(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】携帯型保持チャンバ
(51)【国際特許分類】
A61M 15/00 20060101AFI20221007BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504262
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(85)【翻訳文提出日】2022-01-21
(86)【国際出願番号】 IB2020056754
(87)【国際公開番号】W WO2021014314
(87)【国際公開日】2021-01-28
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520479489
【氏名又は名称】トゥルーデル メディカル インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】ベンダー サム
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー アダム
(72)【発明者】
【氏名】ナットール マイケル
(57)【要約】
計量投与型吸入器から一回分投与量の薬物を何回も送り出すことができる保持チャンバを含む薬物送出システム。保持チャンバは、出口開口部とのユーザインターフェースを備えた第1のハウジング構成部品および第1のハウジング構成部品の出口開口部から間隔を置いて位置する入口開口部を備えた第2のハウジング構成部品を有する。第1のハウジング構成部品は、ピボット軸線回りに第2のハウジング構成部品に回動可能に連結されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持チャンバであって、
出口開口部を有するユーザインターフェースを備えた第1のハウジグ構成部品と、
前記第1のハウジング構成部品の前記出口開口部から間隔を置いて位置している入口開口部を有する第2のハウジグ構成部品とを有し、前記第1のハウジング構成部品は、ピボット軸線回りに前記第2のハウジング構成部品に回動可能に連結され、前記第1のハウジング構成部品と前記第2のハウジング構成部品は、前記第1および前記第2のハウジング構成部品が密閉内部空間を画定する閉鎖形態と、前記第1および前記第2のハウジング構成部品が前記内部空間と連通した接近開口部を画定する開放形態との間で前記ピボット軸線回りに互いに対して回動可能である、保持チャンバ。
【請求項2】
メンブレンをさらに有し、前記メンブレンは、前記入口開口部を閉鎖する第1の形態と、前記メンブレンの少なくとも一部が前記入口開口部を画定する第2の形態との間で動くことができる、請求項1記載の保持チャンバ。
【請求項3】
前記メンブレンは、複数のスリットによって離隔された複数の可撓性区分を有し、前記可撓性区分は、前記メンブレンが前記第1の形態と前記第2の形態との間で動いているときに互いに対して動くことができる、請求項2記載の保持チャンバ。
【請求項4】
前記第2の形態において前記可撓性区分によって画定される前記入口開口部は、第1の面積を定め、前記スリットは、第2の面積を定め、前記第2の面積は、前記第1の面積よりも小さい、請求項3記載の保持チャンバ。
【請求項5】
前記スリットのうちの少なくとも幾つかの末端部のところに位置決めされた逃げ開口部をさらに有する、請求項3記載の保持チャンバ。
【請求項6】
前記複数の可撓性区分は、三角形の形をした一対の端可撓性区分を含む少なくとも4つの可撓性区分から成る、請求項3記載の保持チャンバ。
【請求項7】
前記少なくとも4つの可撓性区分は、6つの可撓性区分から成る、請求項6記載の保持チャンバ。
【請求項8】
前記6つの可撓性区分のうちの4つの可撓性区分は、前記端可撓性区分相互間に配置され、前記4つの可撓性区分相互間には十字形の開口部が形成されている、請求項7記載の保持チャンバ。
【請求項9】
前記出口開口部を覆って配置された吸入弁をさらに有し、前記吸入弁は、前記吸入弁が前記出口開口部を閉鎖する閉鎖形態と、前記吸入弁の少なくとも一部分が前記出口開口部から遠ざけられて吸入中に前記出口開口部を通る空気の流れを可能にする開放形態との間で動くことができる、請求項1記載の保持チャンバ。
【請求項10】
前記ユーザインターフェースに隣接して配置された呼出弁をさらに有し、前記呼出弁は、前記呼出弁が吸入中に前記ユーザインターフェースと前記周囲環境とを連通させる排気出口を閉じる閉鎖形態と、前記呼出弁の少なくとも一部分が呼出中に前記排気出口を通って前記周囲環境に至る空気の流れを可能にする開放形態との間で動くことができる、請求項8記載の保持チャンバ。
【請求項11】
前記第1および/または前記第2のハウジング構成部品のうちの少なくとも一方は、半透明または透明である、請求項1記載の保持チャンバ。
【請求項12】
前記第1および/または前記第2のハウジング構成部品のうちの少なくとも一方は、不透明である、請求項11記載の保持チャンバ。
【請求項13】
前記第1および/または前記第2のハウジング構成部品のうちの少なくとも一方は、夜光性である、請求項1記載の保持チャンバ。
【請求項14】
前記第1のハウジング構成部品に可動的に連結されたキャップをさらに有し、前記キャップは、前記キャップが前記第2のハウジング構成部品に係合して前記第1および前記第2のハウジング構成部品を前記閉鎖形態に保つ閉鎖位置と、前記キャップが前記第2のハウジング構成部品から係合解除されて前記第1および前記第2のハウジング構成部品が前記開放形態に回動可能であるようになっている開放位置との間で動くことができる、請求項1記載の保持チャンバ。
【請求項15】
前記キャップは、前記開放位置に付勢するばねをさらに有する、請求項14記載の保持チャンバ。
【請求項16】
前記キャップおよび前記第1のハウジング構成部品は、前記キャップを前記閉鎖位置に維持する解除可能なロック特徴部を有する、請求項14記載の保持チャンバ。
【請求項17】
前記第1および前記第2のハウジグ構成部品のうちの少なくとも一方または両方は、前記内部空間内に配置された係合部材を有し、前記係合部材は、前記内部空間内に配置された薬物デリバリ器具に係合するようになっており、前記内部空間は、前記第1および前記第2のハウジング構成部品が前記閉鎖形態にあるときに前記薬物デリバリ器具を受け入れるよう寸法決めされている、請求項1記載の保持チャンバ。
【請求項18】
前記係合部材は、前記第1のハウジグ構成部品に設けられた第1のリブおよび前記第2のハウジング構成部品に設けられた第2のリブを有し、前記第1および前記第2のリブは、前記薬物デリバリ器具に係合するよう形作られるとともに寸法決めされている、請求項1記載の保持チャンバ。
【請求項19】
保持チャンバであって、
出口開口部を有するユーザインターフェースを備えた第1のハウジグ構成部品を有し、
前記第1のハウジング構成部品の前記出口開口部から間隔を置いて位置している入口開口部を有する第2のハウジグ構成部品を有し、前記第1のハウジング構成部品は、ピボット軸線回りに前記第2のハウジング構成部品に回動可能に連結され、前記第1のハウジング構成部品と前記第2のハウジング構成部品は、前記第1および前記第2のハウジング構成部品が密閉内部空間を画定する閉鎖形態と、前記第1および前記第2のハウジング構成部品が互いに間隔を置いて配置されるとともに前記内部空間と連通した接近開口部を画定する開放形態との間で前記ピボット軸線回りに互いに対して回動可能であり、
前記第1および前記第2のハウジング構成部品のうちの一方に可動的に連結されたキャップを有し、前記キャップは、前記キャップが前記第1および前記第2のハウジグ構成部品のうちの他方に係合して前記第1および前記第2のハウジング構成部品を前記閉鎖形態に維持する閉鎖位置と、前記キャップが前記第1および前記第2のハウジング構成部品のうちの他方から係合解除されて前記第1および前記第2のハウジング構成部品が前記開放形態まで回動可能であるようになっている開放位置との間で動くことができる、保持チャンバ。
【請求項20】
前記キャップを前記開放位置に付勢するばねをさらに有する、請求項19記載の保持チャンバ。
【請求項21】
メンブレンをさらに有し、前記メンブレンは、前記入口開口部を閉鎖する第1の形態と、前記メンブレンが前記入口開口部を画定する第2の形態との間で動くことができる、請求項19記載の保持チャンバ。
【請求項22】
前記メンブレンは、複数のスリットによって離隔された複数の可撓性区分を有し、前記可撓性区分は、前記メンブレンが前記第1の形態と前記第2の形態との間で動いているときに互いに対して動くことができる、請求項21記載の保持チャンバ。
【請求項23】
前記第2の形態において前記可撓性区分によって画定される前記入口開口部は、第1の面積を定め、前記スリットは、第2の面積を定め、前記第2の面積は、前記第1の面積よりも小さい、請求項22記載の保持チャンバ。
【請求項24】
前記スリットのうちの少なくとも幾つかの末端部のところに位置決めされた逃げ開口部をさらに有する、請求項22記載の保持チャンバ。
【請求項25】
前記複数の可撓性区分は、三角形の形をした一対の端可撓性区分を含む少なくとも4つの可撓性区分から成る、請求項22記載の保持チャンバ。
【請求項26】
前記少なくとも4つの可撓性区分は、6つの可撓性区分から成る、請求項25記載の保持チャンバ。
【請求項27】
前記6つの可撓性区分のうちの4つの可撓性区分は、前記端可撓性区分相互間に配置され、前記4つの可撓性区分相互間には十字形の開口部が形成されている、請求項26記載の保持チャンバ。
【請求項28】
保持チャンバ用の封止可能なバックピースであって、
複数の可撓性区分を含む可撓性メンブレンを有し、前記複数の可撓性区分は、前記可撓性区分の自由縁を定める複数のスリットによって互いに隔てられ、前記可撓性区分は、隣り合う可撓性区分の前記自由縁が互いに近接して位置決めされる閉鎖形態と、前記可撓性区分が入口開口部を形成するよう変形する開放形態との間で互いに対して動くことができ、前記スリットは、前記閉鎖形態において前記可撓性メンブレンを貫通する唯一の開口部を定め、前記可撓性区分のうちの少なくとも2つの前記自由縁は、前記可撓性区分が前記閉鎖形態にあるときに互いに間隔を置いて位置して相互に交差しない、封止可能バックピース。
【請求項29】
前記開放形態において前記可撓性区分によって形成された前記入口開口部は、第1の面積を定め、前記スリットは、第2の面積を定め、前記第2の面積は、前記第1の面積よりも小さい、請求項28記載の封止可能バックピース。
【請求項30】
前記スリットのうちの少なくとも幾つかの末端部のところに位置決めされた逃げ開口部をさらに有する、請求項29記載の封止可能バックピース。
【請求項31】
前記複数の可撓性区分は、三角形の形をした一対の端可撓性区分を含む少なくとも4つの可撓性区分から成る、請求項28記載の封止可能バックピース。
【請求項32】
前記少なくとも4つの可撓性区分は、6つの可撓性区分から成る、請求項31記載の封止可能バックピース。
【請求項33】
前記6つの可撓性区分のうちの4つの可撓性区分は、前記端可撓性区分相互間に配置され、前記4つの可撓性区分相互間には十字形の開口部が形成されている、請求項28記載の封止可能バックピース。
【請求項34】
薬物デリバリシステムの使用方法であって、
第1のハウジング構成部品を第2のハウジング構成部品に対して閉鎖形態から開放形態に動かすステップを含み、前記第1のハウジング構成部品は、出口開口部を備えたユーザインターフェースを有し、前記第2のハウジング構成部品は、前記第1のハウジング構成部品の前記出口開口部から間隔を置いて位置する入口開口部を有し、
前記第1のハウジング構成部品と前記第2のハウジング構成部品との間に設けられた加圧式計量投与型吸入器を前記開放形態にある前記第1のハウジング構成部品と前記第2のハウジング構成部品との間に形成された接近開口部を通して取り出すステップを含み、
前記第1のハウジング構成部品と前記第2のハウジング構成部品を前記開放形態から前記閉鎖形態に動かし、それにより密閉された内部チャンバを形成するステップを含み、
前記吸入器の一部分を前記入口開口部に通して挿入するステップを含み、
薬物を前記吸入器から、前記閉鎖形態に配置された前記第1および前記第2のハウジング構成部品によって画定されている前記内部チャンバ中に分注するステップを含む、方法。
【請求項35】
前記第1および前記第2のハウジング構成部品のうちの一方に連結されたキャップを閉鎖位置から動かすステップをさらに含み、前記キャップは、前記第1および前記第2のハウジング構成部品のうちの他方に係合し、それにより前記閉鎖形態から前記開放形態への前記第2のハウジグ構成部品に対する前記第1のハウジグ構成部品の動きを阻止し、前記キャップは、前記第1および前記第2のハウジング構成部品のうちの他方から係合解除される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記キャップをばねで前記開放位置に付勢するステップをさらに含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記吸入器の一部分を前記入口開口部に通して挿入する前記ステップは、前記一部分を封止可能なメンブレンに通して挿入し、それにより前記メンブレンを前記メンブレンが前記入口開口部を閉鎖する第1の形態から前記一部分が前記入口開口部に通して挿入される第2の形態に動かすステップを含む、請求項34記載の方法。
【請求項38】
前記メンブレンは、複数のスリットによって隔てられた複数の可撓性区分を含み、前記可撓性区分は、前記メンブレンが前記第1の形態と前記第2の形態との間で動いているときに互いに対して動くことができる、請求項35記載の方法。
【請求項39】
