(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(54)【発明の名称】オービタル・テンショナ
(51)【国際特許分類】
F16H 7/12 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
F16H7/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506931
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(85)【翻訳文提出日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 US2020045146
(87)【国際公開番号】W WO2021026319
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】コプサー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】キャダレット,マーク
(72)【発明者】
【氏名】キム,サンギュ
【テーマコード(参考)】
3J049
【Fターム(参考)】
3J049AA02
3J049BB05
3J049BB15
3J049BB23
3J049BB25
3J049CA03
(57)【要約】
環状ベースと、ボールベアリングにより環状ベースに軸支されたリングとを備え、リングが回転軸(A-A)を有し、リングに軸支された第1プーリを備え、第1プーリ回転軸(B-B)がリング回転軸(A-A)からずれており、リングに揺動自在に取付けられたピボットアームを備え、ピボットアーム揺動軸(C-C)がリング回転軸(A-A)からずれており、ピボットアームに軸支された第2プーリを備え、ピボットアームを第1方向に付勢するトーションスプリングを備え、ボールベアリングが第1レースと第2レースを有し、リングが第1レースに固定され、環状ベースが第2レースに固定され、リングとベースの間に摩擦的に配置された減衰機構を備える、オービタル・テンショナ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状ベースと、
ボールベアリングにより前記環状ベースに軸支されたリングとを備え、前記リングは回転軸(A-A)を有し、
前記リングに軸支された第1プーリを備え、第1プーリ回転軸(B-B)は前記リング回転軸(A-A)からずれており、
前記リングに揺動自在に取付けられたピボットアームを備え、ピボットアーム揺動軸(C-C)は前記リング回転軸(A-A)からずれており、前記ピボットアームに軸支された第2プーリを備え、
前記ピボットアームを第1方向に付勢するトーションスプリングを備え、
前記ボールベアリングは第1レースと第2レースを有し、
前記リングは前記第1レースに固定され、
前記環状ベースは前記第2レースに固定され、
前記リングと前記ベースの間に摩擦的に配置された減衰機構を備える
オービタル・テンショナ。
【請求項2】
前記ボールベアリングが前記リングに嵌め込まれる請求項1に記載のオービタル・テンショナ。
【請求項3】
前記ボールベアリングが前記ベースに嵌め込まれる請求項1に記載のオービタル・テンショナ。
【請求項4】
前記減衰機構が摩擦要素とスプリングを備える請求項1に記載のオービタル・テンショナ。
【請求項5】
前記ボールベアリングが2列ベアリングである請求項1に記載のオービタル・テンショナ。
【請求項6】
前記ボールベアリングがシールドベアリングである請求項1に記載のオービタル・テンショナ。
【請求項7】
前記スプリングがウェーブスプリングである請求項4に記載のオービタル・テンショナ。
【請求項8】
前記ボールベアリングの第1レースがインナーレースである請求項1に記載のオービタル・テンショナ。
【請求項9】
前記ボールベアリングの第1レースがアウターレースである請求項1に記載のオービタル・テンショナ。
【請求項10】
環状ベースと、
ボールベアリングにより前記環状ベースに回転自在に係合するリングとを備え、前記リングは回転軸(A-A)を有し、
前記リングに軸支され、前記リングの回転軸(A-A)からずれた第1プーリ回転軸(B-B)を有する第1プーリを備え、
前記リングに揺動自在に取付けられたピボットアームを備え、前記ピボットアーム揺動軸(C-C)は前記リング回転軸(A-A)からずれており、前記ピボットアームに軸支された第2プーリを備え、
前記ピボットアームを第1方向に付勢するトーションスプリングを備え、
前記ボールベアリングは第1レースと第2レースを有し、
前記リングは前記第1レースに嵌め込まれ、
前記環状ベースは前記第2レースに嵌め込まれ、
前記リングと前記ベースの間に摩擦的に配置された減衰機構を備える
オービタル・テンショナ。
【請求項11】
