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特表2022-543797PVC組成物、それを用いて形成されるポリマー複合体物品、およびその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(54)【発明の名称】PVC組成物、それを用いて形成されるポリマー複合体物品、およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/06 20060101AFI20221006BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20221006BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20221006BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20221006BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20221006BHJP
   B29B 7/02 20060101ALI20221006BHJP
   B29B 7/30 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C08L27/06
C08K3/013
C08K3/26
C08K3/34
C08L83/04
B29B7/02
B29B7/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506798
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(85)【翻訳文提出日】2022-02-02
(86)【国際出願番号】 US2020045123
(87)【国際公開番号】W WO2021026303
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】62/883,840
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クオ、ハイラン
(72)【発明者】
【氏名】ネルカール、マノジ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォン、シャロン
(72)【発明者】
【氏名】チョルバス、イゴール
【テーマコード(参考)】
4F201
4J002
【Fターム(参考)】
4F201AA15
4F201AB11
4F201AB16
4F201BA01
4F201BC01
4F201BK01
4F201BK02
4F201BK13
4F201BK14
4J002BD031
4J002CP032
4J002DE137
4J002DE236
4J002DJ046
4J002FD016
4J002FD047
4J002FD067
4J002FD097
4J002FD137
4J002FD177
4J002FD187
4J002FD207
4J002FD327
4J002GC00
4J002GL00
4J002GN00
4J002GQ00
4J002GQ01
4J002GT00
(57)【要約】
ポリ塩化ビニル(PVC)組成物およびポリマー複合体物品を調製するための方法。本組成物は、(A)7.5~75重量%の量のミネラル充填剤を含む。本組成物はまた、(B)20~92重量%の量のポリ塩化ビニルポリマーを含む。さらに、本組成物は、(C)0超~5重量%の量のポリジオルガノシロキサンであって、(C)ポリジオルガノシロキサンが、式(I)(式中、各Rは、脂肪族不飽和を含まない1~18個の炭素原子の独立して選択された一価炭化水素基であり、下付き文字xは、(C)ポリジオルガノシロキサンが、#CP-52スピンドルを備えたBrookfield DV-IIIコーンおよびプレート粘度計で、25℃での0.1RPM~50RPMで測定される350mPas超~100,000mPasの粘度を得るのに十分な値を有する。)の化合物である、ポリジオルガノシロキサンを含む。成分(A)~(C)の範囲は、組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー複合体物品を調製するためのポリ塩化ビニル(PVC)組成物であって、前記組成物が、
(A)7.5~75重量%の量のミネラル充填剤と、
(B)20~92重量%の量のポリ塩化ビニルポリマーであって、前記(B)PVCポリマーが、ポリビニルを含む、ポリ塩化ビニルポリマーと、
(C)0超~5重量%の量のポリジオルガノシロキサンであって、前記(C)ポリジオルガノシロキサンが、式(I):
【化1】

(式中、各Rは、脂肪族不飽和を含まない1~18個の炭素原子の独立して選択された一価炭化水素基であり、下付き文字xは、前記(C)ポリジオルガノシロキサンが、#CP-52スピンドルを備えたBrookfield DV-IIIコーンおよびプレート粘度計で、25℃での0.1RPM~50RPMで測定される350mPa・s超~100,000mPa・sの粘度を得るのに十分な値を有する。)の化合物である、ポリジオルガノシロキサンと、を含み、
各々が、前記組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく、組成物。
【請求項2】
前記(C)ポリジオルガノシロキサンにおいて、各Rが、1~12個の炭素原子のアルキル基であり、下付き文字xが、前記ポリジオルガノシロキサンが、5,000mPa・s~20,000mPa・sの粘度を得るのに十分な値を有し、前記(C)ポリジオルガノシロキサンが、1重量%~4重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(C)ポリジオルガノシロキサンにおいて、各Rが、1~6個の炭素原子のアルキル基である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(C)ポリジオルガノシロキサンにおいて、各Rが、メチル、エチル、プロピル、およびブチルからなる群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(i)前記(A)ミネラル充填剤が、10~65重量%の量で存在し、(ii)前記(B)ポリ塩化ビニルポリマーが、35~90重量%の量で存在し、(iii)前記(C)ポリジオルガノシロキサンが、0.1~2.5重量%の量で存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
(i)前記(A)ミネラル充填剤が、49.5~60重量%の量で存在し、(ii)前記(B)ポリ塩化ビニルポリマーが、40~49.5重量%の量で存在し、(iii)前記(C)ポリジオルガノシロキサンが、0.5~1重量%の量で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ミネラル充填剤が、炭酸カルシウム、タルク、およびそれらの組み合わせから選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
着色剤、発泡剤、UVおよび/または光安定剤、加工助剤、防腐剤、殺生物剤、難燃剤および/または発煙抑制剤、衝撃性改良剤、熱安定剤、ならびに潤滑剤から選択される1つ以上の添加剤をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法であって、前記方法が、
(A)前記ミネラル充填剤と、(B)前記ポリ塩化ビニルポリマーと、(C)前記ポリジオルガノシロキサンとを組み合わせ、それにより、前記組成物を調製することを含む、方法。
【請求項10】
ポリマー複合体物品を調製する方法であって、前記方法が、
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物から前記ポリマー複合体物品を調製することを含む、方法。
