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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】感光素子
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20221007BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
G02B5/20
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507424
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 EP2020071652
(87)【国際公開番号】W WO2021023655
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】19190096.8
(32)【優先日】2019-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517338412
【氏名又は名称】ネクスドット
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ダミコ,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】クンツマン,アレクシス
(72)【発明者】
【氏名】リン,ユ-プ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァカリン,ヴラディスラヴ
【テーマコード(参考)】
2H148
4M118
【Fターム(参考)】
2H148AA07
2H148AA09
2H148AA14
2H148AA18
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA10
4M118CA02
4M118CB11
4M118GC09
4M118GC17
4M118GC20
4M118HA25
(57)【要約】
本発明は、基板およびその基板上に分散されたハイパスフィルタである半導体ナノ粒子を含む感光素子に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子であって、前記基板は少なくとも1つの光センサを含み、前記半導体ナノ粒子はUV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタであり、かつ前記感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む感光素子。
【請求項2】
前記半導体ナノ粒子は、10000nm未満かつ100nm超の厚さで前記基板上に堆積されており、かつ前記感光素子における半導体ナノ粒子の体積分率は10%~90%の範囲である、請求項1に記載の感光素子。
【請求項3】
前記半導体ナノ粒子は1μm未満の最長寸法を有する、請求項1または2に記載の感光素子。
【請求項4】
前記半導体ナノ粒子は無機であり、好ましくは前記半導体ナノ粒子は、式:M(式中、MはZn、Cd、Hg、Cu、Ag、Au、Ni、Pd、Pt、Co、Fe、Ru、Os、Mn、Tc、Re、Cr、Mo、W、V、Nd、Ta、Ti、Zr、Hf、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Csからなる群から選択され、QはZn、Cd、Hg、Cu、Ag、Au、Ni、Pd、Pt、Co、Fe、Ru、Os、Mn、Tc、Re、Cr、Mo、W、V、Nd、Ta、Ti、Zr、Hf、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Csからなる群から選択され、EはO、S、Se、Te、C、N、P、As、Sb、F、Cl、Br、Iからなる群から選択され、AはO、S、Se、Te、C、N、P、As、Sb、F、Cl、Br、Iからなる群から選択され、かつx、y、zおよびwは独立して0~5の有理数であり、x、y、zおよびwは同時に0に等しくなく、xおよびyは同時に0に等しくなく、zおよびwは同時に0に等しくない)の材料を含む半導体ナノ結晶である、請求項1~3のいずれか1項に記載の感光素子。
【請求項5】
前記半導体ナノ粒子は25ナノメートル超の最長寸法を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光素子。
【請求項6】
前記半導体ナノ粒子は、それらの最長寸法が所定の方向に実質的に整列された状態で堆積されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の感光素子。
【請求項7】
前記ナノ粒子は、3000nm未満かつ200nm超の厚さで堆積されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光素子。
【請求項8】
前記半導体ナノ粒子は近赤外領域においてカットオフ波長を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の感光素子。
【請求項9】
前記半導体ナノ粒子は、マトリックス、好ましくは無機マトリックスに封入された吸収性半導体ナノ粒子を含む複合ナノ粒子である、請求項1~7のいずれか1項に記載の感光素子。
【請求項10】
前記パターンは周期的であり、かつ前記パターンの繰り返し単位は100マイクロメートル未満の最小寸法を有し、かつ少なくとも2つの画素を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の感光素子。
【請求項11】
前記パターンは二次元において周期的であり、好ましくは前記パターンは長方格子または正方格子である、請求項9に記載の感光素子。
【請求項12】
前記少なくとも2つの画素の第1の画素上の半導体ナノ粒子は前記少なくとも2つの画素の第2の画素上の半導体ナノ粒子とは異なる、請求項9または10に記載の感光素子。
【請求項13】
基板と、前記基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のためのプロセスであって、
i)エレクトレット膜を用意する工程と、
ii)前記パターンに従って前記エレクトレット膜上に表面電位を書き込む工程と、
iii)前記エレクトレット膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる工程と、
iv)前記膜を光センサシート上に移動させて前記基板を得る工程と
を含み、
前記感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含むプロセス。
【請求項14】
基板と、前記基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のためのプロセスであって、前記パターンは2つのサブパターンを含み、前記プロセスは、
i)エレクトレット膜を用意する工程と、
ii)第1のサブパターンに従って前記エレクトレット膜上に表面電位を書き込む工程と、
iii)前記エレクトレット膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる工程と、
iv)前記エレクトレット膜およびその上に堆積された半導体ナノ粒子を乾燥させて中間構造を形成する工程と、
v)第2のサブパターンに従って表面電位を前記中間構造上に書き込む工程と、
vi)前記エレクトレット膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタであり、かつ工程iii)で使用されるものとは異なる半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる工程と、
vii)前記膜を光センサシート上に移動させて前記基板を得る工程と
を含み、
前記感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含むプロセス。
【請求項15】
基板と、前記基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のためのプロセスであって、
i)膜を用意する工程と、
ii)前記パターンに従って前記膜上に表面電位を誘導する工程と、
iii)表面電位が維持されている間に、前記膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる工程と、
iv)前記膜を光センサシート上に移動させて前記基板を得る工程と
を含み、
前記感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含むプロセス。
【請求項16】
基板と、前記基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のためのプロセスであって、前記パターンは2つのサブパターンを含み、前記プロセスは、
i)膜を用意する工程と、
ii)第1のサブパターンに従って前記膜上に表面電位を誘導する工程と、
iii)表面電位が維持されている間に、前記膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる工程と、
iv)前記膜およびその上に堆積された半導体ナノ粒子を乾燥させて中間構造を形成する工程と、
v)第2のサブパターンに従って表面電位を前記中間構造上で誘導する工程と、
vi)表面電位が維持されている間に、前記膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタであり、かつ工程iii)で使用されるものとは異なる半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる工程と、
vii)前記膜を光センサシート上に移動させて前記基板を得る工程と
を含み、
前記感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含むプロセス。
【請求項17】
基板と、前記基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のためのプロセスであって、
i)膜を用意する工程と、
ii)前記パターンに従って、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系を前記膜上にインクジェットする工程と、
iii)前記膜を光センサシート上に移動させて前記基板を得る工程と
を含み、
前記感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含むプロセス。
【請求項18】
基板と、前記基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のためのプロセスであって、
i)少なくとも1つの光センサを含む基板を用意する工程と、
ii)前記パターンに従って、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系を前記基板上にインクジェットする工程と
を含み、
前記感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含むプロセス。
【請求項19】
基板と、前記基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子を備えた画像センサであって、前記基板は少なくとも1つの光センサを含み、前記半導体ナノ粒子はUV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタであり、かつ前記感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む画像センサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光センサの分野に関する。特に本発明は感光素子、感光素子を作製するためのプロセスおよび画像センサに関する。
