(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(54)【発明の名称】主反応器へ再循環する排気反応器を備えたヒドロホルミル化システム
(51)【国際特許分類】
C07C 45/50 20060101AFI20221006BHJP
C07C 47/02 20060101ALI20221006BHJP
B01J 31/24 20060101ALI20221006BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20221006BHJP
【FI】
C07C45/50
C07C47/02
B01J31/24 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022508453
(86)(22)【出願日】2020-07-06
(85)【翻訳文提出日】2022-03-07
(86)【国際出願番号】 US2020040875
(87)【国際公開番号】W WO2021029983
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522051959
【氏名又は名称】オーキュー・ケミカルズ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ザルマン,カイル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ホイベス,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ビショッフ,クリストファー・ジェイ
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169BA27A
4G169BC65A
4G169BC69A
4G169BC71A
4G169BE25A
4G169BE26A
4G169BE29A
4G169CB52
4G169DA04
4H006AA02
4H006AA04
4H006AC45
4H006BA24
4H006BA48
4H006BC10
4H006BC11
4H006BD36
4H006BD84
4H006BE20
4H006BE40
4H039CA62
4H039CL45
(57)【要約】
アルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムは:(a)触媒フィード、シンガスフィード、及びオレフィンフィードを備え、オレフィン及びシンガスを生成物アルデヒドに変換するように構成された主反応器;(b)主反応器に、そこからの排出物を受けるように結合され、生成物アルデヒドを粗アルデヒド生成物流とシンガス及び未反応オレフィンを含有する排気流とに分離するように構成された第一の気液分離器;(c)第一の気液分離器に、そこからの排気流を受けるように結合された排気反応器であって、排気反応器は、そこへ触媒を供給するように構成された主反応器とも結合され、排気反応器は、第一の気液分離器からの排気流中の未反応オレフィンをさらなる生成物アルデヒドに変換するように運転可能である、排気反応器、を備える。第二の気液分離器が、排気反応器に、そこからの排出物を受けるように結合され、排気反応器からの排出物を、さらなる生成物アルデヒド及び触媒を含有する液体再循環流と別の排気流とに分離するように構成されており、第二の気液分離器は、主反応器にも、そこへ再循環流を供給するように結合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムであって、
(a)触媒フィード、シンガスフィード、及びオレフィンフィードを備え、前記オレフィン及びシンガスを生成物アルデヒドに変換するように構成された主反応器、
(b)前記主反応器に、そこからの排出物を受けるように結合され、前記生成物アルデヒドを粗アルデヒド生成物流とシンガス及び未反応オレフィンを含有する排気流とに分離するように構成された第一の気液分離器、
(c)前記第一の気液分離器に、そこからの前記排気流を受けるように結合された排気反応器であって、前記排気反応器は、そこへ触媒を供給するように構成された前記主反応器とも結合され、前記排気反応器は、前記第一の気液分離器からの前記排気流中の未反応オレフィンをさらなる生成物アルデヒドに変換するように運転可能である、排気反応器、
(d)前記排気反応器に、そこからの排出物を受けるように結合され、前記排気反応器からの前記排出物を、さらなる生成物アルデヒド及び触媒を含有する液体再循環流と別の排気流とに分離するように構成された第二の気液分離器であって、前記第二の気液分離器は、前記主反応器にも、そこへ前記再循環流を供給するように結合されている、第二の気液分離器、
を備え、
前記第二の気液分離器からの触媒は、前記主反応器へ再循環され、前記第二の気液分離器からのさらなる生成物アルデヒドは、前記主反応器へ供給されて、前記第一の気液分離器からの前記粗アルデヒド生成物流で回収される、ヒドロホルミル化システム。
【請求項2】
前記排気反応器からのすべての前記排出物が、前記第二の気液分離器に供給される、請求項1に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項3】
前記システムが、単一の粗アルデヒド生成物出口部を有する、請求項1に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項4】
前記第一の気液分離器からの前記排気流が、生成物アルデヒド、シンガス、及び未反応オレフィンを含む、請求項1に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項5】
