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特表2022-543871副甲状腺ホルモン受容体(PTHR1)の調節剤
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  • 特表-副甲状腺ホルモン受容体(PTHR1)の調節剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(54)【発明の名称】副甲状腺ホルモン受容体(PTHR1)の調節剤
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/16 20060101AFI20221006BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20221006BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20221006BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20221006BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20221006BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20221006BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221006BHJP
   C07K 14/635 20060101ALI20221006BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20221006BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20221006BHJP
   A61K 47/59 20170101ALI20221006BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20221006BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20221006BHJP
   A61P 3/14 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 5/18 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221006BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C12N15/16 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K14/635
C07K19/00
A61K38/16
A61K47/59
A61K47/62
A61K47/68
A61P3/14
A61P19/10
A61P5/18
A61P19/00
A61P35/00
A61P35/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507873
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(85)【翻訳文提出日】2022-04-06
(86)【国際出願番号】 US2020045517
(87)【国際公開番号】W WO2021030222
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】62/884,703
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521353768
【氏名又は名称】フラッグシップ・パイオニアリング・イノベーションズ・ブイアイ,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】FLAGSHIP PIONEERING INNOVATIONS VI,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】マタ-フィンク・ジョルディ
(72)【発明者】
【氏名】ゴー・リー・フオン
(72)【発明者】
【氏名】グリゴリヤン・ゲヴォルグ
(72)【発明者】
【氏名】マッケンジー・クレイグ・オーウェン
(72)【発明者】
【氏名】ホプソン・クリステン・パーク
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC21
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE24
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF31
4C076FF34
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA19
4C084BA23
4C084BA41
4C084BA42
4C084NA13
4C084ZA96
4C084ZA97
4C084ZB26
4C084ZC06
4C084ZC21
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA18
4H045BA19
4H045BA41
4H045BA57
4H045CA40
4H045DA30
4H045DA70
4H045DA75
4H045FA34
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA25
(57)【要約】
【課題】副甲状腺ホルモン受容体1(PTHR1)などの副甲状腺ホルモン受容体の活性を調節することができる合成副甲状腺ホルモン(sPTH)を提供する。本また、これらのsPTHを使用して、例えば、生物中の細胞などの細胞において、PTHR活性を調節する方法を提供する。
【解決手段】副甲状腺ホルモン受容体(PTHR)に特異的に結合するポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、合成副甲状腺ホルモン(sPTH)を含む、ポリペプチド。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
副甲状腺ホルモン受容体(PTHR)に特異的に結合するポリペプチドであって、前記ポリペプチドが、合成副甲状腺ホルモン(sPTH)を含む、ポリペプチド。
【請求項2】
前記sPTHが、
a)1~3個の極性残基、及び配列番号7に対する1~14個のアミノ酸置換;
b)少なくとも4つの極性残基、少なくとも1つの荷電残基、及び配列番号7に対する1~14個のアミノ酸置換;
c)少なくとも5つの極性残基、少なくとも2つの荷電残基、及び配列番号7に対する1~14個のアミノ酸置換;
d)少なくとも5つの極性残基、2位のバリン、及び配列番号7に対する1~13個のアミノ酸置換;又は
e)少なくとも6つの極性残基、及び配列番号7に対する1~14個のアミノ酸置換
を含む、14アミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記sPTHが、
a)最大で13個の極性残基、及び配列番号8に対する1~32個のアミノ酸置換;
b)少なくとも14個の極性残基、2位のバリン、及び配列番号8に対する1~31個の置換;
c)少なくとも14個の極性残基、及び配列番号8に対する22~28個のアミノ酸置換;又は
d)配列番号8の1~14位、及び配列番号5に対する15~32位の1~18個のアミノ酸置換
を含む、32アミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記sPTHが、配列番号9~106及び配列番号109~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項5】
前記sPTHが、配列番号9~106及び配列番号109~160から選択されるアミノ酸配列に対して、50~97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項6】
前記sPTHが、配列番号9~106及び配列番号109~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項7】
前記sPTHが、配列番号9~106及び配列番号109~160から選択されるアミノ酸配列に対して、2~31個のアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項8】
前記sPTHが、配列番号9~106及び配列番号109~160から選択されるアミノ酸配列に対して、2~18個のアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項9】
前記sPTHが、配列番号9~106及び配列番号109~160から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項10】
前記sPTHが、配列番号101、103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項11】
前記sPTHが、配列番号101、103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、約50~97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項12】
前記sPTHが、配列番号101、103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項13】
前記sPTHが、配列番号101、103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、約2~31個のアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項14】
前記sPTHが、配列番号101、103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、約2~18個のアミノ酸置換を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項15】
前記sPTHが、配列番号101、103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項16】
前記sPTHが、28~36個のアミノ酸からなる、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項17】
前記sPTHが、30~34個のアミノ酸からなる、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項18】
前記sPTHが、32個のアミノ酸からなる、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項19】
前記sPTHが、配列番号5に対して、少なくとも20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項16~18のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項20】
前記sPTHが、配列番号5に対して、50~97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項19に記載のポリペプチド。
【請求項21】
前記sPTHが、配列番号5に対する少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、請求項19に記載のポリペプチド。
【請求項22】
前記sPTHが、配列番号5に対する2~18個のアミノ酸置換を含む、請求項19に記載のポリペプチド。
【請求項23】
前記sPTHが、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含む、請求項19に記載のポリペプチド。
【請求項24】
前記配列番号6に示されるアミノ酸配列が、前記sPTHのN末端にある、請求項23に記載のポリペプチド。
【請求項25】
前記sPTHが、配列番号102~106及び配列番号132~155からなる群から選択される配列に対して、少なくとも55%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項19に記載のポリペプチド。
【請求項26】
前記sPTHが、配列番号102~106及び配列番号132~155からなる群から選択される配列に対して、75~97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項19に記載のポリペプチド。
【請求項27】
前記sPTHが、配列番号102~106及び配列番号132~155からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項28】
前記sPTHが、配列番号107のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項29】
前記少なくとも1つのアミノ酸置換が、保存的置換である、請求項6、12及び21のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項30】
前記少なくとも1つのアミノ酸置換が、高度に保存的な置換である、請求項29に記載のポリペプチド。
【請求項31】
前記アミノ酸置換が、保存的置換である、請求項2、3、7、8、13、14及び22のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項32】
前記アミノ酸置換が、高度に保存的な置換である、請求項31に記載のポリペプチド。
【請求項33】
前記sPTHが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4又は配列番号5からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドよりも少なくとも約5%高い親和性でPTHRに結合する、請求項1~32のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項34】
前記sPTHが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4又は配列番号5からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドよりも少なくとも約5%低い親和性でPTHRに結合する、請求項1~32のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項35】
前記sPTHが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4又は配列番号5からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドよりも約5%以下低い親和性でPTHRに結合する、請求項1~32のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項36】
前記sPTHが、PTHRのアゴニストである、請求項1~35のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項37】
前記sPTHが、PTHRのバイアス型アゴニストである、請求項36に記載のポリペプチド。
【請求項38】
前記sPTHが、PTHRの逆アゴニストである、請求項1~35のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項39】
前記sPTHが、PTHRのアンタゴニストである、請求項1~35のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項40】
前記ポリペプチドが、異種部分にコンジュゲートされている、請求項1~39のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項41】
前記異種部分が、ポリエチレングリコール(PEG)、ヘキサデカン酸、ヒドロゲル、脂質ナノ粒子、ポリマーナノ粒子、及び異種ポリペプチド配列、或いはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項40に記載のポリペプチド。