【背景技術】
【0002】
光の色をその全ての多様な色で測定するために、典型的には光を3つの補色成分、特に赤色、緑色および青色に分解する。これらの成分は加算合成による色のさらなる回復を可能にする。
【0003】
光センサは、正確な色を捕捉するために高い選択性を示すものでなければならない。通常の光センサは、半導体材料、典型的には半導体電荷結合素子を使用して光を電荷に変換する。赤色、緑色および青色を別々に検出するために、べイヤーフィルタとして構造化された吸収層を半導体材料の上に堆積させる。そのようなフィルタを用いる場合、画素として知られている隣接する領域が画定され、各画素はセンサに到達している光の一部を吸収する。適当な信号処理により、入ってくる光の色成分が決定される。
【0004】
べイヤーフィルタは非常に多くの場合に、光造形プロセスによって堆積された有機染料からなる。本質的に有機染料は、光センサの選択性を制限する広い吸収帯を有する。またこれらの染料を非常に正確なパターンで堆積させることは難しく、光センサの感度および解像度を低下させる。
【0005】
一般に「量子ドット」と呼ばれる半導体ナノ粒子は光吸収材料として知られている。この物体は、紫外から、UV、可視または近赤外光領域内の十分に明確に境界が定められた波長までの波長領域にわたる広い吸収スペクトルを有するため、ハイパスフィルタである。それらは、半導体のバンドギャップエネルギーよりも低いエネルギーを有する全ての光を吸収しないが、半導体のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーを有するUV-可視-NIRスペクトルの一部における全ての光を吸収することができる。このようにして非常に効率的なハイパス光学フィルタが得られる。
【0006】
しかしそのような半導体ナノ粒子を十分に制御されたサイズ、すなわちナノ粒子堆積サイズおよび/またはパターンサイズを有するパターンで分散させることは、いまだ対処されていない課題である。
【0007】
従って本発明の目的は、画像センサ(可視光用)または赤外線センサ(認識装置用)のような様々な光センサのための基礎ブリックとして使用することができる、十分に制御されたパターンを有する感光素子を提供することにある。
【発明の概要】
【0008】
従って本発明は、基板と、その基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子であって、当該基板は少なくとも1つの光センサを含み、半導体ナノ粒子はUV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタであり、かつ本感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む感光素子(a light sensitive device)に関する。
【0009】
一実施形態によれば、半導体ナノ粒子は、10000nm未満かつ100nm超の厚さで基板上に堆積されており、かつ本感光素子における半導体ナノ粒子の体積分率は10%~90%の範囲である。
【0010】
一実施形態によれば、半導体ナノ粒子は1μm未満の最長寸法を有する。
【0011】
一実施形態によれば、半導体ナノ粒子は無機であり、好ましくは半導体ナノ粒子は、式:M(式中、MはZn、Cd、Hg、Cu、Ag、Au、Ni、Pd、Pt、Co、Fe、Ru、Os、Mn、Tc、Re、Cr、Mo、W、V、Nd、Ta、Ti、Zr、Hf、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Csからなる群から選択され、QはZn、Cd、Hg、Cu、Ag、Au、Ni、Pd、Pt、Co、Fe、Ru、Os、Mn、Tc、Re、Cr、Mo、W、V、Nd、Ta、Ti、Zr、Hf、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Csからなる群から選択され、EはO、S、Se、Te、C、N、P、As、Sb、F、Cl、Br、Iからなる群から選択され、AはO、S、Se、Te、C、N、P、As、Sb、F、Cl、Br、Iからなる群から選択され、かつx、y、zおよびwは独立して0~5の有理数であり、x、y、zおよびwは同時に0に等しくなく、xおよびyは同時に0に等しくなく、zおよびwは同時に0に等しくない)の材料を含む半導体ナノ結晶である。
【0012】
一実施形態によれば、半導体ナノ粒子は25ナノメートル超の最長寸法を有する。
【0013】
一実施形態によれば、半導体ナノ粒子は、それらの最長寸法が所定の方向に実質的に整列された状態で堆積されている。
【0014】
一実施形態によれば、ナノ粒子は、10000nm未満かつ100nm超、好ましくは3000nm未満かつ200nm超の厚さで堆積されている。
【0015】
一実施形態によれば、半導体ナノ粒子は近赤外領域においてカットオフ波長を有する。
【0016】
一実施形態によれば、半導体ナノ粒子は、マトリックス、好ましくは無機マトリックスに封入された吸収性半導体ナノ粒子を含む複合ナノ粒子である。
【0017】
一実施形態によれば、当該パターンは周期的であり、かつ当該パターンの繰り返し単位は500マイクロメートル未満の最小寸法を有し、かつ少なくとも2つの画素を含む。特定の構成では、当該パターンは二次元において周期的であり、好ましくは当該パターンは長方格子または正方格子である。別の特定の構成では、少なくとも2つの画素の第1の画素上の半導体ナノ粒子は少なくとも2つの画素の第2の画素上の半導体ナノ粒子とは異なる。
【0018】
本発明は、基板と、その基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のための第1のプロセスであって、
i)エレクトレット膜を用意する工程と、
ii)当該パターンに従ってエレクトレット膜上に表面電位を書き込む工程と、
iii)エレクトレット膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる工程と、
iv)当該膜を光センサシート上に移動させて当該基板を得る工程と
を含み、
本感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む第1のプロセスにも関する。
【0019】
本発明は、基板と、その基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のための第2のプロセスであって、当該パターンは2つのサブパターンを含み、第2のプロセスは、
i)エレクトレット膜を用意する工程と、
ii)第1のサブパターンに従ってエレクトレット膜上に表面電位を書き込む工程と、
iii)エレクトレット膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる工程と、
iv)エレクトレット膜およびその上に堆積された半導体ナノ粒子を乾燥させて中間構造を形成する工程と、
v)第2のサブパターンに従って中間構造上に表面電位を書き込む工程と、
vi)エレクトレット膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタであり、かつ工程iii)で使用されるものとは異なる半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる工程と、
vii)当該膜を光センサシート上に移動させて当該基板を得る工程と
を含み、
本感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む第2のプロセスにも関する。
【0020】
本発明は、基板と、その基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のための第3のプロセスであって、
i)膜を用意する工程と、
ii)当該パターンに従って当該膜上に表面電位を誘導する工程と、
iii)表面電位が維持されている間に、当該膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる工程と、
iv)当該膜を光センサシート上に移動させて当該基板を得る工程と
を含み、
本感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む第3のプロセスにも関する。
【0021】
本発明は、基板と、その基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のための第4のプロセスであって、当該パターンは2つのサブパターンを含み、第4のプロセスは、
i)膜を用意する工程と、
ii)第1のサブパターンに従って当該膜上に表面電位を誘導する工程と、
iii)表面電位が維持されている間に、当該膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる工程と、
iv)当該膜およびその上に堆積された半導体ナノ粒子を乾燥させて中間構造を形成する工程と、
v)第2のサブパターンに従って中間構造上に表面電位を誘導する工程と、
vi)表面電位が維持されている間に、エレクトレット膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタであり、かつ工程iii)で使用されるものとは異なる半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる工程と、
vii)当該膜を光センサシート上に移動させて当該基板を得る工程と
を含み、
本感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む第4のプロセスにも関する。
【0022】
本発明は、基板と、その基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のための第5のプロセスであって、
i)膜を用意する工程と、
ii)当該パターンに従って、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系を当該膜上にインクジェットする工程と、
iii)当該膜を光センサシート上に移動させて当該基板を得る工程と
を含み、
本感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む第5のプロセスにも関する。
【0023】
本発明は、基板と、その基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のための第6のプロセスであって、
i)少なくとも1つの光センサを含む基板を用意する工程と、
ii)当該パターンに従って、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系を当該基板上にインクジェットする工程と
を含み、
本感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む第6のプロセスにも関する。
【0024】
本発明はさらに、基板と、その基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子を含む画像センサであって、当該基板は少なくとも1つの光センサを含み、半導体ナノ粒子はUV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタであり、かつ本感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む画像センサに関する。
【0025】
定義
本発明では、以下の用語は以下の意味を有する。
【0026】
「約(about)」は本明細書では、「およそ(approximately)」、「大まかに(roughly)」、「大体(around)」または「ほぼ(in the region of)」を意味するために光の波長に関して使用される。「約」という用語は、数値範囲と共に使用される場合は記載されている数値の上下の境界を拡大させることによりその範囲を修正する。一般に「約」という用語は本明細書では、数値を記載されている値の上下±5%で修正するために使用される。
