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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】発光ダイオード
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/10 20100101AFI20221007BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20221007BHJP
【FI】
H01L33/10
H01L33/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541719
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(85)【翻訳文提出日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 CN2020096173
(87)【国際公開番号】W WO2021253179
(87)【国際公開日】2021-12-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521317922
【氏名又は名称】泉州三安半▲導▼体科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】唐 宏彬
(72)【発明者】
【氏名】▲どん▼ 有▲財▼
(72)【発明者】
【氏名】庄 曜▲うぇい▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲霽▼圃
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 嘉文
(72)【発明者】
【氏名】黄 文嘉
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 中英
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA03
5F241AA41
5F241CA05
5F241CA12
5F241CA13
5F241CA40
5F241CA65
5F241CB15
(57)【要約】
互いに反対する第1の表面と第2の表面とを有する半導体エピタキシャル積層体と、前記半導体エピタキシャル積層体の第2の表面に配置され、且つ、a種類の異なる屈折率の材料層により交互に積層されてなったMグループの材料層ペアを有し、且つ、2≦a≦6であるDBR反射層と、を少なくとも備え、前記DBR反射層のMグループの材料層ペアの中にNグループの材料層ペアが存在し、前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度は他の(M-N)グループの材料層ペアにおける材料層の間の界面の粗度より大であり、且つ、M>N≧1であることを特徴とする発光ダイオードを提供する。DBR反射層の材料層間の界面の粗化により、DBR反射層の材料層の間と、DBR反射層と基板との間の接着力を改善することができ、切削の裏面チッピング、推力で脱落する現象を改善し、製品の歩留まりを向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに反対する第1の表面と第2の表面と該第1の表面と第2の表面とを繋ぐ側面とを有し、且つ、順番に積層される第1の導電タイプの半導体層と発光層と第2の導電タイプの半導体層とを有する半導体エピタキシャル積層体と、
前記半導体エピタキシャル積層体の第2の表面に配置され、且つ、a種類の異なる屈折率の材料層により交互に積層されてなったMグループの材料層ペアを有し、且つ、2≦a≦6であるDBR反射層と、を少なくとも備え、
前記DBR反射層のMグループの材料層ペアの中にNグループの材料層ペアが存在し、前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度は他の(M-N)グループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度より大であり、且つ、M>N≧1であることを特徴とする発光ダイオード。
【請求項2】
前記Mの値の範囲は2~50であることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項3】
前記a種類の材料層の材料は、SiO、SiON、SiN、Al、MgF、TiO、TiO、Ti、Ti、Ta、ZrOからなる群により選ばれたいずれか1つ、もしくはこれらから選ばれた材料の混合材料であることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項4】
前記Nの値の範囲は1~45であることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項5】
前記Nグループの材料層ペアは連続した積層であることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項6】
前記Nグループの材料層グループは不連続の積層であることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項7】
前記半導体エピタキシャル積層体の第2の表面から始まる連続する前記Nグループの材料層ペアがあり、前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の粗度は、他の(M-N)グループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の粗度より大であることを特徴とする請求項5に記載の発光ダイオード。
【請求項8】
前記DBR反射層の中間エリアに連続する前記Nグループの材料層ペアが存在し、前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度は他の(M-N)グループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度より大であることを特徴とする請求項5に記載の発光ダイオード。
【請求項9】
前記DBR反射層の末端のエリアに連続する前記Nグループの材料層ペアが存在し、前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度は他の(M-N)グループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の粗度より大であることを特徴とする請求項5に記載の発光ダイオード。
【請求項10】
前記発光ダイオードは更に前記DBR反射層と前記半導体エピタキシャル積層体との間に位置する基板を有することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項11】
前記基板は反対する第1の表面と第2の表面とを有し、前記DBR反射層は前記基板の前記第2の表面に積層され、前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度Ra1は前記基板の前記第2の表面の粗度Ra2の1.0~3倍であることを特徴とする請求項10に記載の発光ダイオード。
