(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】処理中の静電帯電を減少させるためのガラス表面の大気圧プラズマエッチング
(51)【国際特許分類】
C03C 15/00 20060101AFI20221007BHJP
C03C 23/00 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
C03C15/00 A
C03C23/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505599
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(85)【翻訳文提出日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 US2020042029
(87)【国際公開番号】W WO2021021434
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】マンレイ,ロバート ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカタチャラム,シヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ワルクザック,ワンダ ジャニナ
【テーマコード(参考)】
4G059
【Fターム(参考)】
4G059AA08
4G059AB05
4G059AB09
4G059AC20
4G059BB01
(57)【要約】
フラットパネルディスプレイ用の処理済みガラス基板は、複数の薄膜トランジスタを保持するように作られた第一面およびその第一面と反対にあるガラス基板の面に位置する第二面を有する。この第二面は、第二面の表面組成を変えるためにドライエッチングプロセスを使用して処理される。この第二面の表面組成は、第1の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約38%から約42%の範囲にある約1nmの第1の深さまでの第1のAl/Si比、および第2の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約71%から約73%の範囲にある約10nmの第2の深さまでの第2のAl/Si比を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットパネルディスプレイ用の処理済みガラス基板であって、該処理済みガラス基板は、複数の薄膜トランジスタを保持するように作られた第一面および該第一面と反対にある該ガラス基板の面に位置する第二面を有し、該第二面は、該第二面の表面組成を変えるためにドライエッチングプロセスを使用して処理され、該第二面の表面組成は、約1nmの第1の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約38%から約42%の範囲にある該第1の深さまでの第1のAl/Si比、および約10nmの第2の深さまでの前記未処理のガラス基板の表面組成の約71%から約73%の範囲にある該第2の深さまでの第2のAl/Si比を有する、処理済みガラス基板。
【請求項2】
前記ガラス基板が、アルミノホウケイ酸塩ガラスから作られる、請求項1記載の処理済みガラス基板。
【請求項3】
前記ドライエッチングプロセスが、大気圧プラズマエッチング(APPE)プロセスである、請求項1記載の処理済みガラス基板。
【請求項4】
前記第一面の表面組成が、前記未処理のガラス基板の表面組成と実質的に似ている、請求項1記載の処理済みガラス基板。
【請求項5】
前記第二面の表面組成が、前記第1の深さまでの前記未処理のガラス基板の表面組成の約72%から約81%の範囲にある該第1の深さまでの第1のMg/Si比を有し、該第二面の表面組成が、前記第2の深さまでの該未処理のガラス基板の表面組成の約72%から約81%の範囲にある該第2の深さまでの第2のMg/Si比を有する、請求項1記載の処理済みガラス基板。
【請求項6】
前記第二面の表面組成が、前記第1の深さまでの前記未処理のガラス基板の表面組成の約33%から約34%の範囲にある該第1の深さまでの第1のCa/Si比を有し、該第二面の表面組成は、前記第2の深さまでの該未処理のガラス基板の表面組成の約77%から約99%の範囲にある該第2の深さまでの第2のCa/Si比を有する、請求項1記載の処理済みガラス基板。
【請求項7】
前記第二面の表面組成が、前記第1の深さまでの前記未処理のガラス基板の表面組成のフッ素の濃度の約290%から約330%の範囲にある該第1の深さまでのフッ素の濃度を有する、請求項1記載の処理済みガラス基板。
【請求項8】
前記第二面の平均粗さRaが、約0.6nmから約1nmの範囲にある、請求項1記載の処理済みガラス基板。
【請求項9】
前記処理済みガラス基板の平均ガラス電圧が、真空チャックからリフト試験されたときに、前記未処理のガラス基板の平均ガラス電圧と比較して、少なくとも約50%減少している、請求項1記載の処理済みガラス基板。
【請求項10】
前記処理済みガラス基板が、間紙に隣接して梱包され、少なくとも2時間に亘り振動させられ、約1%の洗浄剤を含む溶液を使用して洗浄された後、前記未処理のガラス基板の平均ガラス電圧と比較して、少なくとも約50%の平均ガラス電圧の減少が示される、請求項9記載の処理済みガラス基板。
【請求項11】
前記処理済みガラス基板のヘイズが、前記未処理のガラス基板のヘイズよりも約10%以下しか大きくない、請求項1記載の処理済みガラス基板。
【請求項12】
フラットパネルディスプレイ用の処理済みガラス基板であって、該処理済みガラス基板は、複数の薄膜トランジスタを保持するように作られた第一面および該第一面と反対にある該ガラス基板の面に位置する第二面を有し、該第二面は、該第二面の表面組成を変えるためにドライエッチングプロセスを使用して処理され、該第二面の表面組成は、約1nmの第1の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約72%から約81%の範囲にある該第1の深さまでの第1のMg/Si比、および約10nmの第2の深さまでの前記未処理のガラス基板の表面組成の約72%から約81%の範囲にある該第2の深さまでの第2のMg/Si比を有する、処理済みガラス基板。
【請求項13】
フラットパネルディスプレイ用の処理済みガラス基板であって、該処理済みガラス基板は、複数の薄膜トランジスタを保持するように作られた第一面および該第一面と反対にある該ガラス基板の面に位置する第二面を有し、該第二面は、該第二面の表面組成を変えるためにドライエッチングプロセスを使用して処理され、該第二面の表面組成は、約1nmの第1の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約290%から約330%の範囲にある該第1の深さまでのフッ素の濃度を有する、処理済みガラス基板。
【請求項14】
フラットパネルディスプレイ用の処理済みガラス基板であって、該処理済みガラス基板は、複数の薄膜トランジスタを保持するように作られた第一面および該第一面と反対にある該ガラス基板の面に位置する第二面を有し、該第二面は、該第二面の表面組成を変えるためにドライエッチングプロセスを使用して処理され、該表面組成は、約1nmの第1の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約33%から約34%の範囲にある該第1の深さまでの第1のCa/Si比、および約10nmの第2の深さまでの前記未処理のガラス基板の表面組成の約77%から約99%の範囲にある該第2の深さまでの第2のCa/Si比を有する、処理済みガラス基板。
【請求項15】
