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特表2022-544000ポリビニルブチラール(PVB)/アクリル複合体の改善された性能および加工
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  • 特表-ポリビニルブチラール(PVB)/アクリル複合体の改善された性能および加工 図1A
  • 特表-ポリビニルブチラール(PVB)/アクリル複合体の改善された性能および加工 図1B
  • 特表-ポリビニルブチラール(PVB)/アクリル複合体の改善された性能および加工 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】ポリビニルブチラール(PVB)/アクリル複合体の改善された性能および加工
(51)【国際特許分類】
   C08L 29/14 20060101AFI20221007BHJP
   C08L 33/04 20060101ALI20221007BHJP
   C08L 51/00 20060101ALI20221007BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20221007BHJP
   C08L 1/00 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
C08L29/14
C08L33/04
C08L51/00
C08K3/00
C08L1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502463
(86)(22)【出願日】2020-07-13
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 US2020041780
(87)【国際公開番号】W WO2021015974
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】62/877,369
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ネルカール、マノジ
(72)【発明者】
【氏名】クォ、ハイラン
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AB01Y
4J002AH00Y
4J002BE06W
4J002BG02X
4J002BG05X
4J002BN12X
4J002CL06Y
4J002CP03Y
4J002DA016
4J002DA066
4J002DA076
4J002DE076
4J002DE106
4J002DE116
4J002DE136
4J002DE146
4J002DE236
4J002DF016
4J002DJ006
4J002DJ016
4J002DJ036
4J002DJ046
4J002DJ056
4J002DL006
4J002FD016
4J002FD01Y
4J002GN00
(57)【要約】
ポリマー複合体物品を調製するための組成物および方法。組成物は、(A)10~90重量%の量のポリビニルブチラール(PVB)ポリマーを含む。組成物はまた、(B)10~90重量%の量の充填剤を含む。さらに、組成物は、(C)0超~10重量%の量のアクリルポリマー添加剤を含み、アクリルポリマー添加剤は、少なくとも4,000,000Daの重量平均分子量を有するアクリルコポリマーならびに架橋されたコアおよびアクリルホモポリマーまたはコポリマーを含むシェルを有するコアシェルアクリル添加剤から選択される。成分(A)~(C)の範囲は、組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー複合体物品を調製するための組成物であって、前記組成物が、
(A)10~90重量%の量のポリビニルブチラール(PVB)ポリマーと、
(B)10~90重量%の量の充填剤と、
(C)0超~20重量%の量のアクリルポリマー添加剤であって、前記アクリルポリマー添加剤が、少なくとも4,000,000Daの重量平均分子量を有するアクリルコポリマーならびに架橋されたコアおよびアクリルホモポリマーまたはコポリマーを含むシェルを有するコアシェルアクリル添加剤から選択される、アクリルポリマー添加剤と、を含み、
各々が、前記組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく、組成物。
【請求項2】
前記(C)アクリルポリマー添加剤が、アルキル(メタ)アクリレートモノマーから選択される1つ以上のモノマーの反応生成物であるアクリルコポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(C)アクリルポリマー添加剤が、メチルメタクリレートモノマーおよびブチルアクリレートモノマーの反応生成物であるアクリルコポリマーを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(C)アクリルポリマー添加剤が、メチルメタクリルモノマー、ブチルアクリレートモノマー、および少なくとも1つの官能性モノマーの反応生成物であるアクリルコポリマーを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記アクリルポリマー添加剤が、少なくとも5,000,000Daの重量平均分子量を有する、請求項2~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記アクリルポリマー添加剤が、少なくとも7,500,000Daの重量平均分子量を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記(C)アクリルポリマー添加剤がコアシェルアクリル添加剤を含み、前記コアが、アルキル(メタ)アクリレートモノマーに由来する95~99.9重量%の単位ならびに架橋されたモノマー、グラフト結合性モノマー、およびそれらの混合物から選択される0.1~5重量%のモノマーを含み、前記シェルが、アルキル(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択されるモノマーに由来する98.5~100重量%の単位および1つ以上の連鎖移動剤に由来する0~1.5重量%の単位を含む少なくとも1つの層を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記(B)充填剤が、ミネラル充填剤および有機セルロース充填剤から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ポリマー複合体物品を調製する方法であって、前記方法が、
請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物から前記ポリマー複合体物品を調製することを含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法から調製された、ポリマー複合体物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、組成物に関し、より具体的には、ポリビニルブチラール/アクリル複合体物品を調製するための組成物、組成物およびそれを用いたポリマー複合体物品を調製する方法、ならびにそれによって形成されたポリマー複合体物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリビニルブチラール(PVB)は、その強力な結合および可撓性について当技術分野で知られているポリマーである。PVBは、多くのタイプの材料に粘着することができ、自動車フロントガラスのための中間層として一般的に使用される。廃棄されたフロントガラスはまた、リサイクルおよび再利用され得るPVBの供給も提供する。
【0003】
しかしながら、PVBの強力な接着および粘着性は、特にPVBが溶融加工されるとき、加工性および性能に関わる問題を引き起こし得る。。
【0004】
高レベルの充填剤と共に使用されるとき、PVBは、非常に粘着性があり、溶融加工機器の表面に粘着する。例えば、PVBは、高温の金属表面に溶銑表面に付着し、加工を困難にする。
