忍容性、最大耐量用量(MTD)、および転移性充実性腫瘍、例えば、膵腺癌(PDA)、結腸直腸がん(CRC)、肝細胞癌(HCC)、または胆管癌(CCA)を有する対象における処置の12~24カ月後における、目的の腫瘍応答を決定することである。研究はまた、対象の無進行生存(PFS)、応答の持続(RECISTによる)、疾患の安定化、生存率のほか、薬物動態(PK)パラメータおよび薬力学(PD)パラメータも検討する。対象は、処置前生検および処置後生検のほか、研究前、および8週間ごとに1回、研究の持続期間にわたるPET-CTイメージングを受ける。加えて、末梢と腫瘍内とのT細胞比、T細胞の活性化、マクロファージ表現型解析、血清サイトカインプロファイリング、腫瘍免疫組織化学、および血清ガレクチン9レベルなどの免疫学的評価項目を検討する。研究は、原本の研究プロトコール下で実施し、研究は、12~24カ月間にわたり持続する。
【0239】
対象データ、疾患データ、および全ての臨床安全性データは、分散についての適切な尺度(すなわち、95%信頼区間、範囲)と共に、平均値、中央値、または比率として、記述的に提示される。ウォーターフォールプロットおよびスイマープロットは、各罹患部位内における、各研究アームの、対象についての、ORRおよび応答の持続をグラフにより提示するのに使用されるべきである。ORRと潜在的に関連しうる、潜在的なバイオマーカーを同定するのに、探索的相関解析もまた企図するべきである。全ての統計学的解析は、SAS、version 9.2(SAS、Cary、NC)を使用して実施する。
【0240】
(A)研究デザイン
マウスモデルKPC004データに基づいて、予想される最低の薬理学的作用量(PAD)は2mg/kgであると現在推定されており、この場合、50mcg/マウス(2mg/kg;ヒト等価用量HED=0.16mg/kg)が有効量として確立された。代替モデルは、200または400mcg/マウスの用量範囲(8~16mg/kg;HED=0.65~1.3mg/kg)で活性であった。
【0241】
下の表7に、100および200mg/kgG9.2-17の提案用量レベルでの反復用量GLP準拠の毒性研究の転帰に依存する提案臨床開始用量レベルを示す。推定開始用量は、無毒性量(NOAEL)の1/10または重篤な毒性が発現しない最大用量(HNSTD)の1/6のうちのいずれかを開始点として使用し、次いで、mg/kg表示のその用量をmg/kg表示のHEDに変換する。
【0242】
【0243】
本研究は、G9.2-17(IgG4)の単剤療法、およびG9.2-17とゲムシタビン/アブラキサン(注射用懸濁液向けのパクリタキセルタンパク質結合粒子;アルブミン結合)とを含む組合せ治療の両方を含む。本研究は2つの部に分かれる:第1部(フェーズ1a)および第2部(フェーズ1b)。
【0244】
第1部
研究の第1部は、どのようにして、過去の試験データに基づき、G9.2-17の投与量を、次の患者コホートに適合させるべきかについての情報を与える、モデルベースのデザインである、continuous reassessment method(CRM)(O’Quigleyら、1990)を使用した、用量設定研究である。利用可能な最大試料サイズを24として、2例の患者に、単独でG9.2-17を同時に投与する。患者は、疾患の進行、許容不可能な毒性、または用量制限毒性(DLT)の研究開発からの離脱まで2週間ごと5用量レベルを施される。用量レベルは:
・用量レベル1=2mg/kg;
・用量レベル2=4mg/kg;
・用量レベル3=8mg/kg;
・用量レベル4=12mg/kg;および
・用量レベル5=16mg/kg
である。
【0245】
投与レジメンは、静脈内(IV)投与により2週間ごとに1回(Q2W)である。必要に応じて、最大25%の用量低減を採用し得る。
【0246】
各回の用量漸増時における安全性のための注意として、新たな患者は、各コホートの最初の患者を、G9.2-17で処置した後、および処置後最低7日間が経過した後で初めて、登録し、処置する。第1部は、連続6例の患者が、同じ用量を施された後に完了であり、この用量を、生物学的至適用量(OBD)として同定する。
【0247】
第2部
研究の第2部は、サイモンによる2段階最適デザイン(6つのアーム:膵管腺癌(PDA)、CRC、および胆管癌)である。研究は、G9.2-17単独(研究単剤アーム)の使用、およびgemcitabine/アブラキサンを伴う使用について探索する。使用される抗ガレクチン9抗体の用量は、第1部で毒性を呈することが見出されたレベルを下回る。
【0248】
最適2段階デザインは、ORRを≦5%とするヌル仮説を、単剤アーム内のORRを≧15%とする、代替的ヌル仮説と対比して検定するのに使用される。第1段階で、23例の患者において薬物を調べた後で、応答する患者が≦1例である場合は、それぞれの試験アームを終了させる。試験が、サイモンによる最適デザインの第2部に移行する場合、合計56例の患者を、単剤アームの各々に登録する。応答患者の総数が≦5例である場合、このアーム内の治験薬物を棄却する。≧6例の患者が、3カ月後において、ORRを有する場合、このアームのための拡大コホートを起動する。上記の手法は、研究の単剤アームに適用する。
【0249】
G9.2-17とゲムシタビン/アブラキサンの組合せ処置
G9.2-17とゲムシタビン/アブラキサンの組合せ処置を、転移性PDACの患者において評価する。本研究の主たる目的は、6カ月後における無進行生存(PFS)である。副次的な目的には、客観的奏効率(ORR)、6カ月および12カ月後における疾患コントロール率(DCR)、6カ月および12カ月後における患者生存、RECIST 1.1基準による応答までの時間、応答の持続および深度、安全性および忍容性が含まれる。組合せアームの場合では、G9.2-17の開始用量は、第1部で同定された、OBDよりも1段階低い用量(例えば、第1部で同定されたRP2D用量レベル)で投与される。ゲムシタビン/アブラキサンの用量は、FDAが承認したラベルの用量に従い、もしあれば、これをレジメン固有の副作用に照らして調整し得る(例えば、2週間の投薬で1週間の休薬)。3例以上の患者がDLTを発症する場合は、低用量が臨床利益を提供し続けない限り、G9.2-17の用量は用量3の量を超えないように段階的に低減される。
【0250】
転移性PDAC患者からなる患者コホートでは、主要有効性評価項目は6カ月後におけるPFSである。ゲムシタビン/アブラキサンを使用した第1のラインの択転移状況では、6カ月のPFSは50%であると報告された(Von Hoffら、2013)。第1段階で最初の11例の患者でG9.2-17/化学療法の組合せを試験した後で、6例以下の患者がPFS≧6カ月を呈する場合、試験を終了する。試験の第2段階では、合計25例の患者を研究する。PFS≧6カ月の応答患者の総数が≦16である場合、研究アームを棄却する。
【0251】
早期の有効性シグナルが検出された場合、コホートの拡大を実施する。腫瘍型に帰せられる5つの試験アームのうちの1つの中で、有望な有効性シグナルが同定されれば、拡大コホートを立ち上げて、所見確認する。拡大アームの各々のための試料サイズは、ORR/患者生存をめぐる95%の信頼区間(95%CI)についての、所定レベルの精度と組み合わせて、第2部で決定された点推定値に基づき決定する。
【0252】
第3部
第3部は、早期の有効性シグナルが、検出されるコホートの拡大を含む。腫瘍型に帰せられる試験アームのうちの1つの中で、有望な有効性シグナルが同定される場合、拡大コホートを立ち上げて、所見確認する。拡大アームの各々のための試料サイズは、ORRをめぐる95%の信頼区間(95%CI)についての、所定レベルの精度と組み合わせて、第2部で決定された点推定値に基づき決定する。
【0253】
研究の持続期間は12~24カ月間である。
(B)患者集団
腫瘍型に関わらず、再発性/不応性の転移性がんを伴う患者は、O’Quigley(1990)により記載されているCRM(continual reassessment method)を使用する用量設定研究に適格である。作用方式および/もしくは早期の有効性シグナルが、第1部で捕捉されるPDACでは、拡大を想定する。
【0254】
患者の組入れ基準および除外基準は、第1部と第2部の両方について同じである。
患者組入れ基準:
1.説明同意文書
2.≧18歳の男性または非妊娠女性であること
3.切除不能の転移性がんであること(腺癌および扁平上皮癌)
4.研究プロトコールを遵守することができること
5.平均余命>3カ月
6.バイオマーカー解析のために利用可能な、最近の登録保管腫瘍試料(5年以内に得られた)であること
7.処置前および処置時/処置後生検を受けることが可能な患者であること
8.RECIST v1.1に従い測定可能な疾患である。生検にかけられる病変は、標的病変ではないことに注意する
9.予測生存期間が、>3カ月間であること
10.第1部について:利用可能な標準治療選択肢が存在しないか、または患者が、利用可能であり、かつ、適応の標準治療を拒絶しているか、もしくは利用可能であり、かつ、適応の標準治療に適格でないこと。第2部について:PDAC拡大コホート(転移性がん状況において、少なくとも1つの全身選択治療を施されているコホート、およびゲムシタビン含有レジメンにナイーブであるか、またはゲムシタビン含有レジメンを使用して処置されてから、少なくとも6カ月間経過している患者)。CCR拡大コホートおよびCCA拡大コホート(転移状況において、少なくとも1つの既往の選択治療を施されている)
11.研究期間の前、または研究期間中のCOVID-19のためのワクチン接種を許容する。タイミングおよびワクチンの種類についての情報は、記録しなければならない
12.Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータスが0~1であること/カルノフスキースコアが>70であること
13.マイクロサテライト不安定性(MSI-H)およびマイクロサテライト安定性(MSS)の高い患者を、研究の第1部について許容する
14.十分な血液機能および末端臓器機能、以下の通りに定義、1L当たりの好中球カウント≧1×109個、1L当たりの血小板カウント≧100×109個、第1部におけるHCCについては、1L当たり≧50×109個;先行週において、輸血を伴わない、ヘモグロビン≧8.5g/dL、クレアチニン≦1.5×ULN、AST(SGOT)≦3×ULN(HCCまたは肝転移が存在する場合は、≦5×ULN)、ALT(SGPT)≦3×ULN、(HCCまたは肝転移が存在する場合は、≦5×ULN)ビリルビン≦1.5×ULN(公知のジルベール病を伴う患者は、ビリルビンが、≦3.0×ULNでありうる)、アルブミン≧3.0g/dL、INRおよびPTT≦1.5×ULN;アミラーゼおよびリパーゼ≦1.5×ULN
15.研究開始の4週間前以内に、活動性の感染症または抗生物質の非経口投与を要求する感染症の証拠がないおよび重篤な感染症がない
16.妊娠の可能性がある女性は、研究に参加する前に妊娠検定が陰性でなければならない
17.妊娠の可能性がある女性および出産の可能性のあるパートナーを有する男性は、試験持続期間にわたりおよび処置終了後3カ月間にわたり、高度に効果的な避妊を進んで実践する必要がある
18.初回のG9.2-17投与の前における、抗がん治療の最終回投与以来、少なくとも4週間または5半減期(いずれか、短い方)を経ていること
19.C1D1の前、少なくとも6カ月間にわたり安定している骨転移のための、ビスホスホネート処置(ゾレドロン酸)またはデノスマブの継続は、許容される
20.CCR拡大コホートまたはCCA拡大コホートについては、転移状況下で、少なくとも1つの既往の選択治療が要求される
21.第1部の場合:ソラフェニブ、レンバチニブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、およびベバシズマブを含む、全身治療の少なくとも1つの既往のラインを施される間に進行した、肝細胞癌、あるいは手術による治療および/または局所領域治療、あるいは無効であるか、忍容不可能であるか、もしくは不適切であるかあると考えられるか、または有効な標準治療が利用可能でない標準治療を含む標準治療時における進行の後に、ソラフェニブ処置に対して非忍容性であるか、またはこれを拒絶した人
22.胆管または胃の排出部の閉塞は、内視鏡、手術、または介入手段により、効果的な排出がなされる条件で許容される
23.膵液瘻、胆汁瘻、または腸瘻は、適切で、非感染性で、開存性のドレーン管によりコントロールされる条件で許容される(任意のドレーンまたはステントが、in situである場合、研究開始の前に開存を確認するものとする)
患者除外基準:
1.原発が未知の転移性がんを伴うと診断されている患者
