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特表2022-543839プログラマブル抵抗を有するプログラマブル利得増幅器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(54)【発明の名称】プログラマブル抵抗を有するプログラマブル利得増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/45 20060101AFI20221006BHJP
   H03M 1/12 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H03F3/45
H03M1/12 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507570
(86)(22)【出願日】2020-08-03
(85)【翻訳文提出日】2022-04-05
(86)【国際出願番号】 US2020044702
(87)【国際公開番号】W WO2021026052
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】201941031834
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】16/789,540
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(71)【出願人】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(72)【発明者】
【氏名】アナンド スブラマニアン
(72)【発明者】
【氏名】タンメイ ハルデール
(72)【発明者】
【氏名】アナンド カナン
【テーマコード(参考)】
5J022
5J500
【Fターム(参考)】
5J022AA01
5J022BA08
5J500AA01
5J500AA12
5J500AA51
5J500AC53
5J500AF10
5J500AF18
5J500AH25
5J500AH39
5J500AK02
5J500AK12
5J500AK53
(57)【要約】
回路がアナログデジタルコンバータ(ADC)を含む。この回路はAFE入力及びAFE出力を有するアナログフロントエンド(AFE310)も含む。AFE出力はADCの入力に結合される。AFEは、第1のPGA入力と第2のPGA入力とを有するプログラマブル利得増幅器(PGA115)を含む。PGA(115)は、第1及び第2のオペアンプ入力を有する第1の演算増幅器(オペアンプOP1)を含む。また、AFEは、第1のプログラマブル抵抗回路入力及び第1及び第2のプログラマブル抵抗回路出力を有するプログラマブル抵抗回路(320)を含む。第1のプログラマブル抵抗回路入力は第1及び第2のPGA入力に結合される。プログラマブル抵抗回路は第1及び第2の平衡抵抗を有する抵抗器ネットワークを含む。第1の平衡抵抗は第1及び第2のオペアンプ入力に結合され、第2の平衡抵抗は第1及び第2のオペアンプ入力に結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路であって、
アナログデジタルコンバータ(ADC)入力を有するADCと、
アナログフロントエンド(AFE)入力及びAFE出力を有するAFEであって、前記AFE出力が前記ADC入力に結合され、前記AFEが、第1のプログラマブル利得増幅器(PGA)入力及び第2のPGA入力を有するPGAを含み、前記PGAが、第1の演算増幅器(オペアンプ)入力及び第2のオペアンプ入力を有する第1のオペアンプを含み、前記AFEが更にプログラマブル抵抗回路も含む、前記AFEと、
を含み、
前記プログラマブル抵抗回路が、第1のプログラマブル抵抗回路入力と、第1のプログラマブル抵抗回路出力と、第2のプログラマブル抵抗回路出力とを有し、前記第1のプログラマブル抵抗回路入力が第1及び第2のPGA入力に結合され、
前記プログラマブル抵抗回路が、第1及び第2の平衡抵抗を有する抵抗器ネットワークを含み、前記第1の平衡抵抗が前記第1及び第2のオペアンプ入力に結合され、前記第2の平衡抵抗が前記第1及び第2のオペアンプ入力に結合される、
回路。
【請求項2】
請求項1に記載の回路であって、前記第1及び第2の平衡抵抗に結合されるデルタシグマ変調器を更に含む、回路。
