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特表2022-544002少なくとも一つのスキャン装置のためのフレームと少なくとも一つのスキャン装置を備える空間検出装置
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  • 特表-少なくとも一つのスキャン装置のためのフレームと少なくとも一つのスキャン装置を備える空間検出装置 図1A
  • 特表-少なくとも一つのスキャン装置のためのフレームと少なくとも一つのスキャン装置を備える空間検出装置 図1B
  • 特表-少なくとも一つのスキャン装置のためのフレームと少なくとも一つのスキャン装置を備える空間検出装置 図2A
  • 特表-少なくとも一つのスキャン装置のためのフレームと少なくとも一つのスキャン装置を備える空間検出装置 図2B
  • 特表-少なくとも一つのスキャン装置のためのフレームと少なくとも一つのスキャン装置を備える空間検出装置 図2C
  • 特表-少なくとも一つのスキャン装置のためのフレームと少なくとも一つのスキャン装置を備える空間検出装置 図2D
  • 特表-少なくとも一つのスキャン装置のためのフレームと少なくとも一つのスキャン装置を備える空間検出装置 図3A
  • 特表-少なくとも一つのスキャン装置のためのフレームと少なくとも一つのスキャン装置を備える空間検出装置 図3B
  • 特表-少なくとも一つのスキャン装置のためのフレームと少なくとも一つのスキャン装置を備える空間検出装置 図4
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  • 特表-少なくとも一つのスキャン装置のためのフレームと少なくとも一つのスキャン装置を備える空間検出装置 図6
  • 特表-少なくとも一つのスキャン装置のためのフレームと少なくとも一つのスキャン装置を備える空間検出装置 図7
  • 特表-少なくとも一つのスキャン装置のためのフレームと少なくとも一つのスキャン装置を備える空間検出装置 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】少なくとも一つのスキャン装置のためのフレームと少なくとも一つのスキャン装置を備える空間検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20221007BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20221007BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20221007BHJP
   G03B 37/00 20210101ALI20221007BHJP
【FI】
G01B11/24 A
G01C15/00 105Z
G03B15/00 W
G03B37/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502937
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(85)【翻訳文提出日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2020071289
(87)【国際公開番号】W WO2021018900
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】102019120702.9
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518351001
【氏名又は名称】ナビビズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン,ニルス
(72)【発明者】
【氏名】ドシ,プラシャント
(72)【発明者】
【氏名】ハビト,ティム
(72)【発明者】
【氏名】ジャチェッケ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】マイディト,マンドリン
(72)【発明者】
【氏名】パリスゼウスキ,マルテ
(72)【発明者】
【氏名】シュロート,ゲオルグ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー,クリスティアン
【テーマコード(参考)】
2F065
2H059
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065AA53
2F065BB05
2F065BB15
2F065CC14
2F065DD02
2F065FF04
2F065FF11
2F065FF67
2F065GG04
2F065HH04
2F065JJ01
2F065JJ03
2F065LL62
2F065MM06
2F065MM16
2F065PP22
2F065PP25
2F065QQ03
2F065QQ21
2F065QQ24
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065QQ41
2F065UU06
2H059BA11
(57)【要約】
本発明は、人の身体(49)によってスキャン装置を支承するための、少なくとも一つのスキャン装置用のフレーム(1)に関しており、フレーム(1)は、人(49)によりフレーム(1)を装着及び支承するための支持装置(2)を具備する。支持装置(2)は、人(49)の肩(50)にフレーム(1)を載置するための肩当て部(2-1)を具備する。フレーム(1)はさらに、少なくとも一つのスキャン装置のための第1ホルダ(6)が締結されるフレーム上部(5)を具備し、支持装置(2)によって人(49)がフレーム(1)を支承している時に、第1ホルダ(6)は人(49)の頭部の上方に位置する。本発明によるフレーム(1)は、ブラケット(7)を介して肩当て部(2-1)に接続される接触部分(2-2)を支持装置(2)がさらに具備して、支持装置(2)によって人(49)がフレーム(1)を支承している時に接触部分(2-1)が人(49)の腰領域(51)の高さに位置するすることを特徴とする。本発明はさらに、少なくとも一つのスキャン装置と一つのフレーム(1)とを備える空間検出装置(30)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の身体(49)によってスキャン装置を支承するための、少なくとも一つのスキャン装置用のフレーム(1)であり、前記フレーム(1)は、
前記人(49)により前記フレーム(1)を装着及び支承するための支持装置(2)であって、前記人(49)の肩(50)に前記フレーム(1)を載置するための肩当て部(2-1)を具備する支持装置(2)と、
前記少なくとも一つのスキャン装置のための第1ホルダ(6)が締結されるフレーム上部(5)であって、前記支持装置(2)によって前記人(49)が前記フレーム(1)を支承している時に前記第1ホルダ(6)が前記人(49)の頭部の上方に位置する、フレーム上部(5)と、
を具備して、
ブラケット(7)を介して前記肩当て部(2-1)に強固に接続される接触部分(2-2)を前記支持装置(2)がさらに具備し、前記支持装置(2)によって前記人(49)が前記フレーム(1)を支承している時に、前記接触部分(2-2)が前記人(49)の腰領域(51)の高さに位置すること、
を特徴とする、フレーム(1)。
【請求項2】
前記支持装置(2)によって前記人(49)が前記フレーム(1)を支承している時に前記ブラケット(7)が前記人(49)の前に配置されること、
を特徴とする、請求項1に記載のフレーム(1)。
【請求項3】
前記フレーム(1)を折り畳むための中心ヒンジ(8)を前記フレーム(1)が有すること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載のフレーム(1)。
【請求項4】
前記フレーム(1)の折り畳み状態のための一つの係止位置と、前記フレーム(1)の動作状態のための別の係止位置と、の少なくとも二つの係止位置を前記中心ヒンジ(8)が有すること、
を特徴とする、請求項3に記載のフレーム(1)。
【請求項5】
前記支持装置(2)がさらに、前記接触部分(2-2)に対応する腰当て部(4)を具備すること、
を特徴とする、請求項1から4の一つに記載のフレーム(1)。
【請求項6】
前記接触部分(2-2)が前記腰当て部(4)に当接する時に前記接触部分(2-2)は第1軸線を中心に旋回するが、前記第1軸線に垂直な軸線を中心とする旋回は阻止されるように、前記腰当て部(4)は前記接触部分(2-2)と相互作用すること、
を特徴とする、請求項5に記載のフレーム(1)。
【請求項7】
前記腰当て部(4)に当接する長形の横エッジ(2-3)を前記接触部分(2-2)が有し、第1軸線が前記接触部分(4)の前記横エッジ(2-3)に平行な配向を持つこと、
を特徴とする、請求項5又は6に記載のフレーム(1)。
【請求項8】
前記腰当て部(4)に当接する前記接触部分(2-2)の、前記第1軸線に垂直な軸線を中心とする旋回を阻止する垂直側面(4-2)を前記腰当て部(4)が有すること、
を特徴とする、請求項5から7の一つに記載のフレーム(1)。
【請求項9】
前記腰当て部(4)が底部ヒンジを介して前記フレーム(1)の前記接触部分(2-2)に結合され、前記フレーム(1)が前記底部ヒンジを介して第1軸線を中心に旋回すること、
を特徴とする、請求項5に記載のフレーム(1)。
【請求項10】
上方頂部(11)を備える湾曲セグメント(10)を前記肩当て部(2-1)が有し、
前記湾曲セグメント(10)が、前記頂部(11)の片側では前記ブラケット(7)への移行部を有し、反対側では前記フレーム(1)の長手方向において50mmから100mmの範囲にある、前記頂部(11)からの距離を端部に有すること、
を特徴とする、請求項1から9の一つに記載のフレーム(1)。
【請求項11】
前記フレーム(1)の長手方向において、前記肩当て部(2-1)と前記接触部分(2-2)との間の距離(C)が400mmから800mmの範囲にあること、
を特徴とする、請求項1から10の一つに記載のフレーム(1)。
【請求項12】
前記ブラケット(7)及び/又は前記接触部分(2-2)が高さ調整可能であること、
を特徴とする、請求項1から11の一つに記載のフレーム(1)。
【請求項13】
前記フレーム(1)の長手方向において、前記肩当て部(2-1)と前記第1ホルダ(6)との間には、300mmから500mmの範囲の距離(D)が設けられること、
を特徴とする、請求項1から12の一つに記載のフレーム(1)。
【請求項14】
前記ブラケット(7)に、付加的なスキャン装置が締結され得る第2ホルダ(12)が配置され、前記支持装置(2)によって前記人(49)が前記フレーム(1)を支承している時に前記第2ホルダ(12)が前記人(49)の前に位置すること、
を特徴とする、請求項1から13の一つに記載のフレーム(1)。
【請求項15】
少なくとも一つのスキャン装置と請求項1から14の一つに記載のフレーム(1)とを備える空間検出装置(30)。
【請求項16】
前記スキャン装置が第1マルチスキャナ(31)であって、前記フレーム(1)によって前記人(49)が前記空間検出装置(30)を支承している時に前記第1マルチスキャナ(31)が前記人(49)の頭部の上方で前記フレーム(1)の前記第1ホルダ(6)に締結されること、
を特徴とする、請求項15に記載の空間検出装置(30)。
【請求項17】
