IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レイセオン カンパニーの特許一覧

特表2022-544107エッジ効果を軽減させたフェーズド・アレイ・アンテナ
<>
  • 特表-エッジ効果を軽減させたフェーズド・アレイ・アンテナ 図1
  • 特表-エッジ効果を軽減させたフェーズド・アレイ・アンテナ 図2
  • 特表-エッジ効果を軽減させたフェーズド・アレイ・アンテナ 図3
  • 特表-エッジ効果を軽減させたフェーズド・アレイ・アンテナ 図4
  • 特表-エッジ効果を軽減させたフェーズド・アレイ・アンテナ 図5A
  • 特表-エッジ効果を軽減させたフェーズド・アレイ・アンテナ 図5B
  • 特表-エッジ効果を軽減させたフェーズド・アレイ・アンテナ 図6
  • 特表-エッジ効果を軽減させたフェーズド・アレイ・アンテナ 図7A
  • 特表-エッジ効果を軽減させたフェーズド・アレイ・アンテナ 図7B
  • 特表-エッジ効果を軽減させたフェーズド・アレイ・アンテナ 図8A
  • 特表-エッジ効果を軽減させたフェーズド・アレイ・アンテナ 図8B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】エッジ効果を軽減させたフェーズド・アレイ・アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 3/26 20060101AFI20221007BHJP
   H01Q 13/08 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
H01Q3/26 Z
H01Q13/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507340
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(85)【翻訳文提出日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 US2020045194
(87)【国際公開番号】W WO2021026347
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】62/883,833
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/662,700
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リウ,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】コミサレク,ケネス,エス.
(72)【発明者】
【氏名】ヨーコ,ジョン
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021AB06
5J021CA03
5J021DB02
5J021DB03
5J021GA02
5J021GA03
5J045AA05
5J045DA10
5J045GA05
5J045HA03
5J045LA04
5J045LA07
5J045MA07
(57)【要約】
フェーズド・アレイ・アンテナ・システムは基板を有するアンテナ素子を有し、基板は配列中のコーナー素子のセルフ・リターン信号を減らすように選択された相違する誘電定数を有する。一例では、フェーズド・アレイ・アンテナ・システムは、2次元配列に並べられた複数のスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子を含み、複数のスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子のうちの各々のスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子は、地板の上方で誘電体基板に配置された導電性パッチのペアを含む。配列中のコーナーのスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子の誘電体基板は、配列中の非コーナーのスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子の誘電体基板の誘電定数よりも低い誘電定数を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェーズド・アレイ・アンテナ・システムであって:
第1の複数のコーナー・アンテナ素子と、第2の複数のエッジ・アンテナ素子と、第3の複数のセントラル・アンテナ素子とを有する2次元配列に並べられた複数のマイクロストリップ・アンテナ素子を含み、前記第3の複数のセントラル・アンテナ素子は前記第1の複数のコーナー・アンテナ素子と前記第2の複数のエッジ・アンテナ素子とによって囲まれており、各々のマイクロストリップ・アンテナ素子は誘電体基板に配置された導電性パッチを含み、前記第1の複数のコーナー・アンテナ素子の誘電体基板の各々は、前記第2の複数のエッジ・アンテナ素子と前記第3の複数のセントラル・アンテナ素子の誘電体基板の誘電定数より低い第1誘電定数を有する、フェーズド・アレイ・アンテナ・システム。
【請求項2】
