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特表2022-543788液体、特に飲料を加熱し発泡させるための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(54)【発明の名称】液体、特に飲料を加熱し発泡させるための装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/44 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
A47J31/44 420
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506583
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(85)【翻訳文提出日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 EP2020065822
(87)【国際公開番号】W WO2021023413
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】202019104349.0
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521263261
【氏名又は名称】エバシス ホールディング ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロッヒャー、グレゴワール
(72)【発明者】
【氏名】ロビール、セバスチャン
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA27
4B104BA29
4B104DA44
4B104DA45
4B104DA47
(57)【要約】
本発明は、液体、特に飲料を加熱し発泡させるための装置に関するものであり、この装置は、蒸気発生器(1)に接続することができる蒸気ライン(6)と、加圧ガス源(2)に接続することができる加圧ガスライン(4)と、蒸気/ガス混合物を生成して液体中に移送するための、蒸気ライン(6)および加圧ガスライン(4)に接続された搬送手段(3)と、制御可能な切替弁(5)と、を備え、高温蒸気が蒸気ライン(6)を介して搬送手段(3)に供給され、所定の一定圧力下の加圧ガス流が加圧ガスライン(4)を介して供給され、圧力パルス(p)が切替弁(5)によって加圧ガス流から生成される。生成された圧力パルスを減衰させるために、搬送手段(3)は、拡張チャンバ(15)の下流端に配置されたノズル(14)を有する拡張チャンバ(15)を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生器(1)に接続することができる蒸気ライン(6)と、圧縮ガス源(2)に接続することができる圧縮ガスライン(4)と、蒸気/ガス混合物を生成して液体に移送するために、前記蒸気ライン(6)および前記圧縮ガスライン(4)に接続された搬送手段(3)と、制御可能な切替弁(5)と、を備え、高温蒸気が前記蒸気ライン(6)を介して前記混合物(3)に供給され、所定の一定圧力下の圧縮ガス流が前記圧縮ガスライン(4)を介して前記搬送手段(3)に供給され、圧力パルス(p)が前記切替弁(5)によって前記圧縮ガス流から生成される、液体、特に飲料を加熱し発泡させるための装置において、前記搬送手段(3)は、前記導入された圧力パルス(p)を減衰させる役割を果たし、前記拡張チャンバ(15)の下流端に配置されたノズル(14)を有する拡張チャンバ(15)を備えることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記圧縮ガスライン(4)が、圧縮ガス源(2)、特に圧縮機(2a)に接続され、前記蒸気ライン(6)が、蒸気発生器(1)、特に温水加熱器に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記切替弁(5)が、電磁弁として、特にパルス幅変調制御電磁弁として設計されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記切替弁(5)が、前記搬送手段(3)内で前記拡張チャンバ(15)の上流に配置されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記切替弁(5)が、所定の周波数(f)で制御可能であり、前記所定の周波数(f)で周期的に開閉することによって前記圧縮ガス流から圧力パルス(p)を生成し、それらを前記拡張チャンバ(15)内に誘導することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記圧力パルスの前記パルス周波数(f)が、0.1から200Hzの範囲、特に1から50Hzの間であることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記切替弁によって生成される前記圧力パルスの前記パルス周波数(f)および/または前記パルス持続時間(t0)および/または前記振幅(p0)が調整可能であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
逆止弁(20)が、前記切替弁(5)と前記拡張チャンバ(15)との間で前記搬送手段(3)に配置されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
蒸気弁(7)が、前記蒸気ライン(6)に配置されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記蒸気発生器(1)または前記蒸気弁(7)および/または前記切替弁(5)に結合された制御デバイス(9)を特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記搬送手段(3)が、前記円筒状に形成された拡張チャンバ(15)と同軸に配置され、前記蒸気ライン(6)と連通する環状チャネル(16)を備えることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記環状チャネル(16)が、上流端(16a)で前記蒸気ライン(6)と連通し、下流端(16b)で混合チャネル(17)と連通する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記混合チャネル(17)の前記下流端が、排出ライン(22)に接続されていることを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ノズル(14)が、前記混合チャネル(17)の上流端(17a)で前記混合チャネル(17)内に開口することを特徴とする、請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
