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特表2022-543911後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトル検出方法
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  • 特表-後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトル検出方法 図1
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  • 特表-後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトル検出方法 図4
  • 特表-後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトル検出方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-14
(54)【発明の名称】後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトル検出方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/309 20150101AFI20221006BHJP
   H04B 17/382 20150101ALI20221006BHJP
【FI】
H04B17/309
H04B17/382
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022516174
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(85)【翻訳文提出日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 CN2020134217
(87)【国際公開番号】W WO2022052336
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】202010952318.5
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518371489
【氏名又は名称】南京郵電大学
【氏名又は名称原語表記】NANJING UNIVERSITY OF POSTS AND TELECOMMUNICATIONS
【住所又は居所原語表記】No.66 Xin Mofan Road, Gulou Nanjing, Jiangsu 210003 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】朱 ▲チー▼
(72)【発明者】
【氏名】李 暁輝
(57)【要約】
本発明は後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトル検出方法である。該方法は、5Gセルラーモノのインターネットシーンにおいて、広く分布されているモバイルユーザー機器がスペクトル検出アシスタントとして、共同で協力してリクエスターが現在のスペクトルの状態を取得するのを支援すると考慮する。具体的なステップは、各検出ユーザーが先ず後方散乱を利用して、ローカルセンシングやデータ処理プログラムの実行を必要とせずに、リクエスターをターゲットとして、受信したスペクトル信号を直接的に後方散乱し、次に、空中計算を利用して、検出アシスタントによって反射されたすべてのスペクトル信号を同じ後方散乱チャネルを介してリクエスターに報告し、無線チャネルの累積特性を利用して、後方散乱されたスペクトル信号の重畳を実現し、最後に、リクエスターが受信した空中融合後のスペクトル信号をサンプリングして分析し、最終的なスペクトル検出の決定を行うことである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトルセンシング方法であって、具体的なステップは、
協調スペクトル検出システムにおける後方散乱装置が後方散乱を利用して受信したスペクトル信号をリクエスターに反射するステップ(1.1)と、
空中計算に基づき、N個の後方散乱されたスペクトル信号を累積するステップ(1.2)と、
リクエスターが最終的に受信したスペクトル信号を取得するステップ(1.3)と、
リクエスターが最終的に受信した
【数35】
をM回サンプリングして、スペクトル検出統計量Tを取得するステップ(1.4)と、
