(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】RNAを標的とするリガンド、それらの組成物、およびそれを作製し使用する方法
(51)【国際特許分類】
C07D 241/40 20060101AFI20221007BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221007BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20221007BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221007BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20221007BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20221007BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20221007BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20221007BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20221007BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20221007BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20221007BHJP
C07D 401/12 20060101ALI20221007BHJP
A61K 31/498 20060101ALI20221007BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20221007BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20221007BHJP
【FI】
C07D241/40 CSP
A61P43/00 111
A61K48/00
A61P35/00
A61P25/28
A61P3/10
A61P9/00
A61P37/06
A61P27/02
A61P31/00
A61P7/04
C07D401/12
A61K31/498
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/113 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507316
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(85)【翻訳文提出日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 US2020045022
(87)【国際公開番号】W WO2021026245
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】501345323
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF NORTH CAROLINA AT CHAPEL HILL
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィークス,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】オーブ,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】リー,ケリン
(72)【発明者】
【氏名】ゼラー,メレディス
【テーマコード(参考)】
4C063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB09
4C063CC34
4C063DD12
4C063EE01
4C084AA13
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA151
4C084ZA152
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA531
4C084ZA532
4C084ZB081
4C084ZB082
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB321
4C084ZB322
4C084ZC351
4C084ZC352
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BC52
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA53
4C086ZB08
4C086ZB26
4C086ZB32
4C086ZC35
(57)【要約】
本開示は、TPPリボスイッチなどの標的RNA分子に結合する化合物、これらの化合物を含む組成物、およびそれらを作製し使用する方法を対象とする。本化合物は、2つの異なる結合部位において標的RNAと結合し、それによって、単一のRNA結合部位のみに結合する化合物と比較して、より高い親和性の5結合リガンドを産生することを可能にする、2つの構造的に異なる断片を含有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の構造を有する化合物であって、
【化1】
式中、
X
1、X
2、およびX
3は、それぞれの場合に、独立して、CR
1、CHR
1、N、NH、O、およびSから選択され、隣接するX
1、X
2、およびX
3は、同時にOもしくはSであるように選択されず、
破線は、任意選択の二重結合を表し、
Y
1、Y
2、およびY
3は、それぞれの場合に、独立して、CR
2およびNから選択され、
nは、1もしくは2であり、nが1である場合、前記破線のうちの1つだけが二重結合であり、
Lは、
【化2】
から選択され、
式中、p、q、r、およびvは、独立して、整数0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10から選択され、zは、整数1、2、3、4、および5から選択され、
Aは、
【化3】
から選択され、
式中、X
4、X
5、X
6、およびX
7は、独立して、CR
3およびNから選択され、
R
1、R
2、およびR
3は、独立して、-H、-Cl、-Br、-I、-F、-CF
3、-OH、-CN、-NO
2、-NH
2、-NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-COOH、-COO(C
1~C
6アルキル)、-CO(C
1~C
6アルキル)、-O(C
1~C
6アルキル)、-OCO(C
1~C
6アルキル)、-NCO(C
1~C
6アルキル)、-CONH(C
1~C
6アルキル)、および置換もしくは非置換C
1~C
6アルキルから選択され、
mは、1もしくは2であり、
Wは、-Oまたは-NR
4であり、R
4は、-H、-CO(C
1~C
6アルキル)、置換もしくは非置換C
1~C
6アルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換シクロアルキル、-CO(アリール)、-CO(ヘテロアリール)、および-CO(シクロアルキル)から選択されるから選択され、
X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、およびX
7のうちの少なくとも2つがNであることを条件とする、化合物、
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
X
1、X
2、またはX
3のうちの少なくとも1つが、Nである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが2である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
それぞれの場合に、X
1、X
2、およびX
3のうちの2つが、Nである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
式(II)の構造を有し、
【化4】
式中、
X
2aおよびX
2bは、独立して、CR
1およびNから選択され、
X
1およびX
3は、独立して、CR
1およびNから選択され、
LおよびAは、式(I)について提供される通りであり、
X
1、X
2a、X
2b、およびX
3のうちの2つは、Nである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
式(III)の構造を有し、
【化5】
式中、
LおよびAは、式(I)について提供される通りである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
p、q、r、およびvが、独立して、整数0、1、2、および3から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Lが、
【化6】
から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
Lが、
【化7】
である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
qおよびrが、0または1である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
qおよびrが、1である、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
qが1であり、rが0である、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
mが1である、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
Wが、-NH、-O、および-N(C
1~C
6アルキル)
2から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
Wが、-NHである、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
X
4、X
5、X
6、およびX
7のうちの少なくとも1つが、Nである、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
X
5またはX
6が、Nであり、X
4およびX
7の両方が、独立して、CR
2である、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
Aが、
【化8】
である、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
Y
1、Y
2、およびY
3が、それぞれの場合に、独立して、CR
2およびNから選択され、R
1が、-H、-Cl、-Br、-I、-F、-OH、-および-NH
2から選択される、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
Y
2が、Nである、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
Y
2が、CR
2であり、R
1が、-H、-F、-OH、-および-NH
2から選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
前記化合物は、以下の構造
【化9】
を有する、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項23】
前記化合物が、RNA分子の領域に結合する、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
前記RNA分子が、非コードRNA分子である、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
前記非コードRNA分子が、rRNA、マイクロRNA、siRNA、piRNA、snoRNA、snRNA、exRNA、およびscaRNAから選択される、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
前記RNA分子が、コードRNA分子である、請求項23に記載の化合物。
【請求項27】
前記コードRNA分子が、mRNAである、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
前記mRNAの前記領域が、リボスイッチである、請求項23に記載の化合物。
【請求項29】
前記リボスイッチが、TPPリボスイッチである、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
前記化合物が、約50nM~約100μMのK
d結合親和性を示す、請求項23~29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤中に、治療有効量の請求項1~30のいずれか一項に記載の化合物を含む、組成物。
【請求項32】
RNA発現の機能障害に関連する疾患または障害を治療する方法であって、前記方法が、それを必要とする対象に、治療有効量の請求項1~30のいずれか一項に記載の化合物または請求項31に記載の組成物の用量を投与することを含む、方法。
【請求項33】
前記化合物または組成物を投与することが、RNA(例えば、mRNA)に対する前記化合物の結合に起因するタンパク質発現を低下させる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記疾患または障害が、遺伝性疾患、変性障害、がん、糖尿病、自己免疫障害、心血管障害、凝固障害、眼の疾患、感染性疾患、および1つ以上の遺伝子の変異によって引き起こされる疾患から選択される、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記疾患または障害が、遺伝性疾患であり、前記化合物または前記組成物を投与することが、治療遺伝子の発現をオンまたはオフに切り替える、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が、
a)Pd触媒の存在下で、式IVの断片を、式V-1もしくはV-2の断片と接触させること、または
b)還元剤の存在下で、式IVの断片を、式VI-1もしくはVI-2の断片と接触させること、または
c)塩基の存在下で、式IVの断片を、式VII-1もしくはVII-2の断片と接触させることを含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の化合物を作製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、TPPリボスイッチなどの標的RNA分子に結合する化合物、これらの化合物を含む組成物、およびそれらを作製し使用する方法を対象とする。本化合物は、2つの異なる結合部位において標的RNAと結合し、それによって、単一のRNA結合部位のみに結合する化合物と比較して、より高い親和性の結合リガンドを産生することを可能にする、2つの構造的に異なる断片を含有する。
【0002】
配列表の引用参照
添付の配列表内の材料は、参照により、その全体が本出願に組み込まれる。Sequence Listing 39397600002_ST25という名称の添付ファイルは、2020年8月5日に作成され、4KBである。
【0003】
政府の支援
本発明は、National Institutes of Health(NIH)によって付与された許可番号GM098662およびAI068462の下で政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
大部分の小分子リガンドは、主に、タンパク質を標的とすることによって生体系を操作するために開発される。タンパク質は、非常に複雑な三次元構造を有しており、このことは、タンパク質が適切に機能するために重要であり、小分子リガンドが結合することができる窪みおよびポケットを含む1、2。トランスクリプトームは、生物内で産生されるすべてのRNA分子のセットであり、生体系を研究し、操作するための有望な標的も含む。例えば、RNAトランスクリプトームは、哺乳動物系において重要な役割を果たすだけではなく、細菌およびウイルスの両方にも存在し、したがって、小分子が遺伝子発現を調節するための標的を表す。
【0005】
RNAは、高度に選択的なリガンドの開発に必要な主要な特徴である4、タンパク質に匹敵する複雑さを有する三次元構造を採用することができ3、RNAは、生体系の挙動を管理する際に一般的な役割を果たす5ことに留意されたい。元々は、単に、タンパク質コーディングのためのメッセージを伝達し、タンパク質整合性のプロセスを導くためにのみ存在する遺伝情報の担体であるとみられていたが、RNAの現代の見解は、拡張された役割を包含するように進化しており、現在、多様な範囲のRNA分子は、様々な機構によって遺伝子発現および他の生物学的プロセスを調節する、広範かつ深遠な役割を有することが理解されている。新たに発見された多数の非コードRNAでさえも、がんおよび非腫瘍原性疾患などの疾患と関連することが見出されている。したがって、RNAが病原性タンパク質のコーディングとは別に疾患状態に寄与するという認識は、以前には認識されていない豊富な治療標的を提供する。
【0006】
しかしながら、小分子リガンドがmRNAに結合することができ、翻訳効率を上方調節または下方調節する可能性を有するため、細胞中のタンパク質発現を調整することができることが示されている6、7が、タンパク質を標的とするときに直面していない小分子RNAリガンドの識別には困難がある4、11、12。これには、標的の豊富なプールも表す、非コードRNAを対象とする小分子の開発も含まれる8~10。残念ながら、RNA構造の分析および新たな機能の発見のための種々の技術の開発にもかかわらず、RNAに結合し、RNAの機能を乱す阻害剤を効率的かつ迅速に識別または設計する能力は、はるかに遅れている。したがって、RNA分子を標的とする小分子リガンドの迅速かつ効率的な識別を可能にする新しい方法および技術を開発することが当該技術分野において非常に必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上で既に述べたように、トランスクリプトームは、小分子リガンドのための、魅力的ではあるが、十分に活用していない標的のセットを表す。メッセンジャーRNAおよび非コードRNAを標的とする小分子リガンド(および最終的には薬物)は、細胞の状態および疾患を調節する可能性を有する。本開示では、プライマー伸長(SHAPE)およびSHAPE変異プロファイリング(MaP)RNA構造プロービングによって分析された選択的2’-ヒドロキシルアシル化を使用する、断片に基づくスクリーニング戦略を使用して、標的RNA構造に結合する小分子断片を開発した。特に、ミリモル濃度からマイクロモル濃度の親和性でTPPリボスイッチに結合する断片および協働して結合する断片対を識別した。高いナノモル濃度の親和性でTPPリボスイッチに結合する、連結した断片リガンドを効率的に設計するための情報を得るために、構造-活性関係(SAR)試験を行った。本開示からの原理は、TPPリボスイッチに限定されることを意味していないが、多様なRNA標的のための高品質リガンドを開発するための協働性および多部位結合を利用する、他の標的RNA構造にも広く適用可能であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのため、本開示の主題の一態様は、式(I)の構造を有する化合物であって、
【化1】
式中、
X
1、X
2、およびX
3は、それぞれの場合に、独立して、CR
1、CHR
1、N、NH、O、およびSから選択され、隣接するX
1、X
2、およびX
3は、同時にOもしくはSであるように選択されず、
破線は、任意選択の二重結合を表し、
Y
1、Y
2、およびY
3は、それぞれの場合に、独立して、CR
2およびNから選択され、
nは、1もしくは2であり、nが1である場合、破線のうちの1つだけが二重結合であり、
Lは、
【化2】
から選択され、
式中、p、q、r、およびvは、独立して、整数0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10から選択され、zは、整数1、2、3、4、および5から選択され、
Aは、
【化3】
から選択され、
式中、X
4、X
5、X
6、およびX
7は、独立して、CR
3およびNから選択され、
R
1、R
2、およびR
3は、独立して、-H、-Cl、-Br、-I、-F、-CF
3、-OH、-CN、-NO
2、-NH
2、-NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-COOH、-COO(C
1~C
6アルキル)、-CO(C
1~C
6アルキル)、-O(C
1~C
6アルキル)、-OCO(C
1~C
6アルキル)、-NCO(C
1~C
6アルキル)、-CONH(C
1~C
6アルキル)、および置換もしくは非置換C
1~C
6アルキルから選択され、
mは、1もしくは2であり、
Wは、-Oもしくは-NR
4であり、R
4は、-H、-CO(C
1~C
6アルキル)、置換もしくは非置換C
1~C
6アルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換シクロアルキル、-CO(アリール)、-CO(ヘテロアリール)、および-CO(シクロアルキル)から選択されるから選択され、
