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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】バッテリー容量インジケータ
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/385 20190101AFI20221007BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221007BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20221007BHJP
   G01R 31/387 20190101ALI20221007BHJP
   G01R 31/371 20190101ALI20221007BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
G01R31/385
H02J7/00 X
G01R31/382
G01R31/387
G01R31/371
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506807
(86)(22)【出願日】2020-08-04
(85)【翻訳文提出日】2022-03-29
(86)【国際出願番号】 NZ2020050081
(87)【国際公開番号】W WO2021025561
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】2019902819
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518079367
【氏名又は名称】ボルト テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィグニー、アンドリュー、ジェイムズ
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA01
2G216BA61
2G216CD01
5G503BA01
5G503BB02
5G503BB04
5G503EA00
5H030AA08
5H030AS20
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
本技術はバッテリーと共に使用されるための容量インジケータに関連する。本技術の一態様は、使用が容易であり、誤警報の可能性を低減する、容量インジケータのための改善された起動回路を提供する。本技術の別の態様は、サーモクロミック・ストリップなどの高価なバッテリー・ラベルを使用するのを必要とすることなくバッテリー容量を示すことができる改善されたインジケータを提供する。本技術の別の態様は、バッテリー容量のより正確な指示を提供することができる、バッテリー内に収容される容量決定回路を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起動回路と、
容量決定回路と、
インジケータと
を備えるバッテリー容量インジケータであって、
前記起動回路が、一連の外部入力を受信するときに前記容量決定回路を起動するように構成され、
前記容量決定回路が、バッテリーの電源の容量情報を決定し、前記容量を表す信号を前記インジケータに中継するように構成され、
前記インジケータが前記容量情報を使用者に示すように構成され、
前記容量決定回路がバッテリー内に収容されるように構成される、
バッテリー容量インジケータ。
【請求項2】
前記起動回路が、前記容量決定回路を低電力状態又はオフ状態と起動状態との間で切り換えるように構成され、前記起動状態において、前記容量決定回路が前記電源の前記容量情報を決定する、請求項1に記載のバッテリー容量インジケータ。
【請求項3】
前記低電力状態又は前記オフ状態において、前記容量決定回路の電流引き込みが10μA未満である、請求項2に記載のバッテリー容量インジケータ。
【請求項4】
前記起動回路が前記外部入力を受信するための入力手段を備え、前記入力手段が、加速度計、マイクロフォン、光センサ、圧力センサ、ジャイロスコープ、機械的ボタン又はスイッチ、容量式、誘導性、及び抵抗性のタッチ・インターフェース、のうちの1つ又は複数を含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載のバッテリー容量インジケータ。
【請求項5】
前記一連の外部入力が、所定の閾値を超える2つ以上の入力を含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載のバッテリー容量インジケータ。
【請求項6】
前記所定の閾値が、強さ、継続時間、及び/又は方向情報から構成される、請求項5に記載のバッテリー容量インジケータ。
【請求項7】
前記起動回路が、前記一連の外部入力が所定の時間の範囲内で提供される場合に前記容量決定回路を起動するように構成される、請求項1から6までのいずれか一項に記載のバッテリー容量インジケータ。
【請求項8】
前記一連の外部入力が前記バッテリーに対しての2つ以上の衝撃を含む、請求項1から7までのいずれか一項に記載のバッテリー容量インジケータ。
【請求項9】
前記インジケータが、発光ダイオード(LED)、ブザー、スピーカー、及び振動モータ、のうちの1つ又は複数を含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載のバッテリー容量インジケータ。
【請求項10】
プロセッサをさらに備える、請求項1から9までのいずれか一項に記載のバッテリー容量インジケータ。
【請求項11】
前記起動回路が、割込み信号を前記プロセッサに提供することにより前記容量決定回路を起動する、請求項10に記載のバッテリー容量インジケータ。
【請求項12】
前記容量決定回路が、以下の方法、
а)電源の電圧を測定すること、
b)前記電源から放電されるか又は前記電源に充電される電荷を蓄積すること、
c)前記電源の内部抵抗を計算すること、
d)経過時間に基づいて前記バッテリーの容量を推定すること、及び
e)前記バッテリーの放電反応を、前記バッテリーの化学的性質の既知の放電曲線と比較すること
のうちの1つ又は複数を使用して前記容量情報を決定するように構成される、請求項1から11までのいずれか一項に記載のバッテリー容量インジケータ。
【請求項13】
ハウジングであって、
電源、及び
容量決定回路
を包含するハウジングと、
起動回路と、
インジケータと、
を備えるバッテリーであって、
前記起動回路が、一連の外部入力を受信するときに前記容量決定回路を起動するように構成され、
前記容量決定回路が、前記電源の容量情報を決定し、前記容量を表す信号を前記インジケータに中継するように構成され、
前記インジケータが前記容量情報を使用者に示すように構成される
バッテリー。
【請求項14】
前記電源が充電式である、請求項13に記載のバッテリー。
【請求項15】
前記受電式電源がニッケルベース又はリチウムベースの化学的性質を有する、請求項14に記載のバッテリー。
【請求項16】
前記バッテリーがAAバッテリー又はAAAバッテリーである、請求項10から12までのいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項17】