前記第2の形態において前記可撓性区分によって形成された前記入口開口部は、第1の面積を定め、前記スリットは、第2の面積を定め、前記第2の面積は、前記第1の面積よりも小さい、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記スリットのうちの少なくとも幾つかの末端部のところに位置決めされた逃げ開口部をさらに有する、請求項38記載の方法。
【請求項41】
前記複数の可撓性区分は、三角形の形をした一対の端可撓性区分を含む少なくとも4つの可撓性区分から成る、請求項38記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも4つの可撓性区分は、6つの可撓性区分から成る、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記6つの可撓性区分のうちの4つの可撓性区分は、前記端可撓性区分相互間に配置され、前記4つの可撓性区分相互間には十字形の開口部が形成されている、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記第1および/または前記第2のハウジング構成部品のうちの少なくとも一方は、半透明または透明である、請求項34記載の方法。
【請求項45】
前記第1および/または前記第2のハウジング構成部品のうちの他方は、不透明である、請求項44記載の方法。
【請求項46】
解除可能なロック特徴部により前記キャップを前記閉鎖位置に維持するステップをさらに有する、請求項35記載の方法。
【請求項47】
前記吸入器が前記閉鎖形態において前記第1のハウジグ構成部品と前記第2のハウジグ構成部品との間に配置されたときに前記加圧式計量投与型吸入器を係合部材に係合させるステップをさらに含む、請求項34記載の方法。
【請求項48】
前記係合部材は、前記第1のハウジグ構成部品に設けられた第1のリブおよび前記第2のハウジグ構成部品に設けられた第2のリブを有し、前記吸入器を係合させる前記ステップは、前記吸入器を前記第1および前記第2のリブに係合させるステップを含む、請求項47記載の方法。
【請求項49】
保持チャンバであって、
出口開口部を備えたユーザインターフェース端部分および外周縁を備えた楕円形の弁座を有するハウジング構成部品と、
前記弁座の前記外周縁と重なり合う内周縁を備えた中央の楕円形開口部を有する吸入弁とを有し、前記吸入弁は、前記内周縁の少なくとも一部分が前記外周縁から間隔を置いて位置する吸入形態と前記内周縁が前記外周縁に係合する呼出形態との間で動くことができる、保持チャンバ。
【請求項50】
前記弁座は、第1の弁座を含み、前記端部分は、第2の弁座をさらに含み、前記吸入弁は、前記第2の弁座と重なり合う外周縁をさらに有し、前記外周縁は、前記外周縁の少なくとも一部分が前記第2の弁座から間隔を置いて位置する呼出形態と、前記外周縁が前記第2の弁座に係合する吸入形態との間で動くことができる、請求項49記載の保持チャンバ。
【請求項51】
前記外周縁は、一対の互いに間隔を置いて位置するフラップを有する、請求項50記載の保持チャンバ。
【請求項52】
前記吸入弁は、前記内周縁と前記外周縁との間に配置されたベース部分を有し、前記ベース部分は、前記端部分の第1の構成部品と第2の構成部品との間にクランプされる、請求項50記載の保持チャンバ。
【請求項53】
前記入口開口部と前記出口開口部は、前記第1および前記第2のハウジング構成部品が前記閉鎖形態にあるときに長手方向軸線と直交する、請求項1記載の保持チャンバ。
【請求項54】
前記入口開口部と前記出口開口部は、前記第1および前記第2のハウジング構成部品が前記閉鎖形態にあるときに長手方向軸線に沿って実質的に整列する、請求項1記載の保持チャンバ。
【請求項55】
前記入口開口部と前記出口開口部は、前記第1および前記第2のハウジング構成部品が前記閉鎖形態にあるときに長手方向軸線と直交する、請求項19記載の保持チャンバ。
【請求項56】
前記入口開口部と前記出口開口部は、前記第1および前記第2のハウジング構成部品が前記閉鎖形態にあるときに長手方向軸線に沿って実質的に整列する、請求項19記載の保持チャンバ。
【請求項57】
保持チャンバであって、
出口開口部を有するユーザインターフェースを備えた第1のハウジグ構成部品を有し、
前記第1のハウジング構成部品の前記出口開口部から間隔を置いて位置している入口開口部を有する第2のハウジグ構成部品を有し、前記第1のハウジング構成部品は、ピボット軸線回りに前記第2のハウジング構成部品に回動可能に連結され、前記第1のハウジング構成部品と前記第2のハウジング構成部品は、閉鎖形態と開放形態との間で前記ピボット軸線回りに互いに対して回動可能であり、
第1のラッチを有し、前記第1のラッチは、前記第1のラッチが前記第1および前記第2のハウジング構成部品を前記閉鎖形態に固定するラッチ止め形態と、前記第1および前記第2のハウジング構成部品が前記開放形態まで動くことができるラッチ外し形態との間で動くことができ、
前記第1および前記第2のハウジング構成部品のうちの一方に可動的に連結されたキャップを有し、前記キャップは、前記キャップが前記第1および前記第2のハウジグ構成部品のうちの他方に係合して前記第1および前記第2のハウジング構成部品を前記閉鎖形態に維持する閉鎖位置と、前記第1および前記第2のハウジング構成部品が前記開放形態まで回動可能であるようになっている開放位置との間で動くことができ、
第2のラッチを有し、前記第2のラッチは、前記第2のラッチが前記閉鎖位置において前記キャップを前記第1および前記第2のハウジング構成部品のうちの他方に固定するラッチ止め形態と、前記キャップが前記開放位置まで動くことができるラッチ外し形態との間で動くことができ、前記第1のラッチは、前記第2のラッチが前記ラッチ外し形態にあるときにのみ前記ラッチ止め形態から前記ラッチ外し形態に動くことができる、保持チャンバ。
【請求項58】
請求項1~27および請求項49~57のうちいずれか一に記載の前記保持チャンバを有する薬物デリバリ器具であって、薬物が前記内部空間内に入っている加圧式計量投与型吸入器をさらに有し、前記加圧式計量投与型吸入器は、前記第1および前記第2のハウジング構成部品が前記閉鎖形態にあるときに前記保持チャンバと係合し、前記加圧式計量投与型吸入器は、前記第1および前記第2のハウジング構成部品が前記開放形態にあるときに前記接近開口部を通って動くことができ、前記加圧式計量投与型吸入器の少なくとも一部分は、前記第2のハウジング構成部品の前記入口開口部に通して挿入可能である、薬物デリバリ器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、保持チャンバに関し、特に、関連の加圧式計量投与型吸入器(metered dose inhaler:MDI)を収納して持ち運ぶ携帯型弁付き保持チャンバ(valved holding chamber:VHC)に関する。
【背景技術】
【0002】
VHCおよびMDIシステムは、典型的には、例えば喘息、COPDおよび嚢胞性線維症のような症状を治療するために用いられる。MDIだけの使用は、喘息増悪中に効果的な軽減を最大限に高めることはなくまたはもたらさない場合があり、患者は、MDI、特に救急用吸入器が常時働いているとの確信を持てない場合がある。VHCとMDIの使用の組み合わせによりMDIの有効性が向上するが、ユーザは、大抵の市販のVHCのサイズに起因してVHCを持ち運んではいない場合が多い。それと同時に、VHCの容積および/または長さがVHCのエーロゾル出力と相関関係があり、このことは、VHCの形態が適正な投薬に適したままでなければならない。
【0003】
加うるに、多くの市販のVHCは、MDIとは別個に保管され、それによりユーザは、2つのデリバリ器具を持ち運ぶとともにこれらのありかを把握しておく必要があるが、このことは、例えば喘息発作を生じたときに容易なことではない場合がある。MDIおよびVHCのありかを突き止めることは、夜間または光がわずかしかない環境、特にMDIまたはVHCがバッグの中に入れられているような状況では、さらにいっそう困難な場合がある。ヘルスケア提供者によるVHCの処方ならびに患者によるコンプライアンスは、特にVHCが使用間でMDIを保管することができる場合、比較的小型かつ携帯可能なVHCの利便性につれて高まる可能性が高い。
【発明の概要】
【0004】
一観点では、保持チャンバの一実施形態は、出口開口部を有するユーザインターフェースを備えた第1のハウジグ構成部品と、第1のハウジング構成部品の出口開口部から間隔を置いて位置している入口開口部を有する第2のハウジグ構成部品とを有する。第1のハウジング構成部品は、ピボット軸線回りに第2のハウジング構成部品に回動可能に連結されている。第1のハウジング構成部品と第2のハウジング構成部品は、第1および第2のハウジング構成部品が密閉内部空間を画定する閉鎖形態と、第1および第2のハウジング構成部品が内部空間と連通した接近開口部を画定する開放形態との間でピボット軸線回りに互いに対して回動可能である。
【0005】
別の観点では、保持チャンバの一実施形態は、第1のハウジング構成部品に可動的に連結されたキャップをさらに有し、キャップは、キャップが第2のハウジング構成部品に係合して第1および第2のハウジング構成部品を閉鎖形態に保つ閉鎖位置と、キャップが第2のハウジング構成部品から係合解除されて第1および第2のハウジング構成部品が開放形態に回動可能であるようになっている開放位置との間で動くことができる。
【0006】
さらに別の観点では、保持チャンバ用の封止可能なバックピースの一実施形態は、複数の可撓性区分を含む可撓性メンブレンを有し、複数の可撓性区分は、可撓性区分の自由縁を定める複数のスリットによって互いに隔てられ、可撓性区分は、隣り合う可撓性区分の自由縁が互いに近接して位置決めされる閉鎖形態と、可撓性区分が入口開口部を形成するよう変形する開放形態との間で互いに対して動くことができ、スリットは、閉鎖形態において可撓性メンブレンを貫通する唯一の開口部を定め、可撓性区分のうちの少なくとも2つの自由縁は、可撓性区分が閉鎖形態にあるときに互いに間隔を置いて位置して相互に交差しない。
【0007】
さらに別の観点では、薬物デリバリシステムを使用する方法の一実施形態は、第1のハウジング構成部品を第2のハウジング構成部品に対して閉鎖形態から開放形態に動かすステップを含み、第1のハウジング構成部品は、出口開口部を備えたユーザインターフェースを有し、第2のハウジング構成部品は、第1のハウジング構成部品の出口開口部から間隔を置いて位置する入口開口部を有する。この方法は、第1のハウジング構成部品と第2のハウジング構成部品との間に設けられた加圧式計量投与型吸入器を開放形態にある第1のハウジング構成部品と第2のハウジング構成部品との間に形成された接近開口部を通して取り出すステップと、第1のハウジング構成部品と第2のハウジング構成部品を開放形態から閉鎖形態に動かし、それにより密閉された内部チャンバを形成するステップと、吸入器の一部分を入口開口部に通して挿入するステップと、薬物を吸入器から、閉鎖形態に配置された第1および第2のハウジング構成部品によって画定されている内部チャンバ中に分注するステップとをさらに含む。
【0008】
さらに別の観点では、保持チャンバの一実施形態は、出口開口部を備えたユーザインターフェース端部分および外周縁を備えた楕円形の弁座を有するハウジング構成部品を有する。吸入弁が弁座の外周縁と重なり合う内周縁を備えた中央の楕円形開口部を有する。吸入弁は、内周縁の少なくとも一部分が外周縁から間隔を置いて位置する吸入形態と内周縁が外周縁に係合する呼出形態との間で動くことができる。
【0009】
種々の観点および種々の実施形態は、従来型保持チャンバと比較して顕著な利点を奏する。例えば、保持チャンバは、MDIを保護する保管位置で収容することができ、本発明はこれには限定されない。保持チャンバは、MDIを完全に包み込んでこれをきっちりとしてがたつきのない配置状態に保持する。一実施形態では、保持チャンバは、耐水性である。同時に、保持チャンバは、MDIへの接近を可能にするよう迅速かつ容易に開放可能であり、患者は、MDIを内部空間から迅速に取り出して使用のためにバックピースに通して挿入することができる。キャップは、保持チャンバを閉鎖形態に維持し、例えば不用意に落下した場合にその不用意な開放を阻止し、その間もまた、マウスピース入口開口部を覆って保持チャンバの内部空間の汚染を阻止する。
【0010】
上記段落は、一般的な導入内容として提供されており、以下の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものではない。種々の好ましい実施形態は、さらなる利点と一緒に、添付の図面と関連して行われる以下の詳細な説明を参照すると最もよく理解されよう。
【0011】
図は、薬物デリバリ(運搬)システム、保持チャンバならびにその使用方法および組立方法の種々の実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】キャップが閉鎖位置にある状態の閉鎖保管形態にある弁付き保持チャンバの一実施形態の側面図である。
【
図2】キャップが開放位置にある状態の閉鎖形態にある弁付き保持チャンバの側面図である。
【
図3】開放形態にある弁付き保持チャンバの側面図である。
【
図4】キャップが閉鎖位置にありかつ計量投与型吸入器が弁付き保持チャンバの内部に配置された状態の閉鎖保管形態にある弁付き保持チャンバの側面図である。
【
図5】計量投与型吸入器が弁付き保持チャンバの入口開口部に結合された状態の閉鎖使用形態にある弁付き保持チャンバの側面図である。
【
図6】キャップが開放位置にある状態の閉鎖保管形態にある弁付き保持チャンバの端面図である。
【
図7】キャップが開放位置にある状態の閉鎖保管形態にある弁付き保持チャンバの下から見た斜視図である。
【
図8】キャップが開放位置にある状態の閉鎖保管形態にある弁付き保持チャンバの平面図である。
【
図9A】第1のハウジング構成部品の斜視図である。
