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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】水中油型エマルションゲル組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20221007BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20221007BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20221007BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20221007BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20221007BHJP
   A61Q 1/08 20060101ALI20221007BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20221007BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/92
A61K8/34
A61K8/04
A61K8/44
A61K8/81
A61K8/87
A61Q1/02
A61Q1/04
A61Q1/08
A61Q1/12
A61Q19/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572360
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(85)【翻訳文提出日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 IB2019000761
(87)【国際公開番号】W WO2021048577
(87)【国際公開日】2021-03-18
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502189579
【氏名又は名称】エルブイエムエイチ レシェルシェ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】中村 恭介
(72)【発明者】
【氏名】北村 三矢子
(72)【発明者】
【氏名】端 晃一
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB172
4C083AB222
4C083AB242
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC841
4C083AC842
4C083AC862
4C083AC911
4C083AC912
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD252
4C083BB05
4C083BB11
4C083BB21
4C083BB35
4C083CC11
4C083CC12
4C083CC13
4C083DD33
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
4C083FF05
(57)【要約】
本発明は、油剤、水、ポリオール、アニオン界面活性剤、両親媒性ポリマー及び着色材料を含有する、水中油型エマルションゲル組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油剤、水、ポリオール、アニオン界面活性剤、両親媒性ポリマー及び着色材料を含有する、水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項2】
前記ポリオールが、C1-C6ポリオールである、請求項1に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項3】
前記ポリオールが、ペンチレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ソルビトール及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1又は2に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項4】
前記アニオン界面活性剤が、アミノ酸系アニオン界面活性剤、特に、N-ステアロイルグルタミン酸塩、ジラウロイルグルタミン酸リシン塩及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項5】
前記油剤の総含有量が、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、20質量%以上50質量%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項6】
前記両親媒性ポリマーが、疎水基変性親水性ウレタンポリマー、及び親水性基と疎水性基を含む側鎖を有する(メタ)アクリルポリマー、疎水基変性親水性多糖類及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項7】
前記両親媒性ポリマーが、疎水基変性親水性ウレタンポリマーと、親水性基及び疎水性基を含む側鎖を有する(メタ)アクリルポリマーとを含む両親媒性ポリマーの混合物を含む、請求項6に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項8】
前記疎水基変性親水性ウレタンポリマーが、グリコール成分としてポリエチレングリコールを含む疎水基変性ポリエーテルウレタンを含む、請求項6又は7に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項9】
前記着色材料が、染料、顔料、真珠層又は真珠光沢顔料、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項10】
高級脂肪族1価アルコールを更に含有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項11】
25℃における粘度が20000~400000cps、好ましくは50000~400000cpsの範囲である、請求項1~10のいずれか一項に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項12】
唇用である、請求項1~11のいずれか一項に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項13】
50MPa以上の圧力で乳化して得ることのできる、請求項1~12のいずれか一項に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項14】
ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための化粧方法であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の水中油型エマルションゲル組成物を、ケラチン物質、特に皮膚又は唇に適用することを含む、化粧方法。
【請求項15】
前記水中油型エマルションゲル組成物が、ケラチン物質、特に、それが適用される皮膚又は唇に、みずみずしく軽い感触、塗布膜の色鮮やかさ、及びナリシング効果を与える、請求項14に記載の化粧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型エマルションゲル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水中油型乳化物は、製剤中に適当量の油剤を含有することによって保護膜効果をもたらすため、化粧料等の用途に好適に用いることができる。
【0003】