前記主反応器と前記第一の気液分離器とに結合された凝縮器をさらに備える、請求項1に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項6】
前記排気反応器が、栓流反応器である、請求項1に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項7】
前記排気反応器が、逆混合反応器である、請求項1に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項8】
前記第二の気液分離器が、共通のシェル内で前記排気反応器と一体化されている、請求項1に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項9】
前記主反応器、前記排気反応器、及び前記第二の気液分離器が、実質的に同じ温度及び実質的に同じ圧力で運転される、請求項8に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項10】
前記オレフィンフィードが、プロピレンを含み、前記生成物アルデヒドが、ブチルアルデヒドを含む、請求項1に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項11】
前記触媒が、リン含有配位子及び一酸化炭素と複合体化した第VIII族金属である、請求項1に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項12】
前記第VIII族金属が、ロジウムである、請求項11に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項13】
主反応器、並びに前記主反応器から未反応オレフィン及びシンガスを受けてさらなる生成物アルデヒドを生成する排気反応器を有する、オレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムにおいて、改善は、前記排気反応器からの排出物を受けて、前記排気反応器からの触媒及びさらなる生成物アルデヒドを含む液体流を前記主反応器へ戻す気液分離器を含む。
【請求項14】
ヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法であって、
(a)触媒、シンガス、及びオレフィンを主反応器へフィードすること、
(b)前記シンガス及びオレフィンを、前記主反応器中で生成物アルデヒドに変換すること、
(c)前記主反応器からの前記生成物アルデヒド及び未反応シンガス及び未反応オレフィンを、第一の気液分離器へ供給すること、
(d)前記生成物アルデヒド及び未反応オレフィンを、液体粗アルデヒド生成物流と、未反応のシンガス及びオレフィンを含有する蒸気排気流とに分離すること、
(e)前記蒸気排気流を前記第一の気液分離器から、及び触媒を前記主反応器から、排気反応器へフィードすること、
(f)前記第一の気液分離器から受けた前記蒸気排気流からの未反応オレフィン及びシンガスを、前記排気反応器中でさらなる生成物アルデヒドに変換すること、
(g)前記排気反応器からの排出物を第二の気液分離器へフィードすること、
(h)前記排気反応器からの排出物を、さらなる生成物アルデヒド及び触媒を含有する液体流とオフガス流とに分離すること、
(i)前記第二の気液分離器からのさらなる生成物アルデヒド及び触媒を含有する前記液体流を、前記主反応器へ戻すこと、
を含み、
前記第二の気液分離器からの触媒は、前記主反応器へ再循環され、前記第二の気液分離器からのさらなる生成物アルデヒドは、前記主反応器へ供給されて、前記第一の気液分離器からの前記粗アルデヒド生成物流で回収される、方法。
【請求項15】
追加のシンガスを前記排気反応器へ供給することをさらに含む、請求項14に記載のヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法。
【請求項16】
前記未反応シンガス、生成物アルデヒド、及び未反応オレフィンを、前記主反応器と前記第一の気液分離器とに結合された凝縮器で冷却することをさらに含む、請求項14に記載のヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法。
【請求項17】
前記排気反応器からの前記排出物を冷却することをさらに含む、請求項14に記載のヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法。
【請求項18】
前記排気反応器からの前記排出物が、冷却されることなく、さらなる生成物アルデヒド及び触媒を含有する液体流とオフガス流とに分離される、請求項14に記載のヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法。
【請求項19】
ヒドロホルミル化が、前記反応器中の温度を約120℃~約140℃に維持しながら、前記主反応器及び排気反応器で行われる、請求項14に記載のヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法。
【請求項20】
ヒドロホルミル化が、前記反応器中の温度を約122.5℃~約137.5℃に維持しながら、前記主反応器及び排気反応器で行われる、請求項19に記載のヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2020年7月6日に出願された米国特許出願第16/920,856号に基づく。米国特許出願第16/920,856号は、2019年8月9日に出願された米国特許仮出願第62/884,727号に基づく。上記出願の優先権を、本明細書において主張するものであり、上記出願の開示内容は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、排気反応器を、排気反応器に付随する気液分離器から主反応器への触媒及び生成物の再循環と共に利用する、アルデヒドを製造するためのオレフィンのヒドロホルミル化に関する。