【0005】
高レベルのフィラーを用いても、可塑化されたPVBはまた、十分な剛性を欠き、その自重で曲がることがある。加えて、PVBは、重量が加えられるときに容易に変形する可能性があり、その結果、表面インデンテーションを生じる
【0006】
潤滑ワックス、ステアリン酸、シリコーンオイル、およびシリコーンスプレーなどの従来の加工助剤は、個別でまたは組み合わせても、PVB組成物の粘着性を顕著に低減させることができなかった。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、ポリマー複合体物品を調製するための組成物を提供する。組成物は、(A)10~90重量%の量のポリビニルブチラール(PVB)ポリマーを含む。組成物はまた、(B)10~90重量%の量の充填剤を含む。さらに、組成物は、(C)0超~10重量%の量のアクリルポリマー添加剤を含み、アクリルポリマー添加剤は、少なくとも4,000,000Daの重量平均分子量を有するアクリルコポリマーならびに架橋されたコアおよびアクリルホモポリマーまたはコポリマーを含むシェルを有するコアシェルアクリル添加剤から選択される。成分(A)~(C)の範囲は、組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく。
【0008】
組成物を調製する方法もまた、提供される。組成物を調製する方法は、(A)PVBポリマー、(B)充填剤、および(C)アクリルポリマー添加剤を組み合わせ、それによって組成物を調製することを含む。
【0009】
さらに、ポリマー複合体物品を調製するための方法が、本発明によって提供される。方法は、組成物からポリマー複合体物品を調製することを含む。加えて、方法に従って形成されたポリマー複合体物品もまた、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】それぞれ、本発明の実施形態による比較例および実施例2についてのインデンテーション/変形試験の結果を示す。
図1B】それぞれ、本発明の実施形態による比較例および実施例2についてのインデンテーション/変形試験の結果を示す。
図2】本発明の実施形態による比較例および実施例2の剛性試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、ポリマー複合体物品を調製するための組成物を提供する。ポリマー複合体物品は、以下に記載されるように、優れた物理的特性を有し、無数の最終使用用途に好適である。ポリマー複合体物品を調製する方法、およびそれによって形成されるポリマー複合体物品もまた、以下に提供および記載される。
【0012】
ポリマー複合体物品を調製するための組成物は、(A)10~90重量%の量のPVBポリマーと、(B)10~90重量%の量の充填剤と、(C)0超~10重量%の量のアクリルポリマー添加剤と、を含み、アクリルポリマー添加剤は、少なくとも4,000,000Daの重量平均分子量を有するアクリルコポリマーならびに架橋されたコアおよびアクリルホモポリマーまたはコポリマーを含むシェルを有するコアシェルアクリル添加剤から選択され、各々は、組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく。
【0013】
成分(A)PVBポリマー
組成物は、(A)ポリビニルブチラール(PVB)ポリマーをさらに含む。ポリマーは、ポリマー複合体物品を調製するための組成物およびそれから調製された複合体物品において、連続相の全部または一部を形成し得る。
【0014】
(A)PVBポリマーは、25,000~750,000Daの範囲の重量平均分子量を有し得る。
【0015】
リサイクルされたPVBポリマーは、可塑剤を含み得る。未使用PVBが(A)PVBポリマーとして使用されるとき、当技術分野で知られている可塑剤が、添加され得る。可塑剤は、PVBポリマー100重量部あたり最大50重量部の量で存在し得る。
【0016】
(A)PVBポリマーは、好ましくはハロゲン不含であり、すなわち、PVBポリマーは、PVBポリマーの重量に関して0.01重量%未満のハロゲンを含有する。
【0017】
ある特定の実施形態では、(A)PVBポリマーは、PVBポリマーから本質的になる。本質的にからなるとは、(A)PVBポリマーが、PVBポリマー以外の1つ以上の追加のポリマーを含み得ることを意味するが、これは、そのような追加のポリマーが、(A)PVBポリマーと共に加工されて、ポリマー複合体物品を形成することができる場合に限る。さらに他の実施形態では、(A)PVBポリマーは、PVBポリマーからなる。(A)PVBポリマーが、ポリビニルからならないとき、(A)PVBポリマーは、典型的には、組成物中で利用される(A)PVBポリマーの総重量に基づいて、少なくとも50、あるいは少なくとも60、あるいは少なくとも65、あるいは少なくとも70、あるいは少なくとも75、あるいは少なくとも80、あるいは少なくとも85、あるいは少なくとも90、あるいは少なくとも95、あるいは少なくとも96、あるいは少なくとも97、あるいは少なくとも98、あるいは少なくとも99重量%の量のPVBポリマーを含む。
【0018】
(A)PVBポリマーが、PVBポリマー以外、かつPVBポリマーに加えてポリマーを含むとき、(A)PVBポリマーは、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン、ポリ(1-ブテン)、ポリイソブテン、ポリ(1-ペンテン)、ポリ(3-メチル-1-ペンテン)、ポリ(4-メチル-1-ヘキセン)、ポリ(5-メチル-1-ヘキセン)など)、ポリシクロオレフィン、ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン66など)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリ乳酸(PLA)など)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド;ポリフェニレンエーテル;ポリアミドイミド、ポリオキシメチレン(POM)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンアルキル(メタ)アクリレート、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、アクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、セルロース(例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロファンなど)、ポリウレタン、ポリエーテルイミド(PEI);ポリスルホン(PSU);ポリエーテルスルホン;ポリケトン(PK);ポリエーテルケトン(PEK);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルケトンケトン(PEKK);ポリアリレート(PAR);ポリエーテルニトリル(PEN);ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリフェニルスルホン;ポリエーテルイミド;レゾールタイプ;尿素(例えば、メラミンタイプ);ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレンポリマー)、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化樹脂;熱可塑性加硫物;スチレン系;ポリスチレンタイプ、ポリオレフィンタイプ、ポリウレタンタイプ、ポリエステルタイプ、ポリアミドタイプ、ポリブタジエンタイプ、ポリイソプレンタイプ、フルオロタイプなどの熱可塑性エラストマー、ならびにそれらのコポリマー、修正物、および組み合わせをさらに含み得る。
【0019】