【請求項42】
前記ポリマーナノ粒子が、ポリ(乳酸-コ-グリコール)酸(PLGA)を含む、請求項41に記載のポリペプチド。
【請求項43】
前記異種ポリペプチド配列が、担体ポリペプチドを含む、請求項40に記載のポリペプチド。
【請求項44】
前記担体ポリペプチドが、アルブミン又はFcポリペプチドである、請求項43に記載のポリペプチド。
【請求項45】
請求項1~44のいずれか一項に記載のポリペプチドを含む、融合タンパク質。
【請求項46】
請求項1~44のいずれか一項に記載のポリペプチド又は請求項45に記載の融合タンパク質をコードする配列を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項47】
請求項46に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
【請求項48】
請求項46に記載のポリヌクレオチド又は請求項47に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項49】
請求項1~44のいずれか一項に記載のポリペプチド又は請求項45に記載の融合タンパク質を含む、組成物。
【請求項50】
1つ以上の医薬賦形剤、希釈剤、又は担体をさらに含む、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
哺乳動物細胞を、有効量の請求項49又は50に記載の組成物と接触させることを含む、前記哺乳動物細胞におけるPTHRシグナル伝達を調節する方法。
【請求項52】
有効量の請求項49又は50に記載の組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする前記対象を処置する方法。
【請求項53】
有効量の請求項49又は50に記載の組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする前記対象におけるPTHRシグナル伝達を調節する方法。
【請求項54】
前記対象が哺乳動物である、請求項52又は53に記載の方法。
【請求項55】
前記対象がヒトである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記対象が成人である、請求項52~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記対象が少なくとも50歳である、請求項52~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記対象が女性である、請求項52~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記対象が、閉経周辺期、閉経期、又は閉経後である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記対象が、調節不全のカルシウムホメオスタシスを有するか、又はそれを発症するリスクを有する、請求項52~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記対象が、骨粗鬆症、ブロムストランド型軟骨異形成、歯牙萌出の家族性原発性不全、Eiken症候群、オリエ病、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、ヤンセン型骨幹端軟骨異形成症、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、腎石灰化症、及びそれらの組み合わせから選択される疾患を有するか、又はそれを発症するリスクを有する、請求項52~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記sPTHが、PTHRのアゴニストである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記sPTHが、PTHRのバイアス型アゴニストである、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記対象が、低い骨密度を有するか、又はそれを発症するリスクを有する、請求項52~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記対象が、ブロムストランド型致死性軟骨異形成、オリエ病、歯牙萌出の家族性原発性不全、Eiken症候群、短指症E型、副甲状腺機能低下症、骨粗鬆症、及びそれらの組み合わせから選択される疾患を有するか、又はそれを発症するリスクを有する、請求項52~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記対象が、骨粗鬆症を有するか、又はそれを発症するリスクがある、請求項52~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記量が、カルシウムホメオスタシスを促進すること、骨塩量の低下を増大、維持若しくは減少させること、骨折のリスクを減少させること、骨折治癒を促進すること、又は前述の組み合わせに有効である、請求項52~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記有効量が、異化骨吸収を誘導しない、請求項52~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記対象が、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、副甲状腺癌、転移性骨疾患、及びそれらの組み合わせから選択される疾患を有するか、又はそれを発症するリスクが高い、請求項52~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記副甲状腺機能亢進症が、副甲状腺癌の合併症として発生する、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記転移性骨疾患が、関連する高カルシウム血症を伴って発生する、請求項69又は70に記載の方法。
【請求項72】
前記対象が、ヤンセン型骨幹端軟骨異形成症、副甲状腺機能亢進症、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、腎石灰化症、慢性腎疾患、及びそれらの組み合わせから選択される疾患を有するか、又はそれを発症するリスクが高い、請求項52~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記慢性腎疾患が、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、腎石灰化症、又はそれらの組み合わせと関連して、又はその結果として発生する、請求項72に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2019年8月9日に出願された米国仮特許出願第62/884,703号の利益を主張する。上記出願の全教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ASCIIテキストファイルの資料の参照による組み込み
本出願には、本明細書と同時に提出される次のASCIIテキストファイルに含まれる配列表が参照により組み込まれる。
ファイル名:57081028001_Sequence_Listing.txt;2020年8月7日作成、サイズ57KB。
【背景技術】
【0003】
副甲状腺ホルモン受容体(PTHR又はPTH1R、HGNC:9608、ヒト遺伝子ID:5745、HomoloGene:267)は、骨及び腎臓において高レベルで発現し、カルシウムイオンのホメオスタシスを制御するGタンパク質共役型受容体(GPCR)である。PTHRは、副甲状腺ホルモン(PTH)及び副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)の2つの天然リガンドを有する。PTHRのバイオロジーの変化は、骨粗鬆症及びその他のカルシウムホメオスタシス調節不全の疾患を含む多くの重要な疾患に関与している。PTHRの不活性化変異によって引き起こされる疾患には、たとえば、ブロムストランド型致死性軟骨異形成、オリエ病、歯牙萌出の家族性原発性不全、及びEiken症候群が含まれる。リガンドの不均衡によって引き起こされる疾患には、短指症E型及び副甲状腺機能低下症が含まれる。骨吸収と骨形成プロセスの間の不均衡である骨粗鬆症も、PTHRを介したシグナル伝達によって制御されている。
【0004】
PTHRの天然リガンドに基づく治療用ペプチドは組換えにより産生されており、骨粗鬆症の処置のための薬剤:テリパラチド(PTHのアミノ酸1~34に対応、Eli Lilly)及びアバロパラチド(PTHrPのアミノ酸1~34、Radius health)として承認されている。
【0005】
それらのFDAの承認及び臨床用途にもかかわらず、どちらの天然リガンドも重篤な副作用を有する。テリパラチド及びアバロパラチドはどちらも、骨肉腫のリスクのブラックボックスラベル警告付きで販売されており、当該薬剤による、患者の生涯にわたって2年を超える処置は推奨されていない。さらに、テリパラチドへの長期暴露は、しばしば患者の異化骨吸収を引き起こし、処置の望ましい結果を相殺する。さらに、これらの化合物は、例えば、PTHRのアンタゴニスト又は逆アゴニスト活性を要する他の疾患に対処しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される発明は、部分的に、本発明のポリペプチドが副甲状腺ホルモン受容体(PTHR)に特異的に結合するという発見に基づいている。したがって、本発明は、一般に、細胞におけるPTHR媒介性シグナル伝達を調節するために有用な組成物(例えば、ポリペプチド、医薬組成物)及び方法に関する。
【0007】
PTHRに特異的に結合するポリペプチドが本明細書で提供される。一態様において、本発明は、PTHRに特異的に結合するポリペプチドを提供し、ここで、ポリペプチドは、合成副甲状腺ホルモン(sPTH)を含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、sPTHは、
a)1~3個の極性残基、及び配列番号7に対する1~14個のアミノ酸置換;
b)少なくとも4つの極性残基、少なくとも1つの荷電残基、及び配列番号7に対する1~14個のアミノ酸置換;
c)少なくとも5つの極性残基、少なくとも2つの荷電残基、及び配列番号7に対する1~14個のアミノ酸置換;
d)少なくとも5つの極性残基、2位のバリン、及び配列番号7に対する1~13個のアミノ酸置換;又は
e)少なくとも6つの極性残基、及び配列番号7に対する1~14個のアミノ酸置換
を含む、14アミノ酸配列を含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、sPTHは、
a)最大で13個の極性残基、及び配列番号8に対する1~32個のアミノ酸置換;
b)少なくとも14個の極性残基、2位のバリン、及び配列番号8に対する1~31個の置換;
c)少なくとも14個の極性残基、及び配列番号8に対する22~28個のアミノ酸置換;
d)配列番号8の1~14位、及び配列番号5に対する15~32位の1~18個のアミノ酸置換
を含む、32アミノ酸配列を含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号9~106及び配列番号108~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号9~106及び配列番号108~160から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号9、10、19、20、31、35、41、88、101~103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号配列番号9、10、19、20、31、35、41、88、101~103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号5に対して、少なくとも約20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、配列番号6に示されるアミノ酸配列は、sPTHのN末端にある。いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号102~106及び配列番号132~155からなる群から選択される配列に対して、少なくとも約55%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号107のアミノ酸配列を含む。
【0015】
いくつかの実施形態において、sPTHは、PTHRのアゴニストである。いくつかの実施形態において、sPTHは、PTHRのバイアス型アゴニストである。いくつかの実施形態において、sPTHは、PTHRの逆アゴニストである。いくつかの実施形態において、sPTHは、PTHRのアンタゴニストである。
【0016】
いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、融合タンパク質である。
【0017】
他の態様において、本発明は、本明細書に開示されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、そのようなポリヌクレオチドを含むベクター、及びそのようなポリヌクレオチド又はベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0018】
別の態様において、本発明は、哺乳動物細胞を、有効量の本明細書に開示されるポリペプチド又は本明細書に開示されるポリペプチドを含む組成物(例えば、医薬組成物)と接触させることを含む、哺乳動物細胞におけるPTHRシグナル伝達を調節する方法を提供する。
【0019】
別の態様において、本発明は、有効量の本明細書に開示されるポリペプチド又は本明細書に開示されるポリペプチドを含む組成物(例えば、医薬組成物)を対象に投与することを含む、それを必要とする対象(例えば、骨粗鬆症を有する対象)を処置する方法を提供する。
【0020】
別の態様において、本発明は、有効量の本明細書に開示されるポリペプチド又は本明細書に開示されるポリペプチドを含む組成物(例えば、医薬組成物)を対象に投与することを含む、それを必要とする対象(例えば、骨粗鬆症を有する対象)におけるPTHRシグナル伝達を調節する方法を提供する。
【0021】
前述の内容は、添付の図面に示されているように、例示的な実施形態の以下のより具体的な説明から明らかであり、同様の参照文字は、異なる表示の全体にわたって同じ部分を参照している。図面は必ずしも原寸に比例しておらず、代わりに実施形態を説明することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】β1-アレスチン動員アッセイの結果を示す。
図2】β2-アレスチン動員アッセイの結果を示す。
図3】cAMP蓄積アッセイの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、例示的な実施形態の説明である。
【0024】
PTHR活性を調節することができるPTHRに対する新規リガンドが必要とされている。本発明は、とりわけ、PTHRの活性を調節できる合成副甲状腺ホルモン(sPTH)、並びにsPTH、sPTHをコードする核酸を含むコンジュゲート(例えば、異種部分を含む)、融合タンパク質、及び組成物、並びにsPTHを使用する方法(例えば、PTHR活性を調節するため(例えば、カルシウムホメオスタシス及び/又はPTHRシグナル伝達の障害を処置するため))を提供する。
【0025】
[PTH及び関連ペプチド]
PTHRの天然リガンドであるPTH(HGNC:9606)は、PTHRに結合する分泌ペプチドホルモンである。ペプチドは、シグナル配列及び切断されたプロペプチドフォールドで構成され、84アミノ酸の活性分子(アミノ酸32~115)を残す。PTHの生理活性配列は、配列番号1として提供される(表1)。PTHRのバイオロジー及び疾患におけるその役割のレビューは、Cheloha et al.,Nature Reviews Endocrinology 11(12):712-24(2015)に見出される。
【0026】
