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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ポリマー材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/04 20060101AFI20221006BHJP
   B29B 17/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C08J9/04 101
C08J9/04 CFD
B29B17/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506879
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(85)【翻訳文提出日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 RU2019000643
(87)【国際公開番号】W WO2021034216
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】2019125917
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522039326
【氏名又は名称】フォーペット エス.アー.エール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラストルグエフ、ドミトリー セルゲービチ
(72)【発明者】
【氏名】ニキテンコ、セルゲイ セルゲービチ
(72)【発明者】
【氏名】ツィルクレフ、ミハイル バレレビチ
【テーマコード(参考)】
4F074
4F401
【Fターム(参考)】
4F074AA66
4F074AA66L
4F074AB05
4F074AG06
4F074BA32
4F074BA33
4F074BC11
4F074CA22
4F074DA02
4F074DA23
4F074DA33
4F401AA22
4F401AC11
4F401BA13
4F401CA02
4F401CA14
4F401CA22
4F401CA42
4F401CA45
4F401CA58
4F401CA79
4F401CB18
4F401FA08Z
(57)【要約】
ポリマー材料は、密度が30kg/m~750kg/mであり、固有粘度が0.5dl/g~1.0dl/gである発泡ポリエチレンテレフタラートからなる。ポリエチレンテレフタラート廃棄物又は未使用のポリエチレンテレフタラートから製造された、固有粘度が0.5dl/g~1.0dl/gであるポリエチレンテレフタラート顆粒が、含水率50~7000ppmまで乾燥され、次いで押出機の投入ホッパーに投入され、そこで前記材料は染料又は加工助剤と混合される。次いで、ポリエチレンテレフタラートは、窒素若しくは二酸化炭素、又はイソペンタン、又はn-ペンタン、又はフレオン、又はそれらの混合物をダイの上流のコネクタに同時に供給している間に押し出される。ダイの内部及びダイからの出口において、ポリエチレンテレフタラート溶融物の温度及び圧力の制御が可能な発泡が、30kg/m~750kg/mの範囲の密度まで行われる。ダイからの溶融物は、カレンダーロール上に供給され、カレンダーロール上で前記溶融物は冷却され、500~25,000μmの厚みにカレンダー加工され、次いでミシン目付け(筋付け)され、別々のシートに切断される。達成される結果は、耐湿性及び高いリサイクル率である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度が30kg/m~750kg/mの範囲であり、固有粘度が0.5dl/g~1.0dl/gの範囲である発泡ポリエチレンテレフタラートを含む、ポリマー材料。
【請求項2】
前記発泡ポリエチレンテレフタラートの厚みが500μm~25000μmの範囲である、請求項1に記載のポリマー材料。
【請求項3】
前記発泡ポリエチレンテレフタラートが、一方の面に波状面を有する、請求項1に記載のポリマー材料。
【請求項4】
ポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマー、又は押出キャストポリエチレンテレフタラート、又はポリエチレンテレフタラートコポリマーの層が、前記発泡ポリエチレンテレフタラートを部分的に溶融させることによって、前記材料の表面張力に起因して前記発泡ポリエチレンテレフタラートの一方の面に適用されている、請求項1に記載のポリマー材料。
【請求項5】
前記層の厚みが10μm~50μmの範囲である、請求項4に記載のポリマー材料。
【請求項6】
ポリマー材料の製造方法であって、
固有粘度が0.5dl/g~1.0dl/gの範囲であり、ポリエチレンテレフタラート廃棄物又は一次ポリエチレンテレフタラートをベースとして得られたポリエチレンテレフタラート顆粒が、含水率0.005%~0.7%まで乾燥され、
前記ポリエチレンテレフタラートが、押出機の材料投入供給装置にさらに投入され、前記材料投入供給装置で前記ポリエチレンテレフタラートが染料又は加工添加剤と混合され、
次いで、前記ポリエチレンテレフタラートが、窒素若しくは二酸化炭素、又はイソペンタン、又はn-ペンタン、又はフレオン(Freon(商標)134a若しくは142a若しくは152a)又はそれらの混合物を同時に供給している間に押し出され、
ダイの前、前記ダイの内部、及び前記ダイの出口に設けられたコネクタ内で、ポリエチレンテレフタラート溶融物が温度及び圧力の制御が可能な発泡に供されて30kg/m~750kg/mの範囲の密度が得られ、
その後、前記ダイからの前記溶融物がカレンダーロール上に供給され、前記カレンダーロール上で前記溶融物が冷却され、500μm~25000μmの厚みにカレンダー加工され、さらに筋付け(ミシン目付け)に供され、別々のシートに切断される、
方法。
【請求項7】
前記ポリエチレンテレフタラート廃棄物を使用する場合、前記ポリエチレンテレフタラート廃棄物が予め洗浄され、精製されて混入物質を除かれ、次いで粉砕されて1mm~20mmの大きさの画分となり、ポリマーの種類及び色によって分類され、
次いで、分類された前記ポリエチレンテレフタラート廃棄物が前記押出機のホッパーに投入されて溶融させられ、
真空ポンプを用いて余分な混入物及び水分を除去している間に、前記押出機を用いて押出ライン上でポリエチレンテレフタラート溶融物の形成が行われ、
次いで、真空ポンプを用いて反応器中で前記ポリエチレンテレフタラートの液状重縮合が行われて、固有粘度が0.5dl/g~1.0dl/gの範囲のポリエチレンテレフタラート顆粒が得られる、
請求項6に記載のポリマー材料の製造方法。
【請求項8】
フレオン(Freon(商標)134a若しくは142a若しくは152a)又はそれらの混合物が用いられる、請求項6に記載のポリマー材料の製造方法。
【請求項9】
前記カレンダー加工の際に、輪転グラビア若しくはオフセット若しくはフレキソ印刷を用いて、又はそれらの任意の組み合わせによって、印刷層が発泡ポリエチレンテレフタラートの一方の面に適用される、請求項6に記載のポリマー材料の製造方法。
【請求項10】
前記ポリエチレンテレフタラート廃棄物として、ボトル、繊維、フィラメント、スプルー、フレークが用いられる、請求項7に記載のポリマー材料の製造方法。
【請求項11】
前記ダイから出た発泡ポリエチレンテレフタラートをカレンダー加工する際に、波形カレンダーロールが用いられ、それによって前記発泡ポリエチレンテレフタラートの一方の面に波状面が形成され、ロール対のもう一方のカレンダーロールが、平滑化されるか、レリーフが付与されている、請求項6に記載のポリマー材料の製造方法。
【請求項12】
ポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマー、又は押出キャストポリエチレンテレフタラート、又はポリエチレンテレフタラートコポリマーの層が、押出キャストによって前記材料の外側の面に適用される、請求項6に記載のポリマー材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な目的のための製品を収容、保管及び輸送することを目的とする材料に関する。さらに、本発明による材料は、封止、敷設及び補強に使用することができる。本発明は、産業又は商業の分野で使用することができ、段ボールのより信頼性の高い代替物である。
