(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】遠位保護構造を有するインプラント送達アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/966 20130101AFI20221007BHJP
【FI】
A61F2/966
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507634
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(85)【翻訳文提出日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 US2020045008
(87)【国際公開番号】W WO2021026235
(87)【国際公開日】2021-02-11
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595148888
【氏名又は名称】ストライカー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Stryker Corporation
【住所又は居所原語表記】2825 Airview Boulevard Kalamazoo MI 49002 (US)
(71)【出願人】
【識別番号】521535973
【氏名又は名称】ストライカー ヨーロピアン オペレーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Stryker European Operations Limited
【住所又は居所原語表記】Anngrove, IDA Business & Technology Park, Carrigtwohill, County Cork, T45HX08 Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】イェー,ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】レイ,ミランダ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA56
4C267BB02
4C267CC08
4C267EE03
4C267HH14
(57)【要約】
医療用インプラントを配備するための送達システムにおいて、送達カテーテル管腔内にスライド可能に配置された細長い送達ワイヤアセンブリを含み、この送達ワイヤアセンブリは、送達ワイヤアセンブリが送達カテーテル管腔内に拘束されてインプラントが圧縮された送達構成にあるときにインプラントが座するように構成されたインプラント装填領域を有する。送達ワイヤアセンブリはさらに、送達ワイヤアセンブリのインプラント装填領域の遠位に結合された中央部分と、送達ワイヤアセンブリ、インプラント、およびインプラント遠位保護構造が送達カテーテル管腔内に拘束されている場合に前記中央部分から近位側に延在する周辺部分とを含むインプラント遠位保護構造を具え、インプラントが送達カテーテルの管腔から解放されて拡張構成をとったときに、前記周辺部分が近位方向に延在したままとなる。
【選択図】
図4C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の血管系内の標的部位にインプラントを展開するための送達システムであって、前記インプラントは、圧縮された送達構成および拡張された展開構成を有し、前記送達システムが、
管腔を有する送達カテーテルと、
前記送達カテーテルの管腔内に少なくとも部分的に配置された細長い送達ワイヤアセンブリであって、当該送達ワイヤアセンブリは前記送達カテーテルに対して並進可能であり、前記インプラントを含む前記送達ワイヤアセンブリの遠位部分が前記送達カテーテルの管腔内に拘束されて前記インプラントが圧縮された送達構成にある場合に、前記インプラントが座するように構成されたインプラント装填領域を有する、送達ワイヤアセンブリと、
インプラント遠位保護構造であって、前記送達ワイヤアセンブリの前記インプラント装填領域の遠位に結合された中央部分と、前記インプラントおよびインプラント遠位保護構造を含む送達ワイヤアセンブリの遠位部分が前記送達カテーテル管腔内に拘束されている場合に前記中央部分から近位側に延在して前記インプラントの遠位端部分を少なくとも部分的に覆う周辺部分とを含む、インプラント遠位保護構造とを具え、
