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特表2022-543999外科用ロボットシステムにおけるモジュール式アームカートの無線ベースの位置特定のためのシステムおよび方法
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  • 特表-外科用ロボットシステムにおけるモジュール式アームカートの無線ベースの位置特定のためのシステムおよび方法 図1
  • 特表-外科用ロボットシステムにおけるモジュール式アームカートの無線ベースの位置特定のためのシステムおよび方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】外科用ロボットシステムにおけるモジュール式アームカートの無線ベースの位置特定のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20221007BHJP
   A61B 34/35 20160101ALI20221007BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B34/35
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502081
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 US2020046281
(87)【国際公開番号】W WO2021030651
(87)【国際公開日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】62/887,004
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/943,168
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】メグラン, ドワイト
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンバーグ, メイア
(72)【発明者】
【氏名】ピアース, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ペイン, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】カパディア, ジャイミーン
(72)【発明者】
【氏名】テイラー, エリック
(57)【要約】
手術室における無線ベースの位置の特定のための位置および追跡システムであって、受信機、移動カート、プロセッサ、およびプロセッサに結合されたメモリを含む。移動カートは、ロボットアームおよび受信機と動作可能に通信する送信機を含む。メモリはメモリに記憶された命令を有し、その命令は、プロセッサによって実行されたとき、システムに、送信機から信号を受信することであって、信号は、送信機によって通信された当該信号に基づく3D空間内の移動カートの位置を含む、受信することと、受信された信号に基づいて移動カートの空間的姿勢を決定することと、を行わせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術室における無線ベースの位置の特定のための位置および追跡システムであって、前記システムが、
受信機と、
移動カートであって、
前記受信機と動作可能に通信する送信機と、
ロボットアームと、を含む、移動カートと、
プロセッサと、
前記プロセッサに連結されたメモリであって、前記メモリが、それに記憶された命令を有し、前記命令が、前記プロセッサによって実行されたときに、前記システムに、
前記送信機から信号を受信することであって、前記信号は、前記送信機によって通信された前記信号に基づく3D空間内の前記移動カートの位置を含む、受信することと、
前記受信された信号に基づいて、前記移動カートの空間的姿勢を決定することと、を行わせる、メモリと、を備える、位置および追跡システム。
【請求項2】
前記命令が、実行されたとき、さらに前記システムに、
特定の外科的処置、患者の特定のタイプ、手術台の特定のタイプ、または手術室の構成のうちの少なくとも1つに基づいて、前記移動カートを移動する場所を決定させ、
前記決定された場所と前記受信された信号とに基づいて、前記移動カートを新しい空間的姿勢に移動させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記送信機が、第1の送信機であり、患者に近接して位置付けられた第2の送信機をさらに含み、
前記命令が、実行されたとき、さらに前記システムに、
前記第2の送信機によって通信された信号に基づいて、前記患者の第2の空間的姿勢を決定させ、
前記患者の前記決定された第2の空間的姿勢に基づいて、患者に対する前記移動カートの位置を決定させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記送信機が、RF送信機、マイクロ波送信機、またはミリ波送信機のうちの少なくとも1つを含み得る、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記受信機が、複数のアンテナを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記送信機の前記信号が、スペクトラム拡散信号を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサが、前記受信機によって、前記送信機からの前記信号のレベルの指示を受信することによって、前記移動カートの前記空間的姿勢を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ロボットアームが、前記受信機と動作可能に通信する第2の送信機を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記命令が、実行されたとき、さらに前記システムに、
前記第2の送信機から、第2の信号を受信することであって、前記第2の信号は、前記第2の送信機によって通信された前記信号に基づく3D空間内の前記ロボットアームの位置を含む、受信することと、
前記受信された第2の信号に基づいて、前記ロボットアームの前記空間的姿勢を決定することと、を行わせる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ロボットアームが、
前記受信機と動作可能に通信する複数の送信機を含む、複数の個々のリンクを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記命令が、実行されたとき、さらに前記システムに、
前記複数の送信機から、複数の信号を受信することであって、前記複数の信号は、前記複数の送信機によって通信された前記複数の信号に基づく3D空間内の前記複数の個々のリンクの空間的姿勢を含む、受信することを行なわせる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記命令が、実行されたとき、さらに前記システムに、
前記ロボットアームから運動学的情報、または前記ロボットアームからカメラ位置決め情報のうちの少なくとも1つを受信させ、
前記複数の個々のリンクの形状情報を受信させ、
前記複数の個々のリンクの前記空間的姿勢を、前記運動学的情報またはカメラ位置決め情報のうちの少なくとも1つと相互参照させる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
ディスプレイをさらに備え、
前記命令が、実行されたとき、さらに前記システムに、
前記相互参照に基づいて、第2のロボットアームとの衝突の可能性を予測させ、
前記ディスプレイ上に、衝突の前記可能性を示す警報を表示させる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
手術室においてロボット手術を行う方法であって、前記方法が、
ロボットアームを支持する可動カートの送信機から、信号を受信することであって、前記信号は、前記送信機によって通信された前記信号に基づく3D空間内の前記移動カートの位置を含む、受信することと、
前記受信された信号に基づいて、前記移動カートの空間的姿勢を決定することと、を含む、方法。
【請求項15】