【請求項11】
前記方法が、
高温で前記(A)ミネラル充填剤と、前記(B)ポリ塩化ビニルポリマーと、前記(C)ポリジオルガノシロキサンと、を混合しながら組み合わせて、流動性混合物を得ることと、
前記流動性混合物から前記ポリマー複合体物品を形成することと、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(i)前記(C)ポリジオルガノシロキサンが、前記流動性混合物を前記(C)ポリジオルガノシロキサンと組み合わせるときに液体である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(i)前記組成物から前記ポリマー複合体物品を調製することが、前記組成物を所望の形状に形成することをさらに含むか、(ii)前記組成物から前記ポリマー複合体物品を調製することが、前記組成物を押し出すことを含むか、(iii)前記組成物から前記ポリマー複合体物品を調製することが、前記組成物を成形することを含むか、または(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
押し出し機で行われ、(i)前記押し出し機内の前記組成物の押し出し加工温度が、前記(C)ポリジオルガノシロキサンを含まない前記(A)ミネラル充填剤と前記(B)ポリ塩化ビニルポリマーとの混合物の押し出し加工温度と比較して低減され、かつ/または(ii)前記組成物を混合するときの前記押し出し機のトルクが、前記(C)ポリジオルガノシロキサンを含まない前記(A)ミネラル充填剤と前記(B)PVCポリマーとの混合物を押し出すときの前記押し出し機のトルクと比較して低減される、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項9~14のいずれか一項に記載の方法によって調製される、ポリマー複合体物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物に関し、より具体的には、ポリマー複合体物品を調製するためのPVC組成物、PVC組成物およびそれを用いたポリマー複合体物品の調製方法、ならびにそれにより形成されたポリマー複合体物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー複合体物品は、当技術分野で既知であり、様々な最終使用用途に利用されている。ポリマー複合体物品は、物理的および機械的特性を含む、ポリマー複合体物品に関連するコストおよび望ましい特性に起因して、消費者に人気が高まっている。
【0003】
PVC産業では、複合体物品に充填剤を含めることが一般的である。充填剤は、比較的安価であり、コストを低下させるためによく使用される。そのような複合体物品は、典型的に、充填剤とPVCとを完全に混合して、混合物を得ることにより生成される。しかし、高レベルの充填剤は、複合体物品の特性に悪影響を与える可能性がある。例えば、大量の充填剤は、密度、パーセント(%)伸び、衝撃強度、表面仕上げ、メルトフロー、溶融粘度、溶融強度、および加工性などの重要な特性に影響を与える可能性がある。
【0004】
PVCの性質上、それは、そのまま加工することはできない。ポリマーの加工性および性能を得るためには、安定剤、加工用助剤、および潤滑剤などの他の添加剤が必要である。典型的に、これらの添加剤は、高速度ミキサー/ブレンダー内で混合され、乾燥ブレンドを作製する。高い充填剤レベルは、均一な乾燥ブレンドを形成することを困難にする。多くの場合、系は、塵埃が多すぎるものとなり、取り扱いが困難になる。充填剤はまた、ミキサーの壁およびブレードに付着する傾向があり、その結果、ブレンド中の充填剤が所望量より少なくなる。充填剤が付着すると、機器の洗浄時間も長くなり、次のバッチの汚染も増加する可能性がある。
【0005】
従来の低コストの有機加工助剤は、より速い生産速度を達成するために高充填量を必要とし、それにより、コストおよび/または性能特性に影響を与えるという欠点を一般に抱えている。さらに、多くの従来の加工助剤は、特に高温での使用において、複合体物品の物理的特性に悪影響を及ぼし、機械的特性(耐衝撃性、曲げ強度、曲げ弾性係数)を低減させる可能性がある。従来の加工助剤は、ポリマー複合体物品から移行もし得るため、時間の経過とともに、物理的特性、外観、感触、外側被覆成形する能力、共押し出しする能力、ポリマー複合体物品の表面に付着する能力、表面を印刷する能力、および表面を塗装する能力などのポリマー複合体物品の1つ以上の特性に悪影響を与える。さらに、有機加工助剤のいくつかは、より高い適用温度で揮発し、これにより、ポリマー複合体物品の形成または気泡および亀裂が引き起こされる可能性があり、これらの物品の長期性能を損なう可能性がある。
【0006】
高い充填剤レベルはまた、ポリマー系の密度を増加させる傾向がある。増加された密度は、最終的な複合体物品の重量を増加させ、それにより、関連する輸送コストを増加させる可能性がある。発泡した場合、高い充填剤レベルは、ポリマーの膨張を抑制する。
【0007】
高い充填剤レベルは、典型的に、ポリマー系を、せん断感応性にする。これらの系は、より高いずり流動性挙動を示す。
【0008】
無機充填剤の使用は、炭化物含有量を増加させ、煙および火炎特性を改善し得るが、結果として、パーセント(%)伸びおよび衝撃強度などの機械的特性が低下することがよくある。
【0009】
現在のPVC組成物は、別の利益のために少なくとも1つの特性を犠牲にする必要がある。例えば、PVC組成物は、衝撃強度を改善するように配合され得るがパーセント(%)伸びを低下させる可能性があるか、または、それは、表面仕上げを改善し得るがスループットを低下させる可能性があるか、または、それは、所望の密度を提供し得るが他の物理的特性に影響を与える可能性がある。
【0010】
上記の問題のうちの1つ以上に対処する高い充填剤含有量を有するポリマー系を提供することが、望ましいであろう。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、ポリマー複合体物品を調製するためのポリ塩化ビニル組成物を提供する。本組成物は、(A)7.5~75重量%の量の充填剤を含む。本組成物はまた、(B)20~92重量%の量のポリ塩化ビニルポリマーを含む。さらに、本組成物は、(C)0超~5重量%の量のポリジオルガノシロキサンであって、(C)ポリジオルガノシロキサンが、式(I):
【化1】
(式中、各Rは、脂肪族不飽和を含まない1~18個の炭素原子の独立して選択された一価炭化水素基であり、下付き文字xは、(C)ポリジオルガノシロキサンが、#CP-52スピンドルを備えたBrookfield DV-IIIコーンおよびプレート粘度計で、25℃での0.1RPM~50RPMで測定される350mPa・s超~100,000mPa・sの粘度を得るのに十分な値を有する。)の化合物である、ポリジオルガノシロキサンを含む。成分(A)~(C)の範囲は、組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく。
【0012】
組成物を調製する方法もまた、提供される。本組成物を調製する方法は、(A)ミネラル充填剤と、(B)ポリマーと、(C)ポリジオルガノシロキサンとを組み合わせ、それにより、本組成物を調製することを含む。
【0013】
さらに、ポリマー複合体物品を調製するための方法が、本発明によって提供される。本方法は、組成物からポリマー複合体物品を調製することを含む。加えて、本方法に従って形成されたポリマー複合体物品もまた、提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、ポリマー複合体物品を調製するための組成物を提供する。ポリマー複合体物品は、以下に記載されるように、優れた物理的特性を有し、無数の最終使用用途に好適である。ポリマー複合体物品を調製する方法、およびそれによって形成されるポリマー複合体物品もまた、以下に提供および記載される。
