(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(54)【発明の名称】皮膚の病変を検査するための皮膚鏡検査装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
A61B5/00 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022507627
(86)(22)【出願日】2020-07-14
(85)【翻訳文提出日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 EP2020069850
(87)【国際公開番号】W WO2021023481
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522048502
【氏名又は名称】ダーマビジョン ソリューションズ,エスエル
【氏名又は名称原語表記】DERMAVISION SOLUTIONS, SL
【住所又は居所原語表記】C/ Berenguer Mallol, 11 17480 Roses (ES)
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】シャンモル アマトリェール,エンリック
(72)【発明者】
【氏名】リカルト ゲリ,ナルシス
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XB09
4C117XC01
4C117XE03
4C117XE43
4C117XJ13
(57)【要約】
皮膚の病変を検査するための皮膚鏡検査装置および方法が開示される。該装置は、密閉チャンバ(10)、チャンバ(10)の内側で移動される変位要素(12)、変位要素(12)に取り付けられた画像取得システム(20)、照明要素(13、14)及び計算ユニット(30)を備える。画像取得システム(20)は、立体カメラ(21、22)及び皮膚鏡検査カメラ(23)を有する。計算ユニット(30)は身体領域ごとに、立体カメラ(21、22)によって取得された画像を分析し、前記画像内の皮膚構造を検出し、前記構造が基準を満たすかどうかをチェックする走査アルゴリズムを実行し、所与の皮膚構造が基準を満たすと判定されると、前記所与の身体領域に変位要素(12)を移動させる動作アルゴリズムを実行し、皮膚鏡検査カメラ(23)が前記皮膚構造の画像を所定の距離で取得するために命令をトリガする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査されるべきユーザを収容するための密閉チャンバ(10)と、
前記密閉チャンバ(10)の内側で軸x、y、z上で移動するように構成された変位要素(12)と、
前記ユーザの異なる身体領域から画像を取得するように構成された前記変位要素(12)の支持体(11)上に取り付けられた画像取得システム(20)と、
照明要素(13、14)と、
前記変位要素(12)及び前記画像取得システム(20)に動作可能に接続され、前記取得された画像の処理をするように構成された計算ユニット(30)と、
を備える皮膚の病変を検査するための皮膚鏡検査装置であって、
前記画像取得システム(20)は、第1のタイプの少なくとも1つのカメラ(21、22)及び第2のタイプの1つのカメラ(23)を備え、前記第1のタイプの少なくとも1つのカメラ(21、22)は、皮膚鏡検査カメラである前記第2のタイプのカメラ(23)とは独立して動作するように構成され、前記第1のタイプの少なくとも1つのカメラは立体カメラであるか又は立体カメラとして動作する2つのカメラであり、
前記照明要素(13、14)は少なくとも2つの照明要素であって、前記照明要素のそれぞれは前記変位要素(12)の前記支持体(11)の端部に取り付けられた、該照明要素を含み
前記処理は、
前記第1のタイプの少なくとも1つのカメラ(21、22)によって取得された少なくとも1つの画像(31)を、身体領域ごとに分析するステップと、
取得された画像(31)内の皮膚構造を検出し、走査アルゴリズムを実行することによって検出された皮膚構造が所与の基準を満たすかどうかを検査するステップと、
所与の身体領域の所与の皮膚構造が前記所与の基準を満たすと決定されると、前記変位要素(12)を前記所与の身体領域に自動的に移動させる動作アルゴリズムを実行するステップと、
トリガ命令を画像取得システム(20)に提供し、前記トリガ命令の結果として、前記第2のタイプのカメラ(23)は所与の距離で、前記所与の皮膚構造の少なくとも1つの画像(32)を取得するステップと、を含むこと、
を特徴とする、皮膚鏡検査装置。
【請求項2】