例えば、特開2002-87931号公報には、水、親水性界面活性剤、液体油成分及び固体脂を含有し、550nmの光透過率が50%以上で、25℃における粘度が200~1,000,000mPa・sである水中油型エマルション組成物が開示されている。このような水中油型エマルジョンは、外観において高い透明性を示し、例えば毛髪化粧品、シェービング化粧品およびボディローションとして使用することができる。また、特開2017-105766号公報(又は対応のEP3173064A1)には、(A)炭化水素油、脂肪族エステル及びシリコーンオイルから選ばれる1種以上の液状油を、油中水型エマルションゲル組成物の全量に対して15%以上、(B)(ポリ)グリセリル脂肪酸(エステル)およびPOE水素化ヒマシ油から選ばれる1種以上HLB値が7以下(HLB≦7)である非イオン性乳化剤、(C)ショ糖脂肪酸エステル、(D)親水基としてグルタミン酸を有するイオン性界面活性剤、および(E)水を含有し、(B)、(C)および(D)の全量比が、(A)に対して、0.1~0.5質量%である優れた透明性および経時安定性を有する水中油型エマルジョンゲル組成物が開示されている。しかし、これらの文献のいずれにも、ケア効果と色鮮やかな化粧効果の両方を示す水中油型エマルジョンゲル組成物は開示されていない。
[発明が解決しようとする課題]
【0004】
染料等の着色材料を含有する水中油型化粧料において、化粧料を塗布したときに形成される塗布膜(メイクアップフィルム)は色鮮やかさに優れることが望ましい。これと同時に、ケア効果及びメイクアップ効果の両方が発揮されやすくなる観点から、水中油型化粧料は優れた安定性とナリシング効果を有することが望ましい。
【0005】
しかし、高いナリシング効果を与えるために、水中油型化粧料中の油剤の含有量を多くすると、高い安定性を維持する観点から、多くの増粘剤が必要となる場合がある。一方で、過剰の増粘剤を用いた場合には、不均一又は粗い塗布膜が形成されやすくなり、塗布膜の色鮮やかさが低下する場合がある。以上のことから、高いナリシング効果、水中油型化粧料の安定性及び塗布膜の色鮮やかさのすべてに優れる化粧料を得ることは困難であった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、安定性、ナリシング効果及び塗布膜の色鮮やかさのすべてに優れる水中油型ゲル組成物を提供することにある。
[発明の概要]
【0007】
本発明は、油剤、水、ポリオール、アニオン界面活性剤、両親媒性ポリマー及び着色材料を含有する、水中油型エマルションゲル組成物を提供する。
【0008】
本発明の水中油型エマルションゲル組成物は、油剤、水、ポリオール、アニオン界面活性剤、両親媒性ポリマー及び着色材料を組み合わせて含み、かつ、ゲル状であるため、高いナリシング効果、水中油型エマルションゲル組成物の安定性及び塗布膜の色鮮やかさのすべてに優れている。このような効果は、本発明の上記構成の組み合わせによりもたらされるが、特に両親媒性ポリマーは、自身の疎水基によってエマルジョン粒子、アニオン界面活性剤と相互作用することにより製剤の粘度を高め、ゲルの形成に有効に寄与する。これによって、例えば、本発明の水中油型エマルションゲル組成物では、調製直後と、例えば50℃に1か月静置した後の粘度とを比較した場合、経時での粘度保持が劇的に図られている。本発明の水中油型エマルションゲル組成物によれば、ケア効果及びメイクアップ効果の両方が発揮されることなる。また、本発明の水中油型エマルションゲル組成物によれば、みずみずしく軽い感触を与える塗布膜を形成可能である。
【0009】
本発明はまた、本発明による水中油型水中油型エマルションゲル組成物をケラチン物質上、特に皮膚又は口唇上に塗布することを含む、ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための化粧方法に関する。
特に、化粧方法は、本発明の組成物が適用されるケラチン物質、特に皮膚又は口唇上に、みずみずしく軽い感触、塗布膜の色鮮やかさ及びナリシング効果を提供する。
[発明の効果]
【0010】
本発明によれば、安定性、ナリシング効果及び塗布膜の色鮮やかさに優れた化粧料組成物を提供することができる。
【0011】
本発明の化粧料組成物は、均一な塗膜を形成しやすいため、薄く塗布しても色鮮やかな塗布膜を容易に形成することができる。また、本発明の化粧料組成物は、乾燥感のないさっぱりとした軽い感触を与える塗布膜を形成する。
[発明の詳細な説明]
【0012】
特定の実施形態では、アニオン界面活性剤は、アミノ酸系アニオン界面活性剤、好ましくはN-ステアロイルグルタミン酸塩、ジラウロイルグルタミン酸リシン塩及びこれらの混合物からなる群より選択されるアミノ酸系アニオン界面活性剤である。
【0013】
特定の実施形態では、ポリオールは、C1-ポリオール、好ましくはペンチレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、プロパンジオール(1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール又はこれらの混合物)、ジプロピレングリコール、ソルビトール及びこれらの混合物からなる群より選択されるC1-ポリオールである。
【0014】
特定の実施形態では、油剤の含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、20質量%以上50質量%以下である。油剤の含有量をこの範囲内にすることによって、みずみずしく軽い感触、塗布膜の色鮮やかさ及びナリシング効果がより一層優れたものとなる。
【0015】
特定の実施形態では、両親媒性ポリマーは、疎水基変性親水性ウレタンポリマー、親水性基と疎水性基を含む側鎖を有する(メタ)アクリルポリマー、疎水基変性親水性多糖類、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる。特定の実施形態では、本発明の組成物は、疎水基変性親水性ウレタンポリマー、及び親水性基と疎水性基を含む側鎖を有する(メタ)アクリルポリマーを含む。
特定の実施形態では、疎水基変性親水性ウレタンポリマーは、ポリエチレングリコールをグリコール成分として含む疎水基変性ポリエーテルウレタンを含有してよい。
【0016】
特定の実施形態では、水中油型エマルションゲル組成物は、高級脂肪族1価アルコールを更に含有していてよい。この場合、塗布膜の色鮮やかさがより一層優れたものとなる。
【0017】
水中油型エマルションゲル組成物の25℃における粘度は、20,000~400,000cps又は30,000~350,000cps、好ましくは40,000~300,000cps、より好ましくは50,000~250,000cpsであってよい。水中油型エマルションゲル組成物の25℃における粘度がこの範囲内にあることによって、塗布膜の色鮮やかさ、ナリシング効果及び安定性がより一層優れたものとなる。
【0018】
水中油型エマルションゲル組成物は、ケラチン物質上、特に皮膚又は唇用、特に唇用に好適に用いることができる。
特定の実施形態では、水中油型エマルションゲル組成物は、50MPa以上の圧力で乳化して得ることができる。
[発明を実施するための形態]
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味し、他の類似の骨格においても同様である。
【0020】
実施形態の水中油型エマルションゲル組成物は、油剤、水、ポリオール、アニオン界面活性剤、両親媒性ポリマー及び着色材料を含有する。水中油型エマルションゲル組成物は、“水中油型ゲル化粧料”又は“水中油型エマルションゲル化粧料”又は“水中油型ゲル型組成物”とも称され、水平面に対して30度傾斜した傾斜面上に、0.5gの水中油型化粧料を配置したときに、25℃の条件下で1時間流動しない水中油型エマルション組成物をいう。
【0021】
水中油型エマルションゲル組成物は、安定性、ナリシング効果及び塗布膜の色鮮やかさのすべてに優れているため、唇用、又は、皮膚、特に頬用、全顔用に用いることができる。その中でも特に、唇用に好適に用いることができる。