前記拡張チャンバ(15)および前記ノズル(14)が、熱伝導性材料、特にステンレス鋼で作られていることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記ノズル(14)ならびに前記環状チャネル(16)および前記混合チャネル(17)を備えた前記拡張チャンバ(15)が、リアクタブロック(18)内に配置され、前記リアクタブロック(18)は、少なくとも部分的にプラスチック、特にPEEKで作られている、ことを特徴とする請求項11から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記拡張チャンバ(15)が、中空円筒形であり、前記リアクタブロック(18)内で軸方向に延びることを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記中空円筒状の拡張チャンバ(15)の直径が、前記圧縮ガスライン(4)の断面よりも大きいことを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記ノズル(14)の前記流れ断面が、前記拡張チャンバ(15)の前記直径よりも、好ましくは少なくとも2倍小さいことを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記切替弁(5)を周期的に開閉することによって生成された前記圧力パルス(p)が、前記拡張チャンバ(15)内で拡張し、それによって減衰されることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記拡張チャンバ(15)および前記ノズル(14)が、前記拡張チャンバ(15)に導入される前記圧力パルス(p)のための減衰部材として作用することを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記ノズル(14)を通って前記拡張チャンバ(15)から流出する前記蒸気/ガス混合物が、減衰した周期的に繰り返す圧力ピーク(p0)を有する経時的な圧力特性p(t)を有することを特徴とする、請求項1から21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記ノズル(14)を通って前記拡張チャンバ(15)から流出する前記蒸気/ガス混合物が、周期的に繰り返されるプラトー形状の平坦な圧力ピーク(p0)を有する経時的な圧力特性p(t)を有し、各圧力ピーク(p0)は、時間の経過とともに続く前記圧力ピークまで指数関数的に減少する圧力特性を有することを特徴とする、請求項1から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記ノズル(14)を通って前記拡張チャンバ(15)から流出する前記蒸気/ガス混合物が、一定の圧力オフセット(p1)を有する経時的な圧力特性p(t)を有することを特徴とする、請求項1から23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
特に調整可能な圧力逃がし弁の形態の調整可能な減圧器(21)が、前記圧縮ガスライン(4)または前記送達手段(3)に設けられることを特徴とする、請求項1から24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記減圧器(21)が、前記切替弁(5)の上流で前記搬送手段(3)に配置されることを特徴とする、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記装置が、前記液体を保持するためのコンテナ(10)と、前記蒸気ライン(6)、前記圧縮ガスライン(4)、および前記コンテナ(10)と連通する混合デバイス(30)とを備え、前記送達手段(3)によって生成された前記液体および蒸気/圧縮ガス混合物の前記パルスは、前記混合デバイス(30)に供給され、前記液体の高温発泡のために前記混合デバイス(30)で混合されることを特徴とする、請求項1から26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記コンテナ(10)が、分岐ライン(12)を介して前記加圧ガスライン(4)に接続されていることを特徴とする、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記コンテナ(10)内に貯蔵された前記液体が、前記加圧ガス源(2)によって提供される過圧によって前記混合デバイス(30)内に搬送される、請求項27または28に記載の装置。
【請求項30】
前記混合デバイス(30)が、前記搬送手段(3)によって生成された前記蒸気/圧縮ガス混合物の前記パルスを供給するための第1の入口(30a)と、前記液体を供給するための第2の入口(30b)と、前記加熱され発泡された液体を排出するための出口(30c)とを備えることを特徴とする、請求項27から29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記混合デバイス(30)が、液体ライン(8)を介して前記コンテナ(10)と連通していることを特徴とする、請求項27から30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記第2の入口(30b)を介して前記コンテナ(10)に供給された前記液体および/または前記第1の入口(30a)を介して前記コンテナ(10)に供給された前記蒸気/圧縮ガス混合物が、重力に逆らって前記混合デバイス(30)内を上方に流れることを特徴とする、請求項28から31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記混合デバイス(30)の前記第2の入口(30b)の前記領域にノズル(11)が配置され、前記ノズルを用いて前記液体が前記混合デバイス(30)に噴霧される、請求項30から32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記混合デバイス(30)が、前記第1の入力部(30a)と連通する直線チャネルを備えることを特徴とする、請求項30から33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記混合手段(30)が、前記第2の入口(30b)を有する環状チャネルを備え、前記直線チャネルの周りに同心円状に配置されることを特徴とする、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
