(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(54)【発明の名称】テトラガロイルグルコースの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07H 3/02 20060101AFI20221006BHJP
G01N 30/42 20060101ALI20221006BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20221006BHJP
A61K 31/7004 20060101ALI20221006BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20221006BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20221006BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20221006BHJP
A61K 36/82 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C07H3/02
G01N30/42
G01N30/88 N
A61K31/7004
A61P3/10
A61P1/16
A61P31/12
A61K36/82
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506663
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 CN2020106263
(87)【国際公開番号】W WO2021042922
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】201910824359.3
(32)【優先日】2019-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522042348
【氏名又は名称】広東省農業科学院茶叶研究所
【氏名又は名称原語表記】TEA RESEARCH INSTITUTE, GUANGDONG ACADEMY OF AGRICULTURAL SCIENCE
【住所又は居所原語表記】No. 6 Dafeng Road, Tianhe District Guangzhou, Guangdong 510000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】喬 小燕
(72)【発明者】
【氏名】馬 成英
(72)【発明者】
【氏名】陳 維
(72)【発明者】
【氏名】胡 蝶
(72)【発明者】
【氏名】苗 愛清
【テーマコード(参考)】
4C057
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C057AA04
4C057AA06
4C057BB02
4C086AA01
4C086EA03
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZB33
4C086ZC35
4C088AB45
4C088AC05
4C088BA13
4C088BA32
4C088CA05
4C088CA14
4C088NA14
4C088ZA75
4C088ZB33
4C088ZC35
(57)【要約】
本発明は、毛葉茶を原料として抽出し、毛葉茶抽出物をマクロポーラス吸着樹脂により精製した後、高速向流クロマトグラフィーにより分離してテトラガロイルグルコースを得るテトラガロイルグルコースの製造方法を提供する。本発明の前記製造方法は、方法が簡便で再現性が良く、テトラガロイルグルコースの純度、収率が高いという利点を有し、化合物の量産に有用であり、更なる活性研究のための物質的基礎を築く。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラガロイルグルコースの製造方法であって、
毛葉茶を粉砕して篩にかけ、蒸留水を加えて超音波抽出とろ過を1~3回行い、濾液を収集し、pH値を3.0±0.1に調整し、3~4BV/hの流速でクロマトグラフィーカラムで吸着し、吸着後30min~60min静置し、まず3~4BVの水を用いて4~6BV/hの流速で洗浄し、その後4~6BVの質量濃度50±5%のエタノール水溶液を用いて2~4BV/hの流速で溶離液が無色となるまで溶離し、エタノール溶離液を収集し、濃縮後凍結乾燥し、毛葉茶抽出物を得る、毛葉茶抽出液の製造のステップAと、
体積比(4±0.1):(1±0.1):(1±0.1):(1.5±0.1):(1±0.1):(1±0.1)の使用量で0.2%トリフルオロ酢酸水溶液、n-ブタノール、酢酸エチル、メチル-t-ブチルエーテル、アセトニトリル及びn-ヘキサンを2相溶媒系として、十分に混合した後、一晩静置し、
