(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 63/00 20060101AFI20221007BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20221007BHJP
C08L 23/06 20060101ALI20221007BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20221007BHJP
【FI】
C08L63/00 Z
C08K3/22
C08L23/06
C08K3/013
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022503998
(86)(22)【出願日】2020-07-06
(85)【翻訳文提出日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 KR2020008770
(87)【国際公開番号】W WO2021015446
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】10-2019-0089017
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507310879
【氏名又は名称】ケーシーシー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イム ヘ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】シム ミョン テク
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB032
4J002CD021
4J002CD031
4J002CD051
4J002CD061
4J002DE097
4J002DJ016
4J002FD016
4J002FD122
4J002FD127
4J002GQ00
(57)【要約】
本発明は、エポキシ樹脂組成物およびこれを用いて封止された半導体素子に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂、硬化剤、充填剤、硬化促進剤および添加剤を含み、
前記添加剤が、セリウムオキシドおよび非極性ポリエチレンワックスを含むエポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
前記セリウムオキシドの平均粒径が、0.1~2.0μmである、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
エポキシ樹脂組成物の総重量を基準として、前記セリウムオキシドを0.1~5重量%含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
エポキシ樹脂組成物の総重量を基準として、前記非極性ポリエチレンワックスを0.01~0.5重量%含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
エポキシ樹脂組成物の総重量を基準として、エポキシ樹脂2~20重量%、硬化剤1~20重量%、充填剤70~91重量%および硬化促進剤0.05~5重量%を含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂組成物およびこれを用いて封止された半導体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータパワーモジュールパッケージは、PCB(Printed circuit board)にそれぞれ実装されるIC(Integrated Circuit)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated gate bipolar transistor)およびダイオード(Diode)のような素子を一つのパッケージ形態にシステム化して電流損失効率を向上させたものをいう。パワーモジュールパッケージの集積化を通した効率改善、電力上昇および価格競争力確保のための努力が持続的に行われており、これに加えて、パッケージ設計時に絶縁関連規格を満たすために、半導体封止用組成物に使用されるエポキシ樹脂組成物の耐トラッキング性(Tracking resistance)の向上が要求されている。
【0003】
一例として、日本国特許公開2008-143950Aは、耐トラッキング性を向上させるために、金属水酸化物を含む半導体封止用エポキシ樹脂組成物を開示している。しかしながら、上記先行文献に開示されたエポキシ樹脂組成物は、半導体装置に要求される最近の耐トラッキング性規格を満たしていないのが現状である。
【0004】