【背景技術】
【0002】
従来技術は、段ボール材料についての解決策を開示しており、これらは、厚紙及び/又は紙の複数の層と、波形の中芯紙又は紙の1つの層(複数の層)(必須層)とからなり、主に以下のように実施される:厚紙又は紙は、150~180℃に加熱された波形ギアロールの間を通され、次いで整えられて平らな厚紙又は紙に接着され、その後の乾燥、切断及び筋付け(ミシン目付け)に供される。このような解決策としては、英国で1856年に開発され、特許を取得した材料が挙げられる。この材料について今日我々が理解しているとおり、15年後の1871年12月20日にニューヨークのアメリカ人Albert Jonesが段ボールの特許を取得した。これは、2層の段ボール、すなわち平らな層のうち1つがない段ボールであった。最初の段ボール製造装置は1874年に構築され、それ以降、大量生産が開始され、徐々に世界中に広がった。同じ年に、3層の段ボールが製造された。最大規模の製造業者は以下の通りである。
https://www.westrock.com/en/products/containerboard;
https://www.storaenso.com/en/products/packaging-solutions/corrugated-packaging;
http://www.internationalpaper.com/products/europe-middle-east-africa/corrugated-packaging;
https://www.mondigroup.com/en/products-and-solutions/corrugated-packaging/;
https://www.ilimgroup.ru/produktsiva/gofroupakovka/;
https://nkbk.ru/products/gofrokarton/
【0003】
既知の解決策の欠点としては、以下が挙げられる:波形の中芯紙又は紙の層の一方向性に起因する、中芯紙又は紙の波に沿った段ボールの強度特性の低下;厚紙及び/又は紙をリサイクルするサイクルが有限であること;水分及び湿気並びに多くの液体化学物質の使用に対する耐性の欠如;このような梱包材の材料の表面/内部に病原体媒体及びカビが出現したり発生したりする可能性;この材料からなる梱包材の可燃性及び燃焼性の増加;かなりの量のこの種の材料、及び該材料から作られた梱包材を使用することにより、地球上の森林資源の破壊、空気中の二酸化炭素の含有量の増加、並びに地球の生態系への害がもたらされる。
【発明の概要】
【0004】
新規なポリマー材料の著者が設定した目的は、類似の従来技術の欠点を取り除くことである。その技術的結果は、発泡ポリエチレンテレフタラートをベースとしたポリマー材料が作り出されることにあり、この材料は、耐湿性があり、高いリサイクル率を示す。この技術的結果は、一連の本質的な特徴によって達成される。
【0005】
本発明の本質は、ポリマー材料が、密度が30kg/m~750kg/mの範囲であり、固有粘度が0.5dl/g~1.0dl/gの範囲である、ニート(neat)PETからの発泡ポリエチレンテレフタラートからなることである。発泡ポリエチレンテレフタラートの厚みは、500μm~25000μmの範囲である。さらに、その機械的強度を高めるために、発泡ポリエチレンテレフタラートは波状面を有してもよい。同時に、発泡ポリエチレンテレフタラートの一方の面は、その部分溶融によって、ポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマー、又は押出キャストポリエチレンテレフタラート、又はポリエチレンテレフタラートコポリマーの層により、材料の表面張力に起因してコーティングされている。このような層の厚みは、10μm~50μmの範囲である。ポリマー材料の製造方法は、以下のように行われる。固有粘度が0.5dl/g~1.0dl/gの範囲であり、ポリエチレンテレフタラート廃棄物又は一次ポリエチレンテレフタラートをベースとして製造されたポリエチレンテレフタラート顆粒が、含水率0.005%~0.7%まで乾燥される。次いで、ポリエチレンテレフタラートは、押出機の材料投入供給装置に投入され、材料投入供給装置内で材料は染料又は加工助剤と混合される。