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特表2022-544144鉱物充填剤およびビニル官能性ポリジオルガノシロキサンを含むPVC組成物、それらを用いて形成されたポリマー複合体物品、ならびにそれらを調製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】鉱物充填剤およびビニル官能性ポリジオルガノシロキサンを含むPVC組成物、それらを用いて形成されたポリマー複合体物品、ならびにそれらを調製する方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/06 20060101AFI20221007BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20221007BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20221007BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20221007BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20221007BHJP
   B29B 7/02 20060101ALI20221007BHJP
   B29B 7/30 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
C08L27/06
C08K3/013
C08K3/26
C08K3/34
C08L83/07
B29B7/02
B29B7/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507573
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 US2020045125
(87)【国際公開番号】W WO2021026304
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】62/883,841
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クオ、ハイラン
(72)【発明者】
【氏名】ネルカール、マノジ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォン、シャロン
(72)【発明者】
【氏名】チョルバス、イゴール
【テーマコード(参考)】
4F201
4J002
【Fターム(参考)】
4F201AA15
4F201AB11
4F201AB16
4F201BA01
4F201BC01
4F201BD05
4F201BK01
4F201BK02
4F201BK13
4F201BK14
4J002BD031
4J002CP132
4J002DE137
4J002DE236
4J002DJ046
4J002FD016
4J002FD047
4J002FD067
4J002FD097
4J002FD137
4J002FD177
4J002FD187
4J002FD207
4J002FD327
4J002GC00
4J002GL00
4J002GN00
4J002GQ00
4J002GQ01
4J002GT00
(57)【要約】
ポリマー複合体物品を調製するためのポリ塩化ビニル(PVC)組成物および方法。本組成物は、(A)7.5~75重量%の量の鉱物充填剤を含む。本組成物はまた、(B)20~92重量%の量のポリ塩化ビニルポリマーを含む。さらに、組成物は、(C)0超~5重量%の量のポリジオルガノシロキサンを含み、(C)ポリジオルガノシロキサンは、単位式:(RR’SiO1/2(RSiO1/2)b(RSiO2/2)c(RR’SiO2/2(式中、各Rは、脂肪族不飽和を含まない1~18個の炭素原子の独立して選択される一価炭化水素基であり各R’は、2~18個の炭素原子の独立して選択されるアルケニル基であり、下付き文字aは0~2であり、下付き文字bは0~2であり、数量(a+b)=2であり、下付き文字c≧0であり、下付き文字d≧0であり、数量(a+d)≧1であり、数量(a+b+c+d)は、ポリジオルガノシロキサンに、#CP-52スピンドルを有するBrookfield DV-IIIコーンおよびプレート粘度計で0.1~50RPMで測定した25℃で2,000mPa・s~60,000mPa・sの粘度を与えるのに十分である)の化合物である。成分(A)~(C)の範囲は、組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー複合体物品を調製するためのポリ塩化ビニル(PVC)組成物であって、前記組成物が、
(A)7.5~75重量%の量の鉱物充填剤と、
(B)20~92重量%の量のポリ塩化ビニルポリマーであって、前記(B)PVCポリマーが、ポリビニルを含む、前記ポリ塩化ビニルポリマーと、
(C)0超~5重量%の量のポリジオルガノシロキサンであって、前記(C)ポリジオルガノシロキサンが、単位式:(RR’SiO1/2(RSiO1/2(RSiO2/2(RR’SiO2/2(式中、各Rは、脂肪族不飽和を含まない1~18個の炭素原子の独立して選択される一価炭化水素基であり、各R’は、2~18個の炭素原子の独立して選択されるアルケニル基であり、下付き文字aは0~2であり、下付き文字bは0~2であり、数量(a+b)=2であり、下付き文字c≧0であり、下付き文字d≧0であり、数量(a+d)≧1であり、数量(a+b+c+d)は、前記ポリジオルガノシロキサンに、#CP-52スピンドルを有するBrookfield DV-IIIコーンおよびプレート粘度計で0.1~50RPMで測定した25℃で2,000mPa・s~60,000mPa・sの粘度を与えるのに十分である)の化合物である、前記ポリジオルガノシロキサンとを含み、
各々が、前記組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物。
【請求項2】
前記(C)ポリジオルガノシロキサンが、式(I)
【化1】
(式中、各Rは、脂肪族不飽和を含まない1~18個の炭素原子の独立して選択される一価炭化水素基であり、各R’は、2~18個の炭素原子の独立して選択されるアルケニル基であり、下付き文字xは、前記ポリジオルガノシロキサンに、#CP-52スピンドルを有するBrookfield DV-IIIコーンおよびプレート粘度計で25℃、0.1~50RPMで測定した2,000mPa・s~60,000mPa・sの粘度を与えるのに十分な値を有する)のビス-アルケニル終端ポリジオルガノシロキサンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
各Rが、1~12個の炭素原子のアルキル基であり、各R’が、1~12個の炭素原子のアルケニル基であり、下付き文字xが、前記ポリジオルガノシロキサンに2,000mPa・s~10,000mPa・sの粘度を与えるのに十分な値を有し、前記(C)ポリジオルガノシロキサンが、1重量%~4重量%の量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記(C)ポリジオルガノシロキサンにおいて、各Rが、1~6個の炭素原子のアルキル基であり、各R’が、1~6個の炭素原子のアルケニル基である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記(C)ポリジオルガノシロキサンにおいて、各Rが、メチル、エチル、プロピル、およびブチルからなる群から選択され、各R’が、ビニル、アリル、ブテニル、およびヘキセニルからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
(i)前記(A)鉱物充填剤が、10~65重量%の量で存在し、(ii)前記(B)ポリ塩化ビニルポリマーが、35~90重量%の量で存在し、(iii)前記(C)ポリジオルガノシロキサンが、0.1~2.5重量%の量で存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(i)前記(A)鉱物充填剤が、49.5~60重量%の量で存在し、(ii)前記(B)ポリ塩化ビニルポリマーが、40~49.5重量%の量で存在し、(iii)前記(C)ポリジオルガノシロキサンが、0.5~1重量%の量で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記鉱物充填剤が、炭酸カルシウム、タルク、およびそれらの組み合わせから選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
着色剤、発泡剤、UVおよび/または光安定剤、加工助剤、防腐剤、殺生物剤、難燃剤および/または煙抑制剤、耐衝撃性改良剤;熱安定剤、および潤滑剤から選択される1つ以上の添加剤をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法であって、前記方法が、
