(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】ヒトまたは動物の細胞試料を検査するための方法およびフローサイトメータならびにコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
G01N 33/49 20060101AFI20221007BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20221007BHJP
G01N 15/14 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
G01N33/49 H
G01N33/68
G01N15/14 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506744
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 EP2020071996
(87)【国際公開番号】W WO2021023770
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】102019121344.4
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522044205
【氏名又は名称】トポスノモス リミッテド
【氏名又は名称原語表記】TOPOSNOMOS LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100081466
【氏名又は名称】伊藤 研一
(72)【発明者】
【氏名】シューベルト ヴァルター
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045CB01
2G045CB09
2G045DA36
2G045FA37
(57)【要約】
本発明は、ヒトまたは動物の細胞試料を検査するための方法に関し、a)疾患に特徴的な少なくとも1つのコンビナトリアル・クラスター(CMP)を提供し、CMPはボクセル中の複数の生物学的特徴の共局在化および/または反共局在化を特徴付け、b)CMPの検出のために十分なN個のタグを検出し、c)N個のタグを細胞試料に接触させ、d)フローサイトメトリーを使って細胞試料を測定しフローサイトメトリーデータを取得し、かつ、e)フローサイトメトリーデータを使用して、CMPが細胞試料中に存在するかどうかを検査するというステップを含む方法に関する。本発明はさらにフローサイトメータ(10)に関する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは動物の細胞試料を検査するための方法であって、
a)疾患に特徴的な少なくとも1つのコンビナトリアル・クラスター(CMP)を提供し、前記CMPはボクセル中の複数の生物学的特徴の共局在化および/または反共局在化を特徴付け、
b)前記CMPを検出するために十分なN個のタグを検出し、
c)前記細胞試料を前記N個のタグと接触させ、
d)フローサイトメトリーを使用し、フローサイトメトリーデータを取得しながら前記細胞試料を測定し、かつ、
e)前記フローサイトメトリーデータを使用し、前記CMPが前記細胞試料に存在するかどうかを確認するという段階を含む、ヒトまたは動物の細胞試料を検査するための方法。
【請求項2】
体液、特に血液および/または血漿、および/または血液および/または組織試料の単核細胞が細胞試料として提供されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つのCMPがデータバンクに基づき、および/またはマルチエピトープリガンド・カートグラフィー(マルチエピトープリガンド地図作成/MELK)および/またはICM方法(イメージングサイクラー顕微鏡)および/またはMELKロボットシステムを使用して検出されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
疾患が腫瘍疾患および/または炎症性疾患および/または自己免疫疾患および/またはAl現象に類似する疾患および/または病理学的ホーミングプロセスを含む疾患であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記N個のタグおよび前記細胞試料がそれぞれ少なくとも2つのグループに分割され、測定されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞試料が測定後、少なくとも1つのCMPを有する少なくとも1つの第1部分試料と、少なくとも1つのCMPを有さない第2部分試料に分割されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記細胞試料が血液試料であり、前記細胞試料に存在する前記CMPがグループCD16、CD8、NeuN、Bax、Bcl2、CD11b、CD138、CD16A、CD29、CD2、CD45RA、CD49d、CD54、CD56、CD57、CD58、CD62L、CD3、HLADR、免疫グロブリンG、MHCII、MHCI、SIRT1、RAC1、BMX、GAK、JNK2、MAPKK6、OTUB2、PRKAR2A、SMAD2、SMAD4およびSTAP2のうちの1つまたは複数を含むとき、疾患は筋萎縮性側索硬化症(ALS)であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記細胞試料が前立腺組織であり、前記少なくとも1つのCPMがグループCD26およびCD29のうちの1つまたは複数を含む場合、疾患は前立腺癌であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞試料が皮膚試料であり、前記少なくとも1つのCMPがグループHLA-DQ、 CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD10、CD13、CD18、CD18、CD26、CD29、CD36、CD44、CD45、CD49f、CD54、CD56、CD57、CD58、CD62L、CD71、CD80およびHLA-DRのうちの1つまたは複数を含むとき、前記疾患が皮膚リンパ腫であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記フローサイトメトリーデータを検査する前に、まず少なくとも1つのゲートが定義され、それを使って前記細胞試料および/または前記データの分集合が前記検査のために選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記細胞試料が少なくとも毎秒5000個の細胞のハイスループットで測定されることを特徴とする、請求の範囲1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのCMPを有する前記細胞試料の成分が病原性および/または過剰として分類されることを特徴とする、請求項1から11のいずれかに一項に記載の方法。
【請求項13】
病原性および/または過剰として分類された前記細胞試料の成分が、特にアフェレーシス法および/またはアフェレーシス装置を使って体外で除去されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
-疾患に特徴的な少なくとも1つのコンビナトリアル・クラスター(CMP)を検出するためにデータバンク(14)に結合できる制御装置(12)、前記CMPは、ボクセル中の複数の生物学的特徴の共局在化および/または反共局在化を特徴付け、
-前記CMPを検出するために十分なN個のタグを検出するための検出手段(16)と、
-それを使って前記N個のタグを細胞試料と接触させることができる投薬装置(18)と、
-フローサイトメトリーを使ってフローサイトメトリーデータを取得しながら前記細胞試料を測定するための測定装置(20)と、
-前記フローサイトメトリーデータを使用して、前記CMPが前記細胞試料中に存在するかどうかを検査可能である検査装置(22)を含むフローサイトメータ(10)。
【請求項15】
請求項14に記載のフローサイトメータ(10)の制御装置のメモリに装填可能なコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、プログラムが前記制御装置(12)のプロセッサ装置によって実行されるとき、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法の段階を実行するためのプログラム手段を有するコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒトまたは動物の細胞試料を検査するための方法およびフローサイトメータに関する。本発明はさらにコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
マルチエピトープリガンド・カートグラフィー(MELK)あるいはICM法(イメージングサイクラー顕微鏡/Imageing Cycler Microscopy)はデータポイントごとにいわば無制限の組み合わせ分子識別能力(“power of combinatorial molecular discrimination per date point”、PCMD)を有する細胞または組織内の大きな分子ネットワークを検出するための基礎技術である。ICM法あるいはMELKロボットシステムはそれらとして例えば米国特許第6150173号明細書、独国特許出願公開第19709348A1号明細書、欧州特許出願公開0810428A1号明細書、独国特許出願公開第10043470A1号明細書および国際公開第02/21137A2号明細書から公知である。高PCMDは、ICMを使用し、例えば、k=100の異なるタンパク質の画像を16ビットCCDカメラ(データポイントあるいはピクセルあたり2の16乗=65536値)を使って記録および処理することができ、これによってデータポイントごとに65536kの値が検出されうることに基づく。各データポイントは、特定のボクセル、つまり検査される細胞試料の三次元グリッド中のグリッドポイント(「画像」ポイント、データ要素)に対応する。個々のボクセルの寸法は、本質的には、使用されるICM装置の要素(カメラ、レンズなど)の光学的特性に依存する。この方法で例えば、共局在あるいは抗共局在CD(Cluster of Differentiation、分化グループ)、タンパク質および/またはその他の分子または標的構造を細胞の特定の場所で記述する組み合わせ分子表現型(Combinatorial Molecular Phenotype,CMP)であるいわゆるタンパク質クラスターを検出することができる。相応にCMPのグループは、細胞または細胞試料の細胞複合体の中の共局在化および/または抗共局在化CD、タンパク質、および/またはその他の分子の領域を表す。