前記インジケータが前記ハウジングの中に位置する、請求項10から13までのいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項18】
前記ハウジングが透明領域又は半透明領域を備え、前記透明領域又は半透明領域を通して前記インジケータが可視となる、請求項14に記載のバッテリー。
【請求項19】
前記インジケータが前記ハウジングの外側にある、請求項10から13までのいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項20】
前記起動回路が、前記容量決定回路を低電力状態又はオフ状態と起動状態との間で切り換えるように構成され、前記起動状態において、前記容量決定回路が前記電源の前記容量情報を決定する、請求項13から19までのいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項21】
前記低電力状態又は前記オフ状態において、前記容量決定回路の電流引き込みが10μA未満である、請求項20に記載のバッテリー。
【請求項22】
前記起動回路が前記外部入力を受信するための入力手段を備え、前記入力手段が、加速度計、マイクロフォン、光センサ、圧力センサ、ジャイロスコープ、機械的ボタン又はスイッチ、容量式、誘導性、及び抵抗性のタッチ・インターフェース、のうちの1つ又は複数を含む、請求項13から21までのいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項23】
前記一連の外部入力が、所定の閾値を超える2つ以上の入力を含む、請求項13から22までのいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項24】
前記所定の閾値が、強さ、継続時間、及び/又は方向情報から構成される、請求項23に記載のバッテリー。
【請求項25】
前記起動回路が、前記一連の外部入力が所定の時間の範囲内で提供される場合に前記容量決定回路を起動するように構成される、請求項13から24までのいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項26】
前記一連の外部入力が固い表面の上での前記バッテリーに対しての2つ以上の衝撃を含む、請求項13から25までのいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項27】
前記インジケータが、発光ダイオード(LED)、ブザー、スピーカー、及び振動モータ、のうちの1つ又は複数を含む、請求項13から26までのいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項28】
プロセッサをさらに備える、請求項13から27までのいずれか一項に記載のバッテリー。
【請求項29】
前記起動回路が、割込み信号を前記プロセッサに提供することにより前記容量決定回路を起動する、請求項28に記載のバッテリー。
【請求項30】
前記容量決定回路が、以下の方法、
а)電源の電圧を測定すること、
b)前記電源から放電されるか又は前記電源に充電される電荷を蓄積すること、
c)前記電源の内部抵抗を計算すること、
d)経過時間に基づいて前記バッテリーの容量を推定すること、及び
e)前記バッテリーの放電反応を、前記バッテリーの化学的性質の既知の放電曲線と比較すること
のうちの1つ又は複数を使用して前記容量情報を決定するように構成される、請求項13から29までのいずれか一項に記載のバッテリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー内で使用されるための容量インジケータに関する。本技術は、充電式バッテリー又はインテリジェント・バッテリーに特に用途を見出すことができる。しかし、これは本技術の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【背景技術】
【0002】
バッテリーは世界中のほぼすべての家庭で必要とされ、使用される。総計で、毎日、毎秒350個のAAバッテリー及び150個のAAAバッテリーが購入されていると考えられる。入手可能である主要な種類の家庭用バッテリーは、アルカリ・バッテリー、リチウム・バッテリー、ニッケル-金属水素化物(NiMH)バッテリー、及びニッケル-カドミウム(NiCD)バッテリーである。非充電式である一次バッテリー及び外部電源から再充電可能である二次バッテリーが存在する。
【0003】
バッテリーは、通常はミリアンペア・アワー(mAh)又はアンペア・アワー(Ah)で表される定格容量を有する。この定格容量は、デバイスの電流引き込みが既知である場合にデバイスの動作時間(run time)を推定するのに使用され得る。しかし、これには、バッテリーの使用者の側での一定程度の知識が必要となる。さらに、複数のバッテリーを必要とするデバイスでは、残りの動作時間の正確な推定を行うためにバッテリーが直列接続されているか又は並列接続されているかを使用者が判断することが可能でなければならない。
【0004】
また、デバイスの動作時間を決定するために定格容量を使用することは、バッテリーが新品であってまだ使用されてない場合にのみ、有効となる。未使用のバッテリーでも経時的に自己放電する。これは、使用可能エネルギーがバッテリーの定格容量より大幅に小さくなる可能性があることを意味する。
【0005】
バッテリーの残りの容量を決定するためにバッテリー・テスターが利用可能である。これらのデバイスは、通常、試験されるバッテリーより大幅に大型であり、使用者にバッテリー容量を示すためのLED又はディスプレイを有する。これらのバッテリー・テスターは、通常、バッテリーの端子電圧を監視する形で、及び場合によっては端子電圧の変化の仕方を見るためにバッテリーに負荷を適用する形で、動作する。このアプローチは、バッテリーの容量の推定を実現するのに使用され得る。
【0006】
これらのバッテリー・テスターは、しばしば、コスト高であり、嵩張り、使用するのが不便である。また、これらのテスターの精度は、試験されるバッテリーの化学的性質がテスターの内部の基準の化学的性質データにどの程度適合するかによって決まる。バッテリー・テスターが試験されるバッテリーの種類に適合しない限り、高い可能性でバッテリー・テスターの精度が限定される。
【0007】
したがって、平均的なバッテリーの使用者に対してバッテリーの容量又は動作時間を示す単純な手段を提供する必要性が存在する。
【0008】
1つのアプローチがDuracellの米国特許第5,612,151号により特許を取得された。これは、加熱時に色を変化させるサーモクロミック液晶ストリップを使用するものである。このサーモクロミック・ストリップは、バッテリーの特定の領域を押すときに起動する。これらの領域に圧力を適用することにより、温度の上がったバッテリー端子の間で抵抗素子を接続して、それによりサーモクロミック・ストリップを加熱する。この結果はサーモクロミック・ストリップ内での変色であり、これが、バッテリーの残りの容量の概略の指示を提供するのに使用され得る。
【0009】
