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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】光クロス装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/30 20060101AFI20221007BHJP
   G02B 6/35 20060101ALI20221007BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20221007BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
G02B6/30
G02B6/35
G02B6/32
G02B6/125
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506183
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 CN2020106191
(87)【国際公開番号】W WO2021018286
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】201910702129.X
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100132481
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 克豪
(74)【代理人】
【識別番号】100115635
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 郁大
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲謙▼
(72)【発明者】
【氏名】廖 永平
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 杰
【テーマコード(参考)】
2H137
2H141
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AB09
2H137BA15
2H137BA31
2H137BA58
2H137BC02
2H137BC07
2H137BC08
2H137BC14
2H137EA03
2H141MA19
2H141MB24
2H141ME01
2H141ME13
2H147BD01
2H147BD02
2H147BD05
2H147CA05
2H147CA08
2H147CD02
2H147CD12
2H147FB02
2H147FC09
2H147FE04
2H147GA10
2H147GA19
(57)【要約】
複数の光クロス解決手段を提供し、処理コストを低減し、結合ロスを削減するための光クロス装置(400)が提供される。光クロス装置(400)は、単一行ファイバアレイ(401)と、単一行入力多次元出力光導波路要素(402)とを含む。単一行ファイバアレイ(401)は、単一行入力多次元出力光導波路要素(402)に結合され、任意に曲げられる空間的三次元導波路が、単一行入力多次元出力光導波路要素(402)の内部に作成され、単一行ファイバアレイ(401)の結合面は、単一行入力多次元出力光導波路要素(402)のものと同じである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一行ファイバアレイと、単一行入力多次元出力光導波路要素とを含む光クロス装置であって、
前記単一行ファイバアレイは、前記単一行入力多次元出力光導波路要素に結合され、任意に曲げられる空間的三次元導波路が、前記単一行入力多次元出力光導波路要素の内部に作成され、
前記単一行ファイバアレイの結合面は、前記単一行入力多次元出力光導波路要素のものと同じである、光クロス装置。
【請求項2】
前記単一行入力多次元出力光導波路要素の光アウトレットの面は、マイクロレンズを作成するようにフェムト秒レーザ処理方式で処理され、前記マイクロレンズアレイは、ビーム成形を実行するように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記単一行入力多次元出力光導波路要素の内部の前記空間的三次元導波路は、フェムト秒レーザ処理方式で作成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記単一行入力多次元出力光導波路要素の光アウトレットの組み合わせ形態は、それらに限定されないが、2つ以上の行、非均一分布、傾斜分布、又は高密度配置を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
単一行ファイバアレイと単一行入力多次元出力光導波路要素とを含む光クロス装置に適用される光パストレーシング方法であって、