CMPは例えばバイナリコードの形式で表記可能であり、所定のCD/タンパク質/分子が特定の所定の場所で、および/または特定の閾値を超える濃度(例えば、L、1またはTrue)で細胞内に存在するかどうか、二進数の各桁(つまり、各「ビット」)を介してコード化できる。他の場合、すなわち所定のCD/タンパク質/分子が細胞のこの箇所で存在しないか、または限界値以下の濃度でのみ存在する場合、異なるコード(例えば、A、0またはFalse)が使用される。同様に特定のCD/タンパク質/分子は、1つまたは複数の他のCD/タンパク質/分子と共局在する場合があり、しばしば共局在しない場合もある。これらのCD/タンパク質/分子は例えば「ワイルドカード」(例えばW、*)でコード化されうる。このようなICMデータは、疾患固有のパターンおよびターゲットを同定するために使用できるため、命を救うことができる。ICMを使用して同定できる細胞および組織の機能的タンパク質パターンあるいは分子ネットワーク全体は、ゲノムに因んでトポノムとも呼ばれる。
【0003】
公知のICM法およびICM装置の短所は、検査されるべきCD/タンパク質/分子の数によって、細胞試料の検査に比較的時間がかかることであり、そのため目下、例えば臨床ケア用のスループット方法としてはまだ使用できない。そのためこれまでにはICMを使用して1日あたりおよび1検査室あたりの多くの患者の疾患固有の細胞トポノムを測定することはできていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6150173号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19709348A1号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開0810428A1号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10043470A1号明細書
【特許文献5】国際公開第02/21137A2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ヒトまたは動物の細胞試料のより迅速な診断を可能にすることである。
【0006】
これらの課題は、本発明によれば、請求の範囲1の特徴を有する方法、請求の範囲14に記載のフローサイトメータおよび請求の範囲15に記載のコンピュータプログラム製品によって解決される。本発明の目的に応じた発展形態を有する有利な実施形態はそれぞれの従属クレームに明記されており、それぞれの本発明の態様の有利な実施形態はそれぞれの他の本発明の態様の有利な実施形態と見なされるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の形態はヒトまたは動物の細胞試料を検査するための方法に関する。本発明によれば、この方法は、a)疾患に特徴的な少なくとも1つのコンビナトリアル・クラスター(CPM)を提供し、CMPはボクセル中の複数の生物学的特徴の共局在化および/または反共局在化を特徴付け、b)CMPを検出するために十分なN個のタグを検出し、c)細胞試料をN個のタグと接触させ、d)フローサイトメトリーを使ってフローサイトメトリーデータを取得しながら細胞試料を測定し、およびe)フローサイトメトリーデータに基づきCMPが細胞試料中に存在するかどうかを検査する段階を含む。
【0008】
そのため、本発明による方法は多段階行程である。第1段階a)では、疾患に特異的な少なくとも1つのコンビナトリアル・クラスター(CMP)が提供され、これは例えばICMによって事前に検出された。少なくとも1つのCPMは例えば1つのPCMDコード(1/0コード)の形で提供されるか、またはそのようなものに変換されうる。続く段階b)で、数Nが検出され、これは提供されたCMPを検出するために十分なタグの数を自然数として表す(例えばCMP=[CD16:1、CD8:1、NeuN:0、Bax:0、Bcl2:0]はCD16、CD8、NeuN、BaxおよびBcl2のために5つのマーカーを必要とする)。タグは該当するターゲット構造のためのマーキング手段であると理解される。原則としてこれには抗体が使用され、他の種類のタグ(磁気ビーズ、量子ドットなど)も使用されうる。CMPにワイルドカード情報含まれ、つまりターゲット構造が存在することがあるが、存在する必要はなく、場合により該当するターゲット構造を同定するために必要なタグを省略することができる。続いて細胞試料を、段階c)でN個の検出されたタグと接触させ、段階d)でフローサイトメトリーを使用し、フローサイトメトリーデータを取得しながら測定する。フローサイトメトリーでは、細胞試料の細胞を高速で個別に電圧または光ビームを通過させる。細胞に結合したタグに応じて、そこからフローサイトメトリーデータを導き出すことができるさまざまな効果が生成される。選択的に大きさ、形状、種類などの細胞の1つまたは複数のさらなる特性も付加的に検出され、フローサイトメトリーデータに保存することができる。言うまでもなく、タグは一般的にそれぞれ使用されるフローサイトメトリー法で同定できるように選択されることが好ましい。最後に段階e)でフローサイトメトリーデータに基づき、CMPが細胞試料に存在するかどうかを検査する。求められているCMPが細胞試料中に存在する場合、細胞試料はそれにとってCMPが特徴的な疾患を患う患者に由来すると見なすことができる。