【0022】
水中油型エマルションゲル組成物は、スキンケア化粧料及び/又はメイクアップ化粧料として好適に用いることができる。唇用の水中油型エマルションゲル組成物の具体的な用途としては、例えば、液状リップクリーム、液状口紅下地、液状口紅オーバーコート等が挙げられる。頬用の水中油型エマルションゲル組成物の具体的な用途としては、例えば、液状頬紅化粧料(液状チーク化粧料)等が挙げられる。全顔用の水中油型エマルションゲル組成物の具体的な用途としては、例えば、ファンデーション、化粧下地、コンシーラー、日焼け止め等が挙げられる。
油剤
【0023】
油剤としては、周囲温度(25℃)において液体である、液状油剤を用いることが好ましく、なかでも、極性又は非極性の炭化水素油剤、及び、極性又は非極性のシリコーン油剤等の液状油剤を配合することができる。油剤は、不揮発性油剤であってもよく、揮発性油剤であってもよい。
【0024】
油剤としては、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリエチルヘキサノイン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリイソステアリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ポリグリセル-2、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロパンジオール、ジイソステアリン酸プロパンジオール、オクタカプリル酸ポリグリセリル-6及びこれらの混合物が挙げられる。
【0025】
油剤としては、更に、乳酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパンオリゴエステル、トリエチルヘキサン酸エリスリチル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、イソステアリン酸トレハロースエステルズ、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、ポリヒドロキシステアリン酸、流動パラフィン、スクワラン、α-オレフィンオリゴマー、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、イソドデカン、イソヘキサデカン、重質流動イソパラフィン及びこれらの混合物が挙げられる。
【0026】
油剤としては、更にシリコーン油剤が挙げられる。シリコーン油剤としては、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合度メチルフェニルポリシロキサン及びこれらの混合物が例示できる。
【0027】
上記の油剤のうち、好適な極性油剤としては、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2が挙げられ、好適な非極性油剤としては、スクワラン、イソドデカン、α-オレフィンオリゴマー又はこれらの混合物が挙げられ、好適なシリコーン油剤としては、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルトリメチコン、デカメチルシクロペンタシロキサン又はこれらの混合物が挙げられる。
【0028】
上記の油剤に加えて、油剤としては、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、水添パーム油、ワセリン、ヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチル、ペースト状の植物油(野菜油)、シア脂(Butyrospermum Parkii)、マンゴー種子脂(MangiferaIndica)、アボカド脂(Persea Gratissima)及びこれらの混合物等のペースト状油剤を更に用いてもよい。
【0029】
水中油型エマルションゲル組成物は、1種の油剤を含むものであってもよく、2種以上の油剤を含むものであってよい。水中油型エマルションゲル組成物は、例えば、2~6種の油剤を含有していてよく、3~4種の油剤を含有していてよい。
【0030】
特定の実施形態において、油剤の総含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、塗布膜の色鮮やかさに更に優れる観点、及びナリシング効果に更に優れる観点から、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、又は40質量%以上であってよく、みずみずしく軽い感触に更に優れる観点、及び塗布膜の色鮮やかさに更に優れる観点から、50質量%以下、又は45質量%以下であってよい。油剤の総含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、塗布膜の色鮮やかさ、ナリシング効果、及びみずみずしく軽い感触により一層優れる観点から、20質量%以上50質量%以下、25質量%以上50質量%以下、30質量%以上50質量%以下、35質量%以上50質量%以下、40質量%以上50質量%以下、20質量%以上45質量%以下、25質量%以上45質量%以下、30質量%以上45質量%以下、35質量%以上45質量%以下、又は40質量%以上45質量%以下であってよい。特定の好ましい実施形態において、油剤の総含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、35質量%以上45質量%以下である。
【0031】
特定の実施形態において、油剤は、塗布膜の色鮮やかさに更に優れる観点及び/又はナリシング効果に更に優れる観点から、極性油剤、非極性油剤及びシリコーン油剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものであってよく、極性油剤、非極性油剤及びシリコーン油剤からなる群より選ばれる2種又は3種を含むものであってよく、極性油剤、非極性油剤及びシリコーン油剤を含むものであってよい。
【0032】
油剤全質量に占める極性油剤の含有比率は、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、又は30質量%以上であってよく、100質量%以下、98質量%以下、95質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、又は30質量%以下であってよく、1~80質量%、5~60質量%以上、10~50質量%以上、20~40質量%であってよい。
【0033】
油剤全質量に占める非極性油剤の含有比率は、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、又は30質量%以上であってよく、100質量%以下、98質量%以下、95質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、又は30質量%以下であってよく、1~80質量%、5~60質量%以上、10~50質量%以上、20~40質量%であってよい。
【0034】
油剤全質量に占めるシリコーン油剤の含有比率は、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、又は30質量%以上であってよく、100質量%以下、98質量%以下、95質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、又は30質量%以下であってよく、1~80質量%、5~60質量%以上、10~50質量%以上、20~40質量%であってよい。
【0035】
水中油型エマルションゲル組成物は、水を含有する。水の含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、35質量%以上、又は40質量%以上であってよく、60質量%以下、又は50質量%以下であってよい。水の含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、35質量%以上60質量%以下、又は40質量%以上50質量%以下であってよい。