【背景技術】
【0003】
オレフィンのヒドロホルミル化を、有機配位子及び一酸化炭素と組み合わせた複合体としてのロジウムを例とする第VIII族金属の存在下でオレフィンと合成ガス(シンガス)としても知られる混合物である一酸化炭素及び水素とを反応させることによって行って、出発オレフィンよりも炭素原子が1個多いカルボニル誘導体を製造するためのプロセスは、本技術分野において公知であり(「オキソ」プロセスと称される)、計り知れない工業的重要性を有している:
RHC=CH2 + H2 + CO → RH2C-CH2-CHO
(式中、Rは、有機基である)。用いられ得る市販のオレフィン供給原料は、エチレン、プロピレン、並びに1-及び2-ブテン、ペンテン、ヘキセンなどである。一般に、炭素含有量がC2(エチレン)~C6(ヘキセン)である適切ないかなるオレフィンが用いられてもよい。末端オレフィンのオレフィン炭素に単一のメチル分岐鎖があると、その反応速度は10分の1に低下するが、分岐鎖の影響は、二重結合からのその距離が長くなるに従って減少する。反応性の異なるいくつかのC6供給原料としては:1-ヘキセン;4-メチル-1-ペンテン;2-ヘキセン;4-メチル-2-ペンテン;2-メチル-1-ペンテン;2-メチル-2-ペンテン;及び2,3-ジメチル-2-ブテンが挙げられる。
【0004】
Unruh et al.に対する米国特許第5,367,106号(1994)には、アルデヒドを製造するための、結合された排気反応器を伴うオキソプロセスが開示されている。Miller et al.に対する米国特許第9,695,098号には、排気反応器を、排気反応器から共通の生成物/触媒分離器への生成物再循環と共に利用するヒドロホルミル化システムが開示されている。Miyazawa et al.への米国特許第5,105,018号、Becker et al.への米国特許第9,067,876号、Burning et al.への米国特許第4,593,127号、さらにはEisenschmid et al.への米国特許第9,688,598号も参照されたい。
【0005】
多量の未反応成分が様々な流れの中に存在することから、生成物の回収率を最大化し、原材料の廃棄率を最小限とするようにシステムを運転することが重要である。設備及び運転エネルギーのコストも、効率的な運転のために同様に重要であり、本技術分野では、設備及び運転のコストを低減する改善が継続的に求められている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、オレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造するための、主反応器と、主反応器から未反応のオレフィン及びシンガスを受けてさらなる生成物アルデヒドを生成する排気反応器と、を有するヒドロホルミル化システムにおける改善に関する。この改善は、排気反応器からの排出物を受けて、触媒及びさらなる生成物アルデヒドを含む液体流を排気反応器から主反応器へ戻す気液分離器を含む。
【0007】
以下の記述及び添付の図面において詳細を提供する。
以下の考察から、本発明の利点が、フラッシャ、フラッシャプレヒーター、及びフラッシャに適する受器を排除することができることから、設備及び運転エネルギーのコストの低減を含むことは理解される。さらに、ベントを通してオレフィンガスが失われる場所が減少し、原材料コストが低減され、廃棄物の排出も低減される。本発明のシステムによれば、触媒がシンガス及び反応体オレフィンによる圧力下に維持されて、不活化及び触媒複合体の析出が低減されることから、触媒寿命が延長される。
【0008】
本発明を、図面と関連して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、排気反応器から受液器を通して主反応器への液体再循環を備えた本発明のシステムの実施形態を示す模式図である。
【
図2A】
図2Aは、
図1のシステムに組み込まれた一体化排気反応器/気液分離器の模式的立面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
主反応器又は排気反応器又は2次反応プロセスのいずれかで用いられる特定のヒドロホルミル化反応条件は、本発明にとって決定的なものではなく、用いられる特定の反応器の個別の必要性を満たすために、さらには所望される特定のアルデヒド生成物を製造するために、広く変動、調節され得ることは理解されたい。
【0011】
第VIII族触媒金属としては、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、及びこれらの組み合わせ、特にロジウム及びルテニウム、特にはロジウムが挙げられ、シンガスとオレフィンとの反応によって親オレフィンよりも炭素原子が1個多いオレフィンのアルデヒド誘導体を形成するための触媒として、有機金属複合体で用いられる。置換オレフィンを含む広く様々なオレフィン系供給原料が用いられ得る。本発明は、2~20個の炭素原子のオレフィンのヒドロホルミル化に広く適用可能であるが、その最も有用な適用は、特に炭素原子が2~8個であるα-オレフィンの場合である。このシステム及びプロセスは、エチレン及びプロピレンをヒドロホルミル化して、それぞれプロピオンアルデヒド及びn-ブチルアルデヒドとすることに特に適している。本発明では、主反応器及び排気反応器の両方において、同じ触媒複合体及びオレフィンが用いられる。触媒は、2つの反応器間を連続的に循環され、主反応プロセスで未変換のオレフィンは、未反応オレフィンをアルデヒドに変換するための栓流反応器又は逆混合反応器であってよい排気反応器へ導入される。