前記ボールベアリングが2列ベアリングである請求項10に記載のオービタル・テンショナ。
【請求項12】
前記ボールベアリングが単列ベアリングである請求項10に記載のオービタル・テンショナ。
【請求項13】
前記単列ベアリングが深溝単列ベアリングである請求項12に記載のオービタル・テンショナ。
【請求項14】
前記減衰機構がウェーブスプリングと摩擦要素を備える請求項11に記載のオービタル・テンショナ。
【請求項15】
ベースと、
リングとを備え、前記リングとベースはボールベアリングにより共に軸支され、前記リングは回転軸(A-A)を有し、
前記リングに軸支された第1プーリを備え、第1プーリ回転軸(B-B)は前記リング回転軸(A-A)からずれており、
前記リングに揺動自在に取付けられたピボットアームを備え、ピボットアーム揺動軸(C-C)は前記リング回転軸(A-A)からずれており、前記ピボットアームに軸支された第2プーリを備え、
前記ピボットアームを第1方向に付勢するトーションスプリングを備え、
前記リングと前記ベースの間に摩擦的に配置された減衰機構を備える
オービタル・テンショナ。
【請求項16】
前記ボールベアリングがシールド2列ベアリングである請求項15に記載のオービタル・テンショナ。
【請求項17】
前記ボールベアリングがシールド深溝単列ベアリングである請求項15に記載のオービタル・テンショナ。
【請求項18】
前記減衰機構がウェーブスプリングと摩擦要素を備える請求項15に記載のオービタル・テンショナ。
【請求項19】
前記ベースと前記リングが前記ボールベアリングに嵌め込まれる請求項15に記載のオービタル・テンショナ。
【請求項20】
前記ピボットアームと前記ベースに係合するリムーバブルピンをさらに備える請求項15に記載のオービタル・テンショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオービタル・テンショナに関し、より詳しくは、第1レースと第2レースを有するボールベアリングと、ボールベアリングの第1レースに取付けられたリングと、ボールベアリングの第2レースに取付けられた環状ベースとを備えたオービタル・テンショナに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンクランクシャフトとアクセサリ要素の間において動力を伝達するため、マルチリブドベルトが一般的に自動車に用いられている。従来の駆動機構では、エンジンクランクシャフトのプーリは1本のベルトまたは複数本のベルトを介してアクセサリを駆動する。複数のアクセサリがベルトを介して駆動されるとき、テンショナが通常用いられる。テンショナアームが適切に配置されているとき、ベルトの取付け張力はベルトの長さ許容範囲に対して僅かに変化しうる。
【0003】
ICエンジン動作の間におけるオルタネータによる正常な発電に加えて、電力を発生させるためにエンジンの加速と回復を促進する、BSG(ベルト・スタータ・ジェネレータ)のICエンジンのスタートストップとトルクアシストを実現する、モータージェネレータユニット(MGU)が用いられる。著しい燃料節約と排気ガス削減がBSG技術を利用することにより達成可能である。
【0004】
2つの異なる駆動モード、すなわちMGU駆動とエンジン駆動によるMGU発電とにおいて、張力を制御するため、オービタル型のテンショナが開発された。テンショナは一般的に、ロータリーリングと、1本のスプリングによってロータリーリングに連結されたピボットアームとを有する。テンショナはMGUに取付けられる。この型のテンショナは、駆動と発電の両モードにおいてベルトの作動張力を制御する。しかし、従来の単一アームテンショナとは異なり、張力変化を低減させるために最適な方法でオービタル・テンショナのプーリを位置制御することは現実的ではない。ベルト長さの許容範囲とプーリの位置および大きさとにより、取付け張力の変化は、単一アームテンショナのためよりも著しく高い。ベルト張力は、ベルト駆動の動力損失または摩擦損失を決定する重要な要素であり、したがってシステムの性能を犠牲にすることなくベルト張力を低下させることが望ましい。
【0005】
従来技術は、ベースとロータリーリングの間に、動作を容易にするために樹脂のブッシュを用いている。
【0006】
この技術の代表は米国特許第20190078667号明細書である。これは、孔を規定するベースを備え、孔が中心Cを有し、孔が被駆動プーリを受容するのに十分な直径を有し、ベースに連結された保持部材によってベースに係合するロータリーアームを備え、ロータリーアームが中心Cの周りに回転可能であり、ピボットにロータリーアームを取付けられたピボットアームを備え、ピボットが中心Cからずれており、ロータリーアームに回転自在に支持された第1プーリと、ピボットアームに回転自在に支持された第2プーリと、第2プーリを第1プーリに向かって付勢するためにロータリーアームとピボットアームの間に係合するトーションスプリングと、ベースとロータリーアームの間に摩擦係合する減衰部材とを備え、ロータリーアームが第1プーリの固定具を受容するための部分を規定し、これにより第1プーリの位置が調整可能になる、テンショナを開示する。