前記第1の複数のコーナー・アンテナ素子のうちの各コーナー・アンテナ素子の誘電体基板はフレーム構造を含み、前記フレーム構造はその中に形成された複数の空洞を有する、請求項1に記載のフェーズド・アレイ・アンテナ・システム。
【請求項3】
前記複数の空洞のサイズは、前記誘電体基板の横方向にわたって変化している、請求項2に記載のフェーズド・アレイ・アンテナ・システム。
【請求項4】
前記複数の空洞のサイズは、前記誘電体基板の中央から外側に向かって減少している、請求項3に記載のフェーズド・アレイ・アンテナ・システム。
【請求項5】
前記第2の複数のエッジ・アンテナ素子の誘電体基板の各々は第2誘電定数を有し、前記第3の複数のセントラル・アンテナ素子の誘電体基板の各々は第3誘電定数を有し、前記第2誘電定数は前記第1誘電定数より高く、前記第3誘電定数は前記第2誘電定数より高い、請求項1に記載のフェーズド・アレイ・アンテナ・システム。
【請求項6】
前記誘電体基板は多層誘電体基板であり、前記導電性パッチは、前記多層誘電体基板の第1表面に配置されたトップ・パッチと、前記トップ・パッチの下方において、前記多層誘電体基板内に配置されたボトム・パッチとを含む、請求項1に記載のフェーズド・アレイ・アンテナ・システム。
【請求項7】
各々のマイクロストリップ・アンテナ素子は、前記ボトム・パッチの下方において、前記多層誘電体基板の第2表面に配置された地板を更に含む、請求項6に記載のフェーズド・アレイ・アンテナ・システム。
【請求項8】
各々のマイクロストリップ・アンテナ素子は、前記マイクロストリップ・アンテナ素子への及び前記マイクロストリップ・アンテナ素子からのRF信号をつなぐように構成されたウェーブポートを更に含む、請求項7に記載のフェーズド・アレイ・アンテナ・システム。
【請求項9】
前記ウェーブポートは、前記地板上にRFストリップライン給電部及びH型開口を含む、請求項8に記載のフェーズド・アレイ・アンテナ・システム。
【請求項10】
前記第1の複数のコーナー・アンテナ素子の誘電体基板の各々は、前記第2の複数のエッジ・アンテナ素子と前記第3の複数のセントラル・アンテナ素子の誘電体基板の密度より低い密度を有する、請求項1に記載のフェーズド・アレイ・アンテナ・システム。
【請求項11】
フェーズド・アレイ・アンテナ・システムであって:
2次元配列に並べられた複数のスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子を含み、前記複数のスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子のうちの各々のスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子は、地板の上方で誘電体基板に配置された導電性パッチのペアを含み、配列中のコーナーのスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子の誘電体基板は、前記配列中の非コーナーのスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子の誘電体基板の誘電定数よりも低い誘電定数を有する、フェーズド・アレイ・アンテナ・システム。
【請求項12】
前記配列中の前記コーナーのスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子の誘電体基板は、前記配列中の非コーナーのスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子の誘電体基板の密度より低い密度を有する、請求項11に記載のフェーズド・アレイ・アンテナ・システム。
【請求項13】
前記配列中のコーナーのスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子の誘電体基板は、前記誘電体基板の横方向にわたって規則的なパターンで並ぶ複数の空洞を含む、請求項12に記載のフェーズド・アレイ・アンテナ・システム。
【請求項14】
前記複数の空洞のサイズは、前記誘電体基板の中央から外側に向かって減少している、請求項13に記載のフェーズド・アレイ・アンテナ・システム。
【請求項15】
前記誘電体基板は多層誘電体基板であり、前記導電性パッチのペアは、前記多層誘電体基板の第1表面に配置されたトップ・パッチと、前記トップ・パッチに整合したボトム・パッチであって前記トップ・パッチと前記地板の間で前記多層誘電体基板内に配置されたボトム・パッチとを含む、請求項11に記載のフェーズド・アレイ・アンテナ・システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
