(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(54)【発明の名称】タッチスクリーンに取り付けられた受動ダイヤルの角度検出
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20221006BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20221006BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20221006BHJP
G06F 3/0354 20130101ALI20221006BHJP
【FI】
G06F3/03 400Z
G06F3/041 595
G06F3/044 120
G06F3/0354 453
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507879
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(85)【翻訳文提出日】2022-03-04
(86)【国際出願番号】 US2020045181
(87)【国際公開番号】W WO2021030139
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】507364997
【氏名又は名称】サイプレス セミコンダクター コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Cypress Semiconductor Corporation
【住所又は居所原語表記】198 Champion Court, San Jose, CA 95134, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドリー ヤロシュ
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ヴェーバー
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AA02
5B087DD03
(57)【要約】
タッチスクリーンディスプレイと、対応するデバイスおよび方法と、が開示され、タッチスクリーンディスプレイは、複数の静電容量センサを有するタッチスクリーンと、1つ以上の導電性要素を有する受動ダイヤルであって、1つ以上の導電性要素が、タッチスクリーンの面に近接しかつ受動ダイヤルの回転に併せて動くように、タッチスクリーンのアクティブ領域内に取り付けられた受動ダイヤルと、を備える。タッチスクリーンディスプレイは、従来の静電容量センシング技術を使用して受動ダイヤルの角度を検出するタッチスクリーンコントローラをさらに含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の静電容量センサを有するタッチスクリーンと、
1つ以上の導電性要素を有する受動ダイヤルと、
前記タッチスクリーンに動作可能に結合されたタッチスクリーンコントローラと、
を備える静電容量式タッチスクリーンディスプレイであって、
前記受動ダイヤルは、前記1つ以上の導電性要素が、前記タッチスクリーンの面に近接しかつ前記受動ダイヤルの回転に併せて動くように、前記タッチスクリーンのアクティブ領域内に少なくとも部分的に取り付けられており、
前記タッチスクリーンコントローラは、
前記受動ダイヤルが回転するときに、前記1つ以上の導電性要素に対する前記複数の静電容量センサのうちの1つ以上の静電容量センサの測定容量応答に少なくとも部分的に基づいて、前記受動ダイヤルの現在角度を検出し、
前記受動ダイヤルの前記現在角度に対応するデータをユーザインタフェースコントローラに出力する、
ように構成されている、
静電容量式タッチスクリーンディスプレイ。
【請求項2】
前記受動ダイヤルの前記現在角度を検出するために、前記タッチスクリーンコントローラは、
前記受動ダイヤルの各角度に関して、前記複数の静電容量センサのあるセットの基準応答および前記静電容量センサの前記セットの測定容量応答に基づいて、相関係数を決定し、
前記受動ダイヤルの前記現在角度として、最大の相関係数を有する受動ダイヤルの角度を識別する、
ように構成されている、
請求項1記載の静電容量式タッチスクリーンディスプレイ。
【請求項3】
個別の角度に関する静電容量センサのセットは、前記個別の角度において前記受動ダイヤルのエッジに中心が位置する行列を形成する、
請求項2記載の静電容量式タッチスクリーンディスプレイ。
【請求項4】
前記静電容量センサの前記セットの前記基準応答は、放物面としてモデル化されている、
請求項3記載の静電容量式タッチスクリーンディスプレイ。
【請求項5】
前記静電容量センサの前記セットの前記基準応答は、ガウシアンとしてモデル化されている、
請求項3記載の静電容量式タッチスクリーンディスプレイ。
【請求項6】
前記タッチスクリーンコントローラは、
前記複数の静電容量センサそれぞれの生のカウント値を測定し、
前記複数の静電容量センサそれぞれのベースライン応答値を、測定された生のカウント値へ初期化する、
ようにさらに構成されている、
請求項2記載の静電容量式タッチスクリーンディスプレイ。
【請求項7】
前記タッチスクリーンコントローラは、
負の寄生ピークに対応する最小の相関係数を有する前記受動ダイヤルの角度を識別し、
前記受動ダイヤルの初期移動の検出に応答して、前記複数の静電容量センサの第2のセットのそれぞれについて、前記静電容量センサのベースライン応答値を、それぞれの現在の生のカウント値へリセットする、
ようにさらに構成されており、前記静電容量センサの第2のセットは、前記最小の相関係数に対応する角度において前記受動ダイヤルのエッジに中心が位置する行列を形成する、
請求項6記載の静電容量式タッチスクリーンディスプレイ。
【請求項8】
複数の静電容量センサを備えるタッチスクリーンのアクティブ領域内に取り付けられた受動ダイヤルを準備するステップであって、前記受動ダイヤルは、前記タッチスクリーンの面に近接しかつ前記受動ダイヤルの回転に併せて動く1つ以上の導電性要素を含むステップと、
処理デバイスにより、前記受動ダイヤルが回転するときに、前記1つ以上の導電性要素に対する前記複数の静電容量センサのうちの1つ以上の測定容量応答に少なくとも部分的に基づいて、前記受動ダイヤルの現在角度を検出するステップと、
前記受動ダイヤルの前記現在角度に対応するデータをユーザインタフェースコントローラに出力するステップと、
を含む方法。
【請求項9】
前記受動ダイヤルの前記現在角度を検出するステップは、
前記受動ダイヤルの各角度に関して、前記複数の静電容量センサのあるセットの基準応答と、前記静電容量センサの前記セットの測定容量応答と、の間の類似度を決定するステップと、
前記受動ダイヤルの前記現在角度として、最大の類似度を有する前記受動ダイヤルの角度を識別するステップと、
を含む、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
個別の角度に関する前記静電容量センサのセットは、前記個別の角度において前記受動ダイヤルのエッジに中心が位置する行列を形成する、
請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記静電容量センサの前記セットの前記基準応答は、放物面としてモデル化されている、
請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記静電容量センサの前記セットの前記基準応答は、ガウシアンとしてモデル化されている、
請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、
前記複数の静電容量センサそれぞれの生のカウント値を測定するステップと、
前記複数の静電容量センサそれぞれのベースライン応答値を、測定された生のカウント値へ初期化するステップと、
をさらに含む、
請求項9記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、
前記複数の静電容量センサのセットの基準応答と静電容量センサの前記セットの測定容量応答との間の、負の寄生ピークに対応する最小の類似度を有する前記受動ダイヤルの角度を識別するステップと、
前記受動ダイヤルの初期移動の検出に応答して、前記複数の静電容量センサの第2のセットのそれぞれについて、前記静電容量センサのベースライン応答値をそれぞれの現在の生のカウント値へリセットするステップであって、前記静電容量センサの前記第2のセットは、前記最小の類似度に対応する角度において前記受動ダイヤルのエッジに中心が位置する行列を形成するステップと、
をさらに含む、
請求項13記載の方法。
【請求項15】
メモリと、
前記メモリに動作可能に結合された処理デバイスと、
を備えるタッチスクリーンコントローラであって、
前記メモリは、受動ダイヤルの各角度に関する基準応答を記憶し、前記受動ダイヤルは、複数の静電容量センサを有するタッチスクリーンのアクティブ領域内に少なくとも部分的に取り付けられており、前記受動ダイヤルの1つ以上の導電性要素は、前記タッチスクリーンの面に近接しかつ前記受動ダイヤルの回転に併せて動き、各角度に関する基準応答は、前記複数の静電容量センサのあるセットに対応し、
前記処理デバイスは、
前記受動ダイヤルの各角度に関する基準応答、および前記受動ダイヤルの各角度に関する前記1つ以上の導電性要素に対する前記複数の静電容量センサのうちの1つ以上の静電容量センサの測定容量応答に少なくとも部分的に基づいて、前記受動ダイヤルの現在角度を検出し、
前記受動ダイヤルの前記角度に対応するデータをユーザインタフェースコントローラに出力する、
ように構成されている、
タッチスクリーンコントローラ。
【請求項16】
前記受動ダイヤルの前記現在角度を検出するために、前記処理デバイスは、
前記受動ダイヤルの各角度に関して、前記複数の静電容量センサの前記セットの基準応答と、前記静電容量センサの前記セットの測定容量応答と、の間の類似度を決定し、
前記受動ダイヤルの前記現在角度として、最大の類似度を有する前記受動ダイヤルの角度を識別する、
ように構成されている、
請求項15記載のタッチスクリーンコントローラ。
【請求項17】
個別の角度に関する静電容量センサのセットは、前記個別の角度において前記受動ダイヤルのエッジに中心が位置する行列を形成する、