リクエスターが検出しきい値を決定するステップ(1.5)と、
リクエスターが取得したスペクトル検出統計量Tを検出しきい値と比較して、最終的なスペクトル決定を行うステップ(1.6)と、
を含むことを特徴とする後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトルセンシング方法。
【請求項2】
ステップ(1.1)では、前記協調スペクトル検出システムは、N個の後方散乱装置、現在の周波数帯域を使用しているユーザーIU、及び1つのスペクトル検出リクエスターで構成され、
協調スペクトル検出に参加するi番目の散乱装置はIUからの信号
【数36】
を受信し、ここで、a=1はIUが信号を送信していることを表し、a=0はIUが信号を送信していないことを表し、SIU及びPIUはそれぞれIUの送信信号及びその電力を表し、hi,IUはIUとi番目の散乱装置との間のチャネルフェージング係数であり、nはi番目の散乱装置のインピーダンスノイズであり、次に、i番目の散乱装置は受信したzを後方散乱し、後方散乱された後のスペクトル信号
【数37】
を取得し、ここで、fは後方散乱係数を表す、
ことを特徴とする請求項1に記載の後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトルセンシング方法。
【請求項3】
前記ステップ(1.2)では、空中計算に基づき、N個の後方散乱されたスペクトル信号を累積する具体的な操作ステップは、同じ後方散乱チャネルを介してN個の散乱装置からのスペクトル信号を伝送し、無線チャネルの重畳特性を利用して、スペクトル信号の無線チャネルでの自然な累積を実現し、累積された後の後方散乱スペクトル信号
【数38】
を取得することであり、
ここで、
【数39】
はzの電力を表し、vはnの電力であり、hi,Rはi番目の散乱装置とリクエスターとの間のチャネルフェージング係数を表す
ことを特徴とする請求項1に記載の後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトルセンシング方法。
【請求項4】
前記ステップ(1.3)では、リクエスターが最終的に受信したスペクトル信号を取得する具体的な操作方法は、
リクエスターが受信したスペクトル信号は、同じ無線チャネルで重畳された後の後方散乱されたN個のスペクトル信号
【数40】
及びIUから直接受信した信号
【数41】
を含み、
ここで、hi,Rはi番目の散乱装置とリクエスターとの間のチャネルフェージング係数を表し、
【数42】
はzの電力であり、vはnの電力であり、hR,IUはIUとリクエスターとの間のチャネルフェージング係数を表し、nはリクエスターでの加法性白色ガウスノイズであり、
これでわかるように、IUが信号を送信していない場合、リクエスターが最終的に受信したスペクトル信号は
【数43】
であり、IUが信号を送信している場合、リクエスターが最終的に受信したスペクトル信号は
【数44】
であることであり、
ここで、zR,Afは累積後の後方散乱スペクトル信号を表し、zはIUから直接受信した信号を表す、
ことを特徴とする請求項1に記載の後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトルセンシング方法。
【請求項5】
前記ステップ(1.4)では、スペクトル検出統計量Tを取得する具体的な操作方法は、リクエスターが最終的に受信したスペクトル信号
【数45】
をM回サンプリングし、ここで、
【数46】
はl番目のサンプリング結果を表し、次にM回サンプリングの結果のモジュロの平方をそれぞれ計算し、その後累積して平均値を計算し、それによりスペクトル検出統計量
【数47】
を取得することである、
ことを特徴とする請求項1に記載の後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトルセンシング方法。
【請求項6】
前記ステップ(1.5)では、リクエスターが検出しきい値を決定する具体的な操作方法は、リクエスターが予め設定されたターゲットの誤警報確率
【数48】
に基づき、検出しきい値εとして
【数49】
を取得することであり、
ここで、vはnの電力であり、Q-1(・)はQ関数の逆関数であり、Q関数は標準ガウスの相補分布関数であり、
【数50】
と表される
ことを特徴とする請求項1に記載の後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトルセンシング方法。
【請求項7】