(A)前記鉱物充填剤、(B)前記ポリ塩化ビニルポリマー、および(C)前記ポリジオルガノシロキサンを組み合わせ、それにより前記組成物を調製することを含む、方法。
【請求項11】
ポリマー複合体物品を調製する方法であって、前記方法が、
請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物から前記ポリマー複合体物品を調製することを含む、方法。
【請求項12】
前記方法が、
高温で前記(A)鉱物充填剤と、前記(B)ポリ塩化ビニルポリマーと、前記(C)ポリオルガノポリシロキサンとを混合しながら組み合わせて、流動性混合物を得ることと、
前記流動性混合物から前記ポリマー複合体物品を形成することと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(i)前記(C)ポリジオルガノシロキサンが、前記流動性混合物を前記(C)ポリジオルガノシロキサンと組み合わせるときに液体である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(i)前記組成物から前記ポリマー複合体物品を調製することが、前記組成物を所望の形状に形成することをさらに含むか、(ii)前記組成物から前記ポリマー複合体物品を調製することが、前記組成物を押し出すことを含むか、(iii)前記組成物から前記ポリマー複合体物品を調製することが、前記組成物を成形することを含むか、または(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
押出機で行われ、(i)前記押出機内の前記組成物の押し出し加工温度が、前記(C)ポリジオルガノシロキサンを含まない前記(A)鉱物充填剤と前記(B)ポリ塩化ビニルポリマーの混合物の押し出し加工温度と比較して低減され、かつ/または(ii)前記組成物を混合するときの前記押出機のトルクが、前記(C)ポリジオルガノシロキサンを含まない前記(A)鉱物充填剤と前記(B)PVCポリマーとの混合物を押し出すときの前記押出機のトルクと比較して低減される、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項10~15のいずれか一項に記載の方法により調製される、ポリマー複合体物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ポリ塩化ビニル(PVC)組成物に関し、より具体的には、ポリマー複合体物品を調製するためのPVC組成物、PVC組成物およびそれを用いたポリマー複合体物品を調製する方法、ならびにそれにより形成されたポリマー複合体物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー複合体物品は当技術分野で知られており、様々な最終使用用途に利用されている。ポリマー複合体物品は、物理的および機械的特性を含む、ポリマー複合体物品に関連するコストおよび望ましい特性に起因して、消費者に人気が高まっている。
【0003】
PVC業界では、複合体物品に充填剤を含めるのが一般的である。充填剤は比較的安価であり、コストを下げるためによく使用される。そのような複合体物品は、典型的には、充填剤とPVCとを完全に混合して、混合物を得ることにより生成される。しかしながら、高レベルの充填剤は、複合体物品の特性に悪影響を与える可能性がある。例えば、大量の充填剤は、密度、伸び率(%)、衝撃強度、表面仕上げ、メルトフロー、メルト粘度、メルト強度、および加工性等の重要な特性に影響を与える可能性がある。
【0004】
PVCの性質上、単独で加工することはできない。ポリマーの加工性および性能を得るには、安定剤、加工助剤、および潤滑剤等の他の添加剤が必要である。典型的には、これらの添加剤は、ドライブレンドを作製するために高速ミキサー/ブレンダーで混合される。充填剤レベルが高いと、均一なドライブレンドを形成することが困難になる。多くの場合、系は極めて塵状となり、取り扱いが困難になる。充填剤はまた、ミキサーの壁やブレードに付着する傾向があり、その結果、ブレンド内の充填剤が所望量未満となる。また、充填剤が付着すると、機器の洗浄時間が長くなり、次のバッチの汚染も増加する可能性がある。
【0005】
従来の低コストの有機加工助剤は、一般に、より速い生産速度を達成するために高充填量を必要とし、それにより、コストおよび/または性能特性に影響を与えるという欠点を抱えている。さらに、多くの従来の加工助剤は、特に高温での使用において、複合体物品の物理的特性に悪影響を及ぼし、機械的特性(耐衝撃性、曲げ強度、曲げ弾性率)を低減させる可能性がある。従来の加工助剤は、ポリマー複合体物品から移行もし得るため、時間の経過とともに、物理的特性、外観、感触、外側被覆成形する能力、共押し出する能力、ポリマー複合体物品の表面に付着する能力、表面を印刷する能力、および表面を塗装する能力等のポリマー複合体物品の1つ以上の特性に悪影響を与える。さらに、有機加工助剤のいくつかは、より高い適用温度で揮発し、これにより、ポリマー複合体物品の形成または気泡および亀裂が引き起こされる可能性があり、これらの物品の長期性能を損なう可能性がある。
【0006】
高い充填剤レベルは、ポリマー系の密度も増加させる傾向がある。密度が高くなると、最終的な複合体物品の重量が増加し、一方でそれに関連する輸送コストが増加し得る。発泡すると、高い充填剤レベルはポリマーの膨張も抑制する。
【0007】
高い充填剤レベルにより、典型的にはポリマー系は剪断に敏感となる。これらの系は、より高いずり流動化挙動を示す。
【0008】
無機充填剤を使用すると、チャーの含有量が増加し、煙および炎の特性が向上する可能性があるが、その結果、伸び率(%)および衝撃強度等の機械的特性が低下することがよくある。
【0009】
現在のPVC組成物は、別の利益のために少なくとも1つの特性を犠牲にする必要がある。例えば、PVC組成物は、衝撃強度を改善するように配合され得るが伸び率(%)を低下させるか、または表面仕上げを改善し得るがスループットを低下させるか、または所望の密度を提供し得るが他の物理的特性に影響を与える。
【0010】
上記の問題の1つ以上に対処する高い充填剤含有量を有するポリマー系を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、ポリマー複合体物品を調製するためのポリ塩化ビニル組成物を提供する。本組成物は、(A)10~90重量%の量の充填剤を含む。本組成物はまた、(B)10~90重量%の量のポリ塩化ビニルポリマーを含む。さらに、組成物は、(C)0超~5重量%の量のポリジオルガノシロキサンを含み、(C)ポリジオルガノシロキサンは、単位式:(RR’SiO1/2(RSiO1/2(RSiO2/2(RR’SiO2/2(式中、各Rは、脂肪族不飽和を含まない1~18個の炭素原子の独立して選択される一価炭化水素基であり各R’は、2~18個の炭素原子の独立して選択されるアルケニル基であり、下付き文字aは0~2であり、下付き文字bは0~2であり、数量(a+b)=2であり、下付き文字c≧0であり、下付き文字d≧0であり、数量(a+d)≧1であり、数量(a+b+c+d)は、ポリジオルガノシロキサンに、#CP-52スピンドルを有するBrookfield DV-IIIコーンおよびプレート粘度計で0.1~50RPMで測定した25℃で2,000mPa・s~60,000mPa・sの粘度を与えるのに十分である)の化合物である。成分(A)~(C)の範囲は、本組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく。
【0012】
本組成物を調製する方法もまた、提供される。本組成物を調製する方法は、(A)鉱物充填剤と、(B)ポリマーと、(C)ポリジオルガノシロキサンとを組み合わせ、それにより組成物を調製することを含む。
【0013】
さらに、ポリマー複合体物品を調製するための方法が、本発明によって提供される。本方法は、組成物からポリマー複合体物品を調製することを含む。加えて、本方法に従って形成されたポリマー複合体物品もまた、提供される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、ポリマー複合体物品を調製するための組成物を提供する。ポリマー複合体物品は、以下に記載されるように、優れた物理的特性を有し、無数の最終使用用途に好適である。ポリマー複合体物品を調製する方法、およびそれにより形成されたポリマー複合体物品もまた、以下に提供および記載される。
【0015】
ポリマー複合体物品を調製するための組成物は、(A)10~90重量%の量の充填剤と、(B)10~90重量%の量のポリマーと、(C)0超~10重量%の量のポリジオルガノシロキサンと、を含み、各々は、本組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく。
【0016】