請求項16記載のタッチスクリーンコントローラ。
【請求項18】
静電容量センサの前記セットの前記基準応答は、放物面としてモデル化される、
請求項17記載のタッチスクリーンコントローラ。
【請求項19】
前記タッチスクリーンコントローラは、
前記複数の静電容量センサそれぞれの生のカウント値を測定し、
前記複数の静電容量センサそれぞれのベースライン応答値を、測定された生のカウント値へ初期化する、
ようにさらに構成されている、
請求項16記載のタッチスクリーンコントローラ。
【請求項20】
前記タッチスクリーンコントローラは、
前記複数の静電容量センサのセットの基準応答と前記静電容量センサの前記セットの測定容量応答との間の、負の寄生ピークに対応する最小の類似度を有する前記受動ダイヤルの角度を識別し、
前記受動ダイヤルの初期移動の検出に応答して、前記複数の静電容量センサの第2のセットのそれぞれについて、前記静電容量センサのベースライン応答値を、それぞれの現在の生のカウント値へリセットする、
ようにさらに構成されており、静電容量センサの前記第2のセットは、前記最小の類似度に対応する角度において前記受動ダイヤルのエッジに中心が位置する行列を形成する、
請求項19記載のタッチスクリーンコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年8月9日付にて出願された米国仮特許出願第62/885029号の優先権を主張する、2020年3月23日付にて出願された米国特許出願第16/826723号明細書の国際出願であり、これら両方の全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概してセンシングシステムに関し、より詳細にはタッチスクリーンディスプレイ上の受動デバイスの角度または位置を決定するように構成可能な静電容量測定システムに関する。
【背景技術】
【0003】
タッチスクリーンディスプレイは、典型的には、静電容量式、抵抗式、誘導式、光学式、音響式または他の技術を使用して、1つ以上の指、スタイラスおよび/または他の対象物の存在、位置または動きを決定するタッチスクリーンを含む。例えば、容量センシングアレイは、容量センシング要素の容量を測定し、導電性対象物のタッチまたは存在を示す容量のデルタを評価することによって機能する。導電性対象物(例えば、指、手または他の対象物)が容量センシング要素に接触するかまたは近接すると、容量が変化し、導電性対象物が検出される。静電容量センシングシステムは、容量の変化を反映する、電極に発生した電気信号をセンシングすることができる。そのような容量の変化は、タッチイベント(すなわち、個別の電極に対する対象物の接近)を示すことができる。容量の変化は、容量センシング要素の測定容量に対応する信号をデジタル値に変換する電気回路によって測定することができる。測定容量は、一般に、積分されてデジタル値に変換される電流または電圧として受け取られる。
【0004】
静電容量には、1)容量センシング回路が当該容量センシング回路に結合された2つの電極間に形成される容量を測定する相互容量と、2)容量センシング回路が1つの電極の容量を測定する自己容量と、の2つの典型的なタイプがある。タッチパネルは、(1)および(2)の両方のタイプの分散した容量負荷を有し、いくつかのタッチソリューションは、さまざまなセンシングモードにおいて、両方の容量を一義的にまたはハイブリッド形式でセンシングする。
【0005】
容量センシング要素は、機械式ボタン、ダイヤル/ノブ、および他の同様の機械式ユーザインタフェースコントローラの置換のために使用することができる。このようなセンシング要素の使用は、過酷な条件下での信頼性の高い動作を提供しながら、複雑な機械式スイッチおよびボタンの機能性に置き換わることができる。加えて、これらのセンシング要素は、既存の製品にユーザインタフェースオプションを提供するために、現代の顧客用途において広く使用されている。これらのセンシング要素は、単一のボタンから、タッチセンシング面用の容量センシングアレイの形態で多数配置されたものまで、多岐にわたりうる。
【0006】
センシングアレイおよびタッチボタンは、今日の産業および消費者市場において広く普及している。これらは、携帯電話、GPSデバイス、セットトップボックス、カメラ、コンピュータスクリーン、MP3プレーヤ、デジタルタブレットなどに見ることができる。
【0007】
本発明の各実施形態は、添付図面の図に、限定としてではなく例として示されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本開示のいくつかの実施形態による静電容量式タッチスクリーンディスプレイを示すブロック図である。
【
図1B】本開示のいくつかの実施形態による、受動ダイヤルが取り付けられた静電容量式タッチスクリーンディスプレイを示すブロック図である。
【
図2A】本開示のいくつかの実施形態による受動ダイヤルを示す図である。
【
図2B】本開示のいくつかの実施形態による受動ダイヤルを示す図である。
【
図3A】本開示のいくつかの実施形態による、タッチスクリーンの基準応答放物面を示す図である。
【
図3B】本開示のいくつかの実施形態による、タッチスクリーンの基準応答放物面を示す図である。
【
図4A】本開示のいくつかの実施形態による、異なる角度でのタッチスクリーンの実応答および基準応答を示す図である。
【
図4B】本開示のいくつかの実施形態による、異なる角度でのタッチスクリーンの実応答および基準応答を示す図である。
【
図4C】本開示のいくつかの実施形態による、異なる角度でのタッチスクリーンの実応答および基準応答を示す図である。
【
図4D】本開示のいくつかの実施形態による、異なる角度でのタッチスクリーンの実応答および基準応答を示す図である。
【
図5A】本開示のいくつかの実施形態による、ダイヤルの各角度の相関係数を示す図である。
【
図5B】本開示のいくつかの実施形態による、ダイヤルの各角度の相関係数を示す図である。
【
図5C】本開示のいくつかの実施形態による、ダイヤルの各角度の相関係数を示す図である。
【
図5D】本開示のいくつかの実施形態による、ダイヤルの各角度の相関係数を示す図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による、ダイヤルの角度を検出するための方法を示すフロー図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による、ダイヤルの初期移動を検出するための方法を示すフロー図である。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態による、ガウシアンとしてモデル化された基準応答を示す図である。
【
図9】本開示のいくつかの実施形態による、複数の導電性要素を備えたダイヤルを示す図である。
【
図10】本開示のいくつかの実施形態による、タッチスクリーンディスプレイを示す図である。
【
図11】本開示のいくつかの実施形態による、タッチスクリーンディスプレイを調整するためのシステムおよびタッチスクリーンディスプレイを動作させるためのシステムを示す図である。
【
図12】プログラマブルシステムオンチップ(PSoC(登録商標))処理デバイスのコアアーキテクチャのある実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、本実施形態の完全な理解がもたらされるよう、多数の具体的な詳細を説明のために記載する。しかし、当業者には、これらの具体的な詳細なしに本実施形態を実践できることが明らかであろう。他の事例では、本説明の理解が不必要にわかりにくくならないよう、周知の回路、構造および技術を詳しく示すことなく、ブロック図で示す。
【0010】
本説明における「一実施形態」または「ある実施形態」に対する言及は、実施形態に関連して説明する個別の特徴、構造または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本説明のさまざまな箇所にある表現「一実施形態では」は、必ずしも同じ実施形態を意味するものではない。
【0011】
容量センシングアレイおよびタッチボタンは、今日の産業および消費者市場において広く普及している。容量センシング要素は、機械式ボタン、ダイヤル/ノブおよび他の同様の機械式ユーザインタフェースコントローラの機能への置換のために使用することができる。にもかかわらず、ダイヤルは、その固有の触覚的な好みおよび人の習慣的な好みにより、例えば自動車など多くの用途においてユーザの間で人気のあるオプションであり続けている。しかし、車両および他の用途では、タッチスクリーンのサイズが大きくなることで、ダイヤルのために利用できるスペースが減少することが多い。加えて、タッチスクリーンがダイヤルの機能に置き換わりうるため、別個のダイヤルは冗長となる場合がある。
【0012】
本明細書で説明する実施形態は、従来の静電容量センシング技術を使用して、タッチスクリーンディスプレイに取り付けられた受動ダイヤルの角度を検出することを志向する。ダイヤルは、受動デバイスであることができ、よって、いかなる種類の電子機器(例えば、オンボード測定システム)も含む必要がなく、またはいかなる方法でも電力供給される必要がない。ダイヤルは、タッチスクリーンに近接するようにダイヤルに取り付けられうる導電性要素を含むことができる。このようにして、導電性要素は、その角度を検出できるよう、タッチスクリーンに電気的にまたは容量的に結合することができる。ダイヤルを回転させると、導電性要素は回転することができ、よって、導電性要素(ひいてはダイヤル)の回転および現在角度を容量センシングアレイによって検出することができる。本明細書で説明する実施形態はまた、ダイヤルの初期移動から生じる負の寄生応答を検出および除去することを含む。本明細書で説明する実施形態は、ダイヤルの受動的性質のため、ノイズに強く、本明細書でさらに詳しく説明するように、温度による容量測定のずれの影響を受けにくくすることができる。加えて、角度位置が直接に計算される(すなわち、角度位置が主要な変数である)ため、半径ジッタ(radius jitter)がない。本明細書で説明する利点に代えてまたはこれに加えて、他の利点を実現することもできる。
【0013】