【0012】
ヒドロホルミル化プロセスは、典型的には超大気圧で、典型的には水素と一酸化炭素とを合わせて約4~20気圧の分圧下で、及び約0.5:1~10:1の範囲内である水素対一酸化炭素モル比で行われる。
【0013】
反応器中でのヒドロホルミル化反応温度は、通常、80℃~170℃の範囲内であり、好ましくは約120℃~約140℃の範囲内である。
用いられる液体反応媒体又は触媒溶液は、(a)触媒複合体、(b)典型的には、触媒の金属成分を複合体化するのに要する量を超える過剰量の、複合体形成に用いられる有機配位子、(c)ヒドロホルミル化反応生成物、及びヒドロホルミル化生成物アルデヒドのそれ自体との望ましくない縮合に典型的には起因する副生成物、(d)ヒドロホルミル化されるオレフィンであって、前記オレフィンの分子量に応じて様々である量のオレフィン(反応媒体中の液体オレフィンの割合は、通常、エチレンなどの低分子量アルカンよりも高分子量オレフィンの方が大きい)、及び(e)所望に応じて、不活性反応溶媒、を含む。
【0014】
触媒金属は、有機配位子とだけでなく、水素及び一酸化炭素とも複合体化する。多くの有機配位子が用いられ得るが、特に有意な配位子は、単座又は多座のトリオルガノホスフィン、トリオルガノホスファイト、トリオルガノアルシン、又はトリオルガノスチビンを含み、ホスフィン及びホスファイトが特に工業的に重要である。トリフェニルホスフィン及びトリフェニルホスファイトで例示される単純な単座ホスフィン及びホスファイトが、工業的には一般的に用いられる。しかし、多座配位子は、単座配位子の場合に用いられることの多い大過剰量の配位子が必要とされないという利点を有する。触媒複合体は、ヒドロホルミル化反応器中においてin situで形成されてよい、又は予め形成されていてもよい。
【0015】
ヒドロホルミル化反応媒体中で維持されるべき触媒の濃度は、本発明の良好な使用にとって決定的なものではない。しかし、典型的には、触媒金属がロジウムである場合、及び配位子がトリフェニルホスフィンである場合、イソアルデヒドの抑制が所望される状況では、液体反応媒体は、約0.01~1.0重量%のロジウム及び約20重量%以上までのトリフェニルホスフィンを含有する。エチレンのヒドロホルミル化では、イソアルデヒドの問題は存在せず、低い配位子濃度を用いることができる。不活性反応溶媒を添加しない場合、例えばプロピレンのヒドロホルミル化におけるトリフェニルホスフィン含有量は、約40%の高さであってよい。
【0016】
反応システムにおいて所望に応じて用いられる不活性溶媒は、それが触媒システムと並びに反応体及び反応生成物と混和性であり、反応生成物及び副生成物の溶媒からのストリッピングが促進されるように揮発性が低く、並びに当然、ヒドロホルミル化反応において化学的に不活性であるか又はそうでなければ、他の列挙した要件は依然として満たしながらそのシステム中でそれ自体が不活性である誘導体を形成するかのいずれか、である限りにおいて、過剰に決定的なものではない(すなわち、適切な溶媒は、反応器中で水素化を受け得るが、その後の水素化された形態がさらなる反応に対して不活性である溶媒であり得る)。分子量は、それが揮発性に関連すること以外は、反応溶媒において有意な因子ではなく、当然、反応生成物がストリッピングされた時の重質残分として不活性溶媒の保持を容易とするために、比較的高い分子量が所望される。例えばアルキル置換ベンゼン;ピリジン及びアルキル置換ピリジン;3級アミン;ジカルボン酸ジアルキル及びトリオルガノホスフェートなど、さらにはトリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールなどのポリオールのエステルなどの高沸点エステル;ケトン;ブタノールなどのアルコール;アセトニトリルなどのニトリル;並びにケロセン、鉱油、シクロヘキサン、ナフサなどの飽和炭化水素及びビフェニルなどの芳香族の両方を含む炭化水素、を含む数多くの不活性液体のいずれかを使用することが既に知られている。米国特許第4,151,209号には、特に有用な溶媒として、トリフェニルホスフィンオキシド、並びに少なくとも約500の分子量を有するポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールを例とするポリグリコールが挙げられることが教示されている。
【0017】
図1を参照すると、主オキソ反応器12、凝縮器14、主オキソ反応器生成物分離器16、排気反応器18、及び排気反応器受液器20を備えたヒドロホルミル化システム10が示される。
【0018】
図1にはまた、破線の境界線で囲まれた従来システムの構成要素も示されており、これらは、本発明の方法によって排除することができる。従来の構成要素は、フィードライン22、フラッシャプレヒーター24、フラッシャ26、さらにはフラッシャオーバーヘッド受器28を含む。
【0019】
運転時、様々な流れの流動は、
図1の矢印で示された方向である。主オキソ反応器12には、触媒、シンガス、及び反応体のオレフィンが13、15、及び17でフィードされ、それらが反応することでアルデヒド含有蒸気生成物流が得られ、これはライン30を通って反応器12から排出されて凝縮器14に供給され、そこで生成物は冷却されて、ライン32を通って分離器16に供給される。分離器16では、液体は粗生成物としてシステムから34で引き抜かれ、蒸気排気流は、ライン36を通って排気反応器18に供給される。
【0020】
所望に応じて、反応器18には、最適な運転のための必要に応じて、矢印19、19aに示されるように、追加のシンガス及び反応体のオレフィンが供給される。