Duracellのアプローチの利点は、各バッテリーが内蔵式のそれ自体のテスターを有するので、嵩張る外部のバッテリー・テスターを使用する必要がないことである。しかし、このアプローチには多数の制約がある。一つには、容量指示が温度に左右されるので、得られる指示が周囲環境の温度に応じて変化する可能性があるということがある。加えて、このアプローチがサーモクロミック・ストリップを加熱することに依存するので、ストリップの温度が上昇する間での短い遅延が生じるということがある。また、このようにサーモクロミック・ストリップを加熱することはバッテリーに負荷をかけ、それによりバッテリーが試験中に放電を引き起こすことになる。結果として、この技術を採用するバッテリーは、通常、起動するために強く押されることを必要とする起動領域を有し、それによって、不必要時に試験回路が誤って起動されてバッテリーを枯渇させる可能性を低減する。起動領域を強く押すことを必要とする別の不都合な側面は、試験回路が、子供、虚弱な人、又は高齢者により起動されることが困難である可能性があることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,612,151号
【特許文献2】PCT公報WO2017/043979
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、改善されたバッテリー容量インジケータ及び/又はバッテリー容量インジケータを備えるバッテリーを提供することである。
【0012】
或いは、本発明の目的は、上記で概説した問題のうちの1つ又は複数の問題に少なくとも部分的に対処する、バッテリー容量インジケータ及び/又はバッテリー容量インジケータを備えるバッテリーを提供することである。
【0013】
或いは、本発明の目的は、少なくとも、公衆に有用な選択肢を提供することである
【課題を解決するための手段】
【0014】
本技術の第1の態様によると、バッテリー容量インジケータが提供される。
【0015】
本技術の第2の態様によると、バッテリー容量インジケータを備えるバッテリーが提供される。
【0016】
本技術の別の態様によると、バッテリーの1つ又は複数のパラメータを使用者に伝えるように構成される電子装置を備えるバッテリーが提供される。
【0017】
本技術の別の態様によると、
起動回路と、
容量決定回路と、
インジケータと、
を備えるバッテリー容量インジケータであって、
起動回路が、外部入力を受信するときに容量決定回路を起動するように構成され、
容量決定回路が、バッテリーの電源の容量を決定し、上記容量を表す信号をインジケータに中継するように構成され、
インジケータが容量を使用者に示すように構成され、
容量決定回路がバッテリー内に収容されるように構成される、バッテリー容量インジケータが提供される。
【0018】
本技術の別の態様によると、バッテリーであって、
電源と、
正端子及び負端子を備えるハウジングと、
バッテリーの電源と正端子及び/又は負端子との間で動作可能に接続される少なくとも1つの電子回路と、
を備え、
前記電子回路が、外部入力を受信するときに、バッテリーの少なくとも1つのパラメータをハウジングに外側から通信するように構成される、バッテリーが提供される。
【0019】
本技術の別の態様によると、
起動回路と、
容量決定回路と、
インジケータと
を備えるバッテリー容量インジケータであって、
起動回路が、一連の外部入力を受信するときに容量決定回路を起動するように構成され、
容量決定回路が、バッテリーの電源の容量情報を決定し、上記容量を表す信号をインジケータに中継するように構成され、
インジケータが容量情報を使用者に示すように構成され、
容量決定回路がバッテリー内に収容されるように構成される、バッテリー容量インジケータが提供される。
【0020】
本技術の別の態様によると、
ハウジングであって、
電源、及び
容量決定回路
を包含するハウジングと、
起動回路と、
インジケータと、
を備えるバッテリーであって、
起動回路が、一連の外部入力を受信するときに容量決定回路を起動するように構成され、
容量決定回路が、電源の容量情報を決定し、上記容量を表す信号をインジケータに中継するように構成され、
インジケータが容量情報を使用者に示すように構成される、バッテリーが提供される。
【0021】
本技術の一形態では、少なくとも1つの電子回路が、本技術の上述の態様のバッテリー容量インジケータを備え、バッテリーの少なくとも1つのパラメータが電源の容量を含む。
【0022】
好適には、バッテリーが充電式バッテリーであってよい。つまり、電源が充電式電源であってよい。例えば、バッテリーが、Li-ion、Li-po、NiMH、又はNiCDなどの、リチウムベース又はニッケルベースの化学的性質を含むことができる。一実施例では、電源が1つ又は複数のリチウム・イオン電池を含むことができる。
【0023】
好適には、ハウジングがAA又はAAAの形状因子を有することができる。しかし、これは本技術の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0024】
好適には、起動回路が、電子回路/容量決定回路を低電力状態又はオフ状態と起動状態との間で切り換えるように構成され得る。例えば、起動回路が、プロセッサに割込み(interrupt)を提供するように、又は電子回路/容量決定回路内の1つ又は複数のパワー・レールを変化させるように、構成され得る。
【0025】
好適には、低電力状態において、電子回路/容量決定回路の電流引き込みが10μA未満であってよい。
【0026】
好適には、起動回路が外部入力を受信するための入力手段を備えることができる。入力手段が、加速度計、マイクロフォン、光センサ、圧力センサ、又はジャイロスコープ、などのセンサ、或いはセンサの組み合わせを備えることができる。別法として、入力手段が、例えば、機械的、容量式、誘導性、又は抵抗性のタッチ・インターフェース又はボタンなどの、タッチ・ベースであってよい。
【0027】
好適には、起動回路が起動前に複数の外部入力装置を必要としてよい。
【0028】
好適には、インジケータが、発光ダイオード(LED)などの視覚インジケータであってよい。しかし、代替的実施例では、インジケータが、ブザー、スピーカー、又は振動モータなどの、聴覚インジケータ又は触覚インジケータであってよい。いくつかの実施例では、インジケータが、複数の指示モードを通して容量を示すように構成され得る。
【0029】
好適には、インジケータがハウジング内部に位置することができる。しかし、代替的実施例では、インジケータがハウジングの外側に位置することができ、例えば、ハウジングの少なくとも一部分の外側にあるラベルに埋設されるか又はラベルの下に位置する。
【0030】
好適には、ハウジングが半透明領域又は透明領域を備えることができる。透明領域又は半透明領域が、視覚インジケータからの光をバッテリー・ハウジングの外側から可視とするように、構成され得る。さらに、ラベルが、視覚インジケータからの光をより高い信頼性で可視とするのを可能にするための透明領域又は半透明領域を有することができることを認識されたい。
【0031】
好適には、電子回路/容量決定回路がプロセッサを備えることができる。しかし、代替的実施例では、電子回路/容量決定回路が分離した電子装置を備えることができる。
【0032】
好適には、電子回路/容量決定回路が、以下の方法のうちの1つ又は複数の方法によりバッテリーの容量を決定するように構成され得る:
- 電源の電圧を測定すること、
- 電源から放電されるか又は電源に充電される電荷を蓄積すること(例えば、クーロン・カウンティング)、