【0027】
「アスペクト比」は異方性粒子の特徴である。異方性粒子は、そのうちの1つが最長であり、かつそのうちの1つが最短である3つの特徴的寸法を有する。異方性粒子のアスペクト比は最長寸法を最短寸法で割った比である。アスペクト比は必ず1よりも大きい。例えば図2に示されているように、長さL=30nm、幅W=20nmおよび厚さT=10nmのナノ粒子は、L/T=3のアスペクト比を有する。形状係数はアスペクト比の異名である。
【0028】
「青色領域」は、400nm~500nmの波長領域を指す。
【0029】
「コロイド状」は、その中に粒子が分散すなわち懸濁されており、かつ沈殿、凝結または凝集しないか、あるいは目に見えるほどに沈殿するのに非常に長い時間を要するがその物質に可溶性でない物質を指す。
【0030】
「コロイド状ナノ粒子」は、別の物質、典型的には水性もしくは有機溶媒中に分散すなわち懸濁させることができ、かつ沈殿、凝結または凝集しないか、あるいは目に見えるほどに沈殿するのに非常に長い時間を要し、かつその物質に可溶性でないナノ粒子を指す。「コロイド状ナノ粒子」は基板上で成長される粒子は指さない。
【0031】
「コア/シェル」は、その表面がコアとは異なる少なくとも1種の原子の厚い材料の膜または層(シェル)で完全もしくは部分的に覆われている内側部分(コア)を含む不均質なナノ構造を指す。コア/シェル構造はコア材料/シェル材料のように記載される。例えば、CdSeのコアおよびZnSのシェルを含む粒子はCdSe/ZnSと記載される。さらに言うと、コア/シェル/シェル構造は、コア/第1のシェル構造が、それらの表面にコアおよび/または第1のシェルとは異なる少なくとも1種の原子の厚い材料の膜または層(第2のシェル)によって完全もしくは部分的に覆われているものとして定められる。例えば、CdSe0.450.55のコア、Cd0.80Zn0.20Sの第1のシェルおよびZnSの第2のシェルを含む粒子は、CdSe0.450.55/Cd0.80Zn0.20S/ZnSと記載される。
【0032】
「エレクトレット」は、外部の電界なしに長期間にわたってゼロ以外の分極密度を有することができる材料を指す(すなわち、当該材料は電気双極子モーメントを含む)。分極密度は、分極密度を発生させる電荷を材料に注入することによって生じさせてもよい。エレクトレット材料において分極密度の損失はゆっくりであり(導電体と比較した場合)、典型的には数十秒から数十分である。本発明の目的のために、分極の安定性は1分超でなければならない。
【0033】
「蛍光」は、光の吸収によって励起された後に光を放出する材料の性質を指す。実際には、光の吸収は励起状態において当該材料を駆動し、この励起状態は最終的により低いエネルギー、すなわちより長い波長の光の放出によって緩和する。
【0034】
「FWHM」は、光の放出/吸収帯の半値全幅を指す。
【0035】
「緑色領域」は、500nm~600nmの波長領域を指す。
【0036】
「ハイパスフィルタ」は、「カットオフ波長」として知られている所与の波長未満の全ての波長を吸収し、かつ当該カットオフ波長以上の全ての波長を吸収しない光学フィルタ、すなわちここでは吸収フィルタを指す。ここでは「吸収しない」とは、光学フィルタの吸収が5%未満、好ましくは3%未満、より好ましくは1%未満であることを意味する。
【0037】
「IR」は「赤外線」を表し、780nm~15000nmの範囲の波長の光を指す。
【0038】
「LWIR」は「長波長赤外線」を表し、8000nm~15000nmの範囲の波長の光を指す。
【0039】
「M」は、z個のEの元素に対してx個のMの元素の化学量論を有する、化学元素Mおよび化学元素Eからなる材料を指し、xおよびzは独立して0~5の10進数であり、xおよびzは同時に0に等しくない。Mの化学量論は厳密にx:zに限定されず、ナノ粒子のナノメートルのサイズ、結晶面効果および潜在的にドーピングにより組成において僅かなばらつきを含む。実際には、Mは、x-5%~x+5%の原子組成中のM含有量を有し、z-5%~z+5%の原子組成中のE含有量を有し、かつ0.001%~5%でMまたはEとは異なる化合物の原子組成を有する材料を定める。同じ原理が4つの化学元素のうちの3つからなる材料に当てはまる。
【0040】
「MWIR」は「中波長赤外線」を表し、3000nm~8000nmの範囲の波長の光を指す。
【0041】
「ナノ粒子」は、0.1~100ナノメートルの範囲の少なくとも1つの寸法を有する粒子を指す。ナノ粒子はどんな形状を有していてもよい。ナノ粒子は単一粒子であってもいくつかの単一粒子の凝集体であってもよく、あるいはマトリックス中に分散されている単一粒子を含む複合粒子であってもよい。単一粒子は結晶質であってもよい。単一粒子はコア/シェルまたはプレート/クラウン構造を有していてもよい。
【0042】
「ナノプレートレット」は2D形状を有するナノ粒子、すなわち2つのそれ以外の寸法よりも小さい1つの寸法を有し、その小さい寸法は0.1~100ナノメートルの範囲であるナノ粒子を指す。本発明の意味では、最小寸法(本明細書では厚さと呼ぶ)は他の2つの寸法(本明細書では長さおよび幅と呼ぶ)よりも少なくとも1.5の倍率(アスペクト比)で小さい。場合によっては、ナノプレートレットの構造は正確な数の原子の単層により定められ、「ME n単層」と記載され、ここでは単層はアニオン性化合物(-)の1つの層およびカチオン性化合物(+)の1つの層である。またナノプレートレットの外層は常にカチオン性化合物(+)の層である。例えば「CdSe0.850.15 4単層」は、全体としてCdSe0.850.15の化学量論的組成を有する9つの層、すなわち(+)(-)(+)(-)(+)(-)(+)(-)(+)の交互に配置されたカチオン性化合物(Cd)の5つの層およびアニオン性化合物(原子組成において85%のSeおよび15%のSの混合物)の4つの層から形成されたナノプレートレットを定める。単層の数は実際にはナノプレートレットの正確な厚さを定める。
【0043】
「NIR」は「近赤外」を表し、780nm~1400nmの範囲の波長の光を指す。
【0044】
「光透過性」は、200nm~2500nm、200nm~2000nm、200nm~1500nm、200nm~1000nm、200nm~800nm、400nm~700nm、400nm~600nmまたは400nm~470nmの波長の光の10%、5%、1%または0.5%未満を吸収する材料を指す。
【0045】
「周期的パターン」は、その上の幾何学的要素が規則的に繰り返されており、繰り返しの長さが周期である表面の構成を指す。格子は特定の周期的パターンである。
【0046】
「光センサ」は、光信号すなわち入射フォトンを電気信号すなわち1つまたはいくつかの電子に変換することができる素子を指す。典型的な光センサは半導体で作られている。光センサはフォトダイオードまたは電荷結合素子(CCD)であってもよい。
【0047】
「画素」は繰り返し単位における幾何学的領域を指す。さらに言うと、ナノ粒子が当該領域上にあり、かつ材料の体積を形成している場合、この体積も画素である。特に画素は繰り返し単位のサブユニットであってもよい。
【0048】
「赤色領域」は600nm~780nmの波長領域を指す。
【0049】
「繰り返し単位」は、周期的パターンで繰り返されている単一の幾何学的要素を指す。
【0050】
「SWIR」は「短波長赤外線」を表し、1400nm~3000nmの範囲の波長の光を指す。
【0051】
「UV」は10nm~380nmの範囲の波長の光を指す。特にUVAは315nm~380nmのUVの部分範囲を指す。
【0052】
「UVA-可視-NIR」は315nm~1400nmの範囲の波長の光を指す。
【0053】
「可視」は380nm~780nmの範囲の波長の光を指す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下の詳細な説明は図面と共に読んだ場合により良く理解される。例示のために、光センサが好ましい実施形態で示されている。但し当然のことながら、本出願は図示されている正確な配置、構造、特徴、実施形態および態様に限定されない。図面は縮尺どおりに描かれておらず、かつ特許請求の範囲を描写されている実施形態に限定することは意図されていない。従って当然のことながら、添付の特許請求の範囲において言及されている特徴に符号が付されている場合、そのような符号は特許請求の範囲の理解度を高めるためにのみ含まれており、決して特許請求の範囲を限定するものではない。
【0055】
本発明は、基板と、その基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子に関する。本発明において基板は、本感光素子に入ってくる光に対応する信号を捕捉するのを可能にする少なくとも1つの光センサを含む。光センサは基板の表面にあっても層によって覆われていてもよく、好ましくは当該層はエレクトレット材料である。本感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超、好ましくは7×10ナノ粒子.cm-2超、より好ましくは1×1010ナノ粒子.cm-2超、最も好ましくは1×1012ナノ粒子.cm-2超、さらに最も好ましくは5×1014ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む。画素における表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度は、画素における体積当たりの「半導体ナノ粒子の数」×「画素上の半導体ナノ粒子の層の厚さ」を指す。高密度の半導体ナノ粒子は、半導体ナノ粒子間の密な接触を可能にし、当該膜の導電性を高めるため好ましい。高密度の半導体ナノ粒子は当該膜がより均一で緻密であり、かつクラックを含まないという理由からも好ましい。高密度の半導体ナノ粒子は高いEQE(外部量子効率)、特に5%超、好ましくは10%超、より好ましくは20%超のEQEを可能にするという理由からも好ましい。実際には同様の厚さでは、高密度な膜はより大きい吸光断面を有し、従ってより高いEQEを有する。
【0056】
本感光素子の一実施形態が図1に示されている。
【0057】
別の実施形態では、画素は、少なくとも3×1014ナノ粒子.cm-3、好ましくは少なくとも5×1014ナノ粒子.cm-3、より好ましくは少なくとも5×1017ナノ粒子.cm-3、最も好ましくは少なくとも1×1020ナノ粒子.cm-3を含む。
【0058】
本実施形態では、基板上の半導体ナノ粒子は、10000nm未満かつ100nm超の厚さを有する層を形成し、すなわち半導体ナノ粒子は、3000nm未満かつ200nm超の厚さで基板に堆積されており、かつ本感光素子における半導体ナノ粒子の体積分率は10%~90%、好ましくは20%~90%、より好ましくは30%~90%、最も好ましくは50%~90%の範囲である。
【0059】
本実施形態では、半導体ナノ粒子は1μm未満、好ましくは800nm未満、より好ましくは500nm未満、最も好ましくは100nm未満の最長寸法を有する。
【0060】
特定の実施形態では、当該パターンの繰り返し単位は少なくとも1つの画素を含み、かつ当該画素は、5×10ナノ粒子.cm-2超、好ましくは7×10ナノ粒子.cm-2超、より好ましくは1×1010ナノ粒子.cm-2超、最も好ましくは1×1012ナノ粒子.cm-2超、さらに最も好ましくは5×1014ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む。
【0061】
好適なエレクトレット材料は、ポリマー、例えばフッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリパラキシリレン(PPX)、フッ素化パリレンおよび非晶形のフッ素化ポリマーから選択されてもよい。
【0062】
他の好適なエレクトレット材料は、無機材料、例えば酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(Si)、酸化アルミニウム(Al)または公知のドーパント原子(例としてNa、S、Se、B)によりドープされた他のミネラルガラスから選択されてもよい。