前記単一行ファイバアレイは、前記単一行入力多次元出力光導波路要素に結合され、任意に曲げられる空間的三次元導波路が、前記単一行入力多次元出力光導波路要素の内部に作成され、前記単一行ファイバアレイの結合面は、前記単一行入力多次元出力光導波路要素のものと同じであり、
前記方法は、
前記単一行ファイバアレイの単一行光インレットからの光信号を入力すること、及び前記単一行ファイバアレイの単一行光アウトレットからの前記光信号を、前記単一行入力多次元出力光導波路要素の単一行入力ポートに出力することと、
前記単一行入力多次元出力光導波路要素の内部の前記空間的三次元導波路の光パスからの前記光信号を、前記単一行入力多次元出力光導波路の光アウトレットへと伝送することと、
を含む、光パストレーシング方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の前記光クロス装置と、レンズシステムと、光スイッチングシステムとを含む、光クロスデバイスであって、
前記光クロス装置は、光信号を受信し、前記光信号を前記レンズシステムに出力するように構成され、前記レンズシステムは、前記光信号が伝送される光パスを成形するように構成され、前記光スイッチングシステムは、前記光信号の出力ポートをスイッチする、光クロスデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2019年7月31日に中国国家産権局に提出された、「OPTICAL CROSS APPARATUS」と題された中国特許出願第201910702129.X号の優先権を主張し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
この出願は、光通信の分野、特に、光クロス装置に関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバ通信技術の急速な発展に伴い、1つの波長のみを前もって伝送できる光ファイバが、現在は、40又はそれ以上の波長を伝送でき、各波長の伝送速度は大きく増大している。密波長分割多重技術において、全体として増幅されて1つの光ファイバで伝送されるように複数の波長が集成される。このようにすることで、既存の光ファイバ伝送装置をアップグレードすることなく、伝送容量が大きく増大する。将来の全光ネットワークは、密波長分割多重技術に基づくものになりうる。光クロスシステムは、密波長分割多重全光ネットワークにおけるコアデバイスであり、高速電気伝送ネットワーク内の各ノード上で、光から電気への及び電気から光への変換によって引き起こされる電気的なボトルネックを回避でき、それにより、高信頼性、大容量、及び高フレキシブル伝送を実装する。光クロスシステムは、組み込み型の光スイッチングエンジンを利用することによって、異なる光ポート間のスイッチングを実装する。光クロス装置において、そのような光ポート間のスイッチングを実装するために、現在、光ポートが、通常、図1又は図2に示した方法を利用することによって作成される。
【0004】
図1に示した光クロス装置においては、2つの1次元ファイバアレイが並べて一緒に結合され、1つの2次元光アウトレットポートを形成する。図2に示した光クロス装置においては、光クロス装置の各光パスが、シリコン材料又はガラス材料に穴を空けることによって作成され、光ファイバが、それら抜き穴を通って2次元光アウトレットポートを形成する。
【0005】
その結果、光クロス装置の光クロス解決手段は固定され、処理コストが比較的高い。
【発明の概要】
【0006】
この出願の実施形態は、複数の光クロス解決手段を提供し、処理コストを低減し、結合ロスを取り除くための光クロス装置を提供する。
【0007】
第1の態様によれば、この出願の実施形態は、光クロス装置を提供する。光クロス装置は、単一行ファイバアレイ(a single-row fiber array)と、単一行入力多次元出力光導波路要素(a single-row input multidimensional output optical waveguide element)とを含み、単一行ファイバアレイは、単一行入力多次元出力光導波路要素に結合され、任意に曲げられる空間的三次元導波路が、単一行入力多次元出力光導波路要素の内部に作成され、単一行ファイバアレイの結合面は、単一行入力多次元出力光導波路要素のものと同じである。
【0008】
単一行ファイバアレイの結合面及び単一行入力多次元出力光導波路要素の結合面上で、単一行ファイバアレイに含まれる光アウトレットの数量は、単一行入力多次元出力光導波路に含まれる光インレットの数量と同じであり、結合後、スムーズに光信号を伝送するために、位置も一対一に対応していると理解されうる。
【0009】
この実施形態で提供される光クロス装置において、任意に曲げられる空間的三次元導波路は、単一行入力多次元出力光導波路要素の内部に存在する。結果として、光導波路要素の光アウトレットは任意に結合でき、それによって、光クロス装置は、複数の光クロス解決手段を実装することができる。加えて、光導波路要素の内部の空間的三次元導波路は、任意に設計されて、1ステップ成形を通じて成形され、光クロス装置の処理コストを低減することができる。
【0010】