(A)PVBポリマーは、エラストマーをさらに含み得る。エラストマーの非限定的な例には、スチレン-ブタジエンゴム、ポリエーテルウレタンゴム、ポリエステルウレタンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム(ネオプレン)、ポリアクリレートゴム、エチレンアクリレートゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、フルオロシリコーンゴム、フルオロカーボンゴム、全フッ素置換化エラストマー、スチレンブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリイソプレンゴム、ポリスルフィドゴム、エチレンアクリレートゴム、エピクロロヒドリンゴム、全フッ素化エラストマー(例えば、Kalrez(商標))、ポリスルフィドゴム、塩素化ポリエチレン(例えば、最大40重量パーセントの塩素を含む塩素化ポリエチレン)、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0020】
利用される(A)PVBポリマーに関係なく、(A)PVBポリマーは、未使用ポリマーおよび/またはリサイクルされたポリマーを含み得る。リサイクルされたポリマーは、利用される場合、工業生産ストリームから、ならびに工業後(post-industrial)供給源および/または消費後(post-consumer)供給源から供給され得る。(A)PVBポリマー、ならびに協調して利用される場合の未使用のポリマー対リサイクルされたポリマーの任意の比率の選択は、典型的には、それを用いて形成されたポリマー複合体物品のコストおよび所望の特性の相関的要素である。PVBは、PVBがガラス積層体の中間層を形成する自動車フロントガラスなどの供給源から容易にリサイクルされ得る。好ましくは、(A)PVBポリマーは、リサイクルされたPVBである。
【0021】
(A)PVBポリマーは、組成物の総重量に基づいて、10~90、あるいは20~90、あるいは25~80、あるいは30~70、あるいは35~55、あるいは40~50重量パーセントの量で組成物中に存在し得る。特定の実施形態では、組成物中の(A)PVBポリマーの相対量を最小限に抑えることが望ましく、このことは、それを用いて形成されたポリマー複合体物品の望ましい特性が維持されるか、または得られる限り、選択に応じてその全体のコストを低減し得る。当業者は、以下に記載されるように、(A)PVBポリマーの量が、コストおよび得られる特性のバランス、ならびに他の任意の成分の有無を含む、この目的のために変更され得ることを理解する。
【0022】
成分(B)充填剤
組成物は、(B)充填剤を含む。(B)充填剤は、ポリマー複合体物品を調製するための組成物およびそのように調製された複合体物品中に不連続相を形成し得る。(B)充填剤は、限定されず、例えば、補強充填剤、増量充填剤、熱伝導性充填剤、導電性充填剤、難燃性充填剤、酸受容性充填剤、レオロジー改良充填剤、リグノセルロース充填剤、着色充填剤、ミネラル充填剤、ガラス充填剤、カーボン充填剤、またはそれらの組み合わせであり得る。(B)充填剤の選択は、典型的には、組成物を用いて形成されるポリマー複合体物品およびポリマー複合体物品の最終使用用途の相関的要素である。
【0023】
(B)充填剤は、未処理であり得るか、前処理され得るか、または以下で記載される任意の充填剤処理剤と組み合わせて添加され得、そのように添加されるとき、(B)充填剤をその場で、または(B)充填剤を組成物に組み込む前に処理し得る。(B)充填剤は、単一の充填剤、あるいは充填剤のタイプ、調製方法、処理もしくは表面化学、充填剤組成、充填剤形状、充填剤表面積、平均粒径、および/または粒径分布などの少なくとも1つの特性において異なる2つ以上の充填剤の組み合わせであり得る。
【0024】
(B)充填剤の形状および寸法はまた、特に限定されない。例えば、(B)充填剤は、球形、長方形、卵形、不規則であり得、例えば、粉末、細粉、繊維、フレーク、チップ、シェービング、ストランド、スクリム、ウエハー、ウール、わら、粒子、およびそれらの組み合わせの形態にあり得る。寸法および形状は、典型的には、利用される(B)充填剤のタイプ、組成物内に含まれる他の成分の選択、およびそれらを用いて形成されたポリマー複合体物品の最終使用用途に基づいて選択される。
【0025】
補強充填剤として機能し得る充填剤の非限定的な例には、ヒュームシリカ、シリカエアロゲル、シリカキセロゲル、および沈降シリカなどの補強シリカ充填剤が含まれる。ヒュームドシリカは、当技術分野で知られており、例えば、ヒュームドシリカは、Massachusetts,U.S.A.のCabot CorporationによってCAB-O-SILの名称で販売されている市販のヒュームドシリカである。
【0026】
増量または補強充填剤として機能し得る充填剤の非限定的な例には、石英および/もしくは破砕石英、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ(例えば、ヒュームド、粉砕、沈降)、水和ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、シリコーン樹脂、ウォラストナイト、ソープストーン、カオリナイト、カオリン、雲母白雲母、金雲母、ハロイサイト(水和ケイ酸アルミニウム)、ケイ酸アルミニウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ガラス(繊維、ビーズまたは粒子、例えば、風力タービンまたは他の供給源からのリサイクルガラスを含む)、粘土、磁鉄鉱、赤鉄鉱、炭酸カルシウム、例えば、沈降、ヒュームド、および/もしくは粉砕炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、メタケイ酸カルシウム、酸化亜鉛、タルク、珪藻土、酸化鉄、粘土、雲母、チョーク、二酸化チタン(チタニア)、ジルコニア、砂、カーボンブラック、グラファイト、無煙炭、石炭、亜炭、木炭、活性炭、非官能性シリコーン樹脂、アルミナ、銀、金属粉末、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、オキシ硫酸マグネシウム繊維、アルミニウム三水和物、アルミニウムオキシ水和物、被覆充填剤、炭素繊維(例えば、航空機および/または自動車産業からの再生炭素繊維を含む)、細断KEVLAR(商標)もしくはTwaron(商標)などのポリアラミド、ナイロン繊維、ミネラル充填剤、または顔料(例えば、二酸化チタン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウムの非水和、部分水和、または水和フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、クロメート、カーボネート、水酸化物、ホスフェート、水素スルフェート、ニトレート、酸化物、およびスルフェート;酸化亜鉛、五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、酸化ベリリウム、酸化クロム、リトポン、ホウ酸、またはホウ酸塩、例えば、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、もしくはホウ酸アルミニウム、混合金属酸化物、例えば、バーミキュライト、ベントナイト、軽石、パーライト、飛灰、粘土、およびシリカゲル;もみ殻灰、セラミックおよびゼオライト、金属、例えば、アルミニウムフレークまたは粉末、青銅粉末、銅、金、モリブデン、ニッケル、銀粉末またはフレーク、ステンレス鋼粉末、タングステン、チタン酸バリウム、シリカ-カーボンブラック複合体、官能化カーボンナノチューブ、セメント、スレート細粉、パイロフィライト、セピオライト、スズ酸亜鉛、硫化亜鉛)、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。あるいは、増量または補強充填剤は、炭酸カルシウム、タルク、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0027】
増量充填剤は、当技術分野で知られており、例えば、Berkeley Springs,WVのU.S.SilicaによってMIN-U-SILという名称で販売されている粉砕シリカが市販されている。好適な沈降炭酸カルシウムには、SolvayのWinnofil(商標)SPM、ならびにSMIのUltra-pflex(商標)およびUltra-pflex(商標)100が含まれる。
【0028】