組成物は、(A)10~90重量%の量の充填剤と、(B)10~90重量%の量のポリ塩化ビニルポリマーと、(C)0超~5重量%の量のポリジオルガノシロキサンであって、(C)ポリジオルガノシロキサンが、単位式:(RR’SiO1/2(RSiO1/2(RSiO2/2(RR’SiO2/2(式中、各Rは、脂肪族不飽和を含まない1~18個の炭素原子の独立して選択される一価炭化水素基であり、各R’は、2~18個の炭素原子の独立して選択されるアルケニル基であり、下付き文字aは0~2であり、下付き文字bは0~2であり、数量(a+b)=2であり、下付き文字c≧0であり、下付き文字d≧0であり、数量(a+d)≧1であり、数量(a+b+c+d)は、ポリジオルガノシロキサンに、#CP-52スピンドルを有するBrookfield DV-IIIコーンおよびプレート粘度計で0.1~50RPMで測定した25℃で2,000mPa・s~60,000mPa・sの粘度を与えるのに十分である)の化合物である、ポリジオルガノシロキサンとを含む。成分(A)~(C)の範囲は、本組成物中の成分(A)、(B)、および(C)の総重量に基づく。
【0017】
成分(A)鉱物充填剤
本組成物は、(A)鉱物充填剤を含む。(A)鉱物充填剤は、ポリマー複合体物品を調製するための組成物およびそのように調製された複合体物品中に不連続相を形成し得る。
【0018】
(A)鉱物充填剤は、未処理であり得るか、任意の充填剤処理剤を用いて前処理され得るか、またはそれと組み合わせて添加され得、そのように添加される場合、(A)鉱物充填剤をその場で、または(A)鉱物充填剤を本組成物に組み込む前に処理し得る。処理される場合、(A)鉱物充填剤は、当技術分野で知られている任意の従来の充填剤処理剤によって処理され得る。(A)鉱物充填剤は、単一の充填剤、または充填剤の種類、調製方法、処理もしくは表面化学、充填剤組成、充填剤形状、充填剤表面積、平均粒径、および/または粒径分布等の少なくとも1つの特性において異なる2つ以上の充填剤の組み合わせであり得る。
【0019】
好ましくは、(A)鉱物充填剤は、PVC組成物中の充填剤の総重量の少なくとも90重量%を含み、すなわち、PVC組成物は、最大10重量%の非鉱物充填剤を含み得る。より好ましくは、(A)鉱物充填剤は、PVC組成物中の充填剤の総重量の少なくとも95重量%を含む。さらにより好ましくは、PVC組成物中の充填剤は、少なくとも1つの鉱物充填剤から本質的になるか、またはそれからなる。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」とは、PVC組成物中に存在する鉱物充填剤以外の任意の充填剤が、PVC組成物の物理的特性および/またはPVC組成物の加工性のいずれにも悪影響を及ぼさないことを意味する。好ましくは、PVC組成物は、5重量%未満のリグノセルロース充填剤または有機充填剤を含む。より好ましくは、PVC組成物は、リグノセルロース充填剤または有機充填剤を含まない。
【0020】
(A)鉱物充填剤の形状および寸法も特に限定されない。例えば、(A)鉱物充填剤は、球形、長方形、卵形、不規則であってもよく、例えば、粉末、繊維、粒子、およびそれらの組み合わせの形態であってもよい。寸法および形状は、典型的には、利用される(A)鉱物充填剤の種類、本組成物内に含まれる他の成分の選択、およびそれらを用いて形成されたポリマー複合体物品の最終使用用途に基づいて選択される。
【0021】
増量充填剤または補強充填剤として機能し得る鉱物充填剤の非限定的な例には、石英および/または破砕石英、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ(例えば、ヒュームド、粉砕、沈降)、水和ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、シリコーン樹脂、ウォラストナイト、ソープストーン、カオリナイト、カオリン、雲母白雲母、金雲母、ハロイサイト(水和ケイ酸アルミニウム)、ケイ酸アルミニウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ガラス(繊維、ビーズまたは粒子、例えば、風力タービンまたは他の供給源からのリサイクルガラスを含む)、粘土、磁鉄鉱、赤鉄鉱、炭酸カルシウム、例えば、沈降、ヒュームド、および/または粉砕炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、メタケイ酸カルシウム、酸化亜鉛、タルク、珪藻土、酸化鉄、粘土、雲母、チョーク、二酸化チタン(チタニア)、ジルコニア、グラファイト、無煙炭、亜炭、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、オキシ硫酸マグネシウム繊維、アルミニウム三水和物、アルミニウムオキシ水和物、顔料(例えば、二酸化チタン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウムの非水和、部分水和、または水和フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、クロメート、カーボネート、水酸化物、ホスフェート、水素ホスフェート、ニトレート、酸化物、およびサルフェート)、五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、酸化ベリリウム、酸化クロム、リトポン、ホウ酸塩、例えばホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウムもしくはホウ酸アルミニウム、混合金属酸化物、例えばバーミキュライト、ベントナイト、軽石、パーライト、飛灰、粘土、およびシリカゲル、パイロフィライト、セピオライト、スズ酸亜鉛、硫化亜鉛、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。あるいは、増量充填剤または補強充填剤は、炭酸カルシウム、タルク、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0022】
増量充填剤は、当技術分野で知られており、例えば、Berkeley Springs,WVのU.S.SilicaによってMIN-U-SILという名称で販売されている粉砕シリカが市販されている。好適な沈降炭酸カルシウムには、SolvayのWinnofil(商標)SPM、ならびにSMIのUltra-pflex(商標)およびUltra-pflex(商標)100が含まれる。
【0023】
(A)鉱物充填剤は、処理されていても、未処理であってもよい。処理される場合、(A)鉱物充填剤は、当技術分野で知られている任意の従来の充填剤処理剤によって処理され得る。
【0024】
(A)鉱物充填剤は、組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、7.5~75、あるいは10~65、あるいは20~60、あるいは49.5~60重量パーセントの量で組成物中に存在する。7.5~75重量パーセントの間のすべての端点および部分範囲が本明細書に含まれ、開示される。例えば、(A)鉱物充填剤は、組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、少なくとも7.5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、または少なくとも50重量パーセントの量で存在し得る。(A)鉱物充填剤は、組成物中の(A)(B)、および(C)の総重量に対して、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、または60重量%以下の量で存在し得る。あるいは、ある特定の用途では、本組成物中の(A)鉱物充填剤の相対量を最大にすることが望ましく、それにより、それを用いて形成されたポリマー複合体物品の望ましい特性が維持または得られる限り、その全体のコストが低減される。当業者は、以下に記載されるように、コストおよび得られる特性のバランス、ならびに他の任意の成分の有無を含む、この目的のために(A)鉱物充填剤の量が変更され得ることを理解する。
【0025】
(B)PVCポリマー
本組成物は、(B)PVCポリマーをさらに含む。PVCポリマーは、ポリマー複合体物品を調製するための組成物およびそれから調製された複合体物品において、連続相の全部または一部を形成し得る。(B)PVCポリマーの選択は、典型的には、様々なポリマーが異なる融点温度(および/またはガラス転移温度)および物理的/機械的特性、ならびに好適または許容可能な連続使用用途温度を有するため、本組成物で形成されたポリマー複合体物品の所望の最終使用用途により変化する。ある特定の実施形態では、(B)PVCポリマーは、本組成物中の他の成分の分解温度よりも低い軟化点温度を有する。これらの実施形態では、(B)PVCポリマーは、250℃未満、あるいは225℃未満、あるいは200℃未満の軟化点温度を有する。軟化点温度は、加工温度と呼ばれることもある。少なくとも1つの実施形態では、(B)PVCポリマーは、150~250℃、例えば160~220℃または170~210℃の範囲の軟化点温度を有する。好ましくは、(B)PVCポリマーは粉末である。