次いで、ポリエチレンテレフタラートは、窒素若しくは二酸化炭素、又はイソペンタン、又はn-ペンタン、又はフレオン(Freon(商標)134a若しくは142a若しくは152a)又はそれらの混合物を同時に供給している間に押し出される。ダイの前、ダイの内部、及びダイの出口に設けられたコネクタ内で、ポリエチレンテレフタラート溶融物の温度及び圧力の制御が可能な発泡が行われて、30kg/m~750kg/mの範囲の密度が得られる。溶融物は、ダイからカレンダーロール上にさらに供給され、カレンダーロール上で溶融物は冷却され、500μm~25000μmの厚みにカレンダー加工され、次いで筋付けに供され、別々のシートに切断される。さらに、ポリエチレンテレフタラート廃棄物を使用する場合、ポリエチレンテレフタラート廃棄物は予め洗浄され、精製されて混入物を除かれ、次いで粉砕されて1mm~20mmの大きさの画分となり、ポリマーの種類及び色によって分類された後、分類されたポリエチレンテレフタラート廃棄物は押出機のホッパーに投入されて溶融させられる。次に、真空ポンプを用いて余分な混入物及び水分を除去している間に、ポリエチレンテレフタラート溶融物は、押出機を用いて押出ライン上で押し出される。その後、真空ポンプの作用下で、ポリエチレンテレフタラートは、反応器中で液体状態重縮合に供されて、固有粘度が0.5dl/g~1.0dl/gの範囲のポリエチレンテレフタラート顆粒が得られる。同時に、前記カレンダー加工の際に、発泡ポリエチレンテレフタラートの一方の面は、輪転グラビアもしくはオフセットもしくはフレキソ印刷によって、又はそれらの任意の組み合わせによって印刷層でコーティングされる。同時に、ポリエチレンテレフタラート廃棄物として、ボトル、繊維、フィラメント、スプルー(sprues)、フレークが用いられる。同時に、ダイから出た発泡ポリエチレンテレフタラートをカレンダー加工する際に、波形カレンダーロールが用いられ、それによって発泡ポリエチレンテレフタラートの一方の面に波状面が形成され、ロール対のもう一方のカレンダーロールは、平滑化されるか、レリーフが付与されている。さらに、ポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマー、又は押出キャストポリエチレンテレフタラート、又はポリエチレンテレフタラート、又はポリエチレンテレフタラートコポリマーの層が、押出キャスト法を用いて材料の屋外側に適用(塗布)される。
【0006】
本発明を図面によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一次PETをベースとした発泡ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム/シートを製造するプロセスを概略的に示す図である。
【0008】
図2】PETの液体状態重縮合法を用いて、PET梱包材廃棄物及び/又はリサイクルPET(ボトル、繊維、フィラメント、スプルー、PETフレーク)をベースとした発泡リサイクルPETフィルム/シートを製造するプロセスを概略的に示す図である。
【0009】
図3】PETの液体状態重縮合プロセスを示す図である。
【0010】
図4】発泡リサイクルPETの構造を示す図である。
【0011】
図5】筋(ミシン目)を有する発泡リサイクルPETの構造を示す図である。
【0012】
図6】筋(ミシン目)を有する発泡リサイクルPET、及び非発泡リサイクルPETの共押出(CoEx)又は押出キャスト層の構造を示す図である。
【0013】
図7】特許請求の範囲に記載の材料の実施形態のうち1つを概略的に示す図である。
【0014】
図8】段ボールの波(フルート)に類似した一方向波を有する、特許請求の範囲に記載の材料の一実施形態を概略的に示す図である。
【0015】