本明細書では、従来の静電容量センシング技術を使用して、タッチスクリーンディスプレイに取り付けられた受動ダイヤルの位置を決定するデバイス、方法およびシステムについて説明する。一実施形態では、タッチスクリーンディスプレイが開示され、当該タッチスクリーンディスプレイは、複数の静電容量センサを有するタッチスクリーンと、1つ以上の導電性要素を有する受動ダイヤルと、を備える。受動ダイヤルは、1つ以上の導電性要素がタッチスクリーンの面に近接しかつ受動ダイヤルの回転に併せて動くように、タッチスクリーンのアクティブ領域内に取り付けることができる。タッチスクリーンディスプレイは、タッチスクリーンに動作可能に結合されたタッチスクリーンコントローラをさらに備えることができる。タッチスクリーンコントローラは、受動ダイヤルが回転すると、1つ以上の導電性要素に対する複数の静電容量センサのセットそれぞれの容量応答に少なくとも部分的に基づいて、受動ダイヤルの角度を検出し、受動ダイヤルの角度に対応するデータをユーザインタフェースコントローラに出力することができる。
【0014】
静電容量センシングシステムに関して説明するが、本開示の実施形態は、任意の適切なセンシングシステム(例えば、誘導式、抵抗式)を利用するタッチスクリーンディスプレイで実現されてもよい。
【0015】
例えば、誘導センシングシステムは、共振するコイルまたはコイルの対によって誘導されるループ電流を取り出す1つ以上のセンシング要素を含むことができる。この場合、電流の大きさ、位相および周波数のうちのいくつかの組み合わせを、位置情報を決定するために使用することができる。
【0016】
別の例では、抵抗センシングシステムが、可撓性かつ導電性であって、導電性の第2の層から1つ以上のスペーサ要素によって分離された第1の層を含むことができる。動作中、1つ以上の電圧勾配が層を横切って生じる。可撓性の第1の層を押すと、第1の層は、層間に電気的接触が生じるように十分にたわみ、層間の接触点を反映する電圧出力をもたらすことができる。これらの電圧出力を、位置情報を決定するために使用することができる。
【0017】
図1Aは、タッチスクリーンディスプレイ100の一実施形態を示すブロック図である。タッチスクリーンディスプレイ100は、タッチスクリーン105と、ユーザインタフェースコントローラ140(
図1B)と、タッチスクリーンコントローラ120と、を備えることができる。タッチスクリーン105は、容量センシングアレイ110を含むことができ、タッチスクリーンコントローラ120は、容量センシングアレイ110の容量(自己容量または相互容量)を測定するように構成することができる。一実施形態では、マルチプレクサ回路を使用して、さまざまな構成で、タッチスクリーンコントローラ120の容量センシング回路125とセンシングアレイ110とを接続することができる。タッチスクリーン105(例えば、タッチスクリーンまたはタッチパッド)は、タッチスクリーンコントローラ120に結合することができ、タッチスクリーンコントローラ120は、ホストコンピューティングデバイス(図示せず)に結合することができる。一実施形態では、センシングアレイ110は、タッチスクリーンコントローラ120を使用してタッチスクリーン105上のタッチを検出する2次元センシングアレイである。
【0018】
一実施形態では、センシングアレイ110は、2次元行列(XY行列ともいう)として配置される電極111(1)~111(N)(ここで、Nは正の整数である)を含む。センシングアレイ110は、複数の信号を搬送する1つ以上のアナログバス115を介してタッチスクリーンコントローラ120に結合されている。さらなる実施形態では、マルチプレクサ(図示せず)を使用して、本明細書で説明するようなさまざまな構成で容量センシング回路125を結合することができる。容量センシングアレイ110は、多次元容量センシングアレイを含むことができる。多次元センシングアレイは、行および列として編成された複数のセンシング要素を含む。別の実施形態では、容量センシングアレイ110は、全点アドレス指定可能な(「APA」)相互容量センシングアレイとして動作する。また他の実施形態では、容量センシングアレイ110は、不透明な容量センシングアレイ(例えば、PCタッチパッド)である。容量センシングアレイ110は、平坦な表面プロファイルを有するように配置することができる。代替的に、容量センシングアレイ110は、非平坦な表面プロファイルを有してもよい。代替的に、他の構成の容量センシングアレイも使用可能である。例えば、垂直列および水平行に代えて、容量センシングアレイ110は、本開示の利益を有する当業者によって理解されるように、六角形の配置などを有してもよい。一実施形態では、容量センシングアレイ110は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)または任意の他の透明導電体から作られたパネルまたはタッチスクリーンパネルに含めることができる。
【0019】
一実施形態では、容量センシング回路125は、電極111上の電荷を測定するための1つ以上の受信(RX)チャンネルを含むことができる。容量センシングアレイ110上の容量を測定する、自己容量センシングや相互容量センシングなどのさまざまな方法がある。RXチャンネルは、容量を測定するための弛張発振器または他の手段と、発振器出力を測定するためのカウンタまたはタイマと、を含むことができる。別の実施形態では、RXチャンネルは、
図2に関して説明および図示するように、計算増幅器、スイッチおよび積分器コンデンサを含む。RXチャンネルは、電極111(1)~111(N)の自己容量を表す信号を測定する。容量センシング回路125はまた、測定された信号をデジタル値に変換する、アナログ-デジタル変換器(ADC)などの変換器回路を含む。タッチスクリーンコントローラ120は、カウント値(例えば、容量値)をタッチ検出判定(スイッチ検出判定ともいう)または相対振幅に変換するソフトウェアコンポーネントをさらに含むことができる。電流対電圧位相シフト測定、抵抗器-コンデンサ充電タイミング、容量式ブリッジ分割器、電荷移動、逐次近似、シグマ-デルタ変調器、電荷蓄積回路、電界効果、相互容量、周波数シフトまたは他の容量測定アルゴリズムなど、容量を測定するためのさまざまな既知の方法があることに留意されたい。しかし、いくつかの実施形態では、生のカウントを閾値に対して評価する代わりに、容量センシング回路125がユーザインタラクションを決定するために他の測定値を評価してもよいことに留意されたい。例えば、シグマ-デルタ変調器を有する容量センシング回路125では、容量センシング回路125は、生のカウントが特定の閾値を上回ることまたは下回ることに代えて、出力のパルス幅の比(すなわち、密度領域)を評価する。RXチャンネルは、異なる動作モードに構成されうる1つのタイプのセンシングチャンネルであってもよいことに留意されたい。例えば、自己容量モードのRXチャンネルは、電極を駆動およびセンシングして、接地に対する電極の自己容量を測定するためのセンシングチャンネルとして構成される。RXチャンネルはまた、第1の電極(RX)と第2の電極(TX)との間の相互容量を測定する相互容量モードのためのセンシングチャンネルとして構成することができる。このモードのTX電極は、本明細書で説明するようにTX信号によって駆動される。代替的に、RXチャンネルは、自己容量と相互容量を同時または順次に測定しうる、自己容量および相互容量モードに構成することができる。
【0020】
別の実施形態では、容量センシング回路125は、TX電極に印加されるTX信号125Aを生成するためのTX信号生成器と、RX電極上のRX信号125Bを測定するために結合された、積分器などの受信器(センシングチャンネルともいう)と、を含むことができる。さらなる実施形態では、容量センシング回路は、受信器の出力に結合されて、測定されたRX信号を、容量値を表すデジタル値に変換するアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む。デジタル値は、タッチスクリーンコントローラ120によってさらに処理することができる。
【0021】
タッチスクリーンコントローラ120は、タッチスクリーン105に接触または近接している1つ以上の導電性対象物を検出するように構成される。本明細書で使用する場合、「タッチ」とは、導電性対象物がタッチスクリーン105に接触または近接することを意味しうる。タッチスクリーンコントローラ120は、指、受動スタイラス、能動スタイラスまたはこれらの任意の組み合わせなどの導電性対象物を検出することができる。容量センシング回路125は、容量センシングアレイ110上のタッチデータを測定することができる。タッチデータは複数のセルとして表すことができ、各セルは容量センシングアレイ110のセンシング要素(例えば、電極)の交差部を表す。2つのセンシング要素間の交差部は、互いにガルバニック絶縁を維持しながら、1つのセンシング電極が別のセンシング電極に交差する位置または重なる位置として理解することができる。
【0022】
容量センシング要素111は、銅などの導電性材料の電極である。センシング要素111はまた、ITOまたは任意の他の透明もしくは半透明の導電性材料から作られたパネルの一部であってもよい。容量センシング要素111は、容量センシング回路125が自己容量、相互容量またはこれらの任意の組み合わせを測定できるように構成可能であることができる。別の実施形態では、タッチデータは、容量センシングアレイ110の2次元容量画像である。一実施形態では、容量センシング回路125がタッチセンシングデバイス(例えば、容量センシングアレイ110)の相互容量を測定すると、容量センシング回路125は、タッチセンシングデバイスの2D容量画像を取得し、ピークおよび位置情報についてデータを処理する。別の実施形態では、タッチスクリーンコントローラ120は、センシングアレイ110などから容量タッチ信号のデータセットを取得するマイクロコントローラであり、マイクロコントローラ上で実行される指検出ファームウェアは、タッチを示すデータセット領域の識別、ピークの検出および処理、座標の計算、またはこれらの任意の組み合わせを行う。ファームウェアは、本明細書で説明する実施形態を使用してピークを識別する。ファームウェアは、得られたピークの正確な座標を計算することができる。一実施形態では、ファームウェアは、得られたピークの正確な座標を、相関アルゴリズムを使用して計算することができ、この相関アルゴリズムは、可能な各角度の相関係数を計算し、最も高い相関係数を有する角度をタッチの位置として識別する。ピークのX/Y座標は、本明細書でさらに詳しく説明するように、タッチの厳密な位置を記述することができる。代替的に、得られたピークの座標を決定するために、他の座標補間アルゴリズムを使用してもよい。タッチスクリーンコントローラ120は、正確な座標を他の情報と同様にホスト150(例えば、ホストプロセッサ)に報告することができる。