前記第1のタイプの少なくとも1つのカメラ(21、22)が、パッシブステレオカメラ、構造化光源若しくはレーザを有するアクティブステレオカメラ、タイムオブフライト型のTOFカメラ、又はLIDARと単一カメラとの組み合わせを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記変位素子(12)はガイドシステム(15)のガイドレール(16)上に配置され、前記ガイドシステム(15)は前記密閉チャンバ(10)の内壁上に配置される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記照明要素(13、14)の各々が光閉じ込めチャンバと偏光フィルタとを備えた発光ダイオード、すなわちLEDを含み、前記偏光フィルタが、前記皮膚鏡検査カメラ(23)の偏光フィルタに対して90度のオフセットを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記密閉チャンバ(10)の内部の前記ユーザが配置されなければならない位置を示すように構成された位置決めユニット(17)をさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記ユーザを前記密閉チャンバ(10)の前記内壁に向かって自動的に移動させるように構成された位置決めユニット(17)をさらに備える、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記変位要素(12)は前記変位要素(12)を多自由度で移動させることを可能にするために、少なくとも1つの関節可能な要素(19)をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記基準は、前記皮膚構造の非対称性(A)、境界(B)、色(C)、及び特異構造(D)の基準に基づく皮膚鏡検査のABCD規則に基づく、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記距離が、前記ユーザから100~1000mmの範囲、好ましくは300~600mmの範囲に含まれる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
a)皮膚鏡検査装置の密閉チャンバ内で検査するために使用者を収容するステップ、
b)前記皮膚鏡検査装置(1)の変位要素(12)を介して、前記皮膚鏡検査装置(1)の画像取得システム(20)を前記使用者の所与の身体側面の異なる身体部分に向かって移動するステップ、
c)前記画像取得システム(20)の第1のタイプの少なくとも1つのカメラ(21、22)によって、前記使用者の前記異なる身体部分の1つ以上の画像(31)を取得するステップであって、前記第1のタイプの少なくとも1つのカメラは、立体カメラ又は立体カメラとして動作する2つのカメラを含み、取得された1つ以上の画像(31)は制御された照明条件下で取得された皮膚鏡検査画像である、該ステップ、
d)計算ユニット(30)によって、前記取得された皮膚鏡検査画像(31)に含まれる皮膚構造が所与の基準を満たすかどうかを検査する走査アルゴリズムを実行することによって前記取得された皮膚鏡検査画像(31)を分析するステップ、
e)所与の身体領域の所与の皮膚構造が前記所与の基準を満たすと決定されると、前記計算ユニット(30)によって、前記変位要素(12)を前記所与の身体領域に自動的に移動させる動作アルゴリズムを実行するステップ、
f)計算ユニット(30)からのトリガ命令に応答して、皮膚鏡検査カメラである前記画像システム(20)の第2のタイプのカメラによって、所定の距離で、前記所与の皮膚構造の少なくとも1つの皮膚鏡検査画像(32)を取得するステップ、及び
g)前記計算ユニット(30)を使用して前記取得された少なくとも1つの皮膚鏡検査画像(32)を提供するステップ、
を含み、
前記移動するステップ(b))は前記使用者のすべての身体側面に対して実行される、
皮膚病変を検査するための方法。
【請求項11】
前記基準は、前記皮膚構造の非対称性(A)、境界(B)、色(C)、及び特異構造(D)に基づく皮膚鏡検査のABCD規則に基づく、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記走査アルゴリズムは、ニューラルネットワーク、決定木ベースのアルゴリズム及び/又はサポートベクトルマシンである、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップb)の前に、前記皮膚鏡検査装置(1)の位置決めユニット(17)が、前記利用者が前記密閉チャンバ(10)の内部に配置されなければならない位置を示すステップを有する、請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップb)の前に、前記皮膚鏡検査装置(1)の位置決めユニット(17)が前記ユーザを前記密閉チャンバ(10)の内壁に向かって自動的に移動させるステップを有し、前記密閉チャンバはその中にガイドシステム(15)を有し、前記ガイドシステム(15)は前記変位要素(12)が移動するガイドレール(16)を有する、請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記距離が、前記ユーザから100~1000mmの範囲、好ましくは300~600mmの範囲に含まれる、請求項9~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、皮膚科学分野に関する。