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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】ポリマードット
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/06 20060101AFI20221007BHJP
   C08G 61/12 20060101ALI20221007BHJP
   G01N 33/533 20060101ALI20221007BHJP
   C07D 271/12 20060101ALN20221007BHJP
   C07D 417/14 20060101ALN20221007BHJP
【FI】
C09K11/06
C08G61/12
G01N33/533
C07D271/12
C07D417/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577366
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(85)【翻訳文提出日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 US2020045307
(87)【国際公開番号】W WO2021030160
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】62/884,706
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504121623
【氏名又は名称】バイオ-ラッド・ラボラトリーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】べライル,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ガリメラ,プラヴィーナ,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ラニス,レイラ,アメリー
【テーマコード(参考)】
4C063
4J032
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB01
4C063CC92
4C063DD67
4C063EE10
4J032BA12
4J032BA20
4J032BB06
4J032CG03
(57)【要約】
官能化蛍光ポリマーと両親媒性分子とを含むポリマードットを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性領域及び親水性官能基を有する親水性領域を有する蛍光ポリマーと、
疎水性領域及び親水性領域を有する両親媒性分子と
を含み、前記親水性官能基は、コンジュゲーションに利用される、
ポリマードット。
【請求項2】
前記蛍光ポリマー及び前記両親媒性分子の前記疎水性領域は、前記ポリマードットの疎水性コアに埋め込まれ、前記蛍光ポリマー及び前記両親媒性分子の前記親水性領域は、親水性外層を形成し、前記蛍光ポリマー中の前記親水性官能基は、前記ポリマードットの表面上の前記親水性外層に位置する、請求項1に記載のポリマードット。
【請求項3】
前記蛍光ポリマーは、ヘテロポリマーである、請求項1又は2に記載のポリマードット。
【請求項4】
前記ヘテロポリマーは、少なくとも2つの異なるモノマーを含む、請求項3に記載のポリマードット。
【請求項5】
前記モノマーは、それぞれ独立して、BODIPY、BODIPY誘導体、フルオレン、フルオレン誘導体、ベンゾチアジアゾール、ベンゾチアジアゾール誘導体、ベンゾオキサジアゾール、及びベンゾオキサジオール誘導体からなる群から選択される、請求項4に記載のポリマードット。
【請求項6】
前記モノマーは、それぞれ独立して、
【化1】
(ジブロモベンゾオキサジオール)、
【化2】
(4,7ビス(2-ブロモ-5-チエニル)-2,1,3-ベンゾチアジアゾール)、
【化3】
(9,9-ジオクチル-2,7-ジブロモフルオレン)、
【化4】
(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジボロン酸ビス(1,3-プロパンジオール)エステル)、
【化5】
及び
【化6】
(n=10~30)からなる群から選択される、
請求項5に記載のポリマードット。
【請求項7】
nが22である、請求項6に記載のポリマードット。
【請求項8】
前記親水性官能基は、カルボキシル、アミノ、メルカプト、アジド、アルキン、アルデヒド、ヒドロキシル、カルボニル、サルフェート、スルホネート、ホスフェート、シアネート、スクシンイミジルエステル、歪みアルキン、アジド、ジエン、アルケン、テトラジン、歪みアルケン、シクロオクチン、ホスフィン基及びそれらの誘導体からなる群より選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載のポリマードット。
【請求項9】
前記ポリマー中の前記親水性官能基は、生体分子にコンジュゲートしている、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリマードット。
【請求項10】
前記生体分子は、合成又は天然に存在するタンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、核酸、炭水化物、脂質、及び脂肪酸からなる群より選択される、請求項9に記載のポリマードット。
【請求項11】
前記生体分子は、抗体である、請求項9又は10に記載のポリマードット。
【請求項12】
前記両親媒性分子の前記親水性領域は、ポリアルキレングリコールを含む、請求項1又は2に記載のポリマードット。
【請求項13】
前記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールである、請求項12に記載のポリマードット。
【請求項14】
前記ポリマードットのサイズは、約5~約25ナノメートル又は約5~約20nmである、請求項1~13のいずれか1項に記載のポリマードット。
【請求項15】
前記両親媒性分子対前記蛍光ポリマーの重量比(w/w%)は、約10%~約200%である、請求項1~14のいずれか1項に記載のポリマードット。
【請求項16】
前記両親媒性分子の前記疎水性領域は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミノ(DSPE)部分、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DMPE)部分、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DLPE)部分、及び(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)(DPPE)部分からなる群より選択される脂質部分を含む、請求項1又は2に記載のポリマードット。
【請求項17】
前記両親媒性分子は、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-ポリ(エチレングリコール)-ヒドロキシル-1000又は-2000](DSPE-PEG-OH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-NH2)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-COOH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)ヒドロキシル-1000又は-2000](DMPE-PEG-OH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-NH2)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-COOH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG)
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-ヒドロキシル-1000又は-2000](DLPE-PEG-OH)
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-NH2)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-COOH)
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG)
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-ヒドロキシル-1000又は-2000](DPPE-PEG-OH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-NH2)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-COOH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-OH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-NH2)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-COOH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-ビオチン)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-OH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-NH2)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-COOH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-ビオチン)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-OH)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-NH2)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-COOH)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-ビオチン)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-OH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-NH2)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-COOH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-ビオチン)
からなる群から選択される、請求項1~16のいずれか1項に記載のポリマードット。
【請求項18】
ポリマードットを生成する方法であって、