【
図9B】第1のハウジング構成部品の側面図である。
【
図10】キャップが閉鎖位置にある状態のユーザインターフェースの側面図である。
【
図11】キャップが開放位置にある状態のユーザインターフェースの斜視図である。
【
図12】キャップが開放位置にある状態のユーザインターフェースの側面図である。
【
図13】第2のハウジング構成部品の斜視図である。
【
図14A】第2のハウジング構成部品の端面図である。
【
図14B】第2のハウジング構成部品の斜視図である。
【
図16】キャップが開放位置にありかつ計量投与型吸入器が保持チャンバの内部空間内に設けられた状態の開放形態にある弁付き保持チャンバの側面図である。
【
図17】弁付き保持チャンバの第1の分解組立斜視図である。
【
図18】弁付き保持チャンバの第2の分解組立斜視図である。
【
図19】弁付き保持チャンバの分解組立側面図である。
【
図20】弁付き保持チャンバ用の封止可能バックピースの外から見た斜視図である。
【
図21】封止可能バックペースの内側から見た斜視図である。
【
図23】
図22の23‐23線に沿って取ったバックピースの断面図である。
【
図24】
図22の24‐24線に沿って取ったバックピースの断面図である。
【
図26A】閉鎖位置にあるバックピースの内部図である。
【
図26B】開放形態にあるバックピースの内部図である。
【
図27】バックピースの内側から見た斜視図である。
【
図28】吸入および呼出弁を示すユーザインターフェースの断面図である。
【
図31】弁付き保持チャンバの種々の実施形態の流れ図である。
【
図32】弁付き保持チャンバの種々の実施形態の別の流れ図である。
【
図33】弁付き保持チャンバの種々の実施形態の別の流れ図である。
【
図34】弁付き保持チャンバの種々の実施形態の別の流れ図である。
【
図35】弁付き保持チャンバの種々の実施形態の別の流れ図である。
【
図36】弁付き保持チャンバの種々の実施形態の別の流れ図である。
【
図37】弁付き保持チャンバの種々の実施形態の別の流れ図である。
【
図38】弁付き保持チャンバの種々の実施形態の別の流れ図である。
【
図39】弁付き保持チャンバの種々の実施形態の別の流れ図である。
【
図40】キャップと第1および第2のハウジング構成部品との間のインターフェース(ユーザインターフェースを含む)を示す拡大部分断面図である。
【
図41】ユーザインターフェースと閉鎖位置にあるキャップとのインターフェースを示す図である。
【
図42】閉鎖形態にあるキャップの部分端面図である。
【
図43】キャップが閉鎖位置にある状態の弁付き保持チャンバの平面図である。
【
図44】第1のハウジング構成部品と第2のハウジング構成部品との間のラッチインターフェースの拡大部分断面図である。
【
図45】キャップが開放位置にある状態の弁付き保持チャンバの部分斜視図である。
【
図46】キャップが開放位置にある状態の弁付き保持チャンバの部分平面図である。
【
図47】
図43の47‐47線に沿って取った保管状態のMDIを備えた弁付き保持チャンバの断面図である。
【
図48】
図43の48‐48線に沿って取った保管状態のMDIを備えた弁付き保持チャンバの断面図である。
【
図49】別のバックピースを備えた弁付き保持チャンバの一部分の断面図である。
【
図50】別のバックピースを備えた弁付き保持チャンバの一部分の断面図である。
【
図51】別のバックピースを備えた弁付き保持チャンバの一部分の断面図である。
【
図52】別のバックピースを備えた弁付き保持チャンバの一部分の断面図である。
【
図53】別のバックピースを備えた弁付き保持チャンバの一部分の断面図である。
【
図54】別のバックピースを備えた弁付き保持チャンバの一部分の断面図である。
【
図55】別のバックピースを備えた弁付き保持チャンバの一部分の断面図である。
【
図56】弁付き保持チャンバの開放シーケンスを示す図である。
【
図57A】がたつき防止特徴部の別の実施形態を示す図である。
【
図57B】がたつき防止特徴部の別の実施形態を示す図である。
【
図58】がたつき防止特徴部の別の実施形態を示す図である。
【
図59】がたつき防止特徴部の別の実施形態を示す図である。
【
図60】がたつき防止特徴部の別の実施形態を示す図である。
【
図61】がたつき防止特徴部の別の実施形態を示す図である。
【
図62】がたつき防止特徴部の別の実施形態を示す図である。
【
図63】サプレッサ特徴部を備えた弁付き保持チャンバの一実施形態の部分断面図である。
【
図64】向流特徴部を備えた保持チャンバの一実施形態の部分断面図である。
【
図65】弁なし保持チャンバの一実施形態の部分断面図である。
【
図68】バックピースの一実施形態の斜視図である。
【
図69】保持チャンバ内に配置された加圧式計量投与型吸入器の部分内側図である。
【
図70】保持チャンバの一実施形態の組立プロセスを示す図である。
【
図71】保持チャンバに固定されたがたつき防止構成部品の部分断面図である。
【
図72】
図71の72‐72線に沿って取った保持チャンバに固定されているがたつき防止構成部品の断面図である。
【
図73】指示標識が被着された保持チャンバの部分斜視図である。
【
図74A】保持チャンバに装着されたがたつき防止構成部品の前から見た斜視図である。
【
図74B】保持チャンバに装着されたがたつき防止構成部品の前から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
理解されるべきこととして、本明細書で用いられる「複数」という用語は、2つ以上を意味している。「結合され」という用語は、直接的に結合されまたは間接的に例えば介在する部材に連結されまたはこれと係合することを意味し、この係合部が固定されまたは永続的である必要はなく、ただし、係合部を固定しても良くまたは永続的であっても良く(あるいは、一体であっても良く)、また係合部は、機械的連結部と電気的接続部の両方を含む。本明細書で用いられる「第1の」、「第2の」などは、そのように指示された特定の構成部品に割り当てられることが意味されておらず、これとは異なり、かかる構成部品を指定された番号順に単に言及しており、このことは、「第1の」と指示されている構成部品は、これに言及する順序に応じて、後で「第2の」かかる構成部品である場合がある。また、理解されるべきこととして、「第1の」および「第2の」という表示は、必ずしも、そのように指示された2つの構成部品または値が互いに異なることを意味しているわけではなく、このことは、例えば、第1の構成部品が第2の構成部品と同一の場合があることを意味し、各々は単に、別々のしかし同一の構成部品に当てはまる。「長手方向」という用語は、長さ方向2または軸線を意味し、かつ保持チャンバの流れ方向に沿って延びている。「側方」という用語は、長手方向に垂直な横方向4または軸線を意味している。本明細書で用いられる「上流側」および「下流側」は、呼吸サイクルの吸入(吸息)および呼出(呼息)シーケンス中におけるガスの流れ方向を意味している。本明細書で用いられる「排気」と「呼出」は、互いに区別なく用いられる。
【0014】
図1~
図8を参照すると、保持チャンバ6が第1のハウジング構成部品8および第2のハウジング構成部品10を有している。一実施形態では、第1のハウジング構成部品は、本体部分12およびこの本体部分に結合されたユーザインターフェース部分14を有する。理解されるべきこととして、本体部分とユーザインターフェース部分は、例えば保持チャンバが吸入弁なしで構成される場合には互いに一体的に形成されるのが良い。本体部分は、出口開口部18を備えた端壁16、一対の側壁20および側壁を互いに連結する脊柱状の壁22を有し、側壁および脊柱状壁は、全体としてU字形断面を有するとともにチャンバ壁および内部空間24の一部分を画定している。端壁16は、凸状外面26および凹状内面28を備えた全体としてドームの形をしている。肩30または封止棚状突起が端壁とチャンバ壁との間のインターフェースのところに形成されている。複数のタブ32が端壁から延びている。
【0015】
出口開口部18は、横方向4において全体として保護長い中央バッフル34を包囲し、この中央バッフルは、種々の実施形態では、楕円または長円の形をしている。これと合致する形状、例えば楕円形または長円形の弁座36がユーザインターフェースに向かって下方に延びるバッフルの周縁またはリブによって形成されている。複数のスポーク38または連結部材がバッフルを端壁に連結しており、かかるスポーク相互間には出口開口部18が形成され、ただし、「出口開口部」という語句は、単一の開口部または複数の開口部を含む場合があると了解されたい。封止棚状突起がユーザインターフェースに向かって下方に向いた状態で出口開口部の外周周りに形成されている。長手方向に延びる側壁部分42が封止棚状突起から延びている。
【0016】
ユーザインターフェース部分14は、本体部分12の端壁に嵌まるよう寸法決めされた空洞47を画定する全体としてドーム形の端壁44を有する。ユーザインターフェースは、長手方向軸線に沿って出口開口部18と整列した出口開口部46を有し、この出口開口部は、リップ部分を備えたマウスピース50によって画定され、このマウスピースは、ドーム形壁からわずかに突き出るのが良い。ユーザインターフェース部分は、タブをスナップ嵌め係合により本体部分の端壁に係合させるよう位置決めされた複数の開口部52を有する。理解されるべきこととして、もしそのように構成されていなければ取り付け特徴部と呼ばれるタブおよび開口部は、逆にされて本体部分およびユーザインターフェースのうちの他方上に位置決めされても良く、あるいは、ユーザインターフェース部分と本体部分は、他の締結具システム、摩擦嵌め、接着剤、および/またはこれらの組み合わせにより結合されても良い。
【0017】
ユーザインターフェース部分14は、
図29および
図40に示されているように上流側の方向に向いた一対の横方向に間隔を置いて配置された弁座54を有する。加うるに、複数の保持リブ56が端壁16に向かって上流側の方向に延びている。保持リブ56は、出口開口部の外周周りに設けられた封止棚状突起40と重なり合うまたはこの上に位置している。
図11、
図12、
図29および
図40に示されているように、ユーザインターフェース14は、弁座の上流側でドーム形壁に形成されたグリル60に設けられた呼出ポート58を有し、ポート58は、フローチャネルと周囲環境とを連通させている。弁、バッフル、およびユーザインターフェースの種々の観点は、米国特許第6,293,279号明細書に開示されており、この米国特許を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0018】
図17~
図19、
図28~
図30、および
図66を参照すると、二方向弁62が吸入弁部分64および呼出弁部分66を含む。吸入弁部分64は、バッフルの上に位置するよう形作られた中央開口部68を有し、周縁70が弁座36に係合する吸入弁の封止面を画定している。一実施形態では、開口部68は、楕円または長円の形をしている。弁の形状が楕円であることにより、吸入中、一様な開放および空気流の実現が可能であり、その結果、放射形対称性を用いた伝統的な弁設計と比較して、性能が良好である。この弁は、携帯型保持チャンバ設計例に含まれるようになっていてサイズに対する影響を最小限に抑える機能的二方向弁となる。したがって、保持チャンバは、相対的な薄さまたは幅の減少およびケースの携帯性に起因して小さなサイズを保ちながら良好な性能をユーザに提供する。また、弁の形状の結果として、吸入時における繰り返し可能な一様な開放および流れが得られ、それによりユーザに良好な器具性能を提供する一方で、さらに器具全体の幅または深さ方向において狭くすることができる。
【0019】
変形例として、
図65に示されているように、保持チャンバは、チャンバ内でのエーロゾルを乱さないようにするために注意深く配慮された吸入および呼出流路についての幾何学的形状を備えるのが良い。しかしながら、エーロゾルの吸入時、エーロゾルの入った保持チャンバの容積部への正圧も負圧ももたらさない呼出経路がマウスピースを通って保持チャンバから引き出される。このように、弁が省かれても良く、これに付随してコストの節約が得られ、製造および組立が簡単になり、しかもこれに付随する故障箇所および組立ステップがなくなる。
【0020】
弁は、吸入弁部分を包囲したベース部分72を有し、呼出弁部分66は、ベース部分から延びる一対の横方向に間隔を置いて位置するフラップとして構成されている。フラップは、ユーザインターフェース上に形成された弁座54の下に位置してこれに係合する封止部分を備えた自由縁部75を有する。ベース部分は、端壁16上に形成された壁42を包囲してこれに係合する長手方向に延びる壁を有する。
【0021】
弁62は、端壁16上に位置決めされ、ベース部分72は、封止棚状突起40に係合し、壁74は、側壁42に当接してこれに係合し、壁42,74の間のインターフェースは、弁を適正な向きおよび位置に位置決めしている。次に、ユーザインターフェース14は、タブ32と開口部52との係合により本体部分12に結合され、弁62は、ユーザインターフェースと本体部分との間に捕捉され、吸入弁部分64の封止部分70は、吸入弁座36に係合し、呼出弁部分66の自由縁部75の封止部分は呼出弁座54に係合している。
図66および
図67に示されているように、弁62は、ベース部分72の互いに反対側に位置決めされた一対の整列タブまたはリブ63を有する。リブ63は、封止棚状突起40の外側に構成されまたは形成された凹部または開口部65内に配置される。理解されるべきこととして、リブ63と開口部65を逆にしても良く、この場合、開口部は、弁内に形成され、リブは、封止棚状突起上に形成されても良い。また、リブおよび開口部は、ベース部分に沿うどこかの場所、例えば、
図66および
図67に示された位置に対して90゜の角度をなす位置に位置決めされても良く、あるいは、弁は、3つ以上のタブを有しても良い。