特に、本発明は、皮膚の病変を検査するための皮膚鏡検査装置(又は、ダーモスコープ装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2013/169326号は小さな設置面積を有し、医療スタッフからの最小限の支援で、時間の経過と共にユーザ又は(または、すなわち)患者の複数の身体画像を迅速に、効率的に、効果的にかつ一貫してキャプチャすることができる、自動化された全身撮像のための撮像ステーション/ブースを開示している。
【0003】
国際公開第2018/160720号は、特に偏光の使用による三次元画像のキャプチャ(又は、捕捉)に関する。人間のような被写体の三次元(3D)画像のキャプチャは典型的には被写体の周囲に配置された複数のカメラ及び光源を使用する必要があり、それらは、被写体が静止している間に同時に起動される。必要なカメラと光源の数は、撮像すべき領域の大きさに直接関係している。
【0004】
国際公開第2010/107467号は、画像の再現可能な位置合わせのための撮像(又は、画像形成若しくはイメージング)ステーション及び方法を開示している。いくつかの実施形態では、撮像ステーションが回転可能なステージとモノスタンドとを含む。回転可能なステージは、身体の姿勢の少なくともいくつかのために被写体の手を位置決めするためのハンドルのセットを支持するための構造を含むことができる。カメラは、被写体の画像をキャプチャするためにモノスタンド上に配置され、身体の姿勢ごとにそのカメラを回転可能なステージに対して繰り返し位置決めできるように構成される。
【0005】
米国特許第9980649号明細書は、皮膚を走査するための走査ヘッドを開示している。その走査ヘッドは、フレームと、該フレームに結合されたカメラとを含む。制御可能なプローブは、そのフレームに結合され、検査され、カメラで撮像されるその皮膚上の毛髪の向きを変更するように構成される。
【0006】
国際公開第2016/188659号はデータベース、撮像ユニット、計算ユニット、記憶ユニット及び出力ユニットを含み、調節されるべき手動の撮像パラメータが実際の撮像パラメータに対応することが保証される、部分的に自動化された撮像システムによって、それぞれの所定の撮像パラメータを有する対象物の一連の画像を生成するための方法及び装置を開示している。
【0007】
K. Korotkovらは科学的な文献「A new total body scanning system for automatic change detection in multiple pigmented skin lesion」に、交差偏光を使用する皮膚表面画像の取得を可能にする新しい写真測量法ベースの全身走査システムを開示する。システムには、21台の高解像度カメラとターンテーブルが搭載されている。このスキャナは、患者の皮膚表面の85%~90%をカバーする一組の重なり合う画像を自動的に取得する。これらの画像は、PSLの自動マッピング及び探索間のPSLの変化推定のために使用される。スキャナは、複数の病変の自動マッピングおよび時間的モニタリングに適用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
既知の皮膚鏡検査撮像装置/ステーションでは、単一の皮膚鏡検査画像が侵襲的に取得される、すなわち、少なくとも1~3mmを超える距離から取得されない。さらに、既知の撮像デバイス/ステーションは、異なるタイプのカメラを含む単一の画像取得システムを使用して完全に制御された照明条件で動作することを可能にしない。
【0009】
したがって、制御された光および画像取得を用いて、ある位置の皮膚病変を検査するための新しい撮像装置および方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、請求項1の特徴を有する皮膚鏡検査装置及び請求項10の特徴を有する方法によって達成される。
【0011】
一態様によれば、本発明は、皮膚病変を検査するための皮膚鏡検査装置を提案する。当該分野における既知の装置と同様に、提案された皮膚鏡検査装置は以下を含む。
・検査されるべきユーザ/患者を収容するための密閉チャンバ、
・前記密閉チャンバの内側で軸x、y、z上で移動する変位要素、
・前記ユーザの異なる身体領域から画像を取得するために、前記変位要素の支持体上に取り付けられた画像取得システム、
・照明要素
・前記変位要素及び前記画像取得システムに動作可能に接続され、前記取得された画像を処理する計算ユニット。
【0012】