【請求項3】
請求項2に記載の回路であって、前記デルタシグマ変調器の出力に結合されるフィルタを更に含む、回路。
【請求項4】
請求項2に記載の回路であって、前記デルタシグマ変調器と、前記第1及び第2の平衡抵抗のうちの1つとの間に結合される遅延を更に含む、回路。
【請求項5】
請求項2に記載の回路であって、前記プログラマブル抵抗回路が、
制御入力を有する第1のスイッチであって、前記第1の平衡抵抗と前記第1のオペアンプ入力との間に結合される、前記第1のスイッチと、
制御入力を有する第2のスイッチであって、前記第1の平衡抵抗と前記第2のオペアンプ入力との間に結合される、前記第2のスイッチと、
制御入力を有する第3のスイッチであって、前記第2の平衡抵抗と前記第1のオペアンプ入力との間に結合される、前記第3のスイッチと、
制御入力を有する第4のスイッチであって、前記第2の平衡抵抗と前記第2のオペアンプ入力との間に結合される、前記第4のスイッチと、
を含み、
前記デルタシグマ変調器が、前記第1、第2、第3、及び第4のスイッチの前記制御入力に結合されるそれぞれの制御出力を含む、
回路。
【請求項6】
請求項1に記載の回路であって、
前記プログラマブル抵抗回路が、第1のプログラマブル抵抗回路であり、
前記AFEが、第2のプログラマブル抵抗回路を含み、前記第2のプログラマブル抵抗回路が、第1及び第2の平衡抵抗を有する抵抗器ネットワークを含み、前記第2のプログラマブル抵抗回路の前記第1の平衡抵抗が、前記第1及び第2のオペアンプ入力に結合され、前記第2のプログラマブル抵抗回路の前記第2の平衡抵抗が、前記第1及び第2のオペアンプ入力に結合される、
回路。
【請求項7】
請求項6に記載の回路であって、前記AFEが、第2のオペアンプ出力を有する第2のオペアンプを含み、前記第2のプログラマブル抵抗回路が、前記第2のオペアンプ出力に結合される第2のプログラマブル抵抗入力を含む、回路。
【請求項8】
請求項6に記載の回路であって、前記第2のオペアンプ出力と前記第2のプログラマブル抵抗入力との間に結合される電圧レベルシフタ回路を更に含む、回路。
【請求項9】
回路であって、
第1の演算増幅器(オペアンプ)入力及び第2のオペアンプ入力を有する第1のオペアンプ、
前記第1のオペアンプ入力に結合される第1の抵抗器であって、正の入力を提供する、前記第1の抵抗器、
前記第2のオペアンプ入力に結合される第2の抵抗器であって、負の入力を提供する、前記第2の抵抗器、及び
プログラマブル抵抗入力と、第1のプログラマブル抵抗出力と、第2のプログラマブル抵抗出力とを有するプログラマブル抵抗回路であって、前記プログラマブル抵抗入力が、前記正入力と前記負の入力に結合され、前記第1のプログラマブル抵抗出力が前記第1のオペアンプ入力に結合され、前記第2のプログラマブル抵抗出力が前記第2のオペアンプ入力に結合される、前記プログラマブル抵抗回路、
を含み、
前記プログラマブル抵抗回路が、第1及び第2の平衡抵抗を有する抵抗器ネットワークを含み、前記第1の平衡抵抗が前記第1及び第2のオペアンプ入力に結合され、前記第2の平衡抵抗が前記第1及び第2のオペアンプ入力に結合される、
回路。
【請求項10】
請求項9の回路であって、前記第1のオペアンプが出力を含み、前記回路が更に、前記第1のオペアンプの前記出力に結合されるアナログデジタルコンバータ(ADC)を含む、回路。
【請求項11】
請求項9の回路であって、前記第1及び第2の平衡抵抗に結合されるデルタシグマ変調器を更に含む、回路。
【請求項12】
請求項11の回路であって、前記デルタシグマ変調器の出力に結合されるフィルタを更に含む、回路。
【請求項13】
請求項11の回路であって、前記デルタシグマ変調器と、前記第1及び第2の平衡抵抗のうちの1つとの間に結合される遅延を更に含む、回路。
【請求項14】
請求項11の回路であって、前記デルタシグマ変調器に提供されるトリムコードを格納するように構成されるストレージを更に含む、回路。
【請求項15】
請求項9の回路であって、前記プログラマブル抵抗回路が、
制御入力を有する第1のスイッチであって、前記第1の平衡抵抗と前記第1のオペアンプ入力との間に結合される、前記第1のスイッチと、
制御入力を有する第2のスイッチであって、前記第1の平衡抵抗と前記第2のオペアンプ入力との間に結合される、前記第2のスイッチと、
制御入力を有する第3のスイッチであって、前記第2の平衡抵抗と前記第1のオペアンプ入力との間に結合されてる、前記第3のスイッチと、
