(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】電動ウォーターポンプ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/276 20220101AFI20221007BHJP
F04D 29/22 20060101ALI20221007BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20221007BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
H02K1/276
F04D29/22 C
F04D29/00 B
H02K7/14 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544189
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(85)【翻訳文提出日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 CN2020102011
(87)【国際公開番号】W WO2021013001
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】201921185205.6
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515266108
【氏名又は名称】浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Diankou Industry Zone, Zhuji, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】王 俊杰
(72)【発明者】
【氏名】周 小偉
【テーマコード(参考)】
3H130
5H607
5H622
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB07
3H130AB22
3H130AB46
3H130AC13
3H130BA22G
3H130BA87G
3H130CB07
3H130DD01X
3H130EA02C
3H130EA02D
3H130EA02G
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB09
5H607BB14
5H607CC01
5H607CC05
5H607DD02
5H607DD14
5H607FF06
5H607JJ01
5H622CA02
5H622CA07
5H622CA10
5H622CA13
5H622PP20
(57)【要約】
電動ウォーターポンプ(100)は、中心貫通孔(301)を有するコア本体(31)と、コア本体(31)内に設けられる複数の磁気シート(32)と、コア本体(31)を被覆するための第1のクラッド層(33)と、第2のクラッド層(34)とを含む回転子アセンブリ(30)を含み、第1のクラッド層(33)の天面及び/又は底面には、少なくとも1つの凸状リブ(302)が設けられており、第2のクラッド層(34)には、凸状リブ(302)と係合するための溝(342)が設けられており、第1のクラッド層(33)は、第2のクラッド層(34)と連動して第2のクラッド層をコア本体(31)上の中心貫通孔(301)の軸線に対して回転させることができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプハウジングと、前記ポンプハウジング内に設けられる固定子アセンブリと、前記固定子アセンブリと係合する回転子アセンブリとを含む電動ウォーターポンプにおいて、前記回転子アセンブリは、コア本体、第1のクラッド層、第2のクラッド層、及び複数の磁気シートを含み、前記コア本体には中心貫通孔が設けられ、複数の前記磁気シートは前記コア本体内に設けられており、前記第1のクラッド層及び前記第2のクラッド層は、前記コア本体を被覆するために用いられ、前記第1のクラッド層の天面及び底面の少なくとも一方には、少なくとも1つの凸状リブが設けられており、前記第2のクラッド層には、前記凸状リブと係合するための溝が設けられており、前記凸状リブと前記溝との係合により、前記第1のクラッド層は、前記第2のクラッド層と連動して、前記第2のクラッド層を前記コア本体上の中心貫通孔の軸線に対して回転させることができる、電動ウォーターポンプ。