PTHRの第2の天然リガンドであるPTHrP(HGNC:9607)は、PTHRに結合する分泌ペプチドホルモンである。ペプチドは、シグナルペプチド、プロペプチド、及びエンドプロテオリシスによって、PTHrP[1-36]、PTHrP[38-94]、及びオステオスタチン(PTHrP[107-139])と呼ばれる3つの主要な分泌型に切断される長鎖から構成される。PTHRrPの完全な配列は、配列番号2として提供される(表1)。
【0027】
実験結果から、PTHのN末端の14アミノ酸であるPTH[1-14]は、受容体と結合し、シグナル伝達を促進し、一方、C末端の20アミノ酸であるPTH[15-34]は、PTHRの細胞外ドメインに結合し、ある程度の受容体特異性を付与することが知られている(Pioszak&Xu,Proc Natl Acad Sci U S A.105(13):5034-39(2008);Pioszak et al.,J Biol Chem.284(41):28382-91(2009))。
【0028】
天然リガンドPTHのアミノ酸1~34に対応する治療用ペプチドテリパラチドの配列は、配列番号3として提供される(表1)。
【0029】
治療用ペプチドアバロパラチドの配列は、配列番号4(表1)として提供され、天然リガンドPTHrPの最初の20アミノ酸に対応する。残基21~34は、非天然アミノ酸の2-アミノイソ酪酸(「X」と表記)を含む、PTHrPのC末端の14アミノ酸に対して50%の多様性を有する。
【0030】
PTHRの構造は、最近、PTHとPTHrPのハイブリッドであるペプチドリガンドLA-PTHとの複合体で解明された。Zhao LH et al.,Science 364:148-53(2019)を参照されたい。32-merのLA-PTHの配列は、配列番号5として提供され、LA-PTHのN末端の14-merは、配列番号6として提供される(表1)。
【0031】
前述のPTH及びPTHrP配列を包含するコンセンサス配列は、配列番号7及び配列番号8に提供される(表1)。
【0032】
【表1】
【0033】
[本発明によって提供されるsPTH]
一態様において、本発明は、PTHRに特異的に結合するポリペプチドを提供し、ここで、ポリペプチドは、合成副甲状腺ホルモン(sPTH)を含む。
【0034】
「合成副甲状腺ホルモン」又は「sPTH」又は「本発明によって提供されるsPTH」などは、PTHRに結合し、成熟PTHペプチドの生物活性部分とサイズが類似したアミノ酸配列を含み、野生型PTH(配列番号1)、野生型PTHrP(配列番号2)、テリパラチド(FORTEO(登録商標);配列番号3)、アバロパラチド(TYMLOS(登録商標);配列番号4)、又は「長時間作用型」PTH(N末端32-mer(配列番号5)又はN末端14-mer(配列番号6))のアミノ酸配列を含まないか、それからならないか、又は本質的にそれからならない、ポリペプチドを指す。
【0035】
特定の実施形態において、本発明によって提供されるsPTHは、配列番号7、配列番号8、及び/又は配列番号107に示されるコンセンサスアミノ酸配列を含まないか、それからならないか、又は本質的にそれからならない。いくつかの実施形態において、本発明のsPTHは、米国特許第6,921,750号明細書、米国特許第7,803,770号明細書、及び/又は国際公開第2000/010596号パンフレットに開示されるアミノ酸配列を含まないか、それからならないか、又は本質的にそれからならない。いくつかの実施形態において、本発明のsPTHは、配列番号7、配列番号8又は配列番号107のコンセンサス配列に含まれ、表2に示される1つ以上の基準を満たすアミノ酸を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号7のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号107のアミノ酸配列を含む。
【0036】
【表2】
【0037】
「極性」アミノ酸残基には、塩基性、酸性及び親水性であるが非荷電のカノニカルアミノ酸及び非カノニカルアミノ酸が含まれる。特定の実施形態において、極性残基は、カノニカルアミノ酸、例えば、塩基性(K、R、H)、酸性(D、E)又は親水性であるが非荷電(S、T、N、Q、C)である。いくつかの実施形態において、極性残基は、非カノニカルアミノ酸である。
【0038】
「荷電」残基には、塩基性及び酸性のカノニカルアミノ酸及び非カノニカルアミノ酸が含まれる。いくつかの実施形態において、荷電残基は、カノニカルアミノ酸、例えば、塩基性(K、R、H)又は酸性(D、E)である。いくつかの実施形態において、荷電残基は、非カノニカルアミノ酸である。
【0039】
いくつかの実施形態において、本発明のsPTHは、配列番号9~106及び108~159(表3)から選択されるアミノ酸配列、又はその変異体を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】
「sPTHの変異体」ポリペプチド(例えば、sPTHに関する「変異体」)などは、参照配列(例えば、配列番号9~107又は108~160のうち1つ)と比較して、たとえば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(より長い配列の場合はそれ以上、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、又は31など)を含む。特定の実施形態において、本発明によって提供されるsPTHの変異体は、最大1、2、3、4、5、6、又は7個のアミノ酸置換、例えば、1~3個のアミノ酸置換を含む。非カノニカルアミノ酸での置換を含む、本発明によって提供されるsPTHの変異体の様々なアミノ酸置換が可能である。非カノニカルアミノ酸の非限定的な例には、任意のカノニカルアミノ酸のD-異性体(例えば、D-アラニン)、セレノシステイン、ピロリシン、β-アラニン、4-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、サルコシン、スタチン、シトルリン、ホモシトルリン、ホモセリン、ノルロイシン、ノルバリン、及びオルニチンが含まれる。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。参照配列に対する「保存的置換」とは、BLOSUM62で所与のアミノ酸置換の値が0以上であることを意味する。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、高度に保存的なアミノ酸置換である。参照配列に対する「高度に保存的な置換」とは、BLOSUM62で所与のアミノ酸置換の値が1以上(例えば、いくつかの実施形態において、2以上)であることを意味する。
【0045】
いくつかの実施形態において、「sPTHの変異体」ポリペプチドは、本発明によって提供されるsPTH(例えば、配列番号9~106又は108~160(表3)のsPTH)と少なくとも約50%同一であるアミノ酸配列を含む。たとえば、変異体は、配列番号9~106及び108~160(表3)のいずれか1つ以上のsPTHと、少なくとも約50%、約60%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%又は約99%同一である。
【0046】
本明細書で使用される場合、「配列同一性」という用語は、配列がアラインされて最大レベルのパーセンテージで表される同一性を達成するときに、2つのヌクレオチド配列又は2つのアミノ酸配列が同じ位置に同じ残基を有する程度を指す。配列アライメント及び比較のために、典型的には、1つの配列が参照配列として指定され、これと試験配列が比較される。参照配列と試験配列の間の配列同一性は、参照配列と試験配列のアライメント時に参照配列と試験配列が同じヌクレオチド又はアミノ酸を共有して最大レベルの同一性を達成する、参照配列の全長にわたる位置のパーセンテージとして表される。一例として、最大レベルの同一性を達成するためのアライメント時に、試験配列が、参照配列の全長にわたって同じ位置の70%に同じヌクレオチド又はアミノ酸残基を有する場合、2つの配列は70%の配列同一性を有すると見なされる。
【0047】
最大レベルの同一性を達成するための比較用の配列のアライメントは、適切なアライメント方法又はアルゴリズムを使用して、当業者によって容易に実施され得る。場合によっては、アライメントは、最大レベルの同一性を提供するために導入されたギャップを含み得る。例には、Smith&Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所ホモロジーアルゴリズム、Needleman&Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アライメントアルゴリズム、Pearson&Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性の検索方法、これらのアルゴリズムのコンピューター化された実装(GAP、BESTFIT、FASTA,及びTFASTA,Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.)、及び外観検査(一般的に、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biologyを参照されたい)が含まれる。
【0048】
配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列及び参照配列がコンピューターに入力され、その後必要に応じて座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。次に、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列のパーセント配列同一性を計算する。パーセント配列同一性を決定するために一般的に使用されるツールは、米国国立衛生研究所の国立医学図書館の国立バイオテクノロジー情報センターから入手可能なProtein Basic Local Alignment Search Tool(BLASTP)である。(Altschul et al.,1990)。
【0049】
いくつかの実施形態において、sPTHは、
a)1~3個の極性残基、及び配列番号7に対する1~14個のアミノ酸置換;
b)少なくとも4つの極性残基、少なくとも1つの荷電残基、及び配列番号7に対する1~14個のアミノ酸置換;
c)少なくとも5つの極性残基、少なくとも2つの荷電残基、及び配列番号7に対する1~14個のアミノ酸置換;
d)少なくとも5つの極性残基、2位のバリン、及び配列番号7に対する1~13個のアミノ酸置換;又は
a)少なくとも6つの極性残基、及び配列番号7に対する1~14個のアミノ酸置換
を含む、14アミノ酸配列を含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、sPTHは、
a)最大で13個の極性残基、及び配列番号8に対する1~32個のアミノ酸置換;
b)少なくとも14個の極性残基、2位のバリン、及び配列番号8に対する1~31個の置換;
c)少なくとも14個の極性残基、及び配列番号8に対する22~28個のアミノ酸置換;
d)配列番号8の1~14位、及び配列番号5に対する15~32位の1~18個のアミノ酸置換
を含む、32アミノ酸配列を含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号9~106及び配列番号108~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例えば、配列番号9~106及び配列番号108~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約97%;約20~97%、約25~97%、約25~95%、約30~95%、約30~90%、約35~90%、約35~85%、約40~85%、約40~80%、約45~75%、約45~70%、約50~70%、約50~65%若しくは約55~65%;又は最大で約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約97%の配列同一性を有するものである。いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号9~106及び配列番号108~160から選択されるアミノ酸配列に対して、約50~97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号9~106及び配列番号108~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。例えば、sPTHは、配列番号9~106及び配列番号108~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31又は32個;又は約1~32、約1~28、約1~24、約1~20、約1~15、約1~10、約1~5、約2~32、約2~28、約2~24、約2~20、約2~15、約2~10、約2~5、約3~32、約3~28、約3~24、約3~20、約3~15、約3~10、約3~5、約4~32、約4~28、約4~24、約4~20、約4~15、約4~10又は約4~5個のアミノ酸置換を含む。
【0053】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号9~106及び配列番号108~160から選択されるアミノ酸配列に対して、最大32個のアミノ酸置換を含む。例えば、sPTHは、配列番号9~106及び配列番号108~160から選択されるアミノ酸配列に対して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30又は31個;又は最大で1~32、1~28、1~24、1~20、1~15、1~10、1~5、2~32、2~28、2~24、2~20、2~15、2~10、2~5、3~32、3~28、3~24、3~20、3~15、3~10、3~5、4~32、4~28、4~24、4~20、4~15、4~10又は4~5個のアミノ酸置換を含む。
【0054】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号9~106及び配列番号108~160から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号9、10、19、20、31、35、41、88、101~103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例えば、配列番号9、10、19、20、31、35、41、88、101~103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約97%;約20~97%、約25~97%、約25~95%、約30~95%、約30~90%、約35~90%、約35~85%、約40~85%、約40~80%、約45~75%、約45~70%、約50~70%、約50~65%若しくは約55~65%;又は最大で約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約97%の配列同一性を有するものである。いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号9、10、19、20、31、35、41、88、101~103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、約50~97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号9、10、19、20、31、35、41、88、101~103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。例えば、sPTHは、配列番号9、10、19、20、31、35、41、88、101~103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31又は32個;又は約1~32、約1~28、約1~24、約1~20、約1~15、約1~10、約1~5、約2~32、約2~31、約2~28、約2~24、約2~20、約2~18、約2~15、約2~10、約2~5、約3~32、約3~28、約3~24、約3~20、約3~15、約3~10、約3~5、約4~32、約4~28、約4~24、約4~20、約4~15、約4~10又は約4~5個のアミノ酸置換を含む。