前記フレーム(1)によって前記人(49)が前記空間検出装置(30)を支承している時に前記第1マルチスキャナ(31)のスキャン中央面(X1)が5°から20°の範囲にある第1角度(β)を水平面(H2)と形成するような配向を前記第1マルチスキャナ(31)が持つこと、
を特徴とする、請求項16に記載の空間検出装置(30)。
【請求項18】
前記フレーム(1)によって前記人(49)が前記空間検出装置(30)を支承している時に、付加的に少なくとも一つのカメラ(32)、特に幾つかのカメラ(32)が前記人(49)の頭部の上方で前記フレーム(1)の前記第1ホルダ(6)に締結されること、
を特徴とする、請求項15から17の一つに記載の空間検出装置(30)。
【請求項19】
垂直面での前記カメラ(32)の撮影角度(γ)が170°から210°の範囲にあり、前記フレーム(1)によって前記人(49)が前記空間検出装置(30)を支承している時に、前記人(49)が主に前記カメラ(32)の前記撮影角度(γ)の外側に位置すること、
を特徴とする、請求項18に記載の空間検出装置(30)。
【請求項20】
前記カメラ(32)がリング上で離間して配置され、前記フレーム(1)によって前記人(49)が前記空間検出装置(30)を支承している時に前記リングが実質的に水平の配向を持つこと、
を特徴とする、請求項18又は19に記載の空間検出装置(30)。
【請求項21】
前記カメラ(32)の前記水平距離が可能な限り小さく選択されるので、前記空間検出装置(30)を支承している前記人(49)の環境内で前記カメラ(32)により捕捉される空間は、前記人(49)の直接環境において可能な限り大きくなり、しかしながら前記フレーム(1)によって前記人(49)が前記空間検出装置(30)を支承している時に、前記人(49)が主に前記カメラ(32)の前記撮影角度(γ)の外側に位置すること、
を特徴とする、請求項18から20の一つに記載の空間検出装置(30)。
【請求項22】
前記フレーム(1)の長手方向において、前記肩当て部(2-1)と前記カメラ(32)との間に300mmから500mmの範囲の距離が設けられること、
を特徴とする、請求項18から21の一つに記載の空間検出装置(30)。
【請求項23】
前記第1マルチスキャナ(31)が前記カメラ(32)の上方に配置されること、
を特徴とする、請求項18から22の一つに記載の空間検出装置(30)。
【請求項24】
前記フレーム(1)の長手方向において、前記第1マルチスキャナ(31)と前記カメラ(32)との間の距離(E)が50mmから100mmの範囲にあること、
を特徴とする、請求項18から23の一つに記載の空間検出装置(30)。
【請求項25】
前記フレーム(1)の前記第1ホルダ(6)において、前記フレーム(1)によって前記人(49)が前記空間検出装置(30)を支承している時に、付加的に少なくとも一つの受信アンテナ(46,47)及び/又は慣性計測ユニット(34)が前記人(49)の頭部の上方で締結されること、
を特徴とする、請求項15から24の一つに記載の空間検出装置(30)。
【請求項26】
前記フレーム(1)が緩衝器を具備し、前記第1マルチスキャナ(31)及び/又は前記カメラ(32)及び/又は前記受信アンテナ(46,47)及び/又は前記慣性計測ユニット(34)が前記緩衝器に包囲されること、
を特徴とする、請求項16から25の一つに記載の空間検出装置(30)。
【請求項27】
前記フレーム(1)がどのように人(49)に支承されているかを検出するように構成される少なくとも一つの状態センサが設けられること、
を特徴とする、請求項15から26の一つに記載の空間検出装置(30)。
【請求項28】
第2マルチスキャナ(36)が配置される第2ホルダ(12)が前記フレーム(1)の前記ブラケット(7)に締結されること、
を特徴とする、請求項15から27の一つに記載の空間検出装置(30)。
【請求項29】
前記フレーム(1)によって前記人が前記空間検出装置(30)を支承している時に前記第2マルチスキャナ(36)のスキャン中央面(X2)が-10°から+10°の範囲にある第2角度を垂直面と形成するような配向を前記第2マルチスキャナ(36)が持つこと、
を特徴とする、請求項28に記載の空間検出装置(30)。
【請求項30】
前記支持装置(2)によって人(49)に支承されている時に前記空間検出装置(30)の重量の50%より多くが前記腰当て部(4)によって支承されるように前記フレーム(1)が構成される、
ことを特徴とする、請求項15から29の一つに記載の空間検出装置(30)。
【請求項31】
前記第1マルチスキャナ(31)及び/又は前記第2マルチスキャナ(36)及び/又は前記カメラ(32)が水平面(H3)との接触状態にないように、前記空間検出装置(30)が前記水平面(H3)に自在に当接するための設置点(37)を前記フレーム(1)が画定すること、
を特徴とする、請求項15から30の一つに記載の空間検出装置(30)。
【請求項32】
静止座標系に対する前記空間検出装置(30)の位置及び/又は配向を捕捉するための少なくとも一つの参照マークを前記空間検出装置(30)が有すること、
を特徴とする、請求項15から31の一つに記載の空間検出装置(30)。
【請求項33】
前記フレーム(1)に、データ技術の点で前記カメラ(32)に結合される制御装置(41)が締結され、前記カメラ(32)によって画像記録を同時に開始するように前記制御装置(41)が構成されること、
を特徴とする、請求項18から32の一つに記載の空間検出装置(30)。
【請求項34】
前記フレーム(1)によって前記人(49)が前記空間検出装置(30)を支承している時に前記人(49)の頭部の下方にある前記フレーム(1)に、データ技術の点で前記カメラ(32)及び/又は前記第1マルチスキャナ(31)に結合される評価器(42)が締結され、分類同期化インタフェース(43)を介してデータ転送が行われ、前記分類同期化インタフェース(43)が前記人(49)の頭部の上方で締結されること、
を特徴とする、請求項18から33の一つに記載の空間検出装置(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャン装置を人の身体によって支承するための少なくとも一つのスキャン装置用のフレームに関しており、フレームは人によりフレームを装着及び支承するための支持装置を具備する。支持装置はフレームを人の肩に装着するための肩当て部を具備する。フレームはさらに、少なくとも一つのスキャン装置のための第1ホルダが締結されるフレーム上部を具備し、支持装置によって人がフレームを支承している時に第1ホルダは人の頭部の上方に位置する。本発明はさらに、少なくとも一つのスキャン装置と一つのフレームとを備える空間検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物内又は屋外の物体空間を検出するための様々な検出システムは周知である。本発明は特に、建造物内の物体空間の検出に関する。このようなシステムは、例えば特許文献1に記載されている。このケースでは、レーザスキャナが幾つかのカメラと併せて使用される。レーザスキャナからの信号とカメラの画像から、点群が生成され、これから建造物の三次元モデルが構築される。
【0003】
屋外については、車両及び航空機に取り付けられ得る同等の検出システムが存在する。概して、衛星ナビゲーションシステムによる位置判定により、座標系への獲得データの参照がこれらのシステムで行われる。
【0004】
ナビゲーション衛星への信号リンクが利用可能でないので、建造物内ではこの位置判定の可能性は存在しない。加えて、衛星ナビゲーションによる物体空間の検出のための位置判定は充分に正確ではない。この理由から、屋外での位置判定でも、車輪オドメトリ、レーザオドメトリ、又は慣性ナビゲーション(INS)が付加的に利用される。衛星ナビゲーションは、ジオリファレンスと長期ドリフトの低減という役割を果たす。
【0005】
物体空間のモバイル検出中における建造物内の位置判定については、周囲の検出動作についての表現をリアルタイムにシステムのオペレータにディスプレイ画面で提供して、建造物の内部空間が可能な限り少ないギャップかつ高品質でスキャンされるような形でオペレータが検出動作を制御できるように、可能な限り迅速であるリアルタイムの位置判定が特に必要とされる。
【0006】
可能な限り正確である時間の関数としての下流位置判定、つまり物体空間の検出時の経路判定が後処理で可能であることがさらに必要とされる。継続的に獲得されるレーザスキャナの測定値と、概して各ケースにおいて数メートルの距離で記録されるパノラマ画像とが、例えば点群又はポリゴンネットワークを構築することにより結合されて正確で整合性のある建造物の3Dモデルが得られるのは、このケースのみである。
【0007】
位置及び経路判定のための様々な方法が、以下でより詳しく記される。最初にデータ獲得方法及びアプリケーションシナリオが提示される。
【0008】
レーザスキャナによる点群の獲得では、空間内の平面において軸線を中心に回転するミラーによりレーザビームが放射されるシステムが概して使用される。代替的に、可動部分を備えないフェーズドアレイレーザが、スキャンレーザビームを生成するのに使用されてもよい。
【0009】
このケースで供給されるデータは概して、各データ要素(点群の点)について、回転軸線内に関連の角度位置を持つ各放射レーザパルスの各タイムスタンプを内含する。また、これらのデータ要素の各々は、連続的に受信した一以上の反射信号から導出されて、レーザ光通過時間から計算される放射ビームの方向での各反射面の距離と、関連の反射強度とを与える、一以上の値を含む。表面の半透過性又は半反射性は、幾つかの反射信号が互いの直後に受信され、異なる距離の表面に属することを意味し得る。
【0010】
受信した反射信号から距離が計算される。そして、反射信号の強度とともに、後で点群を形成する三次元点座標を計算することが可能である。可動レーザスキャナによる検出動作から整合性のある三次元モデルを構築できるようにするため、空間内のレーザスキャナのタイムスタンプと正確な位置配向とが各測定について捕捉される。
【0011】
手順は、概して記録時点のタイムスタンプを備える画像ファイルのみから成るパノラマカメラからの画像データと類似している。やはり、各タイムスタンプについて、そして各画像ファイルについて、空間内での各カメラの正確な位置及び配向が既知であるか判定されなければならないので、―例えば対物焦点距離及び撮像特性とセンササイズ及び解像度など、既知であるか校正により判定されるカメラパラメータの補助により―、画像データと点群データとが互いに割り当てられ得る。こうして、物体空間が三次元で捕捉され得る。
【0012】
加えてパノラマ画像は、捕捉された物体空間を通した非常に現実的な仮想ツアーを可能にするのに使用され得る。その際に、画像ファイルが前面に出され、その地点での観察者により認知されるような周囲の特定点での精密ビューに対応する3D情報(空間内での各カメラの位置及び配向)の補助によりいわゆる「スティッチング」によって結合されて連続的な360度パノラマとなり得る。その際にパノラマ画像は全て、元となる画像が記録された複数の個別離散位置を代表する。上に提示された連続的な「フライスルー」が可能な点群モデルとは対照的に、観察者は、一つの離散位置から別の離散位置へジャンプするだけでパノラマ画像からパノラマ画像に変更できる。そして、二つの離散位置の間における3D空間での自然な流体運動の印象を観察者が受けるようにして、背景情報として存在する点群モデルが、多様な変換が行われた個々の部分(例えばテーブル表面)のクロスフェードとして個々のパノラマ画像の間の移行を動画化するのに使用され得る。点群モデルは、例えば、写真パノラマビューにおける点群のフェードイン、あるいは(例えば、パノラマ画像の境界点のクリックと、パノラマ画像での位置関連データ(「関心地点」)のフェードインとにより、記録物体の長さ計測を可能にする)パノラマ画像の各画素への正確な3D座標の割り当てなど、更なる可能性も提供し得る。