任意選択で、単一行入力多次元出力光導波路要素の光アウトレットの面は、マイクロレンズを作成するようにフェムト秒レーザ処理方式で処理され、マイクロレンズアレイは、光アウトレットから出力されるビーム上でのビーム成形を実行するように構成される。この実施形態において、光導波路要素の光アウトレットは、マイクロレンズを作成するようにフェムト秒レーザ処理方式における1ステップ成形を通じて処理され、それによって、マイクロレンズと、光導波路要素の光アウトレットとの間にギャップが残らず、もはや結合ロスはもたらされない。
【0011】
任意選択で、単一行入力多次元出力光導波路要素の内部の空間的三次元導波路は、フェムト秒レーザ処理方式で作成される。この実施形態において、光導波路要素の内部の空間的三次元導波路がフェムト秒レーザ処理方式を利用するとき、光導波路要素の処理が容易化でき、それによって、処理方法がより簡単になり、処理コストが低減される。加えて、フェムト秒レーザ処理が実行された後、処理後の光アウトレット間の距離はミクロンレベルに達し、高密度光射出を実装して、高密度及びマルチポート光クロスシステムのための解決手段を提供することができる。加えて、光導波路要素内の空間的導波路のパス位置は、ミクロン未満のレベルの精度に達し、光クロス装置の欠陥修正効率を大きく改善することができる。
【0012】
任意選択で、単一行入力多次元出力光導波路要素の光アウトレットの組み合わせ形態は、それらに限定されないが、2つ以上の行、非均一分布、傾斜分布、又は高密度配置を含む。この実施形態において、複数の組み合わせ方式が、単一行入力多次元出力光導波路要素の光アウトレットについて作成され、それによって、光クロス装置は、複数の光クロス解決手段を実装することができる。
【0013】
第2の態様によれば、第1の態様における光クロス装置に基づいて、光クロス装置における光信号の伝送パスは、以下のようになる。光信号は、単一行ファイバアレイの単一行光インレットから入り、単一行ファイバアレイの単一行光アウトレットから、単一行入力多次元出力光導波路要素の単一行入力ポートへと出力され、また、光信号は、単一行入力多次元出力光導波路要素の内部の空間的三次元導波路の光パスから、単一行入力多次元出力光導波路の光アウトレットへと伝送される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】光クロス装置の模式図である。
図2】他の光クロス装置の模式図である。
図3】この出願の実施形態による、光クロスシステムの適用アーキティクチャ図である。
図4】この出願のこの実施形態による、光クロス装置の模式図である。
図5】この出願のこの実施形態による、光クロス装置の他の模式図である。
図6】この出願のこの実施形態による、光導波路要素の光アウトレットの組み合わせの模式図である。
図7】この出願のこの実施形態による、光導波路要素の光アウトレットの組み合わせの他の模式図である。
図8】この出願のこの実施形態による、光導波路要素の光アウトレットの表面上のマイクロレンズの模式図である。
図9】この出願のこの実施形態による、光導波路要素の導波路パスの処理の模式図である。
図10】この出願のこの実施形態による、光クロスデバイスの実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この出願のこの実施形態は、複数の光クロス解決手段を提供し、処理コストを低減し、結合ロスを取り除くための光クロス装置を提供する。
【0016】
この出願の明細書、特許請求の範囲、及び添付図面において、用語「第1の」、「第2の」など(存在する場合)は、類似の対象物を区別することを意図しており、必ずしも特定の順序又はシーケンスを示すものではない。そのような方法で表記されたデータは、本明細書で説明される実施形態が、本明細書で示され又は説明された順序以外の他の順序で実装できるように、適切な環境で置き換え可能であると理解されるべきである。さらに、用語「含む」、「包含する」及び他のいかなる変形も、非排他的な含有物、例えば、ステップ又はユニットのリストを含むが、必ずしもそれらのユニットに限定されない、プロセス、方法、システム、製品、又はデバイスをカバーすることを意味するが、そのようなプロセス、方法、製品、又はデバイスに明確に列挙又は内在していない他のステップ又はユニットを含んでよい。
【0017】
光ファイバ通信技術の急速な発展に伴い、前もって1つの波長のみを伝送できる光ファイバが、現在は、40又はそれ以上の波長を伝送でき、各波長の伝送速度は大きく増大している。密波長分割多重技術において、全体として増幅されて1つの光ファイバで伝送されるように複数の波長が集成される。このようにすることで、既存の光ファイバ伝送装置をアップグレードすることなく、伝送容量が大きく増大する。将来の全光ネットワークは、密波長分割多重技術に基づくものになりうる。光クロスシステムは、密波長分割多重全光ネットワークにおけるコアデバイスであり、高速電気伝送ネットワーク内の各ノード上で、光から電気への及び電気から光への変換によって引き起こされる電気的なボトルネックを回避でき、それにより、高信頼性、大容量、及び高フレキシブル伝送を実装する。光クロスシステム(光クロス装置とも称される)は、組み込み型の光スイッチングエンジンを利用することによって、異なる光ポート間のスイッチングを実装する。光クロスシステムの具体的な適用シナリオが図3に示されている。光信号は、入力端を利用することによって光クロス装置へと出力され、次いで、光クロス装置は、単一行入力光信号を多次元出力ビームに変え、ビームをフレア成形システムへと伝送し、フレア成形システムは、ビームを成形し、光信号分散システムを利用することによって光ファイバ信号上で分散補償が実行された後、次いで、チャネルスイッチングが実行され、最後に、光信号は、出力端を利用することによって出力され、出力端の光ファイバに接続される。