フェーズド・アレイ・アンテナ・システムは、広範囲に及ぶ通信及びリモート・センシング用途で使用されている。これらのアレイに関する多くの望ましい特性(例えば、低コスト、小型、軽量など)は、マイクロストリップ又は「パッチ」アンテナと呼ばれる印刷されたアンテナ素子を用いて達成することが可能であり、その場合において、モノポール又はダイポール・アンテナ素子のような平坦な導電性素子が、均一な厚さの誘電体シートによって、単一の本質的に連続した地板から隔てられた2次元配列に並べられる。しかしながら、そのようなフェーズド・アレイにおいて生じる問題は、いわゆる「エッジ効果」であり、配列のうちのエッジにあるアンテナ素子、特にコーナーにあるアンテナ素子は、様々なレベルの相互カップリングに起因して、配列の中央部分におけるものと異なるインピーダンス整合を経験する。フェーズド・アレイ・アンテナ開口前面のコーナー又はエッジ効果は、アレイ・パフォーマンス(例えば、電力利得、サイドローブ・レベル、ビーム・ポインティング・エラーなど)を劣化させ、高電力動作の下では、下方の電子部品にとって有害でさえあり得る。従来、エッジ効果は、アレイの開口周辺を「ダミー」の不活性アンテナ素子で包囲するか、又は開口の周囲にRF吸収体材料を追加するか、の何れかによって対処されている。例えば、特定の従来の構造では、寄生又は「ダミー」素子が、アクティブ素子のアレイに隣接して配置され、アクティブ・アンテナ素子のアレイのエッジ上にあるアクティブに、均一なインピーダンスを提供する。これにより、アレイのエッジにおける素子が、アレイの中央部の素子とほぼ同じインピーダンスによって包囲される結果をもたらし、エッジ素子に関連する遠方界パターンが、アレイの中央部の素子に関連する遠方界パターンと近似的に同じになることを可能にする。しかしながら、これらの解決策は、込み入った開口フロントでの追加的なスペースの必要性、及び追加的な製造複雑性のコストを含む幾つかの欠点を有し、また特定の用途には実用的でない場合がある。
【発明の概要】
【0002】
態様及び実施形態は、マイクロストリップ・ベースのフェーズド・アレイ・アンテナ・システムに方向付けられており、そこでは、コーナー/エッジ効果の軽減が、コーナー/エッジ素子におけるセルフ・マッチ信号低減に基づいて、AM製造技術(additive manufacturing techniques)(積層造形法又は付加製造法とも言及される)によって作成される、より低い誘電定数の基板を使用することによって実現される。
【0003】
一実施形態によれば、フェーズド・アレイ・アンテナ・システムは、第1の複数のコーナー・アンテナ素子と、第2の複数のエッジ・アンテナ素子と、第3の複数のセントラル・アンテナ素子とを有する2次元配列に並べられた複数のマイクロストリップ・アンテナ素子を含み、前記第3の複数のセントラル・アンテナ素子は前記第1の複数のコーナー・アンテナ素子と前記第2の複数のエッジ・アンテナ素子とによって囲まれており、各々のマイクロストリップ・アンテナ素子は誘電体基板に配置された導電性パッチを含み、前記第1のコーナー・アンテナ素子の誘電体基板の各々は、前記第2の複数のエッジ・アンテナ素子と前記第3の複数のセントラル・アンテナ素子の誘電体基板の誘電定数より低い第1誘電定数を有する。
【0004】
一例において、前記第1の複数のコーナー・アンテナ素子のうちの各コーナー・アンテナ素子の誘電体基板はフレーム構造を含み、前記フレーム構造の中で複数の空洞が形成されている。前記複数の空洞のサイズは、前記誘電体基板の横方向にわたって変化してもよい。一例において、前記複数の空洞のサイズは、前記誘電体基板の中央から外方に向かって減少している。
【0005】
別の例において、前記第2の複数のエッジ・アンテナ素子の誘電体基板の各々は第2誘電定数を有し、前記第3の複数のセントラル・アンテナ素子の誘電体基板の各々は第3誘電定数を有し、前記第2誘電定数は前記第1誘電定数より高く、前記第3誘電定数は前記第2誘電定数より高い。
【0006】
一例において、前記誘電体基板は多層誘電体基板であり、前記導電性パッチは、前記多層誘電体基板の第1表面に配置されたトップ・パッチと、前記トップ・パッチの下方において、前記多層誘電体基板内に配置されたボトム・パッチとを含む。 各々のマイクロストリップ・アンテナ素子は、前記ボトム・パッチの下方において、前記多層誘電体基板の第2表面に配置された地板を更に含んでもよい。各々のマイクロストリップ・アンテナ素子は、前記マイクロストリップ・アンテナ素子への及び前記マイクロストリップ・アンテナ素子からのRF信号をつなぐように構成されたウェーブポート(waveport)を更に含んでもよい。一例において、前記ウェーブポートは、RFストリップライン給電部とH状-開口を前記地板上に含む。
【0007】
別の例において、前記第1の複数のコーナー・アンテナ素子の誘電体基板の各々は、前記第2の複数のエッジ・アンテナ素子と前記第3の複数のセントラル・アンテナ素子の誘電体基板の密度より低い密度を有する。
【0008】
別の実施形態によれば、フェーズド・アレイ・アンテナ・システムは、2次元配列に並べられた複数のスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子を含み、前記複数のスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子のうちの各々のスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子は、地板の上方で誘電体基板に配置された導電性パッチのペアを含み、配列中のコーナーのスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子の誘電体基板は、前記配列中の非コーナーのスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子の誘電体基板の誘電定数よりも低い誘電定数を有する。
【0009】