【0013】
小型の建造物については、点群データ及びパノラマ画像の同時記録による建造物の内部空間での周囲の検出は、位置から位置へ移動する定置型三脚取り付け機器でも可能である。このケースでの位置は例えば、既に事前に存在する計画で得られた空間内の固定参照点及びマークと整合され、これが割り当てを容易にし得る。
【0014】
しかしながら、大型の建造物、特に建造物の内部空間の迅速な捕捉については、モバイルシステムによる連続的な捕捉が有利である。例えば、オペレータにより押される「トロリー」構成のモバイル機器がこれに使用される。このケースではモバイルフレームがより高い安定性を提供する。それゆえ休止位置では、ブレのない画像が記録され得る。また、高品質の大型重量カメラレンズ、レーザスキャナ、電子コンポーネント、そしてエネルギー貯蔵装置がモバイル機器に締結され、ゆえに非常に快適に移動され得る。上述のモバイル検出システム全てでは、上に説明したように、経路と、ディスプレイ画面での検出動作の視覚的監視を可能にすることが想定されるシステムについて、瞬間位置もリアルタイムで効率的かつ正確に判定されなければならないという問題がある。
【0015】
そのために様々な方法が使用され、これらは組み合わされてもよい。一方で、加速度センサ及び角速度センサなど一以上の慣性センサを組み合わせた慣性計測ユニット(IMU)が慣性ナビゲーションのために検討され得る。しかしながら、これについての問題は、計測誤差が重なって深刻なドリフトにつながり得ることである。この理由からIMUはたいてい、支持のみのために使用される。同じことがオドメータにも当てはまる。
【0016】
実際には、加えていわゆるSLAM(同時的位置確認マッピング)方法も、モバイルシステムに使用される。これらは、検出された環境が静止していて検出システム自体のみが移動しているとの推定に基づく。レーザスキャナのケースでは、例えばレーザミラー回転パスの獲得データが一以上の先行パスの獲得データと比較される。環境が静的であって検出システムがレーザスキャン平面と平行に線形移動したとの推定では、2回の計測パスの二つの点集合が計測公差内で多かれ少なかれ一致するが、平行移動及び/又は回転では変位するので、(レーザスキャナの平面に対応する)3D空間での2D断面としての環境プロファイルと、同時にこの2D断面内での検出システムの移動/回転と、が即時的かつ同時的にこれから生成される(ゆえに「同時的位置確認マッピング」の語)。しかしながら、実際には、このケースで移動、特に回転がスキャン頻度に対してあまりに急速に行われるべきではない。
【0017】
同一であって反復的にスキャンされる環境の特徴についての時間的に分離した計測点のアルゴリズム属性、そして検出システムの経路判定及び環境の完成モデルの作成も、計測点の充分な品質及び冗長性により実際に可能であり、レーザスキャナ獲得方向が時間の関数として変化して、空間内の点群及び特徴のサイズや分布に応じて検出システムの移動に対して任意で配置される場合には、それにもかかわらず非常に長い計算時間が必要とされるので、概してこれらの方法は後処理において詳細度のみに使用され、検出動作中の空間内での移動のリアルタイム表現には使用されない。ゆえに、例えば上述した定置型三脚取り付けの解決法では、個々のスキャン位置の獲得データをクラウドベースのコンピュータセンターへアップロードして、後処理でデータを組み合わせて整合性モデルにするのが通例である。
【0018】
これに匹敵するものとして、多様な視認角度から一つの同じ物体又は同じ環境について記録された複数の画像から、例えば3D空間内の点の位置と観察カメラの位置及び配向と内部校正パラメータとが最適化プロセスで同時に計測画像に合わせて適応化される、いわゆるバンドル調整法を使用して、テクスチャ3Dモデルが構築され得る写真計測法がある。これらの方法は、充分なテクスチャ表面については良好な結果をもたらすが、色が同じで特徴が少ない、そしてより複雑な断面と反射性物体とを含む表面では成功しない。
【0019】
モバイルフォン(スマートフォン)からも実行され得る仮想現実又は拡張現実の用途では、SLAM法又は写真計測法と同様に機能する追加の解決法がある。このケースでは、スマートフォンにも設置されるIMUの計測データにより概して裏付けられる時間の関数としての環境特徴を追跡するために、リアルライムで捕捉されたスマートフォンカメラの画像シーケンスが解析されるので、環境と、空間内のスマートフォンの移動とのリアルタイムの粗検出が導出され、これは例えば、カメラファインダ画像での正確な位置合わせによる仮想物体のフェードインを可能にする。
【0020】
狭い空間及び短い距離については、検出システムから(赤外線)点パターンが放射されて、カメラ画像でのそのひずみから捕捉シーンの3D構造についての結論が得られる、いわゆる「ストラクチャードライト」解決法も適当である。
【0021】
さらに、平行動作を行うレーザスキャナと同様に閃光を放射し、反射信号が検出された個々の時点をカメラセンサの各画素について非常に精密に判定して、関連画素の距離情報が光移動時間を介してこれから生成される、いわゆるタイムオブフライトカメラが周知である。しかしながら、低解像度と範囲及び精度の限定ゆえに、これらのシステムは大型建造物の詳細な検出には適していない。
【0022】
人の眼と同様に、二つのカメラ画像の視差情報から奥行データを取得する立体視奥行カメラにも同じことが当てはまる。やはり、精度及び解像度が測量用途には適正でない。
【0023】
それゆえ、数ミリメートルの精度で大型建造物がスキャンされる高精度検出システム(例えばトロリーに基づくモバイルマッピングシステム)には、レーザスキャナが特に適している。
【0024】
これらのモバイルマッピングシステムでは、―上の例に示されているように―運動中に一定である平面で2Dレーザスキャナがスキャンする場合には、検出動作と空間内での運動とのリアルタイム視覚化がオペレータのディスプレイ画面で特に容易でロバストかつ急速に行われ、つまり部屋及び通路に平らな床を含む建造物のケースでは、これと平行な2D平面でも検出システムが移動する。これは、3自由度(3DoF)(つまり2本の空間軸線X-Yと1本の回転軸線「ヨー」)を備える2D-SLAM又はリアルタイム-2D-SLAMとも呼ばれる。
【0025】
2D-SLAM法のために配置される上述のレーザスキャナは、空間内で運動中に水平な配向を持ち、同じ一定平面を常にスキャンして、カバー範囲を含む空間自体を検出しないので、それゆえ他の平面に配置される付加的な2Dレーザスキャナが実際の点群の獲得に使用され、検出システムが前進する際にこれらのスキャン平面は空間を均一に掃引して、環境がスキャンされ、可能な限り均一かつ完全に記録される。
【0026】
大型建造物の捕捉では、いわゆる位置合わせ、つまり部分的な点群の重複領域の正確な整合及び平滑化により個々の部分的スキャン動作からの部分的点群モデルを結合して完全な点群モデルにする費用を可能な限り低く抑えるため、連続スキャン動作で可能な限り広いエリアを中断なく捕捉することが望ましい。この位置合わせ動作は原則としてはアルゴリズム的には確かに可能であるが、部分的モデルのサイズに応じて計算集約的であり、事前及び事後の手動調整をやはり必要とする。
【0027】
2D-SLAM法で作動するトロリーに基づくモバイルマッピングシステムは今までのところ、個々のシステムが、例えばIMUデータの評価により補正アルゴリズムを用いて傾斜の小さい斜面を処理するか、スピードバンプ、ケーブルなど上記の走行による攪乱を抑制することが可能な場合でも、かなり大きい段差、急傾斜、又は階段を通り抜けなければならない時にはすぐに、現在スキャン動作の終了と新たなスキャン動作の開始とを概して必要とする。
【0028】
また、6自由度(6DoF)(つまり空間内の三方向X-Y-Zと三つの回転方向(「ロール-ピッチ-ヨー」/6DoF-SLAM法)を備える検出システムが周知である。
【0029】
例えば、非特許文献1には、建造物内の物体空間を検出するための方法が記載されている。幾つかの単一面スキャナが使用され、そのスキャン平面は互いに平行に配置されていない。しかしながら、このシステムで捕捉されるデータの処理はアルゴリズムの点から非常にコストがかかるので、この方法はスキャン動作のリアルタイム視覚化ではなく、後処理での点群モデルの計算のみに適している。加えて、3D-SLAM法による6自由度検出システムは、特許文献2から周知である。
【0030】
様々なレーザスキャナが特許文献3又は特許文献4から周知である。また、扇形の信号ビームを放射してこれらの信号ビームの反射を計測するマルチスキャナは、特許文献5及び特許文献6から周知である。
【0031】
トロリーに基づくシステムは床の上を転がるので、検出対象の建造物が平らな床を有する時には特に、トロリーに基づくシステムが使用され得る。床に凹凸のある建造物、あるいは非常に多くの階段、段差、急斜面、又は入れ子構造を持つ建造物では、トロリーに基づくシステムをかなり長い距離押すことができず高度差のためにしばしば再調整を必要とし、ナップザック形状のポータブルシステム、あるいは様々な設計の手持ちシステムが周知である。このようなシステムは重量制限を受ける。それでもシステムが一人の人に支承されるか手に保持されるのに充分なほど重量は小さくなければならない。加えて、スキャン装置は、スキャン装置を持つ人が行う移動にも関わらず、ブレのない鮮明な写真が生成されるように構成されければならない。
【0032】
スキャン装置と、人の肩に、又は車椅子によって支承され得るフレームとを具備する空間検出装置は、特許文献7から周知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2913796号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第3228985号明細書
【特許文献3】独国特許発明第102011121115号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102004050682号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第2388615号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2017/269215号明細書
【特許文献7】米国特許第6141034号明細書
【非特許文献】
【0034】
【非特許文献1】ジョージ・ヴォッセルマン(George Vosselman)による論文「3台の2Dレーザスキャナと6DOF SLAMを使用する屋内マッピングシステムの設計」。写真計測、遠隔検知及び空間情報科学のISPRS紀要、2014年II-3巻。ISPRS技術委員会IIIシンポジウム。2014年9月5~7日。スイス、チューリッヒ。10.5194/isprsannals-II-3-173-2014(https://www.isprs-ann-photogramm-remote-sens-spatial-inf-sci.net/II-3/173/2014/isprsannals-II-3-173-2014.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