【0018】
図4に示すように、この出願の実施形態は、単一行ファイバアレイ401と、単一行入力多次元出力光導波路要素402とを含む光クロス装置400を提供し、単一行ファイバアレイ401は、単一行入力多次元出力光導波路要素402に結合され、任意に曲げられる空間的三次元導波路が、単一行入力多次元出力光導波路要素402の内部に作成され、単一行ファイバアレイ401の結合面は、単一行入力多次元出力光導波路要素402のものと同じである。
【0019】
この実施形態において、単一行ファイバアレイ401の結合面、及び単一行入力多次元出力光導波路要素402の結合面上で、単一行ファイバアレイ401に含まれる光アウトレットの数量は、単一行入力多次元出力光導波路402に含まれる光インレットの数量と同じであり、結合後、光信号をスムーズに伝送するために、位置も一対一に対応する。
【0020】
図5に示すように、単一行ファイバアレイ401が5個の光アウトレットを含み、単一行入力多次元出力光導波路要素402が、光アウトレットの位置で5行2列の組み合わせを形成する10個の光インレットを含むと仮定すると、光クロス装置400が組み立てられるとき、単一行ファイバアレイ401の光アウトレットの数量が、単一行入力多次元出力光導波路要素402の光インレットのものと同じになり、かつ位置が一対一に対応するために、2つの単一行ファイバアレイ401が必要になる。
【0021】
任意に曲げることができる空間的三次元導波路のパスが、単一行入力多次元出力光導波路要素402の内部に存在するため、単一行入力多次元出力光導波路要素402の光アウトレットについて、任意の組み合わせが作成できる。図6に示すように、単一行入力多次元出力光導波路要素402の光アウトレットの組み合わせは、それに限定されないが、2行以上のポート、非均一分布のポート、傾斜分布のポート、又は高密度配置のポートを含む。具体的な組み合わせ方式は、具体的な要件が満たされる限り、ここでは限定されない。単一行入力多次元出力光導波路要素402は、単一行入力複行出力を超えるものを実行(即ち、2次元光アウトレットを作成)できると理解されうる。単一行入力多次元出力光導波路要素402が立方体であるため、光出力は、光アウトレットを作成するために、単一行光インレットが位置する面以外の全ての面上で実行できる。図7に示すように、光信号は、単一行入力多次元出力光導波路要素402の単一行光インレットから出力され、次いで、単一行入力多次元出力光導波路要素402の内部の空間的三次元導波路のパスを通過し、そして、三次元空間内に分布する光アウトレットから出力される。
【0022】
任意選択で、単一行入力多次元出力光導波路要素402の各光アウトレットの表面は、マイクロレンズを作成するためにフェムト秒レーザ処理方式で処理され、マイクロレンズは、光アウトレットから出力されるビーム上でのビーム成形を実行するように構成される。この実施形態において、光導波路要素の光アウトレットは、マイクロレンズを作成するためにフェムト秒レーザ処理方式における1ステップ成形を介して処理され、それによって、マイクロレンズと、光導波路要素の光アウトレットとの間にギャップが残らず、もはや結合ロスがもたらされない。特に、図8に示すように、単一行入力多次元出力光導波路要素402の光射出方向に複数の光アウトレットがあり、各光アウトレットは、直接処理され、かつ単一行入力多次元出力光導波路要素402の表面に形成されているマイクロレンズを有し、マイクロレンズアレイを形成する。
【0023】
任意選択で、単一行入力多次元出力光導波路要素402の内部の空間的三次元導波路は、フェムト秒レーザ処理方式で作成される。フェムト秒レーザ技術では、レーザのパルス幅が非常に短いため、超高ピークパワー(パルスエネルギー/パルス幅)が、比較的低いパルスエネルギーを利用することによって得ることができる。対物レンズなどによって、処理すべき材料がさらにフォーカスされるとき、フォーカスポイント近傍でのエネルギー密度は非常に高くなるため、様々な強い非線形効果が引き起こされる可能性がある。フェムト秒レーザは、三次元処理、及び、光ファイバなどの透明材料の内部での修正を実行できる。この実施形態において、光導波路要素の内部の空間的三次元導波路がフェムト秒レーザ処理方式を利用するとき、光導波路要素の処理が容易化でき、それによって、処理方法がより簡単になり、処理コストが低減される。