(B)充填剤が熱伝導性充填剤を含むとき、(B)充填剤は、熱伝導性および導電性の両方であり得る。あるいは、(B)充填剤は、熱伝導性および電気絶縁性であり得る。熱伝導性充填剤はまた、補強充填剤、増量充填剤、または上記のような別の特性などに限定されない他の有益な特性も有し得る。熱伝導性充填剤は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウム三水和物、アルミニウムオキシ水和物、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、酸化ベリリウム、炭素繊維、ダイヤモンド、グラファイト、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、オキシ硫酸マグネシウム繊維、金属粒子、オニキス、炭化ケイ素、炭化タングステン、酸化亜鉛、コーティングされた充填剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得るが、これらに限定されない。
【0029】
(B)充填剤が熱伝導性充填剤を含むとき、熱伝導性充填剤は、金属充填剤、無機充填剤、溶融性充填剤、またはそれらの組み合わせを含み得る。金属充填剤には、金属の粒子、金属粉末、および粒子の表面に層を有する金属の粒子が含まれる。これらの層は、例えば、金属窒化物層または金属酸化物層であり得る。好適な金属充填剤は、アルミニウム、銅、金、ニッケル、銀、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される金属の粒子、あるいはアルミニウムによって例示される。好適な金属充填剤は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化ニッケル、酸化銀、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される表面に層を有する上に列挙される金属の粒子によってさらに例示される。例えば、金属充填剤は、表面に酸化アルミニウム層を有するアルミニウム粒子を含み得る。無機充填剤は、オニキス;アルミニウム三水和物、アルミニウムオキシ水和物、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、および酸化亜鉛などの金属酸化物;窒化アルミニウムなどの窒化物;炭化ケイ素および炭化タングステンなどの炭化物;ならびにそれらの組み合わせによって例示される。あるいは、無機充填剤は、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、およびそれらの組み合わせによって例示される。溶融性充填剤は、Bi、Ga、In、Sn、またはそれらの合金を含み得る。溶融性充填剤は、任意に、Ag、Au、Cd、Cu、Pb、Sb、Zn、またはそれらの組み合わせをさらに含み得る。好適な溶融性充填剤の例には、Ga、In-Bi-Sn合金、Sn-In-Zn合金、Sn-In-Ag合金、Sn-Ag-Bi合金、Sn-Bi-Cu-Ag合金、Sn-Ag-Cu-Sb合金、Sn-Ag-Cu合金、Sn-Ag合金、Sn-Ag-Cu-Zn合金、およびそれらの組み合わせが含まれる。溶融性充填剤は、50℃~250℃の融点を有し得る。溶融性充填剤は、共晶合金、非共晶合金、または純粋な金属であり得る。多くの好適な溶融性充填剤が市販されている。
【0030】
(B)充填剤は、リグノセルロース系充填剤を含み得る。リグノセルロース系充填剤は、リグノセルロース材料を含み、あるいはそれから本質的になり、あるいはそれからなる。典型的には、リグノセルロース系充填剤は、リグノセルロース材料からなる。リグノセルロース系充填剤、ならびにリグノセルロース材料は、任意の植物源に由来する任意の物質を含み得る。リグノセルロース系充填剤がリグノセルロース系材料から本質的になるか、またはリグノセルロース系材料からなる場合、リグノセルロース材料は、水分または含水量も含み得るが、リグノセルロース材料、ならびにリグノセルロース系充填剤は、典型的には、乾燥しており、すなわち、リグノセルロース系充填剤が調製、誘導、形成、および/または保管される環境での相対湿度に関連し得るものを除く、任意の自由含水量を含有しない。同じことは、典型的には他の種の(B)充填剤にも当てはまるが、リグノセルロース系充填剤については、リグノセルロース材料は、一般に、乾燥または最終使用の前に回収/調製された水分を含むため、注意される。
【0031】
リグノセルロース系充填剤は、典型的には、炭水化物ポリマー(例えば、セルロースおよび/またはヘミセルロース)を含み、芳香族ポリマー(例えば、リグニン)をさらに含み得る。リグノセルロース系充填剤は、典型的には、天然のリグノセルロース材料であり、すなわち、合成的に誘導されたものではない。例えば、リグノセルロース系充填剤は、典型的には、木材(硬木、軟木、および/または合板)に由来する。あるいはまたはさらに、リグノセルロース系充填剤は、植物由来のリグノセルロース材料などの他の非木材源、あるいは他の植物由来のポリマー、例えば、農業副産物、チャフ、サイザル麻、バガス、麦わら、カポック、ラミー、ヘネケン、トウモロコシ繊維もしくはコイア、ナッツの殻、亜麻、ジュート、麻、ケナフ、もみ殻、アバカ、ピーナッツの外皮、竹、わら、リグニン、デンプン、またはセルロースおよびセルロース含有生成物、ならびにそれらの組み合わせからのリグノセルロース材料を含み得る。
【0032】
リグノセルロース系充填剤が由来し得る好適な硬木の具体例には、トネリコ、アスペン、コットンウッド、シナノキ、カバノキ、ブナ、クリ、ガム、ニレユーカリ、カエデ、オーク、ポプラ、シカモア、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。リグノセルロース系充填剤が由来し得る好適な軟木の具体例には、トウヒ、モミ、ヘムロック、タマラック、カラマツ、マツ、ヒノキ、レッドウッド、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。異なる硬木の組み合わせ、異なる軟木の組み合わせ、硬木(複数可)と軟木(複数可)との組み合わせ、または硬木および軟木のうちの一方もしくはそれらの両方の合板との組み合わせは、リグノセルロース系充填剤として一緒に利用され得る。リグノセルロース系充填剤は、未使用、リサイクル、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0033】
リグノセルロース系充填剤は、任意の形態およびサイズ、例えば、ナノメートル~ミリメートルの粒径を有し得る。例えば、リグノセルロース系充填剤は、粉末、パルプ、細粉、おがくず、繊維、フレーク、チップ、シェービング、ストランド、スクリム、ウエハー、ウール、わら、粒子、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。リグノセルロース系充填剤は、典型的には、その形態の相関的要素として、当業者に知られている様々な技法を介して形成され得る。例えば、リグノセルロース系充填剤は、丸太、枝、工業用木材残留物、粗パルプ材などを粉砕することによって調製され得る。リグノセルロース系充填剤は、所望の粒径に粉砕され得る。例えば、リグノセルロース系充填剤は、ハンマー製粉などの任意の便利な機器を用いて粉砕され得、このことは、混合プロセスでの使用に好適な粒径を有するリグノセルロース系充填剤をもたらす。所望の粒径は、典型的には、利用される特定の混合プロセスおよびポリマー複合体物品の所望の特性に基づいて、当業者によって選択される。粒径とは、形状に関係なく、リグノセルロース系充填剤の寸法を意味し、例えば、繊維の形態の場合のリグノセルロース系充填剤に関連する寸法を含む。当技術分野で知られているように、リグノセルロース系充填剤は、ペレット化するか、さもなければペレットの形態にされ得、組成物に組み込まれたときに形状および寸法を実質的に維持し得るか、または組成物中でより小さな粒子を形成し得る。
【0034】
あるいは、(B)充填剤は、多糖充填剤を含み得、これは、セルロースまたはヘミセルロース誘導体および任意にリグニンの両方を含み得る。あるいは、多糖充填剤は、B-Dグルコースのサブユニットからなるポリマーから本質的になり得るか、あるいはそれからなり得る。あるいは、多糖充填剤は、デンプン、プルラン、ペクチン、デキストラン、アルギン酸塩、またはキチンおよびキトサンなどの動物由来の多糖類を含み得る。