ポリオール
【0036】
ポリオールは、2個以上のヒドロキシル基(-OH)を有する脂肪族化合物を意味する。ポリオール中のヒドロキシル基数は、2個以上であればよく、例えば3個以上であってよく、10個以下、8個以下、6個以下、又は4個以下であってよい。ポリオール中のヒドロキシル基数は、例えば、2個以上10個以下、2個以上6個以下、又は2個以上4個以下であってよい。
【0037】
ポリオールの炭素原子数は、例えば、1以上、2以上、又は3以上であってよく、10以下、8以下、又は6以下であってよい。ポリオールの炭素原子数は、2以上10以下、2以上8以下、又は2以上6以下であってよい。ポリオールは、炭素原子数1~6のポリオールである、C1-ポリオールであることが好ましい。
【0038】
ポリオールとしては、ブチレングリコール(1,3-ブチレングリコール等)、ペンチレングリコール(1,2-ペンタンジオール等)、グリセリン、プロパンジオール(1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール又はこれらの混合物)、ジプロピレングリコール、ソルビトール及びこれらの混合物が例示できる。
【0039】
水中油型エマルションゲル組成物は、1種のポリオールを含有するものであってよく、2種以上のポリオールを組み合わせて含有するものであってもよい。ポリオールは、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グリセリン、プロパンジオール(1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール又はこれらの混合物)、ジプロピレングリコール、ソルビトール及びこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グリセリン及びプロパンジオール(1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール又はこれらの混合物)、ジプロピレングリコール及びソルビトールからなる群より選択される2種以上を含むことがより好ましく、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グリセリン、プロパンジオール(1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール又はこれらの混合物)、ジプロピレングリコール及びソルビトールを含むことが更に好ましい。
【0040】
特定の実施形態において、ポリオールの総含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、1質量%以上、5質量%以上、8質量%以上、又は10質量%以上であってよく、25質量%以下、20質量%以下、又は15質量%以下であってよい。特定の実施形態において、ポリオールの総含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、1質量%以上25質量%以下、5質量%以上25質量%以下、8質量%以上20質量%以下、10質量%以上20質量%以下、又は10質量%以上15%以下である。
アニオン界面活性剤
【0041】
アニオン界面活性剤は、水中で解離して陰イオンとなるイオン性解離基(陰イオン性解離基)を親水基として有する界面活性剤である。陰イオン性解離基としては、カルボキシル基(-COOH)、スルホ基(-SOH)、リン酸基(-OPO(OH))等が挙げられる。アニオン性界面活性剤は、本発明の効果により一層優れる観点から、陰イオン性解離基としてカルボキシル基を有していてよい。アニオン性界面活性剤中の陰イオン性解離基数は、例えば、1以上、又は2以上であってよく、5以下、又は4以下であってよい。アニオン性界面活性剤中の陰イオン性解離基数は、例えば、1以上5以下、2以上5以下、1以上4以下、又は2以上4以下であってよい。アニオン界面活性剤は、疎水基(疎水性を有する基)として、脂肪族炭化水素基を有していてよい。脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。脂肪族炭化水素基は、好ましくは直鎖状である。脂肪族炭化水素基の炭素数は、炭素数5~30、又は10~25であってよい。
【0042】
特定の実施形態において、アニオン界面活性剤は、本発明の効果により一層優れる観点から、アミノ酸系アニオン界面活性剤であってよい。アミノ酸系アニオン界面活性剤とは、アミノ酸残基を部分構造として有するアニオン界面活性剤である。アミノ酸としては、例えば、グルタミン酸、リシン等が挙げられる。アニオン界面活性剤は、グルタミン酸残基及び/又はリシン残基を有していてよい。アニオン性界面活性剤中の陰イオン性解離基は、アミノ酸残基に由来するカルボキシル基であってもよい。
【0043】
アミノ酸系アニオン界面活性剤としては、例えば、N-ラウロイルグルタミン酸塩、N-ミリストイルグルタミン酸塩(N-ミリストイル-L-グルタミン酸塩等)、N-ステアロイルグルタミン酸塩(例えば、N-ステアロイルグルタミン酸ナトリウム)等のN-アシルグルタミン酸塩;N-ラウロイルグリシン塩、N-ミリストイルグリシン塩、N-ステアロイルグリシン塩等のN-アシルグリシン塩;N-ラウロイルアラニン塩、N-ミリストイルアラニン塩、N-ステアロイルアラニン塩等のN-アシルアラニン塩;N-ラウロイルアスパラギン酸塩、N-ミリストイルアスパラギン酸塩、N-ステアロイルアスパラギン酸塩等のN-アシルアスパラギン酸塩、ジラウロイルグルタミン酸リシン塩(ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム等)等のジアシルグルタミン酸リシン塩、サーファクチンナトリウム及びこれらの混合物が挙げられる。
【0044】
また、その他のアニオン界面活性剤としては、ラウリン酸塩、パルミチン酸塩等の脂肪酸セッケン;セチルリン酸塩等のリン酸エステル塩;N-ココイル-N-メチルタウリン塩、N-ラウロイル-N-メチルタウリン塩、N-ミリストイル-N-メチルタウリン塩、N-ステアロイル-N-メチルタウリン塩、N-ココイルタウリン塩等の長鎖アシル低級アルキル型タウリン塩及びこれらの混合物を用いることもできる。
【0045】
特定の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、アミノ酸系アニオン界面活性剤を含み、N-ステアロイルグルタミン酸塩、ジラウロイルグルタミン酸リシン塩及びこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、塗布膜の色鮮やかさにより一層優れる観点から、N-ステアロイルグルタミン酸ナトリウム等のN-アシルグルタミン酸塩を含むことがより好ましい。
【0046】
アニオン界面活性剤の総含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上、0.8質量%以上、1.0質量%以上、又は1.2質量%以上であってよく、10質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、又は1.8質量%以下であってよい。特定の実施形態において、アニオン界面活性剤の総含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、0.1質量%以上10質量%以下、0.5質量%以上5質量%以下、0.8質量%以上4質量%以下、1.0質量%以上2.0質量%以下、又は1.2質量%以上1.8質量%以下である。
両親媒性ポリマー
【0047】
水中油型エマルションゲル組成物は、両親媒性ポリマーを含有する。両親媒性ポリマーは、疎水基と親水基の両方を有するポリマーである。
【0048】
疎水基としては、C~C30の炭化水素基が挙げられ、C~C30の直鎖状又は分岐状のアルキル基が代表的である。炭素数としては、6~30が好ましく、12~24がより好ましい。