非プロトン性溶媒中で両親媒性分子と蛍光ポリマーとの混合物を調製し、
前記混合物をプロトン性溶媒に添加して、ポリマードットを形成することを含み、
前記蛍光ポリマーは、疎水性領域及び親水性領域を含み、前記親水性領域は、親水性官能基を有し、前記両親媒性分子は、疎水性領域及び親水性領域を含み、前記両親媒性分子対前記蛍光ポリマーの重量比(w/w)(両親媒性分子:蛍光ポリマー)は、0.1~2:1又は約10%~約200%であり、前記親水性官能基は、コンジュゲーションに利用される、方法。
【請求項19】
前記蛍光ポリマー及び前記両親媒性分子の前記疎水性領域は、前記ポリマードットの疎水性コアに埋め込まれ、前記蛍光ポリマー及び前記両親媒性分子の前記親水性領域は、親水性外層を形成し、前記蛍光ポリマー中の前記親水性官能基は、前記ポリマードットの表面上の前記親水性外層に位置する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記非プロトン性溶媒は、テトラヒドロフランである、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記プロトン性溶媒は、水である、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項22】
生体分子を、前記親水性官能基を介して前記ポリマードットにコンジュゲートさせることをさらに含む、請求項18~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記両親媒性分子は、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-ポリ(エチレングリコール)-ヒドロキシル-1000又は-2000](DSPE-PEG-OH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-NH2)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-COOH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)ヒドロキシル-1000又は-2000](DMPE-PEG-OH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-NH2)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-COOH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG)
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-ヒドロキシル-1000又は-2000](DLPE-PEG-OH)
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-NH2)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-COOH)
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG)
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-ヒドロキシル-1000又は-2000](DPPE-PEG-OH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-NH2)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-COOH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-OH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-NH2)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-COOH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-ビオチン)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-OH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-NH2)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-COOH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-ビオチン)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-OH)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-NH2)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-COOH)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-ビオチン)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-OH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-NH2)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-COOH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-ビオチン)
からなる群から選択される、請求項18~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
両親媒性分子の蛍光ポリマーに対する重量比(パーセンテージとして表される)は、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約105%、約110%、約115%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、約175%、約180%、約185%、約190%、約195%、又は約200%である、請求項18~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
両親媒性分子対蛍光ポリマーの重量比は、約0.1:1、0.2:1、0.3:1、0.4:1、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1.0:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、又は2.0:1である、請求項18~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
請求項18~25のいずれか1項に記載の方法によって製造されたポリマードットの集団であって、前記ポリマードットの集団は、約5nm~約25nmの平均有効直径を有し、ただし、前記集団中のポリマードットの少なくとも50%は、約25nm未満の平均有効直径を有する、ポリマードットの集団。
【請求項27】
生物学的サンプル中の標的分子を検出する方法であって、生物学的サンプルを、請求項1~17のいずれか1項に記載のポリマードットと接触させ、前記標的分子を検出することを含む、方法。
【請求項28】
前記ポリマードットは、約5nm~約25nmの平均有効直径を有し、ただし、前記集団中のポリマードットの少なくとも50%は、約25nm未満の平均有効直径を有する、請求項1に記載のポリマードット。
【請求項29】
前記蛍光ポリマーは、ホモポリマーである、請求項1又は2に記載のポリマードット。
【請求項30】
生物学的サンプル中の標的分子を検出する方法であって、生物学的サンプルを請求項26に記載のポリマードットの集団と接触させ、標的分子を検出することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願を相互参照
本出願は、2019年8月9日出願の米国仮出願第62/884,706号の優先権を主張するものであり、内容を参照することにより組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
従来の有機染料よりも高い輝度及び光安定性のために、量子ドット及びポリマーベースドット(又はポリマードット)等のナノ粒子ベースの蛍光プローブは、生物学系を研究するための様々な蛍光ベースの技法で使用されている。しかしながら、無機量子ドットは、活性酸素種によって分解され、有毒な重金属を放出する可能性がある。従って、量子ドットの使用は、ex vivo用途に限定される。蛍光ポリマードットは、溶液中に浸出する重金属を有しておらず、従って、インビボ用途に使用することができる。生物学系において使用するために、蛍光プローブが、プローブの表面上の官能基を介してタンパク質(例えば、抗体)にコンジュゲートされる。ポリマーベースのナノ粒子については、ナノ粒子を生成するために使用されるポリマーは疎水性であり、タンパク質が付加する粒子の表面上に官能基を常に有するとは限らない。ポリマードットの表面を官能化するために使用される1つのアプローチは、ポリマードットの表面に親水性コーティングを適用することである。親水性コーティングは、タンパク質をコンジュゲートさせることができる親水性官能基を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
ポリマードット、ポリマードットを生成する方法、及びそのようなポリマードットのバイオコンジュゲートが提供される。
【0004】
一実施形態において、ポリマードットは、疎水性領域及び親水性官能基を有する親水性領域を有する蛍光ポリマーと、疎水性領域及び親水性領域を有する両親媒性分子とを含み、親水性官能基は、コンジュゲーションに利用される。いくつかの実施形態において、蛍光ポリマー及び両親媒性分子の疎水性領域は、ポリマードットの疎水性コアに埋め込まれ、蛍光ポリマー及び両親媒性分子の親水性領域は、親水性外層を形成し、蛍光ポリマー中の親水性官能基は、ポリマードットの表面上の親水性外層に位置する。
【0005】
いくつかの実施形態において、蛍光ポリマーはヘテロポリマーである。いくつかの実施形態において、ヘテロポリマーは、少なくとも2つの異なるモノマーを含む。特定の実施形態において、モノマーは、BODIPY、BODIPY誘導体、フルオレン、フルオレン誘導体、ベンゾチアジアゾール、ベンゾチアジアゾール誘導体、ベンゾキサジオール、及び/又はベンゾオキサジオール誘導体である。いくつかの実施形態において、モノマーは、
【化1】
(ジブロモベンゾオキサジオール)、
【化2】
(4,7ビス(2-ブロモ-5-チエニル)-2,1,3-ベンゾチアジアゾール)、
【化3】
(9,9-ジオクチル-2,7-ジブロモフルオレン)、
【化4】
(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジボロン酸
ビス(1,3-プロパンジオール)エステル)、
【化5】
及び/又は
【化6】
(n=10~30)である。一実施形態において、n=22である。いくつかの実施形態において、蛍光ポリマーはホモポリマーである。