前記第二面の平均粗さRaが、約0.6nmから約1nmの範囲にある、請求項12から14いずれか1項記載の処理済みガラス基板。
【請求項16】
前記処理済みガラス基板の平均ガラス電圧が、真空チャックからリフト試験されたときに、前記未処理のガラス基板の平均ガラス電圧と比較して、少なくとも約50%減少している、請求項12から14いずれか1項記載の処理済みガラス基板。
【請求項17】
前記処理済みガラス基板のヘイズが、前記未処理のガラス基板のヘイズよりも約10%以下しか大きくない、請求項12から14いずれか1項記載の処理済みガラス基板。
【発明の詳細な説明】
【優先権および関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2019年7月30日に出願された米国仮特許出願第62/880261号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、そうしなければガラスの処理中に生じるかもしれない静電帯電を減少させるためのガラス表面上の大気圧プラズマエッチング(APPE)プロセスの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
フラットパネルディスプレイ、光起電装置、および他の適切な用途に、ガラスなどの光学的に透明な材料から製造された平らなまたは湾曲した基板がよく使用される。これらのディスプレイおよび装置は、ガラス材料が様々な処理工程で取り扱われる一連の製造工程により製造される。ガラスと処理装置との間の相互作用により、ガラス表面の内の1つ以上に、電荷が与えられるか、または他の様式で蓄積することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガラス表面に与えられるか、または他の様式で蓄積する電荷を最小にすることが望ましいことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ガラス表面の静電帯電を減少させる、表面粗さおよび表面組成を有する処理済みガラス基板を提供する。
【0006】
一例において、フラットパネルディスプレイ用の処理済みガラス基板は、複数の薄膜トランジスタを保持するように作られた第一面およびその第一面と反対にあるガラス基板の面に位置する第二面を有する。この第二面は、第二面の表面組成を変えるためにドライエッチングプロセスを使用して処理されることがある。この第二面の表面組成は、約1nmの第1の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約38%から約42%の範囲にある第1の深さまでの第1のAl/Si比、および約10nmの第2の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約71%から約73%の範囲にある第2の深さまでの第2のAl/Si比を有することがある。
【0007】
1つの態様において、ガラス基板は、アルミノホウケイ酸塩ガラスから作られることがある。
【0008】
別の態様において、ドライエッチングプロセスは、大気圧プラズマエッチング(APPE)プロセスであることがある。
【0009】
別の態様において、第一面の表面組成は、未処理のガラス基板の表面組成と実質的に似ていることがある。
【0010】
別の態様において、第二面の表面組成は、第1の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約72%から約81%の範囲にある第1の深さまでの第1のMg/Si比を有することがあり、第二面の表面組成は、第2の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約72%から約81%の範囲にある第2の深さまでの第2のMg/Si比を有することがある。
【0011】
別の態様において、第二面の表面組成は、第1の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約33%から約34%の範囲にある第1の深さまでの第1のCa/Si比を有することがあり、第二面の表面組成は、第2の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約77%から約99%の範囲にある第2の深さまでの第2のCa/Si比を有することがある。
【0012】
別の態様において、第二面の表面組成は、第1の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成のフッ素の濃度の約290%から約330%の範囲にある第1の深さまでのフッ素の濃度を有することがある。
【0013】
別の態様において、第二面の平均粗さRaは、約0.6nmから約1nmの範囲にあることがある。
【0014】
別の態様において、処理済みガラス基板の平均ガラス電圧は、真空チャックからリフト試験されたときに、未処理のガラス基板の平均ガラス電圧と比較して、少なくとも約50%減少していることがある。
【0015】
別の態様において、処理済みガラス基板が、間紙に隣接して梱包され、少なくとも2時間に亘り振動させられ、約1%の洗浄剤を含む溶液を使用して洗浄された後、未処理のガラス基板の平均ガラス電圧と比較して、少なくとも約50%の平均ガラス電圧の減少が示される。
【0016】
別の態様において、処理済みガラス基板のヘイズは、未処理のガラス基板のヘイズよりも約10%以下しか大きくない。
【0017】
本開示による一例の方法において、フラットパネルディスプレイ用の処理済みガラス基板を製造する方法が提供される。この方法は、ガラス基板を所定の処理温度に加熱する工程、および加熱されたガラス基板の第一面を空気に曝露しつつ、加熱されたガラス基板の第二面をHFプラズマに曝露して、ガラス基板の第二面をエッチングし、その第二面の表面組成を変えて、処理済みガラス基板を形成する工程を含むことがある。この処理済みガラス基板の第二面の表面組成は、約1nmの第1の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約38%から約42%の範囲にある第1の深さでの第1のAl/Si比を有することがあり、この処理済みガラス基板の第二面の表面組成は、約10nmの第2の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約71%から約73%の範囲にある第2の深さまでの第2のAl/Si比を有することがある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示は、添付図面と共に読まれたときに、以下の詳細な説明から最もよく理解される。一般的な慣例にしたがって、図面の様々な特徴は、必ずしも、一定の縮尺で描かれていないことを強調しておく。反対に、様々な特徴の寸法は、明瞭さのために、任意の拡大または縮小されている。明細書および図面に亘り、同様の参照番号が同様の特徴を示す。
【
図1】本開示のいくつかの実施の形態による例示の処理済みガラス基板を示す斜視図
【
図2】
図1の処理済みガラス基板の様々な例示の層を示す断面図
【
図3】
図1および2の処理済みガラス基板を製造する例示の方法を示す流れ図
【
図4】
図1および2の処理済みガラス基板をエッチングする例示の方法を示す流れ図
【
図5】
図1および2の処理済みガラス基板を製造するために使用できる例示のエッチング区域を示す説明図
【
図6】リフト試験前の試験試料を振動させるために使用した振動プロファイルを示すPSD対周波数のプロットを示すグラフ
【
図7】本開示のエッチングプロセスを使用して試料のガラス電圧の減少を示す処理済みガラス試験試料のガラス電圧を示すプロット