本発明の目的は、一人の人により走査装置が建造物内で支承されることを可能にして、建造物内での移動中に空間が捕捉され得る、最初に記された種類のフレーム及び空間検出装置を提供することである。また、フレームを支承している人によるフレームの、特に良好な操作性が保証されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明によれば、請求項1の特徴を備えるフレームと請求項15の特徴を備える空間検出装置とにより、この目的が達成される。有利な実施形態及び変形が従属請求項に提示される。
【0037】
本発明によるフレームは、ブラケットを介して肩当て部に強固に接続される接触部分を支持装置がさらに具備し、支持装置によって人がフレームを支承している時に接触部分が人の腰領域の高さに位置することを特徴とする。
【0038】
本発明によるフレームは、フレームによってスキャン装置を支承している人の身体に、少なくとも二点で支持されると有利であり得る。一方については、人の肩に当接する肩当て部を介して支持が行われる。他方については、接触部分を介して人の腰領域で支持が行われ得る。こうして、フレームと、フレームに締結される装置の両方の重量が支承され得る。さらに、空間的配向に関してフレームが安定的に固定され得る。これは、着用している時、そして人が空間内で移動する際に、フレームの特に良好な取り扱いを可能にし、一方で、フレームに締結されたスキャン装置で例えば建造物の空間がスキャンされる。
【0039】
本発明による空間検出装置では、接近困難な建造物又は地形、例えば建設現場又は他の屋外の地形及び環境、例えば洞窟を捕捉することが特に可能である。
【0040】
フレーム全体は特に強固な構造のものである。フレームが動作状態であると、第1ホルダの、肩当て部の、そして接触部分の相対位置がフレームの使用中に変化しない。フレームはねじれに対して特に強固である。
【0041】
本発明によるフレームの一実施形態によれば、支持装置によって人がフレームを支承している時に、ブラケットが人の前に配置される。その結果、フレームに締結されたスキャン装置と、他の装置の操作性が向上する。同時に、フレームを支承して移動している人が、空間内の他の物体にフレームをぶつけるリスクが低い。人は、身体の前で支承されているフレームの寸法を視認でき、それゆえ回転移動でも、フレームが他の物体と衝突する可能性があるかどうかを推定することがより可能である。
【0042】
本発明によるフレームの一実施形態によれば、2本のブラケットが設けられ、一方のブラケットは接触部分から第1肩当て部まで延在し、他方のブラケットは接触部分から第2肩当て部まで延在する。また、フレーム上部は二つの部分に分離され得る。第1フレーム上部は第1肩当て部から第1ホルダまで延在し、第2フレーム上部は第2肩当て部から第1ホルダまで延在する。そしてフレームを支承している人は、ブラケットの、又はフレーム上部の間から見通すことができる。
【0043】
本発明によるフレームの一変形によれば、付加的にナップザックのように背中にも支承され得るようにフレームが構成される。例えば、スキャン装置によって空間が捕捉されない時に輸送目的で人が背中にフレームを支承できる。
【0044】
本発明によるフレームの一変形によれば、フレームを折り畳むための中心ヒンジを有する。こうして、輸送目的でフレームが小型となるので有利である。しかしながら、フレームについては、フレームに締結される装置の空間関係が非常に正確に維持されることがとりわけ重要である。それゆえ、中心ヒンジは好ましくは、フレームの折り畳み状態のための一つの係止位置と、フレームの動作状態のための別の係止位置と、の少なくとも二つの係止位置を有する。こうして、とりわけフレームの動作状態では、フレームに締結される装置の空間関係が常に全く同じであるとの保証が可能である。
【0045】
ヒンジは特に、フレームを折り畳んで再び広げた後に、フレームに締結された幾つかのスキャン装置の間の校正が維持されるように構成される。折り畳んで広げた後で、スキャン装置は再校正を必要としてはならない。このため、特にヒンジは特別なねじれ耐性を持つ。
【0046】
本発明によるフレームの一実施形態によれば、代替的又は付加的にフレームが分解されて組み立てられ得る。やはりこのケースで、分解及び再組立の後でスキャン装置の再校正が必要ではないように、プラグソケット接続が構成される。
【0047】
本発明によるフレームの一変形によれば、支持装置はさらに、接触部分に対応する腰当て部を具備する。接触部分は特に、フレームとこれに締結された装置との重量が腰当て部を介して少なくとも部分的に、好ましくは主に受け止められるように、腰当て部に支承され得る。この目的のため、腰当て部は特に、接触部分が支持され得る上向き支持体を有する。そして腰当て部は、フレームを支承している人の腰ストラップ又はベルトに支持され得る。その結果、フレームとこれに締結される装置との重量が、フレームを支承している人の肩及び腰に分散され得るので有利である。
【0048】
接触部分が腰当て部に支持された時に接触部分は第1軸線を中心に旋回するが、第1軸線に垂直な軸線を中心とする旋回は阻止されるように、腰当て部は特に接触部分と相互作用する。第1軸線は特に、人がフレームを支承し、それゆえ前方へ移動している時に、人の移動方向に対して横向きの配向を持つ横軸線である。ゆえに腰当て部と接触部分との相互作用は、ブラケットが前方配向を持つ状態でフレームが人に支承された場合にフレームが横軸線のみを中心に前傾できることを保証する。フレームの横向き傾斜は接触部分により阻止される。1本の軸線のみを中心とする腰当て部に対する接触部分の旋回は、フレームのよりロバストな構造につながるので有利である。スキャン装置を備えるフレームを使用する時に、これは、より鮮明な画像記録とより正確な物体空間の捕捉とにつながる。
【0049】
さらに、垂直軸線を中心とした腰当て部に対するフレームの回転が抑止され、好ましくは防止されるように、腰当て部が構成され得る。
【0050】
この目的のため、例えば接触部分は、腰当て部に当接する長形の横エッジを有する。そして第1軸線は接触部分の横エッジに平行な配向を持つ。接触部分は特に、長形横エッジが形成されるプレートを有する。プレートは特に、腰当て部に上から挿入され得る。これは腰当て部に当接し、長形横エッジを中心に前傾し得る。
【0051】
また、腰当て部は、腰当て部に当接する接触部分の、第1軸線に垂直な軸線を中心とする旋回を抑止する垂直側面を有し得る。それゆえ接触部分は、前方旋回が可能であるが、しかしながら、横方向での旋回、及び/又は、腰当て部に対する垂直軸線を中心とした回転が垂直側面により防止されるように、腰当て部に挿入される。
【0052】
接触部分と腰当て部との相互作用を通して、支持装置によって人に支承されている時のフレームの自由度が制限される。その結果、フレームが人に安定的に固定される。フレームの前方への旋回又は傾動の可能性は、空間内で動き回るにはフレームが高過ぎる時にはとりわけ有利である。このケースでは、フレームを完全に取り外す必要はない。むしろ、規定軸線を中心にフレームを前方に旋回させてから、再び規定軸線を中心に後ろに旋回させることが可能である。こうして、例えば、人に支承されている時にフレームが通路にぶつかることのある、低い通路を人が通り抜けることができる。特に第1軸線に垂直である垂直軸線を中心とするあらゆる回転動作について、人に対するフレームの配向が維持される。
【0053】
本発明による代替的フレーム構成では、腰当て部が底部ヒンジを介してフレームの接触部分に結合されてもよい。フレームはこのケースで、底部ヒンジを介して第1軸線を中心に旋回され得る。同時に、ヒンジは、第1軸線に垂直な軸線を中心とするフレームの旋回を効果的に防止する。
【0054】
本発明によるフレームの一変形によれば、肩当て部は上方頂部を備える湾曲セグメントを有する。頂部の片側では、ブラケットへの湾曲セグメントの移行部が設けられる。反対側では、湾曲セグメントは、フレームの長手方向において50mmから100mmの範囲である、頂部からの距離を端部に有する。フレームの長手方向は、フレームが人に支承されている時の垂直方向である。こうして、湾曲セグメントは人の肩に当接して、或る領域で後方及び下方に肩を包囲する。しかしながら、人が肩を若干下げて接触部分の長形横エッジを中心にフレームを前方に旋回させることが可能であるほどわずかに湾曲セグメントが肩の後ろで下方に突出する。しかしながら、肩の通常位置では、頂部より下の背中を終端とするので、湾曲セグメントにより前傾が防止される。その結果、フレームは少なくとも部分的に人の肩に支承されるが、同時に、肩を下げることにより肩から取り外されるので、腰当て部に支持された接触部分の横エッジを中心に前傾することができ、有利である。
【0055】
本発明によるフレームでは、接触部分は、支持装置によって人がフレームを支承している時に、人の腰領域の高さにある。人の腰領域の高さは、本発明の意味において、人の股の高さから下位肋骨まで延在する垂直領域を意味する。フレームについて、人の腰領域から肩の高さまでの距離が関係している。距離は、フレームを支承できる人についての通常の計測から判定され得る。
【0056】
フレームの長手方向、つまりフレームが人に支承されている時の垂直方向において、肩当て部、特に頂部と、接触部分、特に横エッジとの間の距離は、400mmから800mmの範囲に、特に500mmから700mmの範囲にある。好ましくは、ブラケット及び/又は接触部分は高さについて調整可能である、つまり上記の距離が設定され得る。また、ブラケット及び接触部分も高さ調整可能であるので、肩当て部と接触部分との間の距離は、フレームを支承する人に適応され得る。しかしながら、ブラケットの高さ調整の後に、以下に記載されるマルチスキャナが再び相互校正される必要がある。
【0057】
本発明によるフレームのさらなる構成によれば、フレームの長手方向において、肩当て部、特に頂部と、第1ホルダ、特に第1ホルダの下方エッジとの間には、300mmから500mmの範囲の、特に350mmから400mmの範囲の距離がある。人の頭部は、フレームを支承している時にこの領域に配置される。第1ホルダと肩当て部との間の距離は、フレームを支承している人がそれでもヘルメットを着用できるように選択されるべきである。ゆえに、フレームを支承している時でも、人の頭部は自由になるので、少なくとも前方に遮るもののない視界が保証される。さらに、安全上の理由からヘルメットを着用することが可能である。
【0058】
フレームのさらなる構成によれば、付加的なスキャン装置が締結され得る第2ホルダがブラケットに配置され、支持装置によって人がフレームを支承している時に、第2ホルダは人の前に位置する。ゆえにフレームはこのケースで、幾つかのスキャン装置を締結するための構成を持つ。フレームを支承している人の前に付加的なスキャン装置を配置することは、スキャン装置の良好な操作性と良好な重量分布とにつながる。第2ホルダは特に、フレームに強固に、それゆえ第1ホルダにも強固に締結される。
【0059】
本発明はさらに、少なくとも一つのスキャン装置と上に提示された本発明によるフレームとを備える空間検出装置に関する。ゆえに空間検出装置は非常に良好に人に支承され得る。また、空間検出装置を装備している人が建造物内を移動する間には例えばドア及び狭い場所での操作のためにフレームが非常に容易に前方へ旋回されるので、空間検出装置の取り扱いが改善される。ゆえに本発明による空間検出装置では、特に、接近困難な建造物又は地形、例えば建設現場や、例えば洞窟など他の屋外の地形及び環境を捕捉することが可能である。
【0060】