【0035】
ある特定の実施形態では、(B)充填剤は、リグノセルロース充填剤、ミネラル充填剤、ガラス充填剤、カーボン充填剤、顔料、およびそれらの組み合わせから選択される。ある特定の実施形態では、(B)充填剤は、リグノセルロース充填剤、ミネラル充填剤、ガラス充填剤、カーボン充填剤、顔料、およびそれらの組み合わせから本質的になる。特定の実施形態では、(B)充填剤は、リグノセルロース充填剤、ミネラル充填剤、ガラス充填剤、カーボン充填剤、顔料、およびそれらの組み合わせからなる。(B)充填剤がミネラル充填剤を含むとき、ミネラル充填剤は、典型的には、炭酸カルシウム(CaCO)および/またはタルクから選択される。そのような実施形態では、ミネラル充填剤は、組成物およびそれを用いて形成されたプラスチック複合体物品における補強充填剤、増量充填剤、またはそれら両方であり得る。(B)充填剤の選択は、典型的には、組成物を用いて形成されるポリマー複合体物品およびポリマー複合体物品の最終使用用途の相関的要素である。好ましくは、(B)充填剤は、ミネラル充填剤である。より好ましくは、(B)充填剤は、炭酸カルシウムおよびタルクから選択されるミネラル充填剤である。
【0036】
(B)充填剤の選択に関係なく、(B)充填剤は、処理され得るか、または未処理であり得る。
【0037】
(B)充填剤は、組成物の総重量に基づいて、10~90、あるいは10~80、あるいは20~75、あるいは30~70、あるいは45~65重量パーセントの量で組成物中に存在する。10~90のすべての終点および部分範囲は、本明細書に含まれ開示されている。ある特定の他の実施形態では、(B)充填剤は、組成物の総重量に基づいて、20~50重量パーセントの量で組成物中に存在する。あるいは、(B)充填剤は、木材プラスチック複合体またはミネラル充填複合体などのある特定の用途のために、組成物の総重量に基づいて、65~85、あるいは70~80重量パーセントの量で存在し得る。あるいは、ある特定の用途のために、組成物中の(B)充填剤の相対量を最大にすることが望ましく、このことは、それを用いて形成されたポリマー複合体物品の望ましい特性が維持されるか、または得られる限り、その全体のコストを低減する。当業者は、以下に記載されるように、(B)充填剤の量が、コストおよび得られる特性のバランス、ならびに他の任意の成分の有無を含む、この目的のために変更され得ることを理解する。
【0038】
さらに、(B)充填剤は、異なるタイプの充填剤のブレンドを含み得る。例えば、組成物が木材プラスチック複合体を調製するために利用されるとき、(B)充填剤は、リグノセルロース充填剤および補強充填剤、例えば、タルクおよび/または炭酸カルシウムのブレンドを含み得る。さらに、耐火性のものなどの特定の充填剤もまた、ポリマー複合体物品の特性をカスタマイズまたは選択的に制御もしくは改善するために含まれ得る。そのような実施形態では、組成物は、例えば、成分(A)、(B)、および(C)の合計重量に各々基づいて、最大50重量パーセントのリグノセルロース充填剤、最大20重量パーセントのミネラル充填剤、および任意により少量の他のタイプの充填剤を含み得る。
【0039】
成分(C)アクリルポリマー添加剤
組成物は、(C)アクリルポリマー添加剤をさらに含む。
【0040】
ある特定の実施形態では、(C)アクリルポリマー添加剤は、少なくとも4,000,000Daの重量平均分子量を有するアクリルコポリマーから選択される。好ましくは、アクリルコポリマーは、少なくとも5,000,000Da、より好ましくは少なくとも6,000,000Da、さらにより好ましくは少なくとも7,500,000Daの重量平均分子量を有する。アクリルポリマー添加剤は、例えば、最大20,000,000Daまたは最大15,000,000Daなどの、最大25,000,000Daの重量平均分子量を有し得る。
【0041】
アクリルコポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートモノマーから選択される1つ以上のモノマーの反応生成物であり得る。アルキル(メタ)アクリレートモノマーの例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシルアクリレート、およびイソオクチルアクリレートなどの、1~12個の炭素原子を有する直鎖状または分岐アルキル基を含むアルキル(メタ)アクリレートが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、メチル(メタ)アクリレートおよびブチル(メタ)アクリレートモノマーから選択される。より好ましくは、アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、メチルメタクリレートおよびブチルアクリレートモノマーから選択される。
【0042】
アクリルコポリマーは、例えば、スチレン系モノマーまたは官能性モノマーなどの追加のモノマーに由来する単位をさらに含み得る。本明細書で使用される場合、「官能性モノマー」は、アクリルコポリマーが組成物中のPVBポリマーまたは他の成分に対して共有結合または水素結合を形成することを可能にする官能基などの追加の官能基を含むモノマーである。官能性モノマーの一例は、2-[(2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル)オキシ]エチル3-オキソブタノエートである。官能性モノマーの他の例には、ヒドロキシル基を有するモノマーが含まれる。
【0043】
ある特定の実施形態では、アクリルコポリマーメチルメタクリレートモノマー、ブチルアクリレートモノマー、スチレン系モノマー、およびそれらの組み合わせから選択されるモノマーの反応生成物。例えば、アクリルコポリマーは、メチルメタクリレートモノマーおよびブチルアクリレートモノマーの組み合わせの反応生成物、またはメチルメタクリレートモノマー、ブチルアクリレートモノマー、およびスチレンモノマーの組み合わせからの反応生成物であり得る。
【0044】
他の実施形態では、アクリルコポリマーは、メチルメタクリレートモノマー、ブチルアクリレートモノマー、および官能性モノマー、好ましくは2-[(2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル)オキシ]エチル3-オキソブタノエートから選択されるモノマーの反応生成物である。
【0045】
好ましくは、アクリルコポリマーは、アクリルコポリマーの総重量に基づいて、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、または少なくとも80重量%などの、メチルメタクリレートモノマーに由来する少なくとも30重量%の単位を含む。
【0046】
好ましくは、アクリルコポリマーは、アクリルコポリマーの総重量に基づいて、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、または少なくとも20重量などの、少なくとも5重量%のブチルアクリレートモノマーに由来する単位を含む。
【0047】
他の実施形態では、(C)アクリルポリマー添加剤は、架橋されたコアおよびアクリルホモポリマーまたはコポリマーを含むシェルを有するコアシェルアクリル添加剤を含む。
【0048】
架橋されたコアは、アルキル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1つ以上のモノマーの、1つ以上の架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、またはそれらの組み合わせとの反応生成物であり得る。ある特定の実施形態によれば、アルキル(メタ)アクリレートモノマーに由来する単位の量は、コアの95~99.9重量%の範囲であり得、架橋性モノマーおよび/またはグラフト結合性モノマーに由来する単位の量は、0.1~5重量%の範囲であり得る。
【0049】