排気反応器18は、主反応器から排気反応器18へ触媒を供給するライン38を介して反応器12と結合されている。すなわち、ロジウム複合体触媒、いずれかの遊離オルガノリン配位子、溶媒、少量の生成物アルデヒド、及び何らかの液体重質残分生成物を含有する液体触媒溶液の一部が、主オキソ反応器から連続的に引き抜かれる。液体触媒溶液の引き抜かれた部分は、栓流反応器又は逆混合反応器であってよい排気反応器へ向けられ、そこで、分離器16からの生成物が取られたオーバヘッドから分離された非凝縮排気ガスと混合される。追加のシンガスは、典型的には、排気反応器中で液体触媒溶液と混合される前に、排気ガスに添加される。
【0021】
排気反応器18では、主オキソ分離器16からの反応体オレフィンが、さらなる生成物アルデヒドに変換される。システム中で循環される蒸気、溶解したガス、溶媒、及び重質残分を含む反応器18からの排出物、好ましくはすべての排出物が、ライン40を介して、さらに冷却されて又は冷却されずに、受器20に供給される。システム中で循環される触媒、粗生成物アルデヒド、溶解したガス、溶媒、及び重質残分を含む受器20からの液体は、ライン42、44によって主反応器12に再循環される。オフガスは、46で排気される。排気反応器からの生成物アルデヒドは、このようにして主分離器16から回収され得る。
【0022】
本発明のシステムは、
図1で破線で示した項目及び/又は破線内に示した項目を典型的には有するヒドロホルミル化システムの従来の運転とは異なる。特に、従来の実践では、受器20からの液体排出物を、ライン22を通してフラッシャプレヒーター24へ供給することを含む(ライン42は従来システムには存在しない)。プレヒーター24は、ライン48を通してフラッシャ26へフィードし、そこで、生成物アルデヒドはフラッシュ蒸留され、触媒及び何らかの溶媒を含む残った液体、及びシステムを循環する重質分は、ライン44、50を介して反応器12に戻される。フラッシャ26からのフラッシュ蒸気は、ライン52を介してフラッシャオーバーヘッド受器28に供給され、そこで、粗生成物アルデヒドが、ライン54を介して引き抜かれ、排気ガスが56で除去される。
【0023】
図1に示した実施形態では、生成物分離器又は生成物受器は、分離器若しくは受器の前に冷却あり又は冷却なしでの、単なるノックアウトドラムであってよい。冷却は、凝縮器14などの別個の凝縮器によって提供されてよい、又は分離器若しくは受器と一体化されていてもよい。
【0024】
本発明の1つの好ましい実施形態は、
図2A及び
図2Bに示されるように、一体化排気反応器/気液分離器を含み、これは、
図1のシステム10に組み込まれる。
図2Aでは、排気反応器18及び別個の受液器20の代わりに
図1のシステムで用いられる一体化排気反応器/気液分離器180の模式的立面断面図が示される。排気反応器/気液分離器180は、184に示される複数の管を備えたシェル182、上部管板186、下部管板188、複数の液体排出ノズルD1、D2、D3、及びD4を備える。また、排気ガス排出ノズルRを備えた排気ガス排出マニホルド190、及びミストエリミネーター192も備える。排気反応器/気液分離器180は、本質的に、上部に蒸気開放空間を備えた円筒多管式熱交換器タイプの反応器(管側反応器(tube side reactor))である。
【0025】
図2Bは、上部管板186のすぐ上の部分での排気反応器/気液分離器の断面の平面図であり、シェル182の外周部に等間隔で配置された液体排出ノズルD1、D2、D3、及びD4が示される。
【0026】
排気反応器/気液分離器180の長さ対直径比(L/D)は、約2~4の範囲内、好ましくは約3であり、反応器中の液面から上の液体開放高さHは、H/Lの比が約0.1~約0.4、好ましくは約0.2となるように定められる。
【0027】
排気反応器/気液分離器180は、
図1のシステム10に用いられ、ライン38によって主オキソ反応器12に結合されて液体触媒溶液を受け、ライン36を介して分離器16に結合されて排気流を受ける。所望に応じて、排気反応器/気液分離器180は、矢印19、19aで示されるように、追加のシンガス及び反応体のオレフィンを受ける。
【0028】
運転時、排気反応器/気液分離器180は、ノズルD1、D2、D3、及びD4の僅かに上にある液面L’を維持した状態で、ライン36を介して受けた未反応の排気ガスを反応器の管184で反応させる。排気ガスは、ミストエリミネーター192を通過した後にノズルRを介して引き抜かれる。排気反応器/気液分離器180は、反応器12と実質的に同じ条件下で、すなわち、80℃~170℃、好ましくは120℃~140℃の温度、及び一酸化炭素と水素とを合わせて4気圧~20気圧の分圧で運転され、それによって、主反応器への再循環が促進される。本明細書において「実質的に同じ温度」及び/又は「実質的に同じ圧力」と言及する場合、そのような言及は、記載される装置構成要素内での又は記載されるプロセス工程の一部としてのパラメータの平均値の10%以内を含むものであり、圧力は絶対基準であり、温度は摂氏の単位である。
【0029】
システム中で循環される触媒、粗生成物アルデヒド、溶解したガス、溶媒、及び重質残分を含む液体が、ノズルD1~D4を介して排気反応器/気液分離器180から引き抜かれ、ライン42、44によって主反応器12に再循環される。排気反応器/気液分離器180からの生成物アルデヒドは、このようにして主分離器16から回収され得る。
【0030】
例示的及び好ましい実施形態