制御入力を有すると第4のスイッチであって、前記第2の平衡抵抗と前記第2のオペアンプ入力との間に結合される、前記第4のスイッチと、
を含む、回路。
【請求項16】
請求項9の回路であって、
前記プログラマブル抵抗回路が、第1のプログラマブル抵抗回路であり、
前記回路が、第2のプログラマブル抵抗回路を含み、前記第2のプログラマブル抵抗回路が、第1及び第2の平衡抵抗を有する抵抗器ネットワークを含み、前記第2のプログラマブル抵抗回路の前記第1の平衡抵抗が、前記第1及び第2のオペアンプ入力に結合され、前記第2のプログラマブル抵抗回路の前記第2の平衡抵抗が、前記第1及び第2のオペアンプ入力に結合される、
回路。
【請求項17】
回路であって、
第1の演算増幅器(オペアンプ)入力と第2のオペアンプ入力と第1のオペアンプ出力とを有する第1のオペアンプと、
第1のオペアンプ入力と第2のオペアンプ入力とオペアンプ出力とを有する第2のオペアンプであって、前記第2のオペアンプの前記第1のオペアンプ入力が、前記第1のオペアンプの前記第1のオペアンプ出力に結合される、前記第2のオペアンプと、
前記第1のオペアンプの前記第1のオペアンプ入力に結合される第1の抵抗器であって、正の入力を提供する前記第1の抵抗器と、
前記第1のオペアンプの前記第2のオペアンプ入力に結合される第2の抵抗器であって、負の入力を提供する、前記第2の抵抗器と、
プログラマブル抵抗入力と第1のプログラマブル抵抗出力と第2のプログラマブル抵抗出力とを有する第1のプログラマブル抵抗回路であって、前記第1のプログラマブル抵抗回路の前記プログラマブル抵抗入力が前記正及び負の入力に結合され、前記第1のプログラマブル抵抗回路の前記第1のプログラマブル抵抗出力が前記第1のオペアンプの前記第1のオペアンプ入力に結合され、前記第1のプログラマブル抵抗回路の前記第1のプログラマブル抵抗出力が前記第1のオペアンプの前記第2のオペアンプ入力に結合される、前記第1のプログラマブル抵抗回路と、
プログラマブル抵抗入力と第1のプログラマブル抵抗出力と第2のプログラマブル抵抗出力とを有する、第2のプログラマブル抵抗回路であって、前記第2のプログラマブル抵抗回路の前記プログラマブル抵抗入力が、前記第2のオペアンプの前記オペアンプ出力に結合され、前記第2のプログラマブル抵抗回路の前記第1のプログラマブル抵抗出力が、前記第1のオペアンプの前記第1のオペアンプ入力に結合され、前記第2のプログラマブル抵抗回路の前記第2のプログラマブル抵抗出力が、前記第1のオペアンプの前記第2のオペアンプ入力に結合される、
回路。
【請求項18】
請求項17に記載の回路であって、
前記第2のオペアンプの前記第1のオペアンプ出力と前記第2のプログラマブル抵抗回路の前記プログラマブル抵抗入力との間に結合されるノーマライザ回路を更に含み、
前記ノーマライザ回路が、前記第2のプログラマブル抵抗回路の前記プログラマブル抵抗入力に供給されるように前記第2のオペアンプの前記第1のオペアンプ出力上の電圧を調整するように構成される、
回路。
【請求項19】
請求項17に記載の回路であって、
前記第1プログラマブル抵抗回路が、抵抗器ネットワークを含み、前記第2プログラマブル抵抗回路が、抵抗器ネットワークを含み、
前記回路が、前記第1及び第2プログラマブル抵抗回路に結合されるデルタシグマ変調器を更に含む、
回路。
【請求項20】
請求項19に記載の回路であって、前記デルタシグマ変調器に結合される有限インパルス応答(FIR)フィルタを更に含む、回路。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
アナログデジタルコンバータ(ADC)は、アナログ信号を、そのアナログ信号のデジタル表現に変換する。ADCは、多種多様な用途に使用されている。ADCを含むものなどのアナログ信号チェーンの特徴パラメータの1つは、コモンモード除去比(CMRR:common mode rejection ratio)である。CMRRは、信号チェーンが、信号チェーンの両方の入力端子に存在するコモンモードをどの程度良好に抑制するかを表す尺度である。応用例によっては、より高いCMRRの利点を得ることができるものものある。
【発明の概要】
【0002】