2.プロトコールの要件に従う意思がないか、またはその能力がない患者
3.既往または現行の違法薬物中毒(医療用および娯楽マリファナ/CBD/THCは「違法」とは考慮されない)
4.臨床的に顕著な、コントロール不能の活動性出血を有すること、および出血体質(例えば、活性の消化性潰瘍疾患)を伴う任意の患者であること。抗凝固剤の予防的使用または治療的使用は、許容される
5.泌乳中の女性
6.研究投与に先立つ、4週間以内、もしくは投与される薬物の5半減期(いずれか、短い方)以内に、充実性腫瘍の処置のために、他の任意の治験薬を施されるか、もしくは別の治験薬を伴う、他の任意の臨床試験に参加すること
7.研究薬の1回目の投与から4週間以内に、骨痛または限局的に有痛の腫瘍塊の処置のためなど、限定的照射野に対する緩和放射線療法を除く、放射線療法を施されること
8.菌状増殖腫瘍塊を伴う患者;
9.局所進行PDACを伴う患者
10.既往のがん治療に起因して、CTCAEにおける、≧悪性度3の毒性(禿頭および白斑を除く)を伴うこと。既往のチェックポイント阻害剤療法による、悪性度4の免疫媒介性毒性を伴うこと。悪性度2もしくは悪性度3の肺炎、または免疫療法処置の中断をもたらした、他の任意の悪性度3のチェックポイント阻害剤関連毒性を伴うこと。既往の処置による神経障害、管理可能な電解質異常およびリンパ球減少症などの低悪性度(<グレード3)の毒性は許容される
11.治癒的意図により処置され、過去5年間を超えて、再発を伴わないか、または再発の可能性が小さい、第2の悪性腫瘍(例えば、非黒色腫性皮膚がん、子宮頸部上皮内癌、前立腺がん、または表在性膀胱がん)を除く、第2の悪性腫瘍の履歴
12.6カ月以内における、>New York Heart Association(NYHA)クラス2の、重度であるか、もしくはコントロール不能の全身疾患、うっ血性心不全、心筋梗塞(MI)の証拠、または治験責任医師の考えでは、患者が試験に参加することが所望されない検査室所見
13.治験責任医師が、患者の安全性を害する程度に顕著であると考えるか、またはG9.2-17の毒性評価についての解釈を損なう、任意の医学的状態
14.重篤な非治癒性創傷、活動性潰瘍、または非処置骨折
15.頻繁なドレナージ手順を要求する、コントロール不能の胸水、心膜液、または腹水
16.キメラ抗体もしくはヒト化抗体または融合タンパク質に対する、重度のアレルギー反応、アナフィラキシー反応、または他の過敏性反応の履歴
17.サイクル1の1日目から6カ月以内における、顕著な血管疾患(例えば、手術による修復を要求する大動脈瘤、または最近の動脈血栓症)
18.サイクル1の1日目の3カ月前以内における、肺塞栓症、脳卒中、または一過性虚血性発作の履歴
19.サイクル1の1日目の6カ月前以内における、腹瘻または消化器穿孔の履歴
20.活動性の自己免疫障害(I型糖尿病、ホルモン置換法だけを要求する甲状腺機能低下症、白斑、乾癬、または禿頭を除く)
21.シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、サリドマイド、および抗腫瘍壊死因子[抗TNF]剤を含むがこれらに限定されない、全身免疫抑制処置を要求すること。急性、低用量の、全身免疫抑制薬(例えば、デキサメタゾン4mg)を施されているか、または施されつつある患者は、登録することができる。置換療法(例えば、サイロキシン、インスリン、生理学的コルチコステロイド置換療法[例えば、副腎または下垂体の機能不全のための、1日当たり≦10mgのプレドニゾン同等物])は、全身処置の形態とは考えられない。吸入型コルチコステロイドおよび鉱質コルチコイド(例えば、フルドロコルチゾン)、外用ステロイド、鼻腔内ステロイド、関節内ステロイド、および眼内ステロイドの使用は許容される
23.広域スペクトル鎮痛剤による介入(経口剤および/またはパッチ剤)に不応性の腫瘍関連疼痛(>悪性度3)
24.ビスホスホネートの使用にも関わらない、コントロール不能の高カルシウム血症
25.治験薬の使用を禁忌するか、または結果の解釈に影響を及ぼしうるか、または患者を、処置合併症の高危険性に置く、疾患または状態についての合理的な疑いをもたらす、任意の他の疾患、代謝機能不全、身体検査所見、または臨床検査室所見
26.臓器移植(複数可)を受けていること
27.透析を受けつつあること
28.第1部の場合、転移性去勢抵抗性膵臓がんの対象に対して、ホルモン性アンドロゲン遮断療法を継続することは許容される。
【0255】
(肝)胆管がん(HCC)を有する対象に関するさらなる除外基準:
1.<6週間における、HCCのための、任意のアブレーション療法(ラジオ周波数アブレーションまたは経皮エタノール注射)についての、既往の試験への登録
2.肝性脳症または重度の肝腺腫
3.チャイルド-ピュースコアが≧7であることソラフェニブを拒絶するか、もしくは忍容しなかったことがある;または標準治療が、無効であるか、忍容不可能であるか、もしくは不適切であるかあると考えられるか、または有効な標準治療が利用可能でないこと
4.ソラフェニブを含む、少なくとも1つの既往の全身選択治療を施される間に進行した、転移性肝細胞癌;あるいは手術による治療および/または局所領域治療、あるいは無効であるか、忍容不可能であるか、もしくは不適切であるかあると考えられるか、または有効な標準治療が利用可能でない標準治療を含む標準治療時における進行の後に、ソラフェニブ処置に対して非忍容性であるか、またはこれを拒絶した転移性肝細胞癌
5.胆管または胃の排出部の閉塞は、内視鏡、手術、または介入手段により、効果的な排出がなされる条件で許容される
6.膵液瘻、胆汁瘻、または腸瘻は、適切で、非感染性で、かつ、開存性のドレーン管によりコントロールされる条件で許容される(任意のドレーンまたはステントが、in situである場合、研究開始の前に開存を確認するものとする)
以下の1つまたは複数が生じる場合、患者は処置を中断するものとする:
・妊娠
・御しがたい毒性
・放射線データ、生検結果、および臨床状態の統合評価後に治験責任医師により決定された、疾患の進行に起因する症候性の悪化
・治療に対する個々の患者の潜在的な応答および事象の重症度を考慮した、治験責任医師により容認できないと決定されたirAEの発症を含めて、G9.2-17に関連する忍容できない毒性
・患者が研究処置を継続する場合、患者の安全を脅かしうる任意の医学的状態
・別の非プロトコール抗がん治療の使用。
【0256】
(C)目的
第1部(フェーズ1a)
主要目的:安全性、忍容性、生物学的至適用量(OBD)、または最大投与用量(MTD)、推奨フェーズ2用量(RP2D)
副次目的:薬物動態(PK)パラメータ、薬力学(PD)パラメータ、免疫原性
探索目的:下記に列挙された探索評価項目:3カ月(第1部のため)、6および12カ月(第1部および第2部のため)後における、客観的奏効率(ORR)、疾患コントロール率(DCR)、無進行生存(PFS)、患者生存に加えた、第1部のための探索評価項目。
【0257】
CRCおよびCCAにおける第2部(フェーズ1b)
主要目的:客観的奏効率(ORR)
副次目的:6および12カ月後における、無進行生存(PFS)、疾患コントロール率(DCR)、RECIST 1.1による、応答の持続および深度、患者の生存、応答までの時間、安全性および忍容性。
【0258】
PDACにおける第2部(フェーズ1b)
主要目的:6カ月後における無進行生存(PFS)
副次目的:6および12カ月後における、客観的奏効率(ORR)、疾患コントロール率(DCR)、6および12カ月後における患者の生存、応答までの時間、RECIST 1.1基準による、応答の持続および深度、安全性および忍容性。
【0259】
全ての研究部分についての探索評価項目
iRECIST基準、血液および腫瘍による免疫表現型解析、サイトカインプロファイル(血清)、血液(血清または血漿)中の可溶性ガレクチン9レベル、免疫組織化学による、ガレクチン9の腫瘍組織(腫瘍細胞、間質細胞、免疫細胞)内の発現レベルおよび発現パターン、腫瘍遺伝子変異量(TMB)、免疫組織化学によるPDL-1の発現、ミスマッチ修復状態、疾患に関与性の腫瘍マーカー、ctDNA、およびこれらのパラメータの応答との相関。応答までの時間(TTR)。生活の質および症状のコントロール。
【0260】
(D)研究手順
(i)評価スケジュール
評価スケジュールは、処置開始の、最大で、4週間前になされ得る、投与前1サイクル1スクリーニングの後で、4週間サイクルに分割する。表8に、投与前のスクリーニング評価および試験を列挙し、ならびに処置サイクル中に実施するものを表示する。医学的に必要とする場合は、各サイクル中に任意選択の受診が許容され、その間に研究評価のうちのいずれかを実行し得る。
【0261】
(ii)スクリーニングおよび評価手順
以下の手順(表8に概説されている。評価のスケジュール)は、処置開始の4週間以内に実施する必要がある:
・説明同意文書
・組入れ基準および除外基準の検証
・既往のCOVID-19感染および最新のRT PCRおよび/またはSARS CoV2 IgG/IgM試験結果の記録、実行された場合
・利用可能である場合、COVID-19ワクチンを施される患者の意向を記録
・季節性インフルエンザのワクチン接種状況を記録
・造影剤ありまたはなしの腫瘍画像評価CTが好ましい、治験責任医師の判断に基づいて必要な場合の造影剤ありまたはなしのMRI、治験責任医師の判断に基づいて必要な場合のPET-CT(診断CT)
・腫瘍生検(投与前の1回および生検を反復する) - スキャン(複数回可)に応じたスケジュール
・免疫組織化学によるガレクチン9発現のプレスクリーニング評価の場合、5年の時間枠内に取得され、組織取得後に投与された処置(複数可)の詳細が知られ文書化されている場合は、入手可能であれば、登録保管腫瘍組織を使用してもよい。これは登録の前提条件ではなく、治験責任医師は可能な限り、登録保管検体を用意するよう心掛けることになる
・関与性の腫瘍マーカー(例えば、CA15-3、CA-125、CEA、CA19-9、アルファフェトタンパク質など)は、適切な場合、サイクルごとに、投与前に(再病期診断スキャンと同じスケジュールに従い、処置6カ月後に、3サイクルごとに減少させることができる)評価するものとする
・患者の人口統計学
・個人の病歴、これには、既往の処置/手術、任意のin situインプラントまたは過去のインプラントの記録、医療デバイスの既往のおよび/または現在の使用、併用薬(名称、適応症、用量、経路、開始日および終了日、もしあれば用量変更および理由)、既存の症状、および有害事象)、家族歴および知る限りの完全な家族歴に基づいた患者のリスクのある遺伝性疾患、が含まれる
・以前に取得したあらゆる追加の検査結果(次世代および/または全エクソーム配列決定結果、循環腫瘍DNA試験、生殖細胞配列決定結果、DPD試験結果、G6PD試験結果、Oncotype Dxおよび/またはEndopredict試験結果、コンセンサス分子サブタイプ(CMS)分類、DXAスキャン、利用可能な場合。これらは登録の前提条件ではない
・過去12カ月間に行われたいずれもの歯科手術/根管または眼科手術の記録
・下顎または上顎の壊死の履歴
・静脈内抗生物質および/または抗真菌薬、留置ポートの交換を要求するいずれもの既往の留置ポート感染症の履歴
・治験責任医師の評価に従って患者が脱水状態であるとみなされる場合、経口および/またはi.v.補液が許容され、任意のサイクルでの投与前にアドバイスを受ける。治験責任医師は、意思決定を導くように、投与日にBUN試験を要求することを決定してもよい
・身体検査および目視サインの記録
・ECHO、駆出率(EF)
・12誘導ECG
・ケロイド瘢痕の部位および状態/寸法の記録
・安定した、既往処置の脳転移のある患者では、神経学的検査を実施する
・食事要件または嗜好の記録(例えば、特定の食事レジメンの実践:断続的断食、ケトダイエット等)
・サプリメントの使用(現在および過去12カ月を含む)、使用のタイプ持続期間、用量および頻度
・ECOGおよび/またはカルノフスキーステータス
・5分間にわたる仰臥後におけるバイタルサイン(温度、HR、BP、RR、体重を含む)
・妊娠検査、出産可能年齢の女性の場合。両側卵管卵巣摘出術および/または子宮全摘出術の既往歴は必要ないがこれらの外科的処置を記録する
・過去および/または現在のアレルギー(アレルゲン、重症度)
・全血算(CBC)、白血球分類、血小板、ヘモグロビン
・血液化学(グルコース、総タンパク質、アルブミン、電解質[ナトリウム、カリウム、塩化物、全CO2]、カルシウム、リン、マグネシウム、尿酸、ビリルビン(総ビリルビン、直接ビリルビン)、SGPT(ALT)またはSGOT(AST)、アルカリホスファターゼ、ビリルビン、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、クレアチニン、血中尿素窒素、CPK)、TSH、fT4、リパーゼ、アミラーゼ、PTH、FSH、LH、CRP、および/またはトロポニン:
・血液凝固(PT、PTT、APTT)
・尿検査
・PDのための血液:バイオマーカー解析
・PD腫瘍 - 前処置生検に関するバイオマーカー解析。
【0262】
(iii)研究中の手順
PD血液バイオマーカー解析が各採血にて行われることを確保する;ならびに腫瘍バイオマーカー解析を、研究前および研究中/研究後の生検で行う。スクリーニングプロセスは、神経学的検査を伴い、文書化している必要がある。>グレード2のいずれものirAEは、関連スペシャリストに付託され、適宜文書化されることになる。irAEの管理は:Management of Immunotherapy-Related Toxicities、NCCNガイドラインバージョン1.2020年に準じて実施されることになる。研究中の処置過程で実施された研究関連手順および評価を、以下におよび表8の評価スケジュールに詳述する。
【0263】
処置中に診断されたCOVID-19感染症の場合、治験責任医師および治験依頼者はFDAガイドラインおよび地域の方針に従うことになり、治験責任医師は医療モニターに接触して最善の方策について論議する必要がある。
【0264】
サイクル1の手順
(a)サイクル1の1日目の手順
先行する全てのスクリーニングおよびベースライン手順が完了した後、1日目に以下の手順を実施するものとする
・12誘導ECG
・身体検査
・ECOG
・5分間にわたる仰臥後におけるバイタルサイン(温度、HR、BP、RR、体重および/またはBSAを含む)
・併用薬(名称、適応、用量、経路、開始日および終了日、あらゆる用量変更、そのタイミング、ならびに理由)
・有害事象
・全血算(CBC)、白血球分類、血小板、ヘモグロビン
・C1D1から7日以内に全て:血液化学(グルコース、Hgb A1c(DM1またはDM2の履歴がある場合)、総タンパク質、アルブミン、電解質[ナトリウム、カリウム、塩化物、全CO2]、カルシウム、リン、マグネシウム、尿酸、ビリルビン(総ビリルビン、直接ビリルビン)、SGPT(ALT)またはSGOT(AST)、アルカリホスファターゼ、ビリルビン、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、クレアチニン、血中尿素窒素、CPK)(空腹時血糖は、臨床的に適応の場合に限り、投与前に測定するものとする)、TSH、fT4、リパーゼ、アミラーゼ、PTH、FSH、LH、CRP、トロポニン
・関与性の腫瘍マーカー(例えば、CA15-3、CA-125、CEA、CA19-9、アルファフェトタンパク質など)は、適切な場合、サイクルごとに、投与前に(再病期診断スキャンと同じスケジュールに従い、処置6カ月後に、3サイクルごとに減少させることができる)評価する
・血液凝固(PT、PTT、APTT)
・尿検査(尿タンパク検査および尿培養検査を含む/アンチバイオグラム)
・PDのための血液:バイオマーカー解析(可溶性ガレクチン9、処置前生検および免疫表現型解析からのガレクチン9のための組織IHC)
・表8の注に記載される時点におけるPKのための血液試料。
【0265】
(b)サイクル1の2日目の手順
サイクル1の2日目に以下の手順を実施するものとする。
【0266】
・併用薬(名称、適応、用量、経路、開始日および終了日)
・有害事象
・PDのための血液:バイオマーカー解析
・PKのための血液試料。
【0267】
(c)サイクル1の4日目の手順
サイクル1の4日目に以下の手順を実施するものとする
・併用薬(名称、適応、用量、経路、開始日および終了日)
・有害事象
・PDのための血液:バイオマーカー解析
・PKのための血液試料。
【0268】
(d)サイクル1の7日目の手順
サイクル1の7日目に以下の手順を実施する
・5分間にわたる仰臥後におけるバイタルサイン(温度、HR、BP、RR、体重を含む)
・併用薬
・有害事象
・全血算(CBC)、白血球分類、血小板、ヘモグロビン
・血液化学(グルコース、総タンパク質、アルブミン、電解質[ナトリウム、カリウム、塩化物、全CO2]、カルシウム、リン、マグネシウム、尿酸、ビリルビン(総ビリルビン、直接ビリルビン)、SGPT(ALT)またはSGOT(AST)、アルカリホスファターゼ、ビリルビン、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、クレアチニン、血中尿素窒素、CPK)
・PDのための腫瘍:バイオマーカー解析
・PKのための血液試料。
【0269】
(e)サイクル1の15日目の手順
サイクル1の15日目に以下の手順を実施する
・全血算(CBC)、白血球分類、血小板、ヘモグロビン
・血液化学(グルコース、総タンパク質、アルブミン、電解質[ナトリウム、カリウム、塩化物、全CO2]、カルシウム、リン、マグネシウム、尿酸、ビリルビン(総ビリルビン、直接ビリルビン)、SGPT(ALT)またはSGOT(AST)、アルカリホスファターゼ、ビリルビン、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、クレアチニン、血中尿素窒素、CPK)、ECOG
・5分間にわたる仰臥後におけるバイタルサイン(温度、HR、BP、RR、体重を含む)
・有害事象
・PDのための血液:バイオマーカー解析
・PKのための血液試料。
【0270】
サイクル2の手順
(a)サイクル2の1日目の手順
サイクル2の1日目に以下の手順を実施する
・全血算(CBC)、白血球分類、血小板、ヘモグロビン
・血液化学(グルコース、総タンパク質、アルブミン、電解質[ナトリウム、カリウム、塩化物、全CO2]、カルシウム、リン、マグネシウム、尿酸、ビリルビン(総ビリルビン、直接ビリルビン)、SGPT(ALT)またはSGOT(AST)、アルカリホスファターゼ、ビリルビン、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、クレアチニン、血中尿素窒素、CPK)、TSH、fT4
・関与性の腫瘍マーカー(例えば、CA15-3、CA-125、CEA、CA19-9、アルファフェトタンパク質など)は、適切な場合、サイクルごとに、投与前に(再病期診断スキャンと同じスケジュールに従い、処置6カ月後に、3サイクルごとに減少させることができる)評価する
・身体検査
・有害事象
・ECOG
・5分間にわたる仰臥後におけるバイタルサイン(温度、HR、BP、RR、体重を含む)
・PKのための血液試料
・PDのための血液:バイオマーカー解析
・併用薬(名称、適応、用量、経路、開始日および終了日、あらゆる用量変更、そのタイミング、ならびに理由)。
【0271】
(b)サイクル2の7日目の手順
サイクル2の7日目に以下の手順を実施するものとする
・12誘導ECG
・5分間にわたる仰臥後におけるバイタルサイン(温度、HR、BP、RR、体重を含む)
・併用薬(名称、適応、用量、経路、開始日および終了日)
・有害事象
・全血算(CBC)、白血球分類、血小板、ヘモグロビン
・血液化学(グルコース、総タンパク質、アルブミン、電解質[ナトリウム、カリウム、塩化物、全CO2]、カルシウム、リン、マグネシウム、尿酸、ビリルビン(総ビリルビン、直接ビリルビン)、SGPT(ALT)またはSGOT(AST)、アルカリホスファターゼ、ビリルビン、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、クレアチニン、血中尿素窒素、CPK)
・PDのための血液:バイオマーカー解析
・PKのための血液試料
・妊娠可能年齢であり卵巣および子宮をin situで有する女性の場合、妊娠検査。
【0272】
(c)サイクル2の15日目の手順
サイクル2の15日目に以下の手順を実施する
・再病期診断スキャン(造影剤を伴う、CT、MRI、PET-CT、またはX線):さらなる別個の来院として予定し、研究薬の投与の開始から6~8週間で行ってもよい
・実施可能であり別個の来院として予定される場合、-3/+12日の腫瘍生検:組織試料を得ることを容易とするためにイメージングガイダンスが要求されうる場合、スキャンと同時に行うことができる(標的病変は生検にかけないものとする)
・PDのための腫瘍:バイオマーカー解析
・ECOG
・5分間にわたる仰臥後におけるバイタルサイン(温度、HR、BP、RR、体重を含む)
・有害事象
・PKのための血液試料
・PDのための血液:バイオマーカー解析。
【0273】
サイクル3の手順
(a)サイクル3の1日目の手順
サイクル3の1日目に以下の手順を実施する
・全血算(CBC)、白血球分類、血小板、ヘモグロビン
・血液化学(グルコース、総タンパク質、アルブミン、電解質[ナトリウム、カリウム、塩化物、全CO2]、カルシウム、リン、マグネシウム、尿酸、ビリルビン(総ビリルビン、直接ビリルビン)、SGPT(ALT)またはSGOT(AST)、アルカリホスファターゼ、ビリルビン、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、クレアチニン、血中尿素窒素、CPK)、TSH、fT4
・関与性の腫瘍マーカー(例えば、CA15-3、CA-125、CEA、CA19-9、アルファフェトタンパク質など)は、適切な場合、サイクルごとに、投与前に(再病期診断スキャンと同じスケジュールに従い、処置6カ月後に、3サイクルごとに減少させることができる)評価する。
【0274】
・身体検査
・ECOG
・5分間にわたる仰臥後におけるバイタルサイン(温度、HR、BP、RR、体重を含む)
・併用薬(名称、適応、用量、経路、開始日および終了日)
・有害事象
・PDのための血液:バイオマーカー解析
・PKのための血液試料
・妊娠可能年齢の女性の場合、妊娠検査。
【0275】
(b)サイクル3の7日目の手順
サイクル3の7日目に以下の手順を実施する
・ECHO
・5分間にわたる仰臥後におけるバイタルサイン(温度、HR、BP、RR、体重を含む)
・併用薬(名称、適応、用量、経路、開始日および終了日)
・有害事象
・全血算(CBC)、白血球分類、血小板、ヘモグロビン
・血液化学(グルコース、総タンパク質、アルブミン、電解質[ナトリウム、カリウム、塩化物、全CO2]、カルシウム、リン、マグネシウム、尿酸、ビリルビン(総ビリルビン、直接ビリルビン)、SGPT(ALT)またはSGOT(AST)、アルカリホスファターゼ、ビリルビン、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、クレアチニン、血中尿素窒素、CPK)
・PDのための血液:バイオマーカー解析
・PKのための血液試料。
【0276】
(c)サイクル3の15日目の手順
サイクル3の15日目に以下の手順を実施する。
【0277】
・ECOG
・5分間にわたる仰臥後におけるバイタルサイン(温度、HR、BP、RR、体重を含む)
・有害事象
・PKのための血液試料
・PDのための血液:バイオマーカー解析。
【0278】
サイクル4およびそれ以降の手順
(a)サイクル4の1日目の手順
サイクル4およびその後のサイクルの1日目に以下の手順を実施する
・全血算(CBC)、白血球分類、血小板、ヘモグロビン
・血液化学(グルコース、総タンパク質、アルブミン、電解質[ナトリウム、カリウム、塩化物、全CO2]、カルシウム、リン、マグネシウム、尿酸、ビリルビン(総ビリルビン、直接ビリルビン)、SGPT(ALT)またはSGOT(AST)、アルカリホスファターゼ、ビリルビン、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、クレアチニン、血中尿素窒素、CPK)、TSH、fT4、リパーゼ、アミラーゼ、PTH、トロポニン、FSH、LH、CRP
・再病期診断スキャン(造影剤を伴う、CT、MRI、PET-CT、またはX線):研究薬の投与の開始から6~8週間で行ってもよい
・関与性の腫瘍マーカー(例えば、CA15-3、CA-125、CEA、CA19-9、アルファフェトタンパク質など)は、適切な場合、サイクルごとに、投与前に(再病期診断スキャンと同じスケジュールに従い、処置6カ月後に、3サイクルごとに減少させることができる)評価する
・身体検査
・ECOG
・有害事象
・PKのための血液試料
・PDのための血液:バイオマーカー解析
・妊娠可能年齢の女性の場合、妊娠検査。
【0279】
(b)サイクル4の7日目の手順(C3D7と同じ)
サイクル4の7日目に以下の手順を実施するものとする。
【0280】
(c)サイクル4の15日目の手順(C3D15と同じ)
サイクル4の15日目に以下の手順を実施するものとする。
【0281】
(iv)研究の終了または早期終了の手順
59日目、または最終回投与の30日後に、早期に処置を中断した患者を含め、以下の手順を行う