【0015】
ポリマー複合体物品を調製するための本組成物は、(A)10~90重量%の量の充填剤と、(B)10~90重量%の量のポリマーと、(C)0超~10重量%の量のポリジオルガノシロキサンと、を含み、各々は、本組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく。
【0016】
本組成物は、(A)10~90重量%の量の充填剤と、(B)10~90重量%の量のポリ塩化ビニルポリマーと、(C)0超~5重量%の量のポリジオルガノシロキサンであって、(C)ポリジオルガノシロキサンが、式(I):
【化2】
(式中、各Rは、脂肪族不飽和を含まない1~18個の炭素原子の独立して選択された一価炭化水素基であり、下付き文字xは、(C)ポリジオルガノシロキサンが、#CP-52スピンドルを備えたBrookfield DV-IIIコーンおよびプレート粘度計で、25℃での0.1RPM~50RPMで測定される350mPa・s超~100,000mPa・sの粘度を得るのに十分な値を有する。)の化合物である、ポリジオルガノシロキサンと、を含む。成分(A)~(C)の範囲は、組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく。
【0017】
成分(A)ミネラル充填剤
本組成物は、(A)ミネラル充填剤を含む。(A)ミネラル充填剤は、ポリマー複合体物品を調製するための本組成物およびそのように調製された複合体物品中に不連続相を形成し得る。
【0018】
(A)ミネラル充填剤は、未処理、前処理、または任意の充填剤処理剤と組み合わせて添加され得、そのように添加されるとき、(A)ミネラル充填剤をその場で、または(A)ミネラル充填剤を本組成物に組み込む前に処理し得る。処理される場合、(A)ミネラル充填剤は、当技術分野で既知の任意の従来の充填剤処理剤によって処理することができる。(A)ミネラル充填剤は、単一の充填剤、あるいは充填剤のタイプ、調製方法、処理もしくは表面化学、充填剤組成、充填剤形状、充填剤表面積、平均粒径、および/または粒径分布などの少なくとも1つの特性において異なる2つ以上の充填剤の組み合わせであり得る。
【0019】
好ましくは、(A)ミネラル充填剤は、PVC組成物中の充填剤の総重量の少なくとも90重量%を含み、すなわち、PVC組成物は、最大10重量%の非ミネラル充填剤を含み得る。より好ましくは、(A)ミネラル充填剤は、PVC組成物中の充填剤の総重量の少なくとも95重量%を含む。さらにより好ましくは、PVC組成物中の充填剤は、少なくとも1つのミネラル充填剤から本質的になるか、またはそれからなる。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」は、PVC組成物中に存在するミネラル充填剤以外の任意の充填剤が、PVC組成物の物理的特性および/またはPVC組成物の加工性のいずれかに悪影響を及ぼさないことを意味する。好ましくは、PVC組成物は、5重量%未満のリグノセルロース充填剤または有機充填剤を含む。より好ましくは、PVC組成物は、リグノセルロース充填剤または有機充填剤を含まない。
【0020】
(A)ミネラル充填剤の形状および寸法も特に限定されない。例えば、(A)ミネラル充填剤は、球形、長方形、卵形、不規則であり得、例えば、粉末、繊維、粒子、およびそれらの組み合わせの形態であり得る。寸法および形状は、典型的に、利用される(A)ミネラル充填剤のタイプ、本組成物内に含まれる他の成分の選択、およびそれらを用いて形成されたポリマー複合体物品の最終使用用途に基づいて選択される。
【0021】
増量または補強充填剤として機能し得るミネラル充填剤の非限定的な例は、石英および/もしくは破砕石英、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ(例えば、ヒュームド、粉砕、沈降)、水和ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、シリコーン樹脂、ウォラストナイト、ソープストーン、カオリナイト、カオリン、雲母白雲母、金雲母、ハロイサイト(水和ケイ酸アルミニウム)、ケイ酸アルミニウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ガラス(繊維、ビーズもしくは粒子、例えば、風力タービンもしくは他の供給源からのリサイクルガラスを含む)、粘土、磁鉄鉱、赤鉄鉱、炭酸カルシウム、例えば、沈降、ヒュームド、および/もしくは粉砕炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、メタケイ酸カルシウム、酸化亜鉛、タルク、珪藻土、酸化鉄、粘土、雲母、チョーク、二酸化チタン(チタニア)、ジルコニア、グラファイト、無煙炭、亜炭、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、オキシ硫酸マグネシウム繊維、アルミニウム三水和物、アルミニウムオキシ水和物、顔料(例えば、二酸化チタン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウムの非水和、部分水和、または水和フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、クロメート、カーボネート、水酸化物、ホスフェート、水素ホスフェート、ニトレート、酸化物、およびスルフェート);五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、酸化ベリリウム、酸化クロム、リトポン、ホウ酸塩、例えば、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、もしくはホウ酸アルミニウム、混合金属酸化物、例えば、バーミキュライト、ベントナイト、軽石、パーライト、飛灰、粘土、およびシリカゲル;パイロフィライト、セピオライト、スズ酸亜鉛、硫化亜鉛、ならびにそれらの組み合わせを含む。代替的に、増量または補強充填剤は、炭酸カルシウム、タルク、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0022】
増量充填剤は、当技術分野で既知であり、例えば、Berkeley Springs,WVのU.S.SilicaによってMIN-U-SILという名称で販売されている粉砕シリカが市販されている。好適な沈降炭酸カルシウムは、SolvayのWinnofil(商標)SPM、ならびにSMIのUltra-pflex(商標)およびUltra-pflex(商標)100を含む。
【0023】
(A)ミネラル充填剤は、本組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、7.5~75、代替的に10~65、代替的に20~60、代替的に49.5~60重量パーセントの量で本組成物中に存在する。7.5~75重量パーセントのすべての終点および部分範囲は、本明細書に含まれ開示されている。例えば、(A)ミネラル充填剤は、本組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、少なくとも7.5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、または少なくとも50重量パーセントの量で存在し得る。(A)ミネラル充填剤は、本組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に対して、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、または60重量%以下の量で存在し得る。代替的に、ある特定の用途では、本組成物中の(A)ミネラル充填剤の相対量を最大にすることが望ましく、それにより、それを用いて形成されたポリマー複合体物品の望ましい特性が維持または得られる限り、その全体のコストが低減される。当業者は、以下に記載されるように、コストおよび得られる特性のバランス、ならびに他の任意の成分の有無を含む、この目的のために(A)ミネラル充填剤の量が変更され得ることを理解する。