現在のフローサイトメータは毎秒多数の細胞を測定することができるため、本発明による方法を使用し、公知のICM法と比較して実質的により高度なスループットを達成できる。そのためより多くの細胞試料をより短時間で検査することができる。フローサイトメトリー測定の枠組みの中で、個々の細胞は形式上、少なくとも1つのCMPの存在について検査されるボクセルとして扱うことができる。そのため従来のICM手法と比較すると、いわばICMボクセルの寸法はセルの寸法に合わせてスケーリングされるため、あるいは複数のCMPおよび/またはボクセルをセル固有の値に合計あるいは集約されることにより、情報密度が低下する。しかし実際にはICM結果に対するこの解像度の低下は、フローサイトメトリーによって個々の細胞中の所定の疾患特異的CMPを確実に同定するために十分であることが証明されている。そのため本発明の方法により初めて迅速な疾患特異的トポノム診断が実現され、これは相応に患者特有の治療を可能にする。診断のための使用の他、本発明による方法は当然さらなる目的、例えば、患者の治療を観察するためにも使用されることができる。
【0009】
患者の体液、特に血液および/または血漿、および/または組織試料が細胞試料として提供される場合、それは有利であることが証明された。このようにして、治療されるべき疾患に応じて細胞試料を最適に選択することができる。
【0010】
データバンクに基づき、および/またはマルチエピトープリガンド・カートグラフィー(MELK)もしくはICM法(マルチエピトープリガンド・カートグラフィー/イメージングサイクラー顕微鏡法)を使って、および/またはMELKロボットシステムを使って、少なくとも1つのCMPが検出されることにより、さらなる利点が生じる。特徴的なCMPあるいはCMPの特徴的なグループがすでに知られている疾患の場合には、その中にCMPが保存されている相応の医療データバンクから単数または複数のCMPを提供するだけで十分でありうる。代替的または付加的に、疾患に特徴的な単数または複数のCMPは、マルチエピトープリガンド・カートグラフィー(MELK)を使って、あるいはICM法(イメージサイクラー顕微鏡)使って、および/またはMELKロボットシステムを使用して検出されるものと規定することができる。
【0011】
本発明の別の実施形態においては、疾患が腫瘍疾患および/または炎症性疾患および/または自己免疫疾患および/または自己免疫現象に類似する疾患および/または病理学的ホーミングプロセスを含む疾患であることを定めている。そのような疾患は特に多量の細胞組織を有し、相応に本発明の範囲内で確実に同定されうる。自己免疫現象に類似した疾患には特に、末梢T細胞の特徴を備えた単核細胞が臓器に侵入し、そこでそれらが臓器特異的細胞と相互作用し、例えばそれらを圧縮するが細胞毒性的に攻撃しないという特徴がある。そのような現象は、ICMを使用して、例えばいわゆる有糸分裂後のシステム(骨格筋、第1運動ニューロン)で発見および提示された。この相互作用だけでも、慢性的な自己免疫性臓器損傷の原因となる可能性がある。
【0012】
本発明の他の有利な実施形態では、N個のタグおよび細胞試料がそれぞれ少なくとも2つのグループに分割され、測定されることを定めている。このようにして、特定のタグ間に発生しうる交差反応が有利に回避されることができ、それによって測定の質が向上する。そのことからこの方法で、フローサイトメトリー法あるいは使用されるフローサイトメータで通常可能であるよりも多くのタグを測定することができる。本開示の範囲内で、少なくとも2つのグループというときには2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多くのグループと理解され、それらはそれぞれ1個のタグまたは2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれより多いタグを含みうる。グループ数ならびに個々のグループへの測定されるタグの分配は、実質的に、測定に使用されるフローサイトメータが持つチャネルあるいは検出器の数、および個々のタグのどの信号を検出する必要があるかに関連する。フローサイトメータが例えば21の蛍光チャネルを提供するとき、42桁のCMPを測定するために必要なタグを2つ以上のグループに分配することができる。個々のグループのフローサイトメトリーデータをその後続けて再び、共通のデータセットにまとめることができる。
【0013】
測定後、細胞試料が少なくとも1つのCMPを有する少なくとも1つの第1部分試料、および少なくとも1つのCMPを有さない第2部分試料に分割されることにより、さらなる利点が生じる。このようにして疑わしい細胞を疑わしくない細胞から分離し、必要に応じてさらに検査を行うことができる。分割は、例えばフローサイトメータの下流に配置され、検出されたフローサイトメトリーデータに応じて細胞を2つ以上の画分に分割する細胞選別器を介して行うことができる。
【0014】