【請求項12】
前記基板の前記第2の表面の粗度Ra2は1.0nm~3.0nmであることを特徴とする請求項11に記載の発光ダイオード。
【請求項13】
前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度Ra1は1.0~9nmであることを特徴とする請求項12に記載の発光ダイオード。
【請求項14】
前記発光ダイオードは前記半導体エピタキシャル積層体の前記第1の表面に位置する透明基板を更に有することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項15】
a=2であり、前記DBR反射層は第1の材料層と第2の材料層とにより交互に積層されてなったものであり、第1の材料層は第1の屈折率n1を有し、第2の材料層は第2の屈折率n2を有し、n1<n2であることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項16】
a=3であり、前記DBR反射層は第1の材料層と第2の材料層と第3の材料層とにより交互に積層されてなったものであり、第1の材料層は第1の屈折率n1を有し、第2の材料層は第2の屈折率n2を有し、第3の材料層は第3の屈折率n3を有し、n1<n2<n3であることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項17】
前記DBR反射層は前記半導体エピタキシャル積層体の第2の表面に隣接する第1層を有し、前記第1層の光学的厚さは前記DBR反射層の他の層より厚いことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項18】
前記第1の表面と該第1の表面に反対する第2の表面とを有する基板と、
前記基板の前記第1の表面に順番に積層される第1の導電タイプの半導体層と発光層と第2の導電タイプの半導体層とを有する半導体エピタキシャル積層体と、
前記基板の第2の表面に積層され、且つ、a種類の異なる屈折率の材料層により交互に積層されてなったMグループの材料層ペアを有し、且つ、2≦a≦6であるDBR反射層と、を少なくとも備え、
前記DBR反射層のMグループの材料層ペアの中にNグループの材料層ペアが存在し、前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度Ra1は前記基板の第2の表面の粗度Ra2の1.0~3倍であり、且つ、M≧N≧1であることを特徴とする発光ダイオード。
【請求項19】
前記基板の第2の表面の粗度Ra2は1~3nmであることを特徴とする請求項18に記載の発光ダイオード。
【請求項20】
前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度Ra1は1.0~9nmであることを特徴とする請求項19に記載の発光ダイオード。
【請求項21】
前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度Ra1は1.5~5.0nmであることを特徴とする請求項20に記載の発光ダイオード。
【請求項22】
前記Mの値の範囲は2~50であることを特徴とする請求項18に記載の発光ダイオード。
【請求項23】
前記Nの値の範囲は1~45であることを特徴とする請求項18に記載の発光ダイオード。
【請求項24】
互いに反対する第1の表面と第2の表面と該第1の表面と第2の表面とを繋ぐ側面とを有し、且つ、順番に積層される第1の導電タイプの半導体層と発光層と第2の導電タイプの半導体層とを有する半導体エピタキシャル積層体と、
前記半導体エピタキシャル積層体の第2の表面に積層され、且つ、a種類の異なる屈折率の材料層により交互に積層されてなったMグループの材料層ペアを有し、且つ、2≦a≦6であるDBR反射層と、を少なくとも備え、
前記DBR反射層は前記半導体エピタキシャル積層体の第2の表面から離れる方向において、低い屈折率材料から高い屈折率材料への界面Anを有し、1≦n≦a-1であり、前記DBR反射層のMグループの材料層ペアの中のNグループの材料層ペアの界面Anの粗度RaAnは1.0~20nmであり、M≧N≧1、且つ、M>1であることを特徴とする発光ダイオード。
【請求項25】
前記DBR反射層は前記半導体エピタキシャル積層体の第2の表面から離れる方向において、低い屈折率材料から高い屈折率材料への界面Bを更に有し、前記DBR反射層のNグループの材料層ペアの中の界面Anの粗度RaAnは界面Bの粗度Raより大であることを特徴とする請求項24に記載の発光ダイオード。
【請求項26】
前記Nグループの材料層ペアの界面Anの粗度RaAnは1.5~10nmであることを特徴とする請求項24に記載の発光ダイオード。
【請求項27】
前記Mの値の範囲は2~50であることを特徴とする請求項24に記載の発光ダイオード。
【請求項28】
前記Nの値の範囲は1~45であることを特徴とする請求項24に記載の発光ダイオード。
【請求項29】
互いに反対する第1の表面と第2の表面と該第1の表面と第2の表面とを繋ぐ側面とを有し、且つ、順番に積層される第1の導電タイプの半導体層と発光層と第2の導電タイプの半導体層とを有する半導体エピタキシャル積層体と、
前記半導体エピタキシャル積層体の第2の表面に積層され、且つ、a種類の異なる屈折率の材料層により交互に積層されてなったMグループの材料層ペアを有し、且つ、2≦a≦6であるDBR反射層と、を少なくとも備え、
前記DBR反射層のMグループの材料層ペアの前記半導体エピタキシャル積層体の第2の表面から離れる方向において、a種類の材料層の間の界面の粗度が順次に小さくなっていくことを特徴とする発光ダイオード。
【請求項30】
実装基板と前記実装基板に実装される少なくとも1つの発光ダイオードを有し、前記発光ダイオードにおける少なくとも1個もしくは全部が請求項1~29のいずれか一項に記載の発光ダイオードであることを特徴とする発光ダイオードパッケージ。
【請求項31】
実装基板と前記実装基板に実装される複数行及び複数列の発光ダイオードを有し、前記発光ダイオードにおける少なくとも1個もしくは全部が請求項1~29のいずれか一項に記載の発光ダイオードであることを特徴とする発光ダイオードモジュール。
【請求項32】
複数個の請求項31に記載の発光ダイオードモジュールにより組み合わせてなったことを特徴とする発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体光エレクトロニクス技術分野に関し、具体的には、発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light Emitting Diode、略してLED)は発光強度が高く、効率が高く、体積が小さく、そして使用寿命が長いなどの利点を持ち、目下最も期待されている光源の1つである。近年、日常生活においてLEDは、照明、信号の表示、バックライト、自動車用ランプ、そして大型ディスプレイスクリーンなどの分野で広範囲に応用されている。そしてこれらの応用は、より高いLEDの明るさ及び発光効率を必要としている。
【0003】