【請求項2】
前記第1のクラッド層の天面及び底面の少なくとも一方に、複数の前記凸状リブが設けられている、請求項1に記載の電動ウォーターポンプ。
【請求項3】
前記第1のクラッド層の天面及び底面の少なくとも一方における前記複数の前記凸状リブの数はそれぞれ4つであり、前記4つの前記凸状リブは前記コア本体の前記中心貫通孔の中心軸に関して対称に設置される、請求項2に記載の電動ウォーターポンプ。
【請求項4】
前記第1のクラッド層の外周面に、複数の位置決め溝が設けられ、複数の前記位置決め溝は、前記複数の前記磁気シートのそれぞれに一対一に対応する、請求項1に記載の電動ウォーターポンプ。
【請求項5】
前記位置決め溝のそれぞれは、対応する前記磁気シートに垂直な面に設けられる、請求項4に記載の電動ウォーターポンプ。
【請求項6】
前記第2のクラッド層の底面に、複数の位置決め孔が設けられ、複数の前記位置決め孔は、前記複数の前記磁気シートのそれぞれに一対一に対応する、請求項4に記載の電動ウォーターポンプ。
【請求項7】
前記位置決め孔は、対応する前記磁気シートの中心線上に設置される、請求項6に記載の電動ウォーターポンプ。
【請求項8】
前記位置決め溝は、前記第1のクラッド層の一端から他端まで延びる、請求項4に記載の電動ウォーターポンプ。
【請求項9】
前記第1のクラッド層は、射出成形によって前記コア本体上に設けられ、かつ前記第2のクラッド層は、射出成形によって前記第1のクラッド層上に設けられる、請求項1に記載の電動ウォーターポンプ。
【請求項10】
前記凸状リブは、前記第1のクラッド層と一体成形されて設けられ、請求項1に記載の電動ウォーターポンプ。
【請求項11】
前記第2のクラッド層は、前記コア本体から離れた側の端面にインペラカバーが設けられており、前記インペラカバーと前記第2のクラッド層とは溶接により固定される、請求項1に記載の電動ウォーターポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001] 本出願は、2019年7月25日に出願された、出願番号が201921185205.6であり、発明の名称が「電動ウォーターポンプ」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が引用によって本出願に組み込まれる。
【0002】
[002] 本出願は、流量制御に関する技術分野に関するものであって、特に電動ウォーターポンプに関する。
【背景技術】
【0003】
[003] 電動ウォーターポンプは、電気自動車、ハイブリッド自動車等の新エネルギー自動車に広く適用されており、エンジン、ターボチャージャ、バッテリ、モータ、コントローラ等の冷却に主に用いられる、自動車熱管理システムの重要な部品である。その中で、回転子アセンブリは、電動ウォーターポンプにおける重要な構成部品として、電動ウォーターポンプのモータ効率に影響を与え、かつ回転子アセンブリの構造及び材料は電動ウォーターポンプの性能とコストに直接影響を与える。
【0004】
[004] 従来の電動ウォーターポンプの回転子アセンブリは、
図1に示すように、磁気リング1、グラファイトベアリング2、インペラカバー3、及び磁気リング1とグラファイトベアリング2を接続するための射出成形コネクタ4を含み、ここで、磁気リング1の磁気性能は、回転子アセンブリに影響を与える重要な要素であり、従来の磁気リング1はネオジム磁石の射出成形により直接形成されるため、ネオジム磁石材料を多く使用すると、回転子アセンブリのコストが高くなってしまい、グラファイトベアリング2は、耐摩耗性が高い特性を有し、回転子アセンブリが高速回転の状態でも摩耗しにくいように保護することができ、同時に、グラファイトベアリング2の耐摩耗性が高い特性のため、加工が難しく、コストが高く、これによりこの回転子アセンブリが適用される電動ウォーターポンプの全体的なコストが高くなってしまう。