【0007】
必要なものは、第1レースと第2レースを有するボールベアリングと、ボールベアリングの第1レースに取付けられたリングと、ボールベアリングの第2レースに取付けられた環状ベースとを備えたオービタル・テンショナである。本発明はこの必要性に合致する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の主な特徴は、第1レースと第2レースを有するボールベアリングと、ボールベアリングの第1レースに取付けられたリングと、ボールベアリングの第2レースに取付けられた環状ベースとを備えたオービタル・テンショナを提供することである。
【0009】
本発明の他の特徴は、本発明の説明と添付された図面により明確になる。
【0010】
本発明は、環状ベースと、ボールベアリングにより環状ベースに軸支されたリングとを備え、リングが回転軸(A-A)を有し、リングに軸支された第1プーリを備え、第1プーリ回転軸(B-B)がリング回転軸(A-A)からずれており、リングに揺動自在に取付けられたピボットアームを備え、ピボットアーム揺動軸(C-C)がリング回転軸(A-A)からずれており、ピボットアームに軸支された第2プーリを備え、ピボットアームを第1方向に付勢するトーションスプリングを備え、ボールベアリングが第1レースと第2レースを有し、リングが第1レースに固定され、環状ベースが第2レースに固定され、リングとベースの間に摩擦的に配置された減衰機構を備える、オービタル・テンショナである。
【0011】
前述は、後述する本発明の詳細な説明をさらに理解するために、本発明の特徴と技術的な利点を広く概略的に記載したものである。本発明の特許請求の範囲の主題を構成する、本発明の付加的な特徴と利点は後述される。開示された概念と特別な実施形態が、本発明と同じ目的を実行するために他の構造を修正し、設計するために、基礎として容易に利用されることが当業者によって理解されるべきである。そのような同等な構成は添付された特許請求の範囲に記載された本発明の精神と範囲から逸脱しないこともまた当業者によって理解されるべきである。その機構および方法の両方に関し、本発明の特徴であると信じられる新規な特徴は、さらなる目的と利点とともに、添付した図面に関連して考慮されたとき、以下の記載からよりよく理解される。しかしながら、各図面は表示および記載のためだけに提供され、本発明を限定する記載としては意図されないことは明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
ここに組み込まれ、明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、その記述とともに、本発明の原理を説明するために役立つ。
【
図6】本発明のテンショナを有するMGUシステムである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本テンショナの後方から見た斜視図である。テンショナ1000はベース10とリング20とピボットアーム30とを備える。ボールベアリング40がベース10とリング20の間に配置される。ベース10とリング20はボールベアリング40において、共に回転自在に支持される。
【0014】
プーリ21がベアリング22においてリング20に回転自在に支持される。プーリ31がベアリング34においてピボットアーム30に回転自在に支持される。プーリ21の回転軸B-Bはベアリング40、そしてリング20の回転軸A-Aからずれている。ピボットアーム30はピボット軸C-Cの周りに揺動する。リング20はベース10に対して軸A-Aの周りに回転変位する。作動においてリング20は、ベルト張力の変化とMGUシステムの作動条件とに応じて、軸A-Aの周りにおける異なる位置の間で揺動する。
【0015】
ベルトはアクセサリ駆動システムに掛け回される。ベルトはプーリ21とプーリ31に係合する。アクセサリ駆動システムは、2、3の例をあげると、ウォーターポンプ、燃料噴射ポンプ、空調コンプレッサ、オイルポンプ、パワーステアリングポンプを含む、いくつかのエンジン駆動アクサセリであってもよい。
図6参照。
【0016】
ベース10は環状あるいはトーラス形状を有し、孔11付きの取付けブラケットを備える。取付けブラケット11は、ボルト等の固定具を用いてテンショナをモータージェネレータユニット(MGU)に取付けるために使用される。軸A-AはMGU軸MGUSの回転軸に整列する。
図6参照。ベースの環状形状は軸A-Aに整列する。
【0017】