細胞試料が血液試料であり、細胞試料に存在するCMPがグループCD16、CD8、NeuN、Bax、Bcl2、CD11b、CD138、CD16A、CD29、CD2、CD45RA、CD49d、CD54、CD56、CD57、CD58、CD62L、CD3、HLADR、免疫グロブリンG、MHCII、MHCI、SIRT1、RAC1、BMX、GAK、JNK2、MAPKK6、OTUB2、PRKAR2A、SMAD2、SMAD4およびSTAP2のうちの1つまたは複数を含むとき、さらなる実施形態において疾患は筋萎縮性側索硬化症(ALS)であると規定されている。筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、筋肉を制御する特定の神経細胞が変性するため、阻止不能に急速に進行する不可逆的な筋肉の麻痺に起因する。これまでに50以上の臨床治療研究が実施されたが、それらの治療の概念の大半は効果がないことが証明された。本発明による方法を使って初めて、これらの病原性ALS特異的細胞の存在について細胞試料をハイスループットで検査することが可能になった。ALS特異的細胞が検出されれば、患者はすでに疾病の非常に早い段階で治療されることができる。例えば、ALS特異的細胞は、循環光療法を使って体外で除去あるいは阻止されることができ、それによって疾患の進行を止めるか、または少なくとも大幅に遅らせることができる。ALSの原因となる病原性成分は、CD8受容体の他にCD16受容体複合体も発現する異常なTリンパ球である。そのためそれらはガイドタンパク質としてCD8および/またはCD16を含むCMPによって特徴付けられる。ガイドタンパク質は、さらなる指定されたCDおよびタンパク質と共局在あるいは抗共局在することができる。相応に、細胞試料の検査に使用されるタグが、グループCD16、CD8、STTP1、NeuN、Bax、Bcl2、CD11b、CD138、CD16A、CD29、CD2、CD45RA、CD49d、CD54、CD56、CD57、CD58、CD62L、CD3、HLADR、免疫グロブリンG、MHCII、MHCI、SIRT1、RAC1、BMX、GAK、JNK2、MAPKK6、OTUB2、PRKAR2A、SMAD2、SMAD4およびSTAP2のうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上に結合する抗体および/またはリガンドである場合、それは有利であることが証明された。換言すれば、モノ、バイ、トリ、クワッド、ペント、ヘックス、ヘプト、オクト、エンまたは多重特異性に形成された抗体および/またはリガンドをタグとして用いられることが規定されている。言及されたタンパク質は、さまざまな組み合わせで、ALS特異的細胞において超個体的および個体的クラスターを成形し、そのため精密に検出され、続いて場合により体外で除去され、および/または治療的に架橋され、それによってブロックされ、そのためにALS特異的である細胞はその機能を喪失する。これにより特に特異的な、およびそれによって副作用がほとんどまたはまったくないALSの治療が可能になる。少なくとも1つのタグが少なくともCD16、CD8およびSTTP1に結合すると、さらなる利点が生じる。STTP1はここで、場合により患者固有のシグナルタンパク質(シグナル伝達タンパク質1、例えばキナーゼ)を示し、それは細胞表面から細胞核に延在するシグナルカスケードを媒介し「CD16aおよびCD8」モジュールとともに、それがCD16aおよびCD8と共局在する細胞表面に結合する。さらに、STTP1がグループRAC1、STAP2、およびSMAD2のうちの少なくとも1つのタンパク質であると規定することができる。少なくとも1つのタグが組換え的に、人道的にまたは新たにde novo生成される抗体および/またはリガンドを含む場合、さらなる利点が生じる。
【0015】
さらに、細胞試料が前立腺組織であり、少なくとも1つのCMPがグループCD26およびCD29のうちの1つまたは複数を含む場合、疾患は前立腺癌であると規定することができる。これにより初めて、ハイスループットプロセスで前立腺癌を示すCMPの存在について細胞試料を検査することが可能になる。この場合にも、細胞試料中に当該CMPが同定された患者を可能な限り迅速に治療することは有意義である。本発明は、前立腺癌がさらなるCDあるいはタンパク質と共局在化あるいは抗共局在化されるガイドタンパク質としてCD26および/またはCD26を含むCMPによって特徴付けられるという知見に基づいている。
【0016】
さらに、細胞試料が皮膚試料であり、少なくとも1つのCMPがグループHLA-DQ、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD10、CD13、CD18、CD18、CD26、CD29、CD36、CD44、CD45、CD49f、CD54、CD56、CD57、CD58、CD62L、CD71、CD80およびHLA-DRのうちの1つまたは複数を含むとき、疾患が皮膚リンパ腫であると定めることができる。これにより初めてハイスループット法を使用して、皮膚リンパ腫に特徴的なCMPの存在について細胞試料を検査することが可能になる。本発明は、皮膚リンパ腫が1つまたは複数の当該のCDあるいはタンパク質の共局在化あるいは抗共局在化されるガイドタンパク質として特にHLA-DQを含むCMPによって特徴付けられるという知見に基づく。
【0017】
本発明の別の有利な実施形態では、フローサイトメトリーデータが検査される前に、まず少なくとも1つのゲートが定義され、それを使って細胞試料および/またはデータの分集団が検査のために選択されることが規定されている。これにより特定の分集団の詳細な分析を実施できる。例えば測定された細胞の亜集団がさらなる分析のために選択されうる。ゲート内の細胞の亜集団が例えば図で強調表示され、および/または他のチャンネルまたはデータソースからの情報と一緒に表示されることができる。ゲートの定義はフローサイトメトリーに大きな柔軟性を提供し、使用するフローサイトメータの各チャネルの単一細胞までの分離を可能にする。複数のゲートを定義し、「重ね」、および/または組み合わせることもできる。これにより検出されたフローサイトメトリーデータの相応に柔軟で高精度の評価が可能になる。