X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、およびX
7のうちの少なくとも2つがNであることを条件とする、化合物、
またはその薬学的に許容される塩である。
【0009】
本開示の主題のさらなる態様は、RNA分子の領域に結合する、本明細書に記載の化合物を含む。
【0010】
本開示の主題のさらなる態様は、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤中に、治療有効量の本明細書に記載の化合物を含む、組成物を含む。
【0011】
本開示の主題のさらなる態様は、RNA発現の機能障害に関連する疾患または障害を治療する方法であって、本方法が、それを必要とする対象に、治療有効量の本明細書に記載の化合物の組成物の用量を投与することを含む、方法を含む。
【0012】
本開示の主題のさらなる態様は、本明細書に記載の化合物を作製するための方法を含む。
【0013】
本開示の主題のなおさらなる態様は、以下に提示される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】RNAスクリーニング構築物および断片スクリーニングワークフローのスキームを示す。RNAモチーフ1および2、バーコードヘリックス、ならびに構造カセットヘリックスが示される。RNAは、小分子断片の存在下または非存在下でSHAPEを使用してプローブされ、リガンド依存性構造情報に対応する化学修飾は、マルチプレックスMaP配列決定によって読み出される。
【
図2】断片のヒットおよび非ヒットの代表的な変異率の比較を示す。断片に曝露した試料についての正規化された変異率は、+リガンド、+2、または+4とラベル付けされ、リガンドなしとラベル付けされたリガンドを含まないトレースと比較する。変異率の統計的に有意な変化は、三角形を付して示される(SHAPE確認データについては
図8を参照)。(上)試験構築物に結合しない代表的な断片の変異率の比較。(中央)RNAのTPPリボスイッチ領域にヒットする断片。(下)試験構築物全体にわたって反応性の変化を誘発する、非特異的ヒット。モチーフ1および2のランドマークは、SHAPEプロファイルの下に示される。
【
図3A-3B】(
図3A)断片17によって結合されたTPPリボスイッチの構造の、(
図3B)天然TPPリガンド(2HOJ
28)との比較を示す。RNA構造は、各画像において、同様の配向で示される。リガンドとRNAとの間の水素結合は、破線として示される。
【
図4A-4B】断片2および31についての熱力学的サイクルおよび段階的リガンド結合親和性を示す。
図4Aは、化合物2(濃灰色、K
1)断片および化合物31(淡灰色、K
2)断片による結合のまとめを示す。ITCによって決定されたK
D値。
図4Bは、断片2および31による単一化合物の結合および協働性の結合を示すITCデータを示す。この2つの断片を連結すると、結合エネルギーにおいて相加効果を示し、マイクロモル濃度未満のリガンドである化合物37(K
L)が得られる。ITCトレースは、淡灰色としてのバックグラウンドトレース(緩衝液内で滴定されたリガンド)、濃灰色での実験トレースと共に示される。曲線フィッティングは、灰色の網掛けの95%信頼区間と共に示されている。
【
図5】リンカーの種類および長さ、末端基の化学型、および末端基の配向の関数として、断片17および31の共有結合性の連結を示す。RNA結合親和性を増加させる修飾は、化合物36および37中に存在し(淡灰色)、負の修飾は、化合物35、39、および40中に存在し(淡灰色)、中性の修飾は、化合物38中に存在する(淡灰色)。ITCによって決定される解離定数。
【
図6】その連結係数(E)によって順序付けられた、断片に基づく方法によって開発された、断片-リンカー-断片リガンドの比較を示す。対数軸上に表示される値。協働性の連結は、より低いE値(垂直軸の上部)に対応する。断片37は、E値2.5、およびLE値0.34を示す。個々の断片(左、中央)および連結されたリガンド(右)の解離定数を、構成要素の断片の下に示し、E値(上)およびリガンド効率(下)が示される。断片間に導入された共有結合性の連結は、淡灰色で強調表示されている。構成要素の断片の構造を表7に詳細に示す。
【
図7A-7B】スクリーニング構築物設計を示す。
図7Aは、以下の構成要素を有するRNA配列(配列番号6)を示す。GGUCGCGAGUAAUCGCGACC(配列番号7)は、構造カセットであり、
【数1】
は、RNAバーコード(下線が引かれたバーコードNT)であり、GUGGGCACUUCGGUGUCCAC(配列番号9)は、構造カセットであり、
【数2】
は、DENVシュードノット(太字が変異)であり、AAAACUは、リンカーであり、
【数3】
は、TPPリボスイッチ(太字が変異)であり、GAUCCGGUUCGCCGGAUCAAUCGGGCUUCGGUCCGGUUC(配列番号12)は、構造カセットである。
図7Bは、その自己折り畳みヘアピンの文脈でRNA配列バーコードの二次構造を示す。
【
図8】非ヒット、ヒット、および非特異的ヒット断片のSHAPEプロファイルを示す。曝露した断片に対応する変異率トレースおよびリガンドなしの対照トレースは、それぞれ、実線の灰色網掛けおよび黒色の輪郭である。断片対断片なしの試料において統計的に有意に異なると決定されたヌクレオチドは、三角形によって示される。同じ断片についての変異率トレースを、
図2に概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の主題を、本明細書で以下により詳細に説明する。しかしながら、本明細書に記載される本開示の主題の多くの修正および他の実施形態は、本開示の主題が関連する分野の当業者に想起され、前述の説明に提示される教示の利益を有する。したがって、本開示の主題は、開示される特定の実施形態に限定されるべきではなく、修正および他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。言い換えると、本明細書に記載の主題は、すべての代替物、修正、および等価物を網羅する。組み込まれた文献、特許、および類似の資料のうちの1つ以上が、定義された用語、用語の使用、記載された技術などを含むが、これらに限定されない本出願とは異なるか、または矛盾する場合には、本出願が制御する。別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、この分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0016】
定義
本明細書で使用される場合、「アルキル基」という用語は、1~8個、1~6個、1~4個、または5~8個の炭素を含有する飽和炭化水素ラジカルを指す。いくつかの実施形態では、飽和ラジカルは、8個より多い炭素を含有する。アルキル基は、非環状アルカンから1個の水素を除去し、したがって、非水素基またはラジカルの置換によって修飾された非環状アルカン化合物と構造的に類似している。アルキル基ラジカルは、分枝鎖であってもよく、または非分枝鎖であってもよい。低級アルキル基ラジカルは、1~4個の炭素原子を有する。より高級のアルキル基ラジカルは、5~8個の炭素原子を有する。アルキル、低級アルキル、およびより高級のアルキル基ラジカルの例としては、限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、secブチル、tブチル、アミル、tアミル、n-ペンチル、n-ヘキシル、i-オクチルなどのラジカルが挙げられる。
【0017】
本明細書で使用される場合、「(CO)」および「C(O)」という表記は、カルボニル部分を示すために使用される。好適なカルボニル部分の例としては、限定されないが、ケトン部分およびアルデヒド部分が挙げられる。
【0018】
「シクロアルキル」という用語は、3~8個の環員または3~7個の環員または3~6個の環員または3~5個の環員または3~4個の環員を有する炭化水素を指し、単環式または二環式であり得る。環は、飽和していてもよく、またはある程度の不飽和度を有していてもよい。シクロアルキル基は、任意選択で、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。一実施形態では、シクロアルキル基の各環の0、1、2、3、または4個の原子は、置換基によって置換されていてもよい。シクロアルキル基の代表的な例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロブチル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニルなどが挙げられる。
【0019】
「アリール」という用語は、炭化水素の単環式、二環式または三環式の芳香族環系を指す。アリール基は、任意選択で、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。一実施形態では、アリール基の各環の0、1、2、3、4、5、または6個の原子は、置換基によって置換されていてもよい。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニルなどが挙げられる。
【0020】
「ヘテロアリール」という用語は、ヘテロ原子がO、N、またはSから選択され、残りの環原子が炭素である(別段の指示がない限り、適切な水素原子を有する)芳香族5~10員環系を指す。ヘテロアリール基は、任意選択で、1つ以上の置換基で置換されていてもよい。一実施形態では、ヘテロアリール基の各環の0、1、2、3、または4個の原子は、置換基によって置換されていてもよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フラニル、チエニル、ピローリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、イソキノリニル、インダゾリルなどが挙げられる。
【0021】
本明細書で使用される場合、「置換」という用語は、その部分が、1つ以上の追加の有機または無機の置換基ラジカルに結合している部分(例えば、ヘテロアリール、アリール、アルキル、および/またはアルケニル)を指す。いくつかの実施形態では、置換された部分は、1、2、3、4、または5個の追加の置換基またはラジカルを含む。好適な有機および無機の置換基ラジカルとしては、限定されないが、ヒドロキシル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環式環、置換ヘテロ環式環、アミノ、一置換アミノ、二置換アミノ、アシルオキシ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボアルコキシ、アルキルカルボキサミド、置換アルキルカルボキサミド、ジアルキルカルボキサミド、置換ジアルキルカルボキサミド、アルキルスルホニル、アルキルスルフィニル、チオアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、またはハロアルコキシラジカルが挙げられ、この用語は、本明細書で定義される。本明細書で別段の指示がない限り、有機置換基は、1~4個または5~8個の炭素原子を含み得る。置換された部分が、その上で1個より多い置換基ラジカルと結合している場合、その置換基ラジカルは、同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0022】
本明細書で使用される場合、「非置換」という用語は、上述の1つ以上の追加の有機または無機の置換基ラジカルに結合していない部分(例えば、ヘテロアリール、アリール、アルケニル、および/またはアルキル)を指し、かかる部分が、水素でのみ置換されていることを意味している。
【0023】
本明細書に提供される構造および「置換」または「~で置換される」の任意の列挙は、このような構造および置換が、置換された原子および置換基の許容される原子価に従い、かつ置換によって安定した化合物をもたらす、例えば、再配列、環化、脱離などによる変換を自然には受けないという暗黙の条件を含むことが理解されるであろう。
【0024】
本明細書で使用される場合、「RNA」という用語は、遺伝子のコーディング、デコーディング、調節および発現における様々な生物学的役割に不可欠なポリマー分子であるリボ核酸を指す。RNAおよびDNAは核酸であり、脂質、タンパク質および炭水化物と共に、すべての既知の形態の生命に不可欠な4つの主要な巨大分子を構成する。DNAと同様に、RNAはヌクレオチドの鎖として組み立てられるが、DNAとは異なり、RNAは、対になった二本鎖ではなく、それ自体で折り畳まれた一本鎖として自然界に見出される。細胞生物は、メッセンジャーRNA(mRNA)を使用して、特定のタンパク質の合成を指令する遺伝情報を伝達する(文字G、U、A、およびCによって示される、グアニン、ウラシル、アデニン、およびシトシンの窒素塩基を使用して)。多くのウイルスは、RNAゲノムを使用して、その遺伝情報をコードする。いくつかのRNA分子は、生物学的反応を触媒するか、遺伝子発現を制御するか、または細胞シグナルに対する応答を感知し、伝達することによって、細胞内で能動的な役割を果たす。これらの能動的なプロセスの1つは、RNA分子がリボソーム上のタンパク質の合成を指令する普遍的な機能であるタンパク質合成である。このプロセスは、トランスファーRNA(tRNA)分子を使用して、リボソームにアミノ酸を送達し、リボソームRNA(rRNA)は、次いでアミノ酸を一緒に連結して、コードされたタンパク質を形成する。
【0025】
本明細書で使用される場合、「非コードRNA(ncRNA)」という用語は、タンパク質に翻訳されないRNA分子を指す。機能的非コードRNAが転写されるDNA配列は、RNA遺伝子と呼ばれることが多い。豊富であり、機能的に重要な種類の非コードRNAとしては、トランスファーRNA(tRNAs)およびリボソームRNA(rRNAs)、ならびに低分子RNA、例えば、マイクロRNA、siRNA、piRNA、snoRNA、snRNAs、exRNA、scaRNA、および長鎖ncRNA、例えば、XistおよびHOTAIRが挙げられる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「コードRNA」という用語は、タンパク質をコードするRNA、すなわち、メッセンジャーRNS(mRNA)を指す。かかるRNAは、トランスクリプトームを含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、「リボスイッチ」という用語は、小分子に結合し、mRNAによってコードされるタンパク質の産生を変化させる、メッセンジャーRNA分子の調節セグメントを指す。したがって、リボスイッチを含有するmRNAは、そのエフェクター分子の濃度に応答して、自身の活性の調節に直接関与する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「TPPリボスイッチ」という用語は、THIエレメントおよびThi-boxリボスイッチとしても知られており、高度に保存されたRNA二次構造を指す。チアミンピロリン酸(TPP)に直接的に結合して、古細菌、細菌および真核生物における様々な機構を介して遺伝子発現を調節するリボスイッチとして機能する。TPPは、細菌中のピリミジン部分およびチアゾール部分のカップリングによって合成される必須補酵素である、チアミン(ビタミンB1)の活性形態である。
【0029】
本明細書で使用される場合、「シュードノット」という用語は、1つのステムの半分が、別のステムの2つの半分の間にインターカレーションされる、少なくとも2つのステム-ループ構造を含有する核酸二次構造を指す。シュードノットは、1982年にハクサイ黄化モザイクウイルスで初めて認められた。シュードノットは、ノット形状の三次元立体配座に折り畳まれるが、真のトポロジカルノットではない。
【0030】
「アプタマー」は、高い親和性および特異性で目的の特定の分子に結合することができる核酸分子を指し(Tuerk and Gold,1990、Ellington and Szostak,1990)、ヒト遺伝子操作されているか、または天然由来のいずれかであり得る。典型的にはRNAであるアプタマーに対するリガンドの結合は、アプタマーおよびアプタマーが位置する中の核酸の立体配座を変化させる。いくつかの場合に、立体配座の変化は、アプタマーが位置するmRNAの翻訳を阻害するか、または例えば、他の方法で核酸の正常な活性を妨げる。アプタマーはまた、DNAから構成されてもよく、または非天然ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体を含んでいてもよい。アプタマーは、最も典型的には、標的分子の結合についてのインビトロ選択によって得られるであろう。しかしながら、アプタマーのインビボ選択も可能である。アプタマーは、リボスイッチのリガンド結合ドメインでもある。アプタマーは、典型的には、約10~約300ヌクレオチド長である。より一般的には、アプタマーは、約30~約100ヌクレオチド長である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,949,379号を参照されたい。本発明に有用なアプタマーの例としては、限定されないが、PSMAアプタマー(McNamara et al.,2006)、CTLA4アプタマー(Santulli-Marotto et al.,2003)、および4-1BBアプタマー(McNamara et al.,2007)が挙げられる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「PCR」という用語は、ポリメラーゼ連鎖反応を表し、特定のDNA試料の数百~数十億のコピーを迅速に作製し、科学者がDNAの非常に小さな試料を採取し、それを詳細に研究するのに十分な多い量まで増幅することを可能にするために、分子生物学で広く使用される方法を指す。
【0032】
「薬学的に許容される」という語句は、物質または組成物が、化学的および/または毒性額的に、他の成分を含む製剤、および/またはそれらを用いて治療される対象と適合性であることを示す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という語句は、本発明の化合物の薬学的に許容される有機塩または無機塩を指す。例示的な塩としては、限定されないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシル酸塩」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸))塩、アルカリ金属(例えば、ナトリウムおよびカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)塩、およびアンモニウム塩が挙げられる。薬学的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオン、または他の対イオンなどの別の分子の包含を伴ってもよい。対イオンは、親化合物上の電荷を安定化させる任意の有機または無機部分であってもよい。さらに、薬学的に許容される塩は、その構造中に1つより多い帯電した原子を有し得る。複数の帯電した原子が、薬学的に許容される塩の一部である場合、塩は、複数の対イオンを有し得る。したがって、薬学的に許容される塩は、1つ以上の帯電した原子および/または1つ以上の対イオンを有し得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、「担体」は、使用される投薬量および濃度でそれに曝露される細胞または哺乳動物に対して非毒性である、薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤を含む。多くの場合、生理学的に許容される担体は、pH緩衝水溶液である。生理学的に許容される担体の非限定的な例としては、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝液、アスコルビン酸を含む抗酸化剤、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリジンなどのアミノ酸、グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む単糖類、二糖類、および他の炭水化物、EDTAなどのキレート化剤、マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール、ナトリウムなどの塩形成対イオン、および/またはTWEEN(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、およびPLURONICS(登録商標)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。特定の実施形態では、薬学的に許容される担体は、天然に存在しない薬学的に許容される担体である。
【0035】
「治療する」および「治療」という用語は、治療的治療および防止的もしくは予防的測定の両方を指し、その目的は、望ましくない生理学的変化または障害、例えば、がんの発生または拡散を予防するか、または遅らせる(少なくする)ことである。本発明の目的のために、有益または所望の臨床結果としては、限定されないが、検出可能であるか、検出不可能であるかにかかわらず、症状の軽減、疾患の程度の低下、疾患の安定した(すなわち、悪化しない)状態、疾患の進行の遅延または遅れ、疾患の状態の改善もしくは緩和、および寛解(部分的または完全な)が挙げられる。「治療」は、治療を受けていない場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長することも意味し得る。治療を必要とするものとしては、既に状態もしくは障害を有するもの、ならびに状態もしくは障害を有する傾向があるもの、または状態もしくは障害が予防されるべきものが含まれる。
