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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】円形ステープル留めデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/115 20060101AFI20221007BHJP
【FI】
A61B17/115
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569883
(86)(22)【出願日】2019-05-31
(85)【翻訳文提出日】2021-11-24
(86)【国際出願番号】 CN2019089545
(87)【国際公開番号】W WO2020237631
(87)【国際公開日】2020-12-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】タン, ユアンドン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, シーリャン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC07
4C160CC09
4C160CC22
4C160CC32
4C160KL03
4C160MM32
4C160NN01
(57)【要約】
円形ステープル留めデバイスは、発射トリガー(24)の単一の作動中に、組織を切断する前にステープル形成が起こることを可能にするように適合された、手動操作トリガー(24)を含む。ステープル留めデバイス(10)は、ステープル形成中の組織の伸長および移動を最小限に抑えて、ステープル形成を改善する。ステープル留めデバイス(10)はまた、ステープル留めデバイス(10)のステープル形成および組織切断機能を分離することによって、発射ストロークを通して発射トリガー(24)を移動させるのに必要な力の量を低減し、ステープル留めデバイス(10)の作動中の臨床医の手へのストレスを低減する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形ステープル留めデバイスであって、
発射トリガーを含むハンドル組立体と、
前記ハンドル組立体によって支持されている細長本体であって、近位部分および遠位部分を有する細長本体と、
前記細長本体の前記遠位部分上に支持されているシェル組立体であって、前記シェル組立体は、空洞を画定するシェルハウジング、前記シェルハウジング上に支持されているステープルカートリッジ、長手方向ボアを画定するプッシャー、前記長手方向ボア内で移動可能なナイフキャリア、および前記ナイフキャリア上に支持されているナイフを含み、前記ステープルカートリッジは、複数のステープルを支持し、前記プッシャーは、前記ステープルカートリッジから前記複数のステープルを排出するように、前記シェルハウジングの前記空洞内で後退位置から前進位置に移動可能である、シェル組立体と、
前記細長本体の前記遠位部分上に支持されており、開位置とクランプ位置との間で前記シェル組立体に対して移動可能である、アンビル組立体と、を備え、
前記ナイフキャリアは、前記プッシャーと係合し、前記プッシャーをその後退位置からその前進位置に移動させるように、後退位置と中間位置との間で移動可能であり、その後、前記プッシャーとは独立して前記ナイフを前進させ組織を切断するように、その中間位置から前進位置に移動可能である、円形ステープル留めデバイス。
【請求項2】
作動ストロークによる前記発射トリガーの移動が、前記ナイフキャリアをその後退位置からその前進位置に移動させるように、前記発射トリガーが前記ナイフキャリアに結合されている、請求項1に記載の円形ステープル留めデバイス。
【請求項3】
前記発射トリガーが、前記作動ストロークを通して手動で移動可能である、請求項2に記載の円形ステープル留めデバイス。
【請求項4】
前記ナイフキャリアが、少なくとも1つのタブを含み、前記少なくとも1つのタブが、前記プッシャーとは独立して前記ナイフキャリアの遠位方向の前進を可能にするように、前記プッシャーと係合して前記ナイフキャリアの遠位方向の移動を前記プッシャーの遠位方向の移動に移す第1の位置から、第2の位置に移動可能である、請求項1に記載の円形ステープル留めデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも1つのタブの各々が、弾性アーム上に支持されている、請求項4に記載の円形ステープル留めデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つのタブの各々を支持する前記弾性アームが、片持ち梁方式で前記ナイフキャリアに支持されている、請求項5に記載の円形ステープル留めデバイス。
