(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】モニタリングパッドを用いる超音波治療のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20221007BHJP
A61B 5/145 20060101ALI20221007BHJP
A61B 5/33 20210101ALI20221007BHJP
A61N 1/39 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
A61B8/14
A61B5/145
A61B5/33 120
A61B5/33 210
A61N1/39
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506928
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(85)【翻訳文提出日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 CA2020051108
(87)【国際公開番号】W WO2021026656
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522046531
【氏名又は名称】ソノスコープ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】マキシム ヴァロワ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フランソワ ラントット
(72)【発明者】
【氏名】ヒューゴー デュヴィル
(72)【発明者】
【氏名】ヤニック ル デヴェト
(72)【発明者】
【氏名】ベルナルド ルフェーヴル
【テーマコード(参考)】
4C038
4C053
4C127
4C601
【Fターム(参考)】
4C038KK01
4C038KL05
4C053KK02
4C053KK03
4C127AA02
4C127CC06
4C127DD03
4C601BB03
4C601BB07
4C601DD15
4C601EE04
4C601EE11
4C601FF01
4C601FF08
4C601FF16
4C601GB04
4C601GB06
4C601GB41
4C601GC03
4C601GC07
4C601GC28
4C601GD12
4C601HH23
4C601JC08
4C601KK07
4C601KK25
4C601LL26
(57)【要約】
患者に付けるためのモニタリングパッドと、モニタリングパッドに接続し、複数の超音波トランスデューサを有する超音波プローブと、超音波トランスデューサを制御して超音波ビームを患者に対して合焦するとともに超音波ビームの反射結果を読み取るように構成された超音波ビーム形成デバイスと、を有する超音波システムが開示される。モニタリングパッドは、超音波ゲルパッド、及び超音波ゲルパッドを保持する支持構造体を有する。本開示の実施形態によると、支持構造体は、超音波プローブを受容し、超音波ゲルパッドが患者と超音波トランスデューサの間に挟まれるように超音波プローブを超音波ゲルパッドに対して固定位置に保持するように幾何学的に構成される。一部の実施例では、モニタリングパッドは心電図電極及び/又は超音波に無関係な他のセンサを有し、超音波ビーム形成デバイスはそれからの読取り値を受信する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波システムであって、
複数の超音波トランスデューサを有する超音波プローブと、
患者に付けるためのモニタリングパッドであって、
超音波ゲルパッド、及び
前記超音波ゲルパッドを保持し、前記超音波プローブを受容し、前記超音波ゲルパッドが前記患者と前記超音波プローブの間に挟まれるように前記超音波プローブを前記超音波ゲルパッドに対して固定位置に保持するように幾何学的に構成された支持構造体、
を備えるモニタリングパッドと、
前記複数の超音波トランスデューサを制御して超音波ビームを前記患者に対して合焦して前記超音波ビームの反射結果を読み取るように構成された超音波ビーム形成デバイスと、
を備える超音波システム。
【請求項2】
前記超音波ビーム形成デバイスは、超音波エネルギーが前記患者の内部の所定の焦点において同相となるように、各超音波トランスデューサを励起するための時間遅延を制御して前記患者に送信される複数の超音波ビームを生成する送信回路を備え、
前記超音波ビーム形成デバイスは、前記所定の焦点からの前記超音波ビームの反射結果を読み取る受信回路を備える、請求項1に記載の超音波システム。
【請求項3】
前記超音波ビーム形成デバイスが、特定対象領域において複数の前記超音波ビームを再合焦して信号対ノイズ比を向上するように構成された、請求項1又は2に記載の超音波システム。
【請求項4】
前記超音波トランスデューサは、2次元アレイにおいて配向される、請求項1から3のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項5】
前記超音波ビーム形成デバイスが、単一の線形アレイとして2次元アレイの1つのアレイを利用するように構成された、請求項4に記載の超音波システム。
【請求項6】
前記超音波ビーム形成デバイスは、前記超音波ビームの前記反射結果に基づいて超音波画像を表示するためのディスプレイを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項7】
前記超音波ビーム形成デバイスは、前記超音波ビームの前記反射結果に基づいて形態又は組織の識別を自動的に生成するようにパターン認識又は人工知能を実行する、請求項1から6のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項8】
前記モニタリングパッドは超音波に無関係な少なくとも1つのセンサを備え、前記超音波ビーム形成デバイスが、前記少なくとも1つのセンサから読取り値を受信するように構成された、請求項1から5のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項9】
前記超音波ビーム形成デバイスが、前記超音波プローブを介して前記少なくとも1つのセンサから前記読取り値を受信するように構成された、請求項8に記載の超音波システム。
【請求項10】
前記超音波ビーム形成デバイスは、前記超音波ビームの前記反射結果に基づく超音波画像及び前記少なくとも1つのセンサからの前記読取り値に基づく他の画像を同時に表示するためのディスプレイを備える、請求項8又は9に記載の超音波システム。
【請求項11】
前記超音波ビーム形成デバイスは、前記超音波ビームの前記反射結果及び前記少なくとも1つのセンサからの前記読取り値の組合せに基づいて形態又は組織の識別を自動的に生成するようにパターン認識又は人工知能を実行する、請求項8から10のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのセンサは、心拍動を検知するための一対の心電図電極を備える、請求項8から11のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのセンサは、血中酸素飽和度を検知するための血中酸素飽和度センサを備える、請求項8から12のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項14】
前記超音波ビーム形成デバイスは、除細動器装置に接続し、該除細動器装置を制御しかつ/又は該除細動器装置の情報を表示するように構成され、
前記超音波システムは、除細動による電気ショックに耐性を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項15】
前記超音波ビーム形成デバイスは除細動回路を備え、
前記超音波システムは、除細動による電気ショックに耐性を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項16】
前記超音波システムの状態をシグナリングするために前記モニタリングパッド及び/又は前記超音波プローブに配されたLED(発光ダイオード)又は他の発光体を備える請求項1から15のいずれか一項に記載の超音波システム。
【請求項17】
患者に付けるためのモニタリングパッドであって、
超音波ゲルパッドと、
前記超音波ゲルパッドを保持し、超音波プローブを受容し、前記超音波ゲルパッドが前記超音波プローブと前記患者の間に挟まれるように前記超音波プローブを前記超音波ゲルパッドに対して固定位置に保持するように幾何学的に構成された支持構造体と、