蒸気/圧縮ガス混合物のパルスを用いて液体、特に飲料を発泡させるための方法であって、前記蒸気/圧縮ガス混合物のパルスを生成するために、高温蒸気が蒸気ライン(6)を介して搬送手段(3)に供給され、所定の一定圧力下の圧縮ガス流が圧縮ガスライン(4)を介して供給され、切替弁(5)によって前記圧縮ガス流から圧力パルス(p)が生成される、前記方法において、前記搬送手段(3)内の前記圧縮ガス流の前記圧力パルス(p)は、拡張チャンバ(15)と前記拡張チャンバ(15)の下流端に配置されたノズル(14)との相互作用によって減衰されることを特徴とする、方法。
【請求項37】
前記液体が混合容器(11)内に貯蔵され、前記蒸気/圧縮ガス混合物が浸漬管(22)を介して前記液体に導入される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記液体がコンテナ(10)に貯蔵され、前記コンテナ(10)から前記液体が前記蒸気/圧力ガス混合物と混合される混合デバイス(30)に導かれる、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記コンテナ(10)内に貯蔵された前記液体が、前記加圧ガスライン(2)によって提供される過圧によって前記混合デバイス(30)内に搬送される、請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の、液体、特に飲料を加熱し泡立てるための装置に関する。装置は、特にミルクを加熱し泡立てるために、例えば、カプチーノ、ラテマキアート、またはココア飲料などのミルク含有高温飲料を製造するために使用され得る。
【背景技術】
【0002】
飲料製品、特にミルクを加熱し泡立てるための装置は、独国特許出願公開第102011077776号明細書から知られている。この装置は、蒸気発生器と、圧縮空気の供給源から蒸気発生器に圧縮空気を供給するための空気供給ラインを有する圧縮空気の供給源と、蒸気発生器から飲料製品に蒸気/空気混合物を供給するために蒸気発生器に接続された蒸気/空気ラインとを備える。例えば弁の形態の遮断要素が、空気供給ラインおよび/または蒸気/空気ラインにそれぞれ設けられる。装置は、圧縮空気を圧縮空気源から蒸気発生器に直接導くことによって、飲料製品の発泡を改善することを可能にする。これにより、蒸気発生器内に既に加熱された蒸気/空気混合物が提供され、蒸気ライン内の液体の凝縮を低減することができる。空気供給ラインまたは蒸気/空気ライン内の遮断要素を開閉することによって、空気流または蒸気/空気混合物の飲料製品内への流れを制御および調整することができる。
【0003】
ミルクを加熱し泡立てるための、特にコーヒーマシンでカプチーノを調製するための別の装置が、欧州特許出願公開第1501398号明細書に記載されている。この装置は、蒸気発生温水加熱器と、ミルクを収容する容器に浸漬することができる開口端を有するコンベアと、温水加熱器とコンベアとの間に接続された蒸気を供給するための蒸気ラインと、遮断要素と、圧縮空気源と、圧縮空気源とコンベアとの間に接続され、コンベア内に圧縮空気を供給するための圧縮空気ラインと、容器内のミルクの温度を検知するために搬送手段のミルク浸漬可能端に接続された温度センサと、遮断要素、圧縮空気源、および温度センサに結合され、遮断要素の開閉および圧縮空気源の作動を互いに独立して、かつミルクの所望の温度および/または泡立ちに応じて制御するようにプログラムされた制御ユニットと、を備える。これにより、ミルクを必要な温度に加熱し、所定の泡立ち/液体比で泡立てることができる。したがって、泡立てたミルクの泡立ち/液体比を、必要に応じてある程度調整することができる。
【0004】
飲料、特に乳製品飲料を加熱し発泡させるための既知の装置は、所定の飲料温度を維持しながら飲料の自動加熱および発泡を可能にする。しかしながら、発泡飲料の所望の稠度、特に、生成された泡の所定の泡/液体比の仕様または生成は、限られた範囲でのみ可能である。発泡飲料の液体に対する泡の所定の比率で所望の稠度を生成するために、オペレータが制御プログラムの1つを選択することによって所望の泡温度および稠度を指定することができるように、所定の制御プログラムが既知の装置の制御ユニットにプログラムされ、装置の自動制御が選択された制御プログラムに従って行われる。一方では、これにより、完全に自動化されたプロセスが保証される。他方では、例えば発泡中に所望の泡の稠度を達成できないことが明らかになった場合に介入が必要になるが、オペレータはもはやプロセスに介入することができなくなる。さらに、オペレータは、予めプログラムされた制御プログラムに縛られており、その温度および泡の稠度ならびに泡の他の特性に関して発泡液体の個々の組成を作成することができない。
【0005】
しかしながら、ミルクの泡形成特性は、発泡温度だけでなく、例えばKiel大学のKatja Borcherdingによる論文「Untersuchungen zur Charakterisierung der Makro-und Mikrostruktur von Milchschaumen」(2004年11月)に記載されているように、脂肪含有量、低温殺菌または予備熱処理(短時間の、高温または超高温加熱)、pH値、タンパク質含有量および貯蔵時間など、使用されるミルクの特性にも大きく依存することが知られている。したがって、液体泡、特に個々に所望される異なる稠度および安定性を有するミルク泡を生成することができるように、ミルクを加熱し発泡させるための既知の装置を改善する必要がある。
【0006】
制御された方法で発泡ミルクの稠度および安定性に影響を及ぼす1つの可能性は、蒸気流と共に可変周波数、パルス持続時間および振幅を有する圧力パルスを発泡させるミルクに導入することである。欧州特許第1776905号明細書および独国特許出願公開第102015117650号明細書から、圧縮空気パルスが蒸気流と共にミルクまたはミルク飲料に導入される、ミルクまたはミルク飲料を加熱し泡立てるための装置が知られている。独国特許出願公開第102015117650号明細書に開示されているように、圧縮空気パルスの周波数、振幅および/またはパルス持続時間を調整することによって、生成されるミルク泡の稠度を調整することができる。
【0007】
しかしながら、圧縮空気の鋭いパルスをミルクまたはミルク飲料に導入すると、ミルクまたはミルク飲料を保持することを目的としたコンテナ内でミルクをパルスにより泡立てることができ、その結果、ミルクが容器、例えばカップまたはピッチャ内で泡立っているときに液体がコンテナから噴き出す可能性があることが示されている。冷たいミルクおよび熱い蒸気と加圧ガスの圧力パルスとの混合物が供給される混合または加熱ユニット内でミルクを同時に加熱し泡立てると、鋭い圧力パルスは、液体と蒸気/加圧ガス混合物との不均一な混合を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第102011077776号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1501398号明細書