【0057】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号9、10、19、20、31、35、41、88、101~103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、最大32個のアミノ酸置換を含む。例えば、sPTHは、配列番号9、10、19、20、31、35、41、88、101~103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30又は31個;又は最大で1~32、1~28、1~24、1~20、1~15、1~10、1~5、2~32、2~31、2~28、2~24、2~20、2~18、2~15、2~10、2~5、3~32、3~28、3~24、3~20、3~15、3~10、3~5、4~32、4~28、4~24、4~20、4~15、4~10又は4~5個のアミノ酸置換を含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号9、10、19、20、31、35、41、88、101~103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号101、103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例えば、配列番号101、103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約97%;約20~97%、約25~97%、約25~95%、約30~95%、約30~90%、約35~90%、約35~85%、約40~85%、約40~80%、約45~75%、約45~70%、約50~70%、約50~65%若しくは約55~65%;又は最大で約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約97%の配列同一性を有するものである。いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号101、103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、約50~97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0060】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号101、103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。例えば、sPTHは、配列番号101、103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31又は32個;又は約1~32、約1~28、約1~24、約1~20、約1~15、約1~10、約1~5、約2~32、約2~31、約2~28、約2~24、約2~20、約2~18、約2~15、約2~10、約2~5、約3~32、約3~28、約3~24、約3~20、約3~15、約3~10、約3~5、約4~32、約4~28、約4~24、約4~20、約4~15、約4~10又は約4~5個のアミノ酸置換を含む。
【0061】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号101、103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、最大32個のアミノ酸置換を含む。例えば、sPTHは、配列番号101、103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30又は31個;又は最大で1~32、1~28、1~24、1~20、1~15、1~10、1~5、2~32、2~31、2~28、2~24、2~20、2~18、2~15、2~10、2~5、3~32、3~28、3~24、3~20、3~15、3~10、3~5、4~32、4~28、4~24、4~20、4~15、4~10又は4~5個のアミノ酸置換を含む。
【0062】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号101、103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、sPTHは、28~36個のアミノ酸、例えば、18、29、30、31、32、33、35又は36個のアミノ酸からなる。いくつかの実施形態において、sPTHは、30~34個のアミノ酸からなる。いくつかの実施形態において、sPTHは、32個のアミノ酸からなる。
【0064】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号5に対して、少なくとも約20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例えば、配列番号5に対して、少なくとも約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約97%;約20~97%、約25~97%、約25~95%、約30~95%、約30~90%、約35~90%、約35~85%、約40~85%、約40~80%、約45~75%、約45~70%、約50~70%、約50~65%若しくは約55~65%;又は最大で約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約97%の配列同一性を有するものである。いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号5に対して、約50~97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0065】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号5に対する少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。例えば、sPTHは、配列番号5に対して、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31又は32個;又は約1~32、約1~28、約1~24、約1~20、約1~15、約1~10、約1~5、約2~32、約2~31、約2~28、約2~24、約2~20、約2~18、約2~15、約2~10、約2~5、約3~32、約3~28、約3~24、約3~20、約3~15、約3~10、約3~5、約4~32、約4~28、約4~24、約4~20、約4~15、約4~10又は約4~5個のアミノ酸置換を含む。
【0066】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号5に対する最大32個のアミノ酸置換を含む。例えば、sPTHは、配列番号5に対して、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30又は31個;又は最大で1~32、1~28、1~24、1~20、1~15、1~10、1~5、2~32、2~31、2~28、2~24、2~20、2~18、2~15、2~10、2~5、3~32、3~28、3~24、3~20、3~15、3~10、3~5、4~32、4~28、4~24、4~20、4~15、4~10又は4~5個のアミノ酸置換を含む。
【0067】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、配列番号6に示されるアミノ酸配列は、sPTHのN末端にある。
【0068】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号102~106及び配列番号132~155からなる群から選択される配列に対して、少なくとも約55%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例えば、配列番号102~106及び配列番号132~155からなる群から選択される配列に対して、少なくとも約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約97%;約55~97%、約60~97%、約60~95%、約65~95%、約65~90%、約70~90%、約70~85%若しくは約80~85%;又は最大で約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約97%の配列同一性を有するものである。いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号102~106及び配列番号132~155からなる群から選択される配列に対して、約50~97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号102~106及び配列番号132~155からなる群から選択される配列に対して、約75~97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号102~106及び配列番号132~155からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、少なくともアミノ酸置換は、保存的置換である。いくつかの実施形態において、少なくともアミノ酸置換は、高度に保存的な置換である。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、保存的置換である。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は高度に保存的な置換である。
【0070】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4又は配列番号5からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドよりも少なくとも約5%高い親和性でPTHRに結合する。例えば、sPTHは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4又は配列番号5からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドよりも少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約50%、約60%又は約70%高い親和性でPTHRに結合する。
【0071】
いくつかの実施形態において、sPTHは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4又は配列番号5からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドよりも少なくとも約5%低い親和性でPTHRに結合する。例えば、sPTHは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4又は配列番号5からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドよりも少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約50%、約60%又は約70%低い親和性でPTHRに結合する。
【0072】
いくつかの実施形態において、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4又は配列番号5からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドよりも約5%以下低い。例えば、sPTHは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4又は配列番号5からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドよりも約10%以下、約15%以下、約20%以下、約25%以下、約30%以下、約35%以下、約40%以下、約50%以下、約60%以下又は約70%以下低い親和性でPTHRに結合する。
【0073】
いくつかの実施形態において、本発明によって提供されるsPTH又はその変異体は、sPTH又はその変異体の、アセチル化、アミド化、ホルミル化、グリコシル化、ヒドロキシル化、メチル化、ミリストイル化、リン酸化、脱アミド化、プレニル化(例えば、ファルネシル化、ゲラニル化など)、ユビキチン化、リボシル化又は硫酸化、又は前述の任意の組み合わせから生じる1つ以上の翻訳後修飾などの翻訳後修飾を含む。
【0074】
本発明のsPTHポリペプチドは、アゴニスト(例えば、バイアス型アゴニスト)、逆アゴニスト、又は1つ以上のPTHRシグナル伝達経路のアンタゴニストとして機能し得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のPTHRシグナル伝達経路は、Gα-アデニリルシクラーゼ-cAMP-プロテインキナーゼA(PKA)経路(G経路)、Gα-ホスホリパーゼC(PLC)β-イノシトール三リン酸-細胞質Ca2+-プロテインキナーゼC経路(G経路)、Gα12/13-ホスホリパーゼD-形質転換タンパク質RhoA経路(G12/13経路)、β-アレスチン-細胞外シグナル調節キナーゼ1/2(ERK1/2)経路(β-アレスチン経路)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、PTHRシグナル伝達経路は、Gα-アデニリルシクラーゼ-cAMP-プロテインキナーゼA(PKA)経路(G経路)を含む。いくつかの実施形態において、PTHRシグナル伝達経路は、Gα-ホスホリパーゼC(PLC)β-イノシトール三リン酸-細胞質Ca2+-プロテインキナーゼC経路(G経路)を含む。いくつかの実施形態において、PTHRシグナル伝達経路は、Gα12/13-ホスホリパーゼD-形質転換タンパク質RhoA経路(G12/13経路)を含む。いくつかの実施形態において、PTHRシグナル伝達経路は、β-アレスチン-細胞外シグナル調節キナーゼ1/2(ERK1/2)経路(β-アレスチン経路)を含む。PTHRシグナル伝達経路の追加の例は、Cheloha RW et al.,Nat Rev Endocrinol.11(12):712-24(2015)に記載され、その内容は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0075】
いくつかの実施形態において、本発明のsPTHポリペプチドは、1つ以上のPTHRシグナル伝達経路のアゴニストとして機能する。「PTHRのアゴニスト」は、結合しPTHRシグナル伝達を活性化する。本発明によって提供されるPTHRのアゴニストは、とりわけ、骨量を増加させ、骨形成を増加させ、及び/又は骨粗鬆症を有する又は骨粗鬆症のリスクが増加する対象(例えば、ヒト患者)の骨折を減少させるために使用できる。
【0076】
いくつかの実施形態において、PTHRのアゴニストであるsPTHポリペプチドは、参照PTHポリペプチド(例えば、PTH1~34)と比較して、改善された活性(例えば、約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍又はそれを超える活性)を有する。特定の実施形態において、PTHRのアゴニストであるsPTHポリペプチドは、参照PTHポリペプチド(例えば、PTH1~34)に対する同等又は類似の活性(例えば、約90、95、97、98、99又は100%の活性)を有する。活性の非限定的な例には、例えば、Gs経路、Gq経路、G12/13経路、β-アレスチン経路、及びそれらの組み合わせを介したシグナル伝達活性が含まれる。
【0077】
いくつかの実施形態において、PTHRのアゴニストであるsPTHポリペプチドは、参照PTHポリペプチド(例えば、PTH1~34)と比較して、PTHRへのより低い結合定数(K)値(例えば、約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、約50%又はそれ未満)を有する。特定の実施形態において、PTHRのアゴニストであるsPTHポリペプチドは、参照PTHポリペプチド(例えば、PTH1~34)と比較して、同等又は類似のK値(例えば、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%、約102%、約105%、又は約110%)を有する。本明細書で使用される場合、「結合定数」、「平衡解離定数」又は「親和定数」とも呼ばれる「K」という用語は、2つの分子種(例えば、抗体及び標的タンパク質)間の可逆的会合の程度の尺度であり、実際の結合親和性及び見かけの結合親和性の両方を含む。結合親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴の測定、例えば、バイオレイヤー干渉法(Octet,ForteBio)又は表面プラズモン共鳴(Biacore)システム及びアッセイを含む、当技術分野で公知の方法を使用して決定することができる。結合親和性及び動態を測定するための様々な表面技術を比較する参考文献は、Yang et al.,Analytical Biochemistry 508:78-96(2016)であり、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0078】