特定の外科的処置、患者の特定のタイプ、手術台の特定のタイプ、または手術室の構成、のうちの少なくとも1つに基づいて、前記手術室における前記移動カートを移動する場所を決定することと、
前記決定された場所と前記受信された信号とに基づいて、前記移動カートを新しい空間的姿勢に移動させることと、をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記送信機が、第1の送信機であり、
前記可動カートのロボットアームの第2の送信機から、第2の信号を受信することであって、前記第2の信号は、前記第2の送信機によって通信された前記信号に基づく3D空間内の前記ロボットアームの位置を含む、受信することと、
前記受信された第2の信号に基づいて、前記ロボットアームの空間的姿勢を決定することと、をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記ロボットアームの個々のリンクの複数の送信機から、複数の信号を受信することであって、前記複数の信号は、前記複数の送信機によって通信された前記複数の信号に基づく3D空間内の前記複数の個々のリンクの各々の場所を含む、受信することと、
前記受信された複数の信号に基づいて、前記ロボットアームの前記複数の個々のリンクの各々の空間的姿勢を決定することと、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
患者に近接して位置付けられた前記第2の送信機によって通信された信号に基づいて、患者の第2の空間的姿勢を決定することと、
前記患者の前記決定された第2の空間的姿勢に基づいて、患者に対する前記移動カートの位置を決定することと、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記受信機によって、前記送信機からの前記信号のレベルの指示を受信することによって、前記移動カートの前記空間的姿勢を決定すること、をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
コンピュータに手術室における無線ベースの位置の特定のための方法を実行させるプログラムを記憶する非一時的な記憶媒体であって、前記方法が、
移動カートの送信機から、信号を受信することであって、前記信号は、前記送信機によって通信された前記信号に基づく3D空間内の前記移動カートの位置を含む、受信することと、
前記受信された信号に基づいて、前記移動カートの空間的姿勢を決定することと、を含む、非一時的な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、その各々がロボットアームを支持する1つ以上のモジュール式アームカートを有する外科用ロボットシステムに関する。より具体的には、本開示は、3次元空間における外科用ロボットシステムにおけるモジュール式アームカートの無線ベースの位置特定のためのシステムおよび方法に向けられている。
【背景技術】
【0002】
外科用ロボットシステムは、これらのシステムが、外科医が体組織の広いエリアを切開する必要がある従来の開腹外科的処置と比較するとき、手術をより低侵襲性にすることを可能にするため、外科的処置において外科医によって広く使用されるようになってきている。その直接的な結果として、ロボット外科システムは患者への外傷を最小限に抑え、患者の回復時間および病院費用を削減する。病院または外科センターは、複数のロボットアームを備えた外科用ロボットシステムを操作する場合がある。ロボットアームがどこにあるかを知ることは、難しい場合がある。したがって、改善が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の技法は、概して、1つ以上のモジュール式アームカートを有する外科用ロボットシステムに関連し、3D空間内のその各々の無線ベースの位置特定は、送信機によって通信された信号に基づいており、受信された信号に基づいて移動カートの空間的姿勢を決定する。
【0004】
本開示の態様によれば、手術室における無線ベースの位置の特定のための位置および追跡システムは、受信機、移動カート、プロセッサ、およびプロセッサに結合されたメモリを含む。移動カートは、受信機と動作可能に通信する送信機とロボットアームとを含む。メモリが、メモリに記憶された命令を有し、それら命令は、プロセッサによって実行されたとき、システムに、送信機から信号を受信することであって、信号は、送信機によって通信された当該信号に基づく3D空間内の移動カートの位置を含む、受信することと、受信された信号に基づいて移動カートの空間的姿勢を決定することと、を行わせる。
【0005】
一態様において、命令は、命令が実行されたとき、さらにシステムに、特定の外科的処置、患者の特定のタイプ、手術台の特定のタイプ、または手術室の構成のうちの少なくとも1つに基づいて、移動カートを移動する場所を決定させ、決定された場所と受信された信号とに基づいて、移動カートを新しい空間的姿勢に移動させ得る。
【0006】
別の態様において、本開示は、送信機が第1の送信機であり得ることを提供する。システムは、患者に近接して位置付けられた第2の送信機をさらに含み得る。命令は、実行されたとき、さらにシステムに、第2の送信機によって通信された信号に基づいて患者の第2の空間的姿勢を決定させ、患者の決定された第2の空間的姿勢に基づいて患者に対する移動カートの位置を決定させ得る。
【0007】
本開示の態様によれば、送信機は、RF送信機、マイクロ波送信機、またはミリ波送信機のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0008】
本開示の一態様において、受信機は、複数のアンテナを含み得る。
【0009】
本開示の別の態様において、送信機の信号は、スペクトラム拡散信号を含み得る。
【0010】
本開示のさらに別の態様において、プロセッサは、受信機によって、送信機からの信号のレベルの指示を受信することによって、移動カートの空間的姿勢を決定するように構成され得る。
【0011】
本開示のさらなる態様において、ロボットアームは、受信機と動作可能に通信する第2の送信機を含み得る。
【0012】
本開示のなおさらなる態様において、命令は、実行されたとき、さらに、システムに、第2の送信機から第2の信号を受信することであって、第2の信号は、第2の送信機によって通信された当該信号に基づく3D空間内のロボットアームの位置を含む、受信することと、受信された第2の信号に基づいてロボットアームの空間的姿勢を決定することを行わせ得る。
【0013】
本開示のさらに別の態様において、ロボットアームは、複数の個々のリンクを含み得る。複数のリンクは、受信機と動作可能に通信する複数の送信機を含み得る。
【0014】
本開示のさらなる態様において、命令は、実行されたとき、さらにシステムに、複数の送信機から、複数の信号を受信することであって、複数の信号は、複数の送信機によって通信された当該複数の信号に基づく3D空間内の複数の個々のリンクの空間的姿勢を含む、受信することを行なわせてもよい。
【0015】
本開示のなおさらなる態様において、命令は、実行されたとき、さらにシステムに、ロボットアームから運動学的情報またはロボットアームからカメラ位置決め情報を受信させ、複数の個々のリンクの形状情報を受信させ、複数の個々のリンクの空間的姿勢を、運動学的情報および/またはカメラ位置決め情報と相互参照させ得る。
【0016】
本開示のさらに別の態様において、システムは、ディスプレイをさらに含み得る。命令は、実行されたとき、さらにシステムに、相互参照に基づいて第2のロボットアームとの衝突の可能性を予測させ、ディスプレイ上に、衝突の可能性を示す警報を表示させ得る。
【0017】
本開示の態様によれば、手術室においてロボット手術を行う方法は、ロボットアームを支持する可動カートの送信機から信号を受信することであって、信号は、送信機によって当該通信された信号に基づく3D空間内の移動カートの位置を含む、受信することと、受信された信号に基づいて移動カートの空間的姿勢を決定することと、を含む。
【0018】
本開示のさらなる態様において、本方法は、特定の外科的処置、患者の特定のタイプ、手術台の特定のタイプ、または手術室の構成、のうちの少なくとも1つに基づいて、手術室内で移動カートを移動する場所を決定することと、決定された場所と受信された信号とに基づいて、移動カートを新しい空間的姿勢に移動させることと、をさらに含み得る。
【0019】