【特許文献3】欧州特許第1776905号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102015117650号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Kiel大学のKatja Borcherding著、論文「Untersuchungen zur Charakterisierung der Makro-und Mikrostruktur von Milchschaumen」(2004年11月)
【発明の概要】
【0010】
これに基づいて、本発明は、液体を加熱し発泡させるための装置および方法を実証するという課題に基づいており、これにより、一方では、オペレータは、形成された泡の特性、例えば、その稠度、クリーミーさ、多孔性、泡密度および泡安定性(排出)の制御された設定に関して高度の柔軟性を有し、他方では、発泡中の収容コンテナから液体が噴き出すことが防止される。さらに、混合または加熱ユニット内の蒸気/圧縮ガス混合物を用いた液体の同時加熱および発泡中に、蒸気/圧縮ガス混合物との液体の可能な限り最も均質な混合が保証されるべきである。形成される泡の特性はまた、可能な限り正確に、一貫して繰り返し調整可能でなければならない。
【0011】
これらの課題は、請求項1の特徴を有する装置および請求項36の特徴を有する方法によって解決される。装置および方法の好ましい実施形態は、従属請求項に見出すことができる。
【0012】
液体を加熱し発泡させるための本発明による装置は、蒸気ラインと、加圧ガスラインと、蒸気/ガス混合物を生成して液体に移送するために蒸気ラインおよび加圧ガスラインに接続された搬送手段とを備える。蒸気ラインに接続された蒸気発生器によって供給される蒸気を搬送手段に移送するために、搬送手段は、蒸気ラインを介して蒸気発生器に接続可能である。したがって、搬送手段は、圧縮ガス源によって供給される圧縮ガス流を搬送手段に供給するために、圧縮ガスラインを介して圧縮ガス源に接続され得る。装置は、加圧ガスライン内の所定の一定圧力下で加圧ガス流から圧力パルスを生成し、拡張チャンバの下流端に位置するノズルを有する搬送手段の拡張チャンバ内にそれらを誘導する制御可能な切替弁を含む。
【0013】
この目的のために、切替弁は、調整可能な周波数で周期的に開閉されることが好ましく、それによって圧縮ガス、例えば圧縮空気の圧力パルスが切替弁によって生成される。搬送手段の拡張チャンバ内で、導入される圧縮ガスの圧力パルスは拡張することができ、下流ノズルを通って噴出される。拡張チャンバは、圧縮ガスラインおよびノズルよりも(著しく)大きい直径(または流れ断面)を有する。
【0014】
拡張チャンバおよびノズルは、スナバとして共に作用し、拡張チャンバに導入された圧力パルスの圧力曲線を減衰させる。拡張チャンバとノズルとからなるスナバは、空気圧パルセーションダンパのように、または電気回路内のRC減衰要素に類似して、圧力パルスに対して減衰効果を有し、それによって拡張チャンバは、電気抵抗器に類似した電気コンデンサおよびノズルに類似して作用する。これは、減衰した圧力ピークp0を周期的に繰り返すノズルを通って拡張チャンバから流出する蒸気/ガス混合物の減衰した時間的圧力曲線p(t)をもたらす。圧力ピークを減衰させることにより、液体を保持するコンテナからの液体の意図しない噴き出しを回避することができる。
【0015】
ノズルを通って拡張チャンバから流出する圧力流は、好ましくは、周期的に繰り返されるプラトー形状の平坦な圧力ピーク(p0)を有する時間的圧力曲線p(t)を有し、それによって各圧力ピーク(p0)は、時間的に続く圧力ピークまで指数関数的に減少する圧力曲線を有する。圧力ピークの圧力曲線の時間的減少、すなわち減衰の程度は、拡張チャンバおよびノズルの寸法、特に拡張チャンバの容積およびノズルの流れ断面によって決定され、関係p(t)=p0・e-t/τによって記述することができ、時定数τは拡張チャンバの容積およびノズルの流れ断面に依存する。(プラトー形状の平坦な)圧力ピーク(p0)の高さは、圧縮ガス源によって供給される圧縮ガスの一定圧力に依存する。送達媒体または圧縮ガスラインの切替弁の上流に調整可能な減圧器を設けることが好適であり、これにより、切替弁に供給される圧縮ガス流の圧力を調整して一定に保つことができる。
【0016】
拡張チャンバからノズルを通って流れる加圧ガス流は、一定の圧力オフセット(p1)を有する時間的圧力曲線p(t)を有する。したがって、加圧ガス流の時間圧力曲線p(t)は、一定圧力オフセットp1および減衰圧力ピークp0から構成される:p(t)=p1+p0。
【0017】
パルス持続時間および繰返し率(パルス周波数)など、切替弁を周期的に開閉することによって生成される圧力パルスのパラメータは、装置のオペレータによって、例えば切替または回転ノブによって都合よく変更および設定され得る。切替弁は、迅速かつ正確な制御を可能にするために、パルス幅変調を有する電磁弁として設計され得る。切替弁は、所定の持続時間(パルス長またはパルス持続時間)および繰返し率(パルス周波数)で周期的に開閉され得る。また、切替弁の異なる開閉時間を指定することも可能である。切替弁の予め設定された開閉時間は、圧力パルスのパルス持続時間を規定する。生成された圧力パルスの振幅は、圧縮ガスラインに恒久的に存在する(減圧器を介して事前に定義され、好適には調整可能な)圧力から生じる。
【0018】
切替弁は、拡張チャンバの上流の送達媒体に配置される。往復圧縮機によって供給された圧縮ガス流は、送達手段に配置された切替弁を通る圧縮ガスラインを介して拡張チャンバに導入される。切替弁は、圧力パルスを発生させるために周期的に開閉される。
【0019】
蒸気/ガス混合物を生成するために、本発明の好ましい実施形態における搬送手段は、好ましくは中空円筒形の拡張チャンバと同軸に配置され、蒸気ラインに接続された環状チャネルを含む。環状チャネルは、上流端で蒸気ラインに接続され、下流端で混合チャネルに接続され、ノズルは混合チャネルの中央に開口する。この配置は、圧縮ガス流と蒸気流との効率的かつ均一な混合を可能にする。
【0020】