本発明による空間検出装置の一実施形態によれば、スキャン装置は第1マルチスキャナである。第1マルチスキャナは、フレームによって前記人が空間検出装置を支承している時に人の頭部の上方でフレームの第1ホルダに締結される。
【0061】
第1マルチスキャナは、特に、規定の放射方向で複数の信号ビームを生成するため一つのコンポーネントに一体化される複数の放射ユニットと、物体空間の一以上の物体への信号ビームの反射により生成される反射放射を検出するための受信器と、信号ビームの放射方向を変更するためのスキャン装置とを具備する。マルチスキャナの使用は、物体空間の中断のない捕捉を可能にする。マルチスキャナの使用を通して、6自由度を持つリアルタイム3D-SLAM法を使用することが可能である。検出動作を部分的動作に分けてこれらの部分的動作を後処理で再びまとめることは必要ない。
【0062】
本発明による空間検出装置のマルチスキャナの使用では、装置が移動中、常に物体空間の新たな表面セグメントをこれらの表面セグメントでの信号ビーム掃引として捕捉するばかりでなく、信号ビームは常に、前に既に捕捉された表面セグメント、つまり前に放射された他の信号ビームにより既に捕捉された表面セグメントにも衝突するという利点が得られる。これは、受信器により検出される反射放射を、前に既に検出された反射放射と比較することを可能にする。そしてこの比較から、空間検出装置の移動を計算することが可能であるので、物体空間内での空間検出装置の位置を判断することが可能である。そしてこれは、空間検出装置が移動した物体空間の領域のグラフィック表現を生成及び出力することを可能にする。それから少なくとも反射放射から入手され得るデータに基づく物体空間の予備的モデリングに基づいて、空間検出装置が移動し得るのは物体空間内のどの領域かを判定することが可能である。物体空間内における装置のこれらの実行し得る移動は、加えて、グラフィックにより提示され、出力され得る。
【0063】
人の頭部の上方に第1マルチスキャナを配置すると、人の自然な観察高さから物体空間がほぼ捕捉されるという利点が得られる。同時に、フレームによって第1マルチスキャナを支承している人による陰影が生じないので、人の頭部の上方の垂直位置からの全周獲得が可能である。
【0064】
第1マルチスキャナは、特に、フレームによって人が空間検出装置を支承している時に、第1マルチスキャナのスキャン中央面が、5°から20°の範囲、特に8°から12°の範囲にある第1角度を水平面と形成するような配向を持つ。好ましくは、角度は10°である。それゆえ第1マルチスキャナの中央面は特に、実質的に水平の、任意でいくらか前傾した配向を持つ。
【0065】
第1マルチスキャナの放射方向は特に扇形であるので、中心軸線を持つ扇形放射が形成される。マルチスキャナは特に、扇形放射により形成される平面が垂直の配向を持つようにフレームに取り付けられる。扇形放射の開口角度は特に25°から35°の範囲にある。開口角度は、好ましくは30°である。
【0066】
マルチスキャナの放射ユニットは特に一以上のレーザである。信号ビームは、幾つかのレーザにより同時に、扇形で放射方向に放射され得る。しかしながら好ましくは、レーザパルス(信号パルス)が放射方向において連続的に放射されるので、規定の時間間隔を検討する時には、放射方向における信号ビームの扇形放射のみが生成される。放射方向のレーザパルスは、放射方向が変化する一つのレーザにより放射される。しかしながら好ましくは、様々な放射方向でパルスを連続的に放射する幾つかのレーザが使用される。次のレーザパルスが放射される前にレーザパルスの反射が検出されるように、パルスの間隔が選択され得る。それゆえレーザパルス間の時間間隔は、物体空間を検出するための信号ビームが到達する範囲に依存する。
【0067】
スキャン装置は特に、信号ビームの放射方向を、回転軸線を中心に回転させるように構成される。それゆえ第1マルチスキャナは、扇形の回転体の体積をスキャンする。好適な実施形態によれば、第1マルチスキャナは、フレームによって人が空間検出装置を支承している時に、特に5°から20°の範囲、有利には8°から12°の範囲である角度で回転軸線が垂線に対して傾斜するようにフレームに取り付けられる。この角度は、好ましくは10°である。その結果、回転軸線が傾斜する方向において、空間検出装置を支承している人が移動している地面の近接表面セグメントが捕捉され得る。反対方向では、対照的に扇形放射が上方に傾斜するので、第1マルチスキャナの下方で放射されない領域は少ない。
【0068】
それゆえ第1マルチスキャナの回転軸線は、空間検出装置の移動方向については特に、前方に傾斜している。また、回転軸線の傾斜はリアルタイム3D-SLAM法にとって有利である。このケースで、実際には移動方向に対して正確に水平に延在する物体空間内の区分ばかりでなく、移動方向に対して横向きに延在する区分がリアルタイム視覚化のために供給される。
【0069】
その結果、一方では、SLAM法に必要なデータがやはり捕捉される、つまり特にレーザスキャナとして構成されるマルチスキャナの連続回転パスで捕捉される、反復的な環境特徴が認知される。ゆえに、例えばマルチスキャナの第1スキャン平面における回転パスで捕捉された環境特徴が、スキャナの次の、又は次の次の平面の検出データ集合での、次の回転パスで再出現し得る。
【0070】
他方で、主に近接位置にある、空間検出装置の前の床の特徴と、より離れた、空間検出装置の後ろの天井の特徴とを含む、オペレータのための3D視覚化を目的とする大きな空間領域も、すぐに捕捉される。自律運転に関連するような走行方向前方の長い距離での、特に広い空間領域での迅速なリアルタイム獲得が課題である時に好ましくは適用されるマルチスライス線分表現よりも詳細が提供される表現において、被検出環境の3D視覚化が実際に可能となる。
【0071】
本発明による空間検出装置の一変形によれば、フレームによって人が空間検出装置を支承している時に、加えて、少なくとも一つのカメラがフレームの第1ホルダに、すなわち人の頭部の上方で締結される。好ましくは、幾つかのカメラが人の頭部の上方でフレームの第1ホルダに締結される。
【0072】
フレームの第1ホルダに取り付けられる単数又は複数のカメラは特に、物体空間の少なくとも一部分のカメラ画像を記録するよう構成されている。単数又は複数のカメラにより記録される画像は、リアルタイムでの物体空間の様々なグラフィック表現の生成において検討され得る。こうして、物体空間の接近及び/又は接近可能領域の、あるいは空間検出装置により既にスキャンされた物体空間領域の、非常に現実的な表現が、リアルタイムで生成され得る。
【0073】
垂直面での単数又は複数のカメラの撮影角度は170°から210°の範囲に、特に180°から200°の範囲にあり、フレームによって人が空間検出装置を支承している時に、人は主に、単数又は複数のカメラの撮影角度の外側、特に撮影角度の完全に外側に位置する。角度は、好ましくは195°である。それゆえ単数又は複数のカメラは、人の前、特に人の周りの空間領域の実質的に完全な捕捉を可能にし、単数又は複数のカメラは、空間検出装置を支承している人が、主に単数又は複数のカメラの撮影領域の外側、特に撮影角度の完全に外側に位置するように配置される。
【0074】
幾つかのカメラが使用される場合には、特に、リング、特に円形リング上で離間してこれらカメラが配置され、フレームによって人が空間検出装置を支承している時に、リング、特に円形リングは実質的に水平の配向を持つ。カメラは特に、水平配向の正五角形に配置される。
【0075】
カメラの水平距離は特に、可能な限り小さくなるように選択されるので、空間検出装置を支承している人の環境内でカメラにより捕捉される空間は、人の直接的環境において可能な限り大きくなり、しかしながら、フレームによって人が空間検出装置を支承している時に、人は主にカメラの撮影角度の外側、特に撮影角度の完全に外側に位置している。このケースでカメラによる全周記録が可能であるが、しかしながらこの記録は、空間検出装置を支承している人が位置する空間領域は省略されるので有利である。
【0076】
フレームの長手方向において、肩当て部とカメラとの間の距離は特に300mmから500mmの範囲に、特に350mmから400mmの範囲にある。
【0077】
第1マルチスキャナは特に、単数又は複数のカメラの上方に配置される。フレームの長手方向において、第1マルチスキャナと、特に、放射の、特に扇形放射の中心線の出口点と、単数又は複数のカメラ、特に対象物の中央との間の距離は、特に50mmから100mmの範囲に、特に60mmから80mmの範囲にある。マルチスキャナとカメラとの間の可能な限り小さい距離は、スキャナにより捕捉される点群データと、カメラにより同時に捕捉される画像データとの間での、可能な限り小さい視差エラーにつながるので有利であり、これは画像データの補助による点群データの色分け(「点群色分け」)に有利である。
【0078】
マルチスキャナ及びカメラのこの配置により、二つの対立要件の間に実際的な歩み寄りが見つかる。カメラを可能な限り高く配置すると、「基線」つまりカメラ距離の最小化が実際に可能となるので、いわゆるスティッチングアーチファクトが最小化する一方で、同時に空間検出装置を支承している人の頭部又は肩の他の部分が、大きな距離ゆえに小さい角度領域での捕捉画像としてのみ視認可能となる。これは、スティッチングアーチファクトを最少にした最適な周囲空間の全周記録につながるだろう。しかしながらカメラを非常に高く配置すると、空間検出装置を支承している人の頭部のかなり上方に空間検出装置が延在するので、人は空間検出装置を傾斜させずに低い空間又はドア開口部を移動することができないだろう。さらに、空間検出装置はこのケースでは人により安定的に支承されない。カメラの高さでの人の移動の偏差も非常に大きくなるだろう。また、結果的に得られるパノラマビューは観察者の自然な視認高さに対応しないので、画像の過度な記録高さは短所となるだろう。
【0079】
頭部の上方にカメラ及びマルチスキャナを配置することは、空間検出装置を支承している人の頭部高さに又は頭部の下方の配置に対しても有利であり、それは、このケースでは遮るもののない全周記録が可能であって人の視界が損なわれないからである。カメラにより生じる死角が最小となり、同時に人に支承されている間は空間検出装置の実際的な使用が維持される。
【0080】
カメラの数、距離、角度配向、位置決めそして視界は、焦点距離とともに、さらには任意で第1マルチスキャナの数なども、本発明による空間検出装置で最適化されるので、直立している環境観察者の視認高さに本質的に対応する自然な記録高さが可能となり、同時に、いわゆる基線つまりカメラ距離が小さくなるのでスティッチングアーチファクトが減少し、一方で同時に、空間検出装置を支承している人が位置しているカメラの下方の空間領域のみが、可能な限り正確に除外される。その際、人の頭部の近傍への配置は、頭部の上方に位置する物体との偶発的な衝突に対する保護として同時に作用する。
【0081】
本発明による空間検出装置の一変形によれば、付加的に、少なくとも一つの受信アンテナ及び/又は慣性計測ユニットが、フレームによって人が空間検出装置を支承している時に人の頭部の上方でフレームの第1ホルダに締結される。受信アンテナは、無線ローカルネットワーク(WLAN/WiFi)の送信局からの信号を受信するように作用する。また、ブルートゥース(登録商標)送信器からの信号を受信するように作用する付加的な受信アンテナが設けられてもよい。単数又は複数の受信アンテナは信号処理ユニットに結合される。こうして、空間検出装置が移動している間に、無線ローカルネットワークの信号及び/又はブルートゥース信号が各受信強度で検出されて記憶される。送信局のID識別情報(WLAN/WiFi-SSID、ブルートゥースビーコン)の空間プロファイルと、空間的に変化するその信号強度とが、獲得されたこれらの信号から構築され得る。これは、WLAN/WiFi又はブルートゥース「フィンガープリント」の語で知られている。ID識別情報及び受信強度の記録プロファイルは、空間内を移動しているモバイルフォンを後で位置確認するように作用し得る。このケースで、例えば送信局のID識別情報が屋内ナビゲーションアプリによってスマートフォンにリアルタイムで捕捉され、それらの信号強度が測定されて、位置確認を導出するため、例えばサーバに基づくデータベースを介して、空間検出装置により前に記録されたプロファイルと比較される。
