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特表2022-544049金属化通気性複合繊維製品およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】金属化通気性複合繊維製品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20221007BHJP
   B32B 27/02 20060101ALI20221007BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20221007BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
B32B15/08 L
B32B27/02
B32B7/12
B32B27/32 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505543
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(85)【翻訳文提出日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 US2020043890
(87)【国際公開番号】W WO2021021818
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】62/879,872
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521465315
【氏名又は名称】ライフラボズ デザイン、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラウ、シンディ イー シン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ、ペイ
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AB10C
4F100AB12C
4F100AB17C
4F100AB18C
4F100AB25C
4F100AK03A
4F100AK04B
4F100AK41A
4F100AK46A
4F100AK51A
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100CB03D
4F100DG12A
4F100DG13A
4F100DG15A
4F100DG15B
4F100EC08D
4F100EH66C
4F100GB72
4F100GB74
4F100JD04A
4F100JD04B
4F100JD10B
4F100JD10C
4F100JL12D
4F100JM02C
4F100JN24B
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
金属化通気性複合繊維製品は、裏打ち層、および裏打ち層に配置される金属化不織布シートを含む。金属化不織布シートは、ポリマーを含有するベース層、およびベース層の第1の表面上に堆積した金属層を含む。裏打ち層は点接触を介して金属化不織布シートに結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏打ち層と、
前記裏打ち層に配置され配置された金属化不織布シートであって、ポリマーを含有するベース層、および、前記ベース層の第1の表面上に堆積した金属層を含む、金属化不織布シートと
を備え、
前記裏打ち層は、点接触を介して前記金属化不織布シートに結合される、
金属化通気性複合繊維製品。
【請求項2】
前記金属層は前記裏打ち層と前記ベース層との間に挟まれる、請求項1に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項3】
前記ベース層は前記裏打ち層と前記金属層との間に挟まれる、請求項1または2に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項4】
前記裏打ち層、前記ベース層、および前記金属層のそれぞれは、少なくとも500g/m/24hrの水蒸気透過率を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項5】
前記裏打ち層は少なくとも60マイクロメートルの厚みを有する、請求項4に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項6】
前記裏打ち層は、織布、ニットファブリック、または不織布のうちの1つを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項7】
前記裏打ち層は合成材料または天然材料を含む、請求項6に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項8】
前記合成材料は、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、およびポリ乳酸から構成される群から選択される、請求項7に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項9】
前記金属化通気性複合繊維製品は、前記裏打ち層または前記金属化不織布シートのうちの1つの少なくとも35%の通気性(MVTR)を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項10】