拡張チャンバ、リングチャネルおよび混合チャネルがプラスチック製のリアクタブロック内に配置されている場合、コンベア手段のコンパクトな設計を保証することができる。プラスチックからリアクタブロックを製造することにより、良好な断熱性が確保され、発泡プロセス中にユーザが火傷するリスクなしにコンベアを手動で取り扱うことが可能になる。さらに、制御可能な切替弁を搬送手段に組み込むこともできる。これはまた、コンパクトな設計を可能にする。しかしながら、制御可能な切替弁は、圧縮ガスラインに配置され、搬送手段から分離され得る。
【0021】
拡張チャンバおよびノズルは、好ましくは、良好な熱伝導性を有する材料、特にステンレス鋼で作られる。これにより、拡張チャンバの良好な熱伝導性が確保され、拡張チャンバ内に沈降した凝縮物の除去が可能になる。拡張チャンバは、好適には中空円筒形または管状であり、リアクタブロック内で軸方向に延びる。
【0022】
混合チャネル内で生成された蒸気/ガス混合物を発泡される液体に移送するために、混合チャネルの下流端は、排出ラインに接続されることが好ましい。
【0023】
本発明の有用な実施形態では、排出ラインは浸漬管として設計され、液体に浸漬することができる開口端を有し、液体は容器、例えばカップ内にある。排出ラインは、液体への浸漬を容易にする可撓管として有利に設計される。
【0024】
これにより、送達媒体で生成された蒸気/ガス混合物は、排出ラインを介して液体に供給され、それによって液体が加熱され発泡される。これにより、このプロセスで生成される泡の稠度、特に泡と液体の比、ならびに泡のクリーミーさ、多孔度、泡密度および泡安定性(排水性)などの泡の他のパラメータは、圧縮ガスの圧力パルスの選択されたパラメータに依存し、したがって圧力パルスの適切なパラメータを選択することによって影響を受ける可能性がある。したがって、オペレータは、発泡プロセスの前、さらには発泡プロセス中に圧力パルスのパラメータを変更することによって、泡の特性に影響を与えることができる。例えば、発泡プロセス中であっても、拡張チャンバに周期的に導入される圧力パルスの繰返し率(パルス周波数)を変更することができる。圧力パルスのパルス周波数を変更することにより、液体中に生成される泡の稠度が特に影響を受ける。このようにして、例えば、装置に設けられた回転制御を介してパルス周波数を最小値と最大値との間で連続的に調整することによって、微細と粗との間の所定の限界内で生成された泡の稠度を選択することが可能である。このようにして、本発明による装置は、任意の稠度の泡を生成することを可能にし、それによって、生成された泡の稠度を、発泡プロセス中に(ある程度まで)調整することもできる。
【0025】
切替弁によって周期的に生成される圧力パルスの繰返し率(パルス周波数)は、好適には、0.1から200Hzの範囲内、好ましくは1から50Hzの間である。パルス周波数に加えて、パルス持続時間および/または圧力パルスの振幅も調整可能であることが好ましい。所望のパルス周波数、パルス持続時間およびパルス振幅を設定するために、装置は、押しボタンスイッチまたは回転コントローラを備えた適切な入力デバイスを好適に有し、それを介して圧力パルスの所望のパラメータをオペレータが入力し、それに応じて制御デバイスによって設定することができる。特に、パルス周波数を設定するために、回転制御が好適に提供され、回転制御は、圧力パルスの繰返し率(パルス周波数)を最小値と最大値との間に(連続的に)設定することができるように、最小位置と最大位置との間で連続的に調整可能であることが好ましい。オペレータは、この制御ダイヤルを使用して、例えば、発泡プロセスの開始時に泡の所望の稠度を選択し、制御ダイヤルを介してそれを設定することができる。行われた設定を、発泡プロセス中に変更することができ、特に、個々の要件に適合した泡品質および稠度を生成するために再調整することができる。
【0026】
発泡中に液体の所望の温度を維持するために、装置は、液体または生成された液体泡の温度を検出するための温度センサを備えることが好適である。温度センサは、制御デバイスに結合されている。さらに、制御デバイスにも結合され、制御デバイスによって開閉することができる蒸気弁が、蒸気ラインに好適に設けられる。温度センサがオペレータによって指定された製品温度(液体または液体泡の温度)を検出するとすぐに、蒸気ラインの蒸気弁が閉じられ、同時に拡張チャンバへの圧力パルスの導入が停止される。この目的のために、切替弁が閉じられ、および/または加圧ガス源の圧縮機がオフに切り替えられる。
【0027】
蒸気または液体が加圧ガス源に入るのを防止するために、切替弁と拡張チャンバとの間の搬送手段に逆止弁が好適に配置され、これは、加圧ガス(圧力パルス)が拡張チャンバ内に通過することのみを可能にするが、加圧ガスおよび/または蒸気が反対方向に流れるのを防止する。
【0028】
拡張チャンバからノズルを通って混合チャネルに導かれる圧縮ガス流の圧力曲線を経時的に最適化および調整するために、ノズルの流れ断面を調整できると有用である。この目的のために、ノズルは、例えば、調整可能な流れ断面を有するスロットル弁として設計され得る。これは、発泡液体の特性に影響を及ぼすためのさらなる自由度を提供する。
【0029】
本発明による装置は、蒸気との混合によって混合チャネル内で生成される圧縮ガスおよび蒸気ガス混合物の圧力曲線の経時的な正確で制御可能かつ反復可能な調整が、切替弁を介して可能になるという利点を有する。切替弁を使用して、搬送手段の混合チャネルに導入される圧縮ガス(特に圧縮空気)の量ならびに圧力およびその時間経過を正確に調整することができる。混合チャネルの上流に配置された拡張チャンバは、混合チャネルに導入された圧縮ガス流の圧力曲線を経時的に(指数関数的に)減衰および平滑化するのに役立つ。経時的な圧縮ガス流の圧力曲線は、一定の圧力オフセットP1を有し、これは、ノズルが開口する混合チャネルの入口に常に過圧があり、負圧が発生し得ないという利点を有する。これにより、ノズルから混合チャネルに流入する加圧ガス流の圧力が、混合チャネルにも流入する蒸気流の圧力より常に高くなり、したがって加圧ガス流が、ノズルからの蒸気流の圧力に抗して混合チャネルに流入し、そこで蒸気流と混合することができることを確実にする。ノズルの直前の加圧ガス流の圧力は、切替弁によって生成された圧力サージの周波数を介して(ノズルの一定の所定の流れ断面および切替弁によって生成された圧力サージの所定の振幅で)正確に制御され得、ノズルから混合チャネルに流入する加圧ガス流の圧力が混合チャネルに流入する蒸気流の圧力よりも常に高くなるように調整され得る。
【0030】
本発明による装置を使用して、発泡させることができる様々な液体、例えば牛乳、ココナッツミルク、豆乳、アーモンドミルク、またはココアミルク、ラテ、アイスコーヒーなどのミルク含有飲料を発泡させることができ、それによって、生成されたミルク泡の組成、多孔性および稠度を正確かつ再現可能に調整し、泡を生成するために使用される液体の特性に適合させることができる。特に、グラフィックモチーフを有するエスプレッソ飲料のミルク泡表面の創造的なデザインの生成(いわゆる「ラテアート」)に必要とされるように、光沢のある緻密なミルク泡を生成することができる。