【0006】
いくつかの実施形態において、親水性官能基は、カルボキシル、アミノ、メルカプト、アジド、アルキン、アルデヒド、ヒドロキシル、カルボニル、サルフェート、スルホネート、ホスフェート、シアネート、スクシンイミジルエステル、歪みアルキン、アジド、ジエン、アルケン、テトラジン、歪みアルケン、シクロオクチン、ホスフィン基又はそれらの誘導体である。特定の実施形態において、ポリマー中の親水性官能基は、生体分子にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態において、生体分子は、合成又は天然に存在するタンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、核酸、炭水化物、脂質、又は脂肪酸である。いくつかの実施形態において、生体分子は抗体である。いくつかの実施形態において、両親媒性分子の親水性領域は、ポリアルキレングリコールを含む。いくつかの実施形態において、ポリアルキレングリコールはポリエチレングリコールである。いくつかの実施形態において、ポリマードットのサイズは、約5~20ナノメートルである。いくつかの実施形態において、蛍光ポリマーに対する両親媒性分子の重量比は、約10%~約200%である。他の実施形態において、重量比は、蛍光ポリマーに対して約0.1~約2(すなわち、約0.1~2.0:1)である両親媒性分子の範囲として表される。これらの実施形態のいくつかは、約0.25:1、約0.5:1、約0.75:1、約1:1、約1.25:1、約1.5:1、約1.75:1、又は約2:1の重量比となる。いくつかの実施形態において、両親媒性分子の疎水性領域は、これらに限られるものではないが、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミノ(DSPE)部分、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DMPE)部分、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DLPE)部分、及び(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)(DPPE)部分をはじめとする脂質部分を含む。いくつかの実施形態において、両親媒性分子は、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-ポリ(エチレングリコール)-ヒドロキシル-1000又は-2000](DSPE-PEG-OH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-NH2)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-COOH)
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-マレイミド)
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)ヒドロキシル-1000又は-2000](DMPE-PEG-OH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-NH2)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-COOH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-ヒドロキシル-1000又は-2000](DLPE-PEG-OH)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-NH2)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-COOH)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-ヒドロキシル-1000又は-2000](DPPE-PEG-OH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-NH2)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-COOH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-OH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-OCH3),1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-NH2)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-COOH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-ビオチン)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-OH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-NH2)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-COOH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-ビオチン)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-OH)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-NH2)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-COOH)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-ビオチン)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-OH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-OCH3)又は
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-NH2)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-COOH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-ビオチン)である。
【0007】
一実施形態において、ポリマードットを生成する方法は、非プロトン性溶媒中で蛍光ポリマーと両親媒性分子との混合物を調製し、混合物をプロトン性溶媒に添加して、ポリマードットを形成することを含み、蛍光ポリマーは、疎水性領域及び親水性領域を含み、親水性領域は、親水性官能基を有し、両親媒性分子は、疎水性領域及び親水性領域を含み、親水性官能基は、コンジュゲーションに利用される。いくつかの実施形態において、蛍光ポリマー及び両親媒性分子の疎水性領域は、ポリマードットの疎水性コアに埋め込まれ、蛍光ポリマー及び両親媒性分子の親水性領域は、親水性外層を形成し、蛍光ポリマー中の親水性官能基は、ポリマードットの表面上の親水性外層に位置する。いくつかの実施形態において、非プロトン性溶媒はテトラヒドロフランである。特定の実施形態において、プロトン性溶媒は水である。いくつかの実施形態において、本方法は、親水性官能基を介して生体分子をポリマードットにコンジュゲートさせることをさらに含む。
【0008】
一実施形態において、生物学的サンプル中の標的分子を検出する方法は、生物学的サンプルを、上記及び本明細書中の他の箇所に記載されるようなポリマードットと接触させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、ポリマードット抗CD4抗体コンジュゲート及び対照コンジュゲートについての染色指数の棒グラフである。
図2図2は、ポリマードット抗CD4抗体コンジュゲート及び対照コンジュゲートについての正負細胞集団のヒストグラムプロットである。
図3図3は、ポリフルオレン(PDHF及びPFO等)、ポリ(フェニレンエチニレン)(PPE等)、ポリ(フェニレンビニレン)(MEH-PPV及びCN-PPV等)、フルオレン系共重合体(PFPV、PFBT、及びPFDBT5等)、及び全体が参照により本明細書に援用されるWu及びChiu、Angew.ChemInt.Ed.2013、52:3086-3109に開示されている関連誘導体等の蛍光ポリマーを示す。
図4A図4A~4Bは、開示された方法によって生成されたポリマードットの粒度分布を示す(Pドット488/700(図4A)及びPドット405/610(図4B))。同図に示すように、50%を超える粒子は、約25nm以下の平均有効直径を有する。
図4B図4A~4Bは、開示された方法によって生成されたポリマードットの粒度分布を示す(Pドット488/700(図4A)及びPドット405/610(図4B))。同図に示すように、50%を超える粒子は、約25nm以下の平均有効直径を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書には、ポリマードット、その製造方法、及びその生体分子複合体が記載されている。ポリマードットの表面官能化は、製造中に官能基を有する蛍光ポリマーを両親媒性分子とブレンドすることによって達成される。ポリマードットは安定であり(例えば、凝集せず、溶液から沈殿しない)、表面反応性基を有するために生体分子にコンジュゲートさせることができる。複合体は、フローサイトメトリー、蛍光活性化ソーティング、免疫蛍光、免疫組織化学、蛍光多重化、単一分子イメージング、単一粒子追跡、タンパク質フォールディング、タンパク質回転力学、DNA及び遺伝子分析、タンパク質分析、代謝産物分析、脂質分析、FRETベースのセンサー、ハイスループットスクリーニング、細胞イメージング、in vivoイメージング、イムノアッセイ及び酵素ベースのアッセイのような蛍光ベースの生物学的アッセイ、ならびに生物学的アッセイ及び測定における様々な蛍光技術を含むが、これらに限定されない、多数の異なる用途において使用される。
【0011】
定義
特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲を含む、本出願において使用される以下の用語は、後述の定義を有する。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形は、内容が別段の明確な指示をしない限り、複数の指示対象を含む。標準化学用語の定義は、Carey及びSundberg(2007)「Advanced Organic Chemistry 5th Ed.」Vols.A and B、Springer Science+Business Media LLC、New Yorkを含む参考文献の研究にある。本発明の実施は、特に断りのない限り、合成有機化学、質量分析、クロマトグラフィーの生成及び分析方法、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術及び薬理学の従来の方法を使用する。
【0012】