【0024】
(B)PVCポリマー
本組成物は、(B)PVCポリマーをさらに含む。PVCポリマーは、ポリマー複合体物品を調製するための本組成物およびそれから調製された複合体物品中に、連続相の全部または一部を形成し得る。(B)PVCポリマーの選択は、典型的に、様々なポリマーが異なる融点温度(および/またはガラス転移温度)および物理的/機械的特性、ならびに好適または許容可能な連続使用用途温度を有するため、本組成物を用いて形成されたポリマー複合体物品の所望の最終使用用途により変化する。ある特定の実施形態では、(B)PVCポリマーは、本組成物中の他の成分の分解温度よりも低い軟化点温度を有する。これらの実施形態では、(B)PVCポリマーは、250℃未満、代替的に225℃未満、代替的に200℃未満の軟化点温度を有する。軟化点温度はまた、加工温度と称され得る。少なくとも1つの実施形態では、(B)PVCポリマーは、150~250℃の範囲、例えば、160~220℃または170~210℃の軟化点温度を有する。好ましくは、(B)PVCポリマーは、粉末である。
【0025】
エラストマーおよび/またはゴムは、衝撃強度などの特性を改良または改善するために、(B)PVCポリマーに添加またはそれとコンパウンド化され得る。好ましくは、(B)PVCポリマーは、少なくとも1つのアクリル系加工用添加剤を含む。添加剤は、Stevenson et al.,Journal of Vinyl Technology,December 1993,Vol.15,No.4,pages 244-251によって開示されている添加剤などの、当技術分野において既知であるものを含み得、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
ある特定の実施形態では、PVC組成物中のポリマーは、PVCポリマーから本質的になる。本質的にからなるとは、(B)PVCポリマーが、ポリビニル以外の1つ以上の追加のポリマーを含み得ることを意味するが、これは、そのような追加のポリマーが、(B)PVCポリマーとともに加工されて、ポリマー複合体物品を形成することができる場合に限る。(B)PVCポリマーが、PVCポリマーからならないとき、(B)PVCポリマーは、典型的に、本組成物中で利用される(B)PVCポリマーの総重量に基づいて、少なくとも50、代替的に少なくとも60、代替的に少なくとも65、代替的に少なくとも70、代替的に少なくとも75、代替的に少なくとも80、代替的に少なくとも85、代替的に少なくとも90、代替的に少なくとも95、代替的に少なくとも96、代替的に少なくとも97、代替的に少なくとも98、代替的に少なくとも99重量%の量のPVCポリマーを含む。
【0027】
(B)PVCポリマーは、エラストマーをさらに含み得る。エラストマーの非限定的な例は、スチレン-ブタジエンゴム、ポリエーテルウレタンゴム、ポリエステルウレタンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム(ネオプレン)、ポリアクリレートゴム、エチレンアクリレートゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、フルオロシリコーンゴム、フルオロカーボンゴム、全フッ素置換化エラストマー、スチレンブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリイソプレンゴム、ポリスルフィドゴム、エチレンアクリレートゴム、エピクロロヒドリンゴム、全フッ素化エラストマー(例えば、Kalrez(商標))、ポリスルフィドゴム、塩素化ポリエチレン(例えば、最大40重量パーセントの塩素を含む塩素化ポリエチレン)、およびそれらの組み合わせを含む。
【0028】
(B)PVCポリマーが、PVC以外の、およびPVCに加えてポリマーを含む場合、(B)PVCポリマーは、PVCと完全にまたは部分的に熱力学的に混和性である少なくとも1つのポリマーをさらに含み得る。そのようなポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリカプロラクトン(CPL)、およびスチレン-アクリロニトリル樹脂(SAN)を含むが、これらに限定されない。他の熱力学的に混和性のポリマーは、当技術分野で既知であり、例えば、Robeson,L.M.(1990),Miscible polymer blends containing poly(vinyl chloride).J.Vinyl Addit.Technol.,12:89-94に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
利用される(B)PVCポリマーに関係なく、(B)PVCポリマーは、未使用のポリマーおよび/またはリサイクルされたポリマーを含み得る。リサイクルされたポリマーは、利用される場合、工業生産ストリームから、ならびに工業後(post-industrial)供給源および/または消費後(post-consumer)供給源から供給され得る。(B)PVCポリマー、ならびに協調して利用される場合の未使用のポリマー対リサイクルされたポリマーの任意の比率の選択は、典型的に、それらを用いて形成されたポリマー複合体物品のコストおよび所望の特性により変化する。
【0030】
(A)ミネラル充填剤の量は、PVC組成物中の(B)PVCポリマーの量よりも多く、すなわち、(A)ミネラル充填剤対(B)PVCポリマーの比率は、1よりも大きい。
【0031】
(B)PVCポリマーは、本組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、20~92、代替的に35~90、代替的に40~49.5重量パーセントの量で本組成物中に存在し得る。例えば、(B)PVCポリマーは、本組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、または少なくとも40重量パーセントの量で本組成物中に存在し得る。(B)PVCポリマーは、本組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、92重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、または55重量%以下の量で組成物中に存在し得る。特定の実施形態では、本組成物中の(B)PVCポリマーの相対量を最小限に抑えることが望ましく、それにより、それを用いて形成されたポリマー複合体物品の望ましい特性が維持または得られる限り、選択に応じてその全体のコストが低減され得る。当業者は、以下に記載されるように、コストおよび得られる特性のバランス、ならびに他の任意の成分の有無を含む、この目的のために、(B)PVCポリマーの量が変更され得ることを理解する。
【0032】
(C)ポリジオルガノシロキサン
本組成物は、(C)ポリジオルガノシロキサンをさらに含む。式(I)の(C)ポリジオルガノシロキサン:
【化3】
(式中、各Rは、脂肪族不飽和を含まない1~18個の炭素原子の独立して選択された一価炭化水素基であり、下付き文字xは、ポリジオルガノシロキサンが、#CP-52スピンドルを備えたBrookfield DV-IIIコーンおよびプレート粘度計で、25℃での0.1RPM~50RPMで測定される350mPa・s超~100,000mPa・sの粘度を得るのに十分な値を有する。)当業者は、粘度が増加するにつれて回転速度が低下することを認識し、この試験方法を使用して粘度を測定するときに適切な回転速度を選択することができるであろう。代替的に、粘度は、5RPMにおいて上記の試験方法に従って測定して、5,000mPa・s~20,000mPa・s、代替的に5,000mPa・s~15,000mPa・s、代替的に5,000mPa・s~12,500mPa・sであり得る。