図66および
図67に示されたリブの配置場所により、リブ相互間の距離が最も長くなり、それにより回転に抵抗する最大のモーメントアームが生じる。リブ63と開口部65のインターフェースは、弁が封止棚状突起40に対して適正に位置決めされるようにするとともに弁の脱落または弁の長手方向“z”軸線回りの回転/ひねりが阻止されるようにする。
【0022】
チャンバ壁は、曲線状の縁部76を有し、上側凹状曲率78がユーザインターフェースに隣接して側壁に沿って生じ、下側凸状曲率80がこれと反対側の端部に隣接して生じ、これらの間には移行部が生じる。側壁の幅および内部空間24の付随する深さは、チャンバ壁の長さに沿って減少している。端壁の反対側のチャンバ壁の端部82は、係合部材84を有し、この係合部材は、
図47および
図48に示されているように第1のハウジング構成部品の本体部分と一体的に形成されても良く、あるいは、別々に形成されて、例えば
図9A、
図9B、
図15、
図71、
図72、
図74Aおよび
図74Bに示されているようにスナップ嵌めにより第1のハウジング構成部品に結合されても良い。係合部材84は、一実施形態では、複数の横方向に間隔を置いて位置するフィンガまたはリブ86,88を有し、これらフィンガまたはリブは、脊柱状壁22から内部空間中へ、そして側壁の縁部76を越えて横方向に延びている。一実施形態では、係合部材は、中央に配置された主要リブ86またはフィンガおよび主要リブまたはフィンガの各側に互いに間隔を置いて配置された一対の補助リブ88またはフィンガを有する。主要リブまたはフィンガは、補助リブまたはリンガよりも長い距離にわたって内部空間中へ横方向に延びている。各リブまたはフィンガは、上流側に向いた係合面90,92および支承面を有する。係合部材または本体部分の端部は、ヒンジ部材を備え、このヒンジ構成部品は、ピボット軸線98を定める軸方向に整列した開口部を備えた1つ以上のラグまたは出張りを有するのが良い。
【0023】
図71、
図72、
図74Aおよび
図74Bを参照すると、ハウジング構成部品10は、係合部材の後壁を受け入れるよう形作られた凹部31およびこの凹部の縁から長手方向に延びるスロット33を有する。スロット33は、軌道を構成しており、このスロットは、一実施形態では、ダブテール形になっている。係合部材84は、主要リブの反対側に位置するのが良いリブ35を有し、このリブは、係合部材を圧力嵌めによりハウジング構成部品に固定するよう軌道と摺動可能に係合可能な対応のダブテール形になった縁部を備えている。本体部分12を例えばヒンジピンでハウジング構成部品10に固定した後、係合部材を定位置にロックして取り外すことができないようにする。リブ86,88は、個々にまたは組み合わせ状態で、例えば間隔を置いた場所でMDIのマウスピースに係合するのが良い。変形例として、リブは、マウスピースの内部に設けられても良く、中央のリブ86に設けられた型または係合面がMDIのマウスピースの端部に係合する。
【0024】
図14A、
図14Bおよび
図17~
図19を参照すると、第2のハウジング構成部品10は、本体部分100を有し、この本体部分は、入口開口部104を備えた端壁102、一対の側壁106、および側壁を互いに連結する脊柱状壁108を有し、側壁および脊柱状壁は、全体としてU字形の断面を有していて、チャンバ壁および内部空間110の一部分を構成している。チャンバ壁、特に各側壁は、曲線状の縁部112を有し、下側の凹状曲率114は、端壁に隣接して位置し、上側の凸状曲率116は、ユーザインターフェースに隣接して側壁に沿って位置している。側壁106の幅、および内部空間110のこれに付随する深さは、チャンバ壁の長さに沿って減少している。チャンバ壁の縁部76,112は、互いに合致するよう形作られている。輸送中または他の非使用中、閉鎖構成にある各ハウジング構成部品の内部空間24,110の組み合わせによって画定された全体的内部空間またはチャンバ118(
図47参照)中への糸くずまたは他の汚染物の入り込みを最小限に抑えることが望ましく、というのは、VHCの内部チャンバ118内に入り込む異物がユーザによって潜在的に吸入される場合があるからである。したがって、VHCの本体を構成する第1および第2のハウジング構成部品8,10は、これらの構成部品が合致してシームを形成するどのインターフェースに沿っても封止されるのが良い。このインターフェースは、シールを形成するはずであり、このインターフェースは、第1および第2のハウジング構成部品が閉鎖形態にあるときに、どのようなダストまたはデブリもチャンバ118に入るのを阻止する。一実施形態では、可撓性材料のビードが構成部品インターフェースまたは縁部76,112上にオーバーモールド成形されるのが良い。軟質材料は、圧縮されシールを形成する。変形例として、2つの部品相互間のインターフェースは、外部に対してシールをもたらすよう縁部76,112相互間に目違い継ぎ部として形成されても良い。変形例として、インターフェースは、シールをもたらすよう互いに合致する形状および寸法の縁部76,112相互間にまたはこれらのうちの一方に沿って設けられたOリングを有しても良い。別の変形実施形態では、ハウジング構成部品相互間、特に縁部76,112相互間のインターフェースは、外部に対してシールをもたらすよう相欠き継ぎ部を備える。これらインターフェースの組み合わせは、例えば重ね継ぎ部およびシールが提供されている場合であっても適当であるといえる。シール、例えばゴムまたはシリコーンビードは、縁部のうちの一方に沿って設けられるのが良く、その結果、シールは、縁部のうちの他方に係合する。
【0025】
側壁は、ヒンジ構成部品120を備えており、ヒンジ構成部品120は、ヒンジ構成部品96の開口部と整列すると、ピボット軸線98を定める軸方向に整列した開口部を有するのが良い。第1および第2のハウジング構成部品の開口部は、互いに整列しており、ヒンジピン122がヒンジ構成部品96,120の開口部を貫通するとともに第1および第2のハウジング構成部品を互いに回動可能に連結している。理解されるべきこととして、第1および第2のハウジング構成部品のうちの一方または両方は、ハウジング構成部品のうちの他方に係合する一体に形成されたヒンジピンを備えても良く、またはこれらの構成部品は、一体ヒンジに結合されてもよい。
【0026】
図44を参照すると、第1および第2のハウジング構成部品8,10は、ラッチまたは戻り止めに解除可能に連結されており、ラッチまたは戻り止めは、第2のハウジング構成部品上に形成された切り欠き126に対応関係をなして係合する第1のハウジング構成部品から延びている一対の弾力タブまたはフィンガ124を備えている。第1のハウジング構成部品と第2のハウジング構成部品を十分な力で引き離すと、フィンガ124は内方に撓んで切り欠き126から脱離され、それによりハウジング構成部品が互いに分離することができる。理解されるべきこととして、フィンガおよび切り欠きを第1および第2のハウジング構成部品のうちの他方に配置することができる。
【0027】
ハウジング構成部品をつまんで引張力をこれに加えるのを助けるためにグリップ128が第2のハウジング構成部品の一方または両方の側壁106に設けられている。グリップ128はまた、ハウジング構成部品のどこをつかめば良いかに関する視覚的手掛かりをユーザに提供する。グリップは、器具の外面中に継ぎ目なしの状態で溶け込んだわずかに凹んだ領域として形成される。変形例として、グリップは、第1のハウジング構成部品に設けられても良くあるいは両方のハウジング構成部品に設けられても良い。グリップ128は、表面模様付きであっても良く、軟質材料を含んでいても良く、または任意の形状としてもしくはユーザが本体ラッチ124/126に打ち勝ってこのケースを開けるのに足るほどの力で把持するのを助ける部分への付加部として形成されても良い。
【0028】
一変形例として、キャップがいったん開放位置になると、タブ130があらわになって、脊柱状壁108からまたは
図45および
図46に示されているように第2のハウジング構成部品の他の部分から上方に延びる。タブ130は、キャップ132と係合し、このタブは、キャップが閉鎖位置にあるときにハウジング構成部品が開くのを阻止し、これについては以下にさらに説明する。ユーザは、タブ130を指または指の爪で引いて本体を開けることができる。タブ130は、この設計が単純であってユーザに快適であるようにするよう形材切り出し部134を備えた状態で設計されている。これとは逆に、キャップ132は、キャップを開くようにして、キャップとユーザインターフェースとの間のラッチ特徴部に打ち勝つのを助けるための特徴部、例えばタブ136を有しても良い。タブ136は、キャップを押してユーザが正確な方向に力をもたらしてキャップを開けることができるようにするわずかな張り出し部を有するのが良い。
【0029】
図73を参照すると、英数字、例えば番号「1」および「2」ならびに方向を表わす標識、例えば矢印を含むのが良い指示標識101は、器具の開け方および使用の仕方に関する順序についての指示情報または視覚的手がかりをユーザに提供する。指示標識は、プラスチック中に成形されても良く、または接着剤で貼付されても良い。例えば、第1の矢印を伴う番号1は、まずキャップを開いて、特定の矢印方向に押す必要があることをユーザに指示する。一対の第2の方向矢印を伴う番号2は、第2のステップとして、2つのハウジング構成部品を互いに逆の方向に動かすことによってこれら2つのハウジング構成部品を開くべきであるということをユーザに知らせる。
【0030】
注目されるように、第1および第2のハウジング構成部品(ひとまとめに本体という)は、縁部76,112によって定められた分割線に沿って開き、この分割線は、ユーザインターフェース出口と入口開口部の間の長手方向軸と交差した状態で器具の中央部を対角線方向に横切る。分割線は、定形化された曲線であり、その結果、MDIは、保管形態で本体内部空間に挿入されると、チャンバの一方の側によってクレードル支持される。チャンバ本体を構成する2つのハウジング構成部品のうちの一方のハウジング構成部品(例えば、第1のハウジング構成部品8)、または観察窓を構成するその一部分は、好ましくは「シースルー(see-through)」であり、このことは、この一方のハウジング構成部品が明澄であり、準透明であり、透明または半透明であり、他方(例えば、第2のハウジング構成部品10)が不透明であることを意味している。これにより、2つのハウジング構成部品を分割する線の湾曲した輪郭によって強調される独特な視覚的印象が得られる。「シースルー」コンポーネントまたは窓により、ユーザは、薬物投与器具、例えばMDIがケースを開けないで任意所与の時点でケース内に存在することを視覚的に確認することができる。
【0031】
器具は、ユーザとともに「あちこちに」持ち運ばれることが意図されており、したがって、快適でありかつ支障がないものでなければならない。したがって、器具の断面形状は、MDIに合うのに必要な厚さよりも厚いものであってはならない。外面が滑らかであるということにより、ポケットに引っかかったりユーザに突き刺さったりするような鋭利な縁部、ヒンジまたは締結具が存在しないようになる。
【0032】
図20~
図27、
図68および
図69を参照すると、バックピース138がリングとして構成されたキャリヤ140を有する。キャリヤ140は、端壁102に設けられた入口開口部104の周囲または内部キャッチ部分105に係合し、スナップ嵌め連結部をもたらす複数のタブ142を有する。キャリヤはまた、摩擦嵌め、締結具、接着剤などにより端壁またはチャンバ壁と係合することができる。軟質メンブレン144が例えばオーバーモールド成形によってキャリヤに固定される。メンブレンは、キャリヤに固定された縁取り部分146を有する。縁取り部分は、端壁150および側壁152を備え、中央部分148が入口開口部を横切って延びる状態で側壁152に結合されている。メンブレンの側壁および中央部分は、ボウル形になっていて、中央部分は、端壁から下流側の方向に間隔を置いて位置している。このように、表面は、端壁の内面から内方にオフセットしており、側壁は、MDIが挿入されたときに保持力を大きくするよう可撓性区分またはフラップに通じるチャネルまたは空洞155を画定している。メンブレン144は、キャリヤ140に化学的に結合されており、キャリヤ140は、例えばスナップ嵌めにより入口開口部を横切って第2のハウジング構成部品の端壁と係合している。
【0033】
中央部分148は、複数の可撓性区分154,160を有し、可撓性区分154,160は、これら可撓性区分の自由縁部162を画定する複数のスリット156によって互いに隔てられている。
【0034】
可撓性区分は、隣り合う可撓性区分の自由縁部162が
図26Aに示されているように互いに近接して位置決めされた閉鎖形態と、可撓性区分が変形して
図26Bに示されているように入口開口164を形成する開放形態との間で互いに対して動くことができる。端逃げ開口部158を含むスリット156は、閉鎖形態において軟質メンブレンを貫通する唯一の開口部を構成する。一実施形態では、複数の可撓性区分は、少なくとも4つの可撓性区分154を含むが、好ましい実施形態では、4つの中央の可撓性区分および2つの端可撓性区分から成る6つの可撓性区分を含む。端可撓性区分160は、全体として三角形であり、一対の自由縁部162および境界付けられた縁部164が可撓性区分を側壁に連結するとともに一体ヒンジを構成している。中央可撓性区分154は、全体として四辺形であり、3つの自由縁部152および境界付けられた縁部164は、可撓性区分を側壁に連結して自由縁部を構成している。中央の可撓性区分の各々は、最も内側の自由縁部を有し、これら自由縁部は、互いに平行に延び、対向した自由縁部は互いに当接している。対向した自由端部相互間に形成されたスリットは、端可撓性区分160の頂点168と交差する軸線166を定める。4つの中央可撓性区分154相互間のスリット162は、十字形、“T”字形または“X”字形の開口部を構成しまたは有する。可撓性区分の各々の自由縁部162は、一実施形態では直線状であり、ただし、これら自由縁部は、非直線状であっても良く、例えば湾曲しまたは曲線状であっても良いことは理解されるべきである。2つの端可撓性区分の自由縁部162および頂点168は、互いに間隔を置いて位置しており、これらは、可撓性区分が閉鎖形態にあるときには互いに交差しない。