【0082】
慣性計測ユニット(IMU)は、加速度センサ及び角速度センサを具備し得る。慣性計測ユニットの信号の評価を通して、空間内での空間検出装置の移動と、それゆえ空間内の位置の時間的変化とを判定することが可能である。
【0083】
本発明による空間検出装置の一変形によれば、フレームは緩衝器を具備する。このケースで、特に第1マルチスキャナ及び/又は受信アンテナ及び/又は慣性計測ユニットは、緩衝器に包囲される。その結果、空間検出装置を支承している人の頭部の上方に配置されるセンサ装置が全て保護される。
【0084】
本発明による空間検出装置の一変形によれば、状態センサがフレームに締結され、フレームがどのように人に支承されているかを検出するように構成される。状態センサは特に、肩当て部によりフレームが少なくとも部分的に支承されているかどうか、あるいは接触部分及び腰当て部によってフレームが前方に旋回されて、それゆえ人の肩にもはや当接しない傾斜状態で配置されているかどうかを検出し得る。状態センサは、例えば、評価器と併せて慣性計測ユニットにより設けられ、これにより人の肩の旋回時のフレームの傾動が捕捉される。代替的に、肩当て部が人の肩に当接しているかどうかを検出するように構成される肩センサも設けられ得る。代替的又は付加的に、腰当て部に対する接触部分の配向を検出するように構成される腰センサも設けられ得る。特に、接触部分の垂直角度が検出される。
【0085】
状態センサによって、狭い場所又は低いドア開口部を通り抜けるためにフレームが前傾していることを検出した場合に、例えば物体空間の獲得が中断され得る。これらの状態データは、捕捉されたスキャンデータの処理、例えば後処理で検討されるので、空間検出装置の取り外し又は傾斜時に人の身体の一部をレーザスキャナがスキャンする場合に形成され得る点群アーチファクトが、データの処理中に除去され得る。
【0086】
付加的に、状態センサによって、空間検出装置が地面に安定的に載置されているかどうかを検出することも可能である。ここで、例えばエネルギー節約の目的で、進行中であるSLAM位置確認の整合性を損なうことなく空間検出装置が地面に安定的に載置されていることを状態センサが示す場合には、データ獲得全体が自動的に休止し得る。一人のオペレータから別のオペレータに移る時、あるいは例えば環境内の大きな家具が取り除かれなければならない時には特に、空間検出装置の停止が望ましい。
【0087】
例えばデータの選択的な破棄を通して、生成された点群の全体密度及び品質を均質化及び最適化するのに状態センサのデータが使用される場合には、オペレータの身体からの取り外しでは、通常歩行時の他の点では均一な検出動作が、オペレータが起立しているか空間検出装置を傾動、転回、又は揺動させることにより生じる点群データの品質及び密度に関する大きな変動へ変化するので、やはり有利である。
【0088】
本発明による空間検出装置の別の実施形態によれば、第2マルチスキャナが締結される第2ホルダがフレームのブラケットに配置される。フレームによって人が空間検出装置を支承している時に、第2マルチスキャナのスキャン中央面が-10°から+10°の範囲に、特に-5°から+5°の範囲にある角度を垂直面と形成するような特定の配向を第2マルチスキャナが持つ。角度は、好ましくは0°である。それゆえ第1マルチスキャナと対照的に、第2マルチスキャナは実質的に垂直の配向を持つ。第2マルチスキャナにより捕捉される開口角度は、特に25°から35°の範囲にある。開口角度は、好ましくは30°である。それゆえ、本発明による空間検出装置では、人の移動方向に実質的に垂直な配向をマルチスキャナが持つ。他のマルチスキャナは、移動方向に実質的に平行な配向を持つ。これは、環境が完全に捕捉され、同時に良好なリアルタイムSLAMが達成されることを意味する。
【0089】
フレームは特に、支持装置によって人に支承されている場合に空間検出装置の重量の50%より多くが腰当て部により支承されるように構成される。それゆえ空間検出装置の重量の最大部分は腰当て部を介して支承される。空間検出装置は特に肩当て部によりねじれに対して安定的に固定される。
【0090】
また、フレームは特に、第1マルチスキャナ及び/又は第2マルチスキャナ及び/又はカメラが水平面と接触しないように、空間検出装置が水平面に自在に当接するための設置点を画定するように構成される。これは、もはや人に支承されていない時に、フレームに締結された空間検出装置のいずれも損傷を受けないように空間検出装置が水平面に載置され得ることを保証する。
【0091】
本発明による空間検出装置のさらなる構成によれば、対応の参照マークを備える静止座標系に対する空間検出装置の位置及び/又は配向を検出するための、例えば矢印又は切欠きの形の、少なくとも一つの参照マークを装置が具備し、対応の参照マークは、例えばスキャンされる建造物の床又は壁へのステッカとして、捕捉される環境の特定点に付けられ、十字線と独自の記号又は識別番号(以下、地上基準点と呼ばれる)とを備える。スキャン動作が進行中に、空間検出装置は例えば、参照マークが地上基準点の十字線のすぐ上にある状態で一時的に保持され、時点と地上基準点の独自記号又は識別番号とが捕捉される。人間工学的に特に好ましい形で取り付けられて矢印と十字線とが接触するとすぐに押される別の起動ボタンによって、正確な時点の検出が行われ得る。このケースでこれは、参照マークを備える空間検出装置が例えば起立状態にあるか地面に直立保持されている間か地上基準点と接触している間に例えば上から起動ボタンに触れた場合に、あるいは、参照マークを備えるハンドルにより空間検出装置が両手で壁に保持されている間に指で起動ボタンに触れた場合に、人間工学的に好ましい。起動ボタンは特に、第1ホルダに、特に運動方向について第1マルチスキャナの後方に配置される。
【0092】
地上基準点の補助により、例えば、長時間のスキャン動作での蓄積ドリフトのため必要な補正パラメータが判定され得るので、SLAM法による経路判定が特に精密に行われ得る。例えば別のスキャン動作で検出された、地上基準点の領域で重複する隣接の建造物部分のデータ集合が、後で特に精密に相互配向され、組み合わされて均一なデータモデルとなる。好ましくは、例えば建築計画に基づいて確定されたか従来の測量技術で測量された精密規定点にも、地上基準点が適用され得る。その結果、本発明による空間検出装置で捕捉されるデータが、既知であるか他の手法で捕捉されるデータと特に精密に整合されるか比較されることが可能である。
【0093】
代替的に、例えばQRコード(登録商標)の形での独自の識別情報を有する場合には、空間検出装置のカメラを介して地上基準点が捕捉されてもよい。また、空間把握のためのレーザポインタを設けることも可能であり、これによって、レーザポインタのレーザポイントを例えば規定距離でステッカの十字線に向けることにより、地上基準点が非接触で検出され得る。
【0094】
本発明による空間検出装置のさらなる構成によれば、カメラへのデータ技術による結合が設けられる制御装置がフレームに締結され、制御装置は、これらのカメラによる画像記録を同時に開始するように配置される。こうして、特定の時点についてカメラによる全周記録を生成することが可能である。
【0095】
本発明による空間検出装置のさらなる構成によれば、フレームによって人が空間検出装置を支承している時に、人の頭部の下方で評価器がフレームに締結され、カメラ及び/又は第1マルチスキャナ及び/又はWLAN/WiFiアンテナ及び/又は慣性計測ユニットへのデータターゲット結合が設けられ、分類同期化インタフェースを介してデータ転送が行われ、分類同期化インタフェースが人の頭部の上方に締結される。例えば、カメラと分類同期化インタフェースとの間にUSBケーブルが設けられ、第1マルチスキャナと分類同期化インタフェースとの間にイーサネットケーブルが設けられ得る。USBケーブル又はイーサネットケーブルは、WLAN/WiFiアンテナと慣性計測ユニットと分類同期化インタフェースとの間にも設けられ得る。分類同期化インタフェースはそれ自体が生成した精密なタイムスタンプと受信データをリンクさせ、同時に、個々のUSBケーブル又はイーサネットケーブル経由してさらなるデータ転送が集合的に行われ得るように受信データを変換する。そしてバンドル同期化インタフェースがこの個々のUSBケーブル又はイーサネットケーブルを介して評価器に接続されるので、バンドル同期化インタフェースから評価器にデータ転送が行われ、このようなデータ転送ケーブルが1本のみ、バンドル同期化インタフェースから評価器につながれなければならず、ゆえに集合的データ転送ケーブルとして機能し、特にフレームの管体の内側に敷設され得る。やはり分類同期化インタフェースに存在する様々なユニットに受信された精密なタイムスタンプとデータとの直接リンクを通して、評価ユニットへのさらなる通信リンクでのバッファリング及び一時的記憶に関係してそこでの入力データの処理で起こり得るタイミング及び待ち時間の問題が最小となる。それゆえ、分類同期化インタフェースに近接した各データソースで最小の待ち時間が割り当てられる受信データのタイムスタンプにSLAMアルゴリズムが依存するので、評価器の計算負荷が高くても、処理シーケンスに起こり得る遅延又はジャンプが整合性又は精度についての問題につながることはない。
【0096】
また、第2マルチスキャナはデータ技術の点で評価器に結合され得る。第2マルチスキャナは空間的に評価器に近接して配置されるので、このケースでのデータ転送は別のケーブルを介して行われ得る。しかしながら、第2マルチスキャナを分類同期化インタフェースに結合することも可能であるので、このスキャナから供給されるデータも同期化タイムスタンプと関連し得る。
【0097】
本発明による空間検出装置は付加的に、評価器により生成されるグラフィック表現を表示するために評価器に結合されるディスプレイ装置を有するので、有利である。
【0098】
評価器は特に、物体空間内での空間検出装置の位置、及び/又は、空間検出装置の経路を、少なくとも、単数又は複数の受信器により検出された検出後の反射放射により生成されるデータから計算して、グラフィック表現によって結果を出力するように構成される。こうして、接近した、及び/又は、接近可能な物体空間領域、既にスキャンされた物体空間領域、あるいはまだスキャンされていない物体空間領域が、既に捕捉されたデータに基づいて物体空間の全体表現として表示される。ゆえに、人は、まだ捕捉されていない物体空間の領域をグラフィック表現により特定できる。付加的に、各ケースで捕捉される空間領域についての獲得データの品質は、いわゆる「ライブ品質マップ」にリアルタイムで表示されるので、人は、適用可能な場合にどの空間領域がより良好に捕捉されなければならないかを評価できる。
【0099】
最後に、空間検出装置は、データ技術の点で少なくとも評価器に結合されて後処理のために記憶装置にデータを出力するように構成されるデータインタフェースを有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0100】