【0033】
代替的に、各Rは、1~18個の炭素原子、代替的に1~12個の炭素原子、代替的に1~6個の炭素原子、代替的に1~4個の炭素原子のアルキル基であり得る。好適なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(n-プロピルおよびイソ-プロピルを含む)、およびブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、およびイソ-ブチルを含む)を含む。代替的に、各Rは、メチルであり得る。
【0034】
好適なポリジオルガノシロキサンは、適切なオルガノハロシランモノマーの加水分解および縮合、ならびに/または任意選択的にエンドキャッピングを有する線状および環状ポリオルガノシロキサンの平衡化などの当技術分野で既知の方法によって調製され得る。ポリジオルガノシロキサンは、市販されているトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンであり得る。350mPa・s超~100,000mPa・sの粘度を有するトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンは、Midland,Michigan,USAのDow Silicones Corporationから市販されている。
【0035】
(C)オルガノポリシロキサンは、独立して選択され得る2つ以上の異なるオルガノポリシロキサンを含み得る。典型的に、(C)オルガノポリシロキサンは、本組成物およびポリマー複合体物品の加工助剤として機能する。理論に縛られることを望まないが、(C)オルガノポリシロキサンは、内部および/または外部の加工助剤であり得る。しかし、(C)オルガノポリシロキサンは、例えば、本組成物およびポリマー複合体物品の物理的または機械的特性を改良するための加工助剤としての機能に対する追加、またはその代替となる他の目的に機能し得る。
【0036】
一般的に言えば、(A)ミネラル充填剤、(B)PVCポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンの組み合わせによって様々な利点が実現され得る。例えば、本組成物が押し出し機内で混合される場合、(A)ミネラル充填剤、(B)PVCポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンの組み合わせは、一般に、押し出し機内の本組成物の溶融温度を低減させる。溶融温度の低減は、本組成物中(および押し出し機内)の任意の1つの個々の成分の融点温度とは対照的に、押し出し機およびBrabender内の本組成物の温度を指す。重要なことに、これにより、低温での組成物の加工が可能になり、コストおよび美観を含む無数の利益が提供される。例えば、リグノセルロース充填剤などのある特定の充填剤は、典型的に、組成物を流動性にするために必要である組成物のある特定の高い加工温度で炭化または分解し得る。(A)ミネラル充填剤、(B)PVCポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンの組み合わせの使用により、(A)ミネラル充填剤およびポリマー複合体物品の他の態様に劣化、炭化、またはその他の悪影響を与えることなく、低温でポリマー複合体物品を調製することが可能になる。さらに、本組成物を押し出し機内で混合する場合、(A)ミネラル充填剤、(B)PVCポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンの組み合わせによって、一般に押し出し機のトルクが低減される。トルクの低減により、より大きな出力が可能になり、これは、生成スループットの観点から特に重要である。
【0037】
ある特定の実施形態では、(i)押し出し加工温度は、(C)ポリジオルガノシロキサンを含まない(A)ミネラル充填剤と(B)PVCポリマーとの混合物の押し出し加工温度と比較して低減され、かつ/または(ii)本組成物を混合するときの押し出し機のトルクは、(C)ポリジオルガノシロキサンを含まない(A)ミネラル充填剤と(B)PVCポリマーとの混合物を押し出すときの押し出し機のトルクと比較して低減される。押し出し加工温度は、本組成物が一般に押し出し機内で加工可能であり、例えば、本組成物中の(B)PVCポリマーおよび他の成分を溶融する温度である。押し出し加工温度は、本組成物中のいずれか1つの成分の融点温度とは区別される。
【0038】
(C)ポリジオルガノシロキサンは、本組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、0超~5、代替的に0.1~2.5、代替的に0.5~1重量パーセントの量で存在し得る。例えば、(C)ポリジオルガノシロキサンは、本組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、少なくとも0.1、少なくとも0.25、または少なくとも0.5重量パーセントの量で存在し得る。(C)ポリジオルガノシロキサンは、本組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、または2.5重量%以下の量で存在し得る。
【0039】
(C)ポリジオルガノシロキサンは、ニートな(純粋な)形態で利用され得るが、代替的に、任意の他の好適な形態で提供され得、例えば、担体ビヒクルと組み合わせて希釈液体形態で提供され得るか、または代替的に固体形態で提供され得る。ある特定の実施形態では、(C)ポリジオルガノシロキサンは、25℃において液体である。
【0040】
ある特定の実施形態では、成分(A)ミネラル充填剤、(B)ポリマー、および(C)ポリジオルガノシロキサンに加えて、上記のようなポリマー複合体物品を調製するための本組成物は、着色剤(例えば、顔料および/または染料)、発泡剤(例えば、化学的および/または物理的)、UVおよび/または光安定剤、加工助剤、防腐剤、殺生物剤(例えば、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤、抗菌剤)、難燃剤および/または発煙抑制剤、衝撃性改良剤、熱安定剤、ならびに潤滑剤から選択される1つ以上の添加剤をさらに含む。これらの成分は、当技術分野で既知であり、従来の慣行に従って使用され得る。各添加剤は、利用される場合、本組成物の総重量に基づいて、0超~30重量パーセントの量で本組成物中に存在し得る。本組成物はまた、当技術分野で既知であるように、他の任意の添加剤も含み得る。そのような添加剤は、例えば、Walker,Benjamin M.,and Charles P.Rader,eds.Handbook of thermoplastic elastomers.New York:Van Nostrand Reinhold,1979、Murphy,John,ed. Additives for plastics handbook.Elsevier,2001に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
ポリマー複合体物品を調製するための方法も提供される。方法は、組成物からポリマー複合体物品を調製することを含む。ある特定の実施形態では、方法は、組成物を形成することをさらに含む。本組成物は、少なくとも成分(A)ミネラル充填剤、(B)PVCポリマー、および(C)ポリジオルガノシロキサンを、本組成物中に存在するいずれか任意の成分とともに組み合わせることにより形成される。
【0042】
