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特表2022-543946バスバーと電圧センシング部材との接続構造として非溶接方式構造を適用したバッテリーモジュール
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】バスバーと電圧センシング部材との接続構造として非溶接方式構造を適用したバッテリーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/569 20210101AFI20221007BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20221007BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20221007BHJP
   H01M 50/503 20210101ALI20221007BHJP
   H01M 50/505 20210101ALI20221007BHJP
   H01M 50/522 20210101ALI20221007BHJP
   H01M 50/526 20210101ALI20221007BHJP
   H01M 50/249 20210101ALN20221007BHJP
【FI】
H01M50/569
H01M50/284
H01M50/211
H01M50/503
H01M50/505
H01M50/522
H01M50/526
H01M50/249
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545890
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 KR2020016730
(87)【国際公開番号】W WO2021256631
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】10-2020-0073794
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン、サン-オク
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AS07
5H040AT04
5H040AT06
5H040AY05
5H040DD08
5H040DD15
5H040DD26
5H040LL01
5H040LL10
5H043AA19
5H043BA11
5H043CA05
5H043CA08
5H043FA04
5H043FA32
5H043FA38
5H043JA03F
5H043JA22F
5H043KA08F
5H043KA09F
(57)【要約】
本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールは、直列で、または、直列及び並列で接続された複数のバッテリーセルと、対応するバッテリーセルの電極リードに接続され、それぞれの表面から凹設されたキー溝を備えた複数のバスバーと、それぞれのバスバーに接続される複数のセンシングパーツを備えた電圧センシング部材と、を含み、センシングパーツは、キー溝に対応する形状で設けられたターミナル部を備え、ターミナル部とともにキー溝に嵌められるボンディング部をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列で、または、直列及び並列で接続された複数のバッテリーセルと、
対応する前記複数のバッテリーセルの電極リードに接続され、それぞれの表面から凹設されたキー溝を備える複数のバスバーと、
それぞれの前記複数のバスバーに接続される複数のセンシングパーツを備える電圧センシング部材と、を含み、
前記複数のセンシングパーツは、前記キー溝に対応する形状で設けられたターミナル部を備え、
前記ターミナル部とともに前記キー溝に嵌められるボンディング部をさらに含む、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記ターミナル部は、中空のリング状で設けられ、
前記キー溝は、前記ターミナル部のリングの形状に対応するように凹設された、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記キー溝は、前記ターミナル部の厚さよりも深く形成され、
前記ボンディング部は、前記ターミナル部を覆って前記キー溝に嵌められる接着剤または接着テープである、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記ターミナル部のリングの形状は、円形状、楕円形状、および多角形状のうちいずれか一つである、請求項2または3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記キー溝は、前記ターミナル部の中央に嵌め込まれる中央突起を含み、