【0036】
「投与」または「投与すること」という用語は、化合物を対象に導入して、それらの意図される機能を発揮する経路を含む。使用され得る投与経路の例としては、注射(皮下、静脈内、非経口、腹腔内、くも膜下腔内を含むが、これらに限定されない)、局所、経口、吸入、直腸および経皮が挙げられる。
【0037】
「有効量」という用語は、所望の結果を達成するために必要な投薬量および期間で有効な量を含む。化合物の有効量は、対象の疾患状態、年齢、および体重、ならびに対象において所望の応答を誘発する化合物の能力などの因子に応じて変動し得る。投薬レジメンは、最適な治療応答を提供するように調整されてもよい。
【0038】
「全身投与」、「全身投与される」、「末梢投与」および「末梢投与される」という語句は、本明細書で使用される場合、化合物、薬物、または他の材料が、患者の系に入り、したがって、代謝および他の同様のプロセスを受けるような投与を意味する。
【0039】
「治療有効量」という語句は、(i)特定の疾患、状態、もしくは障害を治療もしくは予防する、(ii)特定の疾患、状態、もしくは障害の1つ以上の症状を軽減するか、改善するか、もしくはなくす、または(iii)本明細書に記載の特定の疾患、状態、もしくは障害の1つ以上の症状の発症を予防するか、もしくは遅延させる、本発明の化合物の量を意味する。がんの場合、治療有効量の薬物は、がん細胞の数を減少させ、腫瘍のサイズを減少させ、末梢臓器へのがん細胞浸潤を阻害し(すなわち、ある程度遅くし、好ましくは停止させ)、腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度遅くし、好ましくは停止させ)、腫瘍成長をある程度まで阻害し、および/またはがんに関連する症状のうちの1つ以上をある程度緩和し得る。薬物が、既に存在するがん細胞の成長を予防するか、および/または死滅させ得る程度まで、薬物は、細胞増殖抑制性および/または細胞傷害性であり得る。がん療法の場合、有効性は、例えば、疾患進行までの時間(TTP)を評価すること、および/または奏効率(RR)を決定することによって測定することができる。
【0040】
「対象」という用語は、限定されないが、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを含む、哺乳動物などの動物を指す。特定の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0041】
本開示は、高い親和性で特定のRNA領域に結合する小分子の識別に適した、断片に基づくリガンド発見戦略を対象とする。一般に、断片に基づくリガンド発見は、目的の標的に結合する低~中程度の親和性の1つ以上の小分子「断片」の識別を可能にする。次いで、これらの断片を精製するか、または連結するかのいずれかによって、より強力なリガンドを作成する13、14。典型的には、これらの断片は、300Da未満の分子質量を示し、検出可能に結合するために、目的の標的と実質的に高品質な接触を作製する。
【0042】
断片に基づくリガンド発見は、所与のRNAに対して結合する単一の断片ヒットである初期ヒット化合物を識別するために、これまで首尾良く用いられてきたに過ぎない15~19。同じRNAに結合する複数の断片の識別は、結合ポケット内の断片間の潜在的な相加的および協働性の相互作用を利用することを可能にする20、21。しかしながら、多くのRNAが、複数の「サブサイト」を介してそれらのリガンドに結合することが近年示されており、サブサイトは、独立した方法または協働性の方法でリガンドに接触する結合ポケットの領域である22。さらに、高親和性RNA結合は、サブサイトの結合が弱い協働性効果のみを示す場合であっても生じ得ることが示されている。これらの特徴は、RNA標的に適用される断片に基づくリガンド発見開発の有効性のための良好な前兆である。
【0043】
したがって、上に基づいて、本開示は、例えば、TPPリボスイッチなどの目的のRNAに結合する断片を識別する方法を対象とする。第2に、開示される方法は、RNA中の断片結合の位置を、おおよそヌクレオチド分解能で確立することを対象とする。第3に、開示される方法は、初期断片ヒットの部位付近に結合した第2の部位断片を識別することを対象とする。開示される方法は、断片に基づくリガンド発見アプローチと、SHAPE-MaP RNA構造プロービングとを融合させ23、24、これを両方とも使用して、RNA結合断片を識別し、断片結合の個々の部位を確立した。2つの断片を連結することによって最終的に作成されるリガンドは、天然リボスイッチリガンドとは類似性を有しておらず、構造的に複雑なTPPリボスイッチRNAと高い親和性で結合する。
【0044】
開示される方法、およびリガンドの識別は、以下により詳細に説明される。
【0045】
A.化合物
本開示の主題の第1の態様は、式(I)の構造を有する化合物であって、
【化4】
式中、
X
1、X
2、およびX
3は、それぞれの場合に、独立して、CR
1、CHR
1、N、NH、O、およびSから選択され、隣接するX
1、X
2、およびX
3は、同時にOもしくはSであるように選択されず、
破線は、任意選択の二重結合を表し、
Y
1、Y
2、およびY
3は、それぞれの場合に、独立して、CR
2およびNから選択され、
nは、1もしくは2であり、nが1である場合、破線のうちの1つだけが二重結合であり、
Lは、
【化5】
から選択され、式中、k、p、q、r、およびvは、独立して、整数0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10から選択され、zは、整数1、2、3、4、および5から選択され、
Aは、
【化6】
から選択され、
式中、X
4、X
5、X
6、およびX
7は、独立して、CR
3およびNから選択され、
R
1、R
2、およびR
3は、独立して、-H、-Cl、-Br、-I、-F、-CF
3、-OH、-CN、-NO
2、-NH
2、-NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-COOH、-COO(C
1~C
6アルキル)、-CO(C
1~C
6アルキル)、-O(C
1~C
6アルキル)、-OCO(C
1~C
6アルキル)、-NCO(C
1~C
6アルキル)、-CONH(C
1~C
6アルキル)、および置換もしくは非置換C
1~C
6アルキルから選択され、
mは、1もしくは2であり、
Wは、-Oもしくは-NR
4であり、R
4は、-H、-CO(C
1~C
6アルキル)、置換もしくは非置換C
1~C
6アルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換シクロアルキル、-CO(アリール)、-CO(ヘテロアリール)、および-CO(シクロアルキル)から選択されるから選択され、
X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、およびX
7のうちの少なくとも2つがNであることを条件とする、化合物、
またはその薬学的に許容される塩である。
【0046】
いずれかの上述の実施形態のように、X1、X2、またはX3のうちの少なくとも1つが、Nである、化合物。
【0047】
いずれかの上述の実施形態のように、X1が、Nである、化合物。
【0048】
いずれかの上述の実施形態のように、X2が、Nである、化合物。
【0049】
いずれかの上述の実施形態のように、X3が、Nである、化合物。
【0050】
いずれかの上述の実施形態のように、それぞれの場合に、X1、X2、およびX3のうちの2つが、Nである、化合物。
【0051】
いずれかの上述の実施形態のように、X1およびX3が、Nである、化合物。
【0052】
いずれかの上述の実施形態のように、Y1、Y2、およびY3のうちの少なくとも1つが、Nである、化合物。
【0053】
いずれかの上述の実施形態のように、Y1が、Nである、化合物。
【0054】
いずれかの上述の実施形態のように、Y2が、Nである、化合物。
【0055】
いずれかの上述の実施形態のように、Y3が、Nである、化合物。
【0056】
いずれかの上述の実施形態のように、Y1、Y2、およびY3のうちの少なくとも1つが、CR2である、化合物。
【0057】
いずれかの上述の実施形態のように、Y1が、CR2である、化合物。
【0058】
いずれかの上述の実施形態のように、Y2が、CR2である、化合物。
【0059】
いずれかの上述の実施形態のように、Y3が、CR2である、化合物。
【0060】
いずれかの上述の実施形態のように、nが2である、化合物。
【0061】
いずれかの上述の実施形態のように、式(II)の構造を有し、
【化7】
式中、
X
2aおよびX
2bは、独立して、CR
1およびNから選択され、
X
1およびX
3は、独立して、CR
1およびNから選択され、
LおよびAは、式(I)について提供される通りであり、
X
1、X
2a、X
2b、およびX
3のうちの2つは、Nである、化合物。
【0062】
いずれかの上述の実施形態のように、式(III)の構造を有し、
【化8】
式中、
LおよびAは、式(I)について提供される通りである、化合物。
【0063】
いずれかの上述の実施形態のように、p、q、r、およびvが、独立して、整数0、1、2、および3から選択される、化合物。
【0064】
いずれかの上述の実施形態のように、Lが、
【化9】
から選択される、化合物。
【0065】
いずれかの上述の実施形態のように、Lが、
【化10】
である、化合物。
【0066】
いずれかの上述の実施形態のように、qおよびrが、0または1である、化合物。
【0067】
いずれかの上述の実施形態のように、qが1である、化合物。
【0068】
いずれかの上述の実施形態のように、rが1である、化合物。
【0069】
いずれかの上述の実施形態のように、rが0である、化合物。
【0070】
いずれかの上述の実施形態のように、qおよびrが1である、化合物。
【0071】
いずれかの上述の実施形態のように、qが1であり、rが0である、化合物。
【0072】
いずれかの上述の実施形態のように、mが1である、化合物。
【0073】
いずれかの上述の実施形態のように、Wが、-NH、-O、および-N(C1~C6アルキル)2から選択される、化合物。
【0074】
いずれかの上述の実施形態のように、Wが、-NHである、化合物。
【0075】
いずれかの上述の実施形態のように、X4、X5、X6、およびX7のうちの少なくとも1つが、Nである、化合物。
【0076】
いずれかの上述の実施形態のように、X4が、Nである、化合物。
【0077】
いずれかの上述の実施形態のように、X5が、Nである、化合物。
【0078】
いずれかの上述の実施形態のように、X6が、Nである、化合物。
【0079】
いずれかの上述の実施形態のように、X7が、Nである、化合物。
【0080】
いずれかの上述の実施形態のように、X4およびX6が、Nである、化合物。
【0081】
いずれかの上述の実施形態のように、X5およびX7が、Nである、化合物。
【0082】
いずれかの上述の実施形態のように、X5またはX6が、Nであり、X4およびX7の両方が、独立して、CR2である、化合物。
【0083】
いずれかの上述の実施形態のように、Aが、
【化11】
である、化合物。
【0084】
いずれかの上述の実施形態のように、以下の構造
【化12】
を有する、化合物。
【0085】
いずれかの上述の実施形態のように、Lが、
【化13】
である、化合物。
【0086】
いずれかの上述の実施形態のように、Y1、Y2、およびY3が、それぞれの場合に、独立して、CR2およびNから選択され、R1が、-H、-Cl、-Br、-I、-F、-OH、および-NH2から選択される、化合物。
【0087】
いずれかの上述の実施形態のように、zが2である、化合物。
【0088】
いずれかの上述の実施形態のように、Y2が、Nである、化合物。
【0089】
いずれかの上述の実施形態のように、Y2が、CR2であり、R1が、-H、-F、-OH、および-NH2から選択される、化合物。
【0090】
いずれかの上述の実施形態のように、Aが、
【化14】
である、化合物。
【0091】
いずれかの上述の実施形態のように、上述の化合物が、以下の構造
【化15】
を有する、化合物。
【0092】
いずれかの上述の実施形態のように、上述の化合物が、以下の構造
【化16】
を有する、化合物。
【0093】
B.スクリーニング方法
本開示は、プライマー伸長(SHAPE)に基づく断片スクリーニング方法によって分析された、柔軟性のある選択的2’-ヒドロキシルアシル化の開発および検証を対象とする。断片に基づくリガンド発見は、RNAを含む巨大分子と実質的に密接な接触を形成する化合物を識別するための有効なアプローチであることが証明されている13、14、17。この発見戦略を成功させるための前提条件は、リガンド結合を検出するための適応可能で高品質の生物物理学的アッセイである。したがって、いくつかの実施形態では、SHAPE RNA構造プロービングを利用して、リガンド結合を検出し23~25、求電子試薬に対するリボース2’-ヒドロキシル基の相対的反応性として局所的なヌクレオチド柔軟性を測定する。SHAPEを、任意のRNA上で使用することができ、単一の実験においてRNA中の実質的にすべてのヌクレオチドに対するデータを提供し、結合を単純に検出することに加えて、ヌクレオチド当たりの構造情報を得て、これを以下により詳細に説明する。加えて、本開示はまた、SHAPE変異プロファイリング(MaP)を適用することを対象とし23、24、SHAPEと、高スループット配列決定による読み出しとを融合させ、何千もの試料の多重化および効率的な高スループット分析を可能にする。
【0094】
したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、目的のRNA分子に結合し、および/またはそれと関連する小分子断片および/または化合物を識別するためのSHAPEおよび/またはSHAPE-MaPを利用するスクリーニング方法を対象とする。本明細書に開示される方法は、別の小分子断片(例えば、断片1)で既に予めインキュベートされたRNA分子に結合し、および/またはそれと会合する小分子断片(例えば、断片2)を識別するためのSHAPEおよび/またはSHAPE-MaPを利用することをさらに含む。理論に束縛されるべきではないが、断片1は、第1の結合部位に結合し、断片2は、同じRNA分子中の第2の結合部位(例えば、サブサイト)に結合すると考えられている。したがって、断片1および断片2の構造的特徴を組み合わせて(例えば、この2つの断片をリンカーLで接続して)、本明細書に開示される化合物を生成することで、断片1および/または断片2単独と比較して、RNA結合親和性が増加した、連結した断片リガンドをもたらすと考えられる。
【0095】
スクリーニング方法SHAPEおよびSHAPE-MaPを以下により詳細に説明する。
【0096】
I.SHAPE化学
SHAPE化学は、RNAリボースの2’位置の求核性が、隣接する3’-ホスホジエステル基の電子的影響に感受性であるという観察結果に少なくとも部分的に基づく。拘束されていないヌクレオチドは、塩基対になっているか、またはその他の拘束されたヌクレオチドよりも、2’-ヒドロキシル基の求核性を増強する、より多くの立体配座をサンプリングする。したがって、ヒドロキシル選択的求電子剤(例えば、限定されないが、N-メチルイサト酸無水物(NMIA))は、柔軟性のあるRNAヌクレオチドと共に安定な2’-O付加物をより迅速に形成する。局所的なヌクレオチド柔軟性は、すべてのRNAヌクレオチド(転写後修飾を有するいくつかの細胞RNAを除く)が2’-ヒドロキシル基を有するため、単一の実験において、RNA分子中のすべての位置で同時に調べることができる。2’-ヒドロキシル反応性が、塩基同一性に対して感受性がないため、絶対的なSHAPE反応性を、RNA中のすべての位置にわたって比較することができる。ヌクレオチドは、特定の2’-ヒドロキシルの求核性を増強する立体配座に拘束されているため、反応性であり得ることも可能である。この種類のヌクレオチドは、稀であると予想され、非標準的な局所幾何形状を伴い、対になっていない位置として正しくスコアリングされるであろう。
【0097】
本開示の主題は、いくつかの実施形態では、任意の長さおよび構造的複雑性を有するRNA分子中の構造的な拘束を調べることによって、RNA分子中の構造データを検出するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、2’-O-付加物を含有するRNA分子を、(標識された)プライマーでアニーリングすることと、2’-O-付加物を含有しないRNA分子を、陰性対照として(標識された)プライマーでアニーリングすることと、プライマーを伸長してcDNAのライブラリを生成することと、cDNAを分析することと、RNAについての構造データを含む出力ファイルを生成することと、を含む。
【0098】
RNA分子は、生体試料中に存在し得る。いくつかの実施形態では、RNA分子は、タンパク質または他の小さいおよび大きい生物学的リガンドおよび/または化合物の存在下で修飾され得る。プライマーは、任意選択で、放射性同位体、蛍光標識、重原子、酵素標識、化学発光基、ビオチニル基、二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ、またはこれらの組み合わせで標識することができる。分析することは、分離すること、定量化すること、サイズ調整すること、またはそれらの組み合わせを含み得る。分析することは、トレースと呼ばれる、溶出時間データの関数として、蛍光または染料の量データを抽出することを含み得る。例として、cDNAは、単一カラムのキャピラリー電気泳動機器で、またはマイクロ流体デバイスで分析することができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列に対する、2’-O-付加物を含有するRNA分子および2’-O-付加物を含有しないRNA分子についてのトレースのピーク面積を計算することができる。トレースを、RNAの配列と比較し、アラインメントすることができる。配列決定によって生成された、これらのcDNAを観察し、説明するトレースは、2’-O-付加物を含有するRNAおよび2’-O-付加物を含有しないRNA分子についてのトレース中の対応する位置よりも長い1ヌクレオチドである。各ピークの下側の面積は、全トレースのGaussianフィット積分を行うことによって決定することができる。
【0100】
したがって、いくつかの実施形態では、複雑な生体溶液のRNA分子と共有結合性のリボース2’-O-付加物を形成するための方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、求電子剤とRNA分子とを接触させることを含み、求電子剤は、RNA分子中の拘束されていないヌクレオチドを選択的に修飾し、共有結合したリボース1’-O-付加物を形成する。
【0101】
いくつかの実施形態では、求電子剤、例えば、限定されないが、N-メチルイサト酸無水物(NMIA)を、DMSOなどの無水極性非プロトン性溶媒に溶解する。試薬-溶媒溶液を、RNA分子を含有する複雑な生体溶液に添加する。この溶液は、異なる濃度および量のタンパク質、細胞、ウイルス、脂質、単糖類および多糖類、アミノ酸、ヌクレオチド、DNA、ならびに異なる塩および代謝産物を含有し得る。求電子剤の濃度は、RNA分子における所望の修飾度を達成するように調整することができる。求電子剤は、溶液中のすべての遊離ヒドロキシル基と反応する可能性を有しており、RNA分子上でリボース2’-O-付加物を産生する。さらに、求電子剤は、RNA分子中の対になっていないか、または他の方法で拘束されていないヌクレオチドを選択的に修飾することができる。
【0102】
RNA分子を、2’-O-付加物を形成する少ないRNA修飾を得る濃度で求電子剤に曝露することができ、逆転写酵素によるプライマー伸長を阻害する能力によって検出することができる。この化学が、2’-ヒドロキシル基の一般的な反応性を標的とするため、すべてのRNA部位を単一の実験で調べることができる。いくつかの実施形態では、バックグラウンドを評価するために求電子剤を省いた対照伸長反応、およびヌクレオチド位置を割り当てるためのジデオキシ配列決定伸長を並行して実施することができる。これらの合わせたステップは、プライマー伸長、またはSHAPEによって分析される選択的2’-ヒドロキシルアシル化と呼ばれる。
【0103】
いくつかの実施形態では、本方法はさらに、1’-O-付加物を含有するRNA分子を、(標識された)プライマーと接触させることと、2’-O-付加物を含有しないRNA分子を、陰性対照として(標識された)プライマーと接触させることと、プライマーを伸長してcDNAの線形アレイを生成することと、cDNAを分析することと、RNAの構造データを含む出力ファイルを生成することと、を含む。
【0104】
単一のSHAPE実験で調べたヌクレオチドの数は、使用される分離技術の検出および分解能だけでなく、RNA修飾の性質にも依存する。反応条件を考慮すると、ほぼすべてのRNA分子が少なくとも1つの修飾を有する長さが存在する。プライマー伸長が、これらの長さに達すると、伸長するcDNAの量は減少し、実験シグナルを減衰させる。修飾収率を低下させるように条件を調整すると、リード長さを増加させることができる。しかしながら、試薬収率を下げると、各cDNA長についての測定されたシグナルを減少させることもできる。これらの考慮事項を考慮すると、単一のSHAPEリードの好ましい最大長は、おそらく、約1キロベースのRNAであるが、これに限定されるべきではない。
【0105】
II.SHAPE-MaP