一例において、回路がアナログデジタルコンバータ(ADC)を含む。この回路は、アナログフロントエンド(AFE)入力とAFE出力とを有するAFEも含む。AFE出力はADCの入力に結合される。AFEは、第1のプログラマブル利得増幅器(PGA)入力と第2のPGA入力とを有するPGAを含む。PGAは、第1及び第2の演算増幅器(オペアンプ)入力を有する第1のオペアンプを含む。また、AFEは、第1のプログラマブル抵抗回路入力と第1及び第2のプログラマブル抵抗回路出力とを有する、プログラマブル抵抗回路を含む。第1のプログラマブル抵抗回路入力は、第1及び第2のPGA入力に結合される。プログラマブル抵抗回路は、第1及び第2の平衡抵抗を有する抵抗器ネットワークを含む。第1の平衡抵抗は第1及び第2のオペアンプ入力に結合され、第2の平衡抵抗は第1及び第2のオペアンプ入力に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0003】
種々の例の詳細な説明のため、ここで、添付の図面を参照する。
【0004】
図1】アナログデジタルコンバータ(ADC)に結合されるプログラマブル利得増幅器(PGA)を有するアナログフロントエンド(AFE)を含む回路信号チェーンを図示する。
【0005】
図2】PGAの更なる詳細と共に、図1のAFEを図示する。
【0006】
図3】AFE内の抵抗器不整合を補償するために用いられるプログラマブル抵抗器回路を含むAFEの例を示す。
【0007】
図4】一対の平衡抵抗を有し、デルタシグマ変調器も含む抵抗器ネットワーク(ハイブリッドR-2Rネットワーク)を含むプログラマブル抵抗回路の例示の実装を示す。
【0008】
図5】オーディオ帯域より上のノイズを減衰させるために2タップ有限インパルス応答(FIR)フィルタを含むプログラマブル抵抗回路の例を示す。
【0009】
図6】AFEを有する2つの抵抗器ネットワークの使用を示しており、一方の抵抗器ネットワークが、他方の抵抗器ネットワークと比べて反転した入力電圧で動作している。
【0010】
図7】2つの抵抗器ネットワークを含むAFEの別の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に記載される信号チェーンは、ADCに結合されるアナログフロントエンド(AFE)を含む。AFEは入力アナログ信号を受信する。AFEは、プログラマブル利得増幅器(PGA)などの増幅器を含み得、入力アナログ信号の大きさを、それがデジタル表現への変換のためにADCに供給される前に修正することができる。本明細書に記載されるAFEは、比較的高いCMRRを提供する。
【0012】
図1は、ADC150に結合されるAFE110を含む回路100の例を示す。この例におけるAFE110及びADC150は、同じ半導体ダイ105上に形成され、そのため、同じチップ上に提供される。AFE110の出力は、ADC150の入力に結合される。AFE110は、INP(Input Positive)及びINM(Input Minus)で指定された入力を有する。INP及びINM入力は、アナログ入力信号(例えば、差動アナログ信号)を受け取り、これはAFE110によって処理される。AFE110からの処理されたアナログ信号は、ADC150によってデジタル表現(デジタル出力151)に変換される。
【0013】
この例では、AFE110が入力アナログ信号の大きさを調整する。AFE110は、プログラマブル利得増幅器(PGA)115を含み、PGA115は、正の入力116、負の入力117、正の出力(OUTP)118、及び負の出力(OUTM)119を有する。OUTP118及びOUTM119は、ADC150の対応する入力153、154に結合される。AFE110はまた、抵抗器R1P、R2P、R1M、及びR2Mを含む。R1Pの一方の端子はINP入力を提供し、R1Pの他方の端子は、PGA115の正の入力116及びノードNPにおけるR2Pの一方の端子に結合される。R2Pの他方の端子は、接地ノード130(又は供給電圧ノード)に結合される。同様に、R1Mの一方の端子は、INM入力を提供し、R1Mの他方の端子は、PGA115の負の入力117及びノードNMにおけるR2Mの一方の端子に結合される。R2Mの他方の端子は、接地ノード131(又は別の固定電圧)に結合される。抵抗器R1P及びR2Pは、PGA115による調整(例えば、プログラマブル減衰)前に正の入力信号INPを減衰させるための抵抗分圧器を含む。ノードNP上の電圧は、ATTN_OUTPとラベル付けされる。同様に、抵抗器R1M及びR2Mは、PGA115による調整前に負の入力信号INPを減衰させるための抵抗分圧器を含む。ノードNM上の電圧は、ATTN_OUTMとラベル付けされる。ADC150は、任意の適切なタイプのADCを含み得る。一例において、ADC150は3次連続時間デルタシグマADCを含む。