当該分野における既知の装置とは異なり、提案した装置の画像取得システムは2つの異なるタイプのカメラを含む。第1のタイプのカメラは、立体カメラ又は立体カメラとして働く/動作するように構成された2つのカメラを含む。第2のタイプのカメラは皮膚鏡検査カメラ(例えば、長距離(又は、ロングレンジ/long-range)皮膚鏡検査カメラ)を含む。第1のタイプのカメラは、(2つ以上ある場合には)同時に、皮膚鏡検査カメラとは独立して、動作するように構成される。
【0013】
照明要素は、少なくとも2つ照明要素であって、各1つが変位要素の支持体の端部に取り付けられた照明要素を含む。従って、提案した装置では、画像は常に制御された照明条件下で取得される。
【0014】
さらに、提案された装置では、引用された処理が、第1のタイプのカメラによって取得された少なくとも1つの画像を、身体領域ごとに分析するステップと、前記画像内の皮膚構造(例えば、とりわけ、しみ(又は、斑点若しくはそばかす)、皮膚マーク)を検出し、前記皮膚構造が所与の基準を満たすかどうかを検査する走査アルゴリズムを実行するステップと、所与の身体領域の所与の皮膚構造が所与の基準を満たすと決定されると、変位要素を所与の身体領域に自動的に移動させる動作アルゴリズムを実行するステップと、画像取得システムにトリガ命令を提供するステップとを含む。したがって、結果として、皮膚鏡検査カメラは所定の距離で又は所定の距離から、所与の皮膚構造の少なくとも1つの画像を取得することができる。
【0015】
したがって、本発明は、患者の皮膚の自動化された正確な臨床画像および皮膚鏡検査画像を提供する医療装置を提供する。さらに、個々の皮膚病変の皮膚鏡検査画像は、標準化された方法(制御された光および取得距離)で取得される。さらに、本発明は正確な診断を行うために、各皮膚構造の色、寸法、形状、非対称性及び進展(又は、進行/evolution)等の必要な情報を内科医師/医師に提供する。
【0016】
第1のタイプのカメラは、パッシブステレオカメラ、構造化光源またはレーザを有するアクティブステレオカメラ、飛行時間型(TOF)カメラ、またはLIDARと単一カメラとの組み合わせとすることができる。
【0017】
一実施形態では、決定された距離がユーザから100~1000mmの範囲、特に300~600mmの範囲に含まれる。したがって、取得は非侵襲的に行われる。
【0018】
一実施形態によると、変位要素は、ガイドシステムのガイドレール上に配置される。ガイドシステムは、密閉チャンバの内壁上に配置される。特に、ガイドシステムは、2つの垂直ガイド部材を備える。
【0019】
別の実施形態では、照明要素の各々が発光ダイオード(LED)を含む。照明要素はまた、画像が取得されるときに、所与のゾーンのみを照明するために、光閉じ込めチャンバを含む。さらに、照明要素は交差偏光を生成するために、皮膚鏡検査カメラの偏光フィルタに対して90度位相がずれている偏光フィルタも含む。
【0020】
一実施形態における照明要素は所与の角度(35度と55度の間)で作動するために、前記支持体上で一定の間隔を隔てられている。
【0021】
さらに別の実施形態では、提案された装置が、密閉チャンバの内部でユーザが配置されなければならない位置を示す位置決めユニットも有する。例えば、位置決めユニットは、フロアディスプレイであっても、ユーザを異なる位置に案内するラウドスピーカでさえあってもよい。あるいは、位置決めユニットがユーザを密閉チャンバの内壁に向かって自動的に移動させるように構成することができる。
【0022】
いくつかの実施形態における変位要素はまた、変位要素を多自由度で移動させることを可能にする、関節可能な要素(又は、関節接続可能な要素/articlulable element)又は旋回可能な要素を含むことができる。
【0023】
本発明の実施形態は、別態様によれば、皮膚病変を検査するための方法をも提案する。その方法は、a)皮膚鏡検査装置の密閉チャンバ内で検査するために使用者(又は、ユーザ)を収容するステップ、b)前記皮膚鏡検査装置の変位要素を介して、前記皮膚鏡検査装置の画像取得システムを前記使用者の所与の身体側面の異なる身体部分に向かって移動するステップ、c)前記画像取得システムの第1のタイプの少なくとも1つのカメラによって、前記使用者の前記異なる身体部分の1つ以上の画像を取得するステップであって、前記第1のタイプの少なくとも1つのカメラは、立体カメラ又は立体カメラとして動作する2つのカメラを含み、取得された1つ以上の画像は制御された照明条件下で取得された皮膚鏡検査画像である、該ステップ、d)計算ユニットによって、前記取得された皮膚鏡検査画像に含まれる皮膚構造が所与の基準を満たすかどうかを検査する走査アルゴリズムを実行することによって前記取得された皮膚鏡検査画像を分析するステップ、e)所与の身体領域の所与の皮膚構造が前記所与の基準を満たすと決定されると、前記計算ユニットによって、前記変位要素を前記所与の身体領域に自動的に移動させる動作アルゴリズムを実行するステップ、f)計算ユニットからのトリガ命令に応答して、皮膚鏡検査カメラである、前記画像システムの第2のタイプのカメラによって、所定の距離で/所定の距離から、前記所与の皮膚構造の少なくとも1つの皮膚鏡検査画像を取得するステップ、及びg)前記計算ユニットを使用して前記取得された少なくとも1つの皮膚鏡検査画像を提供するステップ、を含む。