前記ターミナル部は、前記中央突起に係止された状態で前記キー溝内に嵌められる、請求項2から4のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記中央突起は、前記ターミナル部の中空部と同じ大きさで形成された突起上段部と、前記突起上段部よりも小さく形成された突起下段部と、を含む、請求項5に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記ターミナル部は、前記突起下段部と同一であるかまたは小さい厚さを有し、
前記ターミナル部の一部分は、前記突起上段部の下面と前記突起下段部の側面とに係止された状態で前記キー溝内に嵌められる、請求項6に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記複数のバスバーは、銅とアルミニウムとを接合したクラッドメタルバスバーである、請求項1から7のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
前記電圧センシング部材は、フレキシブルフラットケーブルまたはフレキシブルプリント回路基板から形成された、請求項1から8のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のバッテリーモジュールを含むバッテリーパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュールに関し、より詳しくは、バッテリーモジュール内において、バッテリーセルの電圧センシングのために必要なバスバーと電圧センシング部材との接続構造を非溶接方式に改善したバッテリーモジュールに関する。
【0002】
本出願は、2020年6月17日付け出願の韓国特許出願第10-2020-0073794号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
電気エネルギーを化学エネルギーの形態に変換し、繰り返して充放電可能な半永久的な電池のことを、一回使用した後は再使用が不可能な一次電池と区分して二次電池と称する。
【0004】
二次電池としては、リチウム二次電池、ニッケルカドミウム(Ni-Cd)電池、鉛蓄電池、ニッケル水素(Ni-MH)電池、空気亜鉛電池、アルカリマンガン電池などが挙げられる。これらのうち、鉛蓄電池とリチウム二次電池は最も商用化している二次電池であると言える。
【0005】
特に、リチウム二次電池は、エネルギー貯蔵密度が高くて軽量化と小型化が可能であり、優れた安全性、低い放電率、長い寿命のような長所を有していることから、近年電気車両のバッテリーとして活発に活用されている。参考までに、リチウム二次電池は、製造形態によって一般に円筒型、角形、パウチ型に分類され、使用用途も電気車両のバッテリーの他に電力貯蔵システム(Energy Storage System:ESS)のバッテリー、その他の電気装置などにわたっている。
【0006】
現在、一個のリチウム二次電池(セル)では電気車両を駆動するための十分な出力が得られない。電気車両のエネルギー源として二次電池を適用するためには、複数のリチウムイオン電池セルを直列及び/または並列で接続したバッテリーモジュールを構成しなければならず、通常、直列でバッテリーモジュールを接続し、それを機能的に維持するバッテリー管理システム(Battery Management System:BMS)、冷却システム、バッテリー遮断ユニット(Battery Disconnect Unit:BDU)、ワイヤーハーネスなどを含むバッテリーパックを構成する。
【0007】
一方、図1に示されたように、パウチ型二次電池セルから構成されたバッテリーモジュールは、バスバー3がバッテリーモジュールの前面及び/または後面に位置する。このようなバスバーに電極リード(図示せず)を予め決められたパターンで溶接(W)すれば、二次電池セルが直列及び並列で接続される。そして、バッテリーモジュール内の二次電池セルの電圧情報はそれぞれのバスバーに接続された電圧センシング部材5を通じてBMSに伝達され、BMSはそれに基づいてそれぞれの二次電池セルの状態をモニタリングし制御する。このとき、電圧センシング部材5としては、ワイヤーハーネス、フレキシブルフラットケーブル(Flexible Flat Cable:FFC)またはフレキシブルプリント回路基板(Flexible Printed Circuit Board:FPCB)などが用いられている。
【0008】
従来のバッテリーモジュールでは、バスバー3と電圧センシング部材5とがレーザー溶接(W)で接続される。しかし、レーザー溶接(W)はコストが高く、作業者の熟練度によって品質がばらついて品質を管理し難い。そこで、非溶接方式でバスバーと電圧センシング部材とを接続し、一定水準以上の接続強度を確保可能な方案が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、バスバーと電圧センシング部材とを非溶接方式で電気的に接続して容易且つ簡単に構成したバッテリーモジュールを提供することを目的とする。