【0018】
1秒あたり少なくとも5000個の細胞、つまり例えば5000、6000、7000、8000、9000、10000またはそれ以上の個数の細胞を使用し、ハイスループットで細胞試料を測定することにより、特に多数の細胞試料を可能な限り短時間で測定できる。
【0019】
少なくとも1つのCMPを有する細胞試料の成分が病原性および/または過剰として分類されることによりさらなる利点が生じる。すると該当する細胞を公知の方法を使用して目的に応じてに単離し、例えばクローニング、体外拡張、組織あるいは血液への再移植、治療への応用などの多様な目的のために使用できる。
【0020】
本発明の他の有利な実施形態では、病原性および/または過剰として分類される細胞試料の成分が、特にアフェレーシス法を使って、および/またはアフェレーシス装置を使って、体外で除去されることが規定されている。これにより例えば自己免疫細胞または免疫系の異常細胞として臓器に移動し、そこで標的を定めて組織構造を破壊する疾患特異的な細胞を血液循環から分離することが可能になる。後者の場合、例えば治療的アフェレーシス、特にフォトフェレーシスによる血液循環からのそのような細胞の分離は、病気の進行を止めることを目的とした非常に合目的的な措置である。なぜなら疾患特異的細胞はそれらの疾患特異的CMPを介する高次元のトポノム・マッピングによって正確に事前に定義できるためである。代替的または付加的に、異常な細胞は抗体ベースの単離を介して循環から目的に応じて除去されうる。本発明による方法を使用して血液を連続的に監視することにより、治療の効率が制御されうる。そのような細胞を選択的に遮断/排除するための薬物の開発のためにそのような細胞を使用すること、または幹細胞の場合、生体への再注入(例えば治療的臓器再生または腫瘍治療)、または診断の開発に使用するため、または血液循環から病原性細胞を除去することによる筋萎縮性側索硬化症(ALS)または他の疾患の治療のために、それらの生物学的メカニズムを、ALSの場合には運動ニューロンシステムへの侵入およびそれらの神経毒性損傷メカニズムを防ぐために、さらなる利点が生じる。
【0021】
本発明の第2の形態はフローサイトメータに関し、それは1つの疾患に特徴的な少なくとも1つのコンビナトリアル・クラスター(CMP)を検出するためにデータバンクと結合することができる制御装置を含み、CMPはボクセル中の複数の生物学的特徴の共局在化および/または反共局在化を特徴付け、CMPを検出するために十分なN個のタグを検出するための検出装置、それを使ってN個のタグを細胞試料と接触させることができる投薬装置、フローサイトメトリーを使用してフローサイトメトリーデータを取得しながら細胞試料を測定するための測定装置、およびそれを使ってフローサイトメトリーデータにより細胞試料中にCMPが存在するかどうかを検査可能な検査装置を含む。毎秒多数の細胞を測定することができるため、本発明によるフローサイトメータを使用して公知のICMシステムと比較して実質的により高度なスループットを達成できる。これに応じて多くの細胞試料をより短時間で検査することができる。そのため本発明によるフローサイトメータによって初めて、迅速な疾患特異的トポノム診断が可能になり、それは相応に対応する患者特異的治療を実現する。診断に使用される他、本発明によるフローサイトメータはもちろんさらなる目的、例えば、患者の治療を観察するためにも使用されることができる。さらなる特徴および利点は、本発明の第1の形態の説明から生じる。
【0022】
本発明の第3の形態は、本発明の第2の形態によるフローサイトメータの制御装置のメモリに装填可能なコンピュータプログラム製品に関し、コンピュータプログラム製品は、プログラムが制御装置のプロセッサ装置によって実行されるとき、本発明の第1の形態による方法の段階を実行するためにプログラム手段を有する。これによって達成することができる利点は、上記の本発明の形態の説明から明らかである。別の形態では、その上に電子的に読み取り可能な制御情報が保存された電子的に読み取り可能なデータキャリアが存在する可能性があり、それは少なくとも1つの説明されたコンピュータプログラム製品を含み、データキャリアがフローサイトメータの制御装置で使用されるときに、本発明の第1の態様に従って説明された方法を実行するように設計される。
【0023】
本発明の他の特徴は請求の範囲および実施形態例から明らかになる。上記明細書中に挙げられた特徴および特徴の組み合わせならびに下記実施形態例中に挙げられ、かつ/または単独に示される特徴ならびに特徴の組み合わせは、それぞれに提示された特徴および組み合わせにおいてのみではなく、他の組み合わせまたはそれ自体で、本発明の適用範囲を逸脱することなく使用してもよい。したがって本発明は、実施形態例では明示的に示されて説明されていなくても、別の特徴の組み合わせによって説明された実施形態から発生し、生成する可能な実施形態をも含み、開示すると見なされるべきである。そのため元来明文化された独立請求項のすべての特徴を備えているわけではない実施形態および特徴の組み合わせも開示されていると見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1は、ALS特異的細胞への影響を有する患者の体外循環光療法治療のICM記録を示し、
図2はトポノム指紋図を示し、さらに、