を備えるモニタリングパッド。
【請求項18】
前記支持構造体は、
前記超音波ゲルパッドを所定の境界内に保持し、前記超音波プローブを受容するとともに前記超音波ゲルパッドが前記超音波プローブと前記患者の間に挟まれるように前記超音波プローブを前記固定位置に保持する機構を有するクレードルと、
前記モニタリングパッドに対して前記クレードルを支持するための支持層と、
を備える、請求項17に記載のモニタリングパッド。
【請求項19】
前記モニタリングパッドが、前記超音波ゲルパッドと前記患者の間の直接の接触を可能とする、請求項17又は18に記載のモニタリングパッド。
【請求項20】
前記支持構造体は、前記超音波プローブのケーブルを前記支持層に対して保持するために該支持層に結合されたクリップをさらに備える、請求項18又は19に記載のモニタリングパッド。
【請求項21】
前記支持層は構造的支持のための裏打ち層及びフレームを備え、前記クリップが前記フレームに結合された、請求項20に記載のモニタリングパッド。
【請求項22】
超音波に無関係な少なくとも1つのセンサをさらに備える請求項17から21のいずれか一項に記載のモニタリングパッド。
【請求項23】
各センサについて、該センサから前記超音波プローブへのコネクタをさらに備える請求項22に記載のモニタリングパッド。
【請求項24】
前記少なくとも1つのセンサは、心拍動を検知するための一対の心電図電極を備える、請求項22又は23に記載のモニタリングパッド。
【請求項25】
前記少なくとも1つのセンサは、血中酸素飽和度を検知するための血中酸素飽和度センサを備える、請求項22から24のいずれか一項に記載のモニタリングパッド。
【請求項26】
前記モニタリングパッドは、除細動による電気ショックに対して耐性を有する、請求項17から25のいずれか一項に記載のモニタリングパッド。
【請求項27】
ビーム形成によって超音波トランスデューサアレイを制御して超音波データを取得し、超音波に無関係な少なくとも1つのセンサから読取り値を受信し、前記超音波データに基づく超音波画像及び前記少なくとも1つのセンサからの前記読取り値に基づく他の画像を同時に表示するように構成された超音波ビーム形成デバイス。
【請求項28】
前記少なくとも1つのセンサは心拍動を検知するための一対の心電図電極を備え、前記少なくとも1つのセンサからの前記読取り値に基づく前記画像は心電図を備える、請求項27に記載の超音波ビーム形成デバイス。
【請求項29】
前記少なくとも1つのセンサは血中酸素飽和度を検知するための血中酸素飽和度センサを備え、前記少なくとも1つのセンサからの前記読取り値に基づく前記画像は血中酸素飽和度を時系列で表すグラフを備える、請求項27又は28に記載の超音波ビーム形成デバイス。
【請求項30】
前記超音波データ及び前記少なくとも1つのセンサからの前記読取り値の組合せに基づいて、形態又は組織の識別を自動的に生成するようにパターン認識又は人工知能を実行する請求項27から29のいずれか一項に記載の超音波ビーム形成デバイス。
【請求項31】
除細動器装置に接続し、該除細動器装置を制御しかつ/又は該除細動器装置の情報を表示するように構成され、
除細動による電気ショックに対して耐性を有する請求項27から30のいずれか一項に記載の超音波ビーム形成デバイス。
【請求項32】
除細動回路を備え、
除細動による電気ショックに対して耐性を有する請求項27から30のいずれか一項に記載の超音波ビーム形成デバイス。
【請求項33】
モニタリングパッドを患者に付けるステップであって、該モニタリングパッドは(i)超音波ゲルパッド、及び(ii)該超音波ゲルパッドを保持し、超音波プローブを受容し、該超音波プローブを前記超音波ゲルパッドに対して固定位置に保持するように幾何学的に構成された支持構造体を有する、ステップと、
前記超音波プローブを前記モニタリングパッドに接続するステップであって、前記超音波プローブは複数の超音波トランスデューサを有する、ステップと、
前記超音波トランスデューサを制御して超音波ビームを前記患者に対して合焦するとともに前記超音波ビームの反射結果を読み取るように超音波ビーム形成デバイスを動作させるステップと、
を備える方法。
【請求項34】
前記モニタリングパッド又は前記超音波プローブを保持又は操作することなく前記超音波ビーム形成デバイスを動作させるステップを備える請求項33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2019年8月14日出願の米国特許出願第62/886,638号に優先権を主張し、その全体の開示が参照により取り込まれる。
【0002】
本開示は、超音波治療に関し、より具体的にはPOCUS(Point-of-Care Ultrasound;ポイントオブケア超音波検査)及びモニタリングに関する。
【背景技術】
【0003】
腱、筋肉、関節、血管及び内蔵などの体内構造物の超音波画像を生成する際に超音波治療(診断用ソノグラフィ又は超音波検査としても知られる)が用いられる。ソノグラムとしても知られる超音波画像は、患者に対して位置決めされたプローブを用いて超音波パルスを患者に送り込み、反射結果を記録し、その反射結果に基づいて超音波画像を表示することによって作成される。異なる組織は異なる反射特性を有することから、異なる組織が超音波画像において区別可能となる。
【0004】
超音波治療処置は通常、医療専門家がプローブを保持及び操作して対象エリアの超音波画像を取得することを伴う。通常、ゲルが患者とプローブの間に配置され、患者への超音波パルスの進行及び記録用のプローブへの反射結果の戻りを促進する。ゲルはまた、医療専門家が患者上でプローブを操作することを容易とし得る。
【0005】
残念ながら、ゲルは汚れることがあり、特に、プローブの移動が患者の比較的大きな表面においてゲルを汚すので、患者及びプローブの両方の清掃を要することがある。また、プローブは、特に患者に対するプローブの移動によって、患者によって汚染されていくことになる。したがって、プローブは、使用毎に、例えば石鹸及び水又は第4級アンモニウムスプレー若しくはワイプを用いて清掃されるべきである。これは、不便かつ面倒なものとなり得る。
【0006】
POCUS(ポイントオブケア超音波検査)により、どこで患者が処置されていたとしても、近代的な病院、救急車又は僻村であっても、超音波治療処置が患者に対して実行可能となる。POCUSは、例えば、心蘇生などの緊急処置中に超音波検査情報を医療専門家に提供することによって、重篤な患者に対する患者看護を向上し得る。POCUSは、例えば、定期健診を受ける妊婦などの他の患者に対する患者看護も向上し得る。
【0007】
残念ながら、POCUSは、医療専門家が彼らの技量によってプローブを保持及び操作することに依存する。心停止など、ある状況では、これは現実的又は可能ではないことがある。例えば、心停止の患者が心蘇生中に除細動器デバイスでモニタリングされることが世界中において看護の標準である。除細動器は標準的には電気的モニタリング、すなわち、心拍数及び周期を提供するが、それらは超音波検査情報を提供しない。したがって、除細動器を用いる場合、医療専門家のための超音波検査情報が存在しないことになる。
【0008】
さらに、POCUSでの画像生成は難しいことがあり、意思決定、診断又は患者看護の遅れを誘発し得る。心蘇生などの危機的状況では、これらの遅れは、POCUSが重要な情報をもたらし得るにもかかわらずPOCUSの使用を阻害し得る。例えば、POCUSは、心収縮機能の直接の情報、手動の心拍数確認よりもはるかに信頼性の高い情報など、心蘇生における看護の現在の標準を提供し得る。
【0009】
したがって、POCUSは患者看護を向上し得るものの、望むべき点は多い。POCUSに対して上記の欠点の一部又は全部に対処し又はそれを軽減すべく向上することが望ましい。
【発明の概要】
【0010】
患者に付けるためのモニタリングパッドと、モニタリングパッドに接続し、複数の超音波トランスデューサを有する超音波プローブと、超音波トランスデューサを制御して超音波ビームを患者に対して合焦して超音波ビームの反射結果を読み取るように構成された超音波ビーム形成デバイスとを有する超音波システムが開示される。一部の実施例では、超音波ビーム形成デバイスは、3Dビーム走査アルゴリズムを用いて超音波トランスデューサを介してビーム形成を実現する。ビーム形成により、患者に固定されて維持可能な超音波プローブ又はモニタリングパッドを保持又は操作することなく超音波治療処置が実現可能となる。これにより、超音波トランスデューサが医療専門家によって彼らの技量を用いて保持及び操作される従来の手法が改善される。
【0011】