【0010】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施形態によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によるバッテリーモジュールは、直列で、または、直列及び並列で接続された複数のバッテリーセルと、対応するバッテリーセルの電極リードに接続され、それぞれの表面から凹設されたキー溝を備えた複数のバスバーと、それぞれのバスバーに接続される複数のセンシングパーツを備えた電圧センシング部材と、を含み、センシングパーツは、キー溝に対応する形状で設けられたターミナル部を備え、ターミナル部とともにキー溝に嵌められるボンディング部をさらに含む。
【0012】
ターミナル部は中空のリング状で設けられ、キー溝はターミナル部のリングの形状に対応するように凹設され得る。
【0013】
キー溝はターミナル部の厚さよりも深く形成され、ボンディング部はターミナル部を覆ってキー溝に嵌められる接着剤または接着テープであり得る。
【0014】
ターミナル部のリングの形状は、円形状、楕円形状、多角形状のうちいずれか一つであり得る。
【0015】
キー溝はターミナル部の中央に嵌め込まれる中央突起を含み、ターミナル部は中央突起に係止された状態でキー溝内に嵌められるように構成され得る。
【0016】
中央突起は、ターミナル部の中空部と同じ大きさで形成された突起上段部と、突起上段部よりも小さく形成された突起下段部と、を含み得る。
【0017】
ターミナル部は、突起下段部と同一であるかまたは小さい厚さを有し、ターミナル部の一部分は、突起上段部の下面と突起下段部の側面とに係止された状態でキー溝内に嵌められるように構成され得る。
【0018】
バスバーは、銅(Cu)とアルミニウム(Al)とを接合したクラッドメタルバスバーであり得る。
【0019】
電圧センシング部材は、フレキシブルフラットケーブル(FFC)またはフレキシブルプリント回路基板(FPCB)から構成され得る。
【0020】
本発明の他の態様によれば、上述したバッテリーモジュールを含むバッテリーパックが提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、バスバーと電圧センシング部材との電気的接続を非溶接方式で具現することができる。
【0022】
すなわち、本発明は、それぞれのバスバーのキー溝にそれぞれのセンシングパーツのターミナル部を係止して接着固定する非溶接方式でそれぞれのバスバーとそれぞれのセンシングパーツとを接続することで、バスバーと電圧センシング部材とを電気的に接続することができる。
【0023】
このような本発明によれば、従来の溶接方式に比べて、未熟練者も容易且つ簡単にバスバーと電圧センシング部材とを接続することができ、品質管理が容易になる。
【0024】
本発明の効果は上記の効果に限定されず、他の効果は本明細書及び添付された図面から当業者に明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】従来技術によるバッテリーモジュールの一部分を示した部分斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの主要構成を示した図である。
図3図2においてモジュールケースを取り付けたバッテリーモジュールの前面を示した図である。
図4図3のA領域の拡大図である。
図5】本発明の一実施形態によるバスバー及びセンシングパーツを示した図である。
図6】本発明の一実施形態によって組み立てられたバスバーとターミナル部との概略的な断面図である。
図7図5のターミナル部の変形例を示した図である。
図8】本発明の他の実施形態によるバスバー及びセンシングパーツを示した図である。
図9】本発明の他の実施形態によって組み立てられたバスバーとターミナル部との概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先たち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0027】
本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであるため、図面における構成要素の形状及び大きさなどは明確な説明のために誇張、省略または概略して図示され得る。したがって、各構成要素の大きさや比率は実際の大きさや比率を専ら反映するものではない。
【0028】
図2は本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの主要構成を示した図であり、図3図2においてモジュールケースを取り付けたバッテリーモジュールの前面を示した図である。
【0029】
これら図面を参照すると、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール100は、セル積層体10、バスバーフレーム組立体20、複数のバスバー30、電圧センシング部材40を含む。