図9】改善された強度をもたらすために互いに垂直に向けられた波を有する、特許請求の範囲に記載の材料の一実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発泡ポリエチレンテレフタラートをベースとしたポリマー材料は、存在してもよい印刷層1と、発泡ポリエチレンテレフタラートの必須のベース層2とを含む。追加の層3を使用することが可能である。追加の層3は、ポリエチレン若しくはポリエチレンコポリマー、又は押出キャストポリエチレンテレフタラート、又はポリエチレンテレフタラートコポリマーからなる。追加の層3は、印刷された情報をより良好に付着させるために必要であり、筋の位置での曲げ戻しの回数を増加させる付加的な補強層として用いられる。追加の層3の厚みは、10μm~50μmの範囲である。この層は、共押出(CoEx)及び/又は押出キャスト法を用いて発泡ポリエチレンテレフタラートの層2上に適用され、発泡ポリエチレンテレフタラートの層2を部分的に混合及び/又は溶融させることによって、これらの材料の表面張力に起因して発泡ポリエチレンテレフタラートの層2に接合している。発泡ポリエチレンテレフタラートの層2は、主な支持キャリア層として機能する。印刷層1は、発泡ポリエチレンテレフタラートの層2の外面又は層3の外側の面に適用される情報層である。印刷層1は、各種の消費者向けの情報や画像を収容するように構成される。印刷層1は、輪転グラビア印刷もしくはオフセット印刷もしくはフレキソ印刷、又はそれらの任意の組み合わせを用いて作製され、層3又は発泡ポリエチレンテレフタラートの層2に適用され得る。印刷層1はまた、予め印刷され、接着剤を付与された自己接着性ステッカー、ラベルなどで作製されてもよい。発泡ポリエチレンテレフタラートの層2は、以下のリサイクル工程を通過したポリエチレンテレフタラート廃棄物から作製され得る:ポリエチレンテレフタラート廃棄物の洗浄及び精製;ポリエチレンテレフタラート廃棄物の粉砕、並びにポリマーの種類及び色による分類;ポリエチレンテレフタラート溶融物の押し出し;ポリエチレンテレフタラートの液体状態重縮合の実施。ポリエチレンテレフタラートの液体状態重縮合は、真空下で溶融状態で縮合するポリエチレンテレフタラートの固有の性能に基づく。縮合は、固有粘度の増加をもたらす。高効率の真空により、材料から有害な化学混入物質が効果的に除去され、それによってリサイクル材料は、食品と接触しても100%安全に使用することが可能になる。ポリエチレンテレフタラート溶融物がP:REACT(LSP反応器)の垂直部分に流入すると、フィラメントが形成され、それにより体積との関連で対応する表面が形成される。次いで、材料は水平ドラムに回収され、ゆっくりと前方に移動させられる。縮合プロセスは、フィラメントの形成直後に始まり、ポリエチレンテレフタラートがLSP反応器を出るまで続く。固有粘度の増加は、LSP反応器中のポリエチレンテレフタラート溶融物の滞留時間及び真空度によって制御され、したがって所望のレベルに設定され得る。パラメータ設定により、制御ユニットが、狭い許容範囲内で所定の固有粘度レベルを維持することが可能になる。不純物を除去するプロセスは、ポリエチレンテレフタラートの液体状態で行われるため、非常に効果的である。食品産業規格によって設定された限界を超える材料の精製効率がもたらされるだけでなく、精製プロセス中に潤滑剤が繊維から効果的に除去される。約0.01dl/g/分のレベルで固有粘度の増加が測定され得る。LSP反応器の連続運転は、顆粒の狭い固有粘度範囲を提供し、これは、高性能の用途、例えば紡糸又は押し出しによるシートの製造に適している。大量生産中の固有粘度の変動は、単純に排除される。有害な不純物、例えば潤滑剤又は食品との接触を意図していない物質の分離は、高効率の真空下で行われる。不純物の除去率が高いことにより、LSP反応器は様々な用途での利用が可能になり、その高い運転柔軟性をもたらす。LSP反応器中で作り出された有利な条件(温度/溶融物の表面-体積比/高効率真空)により、PETの縮合プロセスを自由に開始することが可能になる。これにより、固有粘度は約0.01dl/g/分だけ増加する。応答時間が速いほど、要求される結果の達成が速くなり、より高い収益性につながる。発泡ポリエチレンテレフタラートの層2により、そのセル状構造に起因して、(図5に示すような)直線状の溝、すなわち筋(ミシン目)4を付ける作業を行うことが可能になる。筋4は、ポリエチレンテレフタラートの発泡中に形成される気泡の空隙間の隔壁が部分的に破壊されることにより、その形状を保持する。発泡ポリエチレンテレフタラートの層2は、十分な強度を保持しているため、筋4の位置での繰り返しの曲げ戻しサイクルに耐え得る。