本発明の第一の態様では、実施形態1として、アルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムが提供され:(a)触媒フィード、シンガスフィード、及びオレフィンフィードを備え、オレフィン及びシンガスを生成物アルデヒドに変換するように構成された主反応器;(b)主反応器に、そこからの排出物を受けるように結合され、生成物アルデヒドを粗アルデヒド生成物流とシンガス及び未反応オレフィンを含有する排気流とに分離するように構成された第一の気液分離器;(c)第一の気液分離器に、そこからの排気流を受けるように結合された排気反応器であって、排気反応器は、そこへ触媒を供給するように構成された主反応器とも結合され、排気反応器は、第一の気液分離器からの排気流中の未反応オレフィンをさらなる生成物アルデヒドに変換するように運転可能である、排気反応器;(d)排気反応器に、そこからの排出物を受けるように結合され、排気反応器からの排出物を、さらなる生成物アルデヒド及び触媒を含有する液体再循環流と別の排気流とに分離するように構成された第二の気液分離器であって、第二の気液分離器は、主反応器にも、そこへ再循環流を供給するように結合されている、第二の気液分離器、を備え、第二の気液分離器からの触媒は、主反応器へ再循環され、第二の気液分離器からのさらなる生成物アルデヒドは、主反応器へ供給されて、第一の気液分離器からの粗アルデヒド生成物流で回収される。
【0031】
実施形態1のシステムは、これ以降に列挙する実施形態2~15の特徴のいずれか又はすべてを含んでいてよい。
実施形態2は、実施形態1に従うアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムであって、排気反応器からのすべての排出物が、第二の気液分離器に供給される。
【0032】
実施形態3は、実施形態1又は2に従うアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムであって、システムは、単一の粗アルデヒド生成物出口部を有する。
実施形態4は、実施形態1~3のいずれかに従うアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムであって、第一の気液分離器からの排気流は、生成物アルデヒド、シンガス、及び未反応オレフィンを含む。
【0033】
実施形態5は、実施形態1~4のいずれかに従うアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムであって、追加のシンガスが、排気反応器に供給される。
実施形態6は、実施形態1~5のいずれかに従うアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムであって、主反応器と第一の気液分離器とに結合された凝縮器をさらに備える。
【0034】
実施形態7は、実施形態1~6のいずれかに従うアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムであって、第二の気液分離器は、冷却を備えている。
実施形態8は、実施形態1~6のいずれかに従うアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムであって、第二の気液分離器は、それに付随する冷却を有しない。
【0035】
実施形態9は、実施形態1~8のいずれかに従うアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムであって、排気反応器は、栓流反応器である。
実施形態10は、実施形態1~8のいずれかに従うアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムであって、排気反応器は、逆混合反応器である。
【0036】
実施形態11は、実施形態1~10のいずれかに従うアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムであって、第二の気液分離器は、共通のシェル内で排気反応器と一体化されている。
【0037】
実施形態12は、実施形態11に従うアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムであって、主反応器、排気反応器、及び第二の気液分離器は、実質的に同じ温度及び実質的に同じ圧力で運転される。
【0038】
実施形態13は、実施形態1~12のいずれかに従うアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムであって、オレフィンフィードは、プロピレンを含み、生成物アルデヒドは、ブチルアルデヒドを含む。
【0039】
実施形態14は、実施形態1~13のいずれかに従うアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムであって、触媒は、リン含有配位子及び一酸化炭素と複合体化した第VIII族金属である。
【0040】
実施形態15は、実施形態14に従うアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムであって、第VIII族金属は、ロジウムである。
本発明の別の態様では、実施形態16として、主反応器、並びに主反応器から未反応オレフィン及びシンガスを受けてさらなる生成物アルデヒドを生成する排気反応器を有する、オレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムにおける改善が提供され、この改善は、排気反応器からの排出物を受けて、排気反応器からの触媒及びさらなる生成物アルデヒドを含む液体流を主反応器へ戻す気液分離器を含む。実施形態16の改善は、実施形態1~15の特徴のいずれか又はすべてを含んでいてよい。
【0041】