【0063】
例えば、100nmのポリメタクリル酸メチル(PMMA)ポリマーの薄い層を含む任意にドープされたシリコンの層は基板として好適である。
【0064】
別の実施形態では、基板は、半導電性もしくは導電性支持体上に移動させるように構成された軟質材料、例えば非導電性ポリマー材料、好ましくはエレクトレット材料である。「移動させる」とは、半導電性もしくは導電性支持体上に当該軟質材料を含む構造を得るあらゆる方法を意味する。「移動」は基板と支持体との間にどんな材料も含まない直接的なものであってもよく、すなわちこれは基板と支持体との直接接触である。「移動」は基板と支持体との間に接着剤、好ましくは導電性接着剤を使用してもよい。「移動」は中間担体を使用してもよい。本実施形態は、要求に応じて切断され、かつ半導電性もしくは導電性支持体上に支持される前に暫くの間貯蔵することができる大型の基板の作製を可能にする。
【0065】
本実施形態では、好ましい基板は100nm~500nmの厚さを有するPMMAの層の下にある光センサのアレイである。
【0066】
一実施形態によれば、半導体ナノ粒子は1.5超のアスペクト比を有する。いくつかの実施形態では、半導体ナノ粒子は1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20超のアスペクト比を有する。半導体ナノ粒子は卵形形状、円板形状、円筒形状、ファセット形状、六角形状、三角形状または小板形状を有していてもよい。半導体ナノ粒子は1D形状(円筒形状)または2D形状(小板形状)を有していてもよい。
【0067】
一実施形態によれば、半導体ナノ粒子は例えば量子ドットまたは複合粒子(以下に記載されている)などの球状形状を有していてもよく、すなわち半導体ナノ粒子は3D形状を有していてもよい。
【0068】
本発明において、半導体ナノ粒子はUV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである。そのような吸収スペクトルは本感光素子に入ってくる光のより正確な特性評価を可能にし、測定正確性を高める。場合によっては、吸収性ナノ粒子は蛍光ナノ粒子である。蛍光は光センサによって捕捉され、誤った測定値を与えるため、本発明において蛍光は望ましくない。特定の実施形態では、半導体ナノ粒子は蛍光性ではない。別の特定の実施形態では、半導体ナノ粒子は蛍光を回避するために失活剤または特定の表面処理により修飾されている。
【0069】
実際にはそのようなハイパスフィルタを用いる場合、光センサに入ってくる光を光の色成分に対応するいくつかの波長帯に分けてもよい。例えば第1の光センサはフィルタを用いずに、すなわちセンサの全検出範囲、例えば可視光では380nm~780nmの入ってくる光を受け取るものであってもよい。故にUV-A光に関連する信号を回避するために、特定のUVフィルタをこのセンサの上に適用してもよい。半導体ナノ粒子の下に位置していない光センサの上にUV-Aフィルタを設けるために、本発明の感光素子においてUV-A吸収基板を選択してもよい。
【0070】
次いで第2の光センサは、500nmのカットオフ波長を有するハイパスフィルタを通して入ってくる光を受け取るものであってもよい。第1の光センサおよび第2の光センサからの信号の違いは、入ってくる光の青色成分の直接的な測定である。600nmのカットオフ波長を有する第3の光センサを用いる場合、入ってくる光の緑色成分は第2および第3の光センサ間の信号の違いから推定してもよい。カットオフ波長の適当な選択により、通常は3つの色成分、すなわち青色、緑色および赤色の分解、最終的には特に入ってくる光の赤外線成分を含めるために4色以上の入ってくる光の分解を可能にする。
【0071】
一実施形態によれば、半導体ナノ粒子は無機であり、特に半導体ナノ粒子は、 式:M(I)
の材料を含む半導体ナノ結晶であってもよく、
式中、
MはZn、Cd、Hg、Cu、Ag、Au、Ni、Pd、Pt、Co、Fe、Ru、Os、Mn、Tc、Re、Cr、Mo、W、V、Nd、Ta、Ti、Zr、Hf、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Csからなる群から選択され、
QはZn、Cd、Hg、Cu、Ag、Au、Ni、Pd、Pt、Co、Fe、Ru、Os、Mn、Tc、Re、Cr、Mo、W、V、Nd、Ta、Ti、Zr、Hf、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Csからなる群から選択され、
EはO、S、Se、Te、C、N、P、As、Sb、F、Cl、Br、Iからなる群から選択され、
AはO、S、Se、Te、C、N、P、As、Sb、F、Cl、Br、Iからなる群から選択され、かつ
x、y、zおよびwは独立して0~5の有理数であり、x、y、zおよびwは同時に0に等しくなく、xおよびyは同時に0に等しくなく、zおよびwは同時に0に等しくない。好ましくは、半導体ナノ粒子はいわゆる量子ドットであり、すなわち材料中の電子-正孔対のボーア半径よりも小さいそれらの寸法のうちの1つを有する半導体ナノ粒子である。
【0072】
本明細書では、式:M(I)およびMは同義で使用することができる(式中、QまたはNは、Zn、Cd、Hg、Cu、Ag、Au、Ni、Pd、Pt、Co、Fe、Ru、Os、Mn、Tc、Re、Cr、Mo、W、V、Nd、Ta、Ti、Zr、Hf、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Csからなる群から選択される)。
【0073】
一実施形態では、半導体ナノ粒子はInGaN/GaNを含まない。
【0074】
一実施形態では、半導体ナノ粒子は、IV属、IIA-VIA族、IIIA-VIA族、IA-IIIA-VIA族、IIA-VA族、IVA-VIA族、VIB-VIA族、VB-VIA族、IVB-VIA族またはそれらの混合物からなる群から選択される半導体材料を含む。
【0075】
本実施形態の具体的な構成では、半導体ナノ結晶はホモ構造を有する。ホモ構造とは、各粒子が均質であり、かつ全てのその体積において同じ局所組成を有することを意味する。言い換えると、各粒子はシェルを含まないコア粒子である。
【0076】
本実施形態の具体的な構成では、半導体ナノ結晶はコア/シェル構造を有する。コアは上に定義されている式:Mの材料を含む。シェルは、 式:M’x’Q’y’E’z’A’w’(II)
の材料などの上に定義されている式:Mのコアとは異なる材料を含み、
式中、
M’は、Zn、Cd、Hg、Cu、Ag、Au、Ni、Pd、Pt、Co、Fe、Ru、Os、Mn、Tc、Re、Cr、Mo、W、V、Nd、Ta、Ti、Zr、Hf、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Csからなる群から選択され、
Q’は、Zn、Cd、Hg、Cu、Ag、Au、Ni、Pd、Pt、Co、Fe、Ru、Os、Mn、Tc、Re、Cr、Mo、W、V、Nd、Ta、Ti、Zr、Hf、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb、Bi、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Csからなる群から選択され、
E’はO、S、Se、Te、C、N、P、As、Sb、F、Cl、Br、Iからなる群から選択され、
A’はO、S、Se、Te、C、N、P、As、Sb、F、Cl、Br、Iからなる群から選択され、かつx’、y’、z’およびwは独立して0~5の10進数であり、x’、y’、z’およびw’は同時に0に等しくなく、x’およびy’は同時に0に等しくなく、z’およびw’は同時に0に等しくなくてもよい。
【0077】
本実施形態のより具体的な構成では、半導体ナノ結晶はコア/第1のシェル/第2のシェル構造(すなわち、コア/シェル/シェル構造)を有する。コアは上に定義されている式:Mの材料を含む。第1のシェルは上に定義されている式:Mのコアとは異なる材料を含む。第2のシェルは、例えば同じまたは異なる厚さなどの第1のシェルと同じ特徴またはそれとは異なる特徴を有して第1のシェルの上に部分的もしくは完全に堆積されている。第2のシェルの材料は第1のシェルの材料および/またはコアの材料とは異なる。類推によって、3つまたは4つのシェルを有する構造を調製してもよい。
【0078】
本実施形態の具体的な構成では、半導体ナノ結晶はコア/クラウン構造を有する。シェルに関する実施形態は、材料の組成、厚さ、特性、層の数に関して必要な変更を加えてクラウンに適用する。
【0079】
本実施形態の構成では、半導体ナノ粒子はコロイド状ナノ粒子である。
【0080】
本実施形態の構成では、半導体ナノ粒子は電気的に中性である。電気的に中性の半導体ナノ粒子を用いる場合、特に堆積が電気分極によって駆動される場合には基板上で堆積を管理するのはより容易である。
【0081】
本実施形態の構成では、半導体ナノ粒子は、CdSe 4単層、CdTe 3単層、CdSe(1-x) 4単層、CdSe(1-x) 5単層、CdZn(1-x)S 4単層、CdZn(1-x)S 5単層、CdSe(1-x)/ZnS 3単層、CdSe(1-x)/ZnS 4単層、CdSe(1-x)/ZnS 5単層、CdSe(1-x)/ZnSe 3単層、CdSe(1-x)/ZnSe 4単層、CdSe(1-x)/ZnSe 5単層、CdSe(1-x)/CdZn(1-y)S 3単層、CdSe(1-x)/CdZn(1-y)S 4単層、CdSe(1-x)/CdZn(1-y)nS 5単層、InP/ZnS、InP/CdZn(1-x)S、InP/ZnSe/ZnS、InP/CdZn(1-x)S/ZnS、InP/ZnSe/ZnS、InP/ZnSe(1-x)/ZnS、InP/CdZn(1-x)S/ZnSe、InP/ZnSe、InP/CdZn(1-x)Se、InP/CdZn(1-x)Se/ZnS、InP/ZnSe(1-x)(式中、x、yおよびzは0(含まれない)~1(含まれない)の有理数である)から選択され、かつ青色領域と緑色領域との間の限界である約500nmのカットオフ波長を有する。好適な半導体ナノ粒子は1.2nmの厚さならびに約25nmおよび10nmの横寸法を有するCdSe0.850.15 4単層である。
【0082】
本実施形態の構成では、半導体ナノ粒子は、CdSe 7単層、CdSe/CdTe 7単層型コア/クラウン、CdSe(1-x) 4単層、CdSe(1-x) 5単層、CdSe(1-x)/ZnS 4単層、CdSe(1-x)/ZnS 5単層、CdSe(1-x)/ZnSe 4単層、CdSe(1-x)/ZnSe 5単層、CdSe(1-x)/CdZn(1-y)S 4単層、CdSe(1-x)/CdZn(1-y)nS 5単層、CdSe(1-x)/CdS 4単層、CdSe(1-x)/CdS 5単層、InP/ZnS、InP/CdZn(1-x)S、InP/ZnSe/ZnS、InP/CdZn(1-x)S/ZnS、InP/ZnSe/ZnS、InP/ZnSe(1-x)/ZnS、InP/CdZn(1-x)S/ZnSe、InP/ZnSe、InP/CdZn(1-x)Se、InP/CdZn(1-x)Se/ZnS、InP/ZnSe(1-x)(式中、x、yおよびzは0(含まれない)~1(含まれない)の有理数である)から選択され、かつ緑色領域と赤色領域との間の限界である約600nmのカットオフ波長を有する。好適な半導体ナノ粒子は、5.2nmの厚さ(コア厚:4単層に対応する1.2nmのコアおよびシェル厚:2nmのシェル)ならびに約27nmおよび12nmの横寸法を有するCdSe0.800.20/CdS 4単層である。
【0083】