前記ステップ(1.6)では、最終的なスペクトルの決定は、スペクトル検出統計量Tが検出しきい値よりも大きい場合、現在のスペクトルが占有されていると決定し、スペクトル検出統計量Tが検出しきい値よりも小さい場合、現在のスペクトルがアイドル状態にあると決定することである、
ことを特徴とする請求項1に記載の後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトルセンシング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信技術分野に関し、具体的には、後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトル検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
B5Gセルラーモノのインターネットネットワークは、広く分布されているインテリジェント装置が利用可能なスペクトルリソースにリアルタイムでアクセスできるようにする必要がある。スペクトルリソースの不足及びチャネル条件の急速な変化により、利用可能な無線スペクトルリソースは常に存在するわけではない。ほとんどのモバイルユーザー、特に超高密度地域に位置するユーザーは、利用可能な無線電リソースを発見するためにスペクトルを検出する必要がある。しかしながら、B5Gシステムが使用した超高周波信号は、様々な障害物に遭遇すると、より深刻な深いフェージングを経験するので、検出及び処理能力が制限された単一のユーザー装置がスペクトルをタイムリーで正確に検出することが困難になる。最近、センシングに基づく協調スペクトル検出方法(スペクトル検出方法と略称)は、より柔軟性の高い新たなセンシング例として、一般的に存在するインテリジェント装置がスペクトル検出過程に共に参加するように励起することができ、それによりB5Gシステムの深いフェージング及び隠れ端末による影響を効果的に軽減する。検出精度を向上させるために、検出アシスタントは先ず十分なスペクトルデータを収集して、かつ大量の独立したチャネルで報告する必要がある。その後、スペクトルリクエスターで大量のスペクトルデータの融合及び判定プロセスを実行する。上記プロセスは検出アシスタント及び検出システム全体にとって多くのエネルギー及びネットワークリソースを消費し、また、リクエスターで個別の融合操作を行うと、特に報告されたスペクトル検出データの数が膨大である場合、情報の遅延が長くなる可能性がある。
【0003】
従来、協調スペクトル検出方法に関する研究は、ユーザーが報告したデータタイプ又は融合ルールに基づき、ハード融合に基づくスペクトル検出方法とソフト融合に基づくスペクトル検出方法の2類に分けることができる。1番目の方法では、各検出アシスタントが収集して報告したスペクトルデータはローカル決定後のバイナリスペクトル決定である。該方法では、各センシングアシスタントは比較的少ない伝送ビットを必要とする。しかしながら、ローカル決定の主観性が高いため、比較的高いエラー率を招きやすく、かつスペクトルデータの改ざんを引き起こす可能性がある。2番目の方法では、ソフト融合に基づき、より正確なスペクトル検出結果を実現することができる。しかしながら、該方法では、ローカルでサンプリングされたスペクトル信号を伝送するために多くのエネルギー及びネットワークリソースが必要となる。さらに、マルチビットスペクトルデータの融合は比較的複雑であるため、スペクトルセンシングのリクエスターに長いデータ処理遅延及び低い計算効率をもたらす可能性がかなりある。特に報告されたスペクトル検出データの量が膨大である場合、以上の2種の方法はさらに改善される必要がある。
【0004】
上記挑戦に鑑みて、本発明はスペクトル検出精度とリソース消費との間の最適なバランスの問題を解決し、ローカルセンシングを行う必要なく、受信したスペクトル信号を後方散乱によりリクエスターに直接的に後方散乱し、次に、空中計算に基づき、無線チャネルの重畳特性を利用して、複数の独立したチャネルを占有する必要なく、スペクトル検出データの同じチャネルでの空中融合を実現し、最後に、リクエスターは空中融合後のスペクトルデータをサンプリングすれば、追加の融合計算を行う必要なく、最終的な検出決定を行うことができ、センシングと伝送エネルギー及び制限されたネットワークの節約を実現すると同時に、情報の適時性と計算の有効性を確保する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記課題に対して、本発明は後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトル検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術案は以下のとおりである。後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトルセンシング方法であって、具体的なステップは、