【請求項7】
前記シェル組立体が、少なくとも1つの長手方向リブを含むハウジングを含み、前記プッシャーがその前進位置に向かって移動させられると、前記少なくとも1つの長手方向リブが、前記少なくとも1つのタブの各々を支持する前記弾性アームと係合して、前記少なくとも1つのタブの各々を前記第1の位置に保持するように位置決めされている、請求項5に記載の円形ステープル留めデバイス。
【請求項8】
前記プッシャーおよび前記ナイフキャリアのうちの一方が、破壊可能リングを含み、前記プッシャーおよび前記ナイフキャリアのうちの他方が、前記破壊可能リングと係合するように位置決めされている環状突起を含む、請求項1に記載の円形ステープル留めデバイス。
【請求項9】
前記破壊可能リングが、前記プッシャーがその前進位置に近づくと、破砕して、前記プッシャーとは独立した前記ナイフキャリアの移動を容易にするように適合されている、請求項8に記載の円形ステープル留めデバイス。
【請求項10】
シェル組立体であって、
空洞を画定するシェルハウジングと、
前記シェルハウジング上に支持されているステープルカートリッジであって、複数のステープルを支持するステープルカートリッジと、
長手方向ボアを画定するプッシャーと、
前記プッシャーの前記長手方向ボア内で移動可能なナイフキャリアと、
前記ナイフキャリア上に支持されているナイフと、を備え、
前記プッシャーは、前記ステープルカートリッジから前記複数のステープルを排出するように、前記シェルハウジングの前記空洞内で後退位置から前進位置に移動可能であり、前記ナイフキャリアは、前記プッシャーと係合し、前記プッシャーをその後退位置からその前進位置に移動させるように、後退位置と中間位置との間で移動可能であり、その後、前記プッシャーとは独立して前記ナイフを前進させて組織を切断するように、その中間位置からその前進位置に移動可能である、シェル組立体。
【請求項11】
作動ストロークによる前記発射トリガーの移動が、前記ナイフキャリアをその後退位置からその前進位置に移動させるように、前記発射トリガーが前記ナイフキャリアに結合されている、請求項10に記載のシェル組立体。
【請求項12】
前記ナイフキャリアが、少なくとも1つのタブを含み、前記少なくとも1つのタブが、前記プッシャーとは独立して前記ナイフキャリアの遠位方向の前進を可能にするように、前記プッシャーと係合して前記ナイフキャリアの遠位方向の移動を前記プッシャーの遠位方向の移動に移す第1の位置から、第2の位置に移動可能である、請求項10に記載のシェル組立体。
【請求項13】
前記少なくとも1つのタブの各々が、弾性アーム上に支持されている、請求項12に記載のシェル組立体。
【請求項14】
前記少なくとも1つのタブの各々を支持する前記弾性アームが、片持ち梁方式で前記ナイフキャリアに支持されている、請求項13に記載のシェル組立体。
【請求項15】
前記シェル組立体が、少なくとも1つの長手方向リブを含むハウジングを含み、前記プッシャーがその前進位置に向かって移動させられると、前記少なくとも1つの長手方向リブが、前記少なくとも1つのタブの各々を支持する前記弾性アームと係合して、前記少なくとも1つのタブの各々を前記第1の位置に保持するように位置決めされている、請求項13に記載のシェル組立体。
【請求項16】
前記プッシャーおよび前記ナイフキャリアのうちの一方が、破壊可能リングを含み、前記プッシャーおよび前記ナイフキャリアのうちの他方が、前記破壊可能リングと係合するように位置決めされている環状突起を含む、請求項10に記載のシェル組立体。
【請求項17】
前記破壊可能リングが、前記プッシャーがその前進位置に近づくと、破砕して、前記プッシャーとは独立した前記ナイフキャリアの移動を容易にするように適合されている、請求項16に記載のシェル組立体。
【請求項18】
シェル組立体であって、
空洞を画定するシェルハウジングと、
前記シェルハウジング上に支持されているステープルカートリッジであって、複数のステープルを支持するステープルカートリッジと、
長手方向ボアを画定するプッシャーであって、前記ステープルカートリッジから前記複数のステープルを排出するように、前記シェルハウジングの前記空洞内で後退位置から前進位置に移動可能である、プッシャーと、
前記プッシャーの前記長手方向ボア内で移動可能なナイフキャリアと、
前記ナイフキャリア上に支持されているナイフと、を備え、
前記ナイフキャリアは、前記プッシャーに解放可能に結合されており、ステープル形成後に組織を切断するように前記プッシャーとは独立して移動可能である、シェル組立体。
【請求項19】
前記ナイフキャリアが、少なくとも1つのタブを含み、前記少なくとも1つのタブが、前記プッシャーとは独立して前記ナイフキャリアの遠位方向の前進を可能にするように、前記プッシャーと係合して前記ナイフキャリアの遠位方向の移動を前記プッシャーの遠位方向の移動に移す第1の位置から、第2の位置に移動可能である、請求項18に記載のシェル組立体。