・再病期診断スキャン(造影剤を伴うかまたは伴わないCTが好ましく、治験責任医師により要求される場合、造影剤を伴うかまたは伴わないMRI、PET-CT):研究の終了時が、最終サイクルの>6~8週間後である場合には、反復し、治験責任医師の裁量で、間隔を短くする
・関与性の腫瘍マーカー(例えば、Ca15-3、CA-125、CEA、CA19-9、アルファフェトタンパク質など)は、適切な場合、サイクルごとに、投与前に(再病期診断スキャンと同じスケジュールに従い、処置6カ月後に、3サイクルごとに減少させることができる)評価する
・12誘導ECG
・身体検査
・ECOG
・5分間にわたる仰臥後におけるバイタルサイン(温度、HR、BP、RR、体重を含む)
・併用薬(名称、適応、用量、経路、開始日および終了日)
・有害事象
・女性であり卵巣および子宮をin situで有する場合、妊娠検査
・全血算(CBC)、白血球分類、血小板、ヘモグロビン
・血液化学(グルコース、総タンパク質、アルブミン、電解質[ナトリウム、カリウム、塩化物、全CO2]、カルシウム、リン、マグネシウム、尿酸、ビリルビン(総ビリルビン、直接ビリルビン)、SGPT(ALT)またはSGOT(AST)、アルカリホスファターゼ、ビリルビン、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、クレアチニン、血中尿素窒素、CPK)、TSH、fT4、PTH、エストラジオール、プロラクチン、テストステロン、FSH、LH
・血液凝固(PT、PTT)
・尿検査
・PDのための血液:バイオマーカー解析
・PKのための血液試料。
【0282】
(v)長期追跡
患者が、処置期間を完了したら、全生存追跡を、3カ月ごとに、最長で2年間にわたり実施する。臨床的進行のために離脱する患者についても、可能な場合は、X線評価を継続する。
【0283】
生存データ、および疾患の進行後に開始された任意の新たな抗がん治療についての情報を、およそ3カ月ごとに収集する。追跡は、電話調査により実施する場合もカルテレビューにより実施する場合もあり、症例報告書において報告される。追跡期間中、因果性に関わらない死亡、および研究処置に関連すると考えられる重篤な有害事象を収集し、その事象の発見または通知から24時間以内に報告する。
【0284】
(vi)研究評価
(a)身体検査
医学検査および身体検査は、有資格の医師、診療看護師、または医師の助手により実施されなければならず、スクリーニング時、処置中、および研究の終了時における全身の徹底した検討を含むべきである。身体検査は、臨床的に適応の場合、乳房検査、および5分間にわたり仰臥位において静止した後に測定されるバイタルサイン(温度、心拍数(HR)、血圧(BP)、呼吸数(RR))を含む。患者の体重もまた測定し、記録する。
【0285】
(b)病歴
病歴は、腫瘍履歴、放射線療法履歴、手術の履歴、現行の投薬、および過去の投薬を含む
・既往の処置/手術、任意のin situの植込み剤または過去の植込み剤の記録、既往および/または現行の医療デバイスの使用、併用薬(名称、適応、用量、経路、開始日および終了日 ある場合には用量変更、ならびに理由)、既存の症状、および有害事象)、家族歴に基づいて危険性がある遺伝性疾患、ならびに患者が知っている限りでの完全な家族歴を含む、個人の病歴
・既に獲得されている、あらゆるさらなる検査結果(次世代および/もしくは全エクソーム配列決定結果、循環腫瘍遊離DNA検査、生殖細胞系列配列決定結果、DPD検査結果、G6PD検査結果、Oncotype Dx、ならびに/またはEndopredict検査結果)
・過去12カ月に実施された任意の歯科処置の記録
・任意のケロイド瘢痕の部位および状態/寸法の記録
・過去に膵腺癌を切除した患者については、原発腫瘍が膵頭部、膵臓本体、または膵尾部に局在していたかどうかの記録
・排便習慣/典型的な頻度および性状。
【0286】
(c)臨床検査室査定
患者は、評価スケジュールに従い、規定の臨床検査室検査のために血液試料を回収される。臨床検査室パラメータは、現場の検査室において解析される。完了される臨床検査評価は、血液学および血清化学を含み、以下のものとして規定される:
・血清化学:グルコース、総タンパク質、アルブミン、電解質[ナトリウム、カリウム、塩化物、全CO2]、カルシウム、リン、マグネシウム、尿酸、ビリルビン(総ビリルビン、直接ビリルビン)、SGPT(ALT)またはSGOT(AST)、アルカリホスファターゼ、ビリルビン、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、クレアチニン、HgbA1c、血中尿素窒素、CPK、TSH、fT4、リパーゼ、アミラーゼ、PTH、テストステロン、エストラジオールを含む。プロラクチン、FSH、LH、およびCRP。空腹時血糖は、臨床的に適応の場合に限り、C1D1、C2D1、C3D1、C4D1、およびさらなる日の投与前に測定する
・血液学:全血算、白血球分類、血小板、およびヘモグロビンを含む
・凝固:プロトロンビン時間(PT)および部分トロンボプラスチン時間(PTT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を含む
・バイオマーカー解析(PDのための血液):患者の血清/血漿中のガレクチン9レベル、末梢血免疫表現型解析、サイトカイン測定を含む
・薬物動態(PK)のための血液サンプリング:治験責任医師が、研究薬の投与を中止すべきであると決定する場合、さらなるPKおよび安全性評価を、投与前(投与の2時間以内)、および研究薬の4時間±30分後に収集する。COVID-19に関する制限のために投与後2時間を超えて患者を収容することができない施設は、投与の2時間後の試料のみを提供する。
【0287】
投与が、任意の理由のために中止され、次いで再開される場合、さらなるPK評価は、治験責任医師の裁量で、中止の間に実施され得る。投与を再開する際に研究薬の用量を低減する場合、さらなるPK評価を、投与の再開前、および投与完了の2時間±15分後に収集する。さらなるPKおよび他の血液評価は、臨床的に適応の場合、治験責任医師の裁量で行われ得る。
【0288】
さらなるPKまたはPD評価のための血液は、可能な場合、研究を中断する患者において、最終回の研究薬の投与後、最長で4週間にわたり、およそ7~14日ごとに得てもよい。PK評価のための血液は、投与前、投与の完了の2時間±15分後)、および研究薬の投与の4(±15分)後に回収される。
【0289】
(d)尿検査
患者は、規定の尿検査のために尿試料を収集される。尿検査は、色、外観、ならびに比重、タンパク質、白血球エステラーゼ、グルコース、ケトン、ウロビリノーゲン、亜硝酸塩、WBC、RBC、およびpHのためのディップスティック、ならびにスクリーニング時の尿培養を含む。
【0290】
(e)心電図(ECG)
12誘導心電図からの以下のパラメータを査定する:心拍数、PR間隔、QRS持続、QT間隔、およびQTcF間隔。
【0291】
(f)腫瘍イメージング評価
造影剤を伴うCT(疾患位置を踏まえ、CTが、実施可能でも、適切でもない場合、CTスキャンではなく、またはこれに加えて、MRI、PET-CT、および/または他のイメージングモダリティー)が、好ましいモダリティーである。評価は、最低でも頸部/胸部/腹部/骨盤を含むものとし、患者の腫瘍型および疾患歴に基づいて、適応の他の解剖学的領域を含むものとする。イメージングスキャンは、匿名化され、患者研究ファイルの一部として、ネガティブDICOMフォーマットにおいて登録保管しなければならない。得られるスキャンの種類は、治験責任医師の裁量で、疾患に適切なものであるが、研究の持続期間にわたり、同じ方法を使用するものとする。最近4~6週間以内に評価していない場合、評価は、6~8週間±1週間ごとに、かつ、処置の終了時に行う。
【0292】
(g)腫瘍生検
処置前および処置時/処置後生検を回収する。用量1の投与前に回収される処置前。処置時は、生検が実施可能である場合、サイクル1の後の任意の処置日に回収することができる。好ましい次回の生検は、1回目の研究時スキャンの前でありうる。プロトコールに明記された時間枠内で手順を実施することができない場合、代替手段は、許容されうるが、研究責任医師/メディカルモニターと討議しなければならない。様々な臨床因子は、十分な検体を得ることを困難にする場合があると認識されている。処置中に生検を完了させないという決定は、メディカルモニターと討議されるべきである。
【0293】
(h)腫瘍マーカー
探索的マーカー、例えば、CA15-3、CA-125、CEA、CA19-9、アルファフェトタンパク質などは、適切な場合、サイクルごとに、投与前に(再病期診断スキャンと同じスケジュールに従い、処置6カ月後に、3サイクルごとに減少させることができる)評価する。
【0294】
(i)有害事象
研究薬の投与後に開始または悪化する有害事象(AE)を記録する。AEは、ベースラインまで回復するか、安定化するか、または不可逆的とみなされるまで、追跡するものとする。全ての重篤なAE(SAE)は、患者の書面による同意日から、投与または患者の研究への参加の中断の30日後(最後の予定の来院がそれよりも後の時点において行われる場合)まで、収集しなければならない。
【0295】
【0296】
【0297】
【0298】
【0299】
【0300】
(E)安全性評価
処置群または研究薬との因果関係に関わらず、観察されたかまたは患者から報告された全ての有害事象を、症例報告書(CRF)の有害事象のページ(複数可)に記録する。有害事象は、MedDRAコードシステムを使用してコードし、全てのAEは、米国国立癌研究所有害事象共通用語規準、バージョン5.0(NCI-CTCAE)[NCI、2017]に従い、段階分けされる。
【0301】
有害事象
有害事象は、医薬品規制調和国際会議(ICH)の医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令において、「医薬品を投与された患者または臨床試験対象に生じたあらゆる好ましくない医療上の出来事であって、当該処置との因果関係を必ずしも有するわけではないもの」として規定される。
【0302】
この有害事象の定義は、本研究では、任意のそのような出来事(例えば、徴候、症状、もしくは診断)、または対象が説明同意書に署名した時点から治験薬の開始の時点までの既存の医学的状態の悪化を含むように拡大される。悪化は、既存の医学的状態(例えば、糖尿病、片頭痛、痛風、高血圧症など)が、その状態の重症度、頻度、もしくは持続期間、または有意により悪い転帰との関連性の点で増加していることを指し示す。
【0303】
全ての有害事象について、治験責任医師は、有害事象の転帰を決定すること、およびそれが治験依頼者またはその指定の代表への速やかな通知を要求する重篤な有害事象としての分類のための基準を満たすかどうかを評価することの両方に十分な情報を追求および取得しなければならない。全ての有害事象について、十分な情報は、有害事象の因果性を決定する治験責任医師により得られるものとする。治験責任医師は、因果性を評価するように要求される。被験薬と因果関係を有する有害事象については、事象が、消失するか、または治験責任医師および治験依頼者臨床モニターもしくはその指定の代表に許容されるレベルで安定化するまで、治験責任医師による追跡が要求される。
【0304】
重篤な有害事象
重篤な有害事象(SAE)は、以下の有害事象として規定される:
・死亡を結果としてもたらすもの;
・致死性である(対象を死亡の差し迫った危険性にさらす)もの;
・患者の入院もしくは入院期間の延長を要求するもの;
・永続的もしくは顕著な身体障害/機能不全を結果としてもたらすもの;または
・先天異常/先天性欠損であるもの。
【0305】
死亡を結果としてもたらすこともなく、致死性であることもなく、入院を要求することもない重要な医学的事象は、適切な医学的判断に基づいて、患者を危険にさらすおそれがあり、この定義に列挙される転帰のうちの1つを阻止するために内科的または外科的介入を要求する可能性がある場合、SAEと考えられ得る。そのような医学的事象の例は、緊急治療室または家庭での集中処置を要求するアレルギー性気管支痙攣、患者の入院を結果としてもたらさない血液疾患または痙攣を含む。「重篤」の定義を満たす入院とは、健康管理施設での最低でも一晩の滞在を含む、病院の患者の任意の受入れである。
【0306】
患者の受入れは、リハビリテーション施設、ホスピス施設、高度看護施設、介護施設、日常的な緊急治療室受入れ、同日手術(外来患者/同日/外来手術として)、または社会的受入れ(例えば、対象が寝る場所を有さない)のいずれも含まない。
【0307】
安全性は、研究を通して、有資格の医師、医師の助手、または看護職員により評価する。安全性を査定するために使用される測定は、履歴、身体検査、バイタルサイン、臨床検査室検査、尿検査、12誘導ECG、およびAEのモニタリングを含む。