用語「約」又は「およそ」は、当業者によって判断される特定の値についての許容可能な誤差範囲内を意味し、これは、値がどのように測定又は決定されるか、すなわち、測定方式の限界に部分的に依存する。用語「約」及び「およそ」は、所与の値の±25%、±20%、±10%又は±5%の範囲を包含することを意味する。ポリマードットサイズに関して、用語「約」又は「およそ」は、ポリマードットサイズが値(X±10%)付近で0~10%の変動を伴う記載されたサイズのものであることを示す。従って、約20nmの直径を有するポリマードットは、18~22nmの直径を有するポリマードットを含む。用語「約」が、比率(例えば、約0.1:1)に関して使用される場合、用語「約」は両方の値に適用され、具体的には、この用語は、例示した比率における0.1の値及び1の値の両方に適用されると考えられる。
【0013】
本開示においては、長さで設定し、その範囲内の全ての値を記載することを回避するために、範囲は簡潔に記載されている。範囲内の任意の適切な値は、適切な場合、範囲の上限値、下限値、又は末端として選択される。例えば、0.1~1.0の範囲は、0.1及び1.0の末端値、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9の中間値、ならびに0.2~0.5、0.2~0.8、0.7~1.0等の0.1~1.0内に包含される全ての中間範囲を表す。
【0014】
本明細書中で使用される場合、用語「ポリマードット」は、安定なサブミクロンサイズの粒子へと崩壊された1つ以上のポリマーを含む構造を指す。本明細書に提供されるポリマードットは、これらに制限されるものではないが、析出に依存する方法、エマルジョン(例えば、ミニエマルジョン又はミクロエマルジョン)の形成に依存する方法、及び縮合に依存する方法を含む、ポリマーを崩壊させるための当技術分野で公知の任意の方法によって形成されてもよい。いくつかの実施形態において、ポリマードットは、ナノ沈殿によって形成される。
【0015】
本明細書中で使用される「ポリマー」は、典型的には共有化学結合によって連結された少なくとも2つの繰り返し構造単位から構成される分子である。繰り返し構造単位はモノマーの一種であってもよく、得られるポリマーはホモポリマーである。いくつかの実施形態において、ポリマーは、2つの異なる種類のモノマー、又は3つの異なる種類のモノマー、又はそれ以上の種類のモノマーを含むことができる。異なる種類のモノマーは、様々な方法で、ポリマー鎖に沿って分布させることができる。例えば、3つの異なる種類のモノマーをポリマーに沿ってランダムに分布させることができる。ポリマーに沿ったモノマーの分布は、異なる方法で表すことができる。ポリマーの長さに沿った繰り返し構造単位(例えば、モノマー)の数は「n」で表すことができる。いくつかの実施形態において、nは、例えば、少なくとも2、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも5000、又は少なくとも10,000、又は少なくとも100,000、又はそれ以上とすることができる。特定の実施形態において、nは、2~10,000、20~10,000、20~500、50~300、100~1000、又は500~10,000の範囲である。ポリマーは、一般に、ペンダント側基を任意で含有する骨格を含む伸長した分子構造を有する。本明細書で提供されるポリマーは、線状ポリマー及び分岐ポリマーを含むことができるが、これらに限定されない。
【0016】
本明細書で使用される「ナノ粒子」という用語は、約1000nm未満の寸法を有する粒子を指す。
【0017】
本明細書中で使用される「非プロトン性溶媒」という用語は、酸性水素を含有せず、水素結合供与体として作用しない極性溶媒を指す。
【0018】
本明細書中で使用される「プロトン性溶媒」という用語は、解離可能なH+イオンを含む溶媒を指す。
【0019】
本明細書中で使用される「両親媒性分子」又は「両親媒性マトリックス」という用語は、分子内に疎水性セグメント及び親水性セグメントの両方を含む分子を指す。この文脈における「親水性」という用語は、水等の水溶液に対して高い親和性を有する両親媒性分子のセグメントを指す。この文脈における「疎水性」という用語は、水等の水溶液をはじく両親媒性分子のセグメントを指す。
【0020】
「脂質部分」という用語は、少なくとも1つの脂質を含む部分を指す。本明細書で使用される「脂質」という用語は、疎水性又は両親媒性を有する小分子を指し、これらに限られるものではないが、脂肪、ワックス、脂肪酸、コレステロール、ステロール、リン脂質、モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドを含む。脂肪酸は、飽和、一不飽和又は多不飽和である。脂肪酸の例としては、これらに限られるものではないが、酪酸(C4)、カプロン酸(C6)、カプリル酸(C8)、カプリン酸(C10)、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、パルミトレイン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、イソステアリン酸(C18)、オレイン酸(C18)、バクセン酸(C18)、リノール酸(C18)、アルファリノール酸(C18)、ガンマジオレイン酸(C18)、アラキジン酸(C20)、ガドレイン酸(C20)、アラキドン酸(C20)、エイコサペンタエン酸(C20)、ベヘン酸(C22)、エルカ酸(C22)、ドコサヘキサエン酸(C22)、リグノセリン酸(C24)及びヘキサコサン酸(C26)が挙げられる。脂質部分は、リジン及び他の分岐アミン等の分岐基を使用するいくつかの脂肪酸基を含む。
【0021】
本明細書中で使用される「官能基」という用語は、任意の安定な物理的又は化学的会合等によって蛍光ポリマーに付加して、それによってポリマードットの表面を変化させる、例えば、表面を生体分子へのコンジュゲーション(例えば、バイオコンジュゲーション)が可能になる、任意の化学単位を指す。官能基は、蛍光ポリマーの主鎖、側鎖、又は末端単位の1つに共有結合される。官能基としては、これらに限られるものではないが、アルデヒド、アルケン、アルキル、アルキン、歪みアルキン、アミノ、アジド、カルボニル、カルボキシル、シアノ、シクロオクチン、ジエノ、エステル、スクシンイミジルエステル、ハロアルキル、ヒドロキシル、イミド、ケトン、マレイミド、メルカプト、ホスフェート、ホスフィン、サルフェート、スルホネート、それらの置換誘導体、又はそれらの組み合わせが挙げられる、一般に、バイオコンジュゲーションに適した任意の官能基を使用することができる。このような官能基は、例えば、Bioconjugate Techniques(Academic Press、New York,2013)に記載されており、これは、全ての目的について、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0022】
本明細書中で使用される「親水性官能基」という用語は、親水性の性質である官能基を指す。
【0023】
本明細書中で使用される「誘導体」という用語は、得られる、又は他のものから誘導されると化学物質又は化合物を指す。例えば、BODIPY誘導体は、BODIPから誘導される。
【0024】
本明細書で使用される「脂肪族」という用語は、直鎖又は分岐鎖構造、又は閉環構造を特徴とする有機化合物又はラジカルを指し、それらのいずれかは、飽和炭素結合、及び任意で、炭素-炭素二重結合等の1つ又は複数の非共役炭素-炭素不飽和結合を含むことができる。脂肪族基は1~24個の炭素原子、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24個の炭素原子を有する。
【0025】
本明細書中で使用される「生体分子」という用語は、合成又は天然に存在するタンパク質(例えば、抗体)、糖タンパク質、ペプチド、アミノ酸、代謝産物、薬物、毒素、核酸、ヌクレオチド、炭水化物、糖、脂質、又は脂肪酸を指す。
【0026】
「抗体」は、免疫グロブリン、複合体(例えば、融合体)、又はそのフラグメント形態を指す。この用語には、これらに限定されるものではないが、ヒト化、ヒト、一本鎖、キメラ、合成、組換え、ハイブリッド、突然変異、移植、及びin vitroで生成された抗体等の天然又は遺伝的に改変された形態を含む、ヒト又は他の哺乳動物細胞株から誘導されるIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMの部類のポリクローナル又はモノクローナル抗が含まれる。「抗体」にはまた、これらに限定されるものではないが、免疫グロブリン部分を有する融合体タンパク質を含む複合形態も含まれる。「抗体」にはまた、抗原結合機能を保持しているか否かにかかわらず、Fab、F(ab')2、Fv、scFv、Fd、dAb、Fc等の抗体フラグメントも含まれる。
【0027】
ポリマードット
一実施形態において、ポリマードットは、疎水性領域及び親水性領域を有する蛍光ポリマーを含み、親水性領域は親水性官能基を含む。ポリマードットは、疎水性領域及び親水性領域を有する両親媒性分子をさらに含む。蛍光ポリマーと両親媒性分子の疎水性領域はポリマードットの疎水性コアに埋め込まれ、蛍光ポリマーと両親媒性分子の親水性領域は親水性外層を形成し、蛍光ポリマー中の親水性官能基はポリマードットの表面上の親水性外層に位置する。ポリマードットの表面に局在化されることによって、親水性官能基は、生体分子への付加に利用可能である。特定の実施形態において、蛍光ポリマーは、共役しており、π電子非局在化骨格を含む。蛍光ポリマーは、部分的に又は完全に共役させることができる。本明細書で使用される「蛍光ポリマー」という用語は、蛍光特性を示すポリマーを指す。蛍光ポリマーのこれらに限られるものではない例としては、ポリフルオレン(PDHF及びPFO等)、ポリ(フェニレンエチニレン)(PPE等)、ポリ(フェニレンビニレン)(MEH-PPV及びCN-PPV等)、フルオレン系共重合体(PFPV、PFBT、及びPFDBT5等)、及び関連する誘導体が挙げられる(その全体が参照により本明細書に援用される、Wu及びChiu、Angew.ChemInt.Ed.2013、52:3086~3109の図3を参照されたい)。蛍光ポリマーの他のこれらに限られるものではない例としては、その全体が参照により本明細書に援用される、Rongら、ACS Nano、2013、7(1):376-384に開示されているようなポリマーを形成するBODIPY含有ポリマー及びBODIPYモノマーが挙げられる。
【0028】
一実施形態において、蛍光ポリマーは、少なくとも2つの異なるモノマーを含むヘテロポリマーである。一実施形態において、少なくとも1つのモノマーは蛍光性であり、少なくとも1つのモノマーは親水性官能基に付加又は連結(例えば、共有結合)されることによって「官能化」される。一実施形態において、親水性官能基は、蛍光ポリマーのポリマー鎖内のモノマーの側鎖に付加する。いくつかの実施形態において、親水性官能基は、蛍光ポリマーの末端単位に付加する。特定の実施形態において、蛍光ポリマーは、親水性官能基に連結された約6~約10%未満のモノマーを含む。
【0029】