前記インプラントが前記送達カテーテルの管腔から解放されて前記インプラント遠位端保護機能によって覆われなくなった後に拡張構成をとったときに、前記インプラント遠位保護構造の周辺部分が近位方向に延在したままとなることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記インプラント遠位保護構造の周辺部分が、前記中央部分から延びる複数の円周方向に間隔を置いた花弁様部分を含む、請求項1に記載の送達アセンブリ。
【請求項3】
前記インプラント遠位保護構造の周辺部分は3つの花弁様部分からなる、請求項2に記載の送達アセンブリ。
【請求項4】
前記花弁様部分が、前記送達ワイヤアセンブリの周りに周方向に実質的に等間隔で配置されている、請求項2または3に記載の送達アセンブリ。
【請求項5】
前記インプラントおよび前記インプラント遠位保護構造を含む前記送達ワイヤアセンブリの遠位部分が前記送達カテーテルの管腔内に拘束されているときに、前記インプラント遠位保護構造が前記インプラントの全長の約20パーセントをカバーする、請求項1~4のいずれか一項に記載の送達アセンブリ。
【請求項6】
前記インプラントおよび前記インプラント遠位保護構造を含む前記送達ワイヤアセンブリの遠位部分が前記送達カテーテルの管腔内に拘束されているときに、前記インプラント遠位保護構造が前記インプラントの全長の約10パーセントから約20パーセントをカバーする、請求項1~4のいずれか一項に記載の送達アセンブリ。
【請求項7】
前記インプラントおよび前記インプラント遠位保護構造を含む前記送達ワイヤアセンブリの遠位部分が前記送達カテーテルの管腔内に拘束されているときに、前記インプラント遠位保護構造が前記インプラントの全長の約5パーセントから約10パーセントをカバーする、請求項1~4のいずれか一項に記載の送達アセンブリ。
【請求項8】
前記インプラントおよび前記インプラント遠位保護構造を含む前記送達ワイヤアセンブリの遠位部分が前記送達カテーテルの管腔内に拘束されているときに、前記インプラント遠位保護構造が前記インプラントの全長の約5パーセント以下をカバーする、請求項1~4のいずれか一項に記載の送達アセンブリ。
【請求項9】
前記インプラント遠位保護構造の中央部分は、前記インプラント遠位保護構造が前記送達ワイヤアセンブリに対して回転可能でないように、前記送達ワイヤアセンブリに固定的に取り付けられている、請求項1~8のいずれか一項に記載の送達アセンブリ。
【請求項10】
前記インプラント遠位保護構造の中央部分は、前記インプラント遠位保護構造が前記送達ワイヤアセンブリに対して回転できるように、前記送達ワイヤアセンブリに取り付けられている、請求項1~8のいずれか一項に記載の送達アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]ここに開示する発明は、一般に、医療用インプラントの送達に使用される低侵襲性アセンブリに関する。より具体的には、本開示は、管状ステントまたはフローダイバータなどの医療用インプラントを、患者の血管系の標的移植部位に送達するための送達アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ステント、ステントグラフト、フローダイバータ、動脈瘤閉塞デバイス、下大静脈フィルタなどの血管内インプラントの使用は、多くの種類の血管疾患を治療するための効果的な方法になっている。一般に、適切な血管内移植デバイスは、患者の血管系に挿入され送達管腔を有するカテーテルなどの送達システムを使用して、血管系を通して標的移植部位までナビゲートされる。現在利用可能な送達装置を使用して、冠状動脈、脳血管、末梢血管系など、患者の血管系の事実上すべての標的部位にアクセスすることができる。
【0003】
[0003]低侵襲送達デバイスは、ガイドワイヤを介して患者の血管系に経皮的に導入されるカテーテルを具え、カテーテルの開放遠位端は、周知の技術を使用して標的移植部位にナビゲートされる。次に、医療用インプラントは、圧縮された(すなわち、直径が縮小された)送達構成でカテーテルの送達管腔を通して展開され、次いで、カテーテルの遠位端開口を通して血管の管腔に導入される。例えば、ステントなどの自己拡張型インプラントは、管状カテーテル送達ルーメン内に拘束された状態で弾性的に圧縮された状態で送達され、その後、カテーテルの開放遠位端から展開されると弾性的に拡張して血管の内壁に係合する。拡張・拡大されたステントは、血管壁を支持および補強し、それによって血管を開いた閉塞のない状態に維持する。
【0004】