現在、LEDデバイスの発光効率を制限する要素として、内部量子効率と外部量子効率が挙げられる。内部量子効率とは、注入される電気エネルギーを光エネルギーに変換する効率であり、現在の技術では70~80%まで到達し、エピタキシャル成長が優れたチップの場合、その内部量子効率は90%まで到達することも可能である。外部量子効率とは、光エネルギーをチップから抽出する効率を指すが、現在の技術では40~50%しかなく、改善する余地は残されている。LED発光効率を改善する研究は盛んであり、その主たる技術としては、表面(界面)粗化技術を採用することや、DBR反射層構造を導入すること、透明基板技術、基板剥離技術、フリップチップ技術、そして異形チップ技術などが挙げられる。
【0004】
光学フィルムにおいて、DBR反射層構造は2種類もしくは2種類以上の複数の半導体もしくは誘電材料を交互に積層成長させることにより、所定の1つの光学波長域における高い反射率を得る。スネルの法則(Snell‘s Law)により、屈折率が高い材料から低い材料に光が入射する際、入射角が臨界角より高い場合に全反射が発生する。現在のDBR反射層のすべての構造において、DBR反射層における異なる材料層の間の界面はすべて平坦面であるため、図1に示されるように、活性層から射出される光の入射角が臨界角より高い場合に全反射が発生し、そして1回目の全反射の光が高い屈折率の材料から低い屈折率の材料に入射することが部分的に発生すると、2回もしくは2以上の回数の全反射が発生して吸収され減衰するので、反射効率に影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記問題を解決すべく、本発明はDBR反射層における材料層ペアの材料層の間の界面に対して粗化を行うことにより、フィルム層の間の2回もしくは2以上の回数の全反射を減らし、1回目の全反射の光の射出効率を高める。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現すべく、本発明は、互いに反対する第1の表面と第2の表面と該第1の表面と第2の表面とを繋ぐ側面とを有し、且つ、順番に積層される第1の導電タイプの半導体層と発光層と第2の導電タイプの半導体層とを有する半導体エピタキシャル積層体と、前記半導体エピタキシャル積層体の第2の表面に配置され、且つ、a種類の異なる屈折率の材料層により交互に積層されてなったMグループの材料層ペアを有し、且つ、2≦a≦6であるDBR反射層と、を少なくとも備え、前記DBR反射層のMグループの材料層ペアの中にNグループの材料層ペアが存在し、前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度は他の(M-N)グループの材料層ペアにおける材料層の間の界面の粗度より大であり、且つ、M>N≧1であることを特徴とする発光ダイオードを提供する。
【0007】
前記Mの値の範囲は2~50であることが好ましく、10~50であることが更に好ましい。
【0008】
前記a種類の材料層の材料は、SiO、SiON、SiN、Al、MgF、TiO、TiO、Ti、Ti、Ta、ZrOからなる群により選ばれたいずれか1つ、もしくはこれらから選ばれた材料の混合材料であることが好ましい。
【0009】
前記Nの値の範囲は1~45であることが好ましく、5~45であることが更に好ましい。
【0010】
前記Nグループの材料層ペアは連続した積層であることが好ましい。
【0011】
一部の実施例において、半導体エピタキシャル積層体の第2の表面から始まる連続するNグループの材料層ペアがあり、前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の粗度は、他の(M-N)グループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の粗度より大であることが好ましい。
【0012】
一部の実施例において、DBR反射層の中間エリアに連続するNグループの材料層ペアが存在し、前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度は他の(M-N)グループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度より大である。
【0013】
一部の実施例において、DBR反射層の末端のエリアに連続するNグループの材料層ペアが存在し、前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度は他の(M-N)グループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の粗度より大である。
【0014】
本発明の他の実施形態として、前記Nグループの材料層グループは不連続の積層であることもできる。
【0015】
一部の実施例において、前記発光ダイオードは更に前記DBR反射層と前記半導体エピタキシャル積層体との間に位置する基板を有する。
【0016】
前記基板は反対する第1の表面と第2の表面とを有し、DBR反射層は前記基板の第2の表面に積層され、前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度Ra1は前記基板の第2の表面の粗度Ra2の1.0~3倍であることが好ましく、この設計により、DBR反射層の材料層の間と、DBR反射層と基板との間の接着力を改善することができ、切削の裏面チッピング、推力で脱落する現象を改善し、製品の歩留まりを向上する。
【0017】
前記基板の第2の表面の粗度は1.0nm~3.0nmであることが好ましい。
【0018】
前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度は1.0~9nmであることが好ましい。
【0019】
前記DBR反射層は前記半導体エピタキシャル積層体の第2の表面に隣接する第1層を有し、第1層の光学的厚さはDBR反射層の他の層より厚いことが好ましい。
【0020】
本発明の他の実施形態として、a=2であり、前記DBR反射層は第1の材料層と第2の材料層とにより交互に積層されてなったものであり、第1の材料層は第1の屈折率n1を有し、第2の材料層は第2の屈折率n2を有し、n1<n2である。
【0021】
本発明の他の実施形態として、a=3であり、前記DBR反射層は第1の材料層と第2の材料層と第3の材料層とにより交互に積層されてなったものであり、第1の材料層は第1の屈折率n1を有し、第2の材料層は第2の屈折率n2を有し、第3の材料層は第3の屈折率n3を有し、n1<n2<n3である。
【0022】
本発明の他の実施形態として、前記発光ダイオードは半導体エピタキシャル積層体の第1の表面に位置する透明基板を更に有する。
【0023】
本発明は更に、第1の表面と該第1の表面に反対する第2の表面とを有する基板と、前記基板の第1の表面に順番に積層される第1の導電タイプの半導体層と発光層と第2の導電タイプの半導体層とを有する半導体エピタキシャル積層体と、前記基板の第2の表面に積層され、且つ、a種類の異なる屈折率の材料層により交互に積層されてなったMグループの材料層ペアを有し、且つ、2≦a≦6であるDBR反射層と、を少なくとも備え、前記DBR反射層のMグループの材料層ペアの中にNグループの材料層ペアが存在し、前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度Ra1は前記基板の第2の表面の粗度Ra2の1.0~3倍であり、且つ、M≧N≧1であることを特徴とする発光ダイオードをも提供する。