蛍光ポリマーを形成するためのモノマーとしては、これらに限られるものではないが、BODIPY、BODIPY誘導体、フルオレン、フルオレン誘導体、ベンゾチアジアゾール、ベンゾチアジアゾール誘導体、ベンゾオキサジアゾール、及びベンゾオキサジオール誘導体が例示される。いくつかの実施形態において、ヘテロポリマーは、少なくとも2つの異なるモノマーを含む。いくつかの実施形態において、モノマーは、ジブロモベンゾオキサジオール、4,7ビス(2-ブロモ-5-チエニル)-2,1,3-ベンゾチアジアゾール、9,9-ジオクチル-2,7-ジブロモフルオレン、9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジボロン酸ビス(1,3-プロパンジオール)エステル、
【化7】
及び/又は
【化8】
であり、n=10~30である。n=10~30であるポリマー側鎖を有していると、蛍光ポリマー中の親水性官能基がポリマードットの表面上の親水性外層中に位置する「アーム」が生成され、その結果、親水性官能基をバイオコンジュゲーションに利用することができる。一実施形態において、n=22である。
【0030】
両親媒性分子は、少なくとも約1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、3年、又は5年以上、凝集を引き起こすことなく、溶液中のポリマードットの水溶性及び安定性を維持するのを助ける。両親媒性分子の疎水性領域は、1~24個の炭素原子、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪族鎖部分を含む。実施形態において、脂肪族鎖部分は、脂質部分の一部を形成する。脂質部分は1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミノ(DSPE)部分、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DMPE)部分、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DLPE)部分、又は1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPPE)部分を含むが、これらに限定されない。
【0031】
両親媒性分子の親水性領域は、親水性ポリマーを含む。親水性ポリマーとしては、これらに限られるものではないが、ポリオキシアルキレン、ポリアルキレングリコール、及びポリカルボキシアルキレンが挙げられる。親水性ポリマーとしては、これらに限られるものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリカルボキシメチレン、ポリカルボキシエチレン(又はポリアクリル酸(PAA))、ポリカルボキシプロピレン、及びポリカルボキシブチレンが例示される。
【0032】
いくつかの実施形態において、PEGの分子量は、約800~約5000、約800~約4800、約800~約4600、約800~約4400、約800~約4200、約800~約4000、約800~約3800、約800~約3600、約800~約3400、約800~約3200、約800~約3000、約800~約2800、約800~約2600、約800~約2400、約800~約2200、約800~約2000、約800~約1800、約800~約1600、約800~約1400、約800~約1200、約800~約1000、約1000~約2000、約1000~約3000、約1000~約4000、約1000~約5000、約800、約1000、約1200、約1400、約1600、約1800、約2000、約2200、約2400、約2600、約2800、約3000、約3200、約3400、約3600、約3800、約4000、約4200、約4400、約4600、約4800、約5000である。
【0033】
両親媒性分子としては、これらに限られるものではないが、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-ポリ(エチレングリコール)-ヒドロキシル-1000又は-2000](DSPE-PEG-OH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-NH2)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-COOH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)ヒドロキシル-1000又は-2000](DMPE-PEG-OH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-NH2)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-COOH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG)
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-ヒドロキシル-1000又は-2000](DLPE-PEG-OH)
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-NH2)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-COOH)
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG)
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-ヒドロキシル-1000又は-2000](DPPE-PEG-OH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-NH2)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-COOH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-OH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-NH2)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-COOH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-ビオチン)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-OH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-NH2)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-COOH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-ビオチン)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-OH)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-NH2)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-COOH)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-ビオチン)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-OH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-NH2)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-COOH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-マレイミド)及び
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-ビオチン)が例示される。
【0034】
いくつかの実施形態において、両親媒性分子対蛍光ポリマーの重量比(w/w%で表される)は、約10%~約200%、約10%~約175%、約10%~約150%、約10%~約100%、約10%~約75%、又は約100%~約200%の範囲である。いくつかの実施形態において、両親媒性分子対蛍光ポリマーの重量比は、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約105%、約110%、約115%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、約175%、約180%、約185%、約190、約195%又は約200%である。様々な他の実施形態において、両親媒性分子対蛍光ポリマーの重量比は、約40%~約100%(又は約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%又は約100%)の範囲である。これらの値はパーセンテージではなく、10進形式で表すこともできる(例えば、表1に示すように、0.1、0.25等)。他の実施形態において、重量比(w/w)は、蛍光ポリマーに対して約0.1~約2(すなわち、約0.1~2.0:1)である両親媒性分子の範囲として表される。これらの実施形態のいくつかは、約0.25:1、約0.5:1、約0.75:1、約1:1、約1.25:1、約1.5:1、約1.75:1、又は約2:1の重量比となる。重量比が低すぎると、凝集する不安定なポリマードットとなり、重量比が高すぎると、粒径の増大が控えめになる(表1を参照のこと)。いくつかの例において、より高い重量比を使うと、下流のプロセスにおいて問題が生じる(例えば、低いコンジュゲーション収率、表6を参照のこと)。表1にはまた、ポリマーに対する両親媒性分子の様々な重量比(例えば、蛍光ポリマー1mg当たり0.25mgの両親媒性分子)が示される。
【0035】
実施形態において、ポリマードットのサイズ(平均有効直径)は、約5nm~約25nm、約10nm~約25nm、約10nm~約25nm、又は約15nm~約25nmの範囲である。変形の実施形態において、ポリマードットのサイズは、約10nm~約20nm、約10nm~約15nm、又は約15nm~約20nmの範囲である。いくつかの実施形態において、ポリマードットのサイズは、約10nm、約15nm、約20nm、又は約25nmである。さらに他の実施形態は、平均有効直径が約5nm、約6nm、約7nm、約8nm、約9nm、約10nm、約11nm、約12nm、約13nm、約14nm、約15nm、約16nm、約17nm、約18nm、約19nm、約20nm、約21nm、約22nm、約23nm、約24nm、又は約25nmのポリマードットを提供する。
【0036】
他の実施形態において、開示された方法によって形成されたポリマードットの集団は、約5nm、約6nm、約7nm、約8nm、約9nm、約10nm、約11nm、約12nm、約13nm、約14nm、約15nm、約16nm、約17nm、約18nm、約19nm、約20nm、約21nm、約22nm、約23nm、約24nm、又は約25nmのサイズ(平均有効直径)を有し、ポリマードットの集団中のポリマードットの少なくとも50%は、規定値以下である平均有効直径を有する。さらに他の実施形態は、少なくとも50%が約25nm以下及び少なくとも約5nmを超える(<)の平均有効直径を有するポリマードットの集団を提供する(例えば、集団中のポリマードットの少なくとも50%が約5nm~約25nmの範囲の平均有効直径を有する)。さらに他の実施形態は、少なくとも50%が約20nm以下及び少なくとも約5nmを超える(<)の平均有効直径を有するポリマードットの集団を提供する(例えば、集団中のポリマードットの少なくとも50%が約5nm~約20nmの範囲の平均有効直径を有する)。