【0035】
開放形態にある可撓性区分により構成される入口開口部165は、第1の面積A1を定めている。スリットは、第2の面積A2を定め、A2<A1である。逃げ開口部158は、スリット156の末端のところに位置決めされていてスリットの一部を構成している。逃げ開口部158は、幅を有し、例えば円形であれば直径を有し、この幅は、逃げ開口部の終端箇所であるスリット156の幅よりも大きい。逃げ開口部158は、応力集中を減少させるとともにスリットが縁取り部分中に伝播する(例えば、裂けることによって)ことを防止するのに役立つ一方で、可撓性区分の可撓性を高めることができる。逃げ開口部は、
図20に示されているように縁取り部分の側壁中に位置決めされまたはこの中へ延びるのが良い。一実施形態では、丸形切り欠きとして構成された逃げ開口部は、部品の裂けを減少させるとともに互いに異なる形式のMDIのための挿入および取り出し力を減少させる。これら特徴は、チャネルと一緒になって、MDIが使用中に器具に結合されたままになる一方で、ユーザが過度の力を加えないでMDIを快適に挿入したり取り出したりすることができるようにする。
【0036】
一実施形態では、バックピース138は、メンブレン144またはキャリヤから長手方向に延びる複数の支持体139を有する。これら支持体は、一対の互いに間隔を置いて位置する側延長部またはポスト141を備えており、湾曲支持面がこれら側延長部またはポスト相互間に延びて一部がポストによって構成されている。支持面は、
図69に示されているように加圧式計量投与型吸入器のマウスピース部分に係合するよう形作られている。係合箇所は、リブ86がマウスピース部分の対向した表面に係合する場所から距離LOをオフセットしており、その結果、支持体139およびリブ86は、モーメント力をマウスピースおよび加圧式計量投与型吸入器に加え、それによって、加圧式計量投与型吸入器を回転させ、リブ224に対して当て、これについては以下にさらに説明する。このように、加圧式計量投与型吸入器は、保持チャンバにしっかりと保持されて保持チャンバ内でおいてガタガタと動きまわらないようになっている。
【0037】
マウスピースの入口開口部165および出口開口部48は、第1および第2のハウジング構成部品が
図1および
図2に示されているように閉鎖形態にあるとき、長手方向軸2に沿って実質的に整列し、入口開口部および出口開口部は、長手方向軸と直交している。空気および薬物が吸入中、入口開口部を通って内部チャンバ中に至り、吸入弁が開いたときに出口開口部を通り、そしてマウスピースの出口を通ってユーザの気道に至る流路をたどる。呼出中、この流路はユーザインターフェースを通って呼出弁を通って呼出開口部から出る。
【0038】
図1~
図3、
図10~12、
図16~
図18、
図41~
図43、
図47および
図48を参照すると、キャップ132は、第1のハウジング構成部品のユーザインターフェース部分に可動的に連結されている。変形例として、キャップは、第2のハウジグ構成部品に可動的に連結されても良い。キャップは、空洞172を画定する端壁169および側壁170を有し、空洞172は、キャップが閉鎖位置にあるときにユーザインターフェース部分のマウスピース50を受け入れる。一実施形態では、側壁170のうちの一方または両方は、1つ以上のピボット軸線166回りにユーザインターフェース部分に回動可能に連結されている。側壁は、凹状切り欠き部分174を有し、一対のヒンジ構成部品176が底縁部に沿って設けられている。ヒンジ構成部品は、一実施形態ではラグ(出張り)として構成されており、ラグの先が内方に向けられ、その結果、ラグは、互いに平行ではない。ユーザインターフェースは、ヒンジ構成部品と整列している一対のピボットピン178を有する。ヒンジ176,178の構成により、ユーザインターフェース部分の外面とキャップ側壁は、凸状曲率を備えた状態で面一をなすようになる。キャップ端壁は、側壁170に移行する全ての側部に湾曲した縁部を有し、これにより滑らかな表面が提供されるとともに、ポケットまたはバッグ内に入れられたときに器具の引っ掛かりをなくすことができる。例えば、キャップとマウスピースとの間のヒンジにより、器具は、流線型のままであるようになり、ヒンジは、キャップとハウジング構成部品の外側輪郭面から外方に突き出ることはなく、むしろ器具の輪郭表面と面一をなしたままになる。
【0039】
図70に示す一実施形態では、ヒンジ組立体は、キャップ側壁170の互いに反対側相互間に延びる直線ヒンジ心棒177を含む。ヒンジ心棒177は、一対の円筒形部分181および中間の戻り止め部分179を有する。戻り止め部分179は、器具が使用されている間、キャップを開放位置に保持する。戻り止めは、キャップの一回転全体にわたって抵抗トルクをもたらす。組立中、ヒンジ心棒177は、本体の端部分に設けられたポケットまたはソケット183内に受け入れられる。ユーザインターフェース部分は、下向きのソケット185を有し、ソケット185は、ユーザインターフェース部分が、例えばスナップ嵌めにより本体に結合されている場合、心棒177をソケット内に捕捉しまたはロックする。
【0040】
他の実施形態では、キャップは、例えば摺動および/または摩擦嵌め連結方式によりユーザインターフェース部分に並進可能に結合されても良く、あるいはユーザインターフェース部分から完全に結合解除されても良く、あるいはテザーによりユーザインターフェース部分に固定されても良い。キャップの底縁部がユーザインターフェース部分上に形成された方と合致するよう形作られている。
【0041】
ヒンジと対向した側壁は、その下に凹部を構成する下方に開放したリップ180を有する。第2のハウジグ構成部品に設けられたタブ130は、リップ180によって捕捉されてキャップが閉鎖位置にありかつ第1および第2のハウジング構成部品が
図1に示されているように閉鎖形態にあるときに凹部内に入れられ、それによりチャンバまたは第1および第2のハウジング構成部品は、例えば落下の場合に不注意に開くことがないようになっている。側壁および脊柱状壁の一部分は、楕円形または長円形の形をした隆起した輪郭形状部182を備え、この隆起輪郭形状部は、キャップに係合してこれを回動させるためにユーザにとって視覚的指標となっている。脊柱状壁のこの一部分は、わずかな窪み184を有するのが良く、窪み184は、キャップを持ち上げる際にユーザの親指またはそれ以外の指を受け入れることができる。
【0042】
キャップの一方の側が、一対の弾性タブ186を有し、これら弾性タブは、呼出ポートを画定するグリルの一部を構成する湾曲した輪郭形状部をユーザインターフェース上に有するポスト188に解除可能に係合し、タブとポストは、ラッチを構成している。タブ186、またはフィンガ、またはラッチは、ユーザがキャップリップ180に、タブをこれらがポスト188から外されるまで湾曲輪郭形状部周りに付勢する力を及ぼさない限りキャップを開くことができないようキャップを保持する。ねじりばね190がヒンジを構成するピボットピン周りに設けられるのが良く、このばねは、キャップを付勢してこれをユーザインターフェースから遠ざけて、キャップを開放位置に維持するためにユーザインターフェースとキャップとの間に係合する。
【0043】
種々の構成部品の例示の材料が表1に一覧表示されている。別報として、キャップは、Acetal Celcon M90で作られるのが良い。バックピースメンブレンは、Elastosil LR3071/40(40ジュロメータ)で作られても良く、基板は、Sabic Valox 420で作られるのが良い。
【0044】
喘息患者は一般に、夜に症状が増悪し、暗い部屋の中で起き上がって自分の薬物のありかを突き止めるのが困難になる。また、バッグの中が十分に照明されていなければバッグの中のMDIまたは保持チャンバを見つけることが困難な恐れがある。器具(例えば、その1つ以上の構成部品)を暗闇の中で光るようにすることによって、ユーザは、灯りをつける必要なくまたは暗闇の中で探し回る必要なく、自分の薬物のありかを迅速に突き止めて投与することができる。暗闇の中で光るようにすることが本体および/またはキャップ内に実現されるのが良く、それによりこれらが暗い空間内で容易に見えるようになる。何らかの形の光るものを暗闇の中に設けることで器具を暗闇の中で見えるようにすることによって、ユーザは、増悪によって目が覚めた場合であっても、自分の薬物のありかを迅速に突き止めることができるであろう。これにより、ユーザのストレスが最小限に抑えられ、というのは、ユーザは、器具または灯りを探し回る時間およびエネルギーを費やす必要がないからである。これは、ユーザの睡眠サイクルの乱れを減少させるという追加の利点が得られ、それによりユーザの夜の安眠を潜在的に向上させる。暗闇の中で光る添加剤を1つ以上の部品の部品材料中に混ぜ込むことが適している場合がある。これにより、暗闇の中で光る添加剤が含まれているどのような部品であっても当該部品の全体が暗闇の中で光ることになる。変形実施形態では、暗闇の中で光るインクを器具の外側の1つ以上の場所に印刷して暗い空間内で幾分かの光を生じさせても良い。
【0045】
【0046】
組立
図17~
図19を参照すると、第1のハウジング構成部品8と第2のハウジング構成部品10は、ヒンジピン122がヒンジ構成部品中に挿入された状態で互いに回動可能に連結されている。第1のハウジング構成部品と第2のハウジング構成部品は、縁部76,112が互いに当接し、第1および第2のハウジング構成部品が密閉された内部空間24,110,118を画定する閉鎖形態と、第1および第2のハウジング構成部品が内部空間118と連通する接近開口部192を構成する開放形態との間でピボット軸線98回りに互いに対して回動可能である。ラッチまたは戻り止めは、第1および第2のハウジング構成部品を一緒に閉鎖形態に固定する。
【0047】
バックピース138は、スナップ嵌めにより第2のハウジング構成部品10に連結され、軟質メンブレン144は、入口開口部165,104を閉鎖している。吸入弁62は、第1のハウジング構成部品の端壁16に設けられており、封止棚状突起40は、ベース部分72に係合している。この場合ユーザインターフェース14は、端壁に嵌められ、吸入弁62、特にベース部分72は、ユーザインターフェースと端壁との間にクランプされ、ユーザインターフェースは、端壁に設けられたタブ32と係合する。
【0048】
キャップ132は、少なくとも1つのヒンジピン178によりユーザインターフェース14に結合され、この少なくとも1つのヒンジピンは、別体であるにせよ一体的に形成されているにせよいずれにせよ、キャップに設けられたヒンジ構成部品176に係合する。キャップのリップ180が第2のハウジング構成部品のタブ130に係合して、第1および第2のハウジング構成部品を閉鎖形態に維持する閉鎖位置から、キャップ、特にリップ180が第2のハウジング構成部品またはその縁部から係合解除され、その結果、ばね190がキャップを開放位置に付勢した状態で第1のハウジング構成部品と第2のハウジング構成部品との間のラッチまたは戻り止めを解除することによって第1および第2のハウジング構成部品を開放形態に回動させることができるようになっている開放位置にキャップを動かすことができる。
【0049】
このように、第1のラッチは、第1のラッチが第1および第2のハウジング構成部品を閉鎖形態に固定するラッチ止め形態と、第1および第2のハウジング構成部品が開放形態に動くことができるラッチ外し形態との間で動くことができ、第2のラッチは、第2のラッチが閉鎖位置にある第1および第2のハウジング構成部品のうちの一方にキャップを固定するラッチ止め形態と、キャップが開放位置に動くことができるラッチ外し位置との間で動くことができる。第1のラッチは、第2のラッチがラッチ外し形態にあるときにのみ、ラッチ止め形態からラッチ外し形態に動くことができる。したがって、器具は、器具が不用意には開くことがなく、その一方で直感的に使用できるようにする冗長な二重ラッチシステムを備え、このことは、キャップを開くと、それによりマウスピースが露出されると、第2のラッチも係合解除され、その結果、第1のラッチもまた、係合解除され、その結果、保持チャンバを開くことができ、薬物デリバリ器具(例えば、加圧式計量投与型吸入器)を取り外すことができるということを意味している。
【0050】
図3、
図16、
図47および
図48を参照すると、加圧式計量投与型吸入器(MDI)200は、ステム204を備えたキャニスタ202およびアクチュエータブーツ206を有する。ブーツは、空洞218を備えたチムニー208、空洞の底部に設けられたウェル216およびチムニーから横方向に延びるマウスピース210を有する。キャニスタは、チムニー内に設けられ、ステムは、ウェル内に受け入れられる。キャニスタの頂端212をアクチュエータブーツ206の底部に対して押すことができ、その結果、ステムは、キャニスタに対して動き、それにより弁を開いて容器内に入れられている薬物をウェルに形成された出口から放出するようになっている。出口は、マウスピースの出口開口部214に向かって下方に差し向けられる。MDIは、接近開口部192を通って内部空間18中に入れられ、マウスピースの底部は、バックピースの内面に当接し、係合リブ86,88は、マウスピース210の頂部に係合する。マウスピースの前部210が係合部材の支承または係合面92と係合する。チムニーの後面224が第1のハウジング構成部品の内部に沿って形成されたリブ224と係合する。
【0051】