【0031】
本発明のさらなる実施形態では、搬送手段の排出ラインは、第2の入力部を介して液体が供給される混合デバイスの第1の入力部に接続される。液体は、液体ラインを介して混合デバイスの第2の入力部に接続されたコンテナ内にあり、その結果、液体を混合デバイスに供給することができる。混合デバイスでは、液体は、搬送手段から排出ラインを介して混合デバイスに供給される蒸気/圧縮ガス混合物の圧力パルスと混合される。これにより、混合デバイス内の液体が高温発泡する。蒸気/圧縮ガス混合物の減衰された圧力パルスは、液体と蒸気/圧縮ガス混合物との均一な混合を確実にする。
【0032】
この実施形態では、コンテナは、分岐ラインを介して圧縮ガスラインに接続されることが好ましい。前記分岐ラインを介して、加圧ガスラインによって供給された加圧ガス(例えば圧縮空気)を、液体が貯蔵されているコンテナに供給することができる。加圧ガスが分岐ラインを通ってコンテナに導入されると、コンテナ内に過圧が生じ、コンテナ内の液体が液体ラインを通って混合デバイスに搬送される。したがって、本発明による装置のこの実施形態では、液体は、加圧ガス源によって供給され、加圧ガスラインに導入される加圧ガスによって混合デバイスに搬送される。この目的のために、圧縮ガスラインは、装置の動作中に圧縮ガス源に接続され、圧縮ガス源は、加圧ガス(圧縮ガス、特に圧縮空気)を生成する。
【0033】
結果として、本発明による装置は、液体を混合デバイス内に搬送するためのポンプを不要にすることができ、これにより、装置の製造がより費用効果的になり、装置が故障の影響を受けにくくなり、動作中のメンテナンス集約度が低くなる。
【0034】
この実施形態の実用的な実施形態では、混合デバイスは、第1の入力部および第2の入力部ならびに出力部を備え、圧縮ガスラインおよび蒸気ラインは第1の入力部に接続され、液体ラインは第2の入力部に接続される。排出ラインが出口に接続されることが好適であり、これを介して発泡したおよび/または加熱された液体を排出し、例えばカップまたは別の収集コンテナに移送することができる。
【0035】
混合デバイスは、好ましくは、混合デバイス内で垂直に配向された直線チャネルを備える。蒸気/圧縮ガス混合物を生成して移送するための搬送手段に排出ラインを介して接続された混合デバイスの第1の入口は、好ましくは下端で直線チャネル内に開口し、その結果、搬送手段によって生成された蒸気/圧縮ガス混合物の圧力パルスは、重力に逆らって直線チャネル内で混合デバイス内を上方に流れる。これにより、液体と蒸気/圧縮ガス混合物との均一な混合が可能になる。
【0036】
液体ラインを介してコンテナおよびコンテナに収容された液体に接続された混合デバイスの第2の入口の領域には、液体ラインを通じて供給された液体が混合デバイスに噴霧されるノズルが好適に配置される。混合デバイス内に液体を噴霧することはまた、液体と蒸気/圧縮ガス混合物との良好かつ均一な混合に寄与する。
【0037】
この実施形態では、例えば調整可能な圧力逃がし弁の形態の調整可能な減圧器が、圧縮ガスライン内または圧縮ガスライン上に好適に配置される。調整可能な減圧器を使用して、圧縮ガスライン内の圧縮ガスの圧力を所望の一定の(最大)値に設定することができる。これにより、圧縮ガスラインに接続された圧縮ガス源は、一定の圧力で圧縮ガスを恒久的に生成するように動作することができる。
【0038】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、添付の図面を参照して以下により詳細に説明される実施形態の例から明らかとされよう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】蒸気/ガス混合物を生成して発泡させる液体に移送するための搬送手段を備えた本発明による装置の第1の実施形態の概略図であり、液体は開放容器内に配置されている。
図2図1の装置の搬送手段の断面図の詳細図である。
図3】蒸気/ガス混合物を生成するための搬送手段で生成された加圧ガス流の圧力-時間曲線である。
図4】蒸気/ガス混合物を生成し、それを発泡させる液体が供給される混合デバイスに移送するための搬送手段を備えた本発明による装置の第2の実施形態の概略図である。
【0040】
図1に示す本発明による装置の概略的な実施形態は、蒸気発生器1と、蒸気発生器1から延びる蒸気ライン6と、圧縮機2aを有する圧縮ガス源2と、圧縮ガス源から延びる圧縮ガスライン4と、蒸気/ガス混合物を発泡させる液体11に移送するための搬送手段3とを備える。ここでは頂部が開いた容器10(例えば、ピッチャ)内に位置する液体11は、特に、ミルクなどの飲料またはミルク含有飲料であり得る。下流端では、搬送手段は、例えば浸漬管または可撓性ホースの形態の排出ライン22を含み、その開口端を発泡用の液体に浸漬することができる。蒸気発生器1で生成された蒸気は、蒸気ライン6を介して搬送手段3に供給され、圧縮ガス源2で圧縮されたガスは、圧縮ガスライン4を介して搬送手段3に導入される。ガスは好適には空気であるが、二酸化炭素(CO)または窒素(N)またはガス混合物などの他のガスであってもよい。好ましくは、圧縮機2aは、ガス供給ライン13を介して環境から空気を吸い込む。
【0041】
搬送手段3において、圧縮ガスのガス流は、蒸気流と混合されて蒸気/ガス混合物を生成し、蒸気/ガス混合物は、排出ライン22を介して液体Fに導入される。
【0042】
液体に浸漬された排出ライン22の開口端には、温度センサ8が取り付けられており、液体Fの温度を検出し、測定ラインを介して制御デバイス9に送信する。例えば電磁弁として設計することができる電気制御可能な蒸気弁7が、蒸気発生器1と搬送手段3との間の蒸気ライン6に配置される。圧縮ガス源2の蒸気弁7および圧縮機2aは、対応する制御ラインを介して接続された電子制御デバイス9によって制御される。制御デバイス9は、ユーザとの通信のために、ボタン、回転ノブ、およびタッチ感知式であってもよいスクリーンの形態のマンマシンインターフェースを含む。ユーザは、制御命令を入力し、インターフェースを介して表示された動作状態およびエラーメッセージを読み出すことができる。
【0043】
搬送手段3は、圧縮ガスライン4’を介して互いに接続された第1の部分3aおよび第2の部分3bを含む。搬送手段3の第1の部分3aには、減圧器21が設けられている。減圧器21は、特に、手動でまたは制御デバイス9を介して調整することができる圧力逃がし弁であってもよい。搬送手段3の第2の部分3bには、制御デバイス9を介して開閉するように制御することができる切替弁5が配置されている。切替弁5は、特に、制御デバイス9によってパルス幅変調方式で作動させることができる電磁弁とすることができる。