SHAPE-MaPでは、SHAPE付加物は、逆転写酵素がSHAPE化学付加物の部位に非相補的なヌクレオチドを組み込むか、または欠失を生成する能力を活用する変異プロファイリング(MaP)によって検出される。いくつかの実施形態では、SHAPE-MaPを、ライブラリ構築および配列決定に使用することができる。いくつかの実施形態では、多重化技術をSHAPE-MaPに使用することができる。
【0106】
典型的には、RNAを、立体配座的に動的なヌクレオチドで反応するSHAPE試薬で処理する。逆転写の間、ポリメラーゼは、RNA中の化学付加物を通して読み取られ、元々の配列に非相補的なヌクレオチドをcDNAに組み込む。得られたcDNAを、任意の超並列アプローチを使用して配列決定し、変異プロファイル(MaP)を作成する。配列決定リードを参照配列とアラインメントし、ヌクレオチド分解能変異率を計算し、バックグラウンドについて補正し、正規化し、標準的なSHAPE反応性プロファイルを生成する。次いで、SHAPE反応性を使用して、二次構造をモデル化するか、競合構造および代替構造を可視化するか、または局所的なヌクレオチドRNA動態を調節する任意のプロセスもしくは機能を定量化することができる。RNA分子のSHAPE修飾の後、逆転写酵素を使用して、変異プロファイルを作成する。このステップは、cDNA中の変異としてのSHAPE付加物の位置および相対頻度をコードする。当技術分野で既知の方法(例えば、PCR反応)を使用して、cDNAをdsDNAに変換し、dsDNAを第2のPCR反応でさらに増幅し、それによって、多重化のための配列決定を追加する。精製後、配列決定ライブラリは、均一なサイズを有し、各DNA分子は、目的の配列全体を含有する。
【0107】
したがって、本開示の主題のいくつかの実施形態によれば、核酸中の1つ以上の化学修飾を検出するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、化学修飾を有することが疑われる核酸を提供することと、ポリメラーゼおよび提供された核酸をテンプレートとして使用して核酸を合成することであって、合成することが、ポリメラーゼが提供された核酸中の化学修飾を通じて読み取られ、それによって化学修飾の部位で得られた核酸中に正しくないヌクレオチドを産生する条件下で起こる、合成することと、正しくないヌクレオチドを検出することと、を含む。
【0108】
本開示の主題のいくつかの実施形態によれば、核酸中の構造データを検出するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、方法は、化学修飾を有することが疑われる核酸を提供することと、ポリメラーゼおよび提供された核酸をテンプレートとして使用して核酸を合成することであって、合成することが、ポリメラーゼが提供された核酸中の化学修飾を通じて読み取られ、それによって化学修飾の部位で得られた核酸中に正しくないヌクレオチドを産生する条件下で起こる、合成することと、正しくないヌクレオチドを検出することと、提供された核酸についての構造データを含む出力ファイルを生成することと、を含む。
【0109】
本開示の主題のいくつかの実施形態では、提供された核酸は、RNA分子(例えば、コードRNAおよび/または非コードRNA分子)である。いくつかの実施形態では、方法は、2つ以上の化学修飾を検出することを含む。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、複数の化学修飾を通じて読み取られ、複数の正しくないヌクレオチドを産生し、本方法は、各々の正しくないヌクレオチドを検出することを含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、核酸(例えば、RNA分子)は、化学修飾を提供する試薬に曝露されているか、または化学修飾が、核酸(例えば、RNA分子)中に既に存在している。いくつかの実施形態では、既に存在している修飾は、2’-O-メチル基であり、および/または核酸の由来となる細胞によって作成され、例えば、限定されないが、エピジェネティクス修飾および/または複数の修飾は、1-メチルアデノシン、3-メチルシトシン、6-メチルアデノシン、3-メチルウリジン、および/または2-メチルグアノシンである。いくつかの実施形態では、RNA分子などの核酸は、タンパク質または他の小さいおよび大きい生物学的リガンドおよび/または化合物の存在下で修飾され得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、試薬は、求電子剤を含む。いくつかの実施形態では、求電子剤は、RNA分子中の拘束されていないヌクレオチドを選択的に修飾し、共有結合したリボース2’-O-付加物を形成する。いくつかの実施形態では、試薬は、1 M7、1 M6、NMIA、DMS、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、核酸は、生体試料中に存在するか、または生体試料に由来する。
【0112】
いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、逆転写酵素である。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、天然ポリメラーゼまたは変異体ポリメラーゼである。いくつかの実施形態では、合成核酸は、cDNAである。
【0113】
いくつかの実施形態では、正しくないヌクレオチドを検出することは、核酸を配列決定することを含む。いくつかの実施形態では、配列情報は、提供される核酸の配列とアラインメントされる。いくつかの実施形態では、正しくないヌクレオチドを検出することは、核酸に対して超並列配列決定を使用することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、核酸を増幅することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、特異的プライマー、ランダムプライミングを使用する全ゲノム、ランダムプライミングを使用する全トランスクリプトーム、またはそれらの組み合わせを使用する部位特異的アプローチを使用して核酸を増幅することを含む。
【0114】
本開示の主題のいくつかの実施形態によれば、本開示の主題の任意の実施形態の任意の方法ステップを含むステップを実行する際に、コンピュータ可読媒体に具体化されたコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。本開示の主題のいくつかの実施形態によれば、本開示の主題の任意の方法によって生成される核酸ライブラリが提供される。
【0115】
III.SHAPE求電子剤
本明細書で上に開示されるように、SHAPE化学は、リボース2’-ヒドロキシル基の求核反応性が、局所的なヌクレオチド柔軟性によってゲート制御されるという発見を利用する。塩基対形成または三次相互作用によって拘束されるヌクレオチドで、3’-ホスホジエステルアニオンおよび他の相互作用は、2’-ヒドロキシルの反応性を低下させる。対照的に、柔軟性のある位置は、求電子剤(限定されないが、NMIAを含む)と反応して2’-O-付加物を形成する立体配座を優先的に採用する。例として、NMIAは、4つのヌクレオチドすべてと一般的に反応し、試薬は、並列な自己不活性化加水分解反応を受ける。実際に、本開示の主題は、本明細書に開示される核酸と反応することができる任意の分子を、本開示の主題のいくつかの実施形態に従って使用することができることを提供する。いくつかの実施形態では、求電子剤(SHAPE試薬とも称される)は、限定されないが、イサト酸無水物誘導体、ベンゾイルシアニド誘導体、塩化ベンゾイル誘導体、フタル酸無水物誘導体、ベンジルイソシアネート誘導体、およびそれらの組み合わせから選択され得る。イサト酸無水物誘導体は、1-メチル-7-ニトロイサト酸無水物(1M7)を含み得る。ベンゾイルシアニド誘導体は、限定されないが、ベンゾイルシアニド(BC)、3-カルボキシベンゾイルシアニド(3-CBC)、4-カルボキシベンゾイルシアニド(4-CBC)、3-アミノメチルベンゾイルシアニド(3-AMBC)、4-アミノメチルベンゾイルシアニド、およびこれらの組み合わせを含む群から選択され得る。塩化ベンゾイル誘導体は、塩化ベンゾイル(BCl)を含み得る。フタル酸無水物誘導体は、4-ニトロフタル酸無水物(4NPA)を含み得る。ベンジルイソシアネート誘導体は、ベンジルイソシアネート(BIC)を含み得る。
【0116】
IV.RNA分子設計
SHAPE反応性を、1つ以上のプライマー伸長反応で評価することができるため、情報は、RNA分子の5’末端およびプライマー結合部位付近の両方で失われ得る。典型的には、プライマー結合部位に隣接する10~20ヌクレオチドでの付加物形成は、プライマー伸長の初期段階中の逆転写酵素(RT)酵素による停留または非テンプレート化伸長を反映するcDNA断片の存在に起因して、定量化することが困難である。RNAの5’末端の8~10位置は、豊富な全長伸長産物の存在に起因して、可視化することが困難な場合がある。
【0117】
目的の配列の5’末端および3’末端でのSHAPE反応性を監視するために、RNA分子を、天然配列のより大きな断片内に埋め込むか、または固有のプライマー結合部位を含有する強く折り畳まれたRNA配列の間に配置することができる。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドの5’および3’隣接配列を含有する構造カセットは、例えば、限定されないが、配列決定ゲル、キャピラリー電気泳動などの目的のRNA分子内のすべての位置をヌクレオチド分解能を付与する任意の分離技術で評価することが可能なように設計することができる。いくつかの実施形態では、5’および3’伸長の両方を、多様な内部RNAの折り畳みを妨害しない安定なヘアピン構造に折り畳むことができる。カセットのプライマー結合部位は、cDNAプライマーに効率的に結合することができる。任意の5’および3’構造カセットエレメントの配列を調べ、それらが内部配列と安定した塩基対相互作用を形成しにくいことを確実にすることができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、目的のRNA分子は、ヌクレオチドリンカーと接続されている2つの異なる標的モチーフを含む。標的モチーフは、目的の任意のヌクレオチド配列であり得る。例示的な標的モチーフとしては、限定されないが、リボスイッチ、ウイルス調節エレメント、mRNA中の構造化された領域、多重ヘリックス接合部、シュードノットおよび/またはアプタマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、第1の標的モチーフは、シュードノット、例えば、デングウイルスゲノムの5’UTRからのシュードノットである。いくつかの実施形態では、第2の標的モチーフは、アプタマードメイン、例えば、TPPリボスイッチアプタマードメインである。ヌクレオチドリンカーについて、ヌクレオチドの数は、変動し得る。例えば、いくつかの実施形態では、リンカー中のヌクレオチドの数は、約1~約20ヌクレオチド、約1~約15ヌクレオチド、約1~約10ヌクレオチド、または約5~約10ヌクレオチド(または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10ヌクレオチド)の範囲である。
【0119】
いくつかの実施形態では、RNA分子は、RNAバーコード領域をさらに含む。RNAバーコード領域は、(例えば、多重化の間に)RNA分子の混合物中の特定のRNA分子の識別を可能にする固有のバーコードである。RNAバーコード領域の位置は、様々であってもよいが、典型的には、RNA分子中に存在するカセットのうちの1つに隣接して見出される。いくつかの実施形態では、RNAバーコードは、RNA分子の任意の他の部分と相互作用しない、自己を含む構造に折り畳まれるように設計される。RNAバーコード領域の構造は、様々であり得る。いくつかの実施形態では、RNAバーコード領域の構造は、約1~約10塩基対(または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10塩基対)を含む塩基対ヘリックスを含む。いくつかの実施形態では、RNAバーコード領域は、7塩基対を含む。いくつかの実施形態では、塩基対は、塩基対ヘリックスの末端塩基対に固定されたテトラループでキャップされる。塩基対ヘリックスをキャップすると、RNAバーコード領域の全体的なヘアピン安定性を維持する。いくつかの実施形態では、テトラループは、ヌクレオチド配列GNRAを含むが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、RNAバーコード領域は、任意の個々のバーコードが、別のバーコードとして誤って解釈される少なくとも2つの変異を受けるように設計される。
【0120】
V.RNA分子の折り畳み
本開示の主題は、限定されないが、インビトロ転写を含む方法によって生成されるRNA分子、ならびに細胞およびウイルス中で生成されるRNA分子を用いて実行され得る。いくつかの実施形態では、RNA分子は、ゲル電気泳動を変性させることによって精製され、生物学的に関連する立体配座を達成するために再生され得る。さらに、RNA分子を所望のpH(例えば、約pH8)で所望の立体配座に折り畳む任意の手順を置換することができる。まず、RNA分子を加熱し、低イオン強度緩衝液中で迅速冷却して、多量体形態を排除することができる。次いで、折り畳み溶液を添加して、RNA分子が適切な立体配座を達成し、求電子剤を用いた構造感受性プロービングのためにそれを調製することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、RNAは、単一の反応で折り畳まれ、その後で(+)および(-)求電子剤反応に分離することができる。いくつかの実施形態では、RNA分子は、修飾前に自然には折り畳まれない。修飾は、RNA分子が熱および/または低塩条件によって変性されている間に行われ得る。
【0121】
VI.RNA分子修飾
求電子剤をRNAに添加して、柔軟性のあるヌクレオチド位置で2’-O-付加物を得ることができる。次いで、求電子剤の本質的にすべてが、RNAと反応するか、または水による加水分解に起因して分解されるまで、反応物をインキュベートすることができる。特定のクエンチステップは必要とされない。修飾は、複合体リガンドおよび生体分子の存在下、ならびに様々な塩の存在下で行われ得る。RNAは、細胞およびウイルス内で同様に修飾されてもよい。これらの塩および複合体リガンドは、マグネシウム、ナトリウム、マンガン、鉄、および/またはコバルトの塩を含み得る。複合体リガンドとしては、限定されないが、タンパク質、脂質、他のRNA分子、DNA、または小さな有機分子が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、複合体リガンドは、本明細書に開示される小分子断片である。いくつかの実施形態では、複合体リガンドは、本明細書に開示される化合物である。修飾RNAは、例えば、エタノール沈殿によってプライマー伸長反応にとって有害であり得る反応生成物および緩衝成分から精製され得る。
【0122】
VII.プライマー伸長および重合
本開示の主題によるプライマー伸長によるRNA付加物の分析は、種々の実施形態では、最適化されたプライマー結合部位、熱安定性逆転写酵素、低MgCl2濃度、高温、短い伸長時間、および前述のいずれかの組み合わせの使用を含み得る。反応副生成物および他の小分子汚染物質を含まない、無傷の分解していないRNAも、逆転写のためのテンプレートとして使用することができる。得られたRNA-cDNAハイブリッドのRNA成分は、塩基での処理によって分解することができる。次いで、cDNA断片を、例えば、ポリアクリルアミド配列決定ゲル、キャピラリー電気泳動、または本開示のレビュー後に当業者に明らかになる他の分離技術を使用して分割することができる。
【0123】
デオキシリボヌクレオチド三リン酸dATP、dCTP、dGTP、およびdTTPおよび/またはデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)は、別々に、またはプライマーと共に、十分な量で合成混合物に添加することができ、得られた溶液を、約1~10分間かけて約50~100℃に加熱することができる。加熱時間の後、溶液を冷却することができる。いくつかの実施形態では、プライマー伸長反応をもたらすための適切な薬剤を、冷却した混合物に添加し、反応を当該技術分野で既知の条件下で生じさせることができる。いくつかの実施形態では、重合のための薬剤は、熱安定性である場合には、他の試薬と一緒に添加することができる。いくつかの実施形態では、合成(または増幅)反応は、室温で生じ得る。いくつかの実施形態では、合成(または増幅)反応は、重合のための薬剤が機能しなくなる温度まで生じ得る。
【0124】
重合のための薬剤は、例えば、酵素を含む、プライマー伸長産物の合成を達成するように機能する任意の化合物または系であり得る。この目的のための好適な酵素としては、限定されないが、E.coli DNAポリメラーゼI、E.coli DNAポリメラーゼのKlenow断片、ポリメラーゼムテイン、逆転写酵素、ならびに熱安定性酵素(すなわち、変性を引き起こすのに十分に高い温度にさらされた後にプライマー伸長を行う酵素)、例えば、マウスもしくは鳥の逆転写酵素を含む他の酵素が挙げられる。好適な酵素は、ヌクレオチドの適切な方法での組み合わせを促進して、各多型遺伝子座核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物を形成することができる。いくつかの実施形態では、合成は、各プライマーの5’末端で開始し、合成がテンプレートの末端で終了するまで、3’方向に進むことができ、ジデオキシヌクレオチド三リン酸の組み込みによって、または2’-O-付加物で、異なる長さの分子を生成することができる。
【0125】
新たに合成された鎖およびその相補的核酸鎖は、本明細書に記載されるハイブリダイゼーション条件下で二本鎖分子を形成することができ、このハイブリッドは、参照によりそれらの全体が本明細書に参照される米国特許第10,240,188号および米国特許第8,318,424号に記載される開示された方法のように、後のステップで使用される。いくつかの実施形態では、新しく合成された二本鎖分子は、一本鎖分子を提供するための当該技術分野で既知の手順のいずれかを使用して、変性条件にさらすこともできる。
【0126】
VII.生データの処理
RNA分子、化学修飾分析、および/または核酸構造分析などの核酸のための本明細書に記載の主題は、コンピュータ可読媒体に具体化されたコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品を使用して実装することができる。本明細書に記載の主題を実装するのに好適な例示的なコンピュータ可読媒体としては、チップメモリデバイス、ディスクメモリデバイス、プログラマブルロジックデバイス、および特定用途向け集積回路が挙げられる。加えて、本明細書に記載の主題を実装するコンピュータプログラム製品は、単一のデバイスまたはコンピューティングプラットフォーム上に位置することができ、または複数のデバイスまたはコンピューティングプラットフォームにわたって分散され得る。したがって、本明細書に記載の主題は、コンピュータによって実行されたときに、RNA構造解析などの核酸のための特定の機能を実行する、コンピュータ命令のセットを含み得る。
【0127】
上述の項目I~VIIを考慮して、モジュラーRNAスクリーニング構築物を、リガンド結合の読み出しのための高スループットアッセイとしてSHAPEを実装するように設計した(
図1、上)。構築物は、その構造が破壊されたときにウイルス適合性を低下させるデングウイルスゲノムの5’UTRからのシュードノット
26、およびTPPリボスイッチアプタマードメイン
27~29などの2つの標的モチーフを含有するように設計された。単一の構築物に2つの異なる構造モチーフを含めることにより、各々が他方に対する内部特異性制御として機能することが可能となった。両方のRNA構造に結合する断片は、非特異的バインダーとして容易に識別された。これらの2つの構造は、2つのRNA構造が構造的に独立したまま保持されることを可能にするように、一本鎖であるように設計された6ヌクレオチドリンカーによって接続された。構築物の構造コアに隣接するのは、構造カセット
25であり、これらのステム-ループ形成領域は、スクリーニングワークフローで必要とされるステップのためのプライマー結合部位として使用され、構築物中の他の構造と相互作用しないように設計された(
図7)。
【0128】
スクリーニング構築物の別の構成要素は、RNAバーコードであり、バーコード化することで、下流のワークロードを実質的に低減する多重化を可能にする。断片ライブラリをスクリーニングするために使用される96ウェルプレート中の各ウェルは、それ以外は同一の構築物の観点で固有のバーコードを有するRNAを含有し、したがって、バーコード配列は、ウェル位置と、多重化後に存在する断片(または複数の断片)とを識別する(
図1)。RNAバーコード領域は、構築物の任意の他の部分と相互作用しない、自己を含む構造に折り畳まれるように設計された。バーコード構造は、GNRAテトラループでキャップされ、ヘアピンの安定性を維持するためにG-C塩基対で固定された、7塩基対のヘリックスである(
図7)。96個のバーコードの各セットは、任意の個々のバーコードが、別のバーコードとして誤って解釈される2つ以上の変異を受けるように設計された。
【0129】
この構築物は、リガンド結合をスクリーニングするためのRNA構造を選択する際の柔軟性を提供し、単純で直接的なスクリーニング実験を補助する(