[0004]医療用インプラントには、様々なサイズと形状がある。例えば、ステントや一部のフローダイバータは、患者の血管系内に展開されると、通常、拡張された実質的に管状の構成をとる。さらに、医療用インプラントは、ポリマー(非生体侵食性プラスチックおよび生体侵食性プラスチックなど)や金属を含む様々な材料から作ることができる。医療用インプラントは、形状記憶金属(例えば、形状記憶ニチノール)やポリマー(例えば、ポリウレタン)などの形状記憶または超弾性材料から作ることができる。そのような形状記憶インプラントは、治療部位への送達後に特定の形状(例えば、半径方向に拡張した形状)をとるように(例えば、温度、電場または磁場または光によって)誘導することができる。超弾性ニチノールなどの超弾性塞栓材料は、誘導刺激を必要とせずに、送達後にある形状にすることができる。他の一般的に使用される材料には、ステンレススチール、プラチナ、エルジロイが含まれる。薬物送達インプラントは生物活性剤または治療剤を運ぶことができ、および/またはデバイスの表面を生物活性剤または治療剤でコーティングすることができる。ステント、ステントグラフト、フローダイバータなどの一般的に使用される医療用インプラントは、所定の(例えば、管状の)形状に編組または織られた複数のフィラメント(例えば、ワイヤ)で構成されてもよいし、レーザーカットしたチューブで作製されてもよい。
【0005】
[0005]既知の送達システムは、放出を制御するための保持スリーブまたは展開中にインプラント端部を保護するためのカバーを含み、これらが(例として)米国特許第6,478,814号、第6,830,575号、第8,591,566号に記載されている。そのようなスリーブ/カバーは翼状または別個の部材を含み、製造がより困難であり、送達カテーテルに通して押されるときに装置アセンブリによって加えられる抵抗力や摩擦力が増大し、送達システムの全体的な性能に悪影響を与える可能性がある。
【0006】
[0006]したがって、送達カテーテルを介した抵抗力または摩擦力の増加を回避または最小化しつつ、インプラントの保護を容易にする自己拡張型インプラントを送達するためのインプラント送達システムを提供する継続的な必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
[0007]開示された発明の一実施形態では、哺乳動物の血管系内の標的部位にインプラントを配備するための送達システムが提供され、当該インプラントは、圧縮された送達構成および拡張された展開構成を有し、前記送達システムは、管腔を有する送達カテーテルと、当該送達カテーテルの管腔内に少なくとも部分的に配置された細長い送達ワイヤアセンブリを具え、当該送達ワイヤアセンブリは前記送達カテーテルに対して並進可能であり、インプラントを含む送達ワイヤアセンブリの遠位部分が前記送達カテーテルの管腔内に拘束されており、前記インプラントが圧縮された送達構成にある場合に、前記インプラントが座するように構成されたインプラント装填領域を有する。前記送達ワイヤアセンブリは、インプラント遠位保護構造であって、前記送達ワイヤアセンブリの前記インプラント装填領域の遠位に結合された中央部分と、前記インプラントおよびインプラント遠位保護構造を含む前記送達ワイヤアセンブリの遠位部分が前記送達カテーテル管腔内に拘束されている場合に前記中央部分から近位側に延在して前記インプラントの遠位端部分を少なくとも部分的に覆う周辺部分とを含むインプラント遠位保護構造を含み、インプラントが送達カテーテルの管腔から解放されてインプラント遠位端保護機能によって覆われなくなった後に拡張構成をとったときに、インプラント遠位保護構造の周辺部分は近位方向に延在したままとなる。
【0008】
[0008]様々な実施形態において、インプラント遠位保護構造の周辺部分は、中央部分から延びる複数の円周方向に間隔を置いた花弁様部分から構成され得る。非限定的な例として、一実施形態では、インプラント遠位保護構造の周辺部分は、送達ワイヤアセンブリの周りに実質的に等間隔に配置された3つの花弁様部分からなる。
【0009】
[0009]一実施形態では、インプラントおよびインプラント遠位保護構造を含む送達ワイヤアセンブリの遠位部分が送達カテーテル管腔内に拘束されている場合、インプラント遠位保護構造はインプラントの全長の約20パーセントをカバーする。
【0010】
[00010]別の実施形態では、インプラントおよびインプラント遠位保護構造を含む送達ワイヤアセンブリの遠位部分が送達カテーテル管腔内に拘束されているときに、インプラント遠位保護構造はインプラントの全長の約10パーセントから約20パーセントをカバーする。