【0030】
セル積層体10は、バッテリーセルからなる集合体であり得る。例えば、バッテリーセルは、それぞれ上下方向に立てられた形態で左右方向に積層されてセル積層体10を形成し得る。バッテリーセルとしてはパウチ型バッテリーセルを適用し得る。本実施形態のバッテリーセルは、正極リードと負極リードとが反対側に位置した両方向リードタイプのパウチ型バッテリーセルである。
【0031】
パウチ型バッテリーセルは、電極組立体、電解液及びこれらをパッケージングするためのパウチ外装材から構成され得る。
【0032】
電極組立体のそれぞれの電極板には電極タブが備えられ、一つ以上の電極タブが電極リード11と接続され得る。電極リード11は、パウチ外装材の内部から外部へと露出することで、バッテリーセルの電極端子として機能することができる。
【0033】
パウチ外装材は、電極組立体及び電解液などの内部構成要素を保護し、電極組立体及び電解液による電気化学的性質に対する補完及び放熱性などを向上させるため、金属薄膜、例えばアルミニウム薄膜が含まれた形態で構成され得る。アルミニウム薄膜は、電気絶縁性を確保するため、絶縁物質から形成された絶縁層と内部接着層との間に介在され得る。
【0034】
バスバーフレーム組立体20は、セル積層体10を支持し、複数のバスバー30を取り付ける場所を形成する構成要素である。バスバーフレーム組立体20は、上面フレーム21、前面フレーム22、後面フレーム23を含み、セル積層体10を囲んでモジュールケース70に収納され得る。
【0035】
上面フレーム21は、セル積層体10の上部でセル積層体10全体を覆うことができる面積を有する板状体で提供され得る。上面フレーム21とセル積層体10との間には、電圧センシング部材40の一部分が配置され得る。電圧センシング部材40としては、フレキシブルフラットケーブル(FFC)またはフレキシブルプリント回路基板(FPCB)が使用され得る。
【0036】
前面フレーム22及び後面フレーム23は、それぞれ、セル積層体10の前面部及び後面部を覆うことができる面積を有する板状体であり、バッテリーセルの電極リード11が前後方向に通過可能な複数のスリット、スリットの周辺でバスバー30を支持するリーブ構造、及びバスバー30同士の短絡を防止する隔板22aを含み得る。
【0037】
前面フレーム22及び後面フレーム23は、上面フレーム21の両端部にヒンジ結合され得る。この場合、バッテリーセルの電極リード11をスリットに嵌め込むとき、前面フレーム22または後面フレーム23を外側から内側に回転できるため、電極リード11を対応するスリットにより容易に嵌め込むことができる。
【0038】
一方、本発明による複数のバスバー30は、前面フレーム22及び後面フレーム23に固定結合され得る。バッテリーセル同士は、電極リード11がバスバー30に予め決められたパターンで溶接されることで直列及び並列で接続され得る。例えば、二つ以上のバッテリーセルの正極リード11aを重ねてスリットを通過させて前面フレーム22の前方に引き抜いた後、バスバー30の一側に溶接する。その後、隣接した他の二つ以上のバッテリーセルの負極リード11bを重ねて他のスリットを通過させて前面フレーム22の前方に引き抜いた後、正極リード11aが取り付けられているバスバー30の他側に溶接する。後面フレーム23の後方に位置したバスバー30も同じ方式で電極リード11を溶接する。このようなパターンでバッテリーセルの電極リード11をバスバー30に溶接すれば、すべてのバッテリーセルが直列及び並列で接続される。
【0039】
バッテリーモジュール100は、バッテリーセルの状態をモニタリングしてバッテリーセルの充放電を制御するためのバッテリー管理システム(Battery Management System:BMS、図示せず)、及び直列で接続されたバッテリーセルのノード電圧をセンシングしてそれぞれのバッテリーセルの電圧情報をBMSに伝送するための電圧センシング部材40を含む。電圧センシング部材40とBMSとの間はコネクター及びケーブルハーネスなどで接続され得る。
【0040】
本実施形態において、電圧センシング部材40はフレキシブルプリント回路基板(FPCB)から構成され得る。フレキシブルプリント回路基板は、微細パターンを形成し易く、屈曲性に優れて3次元配線が可能であるため、空間制約が大きいバッテリーモジュール100内にも配置が容易である。
【0041】
電圧センシング部材40は、セル積層体10の上部でセル積層体10の長さ方向に沿って延びる本体パーツ(図示せず)、及び本体パーツ(図示せず)の両端部に位置し、幾つかに分岐して延びた複数のセンシングパーツ50を含む。
【0042】
バッテリーセルは、それぞれのバスバー30を介して直列で接続されているため、それぞれのバスバー30で測定された電圧は直列で接続されたバッテリーセルのノード電圧に該当する。したがって、複数のセンシングパーツ50は複数のバスバー30に一対一で対応するように接続され、それぞれ対応するバスバー30の電圧をセンシングする。