図1)。固有のRNAバーコードを有するそれ以外は同一のRNA構築物を含有する96ウェルプレート中の各ウェルを、1つまたは数個の小分子断片または断片なしの対照(溶媒)でインキュベートし、次いで、SHAPE試薬に曝露する。得られたSHAPE付加物は、ヌクレオチド当たりの構造情報を化学的にコードする。SHAPEプロービングの後、断片同一性(RNAバーコード)および断片結合(SHAPE付加物パターン)を決定するために必要な情報が各RNA鎖に永久的にコードされるため、プレートの96ウェルからのRNAを単一の試料にプールすることができる。断片スクリーニング実験は、標準的なMaP構造プロービングワークフロー
24と非常に類似した方法で処理される。例えば、いくつかの実施形態では、特殊な緩和された忠実度逆転写反応を使用して、RNA上の任意のSHAPE付加物の位置に、非テンプレートコード配列の変化を含有するcDNAを作製する
30。次いで、これらのcDNAを使用して、高スループット配列決定のためのDNAライブラリを調製する。実験の複数のプレートを、DNAライブラリレベルでバーコード化し
24、単一の配列決定の試行において数千の化合物に関するデータを集めることができる(
図1)。得られた配列決定データは、各々が特定のRNA鎖に対応する、数百万の個々のリードを含有する。これらのリードは、バーコードによってソートされ、各々の小分子断片または断片の組み合わせについてのデータの分析を可能にする。SHAPEおよび/またはSHAPE-MaPなどの上述の方法を使用する小分子断片(例えば、断片1および/または断片2)の決定および識別は、次のセクションでより詳細に説明される。
【0130】
C.リガンドの識別および選択
上述のように、SHAPEおよびSHAPE-MaPを使用して、目的のRNA分子に結合する、または目的のRNA分子と会合する小分子断片を識別した。特にSHAPE-MaPを使用して小分子断片を試験する場合、1ヌクレオチド当たりのSHAPE-MaP変異率からの結合した断片シグネチャの検出は、大きな実験スクリーニングにわたってデータを正規化し、統計的厳密性を確保する複数のステップを伴う。SHAPEに基づくヒット分析戦略の鍵となる特徴は、(i)各断片に曝露したRNA、もしくは「実験試料」を、5つの陰性の断片に曝露していない対照試料と比較して、プレート間の変動性およびウェル間の変動性を説明すること、(ii)構築物中の2つの構造モチーフ、本開示ではシュードノットおよびTPPリボスイッチの各々について独立して実施されるヒット検出、(iii)個々のヌクレオチドが、断片によって誘発される変化を示す可能性が低いため、すべての試料にわたって低い反応性を有する個々のヌクレオチドのマスキング、ならびに(iv)断片に曝露した実験試料と、断片に曝露していない陰性対照試料との間の変異率のヌクレオチド当たりの差の計算を伴う。Zスコア分析のために、モチーフの1つと、断片を含まない対照との間の変異率の差が20%以上であるこれらのヌクレオチドを選択した。しかしながら、当業者であれば、変異率の差が変化し得ることを認識して、それに応じて変異率の差を調整することができるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、変異率の差は、25%、30%、35%、45%、または50%、またはそれより大きくてもよい。いくつかの実施形態では、変異率の差は、15%、10%、または5%、またはそれより大きくてもよい。2つのモチーフのうちの1つにおける3つ以上のヌクレオチドが、2.7より大きなZ値を有する(2つのモチーフについてのPoisson数の比較31によって決定されるような、実施例2を参照)場合に、断片は、SHAPE反応性パターンを有意に変化させたと決定された。しかしながら、Z値は変化してもよく、当業者はそれに応じて調整することができるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、Z値は、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3.、3.4、3.5、3.6.、3.7、3.8、または3.9より大きい。いくつかの実施形態では、Z値は、1.0.、1.1.、1.2.、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、または2.6より大きい。
【0131】
その後に一緒に連結して本明細書に開示される化合物を生成するSHAPEおよび/またはSHAPE-MaPを有する小分子断片を識別するために、一連のステップを実行する。まず、一次スクリーニングを実施し、多数の化合物(例えば、少なくとも100個の化合物)をスクリーニングして、標的RNA分子に対して好適な結合活性を示す任意の初期リードまたはヒット化合物を識別する。ステップ2では、次いで、これらのヒット化合物を、構造-活性関係(SAR)試験でさらに調べ、標的RNAの結合親和性の変化を、修飾されるヒット化合物の構造として決定する。複数の小分子断片が、標的RNA分子に好適な結合リガンドであると識別される場合、追加の結合試験を実施し、各小分子断片についての結合部位をさらに調べてもよい(すなわち、ステップ3)。例えば、いくつかの実施形態では、標的RNAを、第1の断片(ステップ2において、SAR試験に従って標的RNA結合リガンドとして識別された)と共にプレインキュベートした後、標的RNAを、第2の断片(これもステップ2のSAR試験においてRNA結合リガンドとして識別された)に曝露して、第1の断片が既に結合しているときに、第2の断片が標的RNAに結合することができるかどうかを識別することができる。目的のRNAに対して好適な結合活性を有する第2の断片が識別されたら、第2の断片をリンカーを用いて第1の断片に連結して、本明細書に開示されるような化合物にすることができる(すなわち、ステップ4)。上述の各ステップは、以下でより詳細に説明される。
【0132】
ステップ1:一次スクリーニング
一次スクリーニングでは、1,500個の断片が試験され、41個の断片がヒットとして検出され、初期ヒット率は2.7%であった。3複製物のSHAPE分析によりヒットの検証を行い(
図2、
図8)、3複製物すべてにおいてバインダーとして検出された場合にのみ、化合物が真のヒットとして受け入れられた。次いで、これらの複製物のヒット化合物を、等温滴定カロリメトリー(ITC)によって分析し、標的モチーフにちょうど対応する(スクリーニング構築物中の隣接配列を省く)RNAに対する結合親和性を決定した。これらの初期ヒットのうち、複製物分析およびITCによって、8ヒットが検証された(表1)。ヒットのうちの7つが、試験構築物のTPPリボスイッチ領域内に大部分または完全に局在化するそれらの変異シグネチャに基づいて、TPPリボスイッチに結合した。残りのヒットは、この断片がRNA構築物のすべての部分にわたってヌクレオチドに影響を及ぼしたため、非特異的であった。試験構築物のデングシュードノット領域に特異的に結合する化合物は検出されなかった。
【表1】
【0133】
SHAPE構造プロービングによってヒットが検出され、それを複製物分析およびITCによって検証した。解離定数は、ITCによって決定され、‡でマークされた誤差値は、3複製物以上に由来する標準誤差を示し、他の誤差推定値は、結合曲線の最小二乗回帰の95%信頼区間に基づいて計算される。比較のために、天然のTPPリガンドが含まれる。
【0134】
ITCによって検証されるように、TPPリボスイッチに結合した7つの断片は、多様な化学型を有し、ほとんどの断片は、天然のTPPリガンドとの類似性をほとんど有さないか、または全く有さない(表1)。全体的に、ヘテロ芳香族窒素を含有する環が優勢であり、これらが水素結合相互作用に関与している可能性が高い。3つの化合物は、ピリジン環を有しており、2つはピラジン環を有している。アゾール環部分は、2つのチアジアゾールおよび1つのイミダゾールの3つの化合物中に存在している。天然のTPPリガンド中にチアゾール環が存在するが、この部分は、RNAとの結合相互作用に関与しない28、29、33。加えて、多数の識別された断片は、水素結合受容体または供与体として機能し得る一級アミン、エステルおよびエーテル、ならびにフッ素基を含有する。
【0135】
ステップ2:リボスイッチ結合断片の構造-活性関係(SAR)
次に、結合親和性を増加させ、結合を妨げることなく断片ヒットがリンカーで修飾され得る位置を識別することを目的に、初期ヒットのいくつかの類似体を調べた。特に、化合物2および5の類似体は、これら2つの断片が構造的に異なっており、類似体が市販されているため、検討された。ITCによって、類似体-RNA結合を評価した。2の16の類似体を試験した。一方または両方の環窒素を除去することによって、2のコアキノキサリン構造を変化させることにより、結合活性が変化した(表2A)。
【表2A】
【0136】
キノキサリンコアに対する修飾を調べ、解離定数をITCによって得た。
【0137】
結合親和性の改善は、メチレン連結水素結合受容体または供与体の導入によってもたらされた(表2B、化合物16および17)。キノキサリン環コア上の他の位置の置換基を変化させることにより、結合活性が低下した。化合物2は、C-6位置での置換基の修飾時に観察された、高度な柔軟性、および結合のさらなる改善に基づいて、さらなる開発のための良好な候補であった。
【表2B】
【0138】
次に、断片5の18個の類似体を調べたところ、環窒素位置を変更すること、環窒素を付加するもしくは除去することがすべて、結合を低下させるか、または結合を無効にするため、分子のコアピリジン官能性が結合にとって重要であるようであることを示唆していた(表3)。
【表3】
【0139】
環置換基に対する修飾は、一般に、結合活性を著しく消失させた(表4)。唯一の親和性を増加させる類似体は、C-4位置の塩素を特徴としており(S12)、断片5よりもTPPリボスイッチに対して約3倍高い親和性を有する化合物が得られた。
【表4】
【0140】
ステップ3:TPPリボスイッチ上の第2の部位に結合する断片の識別
第2のラウンドのスクリーニングを用いて、化合物2またはS12に予め結合したスクリーニング構築物のTPPリボスイッチ領域に結合した断片を識別した。このスクリーニングは、協働性効果に起因して、または新しい態様の結合が、一次リガンド結合時に生じる構造変化に起因して利用可能になるため、2またはS12が既に結合しているときにTPPリボスイッチと優先的に相互作用する断片を識別した(
図3)。スクリーニングした1,500個の断片のうち、5個は、2またはS12のいずれかと同時に結合することが検証された(表5)。
【表5】
【0141】
1つの第2のスクリーニングヒット29は、SHAPE反応性シグナルにおける非常に安定した変化を誘発し、P1ヘリックスのアンフォールディングを含め、RNA構造のかなりの変化を引き起こすようであった。この断片は、非特異的相互作用と一致するRNAの他の領域の変化を引き起こしたため、この断片は、断片連結の候補としてさらに検討されなかった。断片28は、ITC分析に必要な濃度では不溶性であったため、キノリン環の代わりにピリジンを含有する関連類似体をITCによって調べた(表6)。これらの化合物は、弱い親和性で結合したが、それにもかかわらず、31および32は、2と明確ではあるが弱い結合協働性を示した。
【表6】
*ITC結合曲線にフィッティングすることができないことに起因して、und(決定されない)、不溶性、ITCに必要な濃度で不溶性な化合物。
【表7-1】
【表7-2】
【0142】
ステップ4:協働性および断片連結
2と31との間の協働性結合相互作用をITCによって定量化した。個々に、2は、25μMのK
dで結合し、31は、はるかに高い10mMのK
dで結合した。二次スクリーニングと同様に、断片31の親和性も、2がTPPリボスイッチRNAと予め結合しており、2-RNA複合体を形成する場合に調べた。これらの条件下で、断片31は、約3mMのK
dで2-TPP RNA複合体に結合した(
図4)。この実験はまた、2による結合が飽和している場合、31がTPP RNAに結合することも示しており、このことは、これら2つの断片が同じ位置に結合しないことを暗示している。2および31が、TPP RNAの異なる領域に対してそれぞれ優れた妥当な親和性で結合したため、この2つの断片は、高親和性リガンドを作成することを目的に連結された。
【0143】
断片ヒット2(表2B)および28(表4)のSAR分析に基づいて、17のアミノメチル位置および断片31のピリジン環中の2つの部位に着目して、最も有望なSAR断片の連結した類似体を調製した(
図5)。まず、アミドまたはアミンリンカーとコンジュゲートした断片の親和性を比較した。柔軟性のあるアミンリンカーを有する化合物(化合物36)は、アミン連結した態様よりも5倍高い結合親和性を有していた(化合物35、
図5)。これらの連結は、天然のTPPリガンドのピロホスフェート部分で生じるように
27、28、マグネシウムイオンとキレート化し得るヒドロキサム酸の文脈で導入された
35。しかしながら、アミン連結したヒドロキサム酸化合物36は、親断片17と同様の親和性で結合し、このことは、ヒドロキサム酸部分が、イオンをキレート化することによって追加の結合親和性を付与しないことを示唆している。連結した化合物37は、625nMの親和性で結合し、このことは、正しい近似により、弱い親和性の2つの断片を連結することは、より高いナノモル濃度のバインダーを達成することができることを示している。断片31のエンティティを三級アミンと置き換えると(化合物38)、化合物37と比較して親和性が低下し、このことは、断片31とRNAとの相互作用が、単なる電荷由来の効果より高い効果によって媒介されることを示唆している。最後に、17部分と31部分との連結の長さを変えること(化合物39)、またはピリジン環連結部位によって変えること(化合物40)で、化合物37と比較して親和性が低下する(
図5)。最終的に、個々に結合した化合物をTPPリボスイッチに5.0μM(化合物19)および10mM以上(化合物31)の親和性で連結することによって、625nMのK
dでRNAに結合する化合物(37)を作成した。
【0144】
当業者は、上のステップI~IVが限定することを意味しておらず、単に例示的な実施形態として機能することを理解するであろう。当業者は、上述のステップI~IVを適用して、一緒に連結して、TPPリボスイッチに対して好適な結合親和性を有する本明細書に開示される化合物にすることができる代替の断片を識別することができることが十分に理解されるであろう。さらに、当業者は、上述のステップI~IVを適用して、一緒に連結して、目的の他のRNA分子に結合する本明細書に開示される化合物にすることができる断片を識別することができることが十分に理解されるであろう。
【0145】
D.まとめ、および追加の考慮事項
コード(mRNA)および非コードRNAの両方を潜在的に操作して、細胞調節および疾患の経過を変化させることができるため、構造化RNAの小分子リガンドを識別するための効率的な戦略を開発することが求められた。本明細書に開示される研究は、断片に基づく戦略と融合させたRNAに対するリガンド結合を検出するSHAPEスクリーニング読み出しを使用することの有望性を実証する。ここで、この戦略を使用して、625nMのKdで、天然リガンドとは構造的に無関係なTPPリボスイッチに結合するリガンドを生成した。融合したSHAPEおよび断片に基づくスクリーニングのアプローチは、標的化され得るRNA構造および開発され得るリガンド化学型の両方に対して一般的である。この戦略は、複雑な構造を有するRNAのリガンドを発見するのに十分に適しており、これは、三次元ポケット中で結合するRNAモチーフを識別するのに不可欠であり得る4。加えて、MaPアプローチの使用およびRNAおよびDNAバーコード化の両方による多重化の適用に起因して、1000を超えるメンバーの断片ライブラリをスクリーニングするのに必要な労力は少なめであり、多くの構造的に異なる標的の効率的なスクリーニングを可能にする。
【0146】
得られたリガンドの多くは、同様にTPPリボスイッチについて実施した1回のラウンドのスクリーニングについて既に報告されたものと同様であった15、17。一次スクリーニングにおけるヒットは、より高い親和性の方にわずかに偏っているように思われ、その結果、SHAPEによって検出されたリガンドの大部分が、10~300μMの範囲で結合した。使用されるヒット検出アッセイは、最も緊密な断片バインダー、およびSHAPE反応性において最も実質的な変化を誘発するバインダーの検出の方に偏っている可能性が高い。より低い親和性の断片は、見逃された可能性が高い。この緊密な結合断片に対する偏りが、全体的に利点であると考えられている。上述のスクリーニング基準を満たすために必要な親和性および特異性に達したデングシュードノットに結合した断片は、識別されなかった。デングシュードノットRNAは、高度に構造化されており、ある断片がこの構造を乱す可能性は、低い可能性がある。別の可能性は、この特定のシュードノット構造が、リガンド結合可能なポケットを含有していないかもしれないことである。
【0147】
一次スクリーニングからの断片ヒットがRNAに予め結合され、追加の断片結合パートナーについてスクリーニングされた断片対識別戦略は、具体的には、SHAPEによって得ることができるヌクレオチド当たりの情報を活用し、これを首尾良く使用して、誘発された適合断片対を発見することであった(
図4)。断片に基づくリガンド開発の核となる信条は、2つの断片間の協働性を、近接した結合によって達成することができることと、この相加的な結合を、この協働性の断片を最小限の侵襲性の共有結合性リンカーを用いて一緒に連結することによって利用することができることである
20、21、36、37。一次断片ヒットおよび二次断片ヒットからの連結した化合物37の開発は、断片に基づくリガンド発見が、RNA標的に効率的に適用され得ることを示す。2と31との間には弱い程度の協働性が存在する。化合物31による結合は、2がRNAに予め結合している場合に、3~10倍強かった。これらの2つの断片を連結すると、それらの結合エネルギーの弱い相加性が観察された。37は、625nMの親和性を有していた。おそらくこれらの断片の完璧な位置決めが達成されなかったため、断片2および31を連結する相加効果を超える効果は観察されなかった
36。リンカーの長さまたは幾何形状の小さな変化によって、連結されたリガンドの親和性が大きく変化し(
図5)、このことは、リンカーの正確な位置決めが、2つの断片を最適に配向させるために重要であることを暗示している。化合物37の開発の成功は、断片間の協働性の程度、またはマイクロモル濃度未満のリガンドを効率的に開発するためのこれらを接続する共有結合性リンカーの構築のいずれかにおいて完璧を達成することが必要ではないことを明らかにしている。
【0148】
断片間の協働性を利用して、タンパク質を標的とする緊密に結合するリガンドを得るように設計された多数の取り組みが存在したが、RNAを標的とすることは、その初期段階にある。以前の(タンパク質に焦点を当てた)取り組みと比較して、開示されたSHAPEに基づくスクリーニング戦略が、断片の連結とどの程度うまく組み合わされているかを検討した。その連結係数(E)に従って、断片に基づく戦略を使用して以前に発見された化合物をランク付けし、これは、連結したときに系全体が一緒になってどのように十分に機能するかの尺度である
21、38(
図6、表7で拡張)。正または負の寄与因子が存在しない場合、2つの断片の結合エネルギーは、正確に相加的であり、リンカーは不活性であり、Eは1.0に等しい。協働性効果または好ましいリンカー相互作用は、Eを低下させ、反協働性効果または負のリンカー相互作用は、Eを増加させる。重要なことに、E値は、タンパク質系において、数桁変動し得る。37の連結係数は、2.5であり、学術文献における連結された(タンパク質を標的とする)リガンドの平均をわずかに上回る。37は、タンパク質を標的とする連結された断片リガンドの例と比較して好ましい、結合の自由エネルギーを非水素原子の数で割り算したリガンド効率(LE)を有する(
図6)。これらの評価基準によって、37は、天然TPPリボスイッチリガンドに密接に関連するリガンドTPPcとほぼ同様に十分に機能する
22。したがって、断片に基づくリガンドの発見は、特に、SHAPEを可能にする多重化スクリーニングによって効率的に実装されるように、RNA構造の広大な世界を標的とする固有のリガンドの迅速な開発を可能にする大きな将来性を有している。
【0149】
E.作製する方法
本開示はまた、本明細書に開示される化合物を調製するための任意の方法も対象とする。当業者は、そのような調製方法が変化し得ることを認識するであろう。例えば、いくつかの実施形態では、開示される化合物の調製方法は、
式IVの断片
【化17】
(式中、
X
1、X
2、およびX
3は、独立して、CHR
1、CR
1、ならびにヘテロ原子N、NH、O、およびSから選択され、隣接するX
1、X
2、およびX
3は、同時にOもしくはSであるように選択されず、
破線は、任意選択の二重結合を表し、
Y
1、Y
2、およびY
3は、独立して、CR
2およびNから選択され、
R
1およびR
2は、独立して、-H、-Cl、-Br、-I、-F、-CF
3、-OH、-CN、-NO
2、-NH
2、-NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-COOH、-COO(C
1~C
6アルキル)、-CO(C
1~C
6アルキル)、-O(C
1~C
6アルキル)、-OCO(C
1~C
6アルキル)、-NCO(C
1~C
6アルキル)、-CONHC
1~C
6(アルキル)、および置換もしくは非置換C
1~C
6アルキルから選択され、
nは、整数1および2から選択され、nが1である場合、破線のうちの1つだけが二重結合である)を、
式V-1もしくはV-2の断片
【化18】
(式中、Xは、F、Br、Cl、およびIから選択されるハロゲンであり、
X
4、X
5、X