加えて、フェムト秒レーザ処理が実行された後、処理後の光アウトレット間の距離はミクロンレベルに到達し、高密度光射出を実施して、高密度及びマルチポート光クロスシステムのための解決手段を提供することができる。加えて、光導波路要素内の空間的導波路のパス位置は、ミクロン未満のレベルの精度に達し、光クロス装置の欠陥修正効率を大きく改善することができる。この出願における単一行入力多次元出力光導波路要素402が、フェムト秒レーザ処理方式で処理されるとき、単一行入力多次元出力光導波路要素402内の各パスの処理パスが最初に設定される必要があり、次いで、単一行入力多次元出力光導波路要素402が、処理パスを利用することによって処理される。ある例では、図9に示すように、三次元座標系において、(x0,y0,z0)から(x1,y1,z1)への導波路パスが、単一行入力多次元出力光導波路要素402に設計される。
【0024】
上記の光クロス装置に基づき、光クロス装置における光信号の伝送パスは以下のようになる。光信号は、単一行ファイバアレイの単一行光インレットから入り、単一行ファイバアレイの単一行光アウトレットから、単一行入力多次元出力光導波路要素の単一行入力ポートへと出力され、光信号は、単一行入力多次元出力光導波路要素の内部の空間的三次元導波路の光パスから、単一行入力多次元出力光導波路の光アウトレットへと伝送される。
【0025】
光クロス装置の処理方法は以下のようになる。
【0026】
単一行入力多次元出力光導波路要素における空間的三次元導波路の各パスが最初に設計され、次いで、空間的三次元導波路のパスの処理パスが、フェムト秒レーザ処理システムに入力され、フェムト秒レーザ処理システムが、処理されていない光導波路要素を処理する。
【0027】
この出願は、さらに、光クロスデバイスを提供する。詳細については、図10を参照されたい。光クロスデバイス1000は、図4図9のいずれか1つに記載された光クロス装置1001と、レンズシステム1002と、光スイッチングシステム1003とを含む。光クロス装置1001は、単一行ファイバアレイと、単一行入力多次元出力光導波路要素とを含む。単一行ファイバアレイの光インレットは、光信号を受信するように構成され、単一行ファイバアレイの光アウトレットは、単一行入力多次元出力光導波路要素の光インレットと一対一に対応するように結合され、それによって、光信号は、単一行入力多次元出力光導波路要素の内部の空間的三次元導波路の光パスから、単一行入力多次元出力光導波路の光アウトレットへと伝送される。レンズシステムは、レンズの組み合わせ及びグレーティングを含み、光クロス装置によって出力される光パスを成形するように構成される。光スイッチングシステムは、光パスの出力ポートを切り替えるように構成される。光スイッチングシステムは、シリコン上液晶(liquid crystal on silicon, LCOS)プログラマブル素子又はマイクロエレクトロメカニカルシステム(micro-electro-mechanical system, MEMS)ミラーアレイであってよい。
【0028】
この実施形態において、光クロスデバイスは、光クロスコネクト(optical cross-connect, OXC)スイッチ、又は波長選択スイッチ(wavelength selective switch, WSS)であってよい。
【0029】
便利で簡単な記述を目的として、上述したシステム、装置、及びユニットの詳細な動作プロセスについては、上記の方法実施形態の対応するプロセスを参照することにして、詳細については、ここでは再び説明されないことは、当業者によって明確に理解されうる。
【0030】
この出願において提供される様々な実施形態において、開示されたシステム、装置、及び方法は、他の方法で実装されうると理解されるべきである。例えば、説明された装置実施形態は単なる例に過ぎない。例えば、ユニットへの分割は単なる論理的な機能分割であり、実際に実装する際には他の分割であってよい。例えば、複数のユニット又は要素は、他のシステムに結合され又は統合されてよく、又は、いくつかの機能は、省略されてもよいし、又は実行されなくてもよい。加えて、表示され又は論じられた相互結合又は直接結合又は通信接続は、いくつかのインターフェースを介して実装されうる。装置間又はユニット間の間接接続又は通信接続は、電気的、機械的、又は他の形態で実装されてよい。
【0031】
別々の部分として説明されたユニットは、物理的に別々であっても、そうでなくてもよく、ユニットとして表示された部分は、物理的なユニットであっても、そうでなくてもよく、1つの位置に配置されてよく、又は、複数のネットワークユニット上に分散されてよい。ユニットの一部又は全部は、実施形態における解決手段の目的を達成するために、実際の要件に基づいて選択されうる。
【0032】
加えて、この出願の実施形態における機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合されてよく、又はユニットのそれぞれは、物理的に単独で存在してよく、又は2つ以上のユニットが1つのユニットに統合されてよい。統合ユニットは、ハードウェアの形態で実装されてよく、又はソフトウェア機能ユニットの形態で実装されてよい。