図3は本発明によるフローサイトメータの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
イメージングサイクラー顕微鏡(ICM)は、無傷の細胞または組織中の大きな分子ネットワークを検出するための基本的なテクノロジーであり、データポイント(“power of combinatorial molecular discrimination per date point”,PCMD)ごとに実質的に無制限のコンビナトリアル分子識別能力を備える。100までまたはそれ以上のタンパク質のための高いPCMDが示される(k=100の異なるタンパク質および1つのICM中の16ビットのCCDカメラの1ピクセル出力あたり65536の値では、例えば1ボクセルあたり65536kの値になる)。そのようなおよび類似のICMデータは疾患固有であり、命を救うことができるが、ICM法は今日まだ臨床ケア用のハイスループット法として使用できない。本発明による方法は多段階方法行程によりこの欠点を回避する。最初の段階で疾患固有のCMPが提供され、それは例えばICMを使って疾患固有の細胞で検出され、その空間的PCMDコードはコンビナトリアル・クラスター(CMP)の形式で表される。ボクセル中の複数のタンパク質/分子/ターゲット構造の共局在化および/または反共局在化を定義するこれらのCMPは、セルごとの合計コードとして表されることができる。1/0あるいは真/偽表記では、そのようなコードは、例えば2進数0000001001として表されることができ、2進数の各桁は事前定義されたタンパク質/分子あるいは事前定義されたターゲット構造に相応する。もちろん一般的に他の表記法およびデータコーディングタイプ(例えば10進表記、16進表記、xml、jsonなど)も使用できる。
【0026】
与えられたタグ数に対して可能なすべてのCMP(例えば10タグに対して 0000000000、0000000001、0000000010、0000000011、0000000100、0000000101、0000000110、0000000111、0000001000、0000001001、0000001010 など 111111111まで、あるいは10進表記で0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10 など1024まで)を横軸(x軸)上に、およびセル試料中に発見された該当するCMPの頻度Hを縦軸(y軸)上に記載することにより、測定された細胞試料のトポノムに特徴的であり病気の「指紋」に使用できる図を作成できる。すでに述べたように、各2進数は、所定のボクセル中の所定のターゲット構造(例えばCD)の存在(1)または不在(0)を表す。同様にこのような「トポノム指紋」は、「健康」と分類された細胞試料の「トポノム指紋」と比較することにより、潜在的な医学的問題を同定するために使用できる。
図2は、そこから特定の疾患に特徴的なCMPおよびそれらのそれぞれの頻度が現れる「トポノム指紋」のそのような図を例示する。このようなトポノム指紋図の作成および/または表示および/または使用は、本発明の独立した形態を表す。
【0027】
この変換と表示が、血液中の疾患特異的細胞を迅速かつ正確に同定し、それをその後の治療によって除去することに役立つことが証明されている。次に高次元ICM-PCMDコードを汎細胞1/0コードに変換し、フローサイトメータ中のハイスループット測定の枠内で細胞試料の分析に使用できる。これにより1日および1検査室で多くの患者の疾患特異的な細胞トポノムを測定し、それを目的に応じた除去療法に受け渡すことが可能になる。これにより、例えば臓器特異的な細胞性自己免疫プロセスの疾患特異的なトポノム治療が初めて可能になる。
【0028】
イメージングサイクラー顕微鏡(ICM)は、大きな分子ネットワーク-いわゆるトポノム-を形態学的に無傷の組織で空間的に分解することを可能にする。1データポイントあるいはボクセルあたりの実質的に任意の高さのコンビナトリアル分子分解能(データポイントあたりのコンビナトリアル分子識別能力、PCMD)が達成される。
【0029】
ICMは、例えば、人間の皮膚の基底膜(BL)で、直径125nmのBL内の6つの層を構造的および機能的に区別できる(Schubert、W.(2018):A Platform for Parameter Unlimited Molecular Geometry Imaging Obviously Enabling Life Saving Measures in ALS.Advances in Pure Mathematics,8,321-334.https://doi.org/10.4236/apm.2018.83017)。従ってICMは、同時に1つの同じ場所で高い構造分解能および機能分解能を可能にする。注目すべきことに、これらのICM層は、厳密な分割線によって互いに分離されている。ここではリーマンゼータ様関数(RZLF)と呼ばれるこれらの分割線が、6つの層の異なる機能が生物学的に互いから分離した状態に保たれうることに明確に寄与する。ICMを使用して同定された関連に基づき、散発性の形態のALSの場合、単核血液細胞のICMと同定され、それは錐体路(第1運動ニューロン)に移動し、そこで運動軸索(いわゆる軸索切断能力細胞(ACC)を圧縮する。つまりICMを使用し、ALS疾患のメカニズムは、直接該当する組織内で視覚化されうる。これらのデータは血液中のACCの検出が活発かつ最終的に致命的な軸索切断プロセスを示し、それによりこれらの細胞の即時の治療による除去の絶対的な指標を提供する。