6、およびX
7は、独立して、CR
3およびNから選択され、
R
3は、-H、-Cl、-Br、-I、-F、-CF
3、-OH、-CN、-NO
2、-NH
2、-NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-COOH、-COO(C
1~C
6アルキル)、-CO(C
1~C
6アルキル)、-O(C
1~C
6アルキル)、-OCO(C
1~C
6アルキル)、-NCO(C
1~C
6アルキル)、-CONHC
1~C
6(アルキル)、および置換もしくは非置換C
1~C
6アルキルから選択され、
mは、1もしくは2であり、
Wは、-Oもしくは-NR
4であり、R
4は、-CO(C
1~C
6アルキル)、置換もしくは非置換C
1~C
6アルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換シクロアルキル、-CO(アリール)、-CO(ヘテロアリール)、および-CO(シクロアルキル)から選択されるから選択される)と、
Pd触媒の存在下で接触させることを含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、Pd触媒は、(DPPF)PdCl2、Pd2(dba)3、PdCl2[P(o-トリル)3]2、Pd(dba)2、およびPd(OAc)2から選択される。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、ホスフィンリガンドをさらに含む。いくつかの実施形態では、ホスフィンリガンドは、単座である。いくつかの実施形態では、ホスフィンリガンドは、二座である。例示的なホスフィンリガンドとしては、限定されないが、DPPF、BINAP、およびrac-BINAPが挙げられる。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、塩基をさらに含む。いくつかの実施形態では、塩基は、無機である。いくつかの実施形態では、塩基は、NaOtBuである。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、無溶媒で(すなわち、溶媒なしで)実施される。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、溶媒存在下で実施される。いくつかの実施形態では、溶媒は、非極性溶媒である。例示的な溶媒としては、限定されないが、トルエン、ベンゼン、ジオキサン、およびテトラヒドロフランが挙げられる。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、高温で実施される。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、または100℃で実施される。
【0151】
いくつかの実施形態では、開示される化合物を調製するための方法は、
式IVの断片
【化19】
を、式VI-1もしくはVI-2の断片
【化20】
(式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
7、Y
1、Y
2、Y
3、n、m、およびWは、上に定義される通りである)と、
還元剤の存在下で接触させることを含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、還元剤は、還元アミノ化化学に適用可能な任意の還元剤であり得る。例示的な還元剤としては、限定されないが、ヒドロホウ素化物および/または水素化アルミニウムが挙げられる。いくつかの実施形態では、還元剤は、ヒドロホウ素化物である。いくつかの実施形態では、還元剤は、水素化ホウ素ナトリウムである。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、無溶媒で実施される。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、溶媒中で実施される。例示的な溶媒としては、限定されないが、アルコール溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)、塩素化溶媒(例えば、ジクロロメタン)、および/またはエーテル溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)が挙げられる。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、室温未満で実施される。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、高温で実施される。
【0153】
いくつかの実施形態では、開示される化合物を調製するための方法は、
式IVの断片
【化21】
を、式VII-1もしくはVII-2の断片
【化22】
(式中、X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
7、Y
1、Y
2、Y
3、n、m、およびWは、上に定義される通りであり、
Gは、-F、-Cl、-Br、-OH、-OCH
3、または-OCH
2CH
3である)と、
塩基の存在下で接触させることを含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、塩基は、有機(ピリジンおよび/またはトリメチルアミン)である。いくつかの実施形態では、塩基は、無機(例えば、炭酸カリウム/ナトリウムおよび/または炭酸水素カリウム/ナトリウム)である。いくつかの実施形態では、本方法は、DCCおよび/またはEDCIなどのカップリング剤をさらに含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、無溶媒で実施される。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、溶媒存在下で実施される。例示的な溶媒としては、限定されないが、THF、DCM、ACNおよび/またはDMSOが挙げられる。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、室温で実施される。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、高温で実施される。
【0155】
F.組成物
本開示の化合物は、薬学的に許容される担体と共に、薬学的組成物に製剤化され得る。
【0156】
本明細書に開示される化合物は、薬学的組成物として標準的な医薬慣行に従って製剤化され得る。この態様によれば、薬学的に許容される希釈剤または担体と関連して、本明細書に開示される化合物を含む薬学的組成物が提供される。
【0157】
典型的な製剤は、本明細書に開示される化合物と、担体、希釈剤、または賦形剤とを混合することによって調製される。好適な担体、希釈剤、および賦形剤は、当業者に周知であり、炭水化物、ワックス、水溶性および/または膨張性ポリマー、親水性または疎水性材料、ゼラチン、油、溶媒、水などの材料が挙げられる。使用される特定の担体、希釈剤または賦形剤は、化合物が適用される手段および目的に依存する。溶媒は、一般に、哺乳動物に投与される、安全である(GRAS)として当業者に認識される溶媒に基づいて選択される。一般に、安全な溶媒は、水および水に可溶性または混和性である他の非毒性溶媒などの非毒性水性溶媒である。好適な水性溶媒としては、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400、PEG300)など、およびこれらの混合物が挙げられる。製剤はまた、薬物(すなわち、本明細書に開示される化合物またはその薬学的組成物)の上品な提示を提供するか、または薬剤製品(すなわち、医薬)の製造を補助するために、1つ以上の緩衝液、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁剤、防腐剤、抗酸化剤、不透明化剤、滑剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、芳香剤、香味剤、および他の既知の添加剤を含み得る。
【0158】
製剤は、従来の溶解および混合手順を使用して調製され得る。例えば、バルク原薬物質(すなわち、本明細書に開示される化合物または化合物の安定化形態(例えば、シクロデキストリン誘導体または他の既知の複合体化剤との複合体))は、上述の賦形剤のうちの1つ以上の存在下で好適な溶媒中に溶解される。化合物は、典型的には、薬物の容易に制御可能な投薬量を提供し、処方されたレジメンに対する患者のコンプライアンスを可能にするために、薬学的剤形に製剤化される。
【0159】
適用のための薬学的組成物(または製剤)は、薬物を投与するために使用される方法に応じて、様々な様式で包装され得る。一般に、分配のための物品は、医薬製剤を適切な形態でその中に堆積させた容器を含む。好適な容器は、当業者に周知であり、ボトル(プラスチックおよびガラス)、小袋、アンプル、プラスチックバッグ、金属シリンダなどの材料を含む。容器はまた、パッケージの内容物への不注意なアクセスを防止するための不正開封防止アセンブリを含んでもよい。加えて、容器には、容器の内容物を記載したラベルが貼られている。ラベルは、適切な警告も含んでいてもよい。
【0160】
薬学的製剤は、様々な経路および種類の投与のために調製されてもよい。例えば、所望の純度を有する本明細書に開示される化合物は、凍結乾燥製剤、粉砕された粉末、または水溶液の形態で、薬学的に許容される希釈剤、担体、賦形剤、または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences(1980)16th edition,Osol,A.Ed.)と任意選択で混合されてもよい。製剤化は、適切なpHで、所望の純度で、周囲温度で、生理学的に許容される担体(すなわち、使用される投薬量および濃度でレシピエントに対して非毒性である担体)と混合することによって実施され得る。製剤のpHは、主に特定の使用および化合物の濃度に依存するが、約3~約8の範囲であってもよい。pH5の酢酸緩衝液中の製剤は、好適な実施形態である。
【0161】
化合物は、滅菌され得る。特に、インビボ投与に使用される製剤は、滅菌されているべきである。このような滅菌は、滅菌濾過膜を通して濾過することによって容易に達成される。
【0162】
化合物は、通常、固体組成物、凍結乾燥製剤として、または水溶液として保存することができる。
【0163】
本明細書に開示される化合物を含む薬学的組成物は、良好な医療行為と一致する様式、すなわち、量、濃度、スケジュール、経路、ビヒクル、および投与経路で製剤化され、投薬され、投与され得る。この文脈で考慮される因子としては、治療される特定の障害、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、および医師に既知の他の因子が挙げられる。投与される化合物の「治療有効量」は、そのような考慮事項によって管理され、凝固因子媒介性障害を予防するか、改善するか、または治療するために必要な最小量である。かかる量は、好ましくは、宿主に対して毒性であるか、または宿主が顕著に出血しやすくなる量を下回る。
【0164】
許容される希釈剤、担体、賦形剤、および安定剤は、使用される投薬量および濃度ではレシピエントに対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸を含む緩衝液、アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化物質、防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール、メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、およびm-クレゾール)、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸、単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物、EDTAなどのキレート化剤、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖類、ナトリウムなどの塩形成対イオン、金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体)、ならびに/またはTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。活性医薬成分はまた、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)に、またはマクロエマルションに、例えば、コアセルベーション技術により、または界面重合により調製されたマイクロエマルション、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセルに封入されてもよい。そのような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0165】
化合物の徐放性調製物を調製してもよい。徐放性調製物の好適な例としては、本明細書に開示される化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透明性マトリックスが挙げられ、マトリックスは、成形物品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸およびガンマ-エチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性ビニレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えば、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドから構成される注射可能なミクロスフェア)、ならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
【0166】
製剤には、本明細書に詳述される投与経路に好適なものが含まれる。製剤は、簡便には、単位剤形で提示されてもよく、薬学の分野で周知の方法のいずれかによって調製され得る。技術および製剤は、一般に、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.)に見出される。そのような方法としては、活性成分を、1つ以上の付属成分を構成する担体と会合させるステップが挙げられる。一般に、製剤は、活性成分を、液体担体または微細に分割された固体担体、またはその両方と均一かつ密接に会合させ、次いで必要に応じて、製品を成形することによって調製される。
【0167】
経口投与に好適な本明細書に開示される化合物の製剤は、各々が所定量の化合物を含有する丸薬、カプセル、カシェ剤、または錠剤などの個別の単位として調製され得る。
【0168】
圧縮錠剤は、任意選択でバインダー、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、表面活性剤または分散剤と混合した、粉末または顆粒などの自由に流動する形態で活性成分を好適な機械で圧縮することによって調製され得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状活性成分の混合物を好適な機械で成形することによって作製され得る。錠剤は、任意選択で、コーティングされてもよく、または分割錠化されてもよく、任意選択で、その錠剤から活性成分をゆっくりとした放出、または制御放出を提供するように製剤化される。
【0169】
錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、エマルション、ハードカプセルまたはソフトカプセル、例えば、ゼラチンカプセル、シロップ、またはエリキシル剤は、経口使用のために調製され得る。経口使用を意図した本明細書に開示される化合物の製剤は、薬学的組成物の製造のための当該技術分野に既知の任意の方法に従って調製されてもよく、かかる組成物は、口当たりの良い調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤、および保存剤を含む1つ以上の薬剤を含有し得る。錠剤の製造に適した、非毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物中に活性成分を含有する錠剤は許容される。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウムもしくはナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムもしくはナトリウム、造粒剤および崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、もしくはアルギン酸、結合剤、例えば、デンプン、ゼラチンもしくはアカシア、および潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸もしくはタルクであり得る。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、またはマイクロカプセル化を含む既知の技術によってコーティングされ、胃腸管内の崩壊および吸着を遅延させ、それによって、より長い期間にわたって持続的な作用を提供してもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルのような時間遅延材料を、単独で、またはワックスと共に用いてもよい。
【0170】
眼または他の外部組織、例えば、口および皮膚の治療のために、製剤は、例えば、0.075~20重量%/重量%の量で、活性成分を含有する局所軟膏またはクリームとして適用されてもよい。軟膏で製剤化される場合、活性成分は、パラフィンまたは水混和性軟膏基剤のいずれかと共に用いられ得る。代替的に、活性成分は、水中油性クリーム基剤を有するクリームで製剤化されてもよい。
【0171】
所望な場合、クリーム基剤の水相は、多価アルコール、すなわち、プロピレングリコール、ブタン1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG400を含む)などの2個以上のヒドロキシル基を有するアルコール、ならびにそれらの混合物を含み得る。局所製剤は、皮膚または他の患部を通る活性成分の吸収または浸透を増強する化合物を含むことが望ましい場合がある。かかる皮膚浸透増強剤の例としては、ジメチルスルホキシドおよび関連する類似体が挙げられる。
【0172】
エマルションの油性相は、公知の方法で公知の成分から構成され得る。相は、乳化剤のみを含んでもよいが、少なくとも1つの乳化剤と脂肪もしくは油、または脂肪と油の両方の混合物を含んでもよい。親油性乳化剤と共に含まれる親水性乳化剤は、安定剤として機能し得る。合わせて、安定剤の有無にかかわらず、乳化剤は、いわゆる乳化ワックスを構成し、ワックスは、油および脂肪と共に、クリーム製剤の油性分散相を形成するいわゆる乳化軟膏基剤を構成する。製剤に使用するのに好適な乳化剤および乳剤安定剤としては、Tween(登録商標)60、Span(登録商標)80、セトステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリルおよびラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0173】
化合物の水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に好適な賦形剤との混合物中に活性材料を含有する。かかる賦形剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロース、ポビドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴムなどの懸濁剤、ならびに分散剤または湿潤剤、例えば、天然に存在するホスファチド(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸に由来する部分エステルおよびヘキシトール無水物との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が挙げられる。水性懸濁液はまた、1つ以上の防腐剤、例えば、エチルまたはn-プロピルp-ヒドロキシベンゾエート、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤、および1つ以上の甘味剤、例えば、スクロースまたはサッカリンを含有してもよい。
【0174】
化合物の薬学的組成物は、滅菌注射用水性または油性懸濁液などの滅菌注射用調製物の形態であってもよい。この懸濁液は、上述したこれらの好適な分散剤または湿潤剤ならびに懸濁剤を使用して、既知の技術に従って製剤化され得る。滅菌注射用調製物はまた、1,3-ブタンジオールなどの非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液であってもよい。滅菌注射用調製物はまた、凍結乾燥粉末として調製され得る。使用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル溶液および等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌固定油は、溶媒または懸濁媒体として慣例的に用いられ得る。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意のブランドの固定油が、用いられ得る。加えて、オレイン酸などの脂肪酸も同様に注射剤の調製に使用され得る。