【請求項20】
前記プッシャーおよび前記ナイフキャリアのうちの一方が、破壊可能リングを含み、前記プッシャーおよび前記ナイフキャリアのうちの他方が、前記破壊可能リングと係合するように位置決めされている環状突起を含む、請求項18に記載のシェル組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.技術分野
本開示は、ステープル留めデバイス、より具体的には、ステープル形成後まで組織の切断を遅らせる円形ステープル留めデバイスを対象とする。
【背景技術】
【0002】
2.背景技術
従来の手動操作の円形ステープル留めデバイスは、細長本体、細長本体の遠位部分上に支持されているシェル組立体、およびシェル組立体に隣接する細長本体の遠位部分上に可動に支持されているアンビル組立体を含む。シェル組立体は、シェルハウジング、シェルハウジング上に支持されているステープルカートリッジ、プッシャー組立体、およびプッシャー組立体上に支持されているナイフを含む。ステープルカートリッジは、複数のステープルを支持する。プッシャー組立体は、複数のステープルをステープルカートリッジから組織を通して排出し、アンビル組立体に対してステープルを形成するように、ステープルカートリッジを通って移動可能である、ステープル押し部材を含む。ナイフは、ステープル押し部材に結合されかつステープル押し部材と共に移動可能であり、ステープル形成中にシェル組立体とアンビル組立体との間にクランプされた組織を切断する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の一態様は、ハンドル組立体と、細長本体と、シェル組立体と、を含む円形ステープル留めデバイスを対象とする。ハンドル組立体は、発射トリガーを含む。細長本体は、ハンドル組立体によって支持されており、かつ近位部分および遠位部分を含む。シェル組立体は、細長本体の遠位部分上に支持されており、かつ空洞を画定するシェルハウジング、ステープルカートリッジ、長手方向ボアを画定するプッシャー、ナイフキャリア、およびナイフを含む。ステープルカートリッジは、シェルハウジング上に支持されており、かつ複数のステープルを支持する。ナイフキャリアはプッシャーの長手方向ボア内で移動可能であり、ナイフはナイフキャリア上に支持されている。プッシャーは、ステープルカートリッジから複数のステープルを排出するように、後退位置から前進位置にシェルハウジングの空洞内で移動可能である。アンビル組立体は、細長本体の遠位部分上に支持されており、かつ開位置とクランプ位置との間でシェル組立体に対して移動可能である。ナイフキャリアは、プッシャーと解放可能に係合するように適合されており、プッシャーをその後退位置からその前進位置に移動させるように、後退位置と中間位置との間で移動可能であり、その後、プッシャーとは独立してナイフを前進させ組織を切断するように、その中間位置から前進位置に移動可能である。
【0004】
実施形態では、作動ストロークによる発射トリガーの移動が、ナイフキャリアをその後退位置からその前進位置に移動させるように、発射トリガーがナイフキャリアに結合されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、発射トリガーは、作動ストロークを通して手動で移動可能である。
【0006】
特定の実施形態では、ナイフキャリアは、少なくとも1つのタブを含み、少なくとも1つのタブは、プッシャーとは独立してナイフキャリアの遠位方向の前進を可能にするように、プッシャーと係合してナイフキャリアの遠位方向の移動をプッシャーの遠位方向の移動に移す第1の位置から、第2の位置に移動可能である。
【0007】
実施形態では、少なくとも1つのタブの各々が、弾性アーム上に支持されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのタブの各々を支持する弾性アームが、片持ち梁方式でナイフキャリアに支持されている。
【0009】
特定の実施形態では、シェル組立体は、少なくとも1つの長手方向リブを含むハウジングを含み、プッシャーがその前進位置に向かって移動させられると、少なくとも1つの長手方向リブが、少なくとも1つのタブの各々を支持する弾性アームと係合して、少なくとも1つのタブの各々を第1の位置に保持するように位置決めされている。
【0010】
実施形態では、プッシャーおよびナイフキャリアのうちの一方が、破壊可能リングを含み、プッシャーおよびナイフキャリアのうちの他方が、破壊可能リングと係合するように位置決めされている環状突起を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、破壊可能リングが、プッシャーがその前進位置に近づくと、破砕して、プッシャーとは独立したナイフキャリアの移動を容易にするように適合されている。