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、本開示の方法を利用しないガラス基板を上回る、改善された帯電(ESC)性能を有するガラス基板を製造する方法を提供する。本開示のガラス基板は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイまたは有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ装置を製造するために使用されるように作られることがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス基板は、光学的に透明である。基板の例に、平らなまたは湾曲したガラスパネルがある。
【0020】
特に明記のない限り、ここに用いられている「ガラス基板」または「ガラス」という用語は、ガラスから全体または一部が作られたどの物体も包含すると理解される。ガラス基板は、モノリス基板、またはガラスとガラス、ガラスと非ガラス材料、およびガラスと結晶材料、およびガラスとガラスセラミック(非晶相と結晶相を含む)の積層板を含む。
【0021】
ガラスパネルなどのガラス基板は、平らであっても、湾曲していてもよく、透明または実質的に透明である。ここに用いられているように、「透明」という用語は、物品が、約1mmの厚さで、スペクトルの可視領域(400~700nm)において約85%超の透過率を有することを示す意図がある。例えば、例示の透明ガラスパネルは、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約90%超、約95%超、または約99%超を含む、可視光範囲における約85%超の透過率を有することがある。様々な実施の形態によれば、そのガラス物品は、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、または約20%未満など、可視領域における約50%未満の透過率を有することがある。特定の実施の形態において、例示のガラスパネルは、間の全ての範囲と部分的範囲を含む、約55%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、または約99%超など、紫外(UV)領域(100~400nm)における約50%超の透過率を有することがある。
【0022】
例示のガラスとしては、以下に限られないが、アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルカリホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノホウケイ酸塩ガラス、および他の適切なガラスが挙げられる。本開示の教示においてガラス基板として使用するのに適した利用可能なガラスの非限定例としては、例えば、Corning Incorporated製の、LOTUS(商標)NXT、IRIS(商標)、GORILLA(登録商標)、ASTRA(商標)、およびEagle XG(登録商標)ガラスが挙げられる。本開示の様々な原理および教示が、他の種類のガラス基板に関連して使用されることがあるが、使用されるガラス基板は、好ましくは、Corning Incorporated製の「LOTUS NXT」ガラスなど、フュージョンドローされたアルカリ土類アルミノホウケイ酸塩ガラスであり得る。
【0023】
フラットパネルディスプレイに使用できる薄いガラス基板は、機能性A側面を有し得る。薄膜トランジスタは、この機能性A側面上に製造することができる。このガラス基板は、A側面と反対のガラス基板の側に、非機能性側またはB側を含み得る。フラットパネルディスプレイまたは他の表示装置を製造する様々な段階の最中に、ガラス基板のB側面は、搬送および/または取扱設備と接触することがある。そのような搬送および/または取扱設備は、金属、セラミック、高分子材料などを含む様々な種類の材料から作ることができる。これらの様々な種類の異種材料とガラス基板との間の相互作用により、例えば、摩擦電気効果や接触帯電により、ガラス基板が帯電し得る。ガラス基板のガラス表面に移される電荷は、ガラス基板上に蓄積し得る。電荷がガラス基板の表面上に蓄積するにつれて、ガラス基板の表面電圧も変わり得る。ガラス基板の1つ以上の表面上のそのような電荷の蓄積は、静電帯電(ESC)と称することができる。
【0024】
ガラス基板のB側面の静電帯電は、ガラス基板の性能を低下させ得る、および/またはガラス基板に損傷を与え得るので、そのような静電帯電は望ましくないことがある。例えば、ガラス基板のB側面の静電帯電は、ガラス基板のA側(または機能性)面上に堆積されることのある薄膜トランジスタ(TFT)デバイスにゲート損傷を生じることがある。そのようなゲート損傷は、絶縁破壊および/または電場誘起帯電により生じ得る。
【0025】
ガラス基板の静電帯電は、そのような帯電は、埃、微粒子片または他の汚染物質をガラス表面に引きつけ得ることでも、望ましくないことがある。埃および微粒子片のこの引力および/または蓄積は、ガラス基板に損傷を与え得る、またはガラス基板の表面品質を劣化させ得る。
【0026】
本開示の1つの例示の実施の形態において、ガラス基板のB側面は、そのB側面の表面粗さを増加させ、B側面の1つ以上の領域の表面の化学的性質を変えるために、下記に記載された方法の1つ以上を使用してエッチングすることができる。表面粗さが増加し、B側面の1つ以上の表面層の化学的性質が変化すると、B側面上の静電荷の蓄積が減少し得る。さらに、表面粗さが増加する、および/または化学的性質が変わると、ガラス基板と、ガラス基板の処理中に使用される取扱および/または搬送設備との間の摩擦も減少し得る。摩擦が減少すると、そのような設備上の摩耗が減少し得る。このように摩耗が減少すると、取扱および/または搬送設備の耐用年数が増加し、そのような設備に要求される保守管理が減少し得る。このことにより、次に、プロセスの動作可能時間が増し、製造州立が真室、フラットパネルディスプレイ製造過程全体の必要が減少し得る。
【0027】
ここで
図1および2を参照すると、例示のガラス基板20が示されている。このガラス基板は、どの適切なガラス製造過程を使用して形成されても差し支えない。一例において、ガラス基板20は、フュージョンドロー法を使用して形成される。ガラス基板20は、第一面(またはA側)22を有し得る。この第一面22は、その上に薄膜トランジスタ(TFT)を製造できるガラス基板20の面であり得る。ガラス基板20は、第一面22の反対に、第二面(またはB側)24も有し得る。第二面24は、フラットパネルディスプレイの処理および/または製造中に搬送または取扱設備の1つ以上の片と接触することがあるガラス基板20の面である。
【0028】
ガラス基板20は、下記にさらに記載されるように、エッチングプロセスを使用して処理し、第二面24に、未処理のガラス基板を上回る、または従来の表面処理を有するガラス基板を上回る、減少した静電帯電をもたらす1つ以上の特徴を持たせることができる。本開示の1つ以上のエッチングプロセスを使用して変わるそのような特徴の内の1つは、ガラス基板20の第二面24の表面組成である。
図2に示されるように(しかしながら、一定の縮尺で示されていない)、第二面24の表面組成は、第二面24の外面26から1つ以上の深さまで、どの適切な技術を使用して測定しても差し支えない。そのような技術は、外面26から特定の深さまでの組成元素(または元素の比)の平均値として表される1つ以上の組成元素(または元素の比)の第二面24の表面組成を測定することができる。いくつかの例示の技術に、飛行時間二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)およびX線光電子分光法(XPS)がある。これらの測定技術を考慮して、測定値は、本開示において、、特定の深さ「まで」と記載されることがある。例えば、第二面24の表面組成は、第1の深さ