いくつかの実施形態において、PTHRのアゴニストであるsPTHポリペプチドは、14個を超えるアミノ酸(例えば、32アミノ酸、34アミノ酸)を含み、ここで、ポリペプチドのN末端の14アミノ酸は、配列番号6に対応する。
【0079】
PTHRのアゴニストであるsPTHポリペプチドの特定の例には、配列番号9、10、19、20、31、35、41、88、101~103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160が含まれる。例えば、本明細書の実施例6を参照されたい。
【0080】
いくつかの実施形態において、本発明のsPTHポリペプチドは、配列番号120、配列番号136、配列番号143、配列番号145及び配列番号159からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、本発明のsPTHポリペプチドは、配列番号145又は配列番号159である。いくつかの実施形態において、本発明のsPTHポリペプチドは、配列番号108、配列番号115、配列番号131、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号143、配列番号149、配列番号155及び配列番号157からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、本発明のsPTHポリペプチドは、配列番号108、配列番号115、配列番号131、配列番号136、配列番号143、配列番号155及び配列番号157からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、本発明のsPTHポリペプチドは、配列番号101、配列番号103、配列番号120、配列番号121、配列番号129、配列番号131、配列番号132、配列番号134、配列番号142、配列番号143、配列番号147、配列番号148、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号154、配列番号158及び配列番号160からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、本発明のsPTHポリペプチドは、配列番号101、配列番号120、配列番号121、配列番号129、配列番号131、配列番号147、配列番号148、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号154、配列番号158及び配列番号160からなる群から選択される。
【0081】
いくつかの実施形態において、本発明のsPTHポリペプチドは、1つ以上のPTHRシグナル伝達経路のバイアス型アゴニストとして機能する。「PTHRのバイアス型アゴニスト」はPTHRに結合し、通常は親リガンドによって活性化されるか、又はシグナル伝達の持続時間及び細胞内局在の変化を誘導する、細胞内シグナル伝達応答の別個のサブセットを優先的に活性化する。さらなる説明について、たとえば、Cheloha RW et al.,Nat Rev Endocrinol.11(12):712-24(2015)を参照されたい。いくつかの実施形態において、PTHRバイアス型アゴニストとして作用するsPTHポリペプチドは、1つ以上の他の経路とは独立して、1つの経路の選択的活性化を誘導する。たとえば、PTHRバイアス型アゴニストとして作用するsPTHポリペプチドは、1つ以上のGタンパク質共役型シグナル伝達メカニズム(G経路、G経路、G12/13経路、又は前述の任意の組み合わせ)の活性化を誘導することなく、β-アレスチン経路の選択的活性化を誘導する。したがって、PTHRバイアス型アゴニストを使用して、同化骨形成を選択的に誘導し、骨粗鬆症を有するか、又は骨粗鬆症のリスクが高い対象(例えば、ヒト患者)における副作用を軽減して治療効果を改善することができる。いくつかの実施形態において、本発明のsPTHポリペプチドは、参照バイアス型アゴニストの変異体である。参照バイアス型アゴニストの非限定的な例には、PTH(7-34)足場上のD-Trp12(12位のD-Trp)及びTyr34-PTH(7-34)(34位のTyr)が含まれる。たとえば、Bohinc BN and Gesty-Palmer D,Mini Rev Med Chem.12(9):856-65(2012)を参照されたい。
【0082】
いくつかの実施形態において、本発明のsPTHポリペプチドは、1つ以上のPTHRシグナル伝達経路の逆アゴニストとして機能する。「PTHRの逆アゴニスト」は、PTHRに結合し、構成的活性型PTHRを阻害するか、又は基礎PTHRシグナル伝達を低下させることができるポリペプチドである。たとえば、Cheloha RW et al.,Nat Rev Endocrinol.11(12):712-24(2015)を参照されたい。いくつかの実施形態において、PTHR逆アゴニストとして作用するsPTHポリペプチドは、機能獲得型変異によるPTHRの過剰活性化を阻害及び/又は逆転させるために使用される。いくつかの実施形態において、PTHR逆アゴニストとして作用するsPTHポリペプチドは、1つ以上の適応症を処置及び/又は予防するために使用される。適応症の非限定的な例には、ヤンセン型骨幹端軟骨異形成症、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、腎石灰化症、及び慢性腎疾患が含まれる。たとえば、Saito H et al.,J Clin Endocrinol Metab.49:20-28(2018)を参照されたい。
【0083】
いくつかの実施形態において、本発明のsPTHポリペプチドは、1つ以上のPTHRシグナル伝達経路のアンタゴニストとして機能する。「PTHRのアンタゴニスト」は、PTHRに結合し、アゴニスト又は逆アゴニストによるPTHRシグナル伝達の変化を防ぐポリペプチドである。たとえば、Cheloha RW et al.,Nat Rev Endocrinol.11(12):712-24(2015)を参照されたい。いくつかの実施形態において、PTHRアンタゴニストとして作用するsPTHポリペプチドは、PTHRの過剰活性化を阻害するために使用される。いくつかの実施形態において、PTHRアンタゴニストとして作用するsPTHポリペプチドは、1つ以上の適応症を処置及び/又は予防するために使用される。適応症の非限定的な例には、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、副甲状腺癌、及び転移性骨疾患が含まれる。たとえば、Mirza AM et al.,AACR Annual Meeting 2017を参照されたい。
【0084】
いくつかの実施形態において、PTHRシグナル伝達は、ルシフェラーゼアッセイによって評価され、これは、参照によりその全体が組み込まれる、Hattersly et al.,Endocrinology 157(1):141-49(2016)又はKumar et al.,2007に従って実施することができる。PTHRシグナル伝達に対するsPTHポリペプチド媒介効果(例えば、アゴニスト活性又は逆アゴニスト活性)は、例えば、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)アッセイによって評価することができる。たとえば、ルシフェラーゼタグ付きβ-アレスチン及びYFPタグ付きGPCRを使用する。いくつかの実施形態において、sPTHポリペプチド媒介効果(例えば、逆アゴニスト活性又はアンタゴニスト活性)は、cAMPレベルの低下を検出することによって評価される。いくつかの実施形態(例えば、逆アゴニスト活性)において、バックグラウンドcAMPレベルは、例えば1つ以上の構成的変異を含む、構成的活性型受容体を使用して決定される。構成的変異の非限定的な例には、ヤンセン型骨幹端軟骨異形成症の根底にあるH223R、T410P、若しくはI458R又はそれらの組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態(例えば、アンタゴニスト活性)において、バックグラウンドcAMPレベルは、天然リガンドを使用して決定される。アッセイの詳細な説明は、実施例2B(アンタゴニスト活性)及び実施例2C(逆アゴニスト活性)に見出すことができる。
【0085】
いくつかの実施形態において、sPTHポリペプチドは、異種部分にコンジュゲートされている。「コンジュゲート」という用語は、共有又は非共有相互作用を介して結合することを指す。コンジュゲーションは、適切な連結剤のいずれかを使用することができる。非限定的な例には、ペプチドリンカー、化合物リンカー、及び化学的架橋剤が含まれる。
【0086】
いくつかの実施形態において、異種部分は、治療剤、診断薬、又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、異種部分は、ポリエチレングリコール(PEG)、ヘキサデカン酸、ヒドロゲル、ナノ粒子、多量体化ドメイン、及び担体ペプチドである。
【0087】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子は脂質ナノ粒子である。いくつかの実施形態において、ナノ粒子はポリマーナノ粒子である。いくつかの実施形態において、ポリマーは両親媒性ポリマーである。他の実施形態において、ポリマーは、疎水性又は親水性ポリマーである。ポリマーの非限定的な例には、ポリ(乳酸)-ポリ(エチレングリコール)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)-ポリ(エチレングリコール)、ポリ(乳酸-コ-グリコール)酸(PLGA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)-d-α-トコフェリルポリエチレングリコールコハク酸塩、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)-エチレンオキシドフマル酸塩、ポリ(グリコール酸)-ポリ(エチレングリコール)、ポリカプロラクトン-ポリ(エチレングリコール)、又はそれらの塩が含まれる。いくつかの実施形態において、ポリマーナノ粒子は、ポリ(乳酸-コ-グリコール)酸(PLGA)を含む。
【0088】
[融合タンパク質]
別の態様において、本発明は、本明細書に記載される1つ以上のSPTHを含む融合タンパク質を提供する。
【0089】
「融合タンパク質」という用語は、合成、半合成、又は組換えの単一タンパク質分子を指す。融合タンパク質は、共有結合(例えば、ペプチド結合)によって結合される2つ以上の異なるタンパク質及び/又はポリペプチドの全部又は一部を含み得る。
【0090】
本発明の融合タンパク質は、当技術分野で周知の通常の方法及び試薬を使用して、組換え又は合成により産生することができる。例えば、本発明の融合タンパク質は、当技術分野で公知の方法に従って、適切な宿主細胞(例えば、細菌)において組換えにより産生することができる。たとえば、Current Protocols in Molecular Biology,Second Edition,Ausubel et al.eds.,John Wiley&Sons,1992;及びMolecular Cloning:a Laboratory Manual,2nd edition,Sambrook et al.,1989,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。例えば、本明細書に記載の融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子は、適切な宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli))において導入及び発現することができ、発現された融合タンパク質は、通常の方法及び容易に入手可能な試薬を使用して、宿主細胞(例えば、封入体中)から単離/精製することができる。例えば、異なるタンパク質配列(例えば、光応答性ドメイン、異種ペプチド成分)をコードするDNA断片は、従来の技術に従って、インフレームで一緒に連結することができる。別の実施形態において、融合遺伝子は、自動化されたDNAシンセサイザーを含む従来技術によって合成することができる。或いは、核酸断片のPCR増幅は、2つの連続する核酸断片間に相補的なオーバーハングを生じさせるアンカープライマーを使用して実行でき、その後、アニーリング及び再増幅してキメラ核酸配列を生成できる(Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,1992を参照されたい)。
【0091】
[核酸、発現ベクター、発現宿主細胞]
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のSPTHポリペプチド又は融合タンパク質のいずれか1つをコードする1つ以上のポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態において、本発明のSPTHポリペプチド又は融合タンパク質は、単一のポリヌクレオチドによってコードされる。いくつかの実施形態において、本発明のSPTHポリペプチド又は融合タンパク質は、複数のポリヌクレオチドによってコードされる。
【0092】
いくつかの実施形態において、SPTHポリヌクレオチドは、選択された宿主細胞に対してコドン最適化されたヌクレオチド配列を含む。
【0093】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つ以上を含む発現ベクターを提供する。
【0094】
「発現ベクター」という用語は、発現ベクターが適切な発現宿主細胞に形質転換されるときに1つ以上のタンパク質を発現させることができる複製可能な核酸を指す。
【0095】
いくつかの実施形態において、発現ベクターは、ポリヌクレオチドに作動可能に連結された発現制御ポリヌクレオチド配列、選択マーカーをコードするポリヌクレオチド配列、又はその両方をさらに含む。いくつかの実施形態において、発現制御ポリヌクレオチド配列は、プロモーター配列、エンハンサー配列、又はその両方を含む。いくつかの実施形態において、発現制御ポリヌクレオチド配列は、誘導性プロモーター配列を含む。「プロモーター」という用語は、RNAポリメラーゼが結合して遺伝子の転写を開始するDNAの領域を指す。「作動可能に連結された」という用語は、核酸が、それが連結されたエレメント(例えば、プロモーター)の制御下で核酸の発現を可能にするような方法で、組換えポリヌクレオチド、例えば、ベクターに配置されることを意味する。「選択マーカーエレメント」という用語は、人為選択に適した形質を与えるエレメントである。選択可能なマーカーエレメントは、ネガティブ又はポジティブ選択マーカーであり得る。
【0096】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリヌクレオチド又は発現ベクターのいずれか1つ以上を含む発現宿主細胞を提供する。
【0097】
「発現宿主細胞」という用語は、ベクターを受け取り、維持し、複製し、及び/又は増幅するのに有用な細胞を指す。
【0098】
発現宿主細胞の非限定的な例には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物細胞、COS細胞、ヒト胚性腎臓(HEK)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)細胞などの酵母細胞、又はDH5αなどの細菌細胞などが含まれる。
【0099】
[組成物]
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド又は融合タンパク質のいずれか1つを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、組成物は医薬組成物である。
【0100】