本開示のなおさらなる態様において、送信機は第1の送信機であり得る。本方法は、可動カートのロボットアームの第2の送信機から、第2の信号を受信することであって、第2の信号は、第2の送信機によって通信された当該信号に基づく3D空間内のロボットアームの位置を含む、受信することと、受信された第2の信号に基づいてロボットアームの空間的姿勢を決定することと、をさらに含み得る。
【0020】
本開示のさらに別の態様において、本方法は、ロボットアームの個々のリンクの複数の送信機から、複数の信号を受信することであって、複数の信号は、複数の送信機によって通信された前記複数の信号基づく3D空間内の複数の個々のリンクの各々の場所を含む、受信することと、受信された複数の信号に基づいてロボットアームの複数の個々のリンクの各々の空間的姿勢を決定することと、をさらに含み得る。
【0021】
本開示のさらなる態様において、本方法は、患者に近接して位置付けられた第2の送信機によって通信された信号に基づいて患者の第2の空間的姿勢を決定することと、患者の決定された第2の空間的姿勢に基づいて患者に対する移動カートの位置を決定することと、をさらに含み得る。
【0022】
本開示の態様によれば、コンピュータに手術室における無線ベースの位置の特定のための方法を実行させるプログラムを記憶する非一時的記憶媒体であって、その方法は、移動カートの送信機から信号を受信することであって、信号は、送信機によって通信された当該信号に基づく3D空間内の移動カートの位置を含む、受信することと、受信された信号に基づいて移動カートの空間的姿勢を決定することと、を含む、非一時的記憶媒体。
【0023】
本開示の1つ以上の態様の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。本開示に記載される技法の他の特徴、目的、および利点は、本明細書および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の様々な態様は、図面を参照して本明細書で説明される。
【0025】
図1】本開示による、制御タワーと、コンソールと、1つ以上の外科用ロボットアームと、を含む、外科用ロボットシステムの概略図である。
図2】本開示による、図1の外科用ロボットシステムの外科用ロボットアームの斜視図である。
図3】本開示による、図1の外科用ロボットシステムの外科用ロボットアームを伴うセットアップアームの斜視図である。
図4】本開示による、図1の外科用ロボットシステムのコンピュータアーキテクチャの概略図である。
図5】本開示による、図1の外科用ロボットシステムのセットアップアームおよびロボットアームの斜視図である。
図6】本開示による、図1の外科用ロボットシステムの位置合わせパターンの概略図である。
図7】手術台に対するロボットアームのヨー角の概略図である。
図8】本開示による、外科用ロボットシステムの構成要素の無線ベースの位置特定のための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の外科用ロボットシステムの実施形態を、図面を参照して詳細に説明するが、図中、同様の参照番号は、いくつかの図の各々において同一または対応する要素を示す。本明細書で使用されるとき、「遠位」という用語は、患者により近い外科用ロボットシステムおよび/またはそれに連結された外科用器具の部分を指し、「近位」という用語は、患者からより遠い部分を指す。
【0027】
以下の説明は、外科用ロボットシステムに特定のものであるが、以下に説明する無線ベースの位置特定システムは、代表的な座標系または別の配向の点に対する位置合わせを必要とする任意の好適な医療デバイスとともに使用され得る。図1を参照すると、外科用ロボットシステム10は、外科用コンソール30および1つ以上のロボットアーム40を含む外科用ロボットシステム10のすべての構成要素に接続された制御タワー20を含む。ロボットアーム40の各々は、それに取り外し可能に連結された外科用器具50を含む。ロボットアーム40のうちの1つ以上は、手術部位を観察するための内視鏡またはカメラを含み得る。外科用器具50は、低侵襲の外科的処置中に使用するように構成されている。実施形態において、外科用器具50は、開腹外科的処置のために構成され得る。ロボットアーム40の各々はまた、移動カート60に連結されている。
【0028】
外科用コンソール30は、ロボットアーム40に配設されたカメラ(図示せず)によって提供される手術部位を表示する第1の表示デバイス32と、外科用ロボットシステム10を制御するためのユーザインタフェースを表示する第2の表示デバイス34と、を含む。外科用コンソール30はまた、ロボットアーム40を遠隔制御するために臨床医によって使用されるフットペダル36ならびに一対のハンドルコントローラ38aおよび38bなどの複数のユーザインタフェースデバイスを含む。
【0029】
制御タワー20は、外科用コンソール30と1つ以上のロボットアーム40との間のインタフェースとして機能する。特に、制御タワー20は、ロボットアーム40および外科用器具50が、フットペダル36ならびにハンドルコントローラ38aおよび38bからの入力に応答して、所望の動きシーケンスを実行するように、プログラム可能な命令および/または外科用コンソール30からの入力コマンドのセットに基づいて、ロボットアーム40および対応する外科用器具50を動かすなど、ロボットアーム40を制御するように構成されている。制御タワー20は、外科用ロボットシステム10に関係する様々な情報を表示するためのディスプレイ23を含む。
【0030】
制御タワー20、外科用コンソール30、およびロボットアーム40の各々は、それぞれのコンピュータ21、31、41を含む。コンピュータ21、31、41は、有線または無線通信プロトコルに基づいて任意の好適な通信ネットワークを使用して互いに相互接続されている。本明細書で使用される「ネットワーク」という用語は、複数または単数であるかどうかにかかわらず、インターネット、イントラネット、ワイドエリアネットワーク、またはローカルエリアネットワークを含むが、これらに限定されない、データネットワークを示し、本開示に包含されるような通信ネットワークの定義の全範囲に関して限定されない。好適なプロトコルは、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、データグラムプロトコル/インターネットプロトコル(UDP/IP)、および/またはデータグラム輻輳制御プロトコル(DCCP)を含むが、これらに限定されない。無線通信は、1つ以上の無線構成、例えば、無線周波数、光、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)(短電波長を使用して、固定および移動デバイスから短距離でデータを交換し、パーソナルエリアネットワーク(PAN)を作成するためのオープン無線プロトコル、ZigBee(登録商標)(無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)用のIEEE802.15.4-2003標準に基づいて小型で低消費電力のデジタル無線を使用する高レベル通信プロトコルのスイートのための仕様)を介して、達成され得る。
【0031】
コンピュータ21、31、41は、メモリ(図示せず)に動作可能に接続された任意の好適なプロセッサ(図示せず)を含み得、メモリは、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、不揮発性RAM(NVRAM)、またはフラッシュメモリなどの、揮発性、不揮発性、磁気的、光学的、もしくは電気的媒体のうちの1つ以上を含み得る。プロセッサは、限定はされないが、ハードウェアプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、およびそれらの組み合わせを含む、本開示で説明される動作、計算、および/または命令のセットを実施するように適合された任意の好適なプロセッサ(例えば、制御回路)であってもよい。当業者は、プロセッサは、本明細書で説明されるアルゴリズム、計算、および/または命令のセットを実行するように適合された任意の論理プロセッサ(例えば、制御回路)を使用することによって代用され得ることを理解されよう。制御タワー20、外科用コンソール30、およびロボットアーム40の各々は、それぞれの送信機200を含む。複数の送信機200が使用され得ることが企図される。
【0032】