組成物の成分は、任意の順序で、かつ任意の好適な様式で組み合わされ得る。ある特定の実施形態では、例えば、(B)PVCポリマーは、本組成物の形成の前、最中、および/または後に溶融され得る。例えば、(B)PVCポリマーは、(A)ミネラル充填剤および(C)ポリジオルガノシロキサンが(B)PVCポリマーの溶融形態と組み合わされるように、成分を組み合わせる前および/またはその間に加熱され得る。(A)ミネラル充填剤および(C)ポリジオルガノシロキサンは、任意の順序で(B)PVCポリマーの溶融形態と、例えば、個別に、連続して、一緒に、または同時に組み合わされ得る。しかし、代替的に、(B)PVCポリマーは、本組成物を調製するときに(B)PVCポリマーが固体で未溶融または軟化していない形態になるように、(B)PVCポリマーを加熱または溶融する前に(A)ミネラル充填剤および(C)ポリジオルガノシロキサンと組み合わされ得る。代替的に、(A)ミネラル充填剤および(C)ポリジオルガノシロキサンを組み合わせて加熱し、次に本組成物を調製するときに固体または液体形態の(B)PVCポリマーに添加され得る。
【0043】
好ましくは、(A)ミネラル充填剤および(B)PVCポリマーを一緒に組み合わせて、粉末のマスターバッチを形成する。次に、(C)ポリジオルガノシロキサンを粉末のマスターバッチと組み合わせ、粉末により吸収させた後、さらにブレンドして(C)ポリジオルガノシロキサンを均一に分散させることを確実にし得る。
【0044】
(B)PVCポリマーの融点温度(またはガラス転移温度)は、典型的に、利用される(B)PVCポリマーにより変化する。例えば、ある特定の種のポリマーは、他の種のポリマーとは異なる融点温度を有する。ある特定の実施形態では、(B)PVCポリマーは、本組成物の形成前、形成中、および/または形成後に、(B)ポリマーの融点温度より高い、例えば、(B)ポリマーの融点温度よりも10~90、代替的に10~40℃高い温度に加熱される。これにより、(B)ポリマーの単なる軟化ではなく溶融を確実にする。代替的に、より低い温度がせん断または混合と組み合わせて利用されて、(B)ポリマーの軟化および/または溶融を確実にし得る。
【0045】
ポリマー複合体物品を調製するための組成物は、例えば、好適な混合機器を用いて、混合またはせん断下で形成され得る。例えば、本組成物は、攪拌機および/または混合ブレードを備えた容器内で形成され得る。容器は、例えば、バンバリー、シグマ(Z)ブレード、またはキャビティトランスファースタイル混合機などの内部混合機であり得る。代替的にまたはさらに、組成物は、任意の押し出し機、例えば、回転および/もしくは往復(共混練機)スクリューを備えた単軸スクリュー押し出し機、ならびに接線方向または部分的/完全に噛み合って整列され得、同方向もしくは逆回転方向に回転する2つ以上のスクリューを備える多軸スクリューデバイスであり得る押し出し機内で形成され得るか、またはそれによって加工され得る。代替的に、本明細書に記載の組成物を形成するために、円錐形押し出し機が使用され得る。
【0046】
上で紹介されるように、本方法は、ポリマー複合体物品を調製するための組成物からポリマー複合体物品を調製することも含む。組成物は、例えば、容器内で形成され、その後容器から取り出されて、別個の機器でポリマー複合体物品を形成し得る。代替的に、同じ機器が、組成物を調製し、その後ポリマー複合体物品を形成するために利用され得る。例えば、本組成物は、押し出し機内で調製および/または混合され得、押し出し機は、本組成物を用いてポリマー複合体物品を調製するために利用され得る。代替的に、ポリマー複合体物品は、例えば、射出成形またはトランスファー成形プロセスを用いた成形により形成され得る。本組成物は、金型内でその場で形成され得るか、または独立して形成され、形成されたら金型内に配置され得る。代替的に、さらに、ポリマー複合体物品は、フィルムであり得る。そのような実施形態では、本組成物は、容器内で、任意選択的に高温での混合下で形成または配置され、本組成物からフィルムを調製するための機器内またはその上に配置され得る。組成物、特に本組成物の(B)PVCポリマーのような熱可塑性樹脂を含むものからフィルムを調製するためのそのような機器および技法は、当技術分野で周知である。
【0047】
ある特定の実施形態では、組成物からポリマー複合体物品を調製することは、組成物を所望の形状に形成することをさらに含む。所望の形状は、ポリマー複合体物品の最終使用用途に依存する。当業者は、押し出し用のダイおよび成形用の金型が、ポリマー複合体物品の所望の形状に基づいて、どのように選択および作製され得るかを理解する。
【0048】
ある特定の実施形態では、本方法は、二軸スクリュー押し出し機(スクリューが、部分的または完全に噛み合いながら同時に回転するか、代替的に接線方向に、部分的に、または完全のいずれかで噛み合いながら整列して、逆回転する)などの押し出し機内で連続的または半連続的に行われる。一実施形態では、(C)ポリジオルガノシロキサンは、(A)ミネラル充填剤および(B)PVCポリマーと同時に押し出し機内に配置される。代替的に、(C)ポリジオルガノシロキサンは、(B)PVCポリマーを溶融した後、かつ(A)ミネラル充填剤を添加する前に押し出し機内に配置され得る。代替的に、(C)ポリジオルガノシロキサンは、(A)ミネラル充填剤および(B)PVCポリマーが押し出し機を出た後、かつポリマー複合体物品が押し出し機を出る前に、押し出し機内に配置され得る。代替的に、(A)ミネラル充填剤は、(C)ポリジオルガノシロキサンと同時に押し出し機内に配置され得、ここで、それらは加熱されて、(C)ポリジオルガノシロキサンを用いた(A)ミネラル充填剤の表面処理を有効にし、次に(B)PVCポリマーを押し出し機内に配置して、混合物を得、混合物をコンパウンド化し、ポリマー複合体物品を形成するのに好適な温度まで温度を増加させる。押し出し機は、出発材料が添加され得る1つ以上のゾーン、例えば、1~3個、または3~8個、または1~12個のゾーンを有し得る。ゾーンは、異なる温度で加熱され得る。
【0049】
本発明のポリマー複合体物品は限定されず、無数の最終使用用途および産業に合わせてカスタマイズされ得る。単なる例として、ポリマー複合体物品は、管;配管;ホース;絶縁(例えば、熱的および/または電気的絶縁)物品;インテリア構成要素、例えば、床マットを含む、自動車の構成要素または用途;消費者製品および用途、工業用または商業用製品および用途、航空宇宙製品および用途、輸送用製品および用途、航空機製品および用途、電子製品および用途、住宅または商業用建築および建設製品および用途、例えば、デッキ、手すり、サイディング、フェンス、窓枠、フローリングなどにおいて利用され得るか、またはそれらとして利用され得る。
【0050】
本発明を例示的に説明してきたが、使用されている用語は、限定ではなく説明の言葉の性質であることを意図していることを理解されたい。明らかに、上記の教示に照らして、本発明の多くの修正および変形が可能である。本発明は、具体的な説明とは別様に実践され得る。
【0051】
産業上の利用可能性
理論に縛られることを望まないが、(C)ポリジオルガノシロキサンは、本明細書に記載のポリマー複合体および/またはそれらを作製するためのプロセスに1つ以上の利益を提供し得ると考えられる。これらは、以下を含む。
【0052】
発泡ポリマー組成物のより低い密度;コストの低減をもたらすこと;
同じ発泡剤および加工用助剤の充填量レベルでより厚い製品を得られる、発泡ポリマー組成物のより高い膨張、効率的で費用効果の高い配合;
より低い塵埃レベル、ならびに/またはブレンダーおよびブレードへの充填剤のより低い付着レベルによる、より良好な混合、ブレンダーの容易な洗浄;
堅牢な加工、膨張を最大化し、最大ガス閉じ込めをもたらす改善された溶融強度;
より良好な難燃性および発煙抑制性能を得られる増加した炭化物含有量;
改善されたトライボロジー特性、より良好な耐摩耗性
より広い加工ウィンドウをもたらすより低いずり流動性;
発泡物品における改善されたセル構造;
コンパウンド化中のより低いトルクにより、加工のための電力消費がより低くなり得、それがより高いスループットを可能とし、製造歩留まりを向上させ得る;
増加したコンパウンド化のスループットおよびもしくはより低いエネルギー消費;
コンパウンド化および成形時のより良好な充填剤分散および低減したガラス繊維の破断(ガラス繊維が使用されている場合);