患者に付けられるモニタリングパッドは、超音波ゲルパッド及びその超音波ゲルパッドを保持する支持構造体を有する。本開示の実施形態によると、支持構造体は、超音波プローブを受容し、その超音波プローブを超音波ゲルパッドに対して固定配置に保持するように幾何学的に構成される。超音波ゲルパッドは、患者(例えば、患者の皮膚)と超音波プローブの間に挟まれ、超音波ゲルパッドが患者表面上で汚されることなく患者と超音波プローブの間の超音波インターフェースとして作用する。これは、超音波治療が行われた後の清掃量を軽減することによって従来の手法を改善し得る。一部の実施例では、モニタリングパッドは、単回の使用後又は限られた回数の使用後に廃棄可能となるように設計され、それは超音波治療後の清掃を軽減するのに役立ち得るとともに衛生状態を確保するのに役立ち得る。
【0012】
また、ビーム形成によって超音波トランスデューサアレイを制御して超音波データを取得し、超音波に無関係な少なくとも1つのセンサ(例えば、心電図電極)から読取り値を受信し、超音波データに基づく超音波画像及び他方のセンサからの読取り値に基づく他の画像(例えば、心電図)を同時に表示するように構成された超音波ビーム形成デバイスが開示される。このように、心臓及び/又は肺の機能の患者モニタリングが可能となり、これは蘇生室、手術室、救命救急設備、新生児設備及び入院前設備において大きな価値を持つことになる。これは、超音波システムが、医療専門家が彼らの技量を用いてプローブを保持及び操作することによるために患者のモニタリングに適さない従来の手法を改善する。
【0013】
また、モニタリングパッドを患者に付けるステップ、超音波トランスデューサを有する超音波プローブをモニタリングパッドに接続するステップ、及び超音波トランスデューサを制御して超音波ビームを患者に対して合焦するとともに超音波ビームの反射結果を読み取るように超音波ビーム形成デバイスを動作させるステップを伴う方法が開示される。注目すべきことに、超音波ビーム形成デバイスは、モニタリングパッド又は超音波プローブを保持又は操作することなく動作可能となる。ここでも、これは、上述と同様の理由により、従来の手法を改善する。
【0014】
本開示の種々の実施形態の以下の説明の検討により、本開示の他の態様及び特徴が当業者には明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】モニタリングパッドを有する超音波システム、複数の超音波トランスデューサを有する超音波プローブ、及び超音波ビーム形成デバイスの模式図である。
【
図2】患者上のモニタリングパッドの模式図である。
【
図3】超音波プローブの分解図及びモニタリングパッドの分解図の模式図である。
【
図4】超音波プローブを受容及び保持するためのモニタリングパッドの機構の詳細図である。
【
図5A】モニタリングパッドに接続された超音波プローブを図示する模式図である。
【
図5B】モニタリングパッドに接続された超音波プローブを図示する模式図である。
【
図5C】モニタリングパッドに接続された超音波プローブを図示する模式図である。
【
図6A】超音波プローブの超音波トランスデューサアレイの模式図である。
【
図6B】超音波プローブの超音波トランスデューサアレイの模式図である。
【
図7】超音波トランスデューサアレイに動作可能に結合された超音波ビーム形成デバイス及び超音波に無関係な他のセンサのブロック図である。
【
図8】超音波ビーム形成デバイスによって表示可能な例示の情報の模式図である。
【
図9】除細動パッド間のモニタリングパッドの例示の配置を示す患者の模式図である。
【
図10】超音波システムを使用する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して実施形態をここに説明する。
本開示の1以上の実施形態の説明のための実施例を以下に与えるが、現在知られているものであれ、既存のものであれ、任意数の技術を用いて開示するシステム及び/又は方法が実施され得ることが最初に理解されるべきである。本開示は、説明のための実施例、図面、並びにここに説明及び記載される例示的な設計及び実施例など、以下に示す技術に限定されるべきものではなく、添付の請求項の範囲及びそれらの均等の全範囲内で変形され得る。
【0017】
超音波システム
図1をまず参照すると、超音波システム100の模式図が示される。超音波システム100は、患者に付けるためのモニタリングパッド800、モニタリングパッド800に接続し、複数の超音波トランスデューサ(不図示)を有する超音波プローブ700、及び超音波トランスデューサを制御して超音波ビームを患者に対して合焦させるとともに超音波ビームの反射結果を読み取るように構成された超音波ビーム形成デバイス900を有する。超音波ビーム形成デバイス900は、ケーブル600を介して超音波プローブ700に接続されるが、他の実施例では無線接続され得る。
【0018】
超音波システム100の動作を例示としてここに説明する。モニタリングパッド800は、患者に貼付け可能である。例えば、
図2を参照すると、
図2は患者上のモニタリングパッド800の模式図を示す。モニタリングパッド800はその胸部において患者に付けられることが示されるが、モニタリングパッド800は患者の任意の適宜の場所に付けられ得ることが分かるはずである。一部の実施例では、モニタリングパッド800は、以下に更なる詳細を記載するように、モニタリングパッド800を患者に固定するための粘着層を有する。ただし、例えば、ストラップ又はバンドなどの他の固定手段が可能である。
【0019】
再度
図1を参照すると、超音波プローブ700は、患者に付けられるモニタリングパッド800に接続する。超音波システム100の動作中、超音波ビーム形成デバイス900は、超音波パルスを患者に送り込み、反射結果を記録するように、超音波プローブ700の超音波トランスデューサを制御する。一部の実施例では、超音波システム100は、反射結果に基づいて超音波画像を表示する。異なる組織は異なる反射特性を有するので、異なる組織は超音波画像において区別可能である。一部の実施例では、超音波ビーム形成デバイス900は、3Dビーム走査アルゴリズムを用いて超音波トランスデューサを介してビーム形成を実現する。ビーム形成によって、超音波ビームが患者に対して合焦可能となる。このように、患者に固定して維持することができる超音波プローブ700又はモニタリングパッド800を保持又は操作することなく、対象エリアに対して超音波画像を生成可能となる。これは、超音波トランスデューサが医療専門家によって彼らの技量を用いて保持及び操作される従来の手法を改善する。
【0020】
一部の実施例では、超音波ビーム形成デバイス900は、超音波エネルギーが患者内部の所定の焦点において同相となるように超音波プローブ700における各超音波トランスデューサを励起するための時間遅延を制御して患者に送り込まれる複数の超音波ビームを生成する送信回路(不図示)を有する。超音波ビーム形成デバイス900は、所定の焦点からの超音波ビームの反射結果を読み取る受信回路(不図示)を有する。一部の実施例では、超音波ビーム形成デバイス900は、特定対象領域において複数の超音波ビームを再合焦して信号対ノイズ比を向上するように構成される。送信回路及び受信回路の例示的詳細は、
図7を参照して後述する。
【0021】
一部の実施例では、超音波ビーム形成デバイス900は、超音波ビームの反射結果に基づいて超音波画像を表示するためのディスプレイを有する。一部の実施例では、医師の診断を補助するために、超音波ビーム形成デバイス900は、パターン認識又は人工知能を実行して、超音波ビームの反射結果に基づいて形態又は組織の識別(例えば、特定の切断面)を自動的に生成する。具体例として、多層人工ニューラルネットワークは目標の形態又は組織の識別に対応するパターンを認識する教師データによって学習可能であり、その後、その多層人工ニューラルネットワークは教師データによって示されるものに類似する状況について形態又は組織の識別を自動的に生成するのに使用可能となる。ただし、例えば、機械学習決定木アルゴリズムなどの他の人工知能法が、パターン認識及び形態識別のために使用されてもよい。超音波ビーム形成デバイス900によって実行可能な更なる例示のアルゴリズムは、
図7を参照して後述する。
【0022】
モニタリングパッド
ここで