図2を参照すると、ロボットアーム40の各々は、回転ジョイント44a、44b、44cでそれぞれ相互接続された複数のリンク42a、42b、42cを含み得る。ジョイント44aは、ロボットアーム40を移動カート60に固定するように構成されており、第1の長手方向軸を画定する。図3を参照すると、移動カート60は、リフト61と、ロボットアーム40を取り付けるためのベースを提供するセットアップアーム62と、を含む。リフト61は、セットアップアーム62の垂直方向の移動を可能にする。移動カート60は、各々がブレーキ68を有する複数の車輪67を有するベース66を含む。移動カート60はまた、ロボットアーム40に関係する情報を表示するためのカートディスプレイ69を含む。
【0033】
セットアップアーム62は、第1のリンク62a、第2のリンク62b、および第3のリンク62cを含み、これらは、ロボットアーム40の横方向の操作性を提供する。リンク62a、62b、62cは、回転ジョイント63aおよび63bで相互接続されており、これらの各々は、リンク62bおよび62bを互いおよびリンク62cに対して回転させるためのアクチュエータ(図示せず)を含み得る。特に、リンク62a、62b、62cは、互いに平行であるそれらの対応する側面において可動であり、それにより、患者(例えば、手術台)に対してロボットアーム40の伸長を可能にする。実施形態において、ロボットアーム40は、手術台(図示せず)に連結され得る。セットアップアーム62は、リンク62a、62b、62cおよびリフト61の移動を調整するための制御装置65を含む。
【0034】
第3のリンク62cは、2自由度を有する回転可能なベース64を含む。特に、回転可能なベース64は、第1のアクチュエータ64aおよび第2のアクチュエータ64bを含む。第1のアクチュエータ64aは、第3のリンク62cによって画定される平面に垂直な第1の静止アーム軸を中心に回転可能であり、第2のアクチュエータ64bは、第1の静止アーム軸を横切る第2の静止アーム軸を中心に回転可能である。第1および第2のアクチュエータ64aおよび64bは、ロボットアーム40の完全な3次元の配向を可能にする。
【0035】
図2を参照すると、ロボットアーム40はまた、第2の長手方向軸を画定し、外科用器具50の器具駆動ユニット52(図1)を受容するように構成されているホルダ46を含み、器具駆動ユニット52は、外科用器具50の作動機構に結合するように構成されている。器具駆動ユニット52は、そのアクチュエータから外科用器具50に作動力を伝達して、外科用器具50の構成要素(例えば、エンドエフェクタ)を作動させる。ホルダ46は、ホルダ46によって画定される第2の長手方向軸に沿って器具駆動ユニット52を動かすように構成されているスライド機構46aを含む。ホルダ46はまた、リンク42cに対してホルダ46を回転させる回転ジョイント46bを含む。
【0036】
ジョイント44aおよび44bは、一連のベルト45aおよび45b、または駆動ロッド、ケーブル、またはレバーなどの他の機械的リンケージを介してジョイント44a、44b、44cを相互に駆動するように構成されている電気アクチュエータ48aおよび48bを含む。特に、ジョイント44bのアクチュエータ48bは、ベルト45aを介してジョイント44cに結合され、次に、ジョイント44cは、ベルト45bを介してジョイント46cに結合される。ジョイント44cは、アクチュエータ48bがリンク42b、42c、およびホルダ46の各々を互いに対して回転させるように構成されるように、ベルト45aおよび45bを結合する伝達ケースを含み得る。より具体的には、リンク42b、42c、およびホルダ46は、アクチュエータ48bに受動的に連結され、アクチュエータ48bは、リンク42aによって画定される第1の軸と、ホルダ46によって画定される第2の軸との交点にある枢動点「P」を中心とした回転を行う。したがって、アクチュエータ48bは、第1の軸と第2の軸との間のピッチ角θを制御し、外科用器具50の配向を可能にする。ベルト45aおよび45bを介したリンク42a、42b、42c、およびホルダ46の相互リンクにより、リンク42a、42b、42cとホルダ46との間の角度もまた、所望の角度θを達成するために調整される。実施形態において、ジョイント44a、44b、44cのいくつかまたはすべては、機械的リンクの必要性を取り除くために電気アクチュエータを含み得る。
【0037】
図4を参照すると、外科用ロボットシステム10のコンピュータ21、31、41の各々は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで具体化され得る複数のコントローラを含み得る。制御タワー20のコンピュータ21は、コントローラ21aおよび安全オブザーバ21bを含む。コントローラ21aは、ハンドルコントローラ38aおよび38bの現在の位置および/または配向、ならびにフットペダル36および他のボタンの状態について、外科用コンソール30のコンピュータ31からデータを受信する。コントローラ21aは、これらの入力位置を処理して、ロボットアーム40の各ジョイントおよび/または器具駆動ユニット52に所望される駆動コマンドを判定し、これらをロボットアーム40のコンピュータ41と通信させる。コントローラ21aはまた、実際のジョイント角度を受信し、この情報を使用して、外科用コンソール30のコンピュータ31に送り返される力フィードバックコマンドを判定し、ハンドルコントローラ38aおよび38bを介して触覚フィードバックを提供する。安全オブザーバ21bは、コントローラ21aに出入りするデータに対して妥当性チェックを実行し、データ伝送のエラーが検出された場合にシステム障害ハンドラに通知して、コンピュータ21および/または外科用ロボットシステム10を安全な状態にする。
【0038】
コンピュータ41は、複数のコントローラ、すなわち、メインコントローラ41a、セットアップアームコントローラ41b、ロボットアームコントローラ41c、および機器駆動ユニット(IDU)コントローラ41dを含む。メインカートコントローラ41aは、コンピュータ21のコントローラ21aからジョイントコマンドを受信して処理し、それらをセットアップアームコントローラ41b、ロボットアームコントローラ41c、およびIDUコントローラ41dに通信する。メインカートコントローラ41aはまた、器具交換、ならびに移動カート60、ロボットアーム40、および器具駆動ユニット52の全体的な状態を管理する。メインカートコントローラ41aはまた、実際のジョイント角度をコントローラ21aに返すように通信する。
【0039】
セットアップアームコントローラ41bは、回転ジョイント63aおよび63bのそれぞれ、ならびにセットアップアーム62の回転可能なベース64を制御し、ピッチ軸に対する所望のモーター動きコマンド(例えば、モータートルク)を計算し、ブレーキを制御する。ロボットアームコントローラ41cは、ロボットアーム40の各ジョイント44aおよび44bを制御し、重力補償、摩擦補償、および閉ループ位置制御に必要な所望のモータートルクを計算する。ロボットアームコントローラ41cは、計算されたトルクに基づいて移動コマンドを計算する。次に、計算されたモーターコマンドは、ロボットアーム40内の1つ以上の電気アクチュエータ48aおよび48bに通信される。次に、実際のジョイント位置は、電気アクチュエータ48aおよび48bによってロボットアームコントローラ41cに送り返される。
【0040】
IDUコントローラ41dは、手首および顎の角度などの外科用器具50の所望のジョイント角度を受け、器具駆動ユニット52内のモーターの所望の電流を計算する。IDUコントローラ41dは、モーター位置に基づいて実際の角度を計算し、実際の角度をメインコントローラ41aに送り返す。
【0041】
ロボットアームコントローラ41cは、ロボットアーム40の剛性リンク構造、すなわち、リンク42a、42b、42cによって回転ジョイント44aおよび44bに与えられるトルクを推定するように構成されている。回転ジョイント44aおよび44bの各々は、電気アクチュエータ48aおよび48bを収容する。ロボットアーム40の重量が重いため、ロボットアーム40を動かすために高トルクが使用され得る。しかしながら、損傷または怪我を防止するためにトルクを調整する必要があり得る。これは、ロボットアーム40が他のロボットアーム、患者、スタッフ、手術室(OR)機器、等などの外部物体と衝突する際のトルクを制限するのに特に有用である。
【0042】