前記点接触は接着剤を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項11】
前記点接触は溶融ベース層を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項12】
前記点接触は溶融裏打ち層を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項13】
前記点接触は縫製またはキルティングによって形成される、請求項1から11のいずれか一項に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項14】
前記金属層は、アルミニウム、チタン、金、銅、亜鉛、および銀のうちの1つまたは複数を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項15】
前記金属層は、約10ナノメートル~約200ナノメートルの厚みを有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項16】
前記金属層は、前記ベース層の前記第1の表面への金属の蒸着によって形成される、請求項1から15のいずれか一項に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項17】
前記金属層は、9.5マイクロメートルの波長において赤外線放射に対して0.5以下の放射率を有する、請求項1から16のいずれか一項に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項18】
前記ベース層は、約500マイクロメートル未満の厚みを有する、請求項1から17のいずれか一項に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項19】
前記ベース層は、9.5マイクロメートルの波長において少なくとも約40%の赤外線透過性を有する、請求項1から18のいずれか一項に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項20】
前記ベース層の前記第1の表面は少なくとも28パーセントの鏡面光沢度を有する、請求項1から19のいずれか一項に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項21】
前記ポリマーはポリエチレンを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の金属化通気性複合繊維製品。
【請求項22】
金属化複合繊維製品を備える装置であって、前記金属化複合繊維製品は、
裏打ち層と、
前記裏打ち層上に配置され配置された金属化不織布シートであって、ポリマーを含有するベース層、および前記ベース層の第1の表面上に堆積した金属層を含む、金属化不織布シートとを有し、
前記裏打ち層は、前記金属化複合繊維製品の手触りおよび耐久性を改善するために点接触を介して前記金属化不織布シートに結合される、
装置。
【請求項23】
前記装置は、アパレル、履物、テント、または寝袋のうちの1つである、請求項22に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年7月29日に出願された仮特許出願第62/879,872号の優先権および利益を主張するものである。先述の出願の内容は、この全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は一般に、アパレル、履物、テント、および寝袋用の繊維製品に関し、より具体的には、アパレル、履物、テント、および寝袋用の金属化通気性複合繊維製品、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
水蒸気および通気性金属化ポリエチレンプレキシフィラメント状フィルム-フイブリルシートは、建物の断熱を高めるためのハウスラップとして使用されている。しかしながら、これらのシートは、手触りが悪く、耐折れ性に劣っており、洗浄耐久性が低いことにより衣服には好適ではない。
【発明の概要】
【0004】
着用が快適であり洗浄サイクルに対して耐久性がある、アパレルおよび履物における使用のための通気性複合繊維製品が本明細書に記載されている。
【0005】
1つの実施形態において、通気性複合繊維製品は、裏打ち層、および裏打ち層に配置される金属化不織布シートを含む。金属化不織布シートは、ポリマーを含有するベース層、および、ベース層の第1の表面上に堆積した金属層を含む。裏打ち層は、点接触を介して金属化不織布シートに結合される。いくつかの実施形態において、ポリマーはポリエチレンを含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、金属層は裏打ち層とベース層との間に挟まれる。いくつかの実施形態において、ベース層は裏打ち層と金属層との間に挟まれる。
【0007】
いくつかの実施形態において、裏打ち層、ベース層、および金属層のそれぞれは、少なくとも500g/m/24hrの水蒸気透過率(MVTR)を有する。いくつかの実施形態において、裏打ち層は少なくとも100マイクロメートルの厚みを有する。裏打ち層は、織布、ニットファブリック、または不織布のうちの1つを含み得る。裏打ち層は、合成材料または天然材料を含み得る。いくつかの実施形態において、合成材料は、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、およびポリ乳酸から構成される群から選択される。