【0026】
エラストマーおよび/またはゴムは、衝撃強度等の特性を改良または改善するために、(B)PVCポリマーに添加またはそれと配合され得る。好ましくは、(B)PVCポリマーは、少なくとも1つのアクリル加工添加剤を含む。添加剤には、参照により本明細書に組み込まれるStevenson et al.,Journal of Vinyl Technology,December 1993,Vol.15,No.4,pages 244-251により開示された添加剤等の当技術分野で知られているものが含まれ得る。
【0027】
ある特定の実施形態では、PVC組成物中のポリマーは、PVCポリマーから本質的になる。から本質的になるとは、(B)PVCポリマーが、ポリビニル以外の1つ以上の追加のポリマーを含み得ることを意味するが、これは、そのような追加のポリマーが、(B)PVCポリマーとともに加工されて、ポリマー複合体物品を形成することができる場合に限る。(B)PVCポリマーが、PVCポリマーからならないとき、(B)PVCポリマーは、典型的には、本組成物中で利用される(B)PVCポリマーの総重量に基づいて、少なくとも50、あるいは少なくとも60、あるいは少なくとも65、あるいは少なくとも70、あるいは少なくとも75、あるいは少なくとも80、あるいは少なくとも85、あるいは少なくとも90、あるいは少なくとも95、あるいは少なくとも96、あるいは少なくとも97、あるいは少なくとも98、あるいは少なくとも99重量%の量のPVCポリマーを含む。
【0028】
(B)PVCポリマーは、エラストマーをさらに含み得る。エラストマーの非限定的な例には、スチレン-ブタジエンゴム、ポリエーテルウレタンゴム、ポリエステルウレタンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム(ネオプレン)、ポリアクリレートゴム、エチレンアクリレートゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、フルオロシリコーンゴム、フルオロカーボンゴム、全フッ素置換化エラストマー、スチレンブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリイソプレンゴム、ポリスルフィドゴム、エチレンアクリレートゴム、エピクロロヒドリンゴム、全フッ素化エラストマー(例えば、Kalrez(商標))、ポリスルフィドゴム、塩素化ポリエチレン(例えば、最大40重量パーセントの塩素を含む塩素化ポリエチレン)、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0029】
(B)PVCポリマーが、PVC以外の、およびPVCに加えてポリマーを含む場合、(B)PVCポリマーは、PVCと完全にまたは部分的に熱力学的に混和性である少なくとも1つのポリマーをさらに含み得る。そのようなポリマーには、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリカプロラクトン(CPL)、およびスチレン-アクリロニトリル樹脂(SAN)が含まれるが、これらに限定されない。他の熱力学的に混和性のポリマーは当技術分野で知られており、例えば、参照により本明細書に組み込まれるRobeson,L.M.(1990),Miscible polymer blends containing poly(vinyl chloride).J.Vinyl Addit.Technol.,12:89-94において開示されている。
【0030】
利用される(B)PVCポリマーに関係なく、(B)PVCポリマーは、未使用のポリマーおよび/またはリサイクルされたポリマーを含み得る。リサイクルされたポリマーは、利用される場合、工業生産ストリームから、ならびに工業後(post-industrial)供給源および/または消費後(post-consumer)供給源から供給され得る。(B)PVCポリマー、ならびに協調して利用される場合の未使用のポリマー対リサイクルされたポリマーの任意の比率の選択は、典型的には、それを用いて形成されたポリマー複合体物品のコストおよび所望の特性により変化する。
【0031】
(A)鉱物充填剤の量は、PVC組成物中の(B)PVCポリマーの量よりも多く、すなわち、(A)鉱物充填剤対(B)PVCポリマーの比率は1より大きい。
【0032】
(B)PVCポリマーは、組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、20~92、あるいは35~90、あるいは40~49.5重量パーセントの量で組成物中に存在し得る。例えば、(B)PVCポリマーは、(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、または少なくとも40重量パーセントの量で組成物中に存在し得る。(B)PVCポリマーは、組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、92重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、または55重量%以下の量で組成物中に存在し得る。特定の実施形態では、本組成物中の(B)PVCポリマーの相対量を最小限に抑えることが望ましく、それにより、それを用いて形成されたポリマー複合体物品の望ましい特性が維持または得られる限り、選択に応じてその全体のコストが低減され得る。当業者は、以下に記載されるように、コストおよび得られる特性のバランス、ならびに他の任意の成分の有無を含む、この目的のために(B)PVCポリマーの量が変更され得ることを理解する。
【0033】
(C)ポリジオルガノシロキサン
組成物は、分子当たり少なくとも1つのケイ素結合アルケニル基を有する(C)ポリジオルガノシロキサンをさらに含む。(C)ポリジオルガノシロキサンは、単位式:(RR’SiO1/2(RSiO1/2(RSiO2/2(RR’SiO2/2(式中、各Rは、脂肪族不飽和を含まない1~18個の炭素原子の独立して選択される一価炭化水素基であり、各R’は、2~18個の炭素原子の独立して選択されるアルケニル基であり、下付き文字aは0~2であり、下付き文字bは0~2であり、数量(a+b)=2であり、下付き文字c≧0であり、下付き文字d≧0であり、数量(a+d)≧1であり、数量(a+b+c+d)は、ポリジオルガノシロキサンに、#CP-52スピンドルを有するBrookfield DV-IIIコーンおよびプレート粘度計で0.1~50RPMで測定した25℃で2,000mPa・s~60,000mPa・sの粘度を与えるのに十分である)を含む。当業者は、粘度が増加するにつれて回転速度が低下することを認識し、この試験方法を使用して粘度を測定するときに適切な回転速度を選択することができるであろう。あるいは、粘度は、5RPMで上記の試験方法に従って測定して、2,000mPa・s~10,000mPa・s、あるいは2,000mPa・s~5,000mPa・sであってもよい。あるいは、下付き文字dは、0~4、あるいは1~4、あるいは1~3、あるいは2であってもよい。あるいは、数量(a+d)は、ポリジオルガノシロキサンの重量に基づいて、0.05%~7%、あるいは0.09%~6.5%のアルケニル基R’の量を提供するのに十分であり得る。ビニル含有量は、29Si NMRおよび13C NMR分光法によって測定され得る。
【0034】
あるいは、上記のポリジオルガノシロキサンの単位式において、各Rは、1~18個の炭素原子、あるいは1~12個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子のアルキル基であり得る。適切なアルキル基には、メチル、エチル、プロピル(n-プロピルおよびイソ-プロピルを含む)、ならびにブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、およびイソ-ブチルを含む)が含まれる。あるいは、各Rは、メチルであり得る。
【0035】
[0001]あるいは、上記のポリジオルガノシロキサンの単位式において、各R’は、2~12個の炭素原子、あるいは2~6個の炭素原子、あるいは2~4個の炭素原子のアルケニル基であり得る。適切なアルケニル基には、ビニル、アリル、ブテニル、およびヘキセニルが含まれる。あるいは、各R’は、ビニルまたはヘキセニルであり得る。あるいは、各R’はビニルであり得る。
【0036】
[0002]ポリジオルガノシロキサンは、終端アルケニル基、ペンダントアルケニル基、または終端アルケニル基およびペンダントアルケニル基の両方を有し得る。あるいは、上記のポリジオルガノシロキサンの単位式において、下付き文字aは0であってもよく、下付き文字dは1以上であってもよく、すなわち、ポリジオルガノシロキサンは、ペンダントアルケニル基を有するが、終端アルケニル基を有さなくてもよい。あるいは、下付き文字aは2であってもよく、下付き文字bは0であってもよく、下付き文字dは0であってもよく、すなわち、ポリジオルガノシロキサンは、ビス-アルケニル終端ポリジオルガノシロキサンであってもよい。