【0175】
単一の剤形を生成するために担体材料と組み合わせてもよい活性成分の量は、治療される宿主および特定の投与様式に応じて変化する。例えば、ヒトへの経口投与を意図する時間放出型製剤は、全組成物の約5~約95%(重量:重量)まで変動し得る適切かつ簡便な量の担体材料と混合した約1~1000mgの活性材料を含有し得る。薬学的組成物は、投与のために容易に測定可能な量を提供するように調製され得る。例えば、静脈内注入を目的とした水溶液は、約10mL/時間~約50mL/時間の速度での好適な体積の注入が生じ得るように、溶液1ミリリットル当たり約1~500μgの活性成分を含有し得る。
【0176】
非経口投与に好適な製剤としては、抗酸化剤、緩衝液、バクテリオスタット、および製剤を意図されるレシピエントの血液と等張性にする溶質を含有し得る水性および非水性の滅菌注射溶液、ならびに懸濁剤および増粘剤を含み得る水性および非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。
【0177】
眼への局所投与に好適な製剤には、活性成分が好適な担体、特に活性成分のための水性溶媒に溶解または懸濁される点眼剤も含まれる。活性成分は、好ましくは、そのような製剤中に、約0.5~20重量/重量%、例えば、約0.5~10重量/重量%、例えば、約1.5重量/重量%の濃度で存在する。
【0178】
口腔内の局所投与に好適な製剤としては、香味ベースの通常はスクロースおよびアカシアもしくはトラガカント中に活性成分を含むロゼンジ錠、不活性ベースで例えばゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシア中に活性成分を含む香錠、ならびに好適な液体担体中に活性成分を含むマウスウォッシュが挙げられる。
【0179】
直腸投与のための製剤は、例えば、カカオバターまたはサリチレートを含む好適な塩基を有する座薬として提示されてもよい。
【0180】
肺内投与または経鼻投与に好適な製剤は、例えば、0.1~500ミクロンの範囲の粒径(0.5、1、30ミクロン、35ミクロンなどのミクロンずつ増分した0.1~500ミクロンの範囲の粒径を含む)を有し、経鼻経路を通しての急速な吸入によって、または肺胞嚢に到達するように、口腔を通しての吸入によって投与される。好適な製剤としては、活性成分の水溶液または油性溶液が挙げられる。エアロゾルまたは乾燥粉末投与に好適な製剤は、従来の方法に従って調製されてもよく、以下に記載される治療または予防障害においてこれまで使用されてきた化合物などの他の治療剤と共に送達され得る。
【0181】
膣投与に好適な製剤は、活性成分に加えて、適切であることが当該技術分野で知られているような担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー製剤として提示され得る。
【0182】
製剤は、単位用量または複数用量の容器、例えば、密封されたアンプルおよびバイアルに包装されてもよく、使用直前に注射するために滅菌液体担体、例えば、水の添加のみを必要とする凍結させて乾燥した(凍結乾燥した)状態で保存されてもよい。即時注射溶液および懸濁液は、前述の種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製される。好ましい単位投薬量製剤は、活性成分の1日用量または1日単位の部分用量(本明細書で上に列挙される)、またはその適切な部分を含有する製剤である。
【0183】
本主題はさらに、獣医用担体と共に上で定義した少なくとも1つの活性成分を含む獣医用組成物を提供する。獣医用担体は、組成物を投与する目的で有用な材料であり、別の方法で不活性であるか、または獣医技術分野で許容され、活性成分と適合性である固体、液体、または気体材料であり得る。これらの獣医用組成物は、非経口で、経口で、または任意の他の所望の経路によって投与され得る。
【0184】
特定の実施形態では、本開示の化合物を含む薬学的組成物は、化学療法剤をさらに含む。これらの実施形態のうちのいくつかでは、化学療法剤は、免疫療法剤である。
【0185】
G.治療する方法
本明細書に開示される化合物および組成物は、RNA発現および/もしくは機能の機能障害、またはmRNAから産生されるタンパク質の発現および/もしくは機能、または小分子を使用してRNAの立体配座を切り替える有用な役割、または感染性生物の成長を阻害する方法としてリボスイッチの天然の機能を変化させることに関連するとして識別された種々の疾患および/または障害を治療するための方法でも使用することができる。したがって、本開示の方法は、RNA発現および/もしくは機能の機能障害に関連する疾患もしくは障害を治療すること、または新しい切り替え可能な治療薬を作成することを対象とする。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2018/010146号を参照されたい。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される疾患もしくは障害(例えば、RNA発現および/もしくは機能の機能障害に関連する)を治療するための方法は、それを必要とする対象に、本明細書に開示される治療有効量の化合物および/または組成物の用量を投与することを含む。
【0186】
RNA発現の機能障害は、1つ以上のRNA分子の過剰発現または過小発現を特徴とする。いくつかの実施形態では、1つ以上のRNA分子は、治療される疾患および/または障害を促進することに関連している。いくつかの実施形態では、RNA分子は、健康な細胞の機構の一部であることを特徴とし、したがって、治療される疾患および/または障害を予防および/または改善する。いくつかの実施形態では、治療される疾患または障害は、転写、プロセシング、および/または翻訳に関連するRNA機能の機能障害と関連する。いくつかの実施形態では、治療される疾患または障害は、機能障害のRNA分子機能の結果としてのタンパク質の不正確な発現と関連する。いくつかの実施形態では、治療される疾患または障害は、遺伝子発現に関連するRNA機能の機能障害と関連する。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、分子をmRNAに結合させることによってタンパク質発現を低下させることが所望される疾患または障害である。いくつかの実施形態では、疾患は、小分子を使用してオンまたはオフに切り替えることができる療法によって有利に治療される。例えば、いくつかの実施形態では、疾患または障害は、治療遺伝子の発現をオンまたはオフに切り替える能力を有することが所望される遺伝性疾患である。
【0187】
治療される疾患または障害としては、限定されないが、変性障害、がん、糖尿病、自己免疫障害、心血管障害、凝固障害、眼の疾患、感染性疾患、および1つ以上の遺伝子の変異によって引き起こされる疾患が挙げられる。
【0188】
例示的な変性疾患としては、限定されないが、アルツハイマー病(AD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS、ルー・ゲーリック病)、がん、シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)、慢性外傷性脳症、嚢胞性線維症、いくつかのシトクロムcオキシダーゼ欠乏症(多くの場合に変性リー症候群の原因)、エーラス・ダンロス症候群、進行性骨化性線維異形成症、フリードライヒ運動失調症、前頭側頭型認知症(FTD)、いくつかの心血管疾患(例えば、冠動脈疾患、大動脈弁狭窄症などのアテローム性動脈硬化症)、ハンチントン病、乳児神経軸索ジストロフィー、円錐角膜(KC)、球状角膜、白質ジストロフィー、黄斑変性(AMD)、マルファン症候群(MFS)、いくつかのミトコンドリア筋症、ミトコンドリアDNA枯渇症候群、多発性硬化症(MS)、多系統萎縮症、筋ジストロフィー(MD)、神経セロイドリポフスチン症、ニーマン・ピック病、変形性関節症、骨粗鬆症、パーキンソン病、肺動脈性肺高血圧症、すべてのプリオン病(クロイツフェルト・ヤコブ病、致死性家族性不眠症など)、進行性核上性麻痺、網膜色素変性症(RP)、関節リウマチ、サンドホフ病、脊髄性筋萎縮症(SMA、運動ニューロン疾患)、亜急性硬化性全脳炎、テイ・サックス病、および血管性認知症(それ自体が神経変性ではないが、多くの場合、変性性認知症の他の形態と一緒に現れる)が挙げられる。
【0189】
例示的ながんとしては、限定されないが、あらゆる形態のがん腫、黒色腫、芽細胞腫、肉腫、リンパ腫および白血病が挙げられ、限定されないが、膀胱がん、膀胱がん腫、脳腫瘍、乳がん、子宮頸がん、結腸直腸がん、食道がん、子宮内膜がん、肝細胞がん、喉頭がん、肺がん、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、腎臓がんおよび甲状腺がん、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、上衣腫、ユーイング肉腫、膠芽腫、髄芽腫、神経芽腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、ラブドイドがん、および腎芽腫(ウィルムス腫瘍)が挙げられる。
【0190】
例示的な自己免疫障害としては、限定されないが、成人スティル病、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、アミロイドーシス、強直性脊椎炎、抗GBM/抗TBM腎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性血管性浮腫、自己免疫性自立神経失調症、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性心筋炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性睾丸炎、自己免疫性膵炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性蕁麻疹、軸索神経ニューロパチー(AMAN)、バロ病、ベーチェット病、良性粘膜類天疱瘡、水疱性類天疱瘡、キャッスルマン病(CD)、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)、慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)、チャーグ・ストラウス症候群(CSS)または好酸球性肉芽腫症(EGPA)、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、先天性心臓ブロック、コクサッキー心筋炎、CREST症候群、クローン病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、デビック病(視神経脊髄炎)、円板状ループス、ドレスラー症候群、子宮内膜症、好酸球性食道炎(EoE)、好酸球性筋膜炎、結節性紅斑、本態性混合性クリオグロブリン血症、エバンス症候群、線維筋痛症、線維化性肺胞炎、巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)、巨細胞性心筋炎、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、多発血管炎性肉芽腫症、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、溶血性貧血、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(HSP)、妊娠性疱疹または妊娠性類天疱瘡(PG)、化膿性汗腺炎(HS)(反対型ざ瘡)、低ガンマグロブリン血症、IgA腎症、IgG4関連硬化性疾患、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、封入体筋炎(IBM)、間質性膀胱炎(IC)、若年性関節炎、若年性糖尿病(1型糖尿病)、若年性筋炎(JM)、川崎病、ランバート・イートン症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、木質結膜炎、線状IgA病(LAD)、ループス、慢性ライム病、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、混合性結合組織病(MCTD)、モーレン潰瘍、ムッカ・ハーベルマン病、多巣性運動ニューロパチー(MMN)またはMMNCB、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、新生児ループス、視神経脊髄炎、好中球減少症、眼類瘢痕性類天疱瘡、視神経炎、回帰性リウマチ(PR)、PANDAS、腫瘍随伴性小脳変性症(PCD)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、パリーロンバーグ症候群、扁平部炎(末梢ぶどう膜炎)、パーソネイジ・ターナー症候群、天疱瘡、末梢ニューロパチー、静脈周囲性脳脊髄炎、悪性貧血(PA)、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、多腺性症候群I、II、III型、リウマチ性多発筋痛症、多発性筋炎、心筋梗塞後症候群、心膜切開後症候群、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎、プロゲステロン皮膚炎、乾癬、乾癬性関節炎、赤芽球癆(PRCA)、壊疽性膿皮症、レイノー現象、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、再発性多発軟骨炎、レストレスレッグス症候群(RLS)、後腹膜線維症、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、シュミット症候群、強皮症、シェーグレン症候群、自己免疫性精子精巣形成障害、スティッフパーソン症候群(SPS)、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、サザック症候群、交感性眼炎(SO)、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、血小板減少性紫斑病(TTP)、トロサ・ハント症候群(THS)、横断性脊髄炎、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎(UC)、未分化結合組織病(UCTD)、ぶどう膜炎、血管炎、白斑、およびフォークト・小柳・原田病が挙げられる。
【0191】
例示的な心血管障害としては、限定されないが、冠動脈疾患(CAD)、狭心症、心筋梗塞、卒中、心臓発作、心不全、高血圧性心疾患、リウマチ性心疾患(theumatic heart disease)、心筋症、異常な心調律、先天性心疾患、心臓弁膜症、心臓炎、大動脈瘤、末梢動脈疾患、血栓塞栓性疾患、および静脈血栓塞栓症が挙げられる。
【0192】
例示的な凝固障害としては、限定されないが、血友病、フォン・ヴィレブランド病、播種性血管内凝固、肝疾患、循環抗凝血素の過剰発生、ビタミンK欠乏症、血小板機能障害、および他の凝固不全が挙げられる。
【0193】
例示的な眼の疾患としては、限定されないが、黄斑変性、眼球突出、白内障、CMV網膜炎、糖尿病黄斑浮腫、緑内障、円錐角膜、高眼圧症、眼性片頭痛、網膜芽細胞腫、結膜下出血、翼状片、角膜炎、ドライアイ、および角膜剥離が挙げられる。
【0194】
例示的な感染性疾患としては、限定されないが、急性弛緩性脊髄炎(AFM)、アナプラズマ病、炭疽、バベシア症、ボツリヌス症、ブルセラ症、カンピロバクター症、カルバペネム耐性感染(CRE/CRPA)、軟性下疳、チクングニアウイルス感染(チクングニア)、クラミジア、シガテラ(有毒な藻類ブルーム(HAB))、Clostridium Difficile感染、Clostridium Perfringens(イプシロン毒素)、コクシジオイデス真菌感染(バレー熱)、COVID-19(コロナウイルス病2019)、クロイツフェルト・ヤコブ病、伝達性海綿状脳症(CJD)、クリプトスポリジウム症(クリプト)、サイクロスポラ症、デング1,2,3,4(デング熱)、ジフテリア、E.coli感染、志賀毒素産生(STEC)、東部馬脳炎(EEE)、エボラ出血熱(Ebola)、エールリヒア症、脳炎、アルボウイルスまたは傍感染性、エンテロウイルス感染、非ポリオ(非ポリオエンテロウイルス)、エンテロウイルス感染、D68(EV-D68)、ジアルジア症(ジアルジア)、鼻疽、淋菌感染(淋病)、鼠径部肉芽腫、ヘモフィルスインフルエンザ感染症、B型(HibまたはH-flu)、ハンタウイルス肺症候群(HPS)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、A型肝炎(Hep A)、B型肝炎(Hep B)、C型肝炎(Hep C)、D型肝炎(Hep D)、E型肝炎(Hep E)、ヘルペス、帯状疱疹、水痘VZV(帯状疱疹)、ヒストプラスマ感染(ヒストプラスマ症)、ヒト免疫不全ウイルス/AIDS(HIV/AIDS)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、インフルエンザ(Flu)、鉛中毒、レジオネラ症(レジオネラ病)、レプロシー(ハンセン病)、レプトスピラ症、リステリア症(リステリア)、ライム病、Lymphogranuloma venereum感染(LGV)、マラリア、麻疹、類鼻疽、髄膜炎、ウイルス性(髄膜炎、ウイルス性)、髄膜炎菌感染症、細菌性(髄膜炎、細菌性)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、ムンプス、ノロウイルス、麻痺性貝毒中毒(麻痺性貝毒中毒、シガテラ)、シラミ寄生症(シラミ、頭部および身体のシラミ)、骨盤内炎症性疾患(PID)、百日咳(Pertussis(Whooping Cough))ペスト、腺、敗血性、肺(ペスト)、肺炎球菌感染症(肺炎)、灰白髄炎(ポリオ)、ポワサン、オウム病(オウム熱)、乾癬(毛ジラミ、陰部シラミ感染)、膿疱性乾癬(天然痘、サル痘、牛痘)、Q熱、狂犬病、リシン中毒、リケッチア症(ロッキー山紅斑熱)、風疹、先天性を含む(三日はしか)、サルモネラ胃腸炎(サルモネラ)、疥癬感染(疥癬)、スコンブロイド、敗血症性ショック(敗血症)、重症急性呼吸器症候群(SARS)、細菌性赤痢胃腸炎(赤痢菌)、天然痘、黄色ブドウ球菌感染、メチシリン耐性(MRSA)、黄色ブドウ球菌食中毒、エンテロトキシン-B中毒(黄色ブドウ球菌食中毒)、黄色ブドウ球菌感染、バンコマイシン中間耐性(VISA)、黄色ブドウ球菌感染、バンコマイシン耐性(VRSA)、レンサ球菌感染症、A群(侵襲性)(Strep A(侵襲性))、レンサ球菌感染症、B群(Strep-B)、レンサ球菌毒素性ショック症候群、STSS、毒素性ショック(STSS、TSS)、梅毒(第1期、第2期、早期潜伏、後期潜伏、先天性)、破傷風感染、破傷風(開口障害)、トリコモナス症(トリコモナス感染)、トリコノシス感染(トリヒナ症)、結核(TB)、結核(潜在性)(LTBI)、野兎病(野兎熱)、チフス熱(D群)、チフス、膣炎、細菌性(酵母感染)、ベイピング関連肺傷害(電子タバコ関連肺傷害)、水痘感染症(Chickenpox)、Vibrio cholerae(コレラ)、ビブリオ感染症(ビブリオ)、ウイルス性出血熱(エボラ、ラッサ、マールブルグ)、ウエストナイルウイルス、黄熱、エルシニア感染症(エルシニア)、およびジカウイルス感染(ジカ)が挙げられる。
【実施例】
【0195】
実施例1:RNAの構築物設計および調製
多種多様な1つ以上の内部標的RNAモチーフの組み込みを可能にするように、スクリーニング構築物を設計した。以下の2つのモチーフが構築物中に存在した。TPPリボスイッチドメイン
27、およびデングウイルスの5’-UTRからのシュードノット
26。構造カセットと、RNAバーコードヘリックスと、2つの試験RNA構造(6ヌクレオチドリンカーによって分離された)とを含む、完全な構築物配列のための設計を、RNA構造を使用して評価した
39。2つの試験構造が相互作用する可能性を減少させるために、天然の折り畳みを保持しつつ、RNA構造によって予想される誤って折り畳まれた構造を阻止するために、少数の配列変化を作製した(
図7)。最終構築物の構造を、SHAPE-MaPによって確認した。
【0196】
RNAバーコードを、自己を含むヘアピンへと折り畳まれるように設計した(
図7)。RNAバーコードのすべての可能な置き換えを計算し、全構築配列の観点で折り畳み、RNA構築物の別の部分と相互作用する可能性を有していた任意のバーコードを、このセットから除去した。バーコード化された構築物を、「リガンドなし」プロトコルを使用して、SHAPE-MaPによってプロービングし、SHAPE反応性の拘束を有するRNA構造を使用して折り畳み、バーコードヘリックスが、所望な自己を含むヘアピンへと折り畳まれることを確認した。
【0197】
RNAの調製
インビトロ転写のためのDNAテンプレート(Integrated DNA Technologies)は、標的構築物配列(デングシュードノット配列、一本鎖リンカー、およびTPPリボスイッチ配列を含有する)および隣接する構造カセット
25をコードした。
【数4】
プライマー結合部位は、下線が引かれている。固有のRNAバーコードおよびT7プロモーター配列を含有する順方向PCRプライマーを使用して、個々のPCR反応において、96個の構築物各々にRNAバーコードを個々に付加した。太字のバーコードヌクレオチドと、下線が引かれているプライマー結合部位とを有する、試料の順方向プライマー配列は、
【数5】
である。
【0198】