【0014】
図2は、PGA115のための付加的な例示の詳細を有するAFE110を示す。この例のPGA115は、演算増幅器(オペアンプ)OP1とOP2、及び抵抗器RINP、RINM、RCM1、RCM2、R3、R4、RFB1、及びRFB2を含む。OP1は、正の入力201(正の仮想接地、VGP)、負の入力202(負の仮想接地、VGM)、正の出力(OUTP)118、及び負の出力(OUTM)119を有する。OP2は負の入力203と正入力204を有する。RINPは、R1P(PGA115の正入力116)とOP1の正入力201との間に結合される。RINMは、R1M(PGA115の負の入力117)とOP2の負の入力202との間に結合される。RFB1は、正の入力201とOUTM119との間で結合され、RFB2は、負の入力202とOUTP118との間で結合される。R4は、OP1の正入力201とOP2の負の入力203との間に結合される。R3は、OP1の負の入力202とOP2の負の入力203との間に結合される。コモンモード電圧(VCM)は、基準電圧(例えば、バンドギャップ基準によって生成される)であり、OP2の正の入力204に供給される。VCM電圧は、回路内のすべてのノードが入力信号スイングにわたって有効なバイアス条件内に留まるように選択される。OP2の出力は、OP2_OUTとラベル付けされた信号を提供し、RCM1及びRCM2に結合される。RCM1はOP1の正入力201に結合し、RCM2はOP1の負の入力202に結合する。PGA115は、部分的にRCM1、RCM12、OP2、R3、及びR4によって形成される、入力コモンモード抑制ループ(CMSL:common mode suppression loop)を有する。このループは、OP1の正入力201及び負の入力202における仮想接地VGP及びVGMのコモンモードがVCMの所望のレベルのままであることを保証する。
【0015】
回路100のCMRRは、少なくとも部分的にAFE110のCMRRによって決定される。AFE110のCMRRは、正側の抵抗器(すなわち、R1P、R2P、RINP、及びRCM1)と負側の対応する抵抗器(すなわち、R1M、R2M、RINM、及びRCM2)との間の不整合の程度によって決定される。それらが低コストであるため、多くの半導体デバイスは、ポリシリコン抵抗器として抵抗器を実装している。しかしながら、ポリシリコン抵抗器は、比較的整合が悪いという特徴がある。したがって、AFE110の抵抗器を実装するためにポリシリコンを用いて高いCMRRを達成することは、不可能ではないとしても、非常に困難となり得る。応用例によっては、80dB、90dB、又は更に高いCMRRの利点を得る場合がある。例えば、90dBのCMRRは、図2に示されているAFEアーキテクチャの抵抗器にポリシリコンを使用することができない場合がある。
【0016】
図3は、図1及び図2のAFE110よりも高いCMRR(例えば、90dB)を達成する一方で、ポリシリコン抵抗器も使用するが、図2に示されるものとは異なるアーキテクチャを有するAFE310の例を示す。図2のAFE110のアーキテクチャの場合と同様に、図3におけるAFE310は、OP1、OP2、及び、上述したのとほぼ同じようにして共に接続される抵抗器RINP、RINM、RCM1、RCM2、R3、R4、RFB1、及びRFB2を含む。図3のAFE310は、プログラマブル抵抗回路320及び抵抗器Rx1及びRx2も含む。Rx1とRx2は、PGAの正及び負の入力116と117の間、したがってATTN_OUTPとATTN_OUTMの間に直列に接続される。いくつかの例では、Rx1の公称抵抗がRx2の公称抵抗に等しい(すなわち、抵抗器不整合を無視するとRx1=Rx2である)。Rx1とRx2との間のノード340は、プログラマブル抵抗回路320の入力端子(VIN)に結合される。Rx1がRx2に等しい場合、ノード340の電圧は、ATTN_OUTMとATTN_OUTPの中間になる。
【0017】