【0024】
前記基板の第2の表面の粗度Ra2は1~3nmであることが好ましい。
【0025】
前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度Ra1は1.0~9nmであることが好ましい。
【0026】
前記Nグループの材料層ペアにおけるa種類の材料層の間の界面の粗度Ra1は1.5~5.0nmであることが更に好ましい。
【0027】
前記Mの値の範囲は2~50であることが好ましい。
【0028】
前記Nの値の範囲は1~45であることが好ましい。
【0029】
本発明は、互いに反対する第1の表面と第2の表面と該第1の表面と第2の表面とを繋ぐ側面とを有し、且つ、順番に積層される第1の導電タイプの半導体層と発光層と第2の導電タイプの半導体層とを有する半導体エピタキシャル積層体と、前記半導体エピタキシャル積層体の第2の表面に積層され、且つ、a種類の異なる屈折率の材料層により交互に積層されてなったMグループの材料層ペアを有し、且つ、2≦a≦6であるDBR反射層と、を少なくとも備え、前記DBR反射層は半導体エピタキシャル積層体の第2の表面から離れる方向において、低い屈折率材料から高い屈折率材料への界面Anを有し、1≦n≦a-1であり、前記DBR反射層のMグループの材料層ペアの中のNグループの材料層ペアの界面Anの粗度RaAnは1.0~20nmであり、M≧N≧1、且つ、M>1であることを特徴とする発光ダイオードをも提供する。
【0030】
前記DBR反射層は半導体エピタキシャル積層体の第2の表面から離れる方向において、低い屈折率材料から高い屈折率材料への界面Bを更に有し、前記DBR反射層のNグループの材料層ペアの中の界面Anの粗度RaAnは界面Bの粗度Raより大であることが好ましい。
【0031】
前記Nグループの材料層ペアの界面Anの粗度RaAnは1.5~10nmであることが更に好ましい。
【0032】
前記Mの値の範囲は2~50であることが好ましい。
【0033】
前記Nの値の範囲は1~45であることが好ましい。
【0034】
本発明は、互いに反対する第1の表面と第2の表面と該第1の表面と第2の表面とを繋ぐ側面とを有し、且つ、順番に積層される第1の導電タイプの半導体層と発光層と第2の導電タイプの半導体層とを有する半導体エピタキシャル積層体と、前記半導体エピタキシャル積層体の第2の表面に積層され、且つ、a種類の異なる屈折率の材料層により交互に積層されてなったMグループの材料層ペアを有し、且つ、2≦a≦6であるDBR反射層と、を少なくとも備え、前記DBR反射層のMグループの材料層ペアの半導体エピタキシャル積層体の第2の表面から離れる方向において、a種類の材料層の間の界面の粗度が順次に小さくなっていくことを特徴とする発光ダイオードをも提供する。
【0035】
本発明は、実装基板と前記実装基板に実装される少なくとも1つの発光ダイオードを有し、この発光ダイオードにおける少なくとも1個もしくは全部が前記発光ダイオードであることを特徴とする発光ダイオードパッケージをも提供する。
【0036】
本発明は、実装基板と前記実装基板に実装される複数行及び複数列の発光ダイオードを有し、この発光ダイオードにおける少なくとも1個もしくは全部が前記発光ダイオードであることを特徴とする発光ダイオードモジュールをも提供する。
【0037】
本発明は、複数個の前記発光ダイオードモジュールにより組み合わせてなったことを特徴とする発光装置をも提供する。
【発明の効果】
【0038】
上記のように、本発明が設計する発光ダイオードは、以下の有利な効果を有する。
【0039】
(1)DBR反射層の中のa種類の材料層の間の界面に対して粗化を行うことにより、フィルム層の間の2回もしくは2以上の回数の全反射を減らし、1回目の全反射の光の射出効率を高める。
【0040】
(2)DBR反射層の中のa種類の材料層の間の界面に対して粗化を行うことにより、DBR反射層の材料層の間の接着力、または基板とDBR反射層との間の接着力を改善することができ、切削の裏面チッピング、推力で脱落する現象を改善し、製品の歩留まりを向上する。
【0041】
(3)DBR反射層の中のa種類の材料層の間の界面に対して粗化を行うことにより、発光ダイオードとチップ固定樹脂との接着性を高め、パッケージングの歩留まりを向上する。
【0042】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の説明において説明され、部分的には説明から明らかとなるか、又は本発明を実施することによって理解される。本発明の目的及び他の利点は、明細書、特許請求の範囲及び図面に具体的に指摘された構造によって実現及び達成することができる。
【0043】
以下の文章では例示的実施及び使用方法と共に本発明を説明するが、この技術分野の者は、本発明がこれらの実施例に限定されるものではないことを理解するはずである。一方、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図面は本発明のより一層の理解のために提供するものであり、また明細書の一部を構成するものであり、本発明の実施例と共に本発明の解釈に用いられ得るが、本発明を限定するものではない。また、図面における数値は概要を示すにすぎず、比率に応じて描かれたものではない。
図1】従来の発光ダイオード構造において、光に2回もしくは2以上の回数の全反射減衰が発生することを説明する図である。
図2】本発明の実施例1で言及する発光ダイオードの断面説明図である。
図3図3a、図3bはそれぞれ本発明の実施例1で言及するDBR反射層の粗化前及び粗化後のTEM図である。
図4図4a、図4bはそれぞれ本発明の実施例1で言及するDBR反射層の粗化前及び粗化後の光進行経路説明図である。
図5図5a、図5bはそれぞれ本発明の実施例1で言及するDBR反射層の粗化前及び粗化後の製品のスプリット後の説明図である。
図6】本発明の実施例2で言及する発光ダイオードの断面説明図である。
図7】本発明の実施例3で言及する発光ダイオードの断面説明図である。
図8】本発明の実施例4で言及する発光ダイオードの断面説明図である。
図9】本発明の実施例5で言及する発光ダイオードの断面説明図である。
図10図10aと図10bは本発明の実施例6で言及するDBR反射層の構造説明図である。
図11】本発明の実施例7で言及するDBR反射層の構造説明図である。
図12図12aは実施例8で言及する発光ダイオードの断面説明図であり、図12bは実施例8で言及するDBR反射層の構造説明図である。
図13】本発明の実施例9で言及するパッケージ構造の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下は特定の具体的実施形態に基づいて本発明の実施方法を説明するが、当該領域の技術者は当明細書に開示される内容から本発明の他の利点及び効果を容易に理解できる。本発明は更に異なる他の具体的実施形態により実施もしくは応用することが可能であり、この明細書に記載される細かい点についても異なる観点に基づいて応用でき、本発明の精神に反しない限り様々な修飾や改変を行うことが可能である。
【0046】