【0308】
先行する測定から臨床的に有意に逸脱する(治験責任医師により決定される)検査室測定は、反復されうる。正当化される場合、さらなる検査、またはプロトコールに明記されているよりも多い回数の検査を行い、AEおよびAEの消失の十分な記録を提供するものとする。
【0309】
全ての有害事象について、十分な情報は、有害事象の因果性(例えば、研究薬かまたは他の疾病か)を決定する治験責任医師により得られるものとする。有害事象と研究処置との関係は、下記の定義に従い評価される:
関連しない:研究薬の投与からの合理的で一時的な結果の後に生じるものではなく、患者の臨床状態または患者に投与された療法の他の様式により生じた可能性が高い、任意の事象
おそらく関連しない:研究薬の投与からの合理的で一時的な結果の後に生じるものではないか、または、患者の臨床状態もしくは患者に投与された療法の他の様式により生じた可能性が高い、任意の事象
関連しうる:研究薬の投与からの合理的で一時的な結果の後に生じるか、または、疑いのある薬物に対する公知の応答パターンの後に生じ、患者の臨床状態または患者に投与された療法の他の様式の公知の特徴により合理的に説明することができなかった、任意の反応
関連する:研究薬の投与からの合理的で一時的な結果の後に生じ、疑いのある薬物に対する公知の応答パターンの後に生じ、再負荷で再発し、かつ/または、薬物を停止するかもしくは用量を低減することにより改善する、任意の反応。
【0310】
(a)有害事象管理のための用量低減手順
AE管理のために、用量低減を使用する事象では、2つの用量低減を許容する。各用量低減では、ベースライン用量の30%を低減する。用量低減は、臨床利益が予測されており、導出され続ける場合になされる。
【0311】
(b)研究処置の中断のための基準
患者は、通常、X線により、進行が確認されるまで、研究処置において維持される。患者が、X線では進行を有するが、臨床では明白な進行を有さず、代替的処置が開始されていない場合、治験責任医師の裁量で、患者は、研究処置を持続することができる。しかし、患者が、X線における進行を伴わずに、臨床における明白な進行を有する場合は、研究処置を停止させ、利用可能な処置選択肢について、患者に助言するものとする。
【0312】
(c)進行中の安全性再検討
特殊な例外(例えば、臨床的に安定な患者における、ある特定の内分泌障害)は、許容されうるが、重篤であるか、または致死性の免疫関連有害反応(IMAR)の事象、または全身ステロイドの開始を促す事象では、G9.2-17は中断すべきである。
【0313】
組合せ薬の開発中に生じるIMARの重症度および持続期間を限定することが意図される、詳細なモニタリング計画を提供する。
【0314】
アブラキサンを、各28日サイクルの1、8、および15日目に、30~40分にわたり、125mg/m2で静脈内投与する。ゲムシタビンを、各28日サイクルの1、8、および15日目に、アブラキサンの直後に投与する。以下のうちの1つまたは複数を、患者における潜在的な有害事象の発生に基づいて実施してもよい:
・軽度肝機能障害を有する患者については、調整は必要ではない
・AST>10×ULNまたはビリルビン>5×ULNの場合、アブラキサンを中断する
・中等度から重度の肝機能障害を有する患者では、開始用量を低減する
・用量低減または中断は、重度の血液学的、神経、皮膚、または消化器毒性に基づいて、必要となる場合がある。
【0315】
禁忌:
・1mm3当たりの好中球カウント<1,500個
・アブラキサンに対する重度の過敏性反応。ゲムシタビンに対して公知の過敏性を有する患者。
【0316】
下記の表9~12は、アブラキサンおよびゲムシタビンの推奨用量および低減用量に関する例示的なガイダンスを提供する。Abraxane monograph:Abraxis BioScience,LLC.Highlights of Prescribing Information[インターネット].Summit(NJ):Celgene Corporation;2019年12月[2020年5月7日引用]も参照されたい。
【0317】
【0318】
【0319】
【0320】
【0321】
血管外漏出の可能性を踏まえると、薬物投与中に起こりうる浸潤について注入部位を緊密にモニタリングすることが賢明である。アブラキサンの注入を指示通りに30分に限定することは、注入関連反応の可能性を低減する。
【0322】
(d)潜在的な安全性問題の同定
用量制限毒性(DLT)期間:1サイクル
1サイクルは、C1D1(サイクル1の1日目)およびC1D15(サイクル1の15日目)を包摂する。
【0323】
モニタリング計画
第1部の用量漸増フェーズでは、各コホートのサイクル1について再検討した後で、次のコホートへの用量漸増に進む。安全性データおよび入手可能なPKデータは、SMCが、各コホートの全ての患者において、DLTについて評価するのに使用される。用量漸増時における安全性のための注意として、新たな患者は、各コホートの最初の患者を、G9.2-17で処置し、処置後最低7~14日間が経過した後で初めて、登録し、処置する。各患者について、えり抜きのDLT安全性解析は、サイクル1の完了後に実施される。拡大フェーズ時に、毒性は、各用量漸増の前に、会議を行って総毒性率について再検討するSMCによりモニタリングされる。SMC会議の回数は、毒性率の増加により正当化される場合、増加する。SMCは、いかなる時点においても、中用量レベルの検査または間欠的用量スケジュールの開始を含むがこれらに限定されない、本臨床研究の研究設計を終了または変更することを推奨する権利を有する。
【0324】
(e)用量制限毒性基準
用量制限毒性(DLT)は、転移性腫瘍における疾患の進行、併発疾病、または併用薬に関連せず、研究薬に関連し、研究の第1のサイクルにおいて生じるとして評価され、以下の基準のうちのいずれかを満たす、臨床的に顕著な非血液学的有害事象、または検査室値の異常として規定される:
・任意の持続期間を有する、全ての悪性度4の非血液学的毒性
・全ての悪性度3の非血液学的毒性。例外は、以下のものである:
○入院または中心静脈栄養法による支持を要求せず、支持ケアにより、48時間以内に、≦悪性度2に管理されうる、悪性度3の悪心、嘔吐、および下痢
○24時間以内に、≦悪性度2に是正されうる、悪性度3の電解質異常
○他の悪性度3aの非症候性検査室異常
DLT期間は、1サイクル、すなわち、4週間を含む。1サイクルは、1および15日目(C1D1およびC1D15;それぞれ、サイクル1の1日目およびサイクル1の15日目)における、G9.2-17の投与を包摂する。
【0325】
(f)投与の遅延および低減
≧悪性度3である、任意のAEであって、1つまたは複数の研究薬に、関連する可能性があるか、おそらく関連するか、または確定的に関連するAEは、メディカルモニターとの討議が要求されない以下を例外として、投与を継続する前に、メディカルモニターと討議するものとする:
・<72時間にわたり持続する局所注射部位反応であって、疼痛、発赤、腫脹、硬化、または掻痒を含む、局所注射部位反応
・<72時間にわたり持続する全身注射反応であって、発熱、筋痛、頭痛、または疲労の全身注射反応
治験責任医師の判断に従い(研究メディカルモニターとの討議の後に)、≧悪性度3の有害事象については、毒性の消失まで(悪性度1またはこれ未満まで)、投与の遅延が必要な場合がある。
【0326】
プロトコールの第2部では、3例または3例を超える患者が、DLTを発症する場合、G9.2-17の投与を、推奨フェーズ2用量(RP2D)を下回る用量による投与1回に低減するものとする。
【0327】
(F)腫瘍評価のためのRECIST基準
ベースラインの腫瘍評価では、腫瘍病変/リンパ節を、測定可能な腫瘍病変、または測定不可能な腫瘍病変に類別し、測定可能な腫瘍病変を、測定平面内の最長直径に従い記録するものとする(最短軸で測定される、罹患リンパ節を除く)。ベースラインにおいて、1つを超える測定可能な病変が存在する場合、全ての病変は、全ての関与する臓器を表す、最大で、合計5つまでの病変(および臓器1つ当たり最大で2つの病変)を、標的病変として同定するものとする。標的病変は、それらのサイズ(直径が最長である病変)ベースで選択されるものとする。全ての標的病変についての直径の合計を計算し、ベースラインの合計の直径として報告するものとする。
【0328】
罹患リンパ節を含む、他の全ての病変(または罹患部位)は、非標的病変として同定し、これらもまた、ベースラインにおいて記録するものとする。測定は要求されず、これらの病変は、「存在」、「非存在」、または「明白な進行」として追跡されるものとする。
【0329】
疾患応答(完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、安定(SD)、および進行(PD))は、付録4において概括される通りに評価されるものとする。
【0330】
疾患応答尺度は、CR、PR、およびSDを含む、全般的疾患コントロール率(DCR)、CRおよびPR、無進行生存(PFS)、ならびに進行までの時間(TTP)を含む、客観的奏効率(ORR)の計算を可能とするものとする。
【0331】
(G)患者の完了または離脱
患者の完了
第1部:用量設定
患者は、疾患の進行、許容不可能な毒性、または用量制限毒性(DLT)の研究開発からの離脱まで、2週間ごとに、5つの用量レベルのうちの1つで研究薬を施されるものとする。
【0332】
利用可能な最大試料サイズを24として、2例の患者に投与するものとする。用量漸増は、SMCからの承認を受けた場合に限り、開始するものとする。各用量漸増時において、新たな患者は、先行コホートの2例の患者を、G9.2-17で処置し、処置後最低7日間が経過した後で初めて、登録し、処置するものとする。
【0333】
第1部は、連続6例の患者が、同じ用量を施された場合に完了するものとし、この用量を、OBDとして同定するものとする。
【0334】
第2部:腫瘍型特異的処置
転移性PDACを有する患者についての拡大コホートは、G9.2-17とゲムシタビン/アブラキサンとの組合せ処置を伴うものとする。研究の完了は、3カ月後における患者応答、および12カ月後における応答患者の生存に依存するものとする。
【0335】
第2部:拡大
腫瘍型に帰せられる5つの試験アームのうちの1つの中で、有望な有効性シグナルが同定される場合、拡大コホートを立ち上げて、所見確認する。完了は、第2部について記載した通りとする。
【0336】
研究処置の中断
患者は、以下の理由のうちのいずれかのために、研究処置の完了前に中断する場合がある:
・用量制限毒性:転移性腫瘍における疾患の進行、併発疾病、または併用薬に関連せず、研究薬に関連し、研究の第1のサイクルにおいて生じるとして評価され、以下の基準のうちのいずれかを満たす、臨床的に顕著な非血液学的有害事象、または検査室値の異常として規定される:
○任意の持続期間を有する、全ての悪性度4の非血液学的毒性
○全ての悪性度3の非血液学的毒性。例外は、以下の通りである:
・入院または中心静脈栄養法による支持を要求せず、支持ケアにより、48時間以内に、<悪性度2に管理されうる、悪性度3の悪心、嘔吐、および下痢
・24時間以内に、≦悪性度2に是正されうる、悪性度3の電解質異常
・治験責任医師により、患者の最良の利益になると判断される場合における、RESIST基準に従う進行、またはより早期の時点における顕著な臨床的進行
・処置のさらなる投与を妨げる併発疾病。
【0337】
実施例3
投与後1および3週間にわたる観察期間を伴う、雄Sprague Dawleyラットにおける、非GLP、単回投与、用量設定静脈内毒性研究
本研究は、Sprague Dawleyラットへの単回静脈内ボーラス投与に続く、8および22日目における、1週間後(終了時)および3週間後(回復時)の剖検の後において、G9.2-17 IgG4の解剖学的評価項目について査定した。全ての動物は、予定の剖検まで生存した。本研究の終了時剖検動物または回復時剖検動物には、被験薬関連の肉眼的所見、臓器重量変化、または顕微鏡的所見は見られなかった。
【0338】
この非GLP、探索、単回投与、用量設定、静脈内毒性研究の目的は、Sprague Dawleyラットへの、2分間にわたる静脈内ボーラス投与後における、G9.2-17 IgG4の急性毒性を同定し、特徴付けるのに続き、投与後1週間(終了時)および3週間(回復時)にわたる観察期間を置くことであった。
【0339】