これから図面を参照して実施形態例により本発明が説明される。
図1A】本発明によるフレームと本発明による空間検出装置との実施形態例の斜視図を示す。
図1B】本発明によるフレームと本発明による空間検出装置との実施形態例の斜視図を示す。
図2A図1A及び1Bに示された空間検出装置を支承している人を示す。
図2B図2Aの詳細図を示す。
図2C】空間検出装置を人が支承している時のカメラの垂直位置の選択を図示している。
図2D図1A及び1Bに示されている空間検出装置を人が支承している時のカメラの死角を示す。
図3A図1A及び1Bに示されている空間検出装置を前傾状態で支承している人を示す。
図3B図3Aの詳細図を示す。
図4】本発明によるフレームの実施形態例の接触部分への腰当て部の接続と本発明による空間検出装置との断面を示す。
図5】本発明による空間検出装置のスキャン装置の配向を示す。
図6】本発明による空間検出装置のカメラの撮影角度を示す。
図7】水平面に載置された本発明による空間検出装置を示す。
図8】本発明による空間検出装置の実施形態例のデータ技術構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0101】
第一に、本発明によるフレーム1の実施形態例と、本発明によるフレーム1を具備する本発明による空間検出装置30の実施形態例とが、図1A及び1Bを参照して説明される。
【0102】
フレームは支持装置2を具備し、これによって、人はフレーム1とフレーム1に締結された装置とを支承できる。支持装置2は、二つの肩当て部2-1と接触部分2-2とを具備する。肩当て部2-1は、分離したブラケット7にフレーム1のほぼ中央で接続されている。ブラケット7は、肩当て部2-1が締結されるフレーム1の中央部を、各ケースでブラケット7を介して、接触部分2-2が配置されたフレーム1の下部に接続する。それゆえ接触部分2-2は、ブラケット7を介して肩当て部2-1に接続される。接触部分2-2は、高さ調整可能なフレーム1の底部領域に締結される。接触部分は、後で説明されるように、腰当て部4と、そして任意で腰ストラップ3と相互作用を行う。肩当て部2-1から、分離したフレーム上部5がフレーム1のヘッド部分まで延在する。
【0103】
肩当て部2-1は湾曲セグメント10を有する。フレーム1の垂直配向により、つまりフレーム1が人に支承されている配向で、湾曲セグメント10は上方頂部11を有する。湾曲セグメント10は、フレーム1の適用時に前方を指す頂部11の側に、ブラケット7への移行部を有する。フレーム1が装着されると、湾曲セグメント10のこの部分は、支承している人の上胸部領域に隣接する。頂部11の他の側で、湾曲セグメントは後方及び下方に延び、フレーム1が装着されると、支承している人の肩甲骨の部分にほぼ隣接する。フレーム1の長手方向とも記されるフレーム1の垂直方向において、湾曲セグメント10の後端部から頂部11までの距離は、50mmから100mm、特に70mmから90mmの範囲にある。
【0104】
フレームのヘッド領域では、フレーム上部5の上端部に第1ホルダ6が配置される。第1マルチスキャナ31がこの第1ホルダ6に締結される。ベロダイン(Velodyne)社のマルチレベルレーザスキャナであるPuck LITEタイプが、第1マルチスキャナ31として使用される。第1マルチスキャナ31は幾つかの放射ユニットを具備する。これらの放射ユニットは、一つのコンポーネントに一体化されるとともに一定の相互配向を有する複数のレーザから成る。放射ユニットのレーザは、複数の信号ビームを放射方向に発する。信号ビームは、平面を画定する扇形放射を構成するような配向を持つ。この扇形放射の幾何学形状及び配向の詳細は、後で説明される。信号ビームは例えば、物体に衝突してその表面で散乱するか反射される。こうして、反射放射が生成される。この反射放射の後方散乱又は後方反射部分は、放射ユニットに一体化された受信器により検出される。
【0105】
この実施形態例において、放射ユニット16は、信号パルスを逐次的に放射するレーザを具備する。例えば、放射ユニットの個々のレーザは信号パルスを逐次的に放射する。これらの信号パルスの間の時間間隔は、第1マルチスキャナ31の最大範囲に配置された物体への信号パルスが反射してから受信器に戻るまでのこの信号の通過時間から得られる。受信器がこの信号パルスを検出した時に、次のレーザの信号パルスが放射される。例えば、信号パルスの間には2.3マイクロ秒の時間間隔が設けられ得る。この時、光は690mの距離を進むので、100mの最大範囲でも連続信号パルスの間には十分な間隔が設けられる。信号パルスは例えば6ナノ秒の長さを有する。
【0106】
第1マルチスキャナ31はさらにスキャン装置を具備する。このスキャン装置は信号ビームの放射方向を変化させる。信号ビームの放射方向は回転軸線を中心に回転される。この回転軸線は、信号ビームの扇形放射により形成される平面上に位置する。さらに、回転軸線は信号ビームの扇形放射の中心軸線に垂直である。この中心軸線は特に、信号ビームの扇形放射の対称軸であり得る。ゆえに、扇形の回転体が第1マルチスキャナ31により検出される。
【0107】
フレーム1はさらに、ブラケット7の底端部でのフレーム1の下部領域に第2ホルダ12を具備する。第2マルチスキャナ36が第2ホルダ12に締結される。第2マルチスキャナ36は、ブラケット7のように、空間検出装置30を支承している人49の前に配置される。第1マルチスキャナ31のように、これは、第1マルチスキャナ31と同じ構造を有するマルチレベルレーザスキャナである。しかしながら、第2マルチスキャナ36は第1マルチスキャナ31と異なる配向を持つ。これは実質的に垂直な配向を持つ、つまり後で説明するように扇形放射の中心軸線は実質的に垂直な配向を持つ。
【0108】
さらに、空間検出装置30は、環境のデジタル画像を記録できる幾つかのカメラ32を有する。記載される実施形態例では、サネックス(Sunex)社による広角対物レンズを備えるフリアー(FLIR)社製の5台のカメラが、第1ホルダ6の円形リング上に配置される。人が空間検出装置30を支承している時に、円形リングは実質的に水平の配向を持つ。カメラ32は、互いから等しい角度間隔の正五角形で円形リング上に位置する。加えて、機能が後で説明される慣性計測ユニット34と2本の受信アンテナ46,47とが、第1ホルダ6に締結される。
【0109】
実施形態例の一変形において、フレーム1は緩衝器を具備し得る。これは特に、第1マルチスキャナ31、カメラ32,受信アンテナ46,47、そして慣性計測ユニット34を包囲して、これらを衝撃から保護する。
【0110】
加えて、評価器42,ディスプレイ48、そして充電式バッテリとして構成されるエネルギー供給源40が、フレーム1の下部領域で第2ホルダ12に締結される。また、空間検出装置30を支承している人が下部領域で装置を強固に保持するためのハンドル9が、接触部分2-2の方向でブラケット7の間に延在する。
【0111】
図2Aを参照して、空間検出装置30のフレームがどのようにして人49に装着され支承されるかが説明される。図2Aの図解で、図1A及び1Bに示されているカバーを伴わずに第1ホルダ6が示されている。
【0112】
フレーム1の支承時に、支持装置2によって人49がフレーム1を支承している時にブラケット7が人の前に配置されるようにフレーム1が構成される。しかしながら、人49は二部ブラケット7の間から見通すことが可能である。直立している人によりフレーム1が支承されている時に、空間検出装置30は、定義上は垂直方向Vの配向を持つ。その際に肩当て部2-1の湾曲セグメント10は、人49の肩50に当接する。こうして、空間検出装置30の重量の一部が人49の肩50により支承される。また、肩当て部2-1の湾曲セグメント10が限定領域で肩50を後方及び下方に包囲するので、肩当て部2-1は、腰当て部4に当接している接触部分2-2を中心に空間検出装置30が前傾するのを防止する。
【0113】
接触部分2-2は、支持装置2によって人49がフレームを支承している時に人49の腰領域51の高さに位置する。このケースで、肩当て部2-1は人49の肩50に当接する。
【0114】
空間検出装置30の下部領域が図2Bに示されている。この領域で、接触部分2-2は腰当て部4に当接している。接触部分2-2と腰当て部4との結合が、図4の断面図に詳しく示されている。図4に示されているように、接触部分2-2は下部領域に二つの湾曲部を有するプレート形状で構成される。接触部分2-2は、人49の運動方向Fに垂直な配向を持つ横エッジ2-3を底部に有する。腰当て部4は前部分がU形状で設けられる。この領域で、接触部分2-2の下端部は、横エッジ2-3が腰当て部4に当接するように挿入され、そのため空間検出装置30の重量を受け止めることができる。それゆえ接触部分2-2は腰当て部4に対応する。ゆえに接触部分2-2は腰当て部4のU形状領域に収容されるので、図2Aに示された位置から両矢印Gの方向に、接触部分2-2の長形横エッジ2-3を中心として横軸線Y上で前傾できる。この旋回移動を可能にするため、人49は、肩当て部2-1の湾曲セグメント10の後部領域が肩50よりも前傾できるように、両肩50をいくらか下げることができる。
【0115】
加えて、腰当て部4は垂直側面4-1を有する。これらは、横軸線Yに垂直な軸線を中心として腰当て部4に当接する接触部分2-2が旋回するのを抑止する。それゆえフレーム1の横向き傾斜が、垂直軸線を中心とした腰当て部4に対するフレーム1の回転とともに防止される。
【0116】
代替実施形態例において、腰当て部4は底部ヒンジを介してフレーム1の接触部分2-2に結合され、フレーム1は横軸線Yを中心として底部ヒンジにより旋回され得る。
【0117】
空間検出装置30の前傾状態が図3A及び3Bに示されている。やはり、図1A及び1Bに示されているようなカバーを伴わずに、第1ホルダ6が示されている。この傾斜状態において、空間検出装置30の重量は腰当て部4により完全に受け止められる。この目的のため、腰当て部4は、ストラップ受け部4-2によって腰ストラップ3に締結され得る。代替的に、ストラップ受け部4-2は人49のベルトに係止されてもよい。空間検出装置30の非傾斜状態、つまり図2Aに示されているような空間検出装置30の動作状態では、空間検出装置30の重量の50%より多くが腰当て部4-2によって支承される。動作状態では、図2Aに示されているように、空間検出装置30が人49に支承される。肩当て部2-1はこのケースで、特に空間検出装置30の前傾を防止する。それゆえ特に安定的固定のために作用する。さらに、安定的固定のため、空間検出装置30が人49の両手でハンドル9により強固に保持されてもよい。
【0118】
空間検出装置30を支承している人49が水平面H1上に立っている場合に、図2Aに示されているように垂直方向Vには、複数の肩当て部2-1又は単数の肩当て部2-1と接触部分2-2との間に距離Cが設けられる。複数の肩当て部2-1又は単数の肩当て部2-1と第1ホルダ6との間には距離Dが設けられ、第1マルチスキャナ31とカメラ32との間には距離Eが設けられる。距離Cは400mmから800mmの範囲に、特に500mmmから700mmの範囲にあり、本実施形態例ではこの距離は515mmに等しい。距離Dは300mmから500mmの範囲に、特に350mmから400mmの範囲にあり、本実施形態例では372mmに等しい。距離Eは50mmから10mmの範囲に、特に60mmから80mmの範囲にある。本実施形態例で、これは72mmに等しい。また、第1マルチスキャナ31はカメラ32の上方に配置される。第1ホルダ6の底部領域は、空間検出装置30を支承している人の頭部49が遮るもののない前方視界を有するような、肩当て部2-1の頂部11からの距離にある。また、距離Dは人49が頭部にヘルメットを着用できるのに充分なほど大きい。