【0024】
提案した方法によれば、前記ステップb)は、前記使用者のすべての身体側面に対して実行される。
【0025】
一実施形態では、引用された基準は、皮膚構造の非対称性(A)、境界(B)、色(C)及び特異構造(D)に基づく皮膚鏡検査のABCD規則に基づく。
【0026】
別の実施形態では、走査アルゴリズムはニューラルネットワークを含む。そのニューラルネットワークは、特に皮膚構造が良性の構造又は悪性の構造のように見えるかを認識するように訓練されている。他の実施形態では、走査アルゴリズムは決定木ベースのアルゴリズム及び/又はサポートサポートベクトルマシンを備える。
【図面の簡単な説明】
【0027】
前述及び他の利点及び特徴は添付の図面を参照して、実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解され、添付の図面は例示的かつ非限定的な方法で考慮されなければならない。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態による、皮膚病変を検査するための提案された皮膚鏡検査装置を示す。
【0029】
図2は、
図1の実施形態の画像取得システム、照明要素及び変位要素をより詳細に示す図である。
【0030】
図3は、画像取得システム、照明要素及び変位要素の別の実施形態を示す図である。
【0031】
図4は、本発明を用いて取得することができる異なるタイプの画像の一例を概略的に示す。
【0032】
図5は、本発明の一実施形態による、皮膚病変を検査するために計算ユニットによって実行されるステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
発明を実施するための最良の形態
図1および
図2は、一実施形態による、一次および二次の皮膚病変を含む皮膚病変を検査するための本発明の提案されたアーキテクチャを示す。この特定の実施形態では皮膚鏡検査(又は、ダーモスコピー)装置1が、検査されるユーザ/患者を収容するように設計された密閉チャンバ10と、密閉チャンバ10の内壁に取り付けられた2つの垂直ガイド部材によって形成されたガイドシステム15(他の実施形態のように、ガイドシステムはロボットアームを備えることができ、又は密閉チャンバ10の異なる内壁に取り付けられたガイド部材によって形成することができるので、限定はされない)と、上記のガイドシステム15のガイドレール16上に配置され、密閉チャンバ10内で3つの軸(x、y、z)上で移動するのに適した変位要素12と、変位要素12の支持体11上に取り付けられた画像取得システム20と、2つの照明要素13、14と、位置決めユニット17と、1つまたは複数のプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを有する計算ユニット30とを含む。
【0034】
計算ユニット30は変位要素12および画像取得システム20に動作可能に接続され、その動作を制御するために、異なるアルゴリズムを実施/実行するように適合及び構成される。他の実施形態では、計算ユニット30が皮膚鏡検査装置1に含まれる代わりに、そこから離れて配置されてもよいことに留意されたい。例えば、この後者の場合、計算ユニットは、皮膚鏡検査装置1から離れて配置されたPC、クラウドサーバ、スマートフォン、タブレット等とすることができる。
【0035】
図1及び
図2の特定の実施形態では、画像取得システム20が立体カメラとして動作するように構成された2つのカメラ21、22(従って、これからは立体カメラと呼ばれる)及び皮膚鏡検査カメラ23を含む。2つの立体カメラ21、22は、皮膚鏡検査カメラ23とは無関係に同時に動作する。皮膚鏡検査カメラ23はユーザからある距離、例えば、ユーザから100~1000mm、特に300~600mmにある皮膚鏡検査画像32(例えば、
図4参照)を取得するように構成される。
【0036】
他の実施形態(図示せず)では、画像取得システム20が例えば、構造化光3Dセンサからなる単一の立体化カメラ、構造化光源若しくはレーザを有するアクティブステレオカメラ、パッシブステレオカメラ又はTOFカメラ等を含む。
【0037】
他の実施形態(いずれも図示せず)では、皮膚鏡検査装置1がより多数の照明要素、例えば4つ以上の照明要素を含む。
【0038】
照明要素13、14に関して、各々は、光閉じ込めチャンバと冷却システム(すなわち、各LED要素は、ラジエータとファンとを取り付けられている)とを有する高出力LEDを備える。さらに、各照明要素13、14は、皮膚鏡検査カメラ23の偏光フィルタに対して90度のオフセットを有する偏光フィルタを有する。したがって、交差偏光が発生する。
【0039】
照明要素13、14は皮膚鏡検査カメラ23の動作距離を考慮して所定の角度(35度と55度の間)で動作するために、画像取得システム20から分離された上記支持体11上に配置される。
【0040】
図1及び