図5を参照すると、ロボットアーム40は、1つ以上の送信機200を含み得る。1つ以上の送信機200は、制御タワー20と動作可能に通信している。実施形態において、送信機200は、結合アセンブリ308に直接結合され得る。送信機200は、コンピュータ21によって生成された構成物であり、ロボットアーム40の各々を、例えばカメラおよび/または内視鏡を通した、臨床医の視点に仮想的に配置および配向するために使用される、代表的な座標系11に対するセットアップアーム62およびロボットアーム40の配向を判定するように構成されている。特に、送信機200は、ロボットアーム40に対する共通の基準位置合わせを作成し、代表的な座標系11に対するロボットアーム40のヨー配向を判定するために使用され得る。本明細書で使用される場合、「ヨー」という用語は、地面に垂直な垂直軸を中心としたロボットアーム40の動きを示す。
【0043】
ロボットアーム40の各リンクおよびセットアップアーム62の各セットアップリンクの配向は、ロボットアーム40の動きを、外科用コンソール30における入力デバイス、例えば手動入力18の動きと位置合わせするための計算に使用される。光ユニット412(図6を参照)は、位置合わせパターン318を水平表面に投影するように構成され得る。位置合わせパターン318は、手術台、床、患者、または他の任意の表面などの任意の表面に投影され得る。表面に投影された位置合わせパターン318が、臨床医またはコンピューティングデバイスによって視認可能かつ識別可能である限り、表面は、完全には水平ではないことがある。したがって、任意の非垂直面が使用され得る。
【0044】
実施形態において、ロボットアーム40は、順方向、または患者に対する方向を示すために、その表面に印刷されたラベルまたは画像などのインジケータ316aを含み得る。さらなる実施形態では、位置合わせパターン318は、方向の表示を有するラインであり得る。実施形態において、位置合わせパターン318は、第1の部分324および第2の部分322を含み得る。位置合わせパターン318の第2の部分322は、前方方向、または外科用器具50の一部および患者に最も近いロボットアーム40を示し得、第2の部分322は、後方方向、または外科用器具50の一部および患者から最も遠いロボットアーム40を示し得る。第2の部分322および第1の部分324は、より容易な識別を可能にするために、異なる色および/またはパターンなど、視覚的に異なっていてもよい。例示的な実施形態では、第2の部分322は緑色であってもよく、第1の部分324は赤色であってもよい。実施形態において、第2の部分322は青色であってもよく、第1の部分324は黄色であってもよく、色覚異常の職員によるより良好な識別を可能にする。さらなる実施形態では、第2の部分322および第1の部分324は、第1の部分324または第2の部分322の一方が中実であり得、他方が破線であり得るなど、異なるパターンを有し得る。
【0045】
図6を参照すると、患者「P」が配設された手術台400が示されている。図6はまた、手術台400に対して配向されている複数の位置合わせパターン318a、318b、318c、318dを示す。手術台400は、それぞれの送信機200の各々を位置合わせすることによってロボットアーム40を配向させるための基準点として使用され得る。基準点は、手術台400、患者「P」、壁、床のマーキング、または他の位置合わせパターン318のいずれか1つなど、位置合わせの期間中に静止したままである任意の物体であり得る。位置合わせパターン318a、318b、318c、318dは、4つのロボットアーム40の位置合わせユニット316によって投影される。位置合わせパターン318aは、カメラおよび/または内視鏡を保持するロボットアーム40に取り付けられた位置合わせユニット316によって投影される。適切に配向された場合に、位置合わせパターン318b、318c、318dは、パターン402、404、および406に示されるように、カメラおよび/または内視鏡を保持するロボットアーム40から投影された位置合わせパターン318aに平行であり、これと同じ方向を向いている。パターン408は、位置合わせされていない位置合わせパターン318a、318b、318c、318dを示し、位置合わせパターン318cは、位置合わせパターン318aおよび318bに対して横方向であり、位置合わせパターン318dは、位置合わせパターン318aおよび318bとは反対方向に配向されている。
【0046】
図7は、手術台600に対するロボットアーム40の各々(例えば、ロボットアーム40の第1のリンク42aの長手方向軸)のヨー角Φを記憶するためにコントローラ21aによって表されるような、システム10の、特に、移動カート60およびロボットアーム40の概略図を示している。移動カート60およびロボットアーム40の1つのセットのみが図7に示されているが、複数の移動カート60および対応するロボットアーム40が使用され得る。図7は、手術台600の上部で方向づけられた0°から360°までの度目盛りを有する円形目盛り602を示している。図7では、ロボットアーム40は、約60°のヨー角Φを有するものとして示されている。
【0047】
円形目盛り602およびその上に示される位置合わせ角度は、右手の法則(例えば、反時計回り)に従い、位置合わせパターン318からロボットアーム40の第1のリンク42aまでの角度に基づいて定義される。位置合わせパターン318の第2の部分322が、第1のリンク42aによって前方向に定義された長手方向軸と位置合わせされるとき、角度はゼロである。逆に、システムセットアップおよびユーザインタフェース700の場合、位置合わせ角度は時計回りに定義される。第2の部分322がロボットアーム40の第1のリンク42aの逆方向と整列しているとき、角度はゼロである。
【0048】
ヨー角は、次の式(I):位置合わせ角度=mod(3*π-生の位置合わせ角度、2*π)を使用して、手術台600に対する位置合わせパターン318の生の角度を変換された位置合わせ角度に変換することによって決定される。
【0049】
式(I)において、mod関数はモジュロ演算であり、3*πと生の位置合わせ角度との差を2*πで除算した後の余りを求める。次に、変換された位置合わせ角度を使用して、式(II):
ヨー角=変換されたレーザー角度-sum(現在のベクトル-初期ベクトル)
を使用してヨー角を計算する。
【0050】
式(II)において、初期ベクトルは、位置合わせ前のセットアップアーム62のリンク62a、62b、62c間の初期セットアップアーム角度の3x1ベクトルであり、現在のベクトルは、ポスト位置合わせ状態にあるセットアップアーム62に対応する3x1ベクトルである。ロボットアーム40がその位置合わせ後に動かされると、現在のベクトルが更新され、その結果、新しいヨー角が計算される。ヨー角は、ユーザインタフェース上にロボットアーム40の各々について表示される。ユーザインタフェース700は、制御タワー20の第1の表示デバイス32および/または移動カート60のカートディスプレイ69上に表示され得る。
【0051】
移動カート60が、ロボットアーム40とともに最初に位置合わせ状態に移行するとき、ヨー角は位置合わせ角度に等しい。セットアップアーム62が手動平面運動中に移動してロボットアーム40を手術台600に対して位置決めすると、回転ジョイント63aおよび63bが、床に垂直なそれらの個々の回転軸を中心に回転し、それにより各ジョイント63aおよび63bは、ロボットアーム40のベースジョイント44aの回転に相加的に寄与する。
【0052】
外科用ロボットには、1つ以上の物体の空間的姿勢を別の物体と比較して知ることで、臨床パフォーマンスを向上させるための洞察を提供する多くの状況がある。最近、スペクトラム拡散無線周波数源と受信機により、見通し線を必要とせず、ならびに、信号を変更する材料に敏感でなくても、ミリメートル分解能の位置感知が可能になっている。この技術を利用できるようにすることで、脊椎および脳神経外科のツールの光学的追跡などの手術における既存の感知アプローチを置き換えることが可能になり、事前定義された計画のパフォーマンスを可能にするだけでなく、ORでの空間的場所および姿勢感知のまったく新しい使用も可能にする。
【0053】