この非GLP単回投与毒性研究は、24匹の雄Sprague Dawleyラットにおいて、単回投与における様々な用量のG9.2-17 IgG4のトキシコキネティックおよび潜在的な毒性を決定するために行った。1日目において、少なくとも2分間にわたり、緩徐ボーラス静脈内注射により、動物に、媒体、または10mg/kg、30mg/kg、もしくは70mg/kgのG9.2-17 IgG4を投与するのに続き、投与後1週間(終了時、8日目)または3週間(回復時、22日目)にわたる期間を置いた。研究評価項目は、死亡率、臨床観察、体重、および食物摂取、臨床病理学(血液学、凝固、臨床化学、および尿検査)、トキシコキネティックパラメータ、ADA査定、ならびに解剖病理学(肉眼剖検、臓器重量、および組織病理学)を含んだ。実験デザインの概要を下記の表13に示す。
【0340】
【0341】
8日目または22日目に、全ての生存動物を、剖検にかけた。完全死後検査を実施し、臓器重量を収集した。終了時および回復時に、全ての動物に由来する臓器を秤量した。顕微鏡による査定に要求される組織をトリミングし、規定通りに加工し、パラフィン内に包埋し、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。
【0342】
本研究の経過中に、日程外の死は見られなかった。全ての動物は、終了時剖検または回復時剖検まで生存した。認められた組織学的変化は、偶発的所見であるか、または被験薬の投与以外の実験操作の一部の側面に関連すると考えられた。これらの偶発的組織変更のうちで、被験薬に関連する、患者数、重症度、または組織学的特徴の変更は見られなかった。臨床観察、体重、食物摂取、臨床病理学、または解剖病理学では、G9.2-17 IgG4関連所見は見られなかった。結論として述べると、10、30、および70mg/kgのG9.2-17 IgG4の、Sprague Dawleyラットへの単回静脈内投与は、有害所見を伴わずに忍容された。したがって、本研究の条件下で、NOELは、70mg/kgであった。
【0343】
実施例4
観察期間を投与後3週間とする、カニクイザルにおける、G9.2-17 IgG4についての、非GLP、単回投与、用量設定、静脈内注入毒性研究
この非GLP単回投与毒性研究は、8匹のカニクイザルにおいて、単回投与として様々な用量で投与したG9.2-17 IgG4の急性毒性を同定し、特徴付けるために行った。30分間の静脈内(IV)注入により、動物(群1つ当たり1匹の雄[M]/1匹の雌[F])に、媒体、または30mg/kg、100mg/kg、もしくは200mg/kgのG9.2-17 IgG4を投与するのに続き、投与後3週間にわたる観察期間を置いた。研究評価項目は、死亡率、臨床観察、体重、および定性的食物摂取;臨床病理学(白血球サブセットに対する、血液学、凝固、臨床化学、免疫表現型解析、および白血球サブセット上のガレクチン9発現、ならびにサイトカイン解析);トキシコキネティックパラメータ;可能な抗薬物抗体査定(ADA)のための血清回収;ならびに可溶性ガレクチン9解析;ならびに解剖病理学(肉眼剖検、臓器重量、および組織病理学)を含んだ。
【0344】
臨床観察、体重、食物摂取、臨床病理学(血液学、臨床化学、凝固、またはサイトカイン解析)、白血球サブセットに対する免疫表現型解析、白血球サブセット上のガレクチン9の発現、可溶性ガレクチン9、または解剖病理学では、G9.2-17 IgG4関連所見は見られなかった。
【0345】
結論として述べると、30、100、および200mg/kgのG9.2-17 IgG4の、カニクイザルへの、単回の静脈内注入による投与は、有害所見を伴わずに忍容された。したがって、本研究の条件下で、無毒性量(NOAEL)は、査定された最高用量レベルである、200mg/kgであった。研究デザインを、表14に示す。
【0346】
【0347】
媒体および被験薬は、研究期間中に、伏在静脈内に経皮的に留置されたカテーテルを介する、30分間にわたるIV注入を介して、1回投与した。用量レベルは、30、100、および200mg/kgであり、20mL/kgの投与容量で投与された。対照群に、処置群と同じ方式で、媒体を施した。
【0348】
投与時には、動物を、スリングで拘束した。媒体または被験薬は、直近の体重に基づき、注入ポンプおよび滅菌のディスポーザブル型シリンジを使用して投与した。投与シリンジに、適切な容量の媒体または被験薬(20mL/kg+2mL)を充填した。投与が完了したら、動物を、注入システムから取り出した。各回の注入の開始前および終了時に、各投与シリンジの重量を記録して、責任用量範囲を決定した。
【0349】
詳細な臨床観察
動物をケージから取り出し、各動物についての、詳細な臨床検査を、1日目における注入開始(SOI)の1および4.5時間後に実施し、その後、研究期間中に毎日1回実施した。動物をケージから取り出し、各動物についての、詳細な臨床検査を、1日目における注入開始(SOI)の1および4.5時間後に実施し、その後、研究期間中に毎日1回実施した。全ての動物について、体重を、移動時、-1日目における無作為化の前、および研究期間中毎週測定し、記録した。
【0350】
臨床病理学の査定(血液学、凝固、および臨床化学)は、試験前、ならびに1日目(投与前)、3、8、および21日目に、全ての動物に対して行った。血液学パラメータの決定のためのさらなる試料、ならびに末梢血リンパ球試料およびサイトカイン解析試料は、SOIの30分後(注入の終了直後)、ならびに4.5、8.5、24.5、および72.5時間後(1日目と比べて)に回収した。骨髄スミアを、回収し、保存した。
【0351】
被験薬の血清濃度を決定するために、大腿静脈を介して、全ての動物から、血液試料(約0.5mL)を回収した(表15を参照されたい)(逸脱については、付録1を参照されたい)。臨床病理学回収のための空腹時と一致する間隔を例外として、血液回収の前に、動物を空腹にしなかった。
【0352】
【0353】
加工のために、血液試料を、添加剤非含有バリアフリー微細管に回収し、回収から1時間以内に、制御された室温で遠心分離した。結果として得られる血清を、あらかじめ表示を施されたクライオチューブ内の、ほぼ等量の2つのアリコートに採取した。全てのアリコートを、回収から2時間以内に、-60℃~-90℃で凍結させて保管した。
【0354】
予定の剖検時に安楽死させた、全ての動物に対して、死後研究査定を実施した。
獣医科病理医により承認された手順下で、剖検検査を実施した。触知可能な腫瘍塊を含む、外部の異常について、注意深く、動物を検討する。腹側正中切開部から、皮膚を裏返し、任意の皮下腫瘍塊を同定し、生前所見と相関させる。腹腔、胸腔、および頭蓋腔を、異常について検討した。臓器を摘出し、検討し、要求される場合は、固定液に入れた。眼(視神経を含む)および睾丸を除く、全ての指定組織を、中性緩衝ホルマリン(NBF)中で固定した。眼(視神経を含む)および睾丸は、改変デイビッドソン固定液に入れ、次いで、70%のエタノールに、最大で、3日間にわたり移してから、最終的に、NBFに入れた。気管を介して、ホルマリンを、肺に注入した。組織および臓器の全装備を、全ての動物から回収した。
【0355】
予定の剖検時に、体重およびプロトコール指定の臓器重量を、全ての動物について記録し、適切な臓器重量比を計算した(体重および脳重量と比べて)。対をなす臓器は、一体にして秤量した。甲状腺および副甲状腺についての組合せ重量を収集した。
【0356】
結果
全ての動物は、22日目における予定の剖検まで生存した。処置動物では、被験薬関連臨床観察または獣医学的観察が認められなかった。処置期間中または回復期間中の処置動物では、体重に対する被験薬関連作用は観察されなかった。いずれの用量レベル、いずれの性別、およびいずれの間隔でも、血液学評価項目に対する、G9.2-17 IgG4関連作用は見られなかった。
【0357】
いずれの用量レベル、いずれの性別、いずれの間隔でも、凝固時間(すなわち、活性化部分トロンボプラスチン時間[APTT]およびプロトロンビン時間)またはフィブリノーゲン濃度に対する、G9.2-17 IgG4関連作用は見られなかった。個々の凝固値の間の全ての変動は、散発性であり、生物学的ばらつき、および手順関連のばらつきと符合し、かつ/または無視できる大きさであり、G9.2-17 IgG4の投与に関連しないと考えられた。
【0358】
いずれの間隔、いずれの用量レベルで、いずれの性別でも、臨床化学評価項目に対する、G9.2-17 IgG4関連作用は見られなかった。個々の臨床化学値の間の全ての変動は、散発性であり、生物学的ばらつき、および手順関連のばらつきと符合し、かつ/または無視できる大きさであり、G9.2-17 IgG4の投与に関連しないと考えられた。
【0359】
いずれの間隔、いずれの用量レベルで、いずれの性別でも、サイトカイン評価項目に対する、G9.2-17 IgG4関連作用は見られなかった。個々のサイトカイン値の間の全ての変動は、散発性であり、生物学的ばらつき、および手順関連のばらつきと符合し、かつ/または無視できる大きさであり、G9.2-17 IgG4の投与に関連しないと考えられた。
【0360】
肉眼的剖検観察の再検討は、被験薬に関連すると考えられる所見を明らかにしなかった。被験薬に関連すると考えられる、臓器重量の変更は見られなかった。被験薬関連変化も見られなかった。
【0361】
結論として述べると、30、100、および200mg/kgのG9.2-17 IgG4の、カニクイザルへの、単回の静脈内注入による投与は、有害所見を伴わずに忍容された。したがって、本研究の条件下で、無毒性量(NOAEL)は、査定された最高用量レベルである、200mg/kgであった。
【0362】
動物をケージから取り出し、各動物についての、詳細な臨床検査を、1日目における注入開始(SOI)の1および4.5時間後に実施し、その後、研究期間中に毎日1回実施した。
【0363】
実施例5
カニクイザルにおけるG9.2-17についての静脈内注入研究
本研究の目的は、カニクイザルにおける、毎週1回、30分間ずつ、5週間にわたる静脈内(IV)注入の後における、様々な用量での、被験薬である、G9.2-17(ガレクチン9に結合するhIgG4モノクローナル抗体)についての毒性およびトキシコキネティックをさらに特徴付け、3週間にわたる回復期間の後における、観察される任意の変化の可逆性、進行、または出現の遅延について査定することであった。
【0364】
実験デザイン
表16は、研究デザインをまとめる。
【0365】
【0366】
研究で使用される動物(カニクイザル)を、同様の群平均値体重を達成するようにデザインされた、体重による、標準的な無作為化手順により、研究群に割り当てた。雄と雌とを、個別に無作為化した。研究に割り当てられた動物は、各性別についての平均値体重の±20%以内の体重を有した。
【0367】
G9.2-17を欠く製剤(「媒体」)、またはG9.2-17を含有する製剤(「被験薬」)を、研究期間中に、毎週1回、5週間にわたり(1、8、15、22、および29日目に)、30分間のIV注入を介して、動物に投与した。用量レベルは、投与1回当たり0、100、および300mg/kgであり、10mL/kgの投与容量で投与した。対照動物群に、処置群と同じ方式で、媒体を施した。投与は、伏在静脈に経皮的に留置されたカテーテルを介して実施し、新たな滅菌ディスポーザブル型シリンジを、各回の投与に使用した。トキシコキネティック試料回収日の投与前および投与終了時に、責任用量範囲を測定し、記録して、目標用量の±10%を投与することを確保した。個々の用量は、直近の体重に基づいた。終了時剖検および回復時剖検における回収のために、最終回投与部位に印をつけた。全ての投与は、被験薬の調製から8時間以内に実施した。
【0368】
下記に説明される通りに、動物に、生存中の手順、観察、および測定を実施した。
全ての動物に、心電図検査を実施した。これらの測定における、極度の変動またはアーチファクトを最小化するために、心電図(ECG)を記録する前に、動物の不要な興奮を引き起こすことを回避するように、可能な限りの注意を払った。標準的なECG(10誘導)を、50mm/秒で記録した。適切な誘導を使用して、RR間隔、PR間隔、およびQT間隔、ならびにQRS持続を測定し、心拍数を決定した。補正QT(QTc)間隔は、Bazett(1920)により記載されている方法に基づく手順を使用して計算した。全ての出力波形は、獣医科の心臓専門医に助言を求めることにより、査定し、報告した。
【0369】
連続性および信頼性の一助とするために、2名の独立の評価者が、全ての機会について、機能観察総合評価法(FOB)による査定を行ったが、これらは、飼育ケージおよび開放領域における、詳細な神経行動学的査定(GauvinおよびBaird、2008)からなった。各技官は、サルを、各飼育ケージおよびケージ外における観察スコアについて、独立に(結果を、互いと共有せずに)評定し、次いで、試験の完了の後に、個々のスコアを、それらのパートナーのスコアと一致させるために評価した。FOB査定は、各動物について、ベースラインにおける差違を確立する投与前(-9日目または8日目)、ならびに1および15日目における注入開始から2~4時間後、ならびに終了時剖検および回復時剖検の前に行った。観察は、活動レベル、姿勢、流涙、唾液分泌、振戦、痙攣、線維束性攣縮、常同挙動、顔面筋運動、眼瞼閉鎖、瞳孔反応、刺激(視覚、聴覚、および食物)に対する反応、体温、チャドック-バビンスキー反射、固有受容感覚、不全麻痺、運動失調、測定障害、ならびに傾斜の評価、傾斜における運動および歩行についての査定を含んだがこれらに限定されなかった。