なお、この実施形態において提示される図面は本発明の基本的概念を説明するために用いられたものであり、図面に示される本発明に関する構成要素は実際に実施する際に用いる数量、形状、及びサイズを正確に表すものではなく、実際に実施する際においては、各要素の構成、数量、比例などについては需要によって変更することは可能であり、そしてその具体的構成についても更に複雑であり得る。
【0047】
以下は図面に及び実施例を参照しながら本発明の実施方法について詳しく説明し、これにより本発明はいかに技術的手段を応用して技術問題を解決し、技術効果を達成する過程が十分に理解されてこれにより実施することが可能となるであろう。
【0048】
実施例1
本実施例は以下の発光ダイオードを提供する。図2の断面説明図に示されるように、該発光ダイオードは、101:基板、102:第1の導電タイプの半導体層、103:発光層、104:第2の導電タイプの半導体層、105:透明導電層、106:第1の電極、107:第2の電極、108:DBR反射層を有する。
【0049】
基板101は半導体エピタキシャル積層体でエピタキシャル成長からなった成長基板であり、サファイア(Al2O3)もしくはスピネル(MgAl2O4)の絶縁性基板や、炭化ケイ素(SiC)、ZnS、ZnO、Si、GaAs、ダイヤモンド、及び窒化物半導体と格子整合するタンタル酸リチウム、ガリウム酸ニオブなどの酸化物基板を含む絶縁性基板もしくは導電性基板であることができる。基板101は第1の表面S101Aと第1の表面に反対する第2の表面S101Bとを有する。基板101は第1の表面に形成される少なくとも一部のエリアの複数の突起を有することができる。基板101の複数の突起は、規則的もしくは不規則的なパターンを形成できる。この本実施例において、前記基板101はパターン化されたサファイア基板が好ましい。
【0050】
基板101の厚さは40~300μmの間にあって、比較的に厚い場合では、基板101の厚さは80~300μmであり、比較的に薄い場合では、基板101の厚さは40μm以上、80μm以下、もしくは更に薄い場合は40μm 以上、60μm以下である。他の一部の実施例では、該発光ダイオードは該基板を有さず、例えば基板101は物理的方法もしくは化学エッチングにより除去されて1つのフィルム状チップに形成されることも出来る。
【0051】
半導体エピタキシャル積層体はMOCVDもしくは他の成長方法により得られた半導体エピタキシャル積層体であり、該半導体エピタキシャル積層体は通常の紫外、青、緑、黄色、赤、赤外、などの放射を提供可能な半導体材料であり、具体的には200~950nmの材料で、例えば良く見られる窒化物、具体的には窒化ガリウム基半導体エピタキシャル積層体であり、窒化ガリウム基半導体エピタキシャル積層体はアルミニウム、インジウムなどの元素がドープされたものが良く見られ、主に200~550nmの波長域の放射線を提供し、もしくは、良く見られるアルミニウムインジウムガリウム基もしくはアルミニウムインジウムヒ素基半導体エピタキシャル積層体で主に550~950nmの波長域の放射線を提供する。半導体エピタキシャル積層体は主に第1の導電タイプの半導体層102と、第2の導電タイプの半導体層104と、第1の導電タイプの半導体層102と第2の導電タイプの半導体層104との間にある発光層103を有する。
【0052】
第1の導電タイプの半導体層102は、III-V族もしくはII-VI族の化合物半導体により構成されることができ、且つ、第1のドープ剤をドープできる。第1の導電タイプの半導体層102は化学式がInx1AlY1Ga1-X1-Y1N(0≦X1≦1、0≦Y1≦1、0≦X1+Y1≦1)の半導体により構成されることができ、例えばGaN、AlGaN、InGaN、InAlGaNなど、もしくはAlGaAs、GaP、GaAs、GaAsP、そしてAlGaInPから選ばれた材料を使用できる。また、第1のドープ剤はnタイプのドープ剤であることができ、例えばSi、Ge、Sn、Se、そしてTeが挙げられる。第1のドープ剤がnタイプのドープ剤である場合、第1のドープ剤がドープされた第1の導電タイプの半導体層はnタイプの半導体層となる。この実施例において、第1の導電タイプの半導体層はnタイプのドープ剤がドープされたnタイプの半導体であることが好ましい。
【0053】
発光層103は第1の導電タイプの半導体層102と第2の導電タイプの半導体層104との間に配置される。発光層103は電子と正孔の対を提供し光の放射を提供するエリアであり、異なる発光波長によって異なる材料を選択可能で、発光層103は単一量子井戸もしくは多量子井戸の周期性構造であることができる。発光層103はトラップ層と空乏層を有し、空乏層はトラップ層よりも大きなバンドギャップを有する。発光層103における半導体材料の構成比例を調整することにより、異なる波長の光が放射されることを期待する。
【0054】
第2の導電タイプの半導体層104は発光層103上に形成され、III-V族もしくはII-VI族の化合物半導体により構成されることができる。第2の導電タイプの半導体層104は化学式がInx2AlY2Ga1-X2-Y2N(0≦X2≦1、0≦Y2≦1、0≦X2+Y2≦1)の半導体により構成されることができ、もしくはAlGaAs、GaP、GaAs、GaAsP、そしてAlGaInPの材料を使用できる。第2の導電タイプの半導体層104は第2のドープ剤をドープできる。第2のドープ剤がMg、Zn、Ca、Sr、Baといったpタイプのドープ剤である場合、第2のドープ剤がドープされた第2の導電タイプの半導体層はpタイプの半導体層となる。この実施例において、第2の導電タイプの半導体層はpタイプのドープ剤がドープされたpタイプの半導体であることが好ましい。
【0055】
後述の第1の電極106及び第2の電極107を前記第1の導電タイプの半導体層102及び第2の導電タイプの半導体層104の同一の面側に配置するため、第1の導電タイプの半導体層102の一部が露出する形で第2の導電タイプの半導体層104層を第1の導電タイプの半導体層102の上に積層し、もしくは第2の導電タイプの半導体層104の一部が露出する形で第1の導電タイプの半導体層102を第2の導電タイプの半導体層の上に積層することができる。
【0056】
この実施例において、第1の導電タイプの半導体層102(nタイプの半導体層)の上に発光層103を経由して第2の導電タイプの半導体層104(pタイプの半導体層)を積層することにより半導体エピタキシャル積層体を構成することが好ましく、pタイプの半導体層及び発光層から見れば、これらの層の下のnタイプの半導体層の一部を露出させるために一部のエリアにおいて除去を実行することが好ましい。半導体エピタキシャル積層体は少なくとも発光層103及び第2の導電タイプの半導体層104を局部的に貫通して第1の導電タイプの半導体層102の少なくとも1つの孔を露出させることができる。孔によって第1の導電タイプの半導体層102が局部的に露出し、孔の側面は発光層103及び第2の導電タイプの半導体層104により包囲される。もしくは、半導体エピタキシャル積層体は1つもしくは複数の台面を有することができ、前記台面は発光層103及び第2の導電タイプの半導体層104を含む。台面は第1の導電タイプの半導体層102の一部の表面に位置する。この実施例において、半導体エピタキシャル積層体は1個の台面を有することが好ましく、台面は発光層103及び第2の導電タイプの半導体層104を含む。