本開示によれば、スペクトラム拡散無線周波数源および受信機を含む外科用ロボットで使用するための、絶対空間位置および姿勢追跡のための位置および追跡システム1000が提示されている。位置および追跡システム1000は、送信機200、および受信機205を含み得、図1に示されるように、ロボット外科システム10とともに使用するか、またはロボット外科システム10に組み込まれるように構成される。受信機205は、RF受信機、マイクロ波受信機、および/またはミリ波受信機を含み得る。受信機205は、図1のコンピュータ21、31、41と通信し得る。簡単に言えば、受信機205は、プロセッサ(図示せず)およびメモリ(図示せず)を含み得る。受信機205は、図1の制御タワー20上に位置付けられ得る。受信機205は、天井に統合されるか、またはORに統合され得ることが企図される。
【0054】
送信機200は、RF送信機、マイクロ波送信機、および/またはミリ波送信機を含み得る。様々な態様において、送信機200(例えば、追跡ユニット、ビーコン、またはセンサ)の場所は、送信機200に対してミリメートルの精度で追跡されることが望ましい。様々な態様において、位置および追跡システム1000は、1つ以上の送信機200を含み得る。様々な態様において、位置および追跡システム1000は、これらの送信機200の3つ以上を含み得、位置および追跡システム1000が、それらが取り付けられている剛体の空間的姿勢を決定および監視することを可能にする。例えば、図1の制御タワー20の位置は、患者またはロボットアーム40に関して監視され得、逆もまた同様である。様々な態様において、物体の位置および姿勢は、位置および追跡システム1000の受信機205によって遠隔監視され得、以下に説明される例示的な使用事例を可能にする。様々な態様において、位置および追跡システム1000は、送信機200によって通信されたデータに基づいて、3Dでアイテムの場所を決定する。
【0055】
様々な態様において、送信機200は、外科用ロボットシステム10上および全体に取り付けられ得、例えば、外科用ロボットシステム10のサブ構成要素の空間的場所に取り付けられ得、ロボットアーム40の移動カート60、ならびにそれらがそれらの滅菌ドレープ内にあるときでさえ、アームの個々のリンク42a、42b、42cを含めて、常に監視され得る。(例えば、図2および図3を参照。)この機能により、特定の構成のORにおける特定のタイプの手術台上の特定のタイプ患者のための特定の外科的処置に最適な場所への移動カート60の配置が、能動的ガイダンスフィードバックを用いることにより確実にされ得る。様々な態様において、ロボットアーム40および/または移動カート60上の様々な場所に、具体的にはロボットアーム40の個々のリンク42a、42b、42cに沿って、送信機200を配置することによって、ロボットアーム40の個々のリンク42a、42b、42cは、絶えず監視され得、位置および追跡システム1000が、すべてのロボットアーム40の互いに対する場所、配向、および姿勢を常に知ることを可能にする。様々な態様において、これは、ロボットアーム40上の送信機200の幾何学的配置の状態を何も変更していないことを確かなものにするための二重点検として使用することができる。ロボットアーム40のすべての構成要素が互いに対してどこに位置するかを知り、それらの構成要素の形状を既知の姿勢情報に追加することにより、ロボットアーム40の潜在的な衝突を検出することができ、ロボットアーム40の動きを修正することができ、外科医は、衝突の前に是正措置を講じるべきであると警報され得、またはそのような衝突を防ぐためにロボットアーム40の動きが停止され得る。様々な態様において、位置および追跡システム1000は、既知の空間的姿勢情報を使用して、患者、手術台、および/または外科医の姿勢を決定し得る。様々な態様において、位置および追跡システム1000は、各ロボットアーム40上の少なくとも1つの送信機200および外科助手または患者上の少なくとも1つの送信機200に基づいて衝突回避を提供し得る。
【0056】
様々な態様において、送信機200は、外科用器具ポート(図示せず)に配置または組み込まれ得る。具体的には、様々な態様において、位置および追跡システム1000は、患者の腹腔に挿入されるアクセスポートまたはトロカール(図示せず)に統合された送信機200を含み得る。様々な態様において、位置および追跡システム1000は、セットアップガイドとして使用するトロカールまたはアクセスポートの場所情報を判定し得る。外科用器具ポートの場所を知る位置および追跡システム1000によって、ロボットシステム10の外科用器具ポートへの最初のドッキングをガイダンスの下で実行することができ、これは、ORチームがロボット外科システム10に精通するときに特に有益である。加えて、特定の患者および処置のための外科用ポートへのインタラクティブなガイダンスおよび最適な配置の確認が可能になる。位置および追跡システム1000は、外科用器具ポートを取り巻く患者組織の変形に起因する、外科用器具ポートの動きを継続的に監視および評価することができ、過度の組織運動が見出された場合に、ガイダンスがロボットシステム10によって提供される。
【0057】
様々な態様において、位置および追跡システム1000は、外科ツール上/内に位置付けられた送信機200に基づいて、手術中に使用される外科ツール(例えば、外科用器具50)を追跡し得る。様々な態様において、送信機200は、外科用器具の外科ツール先端または外科用器具の既知の場所に位置付けられ得、それらの間の距離および相対位置を使用することによって、外科ツール先端の場所を決定することができる。例えば、外科用器具ポートの姿勢および既知のロボットアーム42の最後のリンク42cの姿勢で、かつ外科用器具の既知の運動学的状態と組み合わされて、外科ツール先端のエンドポイントフィードバックが決定され、継続的に監視され得、それにより、内視鏡に対するだけでなく、互いに対するすべての外科用器具の相対的な姿勢を監視することができる。これにより、ツール-ツールおよびツール-カメラの姿勢監視の正確で直接的な手段が提供される。
【0058】
様々な態様において、位置および追跡システム1000は、複数の送信機200を使用して、入力デバイス(例えば、手動入力18)の配向/位置を決定し得る。様々な態様において、位置および追跡システム1000は、統合されたセンサを備えた入力デバイスの位置決めをマイクロロケーションする。
【0059】
様々な態様において、外科医は単一の送信機200を着用し得る。様々な態様において、位置および追跡システム1000は、処置全体を通して職員の行動を判定および監視して、データセットを構築して、手術の進行の予測監視、ならびに適切な行動が取られるのを確実にするためにリソースの適切な通知を用いて標準的な進行からの逸脱の検出を提供することを可能にし得る。様々な態様において、職員は複数の送信機200を着用し得る。様々な態様において、位置および追跡システム1000は、ロボットアーム40との起こり得る衝突のきめ細かい検出を判定し、救済措置を提案し得る。
【0060】
様々な態様において、複数の送信機200の着用はまた、拡張現実などの対話型方法を使用して、職員間のコミュニケーションを制御するための入力として職員の動き/ジェスチャを使用することを可能にする。様々な態様において、送信機200は、外科医の手および/または足に配置され得、位置および追跡システム1000は、外科用ロボットシステム10を制御/コマンドするための入力の形態として、リンケージベースのコマンド入力の代替として、またはその拡張として、外科医の手および/または足の動きを監視し得る。様々な態様において、位置および追跡システム1000は、複雑な手術において制御入力を提供することに関与する複数の職員によって着用される複数の送信機200を含み得る。例えば、外科医は、仮想フットペダルとして使用するために、足に送信機200を装着し得る。様々な態様において、位置および追跡システム1000は、外科医の場所および/または配向を決定するために、外科医に1つ以上の送信機200を含み得る。様々な態様において、位置および追跡システム1000は、場所情報を使用して、外科医がユーザインタフェースモニタの視野内にあり、画面に面していることを確実にし得る。様々な態様において、送信機200は、外科医が着用する眼鏡に統合され得る。
【0061】
様々な態様において、送信機200は、手術台上の患者の特定の場所に配置され得る。このようにして、手術台上の患者の場所を知り、確認することができ、この情報を、外科ポート追跡、ロボット構成要素追跡、および外科医追跡と組み合わせることができる。動作エリアのそのような完全かつ連続的な空間情報ポートレートの利点には、その周辺の職員および機器のすべての様相に関連するロボットアーム40の動きの安全監視が含まれる。この情報はまた、ロボットアーム40の動きの適応を可能にし、外科的処置の最中に手術台を調節することを可能にし、こうして時間を節約し、新しいタイプの手術部位へのアクセスを可能にする。