【0043】
一方、従来技術のバッテリーモジュール100では、それぞれのバスバー30とそれぞれのセンシングパーツ50との接続にレーザー溶接を用いる。しかし、一度溶接した部品は再作業や交換が現実的に不可能であり、作業者の熟練度によって溶接品質もばらついてしまうため、品質管理が困難である。そこで、本発明では、以下のように、それぞれのバスバー30とそれぞれのセンシングパーツ50とを非溶接方式で接続する。
【0044】
図4図3のA領域の拡大図であり、図5は本発明の一実施形態によるバスバー30及びセンシングパーツ50を示した図であり、図6は本発明の一実施形態によって組み立てられたバスバー30とセンシングパーツ50との概略的な断面図である。
【0045】
これら図面を参照すると、本発明による複数のバスバー30はそれぞれの表面から凹設されたキー溝31を備え、それぞれのセンシングパーツ50はキー溝31に対応する形状のターミナル部51を備える。また、ターミナル部51を固定するため、キー溝31はボンディング部60で充填され得る。
【0046】
キー溝31は、バスバー30において電極リード11が溶接される位置と重ならない個所に形成され得る。本実施形態では、図4及び図5に示されたように、バスバー30とセンシングパーツ50とが最短距離で接続されるように、キー溝31をバスバー30の上端領域に形成した。本実施形態と異なって、センシングパーツ50がセル積層体10の下部から上側に配置されるように設計される場合は、バスバー30のキー溝31もバスバー30の下端領域に形成してセンシングパーツ50とバスバー30との接続距離を最小化することが望ましい。
【0047】
それぞれのセンシングパーツ50は、電圧センシング部材40の本体パーツから幾つかに分岐して延びた部分であり、本体パーツと同様にフレキシブルプリント回路基板から構成される。したがって、それぞれのセンシングパーツ50は、導体パターン(図示せず)及びそれを囲む外部フィルム層を含む。ターミナル部51は、金属片から製作され、センシングパーツ50から外部フィルム層の一部を除去した端部に圧着され得る。
【0048】
本実施形態によるターミナル部51は、中空のリング状で設けられ、バスバー30のキー溝31はリング状のターミナル部51の形状に対応するように凹設される。また、キー溝31は、ターミナル部51の中央に嵌め込まれる中央突起33を含む。
【0049】
このような構成によって、センシングパーツ50のターミナル部51は図5のY軸方向にキー溝31に載置され、中央突起33に係止された状態になってX軸方向及びZ軸方向への移動が制限される。
【0050】
また、図6を参照すると、キー溝31に嵌められたターミナル部51の上部にはボンディング部60が載置される。センシングパーツ50のターミナル部51は、ボンディング部60とともにキー溝31に嵌められて固定され得る。
【0051】
キー溝31は、ターミナル部51の上部をボンディング部60で覆うことができるように、ターミナル部51の厚さよりも深く形成される。ボンディング部60としては熱硬化性接着剤が適用される。
【0052】
キー溝31内にターミナル部51が載置され、ターミナル部51上に接着剤が充填される。したがって、ターミナル部51は、接着剤によってどの方向にも動かないようにバスバー30のキー溝31に固定される。
【0053】
少量の接着剤をキー溝31にまず塗布し、該接着剤上にターミナル部51を載置した後、ターミナル部51の上部に接着剤を再び塗布してもよい。このとき、接着剤の塗布がキー溝31内に限られることはない。すなわち、接着剤は、キー溝31周辺のバスバー30の外面まで広く塗布されてもよい。
【0054】
熱硬化性接着剤の代案として接着テープを使用してもよい。接着テープとしては、耐熱性及び絶縁性に優れたテフロン(登録商標)テープなどを採用し得る。
【0055】
本実施形態ではターミナル部51及びキー溝31の形状を略長方形状にしたが、本発明の権利範囲がこのような形状に制限されることはない。すなわち、図7に示されたように、ターミナル部51が円形のリング状51A、楕円形のリング状51B、六角形のリング状51Cで形成され、該ターミナル部51の形状に対応するようにキー溝31が凹設され得る。すなわち、キー溝31の中央突起33にターミナル部51が係止可能な形状であれば如何なる形状であってもよい。
【0056】
このような構成によって、従来のように過大な溶接機を使用しなくてもバスバー30とセンシングパーツ50とを接続することができる。また、本発明は、バスバー30に予め形成されたキー溝31にセンシングパーツ50のターミナル部51を嵌め、接着剤または接着テープでターミナル部51を固定してそれぞれのバスバー30とそれぞれのセンシングパーツ50とを接続することで、未熟練者であっても容易に作業することができる。
【0057】
一方、本実施形態によるバスバー30は、銅(Cu)とアルミニウム(Al)とを接合したクラッドメタルバスバー30であって、銅層30A及びアルミニウム層30Bを含む。銅層30Aとアルミニウム層30Bとの比率は、約2:8が望ましい。