【0057】
第2の電極107と第2の導電タイプの半導体層104との間に電気的接続を形成するため、1つの透明導電層105が第2の導電タイプの半導体層104の上に位置する。透明導電層105は第2の導電タイプの半導体層104とオーミック接触を形成することができる。前記透明導電層は酸化インジウムスズ、酸化亜鉛、酸化亜鉛インジウムスズ、酸化インジウム亜鉛、酸化亜鉛スズ、酸化ガリウムインジウムスズ、酸化インジウムガリウム、酸化亜鉛ガリウム、アルミニウムドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ酸化スズなどの光透過性導電酸化物、もしくは、Ni/Auなどの光透過性金属層の少なくとも1つを有することができる。前記導電性酸化物は更に各種のドープ剤を有することができる。特に、光透過性導電酸化物を有する透明導電層105は第2の導電タイプの半導体層104とのオーミック接触の効率が高い。例えばITOまたはZnOなどの導電性酸化物の第2の導電タイプの半導体層104との接触電気抵抗は金属性電極の第2の導電タイプの半導体層104との接触電気抵抗より低いので、導電性酸化物を有する透明導電層105を応用することにより発光ダイオードチップの順電圧(Vf)を抑えて発光効率を上げることができる。更に、金属性電極と比べ、導電性酸化物が窒化物タイプの半導体層から剥離する確率が低いので、導電性酸化物を有する透明導電層105の発光ダイオードはより高い信頼性を持つ。この実施例において、透明導電層105は酸化インジウムスズで第2の導電タイプの半導体層104とオーミック接触を形成することが好ましい。
【0058】
第1の電極106及び第2の電極107は第1の導電タイプの半導体層102及び第2の導電タイプの半導体層104にそれぞれ電流を供給するため、第1の導電タイプの半導体層102及び第2の導電タイプの半導体層104に直接的もしくは間接的に電気的に接続する。第1の導電タイプの半導体層102がnタイプの場合、第1の電極106はn側電極となり、第1の導電タイプの半導体層102がpタイプの場合、第1の電極106はp側電極となる。第2の電極は第1の電極と逆になる。この実施例において、第1の電極106はn電極、第2の電極107はp側電極であることが好ましい。
【0059】
第2の電極107と透明導電層105との接触を実行することで第2の電極107と第2の導電タイプの半導体層104との間の電気的接続を実現する。
【0060】
第1の電極106及び第2の電極107はパッド電極であり、該パッド電極は主に半導体発光デバイスに電流を供給するため、外部電極もしくは外部端子などに電気的接続を実行する。第1の電極106及び第2の電極107はそれぞれ半導体エピタキシャル積層体に対する一対の辺の側に寄せるように設置する。パッド電極の平面形状は半導体発光デバイスのサイズ、電極の配置などに応じて調整することができ、例えば、円形、正多角形などの形状が挙げられる。リード線接続の難易度を考慮すると、円形もしくは円形に近い形状が好ましい。また、第1の電極パッド電極と第2の電極パッド電極のサイズは、半導体発光デバイスのサイズ、電極の配置などに応じて調整することができ、例えば、直径が30μm~150μm程度のほぼ円形にすることができる。第1の電極パッド電極と第2の電極パッド電極の形状や寸法は同じであってもいいし同じでなくてもいい。
【0061】
図1に示される発光ダイオードでは、発光層103から発される光の一部が基板の第2の表面S101Bに射出され、光射出面の光取り出し効率を上げるため、通常は基板101の第2の表面S101BにDBR反射層を積層し、発光層から発されて基板側に射出される光を光射出面に反射することで、射出する光を増やして発光効率を向上させる。前記DBR反射層108はa種類の屈折率が異なる材料層により交互に積層されてなったMグループの材料層ペアを有し、2≦a≦6であり、前記a種類の材料層の材料はSiO、SiON、SiN、Al、MgF、TiO、TiO、Ti、Ti、Ta、ZrOからなる群により選ばれたいずれか1つ、もしくはこれらから選ばれた材料の混合材料である。Mの値の範囲は2~50で10以上が好ましく、そして30~40が更に好ましい。この実施例において、aは2が好ましく、DBR反射層は第1の材料層108aと第2の材料層108bとが交互に積層されてなり、そこで第1の材料層108aは第1の屈折率n1を有し、第2の材料層は第2の屈折率n2を有し、n1<n2である。
【0062】
DBR反射層108は更に基板の第2の表面S101Bに最も接近する第1層L1を有することができ、第1層は第1の材料層であることが好ましく、第1層は他の材料層よりもっと高い光学的厚さを有し、且つ、第1層の屈折率は比較的に低くて反射を強化できる。
【0063】
光学フィルムにおいて、DBR反射層構造は複数ペアの2種類もしくは2種類以上の半導体もしくは誘電材料を交互に積層成長させることにより、所定の1つの光学波長域における高い反射率を得る。スネルの法則(Snell‘s Law)により、光が高い屈折率の材料から低い屈折率の材料に入射する際、入射角が臨界角より高い場合に全反射が発生する。現在のDBR反射層のすべての構造において、DBR反射層における異なる材料層ペアの間に界面はすべて平坦面であるため、活性層から射出される光の入射角が臨界角より高い場合に全反射が発生し、そして部分的に発生する1回目の全反射の光は高い屈折率の材料から低い屈折率の材料に入射すると、2回もしくは2以上の回数の全反射が発生するので、吸収され減衰されるので、反射の効率が影響される。
【0064】
フィルム層の間の2回もしくは2以上の回数の全反射を減少させるため、この実施例はDBR反射層の中の一部の材料層ペアの第1、第2の材料層の間の界面に対して粗化を実行することで、図2に示されるように、S1は材料層の間の粗化界面であり、この実施例では基板の第2の表面からDBR反射層のNグループの材料層ペアの中の第1、第2の材料層の間の界面の粗度を他の(M-N)グループの材料層ペアの中の第1、第2の材料層の間の界面の粗度より大きくする。前記Nの値の範囲は1~45であり、前記Nの値は5以上が更に好ましい。前記Nグループの材料層ペアの中の第1、第2の材料層の間の界面の粗度Ra1は、基板101の第2の表面粗度Ra2の1.0~3倍であることが好ましい。前記基板101の第2の表面粗度Ra2は1~3nmであることが好ましい。前記Nグループの材料層ペアの第1、第2の材料層の間の界面の粗度Ra1は1.0nm~9nmであることが好ましい。
【0065】
この実施例において、イオンソース蒸着の方法によりDBR反射層108を積層し、イオンソースの電圧及び気体パラメータ、蒸着率、パワー、バキューム度、温度、キャリヤ回転速度などを調整する方法で、DBR反射層の中のNグループの材料層ペアの中の第1、第2の材料層の間の界面に対して粗化を実行し、他の(M-N)グループの材料層ペアのイオンソースパラメータまたは他の加工パラメータは変わらないままにすることで、その第1、第2の材料層の間の界面を粗化されないままにし、図3に示されるように、3aは元の加工パラメータを維持したままのDBR反射層のTEM図であり、3bは加工パラメータを調整して材料層の間の界面に粗化が出現したDBR反射層のTEMであり、図3bにおけるDBR反射層の第1、第2の材料層の間の界面の粗度は図3aにおけるDBR反射層の第1、第2の材料層の間の界面の粗度より大であることが好ましい。図4に示されるように、4aはDBR反射層が粗化されていない光路説明図であり、4bはDBR反射層が粗化された後の光路説明図であり、θ1とθ2は光の入射角で、θ1が臨界角と同等以上の場合、全反射が発生し、DBR反射層の異なる材料層の間の界面に対して粗化を実行した後には、入射角θ2が小さくなり、従って2回の全反射の発生が減少し、光の通過が増加し、従って基板の第2の表面からDBR反射層のNグループの材料層ペアの中の第1、第2の材料層の間の界面に対して粗化を実行することで、フィルム層の間の2回もしくは2以上の回数の全反射を減少し、光の射出を増加するので、発光効率を向上させる。