また、従来の回転子アセンブリにおける磁気リング1と射出成形コネクタ4との間の接続部位は離脱しやすいため、磁気リング1を自転させて、この射出成形コネクタ4上に設けられたインペラカバーを連動して回動させることができず、この回転子アセンブリの全体的な作動を無効にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[005] 本出願で提供される様々な実施例によれば、電動ウォーターポンプが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[006] ポンプハウジングと、ポンプハウジング内に設けられる固定子アセンブリと、固定子アセンブリと係合する回転子アセンブリとを含む電動ウォーターポンプにおいて、回転子アセンブリは、コア本体、第1のクラッド層、第2のクラッド層、及び複数の磁気シートを含み、コア本体には中心貫通孔が設けられており、複数の磁気シートはコア本体内に設けられており、第1のクラッド層及び第2のクラッド層は、コア本体を被覆するために用いられ、第1のクラッド層の天面及び底面の少なくとも一方には、少なくとも1つの凸状リブが設けられており、第2のクラッド層には、凸状リブと係合するための溝が設けられており、凸状リブと溝との係合により、第1のクラッド層は、第2のクラッド層と連動して、第2のクラッド層をコア本体上の中心貫通孔の軸線に対して回転させることができる。
【0007】
[007] 上記の電動ウォーターポンプは、従来の磁気リングの代わりに、磁気シートをコア本体の中に挿設し、第1のクラッド層で被覆して、磁気シートの使用量を減らし、コストを低減する作用を有し、同時に、グラファイトベアリングの代わりに、第2のクラッド層を用いることで、更に回転子アセンブリのコストを低減し、ひいてはこの回転子アセンブリが適用される電動ウォーターポンプの全体的な生産コストを低減する。同時に、第1のクラッド層上の凸状リブの設置は、第2のクラッド層と第1のクラッド層との間の接続強度を向上させ、これにより、回転子アセンブリが電動ウォーターポンプに組み立てられて高速回転するとき、第1のクラッド層と第2のクラッド層との間の離脱を回避して、更にこの回転子アセンブリの作動時の信頼性を高める。
【0008】
[008] 一実施形態では、第1のクラッド層の天面及び底面の少なくとも一方に、複数の凸状リブが設けられている。これにより、第1のクラッド層と第2のクラッド層との間の接続強度を更に補強することができる。
【0009】
[009] 一実施形態では、第1のクラッド層の天面及び底面の少なくとも一方における凸状リブの数はそれぞれ4つであり、4つの凸状リブはコア本体の中心貫通孔の中心線に関して対称に設置される。これにより、第1のクラッド層が第2のクラッド層を均一かつ安定的に連動して回転させることができるようにする。
【0010】
[010] 一実施形態では、第1のクラッド層の外周面に、複数の位置決め溝が設けられており、複数の位置決め溝は、それぞれ複数の磁気シートに一対一に対応する。これにより、磁気シートに対して位置決めすることができ、磁気シートへの着磁が容易になる。
【0011】
[011] 一実施形態では、位置決め溝のそれぞれは、対応する磁気シートに垂直な面に設けられる。これにより、位置決め溝を目印として、磁気シートの中心線に正確に位置決めすることができる。
【0012】
[012] 一実施形態では、第2のクラッド層の底面に、複数の位置決め孔が設けられており、複数の位置決め孔は、それぞれ複数の磁気シートに一対一に対応する。これにより、磁気シートに対して着磁を行う必要があるとき、位置決め孔に着磁装置を直接合わせると、磁気シートに合わせて着磁を行うことが容易になる。
【0013】
[013] 一実施形態では、位置決め孔の中心線と磁気シートの中心線とを共線にする。これにより、磁気シートに対して正確に位置決めすることができ、着磁装置の磁気シートからのずれにより着磁へ影響を与えることを防止することができる。
【0014】
[014] 一実施形態では、位置決め溝は、第1のクラッド層の一端から他端まで延びる。これにより、磁気シートに対して全面的に位置決めすることができ、かつ位置決め孔を設置する際に、位置決め溝を参照とすることができる。
【0015】
[015] 一実施形態では、第1のクラッド層は、射出成形によってコア本体上に設けられ、第2のクラッド層は、射出成形によって第1のクラッド層上に設けられる。これにより、溶接プロセスを省くことができる。
【0016】
[016] 一実施形態では、凸状リブは、第1のクラッド層と一体成形されて設けられる。これにより、溶接プロセスを省くことができる。
【0017】
[017] 一実施形態では、第2のクラッド層は、コア本体から離れた側の端面にインペラカバーが設けられており、インペラカバーと第2のクラッド層とは溶接により固定される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