一例において、前記配列中の前記コーナーのスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子の誘電体基板は、前記配列中の非コーナーのスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子の誘電体基板の密度より低い密度を有する。一例において、前記配列中のコーナーのスタック型パッチ・マイクロストリップ・アンテナ素子の誘電体基板は、前記誘電体基板の横方向にわたって規則的なパターンで並ぶ複数の空洞を含む。別の例において、前記複数の空洞のサイズは、前記誘電体基板の中央から外方に向かって減少している。
【0010】
別の例において、前記誘電体基板は多層誘電体基板であり、前記導電性パッチのペアは、前記多層誘電体基板の第1表面に配置されたトップ・パッチと、前記トップ・パッチに整合したボトム・パッチであって前記トップ・パッチと前記地板の間で前記多層誘電体基板内に配置されたボトム・パッチとを含む。
【0011】
これらの例示的な態様及び実施形態の更に別の態様、実施形態、及び利点は、以下で詳細に議論される。本件で開示される実施形態は、本件で開示される原理の少なくとも1つと如何なる方法によっても矛盾しない他の実施形態と組み合わされる可能性があり、「実施形態」、「幾つかの実施形態」、「代替的な実施形態」、「種々の実施形態」、「1つの実施形態」などに対する言及は、必ずしも相互に排他的ではなく、説明された特定の特長、構造、又は特徴が少なくとも1つの実施形態に含まれる可能性があることを示すように意図されている。本件におけるこのような用語の登場は、必ずしも全て同一の実施形態を指すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
少なくとも1つの実施形態の種々の態様は、添付図面を参照しながら以下で説明されているが、これらは縮尺通りに描かれるようには意図されていない。図面は、種々の態様及び実施形態の説明及び更なる理解をもたらすために含まれており、本件に組み込まれて本件の一部を構成するが、本発明の限定の定義としては意図されていない。図中、種々の図面に示されている同一の又は同様な構成要素の各々は、同様な数字で表されている。明確化の目的で、全ての構成要素が全ての図面でラベル付けされていない可能性がある。
図1】本発明の態様によるアンテナ・アレイの一例の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の態様による無限アレイ環境におけるスタック型パッチ・ラジエータの一例を示す図である。
図3】2.1-2.7GHzの周波数範囲にわたる、図1のアンテナ・アレイの一部分(図4に対応するもの)のシミュレーションによるリアクティブ・マッチング・パフォーマンスのグラフである。
図4図3に示されるシミュレーション・データに対応するアレイ100の一部分のブロック図である。
図5A】6×1線形アレイにおけるコーナー・アンテナ素子に対する相互カップリングを示す図である。
図5B】6×1線形アレイにおける中央素子に対する相対的な相互カップリングを示す図である。
図6】2.1-2.7GHzの周波数範囲にわたる、本発明の特定の態様に従って修正された図4のアンテナ・アレイの一部分の、シミュレーションによるリアクティブ・マッチング・パフォーマンスのグラフである。
図7A図4のサブ・アレイの一例に対するシミュレーションによるインピーダンス整合データを示すスミス・チャートである。
図7B】本発明の態様による図4のサブ・アレイの別の例に対するシミュレーションによるインピーダンス整合データを示すスミス・チャートである。
図8A】本発明の態様によるフェーズド・アレイ・アンテナ・システムにおけるアンテナ素子用基板の一例の平面図である。
図8B図8Aの基板の側方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
最近出現した窒化ガリウム(GaN)ベースの高電力密度マイクロ波回路は、フェーズド・アレイ・アンテナ・システムの技術をより高いパフォーマンスへ進展させる新たな機会を開く。しかしながら、このような高電力密度の方式は、熱分布、熱放電、高電圧放電、RF損失などのような、設計概念から対処しなければならない種々の問題を導入する。更に、上述したように、フェーズド・アレイ・アンテナ開口全面におけるコーナー/エッジ効果は、アレイ・パフォーマンスを劣化させ、この影響は小さな外形の有限アレイにおいてよりいっそう重要であり、なぜならそのようなアレイは例えば5G又は5GEシステムのような、より新しい高度な移動通信アーキテクチャのために実装される可能性があるからである。RF吸収体及び/又は「ダミー/代用」素子をアンテナ開口の周囲に単に実装するに過ぎない従来のアプローチは、製造の複雑化及び追加的なコストを招く。更に、フェーズド・アレイ・アンテナの設置スペースが限られている用途においては、これらのアプローチを実現するための追加的なスペースに対する要求は、非実用的ではないとしても、困難である可能性がある。
【0014】
態様及び実施形態は、以下で更に説明するように、アンテナ開口全面の全体にわたって平坦な表面を維持しながら、付加製造(「3D印刷」)技術を使用してアンテナ基板の誘電定数の変調を使用して、コーナー/エッジ効果を緩和する、より簡単な解決策を提供する。
【0015】