【0012】
本開示の別の態様は、空洞を画定するシェルハウジング、ステープルカートリッジ、長手方向ボアを画定するプッシャー、ナイフキャリア、およびナイフを含むシェル組立体を対象とする。ステープルカートリッジは、シェルハウジング上に支持されており、かつ複数のステープルを支持する。ナイフキャリアはプッシャーの長手方向ボア内で移動可能であり、ナイフはナイフキャリア上に支持されている。プッシャーは、ステープルカートリッジから複数のステープルを排出するように、後退位置から前進位置にシェルハウジングの空洞内で移動可能である。ナイフキャリアは、プッシャーと係合するように適合されており、プッシャーをその後退位置からその前進位置に移動させるように、後退位置と中間位置との間で移動可能であり、その後、プッシャーとは独立してナイフを前進させ組織を切断するように、その中間位置から前進位置に移動可能である。
【0013】
本開示の別の態様は、空洞を画定するシェルハウジング、ステープルカートリッジ、長手方向ボアを画定するプッシャー、ナイフキャリア、およびナイフを含むシェル組立体を対象とする。ステープルカートリッジは、シェルハウジング上に支持されており、かつ複数のステープルを支持する。プッシャーは、長手方向ボアを画定し、かつステープルカートリッジから複数のステープルを排出するように、後退位置から前進位置にシェルハウジングの空洞内で移動可能である。ナイフキャリアは、プッシャーの長手方向ボア内で移動可能であり、かつナイフを支持し、ナイフキャリアは、プッシャーに解放可能に結合されており、かつステープル形成後に組織を切断するようにプッシャーとは独立して移動可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
開示のステープル留めデバイスのさまざまな実施形態は、本明細書において図面を参照して以下に説明される。
【0015】
図1】ステープル留めデバイスのアンビル組立体が、開位置すなわちクランプ位置ではない状態の、開示の外科用ステープル留めデバイスの例示的な実施形態の側面斜視図である。
図2図1に示す外科用ステープル留めデバイスの遠位部分の側面斜視分解図である。
図3図2に示すステープル留めデバイスの遠位部分のシェルハウジングの、遠位端から見た斜視図である。
図4図2に示すステープル留めデバイスの遠位部分のナイフキャリアの側面斜視図である。
図5】シェルハウジングを取り外し、アンビル組立体がクランプ位置にある、図1に示すステープル留めデバイスの遠位部分の側面斜視図である。
図6】アンビル組立体がクランプ位置にある、図1に示すステープル留めデバイスの遠位部分の側面斜視図である。
図7図3の切断線7-7に沿って切り取った断面図である。
図8図7の切断線8-8に沿って切り取った断面図である。
図9】アンビル組立体がクランプ位置にあり、ナイフキャリアが中間位置に前進させられておりステープルを形成している、図1に示すステープル留めデバイスの遠位部分を通る側面断面図である。
図10】アンビル組立体がクランプ位置にあり、ナイフキャリアが前進位置にあり、組織を切断している、図1に示すステープル留めデバイスの遠位部分を通る側面断面図である。
図11図1に示すステープル留めデバイスのステープルプッシャーの代替の実施形態の側面斜視断面図である。
図12図1に示すステープル留めデバイスのナイフキャリアの側面斜視図である。
図13図11のプッシャーおよび図12のナイフキャリアを含み、ナイフキャリアは後退位置にある、クランプ位置にある図1に示すステープル留めデバイスの遠位部分を通る側面断面図である。
図14図13に示す詳細の表示領域の拡大図である。
図15】アンビル組立体がクランプ位置にあり、ナイフキャリアが、ステープルが形成され組織が切断され始める位置まで前進させられた、図1に示すステープル留めデバイスの遠位部分を通る側面断面図である。
図16図15に示す詳細の表示領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、本開示のステープル留めデバイスが、図面を参照して詳細に説明され、同様の参照番号は、いくつかの図の各々において同一または対応する要素を示す。しかしながら、開示される実施形態は、本開示の単なる例示に過ぎず、さまざまな形態で具体化され得ることを理解されたい。周知の機能または構成は、本開示を不必要に詳細に記述して本開示が不明瞭になることがないように、詳細には記載されていない。それゆえに、本明細書で開示される特定の構造的および機能的な詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に特許請求の範囲の基礎として、かつ本開示を実質的に任意の適切で詳細な構造でさまざまに用いるために当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0017】