【0370】
各動物の血圧を、測定し、記録したが、これらは、収縮期動脈圧、拡張期動脈圧、および平均値動脈圧からなった。20mmHg以内の平均値動脈圧(MAP)を有する、3つの読取りを使用して、血圧の測定値を報告した。
【0371】
試験施設の標準業務手順書に従い、目視評価により、各動物の呼吸数を、動物1匹/回収間隔当たり3回ずつ測定し、記録した。3回の回収の平均を、報告値とする。
【0372】
臨床的病理学査定(例えば、免疫表現型解析およびサイトカイン査定)は、全ての動物について、所定の間隔で行った。骨髄スミアを、回収し、保存した。被験薬の血清濃度を決定するために、大腿静脈を介して、全ての動物から、血液試料(約0.5mL)を回収した。臨床病理学回収のための空腹時と一致する間隔を例外として、血液回収の前に、動物を空腹にしなかった。研究の終結時(36日目または50日目)に、動物を安楽死させ、組織学による加工のために組織を回収し、顕微鏡による査定を収集した。
【0373】
可溶性ガレクチン9は、以下の通りに査定した。投与前、ならびに1、8、15、および29日目における注入開始から24時間後、ならびに終了時剖検および/または回復時剖検の前に、血清中の可溶性ガレクチン9を決定するために、全ての動物から、大腿静脈を介して、血液試料(約1mL)を回収した。臨床病理学回収のための空腹時と一致する間隔を例外として、血液回収の前に、動物を空腹にしなかった。
【0374】
可溶性ガレクチン9試料は、以下の通りに加工した。血液試料を、添加剤非含有バリアフリー微細管に回収し、周囲空気温度で凝固させ、周囲空気温度で遠心分離した。結果として得られる血清を、あらかじめ表示を施されたクライオチューブ内の、2つのアリコートに採取した(100μLを、アリコート1に採取し、残りを、アリコート2に採取した)。全てのアリコートを、回収から2時間以内に、ドライアイス上で、瞬時凍結させ、-60℃~-90℃で凍結させて保管した。
【0375】
報告の表中で示される全ての結果は、生データを丸める手順に従い、丸められていない値を使用して計算したものであり、示される個々のデータから正確に再現されていない場合がある。
【0376】
結果
・死亡
全ての動物は、予定の、36日目における終了時剖検、および50日目における回復時剖検まで生存した
・詳細な臨床観察および獣医学的観察
処置期間中または回復期間中の処置動物では、被験薬関連臨床観察または獣医学的観察は認められなかった
・機能的観察総合評価法
処置期間中または回復期間中の処置動物では、被験薬関連FOB観察は認められなかった
・体重および体重増加
処置期間中または回復期間中の処置動物では、体重および体重増加における被験薬関連作用は認められなかった
・眼科検査
処置期間中または回復期間中の処置動物では、眼科検査における被験薬関連作用は認められなかった
・血圧値
処置期間中または回復期間中の処置動物では、血圧値における被験薬関連作用は認められなかった
・呼吸数値
処置期間中または回復期間中の処置動物では、呼吸数値における被験薬関連作用は認められなかった
・心電学
処置期間中または回復期間中の処置動物では、心電図査定における被験薬関連作用は認められなかった
・血液学
いずれの時点の、いずれの用量レベルの、いずれの性別においても、血液学パラメータの間で、G9.2-17関連作用は見られなかった
・凝固
いずれの時点の、いずれの用量レベルの、いずれの性別においても、凝固パラメータの間で、G9.2-17関連作用は見られなかった
・臨床化学
いずれの時点の、いずれの用量レベルの、いずれの性別においても、臨床化学パラメータの間で、G9.2-17関連作用は見られなかった
・尿検査
13週間の中間の、いずれの用量レベルの、いずれの性別においても、尿検査パラメータの間で、G9.2-17関連変更は観察されなかった
・サイトカイン
いずれの用量レベルまたは時点においても、サイトカインに対する、決定的なG9.2-17関連作用は見られなかった
・末梢血白血球解析(PBLA)
いずれの用量レベルまたは時点においても、PBLA評価項目に対するG9.2-17関連作用は見られなかった
・バイオアナリシス、ガレクチン9、およびトキシコキネティックについての査定
G9.2-17は、用量の投与の後における、全てのG9.2-17投与動物に由来する全てのカニクイザル試料中で定量可能であった。対照カニクイザル試料中では、測定可能量のG9.2-17は検出されなかった。可溶性ガレクチン9は、全ての動物に由来する、全てのカニクイザル試料中で定量可能であった。1日目の投与前に、大半のG9.2-17処置動物、ならびに1および29日目に、対照動物から得られた、全ての血清試料中のG9.2-17血清濃度は、バイオアナリシスの定量限界を下回った(LLOQ<0.04ug/mL)
・肉眼的病理学および臓器重量
主要研究動物または回復動物について、被験薬関連の決定的な肉眼的観察は見られなかった。主要研究動物または回復動物について、被験薬関連の臓器重量変化もまた見られなかった
・組織病理学
決定的な、被験薬関連の顕微鏡的観察は見られなかった
結論として述べると、100および300mg/kgの、G9.2-17の、5週間にわたる、カニクイザルへの、毎週1回の静脈内注入投与は、有害所見を伴わずに忍容された。
【0377】
実施例6
本研究の目的は、Sprague Dawleyラットに、連続4週間にわたり、毎週1回の静脈内注射により投与されるのに続き、投与後3週間にわたる回復期間を置いた場合における、様々な用量での、ガレクチン9に対して方向付けられた、IgG4ヒトモノクローナル抗体である、G9.2-17の潜在的毒性について査定することであった。加えて、G9.2-17のトキシコキネティック特徴を決定した。
【0378】
実験デザイン
表17は、研究デザインをまとめる。
【0379】
【0380】
186匹の動物(Sprague Dawleyラット)を、体重ごとに、無作為に、処置群に割り当てた。被験薬のための製剤緩衝液である、対照薬/媒体と、被験薬である、G9.2-17とを、1、8、15、22、および29日目に、尾静脈における、0、100、および300mg/kgの用量レベルの、単回IV注射を介して、1回ずつ投与した。被験薬は、1日目に、SSD亜群に割り当てられた動物へも、100および300mg/kgの用量レベルで、1回投与した。
【0381】
臨床観察は、馴致の2日目に始めて、毎日1回、午前中の室内清掃の前に実施した。動物の全般的な健康状態および福利を評価するように、死亡の点検を、毎日2回行った。食物摂取は、容器内の食物の供給量および残量を、毎週1回秤量することにより推定した。1日当たり動物1匹当たりの平均グラム(g)は、毎週の食物摂取量から計算した。体重は、-1日目における無作為化の前、次いで、研究を通して毎週1回、および各剖検日に測定した。機能観察総合評価法(FOB)による観察を、SSB動物について、1、35、および49日目における投与実施の約24時間後に記録した。尿は、代謝ケージを使用して、一晩にわたり回収した。試料は、36および50日目に得た。
【0382】
血清化学のための検体を含む、一連の各回収の前に、一晩にわたり、動物を、空腹状態に置いた。これらの場合に、臨床病理学査定は、空腹動物によった。終結時に、拘束覚醒動物の頸静脈、または麻酔下動物の大静脈から、血液を回収した。
【0383】
研究のうちの、生存中検査時に評価されるパラメータは、臨床観察、食物摂取、体重、機能観察総合評価法を含んだ。血液試料は、臨床病理学(血液学、凝固、および血清化学)解析のために、選択された時点において回収した。尿試料は、尿検査のために回収した。血液試料はまた、選択された時点において、トキシコキネティック(TK)解析、免疫原性(例えば、抗薬物抗体またはADA)解析、およびサイトカイン解析のためにも回収した。動物は、36および50日目に、剖検にかけた。各剖検時に、肉眼観察および臓器重量を記録し、顕微鏡による検査のために、組織を回収した。
【0384】
結果
生存中の検査
死亡:研究期間中に、この動物について、異常な臨床観察または体重変化は認められなかった
臨床観察:研究期間中にG9.2-17関連臨床観察は認められなかった
食物摂取/体重:研究期間中に食物摂取、体重のG9.2-17関連変化、またはG9.2-17関連の体重増加は認められなかった
臨床病理学:臨床病理学パラメータの、G9.2-17関連変化は認められなかった
サイトカイン解析:IL-2、IL-4、IFN-γ、IL-5、IL-6、IL-10、および/またはTNFα、MCP-1およびMIP-1bの血清濃度の、G9.2-17関連変化は見られなかった
肉眼的病理学:G9.2-17関連肉眼的観察は見られなかった。さらに、絶対臓器重量または相対臓器重量の、G9.2-17関連変化も見られなかった
組織病理学:G9.2-17関連組織学所見は見られなかった。
【0385】
結論として述べると、G9.2-17の、Sprague Dawleyラットへの、毎週1回ずつ、合計5回にわたる静脈内投与は、一般に良好に忍容された。臨床観察、食物摂取、体重、FOBパラメータ、臨床病理学、サイトカイン、肉眼観察、または臓器重量における、G9.2-17関連変化は見られなかった。
【0386】
同等物
上記の記載から、当業者は、本発明の基本的特徴を容易に確認することができ、それを、多様な使用および条件に適合させるように、その精神および範囲から逸脱しない限りにおいて、本発明の多様な変化および改変を施すことができる。したがって、他の実施形態もまた、特許請求の範囲内にある。
【0387】
本明細書では、本発明のいくつかの実施形態が、記載および例示されたが、当業者は、機能を実施し、かつ/または本明細書で記載される結果および/もしくは利点のうちの1つもしくは複数を得るための、他の様々な手段および/または構造を、たやすく想定し、このような変動および/または改変の各々は、本明細書で記載される、本発明の実施形態の範囲内にあるものとみなされる。より一般に、当業者は、本明細書で記載される、全てのパラメータ、寸法、材料、および構成は、例示的であることを意図するものであり、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、具体的な適用、または本発明の教示が使用される適用に依存することをたやすく察知するであろう。当業者は、規定を超えない実験を使用して、本明細書で記載される、本発明の特異的実施形態の、多くの同等物を認識または確認することが可能であろう。したがって、前出の実施形態は、例だけを目的として示されるものであり、付属の特許請求、およびこれらの同等物の範囲内で、本発明の実施形態は、具体的に記載され、特許請求されるのと別の形でも実施されうることを理解されたい。本開示における、本発明の実施形態は、本明細書で記載される、各個別の特徴、システム、品目、材料、キット、および/または方法を対象とする。加えて、2つまたはこれを超える、このような特徴、システム、品目、材料、キット、および/または方法の、任意の組合せも、このような特徴、システム、品目、材料、キット、および/または方法が、相互に矛盾しない限りにおいて、本開示における、本発明の範囲内に含まれる。
【0388】
本明細書で規定され、使用される、全ての定義は、辞書による定義、参照により組み込まれる文献における定義、および/または規定された用語の通常の意味に優先されて理解されるものとする。
【0389】
本明細書で開示される、全ての参考文献、特許、および特許出願は、それについてそれらの各々が引用される対象物に関して、参照により組み込まれ、場合によって、文献の全体を包摂しうる。
【0390】
本明細書および特許請求の範囲において使用される不定冠詞である、「ある(a)」および「ある(an)」は、逆のことが明確に指し示されない限りにおいて、「少なくとも1つの」を意味するように理解されるものとする。
【0391】