協調スペクトル検出システムにおける後方散乱装置が後方散乱を利用して受信したスペクトル信号をリクエスターに反射するステップ(1.1)と、
空中計算に基づき、N個の後方散乱されたスペクトル信号を累積するステップ(1.2)と、
リクエスターが最終的に受信したスペクトル信号を取得するステップ(1.3)と、
リクエスターが最終的に受信した
【数1】
をM回サンプリングして、スペクトル検出統計量Tを取得するステップ(1.4)と、
リクエスターが検出しきい値を決定するステップ(1.5)と、
リクエスターが取得したスペクトル検出統計量Tを検出しきい値と比較して、最終的なスペクトル決定を行うステップ(1.6)と、を含む。
【0007】
さらに、ステップ(1.1)では、前記協調スペクトル検出システムは、N個の後方散乱装置、現在の周波数帯域を使用しているユーザーIU、及び1つのスペクトル検出リクエスターで構成され、
協調スペクトル検出に参加するi番目の散乱装置はIUからの信号
【数2】
を受信し、ここで、a=1はIUが信号を送信していることを表し、a=0はIUが信号を送信していないことを表し、SIU及びPIUはそれぞれIUの送信信号及びその電力を表し、hi,IUはIUとi番目の散乱装置との間のチャネルフェージング係数であり、nはi番目の散乱装置のインピーダンスノイズであり、次に、i番目の散乱装置は受信したzを後方散乱し、後方散乱された後のスペクトル信号
【数3】
を取得し、ここで、fは後方散乱係数を表す。
【0008】
さらに、前記ステップ(1.2)では、空中計算に基づき、N個の後方散乱されたスペクトル信号を累積する具体的な操作ステップは、同じ後方散乱チャネルを介してN個の散乱装置からのスペクトル信号を伝送し、無線チャネルの重畳特性を利用して、スペクトル信号の無線チャネルでの自然な累積を実現し、累積された後の後方散乱スペクトル信号
【数4】
を取得することであり、
ここで、
【数5】
はzの電力を表し、vはnの電力であり、hi,Rはi番目の散乱装置とリクエスターとの間のチャネルフェージング係数を表す。
【0009】
さらに、前記ステップ(1.3)では、リクエスターが最終的に受信したスペクトル信号を取得する具体的な操作方法は、
リクエスターが受信したスペクトル信号は、同じ無線チャネルで重畳された後の後方散乱されたN個のスペクトル信号
【数6】
及びIUから直接受信した信号
【数7】
を含み、
ここで、hi,Rはi番目の散乱装置とリクエスターとの間のチャネルフェージング係数を表し、
【数8】
はzの電力であり、vはnの電力であり、hR,IUはIUとリクエスターとの間のチャネルフェージング係数を表し、nはリクエスターでの加法性白色ガウスノイズであり、
これでわかるように、IUが信号を送信していない場合、リクエスターが最終的に受信したスペクトル信号は
【数9】
であり、IUが信号を送信している場合、リクエスターが最終的に受信したスペクトル信号は
【数10】
であることであり、
ここで、zR,Afは累積後の後方散乱スペクトル信号を表し、zはIUから直接受信した信号を表す。
【0010】
さらに、前記ステップ(1.4)では、スペクトル検出統計量Tを取得する具体的な操作方法は、リクエスターが最終的に受信したスペクトル信号
【数11】
をM回サンプリングし、ここで、
【数12】
はl番目のサンプリング結果を表し、次にM回サンプリングの結果のモジュロの平方をそれぞれ計算し、その後累積して平均値を計算し、それによりスペクトル検出統計量
【数13】
を取得することである。
【0011】
さらに、前記ステップ(1.5)では、リクエスターが検出しきい値を決定する具体的な操作方法は、リクエスターが予め設定されたターゲットの誤警報確率
【数14】
に基づき、検出しきい値εとして
【数15】
を取得することであり、
ここで、vはnの電力であり、Q-1(・)はQ関数の逆関数であり、Q関数は標準ガウスの相補分布関数であり、
【数16】
と表される。
【0012】
さらに、前記ステップ(1.6)では、最終的なスペクトルの決定は、スペクトル検出統計量Tが検出しきい値よりも大きい場合、現在のスペクトルが占有されていると決定し、スペクトル検出統計量Tが検出しきい値よりも小さい場合、現在のスペクトルがアイドル状態にあると決定することである。
【0013】