本実施形態の構成では、半導体ナノ粒子は、PbS、PbSe、PbTe、PbS/CdS、PbS/ZnS、PbS/CdZn(1-x)S、PbS/CdSe、PbS/ZnSe、PbSe/CdS、PbSe/ZnS、PbSe/CdZn(1-x)S、PbSe/CdSe、PbSe/ZnSe、PbTe/CdS、PbTe/ZnS、PbTe/CdZn(1-x)S、PbTe/CdSe、PbTe/ZnSe、HgSe、HgS、HgTe、AhSe、AgS、HgTe、CuInS、CuInSe(式中、x、yおよびzは0(含まれない)~1(含まれない)の有理数である)から選択され、かつ赤色領域とNIR範囲との間の限界である約780nmのカットオフ波長を有する。好適な半導体ナノ粒子は、1.1nmの厚さならびに約200nmおよび100nmの横寸法を有するHgTe 3単層である。
【0084】
一実施形態によれば、半導体ナノ粒子は25ナノメートル超、好ましくは35nm超、より好ましくは50nm超の最長寸法を有する。実際には、最長寸法に沿った25nm超のサイズは特に、大きい半導体ナノ粒子のために引力がより効率的である誘電条件下での基板上への半導体ナノ粒子の堆積のために好ましい。
【0085】
その上、異方性と最長寸法に沿った25nm超のサイズとの組み合わせは、特にエレクトロローテーション現象が生じる誘電条件下での基板上への半導体ナノ粒子の堆積のために、より詳細には指向的な堆積のために好ましい。
【0086】
本実施形態の特定の態様では、半導体ナノ粒子はそれらの最長寸法が所定の方向に実質的に整列された状態で基板上にある。半導体ナノ粒子のそのような配向により、2つの利点を有する緻密な堆積が可能になる。第一に、同じ量の堆積された半導体ナノ粒子で堆積の厚さが減少し、薄い電界発光膜は製造上の理由のために望ましい。第二に、緻密な堆積により、感光素子に入ってくる光が吸収されることなく半導体ナノ粒子を通過し得るのを回避する。実際には緻密な堆積により、センサの向上した吸収および向上した感度を期待することができる。本実施形態では、「所定の方向に実質的に整列されている」は、ナノ粒子の少なくとも50%が所定の方向に整列されていること、好ましくはナノ粒子の少なくとも60%が所定の方向に整列されていること、より好ましくはナノ粒子の少なくとも70%が所定の方向に整列されていること、最も好ましくはナノ粒子の少なくとも90%が所定の方向に整列されていることを意味する。
【0087】
一実施形態によれば、半導体ナノ粒子は、10000nm未満かつ100nm超、好ましくは3000nm未満かつ200nm超の厚さで堆積されている。実際には、一次光源によって放出された光が吸収されることなく半導体ナノ粒子を通過し得るのを回避するために、本発明者らは100nm超の厚さが好ましいことを特定した。
【0088】
一実施形態によれば、半導体ナノ粒子は近赤外領域(NIR)においてカットオフ波長を有する。UVおよび可視光において広い吸収帯を有するがNIR光を通過させることができる半導体ナノ粒子は、認識のために赤外線源を用いる各種装置と共に使用するのに望ましい。典型的には、赤外線LEDなどの赤外線発光素子を使用して、認識される物体を照明する。赤外光は当該物体によって反射され、赤外線センサは反射光および散乱光を捕捉する。ノイズを回避するために、赤外線発光素子の帯域よりも短い波長を有する全ての光に対応する広い吸収帯は特に好適である。認識のための装置は、視線追跡装置、動き検出器、顔認識システム、暗視、物体識別、距離センサ、LiDAR、自律車両であってもよい。
【0089】
一実施形態によれば、半導体ナノ粒子は、図3に示されているようにマトリックス(20)に封入された吸収性半導体ナノ粒子(10)を含む複合ナノ粒子である。複合粒子は異方性であっても等方性であってもよい。複合ナノ粒子は2つの利点を有する。それらのサイズは単一吸収性半導体ナノ粒子よりも大きいため誘電力はより効率的であり、その堆積は単一吸収性半導体ナノ粒子の堆積よりも速い。また複合ナノ粒子は、マイクロメートルスケールまでのより厚い層の堆積を可能にする。最後に、マトリックスは準安定であるように選択してもよい。特定の実施形態では、複合ナノ粒子は準安定である。準安定とは複合材が暫くの間、典型的には基板上へのナノ粒子の堆積中に安定であることを意味する。しかし、より後の段階において熱、照射、超音波、pH変化または溶媒変化などの特定の外部条件が複合ナノ粒子に加えられ、マトリックスの分解および吸収性半導体ナノ粒子の放出が生じる場合がある。準安定な複合ナノ粒子は複合材のサイズにより堆積を向上させるが、不活性マトリックス中への吸収性半導体ナノ粒子の希釈を伴わない。
【0090】
具体的な実施形態では、吸収性半導体ナノ粒子(10)は、上に記載されているナノプレートレットなどの1.5超のアスペクト比を有するナノ粒子、または上に記載されている量子ドットなどの1のアスペクト比を有するナノ粒子である。
【0091】
別の具体的な実施形態では、吸収性半導体ナノ粒子(10)は、そのアスペクト比が1.5未満である半導体ナノ粒子である。マトリックス(20)への封入により、当該吸収性半導体ナノ粒子を既に記載されている本発明の利点を有する1.5ナノメートル超のアスペクト比を有する半導体ナノ粒子として扱ってもよい。
【0092】
本実施形態の構成では、吸収性半導体ナノ粒子は上に記載されている半導体ナノ粒子である。
【0093】
本実施形態の構成では、マトリックス(20)は光透過性であり、すなわちマトリックス(20)は青色領域、緑色領域および/または赤色領域において光透過性である。
【0094】
本実施形態の構成では、マトリックス(20)は、SiO、Al、TiO、ZrO、ZnO、MgO、SnO、Nb、CeO、BeO、IrO、CaO、Sc、NiO、NaO、BaO、KO、PbO、AgO、V、TeO、MnO、B、P、P、P、P、P、P、PO、GeO、As、Fe、Fe、Ta、LiO、SrO、Y、HfO、WO、MoO、Cr、Tc、ReO、RuO、Co、OsO、RhO、Rh、PtO、PdO、CuO、CuO、CdO、HgO、TlO、Ga、In、Bi、Sb、PoO、SeO、CsO、La、Pr11、Nd、La、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Gdまたはそれらの混合物から選択される。
【0095】
本実施形態の構成では、マトリックス(20)は、
・例えばジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)、エチレングリコールビス(アリルカーボネート)、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)のオリゴマー、エチレングリコールビス(アリルカーボネート)のオリゴマー、ビスフェノールAビス(アリルカーボネート)、ジアリルフタレート、例えばフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリルおよびテレフタル酸ジアリル、ならびにそれらの混合物などのアリルモノマーまたはアリルオリゴマー(すなわちアリル基を含む化合物)、
・例えば単官能性(メタ)アクリレートまたは多官能性(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸モノマーまたは(メタ)アクリル酸オリゴマー(すなわち、アクリル酸またはメタクリル酸基を有する化合物)、
・ポリウレタンまたはポリチオウレタン材料を調製するために使用される化合物、
・2,2’メチレンジフェニルジイソシアネート(2,2’MDI)、4,4’ジベンジルジイソシアネート(4,4’DBDI)、2,6トルエンジイソシアネート(2,6TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4’メチレンジフェニルジイソシアネート(4,4’MDI)などの対称性芳香族ジイソシアネート、あるいは2,4’メチレンジフェニルジイソシアネート(2,4’MDI)、2,4’ジベンジルジイソシアネート(2,4’DBDI)、2,4トルエンジイソシアネート(2,4TDI)などの非対称性芳香族ジイソシアネート、またはイソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,5(もしくは2,6)-ビス(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NDI)または4,4’ジイソシアナト-メチレンジシクロヘキサン(H12MDI)などの脂環式ジイソシアネート、またはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ジイソシアネート、ならびにそれらの混合物から選択される少なくとも2つのイソシアン酸官能基を有するモノマーまたはオリゴマー、
・ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトアセタート、4-メルカプトメチル-3,6-ジチア-1,8-オクタンジチオール、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、2,5-ジメルカプトメチル-1,4-ジチアン、2,5-ビス[(2-メルカプトエチル)チオメチル]-1,4-ジチアン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカンおよびそれらの混合物から選択されるチオール官能基を有するモノマーまたはオリゴマー、
・ビス(2,3-エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3-エピチオプロピル)ジスルフィドおよびビス[4-(βエピチオプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(β-エピチオプロピルオキシ)シクロヘキシル]スルフィドから選択されるエピチオ官能基を有するモノマーまたはオリゴマー、
・アルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、エポキシシラン、エポキシアルコキシシランおよびそれらの混合物から選択されるモノマーまたはオリゴマー
から選択される重合性もしくは重合されたモノマーまたはオリゴマーを含む。
【0096】
アルコキシシランは、式:RSi(Z)4-pを有する化合物の中から選択されてもよい(式中、R基は同一であるか異なり、かつ炭素原子を介してケイ素原子に結合された一価の有機の基を表し、Z基は同一であるか異なり、かつ加水分解基または水素原子を表し、pは0~2の範囲の整数である)。好適なアルコキシシランは、テトラエトキシシランSi(OC(TEOS)、テトラメトキシシランSi(OCH(TMOS)、テトラ(n-プロポキシ)シラン、テトラ(i-プロポキシ)シラン、テトラ(n-ブトキシ)シラン、テトラ(sec-ブトキシ)シランまたはテトラ(t-ブトキシ)シランからなる群の中から選択されてもよい。
【0097】
アルキルアルコキシシランは、式:RSi(Z4-n-m(式中、R基は同一であるか異なり、かつ炭素原子を介してケイ素原子に結合された一価の有機の基を表し、Y基は同一であるか異なり、かつ炭素原子を介してケイ素原子に結合された一価の有機の基を表し、Z基は同一であるか異なり、かつ加水分解基または水素原子を表し、mおよびnは、mが1または2に等しく、かつn+m=1または2であるような整数である)を有する化合物の中から選択されてもよい。
【0098】
エポキシアルコキシシランは、式:RSi(Z4-n-m(式中、R基は同一であるか異なり、かつ炭素原子を介してケイ素原子に結合された一価の有機の基を表し、Y基は同一であるか異なり、かつ炭素原子を介してケイ素原子に結合され、かつ少なくとも1つのエポキシ官能基を含む一価の有機の基を表し、Z基は同一であるか異なり、かつ加水分解基または水素原子を表し、mおよびnは、mが1または2に等しく、かつn+m=1または2であるような整数である)を有する化合物の中から選択されてもよい。
【0099】
好適なエポキシシランは、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリプロポキシシラン、α-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリプロポキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランからなる群から選択されてもよい。
【0100】