- 例えば、1つ又は複数の負荷電流において電源の電圧を測定することにより、電源の内部抵抗を計算すること、
- 時間に基づいてバッテリーの容量を推定すること、つまり、バッテリーの自己放電を概算すること、及び
- バッテリーの放電反応を、所与のバッテリーの化学的性質の場合の既知の放電曲線と比較すること。
【0033】
好適には、少なくとも1つのパラメータ/容量が以下のうちの1つ又は複数であってよい:
- バッテリーの残りの容量(例えば、相対的な又は絶対的な残りの容量)、
- バッテリーの定格容量、
- 例えば、観測される最大値又は最小値などの、瞬間的な電圧、平均電圧、又は履歴の電圧などの、電源の電圧、
- 例えば、観測される最大値又は最小値などの、瞬間的な電流、平均電流、又は履歴の電流などの、電源の中へ又は電源から外へ流れる電流、
- 例えば、観測される最大値又は最小値などの、瞬間的な温度、平均温度、又は履歴の温度などの、電源の温度、
- 最新の又は平均の放電電流に基づいてバッテリーが継続的に動作することになる時間量の推定値、
- バッテリーが充電されるまでの時間量の推定値、
- バッテリーの健康(health)状態の指示。例えば、充電式バッテリーでは、電子装置が、経時的に/複数回の充電サイクルにわたってバッテリーの最大容量が定格容量からどの程度劣化したかの指示を提供することができる。
- 例えば、バッテリーの経年数、充電/放電サイクルの回数などの、バッテリーについての履歴データ。
【0034】
本開示から本技術の利点が明らかとなる。しかし、これらの利点は、使用することが容易であり、低コストであり、小さいサイズを有し、及び/又は既存の製品提供物より高い精度を有する、バッテリー容量インジケータを含むことができる。
【0035】
本技術のすべての新規の態様において考察されることになる本技術の別の態様が、本技術の実際の用途の少なくとも1つの実例を提供する以下の説明を読むことにより当業者には明らかとなる。
【0036】
以下の図面を参照して、限定することを意図せずに、本技術の1つ又は複数の実施例を単に例として以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本技術の実施例によるバッテリーの簡略図である。
図2】本技術の実施例による電子構成要素を示すブロック図である。
図3】本技術の実施例による、容量測定のためにプロセッサを利用する例示の容量決定回路を示すブロック図である。
図4】分離した電子構成要素を使用して容量測定が行われる本技術の実施例による回路を示す簡略図である。
図5】容量決定回路が如何にして低電力状態で維持され得るかの例示の実施例を示す流れ図である。
図6】本技術の実施例によるバッテリー容量インジケータの一部として含まれる例示の電子回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
バッテリーの概要
広い意味で、本技術の好適な実施例はバッテリー容量インジケータに関連する。上記の考察を支援するために、最初に、以下で図1を参照してこの実施例の構成要素を高度に考察する。
【0039】
図1は、本技術の実施例によるバッテリー100の簡略図を示す。上記の考察の単純化のために、バッテリー100が当業者には既知であるようなAAバッテリーとして描かれている。しかし、これは本技術の範囲を限定するものとみなされるべきではなく、本技術の範囲から逸脱することなく他のバッテリー・サイズも使用され得る。例えば、バッテリー100は、例えば、AA、AAA、C、D、9V、コイン・セル、ボタン・セル、又は、例えば、携帯電話のバッテリー、ドローンのバッテリー、及び車両のバッテリーの形態を含む、当業者に既知である、任意の他の形状因子を有することができる。
【0040】
バッテリー100が、1つ又は複数の一次(非充電式)電池又は二次(充電式)電池を備えることができる電源102を備える。電源102が、バッテリーに出力電圧を提供するために、バッテリー100の正端子104及び負端子106に動作可能に接続される。正端子104及び負端子106がハウジング108の一部として含まれる。電源102がハウジング108の内部に収容される。
【0041】
本技術の別の態様が、バッテリー100のハウジング108の中にある電子装置110の含有物である。バッテリー100の中にある電子装置100の含有物が、以下のことを行う能力を含めた多数の利点を提供することができる、
- 電源102の電圧と異なる出力電圧を提供すること、
- 内部電源102の充電を調整すること、
- 内部電源102の健康及び容量を監視すること、
- 本明細書で説明される別の洗練された特徴を提供すること。
【0042】
本明細書を通して、「インテリジェント」バッテリー又は「スマート」バッテリーに言及することは、電力の供給のみではなくバッテリーを補完するか又は他の形でバッテリーに追加の機能性を提供するための電子装置110を組み込むバッテリーを有することとして理解されるべきである。バッテリーのハウジング108の中にある電子装置110の含有物のための1つの用途が、参照によりその内容の全体が本明細書に組み込まれているPCT公報WO2017/043979に説明される。WO2017/043979で説明される一実施例は、一定の又はほぼ一定の出力電圧を提供するために内部電源の電圧を調整するための電子装置110の使用に関する。したがって、この技術を採用するバッテリーは、バッテリーの容量の指示として出力電圧の測定に依存する既存の容量決定回路に適合しない。
【0043】
電子装置110がバッテリー100のハウジング108内に完全に位置して示されるが、電子装置110の1つ又は複数の構成要素が、代わりに又は加えて、端子104、106などのバッテリー100の分離した部分の中に位置しても、又はラベル112に埋設されるか又は他の形でラベル112の下に配置されてもよいことを認識されたい。ラベル112がハウジング108の少なくとも一部分の外側にあり、例えば種々の実施例で、ハウジング108の外側表面を囲んでよいか又はハウジング108の外側表面に付着され得る。
【0044】
電子製品の概要
図2は、本技術の好適な実施例による電子構成要素110のブロック図である。電子構成要素110が、電子構成要素110をその中に収容するバッテリー100の指示を提供するように構成されるバッテリー容量インジケータを備えることができる。
【0045】
示されるように、電子構成要素110が以下のうちの1つ又は複数を有することができる:
- 容量決定回路200、
- 起動回路202、
- インジケータ204、及び
- 入力/出力電子装置206。
【0046】
これらの構成要素の各々が、バッテリー110の内部電源102及び/又は端子104、106に動作可能に接続され得る。各々のこれらの構成要素の機能を以下で考察する。
【0047】
容量決定回路
容量決定回路200が、バッテリー100の電源102の容量を決定するように構成される。この情報が、後でさらに詳細に考察されるように、電源102の決定された容量を表す信号を通してインジケータ204に中継される。
【0048】
本明細書を通して、文脈により他の意味を明確に必要としない限り、容量を「決定する」又は「決定された」容量に言及することは、電源の容量の正確な測定(又は、電源の容量を示すパラメータ)さらには電源の容量の概算又は推定の両方を含むものと理解されるべきである。