【0037】
ビス-アルケニル終端ポリジオルガノシロキサンは、式(I):
【化1】
(式中、各RおよびR’は上記の通りであり、下付き文字xは、ポリジオルガノシロキサンに上記のように測定された2,000mPa・s~60,000mPa・sの粘度を与えるのに十分な値を有する)の化合物を含み得る。当業者は、粘度が増加するにつれて回転速度が低下することを認識し、この試験方法を使用して粘度を測定するときに適切な回転速度を選択することができるであろう。あるいは、粘度は、5RPMで上記の試験方法に従って測定して、2,000mPa・s~10,000mPa・s、あるいは2,000mPa・s~5,000mPa・sであってもよい。
【0038】
あるいは、各Rは、1~18個の炭素原子、あるいは1~12個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子のアルキル基であり得る。適切なアルキル基には、メチル、エチル、プロピル(n-プロピルおよびイソ-プロピルを含む)、ならびにブチル(n-ブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、およびイソ-ブチルを含む)が含まれる。あるいは、各Rは、メチルであり得る。
【0039】
あるいは、上記のポリジオルガノシロキサンの式において、各R’は、2~12個の炭素原子、あるいは2~6個の炭素原子、あるいは2~4個の炭素原子のアルケニル基であり得る。適切なアルケニル基には、ビニル、アリル、ブテニル、およびヘキセニルが含まれる。あるいは、各R’は、ビニルまたはヘキセニルであり得る。あるいは、各R’はビニルであり得る。
【0040】
(C)オルガノポリシロキサンは、以下:
c-1)α,ω-ジメチルビニルシロキシ終端ポリジメチルシロキサン、
c-2)α,ω-ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
c-3)α,ω-ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、
c-4)α,ω-フェニル、メチル、ビニル-シロキシ終端ポリジメチルシロキサン、
c-5)α,ω-ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリジメチルシロキサン、
c-6)α,ω-ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
c-7)α、ω-ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、
c-8)α,ω-フェニル、メチル、ヘキセニル-シロキシ終端ポリジメチルシロキサン、
c-9)α,ω-ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
c-10)α,ω-ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
c-11)α,ω-ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
c-12)α、ω-フェニル、メチル、ビニル-シロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
c-13)α、ω-ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
c-14)α、ω-ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
c-15)α、ω-ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
c-16)α、ω-フェニル、メチル、ヘキセニル-シロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
c-17)トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
c-18)トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
c-19)トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
c-20)トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
c-21)トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
c-22)トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
c-23)c-1)~c-22)の2つ以上の組み合わせ等のポリジオルガノシロキサンを含み得る。
【0041】
あるいは、ポリジオルガノシロキサンは、c-1)、c-5)、c-9)、c-13)、c-17)、c-20)、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。あるいは、ポリジオルガノシロキサンは、c-1)、c-5)、c-9)、c-13)、およびそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。あるいは、ポリジオルガノシロキサンは、ビス-ビニルジメチルシロキシ終端ポリジメチルシロキサンであり得る。上記のポリジオルガノシロキサンは、市販されている。ビス-ビニルジメチルシロキシ終端ポリジメチルシロキサンは、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から市販されており、例としては、60,000mPa・sの粘度を有するビス-ビニルジメチルシロキシ終端ポリジメチルシロキサン、10,000mPa・sの粘度を有するビス-ビニルジメチルシロキシ終端ポリジメチルシロキサン、5,000mPa・sの粘度を有するビス-ビニルジメチルシロキシ終端ポリジメチルシロキサン、および2,000mPa・sの粘度を有するビス-ビニルジメチルシロキシ終端ポリジメチルシロキサンが挙げられ、粘度は、#CP-52スピンドルを備えたBrookfield DV-IIIコーン&プレート粘度計上で、0.1~50RPMで25℃で測定された。適切なポリジオルガノシロキサンは、適切なオルガノハロシランモノマーの加水分解および縮合、ならびに/または任意でエンドキャッピングを伴う直鎖および環式ポリオルガノシロキサンの平衡化等の当技術分野で知られている方法によって調製され得る。
【0042】
(C)オルガノポリシロキサンは、独立して選択され得る2つ以上の異なるオルガノポリシロキサンを含み得る。典型的には、(C)オルガノポリシロキサンは、本組成物およびポリマー複合体物品の加工助剤として機能する。理論に縛られることを望まないが、(C)オルガノポリシロキサンは、内部および/または外部の加工助剤であり得る。しかし、(C)オルガノポリシロキサンは、例えば、本組成物およびポリマー複合体物品の物理的または機械的特性を改良するための加工助剤としての機能に対する追加、またはその代替となる他の目的に機能し得る。
【0043】
一般的に言えば、(A)鉱物充填剤、(B)PVCポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンの組み合わせによって様々な利点が実現され得る。例えば、組成物が押出機内で混合される場合、(A)鉱物充填剤、(B)PVCポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンの組み合わせは、一般に、押出機内の組成物の溶融温度を低減する。溶融温度の低減は、組成物中(および押出機内)の任意の1つの個々の成分の融点温度とは対照的に、押出機およびブラベンダー内の組成物の温度を指す。重要なことに、これにより、低温での組成物の加工が可能になり、コストおよび美観を含む無数の利益が提供される。例えば、リグノセルロース充填剤等のある特定の充填剤は、典型的には、組成物を流動性にするために必要である組成物のある特定の高い加工温度で炭化または分解し得る。(A)鉱物充填剤、(B)PVCポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンを組み合わせて使用することにより、(A)鉱物充填剤およびポリマー複合体物品の他の態様に、分解、炭化、あるいは有害な影響を与えることなく、ポリマー複合体物品を低温で調製することが可能になる。さらに、組成物が押出機内で混合される場合、(A)鉱物充填剤、(B)PVCポリマー、および(C)オルガノポリシロキサンの組み合わせによって、一般に押出機のトルクが低減される。トルクの低減により、より大きな出力が可能になり、これは、生成スループットの観点から特に重要である。
【0044】