本発明の目的は後方散乱及び空中計算によりグリーンの協調スペクトル検出方法を実現することである。現在のスペクトル検出プロセスで、スペクトル検出性能を確保するために、大量のセンシングエネルギーの消費とネットワークリソースの占有を犠牲にする必要があるという問題に対して、後方散乱及び空中計算に基づきスペクトル検出を実現する手段を構築する。広く分布されているインテリジェント装置は、検出アシスタントとして、先ず後方散乱を利用して、ローカルセンシングを行う必要なく、受信したスペクトル信号をリクエスターに直接反射し、次に、空中計算に基づき、無線チャネルの重畳特性を利用して、複数の独立したチャネルを占有する必要なく、スペクトル検出データの同じ後方散乱チャネルでの空中融合を実現し、最後に、追加のデータ処理操作を行う必要なく、リクエスターは空中融合後のスペクトルデータをサンプリングする必要があるだけで、最終的な検出決定を行うことができ、最終的にエネルギーと計算の有効性、及び制限されたネットワークリソースの節約を実現する。
【0014】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。1.ローカルのスペクトルセンシングの実行を必要とせずに、センシングエネルギーを消費せずに、後方散乱を利用して大量のスペクトルデータを収集して報告し、センシングコストが削減されると同時に、リクエスターが少ない総報酬で十分な検出アシスタントを募集することに有利である。
【0015】
2.空中計算を利用して、大量のスペクトルデータの同じ後方散乱チャネルでの空中融合を実現し、制限されたネットワークチャネルリソースが節約され、後方散乱とデータ融合が同時に実行され、さらに情報の適時性及び計算の有効性が確保される。
【0016】
3.各検出アシスタントが報告したスペクトルデータは、ローカルのバイナリスペクトル決定又は強い主観性を持つ前処理されたスペクトルデータではなく、直接受信された元のスペクトル信号であるため、エネルギー消費及びネットワークリソースが節約されると同時に、より高い検出精度が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のプロセス模式図である。
図2】本発明の機能モジュール模式図である。
図3】本発明の実施例におけるハード融合スペクトル検出方法及び本発明の方法の協調検出確率の誤警報確率に伴った変化図である。
図4】本発明の実施例におけるソフト融合スペクトル検出方法及び本発明の方法の協調検出確率の誤警報確率に伴った変化図である。
図5】本発明の実施例におけるグローバル伝送ビット数及びグローバルエネルギーの検出アシスタントの数に伴った変化図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、後方散乱及び空中計算によりグリーンの協調スペクトル検出方法を実現し、スペクトル検出性能を確保するために、大量のセンシングエネルギーの消費とネットワークリソースを犠牲にする必要がある場合、後方散乱及び空中計算に基づきスペクトル検出を実現する方法を提供する。先ず、励起された幅広いインテリジェント装置は、スペクトル検出アシスタントとして、後方散乱を利用して、ローカルセンシングやデータ処理プログラムの実行を必要とせずに、受信したスペクトル信号をリクエスターに直接的に後方散乱する。次に、空中計算を利用して、反射されたすべてのスペクトル信号を同じ後方散乱チャンネルを介してリクエスターに報告し、無線チャネルの重畳特性を利用して、スペクトル検出データの融合をリクエスターではなく空中で実現する。最後に、センシングのリクエスターは受信した空中融合後のスペクトルデータをサンプリングして分析する必要があるだけで、最終的な検出決定を行うことができる。
【0019】
本発明の技術案をより明瞭に説明するために、以下、図面を参照しながら本発明の技術案をさらに詳細に説明する。
【0020】
図1及び図2に示すように、後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトルセンシング方法であって、具体的なステップは、
協調スペクトル検出システムにおける後方散乱装置が後方散乱を利用して受信したスペクトル信号をリクエスターに反射するステップ(1.1)と、
空中計算に基づき、N個の後方散乱されたスペクトル信号を累積するステップ(1.2)と、
リクエスターが最終的に受信したスペクトル信号を取得するステップ(1.3)と、
リクエスターが最終的に受信した
【数17】
をM回サンプリングして、スペクトル検出統計量Tを取得するステップ(1.4)と、
リクエスターが検出しきい値を決定するステップ(1.5)と、
リクエスターが取得したスペクトル検出統計量Tを検出しきい値と比較して、最終的なスペクトル決定を行うステップ(1.6)と、を含む。