【0049】
容量決定回路200が、多数の異なる手法でバッテリー100の容量を決定するように構成され得る。例えば、容量決定回路200が、以下の方法のうちの1つ又は複数を使用してバッテリー100の容量を決定することができる:
- 電源102の電圧を測定すること、
- 電源102から放電されるか又は電源102に充電される電荷を蓄積すること(例えば、クーロン・カウンティング)、
- 1つ又は複数の負荷電流において電源102の電圧を測定することにより、電源102の内部抵抗を計算すること(例えば、容量決定回路200が実質的にゼロの負荷条件下で電源102の電圧を測定することができ、次いで50mAの負荷などの既知の負荷を適用することができ、バッテリー100の内部抵抗に跨って電圧がどの程度低下したかを決定するために再び電圧を測定することができる)、
- 時間に基づいてバッテリー100の容量を推定すること、つまり、バッテリーの自己放電を概算すること、及び
- バッテリー100の放電反応を、所与のバッテリーの化学的性質の場合の既知の放電曲線と比較すること。
【0050】
これらの方法を使用してバッテリー100の容量を決定するのに適する構成要素類が当業者には明らかであろう。
【0051】
容量決定回路200が、上記の方法のうちの1つ又は複数の方法を使用してバッテリー100の容量を決定するように構成され得ることを理解されたい。例えば、コスト重視の用途では、電源102の電圧の測定のみに基づいて容量の推定を単純に実現することで十分となり得る。対照的に、正確な測定を必要とする用途では、容量決定が、電圧測定、クーロン・カウンティング、及び内部バッテリー抵抗の計算、の組み合わせを含むことができる。
【0052】
容量決定回路200が容量の絶対的な決定を実現することが可能である必要がなくてよく、一部の用途では、総計の定格容量の百分率指示などの相対的測定で十分となり得る。例えば、リチウム-イオンの電源102を包含するバッテリー100では、4.2Vの測定電圧が概略100%の容量と相互に関連してよく、3.9Vが概略75%の電荷の容量に相互に関連してよく、3.75Vが概略50%の容量に相互に関連してよく、3.7Vが概略25%の容量に相互に関連してよく、3Vが概略0%の容量に相互に関連してよい。
【0053】
本考察は、直接的な決定方法を通してバッテリー容量を決定するように構成される容量決定回路200に関連して行われるが、これは本技術の実施例の範囲を限定するものとみなされるべきではない。いくつかの実施例では、容量決定回路200が、別法として及び/又は加えて、バッテリー容量又は以下のものを間接的に表すものとして見なされ得るバッテリー100の1つ又は複数のパラメータを決定するように構成され得る:
- バッテリー100の残りの容量(例えば、相対的な又は絶対的な残りの容量)、
- バッテリー100の定格容量、
- 例えば、観測される最大値又は最小値などの、瞬間的な電圧、平均の電圧、又は履歴の電圧などの、電源102の電圧、
- 例えば、観測される最大値又は最小値などの、瞬間的な電流、平均の電流、又は履歴の電流などの、電源102の中へ又は電源102から外へ流れる電流、
- 例えば、観測される最大値又は最小値などの、瞬間的な温度、平均の温度、又は履歴の温度などの、電源102の温度、
- 最新の又は平均の放電電流に基づいてバッテリー100が継続的に動作することになる時間量の推定値、
- バッテリー100が充電されるまでの時間量の推定値、
- バッテリー100の健康状態の指示。例えば、充電式バッテリーでは、電子装置110が、経時的に/複数回の充電サイクルにわたってバッテリーの最大容量が定格容量からどの程度劣化したかの指示を提供することができる。
- 例えば、バッテリーの経年数、充電/放電サイクルの回数などの、バッテリー100についての履歴データ。
【0054】
本技術の一実施例では、容量決定回路200が図3に示されるプロセッサ300を有する。好適には、プロセッサ300が、電源102に対しての1つ又は複数の電気接続部302を備える。例えば、プロセッサ300が、これらの電池をプロセッサ300上のアナログ入力装置に動作可能に接続することにより(直接に、又は電圧分割器などの中間電子装置110を介して)電源102の1つ又は複数の電池の電圧を測定するように構成され得る。したがって、プロセッサ300が、バッテリー100の容量を決定するために電圧のアナログからデジタルへの変換を実現するように構成され得る。
【0055】
さらに、容量決定回路200が、電源102と直列である1つ又は複数の電流検出要素を備えることができる、ことを認識されたい。例えば、これらの電流検出要素が、電流感知抵抗器304などの抵抗器であってよい。電流感知抵抗器304が、通常、バッテリー100の性能に悪影響を与えないためにミリ・オームのオーダーの抵抗を有する。電流感知抵抗器304に跨る差動電圧を測定することにより、回路内を流れる電流の大きさを決定することが可能となり得る。差動電圧が、最初に、例えばより大きい電圧信号をプロセッサ300に提供するための演算増幅器により、増幅され得ることが当業者により認識されよう。
【0056】
本技術の一実施例では、プロセッサ300が、スリーブ状態などの1つ又は複数の低電力状態又は電力オフ状態に入るように構成され得る。低電力状態を使用することにより、有利には、バッテリー100上での総計の電力引き込み(power draw)を低減することができ、それによりバッテリー100の耐用寿命を伸ばすことができる。例えば、低電力状態時に10μA未満まで電子装置110の電流引き込みを低減することが有利である可能性がある。この低電力状態は、プロセッサ300のクロック速度を低下させること、プロセッサ300の特定の周辺装置への電力を取り除くこと、プロセッサ300に対して供給を行うパワー・レールのうちの1つ又は複数のパワー・レールの電圧を低減すること、及び上記の処置の組み合わせにより、可能となり得る。別法として、いくつかの実施例では、低電力状態の電流引き込みをさらに低減するために、非使用時にプロセッサ300の電源を完全に切ることが有利である可能性がある。
【0057】
プロセッサ300を上記低電力状態から起動状態にする1つの手段が、後でより詳細に考察するように起動回路202を提供することである。例えば、この起動回路202が、プロセッサ300をその通常の電力状態に戻すように切り換えるように構成される割込みを発生させるように、又は別法としてインジケータ204を介してバッテリー100に関する情報をプロセッサ300により中継しなければならないことをプロセッサ300に指示する信号を単純に提供するように、構成され得る。
【0058】
プロセッサ300から電力が完全に取り除かれるような用途では、所定の時間において、又はプロセッサ300のタスクが完了したことを示す信号をプロセッサ300から受信するまで、起動回路202がプロセッサ300への電力をラッチすることが有利である可能性がある。
【0059】
本技術の代替的実施例では、分離した電子装置110を使用して容量決定回路200を実装することが有利である可能性がある。これが、有利には、低コストの解決策を提供することができ、及び/又は、プロセッサ300を備える代替の実施例よりフットプリントを小さくすることができる。分離した電子装置110を使用して動作する低コストの容量決定回路200を作るための1つの手段を提供する図4に例示の回路図が示される。