[018] 本明細書で開示されるそれらの発明の実施例及び/又は例示をより分かりやすく説明するために、1つ又は複数の図面を参照することができる。図面を説明するための追加の詳細や例示は、開示された発明、現在説明されている実施例及び/又は例示、及び現在理解されているこれらの発明の最適な態様のいずれかの範囲を制限するものではない。
【0019】
【
図1】[019] 従来技術で提供される回転子アセンブリの断面図である。
【
図2】[020] 本出願の一実施形態で提供される電動ウォーターポンプの断面図である。
【
図3】[021]
図2の電動ウォーターポンプにおける回転子アセンブリの構造概念図である。
【
図4】[022]
図2の電動ウォーターポンプにおける回転子アセンブリの構造概念図である。
【
図5】[023]
図3の第1のクラッド層、コア本体、及び磁気シートの組立概念図である。
【0020】
[025] 図面の符号の意味は以下の通りである。
[026] 100 電動ウォーターポンプ;10 ポンプハウジング;11 中心位置決め軸;20 固定子アセンブリ;30 回転子アセンブリ;31 コア本体;32 磁気シート;33 第1のクラッド層;331 位置決め溝;34 第2のクラッド層;341 位置決め孔;342 溝;35 インペラカバー;301 中心貫通孔;302 凸状リブ
【発明を実施するための形態】
【0021】
[027] 本出願の理解を容易にするために、以下では、本出願についてより全面的に説明する。ただし、本出願は多くの様々な形式で実現することができ、本文で説明する実施例に限定されるものではない。むしろ、本出願の開示内容に対する理解を徹底的かつ完全にするために、これらの実施例を提供する。
【0022】
[028] なお、要素が他の要素に「固定される」とされる場合、他の要素の上に直接置かれていてもよく、又は間に置かれている要素が存在してもよい。要素が他の要素に「接続される」とみなされる場合、他の要素に直接接続されていてもよく、又は間に接続されている要素が同時に存在してもよい。
【0023】
[029] 特に定義しない限り、本文で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本出願に属する技術分野の当業者が一般的に理解している意味と同じである。本出願の明細書で使用される本文の用語は単に具体的な実施例を説明するためのものであり、本出願を制限するものではない。
【0024】
[030]
図2から
図6を参照すると、本出願の一実施形態で提供される電動ウォーターポンプ100は、熱管理システムの部品として、純電気自動車やハイブリッド自動車に適用され、熱管理システムにおける作動媒体の循環に動力を提供する。勿論、別の実施例では、電子ポンプ100は、他の管路システムにおける作動媒体の搬送が必要な場合にも適用することができる。
【0025】
[031] 電動ウォーターポンプ100は、ポンプハウジング10、固定子アセンブリ20、及び回転子アセンブリ30を含み、固定子アセンブリ20はポンプハウジング10内に設けられており、回転子アセンブリ30と固定子アセンブリ20とは係合され、ここで、ポンプハウジング10の中には、中心位置決め軸11が更に設置されており、回転子アセンブリ30は中心位置決め軸11に嵌接して固定子アセンブリ20に係合され、回転子アセンブリ30が中心位置決め軸11に対して回転運動可能になり、これにより、この電動ウォーターポンプ100の作動時の流量制御の目的を達成する。
【0026】
[032] 本実施形態では、回転子アセンブリ30は、コア本体31、第1のクラッド層33、第2のクラッド層34、及び複数の磁気シート32を含み、コア本体31には中心貫通孔301が開設されており、複数の磁気シート32はコア本体31の中に挿設され、第1のクラッド層33及び第2のクラッド層34はコア本体31を被覆するために用いられる。ここで、第2のクラッド層34は、コア本体31から離れた一側の端面にインペラカバー35が設けられており、インペラカバー35と第2のクラッド層34とは溶接により固定される。
【0027】
[033] 好ましくは、インペラカバー35と第2のクラッド層34とは、超音波溶接方式により固定接続され、超音波溶接は、溶接強度が高く、シール性がよいことが理解できる。
【0028】