【0066】
更に、図1に示される発光ダイオードにおいて、DBR反射層の誘電層の間、DBR反射層と基板との間の接着力が弱いので、チップを切削する途中に裏面チッピングの現象が発生しやすい。図5に示されるように、5aはDBR反射層の第1、第2の材料層の間の界面が粗化されない時において製品の背面を切り開いた説明図であり、5bはDBR反射層の第1、第2の材料層の間の界面が粗化された後に製品を切り開いた説明図であり、粗化によりDBRの材料層の表面積が増えることで、膜層の間の接触面積も増大するので、層と層との間の接着力は粗化されない時よりも向上され、これにより切削裏面チッピングの現象を改善し、製品の歩留まりを向上させる。
【0067】
実施例2
実施例1との相違点は、実施例1においては基板の第2の表面S101BからDBR反射層のNグループの材料層ペアの中の第1、第2の材料層の間の界面の粗度を他の(M-N)グループの材料層ペアの中の第1、第2の材料層の間の界面の屈折率より大にするのに対し、この実施例では実施例1の変化例として、図6に示されるように、DBR反射層構造の中間エリアに連続するNグループの材料層ペアが存在し、前記Nグループの材料層ペアの中の第1、第2の材料層の間の界面の粗度を他の(M-N)グループの材料層ペアの中の第1、第2の材料層の間の界面の屈折率より大にする。
【0068】
DBR反射層構造の中間エリアのNグループの材料層ペアの第1、第2の材料層の間の界面に対して粗化を実行することで、材料層の間の接触面積を増やすことができ、推力で脱落する現象を改善し、製品の歩留まりを向上する。
【0069】
実施例3
実施例1との相違点は、実施例1においては基板の第2の表面S101BからDBR反射層のNグループの材料層ペアの中の第1、第2の材料層の間の界面の粗度を他の(M-N)グループの材料層ペアの中の第1、第2の材料層の間の界面の屈折率より大にするのに対し、この実施例では実施例1の変化例として、図7に示されるように、DBR反射層構造の末端のエリアに連続するNグループの材料層ペアが存在し、前記Nグループの材料層ペアの中の第1、第2の材料層の間の界面の粗度を他の(M-N)グループの材料層ペアの中の第1、第2の材料層の間の界面の屈折率より大にする。
【0070】
DBR反射層構造の末端のエリアのNグループの材料層ペアの第1、第2の材料層の間の界面に対して粗化を実行することで、材料層の間の接触面積を増やすことができ、切削裏面チッピングの現象を改善し、製品の歩留まりを向上させる。更に、この実施例における発光ダイオードに対してパッケージングを実行する際、DBR反射層の末端のエリアの界面に対して粗化を実行することにより、発光ダイオードとチップ固定樹脂との接着性を高め、パッケージングの歩留まりを向上する。
【0071】
実施例4
実施例1との相違点は、実施例1においてはNグループの材料層ペアが連続積層であるのに対し、この実施例では実施例1の変化例として、図8に示されるように、DBR反射層の中のNグループの材料層ペアは不連続積層であり、前記N1グループの材料層ペアとN2グループの材料層ペアは隣接せず、イオンソースの電圧及び気体パラメータ、蒸着率、パワー、バキューム度、温度、キャリヤ回転速度などを調整する方法で、DBR反射層の中のN1グループとN2グループの材料層ペアの中の第1、第2の材料層の間の界面に対して粗化を実行し、他の(M-N1-N2)グループの材料層ペアのイオンソースパラメータまたは他の加工パラメータは変わらないままにすることで、その界面を粗化されないままにする。DBR反射層構造の一部の材料層ペアに対して粗化を実行することで、フィルム層の間の2回もしくは2以上の回数の全反射を減少し、光の射出を増加するので、発光効率を向上させると共に、材料層の間の接触面積を増やすことができ、切削裏面チッピングの現象を改善し、製品の歩留まりを向上させる。
【0072】
実施例5
実施例1との相違点は、この実施例はもう1つの発光ダイオード構造を提供し、発光層から発する光は主に基板側から射出され、即ちフリップチップであり、図9に示されるように、DBR反射層208は半導体エピタキシャル積層体の第2の表面に位置し、前記透明基板201は半導体エピタキシャル積層体の第1の表面に位置し、前記発光ダイオードの主な光射出面は透明基板201の側に位置するので、DBR反射層208は主に発光層から放射される光を透明基板201の一側に反射して射出する。第1の金属電極206と第2の金属電極207は半導体エピタキシャル積層体の一側に局部的に配置され、且つ、DBR反射層208と半導体エピタキシャル積層体との間に位置し、それぞれ第1の導電タイプの半導体層202と第2の導電タイプの半導体層204に電気的に接続する。DBR反射層208の半導体エピタキシャル積層体から離れた側に第1のパッド209と第2のパッド210とを有し、DBR反射層208は開口を有し、第1のパッド209と第2のパッド210はそれぞれ開口を経由して第1の金属電極206と第2の金属電極207に接続する。
【0073】
DBR反射層208は半導体エピタキシャル積層体の一側に最も接近する第1層L1を有し、第1層は第1の材料層であることが好ましく、比較的に更に低い屈折率を有する。光がDBR反射層の中の2回もしくは2以上の回数の全反射によって減衰する現象を減少させるべく、DBR反射層のNグループの材料層ペアの第1、第2の材料層の間の界面に対して粗化を実行することができ、前記Nグループの材料層ペアの第1、第2の材料層界面の粗度を他の(M-N)グループの材料層ペアの第1、第2の材料層の間の界面の粗度より大にする。前記Nグループの材料層ペアは連続に積層することができ、前記Nグループの材料層ペアは半導体エピタキシャル積層体の第2の表面の初期位置に近接させることができ、DBR反射層の中間エリアもしくはDBR反射層の末端の位置に位置することもできる。この実施例のほかの実施形態として、前記Nグループの誘電層ペアは不連続積層であることができる。
【0074】
この実施例の一つの実施形態として、DBR反射層208と半導体エピタキシャル積層体との間に更に透明導電層205を有する。DBR反射層208は透明導電層205の半導体エピタキシャル積層体から離れた表面に積層される。前記DBR反射層のNグループの材料層ペアの第1、第2の材料層の間の界面の粗度は透明導電層205の半導体エピタキシャル積層体から離れた表面の粗度の1.02~3倍である。前記透明導電層205の半導体エピタキシャル積層体から離れた表面の粗度は0.2~5nmであることが好ましい。前記DBR反射層のNグループの誘電層ペア材料層の間の界面の粗度は0.2~15nmであることが好ましい。