メルトフローの改善のため、より薄い壁を成形する能力;
コスト節約をもたらす高い充填剤充填量を含む能力;
離型時のより低い不良率;
より高い充填剤レベルにおいて課題であり得る、より良好な表面品質および/または仕上げ;
より高い充填剤充填量に関係なく改善された伸び
より高い充填剤充填量に関係なく改善された衝撃強度
改善された融合特性、
たとえ高い充填剤充填量においても重要な特性を維持または改善し、化合物のコストを低減させながらより良好な性能、加工が得られる
堅牢な加工を提供するせん断の影響がより低い化合物を得られる、改善された溶融レオロジー
改善された疎水性;
より多くの割合のリサイクルされたポリマーまたは異なるグレードを利用する能力;および/または
強度および他の特性を改善する添加剤を可能にすること。
【実施例
【0053】
実施例A1~A12
以下の表1は、実施例A1~A12、ならびに比較例C1およびC2の組成物を調製するために利用される成分のタイプおよび量を示す。例示的なポリ塩化ビニル配合物を、表1の材料を順次添加することによって調製した。室温でPVCポリマーをGunther Papenmeier/Welexブレンダーに添加し、電力を15Aに上げ、125°Fで熱安定剤を添加し、150°Fで潤滑剤パッケージを添加し、170°Fで衝撃性改良剤を添加し、190°FでTiOを、195°FでCaCOを添加することによって、マスターバッチを約20分間で調製した。シロキサンは、小型ブレンダーを使用して室温で後にブレンドした。
【表1】
【0054】
表1の組成物を、0.3mmのギャップを有する、185℃の電気Collin Rollミルで3分間ミリングして、各組成物からミリングしたシートを得、次いでミリングしたシートを190℃で厚さ3.2mmのプラークを形成するために圧縮成形した。プラークの色性能は、Lab Scan(HunterLab)を使用して測定し、ノッチ付きアイゾット衝撃強度(ASTM D256に従って測定)を評価した。これらの物理的特性を以下の表2に記載する。
【表2】
【0055】
上記の表2に示すように、トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンを含有する実施例は、加工中の増加した色安定性、および潜在的により広い加工ウィンドウを示した。トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンを含有する実施例は、より高い衝撃強度を示した。
【0056】
実施例A1~A12、ならびに比較例C1およびC2において作製した複合体の追加の物理的特性を測定し、以下の表3および表4に記載した。表3に記載の物理的特性は、タイプ5の引張棒および0.5インチ/分の速度を使用して、ASTM D638に従って測定した。Brabenderレオロジー衝撃性および融合時間に関連する表4に記載の物理的特性、トルクは、Duisburg,GermanyのBrabender GmbH&Co.KGから市販のBrabenderミキサーを、60RPM、185℃、および樹脂65グラムに維持した動作条件で使用して測定した。
【表3】
【表4】
【0057】
実施例A13およびA14ならびに比較例C3
以下の表5は、実施例A13およびA14ならびに比較例C3の組成物を調製するために利用される成分のタイプおよび量を示す。実施例A13およびA14ならびに比較例C3は、それぞれ上記の実施例A8およびA12ならびに比較例C2と同じ組成物を有する。例示的なポリ塩化ビニル配合物を、表5の材料を順次添加することによって調製した。室温でPVCポリマーをGunther Papenmeier/Welexブレンダーに添加し、電力を15Aに上げ、125°Fで熱安定剤を添加し、150°Fで潤滑剤パッケージを添加し、170°Fで衝撃性改良剤を添加し、190°FでTiOを、195°FでCaCOを添加することによって、マスターバッチを約20分間で調製した。次に、マスターバッチの粉末を室温に冷却した。次に、シロキサンをマスターバッチの粉末に添加した。マスターバッチの粉末によりシロキサンが吸収された後、混合物を実験室用Waringブレンダー内に入れ、数分間ブレンドして均一なシロキサン分散体を得た。
【表5】
【0058】
表に列挙された配合したPVCを、0.3mmのギャップを有する、185℃の電気Collin Rollミルで3分間ミリングして、次いでミリングしたシートを190℃で厚さ3.2mmのプラークに圧縮成形した。ノッチ付きアイゾット衝撃強度(ASTM D256に従って測定)を評価した。これらの物理的特性を以下の表6に記載する。
【表6】
【0059】
実施例A15~A20
以下の表7は、実施例A15~A20および比較例C4の組成物を調製するために利用される成分のタイプおよび量を示す。例示的なPVC配合物を、表7の材料を順次添加することによって調製した。室温でPVCポリマーをGunther Papenmeier/Welexブレンダーに添加し、電力を15Aに上げ、125°Fで熱安定剤を添加し、150°Fで潤滑剤パッケージを添加し、170°Fで衝撃性改良剤を添加し、190°FでTiOを、195°FでCaCOを添加することによって、マスターバッチを約20分間で調製した。シロキサンを、Brabender内で融合する前に、室温で後から添加した。
【表7】
【0060】
表7の組成物を、Brabender内で185℃で60RPMで7分間混合し、次いで溶融ポリマーを室温(20℃)で厚さ3.2mmのプラークに圧縮成形した。融合レオロジーを表8に示し、これは、シロキサンを含有するサンプルでの圧縮および融合トルクの顕著な減少を示している。
【表8】
【0061】
以下の表9に示すように、ノッチ付きアイゾット衝撃強度(ASTM D256)、および0.2インチ/分のクロスヘッド速度を使用して、ASTM D638に従って引張特性を測定した。シロキサンを含有する実施例は、同等の降伏応力、類似のあるいはより大きな破断応力、および類似のあるいはより高い弾性係数を示している。
【表9】
【0062】
以下の表10に示すように、元の炭酸カルシウム充填剤を最大ですべてタルクと置き換えて、実施例A15~A20のものと同様に、実施例の第2のセットを配合した。実施例A15~A20について前述したのと同じ加工および試験プロトコルを使用した。タルクを含有する配合物は、対応するレベルの炭酸カルシウムを含有する配合物と比較して、レオロジーにおいて顕著な差を示さなかった。PVC配合物の機械的特性に対するタルクおよびシロキサンの効果は関連し合っており、いくつかの組み合わせは著しく高い衝撃強度および延性性能を有していた。12phrの炭酸カルシウムに対してわずか4phrのタルクによって、全体として、より高い弾性係数もまた得られた。
【表10】
【表11】
【表12】
【0063】
実施例B1~B6(PVC発泡体デッキ)
以下の表13は、実施例B1~B6、ならびに比較例C8およびC9の組成物を調製するために利用される成分のタイプおよび量を示す。例示的なPVC配合物を、表13の材料を順次添加することによって調製した。室温でPVCポリマーをGunther Papenmeier/Welexブレンダーに添加し、電力を15Aに上げ、125°Fで熱安定剤を添加し、150°Fで潤滑剤パッケージを添加し、170°Fで衝撃性改良剤を添加し、190°FでTiOを、195°FでCaCOを添加することによって、マスターバッチを約20分間で調製した。シロキサンを、Brabender内で融合する前に、室温で後から添加した。
【表13】
【0064】
表13の組成物を、0.3mmのギャップを有する、185℃の電気Collin Rollミルで3分間ミリングして、各組成物からミリングしたシートを得、次いでミリングしたシートを190℃で厚さ3.2mmのプラークを形成するために圧縮成形した。プラークの色性能は、Lab Scan(HunterLab)を使用して測定し、ノッチ付きアイゾット衝撃強度(ASTM D256に従って測定)を評価した。これらの物理的特性を以下の表14に記載する。