図2の実施形態では、位置決めユニット17がユーザに、異なる身体側面からの画像(31、32)が取得されるために密閉チャンバ内に配置され又は位置しなければならない位置を示すように構成されたフロアディスプレイを備える。この場合、ユーザは、指示された位置に自分自身を移動させなければならない。他の実施形態では、位置決めユニット17が変位要素12及び画像取得システム20に向かってユーザを自動的に移動させることができる。
【0041】
図3は、変位要素12が多自由度における変位要素12の付加的な移動を可能にする関節可能な要素19を含む別の実施形態を示す。すなわち、関節可能な要素19により、変位要素12は、(x、y、z)軸に対して移動させることができるだけでなく、異なる回転軸に対して旋回可能であることも可能である。
【0042】
ここで
図5を参照すると、計算ユニットによって実行される処理ステップの実施形態が示されている。この方法は、検査されるユーザ(一例として
図4を参照)が提案された皮膚鏡検査装置1の密閉チャンバ10内に収容され、画像取得システム20がそのユーザの所与の身体側面(例えば身体の腹側)の第1の身体部分(例えば胴体)に向かって移動されると開始される。この場合、画像取得システム20は、パッシブ立体カメラとして動作するように構成された2つのカメラ(上述したように他のタイプのカメラを使用することができるため限定されない)と、皮膚鏡検査カメラとを含むものと想定されている。
【0043】
ステップ501において、計算ユニットは前記立体画像31に含まれた皮膚構造(例えば、光線角化症、ほくろ、皮膚マーク等)が所与の基準を満たすかどうかを検査する走査アルゴリズムを実行することによって、取得された立体画像31を分析する(ステップ502)。その基準を満たす皮膚構造が見つからない場合、計算ユニットは単に以前の分析の結果を提供する(ステップ503)。さもなければ、すなわち、所与の皮膚構造が所与の基準を満たしていると判断された場合、計算ユニットは、ステップ504において、変位要素12、したがって、画像取得システム20及び照明要素13、14を、皮膚構造が位置する身体部分に向かって自動的に移動(および任意選択で回転)させる動作アルゴリズムを実行する。次に、ステップ505で、計算ユニットは、皮膚鏡検査カメラ23がユーザから所定の距離、特にユーザから約300~600mmのところで、前記皮膚構造の少なくとも1つの皮膚鏡検査画像32を取得するために、画像取得ユニット20へのコマンド/命令をトリガする。皮膚鏡検査画像32が取得されると、ステップ506で、計算ユニットは例えば、そのディスプレイを介して、特定のユーザインターフェースを介して、それを印刷する等によって、皮膚鏡検査画像を提供する。この意味では、皮膚病変の正確な診断を行うために、医師(physician)/医者(doctor)が後で皮膚鏡検査画像を用いることができる。
【0044】
なお、必要に応じて、ユーザの身体側面の全てについて、上記のステップが実行されることに留意されたい。例えば、ユーザの側面及び背面、並びに各身体側面の脚、腕、頭部、背部等の異なる身体部分についてである。そのユーザが特定の身体部分または身体側面から画像(1つ又は複数)が取得されるために所与の位置に移動しなければならない場合、本方法のさらなるステップは、そのような位置の指示とすることができる。
【0045】
特定の実施形態では、前記基準が皮膚構造の基準、非対称性(「A」symmetry)、境界(「B」order)、色(「C」olor)、及び特異構造(「D」ifferential structure)に基づく皮膚鏡検査のABCD規則に基づく。補足的にまたは代替的に、特定の実施形態では、走査アルゴリズムがニューラルネットワーク、決定木ベースのアルゴリズム及び/又はサポートベクトルマシンを備えることができる。
【0046】
一実施形態では、スキャニングアルゴリズムが少なくとも1つの臨床画像上で実行/実装され、特に、皮膚病変の追加の特徴(例えば、皮膚病変のサイズ及び/又は容積)も使用する。次いで、そのアルゴリズムは少なくとも分類タスクを実行し、その結果、所与の病変の「潜在的な悪性」の評価(又は、値)を提供する。この場合、基準は、その評価及び所与の閾値に基づくことができる。
【0047】
他の実施形態では立体カメラとして動作するように構成された2つのカメラ21、22が使用される特定の場合、各カメラによって取得された画像31は並列に分析される。一旦、走査アルゴリズムが一方の立体画像31において皮膚構造を検出すると、その皮膚構造の正確な位置を識別するために、他方の立体画像31における皮膚構造の位置を一致させる。
【0048】
当業者は、本教示が様々な修正及び/又は強化に従うことを認識するであろう。特許請求の範囲において保護されることが要求される全ての適用、修正及び変更は、本開示の保護範囲内であり得る。
【0049】
本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲において定義される。
【国際調査報告】