図1を参照すると、説明の目的で例えばSバンドで使用される可能性がある6×4アンテナ・アレイ100の構成例が示されている。アレイ内のアンテナ素子200の各々は、同一の又は類似の構造を有してもよいが、アレイ100内のそれらの空間的な位置に基づいて、異なる相互カップリング及び異なる影響を受ける可能性がある。図示されている例では、アンテナ素子200aはコーナー素子(アレイ100の中に4個ある)であり、アンテナ素子200bは水平エッジ素子(アレイの中に8個ある)であり、アンテナ素子200cは垂直エッジ素子(アレイの中に4個ある)、アンテナ素子200dは内部素子(アレイの中に8個ある)である。図1に示されるアレイ100の例は、6×4アレイであるが;本開示の利点を考慮すると、本件で開示される原理及び技術は、任意のサイズのアレイ100に適用される可能性があり、6×4構成には限定されないことを、当業者は理解されるであろう。
【0016】
特定の実施形態によれば、アレイ内の各アンテナ素子200は、スタック型パッチ構造を有する。図2は、無限アレイ環境におけるスタック型パッチ放射器の一例を示す。積み重ねられたパッチ要素200は、トップ・パッチ210と、多層パッチ基板230内に実装され、地板240の上方に配置されたボトム・パッチ220とを含む。トップ・パッチ210とボトム・パッチ220は、アンテナ素子200の放射ビーム・パターンを生成するために相補的な方式で動作する。トップ・パッチ210及びボトム・パッチ220の各々、並びに地板240は、例えば、銅の層のような印刷された導電性材料で作成されてもよい。特定の例では、基板230は、3.0の誘電定数を有する複合積層基板を形成する微小分散セラミックを備えたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はガラス繊維を含む低損失RF材料、CLTE-ATで作られている。アンテナ素子200は、ある種の例では、放射構造に対して出入りする信号をつなぐための、RFストリップライン給電部及び「H型」開口として地板上に実現されてもよいウェーブポート250を含む。図2において、アンテナ素子200の上方に示されたボリューム260は、以下で更に説明されるように、有限要素ベースのシミュレーションの目的に関してのみ使用される。
【0017】
上述したように、図1に示すアレイ100のようなアレイでは、アレイ内の異なるアンテナ素子200a-dのインピーダンス特性は、アレイ構造内の素子の位置関係に起因して異なる可能性がある。説明のために、図3は、図2のアンテナ素子200を使用して実施されるアレイ100の一部分110(図4に示されるもの)のシミュレーションされたリアクティブ・マッチング・パフォーマンスのグラフを示す。アレイ100の対称性に起因して、HFSSシミュレーションにおいて割り当てられる対称境界を有する3×2の部分110は、アレイ100の6×4の例のパフォーマンスを表すのに十分である。図3に示されるデータは、図4に示されるサブ・アレイ110に対応する。図3に示すシミュレーション・データについて、基板230は、誘電定数が3.0のCLTE-ATで作られているものとしてシミュレートされた。図3に示すように、HFSSシミュレーションは、コーナー・アンテナ素子200aである素子-6が、他の素子1-5と比較して劣った整合パフォーマンスを示す。
【0018】
図3は、ANSYS HFSSシミュレーションによる2.1-2.7GHzの周波数範囲にわたる、サブ・アレイ110(図4)の6つのアンテナ素子についてのシミュレーションによる最適化されたリアクティブ・マッチング・パフォーマンスの曲線セットを示す。曲線301は図4のサブ・アレイ110の素子-1に対応し、曲線302は図4のサブ・アレイ110の素子-2に対応し、曲線303は図4のサブ・アレイ110の素子-3に対応し、曲線304は図4のサブ・アレイ110の素子-4に対応し、曲線305は図4のサブ・アレイ110の素子-5に対応し、曲線306は図4のサブ・アレイ110の素子-6に対応する。リアクティブ・マッチングは、全ての素子が同時に(すなわち、実際の動作状態で)励起される場合の個々の素子のリターン・ロスとして定義される。換言すれば、リアクティブ・リターン信号は、アンテナ素子のセルフ・リターン信号と、全ての周囲のアンテナ素子からの相互カップリングに起因する入力信号とのベクトル和である。従って、アレイ環境における任意の所与のアンテナ素子の良い整合とは、その素子のセルフ・マッチ信号が、全ての相互カップリングのトータル号によって相殺されることを意味する。開口全体にわたってほぼ同一の放射器設計の状況下では、個々の素子全てのセルフ・マッチングはほぼ同じであるが、各素子に対する相互カップリングに起因するトータル信号は、開口における素子の非対称な幾何学的配置に起因して素子毎に異なる。これは、図3の曲線306によって示されるように、また以下で更に議論されるように、コーナー要素200aで比較的貧弱なリアクティブ・マッチングとして現れる可能性がある。
【0019】
図5A及び図5Bは、6×1線形アレイを使用する、上述した相互カップリングの説明のための簡単な例を示す。図5Aは、要素-6のアクティブ・リターン信号(矢印410及び矢印430のベクトル和によって表される)を示し、図5Bは、比較のために、要素-3のアクティブ・リターン信号(矢印420及び矢印440のベクトル和によって表される)を示す。6×1線形アレイでは、要素-6及び要素-3のアクティブ・リターン信号は、S-パラメータに関連して数学的には以下のように表すことができる:
【0020】