D1まで測定することができる。第二面24の表面組成は、外面26から第2の深さD2まで測定することもできる。一例において、第二面24の表面組成は、約1nmの第1の深さD1までと、約10nmの第2の深さD2まで、測定することができる。他の例において、第1の深さD1および第2の深さD2は、外面26から測定された他の深さであり得る。
【0029】
本開示のエッチングプロセスは、表面組成を、ガラス基板20中に存在するいくつかの元素について、第1の深さD1まで、および第2の深さD2まで、異なるようにすることがある。ガラス基板20中に存在するかもしれない他の元素について、表面組成は、第1の深さまで、および第2の深さD2まで、同じまたは実質的に同じであることがある。
【0030】
一例において、第二面24の表面組成は、アルミニウム/ケイ素(Al/Si)比を決定するために測定することができる。この比は、飛行時間二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)またはX線光電子分光法(XPS)、もしくは蛍光X線(XRF)など、どの適切な技術を使用して決定しても差し支えない。蛍光X線は、ガラス基板20のバルク組成を決定するために使用することができ、飛行時間二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)またはX線光電子分光法(XPS)は、ガラス基板20の表面組成を決定するために使用することができる。第1の深さD1および第2の深さD2での第二面24の表面組成を測定するために、そのような技術を使用することができる。本開示のエッチングプロセスで処理下後の第二面24の表面組成を、処理が行われていない第二面24の表面組成と比較することができる。このようにして、処理済みの第二面24と未処理の第二面24の表面組成間の違いを測定することができる。
【0031】
一例において、第二面24は、1nmの第1の深さD1まで、未処理のガラス基板20の表面組成の38~42%の範囲にあるAl/Si比、および10nmの第2の深さD2まで、未処理のガラス基板20の表面組成の71~73%の範囲にあるAl/Si比を有する表面組成を有し得る。別の例において、第二面24は、1nmの第1の深さD1まで、未処理のガラス基板20の表面組成の35~45%の範囲にあるAl/Si比、および10nmの第2の深さD2まで、未処理のガラス基板20の表面組成の70~74%の範囲にあるAl/Si比を有する表面組成を有し得る。さらに別の例において、第二面24は、1nmの第1の深さD1まで、未処理のガラス基板20の表面組成の30~50%の範囲にあるAl/Si比、および10nmの第2の深さD2まで、未処理のガラス基板20の表面組成の65~75%の範囲にあるAl/Si比を有する表面組成を有し得る。
【0032】
いくつかの例において、第二面24の表面組成は、そのマグネシウム/ケイ素(Mg/Si)比を決定するために測定することができる。Mg/Si比は、Al/Si比に関して先に記載された技術の内の1つ以上を使用して測定することができる。第二面24は、1nmの第1の深さD1まで、未処理のガラス基板20の表面組成の72~81%の範囲にあるMg/Si比、および10nmの第2の深さD2まで、未処理のガラス基板20の表面組成の72~81%の範囲にあるMg/Si比を有する表面組成を有し得る。この例において、Mg/Si比は、1nmの第1の深さD1および10nmの第2の深さD2で、実質的に同じであり得る。別の例において、第二面24は、1nmの第1の深さD1まで、および10nmの第2の深さD2まで、未処理のガラス基板20の表面組成の70~83%の範囲にあるMg/Si比を有する表面組成を有し得る。さらに別の例において、第二面24は、1nmの第1の深さD1まで、および10nmの第2の深さD2まで、未処理のガラス基板20の表面組成の65~88%の範囲にあるMg/Si比を有する表面組成を有し得る。
【0033】
いくつかの例において、第二面24の表面組成は、そのカルシウム/ケイ素(Ca/Si)比を決定するために測定することができる。Ca/Si比は、Al/Si比に関して先に記載された技術の内の1つ以上を使用して測定することができる。第二面24は、1nmの第1の深さD1まで、未処理のガラス基板20の表面組成の33~34%の範囲にあるCa/Si比、および10nmの第2の深さD2まで、未処理のガラス基板20の表面組成の77~99%の範囲にあるCa/Si比を有する表面組成を有し得る。別の例において、第二面24は、1nmの第1の深さD1まで、未処理のガラス基板20の表面組成の31~35%の範囲にあるCa/Si比、および10nmの第2の深さD2まで、未処理のガラス基板20の表面組成の75~99%の範囲にあるCa/Si比を有する表面組成を有し得る。さらに別の例において、第二面24は、1nmの第1の深さD1まで、未処理のガラス基板20の表面組成の30~36%の範囲にあるCa/Si比、および10nmの第2の深さD2まで、未処理のガラス基板20の表面組成の72~99%の範囲にあるCa/Si比を有する表面組成を有し得る。
【0034】
第二面24の表面組成は、1つ以上の深さでフッ素(F)の濃度を決定するためにも測定することができる。第二面24の表面組成中のFの濃度を決定するために、先に記載された測定技術を使用することができる。一例において、1nmの第1の深さD1での第二面24でのFの濃度は、未処理のガラス基板20中のFの濃度の290~330%であり得る。別の例において、1nmの第1の深さD1での第二面24でのFの濃度は、未処理のガラス基板20中のFの濃度の270~350%であり得る。
【0035】
上述したように、前記表面組成は、別々に記載されているが、第二面24の表面組成は、上述した特徴の内の複数または全てを有し得ることを認識すべきである。例えば、第二面24の表面組成は、上述したAl/Si比、Mg/Si比、Ca/Si比およびF濃度の内の1つまたは全てをユエし得る。一例において、第二面24の表面組成は、1nmの第1の深さD1まで、未処理のガラス基板の表面組成の38~42%のAl/Si比、72~81%のMg/Si比、および33~34%のCa/Si比、並びに10nmの第2の深さD2まで、未処理のガラス基板の表面組成の71~73%のAl/Si比、72~81%のMg/Si比、および77~99%のCa/Si比を有し得る。この同じ例は、未処理のガラス基板の表面組成の290~330%の範囲のF濃度も有し得る。
【0036】
本開示のエッチングプロセスは、第二面24の外面26に所定の粗さも持たせることがある。第二面24の粗さは、第一面22の粗さより大きい粗さ(エッチング後)を有し得る。一例において、第二面24の粗さは、0.6~1.0nmの範囲の粗さ値Raを有し得る。別の例において、第二面24の粗さは、0.5~1.2nmの範囲の粗さ値Raを有し得る。他の例において、他の適切な粗さ値を生じさせても差し支えない。粗さは、表面形状測定装置などを含むどの適切な技術を使用して、上述範囲を決定するために測定しても差し支えない。
【0037】
本開示のエッチングプロセスおよび第二面24の表面組成および/または粗さに対する付随する変化は、ガラス基板20に生じる静電帯電の量の減少をもたらし得る。一例において、処理済みガラス基板は、未処理のガラス基板のガラス電圧より、ガラス電圧の少なくとも50%の減少を有し得る。別の例において、処理済みガラス基板は、未処理のガラス基板のガラス電圧より、ガラス電圧の少なくとも60%の減少を有し得る。さらに他の例において、処理済みガラス基板は、未処理のガラス基板のガラス電圧より、ガラス電圧の少なくとも65%の減少を有し得る。
【0038】
本開示のエッチングプロセスは、ガラス基板20に悪影響を及ばさないことも望ましい。あるエッチングプロセスは、処理済みガラス基板にとって許容できない量のヘイズを有する処理済みガラス基板をもたらし得る。本開示のエッチングプロセスは、処理済みガラス基板に過剰な量のヘイズを生じない。すなわち、このエッチングプロセスは、フラットパネルディスプレイ中のガラス基板の使用に悪影響を及ぼすであろうヘイズを与えない。