図3を参照すると、モニタリングパッド800の分解図とともに超音波プローブ700の分解図の模式図が示される。モニタリングパッド800は、超音波ゲルパッド830及び超音波ゲルパッド830を保持する支持構造体810、840、850、860(クレードル810、クリップ840、フレーム850、及び裏打ち層860)を有する。本開示の実施形態によると、支持構造体810、840、850、860は、超音波プローブ700を受容し、それを、超音波ゲルパッド830が患者(例えば、患者の皮膚)と超音波プローブ700との間に挟まれるように、超音波ゲルパッド830に対して固定配置に保持するように幾何学的に構成される。このように、超音波ゲルパッド830は、患者と超音波プローブ700の超音波トランスデューサとの間の超音波インターフェースとして作用し得る。注目すべきことに、超音波ゲルパッド830は、良好な超音波インターフェースを与えるのに、ほとんど又は全く操作を伴わない。また、超音波ゲルパッド830がモニタリングパッド800に概ね内包されて患者表面上で汚されないので、超音波ゲルパッド830は従来の手法のような汚れをもたらすことはない。結果として、超音波治療が行われた後の清掃量が、従来の手法と比べて低減され得る。一部の実施例では、モニタリングパッド800は、単回の使用後又は限られた回数の使用後に廃棄可能となるように設計され、それは超音波治療後の清掃を軽減するのにさらに役立ち得る。
【0023】
支持構造体810、840、850、860には多くの可能性がある。一部の実施例では、支持構造体810、840、850、860は、超音波ゲルパッド830を保持し、超音波プローブ700を受容して、超音波ゲルパッド830が患者と超音波プローブ700の間に挟まれるように超音波プローブ700を固定配置において保持するように構成されたクレードル810を有する。一部の実施例では、固定配置は、超音波プローブ700の表面と超音波ゲルパッド830の間に連続的な圧力をもたらす。エアポケットが消滅又は減少するので、連続的な圧力は、超音波ゲルパッド830が患者と超音波プローブ700の超音波トランスデューサとの間の超音波インターフェースとして作用可能となることを補助する。
【0024】
図示する例では、クレードル810は、超音波ゲルパッド830を保持するためのスタジアム形状で示される。ただし、他の形状、例えば、楕円形又は矩形も可能であることが理解されるべきである。超音波ゲルパッド830を保持する任意の適切な形状が、実施可能である。一般に、クレードル810は、超音波ゲルパッド830が挿入及び固定可能となるように幾何学的に設計される。
【0025】
一部の実施例では、支持構造体810、840、850、860は、支持層860、850(裏打ち層860及びフレーム850)及び当該支持層860、850に結合されたクリップ840を有する。一部の実施例では、支持層860、850は構造的支持のための裏打ち層860及びフレーム850を有し、クリップ840は支持層860、850のうちのフレーム850に対して超音波プローブ700のケーブル600を保持するように構成される。他の実施例では、裏打ち層860の剛性が構造的支持に充分である場合には、フレーム850は省略される。
【0026】
クレードル810、支持層860、850及びクリップ840の組合せによって、超音波プローブ700がモニタリングパッド800に固定可能となる。一部の実施例では、支持構造体810、840、850、860は、少なくともクレードル810、支持層860、850及びクリップ840を含む。一部の実施例では、支持構造体810、840、850、860は、追加の構成要素、例えば、支持層860、850に接合されるようにクレードル810を接合する粘着層815を含む。他の実施例も可能である。
【0027】
ここで
図4を参照すると、超音波プローブ700を受容及び保持するためのモニタリングパッド800の機構の詳細図が示される。一部の実施例では、超音波プローブ700は、手動での圧力の付加によってクレードル810に留められる。図示する例では、クレードル810の突出部が超音波プローブ700を貫通し、突出部のフック部が超音波プローブ700の対応する凹部内に収まる。ただし、これは超音波プローブ700を受容及び保持する非常に具体的な態様であること及び他の実施例も可能であってこの開示の範囲内にあることが理解されるべきである。
【0028】
支持構造体810、840、850、860には多くの可能な材料がある。具体的実施例では、裏打ち層860はポリウレタンで構成された発泡裏打ち層であり、クリップ840はシリコン保持構造体であり、クレードル810はシリコン又はポリマーで構成された保持構造体である。ただし、他の実施例も可能である。例えば、金属、複合材、カーボン及びエラストマー材料が、モニタリングパッドの支持構造体810、840、850、860に使用可能な材料である。一部の実施例では、剛性材料(例えば、金属、カーボン)がクレードル810及びクリップ840に使用されるが、支持層860、850には使用されない。一部の実施例では、支持構造体810、840、850、860の構成要素は、相互に接合される。例えば、一部の実施例では、クレードル810は、粘着層815を介して裏打ち層860に接合される。ただし、支持構造体810、840、860の構成要素を組み合わせる任意の適切な態様が採用され得る。他の実施例では、支持構造体810、840、860は、単一の材料であり、異なる構成要素の組合せではない。
【0029】
一部の実施例では、支持構造体810、840、850、860のうちの支持層860、850は、超音波ゲルパッド830の下部の領域には配されない。支持層860、850は、超音波ゲルパッド830を概ね囲む。このように、超音波処置中は、超音波パルス及び反射結果は、支持層860、850を進行する必要はない。これにより、超音波ゲルパッド830と患者の間の直接の接触が可能となる。他の実施例では、支持層860、850の少なくとも一部分、例えば、裏打ち層860は、超音波ゲルパッド830の下部に配される。これは、超音波ゲルパッド830を内包するのに役立ち得る。そのような実施例については、裏打ち層860は、超音波ビームを通過可能とするポリウレタン薄層であり得る。
【0030】
超音波ゲルパッド830が「患者と超音波プローブ700の間に挟まれる」と言う場合、患者と超音波ゲルパッド830の間に直接の接触がないことが可能であっても、一般的には加圧下で超音波ゲルパッド830が患者と超音波プローブ700の間に配されるものと理解されるべきである。裏打ち層860及び/又は粘着層880などの1以上の介在層に起因して、患者と超音波ゲルパッド830の間の直接の接触がないことが可能である。ただし、患者と超音波ゲルパッド830の間の直接の接触は、超音波インターフェースを向上させ得る。それゆえ、直接の接触は、ここに図示される実施例に与えられる。同様に、結合材740などの1以上の介在層に起因して超音波プローブ700と超音波ゲルパッド830の間の直接の接触がないことも可能である。ただし、超音波プローブ700と超音波ゲルパッド830の間の直接の接触は、確かに可能である。
【0031】
図3及び
図4は支持構造体810、840、850、860についての具体的実施例を図示するが、他の支持構造体も可能であり、本開示の範囲内にあることが理解されるべきである。クレードル810、支持層860、850及びクリップ840などの構成要素は、非常に具体的であり、単に例として与えられるにすぎない。他の実施例では、支持構造体(不図示)は、超音波プローブ700を超音波ゲルパッド830に対して固定配置で保持するストラップ又はバンドを含む。より一般的には、超音波プローブ700を超音波ゲルパッド830に対して固定配置で受容及び保持できる任意の適切な支持構造体が、実施可能である。他の実施例は、例えば、磁気固定システム(不図示)又は超音波プローブ700をモニタリングパッド800上に固定できる他の任意の機械的設計(不図示)を含み得る。他の実施例も可能である。
【0032】
超音波ゲルパッド830には多くの可能性がある。一部の実施例では、超音波ゲルパッド830は、患者と超音波プローブ700の超音波トランスデューサとの間の結合材として作用する固体超音波ゲルである。一部の実施例では、超音波ゲルパッド830は、超音波トランスデューサのためのインピーダンス整合器として機械的に作用する。一部の実施例では、超音波ゲルパッド830の厚さは、超音波プローブ700がそれとの適切な接触を行うことができるように設計される。一部の実施例では、超音波ゲルパッド830に、除去可能な層820が設けられる。除去可能な層820は、超音波ゲルパッド830のプロテクターとして作用して、モニタリングパッド800が使用される前に超音波ゲルパッド830が実施可能に維持されることを保証するのに役立つ。除去可能な層820は、超音波プローブ700を取り付ける前に除去(すなわち、剥離)可能である。他の実施例では、モニタリングパッド800は、そのような除去可能な層820を有さない。
【0033】