開示された実施形態において、ベアリング40は、例えばバウハウン(Bauhaun)、タイドゥ(Taide)、日本精工(NSK)、不二越(Nachi)、エスケイエフ(SKF)から入手できる30BD40・二列アンギュラーコンタクト軸受である。他社も適当な2列軸受を提供している。ここに記載された実施形態の寸法例は、内径30mm×外径55mm×幅23mmである。シールド深溝単列軸受もまた、使用者のニーズに応じて使用可能である。単列軸受の寸法例は、内径30mm×外径55mm×幅13mmである。どちらの型の軸受も潤滑性を維持し、汚染に抵抗するために適切にシールされる。潤滑剤は公知のオイルまたはグリースであってもよい。
【0018】
ベアリング40はベース10とリング20の間に圧入される。ベアリング40のインナーレース41はリング20に嵌め込まれる。ベアリング40のアウターレース42はベース10の円筒状部分12に嵌め込まれる。嵌め込みは、2つの要素を一体的に固定するための手段として一般的に知られている。https://www.assemblymag.com/articles/87755-assembly-presses-crimping-staking-swaging-clinchingを参照。
【0019】
ボールベアリング40の使用は、ベース10に対するリング20の長期間の作動アライメントを改善する。プーリ21、31はベース10の面から外方にずれており、したがってベルトの引張荷重が作用したとき、偶力が生じる。偶力はベース10に関してリング20を回転させるように作用する。従来技術のオービタル・テンショナは、偶力に抵抗し、ベースとリングの同一平面上の整列を維持するために、樹脂のブッシュを使用している。しかしながら樹脂のブッシュは時間とともに劣化して、リングとベースの漸進的なミスアライメントを導き、これによりベルト面に対するプーリのミスアライメントを導く。これは、延いては、ベルトの早期摩耗と望ましくないノイズを引き起こす。ミスアライメントが継続的に減少しないことを許容すると、ベルトは最後にはプーリから外れる。過度のノイズも同様な要素である。一方、ボールベアリングは樹脂のブッシュと比較して、耐久性に優れ、長く使用でき、リングとベースの間のアライメントをより正確に保持する。2列ベアリングは、単列ベアリングと比較してロックに対する抵抗が大きいので、単列ベアリングよりも好ましい。しかし、システムの設計により、いずれか一方が選択されてもよい。ニードルベアリングが同等な成功率で使用されるかもしれない。
【0020】
図2は本テンショナの前方から見た斜視図である。ベアリング40のインナーレース41はリング20の円筒状部分25に圧入される。レース41は部分25に固定される。部分25は中空円筒または中実軸である。ピン37が取付け作業の間、リング20の孔38に係合する。ピン37はピボットアーム30を所定の位置に保持する。
【0021】
図3は本テンショナの正面図である。この実施形態では、プーリ21、31はテンショナの同じ側にあり、典型的にはMGUに対向する。これは反転設計と呼ぶことができる。
【0022】
図4は分解図である。減衰機構は要素51、52、53を備える。摩擦要素53はリング20に係合する。ウェーブスプリング51はスチールリング52を押圧する。リング52は、垂直力をウェーブスプリング51から摩擦要素53へ伝えることにより、要素53を保護する。摩擦要素53は、要素53の相対回転を阻止するように、タブ54によりベース10にロックされる。摩擦要素53はリング20の運動を減衰させる。
【0023】
プーリ21はベアリング22に回転自在に支持される。ダストシールド24は異物がベアリング22に侵入することを阻止する。ボルト23はダストシールド24とベアリング22を、そしてこれにより、プーリ21をリング20に固定する。
【0024】
プーリ31はベアリング34に回転自在に支持される。ダストシールド35は異物がベアリング34に侵入するのを妨げる。ボルト36はダストシールド35とベアリング34を、そしてこれにより、プーリ31をピボットアーム30に固定する。
【0025】
ピン37は一時的に、ピボットアーム30とベース10の間に係合する。リムーバブルピン37はピボットアーム30を所定の取付け位置にロックする。ピン37は、テンショナがMGUの最終位置に取付けられた後、取付け者によって除去され、これにより、ピボットアーム30とプーリ31は解放されてベルトに負荷をかける。
【0026】
スプリング32の端部39はストッパ26に係合する。スプリング32は巻戻し方向に付勢するように成形される。端部391はピボットアーム30のストッパ392に係合する。
【0027】
図5は
図3の5-5断面図である。2列ベアリング40が示されている。インナーレース41は円筒状部分25に圧入される。アウターレース42は円筒状部分12に圧入される。ベアリングの使用は、リングがベースをクランプするか、ベースがリングをクランプする、従来技術の連結の必要性を否定する。その代わり、本発明のテンショナは、クランプあるいはオーバーラップ型ジョイントを用いることなく、完全にベアリングを介してリングとベースを連結する。