【0039】
図3は、本開示の原理および教示を使用する、ガラス基板を処理する1つの例示の方法300を示す。
図3に示された工程の前に、ガラス基板は、どの適切な方法を使用して製造しても差し支えない。一例において、ガラス基板は、フュージョンドロー法を使用して形成することができる。そのガラス基板は、フラットパネルディスプレイに使用するのにどの適切なガラス基板であっても差し支えない。ガラス基板は、例えば、Corning製の「Lotus」NXTガラスなどのアルカリ土類アルミノホウケイ酸塩ガラスであり得る。
【0040】
工程304で、ガラス基板は、所定のエッチング温度に予熱することができる。ガラス基板を所定のエッチング温度に加熱するために、工程304で、どの適切なオーブンまたは加熱源を使用しても差し支えない。
【0041】
工程306で、ガラス基板は、下記にさらに記載されるように、本開示のエッチングプロセスの内の1つを使用してエッチングされる。一例において、工程306でのエッチングプロセスは、ガラス基板20の第二面24をエッチングするために、HFプラズマが使用される大気圧プラズマエッチング(APPE)プロセスである。そのようなプロセスにおいて、先に記載された第二面24の特徴を有するガラス基板20を製造するために、前駆体として、CF4およびH2Oを使用することができる。工程306の最中に、下記にさらに記載されるように、加熱されたガラス基板の第二面を、HFプラズマに曝して、ガラス基板の第二面をエッチングし、第二面24の表面組成を変えて、処理済みガラス基板を形成しながら、加熱されたガラス基板の第一面を空気にさらすことができる。
【0042】
エッチング後、工程308で、ガラス基板を濯ぎ、乾燥させることができる。上述したプロセスまたは性能試験に関して下記に記載されたプロセスなど、どの適切な濯ぎおよび乾燥プロセスを使用しても差し支えない。
【0043】
図4は、ガラス基板20をエッチングする例示の方法400を示す。方法400は、方法300の工程306中に行われることのある1つ以上の工程をさらに詳述することができる。
図5に示されたエッチング装置500は、これから記載される方法400の1つ以上の工程中に使用することができる。しかしながら、
図4および5は、説明目的のためだけに一緒に述べられることを理解すべきである。それぞれ、
図4および5に示された方法400およびエッチング装置500は、下記に記載された具体例以外の実施に使用することができる。
【0044】
工程402で、HFプラズマを1つ以上のプラズマ発生器によって生成することができる。どの適切な発生器を使用しても差し支えない。それに加え、HFプラズマを混合するために流体結合できる2つ以上のプラズマ発生器があり得る。工程404で、プラズマは、エッチング区域に移すことができる。工程406で、プラズマは、エッチング区域内でガラス基板と接触することができる。プラズマがガラス基板と接触している間に、プラズマはガラス基板と相互作用して、先に記載されたようにガラス基板の表面組成に変化を生じさせることができる。それに加え、プラズマと接触したガラス基板の表面は、粗面化されて、先に記載された粗さ特徴を有することができる。工程406で、エッチング区域は、例えば、ガラス基板20の第二面24をプラズマに接触させて、その表面組成および表面の粗さに変化を生じさせつつ、相当量のプラズマがガラス基板20の第一面22に接触するのを防ぐかまたは制限するように作ることができる。このようにして、第二面24は、先に記載された変化を経る一方で、第一面22は、第一面22がフラットパネルディスプレイを製造するための薄膜トランジスタの製造に適したままであるように、プラズマによりほとんど影響を受けない。
【0045】
工程408で、プラズマは、エッチング区域から除去される。例えば、エッチング区域は、プラズマがガラス基板から離され、エッチング区域からそこを通じて取り除かれる排出通路を有し得る。このようにして、プラズマは、エッチング区域を通じて(ガラス基板と接触させられて)循環されて、ガラス基板のエッチングを生じさせることができる。
【0046】
工程410で、エッチング区域から取り除かれたプラズマからプラズマ排出データを収集することができる。どの適切なセンサまたはデータ処理装置を使用しても差し支えない。一例において、フーリエ変換赤外(FT-IR)分光計を使用して、エッチング区域から出るプラズマの特徴についてのデータを収集し、処理することができる。このデータおよび情報を使用して、この過程をモニタし、流量、プラズマ、ガラス基板の搬送速度または他のプロセス属性に調節を行うことができる。図示されていないが、方法400は、同様の他の工程を含んでも差し支えない。そのような追加の工程としては、プロセス中の他の時点でのデータを収集する工程もしくはエッチング区域から出るであろうプラズマを洗浄するまたは他のやり方で処理する工程が挙げられるであろう。
【0047】
方法300および/または方法400の工程は、コンピュータ実行プログラムまたは他の処理装置によって行われることがある。データ収集および解析も、スクリーンまたは他の出力装置に出力することができる。ここに記載された方法およびシステムは、コンピュータ実行プロセスおよびそれらのプロセスを実施するための装置の携帯で、少なくとも部分的に具体化されることがある。開示された方法は、コンピュータプログラムコードで符号化された有形的非一時的機械可読記憶媒体の携帯で少なくとも部分的に具体化されることもある。媒体の例としては、RAM、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、BD-ROM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、または任意の他の非一時的機械可読記憶媒体、もしくはこれらの媒体の任意の組合せが挙げられることがあり、ここで、コンピュータプログラムコードがコンピュータにロードされ、実行されるときに、そのコンピュータは、この方法を実施するための装置となる。この方法は、コンピュータプログラムコードがロードされる、および/または実行されるコンピュータの形態で少なくとも部分的に具体化されることがあり、よって、そのコンピュータは、この方法を実行するため装置となる。汎用プロセッサに実装される場合、そのコンピュータプログラムコードセグメントは、特定論理回路を作成するようにプロセッサを構成する。この方法は、代わりに、この方法を実施するための特定用途向け集積回路から形成されたデジタルシグナルプロセッサにおいて少なくとも部分的に具体化されることがある。
【0048】
図5は、例示のエッチング装置500を示す。図から分かるように、エッチング装置500は、発生器502、ノズル504および検出器508を備えることができる。エッチング装置500は、一例において、先に記載された方法400において使用することができる。発生器502は、HFプラズマを生成するためのプラズマ発生器など、どの適切な発生器であっても差し支えない。他の例において、HF蒸気を生成するための他の措置も使用することができる。発生器502は、投入通路512によってノズルに流体接続することができる。図示されたような投入通路512により、
図5に矢印で示されるように、プラズマを発生器502からノズル中に移動させることができる。プラズマは、ノズル504内に配置されたガラス基板20に向かって移動することができる。図示された例において、ガラス基板20は、そのガラス基板の第二面24が投入通路512の反対に位置付けられるように配置することができる。このようにして、プラズマは、エッチングチャンバ516に流入したときに、ガラス基板20の第二面24と接触することができる。
【0049】