【0044】
搬送手段3は、図2の断面図に詳細に示されている。図2に見られるように、搬送手段3の第1の部分3aは、調整可能な減圧器21を含む。圧縮ガス源2によって供給され、圧縮ガスライン4を介して供給される圧縮ガス流の圧力は、減圧器21を介して予め設定可能な値、例えば2バールに設定することができ、減圧器21によって一定に維持される。このようにして、圧縮ガス源2の圧縮機2aの圧力変動を補償することができる。搬送手段3の第1の部分3aで一定の圧力にされた加圧ガス流は、加圧ガスライン4’を介して搬送手段3の第2の部分3bに導かれる。切替弁5は、圧縮ガス流が通過する搬送手段3の第2の部分3bの上流入口に配置されている。切替弁は、制御デバイスによって周期的に開閉され、それによって、周波数および開閉の持続時間の両方が、インターフェースを介してユーザによって設定された制御命令に従って、制御デバイスによって制御される。
【0045】
搬送手段は、切替弁5の下流に配置された中空円筒形の拡張チャンバ15を備え、ノズル14は拡張チャンバ15の下流端に配置されている。ノズルは、下流の混合チャネル17へと中央に開口する。切替弁5と拡張チャンバ15との間には逆止弁20が配置されている。拡張チャンバ15は、圧縮ガスライン4および4’ならびにノズル14よりも(かなり)大きい直径を有する。
【0046】
さらに、搬送手段3は、その上流端16aでフランジ26上に配置された蒸気ライン6に接続された拡張チャンバ15を同軸に囲む環状チャネル16を含む。その下流端16bにおいて、環状チャネル16は混合チャネル17内に開口する。混合チャネル17の下流端には、排出ライン22がフランジ27を介して配置されている。
【0047】
好ましくは、拡張チャンバ15およびノズル14は、良好な熱伝導性を有する材料、特にステンレス鋼で作られ、断熱リアクタブロック18内に配置される。リアクタブロック18は、例えば、PEEKなどの高温耐性プラスチックにより形成されている。リアクタブロック18には、環状チャネル16および混合チャンバ17が形成されている。
【0048】
本発明による装置の動作のために、蒸気発生器1が動作状態になった後、蒸気弁7が制御装置9によって開位置に設定され、同時に圧縮ガス源2が作動される。圧縮ガス源2によって生成された圧縮ガス流は、圧縮ガスライン4を通って搬送手段の第1の部分3aに入り、そこで減圧器21を介して一定の圧力が設定される。一定圧力に保たれた圧縮ガス流は、圧縮ガスライン4’を介して搬送手段3の第2の部分3aの切替弁5を通過する。切替弁5は、制御デバイス9によって調整可能な周波数で周期的に開閉され、それによって圧力パルスが恒久的な加圧ガス流から生成され、(この方向に開いた)逆止弁20を通って拡張チャンバ15に導かれる。拡張チャンバでは、導入された圧力パルスは拡張することができ、下流ノズル14を通って混合チャネル17に放出される。
【0049】
蒸気発生器1によって生成された蒸気流は、同時に蒸気ライン6を通ってコンベア手段の第2の部分3bの環状チャネル16に入る。リングチャネル16の下流端16bで、蒸気は混合チャネル17に流入し、そこでノズル14を通って混合チャネル17に流入する圧縮ガス流と混合する。このようにして混合チャネル17内に形成された蒸気/ガス混合物は、最終的に排出パイプ22を通って加熱および発泡のための液体に流入する(図1)。
【0050】
温度センサ8の測定信号は、発泡プロセスの終了の基準として機能する。液体は、蒸気の供給によって加熱される。したがって、所定の温度閾値に達すると、発泡プロセスは終了する。液体Fとしてのミルクの場合、これは、ミルクタンパク質の凝固に起因して特定の温度を超えるさらなる泡立ちが起こらないため適切である。この場合、温度センサ8が所定の温度閾値を検出するとすぐに、制御デバイス9によって切替弁5および蒸気弁7の両方が同時に閉じられる。
【0051】
拡張チャンバ15およびノズル14は、切替弁5によって生成される圧力パルスに減衰効果を及ぼす減衰要素(「スナバ」)として作用する。これにより、拡張チャンバ15からノズル14を通って流れる加圧ガス流の減衰した時間的圧力曲線p(t)がもたらされ、減衰した周期的に繰り返される圧力ピークp0を有する。
【0052】
混合チャネル17に流入する加圧ガスの得られた時間的圧力曲線p(t)は、3つの異なる周波数f1、f2、およびf3について図3に概略的に示されている。図3から分かるように、時間的圧力曲線p(t)は、周期的に繰り返されるプラトー形状の平坦な圧力ピーク(p0)を有し、時間的に続く圧力ピークまでの各圧力ピーク(p0)は、減衰要素(15,14)の減衰効果によって指数関数的に減少する圧力曲線を有し、これは、関係p(t)=p0・e-t/τによって記述され得、時定数τは、拡張チャンバ15の容積およびノズル14の流れ断面積に依存する。(プラトー形状の平坦な)圧力ピーク(p0)の(最大)振幅は、搬送手段3の第1の部分3aに設定され、所定の一定レベルに保たれる加圧ガス流の一定圧力に依存する。
【0053】
各圧力ピークは、所定の期間t0にわたって一定の最大圧力レベル(p0)を有し、それによって、期間t0は、制御装置9によって制御される切替弁5の開放時間(すなわち、圧力パルスのパルス持続時間)によって決定される。その後の指数関数的な圧力低下に影響を及ぼすことを回避するために、期間t0は可能な限り短く選択されるべきである。
【0054】
選択された周波数fと、拡張チャンバ15およびノズル14によって形成された減衰要素の減衰度とに応じて、異なる周波数f1、f2、およびf3について図3の図に示すように、経時的に平均化された加圧ガス流の異なる平均圧力値が得られる。図3の図では、時間平均の平均圧力値は、それぞれ周波数f1、f2、およびf3の最大圧力のパーセンテージとして示されており、最大圧力(=100%)は、減圧器21によって供給され、搬送媒体の第2の部分3bに流入する加圧ガス流の一定の圧力に対応する。
【0055】
図3に見られるように、ノズル14を通って拡張チャンバ15から流出するガス流は、一定の圧力オフセット(p1)を有する経時的な圧力曲線p(t)を有する。したがって、ガス流の時間圧力曲線p(t)は、一定圧力オフセットp1および減衰圧力ピークp0(t)から構成される:p(t)=p1+p0(t)。一定の圧力オフセットp1は、加圧ガス流の圧力p(t)がリングチャネル16を介して混合チャネル17に導入される蒸気流の圧力よりも常に高くなるように選択される。
【0056】