少なくとも1つの実施形態によれば、架橋されたコアは、アルキル(メタ)アクリレートモノマーからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する95超~99.9重量%超の単位を含む。95~99.9重量%のすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ本明細書に開示され、例えば、1つ以上のアルキル(メタ)アクリレートモノマーに由来する単位の量は、95、95.5、96、96.5、97、975、98、98.5、99、または99.5重量%の下限から95.3、95.8、96.3、96.9、97.5、98、98.7、99.4、または99.9重量%の上限であり得る。例えば、1つ以上のアルキル(メタ)アクリレートモノマーに由来する単位の量は、95~99.9重量%の範囲にあり得るか、または代替的に、1つ以上のアルキル(メタ)アクリレートモノマーに由来する単位の量は、95~97.5重量%の範囲にあり得るか、または代替的に、1つ以上のアルキル(メタ)アクリレートモノマーに由来する単位の量は、97.8~99.9重量%の範囲にあり得るか、または代替的に、1つ以上のアルキル(メタ)アクリレートモノマーに由来する単位の量は、96.5~97.9重量%の範囲にあり得る。
【0050】
架橋されたコアは、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、またはそれらの組み合わせに由来する0.1~5重量%の単位を含み得る。0.1~5重量%のすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ本明細書に開示され、例えば、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、またはそれらの組み合わせに由来する単位の量は、0.1、0.7、1.2、1.9、2.6、3.1、3.7、4.4、または4.9重量%の下限から0.2、0.8、1.4、2.1、2.7、3.3、3.8、4.5、または5重量%の上限であり得る。例えば、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、もしくはそれらの組み合わせに由来する単位の量は、0.1~5重量%の範囲にあり得るか、または代替的に、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、もしくはそれらの組み合わせに由来する単位の量は、0.5~2.5重量%の範囲にあり得るか、または代替的に、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、もしくはそれらの組み合わせに由来する単位の量は、1.0~4.0重量%の範囲にあり得るか、または代替的に、架橋性モノマー、グラフト結合性モノマー、もしくはそれらの組み合わせに由来する単位の量は、0.3~3.5重量%の範囲にあり得る。
【0051】
コアシェルアクリル添加剤のシェルは、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する98.5~100重量%の単位を含み得る1つ以上の層を含む。
【0052】
シェルの1つ以上の層は、1つ以上の連鎖移動剤に由来する0~1.5重量%の単位を含み得る。
【0053】
少なくとも1つの実施形態では、コアシェルアクリル添加剤は、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する98.5~100重量%の単位を各々が含む1つ以上の層を含む。98.5~100重量%のすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ本明細書に開示され、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する単位の量は、98.5、98.7、98.9、99.1、99.3、99.5、99.7、または99.9重量%の下限から98.6、98.8、99、99.2、99.4、99.6、99.8、または100重量%の上限であり得る。例えば、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する単位の量は、98.5~100重量%の範囲にあり得るか、または代替的に、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する単位の量は、98.5~100重量%の範囲にあり得るか、または代替的に、アルキル(メタ)アクリレート、およびスチレン系モノマー、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する単位の量は、98.5~100重量%の範囲にあり得るか、または代替的に、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する単位の量は、98.5~100重量%の範囲にあり得るか、または代替的に、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する単位の量は、98.5~99.6重量%の範囲にあり得るか、または代替的に、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上のモノマーに由来する単位の量は、96.5~100重量%の範囲にあり得る。
【0054】
少なくとも1つの実施形態によれば、シェルの1つ以上の層の各々は、1つ以上の連鎖移動剤に由来する0~1.5重量%の単位を含む。0~1.5重量%のすべての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ本明細書に開示され、例えば、1つ以上の連鎖移動剤に由来する単位の量は、0、0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、または1.4重量%の下限から0.1、0.3、0.5、0.7、0.9、1.1、1.3、または1.5重量%の上限であり得る。例えば、1つ以上の連鎖移動剤に由来する単位の量は、0~1.5重量%の範囲にあり得るか、または代替的に、1つ以上の連鎖移動剤に由来する単位の量は、0~0.75重量%の範囲にあり得るか、または代替的に、1つ以上の連鎖移動剤に由来する単位の量は、0.75~1.5重量%の範囲にあり得るか、または代替的に、1つ以上の連鎖移動剤に由来する単位の量は、0.3~1.2重量%の範囲にあり得る。
【0055】
架橋されたコアまたはシェルで使用されるアルキル(メタ)アクリレートのアルキルは、1~12個の炭素原子を有する直鎖状または分岐アルキル基であり得る。例示的なモノマーは、ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、およびイソ-オクチルアクリレートを含む。
【0056】
コアシェルアクリル添加剤の架橋されたコアまたはシェルで有用な架橋性および/またはグラフト結合性モノマーの例には、例えば、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジアリルマレエート、アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルフタレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、それらのトリメチロールプロパントリメタクリレートブレンド、およびそれらの2つ以上の組み合わせが含まれ得る。
【0057】
コアシェルアクリル添加剤は、多段乳化重合などの任意の従来のプロセスによって製造され得る。
【0058】
典型的には、(C)アクリルポリマー添加剤は、組成物およびポリマー複合体物品の加工助剤として機能する。(C)アクリルポリマー添加剤は、例えば、組成物およびポリマー複合体物品の物理的または機械的特性を改良するための加工助剤として役立つことに加えて、またはその代替として、他の目的に役立ち得る。
【0059】
一般的に言えば、(C)アクリルポリマー添加剤は、様々な利点を実現することを可能にし得る。組成物が溶融加工されるとき、(C)アクリルポリマー添加剤は、加工機器への付着の量を低減することによって、ポリマー組成物の加工性を改善し得る。(C)アクリルポリマー添加剤はまた、複合製品の剛性および強度も改善し得る。
【0060】