ある特定の実施形態では、(i)押し出し加工温度は、(C)ポリジオルガノシロキサンを含まない(A)鉱物充填剤と(B)PVCポリマーとの混合物の押し出し加工温度と比較して低減され、かつ/または(ii)本組成物を混合するときの押出機のトルクは、(C)ポリジオルガノシロキサンを含まない(A)鉱物充填剤と(B)PVCポリマーとの混合物を押し出すときの押出機のトルクと比較して低減される。押し出し加工温度は、本組成物が一般に押出機内で加工可能であり、例えば、本組成物中の(B)PVCポリマーおよび他の成分を溶融する温度である。押し出し加工温度は、本組成物中のいずれか1つの成分の融点温度とは区別される。
【0045】
(C)ポリジオルガノシロキサンは、組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、0超~5、あるいは0.1~2.5、あるいは0.5~1重量パーセントの量で存在し得る。例えば、(C)ポリジオルガノシロキサンは、組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、少なくとも0.1、少なくとも0.25、または少なくとも0.5重量パーセントの量で存在し得る。(C)ポリジオルガノシロキサンは、組成物中の(A)、(B)、および(C)の総重量に基づいて、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、または2.5重量%以下の量で存在し得る。
【0046】
(C)ポリジオルガノシロキサンは、ニートな(純粋な)形態で利用され得るが、あるいは、任意の他の好適な形態で提供されてもよく、例えば、担体ビヒクルと組み合わせて希釈液体形態で提供されてもよく、またはあるいは固体形態で提供されてもよい。ある特定の実施形態では、(C)ポリジオルガノシロキサンは、25℃で液体である。
【0047】
ある特定の実施形態では、成分(A)鉱物充填剤、(B)ポリマー、および(C)ポリジオルガノシロキサンに加えて、上記のポリマー複合体物品を調製するための組成物は、着色剤(例えば、顔料および/または染料)、発泡剤(例えば、化学的および/または物理的)、UVおよび/または光安定剤、加工助剤、防腐剤、殺生物剤(例えば、殺菌剤、除草剤、殺虫剤、抗菌剤)、難燃剤および/または煙抑制剤、耐衝撃性改良剤、熱安定剤、ならびに潤滑剤から選択される1つ以上の添加剤をさらに含む。これらの成分は、当技術分野で知られており、従来の慣行に従って使用され得る。各添加剤は、利用される場合、本組成物の総重量に基づいて、0超~30重量パーセントの量で本組成物中に存在し得る。本組成物はまた、当技術分野で知られているように、他の任意の添加剤も含み得る。そのような添加剤は、例えば、Walker,Benjamin M.,and Charles P.Rader,eds.Handbook of thermoplastic elastomers.New York:Van Nostrand Reinhold,1979、Murphy,John,ed.Additives for plastics handbook.Elsevier,2001に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
ポリマー複合体物品を調製するための方法もまた、提供される。方法は、組成物からポリマー複合体物品を調製することを含む。ある特定の実施形態では、方法は、組成物を形成することをさらに含む。本組成物は、少なくとも成分(A)鉱物充填剤、(B)PVCポリマー、および(C)ポリジオルガノシロキサンを、本組成物中に存在するいずれか任意の成分とともに組み合わせることにより形成される。
【0049】
組成物の成分は、任意の順序で、かつ任意の好適な様式で組み合わされ得る。ある特定の実施形態では、例えば、(B)PVCポリマーは、組成物の形成前、形成中、および/または形成後に溶融され得る。例えば、(B)PVCポリマーは、(A)鉱物充填剤および(C)ポリジオルガノシロキサンが(B)PVCポリマーの溶融形態と組み合わされるように、成分を組み合わせる前および/またはその間に加熱され得る。(A)鉱物充填剤および(C)ポリジオルガノシロキサンは、任意の順序で(B)PVCポリマーの溶融形態と、例えば、個別に、連続して、一緒に、または同時に組み合わされ得る。しかしながら、あるいは、(B)PVCポリマーは、組成物を調製するときに(B)PVCポリマーが固体で未溶融または軟化していない形態になるように、(B)PVCポリマーを加熱または溶融する前に(A)鉱物充填剤および(C)ポリジオルガノシロキサンと組み合わされ得る。あるいは、(A)鉱物充填剤および(C)ポリジオルガノシロキサンを組み合わせて加熱し、次いで本組成物を調製するときに固体または液体形態の(B)PVCポリマーに添加され得る。
【0050】
好ましくは、(A)鉱物充填剤および(B)PVCポリマーは、一緒に組み合わされて、粉末マスターバッチを形成する。次いで、(C)ポリジオルガノシロキサンを粉末マスターバッチと組み合わせて粉末に吸収させた後、さらにブレンドして(C)ポリジオルガノシロキサンの均一分散を確実にすることができる。
【0051】
(B)PVCポリマーの融点温度(またはガラス転移温度)は、典型的には、利用される(B)PVCポリマーにより変化する。例えば、ある特定の種のポリマーは、他の種のポリマーとは異なる融点温度を有する。ある特定の実施形態では、(B)PVCポリマーは、本組成物の形成前、形成中、および/または形成後に、(B)ポリマーの融点温度より高い、例えば、(B)ポリマーの融点温度よりも10~90、あるいは10~40℃高い温度に加熱される。これにより、(B)ポリマーの単なる軟化ではなく溶融を確実にする。あるいは、より低い温度を剪断または混合と組み合わせて利用して、(B)ポリマーの軟化および/または溶融を確実にし得る。
【0052】
ポリマー複合体物品を調製するための組成物は、例えば、好適な混合機器を用いて、混合または剪断下で形成され得る。例えば、本組成物は、攪拌機および/または混合ブレードを備えた容器内で形成され得る。容器は、例えば、バンバリー、シグマ(Z)ブレード、またはキャビティトランスファースタイル混合機等の内部混合機であり得る。あるいはまたはさらに、組成物は、任意の押出機、例えば、回転および/もしくは往復(共混練機)スクリューを備えた単軸スクリュー押出機、ならびに接線方向または部分的/完全に噛み合って整列され得、同方向もしくは逆回転方向に回転する2つ以上のスクリューを備える多軸スクリューデバイスであり得る押出機内で形成され得るか、またはそれによって加工され得る。あるいは、円錐形押出機を使用して、本明細書に記載の組成物を形成し得る。
【0053】
上記に紹介されるように、本方法はまた、ポリマー複合体物品を調製するための組成物からポリマー複合体物品を調製することも含む。組成物は、例えば、容器内で形成され、その後容器から取り出されて、別個の機器でポリマー複合体物品を形成し得る。あるいは、同じ機器が、組成物を調製し、その後ポリマー複合体物品を形成するために利用され得る。例えば、本組成物は、押出機内で調製および/または混合され得、押出機は、本組成物を用いてポリマー複合体物品を調製するために利用され得る。あるいは、ポリマー複合体物品は、例えば、射出成形またはトランスファー成形プロセスを用いた成形により形成され得る。本組成物は、金型内でその場で形成され得るか、または独立して形成され、形成されたら金型内に配置され得る。あるいは、さらに、ポリマー複合体物品は、フィルムであり得る。そのような実施形態では、本組成物は、容器内で、任意に高温での混合下で形成または配置され、本組成物からフィルムを調製するための機器内またはその上に配置され得る。組成物、特に本組成物の(B)PVCポリマーのような熱可塑性物質を含むものからフィルムを調製するためのそのような機器および技法は、当技術分野でよく知られている。
【0054】
ある特定の実施形態では、組成物からポリマー複合体物品を調製することは、組成物を所望の形状に形成することをさらに含む。所望の形状は、ポリマー複合体物品の最終使用用途に依存する。当業者は、押し出し用のダイおよび成形用の金型が、ポリマー複合体物品の所望の形状に基づいて、どのように選択および作成され得るかを理解する。
【0055】
ある特定の実施形態では、本方法は、二軸スクリュー押出機(スクリューが、部分的または完全に噛み合いながら同時に回転するか、あるいは接線方向に、部分的に、または完全のいずれかで噛み合いながら整列して、逆回転する)等の押出機内で連続的または半連続的に行われる。一実施形態では、(C)ポリジオルガノシロキサンは、(A)鉱物充填剤および(B)PVCポリマーと同時に押出機内に配置される。あるいは、(C)ポリジオルガノシロキサンは、(B)PVCポリマーを溶融した後、かつ(A)鉱物充填剤を添加する前に押出機内に配置され得る。あるいは、(C)ポリジオルガノシロキサンは、(A)鉱物充填剤および(B)PVCポリマーが押出機を出た後、かつポリマー複合体物品が押出機を出る前に、押出機内に配置され得る。あるいは、(A)鉱物充填剤は、(C)ポリジオルガノシロキサンと同時に押出機内に配置され得、ここで、それらは加熱されて、(C)ポリジオルガノシロキサンを用いた(A)鉱物充填剤の表面処理を有効にし、次いで(B)PVCポリマーを押出機内に配置して、混合物を得、混合物を配合し、ポリマー複合体物品を形成するのに好適な温度まで温度を増加させる。押出機は、出発材料が添加され得る1つ以上のゾーン、例えば、1~3つ、または3~8つ、または1~12個のゾーンを有し得る。ゾーンは、異なる温度で加熱され得る。