その他、耐トラッキング性を向上させるために、充填剤の含有量を高めたり、高価なエポキシ樹脂を適用する試みがあったが、この場合、価格競争力および成形作業性を確保するのに困難があった。これより、インバータパワーモジュールパッケージにおける耐トラッキング性を向上させると共に、価格競争力を確保できるエポキシ樹脂組成物に対する開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、耐トラッキング性に優れたエポキシ樹脂組成物およびこれを用いて封止された半導体素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、エポキシ樹脂、硬化剤、充填剤、硬化促進剤および添加剤を含み、前記添加剤は、セリウムオキシドおよび非極性ポリエチレンワックスを含むエポキシ樹脂組成物を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、優れた耐トラッキング性を示す。本発明によるエポキシ樹脂組成物を適用して封止された半導体素子は、高い信頼性を確保でき、特にインバータパワーモジュールパッケージに適用時にも耐トラッキング性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。しかしながら、下記の内容のみによって限定されるものではなく、必要に応じて各構成要素が多様に変形されたり、選択的に混用されうる。したがって、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むと理解しなければならない。
【0009】
<エポキシ樹脂組成物>
本発明によるエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、充填剤、硬化促進剤および添加剤を含み、前記添加剤は、セリウムオキシドおよび非極性ポリエチレンワックスを含む。以下、本発明のエポキシ樹脂組成物の組成について記述する。
【0010】
エポキシ樹脂
本発明においてエポキシ樹脂は、主樹脂として使用され、硬化剤と反応して硬化した後、三次元網状構造を有することによって、被着体に強力かつ堅固に接着する性質と耐熱性を付与する。
【0011】
前記エポキシ樹脂としては、半導体封止材に通常使用されるエポキシ樹脂を制限なしで使用できる。使用可能なエポキシ樹脂の非制限的な例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセンエポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールSノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールフェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールクレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変形フェノール樹脂型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加反応型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、多官能性フェノール樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂などがあり、これらのうち1種以上を含んでもよい。
【0012】
一例として、前記エポキシ樹脂は、分子構造内に2個以上のエポキシ基を含むものであってもよく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂およびビフェニル型エポキシ樹脂からなる群から選ばれた1種以上を含むものであってもよい。エポキシ樹脂の分子構造内のエポキシ基の数が前述した範囲を満たす場合、エポキシ樹脂および硬化剤間の硬化性が向上することができ、耐熱性を改善させることができる。
【0013】
前記エポキシ樹脂は、エポキシ当量(EEW)が150~300g/eqであり、粘度(150℃基準)が0.01~5ポイズ(poise)であり、軟化点が50~130℃であってもよい。このようなエポキシ樹脂は、相対的に低い粘度特性を有するので、高含有量の充填剤が含まれても、流れ性を確保でき、混練が容易である。
【0014】
前記エポキシ樹脂の含有量は、特に制限されないが、エポキシ樹脂組成物の総重量を基準として2~20重量%、例えば6~10重量%であってもよい。エポキシ樹脂の含有量が2重量%未満である場合、接着性、流れ性および成形性が低下することがあり、20重量%を超過する場合、吸湿量の増加によって半導体の信頼性が不良になり、充填剤含有量の相対的減少によって強度が低下することがある。
【0015】
硬化剤
本発明によるエポキシ樹脂組成物は、硬化剤を含む。硬化剤は、前記エポキシ樹脂と反応して組成物の硬化を進行させる役割をする。
【0016】