【0075】
DBR反射層208、透明基板201、発光ダイオードの他の設計に関しては基本的に実施例1と同じなので詳しい説明を省略する。
【0076】
本発明はDBR反射層の第1、第2の材料層の間の界面を粗化することにより、フリップチップ発光ダイオードの光射出効率を効果的に向上させることができる。
【0077】
実施例6
この実施例と実施例1の相違点は、図10に示されるように、DBR反射層108は半導体エピタキシャル積層体の第2の表面から離れる方向において、低い屈折率材料から高い屈折率材料への界面Aを有し、前記DBR反射層のMグループの材料層ペアの中のNグループの材料層ペアの界面Aの粗度RaAは1.0~20nmであり、M≧N≧1、且つ、M>1であり、そして前記Nグループの材料層ペアの界面Aの粗度RaAは1.5~10nmが好ましい。
【0078】
この実施例の1つの実施形態として、前記DBR反射層は更に半導体エピタキシャル積層体の第2の表面から離れる方向において、高い屈折率材料から低い屈折率材料への界面Bを有し、前記界面Aの粗度RaAは界面Bの粗度RaBより大きいことが好ましい。図10の10aと10bに示されるように、界面Aの粗度RaAは界面Bの粗度より大であり、半導体エピタキシャル積層体から発される光がDBR反射層に到達すると、界面Bは比較的に平坦なので光の1回目の全反射を強めることができ、そして界面Aは比較的に粗いので、光の2回もしくは2以上の回数の全反射を弱めて光が吸収され減衰することを抑え、これによって発光ダイオードの発光の明るさを高める。
【0079】
実施例7
実施例1との相違点は、この実施例における前記DBR反射層の第1、第2の材料層の間の界面の粗度は第2の基板の第2の表面から少しずつ小さくなっていって、図11に示されるように、図示のDBR反射層の基板に隣接する側の粗度が大きく、これにより基板とDBR反射層の材料の間の接触する表面積を増やすことができ、基板とDBR反射層との間の接着性を改善して切削裏面チッピングの現象を改善し、製品の歩留まりを向上させる。
【0080】
実施例8
実施例1との相違点は、この実施例における前記DBR反射層は屈折率が異なる3種類の材料により交互に積層されたMグループの材料層ペアであり、第1の材料層108aは第1の屈折率n1を有し、第2の材料層は第2の屈折率n2を有し、第3の材料層は第3の屈折率n3を有し、n1<n2<n3であり、Nグループの材料層ペアにおける第1、第2、第3の材料層の間の界面の粗度は、他の(M-N)グループの材料層ペアにおける第1、第2、第3の材料層の間の界面の粗度より大である。図12に示されるように、DBR反射層におけるMグループの材料層ペアの中の各グループの材料層ペアは第1の材料層108aと、第2の材料層108bと、第3の材料層108cとを有し、Nグループの材料層ペアは連続する積層であり、基板の第2の表面S101Aから始めてDBR反射層のNグループの材料層ペアの中の第1、第2、第3の材料層の間の界面の粗度は、他の(M-N)グループの材料層ペアの中の第1、第2、第3の材料層の間の界面の粗度より大である。Nグループの材料層ペアの中の第1、第2、第3の材料層の間の界面に対して粗化を実行することにより、フィルム層の間の2回もしくは2以上の回数の全反射により引き起こされる光の吸収による減衰を減少し、光の射出を増加して発光効率を高め、これと同時にDBR反射層の基板の間、そしてDBR反射層材料層の間の接触面積を増加し、基板とDBR反射層との間の接着性を改善して切削裏面チッピングの現象を改善し、製品の歩留まりを向上させる。
【0081】
本発明の実施例の他の1つ変化として、Nグループの材料層ペアはDBR反射層の中間エリアもしくは末端のエリアに位置することができる。そして、Nグループの材料層ペアは不連続積層であることもできる。
【0082】
実施例9
本発明が提供する発光ダイオードはディスプレイまたはバックライトのパッケージまたは応用に広範囲に転用することができ、特に、バックライト製品の高輝度の要求を満足できる。
【0083】
具体的には、この実施例は図13に示されるパッケージ体を提供し、前記パッケージ体はパッケージフレーム300と、発光ダイオード304と、電極リード線305と、密封樹脂306とを有する。パッケージフレーム300はプラスチック樹脂により形成され、もしくはセラミック支持枠により構成され、第1のパッケージ電極301と第2のパッケージ電極302とを有する。この実施例において、前記発光ダイオード304は図2に示される正常実装発光ダイオードで、ダイボンド303により第2のパッケージ電極302に固定され、且つ、発光ダイオード304の第1の電極及び第2の電極はそれぞれ電極リード線305により第1のパッケージ電極301と第2のパッケージ電極302に接続される。発光ダイオードパッケージは青色もしくは混合色(例えば白色)の光を発射する。例えば、発光ダイオード304は青色波長域の光を発射し、例えばピーク波長が450nmの光で、パッケージは発光ダイオードに対して保護を行う透明な密封樹脂306を有し、同じく相応な青色光波長域の光放射を提供する。もしくは、パッケージ体は白色の光を発射するために、発光ダイオードに対して発射する光に対して波長変換を実行するための蛍光変換材料を有することもできる。蛍光変換材料は密封樹脂306の中に設置することができる。密封樹脂306はディスペンサー方式もしくはフィルム貼り合わせ方式により半導体発光デバイスチップの少なくとも一側に被覆することができるが、これに限定されることはない。蛍光変換材料は赤色と緑色との組み合わせの蛍光変換材料であることができ、もしくは黄色燐光体もしくは赤黄色緑色の組み合わせする蛍光変換材料であることができる。本発明は発光ダイオード304が粗化された界面のDBR反射層を有するので、発光層の中で生成する光の射出効率を高め、これにより発光ダイオードパッケージ全体の発光効率を上げることができる。
【0084】
以上の実施形態は本発明の原理及びその効果を例示的に説明したものであり、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
【符号の説明】
【0085】
101、201 基板
102、202 第1の導電タイプの半導体層
103、203 発光層
104、204 第2の導電タイプの半導体層
105、205 透明導電層
106 第1の電極
107 第2の電極
108、208 DBR反射層
108a、208a 第1の材料層
108b、208b 第2の材料層
108c 第3の材料層
S1 材料層の間の粗化された面
A 低屈折率材料から高屈折率材料への界面
B 高屈折率材料から低屈折率材料への界面
206 第1の金属電極
207 第2の金属電極
209 第1のパッド
210 第2のパッド
300 パッケージフレーム
301 第1のパッケージ電極
302 第2のパッケージ電極
303 ダイボンド
304 発光ダイオード
305 電極リード線
306 パッケージ樹脂
n1、n2、n3 第1の屈折率、第2の屈折率、第3の屈折率
θ1、θ2 光の入射角
S101A、S101B 基板の第1の表面及び第2の表面
L1 DBR反射層の第1層
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図11
図12a
図12b
図13
【国際調査報告】