【0056】
本発明のポリマー複合体物品は限定されず、無数の最終使用用途および産業に合わせてカスタマイズされ得る。単なる例として、ポリマー複合体物品は、管、配管、ホース、絶縁(例えば、熱的および/または電気的絶縁)物品、インテリア構成要素、例えば、床マットを含む、自動車の構成要素および用途、消費者製品および用途、工業用または商業用製品および用途、航空宇宙製品および用途、輸送用製品および用途、航空機製品および用途、電子製品および用途、住宅または商業用建築および建設製品および用途、例えば、デッキ、手すり、サイディング、フェンス、窓枠、フローリング等において利用され得るか、またはそれらとして利用され得る。
【0057】
本発明を例示的に説明してきたが、使用されている用語は、限定ではなく説明の言葉の性質であることを意図していることを理解されたい。明らかに、上記の教示に照らして、本発明の多くの修正および変形が可能である。本発明を、具体的な説明とは違うように実践してもよい。
【0058】
産業上の利用可能性
理論に縛られることを望まないが、(C)ポリジオルガノシロキサンは、本明細書に記載のポリマー複合体および/またはそれらを作製するためのプロセスに1つ以上の利益を提供し得ると考えられる。これらは、以下:
より低いコストをもたらす、発泡ポリマー組成物の密度の低下、
同じ発泡剤および加工助剤の充填レベルでより厚い製品をもたらす発泡ポリマー組成物のより高い膨張、効率的で費用効果の高い配合、
より低いレベルの発塵ならびに/もしくはブレンダーおよびブレードへの充填剤の付着によるより良い混合、ブレンダーの容易な洗浄、
堅牢な処理、最大の膨張、最大のガス封じ込めをもたらす改善された溶融強度、
より良好な難燃性および発煙抑制性をもたらすチャー含有量の増加、
トライボロジー特性の向上、より良好な耐摩耗性、
より広い加工ウィンドウをもたらすより低いずり流動化、
発泡物品のセル構造の改善、
配合中のトルクが低いと、加工のための消費電力が低くなり得、より高いスループットを可能にして生産収率を改善し得る、
増加した配合スループットおよびもしくはより低いエネルギー消費、
配合および成形中のより良好な充填剤分散および低減したガラス繊維の破断(ガラス繊維が使用されている場合)、
メルトフローの改善による、より薄い壁を成形する能力、
高い充填剤充填量を含んでコスト節減をもたらす能力、
離型中のより低い不良率、
より高い充填剤レベルで課題となり得る、より良好な表面品質および/もしくは仕上げ、
より高い充填剤充填量に関係なく改善される伸び、
より高い充填剤充填量に関係なく改善される衝撃強度、
融合特性の改善、
より高い充填剤充填量であっても重要な特性を維持もしくは改善し、より良好な性能をもたらし、配合コストを削減しながら加工する、
剪断の影響を受けにくい化合物をもたらし、堅牢な加工を提供する溶融レオロジーの改善、
改善された疎水性、
より多くの割合のリサイクルされたポリマーもしくは異なるグレードのポリマーを利用する能力、ならびに/または
強度および他の特性を改善する添加剤を使用可能にすること、を含む。
【実施例
【0059】
実施例A1~A14
以下の表1は、実施例A1~A14ならびに比較例C1およびC2の組成物を調製するために利用される成分の種類および量を示す。例示的なポリ塩化ビニル配合物は、表1の材料を順次添加することによって調製された。マスターバッチは、室温でPVCポリマーをGunther Papenmeier/Welexブレンダーに追加し、電力を15Aに上げ、125°Fで熱安定剤を追加し、150°Fで潤滑剤パッケージを追加し、170°Fで耐衝撃性改良剤を追加し、190°FでTiOを追加し、195°FでCaCOを追加することにより、約20分で調製された。シロキサンは、小型ブレンダーを使用して室温で後混合された。
【表1-1】
【表1-2】
【0060】
表1の組成物を、0.3mmのギャップを有する電気式Collin Rollミル上で、185℃で3分間粉砕して、各組成物から粉砕されたシートを得、次いで、粉砕されたシートを圧縮成形して、190℃で厚さ3.2mmのプラークを形成した。プラークの色性能は、Lab Scan(HunterLab)を使用して測定し、ノッチ付きアイゾット衝撃強度(ASTM D256に従って測定)を評価した。これらの物理的特性を以下の表2に記載する。
【表2】
【0061】
上記の表2に示すように、ビス-ビニル終端ポリジメチルシロキサンを含む例は、加工中の色安定性の向上、および潜在的により広い加工ウィンドウを示した。ビス-ビニル終端ポリジメチルシロキサンを含む例は、より高い衝撃強度を示した。
【0062】
実施例A1~A14ならびに比較例C1およびC2で作製された複合体の追加の物理的特性を測定し、以下の表3および4に記載する。表3に記載の物理的特性は、種類5の引張棒および0.5インチ/分の速度を使用して、ASTM D638に従って測定した。ブラベンダーレオロジー衝撃性および融合時間に関連する表4に記載の物理的特性、トルクは、Brabender GmbH&Co.KG(Duisburg,Germany)から市販されているブラベンダーミキサーを、60RPM、185℃、および樹脂65グラムに維持した動作条件で使用して測定した。
【表3】
【表4】
【0063】
実施例A15およびA16ならびに比較例C3
以下の表5は、実施例A15およびA16ならびに比較例C3の組成物を調製するために利用される成分の種類および量を示す。実施例A15およびA16ならびに比較例C3は、それぞれ上記の実施例A9およびA14ならびに比較例C2と同じ組成を有する。例示的なポリ塩化ビニル配合物は、表5の材料を順次添加することによって調製された。マスターバッチは、室温でPVCポリマーをGunther Papenmeier/Welexブレンダーに追加し、電力を15Aに上げ、125°Fで熱安定剤を追加し、150°Fで潤滑剤パッケージを追加し、170°Fで耐衝撃性改良剤を追加し、190°FでTiOを追加し、195°FでCaCOを追加することにより、約20分で調製された。次いで、マスターバッチ粉末を室温に冷却した。次いで、シロキサンをマスターバッチ粉末に加えた。シロキサンがマスターバッチ粉末に吸収された後、混合物を実験用Waringブレンダーに入れ、数分間ブレンドして均一なシロキサン分散を達成した。
【表5】
【0064】
表に列挙される配合されたPVCを、0.3mmのギャップを有する電気式Collin Rollミル上で、185℃で3分間粉砕し、次いで、粉砕されたシートを、190℃で厚さ3.2mmのプラークに圧縮成形した。ノッチ付きアイゾット衝撃強度(ASTM D256に従って測定)を評価した。これらの物理的特性を以下の表6に記載する。
【表6】
【0065】
実施例A17~A22
以下の表7は、実施例A17~A22および比較例C4の組成物を調製するために利用される成分の種類および量を示す。例示的なPVC配合物は、表7の材料を順次添加することによって調製された。マスターバッチは、室温でPVCポリマーをGunther Papenmeier/Welexブレンダーに追加し、電力を15Aに上げ、125°Fで熱安定剤を追加し、150°Fで潤滑剤パッケージを追加し、170°Fで耐衝撃性改良剤を追加し、190°FでTiOを追加し、195°FでCaCOを追加することにより、約20分で調製された。シロキサンは、ブラベンダーで融合する前に、室温で後添加した。
【表7】
【0066】
表7の組成物をブラベンダー内で185℃で7分間60RPMで混合し、次いで溶融ポリマーを室温(20℃)で厚さ3.2mmのプラークに圧縮成形した。融合レオロジーを表8に示す。これは、シロキサンを含む試料での圧縮と融合トルクの大幅な減少を示している。
【表8】
【0067】
以下の表9に示すように、0.2インチ/分のクロスヘッド速度を使用して、ノッチ付きアイゾット衝撃強度(ASTM D256)およびASTM D638に準拠した引張特性を測定した。シロキサンを含む例は、同等の降伏応力、同様またはそれ以上の破壊応力、および同様またはそれ以上の弾性率を示す。
【表9】
【0068】
以下の表10に示すように、実施例A17~A22と同様に、元の炭酸カルシウム充填剤の最大で全てをタルクで置換して、実施例の第2のセットを配合した。例A17~A22について前述したのと同じプロセスおよび試験プロトコルを使用した。タルクを含む配合物は、対応するレベルの炭酸カルシウムを含む配合物と比較して、レオロジーにおいて有意差を示さなかった。PVC配合物の機械的特性に対するタルクおよびシロキサンの効果は絡み合っており、いくつかの組み合わせは著しく高い衝撃強度および延性性能を有していた。全体として、12phrの炭酸カルシウムに対してわずか4phrのタルクでより高い弾性率が達成された。