このように、MDIは、内部空間内にしっかりと保持されているので動き回ることができないようになっている。MDI200を固定位置に保持することによって、MDIは、偶発的な作動、何らかの物理的損傷、およびケース内でのがたつきから保護される。ケース内でがたつかないようにすることは、これが携帯型器具なので重要な要因であり、というのは、何らかの動き、例えば器具がパンツポケット内に入った状態での1歩進む動きに対して何らかの感触または耳に聞こえるフィードバックがエンドユーザによってイライラするとみなされる場合があるからである。種々のリブ86,88,224の正確な幾何学的形状は、MDIの形状および寸法に依存し、リブは、どのような製造業者の設計であってもすべり嵌めを生じさせるよう改造可能である。例えば、一実施形態では、第2のハウジング構成部品の内壁の中央に設けられたリブ224は、チムニーの後部を短くすることによってMDIの着座角度を制御する。第1のハウジング構成部品に設けられた1つ以上のリブ86,88は、本体が閉鎖されると定位置まで回転し、それによりMDIマウスピース210の頂部に接触してこれを押し下げる。係合部材84は、別個の部品として製造されるのが良く、その結果、形状が互いに異なるMDI器具に係合するよう設計された互いに異なる係合部材を例えばスナップ嵌めによりモジュール式保持チャンバに結合することができるようになっている。
【0052】
作用
図1を参照すると、保持チャンバ6は、キャップ132が第1のハウジング構成部品8と係合した第2のハウジング構成部品10(本体12またはユーザインターフェース14)と係合している閉鎖形態にある。器具を閉鎖すると、キャップ132をラッチ止めし、このキャップは、保持チャンバ構成部品のうちの他の少なくとも1つを捕捉することになり、その結果、ハウジング構成部品8,10は、キャップ132を開いてラッチ外しをするまで薬物(例えば、MDI200)への接近を可能にするよう回転して開くことができないようになっている。このように、キャップ132は、落下または他の衝撃が起こった際にMDIに対して追加のセキュリティレベルを提供する。
【0053】
軟質メンブレン144は、チャンバ118の全体的内部空間が周囲環境から封止されるように閉鎖形態にある。ユーザは、第1のハウジング構成部品8越しに見てMDI200が保持チャンバ内に保管されていることを確認することができる。
【0054】
器具を用いるため、ユーザは、最初に、窪みの上に位置するキャップのリップ180をつかんでキャップを開放位置に回動させることによってキャップ132を開き、キャップの弾性タブ/フィンガ186(すなわち、ラッチ)は、ポスト188から外れ、ばね190は、キャップを開放位置に付勢/維持する。キャップを例えば145゜の角度まで回転されるのが良く、ユーザがマウスピースに接近する余地をもたらす。
【0055】
次に、ユーザは、第1および第2のハウジング構成部品の側壁20,106をつかみ、そして第2のラッチを外すことによってこれらハウジング構成部品を閉鎖形態から開放形態に回動させ、その結果、接近開口部192が作られて、これが内部空間118と連通するようにする。第1および第2のハウジング構成部品は、最大45゜の角度まで回転して開き、その結果、MDIを接近開口部118に通して快適に挿入したり回収したりすることができるようになっている。器具の操作は、両手利き対応である。理解されるべきこととして、「内部空間」という用語は、開放形態にあるときは個々に、閉鎖形態にあるときは両方一緒に、第1および第2のハウジング構成部品チャンバ壁の各々によって画定された空間を指している。ユーザは次に、MDI200を接近開口部192に通して取り出すことができ、MDIは、回されて係合部材84から外れて遠ざかる。
【0056】
器具は、落とされまたは違ったやり方で突然の力を受けた場合であってもMDIのケースとして機能し続けなければならない。ケースがかかる事象が起きた際にラッチ止め機構体または器具の任意他の部品の破損に起因して開いた場合、ユーザの薬物が落下して失われ、損傷を受け、またはちがったやり方で使用不能となる場合がある。2つの別々のラッチ止め機構体を用いる二段階開放プロセスは、システムの一体性を保証するのを助ける。
【0057】
MDI用のケースとして作用するが、ユーザは、この器具から自分の薬物を迅速かつ容易に取り出すことができるはずである。開放機構体は、接近の容易性に力点を置くよう設計されている。これは、本体を器具の長さに沿って2つの区分に分割することによって達成され、これら2つの区分は、バックピースおよび入口開口部104の近くでピボット軸線98回りにヒンジ止め可能である。これにより比較的大きな接近開口部192が得られ、MDIを容易かつ快適に取り出したり保管したりすることができる。分割部は、本体がユーザ接近を快適かつ容易に可能にしながらMDIをクレードル支持するような形になるよう造形される。換言すると、第2のハウジング構成部品の空洞は、深さがMDIおよびそのマウスピースを受け入れてクレードル支持するよう増大している。したがって、開口の広いケースがVHC内のMDIの快適な保管および取り出しをもたらす。本体の分割曲線は、この使用しやすさを最大にするよう設計されている。
【0058】
MDI200を取り出した後、次に第1および第2のハウジング構成部品8,10を回動/回転させて
図2に示されているような閉鎖位置に戻して再びラッチ止めするのが良い。次に、マウスピース210を、メンブレン144を貫通して挿入し、可撓性区分154,160は、互いに対して動き、その結果、マウスピース出口214が内部空間118内に位置するようになる。MDIを保護して器具の内側がきれいなままであるようにするために、入口は、使用されていないときには密封遮断されるべきである。これは、軟質材料、例えばシリコーンを用いて弾性フラップまたは可撓性区分を形成することによって達成され、その結果、MDIマウスピースが挿入されると、フラップまたは可撓性区分は、内方に開放するようになっている。MDIを取り出すと、可撓性区分は、自然な閉鎖位置に戻って本体内の内部空間を保護する。
【0059】
ユーザは、マウスピース50を自分の口の中に突っ込むのが良く、MDI200は、容器の頂端212およびアクチュエータブーツ206を押すことによって作動され、それにより1回投与分の薬物がチャンバ118中に小出しされる。ユーザによる吸入の際、薬物は、吸入弁64の出口開口部を通り、マウスピース50を通り、そしてユーザの気道中に流れる。呼出中、吸入弁は閉じ、呼出弁66が開き、それによりユーザインターフェースを通り、呼出ポートを出て周囲環境に至る空気の流れが可能になる。所定の治療後、マウスピースをバックピースから取り外すのが良く、ユーザは、第1および第2のハウジング構成部品8,10を開放形態まで回動させる。次に、マウスピース210をリブ224に対して静止した状態で第2のハウジング構成部品内に嵌めこむのが良く、その後、第1および第2のハウジング構成部品は、リブ86,88がマウスピース210に係合し、戻り止め(すなわち、第1のラッチ)が係合するように閉鎖形態に回動させることができる。次に、キャップ132を弾性タブ/フィンガ186(すなわち、第1のラッチ)がユーザインターフェースのポスト188に係合した状態で閉鎖形態まで回転させるのが良い。
【0060】
携帯型保持チャンバは、MDI用の保管ケースとして機能する。ユーザを促してユーザが自分のMDIをチャンバ内に保管するが、全体的設計は、チャンバに入って吸入される外部汚染物の懸念を最小限に抑える。
【0061】
他の実施形態では、MDIが器具内に保管されると、MDIは、これが各使用前にきれいであるようにするために滅菌されるのが良い。これは、オゾン発生器226を器具内に設けることによって達成できる。チャンバを開いた場合にオゾン発生器の電源を自動的に切るための安全特徴部としてインターロックが必要になる。各ステップでの完全自動クリーニングサイクルから各ステップにおける手動ユーザ制御までの種々のユーザ制御レベルが可能である。オゾン発生器は、チャンバ内に設けられ、このオゾン発生器は、MDIがチャンバ内に保管されたときにオゾンを生じさせて汚染物があればどのような汚染物であってもこれらを中性化する。この構成部品は、チャンバが開かれた場合に全てのオゾン発生器が瞬時に停止するよう安全シャットオフに連結される。MDIをこれがケース内に保管されている間に消毒することができるようにすることにより、MDIにはどんなときでも汚染が生じないようになる。これにより、ユーザには心の平安を与えることができ、しかも器具を保管ケースとして用いることが促される。システムは、内部タイマを有するのが良く、このシステムは、例えば毎日1回午前10時に7分間(soclean2デフォルト設定値)あらかじめ設定されたスケジュールに従ってオゾンを発生させる。これにより、ユーザにとって装置が単純化される。変形例として、本システムは、入力装置、例えばタッチスクリーン228、および出力装置、この実施例では同じタッチスクリーンを含む。ユーザは、オゾン発生の長さおよび開始時刻を手動で設定する。本器具は、毎日のスケジュールまたは毎週のスケジュールのプログラムを可能にする。出力装置は、治療が行われている場合、情報、例えば次の治療の開始時点、および直近の治療からの時間の長さを示す。これにより、ユーザは自分の器具をより良く制御することになる。
【0062】
オゾン処理に代わる手段として、本器具は、1つ以上のUVエミッタ230を有するのが良く、かかるUVエミッタ230は、UV光がMDIの外面と内面の両方に投射されるよう位置決めされている。携帯型VHCは、MDIの保管ケースとして機能することが意図されている。全体的サイズを減少させるため、MDIマウスピースキャップが破棄される。VHCは、少なくともマウスピースキャップと同一の保護レベルをMDIに提供すべきである。
【0063】
他の変形実施形態
MDIのマウスピースを受け入れてMDIをVHCに結合し、そしてMDIがVHC内に保管されている間、開口部を閉鎖しまたは封止するMDIインターフェースが要望されている。
【0064】
図49を参照すると、MDI入口304は、軟質材料で作られるのが良く、このMDI入口は、短いテザー302の端部に取り付けられていてVHCが使用されていないときに入口中に圧入されるべきコルク特徴部またはプラグ300を有する。この形態により、シールが作られ、デブリが入口開口部に入らないようになる。単一の一体型構成部品が互いに合致する幾何学的形状を備えたMDI入口304とプラグ300を含み、ユーザは、かかる単一の一体型構成部品を挿入したり取り出したりすることができる。プラグは、同一の材料および均質一体構成のテザーでMDI入口に連結されるのが良い。単一の一体型部品を用いると、MDIのマウスピースを受け入れてMDIをVHCに結合し、そしてMDIがVHC内に保管されている間、開口部を閉鎖しまたは封止するMDIインターフェースが得られる。
【0065】
図50を参照すると、MDI入口308は、軟質材料で作られるのが良く、MDI入口は、硬質材料で作られて例えば接着剤、機械的結合部、または化学的結合部により固定されたプラグ310に固定される。連結箇所は、MDIが挿入されたときにプラグ310が回転してチャンバ内においてエーロゾル経路から離れることができるようヒンジ止めされている。入口308とヒンジ312は、一体的に形成されて一体ものであるのが良く、ヒンジ312は、これが入口に対して回動することができるようにするアンダーカットを備えている。プラグは、例えば、スナップ嵌め挿入部材314で連結され、かかるスナップ嵌め挿入部材は、フランジ318に設けられた開口部316を通って挿入されるキャッチを有する。プラグ310は、MDIが挿入されていない場合にはMDIインターフェースの開口部を閉塞する。ヒンジフランジ318をMDIのための開口部を横切って定められた平面に対して角度をなした状態に成型することによって、フランジ318またはヒンジ312は、予荷重を有し、それにより、フランジまたはヒンジは、ばねとして機能して入口開口部を覆ってプラグを閉鎖状態にすることができる。MDIが挿入されると、プラグの形態は、これが回転して保持チャンバ内のMDIマウスピースを通過するようなものである。プラグは、テーパ付き表面320を備えるのが良く、テーパ付き表面320は、カムおよびフォロワ機構体のように機能し、その結果、プラグは、動きまたは回転し、そしてチャンバおよび流路に平行にMDIによって付勢され、そしてエーロゾルプルームの外ではなく、保持チャンバの内部側壁に当たるようになる。可撓性インターフェースとヒンジのシステムを剛性の高いプラグと一緒に用いることにより、MDIのマウスピースを受け入れてMDIを保持チャンバに結合し、そしてMDIが保持チャンバ内に保管されている間、開口部を閉鎖しまたは封止するMDIインターフェースが得られる。このように、このシステムは、自動閉鎖システムを備え、ヒンジは、閉鎖装置または付勢部材として働く。プラグを閉鎖位置にさらに付勢するために他のばねが設けられるのが良い。
【0066】
図51を参照すると、MDI入口330は、軟質材料で作られ、このMDI入口は、MDI入口を横切って平坦面を形成する数個のフラップを収容する。フラップは、MDIがチャンバ内に保管されると閉鎖位置に戻り、MDIが挿入されると内方に開く。スリットを構成するフラップの裏側は各々、そのコーナー部のところに角度βをなす傾斜面取り部332を有し、それによりフラップは、閉鎖時に互いに整列することができる。
【0067】
図52を参照すると、フラップ334は、閉鎖位置において、非常に小さなドーム336を形成し、その凹面がMDIに向いている。フラップを閉鎖位置において凹状ドーム上に形成することによって、フラップは、正確かつ一様に、しかも閉鎖表面が平坦である場合よりも高い信頼性をもって閉じることになる。
【0068】
変形例として、
図53を参照すると、フラップ338は、MDIに対して凸状である非常に小さなドーム340を形成するよう閉鎖位置に戻る。フラップを閉鎖位置において凸状ドーム中に形成することによって、入口は、閉鎖位置において安定し、しかも異物、例えばダストおよび糸くずが入るのに抵抗する。