Active_return_element_6 = S(6,6)+S(6,5)+S(6,4)+S(6,3)+S(6,2)+S(6,1);
Active_return_element_3 = S(3,6)+S(3,5)+S(3,4)+S(3,3)+S(3,2)+S(3,1);

S(6,6)及びS(3,3)はそれぞれ要素-6及び要素-3のいわゆる「セルフ・マッチング」(又はセルフ・リターン信号)であり、それぞれ図5A及び5Bにおける矢印410、420として示されている。これらの2つの項は、対応するアンテナ素子の同一又は類似の設計構成に起因して、位相及び振幅に関してほぼ同じである。上記の数式における他の全ての項は、矢印430のグループ及び440の矢印によって表される相互カップリングに関連している。グループ430及び440における各矢印の相対的なウェイトは、関連するアンテナ素子から素子-6(図5A)又は素子-3(図5B)への相互カップリングの相対的な強度を示す。2つの素子の間の相互カップリング信号の振幅と位相は、これら2つの素子間の幾何学的な分離距離に密接に関連している。このような分離距離が近づくにつれて相互カップリングは強くなり,その逆も成り立つ。
【0021】
図5A及び5Bを参照して理解することができるように、要素-6上のトータルのカップリングは、要素-3における対応するトータルのカップリングとは非常に異なる。これは、素子3が素子6の2つの最近接素子に隣接しているのに対し、素子6の場合は唯1つであり、その結果、素子3のトータルの相互カップリングは素子6におけるものよりもかなり強い、という事実に起因する。上述したように、優れたリアクティブ・マッチング・パフォーマンスは、セルフ・マッチングと相互カップリングとの間のほぼ完全なキャンセルを当てにしている。仮に中央の素子(即ち、この例では素子3)で完全な相殺が生じると、コーナー素子では、コーナー素子が経験する比較的弱い相互カップリングに起因して、セルフ・リターン信号は相互カップリングを相殺するには大きすぎる。
【0022】
従って、特定の態様及び実施形態によれば、エッジ/コーナー効果の軽減は、アレイ100内のコーナー及び/又はエッジ要素200a-のセルフ・リターン信号を、中央素子200dと比較して低減することによって達成されることが可能である。次いで、減少したセルフ・マッチ信号は、コーナー/エッジ素子によって経験される比較的弱い相互カップリング信号を適切に無効化することができる。シミュレーションに基づいて、特定の実施形態によれば、所望のセルフ・リターン信号の低減は、コーナー・アンテナ素子200a(及び、オプションとして、エッジ素子200b及び/又は200c)のためのより低い誘電率の基板/媒体を使用することによって、効果的に達成することが可能である一方、メンテナンスの便宜に加えて、アンテナ開口面全体にわたるレードーム・フラッシュ・マウントのために、アレイ100内の他の全ての素子と同じ放射器プロファイル・レベルを維持する。
【0023】
図6は、図3と同様に、ANSYS HFSSシミュレーションによる2.1-2.7GHzの周波数範囲にわたる、サブ・アレイ110(図4)の6つのアンテナ素子についてのシミュレーションによる最適化されたリアクティブ・マッチング・データ曲線セットの例を示すグラフである。ただし、図3に示されるシミュレーション・データでは、アンテナ素子200の各々は、同じ誘電定数3.0の基板230を有していたが、図6に示されるシミュレーション・データでは、コーナー素子(図4の素子-6)の基板230が修正されている。具体的には、この例では、素子-6に対するシミュレーションされた基板230は、2.4の誘電定数を有する人工的な材料である。図6において、曲線311は図4のサブ・アレイ110の素子-1に対応し、曲線312は図4のサブ・アレイ110の素子-2に対応し、曲線313は図4のサブ・アレイ110の素子-3に対応し、曲線314は図4のサブ・アレイ110の素子-4に対応し、曲線315は図4のサブ・アレイ110の素子-5に対応し、曲線316は図4のサブ・アレイ110の素子-6に対応する。図3及び図6を比較することによって分かるように、素子-6に使用される基板230の誘電定数を低下させることは、(図6の曲線316と図3の曲線306を比較した場合)コーナー素子220aのインピーダンス整合に関してかなりの改善を達成している。
【0024】
コーナー素子200aに関して、他の素子で使用される基板のものよりも低い誘電定数を有する基板230を使用することによって達成される整合性の改善は、図7A及び7Bを比較することによって更に実証される。図7A及び7Bは、図4のサブ・アレイ110の例に関する、シミュレーションによるセルフ・マッチ(実線322、332)_対_シミュレーションによるトータルの相互カップリング信号(破線324、334)を示すスミス・チャートである。図7Aは、サブ・アレイ110の一例に関するコーナー素子200aのデータを示し、その場合において、6つのアンテナ素子200の全てが、3.0の誘電定数を有する基板230でシミュレーションされている(図3に示されたシミュレーション・データに対応する)。図7Bは、サブ・アレイ110の一例に関するコーナー素子200aのデータを示し、その場合において、6つのアンテナ素子200のうちの5つ(素子1-5)は3.0の誘電定数を有する基板230でシミュレートされ、コーナー・アンテナ素子200a(素子-6)は2.4の誘電定数を有する基板230でシミュレートされている(図6に示されたシミュレーション・データに対応する)。図7A及び7Bを参照して分かるように、コーナー素子200aに適用されたより低い誘電定数の基板を使用することは、図7Aにおける322と比較して、図7Bにおけるインピーダンス軌跡332のサイズ減少によって明らかなように、コーナー素子のセルフ・リターン信号を減少させることができる。