いくつかの実施形態において、組成物(例えば、医薬組成物)は、薬学的に許容される担体、賦形剤、安定剤、希釈剤又は強壮剤をさらに含む(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))。適切な薬学的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤は、使用される投与量及び濃度でレシピエントに対して無毒である。薬学的に許容される担体、賦形剤、安定剤、希釈剤又は強壮剤の非限定的な例には、緩衝剤(例えば、リン酸塩、クエン酸塩、ヒスチジン)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸又はメチオニン)、防腐剤、タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン);親水性ポリマー、アミノ酸、炭水化物(例えば、単糖、二糖、グルコース、マンノース又はデキストリン);キレート剤(例えば、EDTA)、糖(例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール)、塩形成対イオン(例えば、ナトリウム)、金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);非イオン性界面活性剤(例えば、Tween)、PLURONICS(登録商標)及びポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。
【0101】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物(例えば、医薬組成物)は、適切な投与スケジュール及び経路のために製剤化される。投与経路の非限定的な例には、経口、直腸、粘膜、静脈内、筋肉内、皮下及び局所などが含まれる。いくつかの実施形態において、本発明の組成物(例えば、医薬組成物)は、水溶液又は乾燥製剤(例えば、凍結乾燥)の形態で保存される。
【0102】
いくつかの実施形態において、組成物は、注入(例えば、静脈内注入)によって投与されるように製剤化される。いくつかの実施形態において、組成物は、組み合わせ治療として第2の治療剤とともに投与されるように製剤化される。
【0103】
[sPTHの作製方法]
SPTHポリペプチド、そのコンジュゲート、その融合タンパク質、及び本発明の組成物は、当技術分野で公知の任意の適切な手段によって産生することができる。いくつかの実施形態において、化学合成の方法が使用される。いくつかの実施形態において、組換え産生/発現の方法が使用される。いくつかの実施形態において、化学合成及び組換え産生/発現の組み合わせが使用される。例えば、SPTHポリペプチド成分は、組換えにより産生され、その後、異種部分を化学的にコンジュゲートする。いくつかの実施形態において、本発明の宿主細胞(例えば、本発明のSPTHポリヌクレオチド又は発現ベクターを含む)は、適切な条件下で培養されてsPTHを生成し、これは次に宿主細胞又は培養物上清から単離され、それによりsPTHを産生する。
【0104】
[sPTHを使用する方法]
別の態様において、本発明は、細胞を、有効量の本明細書に記載されるポリペプチド、融合タンパク質又は組成物(例えば、医薬組成物)と接触させることを含む、細胞(例えば、哺乳動物細胞)におけるPTHRシグナル伝達を調節する方法を提供する。
【0105】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載される有効量のポリペプチド、融合タンパク質又は組成物(例えば、医薬組成物)を対象に投与することを含む、それを必要とする対象のPTHRシグナル伝達を調節する方法を提供する。
【0106】
いくつかの実施形態において、PTHRシグナル伝達の調節は、PTHRシグナル伝達のアゴニスト活性(例えば、バイアス型アゴニスト活性)、逆アゴニスト活性、又はアンタゴニスト活性、又は上記の組み合わせを伴う。いくつかの実施形態において、PTHRシグナル伝達の調節は、PTHRシグナル伝達のアゴニスト活性を伴う。いくつかの実施形態において、PTHRシグナル伝達の調節は、PTHRシグナル伝達のバイアス型アゴニスト活性を伴う。いくつかの実施形態において、PTHRシグナル伝達の調節は、PTHRシグナル伝達の逆アゴニスト活性を伴う。いくつかの実施形態において、PTHRシグナル伝達の調節は、PTHRシグナル伝達のアンタゴニスト活性を伴う。
【0107】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の有効量の医薬組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象を処置する方法を提供する。
【0108】
いくつかの実施形態において、それを必要とする対象を処置することは、PTHRシグナル伝達のアゴニスト活性(例えば、バイアス型アゴニスト活性)、逆アゴニスト活性、又はアンタゴニスト活性、又は上記の組み合わせを伴う。いくつかの実施形態において、それを必要とする対象を処置することは、PTHRシグナル伝達のアゴニスト活性を伴う。いくつかの実施形態において、それを必要とする対象を処置することは、PTHRシグナル伝達のバイアス型アゴニスト活性を伴う。いくつかの実施形態において、それを必要とする対象を処置することは、PTHRシグナル伝達の逆アゴニスト活性を伴う。いくつかの実施形態において、それを必要とする対象を処置することは、PTHRシグナル伝達のアンタゴニスト活性を伴う。
【0109】
「対象」又は「患者」という用語は、動物(例えば、哺乳動物)を指す。いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、対象は成人である。いくつかの実施形態において、対象は少なくとも50歳である。いくつかの実施形態において、対象は女性である。いくつかの実施形態において、対象は、閉経周辺期、閉経期、又は閉経後である。いくつかの実施形態において、対象は閉経周辺期である。いくつかの実施形態において、対象は閉経期である。いくつかの実施形態において、対象は閉経後である。
【0110】
本明細書に記載される方法に従って処置される対象は、ある状態と診断された人、又はそのような状態を発症するリスクのある人であり得る。いくつかの実施形態において、対象はその状態を有する。いくつかの実施形態において、対象はその状態と診断されている。他の実施形態において、対象は、その状態を発症するリスクがある。本発明によって提供される方法によって処置可能な例示的な状態(適応症)には、以下の表4~6又は特許請求の範囲に記載されるもの、又は上記の列挙された実施形態が含まれる。
【0111】
【表7】
【0112】
【表8】
【0113】
【表9】
【0114】
【表10】
【0115】
【表11】
【0116】
いくつかの実施形態において、対象は、調節不全のカルシウムホメオスタシスを有するか、又はそれを発症するリスクがある。
【0117】
いくつかの実施形態において、対象は、骨粗鬆症、ブロムストランド型軟骨異形成、歯牙萌出の家族性原発性不全、Eiken症候群、オリエ病、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、ヤンセン型骨幹端軟骨異形成症、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、腎石灰化症、及びそれらの組み合わせから選択される疾患(disorder)を有するか、又はそれを発症するリスクを有する。
【0118】
いくつかの実施形態において、対象は、低い骨密度を有するか、又はそれを発症するリスクを有する。
【0119】
いくつかの実施形態において、対象は、ブロムストランド型致死性軟骨異形成、オリエ病、歯牙萌出の家族性原発性不全、Eiken症候群、短指症E型、副甲状腺機能低下症、骨粗鬆症、及びそれらの組み合わせから選択される疾患を有するか、又はそれを発症するリスクを有する。
【0120】
いくつかの実施形態において、対象は、骨粗鬆症を有するか、又はそれを発症するリスクを有する。
【0121】
いくつかの実施形態において、対象は、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、副甲状腺癌、転移性骨疾患、及びそれらの組み合わせから選択される疾患を有するか、又はそれを発症するリスクが高い。いくつかの実施形態において、副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺癌の合併症として発生する。いくつかの実施形態において、転移性骨疾患は、関連する高カルシウム血症を伴って発生する。
【0122】
いくつかの実施形態において、対象は、ヤンセン型骨幹端軟骨異形成症、副甲状腺機能亢進症、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、腎石灰化症、慢性腎疾患、及びそれらの組み合わせから選択される疾患を有するか、又はそれを発症するリスクが高い。いくつかの実施形態において、慢性腎疾患は、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、腎石灰化症、又はそれらの組み合わせと関連して、又はその結果として発生する。
【0123】
診断は、当技術分野で公知の任意の方法又は技術によって実施され得る。当業者は、本開示に従って処置される対象が、標準的な試験を受けた可能性があるか、又は検査なしで、疾患又は状態と関連する1つ以上の危険因子の存在に起因する危険性があると特定された可能性があることを理解するであろう。
【0124】
本発明によって提供されるsPTH(及び組成物、コンジュゲート(例えば、結合又は他の方法で(例えば、共有結合によって)裏打ちされた異種部分を含む)、及びそれらを含む融合タンパク質;又はそれらをコードする核酸、ベクター、若しくは細胞)は、PTHRシグナル伝達を調節するために、例えば、PTHRのアゴニストとして、PTHRのバイアス型アゴニストとして、PTHRの逆アゴニストとして、又はPTHRのアンタゴニストとして、さまざまな状況で使用できる。PTHRシグナル伝達の調節は、インビトロで、細胞内で、又はインビボで、例えば、対象においてあり得る。本発明によって提供される方法によって処置可能な例示的な適応症には、以下の表2~4又は特許請求の範囲に記載されるもの、又は上記の列挙された実施形態が含まれる。
【0125】
これらの方法では、sPTH(組成物、コンジュゲート、融合タンパク質、又は核酸又は細胞)が、適切な手段によって有効量で対象に提供される。「有効量」、「治療有効量」、又は「十分な量」という用語は、哺乳動物(例えば、ヒト)を含む対象に投与された場合に、細胞レベル、組織レベル、又は臨床結果での効果を含む有益な又は所望の結果をもたらすのに十分な量を指し、したがって、「有効量」又はその同義語は、それが適用される文脈に依存する。例えば、いくつかの実施形態において、これは、組成物の投与なしで得られる応答と比較して、処置応答を達成するのに十分な量の組成物である。そのような量に対応する本明細書に記載の所与の組成物の量は、所与の薬剤、医薬製剤、投与経路、疾患又は障害のタイプ、対象のアイデンティティ(例えば、年齢、性別、体重)又は処置される宿主などの様々な要因に応じて変化するが、それにもかかわらず、当業者が通常の方法で決定することができる。また、本明細書で使用される場合、本開示の組成物の「治療有効量」は、対照と比較して、対象において有益な又は所望の結果をもたらす量である。本明細書で定義されるように、本開示の組成物の治療有効量は、当技術分野で公知の通常の方法により、当業者によって容易に決定され得る。投与レジメン及び投与経路は、最適な治療反応を提供するように調整され得る。
【0126】
いくつかの実施形態において、量は、カルシウムホメオスタシスを促進すること、骨塩量の低下を増大、維持又は減少させること、骨折のリスクを減少させること、骨折治癒を促進すること、又は前述の組み合わせに有効である。
【0127】
いくつかの実施形態において、有効量は、異化骨吸収を誘導しない。
【0128】
本明細書で使用される「処置」及び「処置すること」は、疾患、病状、又は障害(本明細書に例示される特定の適応症など)を改善、緩和、安定化し(すなわち、悪化させず)、予防又は治癒することを目的とした対象の医学的管理を指す。この用語には、積極的処置(疾患、病状、又は障害を改善することに向けられた処置)、原因処置(関連する疾患、病状、又は障害の原因に向けられた処置)、緩和処置(症状を緩和するために設計された処置)、予防的処置(関連する疾患、病状、又は障害の発症を最小限に抑えるか、又は部分的若しくは完全に阻害することに向けられた処置);及び補助的処置(別の療法を補うために利用される処置)が含まれる。処置には、検出可能又は検出不可能な、疾患又は状態の程度の減少;疾患又は状態の拡大の予防;疾患又は状態の進行の遅延又は減速;疾患又は状態の改善又は緩和;及び寛解(部分又は完全)も含まれる。疾患又は状態を「改善すること」又は「緩和すること」とは、処置の非存在下での程度又は時間経過と比較して、疾患、障害、又は状態の程度及び/又は望ましくない臨床症状が軽減され、及び/又は進行の時間経過が減速するか又は長くなることを意味する。「処置」はまた、処置を受けていない場合に期待される生存と比較して生存を延長することを意味し得る。処置が必要な人には、すでにその状態若しくは疾患を有する人、及びその状態若しくは疾患を生じやすい人、又はその状態若しくは疾患を予防すべき人が含まれる。
【0129】
本発明によって提供されるsPTH(及びそれらを含むコンジュゲート、融合タンパク質、及び組成物;又はそれらをコードする核酸、ベクター、又は細胞)の特徴又はそれらを使用する方法は、以下の列挙された実施形態の1つ以上を含み得る。
【0130】
実施形態1:副甲状腺ホルモン受容体(PTHR)に特異的に結合するポリペプチドであって、ポリペプチドが、合成副甲状腺ホルモン(sPTH)を含む、ポリペプチド。
【0131】
実施形態2:sPTHが、
a)1~3個の極性残基、及び配列番号6に対する1~14個のアミノ酸置換;
b)少なくとも4つの極性残基、少なくとも1つの荷電残基、及び配列番号7に対する1~14個のアミノ酸置換;
c)少なくとも5つの極性残基、少なくとも2つの荷電残基、及び配列番号7に対する1~14個のアミノ酸置換;
d)少なくとも5つの極性残基、2位のバリン、及び配列番号7に対する1~13個のアミノ酸置換;又は
e)少なくとも6つの極性残基、及び配列番号7に対する1~14個のアミノ酸置換
を含む、14アミノ酸配列を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0132】
実施形態3:sPTHが、
a)最大で13個の極性残基、及び配列番号8に対する1~32個のアミノ酸置換;
b)少なくとも14個の極性残基、2位のバリン、及び配列番号8に対する1~31個のアミノ酸置換;
c)少なくとも14個の極性残基、及び配列番号8に対する22~28個のアミノ酸置換;又は
d)配列番号8の1~14位、及び配列番号5に対する15~32位の1~18個のアミノ酸置換
を含む、32アミノ酸配列を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0133】
実施形態4:sPTHが、配列番号9~106及び配列番号108~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0134】
実施形態5:sPTHが、配列番号9~106及び配列番号108~160から選択されるアミノ酸配列に対して、約50~97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0135】
実施形態6:sPTHが、配列番号9~106及び配列番号108~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0136】
実施形態7:sPTHが、配列番号9~106及び配列番号108~160から選択されるアミノ酸配列に対して、最大2~31個のアミノ酸置換を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0137】
実施形態8:sPTHが、配列番号9~106及び配列番号108~160から選択されるアミノ酸配列に対して、最大2~18個のアミノ酸置換を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0138】
実施形態9:sPTHが、配列番号9~106及び配列番号108~160から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0139】