【0069】
図54を参照すると、保持チャンバは、使用されていない場合にMDIの保管容器として働く。MDIキャニスタ202を保持チャンバの内側からインターフェース中に挿入することによって、キャニスタ、例えば喘息救急薬物キャニスタの標準直径は、キャニスタを挿入してシールを形成することができるようMDIインターフェースを設計することによって利用できる。これにより、キャニスタが保管位置にあるとき、追加の部品または材料がMDIインターフェースを閉鎖する必要性がなくなる。具体的に言えば、MDIキャニスタ202は、MDIが保持チャンバ内に保管されているときに開口部を封止するようMDIインターフェース360中に挿入される。MDIキャニスタを用いて保管形態にあるときの保持チャンバのMDIインターフェースを封止するのが良い。別個の特徴がインターフェースを封止する必要性をなくすことにより、設計が単純化されるとともに費用が減少する。フラップは、MDIが保持チャンバから取り出されてインターフェース中に挿入されるときにこれらフラップがMDIのマウスピースを受け入れるようさらに撓むことができるのに十分可撓性である。
【0070】
図55を参照すると、可撓性要素370が保持チャンバの内部中に延び、この可撓性要素は、MDIに接触し、その後、可撓性要素は、MDIインターフェースを圧接することができる。可撓性要素370は、MDIインターフェース334と一体に形成されるのが良く、MDIが保持チャンバ内に保管されたとき、フラップが開くことができるようにしないで、縮むことになる。可撓性要素370は、MDIが使用のために挿入されると、インターフェース内のフラップとともに開く。可撓性要素は、MDIを捕捉するよう働き、そしてがたつきを防止する一方で、MDI入口のフラップがMDIによって無理に開かれないようにする。これにより、物理的損傷および保管ケースの外側からの汚染から器具が良好に保護されることになる。
【0071】
本器具は、落とされまたは違ったやり方で突然の力を受けた場合であってもMDIのケースとして機能し続けなければならない。ケースがかかる事象が起きた際にラッチ止め機構体または器具の任意他の部品の破損に起因して開いた場合、ユーザの薬物が落下して失われ、損傷を受け、またはちがったやり方で使用不能となる場合がある。上記において開示したように、
図56に示されているように、VHC本体は、2つの半部8,10で作られ、2つの半部8,10は、ヒンジで互いに接合され、その結果、本体は、MDIの内部への接近を可能にするよう開くことができるようになっている。これら2つの半部は、戻り止めと一緒にラッチ止め状態を成し、落下または衝撃の場合に故障する可能性がある。マウスピースキャップ132は、キャップを持ち上げるまで本体が開くことができないように、下側本体半部の延長部の頂部に嵌まる。キャップは、VHCのマウスピースとのスナップ嵌めインターフェースによって定位置に保持される。下側本体半部10は、2つの半部を戻り止め特徴部によってラッチ止めして閉じると、上側本体半部8とオーバーラップする延長タブを有する。マウスピースキャップ132は、タブを閉鎖位置に捕捉し、キャップが開かれるまで本体半部を一緒にロックする。キャップは、これを閉鎖位置に保持するためのスナップ嵌めまたは他のラッチ止め機構体を有する。これら2つのラッチ止め機構体は、MDIを取り出すのに2つの別々の作用が必要であるようにする。器具の既存の部品を利用するユニークな解決策は、打ち勝つべき2つの別々のラッチ機構体で二段階開封プロセスを案出することである。既存の部品およびVHCを用いて薬物を投与するために実施されなければならないステップ を用いることによって、余剰の保護によって器具の使用法が複雑にならないようにする。これは、1回の衝撃または落下によってVHC内に入れられているMDIがキャリングケースから放出されることはないようにする。
【0072】
図57A、
図57B、
図74Aおよび
図74Bを参照すると、MDIは、保管ケースとして作用する場合、通常の運動中はがたつきが生じないほど十分に器具内に拘束されなければならない。これは、MDIをケース内での何らかの損傷から保護することになり、そしてキャニスタの偶発的な作動の恐れをなくす。器具は、ポケットの中に入れて持ち運ばれるようになっており、MDIがVHCの内壁にぶつかって感触および音によるフィードバックがうるさいものとしてユーザに認識され、それにより器具を持ち運ぼうとするユーザのやる気をそぐ。1組のリブ86,88が保持チャンバの内面に設けられており、これらリブは、それぞれ互いに異なる形状のMDIのマウスピース設計を捕捉するよう設計された幾何学的形状を有する。リブは、本体の一方の半部上に設けられ、その結果、器具が開かれると、MDIがVHCに嵌まり込むための空間の実現を可能にするようこれらリブが回転し、本体が閉じられると、これらリブがMDIに接触してVHCに対して固定し、動かないようにする。
図57Aに示される、収容されるべきMDIの第1の形態は、2つのリブ86,88のシステムによって捕捉され、これらリブは、VHCを押し下げるようVHCのリブと底部との間にMDIのマウスピースを捕捉する平坦な底部を備えたリブと、VHCの側部を捕捉して回転を阻止する垂直リブとから成る。
図57Bに示された第2の形態は、MDIを上方に保持するよう第1のリブ86に設けられた幾何学的形状の残部、すなわち肩380用い、もう1つのリブまたはその端部分382は、MDIを下方に保持する。第1のリブの頂部は、MDIが回転するのを阻止するための平坦なフェースを有する。この場合、両方のリブは、マウスピースの内部に設けられ、これらリブは、MDIマウスピースの内側フェースに接触する。このように、同じリブは、互いに異なる形態のMDIに係合してMDIを捕捉するとともにこれを保持し、そしてケース内でのがたつきを阻止する。MDIがVHC内でがたつくのを阻止することにより、ユーザにVHCの設計において高品質および熟考した印象を与えるのに役立つ。がたつき防止リブの幾何学的形状は、別の形状および寸法を同一の仕方で捕捉する同一の技術的思想を用いてMDI設計の別の形式に対応するよう改造可能である。
【0073】
図58を参照すると、可撓性材料で作られたリブ390またはグリップが保持チャンバ内に設けられていて、各々がユニークな幾何学的系所を有する多数のMDIの形状に合致することができる。これら可撓性要素は、種々の寸法、形状、および配置場所において提供できる。保持チャンバ内の可撓性要素は、MDIを捕捉し、保持チャンバ内での動きまたはがたつきを阻止する。リブを可撓性に作ることによって、多くの形式のMDIを捕捉するための1つの特徴を用いると、極めて特定の幾何学的形状の依存性を回避することができる。MDIがVHC内でがたつくのを阻止することにより、ユーザに設計における高品質の印象を与えるのを助ける。
【0074】
可撓性リブは、保持チャンバの対向した内側フェースに設けられるのが良く、その結果、MDIはこれら内側フェース相互間にグリップされることになる。可撓性要素は、保持チャンバの底部または側部上に設けられるのが良く、その結果、MDIのマウスピースは、いったん挿入されると動くことができないようになっている。リブは、マウスピースを捕捉して圧力をこの部品の側部および頂部に加えてこの部品を定位置に保持する。
図59に示されているように、可撓性要素390は、保持チャンバの側部または底部上に設けられるのが良く、その結果、MDIのキャニスタがケース中に挿入されると、その周囲に沿って捕捉されるようになっている。これは、MDIキャニスタを用いる入口シールと同様な設計である。
【0075】
図60を参照すると、弾性バンド400が保持チャンバの内側の各側部に沿って延びており、この弾性バンドは、保持チャンバの内側周りにループ状になった単一のバンドを含むのが良い。弾性バンド400は、保持チャンバ本体の開閉部中に一体化されており、その結果、保持チャンバが閉鎖しているときに保持チャンバ内にMDIが位置すると、ハウジング構成部品8,10相互間に延びる弾性バンドは、MDIを捕捉しまたははさんで保持チャンバ内における動きを阻止する。弾性体をVHCの開口部中に組み込んで、ケース内の任意のMDIの側部を把持するのが良い。弾性体を用いて多くの形式のMDIを捕捉すると、互いに異なるMDIと関連した互いに異なる特定の幾何学的形状に対する依存性を回避することができる。MDIがVHC内でがたつくのを阻止することは、ユーザにVHCの設計における高品質および熟慮の印象を与えるのに役立つ。
【0076】
図61を参照すると、保持チャンバの内壁に設けられた1つ以上のプラスチックリブ420がMDIをこれが底部から真っ直ぐ挿入されたときに捕捉することができる。底部は、蓋として働き、そしてMDIを捕捉してこれをリブに当てる。リブ420は、剛性でありまたは硬質であるのが良く、これらリブは、保持チャンバのいずれの側にも設けられるのが良く、それにより、MDIは、キャップ132がMDIの頂部を覆って閉じられると、定位置に固定されることになる。単一のリブを用いると、別の形式の開口部を用いることにより、多数の形式のMDIを捕捉することができ、それにより極めて特定の幾何学的形状への依存性を回避することができる。
【0077】
図62を参照すると、保持チャンバの内壁に設けられたリブ420がMDIをこれが底部から真っ直ぐ挿入されたときに捕捉することができる。リブ420は、MDIキャニスタとプラスチックMDIブーツとの間の空間内に嵌まり込み、底部は、MDIをリブに当てて下に保持するための蓋として働く。VHCの内壁に設けられたリブ420は、MDIが挿入されると、リブがブーツとキャニスタとの間でMDIに嵌まり込みまたは挿入されるように配置され、それにより、キャップ132がMDIの頂部を覆って閉じられると、定位置に固定されることになる。一つのリブ設計例をもちいて、別の形式の開口部を用いることにより、多数の形式のMDIを捕捉することができ、それにより極めて特定の幾何学的形状への依存性を回避することができる。
【0078】
容積および長さは、VHCのエーロゾル出力との直接的な相関関係を有し、したがって、保持チャンバの寸法を減少することが望ましいが、性能は維持されなければならない。器具の寸法だけでなく、器具の形状および全体的寸法ならびに感触についての細目は、この器具の携帯性に影響を及ぼす。
【0079】
図63を参照すると、エーロゾルが保持チャンバに入っているときにエーロゾルを減速させるよう保持チャンバを設計することによって、良好なエーロゾル投与を小型のチャンバで達成できる。チャンバ内に設けられた一連のバッフルまたはデフレクタ450により、同伴空気の向きを横方向に変えて中央エーロゾルプルームを遅くする。バッフル450は、保持チャンバの本体内に設けられており、バッフルが中央エーロゾルプルームの外側に位置するよう位置決めされている。バッフルは、中央の場所から見て半径方向外方にかつ下流側の方向に延びている。バッフル450は、同伴空気を横方向にそらし、エーロゾルプルームを減速させ、保持チャンバ内の衝撃を緩和し、MDIが「発火」されたときにマウスピースを出る薬剤の量を減少させる。保持チャンバ内のバッフルを用いて、エーロゾルプルームを減速させるとともに、保持チャンバの薬剤出力を向上させるのが良い。これにより、薬物デリバリに悪影響を及ぼすことなく保持チャンバの寸法を減少させることができる。
【0080】
変形例として、VHCは、
図64に示されているように向流を提供するよう設計されても良い。多くの現行のチャンバは、「貫流」エーロゾル経路を用いている。MDI発火により生じる圧力は、吸入弁を開くことができ、エーロゾルは、チャンバが小さすぎる場合には失われる場合がある。経路を変更することによって、これらの損失を防ぐことができる。エーロゾルは、VHCの閉鎖区分460中に差し向けられ、閉鎖区分460は、上流側端部のところに開口部を備えた空洞を画定し、この閉鎖区分は、下流側端部のところが閉鎖され、空気は、クッションとして働いてプルームを減速させる。VHCの中央に設けられた閉鎖区分460は、一方向弁462を備え、この一方向弁は、吸入中の空気の流れを可能にするが、MDIが発火されたときに中央区分を通る流れを阻止し、それにより保持チャンバ内の圧力増加を生じさせる。弁462を閉じることによって作られる空気クッションは、エーロゾルプルームを減速させるとともにMDI発火中における薬剤の損失を阻止する。保持チャンバ内におけるエーロゾルの流路を変更することにより、中間のところに設けられていて空気クッションを収容した閉鎖区分が得られる。これにより、MDIがVHC内で作動されると、エーロゾルプルームが減速され、ユーザにとっての薬剤投与具合が向上する。
【0081】
別の実施形態では、VHCは、アクティブ向流を採用する。VHC内にファンや同様な形式の装置を用いて、向流を生じさせて、それによりエーロゾルプルームを減速させるということが考えられる。これは、必要なときにのみ起動するよう作動検出と関連付けられるのが良く、それにより電力消費量が節約される。VHC内における既存の空気流量または増大した圧力は、エーロゾルを減速させるのに役立ち、それにより薬剤投与具合および器具性能が向上する。
【0082】
スマート特徴
投与量カウンタがない場合、ユーザは、どれほど多くの薬物がユーザのMDIキャニスタ内に残っているかについて正確に知ることは不可能である。投与量カウンタがMDIに組み込まれていない状況における市場では、患者は、自分の処方箋を補充することが必要な時点を知ることが困難である。この問題は、薬剤がなくなってもMDIが引き続き純粋推進剤のエーロゾルプルームを発火し続けるので、より悪化する。これにより、非常時における増悪が治療されないままになる。
【0083】
アルブテロールによる紫外線スペクトル中の光、具体的には、この場合、波長275nmの光の吸収を利用することによって機能する薬剤検出システムが提供される。