【0060】
この実施例では、一連の演算増幅器又はコンパレータ400が、バッテリー電圧及びひいては容量の指示を提供するための1つ又は複数のLED402を示すのに使用される。簡単に言えば、この回路が、コンパレータ400の各々の変換入力406に固定の基準値404を確立することにより、動作し、これらの固定の基準値404を、コンパレータ400上で非変換入力408に提供される電源102の電圧と比較する。非変換入力408の電圧が変換入力406の電圧を超える場合、コンパレータ400の出力が大きくなり、LED402が光る。したがって、各々のLED402を可能にするための特定の閾値が、抵抗分割器チェーン410内の抵抗器の値を変化させることにより、又は別法として異なる固定の電圧基準値404を提供することにより、設定され得る。
【0061】
この実例が単に例として提供されること、及び分離した電子装置110を使用して容量決定を実現するための代替の手段が当業者には明らかになることが認識されよう。さらに、適切な電圧基準値を発生させることなどのこのデザインの特定の態様は当業者にはよく知られているものであり、例えばツェナー・ダイオード又は同様の基準を使用することにより、達成され得る。さらに、図4に示される分割器チェーン410が単に例として提供されていることが認識されよう。代替的実施例では、各々の非変換入力408が一体に接合され得、電源102に対しての共通の接続部を有することができる。この実施例では、スイッチング閾値が、変換入力406でのみ使用される基準電圧によって画定される。さらに、コンパレータ400の出力状態と同様に、変換入力406及び非変換入力406への接続部がある程度任意であることが認識されよう。例えば、代わりに、固定される基準値が非変換入力408に提供されてもよく、電源102の基準値が変換入力406に提供されてもよい。同様に、LEDで指示することは、コンパレータ400の出力を小さくするときに可能となるように再構成され得る。
【0062】
さらに、容量決定回路200が小さい電力消費を有することが有利である。こうすることで、バッテリー容量の決定自体ではバッテリー容量が有利に低減されなくなる。これが、本技術の種々の実施例による多数の手法で達成され得る。
【0063】
一実施例では、容量決定回路200の電子構成要素110が、回路の総計の電力消費を低減するように、選択され得、及び/又は構成され得る。例えば、低電力消費部品が選択され得、電圧分割器ネットワークが、総計の電力引き込みを低減するための高インピーダンス構成要素を有するように構成され得る。
【0064】
代替的実施例では、非使用時に容量決定回路200に電力を供給するのを回避することが有利である可能性がある。こうすることで、バッテリー容量を能動的に決定するわけではないときは、容量決定回路200がわずかな電力しか引き出さないか又は電力を引き出さない。例えば、容量決定回路200が、必要に応じてオフ及びオンを切り換えられる共通のパワー・レールによって電力を供給され得る。
【0065】
プロセッサ300を備える実施例では、容量決定を能動的に実現しないときにプロセッサ300を低電力動作モードに切り換えることが有利である可能性がある。これが、例えば、プロセッサ300を起動状態に戻すために割込みが受信されるまでプロセッサ300をスリープ状態にすることにより、達成され得る。好適な実施例では、プロセッサ300が、起動回路202からの信号に基づいて起動状態に入るように構成される。起動状態になると、プロセッサ300がバッテリー容量を決定することができ、容量を表す信号をインジケータ204に中継することができる。このプロセスが完了すると、プロセッサ300がもう一度そのスリープ状態に戻ることができる。
【0066】
起動回路
本技術の実施例の一態様が、容量決定回路200を起動するように構成される起動回路202である。起動回路202を使用することにより、有利には、永久的に起動状態である容量決定回路200を有する場合と比較して、電子装置110の総計の電力消費を低減することができ、その結果、バッテリー100上での総計の電力引き込みが低減される。
【0067】
上記の考察は、容量決定回路200を「起動」するときの起動回路202を参照するものである。本明細書を通して、容量決定回路200の起動を参照することは、回路を低電力状態又はオフ状態から活性化すること及び/又は容量決定回路200に電力を提供することを含むことを理解されたい。
【0068】
起動回路202を図1に示されるようにバッテリー100のハウジング108の中に完全に収容することが有利である可能性がある。しかし、これは本技術の実施例を限定するものとみなされるべきではない。電子装置110をバッテリー100のハウジング108の中に完全に収容することで、いくつかの事例では、バッテリー・ラベル112中に埋設される構成要素を一切必要とすることなく達成され得る低コストの解決策を提供することができる。加えて、電子装置110をバッテリー100のハウジング108の中に収容することで、ダメージに対してある程度の保護を提供することができる。
【0069】
スマート・バッテリーの用途では、バッテリー100の内部に起動回路202及び/又は容量決定回路200を有することに追加の利益が存在し得る。具体的には、容量決定/起動の機能性も実現するためのスマート・バッテリーの機能性を実現するのに既存の電子装置110を使用するか又はそのために既存の電子装置110を適合させることが可能となり得る。
【0070】
本技術の好適な実施例では、起動回路202がセンサの形態の入力手段を利用し、この入力手段が、適切な入力を感知した後で、起動信号の発生を引き起こす。例えば、センサが、加速度計、マイクロフォン、光センサ、圧力センサ、音響センサ、又はジャイロスコープであってよい。別法として、入力手段が、例えば、機械的、容量式、誘導性、又は抵抗性のタッチ・インターフェース又はボタンなどの、タッチ・ベースであってよい。
【0071】
起動回路202が、容量決定回路200を起動する前にセンサからの特定の一連の入力を必要とすることが有利である可能性がある。こうすることで、意図されない起動の発生を軽減することが可能となり得る。例えば、加速度計が使用される場合、起動回路202を起動するために1つ又は複数の所定の状態に適合するか又は所定の閾値を超える2つ以上の加速度値を必要とすることが有利である可能性がある。例えば、所定の状態又は閾値が、バッテリー100に対しての2つ以上の衝撃により得られるような2つの比較的高振幅である短期間の加速度値を起動回路が必要とすることになるように、構成され得る。例えば、バッテリー100が、起動回路202を起動するために2回以上固い表面に軽く当てられることが必要となり得る。さらに、起動回路が、意図されない起動の可能性をさらに低減するために、2秒などの所定の期間内に特定の一連の入力を提供することを必要とすることができる。
【0072】