プログラマブル抵抗回路320の出力端子は出力350及び出力351を含む。出力350はVGPでOP1の正の入力201に結合され、出力351はVGMでOP1の負の入力202に結合される。プログラマブル抵抗回路320は、PGA115の入力116、117とOP1の入力201、202との間に結合される、プログラミングされた抵抗を提供するためにトリミング可能である。プログラムされた抵抗は、AFEの正側抵抗器(RINP、RINP、RCM1、及びRFB1)と負側抵抗器(RINM、RINM、RCM2、及びRFB2)との間の不整合に対してAFE310を平衡させる。他のすべてが等しい場合、プログラマブル抵抗回路320の使用により、AFE310のCMRRは、図2のAFE110について可能なCMRRよりも高くなる。
【0018】
図4は、プログラマブル抵抗回路320の例示の実装を示す。この例では、プログラマブル抵抗回路320は、デルタシグマ変調器472に結合される抵抗器ネットワーク410を含む。プログラマブル抵抗回路320はまた、ストレージ490(例えば、メモリデバイス、レジスタなど)を含む。抵抗器ネットワーク410は、ハイブリッド「R-2R」抵抗器ネットワークである。従来のR-2Rネットワークは、2R抵抗器に結合されるユニット抵抗器(R)を各セルが含む繰り返しセル(「レッグ」)を含み、また、R-2Rネットワークの種々のレッグのバイナリ重み付けを確実にするのを助けるために平衡抵抗器を含む。しかしながら、図4に示されている抵抗器ネットワーク410は、従来のR-2Rネットワークのように1つのみではなく、2つの平衡抵抗器(抵抗器429及び430)を含んでいる。各平衡抵抗器429、430は、1つ又は複数のユニット抵抗器(R)の組み合わせとして実装され得る。平衡抵抗器429及び430の各々は、各平衡抵抗器429、430が複数の抵抗器を含み得るという認識のもと、平衡抵抗と呼ぶこともできる。(平衡抵抗器429に加えて)付加される平衡抵抗器430は、粗CMRRトリムコード470を用いて抵抗器ネットワーク410によってつくられる残留誤差をカバーするのに役立つ。抵抗器ネットワーク410によってつくられる残留誤差は、(抵抗器ネットワーク410の抵抗器における不整合のために)単一平衡抵抗器の範囲より高くし得る。2つの平衡抵抗は、残留誤差に適切に対処する。
【0019】
抵抗器ネットワーク410は、抵抗420~430及び440~443を含む。各抵抗は、示される名目効果抵抗を有する1つ又は複数の抵抗器を含む。抵抗は、図示の抵抗を形成するように共に結合される1つ又は複数のユニット抵抗(R)を含み得る。抵抗420、422、424、426、428~430、440、442、及び443の各々は、2R抵抗である。抵抗421、423、425の各々は、R/2抵抗(単位抵抗の半分)である。抵抗441は4R/3抵抗である。
【0020】
スイッチ450は、各2R抵抗420、422、424、426、及び428を、ノードVGP、VCM、又はVGMのうちの1つに選択的に結合する。粗CMRRトリムコード470が、スイッチ450を制御して、対応する2R抵抗420、422、424、426、及び428を介してVGPノード、VCMノード、又はVGMノードに電流が選択的に流れることを可能にする。粗CMRRトリムコード470は、ストレージ490に格納される。一例において、粗CMRRトリムコード470は、符号大きさ形態で実装されるが、2の補数などの他の形態で実装されてもよい。図4の例では、5つの抵抗器(抵抗器420、422、424、426及び428)が粗CMRRトリムコード470によって制御される。符号大きさ形式では、トリムコードの1ビットが、訂正の方向を表すために用いられ、他のビットは大きさを表すために用いられる。5つの抵抗器を制御するために、粗トリムコード470は6ビットを含む。最上位ビットは、抵抗器(420~428)がVGPに接続されるべきか又はVGMに接続されるべきかを意味する適用の方向を制御する。トリムコードの残りの5ビットは、各それぞれの抵抗器がVCM(ビットが0のとき)に接続されるか、VGP/VGM(ビットが1のとき及び符号ビット(MSBビット)の方向に応じて)に接続されるかを制御する。例えば、粗CMRRトリムコード470が「000000」又は「100000」である場合、すべての抵抗器がVCMに接続される。粗トリムコード470「011111」であるとき、抵抗器420~428はVGPに接続される。粗トリムコード470が「111111」である場合、抵抗器はVGMに接続される。
【0021】