【0062】
様々な態様において、位置および追跡システム1000は、ロボットシステム10のためのセットアップガイダンスを提供し得る。例えば、送信機200は、患者、手術台、および/または各アーム/カートに1つ以上位置付けられ得る。様々な態様において、1つ以上の送信機200は、手術台の様々なセクションに位置付けられ得る。例えば、位置および追跡システム1000は、手術台の配向のために送信機200から通信されたデータに基づく場所情報を利用することができる。
【0063】
様々な態様において、位置および追跡システム1000は、病院の周りにロボットアーム40および/または移動カート60を位置付け得る。例えば、位置および追跡システム1000は、ORに必要なロボットアーム40または移動カート60が現在、収納クローゼットに位置すると判断し得る。
【0064】
様々な態様において、位置および追跡システム1000は、外科医が患者の解剖学的構造の部分または場所を登録するために使用することができるワンドに統合された送信機200を含み得る。次に、これを仮想壁に使用し、また術前スキャンをユーザインタフェース700および/または手術室チームインタフェース(ORTI)内視鏡フィードに合わせることができる。例えば、外科医は、ワンドを患者の解剖学的特徴に接触させ、特徴の場所を示すワンド上のボタンを押すことができる。
【0065】
様々な態様において、受信機は、複数のアンテナを含み得る。様々な態様において、受信機205は、受信機によって受信されるRF信号(またはミリメートル信号またはマイクロ波信号)を送信する。様々な態様において、信号はスペクトラム拡散信号であり得る。スペクトラム拡散は、送信信号の周波数が意図的に変えられる無線通信の一形態である。例えば、送信機200は、ロボットアーム40上に位置付けられ得、30GHzでビーコンを送信し得る。他の周波数が使用され得ることが企図される。制御タワー20上に位置付けられ得る受信機205は、受信機205の複数のアンテナを介して1つ以上の送信機200から30GHzのビーコン信号を受信するであろう。位置および追跡システム1000は、そのアンテナの各々で受信された30GHzの信号のレベルを利用して、OR内の送信機200についての位置データを判定し得る。例えば、位置および追跡システム1000は、三角測量に基づいて送信機200についての場所データを判定し得る。位置および追跡システム1000は、この位置データを取得し、それを運動学的情報および/またはカメラ位置決め情報と相互参照し得る。
【0066】
本開示によれば、位置および追跡システム1000は、より正確な目的のために、外科用器具50のエンドエフェクタ(または先端)の位置を追跡するために使用され得る。現在、器具先端位置は、ロボットアーム40のジョイント角度に基づいて推定されている。加えて、外科用器具50のシャフトの曲がりまたは不正確なジョイント角度は、合計して精度を低下させる。したがって、外科用器具50の先端を追跡することは、ミリメートル寸法を下回る精度のレベルを提供し、画像誘導処置、手術自動化、および外科用器具50の屈曲を推定することによる力の推定を可能にする。
【0067】
さらに、送信機200が十分に小さい場合、かつ送信機200が無線である(または細いワイヤのみでつながれている)場合、送信機200は、臓器および他の解剖学的構造の位置を追跡するために、患者の解剖学的構造内に直接配置され得ることが企図され、本開示の範囲内である。これは、患者の組織、臓器、または解剖学的構造の動きがわかっているため、画像誘導手術、変形可能な組織モデルの更新、および手術自動化に使用することができる。
【0068】
無線周波数位置特定動作の特定の態様は、Meglan、他によって2018年4月20日に出願された米国仮特許出願第62/660,476号に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
位置および追跡システム1000の受信機205は、制御タワー20上に位置付けられていると説明されているが、位置および追跡システム1000の受信機205は、外科用コンソール30内、手術台内、または天井もしくは壁を含むORアリーナ内/上のどこにでも位置付けられ得ることが企図される。
【0070】
本明細書に開示された実施形態に様々な変更が加えられ得ることが理解されるであろう。実施形態において、位置および追跡システム1000の送信機200は、ロボットアームの任意の適切な部分に配設され得る。したがって、上記の説明は、限定として解釈されるべきではなく、単に様々な態様および特徴の例示として解釈されるべきである。当業者は本明細書に添付される特許請求の範囲内および趣旨内で他の修正を想定するであろう。
【0071】
様々な態様において、位置および追跡システム1000は、効率を改善し、および/または機器の利用を増加させるための病院に対して資本管理ツールとして使用され得る。例えば、位置および追跡システム1000は、病院全体のすべてのシステム構成要素の位置および/または使用状況を追跡し得る。位置および追跡システム1000は、システムのモジュール性の利用を支援するために、使用、休止時間、場所、および/または管理者に関する情報を記録し得る。記録された情報は、セットアップの最適化を予測するための入力として機械学習モジュールに入力され得る。位置および追跡システム1000は、記録された情報に関するレポートを生成し得る。例えば、位置および追跡システム1000は、病院全体に位置付けられた複数の受信機を有し、病院のどこにでもロボットアームを位置付けるように構成され得る。これにより、病院のスタッフが最も近い未使用のロボットアームを捜し出すことを可能にすることによって、手術間の休止時間を短縮し得る。位置および追跡システム1000は、未使用のロボットアーム40に対する要求を受信し、病院内のロボットアームの場所を示すメッセージをユーザデバイス、またはコンピューティングシステムに提供し得る。様々な態様において、ロボットアームは、GPS受信機をさらに含み、GPSデータを受信機に送信し得る。態様において、ロボットアーム40は、ビーコンまたは「ファインドミー(find me)」モジュールを含み得る。ロボットアーム40は、バッテリがいつ閾値を下回るかを判定し、低バッテリに基づいてビーコンおよび/またはメッセージをユーザに送信し得る。様々な態様において、位置および追跡システム1000は、ある期間にわたって機器がどのように動くかを視覚化するためのスパゲッティプロットを生成し得る。データは、機械学習によって分析されて、機器(例えば、ロボットアーム)をより効率的に使用するための提案を提供し得る。様々な態様において、位置および追跡システム1000は、外科チームを比較して、最善の措置を決定し、機器のより効率的な使用に関する洞察を共有し得る。開示された技術は、医療デバイス以外のデバイス、例えば、資本設備追跡などの使用のための複写機を追跡するために使用され得ることが企図される。
【0072】
手術室の時間は貴重である。本開示の態様において、位置および追跡システム1000を使用して、セットアッププロセスを簡素化し、ORターンオーバー時間を短縮し、トリップの危険を低減し得る。例えば、手術台は、送信機200を含み得る。患者の処置、体型、および/または手術のタイプは、ポートがどこに行く必要があるか、ならびにロボットアーム40がOR内のどこに位置するべきかを決定するためにシステム1000によって使用され得る。例えば、ロボットアーム40および移動カート60の場所およびタイミングからのデータは、複数の処置にわたって、経時的に記録され得る。このデータは、機械学習ネットワークのトレーニングデータとして使用され得る。態様において、機械学習は、決定のために使用され得る。一態様において、ロボットアーム40の各々は、患者の周りのそれらの場所に基づいて一意の識別番号を割り当てられ得る。一態様において、システム1000は、機械学習ネットワークからの予測に基づくスケジュールされた処置に基づいて、移動カート60をORに自動的に送ることができる。機械学習ネットワークは、ニューラルネットワークおよび/または分類器を含み得る。機械学習ネットワークは、トレーニングデータおよび処置のタイプに基づいて、どのORがどのロボットアーム40を必要とするかを予測し得る。移動カート60およびロボットアーム40は、機械学習ネットワークに基づいて、適切なORの手術台の周りに自動的に位置し得る。