【0049】
上記に該当する直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、ドデシル基(ラウリル基)、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ドコシル基(ベヘニル基)、デシルテトラデシル基がある。
【0050】
親水基は、例えば、イオン性解離基(例えば、カルボキシル基、スルホ基)であってもよく、非イオン性解離基であってもよい。両親媒性ポリマーは、親水基として、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)、ポリグリセリン、多糖等の親水性分子の残基を有していてよい。
【0051】
特定の実施形態において、両親媒性ポリマーは、例えば、疎水基変性親水性ウレタンポリマー、親水性基と疎水性基を含む側鎖を有する(メタ)アクリルポリマー、疎水基変性親水性多糖類及びこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種である。特定の実施形態において、本発明の組成物は、疎水基変性親水性ウレタンポリマー、親水性基と疎水性基を含む側鎖を有する(メタ)アクリルポリマー、疎水基変性親水性多糖類からなる群より選ばれる少なくとも1種の両親媒性ポリマーを含み、疎水基変性親水性ウレタンポリマー及び親水性基と疎水性基を含む側鎖を有する(メタ)アクリルポリマーからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。特定の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、疎水基変性親水性ウレタンポリマー、及び親水性基と疎水性基を含む側鎖を有する(メタ)アクリルポリマーを含む。両親媒性ポリマーにおいて、疎水基変性とは、疎水基が分子に付加されていることをいう。
【0052】
疎水基変性親水性ウレタンポリマーとしては、ポリエチレングリコールをグリコール成分として含む疎水基変性ポリエーテルウレタンが挙げられる。このようなウレタンポリマーとしては、PEOブロック、PEO/PPOブロック、PEO/PPO/PEOブロック、PPO/PEO/PPOブロック等を有する親水性ウレタンポリマーの末端又は側鎖に、上述した疎水基が導入されたものが有用である。なおPEOとはポリオキシエチレン、PPOとはポリオキシプロピレンを意味し、PEOはPEGと、PPOはPPGと記載される場合もある。なおウレタンを形成するイソシアネートとしては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネートのいずれも適用できる。
【0053】
疎水基変性親水性ウレタンポリマーとしては、例えば、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー(商品名:ADEKA NOL GT-700)、(PEG-150/デシルアルコール/飽和ビスメチレンジフェニルイソシアネート(SMDI))コポリマー(商品名:Aculyn 44)、(PEG-150/ステアリルアルコール/SMDI)コポリマー(商品名:Aculyn 46N)が挙げられる。
【0054】
両親媒性ポリマーにおける、(メタ)アクリルポリマーは、(メタ)アクリルモノマーを主なモノマー単位として含むものを意味する。
【0055】
親水性基と疎水性基を含む側鎖を有する(メタ)アクリルポリマーとしては、親水性基を含み、かつ、疎水性機を含まない側鎖(親水性側鎖)及び疎水性基を含み、かつ、親水性基を含まない側鎖(疎水性側鎖)を有する(メタ)アクリルポリマー、並びに、親水性基及び疎水性基を含む側鎖(両親媒性側鎖)を有する(メタ)アクリルポリマーが挙げられる。親水性基としては、例えば、カルボキシル基(-COOH)、スルホン酸基(-SOH)が挙げられる。
【0056】
親水性側鎖及び疎水性側鎖を有する(メタ)アクリルポリマーは、親水性基を含み、かつ、疎水性基を含まないモノマー単位と、疎水性基を含み、かつ、親水性基を含まないモノマー単位とを有する。本明細書において、(メタ)アクリルモノマーは、(メタ)アクリル基中の反応性部位としてのエチレン性不飽和基(CR=CH-、Rは水素原子又はメチル基を示す。)と、エチレン性不飽和基に結合した側鎖基とからなる。
【0057】
疎水性基は、エステル結合(-COO-)を介して主鎖と結合してよい。疎水基としては、アルキル基が挙げられる。疎水基におけるアルキル基の炭素数は、例えば、1~22であってよい。
【0058】
親水性側鎖及び疎水性側鎖を有する(メタ)アクリルポリマーは、例えば、(メタ)アクリル酸と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとをモノマー単位として有していてよい。親水性側鎖及び疎水性側鎖を有する(メタ)アクリルポリマーとして特に好適なものは、例えば、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー(例えば、商品名:Aculyn 28)が挙げられ、これらの中には水酸化ナトリウムといった塩基と併用し、中和して用いられるのが好ましいものも存在する。
【0059】
両親媒性側鎖を有する(メタ)アクリルポリマーは、親水性基及び疎水性基を含むモノマー単位を有する。両親媒性側鎖は、例えば、アミド結合(-CONH-)を介して主鎖と結合していてよい。両親媒性側鎖は、親水性基として、スルホン酸基を有していてよく、疎水性基として、アルキレン基を有していてよい。両親媒性側鎖におけるアルキレン基の炭素数は、例えば、3~6であってよく、該アルキレン基は、例えば、-C(CH-CH-であってよい。両親媒性側鎖は、アルキルスルホン酸基(例えば、-C(CH-CH-SOH)を有するものであってよい。
【0060】
両親媒性側鎖を有する(メタ)アクリルポリマーは、例えば、親水性基と疎水性基を含む置換基で置換された(メタ)アクリルアミドとをモノマー単位として有する(メタ)アクリルポリマーであってよい。上記置換基としては、アルキル置換タウリン基等のアルキル置換アミノアルキルスルホン酸基が挙げられる。アルキル置換タウリン基としては、ジメチルタウリン基(-NH-C(CH-CH-SOH)が例示できる。アルキル置換タウリン基は側鎖を構成しており、-SOH(又はこの塩)が親水基、-NHと-SOH(又はこの塩)の間の部分が疎水基である。
【0061】
両親媒性側鎖を有する(メタ)アクリルポリマーは、両親媒性モノマー単位以外のモノマー単位(他のモノマー単位)を更に有していてもよい。他のモノマー単位としては、例えば、ビニルモノマーに由来するモノマー単位、(メタ)アクリルモノマーに由来するモノマー単位が挙げられる。ビニルモノマーとしては、例えば、N-ビニルピロリドンが挙げられる。(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0062】
両親媒性側鎖を有する(メタ)アクリルポリマーとしては、例えば、N-ビニルピロリドンと、親水性基と疎水性基を含む置換基で置換された(メタ)アクリルアミドとをモノマー単位として有する(メタ)アクリルポリマーが有用である。このような成分としては、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー(商品名:ARISTOFLEX AVC)が挙げられる。
【0063】
両親媒性側鎖を有する(メタ)アクリルポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルと、親水性基と疎水性基を含む置換基で置換された(メタ)アクリルアミドとをモノマー単位として有する(メタ)アクリルポリマーが有用である。このような成分としては、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー(商品名:SIMULGEL NS)が挙げられる。
【0064】