この説明では、「近位」という用語は普通、臨床医に近い方のデバイスの当該部分を指すために使用されるのに対し、「遠位」という用語は普通、臨床医から遠い方のデバイスの当該部分を指すために使用される。加えて、「臨床医」という用語は普通、医師、看護師、および支援要員を含む医療従事者を指すために使用される。
【0018】
開示の円形ステープル留めデバイスは、発射トリガーの単一の作動中に、組織を切断する前にステープル形成が起こることを可能にするように適合された手動操作トリガーを含む、手動操作ステープル留めデバイスである。ステープル留めデバイスは、ステープル形成中の組織の伸長および移動を最小限に抑えて、ステープル形成を改善する。ステープル留めデバイスはまた、ステープル留めデバイスのステープル形成および組織切断機能を分離することによって、発射ストロークを通して発射トリガーを移動させるのに必要な力の量を低減し、ステープル留めデバイスの作動中の臨床医の手へのストレスを低減する。
【0019】
図1は、概してステープル留めデバイス10として示される、開示の円形ステープル留めデバイスの例示的な実施形態を示している。ステープル留めデバイス10は、以下に説明するように、ハンドル組立体12、細長本体14、シェル組立体16、および離間しかつ近似位置間の、シェル組立体16に対する移動のために支持されているアンビル組立体18を含む。アンビル組立体18は、当技術分野で知られているように、ステープル留めデバイス10の近似機構(図示せず)に解放可能に結合されるように適合されたアンビルシャフト19を有する。細長本体14は、遠位部分14aおよび近位部分14bを有する。実施形態では、シェル組立体16は、細長本体14の遠位部分14aに解放可能に結合されている近位部分20を含む。あるいは、シェル組立体16は、細長本体部分14にしっかりと固定され得る。
【0020】
ハンドル組立体12は、発射トリガー24および接近ノブ25を支持する、固定グリップ22を含む。接近ノブ25は、シェル組立体16に対して開位置とクランプ位置との間でアンビル組立体18を移動させるように作動可能である。発射トリガー24は、シェル組立体16からのステープルの発射および組織の切断またはくり抜きを含む、ステープル留めデバイス10のさまざまな機能の操作を制御するように、作動ストロークを介して移動可能である。
【0021】
図2は、図1に示すステープル留めデバイス10のシェル組立体16を示している。シェル組立体16は、シェルハウジング30、プッシャー32、ナイフキャリア34、ナイフキャリア34上に支持されている環状ナイフ36、ステープルカートリッジ38、およびステープルカートリッジ38内に支持されている複数のステープル40を含む。ステープルカートリッジ38は環状であり、ステープルポケット42の環状列を画定する。ステープルポケット42の各々は、複数のステープル40のうちの1つを支持する。プッシャー32は、長手方向ボア44aを画定しかつ複数のフィンガー46を有する遠位部分を含む、本体44を含む。複数のフィンガー46の各々は、ステープルカートリッジ38のステープルポケット42のうちのそれぞれの1つ内に受容され、それを通って移動可能であり、プッシャー32が後退位置から前進位置に、シェルハウジング30内で移動させられると、ステープルポケット38からステープル40を排出する。
【0022】
図3は、シェル組立体16のシェルハウジング30を示している。シェルハウジング16は、外側ハウジング部分50および内側ハウジング部分52を含み、これらは互いに離隔して環状空洞54を画定する。シェルハウジング30の内側ハウジング部分52は、アンビル組立体18がクランプ位置に移動させられてアンビル組立体18をシェル組立体16のステープルカートリッジ38に位置合わせするときに、アンビル組立体18のアンビルシャフト19(図1)を受容する貫通ボア56を画定する。内側ハウジング部分52は、シェルハウジング16の環状空洞54内に位置決めされた長手方向リブ58を支持する外面を含む。シェルハウジング30はまた、内側ハウジング部分52と外側ハウジング部分50との間に延在する支柱59を含む。支柱59は、以下で詳細に説明するように、ナイフキャリア34をシェルハウジング30内の長手方向の移動に限定する。
【0023】