さらに示されるように、そのノズルは、排出通路514にも流体接続されている。プラズマは、排出通路514を通じてエッチングチャンバ516から出ることができる。一例において、排出通路514を真空に引いて、プラズマが、投入通路512からエッチングチャンバ516を通って排出通路514から流出することができる。この構成において、ガラス基板20の第二面24がプラズマに曝されて、第二面24のエッチングが行われる。図示された例において、ガラス基板20は、ローラ510によって、エッチングチャンバ516内に支持することができる。ローラ510は、エッチングチャンバ516の互いに反対の端部に配置することができ、エッチングチャンバ516のそれらの端部を封止して、プラズマがエッチングチャンバから漏れるのを防ぐおよび/または制限することができる。さらに示されるように、ローラ510間の第二面24の部分は、支持されずに、または他の中間部材が第二面24と接触せずに、エッチングのためにプラズマに曝される。そのような構成は、第二面24の一貫したエッチングおよび一貫した表面特徴をもたらすことができる。
【0050】
先に記載されたエッチング装置500の構成は、ガラス基板20の第一面22が相当量のプラズマまたはHF蒸気に曝されるのを制限するおよび/または防ぐ。ガラス基板20の第一面22は空気にさらされている。いくらかの空気が第一面22から第二面24に向かって(そして、排出通路514を通じて)流れるかもしれないが、プラズマは、第一面22の上と、第二面24の下のノズル504の領域間の圧力差を考慮すると、第一面22に向かって移動するのが制限される。
【0051】
さらに示されるように、排出通路514は、検出器508に接続することができる。検出器508は、どの適切なセンサおよび/またはデータ収集および解析装置ユニットであっても差し支えない。例えば、検出器508は、エッチングチャンバ516から出るプラズマの特徴についてのデータを収集し、処理するために使用できるフーリエ変換赤外(FT-IR)分光計であり得る。他の例において、他のセンサまたはデータ収集ユニットを使用しても差し支えない。
【0052】
先に記載された方法および装置の実施により、先に記載された特徴を有するガラス基板が得られる。この表面組成および増加した粗さにより、本開示の原理および教示を使用してエッチングされていないガラス基板より減少した静電帯電を有するガラス基板20が得られる。本開示のエッチングされたガラス基板20は、従来のウェットエッチングプロセスを使用してエッチングされたガラス基板より、減少した静電帯電および減少した摩擦も示す。そのようなウェットエッチングプロセスの一つは、Belscher等の米国特許第5792327号明細書に記載されているような、NaFおよびH3PO4を使用するプロセスである。
【0053】
例示のガラス基板-性能試験
例示のガラス基板を、本開示のAPPEプロセスであるドライエッチングをエッチングし、表面特徴の変化および結果としての静電帯電の改善を決定するために試験した。アルカリ土類アルミノホウケイ酸塩ガラスであるCorning製の「Lotus」NXTガラスを使用して、試験試料を調製した。それらの試料に、先に記載されたプロセスと実質的に類似のAPPEプロセスであるドライエッチングを手作業で施し、洗浄剤を使用せずに、濯ぎ、エアーナイフで乾燥させた。下記の説明の目的のために、これらの試料は「APPE」試料と称される。これらのAPPE試料は、試料の内のいくつかが約1.0nmの粗さRaを示すように処理した(「APPE 1.0」と称される)。他のAPPE試料は、約0.6nmの粗さRaを示すように処理した(「APPE 0.6」と称される)。
【0054】
他のガラスの比較試料を、ドライエッチングプロセスを使用して処理せずに、上述したように処理した。そのような試料は、下記の説明の目的のために、「未処理」試料と称される。他のガラスの比較試料を、上述したように処理したが、Belscher等の米国特許第5792327号明細書に記載されたウェットエッチングプロセスを使用してエッチングされた。下記の説明の目的のために、これらの試料は、「ウェットエッチングされた」試料と称される。
【0055】
フラットパネルディスプレイの製造中に、ガラス製造施設から次の製造施設までガラス基板を出荷する最中に通常行われる梱包および輸送をシミュレーションするために、未処理の試料およびウェットエッチングした試料を、梱包し、振動させた。試料は、間紙の包装用紙(例えば、特種東海製紙株式会社により製造されているGCIP D紙)の隣に梱包し、次いで、周囲湿度で、Telecordia GR-63基準(例えば、Section 4.4.5からのTelecordia GR-63 Transporation Vibration)を使用し、通常の梱包および輸送に典型的に見られる圧力をシミュレーションするために発生させられた圧力を使用して、2時間に亘り振動させた。振動試験のさらなる詳細が、パワースペクトル密度(PSD)対周波数を示す
図6から分かる。
【0056】
次に、APPE試料、未処理の試料およびウェットエッチングした試料の梱包を解き、洗浄し、次いで、回転させ、濯ぎ、乾燥させた。この洗浄過程は、超音波を使用して、50℃で10分間に亘り、1%のSemiclean KG洗浄剤(横浜油脂工業株式会社により製造されている)の洗浄化学作用により試料を洗浄し、その後、脱イオン水で濯ぐ工程を含んだ。この洗浄化学作用は、試料の表面の化学的性質を変えられることに留意すべきである。
【0057】
次に、試料にリフト試験を行って、試料の表面荷電特性を決定した。ここに用いられているように、リフト試験(Lift Test)は、下記に記載されるようなガラス基板またはガラス試料の試験過程を称する。リフト試験は、フラットパネルディスプレイ製造過程におけるガラス基板の搬送および/または処理の最中に使用される一般的な機器である真空チャック台上で行われた。リフト試験装置は、絶縁陽極酸化被覆を有するアルミニウムから製造され、より小さい正方形の内部真空通路を有する正方形外周真空通路を備えた。ガラス試料が真空チャックと接触しているときに達成された真空レベルは、約-83kPaであった。ガラス試料は、4インチ×4インチ(約10cm×10cm)のサイズであり、真空チャックの上に降下させ、丸みを帯びた絶縁Vespelピンを使用して、真空チャックから上昇させた。
【0058】
静電荷は、ガラス基板を上昇させ、真空チャックから降下されるときに、通常生じる。電荷は、ガラスがチャックから反対に引っ張られ、真空通路のエッジ近くで変形し、チャックのエッジで擦れるときに、摩擦帯電によっても生成し得る。処理中のこの効果をシミュレーションするために、ガラス試料を、10mm/秒の速度で、6回、降下させ、真空チャックから上昇させた。接触分離の60秒後、ガラスの電圧を測定するために、ガラス電圧測定センサを使用した。このガラス電圧センサは、ガラスから10mmの距離に位置指定おり、真空チャックから上昇させ、降下させるときのガラスの運動と共に、追跡した。ガラス試料の各サイクル中に、ガラス電圧を記録した。次に、各サイクル中に記録した電圧を使用して、平均ガラス電圧を計算した。各ガラス試料に関する平均ガラス電圧が、下記の表1に示されている。それに加え、ガラス試料電圧の統計的分析が、
図7に示されており、これは、APPE試料、ウェットエッチングした試料および未処理の試料が、互いから、統計的に有意であることを示す。
【0059】
【0060】
以上のように、本開示のエッチングプロセスを使用して処理されたAPPE試料は、ウェットエッチングした試料および未処理の試料を上回る、静電帯電の著しい改善を示した。APPE試料は、未処理の試料を上回る66%の改善およびウェットエッチングした試料を上回る38%の改善を示す。
【0061】