[034] ここで、第1のクラッド層33は、具体的に射出成形の方式でコア本体31上に設置され、第1のクラッド層33はコア本体31を被覆するために用いられ、第2のクラッド層34も射出成形の方式で第1のクラッド層33上に設置され、このように設置することで、溶接プロセスを省き、プロセスフローを簡略化することができる。
【0029】
[035] この回転子アセンブリ30の磁気リングは、コア本体31、複数の磁気シート32、及び第1のクラッド層33で共同して形成される一方、従来の磁気リング1は、ネオジム磁石の射出成形により直接形成されるため、コストが高く、同時に、第2のクラッド層34を第1のクラッド層33上に設置することで、本実施形態の回転子アセンブリ30に、従来の回転子アセンブリ上のグラファイトベアリング2の代わりに、第2のクラッド層34を用いるようにすることができ、これでグラファイトベアリング2を省く作用を果たし、よってコストを低減することが理解できる。なお、第2のクラッド層34は、炭素繊維強化PPS等の耐摩耗材を用いて作製することができ、グラファイトベアリング2に比べて、加工が容易で、コストが低く、第2のクラッド層34は、この回転子アセンブリ30を電動ウォーターポンプに組み立てて使用するとき、回転子アセンブリ30が中心位置決め軸11に対して高速回転可能になるが、第2のクラッド層34は、中心位置決め軸11との接触摩擦によって破損することはない。第1のクラッド層33は、ガラス繊維強化PPS、ナイロン等の耐高温材料を用いて作製することができる。
【0030】
[036] 本実施形態では、第1のクラッド層33の天面及び/又は底面には、少なくとも1つの凸状リブ302が設けられており、第2のクラッド層34には、凸状リブ302と係合するための溝342が設けられており、凸状リブ302と溝342との係合により、第1のクラッド層33は、第2のクラッド層34を連動してコア本体31上の中心貫通孔301の軸線に対して回転運動させることができる。凸状リブ302と溝342との係合により、第1のクラッド層33は、第2のクラッド層34と連動して第2のクラッド層34を回転させることができ、これにより第1のクラッド層33と第2のクラッド層34との間の接続強度を向上させ、回転子アセンブリ30が電動ウォーターポンプ100に適用されて高速回転する際に、第1のクラッド層33と第2のクラッド層34との間の離脱を避け、即ち、磁気リングの自転を防止する作用を果たし、更にこの回転子アセンブリ30の作動信頼性を高める作用を有する。
【0031】
[037] 第1のクラッド層33の天面及び/又は底面には、それぞれ複数の凸状リブ302が設けられており、即ち、第1のクラッド層33は、天面に複数の凸状リブ302を設置して、底面には凸状リブ302を設置しない、あるいは、底面に凸状リブ302を設置して、天面には凸状リブ302を設置しない、あるいは、天面及び底面に同時に凸状リブ302を設置して、第1のクラッド層33と第2のクラッド層34との間の接続強度を更に向上することができる。ここで、凸状リブ302は、第1のクラッド層33と一体成形される。
【0032】
[038] 具体的に、本実施形態では、第1のクラッド層33の天面及び/又は底面における凸状リブ302の数はそれぞれ4つであり、4つの凸状リブ302はコア本体31の中心貫通孔301の中心線に関して対称である。このように設置すると、第1のクラッド層33が、第2のクラッド層34を均一かつ安定的に連動して回転させることができる。なお、第1のクラッド層33の天面の凸状リブ302の数と、底面の凸状リブ302の数は、図示したものに限定されず、当業者は、使用の必要に応じて、第1のクラッド層33の天面の凸状リブ302の数と、底面の凸状リブ302の数を別々に設定することができ、かつ凸状リブ302の数は、1つ、2つ、3つ、5つ、更にそれ以上設置することができ、また、凸状リブ302も、コア本体31の中心貫通孔301に対して中心対称に設置する方式に限定されず、使用の必要に応じて、任意に設置することができる。
【0033】
[039] 本実施形態では、第1のクラッド層33の外周面に、複数の位置決め溝331が設けられており、複数の位置決め溝331は、複数の磁気シート32に一対一に対応することで、本実施形態の回転子アセンブリ30において、第1のクラッド層33上に第2のクラッド層34を射出成形するとき、第1のクラッド層33上の位置決め溝331によりコア本体31内の磁気シート32の位置を決めすることができ、後続する磁気シート32への着磁を容易にする。