一実施形態によれば、当該パターンは周期的であり、かつ当該パターンの繰り返し単位は500マイクロメートル未満の最小寸法を有し、かつ少なくとも2つの画素を含む。本実施形態の特定の構成では、当該パターンは二次元において周期的であり、好ましくは当該パターンは長方格子または正方格子である。そのような周期的パターンは本感光素子上の各基本単位の容易な局在化を可能にし、これは光センサのアレイに対応する各基本単位の吸収に対処するのに望ましい。本実施形態の特定の構成では、少なくとも2つの画素の第1の画素上の半導体ナノ粒子は少なくとも2つの画素の第2の画素上の半導体ナノ粒子とは異なる。後者の構成の好ましい実施形態では、周期的パターンは、1つの画素が半導体ナノ粒子を含んでおらず、かつ2つの画素がそれぞれ1種類の半導体ナノ粒子を含む3つの画素を含む。特に第1の画素は半導体ナノ粒子を含んでおらず、第2の画素は青色領域と緑色領域との間にカットオフ波長を有する半導体ナノ粒子を含み、かつ第3の画素は緑色領域と赤色領域との間にカットオフ波長を有する半導体ナノ粒子を含む。これらの3つの画素の光センサ信号の比較により、本感光素子に入ってくる光の赤色、緑色および青色成分を決定することができる。同様に、4つの画素を有するパターンは本感光素子に入ってくる光の青色、緑色、赤色および赤外線成分の決定を可能にする。
【0101】
本発明は感光素子を製造することも目的とする。半導体ナノ粒子を基板上に堆積させるために、誘電力を使用してもよい。この力は、電気分極された表面によって発生した電界に置かれた分極性物体の引力を生じさせる。また堆積の精度、すなわち半導体ナノ粒子が堆積されている領域と堆積が生じない領域との間の限界の画定を向上させる。このプロセスは、その寸法が50マイクロメートル未満、好ましくは15マイクロメートル未満、より好ましくは10マイクロメートル未満であるパターンに特に適している。
【0102】
本発明の半導体ナノ粒子は分極性である。好ましくは半導体ナノ粒子は中性であり、すなわち永久電荷を帯びていない。特に異方性半導体ナノ粒子を強い誘電力に供する。
【0103】
少なくとも1つの光センサを含む基板を得るために、2段階手法が好ましい。半導体ナノ粒子を膜上に堆積させ、次いで膜を光センサシート上に移動させる。光センサシートと半導体ナノ粒子が堆積されている膜との組み立て体は本発明の基板である。
【0104】
本実施形態では、膜は光センサシート上に移動させるように構成された軟質材料、例えばポリマー材料である。「移動させる」とは、光センサシート上に当該軟質材料を含む構造を得るあらゆる方法を意味する。「移動」は基板と支持体との間にどんな材料も含まない直接的なものであってもよい。すなわちこれは基板と支持体との直接接触である。「移動」は基板と支持体との間に接着剤を使用してもよい。「移動」は中間担体を使用してもよい。本実施形態は、要求に応じて切断され、かつ光センサシート上に支持される前に暫くの間貯蔵することができる大型の膜の作製を可能にする。
【0105】
従って本発明は、基板と、その基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のためのプロセスであって、
i)膜を用意する工程と、
ii)当該パターンに従って当該膜上に表面電位を形成する工程と、
iii)当該膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる工程と、
iv)当該膜を光センサシート上に移動させて当該基板を得る工程と
を含むプロセスにも関する。
【0106】
本感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む。
【0107】
半導体ナノ粒子の堆積中に基板を電気分極させる必要がある。この分極は永久的であっても誘導されてもよい。
【0108】
永久分極はエレクトレットとして知られている材料において存在し、すなわちエレクトレット材料への電界の印加後に永久電気分極が残留する。エレクトレット材料を用いる場合、表面電位を書き込み、次いで半導体ナノ粒子を堆積させることができる。
【0109】
本実施形態では本発明は、基板と、その基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のためのプロセスであって、以下の工程を含むプロセスにも関する。
【0110】
第1の工程では、エレクトレット膜を用意する。当該膜は、本発明の感光素子の詳細な説明において上に定義されているエレクトレット材料のどの実施形態であってもよい。好ましい膜はPMMAの膜である。
【0111】
第2の工程では、当該パターンに従ってエレクトレット膜上に表面電位を書き込む。当該パターンは、本発明の感光素子の詳細な説明において上に定義されているパターンのどの実施形態であってもよい。
【0112】
次いで第3の工程では、エレクトレット膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる。得られる感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む。エレクトレットの分極密度により誘電力が半導体ナノ粒子に加えられ、このようにして当該粒子はその表面に向かって引きつけられる。例えば異方性半導体ナノ粒子を用いる場合、それらは最終的に当該表面上で所定の方向に沿って配向される。半導体ナノ粒子は25nm超である場合、引力は大きく、半導体ナノ粒子の堆積が向上し、すなわち堆積がより密になる。
【0113】
接触は、半導体ナノ粒子のコロイド分散系、好ましくは有機溶媒、より好ましくはシクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、デカンまたはペンタンなどの炭化水素溶媒中に半導体ナノ粒子を含むコロイド分散系へのエレクトレット膜の浸漬によって行ってもよい。
【0114】
あるいは接触は、ドロップキャスティング、スピンコーティング、半導体ナノ粒子のコロイド分散系の基板上への流し込みまたはマイクロ流体接触システムによって行ってもよい。
【0115】
あるいは接触は、ガス流下で半導体ナノ粒子のコロイド分散系のマイクロメートルの液滴を噴霧することによって行ってもよい。エレクトレットの電気分極密度により誘電力がマイクロメートルの液滴に加えられ、このようにして当該液滴はその表面に向かって引きつけられる。同時に溶媒の蒸発により乾燥が行われる。マイクロメートルの液滴は半導体ナノ粒子よりも大きいため、誘電力効果は大きく増加し、半導体ナノ粒子の堆積が向上する。この方法は膜の大きい表面のコーティングを可能にし、かつ堆積の均一性を向上させる。
【0116】
最後に第4の工程では、膜を光センサシート上に移動させ、基板を得る。
【0117】
本発明の感光素子、特に半導体ナノ粒子の全ての特徴を当該プロセスにおいて実装してもよい。
【0118】
本実施形態の変形では本発明は、基板と、その基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のためのプロセスであって、当該パターンは2つのサブパターンを含み、以下の工程を含むプロセスにも関する。
【0119】
第1の工程では、エレクトレット膜を用意する。当該膜は、本発明の感光素子の詳細な説明において上に定義されているエレクトレット材料のどの実施形態であってもよい。好ましい基板はPMMAの膜である。
【0120】
第2の工程では、第1のサブパターンに従ってエレクトレット膜上に表面電位を書き込む。
【0121】
第3の工程では、エレクトレット膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる。本感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む。
【0122】
次いで第4の工程では、エレクトレット膜およびその上に堆積された半導体ナノ粒子を乾燥させて中間構造を形成する。当該中間構造は、膜表面が半導体ナノ粒子で完全に覆われていない場合、すなわちエレクトレット膜のいくつかの表面が電気的に影響を与えるためになお利用可能であり、従って当該表面がナノ粒子の堆積のために利用可能である場合には、上記と同じようにエレクトレット膜として扱うことができる。
【0123】
第5の工程では、第2のサブパターンに従って中間構造上に表面電位を書き込む。
【0124】
次いで第6の工程では、エレクトレット膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタであり、かつ工程iii)で使用されるものとは異なる半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる。本感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む。
【0125】
最後に第7の工程では、膜を光センサシート上に移動させ、基板を得る。
【0126】
いくつかの実施形態では、サブパターンの定義以外に限定されることなく第3のサブパターン、第4のサブパターンに従って工程4~工程6を繰り返してもよい。
【0127】
工程3および工程6では接触は、半導体ナノ粒子のコロイド分散系へのエレクトレット膜の浸漬によって、あるいは上に記載されているマイクロメートルの液滴の噴霧によって行ってもよい。
【0128】
あるいは接触は、ドロップキャスティング、スピンコーティング、半導体ナノ粒子のコロイド分散系の基板上への流し込みまたはマイクロ流体接触システムによって行ってもよい。
【0129】
本発明の感光素子、特に半導体ナノ粒子の全ての特徴を当該プロセスにおいて実装してもよい。
【0130】
永久分極を有するエレクトレット基板を用いるプロセスを除き、他のプロセスは誘電分極を使用する。
【0131】
誘電分極は、電気分極が外部電界の印加により生じる材料に対応する。外部電界が除去されるとすぐに電気分極は消失する。この場合、表面電位を誘導し、かつ表面電位が維持されている間に半導体ナノ粒子を堆積させることが可能である。
【0132】
本実施形態では本発明は、基板と、その基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のためのプロセスであって、以下の工程を含むプロセスにも関する。
【0133】
第1の工程では、膜を用意する。当該膜は本発明の感光素子の詳細な説明において上に定義されている基板のどの実施形態であってもよい。好ましくは当該膜はPMMA膜である。
【0134】
第2の工程では、当該パターンに従って当該膜上に表面電位を誘導させる。当該パターンは本発明の感光素子の詳細な説明において上に定義されているパターンのどの実施形態であってもよい。
【0135】
次いで第3の工程では、表面電位が維持されている間に、当該膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる。エレクトレットの分極密度により誘電力が半導体ナノ粒子に加えられ、このようにして当該粒子はその表面に向かって引きつけられる。得られる感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む。半導体ナノ粒子が異方性である場合、それらは最終的に当該表面上で所定の方向に沿って配向される。半導体ナノ粒子が25nm超である場合、引力は大きく、半導体ナノ粒子の堆積が向上し、すなわち堆積がより密になる。
【0136】
接触は、半導体ナノ粒子のコロイド分散系、好ましくは有機溶媒、より好ましくはシクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタンまたはペンタンなどの炭化水素溶媒中に半導体ナノ粒子を含むコロイド分散系への膜の浸漬によって行ってもよい。
【0137】
あるいは接触は、ドロップキャスティング、スピンコーティング、半導体ナノ粒子のコロイド分散系の基板上への流し込みまたはマイクロ流体接触システムによって行ってもよい。
【0138】