【0058】
銅はアルミニウムよりも電気伝導率が高く温度上昇率が低いという長所を有するが、同一形状にしたとき、アルミニウムよりも2倍ほど重く、3倍ほど高価である。このような銅バスバーとアルミニウムバスバーとの性質を調和させたものがクラッドメタルバスバーであると言える。
【0059】
すなわち、クラッドメタルバスバー30は、銅材質のバスバーに比べて重量が遥かに軽く、アルミニウム材質のバスバーに比べて電気伝導率が高くて温度上昇率が低い。このようなクラッドメタルバスバー30を使用することで、バッテリーモジュール100の重量及びコストを低減させることができる。参考までに、クラッドメタルバスバー30は、熱間圧延方式で製作し得る。
【0060】
以下、図8及び図9を参照して本発明の他の実施形態を説明する。上述した実施形態と同じ部材番号は同じ部材を示し、同じ部材についての重なる説明は省略し、上述した実施形態との相違点を中心に説明する。
【0061】
本発明の他の実施形態によるバッテリーモジュール100は、上述した実施形態のバッテリーモジュール100と比べて、キー溝の中央突起33、及び該中央突起33とターミナル部51との係止構造が異なる。
【0062】
図8及び図9を参照すると、本実施形態の中央突起33は、ターミナル部51の中空部と同じ大きさで形成された突起上段部33a、及び突起上段部33aより小さく形成された突起下段部33bを含む。また、ターミナル部51は、突起下段部33bと同一であるかまたは小さい厚さを有する。
【0063】
このような本実施形態の構成によれば、ターミナル部51はY軸方向にキー溝31に載置され、中央突起33はターミナル部51の中空部に嵌め込まれる。この状態で、ターミナル部51はX軸方向にさらに引っ張られ、突起上段部33aの下面と突起下段部33bの側面とに係止され得る。この場合、キー溝31に載置されたターミナル部51が-Y軸方向に引き抜かれることがないため、ボンディング部60をキー溝31により容易に充填することができる。
【0064】
すなわち、上述した実施形態のキー溝31の構成によれば、ターミナル部51がキー溝31に嵌め込まれてX軸方向及びZ軸方向へと移動できなくなっているが、ボンディング部60を嵌める前まではY軸方向にキー溝31から引き抜かれるおそれがある。
【0065】
しかし、本実施形態では、ボンディング部60を嵌める前に、ターミナル部51がキー溝31内で±X軸方向に移動できるように構成されると同時に、突起上段部33aによって-Y軸方向には引き抜かれないように構成されることで、上述した実施形態に比べてキー溝31とターミナル部51との係止結合が一層安定的である。また、図9に示されたように、ボンディング部60を形成する接着剤がターミナル部51の上面及び側面にまで接触してキー溝31内に充填されるようになる。したがって、ボンディング部60によってターミナル部51を一層堅固に接着固定することができる。
【0066】
一方、本発明によるバッテリーパックは、本発明によるバッテリーモジュール100を一つ以上含むことができる。また、本発明によるバッテリーパックは、このようなバッテリーモジュール100の他に、このようなバッテリーモジュール100を収納するためのパックケース、各バッテリーモジュール100の充放電を制御するための各種の装置、例えばマスターBMS、電流センサ、ヒューズなどをさらに含むことができる。
【0067】
本発明によるバッテリーモジュール100は、電気自動車やハイブリッド自動車のような自動車に適用できる。すなわち、本発明による自動車は、本発明によるバッテリーモジュール100を含むことができる。
【0068】
一方、本発明によるバッテリーパックは、本発明によるバッテリーモジュールを一つ以上含むことができる。また、本発明によるバッテリーパックは、このようなバッテリーモジュールの他に、このようなバッテリーモジュールを収納するためのパックケース、各バッテリーモジュールの充放電を制御するための各種の装置、例えばマスターBMS、電流センサ、ヒューズなどをさらに含むことができる。
【0069】
本発明によるバッテリーモジュールは、電気自動車やハイブリッド自動車のような自動車に適用できる。すなわち、本発明による自動車は、本発明によるバッテリーモジュールを含むことができる。
【0070】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0071】
一方、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使われたが、このような用語は相対的な位置を示したものであって説明の便宜上用いられたものに過ぎず、対象になる物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは当業者にとって自明である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図8
図9
【国際調査報告】