【0034】
[040] 更に、位置決め溝331は、第1のクラッド層33の一端から他端まで延び、即ち、位置決め溝331は、第1のクラッド層33の天面から底面まで貫通することで、位置決め溝331を、磁気シート32により全面的に位置決めさせることができ、下記の位置決め孔341を設置する際の参照となる。
【0035】
[041] 具体的に、位置決め溝331のそれぞれは、対応する磁気シート32の垂直面に設置されており、これを目印として、磁気シート32の中心線への正確な位置決めが容易になり、後続する着磁が容易になる。
【0036】
[042] 本実施形態の回転子アセンブリ30は、具体的に4つの磁気シート32を含み、4つの磁気シート32は、コア本体31の中に周方向に均一に挿設され、これに応じて、第1のクラッド層33には、4つの位置決め溝331が開設されている。勿論、磁気シート32の数は、図示したものに限定されず、当業者は、使用の必要に応じて、磁気シート32の数を、2つ、3つ、5つ、更にはそれ以上に設定することができ、かつ複数の磁気シート32は、コア本体31上に均一に挿設される。
【0037】
[043] 本実施形態では、第2のクラッド層34の底面に、複数の位置決め孔341が開設されており、複数の位置決め孔341は、複数の磁気シート32に一対一に対応される。この回転子アセンブリ30の磁気シート32に対して、着磁装置で着磁を行う際に、第2のクラッド層34上の位置決め孔341で取付及び位置決めをすることができ、これにより、この回転子アセンブリ30の着磁装置への取付及び位置決めを容易にし、更に、磁気シート32への着磁が容易になる作用を果たす。ここで、位置決め孔341は、使用の必要に応じて、対応する磁気シート32の中心線上に設置することができ、即ち、位置決め孔341の中心線と磁気シート32の中心線とを共線にすることで、着磁装置のずれを防止することができる。
【0038】
[044] 具体的には、本実施形態では、第2のクラッド層34上の位置決め孔341は、第1のクラッド層33上の位置決め溝331を参照として具体的に設置され、即ち、位置決め溝331の底面上への投影の中心と底面中心との接続線と、位置決め孔341の中心と底面中心との接続線とを共線にすることで、位置決め孔341に対して位置決めするように設置することができる。勿論、使用の必要に応じて、第2のクラッド層34上の位置決め孔341を具体的に設置してもよいが、ここでの説明は省略する。
【0039】
[045] 要約すると、本出願で提供される回転子アセンブリ30及びその電動ウォーターポンプ100は、従来の磁気リング1の代わりに、磁気シート32をコア本体31の中に挿設し、第1のクラッド層33でコア本体31を被覆して、磁気シート32の使用量を減らし、コストを低減し、同時に、従来のグラファイトベアリング2の代わりに、第2のクラッド層34を用いることで、更に回転子アセンブリ30のコストを低減し、ひいてはこの回転子アセンブリ30が適用される電動ウォーターポンプ100の全体的な生産コストを低減する。同時に、第1のクラッド層33上の凸状リブ302の設置は、第2のクラッド層34と第1のクラッド層33との間の接続強度を向上させ、これにより、回転子アセンブリ30が電動ウォーターポンプ100に組み立てられて高速回転するとき、第1のクラッド層33と第2のクラッド層34との間の離脱を回避して、更にこの回転子アセンブリ30の作動時の信頼性を高める。
【0040】
[046] 以上に述べた実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることができ、説明を簡潔にするために、上述の実施例における各技術的特徴の可能な組み合わせについて全て説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、全て本明細書に記載された範囲と考えるべきである。
【0041】
[047] 以上に述べた実施例は、単に本出願のいくつかの実施形態を示すものであり、その説明は比較的に具体的かつ詳細であるが、これにより本出願の特許請求の範囲を制限するものと理解されてはならない。なお、当業者にとっては、本出願の思想を逸脱しない限り、いくつかの変形や改良が可能であり、これらは全て本出願の保護範囲に属する。従って、本出願の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に準ずるものとする。
【国際調査報告】