【0011】
[00011]さらに別の実施形態では、インプラントおよびインプラント遠位保護構造を含む送達ワイヤアセンブリの遠位部分が送達カテーテル管腔内に拘束されている場合、インプラント遠位保護構造はインプラントの全長の約5パーセントから約10パーセントをカバーする。
【0012】
[00012]さらに別の実施形態では、インプラントおよびインプラント遠位保護構造を含む送達ワイヤアセンブリの遠位部分が送達カテーテル管腔内に拘束されている場合、インプラント保護部材はインプラントの全長の約5パーセント以下をカバーする。
【0013】
[00013]インプラント遠位保護構造の中央部分は、インプラント遠位保護構造が送達ワイヤアセンブリに対して回転できないように、送達ワイヤアセンブリに固定的に取り付けられ得る。代替の実施形態では、インプラント遠位保護構造の中央部分は、インプラント遠位保護構造が送達ワイヤアセンブリに対して回転できるように、送達ワイヤアセンブリに取り付けられる。
【0014】
[00014]本明細書に開示される発明の実施形態の他のさらなる態様および特徴は、添付の図面を考慮して、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】[00015]
図1は、開示された発明の一実施形態に従って構築されたインプラント送達システムの側面図である。
【
図2】[00016]
図2A~Eは、
図1のインプラント送達システムの送達ワイヤアセンブリの部分切断側面図、斜視図、および分解図であり、インプラント遠位保護構造を含むシステムの部分をより詳細に示している。
【
図3】[00017]
図3は、
図2Eに示されるインプラント遠位保護構造の立面端面図であり、インプラント遠位保護構造が完全に開いている。
【
図4】[00018]
図4A~Dは、開示された発明の一実施形態による、送達ワイヤアセンブリが送達カテーテル120に装填された状態のインプラント遠位保護構造の切断図、側面図および斜視図である。
【
図5】[00019]
図5A~D’は、
図1~4のインプラント送達システムを使用して血管系の標的部位にインプラントを送達および展開する際の、インプラント遠位保護構造の側面図および斜視図である
【発明を実施するための形態】
【0016】
[00020]以下の用語の定義については、特許請求の範囲または本明細書の他の場所で異なる定義がされていない限り、これらの定義が適用されるものとする。
【0017】
[00021]本明細書では、明示的に示されているかどうかにかかわらず、すべての数値は「実質的に」または「約」という用語によって修正されるものとする。「実質的に」および「約」という用語は、記載されているパラメータ、構造、または値と当業者が同等と考える数の範囲をいう(つまり、同じ機能または結果を有する)。多くの場合、「約」および「実質的に」という用語は、最も近い有効数字に丸められた数値が含まれる。端点による数値範囲の記載には、その範囲内のすべての数値が含まれる(例えば、1~5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5が含まれる)。
【0018】
[00022]本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「または」という用語は、内容が明確に別段の指示をしない限り、「および/または」を含むその意味で一般に使用される。
【0019】
[00023]本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「近位」および「近位側」(および同様のもの)という用語は、患者の身体の外側方向への相対位置、構造物の位置または方向、またはインプラント送達システムの動きに関し、また、「遠位」および「遠位側」(および同様のもの)という用語は、患者の体内に奥深く延びる相対位置、構造物の位置または方向、またはインプラント送達システムの動きに関する。
【0020】
[00024]以下に、図面を参照しながら開示された発明の様々な実施形態について説明する。図面は必ずしも縮尺どおりに描かれておらず、選択された要素の相対的な縮尺は明確のために誇張されている場合があり、同様の構造または機能の要素は図全体で同様の参照番号で表されている。また、図面は、実施形態の説明を容易にすることのみを意図しており、開示された発明の網羅的な説明として、または添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ定義される範囲の限定として意図されていないことを理解されたい。