一部の実施例では、モニタリングパッド800は、モニタリングパッド800を患者に固定するための粘着層880を有する。一部の実施例では、粘着層880は、支持構造体810、840、850、860のうちの支持層860、850及びより具体的には裏打ち層860に対応するように幾何学的に整形される。一部の実施例では、粘着層880は、アクリレート材料を含む。一部の実施例では、粘着層880は、患者の準備及び洗浄された表面に付けられた場合に通常の剪断及び引裂力に耐える化学的及び機械的特性を有する。一部の実施例では、少なくとも裏打ち層860及び粘着層880は生体適合性材料からなり、粘着層880は、皮膚への粘着を促進するとともに有害皮膚反応を防止する材料からなる。
【0034】
一部の実施例では、モニタリングパッド800は、粘着層880を覆う除去可能な層890を有する。一部の実施例では、除去可能な層890は、「ライナー」といわれる2部品(すなわち、第1の部品及び第2の部品)を有する。除去可能な層890は、粘着層880のプロテクターとして作用して、モニタリングパッド800が使用される前に粘着層880が実施可能に維持されることを保証するのに役立つ。一部の実施例では、超音波ゲルパッド830は、除去可能な層890によって適所に保持される。除去可能な層890は、モニタリングパッド800を患者に付ける前に除去(すなわち、剥離)可能である。他の実施例では、モニタリングパッド800は、そのような除去可能な層890を有さない。
【0035】
モニタリングパッド800が粘着層880及び除去可能な層890とともに図示されるが、粘着層880も除去可能な層890もない他の実施例が可能であることが注記される。モニタリングパッド800を患者に固定するための他の手段も可能であり、本開示の範囲内にある。例えば、他の実施例では、モニタリングパッド800を患者に固定するのに、粘着層880の代わりにストラップ又はバンドが使用される。
【0036】
一部の実施例では、モニタリングパッド800は、少なくとも1つの超音波に無関係なセンサ870を有する。これにより、超音波画像を補い得る追加のデータの取得が可能となる。センサ870には多くの可能性がある。一部の実施例では、センサ870は、心拍動を検知するための一対の心電図電極(センサ)870を含む。具体的実施例において、図示する例に示すように、モニタリングパッド800は、銅層(センサ)870又は任意の適切な代替物(例えば、アルミニウム層)を有し、この層は心電図電極のようなセンサデバイス並びに接続及び信号伝送のための引回し配線を有する。具体的な実施例において、心電図電極870は、例えば、カーボン及び銀/塩化銀(Ag/AgCl)インクを用いるプリンテッドエレクトロニクス処理を介して作製された乾式電極であるが、湿式(ゲル)電極も同様に可能である。追加的に又は代替的に、センサ870は、血中酸素飽和度を検知するための血中酸素飽和度センサを含み得る。他の実施例も可能である。より一般的には、任意の適切なセンサ又は超音波に無関係なセンサのセットが実施可能である。
【0037】
一部の実施例では、超音波に無関係な各センサ870について、モニタリングパッド800は、センサ870から超音波プローブ700までの配線、ケーブル類及び/又はコネクタ875を有する。これにより、超音波プローブ700及びケーブル600を介した超音波ビーム形成デバイス900のための追加のデータの取得が可能となる。一部の実施例では、超音波プローブ700は、センサ信号を超音波ビーム形成デバイス900に供給する配線、ケーブル類及び/又はコネクタを有する。一部の実施例では、ケーブル600は、超音波トランスデューサのための配線、及び超音波に無関係なセンサ870のための別個の配線を含む。他の実施例も可能である。
【0038】
一部の実施例では、超音波プローブ700は、図示するような底部筐体710及び上部筐体720を含むが、他の構成も可能である。超音波トランスデューサアレイ(不図示)は、超音波プローブ700がモニタリングパッド800に接続された場合に超音波トランスデューサアレイが底部筐体710の開口部を介して超音波ゲルパッド830と接触することができるように、超音波プローブ700の底部筐体710内に配されることになる。一部の実施例では、超音波プローブ700は、超音波プローブ700に接続されるケーブル600を支持する歪軽減部730も有する。ケーブル600は、超音波トランスデューサアレイ及び/又は他のセンサ870のための配線を含み得る。歪軽減部730は、ケーブル600及びその中の配線が偶発的に超音波プローブ700から引き抜かれるのを防止するのに役立ち得る。
【0039】
ここで
図5A~
図5Cを参照すると、モニタリングパッド800に接続された超音波プローブ700を図示する模式図が示される。
図5Aは上面の模式図、
図5B及び
図5Cは側面の模式図である。図示するように、センサ870のためのコネクタ875は、超音波プローブ700がクレードル810に固定された場合にクレードル810に埋め込まれ、超音波プローブ700に接続される。一部の実施例では、モニタリングパッド800は、センサ870の位置表示及び案内並びに/又は案内及び場所のためのピクトグラム(不図示)を有する。ピクトグラムは、任意の適切な表面上、例えば、支持構造体810、840、850、860のうちの支持層860、850上に現れることになる。より具体的には、ピクトグラムは、支持層860、850のうちのフレーム850上に現れることになる。他の実施例も可能である。
【0040】
一部の実施例では、超音波システム100は、視覚的フィードバックを操作者に与えるようにモニタリングパッド800上又はその付近に発光体(不図示)を有する。発光体は、モニタリングパッド800及び/又は超音波プローブ700(例えば、超音波プローブ700の歪軽減部730など)に組み込まれたLED(発光ダイオード)を含み、例えば、クレードル810、超音波プローブ700又はケーブル600を照明してもよい。この発光体は、超音波システムの状態、例えば、超音波システム100が動作可能となり、信号が検出され、かつ/又は超音波システム100に誤動作があることを操作者にシグナリングするために使用され得る。
【0041】
超音波トランスデューサアレイ
ここで
図6A及び
図6Bを参照すると、超音波プローブ700の超音波トランスデューサアレイ750の模式図が示される。
図6Aは超音波トランスデューサアレイ750の組立て図を示し、
図6Bは超音波トランスデューサアレイ750の分解図を示す。超音波トランスデューサアレイ750は超音波プローブ700の主な構成要素であり、それは上述のように超音波治療処置のためにモニタリングパッド800に接続可能である。超音波トランスデューサアレイ750は、超音波ビームの放射及び受信のためにモニタリングパッド800に動作可能に結合される。それらが相互に組み立てられると、それらは「ハンズフリー超音波プローブ」を構成し、信号処理及びリアルタイム撮像のために超音波ビーム形成デバイス900とともに使用可能となる。超音波ビーム形成デバイス900とのハンズフリー超音波プローブのアセンブリは、撮像及びモニタリングの目的に使用可能な超音波システムを構成する。
【0042】
超音波トランスデューサアレイ750は、圧電素子(超音波素子)752のアレイを有する。一部の実施例では、圧電素子752はPMUT(圧電微細加工超音波トランスデューサ)であり、それはMEMS(微小電気機械システム)に基づく圧電超音波トランスデューサである。他の実施例では、超音波トランスデューサアレイ750は、電歪材料などの圧電型の代替物、あるいはPMUT又はCMUT(静電容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ)材料を有する。
【0043】
一部の実施例では、圧電素子752は、圧電的な電圧/電流励起のために上部電極アレイと底部電極アレイの間に幾何学的に配置される。特に、圧電素子752は、図示するように直交配置された上部電極758及び底部電極756を有するが、角度位置が90度以外の他の実施例も可能である。圧電素子752の上部電極758及び底部電極756に電気パルスによる電圧印加によって、圧電素子752が超音波エネルギーを放射する。
【0044】
一部の実施例では、圧電素子752は、複合体マトリクス755内に埋め込まれる。一部の実施例では、複合体マトリクス755は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン又はPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を含み得るポリマー複合体材料である。
【0045】
一部の実施例では、超音波プローブ700は、例えばシリコン又はゾル-ゲルSiO2/ポリマーナノ複合体で存在し得る整合層757、及び例えばタングステン含有アラルダイト(エポキシ)で存在し得るダンピングブロック759も有する。整合層757は患者への及び患者からのエネルギー伝達効率を向上するのに使用され、ダンピングブロック759は後方に向けられた超音波エネルギーを吸収して漂遊超音波信号(stray ultrasound signals)を減衰する。