【0119】
カメラ32のこの配置を通して、図2C及び2Dを参照して説明されるように、二つの対立要件の間には実際的な歩み寄りが見られる。
【0120】
参照符号32’で図2Cに記されているように、可能な限り高くカメラを配置すると、カメラ距離の最小化を確実に可能にするのでいわゆるスティッチングアーチファクトが最少となる一方で、同時に、境界線Hで図示されている狭い角度領域のみでこの距離が大きくなるため、空間検出装置30を支承している人49の頭部又は肩50の他の部分が捕捉画像で視認可能となる。これは最適な周囲空間の全周記録につながり、スティッチングアーチファクトは最少となる。しかしながら、カメラ32’の配置が非常に高いと、空間検出装置は人49の頭部のずっと上方に延在するので、カメラ32’を備える空間検出装置30を傾斜させずに人が低い空間やドア開口部を移動することができなくなるだろう。また、このケースでは空間検出装置30が人49によりあまり安定的に支承されない。カメラ32’の高さでの人49の移動の偏差もはるかに大きくなるだろう。加えて、過度に高いところでの画像の記録は、結果的に得られるパノラマビューが観察者の自然な視認高さに対応しないので、不利である。
【0121】
頭部の上方にカメラ32を配置すると、このケースでは遮るもののない全周記録が可能であって人49の視界が損なわれないので、図2Cで参照符号32”に記されているような人49の頭部高さでの配置と比較して、より有利である。カメラ32”で生じて境界線Hで示されている死角が最少となる一方で、同時に、人49に支承されている時に空間検出装置30の実際的な使用が維持される。
【0122】
図2Dは、カメラ32の死角を画定する境界線50とともに本発明による空間検出装置30の実施形態例でのカメラ32の配置を示す。図のように、人49はこの死角の中に位置している。
【0123】
図1Bに示されているように、空間検出装置30はさらに、接触部分2-2について、切欠きの形の参照マーク54を具備する。これは、対応の参照マーク(地上基準点)を備える静止座標系に対する空間検出装置30の位置及び/又は配向を検出するように作用し、対応の参照マークは、例えば、十字線及び独自の記号又は識別番号が設けられるスキャン対象建造物の床又は壁へのステッカとして捕捉対象環境の規定点に適用される。スキャン動作が進行中に、空間検出装置30は一時的に例えば参照マーク54の矢印によりこの地上基準点の十字線に正確に保持され、時点と、地上基準点の独自の記号又は識別番号とが捕捉される。矢印と十字線とが接触するとすぐに押される別の起動ボタン53を起動することにより、正確な時点が捕捉される。
【0124】
空間検出装置30の動作状態における第1マルチスキャナ31及び第2マルチスキャナ36の配向が、図5を参照して以下で説明される。
【0125】
第1マルチスキャナ31は、扇形放射の中心軸線X1が水平面H2と角度βを形成するように第1ホルダ6に締結される。角度βは5°から20°の範囲である。本実施形態例において、角度βは10°に等しい。それゆえ第1マルチスキャナ31は10°前傾している。扇形放射は開口角度α1を有する。この開口角度は10°から40°の範囲にある。本実施形態例において、角度α1は30°である。
【0126】
第2マルチスキャナ36は、その中心軸線X2が垂直の配向を持つように第2ホルダ12に締結される。第2マルチスキャナ36の扇形放射の開口角度α2は、マルチスキャナ31の扇形放射の開口角度α1に対応する。それゆえ空間検出装置30を支承している人49は、マルチスキャナ31,36の扇形放射の外側にいる。
【0127】
図6を参照して、以下でカメラ32の撮影角度が説明される。
【0128】
各カメラ32の開口角度は回転対称な円錐体ではない。むしろ方向が異なると開口角度が異なる。空間検出装置30の垂直断面では、図6に示されているように、垂直開口角度γが形成される。これは170°から210°の範囲にある。本実施形態例において、この開口角度γは180°より大きい、すなわち195°である。そして空間検出装置30を支承している人49が主にカメラ32の撮影角度の外側に位置するような配向を垂直開口角度γが持つ。また、カメラ32の水平距離は可能な限り小さくなるように選択されるので、人49の直近環境でカメラ32により捕捉される領域が可能な限り大きくなる。円形リング上に配置されるカメラ32によって、特に、人49を包囲している物体空間が完全に捕捉されて、カメラ32の写真から人49のみが除外される。
【0129】
水平面H3への空間検出装置30の載置が、図7を参照して以下で説明される。
【0130】
フレーム1について、第1マルチスキャナ31と第2マルチスキャナ36とカメラ32とが水平面H3と接触しないように空間検出装置30が水平面H3上に自在に当接するための設置点37が画定される。記載される実施形態例では、三つの、すなわち肩当て部2-1の後ろエッジと接触部分2-2での設置点37が形成される。
【0131】
小型梱包サイズの空間検出装置30を輸送できるように、フレーム1は、図7に示された変形実施形態では、中心ヒンジ8をブラケット7に有する。この中心ヒンジ8は、空間検出装置の30の梱包サイズを縮小するため、空間検出装置30のヘッド領域を下部領域の方向に旋回させることを可能にする。中心ヒンジ8は、折り畳まれたフレーム1のための一つの係止位置と、図7に示されているように動作状態のフレーム1のための別の係止位置という二つの係止位置を有する。
【0132】
代替実施形態例において、フレーム1は、例えばブラケット7で分解及び再組立され得る。
【0133】
本発明による空間検出装置の実施形態例のデータ技術構造が、図8を参照して説明される。空間検出装置30の個々のコンポーネントがデータ技術の点で電子的にどのように相互作用を行うかが記載される。
【0134】
カメラ32は制御装置41に接続されている。そして人49が手指でトリガ38を起動できるように空間検出装置30のハンドル9の近傍に配置されるトリガ38に、制御装置41が接続される。人49がトリガ38を起動した場合に、制御装置41はカメラ32によって同時画像記録を起動する。制御装置41はタイマ35にも結合されているので、カメラ32の起動時点がカメラ32の画像記録とともに記憶され得る。この目的のため、タイマ35は評価器42にも接続されている。
【0135】
第1ホルダ6の空間検出装置30のヘッド領域に配置されるカメラ32はUSBケーブル44を介して、マルチスキャナ31はイーサネットケーブル52を介して、やはり第1ホルダ6で空間検出装置30のヘッド領域に配置される分類同期化インタフェース43に接続される。このUSBケーブル44及びイーサネットケーブル52を介して、カメラ32と第1マルチスキャナ31とは、マルチスキャナ31のスキャン装置の時点及び角度位置と、放射及び受信される各信号パルスの強度とを含む記録データを、分類同期化インタフェース43に転送する。分類同期化インタフェース43は受信データを変換して、それが生成したタイムスタンプにリンクさせるので、このデータが、フレーム1の管体に敷設される集合データ転送ケーブル45を介して、空間検出装置30の下部領域で第2ホルダ12に締結される評価器42にさらに伝送され得る。
【0136】
また、無線ネットワーク(WLAN/WiFi)の信号のための第1受信アンテナ46と、無線ブルートゥース信号を受信するための第2アンテナ47とが、第1ホルダ6に配置される。2本の受信アンテナ46,47により受信された信号は、第1ホルダ6に配置されるとともにデータをさらに評価器42へ転送する信号処理ユニット33へ転送されるか、代替的に、図8に示されているように、さらなる処理のために分類同期化インタフェース43に転送される。
【0137】
最後に、空間内の3方向での加速度と3本の空間軸線での回転速度とを検出するための慣性計測ユニット34が第1ホルダ6に配置されるので、空間内での空間検出装置30の配向又は配向変化が判定され得る。慣性計測ユニット34により捕捉されたデータは、評価器42に転送されるか、代替的に、図8に示されているように、さらなる処理のため分類同期化インタフェース43に転送される。
【0138】
加えて、慣性計測ユニット34により、あるいは慣性計測ユニット34のデータを評価する評価器42のソフトウェアに基づく評価モジュールにより、あるいは他のセンサ、特に圧力センサにより、状態センサが設けられる。これは、フレーム1がどのように人49に支承されているかを検出することができる。状態センサは特に、図2Aに示されているようにフレーム1が少なくとも部分的に肩当て部2-1により支承されているかどうか、あるいは図3Aに示されているように、フレーム1が接触部分2-2及び腰当て部4によって前方に旋回され、それゆえ人49の肩50にもはや当接しないように傾斜して配置されているかどうか、あるいは図7に示されているように設置及び休止位置になったかどうかを検出できる。
【0139】
評価器42が受信したデータによって、評価器は、空間検出装置30の様々なスキャン装置により検出された物体の物体空間内での方向及び距離を計算することができる。加えて、検出された物体の表面のさらなる特徴が任意で判定されてもよい。
【0140】
捕捉された物体空間を再現する三次元点群が、評価器42によりリアルタイムで生成される。リアルタイム計算において、マルチスキャナ31,36の受信器により検出された反射放射が少なくともそのために使用される。また、カメラ32により撮影された画像は、三次元点群のリアルタイム処理及び生成にも使用され得る。こうして、検出装置30が中で移動され得る、及び/又は、移動された物体空間の領域のグラフィック表現を評価器42がリアルタイムで計算する。このグラフィック表現はディスプレイ48により出力される。これは物体空間の獲得中に、連続的に更新される。
【0141】
評価器42はデータインタフェース39に結合される。このデータインタフェース39を介して、空間検出装置30の動作中に既に生成されたデータを含めて、評価器42により収集されたデータが、一時記憶のためにメモリに転送される。代替的又は付加的に、空間検出装置の動作中あるいは検出動作の完了後に、データが外部データ記憶装置に転送されてもよい。そしてこれらのデータは後処理に使用され得る。補足された物体空間のより正確な点群がこの後処理で生成される。後処理の計算量は非常に多いので、評価器42によりリアルタイムで実行され得ない。
【符号の説明】
【0142】
1 フレーム
2 支持装置
2-1 肩当て部
2-2 接触部分
2-3 接触部分の横エッジ
3 腰ストラップ
4 腰当て部
4-1 腰当て部の垂直側面
4-2 ストラップ受け部
5 フレーム上部
6 第1ホルダ
7 ブラケット
8 中心ヒンジ
9 ハンドル
10 湾曲セグメント
11 頂部
12 第2ホルダ
30 空間検出装置
31 第1マルチスキャナ
32 カメラ
33 信号処理ユニット
34 慣性計測ユニット
35 タイマ
36 第2マルチスキャナ
37 設置点
38 トリガ
39 有線データインタフェース
40 エネルギー供給源
41 制御装置
42 データ処理装置
43 分類同期化インタフェース
44 USBケーブル
45 集合データ転送ケーブル
46 第1受信アンテナ
47 第2受信アンテナ
48 ディスプレイ
49 人
50 肩
51 腰
52 イーサネットケーブル
53 起動ボタン
54 参照マーク
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】