本発明のなおさらに別の態様では、実施形態17として、ヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法が提供され:(a)触媒、シンガス、及びオレフィンを主反応器へフィードする工程;(b)シンガス及びオレフィンを、主反応器中で生成物アルデヒドに変換する工程;(c)主反応器からの生成物アルデヒド及び未反応シンガス及び未反応オレフィンを、第一の気液分離器へ供給する工程;(d)生成物アルデヒド及び未反応オレフィンを、液体粗アルデヒド生成物流と、未反応のシンガス及びオレフィンを含有する蒸気排気流とに分離する工程;(e)蒸気排気流を第一の気液分離器から、触媒を主反応器から、排気反応器へフィードする工程;(f)第一の気液分離器から受けた蒸気排気流からの未反応オレフィン及びシンガスを、排気反応器中でさらなる生成物アルデヒドに変換する工程;(g)排気反応器からの排出物を第二の気液分離器へフィードする工程;(h)排気反応器からの排出物を、さらなる生成物アルデヒド及び触媒を含有する液体流とオフガス流とに分離する工程;(i)第二の気液分離器からのさらなる生成物アルデヒド及び触媒を含有する液体流を、主反応器へ戻す工程、を含み、第二の気液分離器からの触媒は、主反応器へ再循環され、第二の気液分離器からのさらなる生成物アルデヒドは、主反応器へ供給されて、第一の気液分離器からの粗アルデヒド生成物流で回収される。
【0042】
実施形態18は、実施形態17に従うヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法であって、排気反応器からのすべての排出物が、第二の気液分離器に供給される。
【0043】
実施形態19は、実施形態17又は18に従うヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法であって、生成物アルデヒドは、単一の粗アルデヒド生成物出口部へ供給される。
【0044】
実施形態20は、実施形態17、18、又は19のいずれかに従うヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法であって、追加のシンガスを排気反応器へ供給することをさらに含む。
【0045】
実施形態21は、実施形態17、18、19、又は20のいずれかに従うヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法であって、未反応シンガス、生成物アルデヒド、及び未反応オレフィンを、主反応器と第一の気液分離器とに結合された凝縮器で冷却することをさらに含む。
【0046】
実施形態22は、実施形態17、18、19、20、又は21のいずれかに従うヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法であって、排気反応器からの排出物を冷却することをさらに含む。
【0047】
実施形態23は、実施形態17、18、19、20、又は21のいずれかに従うヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法であって、排気反応器からの排出物は、冷却されることなく、さらなる生成物アルデヒド及び触媒を含有する液体流とオフガス流とに分離される。
【0048】
実施形態24は、実施形態17~23のいずれかに従うヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法であって、ヒドロホルミル化は、反応器中の温度を約120℃~約140℃に維持しながら、主反応器及び排気反応器で行われる。
【0049】
実施形態25は、実施形態24に従うヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法であって、ヒドロホルミル化は、反応器中の温度を約122.5℃~約137.5℃に維持しながら、主反応器及び排気反応器で行われる。
【0050】
実施形態26は、実施形態17~25のいずれかに従うオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法であって、主反応器、排気反応器、及び第二の気液分離器は、実質的に同じ温度及び実質的に同じ圧力で運転される。
【0051】
上記から、本発明の利点が、フラッシャ、フラッシャプレヒーター、及び受器を排除することができることから、設備コストの低減を含むことは理解される。さらに、ベントを通してオレフィンガスが失われる場所が減少し、運転コストも低減される。さらに、本発明のシステムによれば、触媒がシンガス及び反応体オレフィンによる圧力下に維持されて、不活化及び触媒複合体の析出が低減されることから、触媒寿命が延長される。
【0052】
本発明を詳細に記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲内での改変は、当業者であれば容易に明らかであろう。そのような改変も、本発明の一部として見なされるべきである。上記考察、本技術分野の該当する知識、並びに開示内容のすべてが参照により本明細書に援用される背景技術及び詳細な記述に関連して上記で考察した参考文献を考慮すると、さらなる記載は不要であると考えられる。加えて、上記考察から、本発明の態様及び様々な実施形態の部分が、全体として又は部分的に、組み合わされてよい又は相互交換されてよいことは理解されるべきである。さらに、当業者であれば、上記の記述が、単なる例であり、本発明を限定することを意図するものではないことも理解される。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システムであって、
(a)触媒フィード、シンガスフィード、及びオレフィンフィードを備え、前記オレフィン及びシンガスを生成物アルデヒドに変換するように構成された主反応器、
(b)前記主反応器に、そこからの排出物を受けるように結合され、前記生成物アルデヒドを粗アルデヒド生成物流とシンガス及び未反応オレフィンを含有する排気流とに分離するように構成された第一の気液分離器、