【0046】
一部の実施例では、超音波トランスデューサアレイ750は、M及びNを自然数として、トランスデューサの最大アレイ開口を形成するM×N個の超音波素子752を有する。言い換えると、超音波トランスデューサ(超音波素子)752は、2次元アレイにおいて配向される。一部の実施例では、超音波トランスデューサアレイ750は(M×N)2個の最小開口を有し、最小開口は少なくとも2個の素子を有する。開口は、ある瞬間に音波を送信又は受信する能動エリアである。図示する例では、超音波トランスデューサアレイ750は、矩形である。ただし、例えば、円形又は楕円形など、他の2次元形状も可能である。
【0047】
一部の実施例では、超音波ビーム形成デバイス900は、2次元アレイの1つのアレイを単一の線形アレイとして利用するように構成される。他の実施例では、超音波トランスデューサアレイ750は、Mを自然数として、トランスデューサの最大線形開口を形成するM個の超音波素子の線形アレイを有する。したがって、「超音波トランスデューサアレイ」は2次元アレイである必要はないことが理解されるべきである。一部の実施例では、超音波トランスデューサアレイ750はM2個の最小開口を有し、最小開口は少なくとも2個の素子を有する。開口は、ある瞬間に音波を送信又は受信する能動エリアである。
【0048】
一部の実施例では、超音波素子752は、超音波素子752の全開口を用いて選択されてもよいし、小開口を生成するために個々に選択されてもよい。全開口又は小開口を用いると、超音波ビーム伝搬の経路長を与えるためのアレイの各素子の時間遅延を調整するために、超音波ビームの放射及び受信が個々に構成可能となる。時間遅延の補正は、位相制御が個々の音波ビームに適用されて、方位角及び仰角の方向性における角度的な超音波ビームステアリングを可能とし、深度合焦も可能とする。
【0049】
一部の実施例では、超音波トランスデューサアレイ750は、2つの直交する角度:方位角及び仰角におけるステアリングのための方法を提供することによって、3D被検査ボリュームにおいて合焦されるように超音波ビームを自動的に調整するための時間遅延フェーズドアレイ又は代替のビーム形成技術を用いる。一部の実施例では、超音波ビーム形成技術により、画像コントラストの強化のための超音波ビームの深度及び方向性並びに診断の目的のためのパターン認識を可能とする。
【0050】
一部の実施例では、超音波トランスデューサアレイ750は、媒体における音響超音波ビームの放射及び受信を与え、媒体における超音波ビームの放射及び受信は、超音波ビーム形成デバイス900によって実行される信号及び撮像処理技術を用いて制御及びモニタリングされる。一部の実施例では、超音波ビーム形成デバイス900における信号処理は、信号対ノイズ比を向上するための自動深度及びゲイン調整構成を用いるボリューム角度走査を与える。
【0051】
一部の実施例では、超音波トランスデューサアレイ750は、モニタリングパッド800に固定処理をストリームライン化するように幾何学的に構成される。従来の超音波トランスデューサは、体圧及び回転に対してプローブを扱うために縦方向に設計され、幾何学的位置決め及び合焦のためのプローブの3D角度回転を可能とする。これに対して、ハンズフリー超音波プローブは、幾何学的に寸法が決められて相互に間隔があけられた要素の表面設計アレイを有して検査ボリュームにおける超音波ビームの3D角度ステアリングを可能とする。
【0052】
超音波トランスデューサアレイ750は、超音波トランスデューサアレイ750が患者面に略平行となるように、超音波プローブ700内で配向される。一部の実施例では、超音波トランスデューサアレイ750は、超音波プローブ700の長軸と0度の角度で配向される。他の実施例では、超音波トランスデューサアレイ750は、対象エリアへのビーム合焦を幾何学的に促進することによって例えば心臓の傍胸骨長軸切断面の取得を促進するために、超音波プローブ700の長軸に対して0度とは異なる角度、例えば、30度で配向される。一部の実施例では、超音波トランスデューサアレイ750の角度は、対象エリアへのビーム合焦を促進するように超音波プローブ700内のモータ(不図示)によって操作又は調整可能である。他の実施例では、角度は、手動で操作又は調整され得る。他の実施例では、角度は、固定されたままである。他の実施例も可能であり、本開示の範囲内にある。
【0053】
以下に、
図7を参照して、超音波トランスデューサアレイ750が超音波ビーム形成デバイス900によってどのように動作可能とされるのかについての更なる例示の詳細を与える。
【0054】
超音波ビーム形成デバイス
ここで
図7を参照すると、超音波トランスデューサアレイ750及び超音波に無関係な他のセンサ870に動作可能に結合された超音波ビーム形成デバイス900のブロック図が示される。最初に、超音波ビーム形成デバイス900は構成要素の非常に具体的な組合せで示されていること及び構成要素の他の組合せも可能であることが理解されるべきである。超音波ビーム形成デバイス900とともに(超音波トランスデューサアレイ750及び他のセンサ870を有する)超音波プローブ700のアセンブリは、撮像及びモニタリングの目的に使用可能な超音波システムを構成する。
【0055】
超音波ビーム形成デバイス900は、超音波トランスデューサアレイ750を介した送受信を制御するための制御ハードウェア200、受信データを処理するためのデータ取得及び信号処理電子装置400、データを処理及び表示するための処理ハードウェア300、並びに双方向性を可能とするためのバス500を有する。一部の実施例では、制御ハードウェア200は、以下に説明するような信号処理のための複数の制御チャネルを有する。
【0056】
一部の実施例では、制御ハードウェア200は、Tx(送信)FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)ビーム形成器240及びCW(連続波)送信機210など、超音波トランスデューサアレイ750を介した送信のための構成要素を有する。一部の実施例では、制御ハードウェア200は、Rx(受信)FPGAビーム形成器260など、超音波トランスデューサアレイ750を介した受信のための構成要素も有する。一部の実施例では、制御ハードウェア200は、センサ870とインターフェースするための信号状態調節部280も有する。一部の実施例では、HV(高圧)制御スイッチTx/Rx230及びHVマルチプレクサ(MUX)270は、例えば、TxFPGAビーム形成器240からの制御に基づいて、送信モードと受信モードとの間で選択する。
【0057】
一部の実施例では、制御ハードウェア200は、アポダイゼーション及び開口選択を行うための平面電極のセットにバイアス電圧を選択的に印加するように構成される。バイアス電圧は、バイアス電圧生成器220からの複数レベルの正、負又はゼロのバイアス電圧を含み得る。バイアス電圧の選択的印加は、HV(高圧)マルチプレクサ270を介してHV制御スイッチTx/Rx230によって行われる。
【0058】
制御ハードウェア200は、超音波治療処置のために送信モードと受信モードの間で周期変化することができる。送信モード中には、HVマルチプレクサ270は、例えば、TxFPGAビーム形成器240からの制御に基づいて、CW送信機210からの連続波信号の送信を可能とする。アポダイゼーション及び開口選択に基づいて、超音波トランスデューサアレイ750を介した送信は、空間における焦点に合焦される。受信モード中には、HVマルチプレクサ270は、患者内部からの反射結果に基づいて、超音波トランスデューサアレイ750を介した信号の受信を可能とする。RxFPGAビーム形成器260は、それらの信号を制御スイッチTx/Rx230を介して受信する。
【0059】
一部の実施例では、制御ハードウェア200は、バイアス電圧生成器220からのバイアス電圧の印加を制御することによって遅延コントローラとして機能するFPGAマスタ250を有する。このように、FPGAマスタ250は、超音波トランスデューサアレイ750の平面電極の各それぞれのセットにわたってバイアス電圧を制御して各それぞれの可変遅延の長さを制御することができる。一部の実施例では、空間の超音波エネルギーを生成するには、バイアス電圧生成器220による正、負又はゼロのバイアス電圧のレベルを決定し、CW送信機210によって生成される波形信号を決定し、それを平面電極のセットに選択的に印加することで充分であり、超音波焦点が生成可能となる。同様に、一部の実施例では、空間における時間遅延された超音波エコーによって生成された音波ビームエネルギーの実質的な変換を可能とするには、バイアス電圧生成器220による正、負又はゼロのバイアス電圧のレベルを決定し、それを平面電極のセットに選択的に印加することで充分である。