疎水基変性親水性多糖類としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のようなヒドロキシアルキルアルキルセルロースが上述した疎水基で変性されたものが有用である。このような成分としては、疎水基がステアロイル基である、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:SANGELOSE 90L)が挙げられる。
【0065】
特定の実施形態において、水中油型エマルションゲル組成物は、1種の両親媒性ポリマー、又は、2種以上の組み合わせを含む。
【0066】
水中油型エマルションゲル組成物は、塗布膜の色鮮やかさ及びナリシング効果に更に優れる観点から、疎水基変性親水性ウレタンポリマー、並びに、親水性基及び疎水性基を含む側鎖を有する(メタ)アクリルポリマーを両親媒性ポリマーとして含んでいてよく、疎水基変性親水性ウレタンポリマー、並びに、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルと親水性基及び疎水性基を含む置換基で置換された(メタ)アクリルアミドとをモノマー単位として有する(メタ)アクリルポリマーを含む。
【0067】
両親媒性ポリマーの総含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、0.01質量%以上、又は0.03質量%以上であってよく、5.0質量%以下、2質量%以下、1.0質量%以下、又は0.5質量%以下であってよい。特定の実施形態において、両親媒性ポリマーの総含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、0.01質量%以上5.0質量%以下、又は0.03質量%以上1.5質量%以下である。
着色材料
【0068】
水中油型エマルションゲル組成物は、少なくとも1種の着色材料を更に含む。本発明における“着色材料”は、適切な化粧品媒体に十分な量で処方されたときに着色された光学効果を生み出すことができる化合物を意味する。着色材料は、天然又は非天然であってよく、水に可溶性若しくは非可溶性、油剤に可溶若しくは非可溶、又は有機若しくは無機であってよい。
特定の実施形態において、本発明における着色材料は、染料、顔料、真珠光沢顔料、及びこれらの混合物からなる群より選択される。
特定の実施形態において、本発明の水中油型エマルションゲル組成物は、染料、顔料、真珠光沢顔料、又はこれらの混合物より選択される着色材料を含む。
特定の好ましい実施形態において、本発明の水中油型エマルションゲル組成物は、少なくとも染料を含む。
「染料」とは、特に化粧品分野で慣用的に使用される染料を意味し、食品に使用される食品染料とは異なる。
染料としては、例えば、日本名赤色227号(FDA:D&CRED33、CI:17200)、日本名赤色104号(FDA:D&CRED28、CI:45410)、日本名黄色4号(FDA:D&C YELLOW 5, CI:19140)、日本名5号(FDA:D&C YELLOW 6, CI:15985)及び日本名青色1号(FDA:D&C BLUE 1, CI:42090)が挙げられる。Green 5、Green 3、Green 6、Orange 4、Red 4、Red 21、Red 22、Red 27、Red 28、Red 33、Red 40、及び、例えば、レッドスーダン、β-カロテン、ブラウンスーダン、キノリンイエロー及びロココ(rococo)等の脂溶性染料を挙げることもできる。
染料の総含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の用途等に応じて、適宜設定してよい。特定の実施形態において、染料の総含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、0.001質量%以上1.0質量%以下、又は0.01質量%以上0.5質量%以下である。
【0069】
水中油型エマルションゲル組成物は、少なくとも1種の顔料を更に含有していてよい。“顔料”とは、白色若しくは着色粒子、又は、ミネラル若しくは有機物であり、塗布膜の着色及び/若しくは不透明化を意図したものを意味する。顔料は、有機顔料であってもよく、無機顔料であってもよい。顔料としては、例えば、日本名赤色201号(FDA名:D&CRED6、CI:15850)、日本名赤色202号(FDA名:D&CRED7、CI:15850)、日本名赤色226号(FDA名:D&CRED30、CI:73360)、D&C Red n°27;D&C Redn°22;D&C Red n°21;D&CRed n°28;D&C orange n°4;D&C Redn° 33;D&C Yellow n°5;D&C Red n°36;D&C Yellow n°6;D&C Blue 1等の有機顔料、二酸化チタン、黒酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄及びマンガンバイオレット等の無機顔料が挙げられる。が挙げられる。顔料の含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の用途等に応じて、適宜設定してよい。特定の実施形態において、顔料の総含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、0.01質量%以上5.0質量%以下、0.01質量%以上3.0質量%以下、又は0.01質量%以上1.0質量%以下である。“真珠光沢顔料”は、酸化鉄を有するチタンマイカ、前述のタイプの有機顔料を有するチタンマイカ、ならびにオキシ塩化ビスマスをベースとする顔料のような酸化チタン、ビスマスオキシクロライド及び着色真珠顔料で被覆された白色真珠光沢顔料、及び、ビスマスオキシクロライドをベースとする顔料から選択されてよい。真珠光沢顔料はまた、シリカ、アルミナ、水酸化物アルミナ、合成マイカ、酸化スズ、又はホウ珪酸塩のベースを有してもよい。
【0070】
特定の実施形態において、水中油型エマルションゲル組成物は、塗布膜の色鮮やかさが更に優れたものとなる観点から、高級脂肪族1価アルコールを更に含有する。高級脂肪族1価アルコールは、1個のヒドロキシル基を有する、炭素数6以上の鎖式アルコールを意味する。高級脂肪族1価アルコールは、不飽和結合を有しない飽和アルコールであってよい。高級脂肪族1価アルコールの炭素数は、8以上、12以上、又は14以上であってよく、30以下、20以下、又は18以下であってよい。高級アルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール等が挙げられる。特定の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、塗布膜の色鮮やかさがより一層優れたものとなる観点から、セチルアルコールを含む。
【0071】
高級脂肪族1価アルコールの総含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、0.01質量%以上、又は0.1質量%以上であってよく、3質量%以下、又は1質量%以下であってよい。特定の実施形態において、高級脂肪族1価アルコールの含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、0.01質量%以上3質量%以下、又は0.1質量%以上1質量%以下である。
追加成分
【0072】
水中油型エマルションゲル組成物は、上述した成分以外の他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、防腐剤、pH調整剤、香料、酸化防止剤、キレート剤等が挙げられる。
【0073】
防腐剤としては、フェノキシエタノールが挙げられる。防腐剤の含有量は、化粧料の用途、防腐剤の種類等に応じて、適宜設定してよい。例えば、防腐剤の含有量は、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、0.01質量%以上2.0質量%、又は0.1質量%以上1.0質量%以下であってよい。