【0021】
[00025]さらに、開示された発明のそれぞれの例示された実施形態は、記載された特徴のすべてを有する必要はなく、特定の実施形態に関連して説明される特徴、態様または利点は、必ずしもその実施形態に限定されず、そのように示されていない場合でも他の実施形態で実施することができる。
【0022】
[00026]
図1は、開示された発明の一実施形態に従って構成されたインプラント送達システム100を示す図である。インプラント送達システム100は、大まかに、近位端部分130、遠位端部分160、およびそれらの間に延びる管腔125を有する細長い管状の送達カテーテル120を具え、送達カテーテルの管腔125は、送達カテーテル120のそれぞれの開放された近位端および遠位端と連通している。送達カテーテル120は、血管系の標的部分に送達カテーテル120の遠位端部分160を配置するのを支援するために使用される外側シース180内に同軸配置され、それに対して移動可能である。送達カテーテル120の近位端部分130は、流体を管腔125に導入するために使用される流体ポート150(送達カテーテル120が挿入される外側シース180の近位開口部の遠位にある)を具える。流体送達ポート150は、インプラント送達システム100が患者の血管系に挿入されたときに、医師/オペレータがアクセスできるように患者の体の外側に留まる。送達カテーテル120の遠位部分160は、例えば神経血管系内などの血管系内の遠隔位置にアクセスするようなサイズおよび寸法になっている。そして、近位部分130よりも小さい直径(またはプロファイル)を有し得る。
【0023】
[00027]インプラント送達システム100はさらに、インプラント送達ワイヤアセンブリ300(
図2A~Eに関して詳細に後述する)を具え、これは送達カテーテル管腔125を通して押し進められるコアワイヤ350を含み、コアワイヤ350の遠位端部分にインプラント200(
図1に示さず)が担持されて患者の血管系の標的部位に運ばれる。
図1に示すように、コアワイヤ350は、送達カテーテル120の近位端開口部を通して挿入され、コアワイヤ350の遠位端に取り付けられた非外傷性の遠位先端部分(例えば、ソフトコイル部材)380が送達カテーテル120の遠位端開口部から延在するように、送達管腔125を通して押し込まれる。
【0024】
[00028]インプラント送達システム100の外側シース180は、先に導入されたガイドワイヤ(図示せず)を介して血管系に導入(オーバーザワイヤ構成として知られている)することができ、あるいはガイドワイヤがガイドワイヤポート(図示せず)から外側シース180の遠位部分のみを通って延びる、周知の「迅速交換」構成で導入することができる。次に、送達カテーテル120が、これも周知のように、ガイドワイヤ上であろうとなかろうと外側シースを通して導入される。外側シース180は、血管系の標的位置へのシースの位置決めを支援するために、シースの開放遠位端に隣接して放射線不透過性マーカ355を有する。
【0025】
[00029]送達カテーテル120は、ポリエチレン、ステンレス鋼、または他の適切な生体適合性材料といった適切な高分子材料、金属、および/または合金、あるいはそれらの組み合わせから構成することができる。場合によっては、近位部分130は、押し込み性を高めるために、編組層またはコイル状層などの補強層を含み得る。送達カテーテル120は、近位部分130と遠位部分160との間に1以上の遷移領域を含み得る。遠位端部分160は、遠位端部分160のプロファイルを低減し、曲がりくねった血管系において外側シース180の遠位開口部から延びる遠位端部分160のナビゲーションを容易にするために、近位部分130の外径よりも小さい外径を有してもよい。近位端部分130は、近位部分130が患者の血管系を通って進むのに十分な押し込み性を有するように送達カテーテル120の遠位部分160よりも剛性のある材料から形成されてもよく、他方で遠位部分160は、遠位部分160が血管系の曲がりくねった領域において遠隔位置にアクセスするためにガイドワイヤ上をより容易に追跡する柔軟性を維持できるように、より柔軟な材料から形成されてもよい。
図2Aに最もよく見えるように、先細の放射線不透過性マーカ455、および非外傷性先端457がそれぞれ、送達カテーテル120の遠位端開口部452の近くに配置されている。
【0026】
[00030]