APPE試料、ウェットエッチングした試料、および未処理の試料の表面組成も、XPSおよびTOF SIMSを使用して分析して、ケイ素と比べた主要ガラス元素比およびフッ素の濃度に関する、ガラス表面組成を決定した。TOF SIMSキャラクタリゼーション法を使用して、1nmの深さまで試験試料の表面組成を決定した。XPSキャラクタリゼーション法を使用して、10nmの深さまで試験試料の表面組成を決定した。表面組成試験の結果が、下記の表2に示されている。元素比およびF濃度の値も、未処理の試料からの差異を示すために、未処理の試料に対して正規化した。
【0062】
【0063】
以上のように、APPE試料は、未処理の試料のものを上回る、Al/Si、Mg/Si、Ca/Si比、およびF濃度の変化を示す。ガラス表面のそのような組成変化並びに増加した粗さは、表1に先に記載された静電帯電の減少を示すことが分かる。
【0064】
本開示のAPPEプロセスであるドライエッチングを施した後に、試験試料のヘイズが増加したか否かを判定するためにも、試験試料を試験した。ヘイズは、全ての試料について、非常に低い、および/または存在しないと、主観的に判定された。試料は、RKY Haze Gard Plus、Model 4725も使用して、測定した。測定値が、下記の表3に示されている。
【0065】
【0066】
以上のように、ヘイズは、著しくは増加しなかった。APPE試料のヘイズは、4%を超えて増加しなかった。
【0067】
例示の実施の形態のこの説明は、記載された説明全体の一部と考えられるべき、添付図面と共に読まれることが意図されている。説明において、「下側」、「上側」、「水平」、「垂直」、「より上」、「より下」、「上」、「下」、「上部」、および「底部」、並びにその派生語(例えば、「水平に」、「下方に」、「上方に」など)などの相対語は、その次に記載されたような、または議論されている図面に示されたような、向きを称すると考えるべきである。これらの相対語は、説明の便宜のためであり、装置が、特定の向きに構築されるまたは作動されることを必要としない。「接続された」および「相互接続された」などの、取付け、連結などに関する用語は、特に明記のない限り、構造が、直接的に、または介在構造により間接的にのいずれかで、互いに固定されている、または取り付けられている関係、並びに可動性または剛性取付または関係の両方を称する。
【0068】
下記の説明の目的のために、下記に記載された実施の形態は、代わりのバリエーションおよび実施の形態を想定することがあることを理解すべきである。ここに記載された特定の物品、組成、および/またはプロセスは、例示であり、限定と考えるべきではないことも理解すべきである。
【0069】
本開示において、名詞は、複数の対象を含み、特定の数値への言及は、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、少なくともその特定の値を含む。値が、先行詞「約」を使用して、近似として表されている場合、その特定の値は、別の実施の形態を形成することが理解されよう。ここに用いられているように、「約X」(ここで、Xは数値である)は、包括的で、列挙された値の±10%を指すことが好ましい。例えば、「約8」という句は、包括的で、7.2から8.8の値を指す。ここに用いられているように、「に実質的に類似」は、比較された特徴を特徴付けるために使用された値の±10%を指す。有する場合、全ての範囲は、包括的で、組合せ可能である。例えば、「1から5」の範囲が挙げられている場合、列挙される範囲は、範囲「1から4」、「1から3」、「1~2」、「1~2および4~5」、「1~3および5」、「2~5」などを含むと考えるべきである。それに加え、選択肢のリストが肯定的に与えられている場合、そのようなリストは、選択肢のいずれが、例えば、請求項における否定的な限定により、排除されてもよいことを意味すると解釈することができる。例えば、「1から5」の範囲が挙げられている場合、挙げられた範囲は、それにより、1、2、3、4、または5のいずれが否定的に排除される状況を含むと解釈されることがある;それゆえ、「1から5」の列挙は、「1および3~5であるが、2ではない」、もしくは単純に、「2は含まれない」と考えられることがある。ここに肯定的に挙げられているどの成分、元素、属性、または工程も、そのような成分、元素、属性、または工程が選択肢として列挙していようとなかろうと、またはそれらが孤立してあげられていようとなかろうと、請求項において明白に排除されることがあることが意図されている。
【0070】
主題を、例示の実施の形態に関して記載してきたが、それらには限定されない。そうではなく、付随の特許請求の範囲は、当業者により考えられるであろう、他の変種および実施の形態を含むために、広く解釈されるべきである。
【0071】
以下、本発明の実施形態を項分け記載する。
【0072】
実施形態1
フラットパネルディスプレイ用の処理済みガラス基板であって、該処理済みガラス基板は、複数の薄膜トランジスタを保持するように作られた第一面および該第一面と反対にある該ガラス基板の面に位置する第二面を有し、該第二面は、該第二面の表面組成を変えるためにドライエッチングプロセスを使用して処理され、該第二面の表面組成は、約1nmの第1の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約38%から約42%の範囲にある該第1の深さまでの第1のAl/Si比、および約10nmの第2の深さまでの前記未処理のガラス基板の表面組成の約71%から約73%の範囲にある該第2の深さまでの第2のAl/Si比を有する、処理済みガラス基板。
【0073】
実施形態2
前記ガラス基板が、アルミノホウケイ酸塩ガラスから作られる、実施形態1に記載の処理済みガラス基板。
【0074】
実施形態3
前記ドライエッチングプロセスが、大気圧プラズマエッチング(APPE)プロセスである、実施形態1に記載の処理済みガラス基板。
【0075】
実施形態4
前記第一面の表面組成が、前記未処理のガラス基板の表面組成と実質的に似ている、実施形態1に記載の処理済みガラス基板。
【0076】
実施形態5
前記第二面の表面組成が、前記第1の深さまでの前記未処理のガラス基板の表面組成の約72%から約81%の範囲にある該第1の深さまでの第1のMg/Si比を有し、該第二面の表面組成が、前記第2の深さまでの該未処理のガラス基板の表面組成の約72%から約81%の範囲にある該第2の深さまでの第2のMg/Si比を有する、実施形態1に記載の処理済みガラス基板。
【0077】
実施形態6
前記第二面の表面組成が、前記第1の深さまでの前記未処理のガラス基板の表面組成の約33%から約34%の範囲にある該第1の深さまでの第1のCa/Si比を有し、該第二面の表面組成は、前記第2の深さまでの該未処理のガラス基板の表面組成の約77%から約99%の範囲にある該第2の深さまでの第2のCa/Si比を有する、実施形態1に記載の処理済みガラス基板。
【0078】
実施形態7
前記第二面の表面組成が、前記第1の深さまでの前記未処理のガラス基板の表面組成のフッ素の濃度の約290%から約330%の範囲にある該第1の深さまでのフッ素の濃度を有する、実施形態1に記載の処理済みガラス基板。
【0079】
実施形態8
前記第二面の平均粗さRaが、約0.6nmから約1nmの範囲にある、実施形態1に記載の処理済みガラス基板。
【0080】
実施形態9
前記処理済みガラス基板の平均ガラス電圧が、真空チャックからリフト試験されたときに、前記未処理のガラス基板の平均ガラス電圧と比較して、少なくとも約50%減少している、実施形態1に記載の処理済みガラス基板。
【0081】
実施形態10
前記処理済みガラス基板が、間紙に隣接して梱包され、少なくとも2時間に亘り振動させられ、約1%の洗浄剤を含む溶液を使用して洗浄された後、前記未処理のガラス基板の平均ガラス電圧と比較して、少なくとも約50%の平均ガラス電圧の減少が示される、実施形態9に記載の処理済みガラス基板。
【0082】
実施形態11
前記処理済みガラス基板のヘイズが、前記未処理のガラス基板のヘイズよりも約10%以下しか大きくない、実施形態1に記載の処理済みガラス基板。