図31を参照すると、紫外光エミッタおよび対応のセンサを用いて保持チャンバ内における紫外光の強度を測定することにより、システムは、どれほど多くの薬物が保持チャンバ内にあるかを測定することができる。システムは、アルブテロールにより吸収されるべき適当な波長の紫外光エミッタおよび対応のアナログ紫外光センサを含み、MDIにより投与される薬物の量を測定する。センサおよびエミッタは、MDIプルームがエミッタとセンサとの間に来るように取り付けられる。紫外光エミッタおよびセンサをVHCの本体内に設けるのが良い。このシステムによりユーザは、投与量カウンタそのものはない状態でMDIが薬物を使い果たした時点を知ることができる。
【0084】
図32を参照すると、MDI推進剤による赤外線スペクトル中の光の吸収を利用することによって機能する推進剤検出システムが示されている。赤外光エミッタおよび対応のセンサを用いて保持チャンバ内における赤外光の強度を測定することにより、システムは、どれほど多くの推進剤が保持チャンバ内にあるかを測定することができる。MDIが薬物を使い果たすと、プルームの大部分が推進剤で構成されることになる。システムは、推進剤により吸収されるべき適当な波長の赤外光エミッタおよび対応のアナログ赤外光センサを含み、保持チャンバ内に存在する推進剤の量を測定する。センサおよび光源は、MDIプルームがエミッタとセンサとの間に来るように取り付けられる。赤外光エミッタおよびセンサは、保持チャンバの本体内に設けるのが良い。このシステムによりユーザは、投与量カウンタそのものはない状態でMDIが薬物を使い果たした時点を知ることができる。
【0085】
図33を参照すると、アルブテロールが紫外線を吸収することおよび推進剤が赤外線を吸収することによって機能する機能するアルブテロールおよび推進剤検出システムが示されている。紫外光エミッタおよび対応のセンサを用いてVHC内における紫外光の強度を測定するとともに、赤外光エミッタおよび対応のセンサを用いて保持チャンバ内における赤外光の強度を測定することにより、システムは、エーロゾルプルーム内の推進剤および薬剤の量を測定することができる。これにより、エーロゾルプルームの組成物を定量化することができる。システムは、アルブテロールにより吸収されるべき適当な波長の紫外光エミッタおよび対応のアナログ紫外光センサを含み、VHC内に存在する薬物の量を測定し、推進剤により吸収されるべき適当な波長の赤外光エミッタおよび対応のアナログ赤外光センサを含み、VHC内に存在する推進剤の量を測定する。センサとエミッタの対は、MDIプルームがエミッタとセンサとの間に来るように取り付けられる。赤外光エミッタとセンサ、および紫外光エミッタとセンサをVHCの本体内に設けるのが良い。このシステムによりユーザは、投与量カウンタそのものはない状態でMDIが薬物を使い果たした時点を知ることができる。
【0086】
図34を参照すると、センサがエーロゾルプルーム中の特定の組成物の量を測定する。センサを保持チャンバの本体内に設けることによって、システムは、センサの値を用いてどのくらい多くの投与量がMDI内に残存しているかを突き止めることができる。システムは、保持チャンバ本体内に設けられていて、エーロゾルプルームを測定するセンサを含む。保持チャンバ本体内のエーロゾルプルームの読みを得るためのセンサが設けられている。これにより、ユーザは、投与量カウンタそのものはない状態でMDIが薬物を使い果たした時点を知ることができる。
【0087】
図35を参照すると、MDIキャニスタ内の液は、どれくらい多くの薬物が残存しているかを指示している。これは、超音波レベルセンサを用いて達成でき、この超音波レベルセンサは、キャニスタが保持チャンバ内での保管中にセンサに当たったままであるように保持チャンバに設けられている。向きを求めるセンサ、例えばジャイロスコープ、加速度計、または磁力計は、測定値が一貫した向きで取られるようにする。超音波センサががたつき防止リブと反対側の保持チャンバの内壁にこていされている。センサは、MDIが器具内に保管されたときにMDIキャニスタにすぐ隣接して位置する。出力データを備えたセンサが向きを指定する。スマートシステムは、センサの読みを用いて薬物の残存量を認識することができる。超音波センサを用いてMDIキャニスタ内の液をチェックするとともに方位センサを用いて読みが一貫しかつ繰り返し可能な位置で取られるようにするのが良い。これにより、ユーザは、投与量カウンタそのものはない状態でMDIが薬物を使い果たした時点を知ることができる。
【0088】
上述の技術的思想のうちのいずれに関しても、スマート保持チャンバは、センサデータを用いて不完全な薬剤投与量の原因を突き止めることができる。ユーザへの出力は、ユーザに技術的な遅れを知らせることができ、そして次の投与に関する良好な薬剤投与をどのようにして得るかについてユーザを教示することができる。ユーザは、場合によっては、味覚を1回投与分の薬物に関連付け、そして即座のフィードバックがない場合に自分の投与量を得てはいなかったことがわかる。システムはまた、MDIを単独で用いた場合にユーザが感じる味覚に取って代わるユーザの感覚または連想を生じさせるよう設計された正確な投与量の場合に出力を有する。
【0089】
喘息発作は、特定の場所における環境の影響によってトリガされる場合がある。チャンバを用いる場所を記録し、このデータを経時的にマップすることによって、増悪のリスクの高い場所を識別することができ、それにより喘息患者に病態の良好な理解を提供することができる。VHCに取り付けられたスマートデバイスに結合可能なワイヤレスモジュールにより、保持チャンバの使用中、スマートデバイスの場所データを記録することができる。このデータを経時的に追跡した後、システムは、増悪が起こる場所のパターンを検出することができる。スマートVHCシステム内に設けられたスマートデバイスとワイヤレス接続可能なモジュールは、MDIが保持チャンバ内で発火されたときにスマートデバイスに通知してデバイスGPSまたはセルラー信号から場所を記録することができる。MDIをスマートフォンとワイヤレスにペアリングする機能を設けることによって2つのデバイスが情報のやり取りをすることができるようにする。増悪の場所のパターンを認識し、この情報をユーザに伝えることにより、ユーザの喘息の認識および制御を高めることができる。
【0090】
図36を参照すると、保持チャンバに取り付けられたワールドワイドネットワーク(例えば、セルタワーまたはGPS衛星)に接続可能なモジュールにより、保持チャンバの使用中、場所データを記録することができる。このデータを経時的に追跡した後、システムは、増悪が起こる場所のパターンを検出することができる。スマート保持チャンバシステム内に設けられた場所追跡可能なモジュールが、MDIが保持チャンバ内で発火されたときに場所データについてポーリングするのが良い。スマートVHCシステム内に場所追跡コンポーネントが設けられる。増悪の場所のパターンを認識し、この情報をユーザに伝えることにより、ユーザの喘息の認識および制御を高めることができる。
【0091】
本器具は、MDI用のキャリングケースとして機能する。患者は急いでいる場合、救急MDIが器具内に収容されていないことに気が付かないで器具を携帯している場合がある。人はまた、ケースそれ自体を忘れる場合がある。ワイヤレス機能をVHC内に組み込むことにより、デバイスは、電波到達範囲にあるときにユーザの電話と接続可能である。電話は器具の電波到達範囲から外れている場合、例えばユーザが自分のVHCを持たないで外出した場合、VHCとセルラーデバイスとのワイヤレス接続が失われる。この時点で、セルフォンは、デバイスの最後の既知の存在場所に関する通知を出し、ユーザにユーザが器具を忘れたことを知らせる。システムは、モバイルデバイスとペアリングされるようVHCに取り付けられていて、ワイヤレス通信することができるモジュールを含む。接続が失われると、モバイルデバイスは、VHCの最後の既知の存在場所に関する通知を表示する。VHCをワイヤレスでセルフォンとペアリングする機能が設けられる。ユーザが自分のVHCの圏内にはない時点をユーザに通知することにより、ユーザを促してVHCを携帯することによってチャンバの使用が改善され、器具がユーザにより携帯されていない場合に増悪の未治療を阻止することができる。これは、ユーザのデバイスが見失われまたは置き忘れた場合にユーザが自分のデバイスの存在場所を突き止めるのを助ける。
【0092】
図37を参照すると、モバイルデバイスと接続するようMDIに装着するアタッチメントにワイヤレス機能が設けられている。電話がMDIの圏内から出ている場合、ワイヤレス通信が失われる。この時点で、セルフォンは、MDIの最後の既知の存在場所に関する通知を出し、ユーザにユーザが器具を忘れたことを知らせる。システムは、モバイルデバイスとペアリングされるMDI内に組み込まれたワイヤレス通信を行うことができるモジュールおよびワイヤレスモジュールを収容したMDIへの形がぴったり合ったアタッチメントを含み、このアタッチメントは、MDIの使用または薬物の投与を邪魔しないようになっている。接続が失われた場合、モバイルデバイスは、MDIの最後の既知の存在場所に関する通知を表示する。MDIをワイヤレスでセルフォンとペアリングする機能が設けられる。ユーザが自分の保持チャンバの圏内にはいない時点をユーザに通知することにより、増悪の未治療を阻止することができる。これは、ユーザのMDIが見失われまたは置き忘れた場合にユーザが自分のMDIの存在場所を突き止めるのを助ける。
【0093】
図38を参照すると、無線信号トランスミッタをVHCに組み込むことにより、無線信号トランスミッタは、受信装置と接続することができる。レシーバがVHCとの接続を万一失った場合、レシーバは、接続が失われたという通知または信号を生じさせる。ユーザが信号強度を調節する方法を組み込むことによって、接続が失われた電波到達範囲を好みにしたがって調節することができる。システムは、VHC内に設けられた無線周波トランスミッタ、トランスミッタの信号強度を調節する電位差計または他のインターフェース、およびトランスミッタとレシーバとの間の信号が万一失われた場合にユーザに通知することができるレシーバを含む。これは、ユーザが保持チャンバを忘れたことを認識するのを助ける。送信された信号を調節するために電位差計を設けることにより、ユーザには、通知前の最大距離に関する管理が与えられる。RFトランスミッタが信号の到達範囲のユーザ制御を可能にするための支援ハードウェアとともに保持チャンバ内に設けられる。受信装置は、正しく機能し、ユーザが増悪の未処置を阻止することができる保持チャンバの範囲内にはいない時点をユーザに知らせるようユーザによって携帯されなければならない。レシーバの携帯を促すため、レシーバは、医療警告腕輪中に組み込まれるのが良く、それによりユーザにとっての価値が増す。
【0094】
図39を参照すると、リミットスイッチまたは他の単純なセンサを用いて保持チャンバ内におけるMDIの存在を求めることができる。スマートシステムは、これを用いてケース内にMDIが存在しているかどうかを判定することができる。保持チャンバ内に位置決めされた単純なセンサを用いると、ケース内にMDIが存在していると、これにより出力値に変化が生じるようになる。センサとしては、リミットスイッチおよび/または超音波、光または圧力センサが挙げられるが、これらには限定されない。このシステムにより、デバイスは、ユーザのパッファ(puffer)がVHC内に含まれていないかどうかをユーザに知らせることができる。単純なセンサを用いることによって、より複雑なリマインダシステムと比較してコストが低くなる。
【0095】
スマートシステム内に組み込まれたデータ記録/追跡特徴部は、MDIが作動したことを認識しなければ正しく機能することができない。
【0096】
センサまたはセンサのシステムをVHCに組み込むことによって、スマートシステムは、MDIが作動された時点を認識し、エーロゾルが保持チャンバ内に投入される。VHC内に設けられたセンサは、以下のデバイスの任意の組み合わせであって良く、それにより、スマートシステムは、MDIがMDI入口に結合されたままの状態で作動された時点を検出することができる。
【0097】
・作動中のMDIキャニスタの音響プロフィールを検出するためのマイクロフォン
・チャンバの内部圧力増加を検出するための圧力センサ
・エーロゾルプルーム中の推進剤または別の化学物質を検出するためのセンサ(投与量カウント目的のためのIR薬剤追跡を含む)
・力センサ(MDIキャニスタの頂部上に設けられまたはMDIの近くの他の場所、恐らくはMDIアダプタ内に設けられる)
・空気流量センサ(ホットワイヤMEMS)
・プルームが分散する直前の時点においてプルームを検出することができる光センサ
・薬剤検出のためのIR/UV解決策
・MDIキャニスタを垂直に差し向けるようにするためのジャイロスコープ/加速度計
・MDIがVHCのMDI入口に結合されたままの状態で作動された時点を検出することができるスマートシステム
これにより、ユーザにはある形態の薬剤検出、技術教示、または投与量カウント手段が提供され、それによりユーザの喘息が改善され、その結果、良好な臨床上の成果が得られる。
【0098】
MDIがVHCのMDI入口に結合されたままの状態で作動された時点を検出することができるスマートシステムが提供される。これにより、ユーザにはある形態の薬剤検出、技術教示、または投与量カウント手段が提供され、それによりユーザの喘息が改善され、その結果、良好な臨床上の成果が得られる。
【0099】
本発明を好ましい実施形態に関して説明したが、当業者であれば認識されるように、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および細部に対する変更を行うことができる。したがって、上記詳細な説明は、本発明を限定するものではなく例示とみなされるべきであり、本発明の範囲を定めるのは、特許請求の範囲の記載およびその全ての均等範囲である。
【国際調査報告】