2相分離後に超音波脱気を行い、上相を固定相、下相を移動相とし、流速1.6~2.0mL/min、検出波長280nmの条件下で、上記で製造した毛葉茶抽出物を高速向流クロマトグラフィーにより分離し、ピーク形状に基づいて119~130minの流出液を収集し、収集した流出液を濃縮した後乾燥して、テトラガロイルグルコースとして1,2,3,6-テトラ-O-ガロイル-グルコースを得る、高速向流クロマトグラフィーによる分離のステップBとを含む、テトラガロイルグルコースの製造方法。
【請求項2】
前記蒸留水の使用量が毛葉茶の9~11倍であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記蒸留水の使用量が、毛葉茶の10倍であることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記抽出温度は50℃~60℃であり、及び/又は抽出は2回行い、1回当たり25min~60minであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
抽出は2回行い、1回当たり30min~40minであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
塩酸でpHを3に調整することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
AB-8マクロポーラス吸着樹脂を充填したカラムにより3~4BV/hの流速で吸着し、及び/又は高速向流クロマトグラフィーにより分離する場合、本体の回転速度は850±50rpm、分離温度は25±5℃であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記エタノール水溶液の濃度が50%であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
粉砕後、10メッシュ~30メッシュの篩にかけることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記毛葉茶は南昆山毛葉茶であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記0.2%トリフルオロ酢酸水溶液、n-ブタノール、酢酸エチル、メチル-t-ブチルエーテル、アセトニトリル、n-ヘキサンの体積比は4:1:1:1.5:1:1であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項12】
サンプリング量が300±50mgの毛葉茶抽出物であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然物の活性成分の分離精製の技術分野に関し、具体的には、テトラガロイルグルコースの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガロイルグルコースはポリフェノール化合物の1種であり、多種の生薬に広く存在している。現在多くの研究は1,2,3,4,6-ペンタガロイルグルコースに関するものである。1,2,3,4,6-ペンタガロイルグルコースは抗酸化活性があり、インスリン媒介のグルコース伝達シグナル経路を活性化することによって、糖尿病の予防と肝臓保護の機能を果たし、また、人体のエンドトキシンと結合し、抗エンドトキシン作用を発揮することもできる。さらに、1,2,3,4,6-ペンタガロイルグルコースは、水痘-帯状疱疹ウイルス、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫機能喪失ウイルス(HIV)、及び単純ヘルペスウイルス(HSV)の複製を阻害するなどの抗ウイルス機能を有する。
【0003】
茶は中国の伝統的な重要な経済作物であり、その健康維持効果は世界に知られている。毛葉茶(Camellia ptilophylla Chang)は広東省特有の茶の木資源で、カフェインを含まないことで知られている。しかし、毛葉茶を用いて加工される茶類の嗜好性が悪いという問題があるため、毛葉茶は知られているものの、開発利用が遅れている。近年、多くの研究により、ガロイルグルコースは抗腫瘍、抗菌、抗酸化活性などの多種の生物学的活性を有することが明らかになった。出願者は、毛葉茶に多くのテトラガロイルグルコースが含まれていることを発見し、毛葉茶の開発や利用にとって重要な意義がある。ガロイルグルコースの抗酸化と抗ウイルス効果に関する文献における研究に鑑みると、この茶の中のガロイルグルコースの精製方法を確立し、その構造を特定することは毛葉茶の更なる開発や利用に重要な意義がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、高純度のテトラガロイルグルコースを大量に製造することができるテトラガロイルグルコースの製造方法を提供することである。