【0060】
一部の実施例では、超音波パルスは特定の焦点法(フォーカルロー)による超音波焦点に送信され、超音波トランスデューサアレイ750の少なくとも2つの平面電極は上述のような平面電極の最小セットを構成し得る。一部の実施例では、平面電極の各それぞれのセットにわたってバイアス電圧によって付加された各可変遅延は、焦点に特有でかつ焦点法に特有な超音波パルスを生成する。一部の実施例では、各々が個々の焦点法を参照する複数の遅延のセットをグループ化することによって、複数の他の焦点法が適用可能となる。一部の実施例では、平面電極の各それぞれのセットの時間遅延を制御する焦点法を使用すると、超音波エネルギーが所定の焦点に対して同相となり得るようなボリュームに送り込まれる超音波ビームの複数のセットが生成され、焦点はそれぞれ方位角及び仰角における深度及び角度的なビームステアリングの方向性を与え得る。
【0061】
一部の実施例では、バイアス電圧は、特定の焦点法に動作可能に結合されて超音波エコーが受信可能となるように平面電極の各それぞれのセットにわたって印加される。一部の実施例では、平面電極の各それぞれのセットにわたるバイアス電圧の処理によって、平面電極のセットから受信信号に適用される各可変遅延は、超音波エコーの実質的な音波エネルギー変換を可能とし、受信信号に対する時間遅延の制御及び処理は特定の焦点法を動作可能に参照する。一部の実施例では、各々が個々の焦点法を参照する複数の遅延のセットをグループ化することによって、焦点法のセットが適用可能となり、超音波送信動作のために生成された焦点法は、限定ではなく、受信動作のための時間逆転焦点法として逆向きに使用され得る。一部の実施例では、平面電極の各それぞれのセットの時間遅延を制御する焦点法の使用は音波エネルギーの位相を空間内の焦点に調整するなどの態様のものであり、焦点は受信動作における方位角及び仰角においてそれぞれ深度及び角度的なビームステアリングの方向性を与え得る。
【0062】
一部の実施例では、FPGAマスタ250、TxFPGAビーム形成器240及びRxFPGAビーム形成器260は、同じFPGAの部分である。ただし、別個のFPGAが利用される他の実施例も可能である。また、DSP(デジタル信号プロセッサ)、マイクロコントローラ又は他の適切なハードウェア構成要素がFPGAの代わりに又はそれに加えて利用される他の実施例も可能である。より一般的には、超音波ビーム形成デバイス900は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの任意の適切な組合せによって実施可能である。
【0063】
一部の実施例では、データ取得及び信号処理電子装置400は、信号取得バッファリングのためのメモリ410及び画像モニタリングプロセッサ420を有する。一部の実施例では、画像モニタリングプロセッサ420は、超音波トランスデューサアレイ750の検知及び作動の両方を行うために、並びに画像再構成を計算及び向上するために測定信号を処理するために設けられる。一部の実施例では、画像モニタリングプロセッサ420は、超音波信号の生成及び受信のための方法、手順及びアルゴリズムを可能とし、それは時間遅延に基づく標準的なフェーズドアレイ技術及び波形発生器アルゴリズム又は他の任意の代替の時間遅延ビーム形成方法、限定ではなく、音響放射超音波ビームエネルギー及び上記超音波ビームエコーの音響受信を動的に向上する上記ビーム形成方法及びアルゴリズム、すなわち、信号対ノイズ比を向上するための方法及びアルゴリズムを用いるトランスデューサアレイパターンマッチングを含み得る。
【0064】
一部の実施例では、処理ハードウェア300は、送信モード中に、バイアス電圧生成器220での電圧レベル並びに平面電極のセットに対するTxFPGAビーム形成器240及びCW送信機210を介して受信される波形信号を規定して空間内の超音波焦点を実現するように構成されたプロセッサ320を有する。一部の実施例では、プロセッサ320はまた、受信モード中に、平面電極のセットについてバイアス電圧生成器220から選択する電圧レベルを規定して空間内に超音波エコーによって生成される音波ビームエネルギーを受信するように構成される。一部の実施例では、処理ハードウェア300は、超音波信号の受信に基づいて超音波画像を生成するためのGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)330を有する。GPU330は、画像モニタリングプロセッサ420及びプロセッサ320並びに超音波画像を表示するためのモニタ/ディスプレイ340の処理構成を統合することができる。一部の実施例では、処理ハードウェア300は、例えば、PCle(ピー・シー・アイ・エクスプレス)、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)及びWiFiなどの種々の周辺機器310も有する。他の実施例も可能である。
【0065】
一部の実施例では、信号処理電子装置400及び/又は処理ハードウェア300は、1以上のアルゴリズムを実行する。1以上のアルゴリズムは、以下のいずれか1つ又は適宜の組合せを含み得る:
・3Dビーム走査アルゴリズム、例えば、線形走査、セクタ走査、検査のボリュームを問い合わせるためのBモード及びMモード撮像技術;
・信号対ノイズ比及び画像再構成を向上するのに使用可能な検査のボリュームを問い合わせるためのFMC(Full Matrix Capture)及びTFM(Total Focusing Methods)などの3Dビーム走査技術;
・3Dビーム走査アルゴリズムの使用による超音波画像の再構成を可能とする画像処理アルゴリズム;
・画像内の物体の識別のためのセグメンテーション及び画像パターン認識アルゴリズム;
・特定のROI(対象領域)において超音波ビームを再合焦するために焦点法を再プログラミングするためのアルゴリズム、ROIは特定のPOI(対象点)又は特定のAOI(対象エリア)を参照することができ、超音波ビームの再合焦は信号対ノイズ比を向上する;
・信号処理アルゴリズム、例えば、FFT(高速フーリエ変換)、畳み込み、放射及び受信動作からの適時のアクチュエータ/センサの組合せの対を参照する平面電極のセットの伝達関数の計算;及び
・各アクチュエータ/センサについての計算された伝達関数の大きさ及び位相スペクトルを比較するためのアルゴリズム、計算された伝達関数の大きさ及び位相スペクトルはアクチュエータ/センサ対のセットの超音波エネルギー分布を特定するためのアルゴリズムを含み、大きさ及び位相のスペクトル情報は、問い合わせられたボリュームにおける対象領域に超音波エネルギーを再合焦するための信号波形生成の周波数選択及びずれ並びに時間遅延技術を備える。
【0066】
一部の実施例では、
図7に図示するように、超音波ビーム形成デバイス900は、信号状態調節部280を用いてセンサ870から読取り値を受信するように構成される。一部の実施例では、超音波ビーム形成デバイス900は、センサ870がコネクタ875を介して超音波プローブ700に接続された場合に、例えば、ケーブル600によって又は他の手段によって超音波プローブ700を介して読取り値を受信するように構成される。一部の実施例では、信号状態調節回路基板及び多重化回路が、ケーブル600を介してビーム形成デバイス900に対する信号を状態調節及び多重化するのに使用される。一部の実施例では、超音波ビーム形成デバイス900は、センサ870からの読取り値を受信するためにケーブル600以外の別個のシグナリング経路(不図示)を有する。
【0067】
本開示の実施形態によると、超音波ビーム形成デバイス900は、センサ870からの読取り値に基づいて超音波画像及び他の画像を同時に表示する。例えば、
図8は、センサ870が心拍動を検知するための一対の心電図電極870である場合について、心電図と同時に表示される超音波画像を示す。他の表示も、センサ870に応じて可能である。例えば、センサ870が血中酸素飽和度センサである場合には、超音波ビーム形成デバイス900は超音波画像及び血中酸素飽和度を表すグラフを時系列で同時に表示し得る。他の実施例も可能である。
【0068】
一部の実施例では、超音波ビーム形成デバイス900は、除細動器装置に接続し、除細動器装置を制御しかつ/又は除細動器装置の情報を表示するように構成される。例えば、
図8は、除細動器装置による心電図と同時に表示される超音波画像を示す。また、
図8は、除細動器装置の情報(例えば、200ジュール、など)を示し、除細動器装置を介して電気ショックを送るための制御を与える。
【0069】