【0037】
ポリマードットのバイオコンジュゲーション
また、ポリマードットを生体分子にコンジュゲートする方法も提供される。生体分子は、ポリマードットを生成するために使用される蛍光ポリマー中の親水性官能基を介してポリマードットの表面にコンジュゲートされる。一実施形態において、生体分子は、細胞の表面上の抗原に結合するモノクローナル抗体である。
【0038】
生体分子をポリマードットの表面に付加又はコンジュゲートさせるために使用される方法は、表面上に位置する官能基の種類に応じて異なる。例えば、タンパク質のポリマードット-NH2又はポリマードット-COOHへの付加は、カルボイミド媒介カップリング反応を介してもよい。一実施形態において、生体分子コンジュゲート官能化ポリマードットの特性は、バイオコンジュゲーションの際に変化しない。
【0039】
他の態様において、生物学的サンプル中の標的分子を検出する方法は、生物学的サンプルを開示されたポリマードットと接触させることを含む。
【0040】
ポリマードットの製造方法
また、ポリマードットを製造する方法も提供される。この方法は、非プロトン性溶媒中で蛍光ポリマーと両親媒性分子との混合物を調製することを含み、蛍光ポリマーは、疎水性領域及び親水性領域を含み、親水性領域は親水性官能基を有し、両親媒性分子は、疎水性領域及び親水性領域を含む。
【0041】
方法の次の工程は、混合物をプロトン性溶媒に添加してポリマードットを形成することを含む。得られたポリマードットにおいて、蛍光ポリマーと両親媒性分子の疎水性領域は、ポリマードットの疎水性コアに埋め込まれ、蛍光ポリマーと両親媒性分子の親水性領域は、親水性外層を形成し、蛍光ポリマー中の親水性官能基は、ポリマードットの表面の親水性外層に位置する。
【0042】
非プロトン性溶媒中の蛍光ポリマーと両親媒性分子との混合物を、プロトン性溶媒に添加すると、球形ポリマードットが形成される。疎水性の低下は、蛍光ポリマー及び両親媒性分子の疎水性領域の崩壊につながる。このようにして形成されたポリマードットは、蛍光ポリマーのコア及び親水性領域に埋め込まれた疎水性領域と、官能基がバイオコンジュゲーションに利用可能であるように、外表面上の両親媒性分子とを有する。
【0043】
非プロトン性溶媒の例としては。テトラヒドロフラン、エーテル、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、及びジメチルホルムアミドが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なプロトン性溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、及びブタノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
いくつかの実施形態において、本方法は、非プロトン性溶媒中の蛍光ポリマーの初期濃度を調整することによって、ポリマードットのサイズを制御することをさらに含む。ポリマードットのサイズを制御することによって、特定の用途におけるポリマードットの使用が可能となる。例えば、サイズが約10nm~約20nmであるポリマードットを、フローサイトメトリーにおいて使用することができる。他の適切なサイズのポリマードットは、異なる用途において有用である。
【0045】
いくつかの実施形態において、非プロトン性溶媒中の蛍光ポリマーの初期濃度は、約0.05mg/mLから約5.0mg/mL、約0.1から約1.0mg/mL、約0.2mg/mLから約1.0mg/mL、約0.3mg/mLから約1.0mg/mL、約0.4mg/mLから約1.0mg/mL、約0.5mg/mLから約1.0mg/mL、約0.6mg/mLから約1.0mg/mL、約0.7mg/mLから約1.0mg/mL、約0.8mg/mLから約1.0mg/mL、又は約0.9mg/mLから約1.0mg/mLの範囲である。いくつかの実施形態において、非プロトン性溶媒中の蛍光ポリマーの初期濃度は、約0.05mg/mL、0.1mg/mL、0.2mg/mL、0.3mg/mL、0.4mg/mL、0.5mg/mL、0.6mg/mL、0.7mg/mL、0.8mg/mL、0.9mg/mL、又は約1.0mg/mLである。
【0046】
特定の実施形態において、本方法は、非プロトン性溶媒中の両親媒性分子の初期濃度を制御することによって、ポリマードットの安定性を制御することをさらに含む。
【0047】
様々な限定されない実施形態は以下を含む。
1.疎水性領域及び親水性官能基を有する親水性領域を有する蛍光ポリマーと、
疎水性領域及び親水性領域を有する両親媒性分子と
を含み、該親水性官能基は、コンジュゲーションに利用される、ポリマードット。
2.該蛍光ポリマー及び該両親媒性分子の該疎水性領域は、該ポリマードットの疎水性コアに埋め込まれ、該蛍光ポリマー及び該両親媒性分子の該親水性領域は、親水性外層を形成し、該蛍光ポリマー中の該親水性官能基は、該ポリマードットの表面上の該親水性外層に位置する、実施形態1に記載のポリマードット。
3.該蛍光ポリマーは、ヘテロポリマーである、実施形態1又は2に記載のポリマードット。
4.該ヘテロポリマーは、少なくとも2つの異なるモノマーを含む、実施形態3に記載のポリマードット。
5.該モノマーは、それぞれ独立して、BODIPY、BODIPY誘導体、フルオレン、フルオレン誘導体、ベンゾチアジアゾール、ベンゾチアジアゾール誘導体、ベンゾオキサジアゾール、及びベンゾオキサジオール誘導体からなる群から選択される、実施形態4に記載のポリマードット。
6.該モノマーは、それぞれ独立して、
【化9】
(ジブロモベンゾオキサジオール)、
【化10】
(4,7ビス(2-ブロモ-5-チエニル)-2,1,3-ベンゾチアジアゾール)、
【化11】
(9,9-ジオクチル-2,7-ジブロモフルオレン)、
【化12】
(9,9-ジオクチルフルオレン-2,7-ジボロン酸ビス(1,3-プロパンジオール)エステル)、
【化13】
及び
【化14】
(n=10~30)からなる群から選択される、実施形態5に記載のポリマードット。
7.nが22である、実施形態6に記載のポリマードット。
8.該親水性官能基は、カルボキシル、アミノ、メルカプト、アジド、アルキン、アルデヒド、ヒドロキシル、カルボニル、サルフェート、スルホネート、ホスフェート、シアネート、スクシンイミジルエステル、歪みアルキン、アジド、ジエン、アルケン、テトラジン、歪みアルケン、シクロオクチン、ホスフィン基及びそれらの誘導体からなる群より選択される、実施形態1~7のいずれか1つに記載のポリマードット。
9.該ポリマー中の該親水性官能基は、生体分子にコンジュゲートしている、実施形態1~8のいずれか1つに記載のポリマードット。
10.該生体分子は、合成又は天然に存在するタンパク質、糖タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、核酸、炭水化物、脂質、及び脂肪酸からなる群より選択される、実施形態9に記載のポリマードット。
11.該生体分子は、抗体である、実施形態9又は10に記載のポリマードット。
12.該両親媒性分子の該親水性領域は、ポリアルキレングリコールを含む、実施形態1又は2に記載のポリマードット。
13.該ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールである、実施形態12に記載のポリマードット。
14.該ポリマードットのサイズは、約5~約25ナノメートル又は約5~約20nmである、実施形態1~13のいずれか1つに記載のポリマードット。
15.該両親媒性分子対該蛍光ポリマーの重量比(w/w%)は、約10%~約200%である、実施形態1~14のいずれか1つに記載のポリマードット。
16.該両親媒性分子の該疎水性領域は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミノ(DSPE)部分、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DMPE)部分、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DLPE)部分、及び(1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン)(DPPE)部分からなる群より選択される脂質部分を含む、実施形態1又は2に記載のポリマードット。
17.該両親媒性分子は、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-ポリ(エチレングリコール)-ヒドロキシル-1000又は-2000](DSPE-PEG-OH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-NH2)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-COOH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)ヒドロキシル-1000又は-2000](DMPE-PEG-OH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-NH2)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-COOH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG)
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-ヒドロキシル-1000又は-2000](DLPE-PEG-OH)
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-NH2)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-COOH)
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG)