【0005】
テトラガロイルグルコースの製造方法であって、
毛葉茶を粉砕して篩にかけ、蒸留水を加えて超音波抽出及びろ過を1~3回行い、濾液を収集し、pH値を3.0±0.1に調整し、3~4BV/hの流速でクロマトグラフィーカラムで吸着し、吸着後30min~60min静置し(目標成分はカラムに吸着し、水洗されないようにする)、まず3~4BVの水を用いて4~6BV/hの流速で洗浄し、その後4~6BVの質量濃度30±70%のエタノール水溶液を用いて2~4BV/hの流速で溶離液が無色となるまで溶離し、エタノール溶離液を収集し、濃縮後凍結乾燥し、毛葉茶抽出物を得る、毛葉茶抽出液の製造のステップAと、
体積比(4±0.1):(1±0.1):(1±0.1):(1.5±0.1):(1±0.1):(1±0.1)の使用量で0.2%トリフルオロ酢酸水溶液、n-ブタノール、酢酸エチル、メチル-t-ブチルエーテル、アセトニトリル及びn-ヘキサンを2相溶媒系として、十分に混合した後、一晩静置し、2相分離後に超音波脱気を行い、上相を固定相、下相を移動相とし、流速1.6~2.0mL/min、検出波長280nmの条件下で、上記で製造した毛葉茶抽出物を高速向流クロマトグラフィー(HSCCC)により分離し、ピーク形状に基づいて119~130minの流出液を収集し、収集した流出液を濃縮した後乾燥して化合物としてテトラガロイルグルコースを得る高速向流クロマトグラフィーによる分離のステップBとを含む。
【0006】
1つの実施例では、前記抽出温度は50℃~60℃である。
【0007】
1つの実施例では、前記蒸留水の使用量は毛葉茶の9~11倍、より好ましくは10倍である。
【0008】
1つの実施例では、抽出は2回行い、1回当たり25min~60min、より好ましくは30min~40minである。
【0009】
1つの実施例では、塩酸でpHを3に調整する。
【0010】
1つの実施例では、極性又は弱極性のマクロポーラス吸着樹脂、好ましくはAB-8マクロポーラス吸着樹脂を充填したカラムにより3~4BV/hの流速で吸着する。
【0011】
1つの実施例では、高速向流クロマトグラフィー(HSCCC)により分離する場合、本体の回転速度は850±50rpm、分離温度は25±5℃である。
【0012】
1つの実施例では、エタノールの濃度は50±5%、より好ましくは50%である。
【0013】
1つの実施例では、粉砕後、10メッシュ~30メッシュの篩にかける。
【0014】
1つの実施例では、前記毛葉茶は南昆山毛葉茶である。
【0015】
1つの実施例では、0.2%トリフルオロ酢酸水溶液、n-ブタノール、酢酸エチル、メチル-t-ブチルエーテル、アセトニトリル、n-ヘキサンの体積比は4:1:1:1.5:1:1である。
1つの実施例では、流速は1.95~2.0mL/minであり、及び/又はサンプリング量は300±50mgの毛葉茶抽出物である。
【0016】
以上のプロセスパラメータの選択及び最適化により、有効な抽出物を効率的に得ることができる。
本発明の前記テトラガロイルグルコースの製造方法は、毛葉茶を原料として抽出し、毛葉茶抽出物をマクロポーラス吸着樹脂により精製した後、最適化された高速向流クロマトグラフィーにより分離してテトラガロイルグルコースを得る。本発明の前記製造方法は、方法が簡便で再現性が良く、テトラガロイルグルコースの純度、収率が高いという利点を有し、化合物の量産に有用であり、更なる活性研究のための物質的基礎を築く。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】毛葉茶原料抽出物のHPLCクロマトグラムである。
【
図2】実施例1における系4のHSCCC分離クロマトグラムである。
【
図3】実施例1における系4で分離された化合物のHPLC純度検出図である。
【
図4】実施例2における系2のHSCCC分離図である。
【
図5】実施例2における系2の分離物のHPLC図である。
【
図6】実施例3における系5のHSCCC分離図である。
【
図7】実施例3における系5の分離物のHPLC図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
別段の定義がない限り、本発明に使用されるすべての技術的及び科学的用語は、当業者が通常理解するものと同一の意味を有する。本発明の明細書に使用される用語は、特定の実施例を説明する目的でのみ使用され、本発明を限定するために使用されるものではない。本発明に使用される用語「及び/又は」は、1つ又は複数の関連する列記された項目の任意の及びすべての組み合わせを含む。
本発明の理解を容易にするために、以下、本発明についてより包括的に説明する。本発明は、本明細書に記載された実施例に限定されるものではなく、多くの異なる形態で実施されてもよい。むしろ、これらの実施例は、本発明の開示内容の理解をより完全なものにすることを目的として提供される。