本明細書および特許請求の範囲において使用される、「および/または」という語句は、このように接続された要素の「一方または両方」、すなわち、ある場合には、連言的に存在し、他の場合には、選言的に存在する要素を意味するように理解されるものとする。「および/または」を伴って列挙される複数の要素は、同じ形で、すなわち、このように接続される要素のうちの「1つまたは複数」であると理解されるものとする。「および/または」節により、具体的に同定される要素以外に、具体的に同定される要素と関連する場合であれ、関連しない場合であれ、任意選択で、他の要素も存在しうる。したがって、非限定例として述べると、「~を含むこと」などのオープンエンドの表現と共に使用される場合の、「Aおよび/またはB」に対する言及は、一実施形態では、Aだけを指す場合もあり(任意選択で、B以外の要素を含む);別の実施形態では、Bだけを指す場合もあり(任意選択で、A以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、AおよびBの両方を指す場合もある(任意選択で、他の要素を含む)などである。
【0392】
本明細書および特許請求の範囲において使用される、「または」とは、上記で規定された「および/または」と同じ意味を有するように理解されるものとする。例えば、リスト内の項目を分ける場合、「または」または「および/または」は、包含的である、すなわち、要素の数またはリストのうちの、少なくとも1つの包含であるが、また、1つを超える数またはリストも含み、任意選択で、列挙されていない、さらなる項目を含むと解釈されるものとする。「~のうちの1つだけ」もしくは「~のうちの正確に1つ」、または、特許請求の範囲で使用される場合の、「~からなること」など、逆のことが明確に指し示された用語だけが、要素の数またはリストのうちの、正確に1つの要素の包含を指す。一般に、本明細書で使用される「または」という用語は、「いずれか」、「~のうちの1つ」、「~のうちの1つだけ」、または「~のうちの正確に1つ」など、排他性の用語により先立たれている場合に限り、排他的代替物(すなわち、「一方または他方であるが、両方ではない」)を指し示すと解釈されるものとする。特許請求の範囲で使用される場合の、「~からなること」は、特許法の分野で使用される場合の、その通常の意味を有するものとする。
【0393】
1つまたは複数の要素を有するリストに言及して、本明細書および特許請求の範囲で使用される、「少なくとも1つの」という語句は、要素のリスト内の要素のうちの、いずれか1つまたは複数から選択されるが、要素のリスト内で、具体的に列挙される、各要素およびあらゆる要素のうちの少なくとも1つを、必ずしも含まず、要素のリスト内の要素の任意の組合せを除外しない、少なくとも1つの要素を意味するように理解されるものとする。この定義はまた、要素が、具体的に同定される要素に関連する場合であれ、関連しない場合であれ、「少なくとも1つの」という語句が指す要素のリスト内で、具体的に同定される要素以外に存在しうることを可能とする。したがって、非限定例として述べると、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または、これと同義に、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または、これと同義に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)とは、一実施形態では、任意選択で、1つを超えるAを含むが、Bは存在しない、少なくとも1つのAを指す場合もあり(かつ、任意選択で、B以外の要素を含む);別の実施形態では、任意選択で、1つを超えるBを含むが、Aは存在しない、少なくとも1つのBを指す場合もあり(かつ、任意選択で、A以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、任意選択で、1つを超えるAを含む、少なくとも1つのA、および1つを超えるBを含む、少なくとも1つのBを指す場合もある(かつ、任意選択で、他の要素を含む)などである。
【0394】
また、逆のことが明確に指し示されない限り、本明細書で特許請求される、1つを超えるステップまたは行為を含む、任意の方法において、方法のステップまたは行為の順序は、列挙された方法のステップまたは行為の順序に、必ずしも限定されないことも理解されたい。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2022-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充実性腫瘍を処置するための方法であって、それを必要とする対象に、
(a)有効量のヒトガレクチン9に結合する抗体(抗Gal9抗体)
、および(b)有効量の1つまたは複数の化学療法剤を投与するステップを含み、
ここにおいて、
前記抗Gal9抗体が、抗体G9.2-17と同じ重鎖相補性決定領域(CDR)および同じ軽鎖CDRを有し、
1つまたは複数の前記化学療法剤がゲムシタビン、パクリタキセルまたはそれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項2】
前記充実性腫瘍が、転移性充実性腫瘍である、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記充実性腫瘍が膵管腺癌(PDAC)である、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗Gal9抗体が、前記対象に、約0.5mg/kg~約32mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される、請求項1
~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記抗Gal9抗体が、前記対象に、約2mg/kg~約16mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される、請求項1
~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記抗Gal9抗体が、前記対象に、約2mg/kg、約4mg/kg、約8mg/kg、約12mg/kg、または約16mg/kgの用量で2週間ごとに1回、静脈内注射により投与される、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記抗Gal9抗体が前記対象に1日目および15日目に投与され、前記ゲムシタビンおよびパクリタキセルが前記対象に1日目、8日目および15日目に投与される28日間のサイクルを含む、請求項
1~
6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記パクリタキセルが、タンパク質結合パクリタキセルであり、好ましくはナノ粒子アルブミン結合パクリタキセルである、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記パクリタキセルが、前記対象に125mg/m
2で静脈内に投与される、請求項
7または請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記ゲムシタビンが前記対象に1000mg/m
2で投与される、請求項
1~
9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記抗ガレクチン9抗体が、配列番号1として示された軽鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号2として示された軽鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号3として示された軽鎖相補性決定領域3(CDR3)を含み、かつ/または、配列番号4として示された重鎖相補性決定領域1(CDR1)、配列番号5として示された重鎖相補性決定領域2(CDR2)、および配列番号6として示された重鎖相補性決定領域3(CDR3)を含む、請求項
1~
10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記抗Gal9抗体が、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(V
H)および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(V
L)を含む、請求項1~
11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記抗Gal9抗体がIgG4分子である、請求項1~
12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記抗Gal9抗体が、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号15のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記対象がヒト患者である、請求項1~
14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記対象がガレクチン9陽性のがん細胞または免疫細胞を含む、請求項1~
15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
ガレクチン9陽性のがん細胞または免疫細胞が、前記対象に由来する腫瘍オルガノイド内に検出される、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記対象が、ガレクチン9のレベルを対照値と比べて上昇させて
おり、
任意に、前記対象が、ガレクチン9の血清レベルまたは血漿レベルを前記対照値と比べて上昇させている、請求項1~
17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、全身抗がん治療の少なくとも1つのラインを施されていた、
または、
前記対象が、ゲムシタビンおよび/もしくはパクリタキセルを伴う既往の治療を施されていない、または、前記抗Gal9抗体の投与の少なくとも6カ月前に、ゲムシタビンおよび/もしくはパクリタキセルを伴う既往の治療を施されていた、請求項1~
18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記対象が、処置前、処置時、および/または処置後に、以下の特徴:
(a)前記対象からの腫瘍生検試料中の1つまたは複数の腫瘍マーカーであって、任意選択で、前記1つまたは複数の腫瘍マーカーがCA15-3、CA-125、CEA、CA19-9、および/または、アルファフェトプロテインを含む、腫瘍マーカー;
(b)サイトカインプロファイル;ならびに
(c)ガレクチン9レベル
のうちの1つまたは複数について検査される、請求項1~
19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記対象における1つまたは複数の有害作用の発生をモニタリングするステップをさらに含む、請求項1~
20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記1つまたは複数の有害作用が、肝機能障害、血液毒性、神経毒性、皮膚毒性、胃腸毒性、またはこれらの組合せを含む、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
有害作用が観察される場合、前記抗Gal9抗体の前記用量、前記1つもしくは複数の化学療法剤の前記用量、またはこれらの両方を低減するステップをさらに含む、請求項
21または請求項
22に記載の方法。
【請求項24】
前記対象が正常の上限(ULN)の10倍を超えるアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)のレベル、ULNの5倍を超えるビリルビンのレベル、またはこれらの両方を有する場合、前記パクリタキセルの投与が中断される、請求項
23に記載の方法。
【請求項25】
中程度から重度の肝機能障害が観察される場合、前記抗Gal9抗体の前記用量、前記ゲムシタビンの前記用量、前記パクリタキセルの前記用量、またはこれらの組合せを低減するステップをさらに含む、
または、
重度の血液毒性、神経毒性、皮膚毒性、および/または胃腸毒性が観察される場合、前記抗Gal9抗体、前記ゲムシタビン、前記パクリタキセルの前記用量、もしくはこれらの組合せを低減するステップまたはそれらの投与を終了するステップをさらに含む、請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
前記パクリタキセルの前記用量が100mg/m
2~75mg/m
2に低減される
、および/または、
前記ゲムシタビンの前記用量が800mg/m
2
~600mg/m
2
に低減される、請求項
25に記載の方法。
【請求項27】
前記抗Gal9抗体が毎週1回対象に投与される、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】