【0033】
統合ユニットがソフトウェア機能ユニットの形態で実装され、独立した製品として販売され又は利用されるとき、統合ユニットは、コンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。そのような理解に基づき、この出願の本質的な技術的解決手段、又は現在の技術に寄与する部分、又は技術的解決手段の全部又は一部は、ソフトウェア製品の形態で実装されてよい。コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に格納され、コンピュータデバイス(それはパーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワークデバイスであってよい)に、この出願の実施形態で説明された方法のステップの全部又は一部を実行するように命令するための様々な命令を含む。上記の記憶媒体は、USBフラッシュドライブ、リムーバブルハードディスク、リードオンリーメモリ(Read-Only Memory, ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory, RAM)、磁気ディスク、又は光ディスクなどの、プログラムコードを格納することができる任意の媒体を含む。
【0034】
上記の実施形態は、単にこの出願の技術的解決手段を説明することを意図しており、この出願を限定するものではない。この出願は、上記の実施形態に関連して詳細に説明されるけれども、当業者は、この出願の実施形態の技術的解決手段の意図及び範囲を逸脱することなく、依然として、彼らが上記の実施形態で説明された技術的解決手段に修正を加えてよく、又はそのいくつかの技術的特徴に対する等価置換を行ってよいと理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一行ファイバアレイと、単一行入力多次元出力光導波路要素とを含む光クロス装置であって、
前記単一行ファイバアレイは、前記単一行入力多次元出力光導波路要素に結合され、任意に曲げられる空間的三次元導波路が、前記単一行入力多次元出力光導波路要素の内部に作成され、
前記単一行ファイバアレイの結合面は、前記単一行入力多次元出力光導波路要素のものと同じである、光クロス装置。
【請求項2】
前記単一行入力多次元出力光導波路要素の光アウトレットの面は、マイクロレンズを作成するようにフェムト秒レーザ処理方式で処理され、前記マイクロレンズ、ビーム成形を実行するように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記単一行入力多次元出力光導波路要素の内部の前記空間的三次元導波路は、フェムト秒レーザ処理方式で作成される、
請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記単一行入力多次元出力光導波路要素の光アウトレットの組み合わせ形態は、それらに限定されないが、2つ以上の行、非均一分布、傾斜分布、又は高密度配置を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
単一行ファイバアレイと単一行入力多次元出力光導波路要素とを含む光クロス装置に適用される光パストレーシング方法であって、
前記単一行ファイバアレイは、前記単一行入力多次元出力光導波路要素に結合され、任意に曲げられる空間的三次元導波路が、前記単一行入力多次元出力光導波路要素の内部に作成され、前記単一行ファイバアレイの結合面は、前記単一行入力多次元出力光導波路要素のものと同じであり、
前記方法は、
前記単一行ファイバアレイの単一行光インレットからの光信号を入力すること、及び前記単一行ファイバアレイの単一行光アウトレットからの前記光信号を、前記単一行入力多次元出力光導波路要素の単一行入力ポートに出力することと、
前記単一行入力多次元出力光導波路要素の内部の前記空間的三次元導波路の光パスからの前記光信号を、前記単一行入力多次元出力光導波路要素の光アウトレットへと伝送することと、
を含む、光パストレーシング方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の前記光クロス装置と、レンズシステムと、光スイッチングシステムとを含む、光クロスデバイスであって、
前記光クロス装置は、光信号を受信し、前記光信号を前記レンズシステムに出力するように構成され、前記レンズシステムは、前記光信号が伝送される光パスを成形するように構成され、前記光スイッチングシステムは、前記光信号の出力ポートをスイッチする、光クロスデバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
単一行ファイバアレイの結合面及び単一行入力多次元出力光導波路要素の結合面上で、単一行ファイバアレイに含まれる光アウトレットの数量は、単一行入力多次元出力光導波路要素に含まれる光インレットの数量と同じであり、結合後、スムーズに光信号を伝送するために、位置も一対一に対応していると理解されうる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