【0008】
いくつかの実施形態において、通気性複合繊維製品は、この構成要素の通気性(MVTR)を35%以上低減させない。いくつかの実施形態において、点接触はドットマトリックスで構成される。いくつかの実施形態において、点接触は、接着剤、溶融ベース層、または溶融裏打ち層のうちの少なくとも1つを含み、または縫製またはキルティングによって形成され得る。
【0009】
いくつかの実施形態において、金属層は、アルミニウム、チタン、金、銅、亜鉛、および銀などのうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態において、金属層は、約10ナノメートル~約200ナノメートルの厚みを有する。いくつかの実施形態において、金属層は、ベース層の第1の表面上への金属の蒸着によって形成される。いくつかの実施形態において、金属層は、9.5マイクロメートルの波長において赤外線放射に対して0.5以下の放射率を有する。
【0010】
いくつかの実施形態において、ベース層は、約500マイクロメートル未満または約250マイクロメートル未満の厚みを有する。いくつかの実施形態において、ベース層は、9.5マイクロメートルの波長において少なくとも約40%の赤外線透過性を有する。
【0011】
いくつかの実施形態において、ベース層の第1の表面は少なくとも30パーセントの鏡面光沢度を有する。ベース層は第1の表面とは反対の第2の表面を有する。第2の表面は第1の表面の粗度の少なくとも2倍の粗度を有する。
【0012】
いくつかの実施形態において、通気性複合繊維製品は、裏打ち層、および裏打ち層上に配置された金属層を含む。裏打ち層は、点接触を介して金属層に結合される。金属層は、約10ナノメートル~約200ナノメートルの厚みを有する。
【0013】
いくつかの実施形態において、装置は通気性複合繊維製品を含む。通気性複合繊維製品は、裏打ち層、および裏打ち層上に配置された金属化不織布シートを含む。金属化不織布シートは、ポリマーを含有するベース層、およびベース層の第1の表面上に堆積した金属層を含む。裏打ち層は、金属化複合繊維製品の手触りおよび耐久性を改善するために、点接触を介して金属化不織布シートに結合される。いくつかの実施形態において、装置は、アパレル、履物、テント、または寝袋のうちの1つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本技術のさまざまな実施形態の特定の特徴は、添付の特許請求の範囲において詳細に記載される。本開示の原理が利用される例示的な実施形態を記載した以下の詳細な説明、および添付図面を参照することによって、本技術の特徴および利点のさらなる理解が得られるであろう。
【0015】
図1】1つの例示の実施形態による通気性複合繊維製品を示す概略図である。
【0016】
図2】1つの例示の実施形態による別の通気性複合繊維製品を示す概略図である。
【0017】
図3】1つの例示の実施形態による別の通気性複合繊維製品を示す概略図である。
【0018】
図4】1つの例示の実施形態による、図1~3それぞれにおけるものと同様の層状構造を有する3つのサンプルの試験結果を示す図である。
【0019】
図5】1つの例示の実施形態による、洗浄サイクルおよび乾燥サイクルが行われた通気性複合繊維製品の耐久性を示す図である。
【0020】
図6A】例示の実施形態による積層体を示す概略図である。
図6B】例示の実施形態による積層体を示す概略図である。
図6C】例示の実施形態による積層体を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明では、本開示のさまざまな実施形態を十分に理解してもらうために、特定の具体的な詳細について記載する。しかしながら、本開示がこれらの詳細なく実践され得ることを当業者は理解するであろう。さらに、本開示のさまざまな実施形態が本明細書に開示されているが、この技術分野の当業者の一般常識に従って本開示の範囲内で多くの改作および修正がなされ得る。そのような修正は、実質的に同じやり方で同じ結果を実現するために、本開示の任意の態様の既知の等価物の代替を含む。
【0022】
文脈において要求されない限り、本明細書および特許請求の範囲全体を通して、語「含む(comprise)」、および「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などのこの変形は、オープンで包括的な意味に、すなわち、「~を含むがこれらに限定されない」として解釈されるべきである。明細書全体を通した値の数値範囲の記述は、範囲を定義する値を含めた範囲内にあるそれぞれの別個の値を個々に指す簡略表記としての役割を果たすことが意図され、それぞれの別個の値は、本明細書に個々に列挙された通りに本明細書に組み込まれている。さらに、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈で明確に指示されない限り複数の指示物を含む。
【0023】
本明細書全体を通して「1つの実施形態」または「一実施形態」に言及することは、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書全体を通してさまざまな場所での「1つの実施形態において」または「一実施形態において」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではなく、場合によっては指す場合がある。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の好適なやり方で組み合わせられ得る。