図2A~Eを参照すると、ステント、フローダイバータ、または他のタイプの血管系インプラントであり得るインプラント200が、コアワイヤ350の遠位部分に担持されている。インプラント200は、ステンレス鋼、エルジロイ、ニッケル、チタン、ニチノール、形状記憶ポリマー、またはそれらの組み合わせなどの様々な生体適合性材料を含むことができ、ステント材料のチューブまたはシートからパターンをエッチングまたはカットしたり、1以上のワイヤまたはリボンを所望の形状およびパターンに織り/編組することによって、周知の技術を使用して構成され得る。インプラント200は、互いに溶接、接着、または他の方法で係合されるさらなる構成要素を含んでもよく、任意選択で、非多孔性、非透過性の生体適合性材料、カバーなどを含んでもよい。
【0027】
[00031]
図2Dに最もよく示すように、インプラント200は概して管状であり、近位部分220、遠位部分240、およびその間に延在する管腔260を有する。特に、インプラント200は
図2A~Eにおいて、送達カテーテル120の管腔125内に配置された(すなわち、半径方向に拘束された)圧縮された細長い送達構成で描かれている。インプラント200は、好ましくは、送達カテーテル120の遠位端開口部から展開されたとき(すなわち、半径方向に拘束されなくなったとき)、半径方向外側に自己拡張して拡張した展開構成になるようにバイアスされている。
【0028】
[0001]
図2A~Bに示すように、送達ワイヤアセンブリ300のコアワイヤ350は送達カテーテル管腔125内に同軸に配置され、インプラント200はコアワイヤ350の周りに同軸に配置され、同じく送達カテーテル管腔125内に拘束されている。特に、コアワイヤ350は送達カテーテル120に対して軸方向に移動可能であり、コアワイヤ350が送達カテーテル管腔125を通って軸方向に並進されると、送達ワイヤアセンブリ300はインプラント200を血管系の標的移植部位に送達するためにインプラント200と係合するように構成される。送達ワイヤアセンブリ300とインプラント200との間のインターフェースについては以下で詳述する。
【0029】
[0002]放射線不透過性マーカ360(例えば、レーザーエッチングされた放射線不透過性バンドまたは任意の他の適切なマーカ)は、好ましくはコアワイヤ350の遠位部分に沿って配置され、送達カテーテル120に対するコアワイヤ350およびインプラント200の位置決めを支援する。図示の実施形態では、コイル357が、インプラント200のすぐ近位に構造的支持を与えるためにコアワイヤ350の周りに配置されている。放射線不透過性マーカバンド360が、インプラント200の近位端部分220の位置を示すために、コイル357の遠位部分358上に配置されている。マーカ360をコアワイヤ350に取り付けるためにエポキシ結合376が用いられる。
【0030】
[0003]
図2B~Cに示すように、再被覆パッド370がコイル357の遠位側のコアワイヤ350の周りに配置され、この再被覆パッド370の遠位端でコアワイヤ350にインプラント再被覆バンパ375が取り付けられている。再被覆バンパをコアワイヤ350に取り付けるためにエポキシ結合376が使用される。インプラント200が装填されるコアワイヤ350のこの領域は、本明細書では、インプラント装填領域と呼ばれる。特に、インプラント200の近位部分220は、それぞれの再被覆パッド370および再被覆バンパ375の上に配置され、インプラント200の遠位部分240の遠位端は、コアワイヤ350に取り付けられてそれぞれの近位および遠位ロック部材550の間に固定されている遠位保護構造500でカバーされている(
図2E)。ほとんどの図において、近位ロック部材550はインプラント遠位保護構造500によって隠れているため、遠位ロック部材550のみが示されている。ただし、近位ロック部材は
図5Cに示されている(後述する)。非外傷性の遠位先端380(例えば、ソフトコイル部材)が、遠位ロック部材550の近くのコアワイヤに取り付けられている(
図2B、2E)。
【0031】
[00032]
図3は、開示された発明の一実施形態による、送達ワイヤアセンブリ300のインプラント遠位保護構造500を示す図である。インプラント遠位保護構造500は、好ましくはePTFEなどの生体適合性材料から構成される。一実施形態では、インプラント遠位保護構造500は、約0.0152ミリメートル(0.0006インチ)の厚さ、および約0.44ミリメートル(0.0173インチ)の長さLを有する、ePTFEの薄く実質的に均一な層でできている。
図3に示すように、インプラント遠位保護構造500は、コアワイヤ350(
図2E)に取り付けられた中央部分511で交わる3つの円周方向に離間した花弁様部材(または「花弁」)520の形態の周辺部分を具える。