ナイフキャリア34は、シェルハウジング30の環状空洞54内およびプッシャー32内に受容され、かつ環状本体60を含む。環状本体60は、長手方向貫通ボア60aを画定し、かつ遠位部分62および近位部分64を有する。実施形態では、遠位部分62は、環状ナイフ36の近位端を受容してナイフ36をナイフキャリア34に固定する、環状凹部66を画定する。ナイフ36はまた、ナイフキャリア34に係合してナイフ36をナイフキャリア34にさらに固定するタブ70(図2)を有してもよい。あるいは、他の固定技術を使用して、ナイフ36をナイフキャリア34に固定することができる。
【0024】
ナイフキャリア36の環状本体60の近位部分64は、長手方向スロット76によって分離された、離隔した脚74によって画定されている。ナイフキャリア34がシェルハウジング30の環状空洞54内に受容されると、長手方向スロット76は、シェルハウジング30の支柱59を受容して、ナイフキャリア34をシェルハウジング30内の長手方向の移動に限定する。ナイフキャリア34の環状本体60の近位部分は、結合部材86を支持する。結合部材86は、細長本体14内に支持されている駆動部材(図示せず)と係合して、ナイフキャリア34を発射トリガー(図1)に結合するように適合されている。
【0025】
図5は、ナイフキャリアがプッシャー32の長手方向ボア44a内に受容されている状態の、ナイフキャリア34の遠位部分を示している。図示のように、ナイフキャリア34の環状本体60は、1つ以上の弾性片持ち梁アーム80を支持する。実施形態では、アーム80のうちの各々は、環状本体60によって支持されている遠位端、およびタブ82を支持する遠位端を有する。タブ82は、アーム80から半径方向外向きに延在し、以下でさらに詳細に説明するように、ナイフキャリア34の移動が、後退位置と前進位置との間のシェルハウジング30の環状空洞54内のプッシャー32の遠位方向の移動に影響を与えるように、プッシャー32の近位部分と係合するように位置決めされている。ナイフキャリア34の片持ち梁アーム80は弾力性があり、プッシャー32がその前進位置に達したときにナイフキャリア34の長手方向貫通ボア60a内に内向きに屈曲し、ステープル形成後にナイフキャリア34がプッシャー32とは独立して遠位方向に移動して、組織を切断できるようにすることができる。タブ82は、プッシャー32の近位端と係合するように位置決めされ得る。あるいは、他の構造が考えられる。図5に示すように、プッシャー32の近位部分は、細長スロットすなわちノッチ84を含み得る。ノッチ84は、シェルハウジング30の支柱59(図3)を受容して、シェルハウジング30内でプッシャー32を正しく位置合わせする。
【0026】
図5図8は、アンビル組立体18が組織「T」の周りでクランプ位置にある、発射トリガー24(図1)の作動前のステープル留めデバイス10の遠位部分を示している。この位置では、ナイフキャリア34およびプッシャー32は、シェルハウジング30内のそれらの後退位置にある。ナイフキャリア32の片持ち梁アーム80は、シェルハウジング30の内側ハウジング部分52の長手方向リブ58上に支持されている。片持ち梁アーム80が長手方向リブ58上に支持されると、アーム80はナイフキャリア34から外向きに変形させられて、タブ82を外向きに押し動かして、長手方向の位置合わせおよび/またはプッシャー32との係合をさせる。
【0027】
図9は、発射トリガー24(図1)が作動ストロークを通して移動させられ、ステープル40が組織「T」に形成されるときに、アンビル組立体18が組織「T」の周りでクランプ位置にある、ステープル留めデバイス10を示している。最初に、発射トリガー24が作動されると、ナイフキャリア34は、矢印「A」によって示す方向に前進させられる。ナイフキャリア34が前進させられると、片持ち梁アーム80上のタブ82がプッシャー32と係合して、矢印「B」によって示す方向にナイフキャリア34と共にプッシャー32を前進させる。プッシャー32がシェルハウジング30内で遠位方向に移動すると、プッシャー32のフィンガー46は、ステープルカートリッジ38のステープルポケット42を通過して前進し、アンビル組立体18に対してステープル40を形成する。この位置では、ナイフ36はまだ組織「T」に係合していない。あるいは、ステープル形成が完了すると、ナイフ36は組織「T」と接触し得る。
【0028】
図10に示すように、ナイフキャリア34が矢印「A」によって示す方向に前進して、ナイフキャリア34の片持ち梁アーム80が、シェルハウジング30の内側ハウジング部分52上の長手方向リブ58の遠位端96を通り過ぎる位置に達すると、アーム80の弾力性のために片持ち梁アーム80が内側に移動して、その結果、タブ82がプッシャー32から外れる。これが起こると、ナイフキャリア34は、プッシャー32とは独立して前進すなわち遠位方向に移動して、ナイフ36を矢印「C」の方向に前進させて、組織「T」を切断することになる。タブ82の遠位端は、タブ82とプッシャー32との間の係合を可能にして、アーム80を内側に移動させてタブ82とプッシャー32との分離を容易にするのを支援するための面取り98を含んでもよい。