【実施例】
【0030】
図1は、画像a)でICMによって測定されたACC(死後)、画像b)でICMによって測定されたALS患者のACC、および画像c)で体外循環光療法(ECP)で治療された後の、ICMによって測定された患者のACC細胞を示す。
図1a)からc)は、さまざまなCMPの定義を示しており、各CMPは色で符号化される。CD8およびCD16が共局在するCMPはALSに疾患特異的である。
【0031】
図1に見られるように、ACCは体外循環光療法による治療によって細胞内に強い損傷を受けた。この損傷は長期間に亘る複数の研究でICMによって証明されることができた。同時に患者の臨床症状は退行した。これらの観察結果は、血液1リットルあたりのACCの数が疾患の進行速度と相関していることを示す収集データと一致する。
【0032】
上記の事実は、ACC除去療法がALSの場合の効果的な救命措置であり、特に代替的救命療法がないため、すべてのALS患者が利用できるはずであることを意味する。しかしALSは多くの場合進行した段階でしか診断されえないという問題がある。
【0033】
ALSの手順に類似した臓器特異的自己免疫プロセスまたは自己免疫様プロセス、例えば橋本甲状腺炎または多発性硬化症における上記の適応症および他の類似の適応症を有する多くの患者が利用できるようにするために、以下の手順がこれらおよび類似の適応症または疑わしい症例に対して実行される:
【0034】
1.疾患特異的なCMPが知られていない場合、ICM診断は血液の単核細胞(MNC)に対して実行される:
【0035】
1) MNCは全血から分離される。
【0036】
2) 分離されたMNCを短時間風乾した後、液体窒素中のイソペンタンで凍結し、使用するまで凍結保存する。
【0037】
3) ICM測定は次のように実行される。
【0038】
MNC試料はPBSで室温で再水和され、その後ICMで測定するためにステージに置かれ、N個のタグを含むマーカーライブラリでサイクルの印付けがなされる。Nは最大100またはそれ以上にすることができる。タグごとにMNC中に存在するタグの組み合わせを決定することによってICMマーキングの組み合わせが決定される。タグの組み合わせは、その後1/0コーディングの形式でCMPとして表示されうる。次にすべてのマーキングを説明のために表に掲載することができ、共局在化および反共局在化コード(1/0)が表のx軸に、それぞれの頻度がy軸に記載される。そのような表は、すでに言及したように
図2に例示されている。
【0039】
4) (3)に基づく所見が提示されるとすぐに、同じ患者のための同じマーカーライブラリを有する疾患特異的MNCの検索は、例えば6つのレーザーおよび21の蛍光チャネルを有するフローサイトメータに転送される;ここでは各個々のMNCが特定の疾患固有の1/0コードを表すポイントとして見なされる。その後このMNCフォームは患者1人あたりのハイスループットでECP治療前、治療中、治療後に定量化でき、断続的なICMによって細胞内で正確に測定されうる。
【0040】
5) この手順の利点は、ECPが、ICM/フローサイトメトリーを結合することにより、初めてハイスループットで2段階のプロセスで正確なトポノム測定を可能にすることにある。これにより関連するすべての患者グループをトポノム的かつ正確に測定することが可能になる。
【0041】
CMPデータがすでに知られている場合には、例えばデータバンクから提供され、場合により変換され、フローサイトメトリー測定に使用されうる。
【0042】
図3は本発明によるフローサイトメータ10の概略図を示す。疾患に特徴的な少なくとも1つのコンビナトリアル・クラスター(CMP)を検出するために、フローサイトメータ10は、データ交換のために現在外部のデータバンク14に無線または有線で結合されている制御装置12を含み、CMPはボクセル中の複数の生物学的特徴の共局在化および/または反共局在化を特徴付ける。制御装置12はソフトウェアを実行するために通常のあり方で特にメモリおよびプロセッサ装置を有する。データバンク14は原則としてフローサイトメータ10の一部でもありうる。さらにフローサイトメータ10は、CMPを検出するために十分なN個のタグを検出するための検出装置16を含む。一般に、必要なN個のタグに関する必要な情報が他の方法で提供されうる場合、検出装置16は省略されうる。フローサイトメータ10はさらに、それを使ってN個のタグを(図示されない)細胞試料と接触させることができる投与装置18、ならびにフローサイトメトリーを使用してフローサイトメトリーデータを取得しながら細胞試料を測定するための測定装置20を備える。一般に、細胞試料がすでにフローサイトメータ10の外側でNタグと接触された場合、投薬装置18も省略することができる。最後にフローサイトメータ10は、それを使ってフローサイトメトリーデータを用いCMPが細胞試料中に存在するかどうかを検査する検査装置22を含む。CMPが細胞試料に存在する場合、患者は発見されたCMPが特徴的である疾患を患っていると見なすことができる。この所見は早期診断とそこから導き出せる治療法を可能にする。
【0043】
本発明の要旨を成す特定の特性を特徴づけるためのプロセスおよび測定条件の定義のために文書で指定されたパラメータ値(例えば測定エラー、システムエラー、計量エラー、DIN公差などによるもの)は、本発明が適用される逸脱の範囲内で含まれると見なされるべきである。
【国際調査報告】