【0025】
上述のシミュレーション例では、コーナー素子200a(素子-6)の基板の誘電定数は下げられていたが、他の5つの素子は同じ誘電定数の基板を有していた。他の例では、水平エッジ素子200b及び/又は垂直エッジ素子200cに使用される基板の誘電定数が考慮される。特定の例では、以下で説明するような付加製造技術を使用して、コーナー及びエッジ・アンテナ素子200a-cに使用される基板の誘電定数は調整され、異なるアレイ位置で経験する相互カップリング・レベルの変化を説明することができる。例えば、中央アンテナ素子200dが「ベース」又は「開始」誘電定数Dの基板230を有する場合、水平エッジ素子200b及び/又は垂直エッジ素子200cは、より低い誘電定数(例えば、D<D)の基板を有することが可能であり、コーナー素子200aは、更に低い誘電定数(例えば、D<D<D)の基板を有し、コーナー素子200aが最も低いレベルの相互カップリングを経験するという事実を説明することができる。特定の例では、アレイ100の構成に依存して、水平エッジ素子200bは、垂直エッジ素子200cとは異なるレベルの相互カップリングを経験する可能性がある。他の例では、エッジ素子のうちの特定のもの(水平エッジ素子200b又は垂直エッジ素子200cの何れか)は、他のエッジ素子と異なるレベルの相互カップリングを経験する可能性がある。そのような場合及び同様な場合に、エッジ素子200b、200cの全てが、同じ誘電定数Dを有する基板を有する必要はなく、むしろ、経験される異なるレベルの相互カップリングを説明するように誘電定数を調整して相違させることができる。
【0026】
特定の実施形態によれば、コーナー素子200aに使用される下方の誘電体基板材料は、精密な付加製造(「3D印刷」)技術によって実現することができる。図8A及び8Bは、特定の実施形態に従って使用することが可能な基板230の一例を示す。図8Aは基板230の一例の平面図であり、図8Bは対応する側方斜視図である。特定の実施形態によれば、基板230の密度分布は、図8A及び8Bに示されるように、空洞232又は空隙を導入して格子型構造を形成することによって操作することができる。密度変動、従って誘電定数の変調は、3-D印刷によって迅速に、便利に、かつ正確に作ることが可能である一方、例えば、粉砕のような従来の製造プロセスは、遅く、材料を浪費し(従って、コスト高となり)、精度が悪く、特定の状況では実施することが困難であったり又は実用的ではなかったりする可能性がある。付加製造プロセスを使用して、基板密度は、例えば図8A及び図8Bに示すように、サンプルの中でフレーム構造化を通じて、キャビティ及び/又はボイド形成によって操作することができる。その結果、プロセスは、基板230の機械的剛性の最小限の妥協とともに、最も効果的な方法で材料を消費する。他の幾つかの例では、基板230の密度分布は、3D印刷速度を制御することによって操作することができる。
【0027】
特定の実施例では、基板230は、結果として生じる肉眼で見える密度が基板の横方向にわたって変わってゆくように、付加製造プロセスで構成することが可能である。例えば、基板密度は、中央部で最も低く、外側に向かって徐々に増加してもよい。特定の実施例において、これは、基板230内に形成されたキャビティ232のサイズ及び/又は間隔を変化させることによって達成することができる。例えば、図8Aを参照すると、キャビティ232は、図示のように、基板の中央で最大である一方、エッジに向かってサイズを小さくすることができる。従って、導入される空気の量は、エッジにおけるよりも中央において高く、それによって、エッジにおけるよりも中央における密度(及び誘電定数)をより低下させる。そのような構成は、例えば、表面波の低下や異種基板材料を横切る境界での電荷蓄積の除去のような、典型的に使用される均一な基板を上回る幾つもの利点を提供することができる。このような合成基板は、従来の方法で製造することは困難であるが、付加製造の柔軟性は、構造的に複雑な構成を、容易かつ迅速に高精度に製造することを可能にする。
【0028】
図2を再び参照すると、特定の実施例では、図8A及び8Bに示される基板構造、又はそれらの変形例が、多層基板230の1つ以上の層に使用されてもよい。例えば、キャビティ構造は、上述のように、密度を横方向に変化させるために、トップ・パッチ210とボトム・パッチ220との間にある基板層内に形成されてもよい。代替的又は追加的に、キャビティ構造は、ボトム・パッチ220と地板240との間にある基板層内に形成されてもよい。基板230の両方の層がキャビティ・パターンを含む例では、これらのパターンは、同じであってもよいし又は異なるものであってもよく、それが使用されるアレイ内のアンテナ素子200のパフォーマンスを最適化するように選択されることが可能である。更なる例では、多層基板230の任意の1つ以上の層の巨視的な密度及び/又は誘電定数は、フレーム構造化以外の技術を使用して変化させてもよい。