前記硬化剤としては、エポキシ樹脂と硬化反応をする当該分野において公知となった通常の硬化剤を制限なしで使用でき、一例として、前記硬化剤は、分子構造内に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール系化合物であってもよい。一例として、前記硬化剤は、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂および多官能フェノール化合物からなる群から選ばれた1種以上を含むものであってもよい。
【0017】
前記硬化剤の含有量は、特に制限されないが、エポキシ樹脂組成物の総重量を基準として1~20重量%、例えば2~7重量%であってもよい。硬化剤の含有量が1重量%未満である場合、硬化性および成形性が低下することがあり、20重量%を超過する場合、吸湿量の増加によって半導体の信頼性が不良になり、強度が低下することがある。
【0018】
前記エポキシ樹脂および硬化剤の配合比は、特に限定されないが、エポキシ樹脂のエポキシ基および硬化剤のフェノール性水酸基の当量比が1:0.3~2、例えば1:0.6~1.3で配合されるものであってもよい。エポキシ基1当量に対するフェノール性水酸基の当量比が0.3未満である場合、エポキシ樹脂組成物の硬化速度が低下することがあり、2を超過する場合、最終硬化後の硬化物の強度が低下することがある。また、前記範囲を外れる場合、未反応のエポキシ基またはフェノール性水酸基に起因して高温でエポキシ樹脂組成物の熱分解現象が発生することがある。
【0019】
充填剤
本発明によるエポキシ樹脂組成物は、充填剤を含む。前記充填剤は、エポキシ樹脂組成物の機械的物性(例えば、強度)を向上させ、吸湿量を低減する役割をする。
【0020】
前記充填剤としては、例えばシリカ、シリカニトリド、アルミナ、アルミニウムニトリド、ボロンニトリドなどの無機充填剤を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0021】
前記充填剤の形態は、特に制限されず、角状および球状形態の充填剤を全部使用できる。本発明において使用できる充填剤の非制限的な例としては、天然シリカ、合成シリカ、溶融シリカなどがあり、例えば球状シリカ粒子を使用できる。前記充填剤の粒径は、250μm以下であってもよく、充填剤の粒径が前述した範囲を満たす場合、金型における充填性を向上させることができる。
【0022】
前記充填剤の含有量は、特に制限されないが、エポキシ樹脂組成物の総重量を基準として70~91重量%、例えば75~89重量%であってもよい。充填剤の含有量が70重量%未満である場合、硬化物の吸湿量が増加して、半導体装置の信頼性を低下させることができ、91重量%を超過する場合、流動性が低下して成形性が不良になることがある。
【0023】
硬化促進剤
本発明によるエポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤を含む。硬化促進剤は、硬化反応促進と共に、高温信頼性および連続作業性の周期を向上させる役割をする。
【0024】
本発明において使用される硬化促進剤は、前記硬化剤の硬化反応を促進するものであれば、特別な制限なしで使用でき、一例として、アミン系化合物およびリン系化合物を使用できる。アミン系化合物としては、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、ジエチルアミノエタノール、トリ(ジメチルアミノメチル)フェノール、2-2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアミノメチル)フェノール、トリ-2-エチルヘキシルアシッドからなる群から選ばれた1種以上を使用でき、リン系化合物としては、トリス-4-メトキシホスフィン、テトラブチルホスホニウムブロミド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン、トリフェニルホスフィン-1,4-ベンゾキノンからなる群から選ばれた1種以上を使用できる。
【0025】
前記硬化促進剤の含有量は、特に制限されないが、エポキシ樹脂組成物の総重量を基準として0.05~5重量%、例えば0.1~3重量%であってもよい。硬化促進剤の含有量が0.05重量%未満である場合、ゲル化時間(gelation time)の増加によって作業性が低下し、5重量%を超過する場合、ゲル化時間が過度に短縮されて、成形性が低下することがある。
【0026】
添加剤
本発明によるエポキシ樹脂組成物は、添加剤としてセリウムオキシド(CeO2)および非極性ポリエチレンワックスを含む。
【0027】
セリウムオキシドは、耐熱安定性が高い物質であって、エポキシ樹脂の体積抵抗値を上昇させて耐トラッキング性を向上させることができる。したがって、これを適用したエポキシ樹脂組成物を使用する場合、半導体素子の電気的信頼性が改善される。前記セリウムオキシドの平均粒径は、特に限定されないが、2.0μm以下、例えば、0.1~2.0μmであってもよい。セリウムオキシドの平均粒径が前述した範囲を外れる場合、分散性が減少して耐トラッキング性が低下することがある。