実施形態10:sPTHが、配列番号9、10、19、20、31、35、41、88、101~103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0140】
実施形態11:sPTHが、配列番号9、10、19、20、31、35、41、88、101~103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、約50~97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0141】
実施形態12:sPTHが、配列番号配列番号9、10、19、20、31、35、41、88、101~103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0142】
実施形態13:sPTHが、配列番号配列番号9、10、19、20、31、35、41、88、101~103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、最大2~31個のアミノ酸置換を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0143】
実施形態14:sPTHが、配列番号配列番号9、10、19、20、31、35、41、88、101~103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列に対して、最大2~18個のアミノ酸置換を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0144】
実施形態15:sPTHが、配列番号配列番号9、10、19、20、31、35、41、88、101~103、108、115、120、121、129、131、132、134、136~138、140~143、145、147~152、154、155及び157~160から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0145】
実施形態16:sPTHが、28~36個のアミノ酸からなる、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0146】
実施形態17:sPTHが、30~34個のアミノ酸からなる、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0147】
実施形態18:sPTHが、32個のアミノ酸からなる、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0148】
実施形態19:sPTHが、配列番号5に対して、少なくとも約20%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態16~18のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【0149】
実施形態20:sPTHが、配列番号5に対して、約50~97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態19に記載のポリペプチド。
【0150】
実施形態21:sPTHが、配列番号5に対する少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、実施形態19に記載のポリペプチド。
【0151】
実施形態22:sPTHが、配列番号5に対する2~18個のアミノ酸置換を含む、実施形態19に記載のポリペプチド。
【0152】
実施形態23:sPTHが、配列番号6に示されるアミノ酸配列を含む、実施形態19に記載のポリペプチド。
【0153】
実施形態24:配列番号6に示されるアミノ酸配列が、sPTHのN末端にある、実施形態23に記載のポリペプチド。
【0154】
実施形態25:sPTHが、配列番号102~106及び配列番号132~155からなる群から選択される配列に対して、少なくとも約55%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態19に記載のポリペプチド。
【0155】
実施形態26:sPTHが、配列番号102~106及び配列番号132~155からなる群から選択される配列に対して、約75~97%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態19に記載のポリペプチド。
【0156】
実施形態27:sPTHが、配列番号102~106及び配列番号132~155からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0157】
実施形態28:sPTHが、配列番号107のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載のポリペプチド。
【0158】
実施形態29:少なくとも1つのアミノ酸置換が、保存的置換である、実施形態6、12及び21のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【0159】
実施形態30:少なくとも1つのアミノ酸置換が、高度に保存的な置換である、実施形態29に記載のポリペプチド。
【0160】
実施形態31:アミノ酸置換が、保存的置換である、実施形態2、3、7、8、13、14及び22のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【0161】
実施形態32:アミノ酸置換が、高度に保存的な置換である、実施形態31に記載のポリペプチド。
【0162】
実施形態33:sPTHが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4又は配列番号5からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドよりも少なくとも約5%高い親和性でPTHRに結合する、実施形態1~32のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【0163】
実施形態34:sPTHが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4又は配列番号5からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドよりも少なくとも約5%低い親和性でPTHRに結合する、実施形態1~32のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【0164】
実施形態35:sPTHが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4又は配列番号5からなるアミノ酸配列を有するポリペプチドよりも約5%以下低い親和性でPTHRに結合する、実施形態1~32のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【0165】
実施形態36:sPTHが、PTHRのアゴニストである、実施形態1~35のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【0166】
実施形態37:sPTHが、PTHRのバイアス型アゴニストである、実施形態36に記載のポリペプチド。
【0167】
実施形態38:sPTHが、PTHRの逆アゴニストである、実施形態1~35のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【0168】
実施形態39:sPTHが、PTHRのアンタゴニストである、実施形態1~35のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【0169】
実施形態40:ポリペプチドが、異種部分にコンジュゲートされている、実施形態1~39のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【0170】
実施形態41:異種部分が、ポリエチレングリコール(PEG)、ヘキサデカン酸、ヒドロゲル、脂質ナノ粒子、ポリマーナノ粒子、及び異種ポリペプチド配列、或いはそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態40に記載のポリペプチド。
【0171】
実施形態42:ポリマーナノ粒子が、ポリ(乳酸-コ-グリコール)酸(PLGA)を含む、実施形態41に記載のポリペプチド。
【0172】
実施形態43:異種ポリペプチド配列が、担体ポリペプチドを含む、実施形態40に記載のポリペプチド。
【0173】
実施形態44:担体ポリペプチドが、アルブミン又はFcポリペプチドである、実施形態43に記載のポリペプチド。
【0174】
実施形態45:実施形態1~44のいずれか1つに記載のポリペプチドを含む、融合タンパク質。
【0175】
実施形態46:実施形態1~44のいずれか1つに記載のポリペプチド又は実施形態45に記載の融合タンパク質をコードする配列を含む、ポリヌクレオチド。
【0176】
実施形態47:実施形態46のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
【0177】
実施形態48:実施形態46に記載のポリヌクレオチド又は実施形態47に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【0178】
実施形態49:実施形態1~44のいずれか1つに記載のポリペプチド又は実施形態45に記載の融合タンパク質を含む、組成物。
【0179】
実施形態50:1つ以上の医薬賦形剤、希釈剤、又は担体をさらに含む、実施形態49に記載の組成物。
【0180】
実施形態51:哺乳動物細胞を、有効量の実施形態49又は50の組成物と接触させることを含む、哺乳動物細胞におけるPTHRシグナル伝達を調節する方法。
【0181】
実施形態52:有効量の実施形態49又は50の組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象を処置する方法。
【0182】
実施形態53:有効量の実施形態49又は50の組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象におけるPTHRシグナル伝達を調節する方法。
【0183】
実施形態54:対象が哺乳動物である、実施形態52又は53に記載の方法。
【0184】
実施形態55:対象がヒトである、実施形態54に記載の方法。
【0185】
実施形態56:対象が成人である、実施形態52~55のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
実施形態57:対象が少なくとも50歳である、実施形態52~56のいずれか1つに記載の方法。
【0187】
実施形態58:対象が女性である、実施形態52~57のいずれか1つに記載の方法。
【0188】
実施形態59:対象が、閉経周辺期、閉経期、又は閉経後である、実施形態58に記載の方法。
【0189】
実施形態60:対象が、調節不全のカルシウムホメオスタシスを有するか、又はそれを発症するリスクがある、実施形態52~59のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
実施形態61:対象が、骨粗鬆症、ブロムストランド型軟骨異形成、歯牙萌出の家族性原発性不全、Eiken症候群、オリエ病、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、ヤンセン型骨幹端軟骨異形成症、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、腎石灰化症、及びそれらの組み合わせから選択される疾患を有するか、又はそれを発症するリスクがある、実施形態52~59のいずれか1つに記載の方法。
【0191】
実施形態62:sPTHが、PTHRのアゴニストである、実施形態61に記載の方法。
【0192】
実施形態63:sPTHが、PTHRのバイアス型アゴニストである、実施形態62に記載の方法。
【0193】
実施形態64:対象が、低い骨密度を有するか、又はそれを発症するリスクがある、実施形態52~63のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
実施形態65:対象が、ブロムストランド型致死性軟骨異形成、オリエ病、歯牙萌出の家族性原発性不全、Eiken症候群、短指症E型、副甲状腺機能低下症、骨粗鬆症、及びそれらの組み合わせから選択される疾患を有するか、又はそれを発症するリスクがある、実施形態52~59のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
実施形態66:対象が、骨粗鬆症を有するか、又はそれを発症するリスクがある、実施形態52~59のいずれか1つに記載の方法。
【0196】
実施形態67:量が、カルシウムホメオスタシスを促進すること、骨塩量の低下を増大、維持又は減少させること、骨折のリスクを減少させること、骨折治癒を促進すること、又は前述の組み合わせに有効である、実施形態52~66のいずれか1つに記載の方法。
【0197】
実施形態68:有効量が、異化骨吸収を誘導しない、実施形態52~67のいずれか1つに記載の方法。
【0198】
実施形態69:対象が、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、副甲状腺癌、転移性骨疾患、及びそれらの組み合わせから選択される疾患を有するか、又はそれを発症するリスクが高い、実施形態52~59のいずれか1つに記載の方法。
【0199】
実施形態70:副甲状腺機能亢進症が、副甲状腺癌の合併症として発生する、実施形態69に記載の方法。
【0200】
実施形態71:転移性骨疾患が、関連する高カルシウム血症を伴って発生する、実施形態69又は70に記載の方法。
【0201】
実施形態72:対象が、ヤンセン型骨幹端軟骨異形成症、副甲状腺機能亢進症、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、腎石灰化症、慢性腎疾患、及びそれらの組み合わせから選択される疾患を有するか、又はそれを発症するリスクが高い、実施形態52~59のいずれか1つに記載の方法。
【0202】
実施形態73:慢性腎疾患が、高カルシウム血症、高カルシウム尿症、腎石灰化症、又はそれらの組み合わせと関連して、又はその結果として発生する、実施形態72に記載の方法。
【実施例
【0203】
PTHRに結合して活性化すると予測される配列は、Zhao LH et al.,Science 364,148-53(2019)で公開された最近のCryoEMレポートを含む、PTHRの計算モデル及び解明された構造を使用して生成された。天然リガンドと同様の構造を保持しながら、受容体に最適に結合すると予測される配列。配列のファミリーは、表2に記載されているように生成された。
【0204】
実施例1.ペプチドの合成
ペプチドは、当技術分野で公知の2つの方法:細菌からの組換え産生又は化学合成、のうちの1つを使用して産生される。
【0205】
組換え産生の場合、ペプチドのDNA配列は、細菌産生に適したDNAベクター、例えば、PETベクターにコードされている。細菌はプラスミドで形質転換され、適切な増殖培地で増殖される。細菌が対数増殖段階に達すると、プラスミドの翻訳が、例えばIPTGにより、誘導される。タンパク質は、溶解及び封入体からの回収によって細菌から収集される。
【0206】
固相化学合成につき、標準的な方法は、次のユニフォームリソースロケーター:www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3564544で入手できる、Stawikowski and Fields,Curr Protoc Protein Sci 2002,Feb.Chapter 18.1に記載される。
【0207】
実施例2.アゴニズム、アンタゴニズム、及び逆アゴニズムに関するインビトロでの受容体活性の試験