あるいは接触は、ガス流下で半導体ナノ粒子のコロイド分散系のマイクロメートルの液滴を噴霧することによって行ってもよい。基板の電気分極密度により、誘電力がマイクロメートルの液滴に加えられ、このようにして当該液滴はその表面に向かって引きつけられる。同時に溶媒の蒸発により乾燥が行われる。マイクロメートルの液滴は半導体ナノ粒子よりも大きいため、誘電力効果は大きく増加し、半導体ナノ粒子の堆積が向上する。この方法は基板の大きい表面のコーティングを可能にし、かつ堆積の均一性を向上させる。さらにガスの流量の好適な較正により、半導体ナノ粒子溶液廃棄物の大きな減少および清浄プロセスの減少が得られる。
【0139】
第3の工程の間に同時に、表面電位を維持し、かつ膜をコロイド状懸濁液と接触させなければならない。表面電位を誘導するために使用される装置は、半導体ナノ粒子が堆積されている膜の片側に位置していてもよい。あるいは表面電位を誘導するために使用される装置は、半導体ナノ粒子が堆積されている膜の片側の反対側に位置していてもよい。この第2の構成は、コロイド状懸濁液と表面電位を誘導するために使用される装置との接触が回避されるので好ましい。しかしこの構成は膜が厚すぎないことを要件とし、すなわち50μm未満、好ましくは20μm未満の厚さが好ましく、かつ堆積の精度の向上を可能にする。
【0140】
最後に第4の工程では、膜を光センサシート上に移動させ、基板を得る。
【0141】
本発明の感光素子、特に半導体ナノ粒子の全ての特徴を当該プロセスにおいて実装してもよい。
【0142】
本実施形態の変形では本発明は、基板と、その基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のためのプロセスであって、当該パターンは2つのサブパターンを含み、以下の工程を含むプロセスにも関する。
【0143】
第1の工程では、膜を用意する。当該膜は本発明の感光素子の詳細な説明において上に定義されている基板のどの実施形態であってもよい。
【0144】
第2の工程では、第1のサブパターンに従って当該膜上に表面電位を誘導させる。
【0145】
第3の工程では、表面電位が維持されている間に、当該膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる。本感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む。
【0146】
次いで第4の工程では、膜およびその上に堆積された半導体ナノ粒子を乾燥させて中間構造を形成する。当該中間構造は、基板表面が半導体ナノ粒子で完全に覆われていない場合、すなわち当該膜のいくつかの表面が電気的に影響を与えるためになお利用可能である場合には、上記と同じように膜として扱うことができる。
【0147】
第5の工程では、第2のサブパターンに従って中間構造上に表面電位を誘導させる。
【0148】
次いで第6の工程では、表面電位が維持されている間に、当該膜を、UV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタであり、かつ工程iii)で使用されるものとは異なる半導体ナノ粒子のコロイド分散系と15分未満の接触時間で接触させる。本感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む。
【0149】
最後に第7の工程では、膜を光センサシート上に移動させ、基板を得る。
【0150】
第3および第6の工程の間に同時に、表面電位を維持し、かつ膜をコロイド状懸濁液と接触させなければならない。表面電位を誘導するために使用される装置は半導体ナノ粒子が堆積されている膜の片側に位置していてもよい。あるいは表面電位を誘導するために使用される装置は、半導体ナノ粒子が堆積されている膜の片側の反対側に位置していてもよい。この第2の構成は、コロイド状懸濁液と表面電位を誘導するために使用される装置との接触が回避されるので好ましい。しかしこの構成は膜が厚すぎないことを要件とし、すなわち50μm未満、好ましくは20μm未満の厚さが好ましく、かつ堆積の精度の向上を可能にする。
【0151】
いくつかの実施形態では、サブパターンの定義以外に限定されることなく第3のサブパターン、第4のサブパターンに従って工程4~工程6を繰り返してもよい。
【0152】
工程3および工程6では、接触は半導体ナノ粒子のコロイド分散系へのエレクトレット基板の浸漬によって、あるいは上に記載されているマイクロメートルの液滴の噴霧によって行ってもよい。
【0153】
あるいは接触は、ドロップキャスティング、スピンコーティング、半導体ナノ粒子のコロイド分散系の基板上への流し込みまたはマイクロ流体接触システムによって行ってもよい。
【0154】
本発明の感光素子、特に半導体ナノ粒子の全ての特徴を当該プロセスにおいて実装してもよい。
【0155】
誘電効果以外に、基板上への半導体ナノ粒子の堆積はインクジェットによって行ってもよい。実際にはパターンおよびサブパターン寸法が15マイクロメートル超、好ましくは25マイクロメートル超である場合には、インクジェットは汎用かつ十分に正確な方法を提供する。
【0156】
従って本発明はさらに、基板と、その基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のためのプロセスであって、
i)膜を用意する工程と、
ii)当該パターンに従ってUV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系を当該膜上にインクジェットする工程と、
iii)当該膜を光センサシート上に移動させて当該基板を得る工程と
を含むプロセスに関する。
【0157】
本感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む。
【0158】
あるいは本発明は、基板とその基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子の製造のためのプロセスであって、
i)少なくとも1つの光センサを含む基板を用意する工程と、
ii)当該パターンに従ってUV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタである半導体ナノ粒子のコロイド分散系を当該基板上にインクジェットする工程と
を含むプロセスにも関する。
【0159】
本感光素子は、5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む。
【0160】
本発明は、基板と、その基板上にパターンに従って分散された半導体ナノ粒子とを含む感光素子を備えた画像センサであって、基板は少なくとも1つの光センサを含み、半導体ナノ粒子はUV-可視-NIR光領域におけるハイパスフィルタであり、かつ本感光素子は5×10ナノ粒子.cm-2超の表面単位当たりの半導体ナノ粒子の密度を含む画像センサにも関する。本発明の感光素子の全ての実施形態は、当該画像センサとして実施されてもよい。
【0161】
様々な実施形態について説明および図示してきたが、詳細な説明はそれらを限定するものとして解釈されるものではない。特許請求の範囲によって定められている本開示の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によってこれらの実施形態に対して様々な修飾をなすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0162】
図1】基板(2)を含む感光素子(1)の分解図を示す。光センサ(3、フォトダイオードの記号によって表されている)が基板(2)に含められている。半導体ナノ粒子(図示せず)は画素(4a)および(4c)の体積で基板(2)上にある。画素(4b)は光が濾過されずに光センサ(3)に直接入ってくる領域であり、すなわちこの画素中にナノ粒子は存在しない。画素(4a)、(4b)および(4c)は光センサの上に整列されている。
図2】異方性半導体ナノ粒子(ここではナノプレートレット)を示し、アスペクト比を定める。
図3】マトリックス(20)に封入された吸収性半導体ナノ粒子(10)(ここではナノプレートレット)の凝集体を示す。
図4】光の波長(ナノメートルのλ)の関数として実施例1で使用されるナノプレートレットの吸収スペクトル(任意単位)を示す(青色領域と緑色領域との間に約500nmのカットオフ:破線、緑色領域と赤色領域との間に約600nmのカットオフ:点線、および可視域と赤外線の範囲との間に約850nmのカットオフ:実線)。
【実施例
【0163】
以下の実施例により本発明をさらに例示する。
【0164】
実施例1
スタンプの準備:
15μm周期の正方格子上に分散された5μmサイズの四角形の画素を含むパターンを再現するために、UV-青色透過性基板上にフォトリソグラフィマスクを作製する。シリコン担体を均一なフォトリソグラフィ樹脂で覆い、担体上にパターンを刻み込むためにリソグラフィマスクによって濾過される350nmの光を発生するUVランプで照明する。樹脂のための適切な洗浄溶液を利用してポリマーを現像して3次元モチーフを形成する(画素化)。
【0165】
PDMS溶液をこの3次元モチーフおよびシリコン担体上にキャストし、次いで150℃で24時間加熱して確実にPDMSを重合させる。このようにして凝固されたPDMSをシリコン担体から分離する。そのようにパターン化されたPDMSは、導電性の画素化された表面を保証するための蒸発技術によって金で覆われる。この時点でパターン化された導電性のPDMS基板をスタンプと呼ぶ。それは、5μmのサイズおよび20μmの高さの四角形の画素が正方格子上に分散されている平らな導電性表面からなる。このスタンプは5cmサイズの四角形である。
【0166】
膜の準備:
20マイクロメートル厚のPMMA固体膜を使用する。
【0167】
ナノ粒子コロイド分散系の調製:
シクロヘキサン中に10-8モル.L-1のCdSe0.850.15ナノプレートレットを含む溶液Aを調製する。これらのナノプレートレットは、25nmの長さ、10nmの幅および1.2nmの厚さであり、かつ500nmのカットオフ波長を有する。
【0168】
シクロヘキサン中に10-8モル.L-1のCdSe0.800.20/CdSナノプレートレットを含む溶液Bを調製する。これらのナノプレートレットは、27nmの長さ、12nmの幅および5.2nmの厚さ(コア:1.2nm、シェル:2nm)であり、かつ600nmのカットオフ波長を有する。
【0169】
シクロヘキサン中に10-8モル.L-1のHgTe 3単層ナノプレートレットを含む溶液Cを調製する。これらのナノプレートレットは、100nmの長さ、200nmの幅および1.1nmの厚さであり、かつ880nmのカットオフ波長を有する。
【0170】
溶液A、BおよびCからのナノ粒子の吸収スペクトルが図4に示されている。
【0171】
感光素子および画像センサの準備:
当該膜をスタンプと接触させる。スタンプの画素にのみ対応させてPMMA層(エレクトレット材料)に永久電気分極を生じさせるために、50Vの電圧を1分間印加する。
【0172】
エレクトレット上に電荷を安定に維持するために、環境の湿度レベルを50%未満に維持する。
【0173】
電気分極されたPMMA膜を溶液A中に10秒間浸漬し、次いで綺麗な溶媒で洗い流し、穏やかな窒素流により乾燥させる。
【0174】
次いで顕微鏡による整列技術を用いて、スタンプを既に赤色の画素化された膜の上に再度配置し、スタンプの画素が、選択された元のパターンに従い、かつフォトダイオードに対応して当該膜上に第2の画素(青色のカッティング画素とは異なる)を画定する。スタンプの画素にのみ対応させて、すなわちナノ粒子を含まない領域に対応させてPMMA膜に永久電気分極を生じさせるために、50Vの電圧を再度1分間印加する。
【0175】
電気分極されたPMMA膜を溶液B中に10秒間浸漬し、次いで綺麗な溶媒で洗い流し、穏やかな窒素流により乾燥させる。
【0176】
次いで同じ顕微鏡による整列技術を用いて、スタンプを既に赤色/緑色の画素化された膜の上に再度配置し、スタンプの画素が、選択された元のパターンに従い、かつフォトダイオードに対応して基板上に第3の画素(青色および緑色のカッティング画素とは異なる)を画定する。スタンプの画素にのみ対応させてPMMA膜に永久電気分極を生じさせるために、50Vの電圧を再度1分間印加する。