拡張チャンバ15内の圧力低下の場合、逆止弁20は、蒸気ライン6からの蒸気またはコンテナ10からの液体Fが切替弁5に入るのを防止する。最も単純な場合には、ノズル14は、固定された流れ断面を有することができる。しかしながら、ノズル14の流れ断面を制御することができ、その目的のために、ノズル14を、例えば制御可能なスロットル弁として設計することもできる。
【0057】
図4は、液体を加熱および/または発泡させるための本発明による装置の第2の実施形態を示している。この装置では、ミルクなどの液体を混合デバイス内で同時に加熱し発泡させることができる。
【0058】
図4に示す装置は、加熱および発泡される液体を保持するためのコンテナ10と、蒸気発生器1に接続された蒸気ライン6と、圧縮ガス源2に接続された圧縮ガスライン4と、蒸気ライン6、圧縮ガスライン4、およびコンテナ10と連通する混合デバイス30とを備える。圧縮ガス源2は、例えば、周囲空気を吸入して圧縮する圧縮機であってもよい。蒸気発生器1は、水を沸点より高い温度に加熱する温水ボイラーを含むことができる。蒸気ライン6には、蒸気ライン6を開閉するための蒸気弁7が配置されている。
【0059】
実質的に円筒形の混合デバイス30は、混合デバイス30の下端に配置された第1の入口30aと、混合デバイス30のほぼ中央に横方向に配置された第2の入口30bとを備える。さらに、混合デバイス30は、その上端に出力ライン9が接続された出力部30cを有する。図4に示す本発明による装置の実施形態は、蒸気/圧力混合物を生成するための搬送手段3をさらに備える。搬送手段3は、図2に示すように設計され、圧縮ガスライン4および蒸気ライン6に接続されている。さらに、搬送手段3の出口は、排出ライン22を介して混合デバイス30の第1の入口30aに接続されている。蒸気/圧力混合物を生成するための搬送手段3の設計および機能は、図1から図3による本発明の実施形態に対応する。
【0060】
混合デバイス30の第2の入口30bは、液体ライン8を介してコンテナ10に接続されている。好ましくは、液体ライン8の一端は、図4に示すように、コンテナ10の底部の開口部に開口する。ノズル11は、液体ライン8の他端に配置され、混合デバイス30の第2の入口30bに開口する。ノズル11は、明確にするために図4では混合デバイス30の外側に示されているが、実際には混合デバイス30の第2の入口30bの領域に配置されている。
【0061】
混合デバイス30は、好ましくは、国際公開第2017/063936号パンフレットに記載されているヒータユニットとして設計される。この点に関して、国際公開第2017/063936号パンフレットが参照される。混合デバイス30は、特に、円筒状混合デバイス30に沿って延在し、混合デバイス30の第1の入口30aから出口30cまで延在する垂直に立つ直線チャネルを備え、蒸気/圧縮ガス混合物は、重力に逆らって直線チャネル内を上方に流れる。
【0062】
分岐ライン12は、圧縮ガスライン4から分岐し、圧縮ガス源2からコンテナ10に接続された搬送手段3の入口まで延びる。図4に見られるように、分岐ライン12がコンテナ10の底部に開口することも好適である。
【0063】
分岐ライン12には、切替可能な遮断弁26が配置されており、分岐ライン12を開閉することができる。また、分岐ライン12には、圧力解放弁23および圧力センサ24が設けられている。
【0064】
調整可能な減圧器21が、圧縮ガスライン4に配置されている。減圧器21は、例えば、調整可能な圧力逃がし弁とすることができる。さらに、切替弁5が、搬送手段3の上流の圧縮ガスライン4に配置されており、切替弁5は、電磁弁として好適に設計されており、図4の実施形態の例では搬送手段3から分離されている。
【0065】
コンテナ10内の液体の温度を検出するために、コンテナ10は温度センサ27に結合されている。加熱され発泡された液体の温度を検出するために、別の温度センサ25が出口パイプ9に結合されている。
【0066】
液体の加熱および同時発泡のために、圧縮ガス源2は、一定の圧力で加圧ガス、特に圧縮空気を生成する。加圧ガス源2によって供給される加圧ガスの圧力は、減圧器21によって所望の値に調整され、加圧ガスライン4に導入される。圧縮ガスライン4に配置された、または搬送手段3に組み込まれた切替弁5は、圧縮ガスの周期的な圧力パルスが搬送手段3の拡張チャンバ15に供給されるように、周期的に開閉されることが好ましい。同時に、蒸気発生器1によって供給された高温蒸気は、蒸気弁7が開いているときに蒸気ライン6を介して搬送手段3に供給される。圧縮ガスおよび高温蒸気の圧力パルスは、図2を参照して上述したように、蒸気/圧力混合物を生成するために搬送手段3内で一緒に混合される。このようにして搬送手段3の混合チャネル17内に形成されたパルス蒸気/圧力ガス混合物は、排出ライン22を通って排出され、混合デバイス30の第1の入口30aに導かれる。
【0067】
同時に、混合デバイス30には、コンテナ10から、第2の入口30bおよびこれに接続された液体ライン8を介して、(冷たい)液体が供給される。コンテナ10から液体ライン8を通り、ノズル11を通って混合デバイス30に液体を移送するのに十分な供給圧力を提供するために、遮断弁26が開いており、圧力解放弁23が閉じているときに、加圧ガスが分岐ライン12を介してコンテナ10に導入される。これにより、コンテナ10内に過圧が生じ、液体ライン8を介してノズル11を通って混合デバイス30の第2の入口30bに液体が搬送される。
【0068】
第1の入口30aで導入された蒸気/圧縮ガス混合物および第2の入口30bで導入された液体は、混合デバイス30で混合され、それによって液体は、蒸気/圧縮ガス混合物の高温蒸気によって加熱され、同時に圧縮ガスの(減衰された)圧力パルスによって発泡される。加熱された液体泡は、出口ライン9を介して排出され、出口ライン9の口に配置され、上部が開いている回収コンテナ28、例えばカップに導入され得る。
【0069】
制御可能な弁、すなわち蒸気弁7、切替弁5、遮断弁22および圧力解放弁23、ならびに調整可能な減圧器21および蒸気発生器1の出力部は、中央制御デバイスによって制御される。弁および減圧器21は、圧力センサ24によって検出された分岐ライン12内の圧力に応じて制御される。温度センサ27からの測定信号は、加熱されて発泡された液体の温度を監視するために使用される。温度センサ27によって検出された温度が設定された目標温度から逸脱する場合、圧力センサ24によって(減圧器21を介して)検出された分岐ライン21内の圧力、したがって単位時間当たりに供給される低温液体の量を調整すること、および/または蒸気発生器1によって供給される蒸気圧、したがって制御デバイスによって液体を加熱するために使用される加熱電力を調整することによって、加熱され発泡された液体の温度を再調整することができる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】