【0023】
一実施形態では、タッチスクリーンコントローラ120は、処理デバイス130をさらに含む。処理デバイス130の動作はファームウェアにおいて実装されてよく、代替的にハードウェアまたはソフトウェアにおいて実装されてもよい。処理デバイス130は、容量センシング回路125から信号を受信し、対象物(例えば、指)がセンシングアレイ110上でもしくはこれに近接して検出されたかどうか(例えば、対象物の存在の決定)、対象物がセンシングアレイ上のどこにあるか(例えば、対象物の位置の特定)を決定すること、対象物の動きを追跡すること、またはタッチセンサで検出される対象物に関する他の情報など、センシングアレイ110の状態を決定することができる。
【0024】
別の実施形態では、タッチスクリーンコントローラ120の処理デバイス130の動作を実行する代わりに、タッチスクリーンコントローラ120は、生のデータまたは部分的に処理されたデータをホスト150に送信することができる。ホスト150は、
図1に示すように、処理デバイス130の動作の一部または全てを実行する判定ロジック151を含むことができる。判定ロジック151の動作は、ファームウェア、ハードウェア、ソフトウェアまたはこれらの組み合わせで実装することができる。ホスト150は、感度差の補償、他の補償アルゴリズム、ベースライン更新ルーチン、起動および/または初期化ルーチン、補間演算またはスケーリング演算などのルーチンを受信データに関して実行するアプリケーション152に高レベルのアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を含むことができる。処理デバイス130に関して説明した動作は、判定ロジック151、アプリケーション152、またはタッチスクリーンコントローラ120の外部の他のハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアにおいて実装することができる。いくつかの他の実施形態では、タッチスクリーンコントローラ120は、ホスト150であるか、またはホスト150を含む。
【0025】
別の実施形態では、タッチスクリーンコントローラ120はまた、非センシングアクションブロック103を含むことができる。このブロック103は、データを処理し、かつ/またはホスト150との間で受信/送信するために使用することができる。例えば、センシングアレイ110とともにタッチスクリーンコントローラ120によって動作するために追加のコンポーネント(例えば、キーボード、キーパッド、マウス、トラックボール、LED、ディスプレイ、または他の周辺デバイス)を実装することができる。
【0026】
図示しているように、容量センシング回路125は、タッチスクリーンコントローラ120に統合することができる。容量センシング回路125は、タッチセンサパッド(図示せず)、容量センシングアレイ110、タッチセンサスライダ(図示せず)、タッチセンサボタン(図示せず)、および/または他のデバイスなどの外部コンポーネントに結合するためのアナログI/Oを含むことができる。容量センシング回路125は、相互容量センシング技術、自己容量センシング技術、電荷結合技術などを使用して容量を測定するように構成可能であることができる。一実施形態では、容量センシング回路125は、電荷蓄積回路、容量変調回路、または当業者によって知られている他の容量センシング法を使用して動作する。ある実施形態では、容量センシング回路125は、Cypress TMA-4xxすなわちTMA-xx群のタッチスクリーンコントローラである。代替的に、他の容量センシング回路を使用してもよい。本明細書で説明する容量センシングアレイすなわちタッチスクリーンは、視覚ディスプレイ自体(例えば、LCDモニタ)またはディスプレイ正面の透明基板のいずれかの上部、内部または下部に配置された透明な導電性センシングアレイを含むことができる。
【0027】
ある実施形態では、TX電極およびRX電極はそれぞれ行および列として構成される。電極の行および列は、タッチスクリーンコントローラ120(または容量センシング回路125)により、自己容量測定値のための個別電極として、相互容量測定値のためのTXまたはRX電極として、任意の組み合わせで構成してもよいことに留意されたい。同様に、タッチスクリーンコントローラ120(または容量センシング回路125)は、マルチプレクサを介するなどして、電極を自己容量センシング用のRX電極として、また1つ以上の電極をバリア電極として構成することができる。さらなる実施形態では、タッチスクリーンコントローラ120(または容量センシング回路125)はまた、いくつかの電極がシールド信号によって駆動されるように構成することができる。2つのセンシング要素間の交差部は、互いにガルバニック絶縁を維持しながら、1つのセンシング電極が別のセンシング電極に交差するかまたは重なる位置として理解することができる。指やスタイラスなどのタッチ対象物が容量センシングアレイ110に近づくと、対象物は、TX/RX電極のいくつかの間の相互容量の減少を引き起こす。別の実施形態では、指の存在により、電極の結合容量が増大する。よって、RX電極上で容量の減少が測定された時点でTX信号が印加された、TX電極とRX電極との間の結合容量が減少したRX電極を識別することにより、容量センシングアレイ110上の指の位置を決定することができる。したがって、電極の交差部に関連する容量を順次決定することにより、1つ以上の入力の位置を決定することができる。プロセスは、センシング要素のベースラインを決定することによりセンシング要素を較正可能であることに留意されたい。また、本開示の利益を有する当業者によって理解されるように、行/列ピッチよりも良好な分解能で指の位置を検出するために補間を使用できることに留意されたい。加えて、本開示の利益を有する当業者によって理解されるように、タッチの中心を検出するためにさまざまなタイプの座標補間アルゴリズムを使用することができる。
【0028】
また、本明細書で説明する実施形態は、ホストに結合された処理デバイスの構成を有することに限定されず、センシングデバイス上の容量を測定し、生データをホストコンピュータに送信し、そこでデータがアプリケーションによって解析されるシステムを含むことができることに留意されたい。実質的に、タッチスクリーンコントローラ120によって行われる処理は、ホストで行うこともできる。
【0029】
タッチスクリーンコントローラ120は、例えば集積回路(IC)ダイ基板またはマルチチップモジュール基板などの、共通のキャリア基板上に存在することができる。代替的に、タッチスクリーンコントローラ120のコンポーネントは、1つ以上の別個の集積回路および/またはディスクリートコンポーネントであってもよい。一実施形態では、タッチスクリーンコントローラ120は、Cypress Semiconductor Corporation(San Jose,Calif)によって開発されたプログラマブルシステムオンチップ(PSoC(登録商標))処理デバイスであることができる。代替的に、タッチスクリーンコントローラ120は、マイクロプロセッサもしくは中央処理装置、コントローラ、特殊用途プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他のプログラマブルデバイスなど、当業者によって知られている1つ以上の他の処理デバイスであってもよい。代替的な実施形態では、例えば、タッチスクリーンコントローラ120は、コアユニットおよび複数のマイクロエンジンを含む複数のプロセッサを有するネットワークプロセッサであってもよい。付加的に、タッチスクリーンコントローラ120は、汎用処理デバイスと特殊用途処理デバイスとの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0030】
容量センシング回路125は、タッチスクリーンコントローラ120のICに統合されてもよいし、代替的に別のICに統合されてもよい。代替的に、容量センシング回路125の記述を、他の集積回路に組み込むために生成し、コンパイルしてもよい。例えば、容量センシング回路125またはその一部を記述する動作レベルコードを、VHDLやVerilogなどのハードウェア記述言語を使用して生成し、機械アクセス可能な媒体(例えば、CD-ROM、ハードディスク、フロッピーディスクなど)に記憶することができる。さらに、動作レベルコードは、レジスタ転送レベル(「RTL」)コード、ネットリストまたは回路配置にコンパイルし、機械アクセス可能な媒体に記憶することができる。動作レベルコード、RTLコード、ネットリストおよび回路配置は、容量センシング回路125を記述するためのさまざまな抽象化レベルを表すことができる。
【0031】
タッチスクリーンディスプレイ100のコンポーネントは、上で説明したコンポーネントの全てを含みうることに留意されたい。代替的に、タッチスクリーンディスプレイ100は、上で説明したコンポーネントの一部を含んでもよい。
【0032】
一実施形態では、タッチスクリーンディスプレイ100は、タブレットコンピュータにおいて使用される。代替的に、電子デバイスは、ノートブックコンピュータ、モバイルハンドセット、携帯情報端末(「PDA」)、キーボード、テレビ、リモートコントローラ、モニタ、携帯型マルチメディアデバイス、携帯型メディア(オーディオおよび/またはビデオ)プレーヤ、携帯型ゲームデバイス、POSトランザクション用の署名入力デバイス、電子ブックリーダ、全地球測位システム(「GPS」)、またはコントロールパネルなどの他の用途において使用することもできる。本明細書で説明する実施形態は、ノートブックに実装するためのタッチスクリーンまたはタッチセンサパッドに限定されず、他の容量センシングの実装に使用することができ、例えば、センシングデバイスは、タッチセンサスライダ(図示せず)またはタッチセンサボタン(例えば、静電容量センシングボタン)であることができる。一実施形態では、これらのセンシングデバイスは、1つ以上の静電容量センサまたは他のタイプの容量センシング回路を含む。本明細書で説明する動作は、ノートブックのポインタ操作に限定されず、照明制御(調光)、音量制御、グラフィックイコライザ制御、速度制御、または段階的なもしくは離散的な調節を必要とする他の制御操作などの動作を含むことができる。また、静電容量センシングの実装のこれらの実施形態は、以下に限定するものではないが、ピックボタン、スライダ(例えば、表示の輝度およびコントラスト)、スクロールホイール、マルチメディアコントローラ(例えば、ボリューム、トラックアドバンスなど)、手書き認識および数字キーパッド操作などの、非容量センシング要素と併せて使用できることに留意されたい。