【0177】
電気分極されたPMMA膜を溶液C中に10秒間浸漬し、次いで綺麗な溶媒で洗い流し、穏やかな窒素流により乾燥させる。
【0178】
当該膜の領域が処理されない、すなわちこの領域に入ってくる光が全く濾過されないように、3つの工程を設計する。
【0179】
最後に、光センサがナノ粒子の画素と整列されるように、膜を光センサシート上に移動させる。光学的に透明なUV硬化性接着剤を使用して膜を維持する。また、この接着剤はUV-A吸収を提供する。
【0180】
15μm周期の正方格子上に分散された5μmサイズの四角形の画素および3つの異なる種類の粒子(500nm、600nm~880nmのカットオフ波長の粒子)を有する20マイクロメートルのPMMA層でコーティングされたフォトダイオードのアレイを得、可視光の色成分ならびにNIR成分の測定に適した感光素子センサを形成する。実際には4つのフォトダイオードの各群について、1つの信号は可視スペクトル全体(接着剤によって濾過されるUV-A)に対応し、1つの信号は緑色-赤色-NIRスペクトルに対応し、1つの信号は赤色-NIRスペクトルに対応し、1つの信号はNIRスペクトルに対応する。従って信号間の違いによって入ってくる光の色成分が決定される。
【0181】
マイクロエレクトロニクス産業の周知の方法を用いて、この感光素子を備えた画像センサを準備する。
【0182】
実施例1-2
表1に列挙されているように半導体ナノプレートレットを変えたこと以外は、実施例1を再現する。
【表1】
【0183】
実施例2
マトリックスに封入された吸収性ナノ粒子を含む複合ナノ粒子を使用すること以外は、実施例1を再現する。
【0184】
実施例2-1:SiOマトリックス中の吸収性ナノプレートレット
最初に、500μLのコロイド状のCdSe0.850.15 4単層ナノプレートレットの塩基性水溶液を調製する。これらのナノプレートレットは、25nmの長さ、10nmの幅および1.2nmの厚さであり、かつ約500nmのカットオフ波長を有する。0.13モル.L-1のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)の10μLの加水分解された塩基性水溶液をコロイド状ナノプレートレットに添加し、穏やかに混合する。この液体混合物を窒素流下で300℃の温度に加熱された管状炉に向かって噴霧する。複合ナノ粒子をフィルタの表面で回収する。
【0185】
ヘプタン中に10-6モル.L-1のCdSe0.850.15 4単層の複合ナノ粒子を含む溶液Eを調製する。
【0186】
実施例2-2:Alマトリックス中の吸収性ナノプレートレット
最初に、コロイド状のCdSe0.850.15 4単層のナノプレートレットの500μLのヘプタン溶液を調製する。これらのナノプレートレットは、25nmの長さ、10nmの幅および1.2nmの厚さであり、かつ約500nmのカットオフ波長を有する。0.25モル.L-1のアルミニウム-トリ-sec-ブトキシドの5mLのヘプタン溶液をコロイド状ナノプレートレットに添加し、穏やかに混合する。塩基性水溶液を別々に調製する。2種類の液体を同時に、窒素流下で300℃の温度に加熱された管状炉に向かって噴霧する。複合ナノ粒子をフィルタの表面で回収する。
【0187】
ヘプタン中に10-6モル.L-1のCdSe0.850.15 4単層の複合ナノ粒子を含む溶液Fを調製する。
【0188】
実施例2-3:有機マトリックス中の吸収性ナノプレートレット
最初に、コロイド状CdSe0.850.15 4単層ナノプレートレットの500μLのヘプタン溶液を調製する。これらのナノプレートレットは、25nmの長さ、10nmの幅および1.2nmの厚さであり、かつ約500nmのカットオフ波長を有する。200mgのPMMA(ポリメタクリル酸メチル、120kDa)を10mLのトルエン中に可溶化させ、次いでコロイド状溶液と混合する。この液体混合物を窒素流下で、200℃で加熱された管状炉に向かって噴霧する。複合ナノ粒子をフィルタの表面で回収する。
【0189】
ヘプタン中に10-6モル.L-1のCdSe0.850.15 4単層の複合ナノ粒子を含む溶液Gを調製する。
【0190】
実施例2-4:Alマトリックス中の吸収性ナノ粒子
最初に、InP/ZnSe0.500.50/ZnSナノ粒子の4mLのヘプタン溶液を調製する。これらのナノ粒子は9.5nmの直径(直径:3.5nmのコア、第1のシェル厚:2nm、第2のシェル厚:1nm)を有し、かつ約600nmのカットオフ波長を有する。0.25モル.L-1のアルミニウム-トリ-sec-ブトキシドの5mLの溶液をコロイド状ナノプレートレットに添加し、穏やかに混合する。塩基性水溶液を別々に調製する。2種類の液体を同時に、窒素流下で300℃の温度に加熱された管状炉に向かって噴霧する。複合ナノ粒子をフィルタの表面で回収する。
【0191】
50mgの複合ナノ粒子の9mLのテトラヒドロフラン溶液を調製する。13μLのオクタン酸、60μLの4-(ジメチルアミノ)ピリジンストック溶液(1mg/100μLのジメチルホルムアミド)、6μLのトリエチルアミンおよび2μLの塩化ベンゾイルを添加する。次いでこの混合物を室温で48時間混合し、炭化水素溶媒中へのより良好な分散を可能にする表面修飾を有する複合ナノ粒子を得る。
【0192】
ヘプタン中に10-6モル.L-1のInP/ZnSe0.500.50/ZnSの複合ナノ粒子を含む溶液Hを調製する。
【0193】
実施例2-5:有機マトリックス中の吸収性ナノ粒子
最初に、InP/ZnSe0.500.50/ZnSナノ粒子の100μLのヘプタン溶液を調製する。これらのナノ粒子は9.5nmの直径(直径:3.5nmのコア、第1のシェル厚:2nm、第2のシェル厚:1nm)を有し、かつ約600nmのカットオフ波長を有する。200mgのPMMA(ポリメタクリル酸メチル、120kDa)を10mLのトルエン中に可溶化させ、次いでコロイド状溶液と混合する。この液体混合物を窒素流下で、200℃で加熱された管状炉に向かって噴霧する。複合ナノ粒子をフィルタの表面で回収する。
【0194】
ヘプタン中に10-6モル.L-1のInP/ZnSe0.500.50/ZnSの複合ナノ粒子を含む溶液Iを調製する。
【0195】
溶液Aの代わりに溶液E、F、G、HまたはIへの電気分極されたPMMA膜の浸漬後に、実施例1と同様に複合ナノ粒子の堆積が観察されるが、堆積された複合ナノ粒子の層の厚さは封入されていないナノ粒子の層の厚さよりも大きい。
【0196】
実施例2-6:マトリックス中の吸収性ナノ粒子
表2に列挙されているマトリックスに封入された吸収性ナノ粒子を含む複合ナノ粒子を用いて実施例1を再現する。
【表2】
【0197】
実施例3
ナノ粒子コロイド分散系の調製:
シクロヘキサン中に10-8モル.L-1のCdSe0.850.15ナノプレートレットを含む溶液Aを調製する。これらのナノプレートレットは、25nmの長さ、10nmの幅および1.2nmの厚さであり、かつ500nmのカットオフ波長を有する。
【0198】
シクロヘキサン中に10-8モル.L-1のCdSe0.800.20/CdSナノプレートレットを含む溶液Bを調製する。これらのナノプレートレットは、27nmの長さ、12nmの幅および5.2nmの厚さ(コア:1.2nm、シェル:2nm)であり、かつ600nmのカットオフ波長を有する。
【0199】
シクロヘキサン中に10-8モル.L-1のHgTe 3単層ナノプレートレットを含む溶液Cを調製する。これらのナノプレートレットは、100nmの長さ、200nmの幅および1.1nmの厚さであり、かつ880nmのカットオフ波長を有する。
【0200】
感光素子および画像センサの準備:
フォトダイオードのシートを用意する。フォトダイオードを25nm刻みで増加する半径を有する8つの同心円上に分散させる。各円はセクタと呼ばれる15°の角度を有する部分で分けられている。
【0201】
溶液Aを1つのセクタに対応するフォトダイオード上にインクジェットする。溶液Bを次のセクタ(時計回り)に対応するフォトダイオード上にインクジェットする。溶液Cを次のセクタ(時計回り)に対応するフォトダイオード上にインクジェットする。次のセクタ(時計回り)を処理しないままにする。このプロセスを3回繰り返して、パイとして構成された着色されたセクタを有する400マイクロメートルの直径の円形の感光素子を得る。
【0202】
4つのセクタは同じ特性を有するため、この素子は信号の冗長性分析を可能にする。
【0203】
実施例4
溶液A、溶液B、溶液Cおよび溶液なしが各セクタにおいて連続的に堆積されるようにナノ粒子を各円上にインクジェットすること以外は、実施例3を再現する。
【0204】
実施例5
基板および感光素子の調製を変えたこと以外は、実施例1を再現する。
【0205】
膜は5cmサイズの50μm厚の四角形のガラススライドである。膜を水平に保持する。
【0206】
スタンプを当該膜の下に基板に接触させた状態で配置する。スタンプの画素にのみ対応させて当該膜において電気分極を誘導するために、50Vの電圧を印加する。
【0207】
電圧を印加している間に、溶液Aの層を膜の上側に注ぎ、電圧を10秒間維持し、次いで停止する。スタンプを膜の底側から除去し、過剰な溶液Aを除去する。次いで膜を綺麗な溶媒で洗い流し、穏やかな窒素流により乾燥させる。
【0208】
次いで顕微鏡による整列技術を用いて、スタンプを既に赤色の画素化された膜の下に再度配置し、スタンプの画素が、選択された元の周期的パターン形成に従って当該膜の上に第2の画素(青色カッティング画素とは異なる)を画定する。スタンプの画素に対応させて電気分極を誘導するために、50Vの電圧を印加する。
【0209】
電圧を印加している間に、溶液Bの層を膜の上側に注ぎ、電圧を10秒間維持し、次いで停止する。スタンプを膜の底側から除去し、過剰な溶液Bを除去する。次いで膜を綺麗な溶媒で洗い流し、穏やかな窒素流により乾燥させる。
【0210】
次いで同じ顕微鏡による整列技術を用いて、スタンプを既に赤色/緑色の画素化された膜の下に再度配置し、スタンプの画素が、選択された元の周期的パターン形成に従って基板上に第3の画素(青色および緑色のカッティング画素とは異なる)を画定する。スタンプの画素に対応させて電気分極を誘導するために、50Vの電圧を印加する。
【0211】
電圧を印加している間に、溶液Cの層を膜の上側に注ぎ、電圧を10秒間維持し、次いで停止する。スタンプを膜の底側から除去し、過剰な溶液Cを除去する。次いで膜を綺麗な溶媒で洗い流し、穏やかな窒素流により乾燥させる。
【0212】
最後に、光センサがナノ粒子の画素と整列されるように、膜を光センサシート上に移動させる。光学的に透明なUV硬化性接着剤を使用して膜を維持する。また、この接着剤はUV-A吸収を与える。
【0213】
実施例6
実施例2~4(溶液H)および実施例2~5(溶液I)の複合ナノ粒子を用いること以外は、実施例5を再現する。
【0214】
比較例C1
ナノ粒子を変えたこと以外は、実施例1を再現する。
【0215】
シクロヘキサン中に10-8モル.L-1のCdSeナノ粒子を含む溶液C-Aを調製する。これらのナノ粒子は2.5nmの直径を有する球状(1のアスペクト比)であり、かつ500nmのカットオフ波長を有する。
【0216】
シクロヘキサン中に10-8モル.L-1のCdTeナノ粒子を含む溶液C-Bを調製する。これらのナノ粒子は、2.5nmの直径を有する球状(1のアスペクト比)であり、かつ600nmのカットオフ波長を有する。
【0217】
電気分極されたPMMA層を含む基板を溶液Aの代わりに溶液C-A中に浸漬した後に、有意なナノ粒子の堆積は観察されず、すなわち分離されたナノ粒子が基板上に認められるがそれらはナノ粒子の層を形成していない。パターンでの選択的堆積は生じない。
【0218】
電気分極されたPMMA層を含む基板を溶液Bの代わりに溶液C-B中に浸漬した後に、有意なナノ粒子の堆積は観察されず、すなわち分離されたナノ粒子が基板上に認められるがそれらはナノ粒子の層を形成していない。パターンでの選択的堆積は生じない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】