デルタシグマ変調器472は、微細CMRRトリムコード471(これもストレージ490に格納されている)を受け取る。デルタシグマ変調器472は、2次デルタシグマ変調器を含み得る。デルタシグマ変調器は、スイッチSW1、SW2、SW3、及びSW4のオン/オフ状態を制御するために、出力ビットシーケンスQ(及びその補数QZ)を生成する。デルタシグマ変調器の使用は、可聴周波数範囲内で比較的少ないノイズがAFE310に注入されることを確実にするのに役立つ。SW1は抵抗430とVGPとの間に結合される。SW2は抵抗430とVGMとの間に結合される。SW3は抵抗429とVGPとの間に結合される。SW1は抵抗429とVGMとの間に結合される。Q信号はSW1とSW3を、QZはSW2とSW4を制御する。このように、SW1及びSW2は両方とも同時にオンになっておらず、同様に、SW3及びSW4は、両方とも同時にオンになっていない。Q信号により、SW1とSW3は同時にオンとなる(QZによりSW2とSW4はオフとなる)。QZ信号により、SW2とSW4は同時にオンとなる(QによりSW1とSW3はオフとなる)。SW1及びSW3がオンである間(及びSW2及びSW4がオフである間)、電流(i)は、平衡抵抗429及び430のそれぞれを介してVGPに流れる。そして、SW2及びSW4がオン(そしてSW1及びSW3がオフ)の間、平衡抵抗429、430の各々を介してVGMに電流iが流れる。
【0022】
スイッチSW1~SW4が50%の平均デューティサイクルで動作される場合、事実上ゼロの差動電流がOP1の入力に加えられる。しかしながら、デューティサイクルを50%とは異なる値に制御することによって、サブLSB(最下位ビット)補正電流がOP1の入力に加えられる。このようにして、デュアル平衡抵抗429、430を使用し、それらをVGPノードとVGM仮想接地ノードとの間でスイッチングすることにより、抵抗器ネットワークの平衡部分は、抵抗器ネットワーク410の解像度を増加させるのに役立ち、それにより、結果として生じるAFE310がより高いCMRRを有することを可能にする。
【0023】
2つの平衡抵抗429及び430が用いられるので(上述のように、残留誤差の全範囲を補正するために、抵抗器ネットワーク410の平衡段の補正範囲を増加させるために)、抵抗429及び430の各々電流iが流れ、単一の平衡抵抗ベースの従来のR‐2Rネットワークの場合の2倍の電流が、抵抗器ネットワーク410の組み合わせ平衡抵抗を介して流れる。しかしながら、こうした付加的な平衡抵抗は、従来のR‐2R抵抗器ネットワークと比較して線形性性能を劣化させる。抵抗器ネットワーク410の平衡段の補正範囲を増加させる一方で、抵抗器ネットワークの線形性を保持するために、(従来のR‐2Rネットワークと比べて)付加的な補償抵抗440が、ユニット抵抗427にわたって並列に結合される。抵抗器ネットワークのバイナリ重み付け比が維持されることを確実にするために、抵抗441~443が(従来のR‐2Rネットワークに対して)追加される。図4は、抵抗器ネットワークのさまざまな分岐を介する相対的な電流の大きさを示す。抵抗4R/3は、3iの電流がその抵抗を介して流れるようにし、それによって、抵抗425を介する2の整数乗の電流(例えば、8i)を維持する。抵抗442は、抵抗423を介する電流が抵抗425を介する電流と比較して次に高い2の整数乗であるように、抵抗を介して4i電流が流れるようにする、2R抵抗である。すなわち、抵抗423を介する電流は16iである。抵抗443は、抵抗442とほぼ同じ理由で含まれる。抵抗421、423、及び425は、R‐2Rラダーの場合と同様に、単位抵抗器Rの代わりにR/2抵抗を含む。
【0024】
デルタシグマ変調器472は、図4の例においてスイッチSW1~SW4を制御するための信号を生成するために用いられる。パルス幅変調(PWM)クロックを用いてスイッチSW1~SW4を制御することができるが、クロックを使用すると、可聴周波数範囲内でノイズがAFE310に注入される可能性がある。しかしながら、デルタシグマ変調器472は、可聴周波数範囲を超えるノイズを注入し、可聴周波数範囲に注入されるノイズは比較的少ない。一例において、デルタシグマ変調器472は、(変調器の次数に応じて)積分器481及び482と結合されてループを形成する、量子化器(ノイズ注入器)489を含む。積分器481/482はループの第1段を形成し、一方、量子化器489は最終段を形成する。