【0019】
実施例1 毛葉茶におけるテトラガロイルグルコースの製造
1、高速向流(HSCCC)サンプリング原料(毛葉茶抽出物)の製造
粉砕して10メッシュの篩にかけた毛葉茶粉末200gを、毛葉茶粉末の10倍の重量の蒸留水を用いて50~60℃で1回目は60min、2回目は3min2回抽出し、抽出液を収集して合わせ、塩酸でpHを3に調整し、AB-8マクロポーラス吸着樹脂800mlを充填したカラムを用いて4BV/hの流速で吸着し、吸着後3min静置し、まず1800mlの水を用いて6BV/hの流速で洗浄し、その後、50%質量濃度のエタノール水溶液を用いて1800mlを4BV/hの流速で溶離し、溶離液を収集し、濃縮した後、凍結乾燥して毛葉茶抽出物を得て、高速向流のサンプリング原料とした。
2、HPLC検出方法
高速液体クロマトグラフィー条件:カラム:Agilent ZORBAX SB-C18(5μm、4.6×250mm)、移動相Aは0.2%リン酸水溶液、Bはアセトニトリルである。溶離勾配:0→25min:B 5%→72%;25→30min:B 28%→32%、流速1.0mL/min、DAD検出器、サンプリング量20μL、カラム温度28℃。
上記で製造された毛葉茶抽出物を少量収集し、水に溶解し、膜を介してサンプリングした。HPLCスペクトルを
図1に示す。
図1から、毛葉茶抽出物には複数の化学成分が含まれ、保持時間が23.4minの化合物が目標成分であることが分かった。
3、高速向流クロマトグラフィー(HSCCC)による分離
3.1溶剤系の選択
複数の系をスクリーニングし、その系中の異なる溶媒を次の表1に示す割合で調合し、振とうさせた後に静置して層分離した。3mLの下相溶媒を収集し、上記で製造した少量の毛葉茶抽出物のサンプルに添加し、HPLCを用いて下相溶媒中の各目標ピークの面積(S抽出前)を測定した。さらに等体積の上相を抽出し、抽出後の下相中の目標ピーク面積(S抽出後)を測定し、次式(1)により各成分の分配係数Kを算出した。HSCCCの固定相と移動相としてK値に応じて適切な溶媒系を選択した。
式(1)K=(S)
抽出前-S
抽出後)/S
抽出前
系1は中等溶媒系であり、目標成分の水溶性が高いため、この系では分配係数(K)の値が小さすぎる。
系2は系1を基礎に酸を加え、系の配合比を変えたものであり、目標成分のK値が適切であることを見出したが、装置にかけて操作した結果、目標成分の純度は低く、低含有量の親水性不純物の多くは目標成分とともに流出し、分離効果は全く得られなかった。
系3は親水性の強い成分の分離によく使用される系であるが、目標成分に対するK値は大きすぎる。そこで、実験では、系1、2の組成を組み合わせ、溶媒の配合比を調整したところ、系4、5のK値は良く、すなわち0.2%トリフルオロ酢酸水溶液、n-ブタノール、酢酸エチル、メチル-t-ブチルエーテル、アセトニトリル、n-ヘキサンを溶媒系とすると、サンプリング操作は満足のいく分離効果が得られ、好ましい系は系4、すなわち体積百分率0.2%のトリフルオロ酢酸水溶液:n-ブタノール:酢酸エチル:メチル-t-ブチルエーテル:アセトニトリル:n-ヘキサン=4:1:1:1.5:1:1(V/V)であった。
3.2 HSCCCの操作条件
高速向流クロマトグラフィーカラム:TBE-300A高速向流クロマトグラフ(上海同田生物技術有限公司):ポリテトラフルオロエチレンカラム、内径1.6mm、カラム容積280mL、回転速度0~1000r/min;TBP-50Aポンプ;TBD-2000 UV検出器;LX-300サーモスタットを配置した。
上記系4に従って溶媒系を調製し、十分に混合し、一晩静置し、2相分離後3min超音波脱気を行った。2相分離後に超音波脱気を行い、上相を固定相、下相を移動相とし、下相流速2.0mL/min、本体の回転速度850rpm、カラム温度20℃、波長280nmの条件下で固定相の保持率は62%であり(保持率が高いほど、機器チューブ中の上相の体積が大きくなり、抽出分離に有利である)、サンプリング量は300mgであり、HSCCC分離マップは
図2に示され、119~130minの流出液を収集し、55℃で回転蒸発濃縮した後、凍結乾燥して3.17mgの目標化合物を得た。
図3を参照して、254nmでのHPLC(分析条件は上記と同じ)のクロマトグラムに基づいてピーク面積正規化法を用いて算出したところ、目標化合物の純度は92.3%であった。
質量分析及び核磁気共鳴を用いて、実施例1に記載の化合物の構造を同定、分離した。
化合物:褐色粉末、ESI-MSm/z:787.1012[M-H]‐、組成式はC
34H
28O