【表14】
【表15】
【表16】
【0065】
表16に示すように、同じ充填剤充填量レベルで、シロキサンを含有する実施例は、より低い発泡体の密度および改善された表面外観を示した。
【表17】
【0066】
実施例D1~D4(PVC LVT硬質発泡体層)
以下の表18は、実施例D1~D4、ならびに比較例C10およびC11の組成物を調製するために利用される成分のタイプおよび量を示す。例示的なPVC配合物を、表18の材料を順次添加することによって調製した。室温でPVCをGunther Papenmeier/Welexブレンダーに添加し、電力を15Aに上げ、125°Fで熱安定剤を添加し、150°Fでシロキサンを含む潤滑剤パッケージを添加し、170°Fでアクリル系加工用助剤を添加し、190°FでTiOを、195°FでCaCOを添加することによって、乾燥ブレンドを調製した。粉末をブレンドした後、それを室温に冷却した。
【表18】
【0067】
配合したPVCサンプルを、0.3mmのギャップを有する、170℃の電気Collin Rollミルで5分間ミリングして、次いでミリングしたシートを175℃で厚さ3.2mmのプラークに圧縮成形した。アイゾット衝撃(ノッチなし)強度(ASTM D256に従って測定)、引張強度(ASTM D 638)、および荷重たわみ温度(HDT)(ASTM D648)のためにサンプルを切断した。密度、膨張、および加工条件の調査のために、発泡体ロッドを、4.78mmのロッドダイを備えたPolylabによる実験室用二軸スクリュー押し出し機RS5000を使用して押し出した。押し出し温度の設定は、スクリュー速度60RPMとともに、170℃/175℃/185℃/180℃(ダイ)であった。床までの時間は、溶融物/ロッドがダイから床に到達するのにかかった時間として報告した。融合の調査を、Brabender Intelli Torque 7150において、190℃、60rpm、7分間、100PHRのCaCOについて74グラム、140PHRのCaCOについて78グラムで行った。Brabenderからの材料を平らなプラークにプレスし、それを断片に切断してレオメーターのキャピラリーに供給し、190℃での溶融粘度を測定した。
【表19】
【0068】
用語の定義および用法
本明細書の文脈により別段の指示がない限り、すべての量、比率、およびパーセンテージは重量によるものであり、すべての試験方法は、本開示の出願日現在のものである。「a」、「an」、および「the」という冠詞は各々、1以上を指す。添付の特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」の表現、およびそこに記載される特定の化合物、組成物、または方法に限定されず、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態間で異なり得ることを解されたい。様々な実施形態の特定の特徴または態様を説明するための本明細書に依拠する任意のマーカッシュグループに関して、他のすべてのマーカッシュメンバーから独立したそれぞれのマーカッシュグループの各メンバーから異なる、特別な、かつ/または予期しない結果が得られる可能性がある。マーカッシュグループの各メンバーは、個別に、およびまたは組み合わせて依拠され得、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。
【0069】
さらに、本発明の様々な実施形態の説明に依拠する任意の範囲および部分範囲は、添付の特許請求の範囲の範疇に独立してかつ集合的に含まれ、そのような値が本明細書に明示的に書かれていない場合であっても、それらの全体および/または小数値を含むすべての範囲を説明および企図すると理解される。当業者は、列挙された範囲および部分範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、有効にし、そのような範囲および部分範囲が、関連する半分、3分の1、4分の1、5分の1などにさらに詳しく説明され得ることを容易に認識する。単なる一例として、「0.1~0.9の」範囲は、下3分の1、すなわち0.1~0.3、中3分の1、すなわち0.4~0.6、および上3分の1、すなわち0.7~0.9にさらに詳しく説明され、これらは、個別にかつ集合的に添付の特許請求の範囲の範疇にあり、個別および/または集合的に依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。加えて、「少なくとも」、「超」、「未満」、「以下」などの範囲を定義または修飾する文言に関して、そのような文言が部分範囲および/または上限もしくは下限を含むことを理解されたい。別の例として、「少なくとも10」という範囲には、少なくとも10~35の部分範囲、少なくとも10~25の部分範囲、25~35の部分範囲などが本質的に含まれ、各部分範囲は、個別にかつ/または集合的に依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。最後に、開示された範囲内の個々の数字は、依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。例えば、「1~9」という範囲には、3などの様々な個々の整数、ならびに4.1などの小数点(または分数)を含む個々の数値が含まれ、このことは、依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。
【0070】
本明細書で使用される、「組成物」という用語は、組成物を含む材料、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を含む。
【0071】
「含む(comprising)」という用語およびその派生語は、それらが本明細書において開示されているかどうかにかかわらず、任意の追加の成分、ステップ、または手順の存在を排除することを意図しない。いかなる疑いも回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて本明細書において特許請求されるすべての組成物は、矛盾する記述がない限り、ポリマー性かまたは別様かにかかわらず、任意の追加の添加剤、補助剤、または化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の記載の範囲から、任意の他の成分、ステップ、または手順を排除する。「から成る(consisting of)」という用語は、具体的に規定または列挙されていない任意の構成要素、ステップ、または手順を除外する。
【0072】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、同じ種類のものか、または異なるタイプのものかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下に、唯一のタイプのモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、および本明細書において以下に定義されるようなインターポリマーという用語を包含する。微量の不純物が、ポリマーに、かつ/またはポリマー内に組み込まれ得る。
【0073】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」、および同様の用語は、2つ以上のポリマーの組成物を意味する。そのようなブレンドは、混和性であっても、そうでなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当技術分野で既知の任意の他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含有しても、そうでなくてもよい。ブレンドは積層体ではないが、積層体の1つ以上の層がブレンドを含有してもよい。

【国際調査報告】