【0024】
本明細書に説明されるさまざまな実施形態は、アパレルおよび履物における使用のための通気性複合繊維製品を対象とする。1つの実施形態において、通気性複合繊維製品は、裏打ち層、および裏打ち層上に配置される金属化不織布シートを含む。金属化不織布シートは、ポリマーを含有するベース層、およびベース層の第1の表面上に堆積した金属層を含む。裏打ち層は、点接触を介して金属化不織布シートに結合される。別の実施形態において、通気性複合繊維製品は、裏打ち層、および裏打ち層上に配置される金属層を含む。裏打ち層は点接触を介して金属層に結合される。金属層は、約10ナノメートル~約200ナノメートルの厚みを有する。
【0025】
実施形態について、ここで、添付の図と共に説明する。最初に図1を参照する。図1は、1つの例示の実施形態による通気性複合繊維製品100を示す概略図である。通気性複合繊維製品100は、裏打ち層102、および裏打ち層102上に配置される金属化不織布シート104を含む。金属化不織布シート104は、ベース層106、および、ベース層106の第1の表面106a上に堆積した金属層108を含む。例えば、金属層108は、ベース層106の第1の表面106a上への金属の蒸着によって形成され得る。裏打ち層102および金属化不織布シート104は、点接触110を介して互いに結合される。図1に示される構成では、ベース層106は裏打ち層102と金属層108との間に挟まれる。
【0026】
図2は、1つの例示の実施形態による別の通気性複合繊維製品200を示す概略図である。通気性複合繊維製品200は、金属層108が裏打ち層102とベース層106との間に挟まれているという修正がなされた通気性複合繊維製品100と同様である。通気性複合繊維製品200の構造は、その後の処理および使用中のキズまたは他の偶発的な破損から金属層108をより良く保護することができる。
【0027】
図3は、1つの例示の実施形態による別の通気性複合繊維製品300を示す概略図である。通気性複合繊維製品300は、コーティング層112が金属層108上に配置されるという修正がなされた通気性複合繊維製品100と同様である。コーティング層112は金属層108が損傷を受けないように保護し得る。コーティング層112は、1つまたは複数の有機材料であり得、約0.02マイクロメートル~約2.5マイクロメートルの厚みを有する。
【0028】
裏打ち層102は、通気性複合繊維製品100および200に高い通気性を加えて、そこから作成されるアパレルおよび履物の着用がより快適になるように構成される。いくつかの実施形態において、裏打ち層102は、少なくとも500g/m/24hr、少なくとも750g/m/24hr、少なくとも1000g/m/24hr、または少なくとも1500g/m/24hrの水蒸気透過率を有する。通気性複合繊維製品100、200および300に裏打ち層102を含むことによって、人体への柔らかな感触ももたらされる。いくつかの実施形態において、裏打ち層102は、この耐用寿命の間の損傷に耐えるように少なくとも60マイクロメートルの厚みを有する。通気性複合繊維製品100、200または300が適用される場所に応じて、裏打ち層102の厚みは変わり得る。例えば、裏打ち層102の厚みは、約60マイクロメートル~約2400マイクロメートル、約60マイクロメートル~約1500マイクロメートル、約60マイクロメートル~約1000マイクロメートル、約60マイクロメートル~約750マイクロメートル、または約60マイクロメートル~約500マイクロメートルであり得る。
【0029】
いくつかの実施形態において、裏打ち層102は、織布、ニットファブリック、または不織布のうちの1つを含む。いくつかの実施形態において、裏打ち層102は合成材料または天然材料を含む。例えば、裏打ち層102用の合成材料は、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、およびポリ乳酸から構成される群から選択される。さらに、裏打ち層102用の天然材料は、綿、ウール、シルク、および他の天然材料を含み得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、裏打ち層102は、ASTM(米国材料試験協会)D5035試験条件下での少なくとも45N/2.54cmの引張り強度、ASTM2261試験条件下での少なくとも9Nの引裂強度、およびASTM D774試験条件下での少なくとも350kPaのミューレン破裂を有する。
【0031】
金属化不織布シート104は、断熱の目的で通気性放射障壁として提供される。これらの目的で、金属化不織布シート104は、低い放射率および高い通気性を有するように構成される。場合によっては、金属化不織布シート104は任意選択で防水加工される。いくつかの実施形態において、金属化不織布シート104のベース層106はポリマーを含む。この目的に効果的であるように、ベース層106は、約500マイクロメートル未満の、または250マイクロメートル未満の、または約200マイクロメートル未満の、または約150マイクロメートル未満の、または約100マイクロメートル未満の、または約20~100マイクロメートルの、または約40~90マイクロメートルの厚みを有する。いくつかの実施形態において、ベース層106は、9.5マイクロメートルの波長において少なくとも約40%の赤外線透過性を有する。いくつかの実施形態において、ベース層106は7~14マイクロメートルの波長において約40%~60%の赤外線透過性を有する。