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-ヒドロキシル-1000又は-2000](DPPE-PEG-OH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-NH2)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-COOH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-OH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-NH2)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-COOH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-ビオチン)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-OH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-NH2)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-COOH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-ビオチン)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-OH)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-NH2)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-COOH)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-ビオチン)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-OH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-NH2)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-COOH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-ビオチン)
からなる群から選択される、実施形態1~16のいずれか1つに記載のポリマードット。
18.ポリマードットを生成する方法であって、
非プロトン性溶媒中で両親媒性分子と蛍光ポリマーとの混合物を調製し、
該混合物をプロトン性溶媒に添加して、ポリマードットを形成することを含み、
該蛍光ポリマーは、疎水性領域及び親水性領域を含み、該親水性領域は、親水性官能基を有し、該両親媒性分子は、疎水性領域及び親水性領域を含み、該両親媒性分子対該蛍光ポリマーの重量比(w/w)(両親媒性分子:蛍光ポリマー)は、0.1~2:1又は約10%~約200%であり、該親水性官能基は、コンジュゲーションに利用される、方法。
19.該蛍光ポリマー及び該両親媒性分子の該疎水性領域は、該ポリマードットの疎水性コアに埋め込まれ、該蛍光ポリマー及び該両親媒性分子の該親水性領域は、親水性外層を形成し、該蛍光ポリマー中の該親水性官能基は、該ポリマードットの表面上の該親水性外層に位置する、実施形態18に記載の方法。
20.該非プロトン性溶媒は、テトラヒドロフランである、実施形態18又は19に記載の方法。
21.該プロトン性溶媒は、水である、実施形態18又は19に記載の方法。
22.生体分子を、該親水性官能基を介して該ポリマードットにコンジュゲートさせることをさらに含む、実施形態18~21のいずれか1つに記載の方法。
23.前記両親媒性分子は、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-ポリ(エチレングリコール)-ヒドロキシル-1000又は-2000](DSPE-PEG-OH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-NH2)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-COOH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DSPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)ヒドロキシル-1000又は-2000](DMPE-PEG-OH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-NH2)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-COOH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DMPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG)
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-ヒドロキシル-1000又は-2000](DLPE-PEG-OH)
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-NH2)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-COOH)
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DLPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG)
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリエチレングリコール)-ヒドロキシル-1000又は-2000](DPPE-PEG-OH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-OCH3)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-NH2)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-COOH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-マレイミド)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリエチレングリコール)-1000又は-2000](DPPE-PEG-ビオチン)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-OH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-NH2)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-COOH)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DSPE-PAA-ビオチン)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-OH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-NH2)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-COOH)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DMPE-PAA-ビオチン)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-OH)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-NH2)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-COOH)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DLPE-PAA-ビオチン)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ヒドロキシ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-OH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-OCH3)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[アミノ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-NH2)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[カルボキシ(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-COOH)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[マレイミド(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-マレイミド)、
1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[ビオチニル(ポリアクリル酸)](DPPE-PAA-ビオチン)
からなる群から選択される、実施形態18~22のいずれか1つに記載の方法。
24.両親媒性分子の蛍光ポリマーに対する重量比(パーセンテージとして表される)は、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約105%、約110%、約115%、約120%、約125%、約130%、約135%、約140%、約145%、約150%、約155%、約160%、約165%、約170%、約175%、約180%、約185%、約190%、約195%、又は約200%である、実施形態18~23のいずれか1つに記載の方法。
25.両親媒性分子対蛍光ポリマーの重量比は、約0.1:1、0.2:1、0.3:1、0.4:1、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1.0:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、又は2.0:1である、実施形態18~23のいずれか1つに記載の方法。
26.実施形態18~25のいずれか1つに記載の方法によって製造されたポリマードットの集団であって、該ポリマードットの集団は、約5nm~約25nmの平均有効直径を有し、ただし、該集団中のポリマードットの少なくとも50%は、約25nm未満の平均有効直径を有する、ポリマードットの集団。
27.生物学的サンプル中の標的分子を検出する方法であって、生物学的サンプルを、実施形態1~17のいずれか1つのポリマードット又は実施形態26に記載のポリマードットの集団と接触させ、該標的分子を検出することを含む、方法。
28.該ポリマードットは、約5nm~約25nmの平均有効直径を有し、ただし、該集団中のポリマードットの少なくとも50%は、約25nm未満の平均有効直径を有する、実施形態1~17のいずれか1つに記載のポリマードット。
29.該蛍光ポリマーは、ホモポリマーである、実施形態1又は2に記載のポリマードット。
【0048】
実施例
以下の実施例は、例示のためのみであって、限定するものではない。当業者であれば、実質的に同じ又は同様の結果をもたらすように変更又は修正することができる様々な重要でないパラメータが容易に認識される。
【0049】
実施例1-ポリマー700に対するDSPE-PEG-OHの最適比の判定