例えば、多層基板230は、付加製造によって形成されるので、異なる密度及び/又は誘電定数を有する異なる材料を、基板230の異なる領域に印刷することができ、及び/又は異なるアンテナ素子に対して選択することができる。更に、特定の低損失RF材料は、その密度を低下させるために、多孔質発泡体構造を有する形態で印刷することができる。付加製造アプローチの柔軟性により、上述したように、これらの技術及び材料の何れかを、アレイ内の何れかのアンテナ素子200に適用して、コーナー/エッジ効果の軽減を通じて改善又は最適化されたパフォーマンスを有するフェーズド・アレイを生成することができる。更に、これらの改善は、フェーズド・アレイが全てのアンテナ素子にわたって同じプロファイル・レベルを維持することを可能にしつつ獲得することが可能であり、これは、メンテナンスの便宜や、アンテナ開口面全体にわたるレードーム・フラッシュ・マウントのために望ましい可能性がある。更に、フェーズド・アレイ・アンテナは、コーナー/エッジ効果の緩和を適用して、同じ帯域幅で動作することが可能である。即ち、本件で開示される技術及びアプローチに従ってコーナー/エッジ効果の緩和を適用することによって、動作帯域幅の損失を生じさせることはない。
【0029】
従って、態様及び実施形態は、アレイを構成する様々なパッチ・アンテナ素子において異なる誘電定数を有する基板の使用を通じてコーナー/エッジ効果の軽減を含むフェーズド・アレイ・アンテナ・システムを提供し、その誘電定数はアレイ内の個々のアンテナ素子の位置に応じて選択又は調整されている。従って、誘電定数は、フェーズド・アレイを用いた空間的配置に基づいて変調され、異なるアレイ位置で経験される相互カップリングのレベルに基づいて、種々のアンテナ素子のセルフ・マッチ信号を正確に調整することができる。特定の例では、フェーズド・アレイの所与の実装に要求されるパフォーマンス・レベルに依存して(例えば)誘電定数の変調は、少数のアンテナ素子(例えば、エッジ効果が最も顕著なコーナー素子200aのみ)、アンテナ素子の特定のサブセット(例えば、コーナー素子200a、及び少なくとも幾つかのエッジ素子200b及び/又は200c)にのみ適用することが可能であり、あるいはアレイ全体にわたって調整されてもよい。上述のように、特定の実施形態では、調整された誘電定数は、幾つもの利点を提供する可能性がある付加製造技術を用いて、基板230の密度を変えることによって達成することが可能である。RF吸収体材料又はダミー/サロゲート・アンテナ素子を追加し、それにより、サイズ、コスト、及び重量をアレイに加える従来のコーナー/エッジ効果緩和アプローチとは異なり、付加製造により実現される材料の誘電定数変調は、アレイのサイズを増大させることなく、小規模な有限のフェーズド・アレイ・アンテナに関するコーナー/エッジ効果を都合よく緩和することができる。特定の実施例では、キャビティ又はボイドを3Dフレーム化構造によって基板内に導入することは、密度、従って誘電定数を低くする一方、材料を無駄にすることなく、機械的な剛性のわずかな妥協のみにより、モード純度も向上させる。更に、付加製造プロセスは、異種構造間のスムーズな遷移を可能にし、電荷の蓄積を回避する。上述したように、付加製造を使用して、高精度で機械的にロバストな、カスタム調整されたアンテナ素子及びアレイを、オプションとして僅かな量で、妥当なコストで作成することができ、有利なことに、特定の用途のための特定の構造の開発を可能にする。
【0030】
少なくとも1つの実施形態の幾つかの態様を上述してきたが、種々の変更、修正、及び改良が当業者にとって容易に把握されることは理解されるであろう。このような変更、修正、及び改良は、本開示の一部であるように意図されており、本発明の範囲内であるように意図されている。従って、本件で説明した方法及び装置の実施形態は、前述の説明で記述されている又は添付図面に示されている構成及び構成要素の配置の詳細に適用することに限定されないことが理解されるであろう。方法及び装置は、他の実施形態で実装することが可能であり、実施されることが可能であり、又は種々の方法で実行されることが可能である。具体的な実装の例は、例示的な目的のためだけに本件では提供されており、限定であるようには意図されていない。また、本件で使用される言葉遣いや用語は説明のためのものであり、限定として理解されるべきではない。「含んでいる」、「備えている」、「有している」、「包含している」、「関わっている」及びそれらの変形の本件における使用は、以後に列挙されるアイテム及びそれらの等価物並びに追加のアイテムを包含することを意味する。「又は」に関する言及は包括的に解釈され、その結果、「又は」を使用して説明される何らかの用語は、説明される用語の単一の、複数の、及び全てのもののうちの何れか示す可能性がある。前後、左右、トップとボトム、上位と下位、垂直と水平、に対する何らかの言及は、説明の便宜のために意図されており、本システム及び方法又はそれらの構成要素を、何れか1つの位置又は空間的な方向に限定するようには意図されていない。従って、前述の説明及び図面は、単なる例示であるに過ぎず、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の適切な構成から決定されるべきである。



図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
【国際調査報告】