【0083】
実施形態12
フラットパネルディスプレイ用の処理済みガラス基板であって、該処理済みガラス基板は、複数の薄膜トランジスタを保持するように作られた第一面および該第一面と反対にある該ガラス基板の面に位置する第二面を有し、該第二面は、該第二面の表面組成を変えるためにドライエッチングプロセスを使用して処理され、該第二面の表面組成は、約1nmの第1の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約72%から約81%の範囲にある該第1の深さまでの第1のMg/Si比、および約10nmの第2の深さまでの前記未処理のガラス基板の表面組成の約72%から約81%の範囲にある該第2の深さまでの第2のMg/Si比を有する、処理済みガラス基板。
【0084】
実施形態13
前記第二面の平均粗さRaが、約0.6nmから約1nmの範囲にある、実施形態12に記載の処理済みガラス基板。
【0085】
実施形態14
前記処理済みガラス基板の平均ガラス電圧が、真空チャックからリフト試験されたときに、前記未処理のガラス基板の平均ガラス電圧と比較して、少なくとも約50%減少している、実施形態12に記載の処理済みガラス基板。
【0086】
実施形態15
前記処理済みガラス基板が、間紙に隣接して梱包され、少なくとも2時間に亘り振動させられ、約1%の洗浄剤を含む溶液を使用して洗浄された後、前記未処理のガラス基板の平均ガラス電圧と比較して、少なくとも約50%の平均ガラス電圧の減少が示される、実施形態12に記載の処理済みガラス基板。
【0087】
実施形態16
前記処理済みガラス基板のヘイズが、前記未処理のガラス基板のヘイズよりも約10%以下しか大きくない、実施形態12に記載の処理済みガラス基板。
【0088】
実施形態17
フラットパネルディスプレイ用の処理済みガラス基板であって、該処理済みガラス基板は、複数の薄膜トランジスタを保持するように作られた第一面および該第一面と反対にある該ガラス基板の面に位置する第二面を有し、該第二面は、該第二面の表面組成を変えるためにドライエッチングプロセスを使用して処理され、該表面組成は、約1nmの第1の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約33%から約34%の範囲にある該第1の深さまでの第1のCa/Si比、および約10nmの第2の深さまでの前記未処理のガラス基板の表面組成の約77%から約99%の範囲にある該第2の深さまでの第2のCa/Si比を有する、処理済みガラス基板。
【0089】
実施形態18
前記第二面の平均粗さRaが、約0.6nmから約1nmの範囲にある、実施形態17に記載の処理済みガラス基板。
【0090】
実施形態19
前記処理済みガラス基板の平均ガラス電圧が、真空チャックからリフト試験されたときに、前記未処理のガラス基板の平均ガラス電圧と比較して、少なくとも約50%減少している、実施形態17に記載の処理済みガラス基板。
【0091】
実施形態20
前記処理済みガラス基板のヘイズが、前記未処理のガラス基板のヘイズよりも約10%以下しか大きくない、実施形態17に記載の処理済みガラス基板。
【0092】
実施形態21
フラットパネルディスプレイ用の処理済みガラス基板であって、該処理済みガラス基板は、複数の薄膜トランジスタを保持するように作られた第一面および該第一面と反対にある該ガラス基板の面に位置する第二面を有し、該第二面は、該第二面の表面組成を変えるためにドライエッチングプロセスを使用して処理され、該第二面の表面組成は、約1nmの第1の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約290%から約330%の範囲にある該第1の深さまでのフッ素の濃度を有する、処理済みガラス基板。
【0093】
実施形態22
前記第二面の平均粗さRaが、約0.6nmから約1nmの範囲にある、実施形態21に記載の処理済みガラス基板。
【0094】
実施形態23
前記処理済みガラス基板の平均ガラス電圧が、真空チャックからリフト試験されたときに、前記未処理のガラス基板の平均ガラス電圧と比較して、少なくとも約50%減少している、実施形態21に記載の処理済みガラス基板。
【0095】
実施形態24
前記処理済みガラス基板のヘイズが、前記未処理のガラス基板のヘイズよりも約10%以下しか大きくない、実施形態21に記載の処理済みガラス基板。
【0096】
実施形態25
フラットパネルディスプレイ用の処理済みガラス基板を製造する方法において、
ガラス基板を所定の処理温度に加熱する工程、および
加熱された前記ガラス基板の第一面を空気に曝露しつつ、該加熱されたガラス基板の第二面をHFプラズマに曝露して、該ガラス基板の第二面をエッチングし、該第二面の表面組成を変えて、処理済みガラス基板を形成する工程、
を含み、
前記処理済みガラス基板の第二面の表面組成は、約1nmの第1の深さまでの未処理のガラス基板の表面組成の約38%から約42%の範囲にある該第1の深さでの第1のAl/Si比を有し、該処理済みガラス基板の第二面の表面組成は、約10nmの第2の深さまでの前記未処理のガラス基板の表面組成の約71%から約73%の範囲にある該第2の深さまでの第2のAl/Si比を有する、方法。
【0097】
実施形態26
前記処理済みガラス基板の第一面が、前記未処理のガラス基板の表面組成と実質的に似ている表面組成を有する、実施形態25に記載の方法。
【0098】
実施形態27
前記処理済みガラス基板の第二面の表面組成が、前記第1の深さまでの前記未処理のガラス基板の表面組成の約72%から約81%の範囲にある該第1の深さまでの第1のMg/Si比を有し、該処理済みガラス基板の第二面の表面組成が、前記第2の深さまでの該未処理のガラス基板の表面組成の約72%から約81%の範囲にある該第2の深さまでの第2のMg/Si比を有する、実施形態25に記載の方法。
【0099】
実施形態28
前記処理済みガラス基板の第二面の表面組成が、前記第1の深さまでの前記未処理のガラス基板の表面組成の約33%から約34%の範囲にある該第1の深さまでの第1のCa/Si比を有し、該処理済みガラス基板の第二面の表面組成は、前記第2の深さまでの該未処理のガラス基板の表面組成の約77%から約99%の範囲にある該第2の深さまでの第2のCa/Si比を有する、実施形態25に記載の方法。
【0100】
実施形態29
前記処理済みガラス基板の第二面の表面組成が、前記第1の深さまでの前記未処理のガラス基板の表面組成のフッ素の濃度の約290%から約330%の範囲にある該第1の深さまでのフッ素の濃度を有する、実施形態25に記載の方法。
【0101】
実施形態30
前記第二面の平均粗さRaが、約0.6nmから約1nmの範囲にある、実施形態25に記載の方法。
【0102】
実施形態31
前記処理済みガラス基板の平均ガラス電圧が、真空チャックからリフト試験されたときに、前記未処理のガラス基板の平均ガラス電圧と比較して、少なくとも約50%減少している、実施形態25に記載の方法。
【0103】
実施形態32
前記処理済みガラス基板が、間紙に隣接して梱包され、少なくとも2時間に亘り振動させられ、約1%の洗浄剤を含む溶液を使用して洗浄された後、前記未処理のガラス基板の平均ガラス電圧と比較して、少なくとも約50%の平均ガラス電圧の減少が示される、実施形態25に記載の方法。
【0104】
実施形態33
前記処理済みガラス基板のヘイズが、前記未処理のガラス基板のヘイズよりも約10%以下しか大きくない、実施形態25に記載の方法。
【符号の説明】
【0105】
20 ガラス基板
22 第一面またはA側
24 第二面またはB側
26 外面
500 エッチング装置
502 発生器
504 ノズル
508 検出器
510 ローラ
512 投入通路
514 排出通路
516 エッチングチャンバ
【国際調査報告】