22である。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ: 6. 99(2H, s, H-2’’’’, 6’’’’), 6. 97(2H, s, H-2’’’, 6’’’), 6. 95( 2H, s, H-2’, 6’), 6. 92( 2H, s, H-2’’, 6’’) , 6.10 (1H, d, J = 8.5 Hz, H-1) ,5.89(H, m, H-3), 5.20 ( 1H ,dd, J = 8.5 Hz, 7.5 Hz, H-2) , 4.27( 2H , m , H-6 ) , 4.16( H, m , H-5 ) , 3.88(1H, s, H-4);
1 3 C-NMR (125 MHz , DMSO-d6):δ 62. 3 ( C-6 ) ,66. 22 ( C-4 ) , 70.58 C-2 ) , 71.65( C-5 ) , 72.87 ( C-3 ) , 92.43 (C-1 ) , 119.38 (C-1 ’) , 109. 48 ( C-2’ , 6’ ) ,146.10( C-3’ , 5’ ) , 139. 94 (C-4’) , 164. 97 ( C-7’ ) , 165. 33 ( C-7’’) , 166.00 (C-7’’’) ,109.36(C-2’’, 6’’), 109.23(C-2’’’, 6’’’) ,109.23( C-2’’’’, 6’’’’), 118. 03 ( C-1’’), 119.31 ( C-1’’’) , 119.49 (C- 1’’’’), 139. 24( C-4’’ ), 139.14( C-4’’’’ ), 143. 02 ( C-3’’, 5’’ ), 145.98( C- 3’’’ , 5’’’ ) , 145.95 (C-3’’’’ , 5’’’’)
1Hと13C NMRデータと現在開示されている資料(例:肖世基、郭大楽、何達海ら.キウイフルーツ藤山柳化学成分研究[J].漢方薬,2016,(03):383-387.舒希凱、シャクヤクカの抗酸化活性成分の分離と同定[M],山東師範大学)に基づいて、化合物は1,2,3,6-テトラ-O-ガロイル-グルコースであることが決定され、その化学構造式は以下のとおりである。
【0020】
実施例2 系2の分離及び分離効果
上記系2に従って溶媒系を調製し、十分に混合し、一晩静置し、2相分離後30min超音波脱気を行った。下相流速2.0mL/min、本体の回転速度850rpm、カラム温度20℃、波長280nmの条件下で固定相の保持率は51%、サンプリング量は300mgであった。HSCCC分離マップを
図4に示す。195~210minの流出液を収集し、HPLC検出結果を
図5に示す。その結果、この部分の流出液には原料中の低含有量の2つの成分も濃縮され、目標成分と全く分離できないことを示した。
【0021】
実施例3 系5の分離及び分離効果
上記の系5に従って溶媒系を調製し、十分に混合し、一晩静置し、2相分離後3min超音波脱気を行った。2相分離後に超音波脱気を行い、上相を固定相、下相を移動相とし、下相流速2.0mL/min、本体の回転速度850rpm、カラム温度20℃、波長280nmの条件下で固定相の保持率は53%、サンプリング量は300mgであった。HSCCC分離マップを
図6に示す。141~147minの流出液を収集し、55℃で回転蒸発濃縮した後、凍結乾燥して約1.8mgの目標化合物を得た。HPLC(分析条件は上記と同じ)の254nmでのクロマトグラムを
図7に示し、ピーク面積正規化法を用いて化合物純度を算出したところ、化合物純度は90.6%であった。その結果、この方法の固定相の保持率、目標化合物の収率、及び純度はすべて系4の配合比の場合より低いことがわかった。
【0022】
本明細書で例示した発明は、本明細書で特に開示されていない要素、制限の何れもなしに適切に実施することができる。したがって、例えば、「含有/含む」などの用語は、オープンであり、限定されていないものとして理解すべきである。また、本明細書で採用される用語及び表現は、限定的な用語ではなく、説明として使用され、図示、説明された特徴又はその部分のいずれかの同等の特徴を排除するような用語及び表現を使用することを意図していないが、本発明によって請求される範囲において様々な修正が可能であることを理解すべきである。したがって、本発明は、好ましい実施形態及び任意選択の特徴によって具体的に開示されているが、当業者は、本明細書で開示され、本発明が具体化される修正及び変更を採用することができ、そのような修正及び変更は、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0023】
本明細書において、本発明を広くかつ一般的に説明してきた。一般的な開示に含まれるより狭いカテゴリ及びサブグループも、それぞれ本発明の一部を形成する。これは、本明細書において削除されたものが具体的に詳述されているか否かにかかわらず、このカテゴリから何らかの主題を除去する条件又は否定的な制限を有する本発明の一般的な説明を含む。
【国際調査報告】