【0033】
図1Bは、
図1Aのタッチスクリーンディスプレイ100を、タッチスクリーン105に取り付けられたダイヤル200とともに示す。ダイヤル200は、任意の適切な回転機構(例えば、ノブ)であることができ、タッチスクリーン105の(例えば、静電容量センサ111が位置する)アクティブ領域に取り付けることができる。タッチスクリーン105のアクティブ領域に全体が取り付けられているものとして示しているが、受動ダイヤル200は、いくつかの実施形態では、受動ダイヤル200の一部がタッチスクリーン105のアクティブ領域内ではない領域と重なるように、タッチスクリーン105のアクティブ領域に部分的に取り付けられていてもよい。ダイヤル200は、任意の適切な方法で取り付けることができる。いくつかの実施形態では、ダイヤル200は、タッチスクリーン105の表面に接着されたアクリルパネルを含むことができる。ダイヤル200は、受動デバイスであることができ、いかなる種類の電子機器(例えば、オンボード測定システム)も含む必要がなく、またはいかなる方法でも電力供給される必要がない。
図2Aおよび
図2Bは、
図1Bのダイヤル200の下面図および側面図を示す。ダイヤル200は、(
図2Aおよび
図2Bに示され、本明細書では「指シミュレータ」ともいう)導電性要素205を含むことができ、この導電性要素205は、タッチスクリーン105に近接する(例えば、0.1~0.5ミリメートル)ようにダイヤル200に取り付けることができる。このようにして、導電性要素205は、ダイヤル200の角度を検出できるように、タッチスクリーン105と電気的にまたは容量的に結合することができる。ダイヤル200を回転させると導電性要素205が回転可能となり、よって、本明細書で論じるように、導電性要素205(ひいてはダイヤル200)の回転および現在角度を容量センシングアレイ110によって検出することができる。例えば、タッチスクリーンコントローラ120は、容量センシングアレイ110から、あらゆる角度(1~360)での導電性要素205の回転から生じる容量タッチ信号のデータセットを取得することができ、タッチスクリーンコントローラ120上で実行される位置検出ファームウェアが、本明細書でさらに論じるように、データセット内のピークに基づいて導電性要素205の角度を示すデータセット領域を識別する。例えば、ファームウェアは、相関アルゴリズムを使用して導電性要素205の正確な角度を計算し、任意の適切な方法でタッチスクリーン105に角度を表示することができる。本明細書で使用する場合、ダイヤルまたは導電性要素の角度は、ダイヤルまたは導電性要素の現在角度を意味することができる。
【0034】
導電性要素205は、任意の適切な金属で作製することができ、
図2Aおよび
図2Bでは円柱として示しているが、任意の適切な形状(例えば、直方体状)を有してもよい。ダイヤル200は、回転する金属板215およびトランク210を含むことができる。金属板215は、任意の適切な金属で作製することができ、トランク210は、金属、プラスチックまたは任意の他の適切な材料で作製することができる。ダイヤル200は、受動的であるため、ノイズに強く、グリップ爪(grip fingers)によって影響されにくくすることができる。単一の導電性要素を有するものとして示しているが、ダイヤル200は、任意の適切な数の導電性要素を含んでもよい。
【0035】
再び
図1Bを参照すると、タッチスクリーンディスプレイ100の電源投入時に、タッチスクリーンコントローラ120は、静電容量センサアレイ110内の各静電容量センサ111(1)~111(N)の生のカウント値を測定することができる。個別の静電容量センサ111の生のカウントは、その静電容量センサの測定されたセンサ容量を意味しうる。その後、タッチスクリーンコントローラ120は、各静電容量センサ111のベースライン容量を、その静電容量センサ111の生のカウント(測定されたセンサ容量)へ初期化することができる。静電容量センサ111のベースライン容量は、ユーザタッチがない(例えば、近くに導電性要素がない)センサの容量を意味することができる。タッチスクリーンコントローラ120は、各静電容量センサ111のベースライン容量をその生のカウントへ初期化する際に、いずれの静電容量センサ111の近くにも導電性要素が存在しないと仮定する。個別の静電容量センサ111に関する差分カウントは、導電性要素へのユーザタッチ/近接に対する静電容量センサの応答を意味することができ、生のカウントから静電容量センサのベースライン容量を差し引いたものとして定義することができる。タッチスクリーンコントローラ120は、各静電容量センサ111(1)~111(N)の生のカウント値の測定を続けて実行することができる。
【0036】
タッチスクリーンコントローラ120は、本明細書でさらに詳しく論じるように、相関アルゴリズムファームウェアを実行して、ダイヤル200の各角度の相関係数を決定することができる。個別の角度の相関係数は、その個別の角度における静電容量センサ111の行列の測定された差分カウント値と、ダイヤル200の個別の角度における静電容量センサ111の行列の基準応答値と、の間の類似性のレベルを意味することができる。よって、タッチスクリーンコントローラ120は、その個別の角度における静電容量センサ111の行列の測定された差分カウント値と、ダイヤル200のその個別の角度における静電容量センサ111の行列の基準応答値と、に基づいて、ダイヤル200の個別の角度の相関係数を決定することができる。相関係数に関して論じているが、個別の角度における静電容量センサ111の行列の測定された差分カウント値と、ダイヤル200のその個別の角度における静電容量センサ111の行列の基準応答値と、の間の類似性を決定する任意の適切な方法を使用してもよい。例えば、タッチスクリーンコントローラ120は、最小自乗平均アルゴリズムを使用して、個別の角度における静電容量センサ111の行列の測定された差分カウント値と、ダイヤル200のその個別の角度における静電容量センサ111の行列の基準応答値と、の間の類似性のレベルを決定することができる。
図3Aおよび
図3Bは、ダイヤル200の個別の角度に関する基準応答300を示す。
図3Aおよび
図3Bに示しているように、基準応答300は、(X,Y,Z)座標を有する放物面としてモデル化される。
図3Bは、基準応答300のx-yおよびx-zビュー(x-yビューグリッドの各ブロックは静電容量センサ111を表すことができる)を示しており、ここで、Oはタッチスクリーンの原点、Cはダイヤルの回転中心、Rはダイヤルの半径、αはダイヤルの回転角である。基準応答300は、個別の角度における静電容量センサ(
図3Bの網掛け表示されたセンサによって示す)の行列の理想的な容量応答を意味することができる。
図3Bの例では、行列は、(X0,Y0)座標によって示す基準放物面の中心を中心とする3×3行列である。基準放物面の中心は、
図3Bに示すように、ダイヤル200の半径に依存する。ダイヤル200の各角度に関する基準応答は、(例えば、タッチスクリーンディスプレイ100の製造時に)予め決定され、タッチスクリーンコントローラ120のメモリ135に記憶することができる。基準放物面300は、2つの主要な調整パラメータ、高さ(h)および半径(r)を有することができる。基準放物面300のrは、その個別の角度における容量応答が測定容量応答に寄与する、静電容量センサのセンサ行列(
図3Bの例では、3×3センサ行列)に適合するように調整することができる。基準応答は、理想的には各角度に関して同じであるが、角度毎のわずかな変動がある場合がある。各位置/角度に対するセンシング電極の応答を正規化するために補償アルゴリズムを使用して、角度毎に大きく異なる基準応答を補償してもよいことに留意されたい。
【0037】
この場合、タッチスクリーンコントローラ120は、ダイヤル200の可能な各角度に関する測定された差分カウント値を決定することができる。個別の角度に関する測定された差分カウントは、個別の角度における静電容量センサ111の行列の測定された差分カウント値を意味することができる。センサの行列は、基準応答300に関して上で論じたように定義することができる。
図4Aおよび
図4Cは、ダイヤル200の2つの異なる角度の測定された差分カウント値を示し、
図4Bおよび
図4Dは、ダイヤル200の同じ2つの角度のモデル化された基準応答放物面を示す。この場合、タッチスクリーンコントローラ120は、各角度j(j=1...360)の相関係数(K
j)を、各角度jに関する測定された差分カウント(d
i)および各角度jの基準放物面座標(X
i,Y
i,Z
ij)に基づいて決定することができ、ここで、iは静電容量センサ行列指標(例えば、3×3静電容量センサ行列ではi=1...9)、jは角度指標(例えば、j=1...360)を意味する。タッチスクリーンコントローラ120は、相関係数が最大値になる角度を、ダイヤル200の現在角度として識別することができる。これは、式、すなわち
K
max=MAX(K
j)のときα
max=j (1)
で表すことができる。
【0038】
タッチスクリーンコントローラ120は、次の各式を使用して相関係数を決定することができる。すなわち、
【数1】
であり、放物面の0未満のz値は全て値0に置き換えられる。すなわち、
z
ij<0であればz
ij=0 (7)
となる。
【0039】
図5A~
図5Dは、各角度j(1...360)の相関係数のグラフを示す。図示しているように、相関係数が最大値になる角度は、ダイヤル200の位置に対応する。
図5A~
図5Dはまた、相関係数が最小になる角度(K
min=MIN(K
j))を示す。これは、次式、すなわち
K
j=MIN(K
j)のときα
neg=j (8)