積分器481/482は低周波数において実質的な利得を有するので、量子化器489によって注入されるノイズは、積分器利得が高い周波数において(低周波数において)除去されることになる。より高い周波数(積分器481/482が高利得を持たない周波数)では、量子化器489のノイズは除去されない。このようにして、デルタシグマ変調器が低周波数で低ノイズを追加する。可聴帯域(audio band)は比較的低い周波数(例えば、20Hz~20KHz)であるため、デルタシグマ変調器472は、可聴帯域において低レベルのノイズを有利に追加する。しかしながら、そのようなより高い周波数のノイズ(可聴帯域より高い)は依然として、システム内の他の高周波数ノイズと相互変調する可能性があり、それによって、可聴帯域内にいくらかの付加ノイズが生じる。
【0025】
図5は、図4と似ているが、有限インパルス応答(FIR)フィルタを含む抵抗器ネットワークの例を示す。FIRフィルタは、遅延520と、デュアルスイッチ平衡抵抗429及び430と、対応するスイッチSW1~SW4とを含む。遅延520は、SW3及びSW4用のスイッチ制御信号Q及びQZを、SW1及びSW2に対して遅延させる。この例におけるFIRフィルタは、2タップFIRフィルタを含む。2タップFIRフィルタは、ノッチフィルタであり、有利にも、ノッチ内の周波数でノイズを減衰させる。ノッチはオーディオ帯域より上の周波数で生じる。
【0026】
2つの平衡抵抗429及び430のスイッチングによる電荷注入を緩和するために、図6の例では、プログラマブル抵抗回路が、一対の抵抗器ネットワーク410P(AFE310のP側に対して)及び410M(AFE310のM側に対して)として実装される。抵抗器ネットワーク410P及び410MのVGP出力は、図示されるように共に結合され、VGM出力も共に結合される。この回路アーキテクチャにより、VGPとVGMとの間でスイッチングする要素の数が、シーケンスにかかわらず同じであることが保証される。したがって、VGPとVGMとの間の対称性が維持される。しかしながら、M側抵抗器ネットワーク410Mを動作させるためには、抵抗器ネットワーク410Mへの入力VINは、抵抗器ネットワーク410PのVINへのコモンモード入力電圧の負のバージョンであるべきである。一実装では、反転増幅器610を含んで、ノード340の入力電圧を抵抗器ネットワーク410MのVINに反転させることができる。
【0027】
図7は、上述したものと同様の、AFE710の別の例示の実装を示す。2つの抵抗器ネットワーク410P及び410Mは、デルタシグマ変調器472(上述のように2タップFIRフィルタを含み得る)と同様に示されている。図7の例示のAFE710では、抵抗器ネットワーク410Mのための入力電圧(VIN)を生成するために(図6のように)反転増幅器を含むのではなく、ノーマライザ718が含まれている。ノーマライザ718は、入力(IN)719及び出力(OUT)720を有する。ノーマライザの入力719は、OP2の出力に結合される。ノーマライザの出力720は、抵抗器ネットワーク410MのVINに結合される。ノーマライザ718は、OP2からの出力電圧(OP2_OUT)を、Rx1とRx2との間のノード340上の電圧に対して適切なレベルに正規化する。一例において、ノーマライザ718は抵抗分圧器を含む。OP2の出力上の信号(OP2_OUT)は、抵抗器Rx1とRx2との間のノード340における電圧と異なる場合がある。ノーマライザ718は、電圧OP2_OUTを受け取り、ノード340の電圧と等しいか又はほぼ同等の、別の電圧を出力する。
【0028】
用語「結合する」は、本明細書全体を通して用いられている。この用語は、本開示の説明と一貫した機能的な関係を可能にする、接続、通信、又は信号経路を包含し得る。例えば、デバイスAが或る行為を行なうためにデバイスBを制御するための信号を生成する場合、第1の例では、デバイスAがデバイスBに結合され、又は、第2の例では、介在構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能的な関連性を実質的に変更しない場合に、デバイスAが介在構成要素Cを介してデバイスBに結合され、デバイスAによって生成された制御信号を介してデバイスAによってデバイスBが制御されるようにする。
【0029】
記載された実施形態において改変が可能である。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】