【0028】
前記セリウムオキシドの含有量は、特に制限されないが、エポキシ樹脂組成物の総重量を基準として0.1~5重量%であってもよい。セリウムオキシドの含有量が0.1重量%未満である場合、耐トラッキング性の向上効果が弱く、5重量%を超過する場合、吸湿率が増加して半導体素子の信頼性が低下することがある。
【0029】
非極性ポリエチレンワックスは、極性を帯びなくて表面絶縁性が高いため、優れた耐トラッキング性を示す。
【0030】
前記非極性ポリエチレンワックスの含有量は、特に制限されないが、エポキシ樹脂組成物の総重量を基準として0.01?0.5重量%であってもよい。非極性ポリエチレンワックスの含有量が0.01重量%未満である場合、耐トラッキング性の向上効果が弱く、0.5重量%を超過する場合、モールディング時にムラが発生して、作業性が不良になることがある。
【0031】
本発明によるエポキシ樹脂組成物は、前述した成分以外に、当該分野において知られた通常の添加剤を選択的にさらに含んでもよい。本発明において使用可能な添加剤の非制限的な例として、カップリング剤、難燃剤、着色剤、離型剤、改質剤、接着力向上剤および低応力化剤の中から選ばれた1種以上の添加剤をさらに含んでもよい。
【0032】
前記カップリング剤は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物に使用されるものであれば、特に制限されるものではなく、例えばエポキシシラン、メルカプトシラン、メチルシランおよびアミノシランのうち1種またはこれらの混合物を使用できる。
【0033】
前記難燃剤としては、金属水酸化物、リンおよび窒素含有有機化合物などの通常の難燃剤を使用できる。前記金属水酸化物としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ボロン、アルミニウムおよびガリウムの中から選ばれた金属の水酸化物またはこれらの混合物を使用でき、リンおよび窒素含有有機化合物としては、レゾルシノールジホスフェート(Resorcinol diphosphate)、ホスフェート(Phosphate)、フェノキシホスファゼン(Phenoxy phosphazene)およびメラミンシアヌレート(Melamine Cyanurate)の中から選ばれた1種またはこれらの混合物を使用できる。
【0034】
前記着色剤としては、カーボンブラック、有機染料、無機染料などの通常の着色剤を単独で使用したり、2種以上を混合して使用できる。
【0035】
前記離型剤としては、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸の金属塩、パラフィンワックス、カルナウバワックスなどの通常の離型剤を単独で使用したり、2種以上を混合して使用できる。
【0036】
前記低応力化剤としては、変性シリコーン樹脂、変性ポリブタジエンなどの通常の低応力化剤を単独で使用したり、2種以上を混合して使用できる。
【0037】
前記添加剤の含有量は、特に限定されず、エポキシ樹脂組成物の総重量を基準として0.01~5重量%であってもよい。
【0038】
前述した成分を含む本発明のエポキシ樹脂組成物を製造する方法は、特に制限されず、当該分野における一般的な方法を使って製造できる。一例として、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、単軸または二軸押出機およびニーダーなどを用いた公知の溶融混練方法を使って製造できる。例えば、各成分を均一に混ぜた後、溶融混練機(Heat kneader)を用いて100℃~130℃の温度で溶融混練し、常温に冷却させた後、粉末状態に粉砕した後、ブレンディングして製造できる。
【0039】
<半導体素子>
本発明は、上記したようなエポキシ樹脂組成物を用いて封止された半導体素子を提供する。
【0040】
本発明のエポキシ樹脂組成物を適用できる半導体装置とは、トランジスター、ダイオード、抵抗、コンデンサなどを半導体チップや基板の上に集積し配線して製作される電子回路(集積回路)を意味する。前記エポキシ樹脂組成物を用いて半導体装置を封止、製造する方法は、特に制限されず、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールドなどの成形方法で半導体素子を封止して製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。しかしながら、下記実施例は、本発明の理解を助けるためのものに過ぎず、いかなる意味でも本発明の範囲が実施例に限定されるものではない。
【0042】
[実施例1~7]
下記表1に記載された組成によって各成分を微細に粉砕してパウダーを作って配合した後、加熱した押出機を用いて混練し、冷却させた後、再粉砕して、実施例1~7のエポキシ樹脂組成物をそれぞれ製造した。下記表1に記載された各成分の含有量は、エポキシ樹脂組成物の総重量を基準とする重量%を意味する。