【0021】
さらに、ステップ(1.1)では、前記協調スペクトル検出システムは、N個の後方散乱装置、現在の周波数帯域を使用しているユーザーIU、及び1つのスペクトル検出リクエスターで構成され、協調スペクトル検出に参加するi番目の散乱装置はIUからの信号
【数18】
を受信する。
ここで、a=1はIUが信号を送信していることを表し、a=0はIUが信号を送信していないことを表し、SIU及びPIUはそれぞれIUの送信信号及びその電力を表し、hi,IUはIUとi番目の散乱装置との間のチャネルフェージング係数であり、nはi番目の散乱装置のインピーダンスノイズである。
次に、i番目の散乱装置は受信したzを後方散乱し、後方散乱された後のスペクトル信号
【数19】
を取得し、ここで、fは後方散乱係数を表す。
【0022】
さらに、前記ステップ(1.2)では、空中計算に基づき、N個の後方散乱されたスペクトル信号を累積する具体的な操作ステップは、同じ後方散乱チャネルを介してN個の散乱装置からのスペクトル信号を伝送し、無線チャネルの重畳特性を利用して、スペクトル信号の無線チャネルでの自然な累積を実現し、累積された後の後方散乱スペクトル信号
【数20】
を取得することであり、
ここで、
【数21】
はzの電力を表し、vはnの電力であり、hi,Rはi番目の散乱装置とリクエスターとの間のチャネルフェージング係数を表す。
【0023】
さらに、前記ステップ(1.3)では、リクエスターが最終的に受信したスペクトル信号を取得する具体的な操作方法は以下のとおりである。
後方散乱チャネルから受信した空中融合後の信号zR,Afに加えて、リクエスターはさらに伝送チャネルからIUからの信号
【数22】
を直接受信し、
ここで、nはリクエスターでの加法性白色ガウスノイズを表し、hR,IUはIUとリクエスターとの間の伝送チャネルのフェージング係数であり、
さらにリクエスターが最終的に受信したスペクトル信号
【数23】
を得て、
ここで、H及びHは、それぞれIUが信号を送信していない状態及び信号を送信している状態を表し、
リクエスターが受信したスペクトル信号は、同じ無線チャネルで重畳された後の後方散乱されたN個のスペクトル信号
【数24】
及びIUから直接受信した信号
【数25】
を含み、
ここで、hi,Rは、i番目の散乱装置とリクエスターとの間のチャネルフェージング係数を表し、
【数26】
はzの電力であり、vはnの電力であり、hR,IUはIUとリクエスターとの間のチャネルフェージング係数を表し、nはリクエスターでの加法性白色ガウスノイズである。
これでわかるように、IUが信号を送信していない場合、リクエスターが最終的に受信したスペクトル信号は
【数27】
であり、IUが信号を送信している場合、リクエスターが最終的に受信したスペクトル信号は
【数28】
であり、
ここで、zR,Afは累積後の後方散乱スペクトル信号を表し、zはIUから直接受信した信号を表す。
【0024】
さらに、前記ステップ(1.4)では、スペクトル検出統計量Tを取得する具体的な操作方法は、リクエスターが最終的に受信したスペクトル信号
【数29】
をM回サンプリングし、ここで、
【数30】
l番目のサンプリング結果を表し、次にM回サンプリングの結果のモジュロの平方をそれぞれ計算し、その後累積して平均値を計算し、それによりスペクトル検出統計量
【数31】
を取得することである。
【0025】
さらに、前記ステップ(1.5)では、リクエスターが検出しきい値を決定する具体的な操作方法は、リクエスターが予め設定されたターゲットの誤警報確率
【数32】
に基づき、検出しきい値εとして
【数33】
を取得することであり、
ここで、vはnの電力であり、Q-1(・)はQ関数の逆関数であり、Q関数は標準ガウスの相補分布関数であり、
【数34】
と表される。
【0026】
さらに、前記ステップ(1.6)では、最終的なスペクトルの決定は、スペクトル検出統計量Tが検出しきい値よりも大きい場合、現在のスペクトルが占有されていると決定し、スペクトル検出統計量Tが検出しきい値よりも小さい場合、現在のスペクトルがアイドル状態にあると決定することである。
【0027】
以上のように、後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトル検出方法である。先ず、スペクトルセンシング要求により励起された大量のインテリジェント装置は、検出アシスタントとして、ローカルセンシングやデータ前処理の実行を必要とせずに、受信したスペクトル信号をリクエスターに直接的に後方散乱し、次に、空中計算により、無線チャネルの重畳特性を利用して、後方散乱されたすべてのスペクトル信号を1つの後方散乱チャネルを介して報告し、スペクトルデータの空中融合を実現し、最後に、リクエスターは空中融合後の後方散乱されたスペクトル信号を受信して、サンプリングし、最終的なスペクトル決定を行う。