で示すことができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、タッチスクリーンコントローラ120は、相関係数が最小になる角度を利用して、電源投入および初期移動の後の負の寄生応答を除去することができる。タッチスクリーンディスプレイ100が電源投入された後に、タッチスクリーンコントローラ120は、ダイヤル200の導電性要素205(指シミュレータ)の下に現在ある(または近接している)静電容量センサを含む、各静電容量センサ111のベースライン容量を、(本明細書で論じているように)センサの生のカウントへ初期化することができる。静電容量センサ111の大半のベースライン容量は、その生のカウント(測定容量)がゼロであったので、ゼロとなりうる。しかし、初期化時に導電性要素の下方にあるセンサでは、その生のカウントは(これらが導電性要素に反応しているため)正の非ゼロ値であり、そのベースライン容量はこの正の非ゼロ値へ初期化される。その結果、各静電容量センサ111に関する差分カウント(差分カウント=生のカウント-ベースライン容量)はゼロとなる。ただし、ダイヤル200の初期回転の後、導電性要素205の新たな位置の周りにあるセンサの行列に関する差分カウントは正となるが、導電性要素205の古い位置の周りにあるセンサの行列に関する差分カウントは持続的に負となる。これは、古い位置の周りにあるセンサの行列に関する新たな生のカウントは0となるが、初期化中に導電性要素205がセンサ上にあったので、これらの静電容量センサのベースライン容量が以前の正の値へ初期化されたためである。その結果、この位置の相関係数は持続的に負となる。よって、導電性要素205の古い位置の周りにあるセンサの行列の(負の)差分カウント(相関係数が最小になる角度で表される)が負の寄生ピークを形成し、このことによって相関係数の最大値を表す主ピークの検出が歪められる場合がある。タッチスクリーンコントローラ120は、(例えば、
図7に関して)本明細書でさらに詳しく論じるように、ダイヤル200の初期回転があったかどうかを判定することができる。
【0041】
したがって、いくつかの実施形態では、相関アルゴリズムファームウェアが実行されてダイヤル200の各角度の相関係数が決定されると、タッチスクリーンコントローラ120が負のピークの相関係数を決定して、負のピークの相関係数に対応する位置の周りにあるセンサ行列内の各静電容量センサ111についてベースライン容量のリセットを適用することができる。別の言い方をすれば、タッチスクリーンコントローラ120は、センサ行列内の各静電容量センサ111のベースライン容量を、(ダイヤル200の初期移動の後の)その現在の生のカウント値へと再初期化することができる。これらの各静電容量センサ111のベースライン容量が再初期化されると、タッチスクリーンコントローラ120は、相関アルゴリズムファームウェアを実行して、ダイヤル200の各角度の相関係数を再び決定することができる。この場合、タッチスクリーンコントローラ120は、相関係数が最大になる角度をダイヤル200の角度として識別することができる。このように、相関係数のピークの決定は、上で論じた負の寄生ピークの影響を受けることがない。タッチスクリーンコントローラ120は、ダイヤル200の角度に対応するデータを、任意の適切な手法でタッチスクリーン105に角度を表示しうるユーザインタフェースコントローラ140に出力することができる。いくつかの実施形態では、ダイヤル200の現在角度に対応するデータは、ダイヤル200の現在角度に加えて、ダイヤル200の以前の位置からの角度の変化も含むことができる。いくつかの実施形態では、タッチスクリーンコントローラ120は、ダイヤル200の現在角度に対応するデータを、例えばダイヤル200の移動に伴って増分的に出力することができる。
【0042】
図6は、いくつかの実施形態による、容量センシングを使用して受動ダイヤルの位置を決定する方法600のフロー図である。方法600は、ハードウェア(例えば、回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、プロセッサ、処理デバイス、中央処理装置(CPU)、システムオンチップ(SoC)など)、ソフトウェア(例えば、処理デバイス上で動作する/実行される命令)、ファームウェア(例えば、マイクロコード)またはこれらの組み合わせを含みうるロジックを処理することによって実施することができる。例えば、方法600は、相関アルゴリズムファームウェアを実行するタッチスクリーンコントローラ120によって実施することができる。
【0043】
図1Bも参照すると、ブロック605で、タッチスクリーンディスプレイ100の電源投入時に、タッチスクリーンコントローラ120が、静電容量センサアレイ110内の各静電容量センサ111(1)~111(N)の生のカウント値を測定することができる。個別の静電容量センサ111の生のカウントは、その静電容量センサの測定されたセンサ容量を意味することができる。次いで、ブロック610で、タッチスクリーンコントローラ120は、各静電容量センサ111のベースライン容量を、その静電容量センサ111の生のカウント(測定されたセンサ容量)へ初期化することができる。静電容量センサ111のベースライン容量は、ユーザタッチがない(例えば、近くに導電性要素がない)センサの容量を意味することができる。タッチスクリーンコントローラ120は、各静電容量センサ111のベースライン容量をその生のカウントへ初期化する際に、いずれの静電容量センサ111の近くにも導電性要素が存在しないと仮定する。個別の静電容量センサ111に関する差分カウントは、導電性要素のユーザタッチ/近接に対する静電容量センサの応答を意味することができ、生のカウントから静電容量センサのベースライン容量を差し引いたものとして定義することができる。タッチスクリーンコントローラ120は、各静電容量センサ111(1)~111(N)の生のカウント値の測定を続けて実行することができる。
【0044】
次いで、ブロック615で、タッチスクリーンコントローラ120は、各静電容量センサ111(1)~111(N)の生のカウント値の測定を続けて実行することができる。次いで、ブロック620で、タッチスクリーンコントローラ120は、相関アルゴリズムファームウェアを実行して、本明細書でさらに詳しく論じるように、ダイヤル200の各角度位置の相関係数を決定することができる。ブロック620で、タッチスクリーンコントローラ120は、
図7に関してさらに説明するように、ダイヤル200の初期移動が検出されたかどうかを判定することができる。
【0045】
ブロック625でダイヤル200の初期移動が検出された場合、ブロック630で、タッチスクリーンコントローラ120は、相関係数が最小になる角度を利用して、相関係数が最小になる角度の周りにあるセンサの行列についてベースラインのリセットを実行することによって負の寄生応答を除去することができる。本明細書で論じているように、タッチスクリーンディスプレイ100が電源投入された後、ダイヤル200の導電性要素205(指シミュレータ)の下部にある静電容量センサを含む、各静電容量センサ111のベースライン容量は、そのセンサの生のカウントへと初期化される。したがって、各静電容量センサ111に関する差分カウント(差分カウント=生のカウント-ベースライン容量)はゼロになる。しかし、ダイヤル200の初期回転の後に、導電性要素205の新たな位置の周りにあるセンサの行列に関する差分カウントは正になるが、導電性要素205の古い位置の周りにあるセンサの行列に関する差分カウントは、持続的に負となる。これは、古い位置の周りにあるセンサの行列に関する新たな生のカウントは0になるが、初期化中に導電性要素205がセンサ上にあったので、これらの静電容量センサのベースライン容量が以前の正の値へと初期化されたためである。その結果、この位置の相関係数は持続的に負となる。よって、導電性要素205の古い位置の周りにあるセンサの行列の(負の)差分カウント(相関係数が最小になる角度で表される)が負の寄生ピークを形成し、このことによって相関係数の最大値を表す主ピークの検出が歪められる場合がある。タッチスクリーンコントローラ120は、(例えば、
図7に関して)本明細書でさらに詳しく論じるように、ダイヤル200の初期回転があったかどうかを判定することができる。
【0046】
したがって、いくつかの実施形態では、相関アルゴリズムファームウェアが実行されてダイヤル200の各角度の相関係数が決定されると、タッチスクリーンコントローラ120は、負のピークの相関係数を決定し、負のピークの相関係数に対応する位置の周りにあるセンサ行列内の各静電容量センサ111についてベースライン容量のリセットを適用することができる。別の言い方をすれば、タッチスクリーンコントローラ120は、センサ行列内の各静電容量センサのベースライン容量を(ダイヤル200の初期移動後の)現在の生のカウント値へ再初期化することができる。これらの各静電容量センサ110のベースライン容量が再初期化されると、タッチスクリーンコントローラ120は、相関アルゴリズムファームウェアを実行してダイヤル200の各角度の相関係数を再び決定することができる。この場合、タッチスクリーンコントローラ120は、相関係数が最大になる角度/位置をダイヤル200の角度/位置として識別することができる。このように、相関係数のピークの決定は、上で論じた負の寄生ピークの影響を受けることがない。
【0047】
次いで、ブロック635で、タッチスクリーンコントローラ120は、各静電容量センサ111(1)~111(N)の別の生のカウント値の測定を実行することができ、ブロック640で、(例えば
図3および
図4に関して)本明細書で論じたように、相関アルゴリズムを使用してダイヤル位置を決定することができる。
【0048】
図7は、いくつかの実施形態による、受動ダイヤルの初期移動を検出するための方法700のフロー図である。方法700は、ハードウェア(例えば、回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、プロセッサ、処理デバイス、中央処理装置(CPU)、システムオンチップ(SoC)など)、ソフトウェア(例えば、処理デバイス上で動作する/実行される命令)、ファームウェア(例えば、マイクロコード)またはこれらの組み合わせを含みうるロジックを処理することによって実施することができる。例えば、方法700は、相関アルゴリズムファームウェアを実行するタッチスクリーンコントローラ120によって実施することができる。
【0049】