他の実施例では、超音波システム100は、全除細動システム(例えば、ビーム形成デバイス900に埋め込まれた除細動回路)を含み、超音波プローブ700及びモニタリングパッド800に加えて2個の独立した除細動器電極に接続される。この超音波システム100の実施例は、超音波モニタリング及び除細動能力の双方を提供することができる。当業者であれば、そのようなシステムが診断及び介入の時間短縮並びに救命救急の状況での高い診断精度を可能とすることが分かるはずである。
【0070】
除細動器装置を介して患者に電気ショックを送るのと同時又はその直後に超音波画像が患者に対して超音波システム100によって生成されることを可能とするために、超音波システム100は除細動による電気ショックに耐性を有するように構成される。例えば、超音波プローブ700及び/又は超音波ビーム形成デバイス900は、電気ショックによってもたらされていたであろうダメージを回避するのに充分高いものの超音波システム100の適切な動作を可能とするのに充分に低い入力インピーダンスを有するように設計可能である。超音波プローブ700が電気ショックに耐性を有するようにする他の手段は、電気ショックによってもたらされる電流/電圧ダメージを回避し得る電気スイッチと等価なバイパス回路を含み得る。モニタリングパッド800は、同様に耐性を有する材料からなり得る。
【0071】
一部の実施例では、センサ統合について、除細動器パルスに対する保護手段が設けられる。保護回路は、患者を保護すること(例えば、除細動パルスが当然に患者を通り抜けるものの超音波ビーム形成デバイス900内で消失しないことを確実にすることによって)及び操作者を保護すること(例えば、除細動中であっても超音波ビーム形成デバイス900が操作者を安全に保つことを確実にすることによって)の二重の機能を有し得る。超音波ビーム形成デバイス900が患者との電気的接触を有さない場合、そのような保護は必要とならない。ただし、ECG信号のための追加のセンサ870を有する一部の実施例では、ECG及び超音波信号は、ケーブル600内で別個の電気コネクタを介してルーティングされ得る。
【0072】
ここで
図9を参照すると、一対の除細動パッド101、102の間のモニタリングパッド800の例示の配置を示す患者の模式図が示される。一部の実施例では、超音波システム100(モニタリングパッド800及び超音波プローブ700を含む)は、上述のように除細動による電気ショックに耐性を有する。超音波システム100が除細動による電気ショックに耐性を有するように構成されるが、超音波システム100は除細動と同時に超音波画像を生成可能である必要はないことが注記される。
【0073】
一部の実施例では、超音波ビーム形成デバイス900は、超音波ビームの反射結果及び他のセンサ870からの読取り値の組合せに基づいて、パターン認識又は人工知能を実行して自動的に形態又は組織の識別(例えば、医師の診断を補助する特定の切断面)を生成する。具体例として、多層人工ニューラルネットワークは目標の形態又は組織の識別に対応するパターンを認識する教師データによって学習可能であり、その後、その多層人工ニューラルネットワークは教師データによって示されるものに類似する状況について形態又は組織の識別を自動的に生成するのに使用可能となる。超音波に無関係な情報(例えば、心電図及び/又は血中酸素飽和度)に超音波画像からの情報を組み合わせることによって、医師の診断をストリームライン化することが可能となり得る。
【0074】
超音波システムを使用する方法
ここで
図10を参照すると、超音波治療処置のために超音波システム100を使用する方法のフローチャートが示される。この方法は、ユーザによって、例えば、技師、看護師、医師又は救急救命士によって実施され得る。
【0075】
ステップ10-1において、ユーザはモニタリングパッド800を患者に付ける。先述したように、モニタリングパッド800は、超音波ゲルパッド830及びその超音波ゲルパッド830を保持する支持構造体810、840、850、860を有する。ステップ10-2において、ユーザは超音波プローブ700をモニタリングパッド800に接続する。先述したように、超音波プローブ700は、超音波トランスデューサアレイ750を有する。
【0076】
本開示の実施形態によると、支持構造体810、840、850、860は、超音波プローブ700を受容するとともに、超音波ゲルパッド830が患者と超音波トランスデューサの間に挟まれるように、超音波トランスデューサを超音波ゲルパッド830に対して固定配置で保持するように幾何学的に構成される。
【0077】
ステップ10-3において、ユーザは、超音波ビーム形成デバイス900を操作して、超音波ビームを患者に対して合焦させるとともに超音波ビームの反射結果を読み取るように超音波トランスデューサを制御する。一部の実施例では、ユーザは、患者に固定されたままのモニタリングパッド800又は超音波プローブ700を保持又は操作することなく超音波ビーム形成デバイス900を操作する。一部の実施例では、ステップ10-3において、ユーザは臨床的統合及びその後の介入を行う。
【0078】
ステップ10-3及び10-4は、ユーザがステップ10-5において継続することを決定したか否かに基づいて適宜反復され得る。一部の実施例では、ユーザは、超音波治療処置中に除細動処理を行う。また、一部の実施例では、ユーザは、センサ870によって超音波システム100を用いて心拍動及び/又は血中酸素飽和度をモニタリングする。注目すべきこととして、除細動処理並びに心拍動及び/又は血中酸素飽和度のモニタリングを超音波治療処置中に行うことができる。ユーザがステップ10-5において超音波治療処置を停止することを決定すると、方法は終了する。
【0079】
他の実施形態
他の実施形態は、本発明の例示的実施形態として、救命救急における除細動又はモニタリング処置の補助及び心電図診断のような多重化されたポイントオブケア診断の補助におけるボリュメトリック超音波撮像に関する。
【0080】
他の実施形態は、ECGモニタリング及び構成を可能とする心電図電極を含むモニタリングゲルパッドを有するハンズフリー超音波トランスデューサの使用を提供する。
【0081】
他の実施形態は、蘇生の背景における超音波信号とECG信号との組合せを用いる新たなモニタリング構成を提供するために、ハンズフリー超音波トランスデューサアレイを用いる撮像超音波システム及び心電図電極を備えるモニタリングパッドの組合せを提供する。
【0082】
他の実施形態は、病気の患者の蘇生救急の背景において除細動を与えるために、ハンズフリー超音波トランスデューサアレイを用いる超音波撮像システム及び心電図電極を備えるモニタリングパッド並びに電気ショック電極を備える除細動器回の組合せである。例えば、一部の実施例では、モニタリングパッド800は、除細動を可能とするとともに、心臓によって生成される電気インパルスを導通し、したがって心拍数及び正確な心律動の情報(双方とも蘇生において有用な情報となる)を与える多機能電極である、例えば、金属-金属/塩化物電極などの除細動電極を有する(例えば、米国特許第5080099号参照)。一部の実施例では、除細動電極は、除細動器パッドについてのガイドラインに従ってトランスデューサの周囲90cm2の接触面積を、効率的な除細動及び皮膚損傷の誘発の低い可能性のためにパッチ毎に50cm2及び合計150cm2の接触面積を、患者の身体との間に与える。
【0083】
他の実施形態は、周辺血中酸素飽和度などの他のモニタリングの形態との超音波モニタリング能力の組合せである。
【0084】
他の実施形態は、例えば、ECG(心電図検査)及び超音波検査などの自動化された画像認識及びデータ合成を可能とする取得後画像処理能力を含む。
【0085】
他の実施形態は、例えば、救急隊員又は兵員による医師の関与なしに行われる超音波検査を含む。超音波検査モニタリングは、人工知能の可能な使用により非侵襲な態様で連続データを生成する。
【0086】
他の実施形態は、肺とともに心臓とIVC(下大静脈)の変動性又はサイズとを対合することによって、自動化されたEGLS(Echo Guided Life Support)又は例えば肺内の水を示唆するB-ラインの存在をモニタリングするための肺モニタリングデバイスなど、他の超音波構成要素と組み合わせられたモニタリングパッドを提供して高い超音波診断及びモニタリング能力を与える。
【0087】
他の実施形態は、新生児及び小児の集団に合うように又は成人/小児の身体の他の部分に合うように形状及び形式を適合された上述のトランスデューサである。
【0088】
本開示の多数の変更及び変形が、上記の教示の観点から可能である。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲内において、具体的にそこに記載される以外にも実施され得ることが理解されるべきである。
【国際調査報告】