上記の実例での加速度計の使用が本技術の範囲を限定するものとみなされるべきではなく、センサの形態に関係なく、起動回路202が、頻度、継続時間、方向、強さ、又はタイミングなどの、一連の入力のための1つ又は複数の所定の条件又は閾値を用いて構成され得る、ことを理解されたい。例えば、音センサが使用される場合、起動回路202が、起動回路202を起動するために、周波数、継続時間、強さ(つまり、ボリューム又は振幅)などの、音センサによって感知される信号に関連して、1つ又は複数の所定の条件に適合するか又は1つ又は複数の所定の閾値を超える一連の入力を受信するときに起動されるように構成され得る。さらに、所定の条件が、入力の頻度を特定の閾値未満にするか又は入力の頻度を所定の値未満の時間で行うのを必要とするような小さい閾値から構成され得ることを認識されたい。いくつかの実施例では、起動回路が、一連の入力が容量決定回路を起動するのに必要である所定のパターンに十分に類似する(例えば、入力信号のパターンを特徴付けるパラメータの特定の閾値の範囲内にある)ことを判断するために1つ又は複数の受信信号内のパターンを認識するためのパターン認識方法を使用するように構成され得る。
【0073】
必要な一連の入力の検出が、適切にプログラムされるプロセッサ300を使用して実施され得る。例えば、プロセッサ300が、起動回路202を作動させるために適切なタイミング及び/又は強さで入力が受信されるのを保証するためにセンサの状態を監視するように(又は、センサからの入力で活性化を行うように)構成され得る。いくつかの実施例では、センサが、強さ、方向、及び/又は継続時間に基づいて入力信号が所定の閾値に達する場合にのみ出力信号を発生させるか又は中断するように構成可能となり得る。このアプローチは、有利には、適切な入力信号を受信するまでプロセッサ300をオフ状態又は低電力状態に留めるのを可能にすることができる。
【0074】
代替的実施例では、必要なシークエンスの検出が、分離した電子装置110を用いて実施され得る。例えば、入力信号に対してフィルタリングが適用され得、その結果、所望の頻度、継続時間、強さ、及び/又はシークエンスを含む入力信号が起動回路202に送られることになり、代わりに所望のパラメータの範囲外の信号が弱められるか又は無視される。適切な分離した電子装置110を選択することは所望の起動シークエンスによって決定されるものであり、当業者には明らかなものである。
【0075】
図5は、本技術の一実施例による起動回路202の動作方法の流れ図を示す。示されるように、システムのアイドル状態が容量決定回路200をスリープ状態にするための状態であり、スリープ状態では回路が非活性となる。起動回路202がセンサ入力によって作動されると、回路が、正確なシークエンスの入力が提供されたかどうかを確認する。所定の時間において正確なシークセンスが提供されない場合、電子装置110がスリープ状態に戻る。正確なシークエンスが提供される場合、容量決定回路200が起動され、決定が行われ、決定された容量を表す信号がインジケータ204に中継される。この場合、電子装置110が、もう一度スリープ状態に戻るように構成される。
【0076】
電源102から負荷が引き出される場合には、起動回路202又は本技術の他の構成要素が容量決定回路200の動作を停止させることがさらに有利である可能性がある。例えば、バッテリー100が製品内で使用される場合、この状態において容量決定回路200の動作を停止させることにより、有利には、バッテリー100のアイドル電流の引出しを低減することができる。
【0077】
容量インジケータ
本技術の好適な実施例では、バッテリー100の容量がインジケータ204を介して使用者に示される。インジケータが、適切な又は選択された精度でバッテリー容量の指示を提供するように構成され得る。例えば、一実施例では、インジケータが、残りの容量のための百分率の数字又は他の量的指示などの、比較的正確である容量の指示を提供することができ、対して他の実施例では、インジケータが、例えば、小さい容量/中程度の容量/大きい容量などの容量の量的指示又は離散的な分類といったような、容量の適切な指示を提供することができる。いくつかの実施例では、インジケータ204がLEDなどの視覚インジケータであってよい。しかし、これは本技術の実施例を限定するものとみなされるべきではない。例えば、加えて又は別法として、ブザー、スピーカー、又は振動機構を使用する聴覚フィードバック又は触覚フィードバックにより指示が提供され得る。
【0078】
バッテリー100の容量が任意の数の方法によって通信され得る。例えば、LEDが使用される場合、充電レベルを示すために一連の閃光が使用され得、つまり、5つの閃光が満充電を示すことができ、3つの閃光が半分の充電を示すことができ、1つの閃光が低充電又は無充電を示すことができる。別法として、複数の色の又は3色のLEDが使用されてもよく、LEDの色が充電状態を示すのに使用され得、つまり、緑色が満充電を示すことができ、橙色が半分の充電を示すことができ、赤色が空状態を示すことができる。
【0079】
バッテリー容量を通信する代替の方法が、特定の一連の又は特定の継続時間の振動、ビープ音、又は閃光、音、トーン、又はさらには、充電レベルをアナウンスする合成の/録音したスピーチを含むことができる。
【0080】
一実施例では、バッテリー容量が、LED、ブザー、スピーカー、又は振動モータなどの、視覚/聴覚/触覚フィードバック機構を駆動するように構成される適切なプログラムされたプロセッサ300を備えるバッテリー容量インジケータによるインジケータ204によって通信される。別法として、バッテリー容量インジケータが、指示機構を制御するように構成される分離した電子装置110を備えることができる。可変パルス・シークエンスを提供する例示の一実装形態が555タイマーを使用することである。パルスの数又はパルス・レートを変化させることが、検出した容量に応じて、トランジスタなどの切り換え要素を使用して抵抗器又はコンデンサを切り換えることにより、達成され得る。例えば、図4に示される回路が、示されるLEDではない555回路の切り換え要素を駆動するのに使用され得る。やはり、適切な分離した電子装置110の選択が所望の指示シークエンスによって決定されるものであり、当業者には明らかなものである。
【0081】
視覚インジケータ204が使用される場合、視覚インジケータ204が好適にはバッテリー100のハウジング108内に設置される。しかし、代替的実施例では、視覚インジケータ204がバッテリー100のラベル112の中に又はラベル112の下に位置することができる。視覚インジケータ204がバッテリー100のハウジング108内に設置される実施例では、視覚インジケータ204からの光を使用者にとって可視にするのを可能にするためにハウジング108の半透明領域又は透明領域を提供することが有利である可能性がある。
【0082】
本技術の代替的実施例では、インジケータ204が、容量情報を、スマートフォン、腕時計、タブレット、コンピュータ、又は他の外部デバイスなどの、外部デバイスに中継するように構成され得る。この情報の中継が、Bluetooth(商標)、WiFi、NFC、又は任意の適切な他の無線ネットワーク又はプロトコルを介して情報を伝達するように構成される無線通信インターフェースを使用して達成され得る。
【0083】
別の代替的実施例では、インジケータ204が、バッテリー100の端子104、106を介して容量情報を中継するように構成され得る。例えば、インジケータ204が、バッテリー100の端子104、106を介して容量情報を外部デバイスに中継するためにICなどの2ワイヤー通信プロトコルを使用することができる。別法として、スマート・バッテリー内で使用される場合、インジケータ204が、内部電源102の容量の指示を提供するためにバッテリー100の端子104、106の出力電圧を変化させることができる。例えば、起動回路202が、入力/出力電子装置206の動作を停止させるように又は電源102をバッテリー端子104、106に動作可能に接続するように構成され得、その結果、標準的な容量検出器が使用され得るようになる。