組成物は、例えば、着色剤(例えば、顔料、染料)、発泡剤(例えば、物理的発泡剤および/または化学的発泡剤)、UV安定剤、抗酸化剤、加工助剤(例えば、内部プロセス助剤、外部プロセス助剤)、防腐剤、殺生物剤(例えば、殺真菌剤、除草剤、殺虫剤、抗微生物剤)、難燃剤/防煙剤、衝撃調整剤、熱安定剤、および潤滑剤などの、追加の成分をさらに含み得る。これらの成分は、当技術分野で既知であり、従来の慣行に従って使用され得る。
【0061】
ポリマー複合体物品を調製するための方法も提供される。方法は、組成物からポリマー複合体物品を調製することを含む。ある特定の実施形態では、方法は、組成物を形成することをさらに含む。組成物は、少なくとも成分を(A)PVBポリマー、(B)充填剤、および(C)アクリルポリマー添加剤と、組成物中に存在するいずれか任意の成分と共に組み合わせることによって形成される。
【0062】
組成物の成分は、任意の順序で、かつ任意の好適な様式で組み合わされ得る。ある特定の実施形態では、例えば、(A)PVBポリマーは、組成物の形成の前、最中、および/または後に溶融され得る。例えば、(A)PVBポリマーは、(B)充填剤および(C)アクリルポリマー添加剤が(A)PVBの溶融形態と組み合わされるように、成分を組み合わせる前および/または最中に加熱され得る。(B)充填剤および(C)アクリルポリマー添加剤は、任意の順序で(A)PVBポリマーの溶融形態と、例えば、個別に、連続して、一緒に、または同時に組み合わされ得る。あるいは、しかしながら、(A)PVBポリマーは、組成物を調製するときに(A)PVBが固体で未溶融または軟化していない形態になるように、(A)PVBを加熱または溶融する前に(B)充填剤および(C)アクリルポリマー添加剤と組み合わされ得る。あるいは、(B)充填剤および(C)アクリルポリマー添加剤は、組み合わせ加熱され、次に組成物を調製するときに固体または液体形態の(A)PVBポリマーに添加され得る。
【0063】
ある特定の実施形態では、(B)充填剤および(C)アクリルポリマー添加剤、および少なくとも1つの他の成分(例えば、上記の追加の成分のうちの1つ以上)を組み合わされて、混合物を得ることができ、混合物を(A)PVBポリマー(および任意の他の追加の成分)と組み合わせて、組成物を得る。(B)充填剤および(C)アクリルポリマー添加剤は、ブレンドまたは混合することによって組み合わされ得る。(B)充填剤および(C)アクリルポリマー添加剤を組み合わせることは、例えば、(C)アクリルポリマー添加剤を(B)充填剤に結合させるための加熱をさらに含み得る。任意に、(B)充填剤および(C)アクリルポリマー添加剤の得られた組み合わせは、ペレット化または粉末化される前に圧縮され得る。(B)充填剤および(C)アクリルポリマー添加剤を組み合わせることは、別個のプロセスで実行され得るか、または予備混合ステップにおいてポリマー複合体物品を作製するための既存の(例えば、押し出し)プロセスに統合され得る。予備混合ステップでは、成分は、押し出し機に供給する前に一緒にブレンドされ得、例えば、(B)充填剤および(C)アクリルポリマー添加剤(上記のように調製される)、および(B)ポリマー、および1つ以上の追加の成分の全部または一部は、予備混合ステップにおいて混合され得、その後、押し出し機に供給され得る。
【0064】
ポリマー複合体物品を調製するための組成物は、例えば、好適な混合機器を用いて、混合または剪断下で形成され得る。例えば、組成物は、攪拌機および/または混合ブレード、または実験室2本ロールミルを備えた容器内で形成され得る。容器は、例えば、バンバリー、シグマ(Z)ブレード、またはキャビティトランスファースタイル混合機などの内部混合機であり得る。あるいはまたはさらに、組成物は、任意の押し出し機、例えば、回転および/もしくは往復(共混練機)スクリューを備えた単軸スクリュー押し出し機、ならびに接線方向または部分的/完全に噛み合って整列され得、同方向もしくは逆回転方向に回転する2つ以上のスクリューを備える多軸スクリューデバイスであり得る押し出し機内で形成され得るか、またはそれによって加工され得る。あるいは、本明細書に記載の組成物を形成するために、円錐形押し出し機が使用され得る。
【0065】
上で紹介されるように、本方法は、ポリマー複合体物品を調製するための組成物からポリマー複合体物品を調製することも含む。組成物は、例えば、容器内で形成され、その後容器から取り出されて、別個の機器でポリマー複合体物品を形成し得る。あるいは、同じ機器が、組成物を調製し、その後ポリマー複合体物品を形成するために利用され得る。例えば、組成物は、押し出し機内で調製および/または混合され得、押し出し機は、組成物を用いてポリマー複合体物品を調製するために利用され得る。あるいは、ポリマー複合体物品は、例えば、射出または圧縮成形プロセスを用いた成形を介して形成され得る。組成物は、金型内でその場で形成され得るか、または独立して形成され、形成されると金型内に配置され得る。あるいは、さらに、ポリマー複合体物品は、フィルム/シートであり得る。そのような実施形態では、組成物は、容器内で、任意に高温での混合下で形成または配置され、組成物からフィルム/シートを調製するための機器内またはその上に配置され得る。組成物、特に組成物の(A)PVBポリマーのような熱可塑性物質を含むものからフィルム/シートを調製するためのそのような機器および技法は、当技術分野でよく知られている。
【0066】
ある特定の実施形態では、組成物からポリマー複合体物品を調製することは、組成物を所望の形状に形成することをさらに含む。所望の形状は、ポリマー複合体物品の最終使用用途に依存する。当業者は、押し出し用のダイおよび成形用の金型が、ポリマー複合体物品の所望の形状に基づいて、どのように選択および作成され得るかを理解する。
【0067】
ある特定の実施形態では、本方法は、二軸スクリュー押し出し機(スクリューが、部分的または完全に噛み合いながら同時に回転するか、あるいは接線方向に、部分的に、または完全のいずれかで噛み合いながら整列して、逆回転する)などの押出機内で連続的または半連続的に行われる。一実施形態では、(C)アクリルポリマー添加剤は、(B)充填剤および(A)PVBポリマーと同時に押し出し機内に配置される。あるいは、(C)アクリルポリマー添加剤は、(A)PVBポリマーを溶融した後、かつ(B)充填剤を添加する前に押し出し機内に配置され得る。あるいは、(C)アクリルポリマー添加剤は、(B)充填剤および(A)PVBポリマーが押し出し機を出た後、かつポリマー複合体物品が押し出し機を出る前に、押し出し機内に配置され得る。あるいは、(B)充填剤は、(C)アクリルポリマー添加剤と同時に押し出し機内に配置され得、ここで、それらは加熱されて、(C)アクリルポリマー添加剤を用いた(B)充填剤の表面処理を有効にし、次に(A)PVBポリマーを押し出し機内に配置して、混合物を得、混合物を配合しポリマー複合体物品を形成するのに好適な温度まで温度を増加させる。押し出し機は、出発材料が添加され得る1つ以上のゾーン、例えば、1~3個、または3~8個、または1~12個のゾーンを有し得る。ゾーンは、異なる温度で加熱され得る。
【0068】
本発明のポリマー複合体物品は限定されず、無数の最終使用用途および産業に合わせてカスタマイズされ得る。単なる例として、ポリマー複合体物品は、ボンネットの下の構成要素および部品、ならびにインテリア構成要素、例えば、床マットを含む、自動車の構成要素もしくは用途;消費者製品および用途、工業用もしくは商業用製品および用途、航空宇宙製品および用途、輸送用製品および用途、航空機製品および用途、電子製品および用途、住宅または商業用建築および建設製品および用途、例えば、デッキ、手すり、サイディング、フェンス、窓枠、フローリングなどにおいて、またはそれらとして利用され得る。
【0069】
本発明を例示的に説明してきたが、使用されている用語は、限定ではなく説明の言葉の性質であることを意図していることを理解されたい。明らかに、上記の教示に照らして、本発明の多くの修正および変形が可能である。本発明を、具体的な説明とは違うように実践してもよい。
【0070】
産業上の利用可能性
理論に縛られることを望まないが、(C)アクリルポリマー添加剤は、本明細書に記載のポリマー複合体および/またはそれらを作製するためのプロセスに1つ以上の利益を提供し得ることが、考えられる。