【0029】
上記で簡単に論じたように、ステープル留めデバイス10の2つの機能、すなわちステープル形成および切断を分離することにより、ステープル留めデバイス10の発射トリガー24を作動させるのに必要な力を低減させることができ、ステープル形成中の組織の引っ張りまたは伸長を最小限に抑え、ステープル形成を改善する。
【0030】
図12図16は、以下でさらに詳細に説明される、プッシャー132およびナイフキャリア134への変更を除いて、上記の実施形態と同様である、開示のステープル留めデバイス10(図1)の別の例示的な実施形態を示している。
【0031】
プッシャー132は、プッシャー32の内壁が、プッシャー132の長手方向ボア144a内に突出する、壊れやすいまたは破壊可能リング132a(図11)を含むことを除いて、プッシャー32(図2)と実質的に同一である。さらに、ナイフキャリア134は、片持ち梁アーム80が排除され、環状リング180(図12)などの突起がナイフキャリア134の遠位部分162上に形成されていることを除いて、ナイフキャリア34と実質的に同様である。
【0032】
図13は、アンビル組立体18が組織「T」の周りでクランプ位置にある、発射トリガー24(図1)の作動前のステープル留めデバイス10(図1)の遠位部分を示している。この位置では、ナイフキャリア134およびプッシャー132は、シェルハウジング30内のそれらの後退位置にある。ナイフキャリア134上の突起、例えば、環状リング180は、プッシャー132の破壊可能リング132aのすぐ近位かつそれらと並ぶように、位置決めされている。ナイフキャリア134の環状リング180は、破壊可能リング132aと係合して示されているが、2つの構成要素は、発射トリガー24(図1)の作動前に互いに位置合わせされる必要があるだけである。
【0033】
図15および図16は、発射トリガー24(図1)が作動ストロークを通して移動させられるときに、アンビル組立体18が組織「T」の周りでクランプ位置にある状態のステープル留めデバイス10を示している。最初に、発射トリガー24(図1)が作動されると、ナイフキャリア134は、矢印「D」によって示す方向に前進させられる。ナイフキャリア134が前進させられると、ナイフキャリア134上の環状リング180は、プッシャー132上の破壊可能リング132aと係合して、矢印「D」によって示す方向にナイフキャリア34と共にプッシャー132を前進させる。プッシャー132がシェルハウジング30内で遠位方向に移動すると、プッシャー132のフィンガー146は、ステープルカートリッジ38のステープルポケット42を通過して前進し、アンビル組立体18に対してステープル40を形成する。この位置では、ナイフ136はまだ組織「T」に係合していない。あるいは、ステープル形成が完了すると、ナイフ136は組織「T」と接触し得る。
【0034】
ステープル形成が完了すると、ステープルカートリッジ38とプッシャー132との間の係合により、プッシャー132の前進が妨げられる。これが発生すると、ナイフキャリア132の環状リング180によってプッシャー132の破壊可能リング132aに加えられる力は、閾値の力を超えて増加し、破壊可能リング132aは、プッシャー132の内壁から剪断されて、ナイフキャリア132が矢印「E」によって示す方向に、プッシャー132とは独立して遠位方向に移動し、組織「T」を切断するのを可能にする。
【0035】
上で簡単に論じたように、ステープル留めデバイス10の2つの機能、すなわちステープル形成および切断を分離することにより、ステープル留めデバイス10の発射トリガー24を作動させるのに必要な力を低減させることができ、ステープル形成中の組織の引っ張りまたは伸長を最小限に抑え、ステープル形成を改善する。
【0036】
当業者であれば、本明細書において具体的に説明され、添付の図面に例示されるデバイスおよび方法が非限定的かつ例示的な実施形態であることを理解できるであろう。1つの例示的な実施形態に関連して例示または記載される要素および特徴は、別の要素および特徴と、本開示の範囲から逸脱することなく組み合わせられ得ることが想到される。同様に、当業者であれば、上述の実施形態に基づく本開示のさらなる特徴および利点を理解するであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除いて、具体的に図示および記載されているものによって限定されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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図15
図16
【国際調査報告】