(c)前記第一の気液分離器に、そこからの前記排気流を受けるように結合された排気反応器であって、前記排気反応器は、そこへ触媒を供給するように構成された前記主反応器とも結合され、前記排気反応器は、前記第一の気液分離器からの前記排気流中の未反応オレフィンをさらなる生成物アルデヒドに変換するように運転可能である、排気反応器、
(d)前記排気反応器に、
前記排気反応器からのすべての排出物を受けるために結合され、前記排気反応器からの前記排出物を、さらなる生成物アルデヒド及び触媒を含有する液体再循環流と別の排気流とに分離するように構成された第二の気液分離器であって、前記第二の気液分離器は、前記主反応器にも、そこへ前記再循環流を供給するように結合されている、第二の気液分離器、
を備え、
前記第二の気液分離器からの触媒は、前記主反応器へ再循環され、前記第二の気液分離器からのさらなる生成物アルデヒドは、前記主反応器へ供給されて、前記第一の気液分離器からの前記粗アルデヒド生成物流で回収される、ヒドロホルミル化システム。
【請求項2】
(a)前記主反応器、(b)前記第一の気液分離器、(c)前記排気反応器、及び(d)前記第二の気液分離器からなる、請求項1に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項3】
前記システムが、単一の粗アルデヒド生成物出口部を有する、請求項1に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項4】
前記第一の気液分離器からの前記排気流が、生成物アルデヒド、シンガス、及び未反応オレフィンを含む、請求項1に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項5】
前記排気反応器が、栓流反応器である、請求項1に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項6】
前記排気反応器が、逆混合反応器である、請求項1に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項7】
前記第二の気液分離器が、共通のシェル内で前記排気反応器と一体化されている、請求項1に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項8】
前記主反応器、前記排気反応器、及び前記第二の気液分離器が、
互いに10%以内の温度及び圧力で運転され、
前記圧力は絶対基準であり、前記温度は摂氏の単位である、請求項7に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項9】
前記オレフィンフィードが、プロピレンを含み、前記生成物アルデヒドが、ブチルアルデヒドを含む、請求項1に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項10】
前記触媒が、リン含有配位子及び一酸化炭素と複合体化した第VIII族金属である、請求項1に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項11】
前記第VIII族金属が、ロジウムである、請求項
10に記載のアルデヒドを製造するためのヒドロホルミル化システム。
【請求項12】
ヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法であって、
(a)触媒、シンガス、及びオレフィンを主反応器へフィードすること、
(b)前記シンガス及びオレフィンを、前記主反応器中で生成物アルデヒドに変換すること、
(c)前記主反応器からの前記生成物アルデヒド及び未反応シンガス及び未反応オレフィンを、第一の気液分離器へ供給すること、
(d)前記生成物アルデヒド及び未反応オレフィンを、液体粗アルデヒド生成物流と、未反応のシンガス及びオレフィンを含有する蒸気排気流とに分離すること、
(e)前記蒸気排気流を前記第一の気液分離器から、及び触媒を前記主反応器から、排気反応器へフィードすること、
(f)前記第一の気液分離器から受けた前記蒸気排気流からの未反応オレフィン及びシンガスを、前記排気反応器中でさらなる生成物アルデヒドに変換すること、
(g)前記排気反応器からの
すべての排出物を第二の気液分離器へフィードすること、
(h)前記排気反応器からの排出物を、さらなる生成物アルデヒド及び触媒を含有する液体流とオフガス流とに分離すること、
(i)前記第二の気液分離器からのさらなる生成物アルデヒド及び触媒を含有する前記液体流を、前記主反応器へ戻すこと、
を含み、
前記第二の気液分離器からの触媒は、前記主反応器へ再循環され、前記第二の気液分離器からのさらなる生成物アルデヒドは、前記主反応器へ供給されて、前記第一の気液分離器からの前記粗アルデヒド生成物流で回収される、方法。
【請求項13】
前記排気反応器からの前記排出物を冷却することをさらに含む、請求項
12に記載のヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法。
【請求項14】
前記排気反応器からの前記排出物が、冷却されることなく、さらなる生成物アルデヒド及び触媒を含有する液体流とオフガス流とに分離される、請求項
12に記載のヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法。
【請求項15】
ヒドロホルミル化が、前記反応器中の温度を
120℃~140℃に維持しながら、前記主反応器及び排気反応器で行われる、請求項
12に記載のヒドロホルミル化によってオレフィン及びシンガスからアルデヒドを製造する方法。
【国際調査報告】