【実施例
【0071】
例では、ペレットの形態にある100%リサイクルされたPVBを、使用した(Shark Solutions、BelgiumからのSharkPelletsC2c)。炭酸カルシウムを、PVBに対して70:30の炭酸カルシウムの比率で充填剤として使用した。アクリルポリマー添加剤を、以下の表1に示すように添加した。実施例2および3は、同じ組成物を含み、結果の再現性を示すために使用された。各アクリルポリマー添加剤の各々を、The Dow Chemical Companyから取得した。4,000,000Da未満のMwを有するアクリルポリマー添加剤であるParaloid(商標)K-175を使用する追加のサンプルは、試みられたが、装置に付着し、加工されることができなかった。
【表1】
【0072】
サンプルを、0.3mmのギャップを有する電気式Collin Rollミル上で170℃で5分間粉砕した。次いで、粉砕されたシートを圧縮成形して、175℃で3.2mm厚のプラークを形成した。プラークを、インデンテーション/変形および剛性試験のために使用した。インデンテーション/変形試験のために、車輪付きのオフィスチェアを、プラークの中央に16時間置いた。図1Aおよび1Bに示されるように、本発明の実施形態によるプラークは、16時間後にインデンテーションがないこと実証したが、比較例は、顕著な変形を示した。
【0073】
本発明による組成物はまた、比較例(CE)と比較して顕著に改善された剛性を実証した。図2に示されるように、プラークの長さの半分がテーブルの端を超えて延びるように、プラークをテーブルの端に置いた。図2に見られるように、比較例はその自重で下がり、本発明の実施形態による実施例2は顕著により剛性があった。比較例および実施例2のたるみの間の差異は、20分後に目立っていた。実施例2のサンプルは、24時間後に曲がらなかった。
【0074】
示差走査熱量測定(DSC)を、2ロールのミルを介して溶融加工されたプレスされたプラークに対して実行した。DSCを、以下の表2に定められた条件に従って実行した。データを、第2の加熱サイクルから収集した。
【表2】
【0075】
表3は、サンプルについて収集されたDSCデータを要約する。
【表3】
【0076】
改善された特性に加えて、本発明の実施形態による実施例はまた、機器へより付着せず、充填剤の均一な混合/分散を提供することによって、改善された加工性を示した。アクリルコポリマーおよびコアシェル添加剤の添加は、ガラス転移温度を実質的に上昇させ、付着を防ぎ、取り扱いおよび加工を改善した。
【0077】
用語の定義および用法
本明細書の文脈により別段の指示がない限り、すべての量、比率、およびパーセンテージは重量によるものであり、すべての試験方法は、本開示の出願日現在のものである。冠詞「a」、「an」、および「the」は各々、1以上を指す。添付の特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」の表現、およびそこに記載される特定の化合物、組成物、または方法に限定されず、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態間で異なり得ることを解されたい。様々な実施形態の特定の特徴または態様を説明するための本明細書に依拠する任意のマーカッシュグループに関して、他のすべてのマーカッシュメンバーから独立したそれぞれのマーカッシュグループの各メンバーから異なる、特別な、かつ/または予期しない結果が得られる可能性がある。マーカッシュグループの各メンバーは、個別に、およびまたは組み合わせて依拠され得、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。
【0078】
さらに、本発明の様々な実施形態の説明に依拠する任意の範囲および部分範囲は、添付の特許請求の範囲の範疇に独立してかつ集合的に含まれ、そのような値が本明細書に明示的に書かれていない場合であっても、それらの全体および/または小数値を含むすべての範囲を説明および企図すると理解される。当業者は、列挙された範囲および部分範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、有効にし、そのような範囲および部分範囲が、関連する半分、3分の1、4分の1、5分の1などにさらに詳しく説明され得ることを容易に認識する。単なる一例として、「0.1~0.9の」範囲は、下3分の1、すなわち0.1~0.3、中3分の1、すなわち0.4~0.6、および上3分の1、すなわち0.7~0.9にさらに詳しく説明され、これらは、個別にかつ集合的に添付の特許請求の範囲の範疇にあり、個別および/または集合的に依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。加えて、「少なくとも」、「超」、「未満」、「以下」などの範囲を定義または修飾する文言に関して、そのような文言が部分範囲および/または上限もしくは下限を含むことを理解されたい。別の例として、「少なくとも10」という範囲には、少なくとも10~35の部分範囲、少なくとも10~25の部分範囲、25~35の部分範囲などが本質的に含まれ、各部分範囲は、個別にかつ/または集合的に依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。最後に、開示された範囲内の個々の数字は、依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。例えば、「1~9」という範囲には、3などの様々な個々の整数、ならびに4.1などの小数点(または分数)を含む個々の数値が含まれ、このことは、依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。
【0079】
本明細書で使用される、「組成物」という用語は、組成物を含む材料(複数可)、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を含む。
【0080】
「含む(comprising)」という用語およびその派生語は、それらが本明細書において開示されているかどうかにかかわらず、任意の追加の成分、ステップ、または手順の存在を排除することを意図しない。いかなる疑いも回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて本明細書において特許請求されるすべての組成物は、矛盾する記述がない限り、ポリマー性かまたは別様かにかかわらず、任意の追加の添加剤、補助剤、または化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の記載の範囲から、任意の他の成分、ステップ、または手順を排除する。「からなる」という用語は、具体的に規定または列記されていないいずれの構成要素、ステップ、または手順も除外する。
【0081】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、同じ種類のものか、または異なるタイプのものかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下に、唯一のタイプのモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、および本明細書において以下に定義されるようなインターポリマーという用語を包含する。微量の不純物が、ポリマーに、かつ/またはポリマー内に組み込まれ得る。
【0082】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」、および同様の用語は、2つ以上のポリマーの組成物を意味する。そのようなブレンドは、混和性であっても、そうでなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当技術分野で知られている任意の他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含有しても、そうでなくてもよい。ブレンドは積層体ではないが、積層体の1つ以上の層がブレンドを含有してもよい。
図1A
図1B
図2
【国際調査報告】