発泡ポリエチレンテレフタラートの層2は、密度が30kg/m~750kg/mの範囲であり、固有粘度(IV)が0.5dl/g~1.0dl/gの範囲である。発泡ポリエチレンテレフタラートの層2の厚みは、500μm~25000μmの範囲である。発泡ポリエチレンテレフタラートの層2のこれらのパラメータにより、特許請求の範囲に記載の材料は、波形の中芯紙/紙の層と、それに接着された2枚の平滑な紙/厚紙の層とからなる段ボールと同様の剛性を有することができる。この状態は、気泡に対して多数の多方向隔壁が存在することに起因して達成される。材料の特定の密度の範囲は、30kg/m~750kg/mである。このような発泡により、結果として得られる構造は、発泡中に作り出される気泡の多方向隔壁で補強されるが、ポリエチレンテレフタラートは、はるかに高強度の材料である。さらなる強度をもたらすために、特定の実施形態では、発泡ポリエチレンテレフタラートの層2は、(図8に示すように)段ボールの波(フルート)のような一方向波を有するように構成される。この波は、ダイを出る発泡ポリエチレンテレフタラートをカレンダー加工するプロセスにおいて、すなわち、発泡ポリエチレンテレフタラートが、一方が平滑であり、他方が波状のレリーフを有し、発泡ポリエチレンテレフタラートの一方の面に波状面を形成するために用いられる、一対のカレンダーロールを通過するときに形成される。さらにより一層高い強度をもたらすために、特定の実施形態では、発泡ポリエチレンテレフタラートの層2は、(図9に示すように)二方向の垂直波を有するように構成される。この波は、ダイを出る発泡ポリエチレンテレフタラートをカレンダー加工するプロセスにおいて、すなわち、発泡ポリエチレンテレフタラートが、一方が平滑であり、他方が二方向の垂直波のレリーフを有し、発泡ポリエチレンテレフタラートの一方の面に要求される表面を形成するために用いられる特別に設計されたカレンダーロールである、2つのカレンダーロールの間を通過するときに形成される。
【0017】
ポリマー材料の製造方法は、以下の通りである。まず、発泡ポリエチレンテレフタラートの層2が作製される。このために、リサイクルポリエチレンテレフタラートを使用する場合、ポリエチレンテレフタラート廃棄物5(ボトル、繊維、フィラメント、スプルー、ポリエチレンテレフタラートフレーク)が洗浄され、精製されて混入物、ラベル、接着剤を除かれる。次いで、ポリエチレンテレフタラート廃棄物は粉砕されて1mm~20mmの大きさの画分となり、ポリマーの種類及び色によって分類される。次に、分類されたポリエチレンテレフタラート廃棄物は押出機6のホッパーに投入されて溶融させられ、真空ポンプ7を用いて余分な混入物質及び水分を除去している間に、押出機6を用いて押出ライン上でポリエチレンテレフタラート溶融物の押し出しが行われる。その後、真空ポンプ9の作用下で、反応器8中でポリエチレンテレフタラートの液体状態重縮合が行われる。縮合は、固有粘度の増加をもたらす。高効率の真空により、材料から有害な化学混入物質が効果的に除去され、リサイクル材料は、食品と接触しても100%安全に使用することが可能になる。PET溶融物が反応器P:REACT(LSP反応器)8の垂直部分に入ると、フィラメントが形成され、それにより体積との関連で対応する表面が形成される。次いで、材料は水平ドラムに回収され、ゆっくりと前方に移動させられる。縮合プロセスは、フィラメントの形成直後に始まり、PETがLSP反応器を出るまで続く。固有粘度の増加は、装置中のPET溶融物の滞留時間及びLSP反応器中の真空度によって制御され、したがって所望のレベルに設定され得る。パラメータ設定により、制御ユニットが、狭い許容範囲内で所定の固有粘度レベルを維持することが可能になる。不純物を除去するプロセスは、PETの液体状態で行われるため、非常に効果的である。食品産業規格によって設定された限界を超える材料の精製効率がもたらされるだけでなく、精製プロセス中に潤滑剤が繊維から効果的に除去される。約0.01dl/g/分のレベルで固有粘度の増加が測定され得る。LSP反応器の連続運転は、顆粒の狭い固有粘度範囲を提供し、これは、高性能の用途、例えば紡糸又は押し出しによるシートの製造に適している。大量生産中の固有粘度の変動は、単純に排除される。有害な不純物、例えば潤滑剤又は食品との接触を意図していない物質の分離は、真空ポンプ9によって行われる。