【0073】
以下に説明する図8の流れ図は、順序付けられたシーケンスで説明された様々なブロックを含む。しかしながら、当業者は、流れ図の1つ以上のブロックが、本開示の範囲から逸脱することなく、異なる順序で行われ、繰り返され、かつ/または省略され得ることを理解するであろう。以下の流れ図の説明は、位置および追跡システム1000によって行われる様々なアクションまたはタスクに言及しているが、当業者は、位置および追跡システム1000が例示的であることを理解するであろう。様々な態様において、開示された動作は、別の構成要素、デバイス、またはシステムによって行うことができる。様々な態様において、ビデオシステム230または他の構成要素/デバイスは、プロセッサ252上で実行される1つ以上のソフトウェアアプリケーションを介してアクションまたはタスクを行う。様々な態様において、動作の少なくとも一部は、ファームウェア、プログラマブルロジックデバイス、および/またはハードウェア回路によって実装することができる。他の実装形態も、本開示の範囲内にあると企図される。
【0074】
最初に、ステップ802で、システム1000は、ロボットアーム40を支持する移動カート60の送信機200から信号を受信する。態様において、3D空間内の移動カート60の位置は、送信機200によって通信される信号に基づく。例えば、送信機200は、RF送信機、マイクロ波送信機、および/またはミリ波送信機を含み得る。送信機200の信号は、スペクトラム拡散信号を含み得る。様々な態様において、システム1000は、送信機200からの信号を受信するように構成された1つ以上の受信機を含み得る。受信機205は、複数のアンテナを含み得る。
【0075】
次に、ステップ804で、システム1000は、受信された信号に基づいて移動カート60の空間的姿勢を決定する。例えば、システム1000は、送信機200からの信号のレベルの受信機205による指示を受信することによって、移動カート60の空間的姿勢を決定し得る。
【0076】
次に、ステップ806で、システム1000は、OR内で移動カート60を移動する場所を決定する。態様において、決定は、特定の外科的処置、患者の特定のタイプ、手術台の特定のタイプ、および/またはORの構成に基づき得る。例えば、心臓血管処置または大腿膝窩動脈処置の場合、患者は仰臥位になっている可能性がある。例えば、膀胱鏡検査、泌尿器科、および/または婦人科の処置では、砕石位のバリエーションが一般的である。スターラップ、スプリットレッグポジショナ、ウェルレッグホルダなどの手術台アクセサリは、一般的に、処置中に患者の脚を支えるために使用される。手術台には、これらの処置のための追加の付属品が含まれる場合がある。手術台および/または付属品は、移動カート60を移動する場所を決定するときに、システム1000が手術台および/または付属品を位置付けるために使用する1つ以上の送信機200を含み得る。
【0077】
次に、ステップ808で、システム1000は、移動カートを新しい空間的姿勢に移動させる。態様において、新しい空間的姿勢は、決定された場所および受信された信号に基づき得る。例えば、システムは、移動カートが移動され得ることを決定し得る。
【0078】
態様において、ロボットアームは、受信機205と動作可能に通信する送信機200を含み得る。システム1000は、ロボットアーム40の送信機200から信号を受信することであって、信号は、ロボットアーム40の送信機200によって通信された当該信号に基づく3D空間内のロボットアームの位置を含む、受信することと、受信された信号に基づいてロボットアーム40の空間的姿勢を決定することと、を行い得る。
【0079】
態様において、ロボットアーム40は、受信機205と動作可能に通信する複数の送信機200を含む、複数の個々のリンクを含み得る。システム1000は、複数の送信機200から、複数の信号を受信し得、複数の信号は、個々のリンクの複数の送信機200によって通信された当該複数の信号に基づいて、3D空間内の複数の個々のリンクの空間的姿勢を含む。システム1000は、ロボットアームから運動学的情報を、および/またはロボットアーム40からカメラ位置決め情報を受信し得る。システム1000は、複数の個々のリンクの形状情報を受信し、複数の個々のリンクの空間的姿勢を運動学的情報および/またはカメラ位置決め情報と相互参照し得る。システム1000は、相互参照に基づいて第2のロボットアームとの衝突の可能性を予測し、衝突の可能性を示す警報をディスプレイ上に表示し得る。例えば、システム1000は、複数の信号と処置に最適な所望の構成との組み合わせに基づいて、ロボットアーム40の空間的姿勢を自動的に設定し得る。
【0080】
本開示の様々な態様において、ORスタッフは、システム1000がORスタッフの空間的認識を有するように、送信機200を着用し得る。これは、システムがロボットアーム40とスタッフとの間の衝突を回避するのに役立つことになる。
【0081】
態様において、システム1000は、移動カート60が正しい部屋にあるかどうかを判定し得る。これは、ORターンアラウンド時間の短縮および/または資本設備の位置判定に役立つ場合がある。例えば、システム1000が第2のORに移動カート60を必要とするとき、特定の移動カート60が第1のORにある場合がある。システム1000は、移動カート60またはロボットアーム40間のノード間通信を可能にするための通信モジュールを含み得る。例えば、通信モジュールは、ノード間の27Mbps通信を含み得る。システム100は、通信モジュールの三角測量によってノードを登録することができるであろう。
【0082】
態様において、システムは、患者に近接して位置付けられた(例えば、患者が着用している)別の送信機200を含み得る。態様において、システム1000は、送信機200によって通信される信号に基づいて患者の空間的姿勢を決定し、決定された患者の空間的姿勢に基づいて、患者に対する移動カートの位置を決定し得る。
【0083】
本明細書で開示される様々な態様は、説明および添付の図面に具体的に提示される組み合わせとは異なる組み合わせで組み合わせることができることを理解されたい。本明細書に記載のプロセスまたは方法のいずれかの特定の行為または事象は、実施例に応じて異なる順序で行われてもよく、追加、併合、または完全に省略されてもよい(例えば、すべての記載された行為または事象は、本技術を実行するために必要ではない場合がある)ことも理解されたい。加えて、本開示の特定の態様は、明確にするために単一のモジュールまたはユニットによって行われるものとして説明されているが、本開示の技術は、例えば、医療デバイスに関連するユニットまたはモジュールの組み合わせによって行われ得ることを理解されたい。
【0084】
1つ以上の例では、説明される技術は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装され得る。ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上に1つ以上の命令またはコードとして記憶され、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行され得る。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体(例えば、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、または命令もしくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用されることができ、かつコンピュータによってアクセスされることができる任意の他の媒体)などの、有形媒体に対応する非一時的コンピュータ可読媒体を含み得る。
【0085】
命令は、1つ以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGA)、または他の同等の集積もしくは離散論理回路などの、1つ以上のプロセッサによって実行され得る。したがって、本明細書に使用される「プロセッサ」という用語は、上記の構造のいずれか、または説明された技術の実装に好適な任意の他の物理的構造を指すことができる。また、技術は、1つ以上の回路または論理要素で完全に実装されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】