ブロック705で、タッチスクリーンコントローラ120は、最大の相関係数(Max Kj)がピーク検出閾値よりも大きいかどうか、かつ最小の相関係数(Min Kj)が負のピーク検出閾値よりも小さいかどうかを判定することができる。これがノーであれば、タッチスクリーンコントローラ120は、受動ダイヤルの初期移動がなかったと判定することができる(ブロック710)。タッチスクリーンコントローラ120がブロック705で条件が満たされていると判定した場合、ブロック715で、主ピークと負の平均ピークとの間の距離が基準放物面の半径の2倍よりも大きいかどうかを判定することができる。これがノーであれば、タッチスクリーンコントローラ120は、受動ダイヤルの初期移動がなかったと判定することができる(ブロック710)。タッチスクリーンコントローラ120がブロック715で条件が満たされていると判定した場合、受動ダイヤルの初期移動があったと判定することができる(ブロック720)。
【0050】
いくつかの実施形態では、
図3の基準応答300は、放物面に代えて、ガウシアンとしてモデル化することができる。ガウシアンの基準モデルは、実際の導電性要素の応答に対するより高い類似性を有する場合があるが、より複雑でプロセッサ負荷が高い数学的計算を伴う場合もある。
図8は、3次元(X,Y,Z)座標系にガウシアンとしてモデル化された基準応答300を示す。タッチスクリーンコントローラ120は、(
図3に関して論じたように)放物面としてモデル化された基準応答に関して上述と同様に相関係数を計算することができるが、ガウシアンモデルの高さ(Z
i)は、
z
i=he{(x
i-x
0)
2+(y
i-y
0)
2}/2c
2 (9)
のように計算してもよい。
【0051】
上式で、cはガウシアンの半径係数を意味することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、ダイヤル200は、2つ以上の導電性要素を含むことができる。例えば、ダイヤル200は、互いに擬似ランダムな距離でダイヤル200上に不規則に割り当てられた4つ以上の導電性要素を含むことができる。
図9は、互いに擬似ランダムな距離を有する導電性要素A,B,DおよびE(AB≠BD≠DE≠EA)をダイヤル200が含む場合のセンサグリッド900のx-yビューを示す。
図9に示しているように、基準パターン(導電性要素の周りのセンサ行列)は、3×3の正方行列からn×nの正方行列に拡張されており、実際の導電性要素に従ってダイヤル中心Cの周りに全く同じ位置で割り当てられた単一の導電性要素の基準モデルの組み合わせとなっている。タッチスクリーンコントローラ120は、単一の導電性要素を伴う実施形態と同様に相関係数計算を実行することができるが、式(2)の和は、3×3からn×nに拡張されており、基準応答モデルのより大きなサイズを反映している。すなわち、
【数2】
である。
【0053】
その後、単一の導電性要素を伴う実施形態と同じ式(1)および式(8)を使用して、ダイヤル角度位置および初期移動の後の負のピーク位置を定義する。より多くのセンサデータが相関係数計算に使用されるため、複数の導電性要素の使用は、単一の導電性要素の実施形態よりもはるかに優れたノイズ耐性を有する。しかし、必要とされる数学的計算の量もM倍に増大する。すなわち、
M=n2/32 (11)
となる。
【0054】
いくつかの実施形態では、タッチスクリーンコントローラ120は、各角度における2つのパラメータの相関係数を計算することに代えて、各角度における導電性要素に対する差分カウント応答と基準応答モデルとの間の類似度を決定するために最小自乗法を利用することができる。これらの実施形態では、α
minは、次式で示すように、導電性指シミュレータの分解角度である。すなわち、
L
min=MIN(L
j)のときα
min=j (12)
【数3】
となる。
【0055】
上式で、Ljは角度jの最小自乗距離である。
【0056】
図10は、受動ダイヤル200が取り付けられた(
図1のタッチスクリーンディスプレイ100などの)タッチスクリーンディスプレイの例示的な表示である。
【0057】
図11は、本開示のいくつかの実施形態による、タッチスクリーンディスプレイを調整するためのシステム1000および動作させるためのシステム1050を示す。システム1000では、製造時に、例えばタッチスクリーンの容量応答が、(例えばコンピューティングデバイス1010上の)専用の測定ソフトウェアを使用して各ダイヤル角度で測定される。コンピューティングデバイス1010は、基準放物面の高さおよび半径を測定された主ピークの高さおよび半径の値へ調整し、これらのパラメータをタッチスクリーンコントローラ120のメモリに記憶することができる。
【0058】
システム1050は、受動ダイヤルの角度の決定が別個のデバイスのホストCPUによって実行される実施形態における、
図1Bで説明したものと同様の動作環境を示す。
【0059】
図12は、Cypress Semiconductor Corporation(San Jose,California)によって販売されるPSoC3(登録商標)製品群で使用されるような、PSoC(登録商標)処理デバイスのコアアーキテクチャ1100のある実施形態を示す。一実施形態では、コアアーキテクチャ1100はマイクロコントローラ1102を含む。マイクロコントローラ1102は、(
図1の処理デバイス130に対応しうる)CPU(中央処理装置)コア1104、フラッシュプログラムストレージ1106、DOC(デバッグオンチップ)1108、プリフェッチバッファ1110、プライベートSRAM(静的ランダムアクセスメモリ)1112、および特殊機能レジスタ1114を含む。ある実施形態では、DOC1108、プリフェッチバッファ1110、プライベートSRAM1112および特殊機能レジスタ1114がCPUコア1104(例えば、CPUコア1006)に結合され、フラッシュプログラムストレージ1106がプリフェッチバッファ1110に結合される。
【0060】
コアアーキテクチャ1100はまた、バス1122を介してマイクロコントローラ1102に結合されるブリッジ1118およびDMAコントローラ1120を含む、CHub(コアハブ)1116を含むことができる。CHub1116は、マイクロコントローラ1102およびその周辺機器(例えば、周辺機器)およびメモリと、プログラマブルコア1124と、の間の主要なデータおよび制御インタフェースを提供することができる。DMAコントローラ1120は、CPUコア1104に負荷をかけることなくシステム要素間でデータを転送するようにプログラムすることができる。さまざまな実施形態で、マイクロコントローラ1102およびCHub1116のこれらのサブコンポーネントは、それぞれ、CPUコア1104の各選択またはタイプによって異なっていてよい。CHub1116はまた、共有SRAM1126およびSPC(システム性能コントローラ)1128に結合することができる。プライベートSRAM1112は、ブリッジ1118を介してマイクロコントローラ1102によってアクセスされる共有SRAM1126から独立している。CPUコア1104は、ブリッジ1118を経ずにプライベートSRAM1112にアクセスし、よって、共有SRAM1126へのDMAアクセスと同時にローカルレジスタおよびRAMへのアクセスを可能にする。ここではSRAMと表記しているが、これらのメモリモジュールは、他のさまざまな実施形態では、多種多様な(揮発性または不揮発性の)メモリまたはデータ記憶モジュールのうちの任意の適切なタイプであってもよい。コアアーキテクチャ1100はまた、(
図1Aおよび
図1Bに示した容量センシング回路125と同様に)容量値の測定およびデジタル化を実行するアナログフロントエンド1138を含むことができる。
【0061】
さまざまな実施形態では、プログラマブルコア1124は、以下に限定するものではないが、デジタルロジックアレイ、デジタル周辺機器、アナログ処理チャンネル、グローバルルーティングアナログ周辺機器、DMAコントローラ、SRAMおよび他の適切なタイプのデータストレージ、IOポート、ならびに他の適切なタイプのサブコンポーネントなどの、サブコンポーネント(図示せず)のさまざまな組み合わせを含むことができる。一実施形態では、プログラマブルコア1124は、マイクロコントローラ1102の外部オフチップアクセスを拡張するメカニズムを提供するためのGPIO(汎用IO)およびEMIF(拡張メモリインタフェース)ブロック1130、プログラマブルデジタルブロック1132、プログラマブルアナログブロック1134、および特殊機能ブロック1136を含み、それぞれがサブコンポーネント機能の1つ以上を実装するように構成される。さまざまな実施形態では、特殊機能ブロック1136は、専用の(非プログラマブル)機能ブロックを含むことができ、かつ/またはUSB、水晶発振器ドライブ、JTAGなどの専用の機能ブロックに対する1つ以上のインタフェースを含むことができる。
【0062】
プログラマブルデジタルブロック1132は、デジタルロジックブロックのアレイおよび関連するルーティング部を含む、デジタルロジックアレイを含むことができる。一実施形態では、デジタルブロックアーキテクチャはUDB(汎用デジタルブロック)として構成される。例えば、各UDBは、CPLDの機能性に加えてALUを含むことができる。
【0063】
さまざまな実施形態では、プログラマブルデジタルブロック1132の1つ以上のUDBは、以下に限定するものではないが、次の機能、すなわち、基本I2Cスレーブ;I2Cマスタ;SPIマスタまたはスレーブ;マルチワイヤ(例えば、3ワイヤ)SPIマスタまたはスレーブ(例えば、単一ピン上に多重化されたMISO/MOSI);タイマおよびカウンタ(例えば、8ビットタイマまたはカウンタの対、1つの16ビットタイマまたはカウンタ、1つの8ビットキャプチャタイマなど);PWM(例えば、8ビットPWMの対、1つの16ビットPWM、1つの8ビットデッドバンドPWMなど);レベルセンシティブI/O割込み発生器;直交エンコーダ;UART(例えば、半二重);遅延ライン;および複数のUDBに実装できる任意の他の適切なタイプのデジタル機能またはデジタル機能の組み合わせなど、のうちの1つ以上を含むさまざまなデジタル機能を実行するように構成可能である。
【0064】