【表10-1】
【表10-2】
【表11】
【表12】
【0069】
実施例B1~B8(PVCフォームデッキ)
以下の表13は、実施例B1~B8ならびに比較例C8およびC9の組成物を調製するために利用される成分の種類および量を示す。例示的なPVC配合物は、表13の材料を順次添加することによって調製された。マスターバッチは、室温でPVCポリマーをGunther Papenmeier/Welexブレンダーに追加し、電力を15Aに上げ、125°Fで熱安定剤を追加し、150°Fで潤滑剤パッケージを追加し、170°Fで耐衝撃性改良剤を追加し、190°FでTiOを追加し、195°FでCaCOを追加することにより、約20分で調製された。シロキサンは、ブラベンダーで融合する前に、室温で後添加した。
【表13-1】
【表13-2】
【0070】
表13の組成物を、0.3mmのギャップを有する電気式Collin Rollミル上で、185℃で3分間粉砕して、各組成物から粉砕されたシートを得、次いで、粉砕されたシートを圧縮成形して、190℃で厚さ3.2mmのプラークを形成した。プラークの色性能は、Lab Scan(HunterLab)を使用して測定し、ノッチ付きアイゾット衝撃強度(ASTM D256に従って測定)を評価した。これらの物理的特性を以下の表14に記載する。
【表14】
【表15】
【表16】
【0071】
表16に示すように、同じ充填剤充填レベルで、シロキサンを含む例は、より低い泡密度およびお改善された表面外観を示した。
【表17】
【0072】
実施例D1~D4(PVC LVT硬質フォーム層)
以下の表18は、実施例D1~D4ならびに比較例C10およびC11の組成物を調製するために利用される成分の種類および量を示す。例示的なPVC配合物は、表18の材料を順次添加することによって調製された。ドライブレンドは、室温でPVCをGunther Papenmeier/Welexブレンダーに追加し、電力を15Aに上げ、125°Fで熱安定剤を追加し、150°Fでシロキサンを含む潤滑剤パッケージを追加し、170°Fでアクリル加工助剤を追加し、190°FでTiOを追加し、195°FでCaCOを追加することにより調製された。粉末をブレンドした後、それを室温に冷却した。
【表18-1】
【表18-2】
【0073】
配合されたPVC試料を、0.3mmのギャップを有する電気式Collin Rollミル上で、170℃で5分間粉砕し、次いで、粉砕されたシートを、175℃で厚さ3.2mmのプラークに圧縮成形した。アイゾット衝撃(ノッチなし)強度(ASTM D256に従って測定)、引張強度(ASTM D 638)、および熱変形温度(HDT)(ASTM D648)のために試料を切断した。密度、膨張、および加工条件の試験のために、4.78mmのロッドダイを有するPolylabからの実験用二軸スクリュー押出機RS 5000を使用してフォームロッドを押し出した。押出温度設定は、スクリュー速度60RPMで170℃/175℃/185℃/180℃(ダイ)であった。床までの時間は、溶融物/ロッドがダイから床に到達するのにかかった時間として報告された。融合試験は、Brabender Intelli Torque 7150で、190℃、60rpm、7分、100PHRのCaCOでは74グラム、140PHRのCaCOでは78グラムで行った。ブラベンダーからの材料を平坦なプラークにプレスし、これを細かく切断してレオメーターのキャピラリに供給し、190℃で溶融粘度測定を行った。
【表19】
【0074】
用語の定義および用法
本明細書の文脈により別段の指示がない限り、すべての量、比率、およびパーセンテージは重量によるものであり、すべての試験方法は、本開示の出願日現在のものである。冠詞「a」、「an」、および「the」は各々、1以上を指す。添付の特許請求の範囲は、「発明を実施するための形態」の表現、およびそこに記載される特定の化合物、組成物、または方法に限定されず、添付の特許請求の範囲の範疇の特定の実施形態間で異なり得ることを解されたい。様々な実施形態の特定の特徴または態様を説明するための本明細書に依拠する任意のマーカッシュグループに関して、他のすべてのマーカッシュメンバーから独立したそれぞれのマーカッシュグループの各メンバーから異なる、特別な、かつ/または予期しない結果が得られる可能性がある。マーカッシュグループの各メンバーは、個別に、およびまたは組み合わせて依拠され得、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。
【0075】
さらに、本発明の様々な実施形態の説明に依拠する任意の範囲および部分範囲は、添付の特許請求の範囲の範疇に独立してかつ集合的に含まれ、そのような値が本明細書に明示的に書かれていない場合であっても、それらの全体および/または小数値を含むすべての範囲を説明および企図すると理解される。当業者は、列挙された範囲および部分範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、有効にし、そのような範囲および部分範囲が、関連する半分、3分の1、4分の1、5分の1等にさらに詳しく説明され得ることを容易に認識する。単なる一例として、「0.1~0.9の」範囲は、下3分の1、すなわち0.1~0.3、中3分の1、すなわち0.4~0.6、および上3分の1、すなわち0.7~0.9にさらに詳しく説明され、これらは、個別にかつ集合的に添付の特許請求の範囲の範疇にあり、個別および/または集合的に依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。加えて、「少なくとも」、「超」、「未満」、「以下」等の範囲を定義または修飾する文言に関して、そのような文言が部分範囲および/または上限もしくは下限を含むことを理解されたい。別の例として、「少なくとも10」という範囲には、少なくとも10~35の部分範囲、少なくとも10~25の部分範囲、25~35の部分範囲等が本質的に含まれ、各部分範囲は、個別にかつ/または集合的に依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。最後に、開示された範囲内の個々の数字は、依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。例えば、「1~9」という範囲には、3等の様々な個々の整数、ならびに4.1等の小数点(または分数)を含む個々の数値が含まれ、このことは、依拠され、添付の特許請求の範囲の範疇の具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。
【0076】
本明細書で使用される、「組成物」という用語は、組成物を含む材料、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を含む。
【0077】
「含む(comprising)」という用語およびその派生語は、それらが本明細書において開示されているかどうかにかかわらず、任意の追加の成分、ステップ、または手順の存在を排除することを意図しない。いかなる疑いも回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて本明細書において特許請求されるすべての組成物は、矛盾する記述がない限り、ポリマー性かまたは別様かにかかわらず、任意の追加の添加剤、補助剤、または化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の記載の範囲から、任意の他の成分、ステップ、または手順を排除する。「からなる」という用語は、具体的に規定または列記されていないいずれかの構成要素、ステップ、または手順も除外する。
【0078】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、同じ種類のものか、または異なる種類のものかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下に、唯一の種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、および本明細書において以下に定義されるようなインターポリマーという用語を包含する。微量の不純物が、ポリマーに、かつ/またはポリマー内に組み込まれ得る。
【0079】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」、および同様の用語は、2つ以上のポリマーの組成物を意味する。そのようなブレンドは、混和性であっても、そうでなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当技術分野で知られている任意の他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含有しても、そうでなくてもよい。ブレンドは積層体ではないが、積層体の1つ以上の層がブレンドを含有してもよい。

【国際調査報告】