【0084】
別の実施例では、バッテリー100が、バッテリー容量を外部デバイスに通信するための電気接続部をさらに備えることができる。例えば、バッテリーのラベル112が、バッテリー100の容量を示す電子信号を提供する導電性領域を有することができる。この電子信号がアナログであってよく、例えば、バッテリーの容量を示す電圧レベルを提供することができる。或いは、別法として、電子装置がデジタルであってよく、例えば電子信号が、バッテリーの容量を示す一連のバルスを含むことができる。
【0085】
電子装置の例示の実施例
本技術の実施例によるバッテリー容量インジケータの一部として含まれる例示の電子回路110が図6に示される。この実施例では、抵抗器R17及びR20を有する抵抗分割器により容量決定回路200が提供される。この抵抗分割器が継続的に電源102に負荷を適用することから、総計の電流引き込みを最小にするための高い値の抵抗器を有することが望ましい。例えば、例として示される1.8MΩ及び2.2MΩ抵抗器を参照されたい。しかし、この一定の電流引き込み構成が単に例として提供されていること、及び代替的実施例において、必要に応じて回路の中へ又は回路の外へ電圧分割器が切り換えられ得ることを認識されたい。例えば、他の実施例では、当業者には認識されるように、バイポーラ接合トランジスタ(BJT:bipolar junction transistor)又は電界効果トランジスタ(FET:field-effect transistor)が電池電圧とR17との間に又は別法としてR20と接地接続との間に配置され得る。
【0086】
さらに、例示の実施例では、特には電圧測定に干渉する可能性がある任意の伝導ノイズ(conducted noise)又は放射ノイズに関連して、入力信号のフィルタリングを支援することができる100nFのコンデンサC25が提供される。
【0087】
抵抗分割器内の構成要素の値を慎重に選択することにより、電源102の電圧の予期される範囲において、アナログからデジタルの変換器(ADC)(プロセッサ300のピン4)のところに存在する電圧がADCの定格限界の範囲に確実に留まるようになる。
【0088】
さらに、起動回路202の例示の実施例が図6に描かれている。この実施例では、専用集積回路(IC)つまりBosch Sensortecによって作られるBMA253加速度計が使用される(U11を参照)。このICが、この用途に適することになる多くの考えられる構成要素のうちの1つの構成要素であることを認識されたい。このICは、有効には、十分な加速度を検出するときにプロセッサ300をそのスリープ状態又はアイドル状態から活性化するためのアクティブ低信号を発生させることができる割込み出力(ピン5)を有する。加速度計が、加速度値をプロセッサに通信するためのICインターフェースをさらに有する(U11のピン2及び12を参照)。
【0089】
この実施例はさらに、LED(D3)の形態のインジケータ204を有する。このLEDは、プロセッサのピン18のアクティブ高信号によりLEDを光らせるように構成される。しかし、代わりに又は加えて、当業者には明らかとなるようなLEDを駆動する他の適切な方法も提供され得る
【0090】
好適な実施例では、図6に示される回路が以下のように動作する:
・ダブル・タップのシークエンスの検出時、プロセッサが依然として起動状態ではない場合、起動回路202がプロセッサ300を活性化する割込みを発生させる。
・プロセッサ300が、電源102の電圧を示すピン4の電圧を測定する、
・次いで、プロセッサ300が、予めプログラムされる電圧基準値を使用して電源102の充電状態を決定する、
・プロセッサ300が、測定した容量に従ってLEDの閃光の適切なシークエンスを用いてインジケータ204を起動する。
【0091】
1つの例示の閃光のシークエンスは以下の通りであってよい:
・電源が0%から20%の間の残りの容量を有することを示す1回の閃光、
・電源が20%から40%の間の残りの容量を有することを示す2回の閃光、
・電源が40%から60%の間の残りの容量を有することを示す3回の閃光、
・電源が60%から80%の間の残りの容量を有することを示す4回の閃光、
・電源が80%から100%の間の残りの容量を有することを示す5回の閃光。
【0092】
上記の閃光のシークエンスは単に例として提供されるものであり、本技術の代替的実施例において、多様なレベルの電力容量を搬送することができる任意適切な他のシークエンスの閃光が使用され得る。1つの代替的実施例では、異なる色の光を選択的に光らせることが、多様な電力容量レベルを示すのに利用され得る。別の代替的実施例において、異なる強さレベルで光源を選択的に光らせることが、多様な電力容量レベルを示すのに使用され得る。
【0093】
上記の記述は好適な実例に関連させて本技術を説明するものである。本技術は実例及び/又は図面のみに限定されない。その理由は、実例及び/又は図面が単に本技術を例示しているのみであるからであり、本技術の範囲から逸脱することなく可能性のある変形形態及び修正形態が容易に明らかとなるからである。
【0094】
さらに、上記の記述は本技術の特定の回路を参照しているが、これらの回路が互いに別個のものある必要がないことを理解されたい。例えば、起動回路202が単純に容量決定回路200の一部であってもよい。
【0095】
文脈により他の意味を明確に必要としない限り、本明細書及び特許請求の範囲を通して、「comprise」及び「comprising」などの単語は、排他的意味又は包括的意味ではなく包含的意味で解釈されるものであり、つまり「限定しないが、有する」という意味で解釈されるものである。
【0096】
存在する場合、上記で及び以下で引用されるすべての出願、特許、及び公報の開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0097】
本明細書において任意の従来技術を参照することは、この従来技術が世界の任意の国での尽力の分野における通例の一般知識の一部を形成するものであることを認めたり又はそのようなことを何らかの形で示唆したりするものではなく、またそのように解釈されるべきでもない。
【0098】
また、本技術は広い意味で、個別に又は集合的に、本出願の本明細書で参照されるか又は示される部品、要素、及び特徴のうちの2つ以上の部品、要素、及び特徴の任意の及びすべての組み合わせとして、これらの部品、要素、及び特徴の中に存在するものとして説明され得る。
【0099】
上記の説明において、その既知の均等物を有する完全体又は構成要素が参照される場合、これらの完全体は個別に記載されるものとして本明細書に組み込まれる。
【0100】
本明細書で説明される本発明の好適な実施例に対しての種々の変更形態及び修正形態が当業者には明らかになることに留意されたい。このような変更形態及び修正形態は、本技術の精神及び範囲から逸脱することなく、また、その付随の利点を低減することなく、作られ得る。したがって、このような変更形態及び修正形態は本技術の範囲に含まれることを意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】