【0032】
ベース層106は、金属層108と接触する第1の表面106a、および裏打ち層102に面している第2の表面106bを有する。ベース層106の第1の表面106aは、ベース層106がより効果的に熱放射を反射可能にするために、少なくとも28パーセント(または少なくとも約15%、20%、25%、30%、もしくは35%)の鏡面光沢度を有する。いくつかの実施形態において、第2の表面106bは、第1の表面106aを上回る粗度を有するように構成される。例えば、第2の表面106bは、第1の表面106aの粗度の少なくとも2倍の粗度を有し得る。粗い第2の表面106bによって、金属化不織布シート104と裏打ち層102との間の接合の改善が可能になる。
【0033】
ベース層106の第1の表面106aは平坦になるように構成されることで、ベース層106が金属化された後のより効果的な反射層がもたらされる。いくつかの実施形態において、ベース層106は、多くの従来の織物材料より低い融点を有するポリエチレンを含むことで、より低い温度でのカレンダー加工によって平坦な表面を実現することができる。いくつかの実施形態において、ベース層106は、ポリエステル、ポリアミド、綿、ウールなどといった1つまたは複数の他の材料を含み得る。ベース層106の構造は、吸収によりベース層106を温めるために消費される熱が最小であるため、身体に反射する熱放射を最大化するように構成される。
【0034】
金属層108は、蒸着または他のめっき技法によってベース層106上に形成され得る。いくつかの実施形態において、金属層108は、アルミニウム、チタン、金、銅、亜鉛、および銀などのうちの1つまたは複数を含み得る。いくつかの実施形態において、金属層108は、約10ナノメートル~約200ナノメートル、約10ナノメートル~約100ナノメートル、または約10ナノメートル~約50ナノメートルの厚みを有し得る。金属層108が9.5マイクロメートルの波長において赤外線放射に対する0.5以下の放射率を有するような他の金属および厚みが考えられる。
【0035】
裏打ち層102および金属化不織布シート104は、複数の点接触110を介して互いに結合される。いくつかの実施形態において、金属化不織布シート104は、水性接着剤、溶剤系接着剤、熱活性化接着剤、または圧力活性化接着剤などの接着剤によって裏地に付着させることができる。接着剤は、裏打ち層102および金属化不織布シート104の1つまたは両方に対して配置されて、これらを共に付着させる。接着剤は、通気性複合繊維製品100または200の通気性を大幅に低減しないやり方で施される。例えば、これは、接着剤を、モノリシック膜の代わりにドットマトリックスの点接触110として施すことによって実現可能である。
【0036】
いくつかの実施形態において、裏打ち層102および金属化不織布シート104は、超音波またはレーザ溶接によって合わせられ得る。金属化不織布シート104はまた、接点を、圧力下のベース層106および/または裏打ち層102の融点を上回るまで加熱することによって下部の裏打ち層102に結合され得る。例えば、ベース層106の部分は、裏打ち層102に結合するように点接触110を形成するために溶融され得る。つまり、裏打ち層102の部分は、ベース層106(図1)または金属層108(図2)に結合するように点接触110を形成するために溶融され得る。いくつかの実施形態において、裏打ち層102の部分およびベース層106の部分は、裏打ち層102と金属化不織布シート104との間の点接触110を形成するために溶融され得る。いくつかの実施形態において、点接触110は縫製またはキルティングによって形成され得る。
【0037】
接点110は、繊維製品100または200の通気性に対する影響を最小化するやり方で、裏打ち層102と金属化不織布シート104との間に介在させる。例えば、点接触110は、裏打ち層102(または金属化不織布シート104)の80%未満を覆う領域を有する。通気性の改善のために、点接触110は、裏打ち層102(または金属化不織布シート104)の50%または40%または30%未満を覆う。いくつかの実施形態において、通気性複合繊維製品100、200または300は、この構成要素の通気性(MVTR)を35%以上低減させない。すなわち、点接触は、通気性複合繊維製品100、200または300が、裏打ち層102および金属化不織布シート104を含むこの構成要素の少なくとも35%の通気性(MVTR)を有するように配置される。
【0038】
裏打ち層102と金属化不織布シート104との間に介在させた接点110は、任意の形態のドットマトリックスで配置され得る。接点110の密度は、通気性複合繊維製品100または200全体にわたって一様であり得る。いくつかの実施形態において、接点110の密度は1つの領域から別の領域へと変わり得る。例えば、接点110の密度は、重大な損傷が予想される領域で増大させる場合がある。
【0039】