【0028】
ベアリング40は、樹脂のブッシュと比較して、小さい抵抗で、リングのベースにおける、より正確な運動を与える。
【0029】
減衰機構51、52、53はベース10とリング20の間に係合して、リングの運動を減衰させる。タブ54はベース10の部分13にそれぞれ係合して、ベース10に対する摩擦要素53の運動を阻止する。このように、摩擦的に減衰される運動は摩擦要素53とリング20の間である。他の実施形態において摩擦要素53は、摩擦要素53とベース10の間に同等の効果で生じる相対的な摩擦運動により、リング20にロックされる。
【0030】
図6は本発明のテンショナを有するMGUシステムである。テンショナ1000は、アクセサリ駆動システムの一部であるMGUに取付けられる。ベルトBはエンジンクランクシャフトCRKのプーリと、エアコンディショナコンプレッサACと、MGU軸MGUSを有するMGUとに掛け回される。アイドラプーリIDLはエンジンにおけるベルトの適切な掛け回しのために作用する。ピボットアーム30は、ベルトの引張荷重を付与するために、プーリ31をベルトに押し付ける。ベルト荷重は、ベルトがシステムのプーリに対してスリップすることを阻止し、このスリップはノイズとベルトの早期摩耗を発生させる。
【0031】
起動停止動作のため、MGUはエンジンが作動しているときに電力を発生する。MGUはこのモードにおいてエンジンにより駆動される。エンジンが停止しているとき、MGUは駆動源になり、エンジンのために起動力を提供する。MGUは、電気スイッチ(図示せず)の使用により、エアコンディショナコンプレッサを作動させた状態に保持する。電気クラッチはエアコンディショナコンプレッサに取付けられ、車両のECUにより制御される。クランクシャフトCRKも作動を容易にするためにワンウェイクラッチ(図示せず)を備えてもよい。
【0032】
環状ベースと、ボールベアリングにより環状ベースに回転自在に係合するリングとを備え、リングは回転軸(A-A)を有し、リングに軸支され、リングの回転軸(A-A)からずれた第1プーリ回転軸(B-B)を有する第1プーリを備え、リングに揺動自在に取付けられたピボットアームを備え、ピボットアーム揺動軸(C-C)はリング回転軸(A-A)からずれており、ピボットアームに軸支された第2プーリを備え、ピボットアームを第1方向に付勢するトーションスプリングを備え、ボールベアリングは第1レースと第2レースを有し、リングは第1レースに嵌め込まれ、環状ベースは第2レースに嵌め込まれ、リングとベースの間に摩擦的に配置された減衰機構を備えるオービタル・テンショナ。
【0033】
環状ベースと、ボールベアリングにより環状ベースに軸支されたリングとを備え、リングは回転軸(A-A)を有し、リングに軸支された第1プーリを備え、第1プーリ回転軸(B-B)はリング回転軸(A-A)からずれており、リングに揺動自在に取付けられたピボットアームを備え、ピボットアーム揺動軸(C-C)はリング回転軸(A-A)からずれており、ピボットアームに軸支された第2プーリを備え、ピボットアームを第1方向に付勢するトーションスプリングを備え、ボールベアリングは第1レースと第2レースを有し、リングは第1レースに固定され、環状ベースは第2レースに固定され、リングとベースの間に摩擦的に配置された減衰機構を備えるオービタル・テンショナ。
【0034】
ベースと、リングとを備え、リングとベースはボールベアリングにより共に軸支され、リングは回転軸(A-A)を有し、リングに軸支された第1プーリを備え、第1プーリ回転軸(B-B)はリング回転軸(A-A)からずれており、リングに揺動自在に取付けられたピボットアームを備え、ピボットアーム揺動軸(C-C)はリング回転軸(A-A)からずれており、ピボットアームに軸支された第2プーリを備え、ピボットアームを第1方向に付勢するトーションスプリングを備え、リングとベースの間に摩擦的に配置された減衰機構を備えるオービタル・テンショナ。
【0035】
本発明の形態が説明されたが、ここに記載された発明の精神と範囲から逸脱することなく、当業者が、構成と部分の関係と方法において変形を施すことは自明である。特に注記されない限り、図面に示された要素は尺度を表さない。数値の情報は一例であり、特に示されない限り、本発明の範囲を限定することは意図していない。さらに、「means for」または「step for」の語句が特定の請求項において明確に用いられていない限り、添付された特許請求の範囲の要素のいずれかが米国特許法第112条(f)の問題を引き起こすことは意図していない。本件の開示は、図面に示され、またここに記載された、代表的な実施形態または数値の大きさに限定されるものではない。
【国際調査報告】