PTHR活性を測定するために、例えば、Hattersley G et al.,Endocrinology,157(1):141-49(2016)に記載されるようなcAMP蓄積アッセイなどの標準的な方法が使用される。これらのアッセイは、本発明によって提供されるPTHR変異体(sPTHR)をコードするプラスミドDNAでトランスフェクトされた細胞に対して室温で実施される。標準キット、例えば、PromegaのcAMP-Glo(商標)アッセイは、cAMP産生をモニターする均一系生物発光ハイスループットアッセイで細胞内のcAMPレベルを測定するために使用される(例えば、Kumar M et al.,Assay Drug Dev Technol.5(2):237-45(2007)を参照されたい。アッセイは、サイクリックAMP(cAMP)がプロテインキナーゼA(PKA)ホロ酵素活性を刺激し、それによって利用可能なATPが減少し、結合ルシフェラーゼ反応における光生成が減少するという原理に基づいている。
【0208】
アッセイは、製造元のプロトコルに従って実施される。細胞はさまざまな濃度のペプチドで処理される。次に、細胞を溶解バッファーで溶解する。PKA反応ミックスを加えた後、細胞溶解物を20分間インキュベートする。次に、Kinase-Glo試薬を含む現像バッファーを加え、プレートを10分間インキュベートする。最後に、プレート読み取りルミノメーターを使用して発光を測定する。
【0209】
a)アゴニスト活性
産生されたペプチドは、例えば、Gardella et al.,Endocrinology 137(9):3936-41(1996)に記載されるように、PTHRを組換えにより発現する細胞株における受容体の活性化について試験される。簡潔には、COS-7細胞は10%FBSを補充したDMEMで培養する。細胞にDEAE/デキストラン及びPTHR cDNAをコードするプラスミドDNA(100ng/ウェル)をトランスフェクトする。受容体アッセイは、トランスフェクションの3日後にインタクトなCOS-7細胞(500,000細胞/ウェル)で実施される。
【0210】
アゴニスト活性を試験するために、細胞をさまざまな濃度のアゴニストペプチドで処理する。次に、PTHR活性化は、本明細書に記載のcAMP蓄積アッセイ(例えば、cAMP-Glo(商標)アッセイ)を使用して測定される。アゴニストペプチドによるPTHRの活性化は、細胞内にcAMPの蓄積をもたらすと予想され、これは、対照又は未処理の細胞よりも高い発光読み取り値として反映される。
【0211】
b)アンタゴニスト活性
産生されたペプチドは、アゴニスト活性のセクションで説明されるように、PTHRを組換えにより発現する細胞株における受容体活性化の阻害について試験される。アンタゴニスト活性を試験するために、Shimizu N et al.,J Biol Chem.280(3):1797-807(2005)に記載されるように、1nMの固定濃度の検証済みアゴニスト(例えば、PTH1~34)と一緒に、さまざまな濃度のアンタゴニストペプチドで細胞を処理する。
【0212】
次に、PTHR活性は、本明細書に記載のcAMP蓄積アッセイ(例えば、cAMP-Glo(商標)アッセイ)を使用して測定される。アンタゴニストペプチドによるPTHR活性化の阻害は、細胞内でのcAMPの蓄積を防ぎ、これは、検証済みのアゴニストで処理された細胞よりも低い発光読み取り値として反映される。
【0213】
c)逆アゴニスト活性
生成されたペプチドは、例えば、Saito H et al.,J Clin Endocrinol Metab.103(7):2660-69(2018)に記載されるように、PTHRの機能獲得型変異体を組換えにより発現する細胞株の基礎受容体活性を低下させることにつき試験される。簡潔には、HEK293細胞を96ウェルプレートに20,000細胞/ウェルの密度で播種し、10%FBSを補充したDMEMで培養する。細胞は、PTHRの機能獲得型変異体(例えば、H223R)をコードするDEAE/デキストラン及びプラスミドDNA(100ng/ウェル)でトランスフェクトされる。受容体アッセイは、トランスフェクションの2日後にインタクトなHEK293細胞(100,000細胞/ウェル)で実施される。
【0214】
細胞は、さまざまな濃度の逆アゴニストペプチドで処理される。次に、変異体PTHR活性化は、本明細書に記載のcAMP蓄積アッセイ(例えば、cAMP-Glo(商標)アッセイ)を使用して測定される。基底変異体PTHR活性の低下は、細胞内のcAMPの低下につながると予想され、これは、対照又は未処理の細胞よりも低い発光読み取り値として反映される。
【0215】
実施例3.バイアス型アゴニズムに関するインビトロでの受容体活性の試験
PTHRのバイアス型β-アレスチンシグナル伝達を試験するために、例えば、Wang T et al.,Bethesda(MD):Eli Lilly&Company and the National Center for Advancing Translational Sciences;2004-2017 Nov 20に記載されるような、β-アレスチン動員を測定する標準的な方法が実施される。標準キットには、たとえば、DiscoverXのPathHunter β-アレスチンアッセイが含まれる。β-ガラクトシダーゼのペプチド断片及びβ-アレスチンに融合したβ-ガラクトシダーゼの対応する欠失変異体で、カルボキシル末端に伸長したPTHRを安定して発現するCHO細胞株を使用する。このアッセイは、再構成されたβ-ガラクトシダーゼのレベルを、均一系生物発光ハイスループットアッセイで測定する。アッセイは、β-アレスチン動員が活性β-ガラクトシダーゼの再構成をもたらし、これが外因性基質からの生物発光反応を触媒して生物発光の読み取り値を生成するという原理に基づいている。
【0216】
アッセイは、製造元のプロトコルに従って実施される。細胞はさまざまな濃度のペプチドで処理される。次に、細胞を提供された作業検出溶液(Working Detection Solution)とともに、暗所で、室温で1時間インキュベートする。最後に、プレート読み取りルミノメーターを使用して発光を測定する。
【0217】
PTHRへのβ-アレスチン動員の増加は、細胞内の再構成された活性β-ガラクトシダーゼの増加につながると予想され、これは、対照又は未処理の細胞よりも高い発光読み取り値として反映される。
【0218】
実施例4.インビボでの活性の試験
ペプチドは、骨粗鬆症の標準的な実験室モデル、すなわち卵巣摘出ラットモデルで機能的活性について評価される。このモデルでは、外科的卵巣摘出術後、最初に骨吸収が骨形成を上回り、骨量減少を生じる。その後まもなく、骨の組織修復は定常状態に達し、吸収と形成のバランスがとれる。統計的に有意な骨量減少は、14日後の近位脛骨骨幹端、60日後の脊椎体、及び30日後の大腿骨頸部で見られる(例えば、Lelovas et al.,Comp Med 58(5):424-30(2008)を参照されたい)。
【0219】
ペプチドは、実験用ラットに皮下注射によって毎日投与される(例えば、Bernhardsson M et al.,Acta Orthop 89(6):674-77(2018)を参照)。骨密度は、デンシトメトリー及びマイクロコンピューター断層撮影法(MicroCT)によって非侵襲的に測定され、組織形態計測、及び3点曲げ、4点曲げ、ねじり試験を含む機械的強度評価により、侵襲的に測定される。
【0220】
PTHRを介してシグナル伝達するペプチド(例えば、PTHRのアゴニスト又はバイアス型シグナル伝達アゴニスト)は、卵巣摘出ラットの骨量減少の低下を導き、したがって、未処置の対照動物と比較して骨密度及び骨強度を増加させると予想される。
【0221】
実施例5.骨粗鬆症を有するヒト患者の処置
患者は、骨粗鬆症を有するか、又はそのリスクがあると診断され、例えば、二重エネルギーX線吸収測定法によって評価された骨塩量Tスコアが-2.5以下且つ-5.0を超える49~86歳の閉経後の女性である(Miller PD et al.,JAMA 316(7):722-33(2016)を参照されたい)。患者は、本明細書に記載のペプチド、例えば、PTHRのアゴニスト又はPTHRのバイアス型シグナル伝達アゴニストによる処置を処方される。
【0222】
PTHRアゴニストの投与及び骨密度評価のための方法は、例えば、Miller PD et al.,JAMA 316(7):722-33(2016)に記載されている。ペプチドは皮下注射で毎日投与され、患者の骨塩量は、二重エネルギーX線吸収測定法によってモニターされる。
【0223】
実施例6.生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)アッセイ
合成:ペプチドは、標準的な合成方法を使用してGenscriptで合成し、TFAを使用して精製した。ペプチドは凍結乾燥して出荷され、使用前にDMSOに再懸濁された。
【0224】
a)β-アレスチン動員の測定
200万/mLの密度のHEK293T細胞(CRL-3216,ATCC,VA)に、ポリエチレンイミン(0.8μL/ウェル)(Polysciences,PA)を使用して、ベータ-アレスチン1又はベータ-アレスチン2-Rluc cDNA(1ng/ウェル)(Life Technologies Corporation,CA)及びFlag-PTHR1-YFP cDNA(199ng/ウェル)(Genwiz,New Jersey)をトランスフェクトした。トランスフェクションの18~24時間後、ルシフェラーゼ基質セレンテラジン(NanoLight Technologies,AZ)を細胞に添加し、5分間のインキュベーション後にベースラインBRET測定を行った。次に、PBS(0.5mM MgCl+0.1%BSA FAF)で希釈したペプチドの段階希釈液を細胞に添加し、BRET信号をハイブリッドマルチモードリーダー(Synergy Neo2,BioTek,VT)で2分ごとに30分間測定した。75個のペプチドがβ-アレスチン動員アッセイで試験された。
【0225】
b)cAMP蓄積の測定
CHO-K1/Ga15/PTHR1(Genscript USA,NJ)細胞を、10cmのペトリ皿で培養し、細胞培養物のコンフルエンスが80~85%に達したときに回収した。細胞懸濁液(5μL)を384ウェルプレートに3,000細胞/ウェルの密度で播種した。細胞を試験サンプル(5μL)又はアゴニスト(PTH1~34)で、室温で30分間処理した。cAMP-d2作業溶液(5μL)及び抗cAMP-クリプテート作業溶液(5μL)を細胞に添加し、室温で60分間インキュベートした。アッセイプレートのシグナルは、HTRF適合リーダーであるPheraStar(BMG LABTECH,NC)で読み取られた。
【0226】
c)結果
PTHR受容体を活性化する能力を決定するために、設計されたペプチドに対してβ-アレスチン動員及びcAMP蓄積アッセイを実施した。PTH1-34は、両方のアッセイで陽性対照であった。β-アレスチン1動員アッセイでは、生成された多くのペプチドが、PTH1~34と比較して同様の大きさの応答を誘発することができ(例えば、R1~101、R1~81、R2~13、R2~29、及びR2~36)、一方、2つのペプチドは、β-アレスチン1のより高いレベルの動員を示した(R2~38及びR2~52)(図1)。同様に、β-アレスチン2アッセイでは、多くのペプチドが対照ペプチドと同様の活性を示し(例えば、R2~34、R2~33、R2~31、R2~30、及びR2~42)、一方、9つのペプチドは、対照と比較して増加した活性を示した(R2~48、R2~50、R2~8、R2~1、R1~101、R2~25、R2~36、R1~81及びR2~29)(図2)。両方のB-アレスチンアッセイにおいて、対照ペプチドよりも低い活性を示したペプチドもあった。
【0227】
異なる程度の活性も、cAMP蓄積アッセイで設計されたペプチドについて観察された。このアッセイでは、対照ペプチドと比較して、より多くのペプチドが活性の増加を示し(例えば、R2~14、R2~40、R2~45、R2~43、R2~44、R2~24、R2~41、R2~22、R1~41、R1~94、R2~51、R2~47、R2~37、R1~101、及びR1~103)、一方、いくつかのペプチドは、対照ペプチドと同様の活性を示した(例えば、R2~36、R2~35、R1~96、R2~27及びR2~25)(図3)。
【0228】
さらなる詳細については、表7及び8を参照されたい。
【0229】
【表12】
【0230】
【表13】
【0231】
【表14】
【0232】
【表15】
【0233】
【表16】
【0234】
【表17】
【0235】
【表18】
【0236】
ペプチドによる処置は、骨密度低下の軽減、骨折のリスクの低減、及び患者の骨粗鬆症の改善につながることが期待される。
【0237】
「約」、「少なくとも」、「未満」、及び「超」など、この出願でいくつかのパラメータを説明するすべての数値範囲について、説明はまた、必然的に、列挙された値によって制限される任意の範囲を包含することを理解されたい。したがって、例えば、「少なくとも1、2、3、4、又は5」という記載は、とりわけ、1~2、1~3、1~4、1~5、2~3、2~4、2~5、3~4、3~5、及び4~5などの範囲も記載する。
【0238】
非特許文献及び参照配列情報など、本明細書で引用されるすべての特許、出願、又は他の参考文献について、それらは、引用される提案と同様に、すべての目的のためにその全体が参照により組み込まれることを理解されたい。参照により組み込まれた文書と本出願との間に矛盾が存在する場合、この出願が優先する。遺伝子ID又はアクセッション番号(典型的にはNCBIアクセッション番号を参照)などの、この出願で開示される参照遺伝子配列に関連するすべての情報は、例えば、ゲノム遺伝子座、ゲノム配列、機能的アノテーション、対立遺伝子変異体、及び参照mRNA(例えば、エクソン境界又は応答エレメントを含む)及びタンパク質配列(保存されたドメイン構造など)、並びに化学的参照(例えば、PubChem化合物、PubChem物質、又はPubChemバイオアッセイエントリー(構造及びアッセイなどのアノテーションを含む))を含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0239】
本出願において使用される見出しは、便宜上のものであり、本出願の解釈には影響しない。
【0240】
本発明によって提供される各態様の好ましい特徴は、必要な変更を加えて本発明の他のすべての態様に適用可能であり、限定されないが、従属請求項によって例示され、また、実施例を含む本発明の特定の実施形態及び態様の個々の特徴(例えば、数値範囲及び例示的な実施形態を含む要素)の組み合わせ及び並べ替えを包含する。例えば、実施例に例示されている特定の実験的パラメータは、本発明から逸脱することなく、特許請求される発明において断片的に使用するために適合させることができる。例えば、開示される材料について、これらの化合物の様々な個々の及び集合的な組み合わせ及び並べ替えのそれぞれの特定の参照は明示的に開示されない場合があるが、それぞれが本明細書で具体的に企図及び説明される。したがって、要素A、B、及びCのクラス、並びに要素D、E、及びFのクラスが開示され、要素A-Dの組み合わせの例が開示される場合、それぞれが個別に列挙されていなくても、それぞれが個別に及び集合的に企図される。したがって、この例では、A-E、A-F、B-D、B-E、B-F、C-D、C-E、及びC-Fの組み合わせはそれぞれ具体的に企図されており、A、B、及びC;D、E、及びF;並びに例示的組み合わせA-Dの開示から開示されていると見なされるべきである。同様に、これらのサブセット又は組み合わせも具体的に企図され、開示される。したがって、例えば、A-E、B-F、及びC-Eのサブグループは具体的に企図されており、A、B、及びC;D、E、及びF;並びに例示的組み合わせA-Dの開示から開示されていると見なされるべきである。この概念は、物質の組成物の要素及び組成物を作製又は使用する方法のステップを含む、この出願のすべての態様に適用される。
【0241】
本明細書の教示に従って当業者によって認識される本発明の前述の態様は、それらが先行技術に対して新規且つ非自明である限り、任意の組み合わせ又は並べ替えで主張することができる。したがって、ある要素が当業者に公知である1つ以上の参考文献に記載されている限り、それらは、とりわけ、特徴又は特徴の組み合わせの否定的な但し書き又は放棄によって、特許請求された発明から除外され得る。
【0242】
本明細書で引用されたすべての特許、公開された出願及び参考文献の教示は、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0243】
例示的な実施形態が特に示され、説明されているが、当業者には、添付の特許請求の範囲に包含される実施形態の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における様々な変更を行うことができることが理解される。
図1
図2
図3
【配列表】
2022543871000001.app
【国際調査報告】