本明細書に開示される通気性複合繊維製品によって、洗浄によるしわへのより良い抵抗がもたらされることで、洗浄サンプルはより良い熱反射率を有することになる。例えば、本開示と一致する通気性複合繊維製品は、任意の洗浄および乾燥サイクルの前に約35度での0.2の放射率を有し得る。放射率は、洗浄および乾燥の1~5サイクルの後に比較的低いレベル、例えば0.28で維持可能である。すなわち、洗浄および乾燥の5サイクルの後に放射率が40%増大する。これは、通気性複合繊維製品がこれらの高反射率および良好な加温性能を維持し得ることを示す。対照的に、下部の裏打ち層がない金属化不織布シートは、任意の洗浄および乾燥サイクルの前に約35度での0.14の放射率を有し得、これは、洗浄および乾燥の1サイクル後に0.28に、洗浄および乾燥の3サイクル後に0.34に、および洗浄および乾燥の5サイクル後に0.43に悪化する。いくつかの実施形態において、裏打ち層102は、ベース層106に課せられる過度の伸展を低減させるために洗濯(洗浄および乾燥)サイクルにおいてベース層106に対するさらなる保護を提供する。これによって、通気性複合繊維製品への外観の変化が低減されることになる。
【0040】
1つの例では、綿織布内側裏打ち層およびアルミ不織布外層を含む通気性複合繊維製品のそれぞれは、修正ASTM F1868法を使用して断熱/加温性能に関して試験される。図4は、1つの例示の実施形態による、図1図2それぞれにおけるものと同様の層状構造を有する2つのサンプル(サンプル1および2)に対する試験結果を示す。図4に示されるように、通気性複合繊維製品のそれぞれは、綿織布にわたる熱絶縁性が増大している(159g/m)。具体的には、サンプル1の熱絶縁性は0.171K-m/Wであり、これは、綿層の0.038K-m/Wに対して約4.5倍増大したものになる。サンプル2の熱絶縁性は0.120K-m/Wであり、これは、綿層の熱絶縁性に対して約3.2倍増大したものになる。これらのサンプルの水蒸気移動速度(MVTR)は、1.89kg/m/24hr以下である。
【0041】
図5は、1つの例示の実施形態による、洗浄サイクルおよび乾燥サイクルが行われた通気性複合繊維製品の耐久性を示す。図5に示されるように、適度な洗浄耐久性が被試験サンプルに対して実現される。洗濯機による洗浄および乾燥機による乾燥の3サイクルの後の加温性能の低下はわずか20~31%である。
【0042】
いくつかの実施形態において、通気性複合繊維製品100/200/300は、アパレル、履物、テント、寝袋などを作成するために他の材料と共に使用され得る。構成例が図6A図6Cに示されている。図6Aは、1つの例示の実施形態による積層体600を示す概略図である。積層体600は、通気性複合繊維製品100/200/300からなる外層、中間繊維層602、および単層織布604を含む。いくつかの実施形態において、中間繊維層602は、合成断熱材、ダウンなどといった繊維断熱材料を含み得る。
【0043】
図6Bは、1つの例示の実施形態による積層体610を示す概略図である。積層体610は、単層織布604からなる外層、中間繊維層602、および通気性複合繊維製品100/200/300からなる内層を含む。
【0044】
図6Cは、1つの例示の実施形態による積層体620を示す概略図である。積層体620は、通気性複合繊維製品100/200/300からなる外層、中間繊維層602、および通気性複合繊維製品100/200/300からなる内層を含む。積層体600、610および620が単に説明目的のためのものであることは理解されたい。通気性複合繊維製品100/200/300を使用する他の構造体が考えられる。
【0045】
1つの態様では、本明細書に開示される通気性複合繊維製品は高い通気性を有し、これによって、通気性のない反射箔からなる衣服よりも着用がより快適になる。
【0046】
別の態様では、本明細書に開示される通気性複合繊維製品は、金属化不織布シートを使用するより効果的な反射層を含む。金属化不織布シートは、多くの従来の織物材料よりも融点が低いポリエチレンからなるベース層を含むことで、より低い温度、例えば、200度未満または約135度でのカレンダー加工によって平坦な表面を実現することができる。
【0047】
さらなる別の態様では、本明細書に開示される通気性複合繊維製品は、約200マイクロメートル以下の厚みが薄いポリエチレンのベース層を含むことで、人体からの赤外線放射(約7~14マイクロメートルの波長)がかなり透過的(約40~60%)になる。よって、通気性複合繊維製品は、吸収により層を温めるために消費される熱が最小であるため、身体に反射する熱放射を最大化する。
【0048】
別の態様では、本明細書に開示される通気性複合繊維製品は、他のメルトスパン不織布材料よりも良好な構造的完全性および抗酸化能をもたらすことで、通気性複合繊維製品は洗浄後に崩壊しにくくなる。
【0049】
別の態様では、本明細書に開示される通気性複合繊維製品は、裏打ち層を金属化不織布シートに付着させるための点接触を含むことで、アパレル、履物、テント、および寝袋での応用、または織物材料を必要とする他の応用に望ましい高い通気性がもたらされる。
【0050】
本開示の上述の説明は例示および説明の目的で提供されている。この説明は、網羅的であること、または開示される正確な形態に本開示を限定することを意図するものではない。本開示の広さおよび範囲は、上述した例示の実施形態のいずれかによって限定されるべきでない。多くの修正および変形は当業者には明らかであろう。修正および変形には開示されている特徴の任意の関連の組み合わせが含まれる。実施形態は、本開示の原理、およびこの実際的応用を最も良く説明することによって、他の当業者が、さまざまな実施形態について、考えられる特定の用途に適するさまざまな修正と共に本開示を理解可能にするために、選択されかつ記載されたものである。本開示の範囲は以下の特許請求の範囲およびこれらの等価物によって定義されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
【国際調査報告】