図4A(後述)に示すように、周辺の花弁520は、インプラント遠位保護構造500が送達カテーテル120内に拘束されていない場合、中央部分511から概ね半径方向外側に延び、近位方向に向いている。
【0032】
[00033]図示の実施形態では、インプラント遠位保護構造500は、ロック部材550によってコアワイヤ350に固定的に取り付けられているため、インプラント遠位保護構造はコアワイヤ350に対して回転しない。代替の実施形態では、インプラント遠位保護構造500は、カラー、ひいてはインプラント遠位保護構造550がコアワイヤ350およびロック部材550に対して回転できるように、ロック部材550によってコアワイヤ350の相対的長手方向位置に依然として固定されているカラー(図示せず)に取り付けられてもよい。
【0033】
[00034]
図4A~Dは、開示された発明の一実施形態による、送達ワイヤアセンブリ300の送達カテーテル120へのフロント装填を示す図である。
図4Aは、送達カテーテル120に装填される直前の、インプラント遠位保護構造500およびインプラント200を含む送達ワイヤアセンブリ300の遠位端部分を示し、ここでインプラント遠位保護構造500の周辺花弁520は、半径方向に拘束されていない構成で概ね近位に延在して示されている。インプラント200は、コアワイヤ350(図示せず)の周りに同軸に配置され、管状の装填部材390によって半径方向に拘束された送達構成で保持され、インプラント200の遠位端部分240は、装填部材390の遠位端開口部から少なくとも部分的に露出している。
【0034】
[00035]インプラント遠位保護構造500および圧縮されたインプラント200を含む送達ワイヤアセンブリ300の遠位端部分が送達カテーテル120内に進められ、または送達カテーテル120が送達ワイヤアセンブリ300の遠位部分上で進められ、またはそれぞれをいくらかによって、
図4B~Cに示すように、インプラント遠位保護構造500の周辺花弁520が、インプラント200の遠位部分240の上に重なるように半径方向に圧縮される。送達カテーテル120がそれぞれのインプラント遠位保護構造500および装填部材390上に配置されると、装填部材390が引き戻され、一方でインプラント200は送達カテーテル120の管腔125内に圧縮された送達構成で留まり、そしてインプラント遠位保護構造500の周辺花弁520は、インプラント200の遠位部分240上に圧縮されたままで、これを少なくとも部分的に覆っている(
図4D)。
【0035】
[00036]開示する発明はそのように限定されないが、インプラント遠位保護構造500の図示された「3枚弁」構成は、インプラント200の遠位部分240の遠位端を覆う材料の量を最小化し、これによりインプラント200が管腔125を通して押されるときに、送達カテーテル120の内壁にインプラントによって与えられる抵抗力または摩擦力を低減し最小化するように構成される。特に、開示された発明の発明者は、インプラント遠位保護構造500の描写された3枚弁構成を採用することにより、コアワイヤ350と送達カテーテル120との間に相対運動があるときに、インプラント200と送達カテーテル120の内壁との間の摩擦係数が約0.01から約0.04の範囲にあることを見出した。
【0036】
[00037]様々な実施形態において、インプラント遠位保護構造550は、インプラント200およびインプラント遠位保護構造500を含む送達ワイヤアセンブリ300の遠位部分が送達カテーテル管腔125内に拘束されたときに、インプラント200の遠位部分240の異なる量を覆うように寸法決めおよび構成され得る。非限定的な例として、一実施形態では、インプラント遠位保護構造500は、インプラント200およびインプラント遠位保護構造500を含む送達ワイヤアセンブリ300の遠位部分が送達カテーテル管腔125内に拘束されたときに、インプラント200の全長の20パーセントを覆うように寸法決めおよび構成される。別の実施形態では、インプラント遠位保護構造500は、インプラント200およびインプラント遠位保護構造500を含む送達ワイヤアセンブリ300の遠位部分が送達カテーテル管腔125内に拘束されたときに、インプラント200の全長の約10パーセントから約20パーセントを覆うように寸法決めおよび構成される。さらに別の実施形態では、インプラント遠位保護構造500は、インプラント200およびインプラント遠位保護構造500を含む送達ワイヤアセンブリ300の遠位部分が送達カテーテル管腔125内に拘束されたときに、インプラント200の全長の約5パーセントから約10パーセントを覆うように寸法決めおよび構成される。さらに別の実施形態では、インプラント遠位保護構造500は、インプラント200およびインプラント遠位保護構造500を含む送達ワイヤアセンブリ300の遠位部分が送達カテーテル管腔125内に拘束されたときに、インプラント200の全長の約5パーセント以下を覆うように寸法決めおよび構成される。