任意選択で、単一行入力多次元出力光導波路要素の光アウトレットの面は、マイクロレンズを作成するようにフェムト秒レーザ処理方式で処理され、マイクロレンズアレイは、光アウトレットから出力されるビーム上でのビーム成形を実行するように構成される。この実施形態において、光導波路要素の光アウトレットの表面は、マイクロレンズを作成するようにフェムト秒レーザ処理方式における1ステップ成形を通じて処理され、それによって、マイクロレンズと、光導波路要素の光アウトレットとの間にギャップが残らず、もはや結合ロスはもたらされない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
光ファイバ通信技術の急速な発展に伴い、前もって1つの波長のみを伝送できる光ファイバが、現在は、40又はそれ以上の波長を伝送でき、各波長の伝送速度は大きく増大している。密波長分割多重技術において、全体として増幅されて1つの光ファイバで伝送されるように複数の波長が集成される。このようにすることで、既存の光ファイバ伝送装置をアップグレードすることなく、伝送容量が大きく増大する。将来の全光ネットワークは、密波長分割多重技術に基づくものになりうる。光クロスシステムは、密波長分割多重全光ネットワークにおけるコアデバイスであり、高速電気伝送ネットワーク内の各ノード上で、光から電気への及び電気から光への変換によって引き起こされる電気的なボトルネックを回避でき、それにより、高信頼性、大容量、及び高フレキシブル伝送を実装する。光クロスシステム(光クロス装置とも称される)は、組み込み型の光スイッチングエンジンを利用することによって、異なる光ポート間のスイッチングを実装する。光クロスシステムの具体的な適用シナリオが図3に示されている。光信号は、入力端を利用することによって光クロス装置へと出力され、次いで、光クロス装置は、単一行入力光信号を多次元出力ビームに変え、ビームをフレア成形システムへと伝送し、フレア成形システムは、ビームを成形し、光信号分散システムを利用することによって光信号上で分散補償が実行された後、次いで、チャネルスイッチングが実行され、最後に、光信号は、出力端を利用することによって出力され、出力端の光ファイバに接続される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
この実施形態において、単一行ファイバアレイ401の結合面、及び単一行入力多次元出力光導波路要素402の結合面上で、単一行ファイバアレイ401に含まれる光アウトレットの数量は、単一行入力多次元出力光導波路要素402に含まれる光インレットの数量と同じであり、結合後、光信号をスムーズに伝送するために、位置も一対一に対応する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
任意に曲げることができる空間的三次元導波路、単一行入力多次元出力光導波路要素402の内部に存在するため、単一行入力多次元出力光導波路要素402の光アウトレットについて、任意の組み合わせが作成できる。図6に示すように、単一行入力多次元出力光導波路要素402の光アウトレットの組み合わせは、それに限定されないが、2行以上のポート、非均一分布のポート、傾斜分布のポート、又は高密度配置のポートを含む。具体的な組み合わせ方式は、具体的な要件が満たされる限り、ここでは限定されない。単一行入力多次元出力光導波路要素402は、単一行入力複行出力を超えるものを実行(即ち、2次元光アウトレットを作成)できると理解されうる。単一行入力多次元出力光導波路要素402が立方体であるため、光出力は、光アウトレットを作成するために、単一行光インレットが位置する面以外の全ての面上で実行できる。図7に示すように、光信号は、単一行入力多次元出力光導波路要素402の単一行光インレットから入力され、次いで、単一行入力多次元出力光導波路要素402の内部の空間的三次元導波路のパスを通過し、そして、三次元空間内に分布する光アウトレットから出力される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
任意選択で、単一行入力多次元出力光導波路要素402の各光アウトレットの表面は、マイクロレンズを作成するためにフェムト秒レーザ処理方式で処理され、マイクロレンズは、光アウトレットから出力されるビーム上でのビーム成形を実行するように構成される。この実施形態において、光導波路要素の光アウトレットの表面は、マイクロレンズを作成するためにフェムト秒レーザ処理方式における1ステップ成形を介して処理され、それによって、マイクロレンズと、光導波路要素の光アウトレットとの間にギャップが残らず、もはや結合ロスがもたらされない。特に、図8に示すように、単一行入力多次元出力光導波路要素402の光射出方向に複数の光アウトレットがあり、各光アウトレットは、直接処理され、かつ単一行入力多次元出力光導波路要素402の表面に形成されているマイクロレンズを有し、マイクロレンズアレイを形成する。
【国際調査報告】