ポリマー700を50mLの不安定化テトラヒドロフラン(THF)に溶解して、200ppmのポリマー溶液を生成した。無水ジメチルスルホキシド中のDSPE-PEG-OH Nanosoftポリマーの25mg/mLストック溶液を使用して、0.25、0.5、0.75、1.25、1.5、又は1.75質量等価のDSPE-PEG-OHをポリマー溶液に添加して、ポリマーとPEG-脂質との6つの異なる混合物を生成した。各混合物について、100mLのナノ純水を氷浴中で30分間冷却しながら(温度=5~6℃)、THF中のポリマーとPEG-脂質の混合物を15分間冷却した(温度=2~3℃)。
【0050】
ポリマードットを形成するために、THF中のポリマー及びPEG-脂質の各混合物を、撹拌しながら(速度=11.0~11.2Krpm)、ポンプ(速度=30mL/分)によって100mLの冷ナノ純水に注入した。ポリマードット混合物中のTHFを、cetriVap真空濃縮器を用いて3時間蒸発させた。この工程によってまた水が多少除去されて、約200ppmのポリマードット溶液となった。
【0051】
ポリマードットのバッチを、Corning Spin-X UF Concentrators又はSartorius Vivacell 250(100k MWCO PES)を使用してさらに5000ppmに濃縮した。
【0052】
ポリマードットの各ロットのサイズを、動的光散乱(DLS)によって測定した。量子収率(QY)は、光ルミネセンスQYによって決定した。ポリマードットのロットの収率パーセントも計算した。結果を表1に示す。結果は、ポリマーに対するDSPE-PEG-OHの比が、ポリマードットのサイズに影響を及ぼすことを示している。1mgのポリマー当たり1.25mg未満のDSPE-PEG-OHを有するポリマードットは、6~7nmのpドット(DLSによる)を生じる。しかしながら、5000ppmに濃縮した後、これらの同じポリマードットのサイズは17~20nm(DLSによる)に増加した。サイズの増加は凝集体形成によるものであり、低収率(44~69%)をもたらす。量子収率もまた、これらのロットについて減少した。1mgのポリマー当たり1.5又は1.75mgのDSPE-PEG-OHを添加すると、DLSサイズが僅かに増大し、ポリマードットの製造コストが増大した。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
実施例2-ポリマー700及びDSPE-PEG-OHを用いたポリマードットの生成
ポリマー700を50mLの不安定化テトラヒドロフラン(THF)に溶解して、200ppmのポリマー溶液を生成した。無水ジメチルスルホキシド中DSPE-PEG-OH(Nano-soft Polymers)の25mg/mLストック溶液を使用して、1.25質量等価のDSPE-PEG-OHをポリマー溶液に添加して、ポリマーとPEG-脂質との混合物を生成した。ナノ純水100mLを氷浴中で30分間冷却しながら(温度=5~6℃)、THF中のポリマーとPEG-脂質の混合物を15分間冷却した(温度=2~3℃)。
【0056】
ポリマードットを形成するために、THF中のポリマー及びPEG-脂質の混合物を、撹拌しながら(速度=11.0~11.2Krpm)、ポンプ(速度=30mL/分)によって冷ナノ純水中に注入した。ポリマードット混合物中のTHFを、cetriVap真空濃縮器を用いて3時間蒸発させた。この工程によってまた水が多少除去されて、約200ppmのポリマードット溶液となった。
【0057】
ポリマードットのいくつかのバッチを、Corning Spin-X UF濃縮器(100k MWCO PES)を用いて5000ppmまでさらに濃縮した。あるいは、複数のポリマードットのバッチを一緒にプールし、タンパク質へコンジュゲーションに備えるために、Sartorius Vivacell 250(100k MWCO PES)を用いて5000ppmまで濃縮した。
【0058】
動的光散乱(DLS)によって測定したポリマードットのサイズを、ポリマードットの4つの異なるロットについての収率%と共に表2に示す。結果は、ロット毎に一貫したサイズを示している。結果はまた、約5000ppmに濃縮すると、4つのロットのうち3つについて収率がやや減少したことも示している。
【0059】
【表3】
【0060】
実施例3-ポリマー460及びDSPE-PEG-OHを用いたポリマードットの生成
この実施例では、実施例2と同じ方法を使用して、異なるポリマー(ポリマー460)を有するポリマードットを生成した。
【0061】
ポリマードットの各ロットのサイズを、動的光散乱(DLS)によって測定した。量子収率(QY)は、フォトルミネセンスによって決定した。ポリマードットのロットの収率パーセントも計算した。結果を表3に示す。結果は、ロット毎に一貫したサイズを示している。パーセント収率は、200ppmのポリマードットについて70%から91%まで変化した。結果はまた、約5000ppmまでの濃度の際に、3つのロット全てについて収率がやや減少したことも示している。量子収率は、約5000ppmまでの濃度で変化しなかった。
【0062】
【表4】
【0063】
実施例4-ポリマー700及びDSPE-PEG-OCH3を用いたポリマードットの生成
異なるタイプのPEG-脂質を使用して、ポリマードットを生成した。DSPE-PEG-OCH3をDSPE-PEG-OHの代わりに使用したことを除いて、実施例2と同じ方法を使用した。また、PEG-脂質対ポリマーの2つの異なる比:ポリマー1mg当たり1.25mg又は0.75mgの脂質で試験した。
【0064】
ポリマードットの各ロットのサイズを、動的光散乱(DLS)によって測定した。ポリマードットのロットの収率パーセントも計算した。結果を以下の表4及び5に示す。結果は、試験したポリマーに対するPEG-脂質の両方の比率について、サイズ及び収率に関して同様の結果を示し、ポリマードットを安定化させるために必要なDSPE-PEG-OCH3がより少ないことを示している。
【0065】
【表5】
【0066】
【表6】
【0067】
実施例5-ポリマードットへのIgG抗体の結合
実施例2のポリマードット250μl(1.25mg)を、まず、1.5mLのエッペンドルフ管中で、6.3μlの250mMスルホ-NHS(Thermo Fisher)及び3.2μlの200mM EDC(Thermo Fisher)と共に、室温で30分間インキュベートすることによって活性化した。次に、3.2μlの3Mトリエタノールアミン(Sigma-Aldrich)及び3.2μlの1Mアミノエチルマレイミド(Sigma-Aldrich)を管に添加し、混合し、管を暗所にて室温で3時間インキュベートした。
【0068】
2.0μlの0.5M EDTA(Sigma-Aldrich)及び2.0μlの10mg/mLイミノチオラン(Thermo Fisher)を200μl(1mg)の抗CD4 IgGに1.5mLエッペンドルフ管に添加することによって、抗CD4 IgG(Bio-Rad)を活性化した。溶液を混合し、室温で1時間インキュベートした。
【0069】
20μlの0.5Mタウリン(Sigma-Aldrich)をポリマードット溶液に添加することによって、活性化ポリマードットを冷却した。ポリマードット溶液を混合し、暗所にて室温で15分間インキュベートした。
【0070】
活性化ポリマードット及び抗CD4 IgGの両方を、40K MWCOスピンカラム(Thermo Fisher)で脱塩し、吸光度を使用して、各脱塩生成物の総量を決定した。ポリマードット対IgGの比率は3:1をコンジュゲーション反応に用いて、これを、暗所にて4℃で一晩インキュベートした。コンジュゲーションを、1/200容量の25%N-エチルマレイミド(Sigma-Aldrich)を添加し、暗所にて室温で30分間インキュベートすることによって冷却した。
【0071】
フリー抗CD4抗体を、サイズ排除クロマトグラフィーによってポリマードット-IgGコンジュゲートから除去した。
【0072】
実施例6-フローサイトメトリーによる、IgGにコンジュゲートしたポリマードット対対照コンジュゲートの特性決定
フローサイトメトリーを使用して、実施例5からのポリマードット抗CD4 IgGコンジュゲート(又は試験コンジュゲート)が、対照コンジュゲート(PerCPCy5.5、BioLegend製)とどのように比較されるかを決定した。ZE5サファイアフローサイトメーター(Bio-Rad)を実験に使用した。
【0073】
染色指数を、試験コンジュゲート及び対照コンジュゲートについて決定した。染色指数は、式:(MFIpos-MFIneg)/(2*rSDneg)(式中、MFIposは陽性集団の蛍光強度中央値であり、MFInegは負集団の蛍光強度中央値であり、rSDnegは負集団の相対標準偏差である)を用いて計算した。図1を参照すると、試験コンジュゲートは、対照コンジュゲートよりも大幅に高い染色指数(>>2x)を与える。
【0074】
正負細胞集団のヒストグラムプロットを、試験(6452-66-1)及び対照(PerCPCy5.5)コンジュゲートについて得た。結果を図2に示す。試験コンジュゲートについては、SECはサイズ排除クロマトグラフィーを指す。試験コンジュゲートの陽性ピーク及び陰性ピークの陽性ピーク形状及び高さは、対照コンジュゲートのものに匹敵した。
【0075】
実施例7-P-ドット安定性におけるPEG-脂質の影響
実験:
各ポリマーについて、2組の小さなP-ドットを生成した。1つはDSPE-PEG1000-OH(PEG-脂質)を含むもの、もう1つはPEG-脂質を含まないものである。添加されるPEG-脂質の量は、各ポリマーについて異なり、異なる実験で既に決定しておいたものである。両組の小さいP-ドットを~5000ppmに濃縮した。粒子サイズ及び収率回復を評価して、P-ドット安定性を決定した。
結果:
【0076】
【表7】
【0077】
PEG-脂質なしで生成された小さなP-ドットの不安定性は、5000ppmまでの濃度になる前ですでに明らかであった。ポリマー405/610、405/790及び405/515については、THFの除去後という早期に凝集が観察された。この結果、PEG-脂質で生成された小さいP-ドット(80~97%)と比較して、低収率(~60%)となった。
【0078】
PEG-脂質なしで生成された小さなP-ドットを~5000ppmに濃縮することは不可能であった。凝集体が形成され、濃縮器の膜に付着し、依然として希釈された(1000~2000ppm)低い収率(12~24%)となった。対照的に、PEG-脂質で生成された小さなP-ドットは、ほとんど又は全く工程損失なしで、その小さな粒子サイズを保持していた。
【0079】
実施例8:加速安定性試験
実験方法:
加速貯蔵寿命試験を37℃で行った。アレニウスモデルに基づいて、反応の活性化エネルギーが15kcal/molであると仮定すると、37℃での20日間は、理論的には4℃(推奨貯蔵温度)での1年間に等しい。
【0080】
Pドットを7本のエッペンドルフ管に分けた。6つのサンプルを37℃で保管し、異なる時点で取り出した(下の表7を参照のこと)。1つのサンプルを4℃で保管し、対照とした。
【0081】
【表8】
【0082】
インキュベーションチャンバーから取り出した後、サンプルを凝集体について調べ、粒子サイズも測定した。安定性試験に合格するためには、サンプルは凝集体を有していてはならず、その粒径は、参照試料の粒径の15%以内でなければならない。
【0083】
【表9】
本明細書で引用した全ての特許、特許出願、及びその他公開参考文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
【国際調査報告】