粘度
【0074】
水中油型エマルションゲル組成物の粘度は、25℃において20,000~400,000cpsであってよく、25℃において50,000~400,000cpsであることが好ましい。本発明の水中油型エマルションゲル組成物の粘度は、回転粘度計(Rheolab QC by Anton Paar GmbH)を用いて、10rpmの条件下で、せん断粘度に基づいて測定し、ST22-2V-19/110測定器を用いて25℃で7分間測定した粘度を記録することができる。
水中油型エマルションゲル組成物の25℃における粘度がこの範囲内にあることによって、塗布膜の色鮮やかさ、ナリシング効果及び安定性がより一層優れたものとなる。水中油型エマルションゲル組成物の25℃における粘度は、例えば、20,000cps以上、30,000cps以上、40,000cps以上、50,000cps以上、75,000cps以上、100,000cps以上、120,000cps以上、140,000cps以上、又は150,000cps以上であってもよく、400,000cps以下、350,000cps以下、300,000cps以下、250,000cps以下、200,000cps以下、又は180,000cps以下であってよい。特定の実施形態において、水中油型エマルションゲル組成物の25℃における粘度は、30,000~350,000cpsであってよく、40,000~300,000cpsであることが好ましく、50,000~250,000cpsであることがより好ましい。好ましい実施形態において、水中油型エマルションゲル組成物の25℃における粘度は、塗布膜の色鮮やかさ、ナリシング効果及び安定性がより一層優れたものとなる観点から、75,000~300,000cps、又は100,000~300,000cps、又は140,000cps~300,000cpsであってもよい。
乳化プロセス
【0075】
特定の実施形態において、水中油型エマルションゲル組成物は、50MPa以上の圧力で乳化して得ることができる。乳化する際の圧力は、例えば、100MPa以上、又は150MPa以上であってよく、500MPa以下、400MPa以下、300MPa以下、又は250MPa以下であってよく、200MPaであってよい。乳化する際の温度は、例えば、20℃以上、又は30℃以上であってよく、80℃以下、70℃以下、又は40℃以下であってもよい。
【0076】
特定の実施形態において、このような乳化は、高圧乳化機を用いて行われる。ここで、高圧乳化機とは、ポンプにより流体に加圧し、流路に設けた微細から噴出させることにより、乳化を行う装置をいう。高圧乳化機としては、スターバーストミニ(スギノマシン社製)を挙げることができる。
【0077】
実施形態の水中油型エマルションゲル組成物の製造方法は、例えば、油剤、水及びアニオン界面活性剤を少なくとも含有する混合液を高圧乳化する工程を含む。上述した各成分それぞれは、高圧乳化前に、混合液に含有させてもよいし、高圧乳化後に得られる乳化液に含有させてもよい。
【0078】
実施形態の水中油型エマルションゲル組成物は、例えば、水及びアニオン界面活性剤を含む第1の液と、油剤を含む第2の液と、を混合して、油剤、水及びアニオン界面活性剤を含む混合液を得る工程(混合工程)と、混合液を高圧乳化して乳化液を得る工程(高圧乳化工程)とを備えていてよい。上述した各成分それぞれは、第1の液に混合することによって含有させてもよく、第2の液に混合することによって含有させてもよく、混合液に混合することによって含有させてもよく、乳化液に混合することによって含有させてもよい。
【0079】
塗布膜の色鮮やかさ及びナリシング効果がより一層優れたものとなる観点から、両親媒性ポリマーは、少なくとも第1の液に混合することにより含有させてよく、第1の液に加えて、乳化液に混合することにより含有させてもよい。
【0080】
ポリオールは第1の液に混合することにより、水中油型エマルションゲル組成物に含有させることが好ましい。染料及び顔料等の着色材料は乳化液に混合することにより、水中油型エマルションゲル組成物に含有させることが好ましい。高級脂肪族1価アルコールは第2の液に混合することにより、水中油型エマルションゲル組成物に含有させることが好ましい。
【0081】
第1の液に混合する両親媒性ポリマー(第1の両親媒性ポリマー)は、乳化液に混合する両親媒性ポリマー(第2の両親媒性ポリマー)と、同種であっても、異種であってもよいが、異種であることが好ましい。第1の両親媒性ポリマーは、疎水基変性親水性ウレタンポリマー、及び/又は親水性基と疎水性基を含む側鎖を有する(メタ)アクリルポリマーを含むことが好ましく、第2の両親媒性ポリマーは、疎水性基を含む側鎖を有する(メタ)アクリルポリマーを含むことが好ましい。
【実施例
【0082】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0083】
<実施例の水中油型化粧料の調製>
表中のA欄に示す成分(A成分)と、表中のB欄に示す成分(B成分)を撹拌機(homogenizer)により70℃で混合及び撹拌した。表中のC欄に示す成分(C成分)を撹拌機(homogenizer)により70℃で混合し、これと、A成分及びB成分の混合物と、を撹拌機(homogenizer)により70℃で混合した。A~C成分の混合物を30℃まで冷却した後、高圧乳化機(例えばStar Burst Mini:スギノマシン社製)を用いて、高圧乳化させた。乳化させる際の圧力は、実施例1、4~17、及び19~20では200MPa、実施例2では50MPa、実施例3では100MPaとした。実施例9、実施例14及び実施例20では、高圧乳化後の混合物に、表中のD欄に示す成分(D成分)を室温で更に添加した。高圧乳化後、又はD成分の添加後の混合物に、表中のE欄に示す成分(E成分)を添加し、撹拌機により混合した。これにより、実施例1~17、19の水中油型化粧料を得た。
【0084】
表中のB欄に示す成分(B成分)を添加しなかったこと、及び、高圧乳化後の混合物に、表中のF欄に示す成分(F成分)を、E成分とともに添加したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例18の水中油型化粧料を得た。
【0085】
上述した製造方法により得られた実施例1~20の水中油型化粧料は、いずれもゲル状であった。ゲル状であるか否かの確認は、水平面に対して30℃度傾斜した傾斜面上に0.5gの水中油型化粧料を配置したときに、25℃の条件下で1時間流動しないことを確認する試験により実施した。水中油型化粧料が流動しないことの確認は目視により行った。
【0086】
表1~3に示す各成分の含有量(質量%)は、水中油型乳化化粧料の全質量に対する含有量である。
【0087】
<比較例の水中油型化粧料の調製>
本発明の組成物の本質的な特徴である両親媒性ポリマーに対応する(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーを含まないこと以外は、実施例18と同様にして比較例1の水中油型化粧料を得た。
【0088】
本発明の組成物の本質的な特徴であるアニオン界面活性剤(ステアロイルグルタミン酸ナトリウム)の代わりに、非イオン界面活性剤(PEG-60水添ヒマシ油)を含有すること以外は実施例1と同様にして比較例2の水中油型化粧料を得た。
【0089】
上記製造方法により得られた比較例1および比較例2の水中油型化粧料はいずれもゲル組成物ではなかった。このことは実施例の水中油型乳化ゲル組成物と同様の方法で確認した。
【0090】
<粘度測定>
実施例及び比較例の水中油型エマルションゲル組成物の粘度は、回転粘度計(アントンパール株式会社製 Rheolab QC)を用いた剪断粘度測定により、回転数10rpmの条件下、測定冶具ST22-2V-19/110を用いて25℃で7分間測定による粘度を測定することにより実施した。
【0091】
<官能評価>