【0043】
【0044】
[比較例1~8]
下記表2に記載された組成によることを除いて、実施例と同じ方法で比較例1~8のエポキシ樹脂組成物をそれぞれ製造した。下記表2に記載された各成分の含有量は、エポキシ樹脂組成物の総重量を基準とする重量%を意味する。
【0045】
【表2】
エポキシ樹脂1:ビフェニル型エポキシ樹脂(YX-4000K、日本エポキシ社)
エポキシ樹脂2:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(HP-7200、DIC社)
硬化剤1:フェノールアラルキル樹脂(MEH-7800SS、メイワ社)
硬化剤2:フェノールノボラック樹脂(KPH-F2001、コーロン社)
充填剤:非定型シリカ(DQ-1150、Novoray社)
硬化促進剤:アミン系触媒(KPH-MN2001、コーロン社)
添加剤(耐クラッキング剤)1-1:セリウムオキシド(Rhodia社、平均粒径0.2μm)
添加剤(耐クラッキング剤)1-2:セリウムオキシド(Rhodia社、平均粒径2.2μm)
添加剤(耐クラッキング剤)1-3:セリウムオキシド(Rhodia社、平均粒径0.05μm)
添加剤(耐クラッキング剤)1-4:セリウムオキシド(Rhodia社、平均粒径1.3μm)
添加剤(離型剤)2-1:非極性ポリエチレンワックス(SANWAX 161-P、SANYO CHEMICAL社)
添加剤(離型剤)2-2:カルナウバワックス(C-Wax、KAHL社)
添加剤(離型剤)2-3:極性ポリエチレンワックス(Wax 2020、Baker Petrolite社)
添加剤(カップリング剤)3-1:3-(N-フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(Y-9669、モメンティブ社)
添加剤(カップリング剤)3-2:3-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル-ジメトキシシラン(KBM-602、信越社)
添加剤(カップリング剤)3-3:3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(KBM-803、信越社)
添加剤(難燃剤)4:水酸化アルミニウム(AlO(OH)、ナバルテック社)
添加剤(着色剤)5:カーボンブラック(MA-600、三菱化学社)
【0046】
[物性評価]
各実施例および比較例によって製造された塗料組成物の物性を下記のように測定した後、その結果を下記表3および表4に示した。
【0047】
スパイラルフロー(spiral flow)
各実施例および比較例によって製造されたエポキシ樹脂組成物をスパイラルフローモールドを用いて加熱移送成形機(圧力70kg/cm2、温度175℃、硬化時間120秒)でモールディングした後、製造物の流れ性を測定した。
【0048】
ゲル化時間(gelation time)
各実施例および比較例によって製造されたエポキシ樹脂組成物を少量ゲルタイマーに広くてかつ均一に塗布して、組成物のゲル化時間を測定した。
【0049】
耐トラッキング(CTI)
各実施例および比較例によって製造されたエポキシ樹脂組成物を使って厚さ3mmの試験片をモールディングしてPMC(175℃、4時間)後、CTI テスター(Tester)を使って耐トラッキング性を測定した。
【0050】
誘電率(Dk)
各実施例および比較例によって製造されたエポキシ樹脂組成物を使って厚さ2mmの円形試験片をモールディングしてPMC(175℃、4時間)後、誘電率測定装置を使って測定した。
【0051】
剥離
各実施例および比較例によって製造されたエポキシ樹脂組成物をパッケージにモールディングしてPMC(175℃、4時間)後、恒温恒湿装置を用いて30℃/60%RH条件で192時間の間吸湿させた。以後、260℃で3回リフローを実施してパッケージ内部の銅、ニッケルおよび銀面(Plating)とエポキシ樹脂組成物の境界面に剥離が発生したパッケージ数を測定した。境界面剥離の解析は、超音波顕微鏡を用いた。
【0052】
【0053】
【0054】
上記表3および表4の結果から、本発明による実施例1~7のエポキシ樹脂組成物は、比較例1~8のエポキシ樹脂組成物と比べて全般的に物性に優れていることを確認できた。特に実施例1~7のエポキシ樹脂組成物は、耐トラッキング性に優れ、これを使って密封された半導体素子は、高い信頼性を確保できることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、優れた耐トラッキング性を示す。本発明によるエポキシ樹脂組成物を適用して封止された半導体素子は、高い信頼性を確保でき、特にインバータパワーモジュールパッケージに適用時にも耐トラッキング性を向上させることができる。
【国際調査報告】