他の実施形態では、2つ以上のUDBのグループを使用して追加の機能を実装することができる。単に例示であって以下に限定するものではないが、複数のUDBを使用して、次の機能を実装することができる。すなわち、ハードウェアアドレス検出、CPUコア(例えば、CPUコア1104)の介入なしで完全なトランザクションをハンドリングする機能、およびデータストリーム中の任意のビットに関する強制的なクロックストレッチを防ぐのに役立つ機能をサポートするI2Cスレーブ;単一ブロック内のスレーブオプションを含みうるI2Cマルチマスタ;任意長のPRSまたはCRC(最大32ビット);SDIO;SGPIO;デジタル相関器(例えば、4倍のオーバーサンプリング付きの最大32ビットを有し、構成可能な閾値をサポートする);LINbusインタフェース;デルタ-シグマ変調器(例えば、差分出力ペアを有するクラスDオーディオDAC用);I2S(ステレオ);LCD駆動制御(例えば、LCD駆動ブロックのタイミング制御を実装し、ディスプレイRAMのアドレス指定にUDBを使用することできる);全二重UART(例えば、1または2のストップビットおよびパリティを伴う7ビット、8ビットまたは9ビット、RTS/CTSサポート);IRDA(送信または受信);キャプチャタイマ(例えば、16ビットなど);デッドバンドPWM(例えば、16ビットなど);SMbus(ソフトウェアでのCRCを伴うSMbusパケットのフォーマット化を含む);ブラシレスモータドライブ(例えば、6/12ステップの整流をサポートする);自動BAUDレート検出および生成(例えば、1200~115200BAUDの標準レートのBAUDレートを自動的に決定し、検出後に、必要なクロックを生成してBAUDレートを生成する);および複数のUDBに実装できる任意の他の適切なタイプのデジタル機能またはデジタル機能の組み合わせなど;である。
【0065】
プログラマブルアナログブロック1134は、以下に限定するものではないが、比較器、混合器、PGA(プログラマブル利得増幅器)、TIA(トランスインピーダンス増幅器)、ADC(アナログ-デジタル変換器)、DAC(デジタル-アナログ変換器)、基準電源、電流源、サンプルおよびホールド回路、ならびに任意の他の適切なタイプのアナログリソースなどのアナログリソースを含むことができる。プログラマブルアナログブロック1134は、以下に限定するものではないが、アナログルーティング、LCD駆動IOサポート、容量センシング、電圧測定、モータ制御、電流-電圧変換、電圧-周波数変換、差動増幅、光測定、誘導位置監視、フィルタリング、音声コイル駆動、磁気カード読取、音響ドップラ測定、音響測距、モデム送受信符号化、または任意の他の適切なタイプのアナログ機能などのさまざまなアナログ機能をサポートすることができる。
【0066】
本明細書で説明する実施形態は、相互容量センシングシステム、自己容量センシングシステムまたは両方の組み合わせのさまざまな設計に使用することができる。一実施形態では、静電容量センシングシステムは、アレイ内で作動する複数のセンシング要素を検出し、隣り合うセンシング要素に関する信号パターンを解析して、実際の信号からノイズを分離することができる。本明細書で説明する実施形態は、個別の容量センシングソリューションに縛られず、本開示の利益を有する当業者によって理解されるように、光学センシングソリューションを含む他のセンシングソリューションによっても同様に使用することができる。
【0067】
上記の説明では多数の詳細を記載した。しかし、本開示の利益を有する当業者には、これらの具体的な詳細なしに本開示の実施形態が実践可能であることが明らかであろう。いくつかの事例では、周知の構造およびデバイスは、説明がわかりにくくならないよう、詳細にではなくブロック図の形態で示している。
【0068】
詳細な説明のいくつかの部分を、コンピュータメモリ内のデータビットに関する操作のアルゴリズムおよび記号表現の観点から提示している。これらのアルゴリズムの記述および表現は、データ処理技術の当業者が自身の仕事内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用する手段である。アルゴリズムは、ここでは概して、所望の結果をもたらすための自己整合的な一連のステップであると考えられる。各ステップは、物理量の物理的操作を必要とするものである。通常であって必ずしもそうであるわけではないが、これらの量は、記憶、転送、組み合わせ、比較および他の操作が可能な、電気信号または磁気信号の形態をとる。これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、項、数などと称することが主に一般的な使用上の理由から時として便利であることが判明している。
【0069】
なお、これらの用語および同様の用語の全ては適切な物理量と関連付けられるべきものであり、これらの量に適用される便利なラベルに過ぎないことに留意すべきである。上記の論から明らかなように特に別段の記載がない限り、本説明を通して、「決定する」、「検出する」、「比較する」、「リセットする」、「加算する」、「計算する」などの用語を利用した論は、コンピューティングシステムのレジスタおよびメモリ内の物理量(電子量)として表されるデータを操作して、コンピューティングシステムのメモリもしくはレジスタまたは他のそのような情報ストレージ装置、伝送装置もしくは表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに変換する、コンピューティングシステムまたは同様の電子計算デバイスのアクションおよびプロセスを意味することが理解されよう。
【0070】
本明細書では、「例」または「例示的」なる語は、例、事例または例示として役立つことを意味するために使用される。本明細書で「例」または「例示的」として説明する任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計よりも好ましいまたは有利なものと解釈されるべきではない。むしろ、「例」または「例示的」なる語の使用は、具体的な手法で概念を提示することを意図している。本出願で使用する場合、用語「または」は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味することを意図している。すなわち、他に指定しない限り、または文脈から明らかでない限り、「XがAまたはBを含む」とは自然な包含的置換のいずれかを意味することを意図している。すなわち、「XがAまたはBを含む」は、XがAを含む場合、XがBを含む場合、またはXがAとBの両方を含む場合のいずれの事例も満たす。加えて、本出願および添付の特許請求の範囲で使用する場合、冠詞「1つの(a, an)」は、他に指定しない限り、または文脈から単数形を意味することが明らかでない限り、「1つ以上」を意味すると一般に解釈されるべきである。さらに、全体を通して用語「ある実施形態」または「一実施形態」または「ある実現形態」または「一実現形態」の使用は、同一の実施形態または実現形態を意味することを、このような説明がない限り、意図していない。
【0071】
本明細書で説明した実施形態は、実施形態における動作を実行するための装置にも関しうる。この装置は、必要な目的のために特別に構築されてもよいし、コンピュータに記憶されているコンピュータプログラムによって選択的に作動または再構成される汎用コンピュータを備えていてもよい。このようなコンピュータプログラムは、例えば、以下に限定するものではないが、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、光磁気ディスクを含む任意のタイプのディスク、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気もしくは光カード、フラッシュメモリ、または電子的な命令を記憶するのに適した任意のタイプの媒体などの非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶することができる。用語「コンピュータ可読記憶媒体」は、1つ以上の命令セットを記憶する単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型もしくは分散型データベースおよび/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むものと解されたい。用語「コンピュータ可読媒体」も、マシンによる実行のための命令セットを記憶、符号化または担持することができ、また本実施形態の方法論のいずれか1つ以上をマシンに実施させる任意の媒体を含むものと解されたい。用語「コンピュータ可読記憶媒体」は、以下に限定するものではないが、固体メモリ、光学媒体、磁気媒体、マシンによる実行のための命令セットを記憶することができ、また本実施形態の方法論のいずれか1つ以上をマシンに実施させる任意の媒体を含むものとしてしかるべく解されたい。
【0072】
本明細書で提示するアルゴリズムおよび表示は、いかなる個別のコンピュータまたは他の装置にも本質的に関連付けられるべきではない。さまざまな汎用システムは、本明細書の教示によるプログラムとともに使用されてもよいし、または必要な方法ステップを実行するためにより特化した装置を構築することが便利であると判明しているものであってもよい。これらのさまざまなシステムに必要な構造は、以下の説明から明らかとなるであろう。加えて、本実施形態は、個別のプログラミング言語を参照して記述されるものではない。本明細書で説明したような実施形態の教示を実装するために、さまざまなプログラミング言語を使用できることが理解されよう。
【0073】
上記の説明は、本開示のいくつかの実施形態の良好な理解をもたらすために、具体的なシステム、コンポーネント、方法の例など、多数の具体的な詳細を明らかにする。しかし、当業者には、これらの具体的な詳細なしに本開示の少なくともいくつかの実施形態を実践できることが明らかであろう。他の事例では、本実施形態が不必要にわかりにくくならないよう、周知のコンポーネントもしくは方法を詳しく説明していないか、または単純なブロック図の形式で提示している。よって、上に記載した具体的な詳細は単に例示的なものである。個別の実現形態は、これらの例示的な詳細と異なっていてもよく、依然として本実施形態の範囲内であると考えられる。
【0074】
上記の説明は、例示を意図しており、限定を意図していないことを理解されたい。上記の説明を読み理解することで、当業者には多くの他の実施形態が明らかとなるであろう。したがって、実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、特許請求の範囲が権利を有する均等物の範囲全体とともに決定されるべきである。
【国際調査報告】