実施例及び比較例の水中油型化粧料について官能評価を実施した。みずみずしく軽い感触、塗布膜(メイクアップフィルム)の色鮮やかさ、及びナリシング効果の評価項目について、本発明者らが所属する組織の化粧品専門評価パネル10人に(25歳-55歳)による、唇への単回使用により、以下の基準にて評価した。結果を表1~3に示す。評価A~Cである場合に、優れていると判断される。
A:非常に良好
B:より良好
C:良好
D:認められない
E:良くない
F:悪い
【0092】
上記官能評価は、水中油型化粧料を付着させたフロッキーチップを用いて、水中油型化粧料を唇に塗布することにより実施した。フロッキーチップは、液状口紅の塗布に一般的に用いられる塗布体である。フロッキーチップを実施例又は比較例の水中油型化粧料適量に含浸させることにより、フロッキーチップに水中油型化粧料を付着させた。
【0093】
みずみずしく軽い感触の評価が良好であるほど、よりみずみずしく負担感がないと感じられる。塗布膜(メイクアップフィルム)の色鮮やかさは、塗布膜(化粧膜)の均一さに由来する色鮮やかさを指標として評価される。塗布膜(メイクアップフィルム)の色鮮やかさの評価が良好であるほど、均一な化粧膜が形成されやすく、これによって色鮮やかに感じられるようになる。ナリシング効果は、化粧料が乾いた後に感じる保湿感及び非乾燥感を指標に評価される。ナリシング効果の評価が良好であるほど、水中油型化粧料が乾いた後に、乾燥感がなく、潤いが感じられる。
【0094】
実施例及び比較例の水中油型乳化化粧料について、安定性について評価した。安定性は、水中油型乳化化粧料を50℃で、28日間静置し、静置後の水中油型乳化化粧料の外観を目視で観察することにより評価した。外観を観察した結果、水中油型乳化化粧料に分離が生じていた場合「B」と評価し、外観に変化が確認されなかった場合「A」と評価した。評価Aである場合に、安定性に優れていると判断される。
【0095】
表1は、本発明の水中油型エマルションゲル組成物の14例を示す。これらの組成物は全て、油剤、アニオン性界面活性剤、ポリオール、両親媒性ポリマー、水、染料及び顔料、並びに、場合により第2の両親媒性ポリマー(実施例9および14)、又は、より高級な脂肪族一価アルコール(実施例10のセチルアルコール)を含む。これらの組成物は、みずみずしく軽い感覚、塗布膜の色鮮やかさ、ナリシング効果及び良好な安定性を有している。最良の性能は,異なる型の二つの両親媒性高分子を有する組成物で得られた。
【表1】
【0096】
表2は、本発明の水中油型エマルションゲル組成物をさらに3例開示しており、ここで、異なる両親媒性ポリマーが例示されている。これらの3つの組成物は、みずみずしく軽い感覚、塗布膜の色鮮やかさ、ナリシング効果及び良好な安定性を有している。
【表2】
【0097】
表3は、本発明の水中油型エマルションゲル組成物をさらに3例、比較例をさらに2例開示しており、ここで、比較例1は組成物が両親媒性ポリマーを含有しない場合を示し、比較例2は界面活性剤がアニオン性界面活性剤でない場合を示している。
【表3】
【0098】
*1:AMISOFT HS-11PF(商品名、味の素株式会社製)、*2:PELICER L-30(商品名、旭化成株式会社製)、*3:ADEKANOL GT-700(商品名、株式会社ADEKA製)、*4:ACULYN 44(商品名、ダウ・ケミカル社製)、*5:ACULYN 46N(商品名、ダウ・ケミカル社製)、*6:ACULYN 28(商品名、ダウ・ケミカル社製)、*7:TMF-1.5(商品名:信越化学工業株式会社製)、*8:SIMULGEL NS(商品名、セピック社製)、*9:SYMPHOLIGHT WW(商品名、日揮株式会社(JGC CORPORATION))、*10: ARISTOFLEX AVC(商品名、CLARIANT製)、*11:SANGELOSE 90L(商品名、大同化学株式会社製)。
【0099】
比較例の結果は、油剤、ポリオール、染料及び顔料を含む水中油型乳剤において、アニオン界面活性剤の存在及び両親媒性ポリマーの存在の両方が、みずみずしく軽い感覚、塗布膜の色の鮮やかさ、ナリシング効果及び良好な安定性を有する本発明に係る水中油型乳化ゲル組成物を得るために必要であること、すなわち、必須の特徴であることを示している。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油剤、水、ポリオール、アニオン界面活性剤、両親媒性ポリマー及び着色材料を含有する、水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項2】
前記ポリオールが、C1-C6ポリオールである、請求項1に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項3】
前記ポリオールが、ペンチレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ソルビトール及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1又は2に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項4】
前記アニオン界面活性剤が、アミノ酸系アニオン界面活性剤、特に、N-ステアロイルグルタミン酸塩、ジラウロイルグルタミン酸リシン塩及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項5】
前記油剤の総含有量が、水中油型エマルションゲル組成物の全質量を基準として、20質量%以上50質量%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項6】
前記両親媒性ポリマーが、疎水基変性親水性ウレタンポリマー、及び親水性基と疎水性基を含む側鎖を有する(メタ)アクリルポリマー、疎水基変性親水性多糖類及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項7】
前記両親媒性ポリマーが、疎水基変性親水性ウレタンポリマーと、親水性基及び疎水性基を含む側鎖を有する(メタ)アクリルポリマーとを含む両親媒性ポリマーの混合物を含む、請求項6に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項8】
前記疎水基変性親水性ウレタンポリマーが、グリコール成分としてポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールを含む疎水基変性ポリエーテルウレタンを含む、請求項6又は7に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項9】
前記着色材料が、染料、顔料、真珠層又は真珠光沢顔料、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項10】
高級脂肪族1価アルコールを更に含有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項11】
25℃における粘度が20000~400000cps、好ましくは50000~400000cpsの範囲である、請求項1~10のいずれか一項に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項12】
唇用である、請求項1~11のいずれか一項に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項13】
50MPa以上の圧力で乳化して得ることのできる、請求項1~12のいずれか一項に記載の水中油型エマルションゲル組成物。
【請求項14】
ケラチン物質をケア及び/又はメイクアップするための化粧方法であって、請求項1~13のいずれか一項に記載の水中油型エマルションゲル組成物を、ケラチン物質、特に皮膚又は唇に適用することを含む、化粧方法。
【請求項15】
前記水中油型エマルションゲル組成物が、ケラチン物質、特に、それが適用される皮膚又は唇に、みずみずしく軽い感触、塗布膜の色鮮やかさ、及びナリシング効果を与える、請求項14に記載の化粧方法。
【国際調査報告】