200μMのdNTPミックス(New England Biolabs)、500nMの順方向プライマー、500nMの逆方向プライマー、1ngのDNAテンプレート、20%(v/v)のQ5反応緩衝液、および0.02U/μLのQ5ホットスタート高忠実度ポリメラーゼ(New England Biolabs)を使用したPCRによってDNAを増幅させ、インビトロ転写のためのテンプレートを作成した。DNAを精製し、(PureLink Pro 96 PCR Purification Kit、Invitrogen)、Tecan Infinite M1000 Proマイクロプレートリーダで定量化した(Quant-iT dsDNA高感度アッセイキット、Invitrogen)。
【0199】
インビトロ転写を、各ウェルが100μLの総反応体積を含有する96ウェルプレートフォーマットで実施した。各ウェルは、25mMのMgCl2、40mMのTris(pH8.0)、2.5mMのスペルミジン、0.01%のTriton、10mMのDTT、および200~800nMの固有にバーコード化されたDNAテンプレート(PCRによって生成された)中、5mMのNTP(New England Biolabs)、0.02U/μLの無機ピロホスファターゼ(酵母、New England Biolabs)、0.05mg/mLのT7ポリメラーゼを含有していた。反応物を37℃で4時間インキュベートし、次いで、TurboDNase(RNaseを含まない、Invitrogen)で、最終濃度0.04U/μLで処理し、37℃で30分間インキュベートし、その後、第2のDNaseを総最終濃度が0.08U/μLになるまで添加し、さらに37℃で30分間インキュベートした。EDTAを最終濃度が50mMになるまで添加することによって酵素反応を停止させ、氷上に置いた。RNAを、96ウェルフォーマットで精製し(Agencourt RNAclean XP磁気ビーズ、Beckman Coulter)、10mMのTris(pH8.0)、1mMのEDTAに再懸濁させた。RNA濃度を、Tecan Infinite M1000 Proマイクロプレートリーダで定量化し(Quant-iT RNA広範囲アッセイキット、Invitrogen)、各ウェル中のRNAを、個々に1pmol/μLまで希釈した。RNAを-80℃で保管した。
【0200】
実施例2:小分子断片の化学修飾およびスクリーニング
それらのRo3多様性断片ライブラリのサブセットであり、50mMでDMSOに溶解した1500個の化合物を含有する、Maybridgeからの断片スクリーニングライブラリとして、断片を得た。これらの化合物の大部分は、300Da未満の分子質量を有する、3個以下の水素結合供与体および3個以下の水素結合受容体を含有する、ならびにClogP≦3.0という断片化合物についての「3つのルール」を忠実に守っていた。実施例5に列挙されている化合物を除き、ITCに使用されるすべての化合物は、Millipore-Sigmaから購入され、さらに精製することなく使用された。スクリーニング実験は、8チャネル空気入れ替えピペッティングアームと、使い捨てフィルタチップと、ロボットマニピュレータアームとEchoTherm RIC20遠隔制御加熱/冷却乾燥浴(Torrey Pines Scientific)を取り付けたTecan Freedom Evo-150液体ハンドラ上で、96ウェルプレートフォーマット中、25μLで実施した。スクリーニングに使用される液体ハンドラのプログラムは、要求に応じて利用可能である。
【0201】
第1の断片-リガンドスクリーニングについて、ウェル当たり5pmolのRNAを、4℃の冷却ブロック上で、RNaseを含まない水中19.6μLまで希釈した。プレートを95℃で2分間加熱し、直後に4℃で5分間、迅速冷却した。各ウェルに、19.6μLの2倍の折り畳み緩衝液(最終濃度50mM HEPES pH8.0、200mM 酢酸カリウム、および10mM MgCl2)を加え、プレートを37℃で30分間インキュベートした。第2の断片-リガンドスクリーニングについて、ウェル当たり24.3μLの折り畳まれたRNAを、DMSO中の2.7μLの一次結合断片に最終濃度が断片のKdの10倍になるまで加え、試料を37℃で10分間インキュベートした。標的RNAを断片と組み合わせるために、24.3μLのRNA溶液またはRNAと一次結合断片を、2.7μLの10倍のスクリーニング断片を含有するウェルに加えた(DMSO中で、最終断片濃度1mMが得られる)。溶液をピペッティングにより十分に混合し、37℃で10分間インキュベートした。SHAPEプロービングについて、スクリーニングプレートの各ウェルからの22.5μLのRNA断片溶液を、37℃の加熱ブロック上で、2.5μLのDMSO中の10倍SHAPE試薬に加え、ピペッティングによって迅速に混合し、SHAPE試薬とRNAの均一な分布を達成した。適切な反応時間後、試料を氷上に置いた。第1の断片スクリーニングについて、1-メチル-7-ニトロイサト酸無水物(1M7)を10mMの最終濃度でSHAPE試薬として使用して、5分間反応させた。第2の断片スクリーニングについて、5-ニトロイサト酸無水物(5NIA)40を25mMの最終濃度でSHAPE試薬として使用して、15分間反応させた。過剰な断片、溶媒、および加水分解したSHAPE試薬を、AutoScreen-A 96-Well Plates(GE Healthcare Life Sciences)を使用して除去し、96ウェルプレートの各ウェルからの5μLの修飾RNAを、配列決定ライブラリ調製のために、プレートごとに単一の試料にプールした。
【0202】
各スクリーニングは、19個の断片試験プレートと、陽性(断片2、最終濃度1mM)および陰性(溶媒、DMSO)対照の分布を含有する2つのプレートと、SHAPE試薬の代わりに溶媒(DMSO)で処理された1つの陰性SHAPE対照プレートとからなっていた。ヒット検証実験について、各ヒット断片のウェル位置を変更して、ウェル位置およびRNAバーコード効果を制御した。一次スクリーニングと二次スクリーニングの両方についてのプレートマップも同様に利用可能であった。
【0203】
試験断片のスクリーニングが完了したら、統計検定を行い、所与のヌクレオチドの修飾率の差を識別する。具体的には、スクリーニング分析は、断片の存在下での所与のヌクレオチドの修飾率を、断片の非存在下と比較して、統計的に比較することを必要とする。各ヌクレオチドについて、所与の反応物における修飾の数は、既知の分散を有するPoissonプロセスであり、したがって、2つの試料間の修飾率の観察された差の統計的有意性は、Comparison of Two Poisson Counts検定
31を実行することによって確認することができる。すなわち、試験したヌクレオチドのm
1修飾を試料1のn
1リードの中でカウントし、m
2修飾を試料2のn
2リードの中でカウントする場合、試験されたヌル仮説は、すべてのカウントされた修飾(m
1+m
2)の中で、試料1における修飾の割合が、p
1=n
1/(n
1+n
2)であることを予測する。この仮説のZ検定は、
【数6】
【数7】
である。
【0204】
Z値が、指定された有意性閾値を超える場合、試験されたヌクレオチドは、試験断片の存在によって統計的に有意に影響を受けると解釈される。
【0205】
次に、各断片について、Z検定は、偽陽性の確率が増加する、RNA配列を含む多数のヌクレオチドに対して行われる必要がある。ヌクレオチド当たりのSHAPE反応性の偽陽性の割り当て数は、Z有意性閾値を上げることによって最小限に抑えることができるが、このアプローチは、スクリーニングの感度を低下させる(より弱い結合リガンドを検出する能力を低下させることを意味する)。実施されるZ検定の数を減らすために、このような検定を、RNAスクリーニング構築物中のすべてのヌクレオチドではなく、目的の領域中のヌクレオチドにのみ適用した。RNAのデングモチーフについて、目的の領域は、位置59~110であった。TPPモチーフについて、目的の領域は、位置100~199であった。両方の試料において低い修飾率を有するヌクレオチドを省くことによって、Z検定の数をさらに減らした。ヌクレオチドが低い修飾率を有するとみなすための閾値を、所与のプレートのすべての96ウェル中のすべてのヌクレオチドにわたって計算したプレート平均修飾率の25%に設定した。Z検定は、2つの比較された試料のうちの少なくとも1つにおいて、この25%の閾値を超える修飾率を有するヌクレオチドに対してのみ実施された。
【0206】
理想的には、2つの比較された試料における条件間の唯一の差は、一方の試料には断片が存在するが、他方には存在しないことであろう。陰性対照試料を互いに対して試験することを利用して、ヌクレオチド修飾率の試料間変動を導入し得る制御できない因子の発生率を判断することができる。例えば、Z有意性閾値を2.7に設定した場合、任意のそのような因子が存在しない場合、陰性対照(断片なし)試料の対に適用されるZ検定は、理論的には、確率P=0.0035で異なる反応性のヌクレオチドを識別するはずである。しかし、一次スクリーニングで試験した587個の陰性対照試料からランダムに選択した陰性対照試料の対にZ検定を適用すると、実際の確率はP=0.32であり、90倍高かった。したがって、個々のヌクレオチドにおいて、断片の非存在下でのSHAPE反応性に統計的に有意な変動があった。
【0207】
大部分の複製物は、本質的に同じプロファイルを共有していたが、異なるプロファイルを有する複製物が相当数存在した。いくつかの決定係数は、0.85と低かった。Z検定を異なる陰性対照試料に適用すると、多数の場合が生成され、ヌクレオチドが、反応性に差があると誤って分類された。この結果を回避するために、各試料を、最も相関性の高い5つの陰性対照試料と比較した。Z有意性閾値が2.7の陰性対照のこのような選択的な対に適用されるZ検定は、確率P=0.067で異なる反応性のヌクレオチドを識別した。
【0208】
この確率は、理論上のP=0.0035より約20倍高く、このことは、試料処理に変動があることを示している。この変動のいくつかは、試料中のすべてのRNAのすべてのヌクレオチドの反応性にわたって等しいスケールで存在する。この変動は、より反応性の低い試料中の全体的な反応性と一致するように、より反応性の高い試料中の全体的な反応性をスケールダウンすることによって除去することができる。このようなスケーリングは、(i)RNA配列中の各ヌクレオチドについて、より反応性の低い試料中の修飾率に対する、より反応性の高い試料中の修飾率の比率を計算し、(ii)より反応性の高い試料中のすべてのヌクレオチドの修飾率を、ステップ(i)で得られた比率の中央値で割り算することによって実施された。陰性対照ウェルの相関を最大化した対のこのようなスケーリングは、ヌクレオチドヒットを発見する確率をP=0.030まで下げ、これは理論的確率よりも9倍高かった。したがって、実際にすべての高スループットスクリーニングアッセイにおいて生じるため、断片の偽陽性識別が生じ、リガンド以外の変動からの実際の断片ヒットは、複製物SHAPE検証と、ITCを使用する直接的なリガンド結合測定によって区別された。
【0209】
有効なリガンドは、標的RNA中の複数のヌクレオチドの修飾率に影響を及ぼすと予想されるため、陰性対照とは異なる反応性を有するヌクレオチドの数が、2に設定された所定の閾値を超える場合にのみ、断片がヒットであると認識された。第2に、断片がRNAに及ぼす比較的安定した影響を探究する場合、ヌクレオチドの反応性における小さな相対的な差は、統計的に有意であっても、異なる反応性のヌクレオチドの総数から除外された。実際には、最小許容差は、平均の20%に設定され、
|r1-r2|/(r1+r2)/2=0.2、
式中、r1およびr2は、2つの試料中のヌクレオチド修飾率である。第3に、所与の試料を、最も相関性の高い5つの陰性対照試料に対して試験した。5つの試験はすべて、陰性対照試料に対して変化した試験試料を発見するために必要であった。
【0210】
最後に、スクリーニングの感度および特異性を、Z有意性閾値の選択によって制御した。断片を含有する試料およびすべての陰性対照試料の評価を、複数のZ有意性閾値設定で行った。かかる設定ごとに、偽陽性断片(FPF)を、変化したことが発見された陰性対照試料の分率として計算し、リガンド分率(LF)を、断片を含有する変化した試料の分率からFPFを引き算することによって概算した。LFとFPFのバランスは、それらの比率であるLF/FPFによって定量化した。TPPリボスイッチRNAの最良のバランス
【数8】
は、2.5~2.7の範囲のZ有意性閾値(0.022>FPF>0.014)で達成された。デングシュードノットについて、最良のバランス
【数9】
は、2.5~2.65の範囲のZ有意性閾値(0.007>FPF>0.005)で達成された。
【0211】
実施例3:ライブラリ調製および配列決定
100μLの体積でプールされた修飾RNAに対して逆転写を行った。71μLのプールしたRNAに、6μLの逆転写プライマーを添加して、150nMのプライマー最終濃度を達成し、試料を65℃で5分間インキュベートし、次いで氷上に置いた。この溶液に、6μLの10倍の第1の鎖緩衝液(500mM Tris pH8.0、750mM KCl)、4μLの0.4M DTT、8μLのdNTPミックス(各々10mM)、および15μLの500mM MnCl2を添加し、溶液を42℃で2分間インキュベートした後、8μLのSuperScript II Reverse Transcriptase(Invitrogen)を添加した。反応物を42℃で3時間インキュベートし、その後、70℃の熱不活性化を10分間行った後、氷上に置いた。得られたcDNA産物を精製し(Agencourt RNAClean磁気ビーズ、Beckman Coulter)、RNaseを含まない水に溶出させ、-20℃で保存した。逆転写プライマーの配列は、5’-CGGGC TTCGG TCCGG TTC-3’(配列番号3)であった。
【0212】
DNAを増幅し、必要なTruSeqアダプター24を添加するための2ステップPCR反応を使用して、配列決定のためにDNAライブラリを調製した。200μMのdNTPミックス(New England Biolabs)、500nMの順方向プライマー、500nMの逆方向プライマー、1ngのcDNAもしくは二本鎖DNAテンプレート、20%(v/v)のQ5反応緩衝液(New England Biolabs)、および0.02U/μLのQ5ホットスタート高忠実度ポリメラーゼ(New England Biolabs)を使用したPCRによってDNAを増幅させた。過剰な組み込まれていないdNTPおよびプライマーをアフィニティ精製(Agencourt AmpureXP磁気ビーズ、Beckman Coulter、試料とビーズの比率0.7:1で)によって除去した。DNAライブラリをQubit蛍光計(Invitrogen)で定量化し(Qubit dsDNA High Sensitivityアッセイキット、Invitrogen)、品質をチェックし(Bioanalyzer 2100オンチップ電気泳動機器、Agilent)、Illumina NextSeq 550高スループットシーケンサで配列決定した。
【0213】
SHAPE-MaPライブラリ調製アンプリコン特異的順方向プライマーは、
【数10】
であった。SHAPE-MaPライブラリ調製アンプリコン特異的逆方向プライマーは、
【数11】
であった。RNAスクリーニング構築物と重複する配列は、下線が引かれている。
【0214】
実施例4:等温滴定カロリメトリー
ITC実験は、RNaseを含まない条件下で、Microcal PEAQ-ITC自動化機器(Malvern Analytical)を使用して実施した41。インビトロで転写されたRNAを、遠心分離濃度(Amicon Ultra遠心分離フィルタ、10K MWCO、Millipore-Sigma)を使用して、100mMのCHES(pH8.0)、200mMの酢酸カリウム、および3mMのMgCl2を含有する折り畳み緩衝液に交換した。リガンドを、RNAの所望の実験濃度の10~20倍の濃度で、同じ緩衝液に溶解した(リガンドをRNAに添加したときの混合の熱を最小限に抑えるために)。RNA濃度を定量化し(Nanodrop UV-VIS分光計、ThermoFisher Scientific)、緩衝液中、予想されるKdの1~10倍まで希釈し、希釈されたRNAを再定量化し、最終的な実験RNA濃度を確認した。折り畳み緩衝液で希釈したRNAを65℃で5分間加熱し、氷上に5分間置き、37℃で15分間かけて折り畳んだ。必要に応じて、一次結合リガンド(例えば、2)を、結合したリガンドの所望の最終濃度の10倍で0.1体積を添加することによってRNAに予め結合し、その後、室温で10分間インキュベートした。
【0215】
各ITC実験は、リガンドをRNAに滴定したもの(実験トレース)と、同じリガンドを緩衝液に滴定したもの(対照トレース)の2回の試行を伴っていた。ITC実験を、以下のパラメータを使用して実施した。25℃のセル温度、8μCal/秒の参照電力、750RPMの撹拌速度、高フィードバックモード、0.2μLの初期注射、続いて2μLの19回の注射。各注射は、完了するのに4秒を必要とし、注射の間に180秒の間隔があった。
【0216】
ITCデータを、MicroCal PEAQ-ITC Analysis Software(Malvern Analytical)を使用して分析した。まず、各注射ピークについてのベースラインを手動で調整して、誤って選択された注射エンドポイントを解消した。第2に、対照トレースを、点同士の引き算によって実験トレースから引き算した。第3に、最小二乗回帰線を、Levenberg-Marquardtアルゴリズムを使用して、データにフィッティングした。弱く結合したリガンド(500μMを超える)の場合、Nを手動で1.0に設定し、低c値曲線のフィッティングを可能にした。
【0217】
実施例5:試験化合物35、36、37、38、39、および40の化学合成
【化23】
化合物35:カルボン酸S19から、混合した酸無水物中間体を介し、ヒドロキシルアミン水溶液と反応させることによって、3-C連結したヒドロキサム酸35を調製した。酸S19は、キノキサリン-6-アミンを、環化無水ジヒドロフラン-2,5-ジオンで処理することによって入手した。
【0218】
【化24】
化合物36:対応するエステルS20から、系中で形成されたヒドロキシルアミンと反応させることによって、2-C連結した類似体36を得た。キノキサリン-6-アミンとアクリル酸エチルとのマイケル付加によって、エステルS20を作製した。
【0219】
【化25】
化合物37:中間体S21およびS22の合成のために、Buchwald-Hartwig反応を使用した。エーテル中のHClを用い、保護基(Boc)の除去を達成し、その後、Na
2CO
3でさらに処理して37を得た。
【0220】
【化26】
化合物38:イミン形成、ならびにその後のキノキサリン-6-カルバルデヒドおよびジアミンの水素化ホウ素ナトリウム還元により、38を得た。
【0221】
【化27】
化合物39:イミン形成、ならびにその後のキノキサリン-6-イルメタンアミン塩酸塩およびアルデヒドS23の水素化ホウ素ナトリウム還元、S
NAr反応によって中間体S24を得て、HClを用いた(Boc)脱保護の後、39を得た。
【0222】
【化28】
化合物40:3,5-ジブロモピリジンとの2回のBuchwald-Hartwig反応の後、HClを用いた(Boc)脱保護によって、拘束がほとんどない類似体40を作製した。
【0223】
実施例6:X線結晶学
2の構造バリアントが、TPPリボスイッチの良好な結合候補であるかどうかを評価するために、化合物17をX線結晶学的研究で調べた。TPPリボスイッチRNAは、記載されるようにインビトロ転写によって調製した27。TPPリボスイッチRNA(0.2mM)および17(2mM)を、50mMの酢酸カリウム(pH6.8)および5mMのMgCl2を含有する緩衝液中、60℃で3分間加熱し、砕いた氷で迅速冷却し、4℃で30分間インキュベートした後、結晶化した。結晶化のために、1.0μLのRNA-17複合体を、0.1Mの酢酸ナトリウム(pH4.8)、0.35Mの酢酸アンモニウム、および28%(v/v)のPEG4000を含有する1.0μLの貯蔵溶液と混合した。2週間にわたるハンギングドロップ蒸気拡散によって、291Kで結晶化を行った。結晶を、15%のグリセロールを追加した母液中で凍結保護した後、液体窒素中で迅速凍結させた。NSLS-II(Brookhaven National Laboratory)、波長0.9202Å、17-ID-2(FMX)ビームラインでデータを集めた。HKL200043でデータを処理した。Phenix44および2GDIリボスイッチRNA構造を使用して、構造を分子置換によって解決した27。構造をPhenixで精緻化した。有機リガンド、水分子およびイオンを、Fo-Fcおよび2Fo-Fc電子密度マップに基づいて、精緻化の後期段階で添加した。
【0224】
結果は、化合物17が、J3/2接合部中のG42およびA43の間に積み重なって、TPPリガンドのチアミン部分と同様の様式でTPPリボスイッチに結合することを示した(
図3)
27、28。17は、RNAと、G40のリボースおよびWatson-Crick面に対して各々1個、G19のリボースに対して1個の3個の水素結合を形成する。天然TPPリガンドとの複合体中のRNAと比較して、局所的なRNA構造に有意な変化がある。17結合構造では、G72は、TPPリガンドのピロリン酸部分が存在する結合部位内でひっくり返る。この結合モードは、リボスイッチ結合ポケットのチアミンサブサイトに結合された断片のためのひっくり返ったG72配向を可視化した従来の研究と一致する
17、34。SAR分析と一致して、C-6置換基の配向は、RNAとの相互作用によって比較的妨げられていないように思われ、このことは、このベクターが断片精製のための良好な候補となることを暗示している。
【0225】
参考文献
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【配列表】
【国際調査報告】