【0037】
[00038]
図5A~D’は、血管系(図示せず)の標的部位へのインプラント200の送達時または標的部位での展開時の、インプラント遠位保護構造500を示す図である。
【0038】
[00039]
図5Aは、コアワイヤ350(
図5Aでは見えない)が送達カテーテル管腔125を通して押されるときの送達ワイヤアセンブリ300の遠位端部分を示す図である。圧縮された送達構成で示されるインプラント200および遠位インプラント保護構造500は送達カテーテル管腔125内に拘束されており、インプラント遠位保護構造500の周辺花弁520が、インプラント200の遠位部分240を覆って保護している。
【0039】
[00040]送達アセンブリ300の遠位端部分が標的移植部位の近くに配置されると、送達カテーテル120がコアワイヤ350に対して近位方向に引き戻されるか、コアワイヤ350が送達カテーテル120に対して遠位方向に押されるか、またはそれぞれをいくらかが行われ、それによってインプラント遠位保護構造500およびインプラント200が送達カテーテル120の遠位端開口部452から露出され、
図5B~5D’に示すように、半径方向に拘束されなくなったインプラント200が、遠位端部分240から開始して拡張構成へと半径方向に自己拡張することが可能になる。特に、インプラント200の遠位端部分240が拡張構成をとり、もはやインプラント遠位保護構造500によって覆われないときに、インプラント遠位保護構造500の周辺花弁520は、概ね近位方向(すなわち、「送達構成」)に延在したままとなる。
【0040】
[00041]インプラント遠位保護構造500は、好ましくは、インプラント200が拡張するときに、インプラント200の遠位部分240に対して無視できるかさもなければ有意でない力を及ぼすように構成される。いくつかの実施形態では、インプラント遠位保護構造500は、送達カテーテル120によって半径方向に拘束されなくなったときに、半径方向外側に拡張することができる。いずれの実施形態においても、インプラント遠位保護構造500が送達構成を保持しているとき、または送達カテーテル120によって拘束されなくなって外側に拡張するときに、周辺花弁520は近位方向に延びるおよび/または向くように構成され、すなわち個々の花弁520は好ましくはインプラント200が拡張するときに反転(evert)しない。
【0041】
[00042]標的部位にインプラント200を展開した後、送達ワイヤアセンブリ300は送達カテーテル(図示せず)内を引き戻され、標的部位に拡張したインプラント200を残して、送達システム100が身体から引き抜かれる。特に、
図5D-5D’に示すように、インプラント遠位保護構造500の「近位側に向いた」構成および拡張したインプラント200に対して比較的小さいサイズにより、コアワイヤ350および遠位インプラント保護部材500は、展開された拡張インプラント200に干渉することなく、インプラント200の管腔260を通って送達カテーテル管腔125に引き戻される。
図5D’は、
図5Dに示す部分の拡大図であり、送達カテーテル120がインプラント遠位保護構造500を拘束しなくなったときでも、インプラント遠位保護構造500がその送達構成を実質的に保持することをよく説明するものである。
【0042】
[00043]特定の実施形態が本明細書に示され、説明されてきたが、それらは開示された発明を限定することを意図するものではなく、特許請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ定義される開示された発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、順列、および修正(例えば、様々な部品の寸法、部品の組み合わせ)が可能であることが当業者には明らかであろう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で捉えられるべきである。本明細書に示され、記載された様々な実施形態は、開示された発明の代替例、修正物、および均等物をカバーすることを意図しており、これらは添付の特許請求の範囲内に含まれ得る。
【国際調査報告】