【0028】
図3は、本発明の方法と3種の典型的なハード融合協調スペクトル検出方法(すなわち、AND融合、OR融合、及び投票融合に基づく方法)で取得した検出確率の誤警報確率に伴った変化比較図である。図面からわかるように、サンプリング点の総数と検出アシスタントの数が同じである場合、ターゲットの誤警報確率が設定されると、本発明における後方散乱及び空中計算に基づくスペクトル検出方法は3種のハード融合検出メカニズムよりも高い検出確率を得ることができる。その原因として、ハード融合に基づくスペクトル検出方法では、検出アシスタントが報告したスペクトルデータは強い主観性を持ちかつローカルに改ざんされる可能性があるバイナリスペクトル決定であり、後方散乱に基づく協調装置は受信したスペクトル信号をリクエスターに直接的に後方散乱することができ、スペクトルデータの客観性が高く、従って高い協調スペクトル検出性能を実現することができる。
【0029】
図4は、本発明の方法と3種の典型的なソフト融合協調スペクトル検出方法(すなわち、等利得合成、最大比合成、及び尤度比合成に基づく方法)で取得した検出確率の誤警報確率に伴った変化比較図である。図面からわかるように、サンプリング点の総数と検出アシスタントの数が同じである場合、ターゲットの誤警報確率が設定されると、本発明における後方散乱及び空中計算に基づくスペクトル検出方法は3種のソフト融合検出メカニズムよりも高い検出確率を得ることができる。その原因として、本発明の方法では、各検出アシスタントが後方散乱したスペクトルデータは、ローカルセンシング、サンプリング又は定量化が行われない元の受信したスペクトル信号であり、このようなスペクトルデータはソフト融合スペクトル検出方法で部分的に処理された後に報告されたスペクトルデータよりも客観的で正確であり、この他、空中計算を利用して、後方散乱されたすべてのスペクトル信号は無線チャネルで自然的に融合し、データ報告の過程において同一チャネル干渉がなく、従って、リクエスターはより高い精度で空中融合後のスペクトルデータを取得し、さらにより良好な検出性能を実現することができる。
【0030】
図5は、本発明の方法とハード融合方法及びソフト融合方法の、スペクトルデータ報告プロセスに必要なグローバル伝送ビット及びグローバルエネルギーの比較図である。これからわかるように、ハード融合及びソフト融合スペクトル検出方法では、グローバル伝送ビット数はすべて検出アシスタント数の増加に伴って増加し、かつ本発明の方法を遥かに超える。その原因として、後方散乱に基づき、検出アシスタントはスペクトル信号を定量化する必要なしに直接反射することができ、この他、伝送ビット数が多いほど、データ報告に必要なエネルギーは多くなり、従って、ハード融合及びソフト融合方法に比べて、本発明の後方散乱及び空中計算に基づく協調スペクトル検出方法は、検出性能を向上させると同時に、より良好な省エネルギーの効果を得ることができる。
【0031】
実施例
B5Gセルラーモノのインターネットでカバーされているオフィスビルでは、モバイルユーザーは、あるスペクトルにアクセスする前に、先ず他の装置の助けを借りて該スペクトルがアイドル状態にあるか否かを検出する必要がある。従って、本特許発明の方法を利用し、該モバイルユーザーはスペクトル検出のリクエスターとして、N=10個のインテリジェント装置は後方散乱装置としてリクエスターの周りにランダムに分布される。先ず、ステップ(1.1)に基づいて、すべての後方散乱装置が後方散乱を利用して受信した該スペクトル信号をリクエスターに反射し、次に、空中計算に基づき、ステップ(1.2)に基づいて、10個の後方散乱されたスペクトル信号を累積し、さらに、ステップ(1.3)に基づいて、リクエスターは最終的に受信したスペクトル信号を取得し、かつステップ(1.4)に基づいて、M=200回サンプリングし、スペクトル検出統計量Tを取得し、その後、ステップ(1.5)に基づいて、リクエスターは検出しきい値を決定し、最後に、検出統計量と検出しきい値との比較結果に基づき、該スペクトルがアイドル状態にあるか否かを決定し、検出統計量が検出しきい値よりも大きい場合、該スペクトルが占有されていると決定し、リクエスターがアクセスできず、検出統計量が検出しきい値よりも小さい場合、該スペクトルがアイドル状態にあると決定し、リクエスターはアクセスできる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】