不純物の除去率が高いことにより、LSP反応器は様々な用途での利用が可能になり、それによりその高い運転柔軟性をもたらす。LSP反応器中で作り出された有利な条件(温度/溶融物の表面対体積比/高効率真空)により、PETの縮合プロセスを自由に開始することが可能になる。これにより、固有粘度は約0.01dl/g/分だけ増加する。応答時間が速いほど、要求される結果の達成が速くなり、より高い収益性につながる。ポリエチレンテレフタラート顆粒は、LSPユニットの出口で作製される。次いで、ポリエチレンテレフタラート廃棄物又は一次ポリエチレンテレフタラートをベースとして得られたポリエチレンテレフタラート顆粒は、含水率0.005%~0.7%(50ppm~7000ppm)の範囲まで乾燥される。さらに、ポリエチレンテレフタラートは、押出機の材料投入供給装置に投入され、材料投入供給装置で、着色及び/又は発泡の改善を目的として染料又は加工添加剤と混合される。その後、窒素若しくは二酸化炭素、又はイソペンタン、又はn-ペンタン、又はフレオン(Freon(商標)134a、142a、152a)、又はそれらの混合物を同時に供給している間に、ポリエチレンテレフタラートの押し出しが行われる。
【0018】
ダイの前、ダイの内部、及びダイの出口に設けられたコネクタ内で、ポリエチレンテレフタラート溶融物は温度及び圧力の制御が可能な発泡に供され、その後、ダイからの溶融物はカレンダーロールに供給され、カレンダーロール上で溶融物は冷却され(温度調節され)、500μm~25000μmの厚みにカレンダー加工される。次いで、ダイを出る発泡ポリエチレンテレフタラートをカレンダー加工するために、波形カレンダーロールをさらに用いてよく、それによって発泡ポリエチレンテレフタラートの一方の面に波状面が形成される。この場合、ロール対のもう一方のカレンダーロールは、平滑であるか、レリーフが付与されていてよい。さらに、追加の層3が、押出キャスト法によって材料の外側の面にさらに適用される。次に、印刷層1が材料層の外側表面又は追加の層3上に適用される。印刷層1は、輪転グラビア印刷もしくはオフセット印刷もしくはフレキソ印刷、又はそれらの任意の組み合わせを用いて適用される。得られる材料はまた、印刷なしに用いてもよい。発泡ポリエチレンテレフタラートをベースとして得られる材料は、シートに切断され、筋付け(ミシン目付け)される。
【産業上の利用可能性】
【0019】
特許請求の範囲に記載の発明は、以下の事項を可能にする:発泡リサイクルポリエチレンテレフタラートの層、又は段ボールと同様に非発泡ポリエチレンテレフタラートの層からなるCoEx(共押出)若しくは押出キャストフィルム/シートと発泡リサイクルポリエチレンテレフタラートの層とを加工する;筋(ミシン目)を付け、続いてミシン目に沿って折り曲げる;その打ち抜き及び/又は穿孔を行う;並びに仕上げ作業(例えば、印刷)を行う。特許請求の範囲に記載の発明は、以下の事項を可能にする:材料及びそれをベースとした梱包材を製造する(梱包材は、発泡ポリエチレンテレフタラートの主キャリア層からなる);発泡ポリエチレンテレフタラートの主キャリア層と、実施形態のうち1つでは、共押出(CoEx)又は押出キャストフィルム/シートとから作られた構成をベースとして、ポリエチレンテレフタラートの精製、粉砕及びその後の液体状態重縮合によって、使用済み材料の100%リサイクルを実施し、それによってポリエチレンテレフタラートの特性を一次原料に戻す。特許請求の範囲に記載の発明は、発泡ポリエチレンテレフタラートの主キャリア層を含む多層構成を、適切であると思われる回数だけリサイクルすることを可能にする。ほとんどの場合、特許請求の範囲に記載の発明は、厚紙及び/又は紙をベースとした同様の多層構成よりも良好な物理的及び機械的特性を有する、発泡ポリエチレンテレフタラートの層を含む構成を作り出すことを可能にする。特許請求の範囲に記載の発明は、厚紙又は紙のブランドに応じて、また必要な発泡係数に応じて、またポリエチレンテレフタラートの固有粘度に応じて、厚紙又は紙よりも5%~30%(正直に言及すべきであれば)低コストである。
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【国際調査報告】