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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】並列接続軸受及び回転子システム
(51)【国際特許分類】
   F16C 32/00 20060101AFI20221007BHJP
   F16C 32/06 20060101ALI20221007BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20221007BHJP
   F16C 19/16 20060101ALI20221007BHJP
   F16C 21/00 20060101ALI20221007BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20221007BHJP
   F01D 25/16 20060101ALI20221007BHJP
   F04D 29/046 20060101ALI20221007BHJP
   H02K 7/08 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
F16C32/00 C
F16C32/06 Z
F16C17/02 Z
F16C19/16
F16C21/00
F01D25/00 L
F01D25/16 C
F04D29/046 A
H02K7/08 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507680
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 CN2020135893
(87)【国際公開番号】W WO2021129426
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】201911340107.X
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522048867
【氏名又は名称】至▲ユエ▼▲騰▼▲風▼科技集▲団▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TECHNOLOGIES’ XANADU OF RESONATORY-SOLAR-SYSTEMED CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲ジン▼ 普
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 慕▲華▼
【テーマコード(参考)】
3H130
3J011
3J102
3J701
5H607
【Fターム(参考)】
3H130AA20
3H130AB27
3H130AB60
3H130AC04
3H130DB01X
3J011BA02
3J011BA14
3J011KA02
3J011MA12
3J102AA02
3J102CA09
3J102CA10
3J102EA02
3J102EA07
3J102EA12
3J102GA06
3J102GA08
3J102GA20
3J701AA03
3J701AA12
3J701AA42
3J701AA54
3J701AA62
3J701BA77
3J701EA33
3J701EA41
3J701FA31
3J701FA41
3J701GA26
3J701GA29
5H607BB01
5H607CC03
5H607DD03
5H607FF07
5H607FF30
5H607GG01
5H607GG02
5H607GG08
5H607GG12
5H607GG13
5H607GG14
5H607GG15
(57)【要約】
本発明は、回転軸軸受と固定子軸受を含む並列接続軸受を開示し、回転軸軸受は、接触式軸受であり、回転軸に外嵌され、固定子軸受は、非接触式軸受であり、回転軸軸受に外嵌され、固定子軸受と回転軸軸受とには隙間が残され、固定子軸受は、固定子に固定される。本発明の並列接続軸受は、コストが低く、各段の軸受の相対回転速が減少し、理論DN値の制限を受けず、潤滑油に対する依存性が低い。本発明においては、空気軸受と軸受シェルとの間のゴムシールが摩耗しにくく、耐用年数が長い。本発明は、上記並列接続軸受を有する回転子システムをさらに開示し、該回転子システムの同じ回転軸における複数の並列接続軸受の回転速度を適応的に調節でき、同期回転の効果を達成し、回転子システムの高速運転の安定性が高い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列接続軸受であって、
回転軸軸受と固定子軸受を含み、回転軸軸受は、接触式軸受であり、回転軸に外嵌され、固定子軸受は、非接触式軸受であり、回転軸軸受に外嵌され、固定子軸受の内壁と回転軸軸受外壁との間には隙間が残され、固定子軸受は、固定子に固定される、ことを特徴とする並列接続軸受。
【請求項2】
前記並列接続軸受は、軸受シェルをさらに含み、軸受シェルは、固定子軸受の1つの端面及び外周にカバーされ、軸受エンドキャップは、固定子軸受の他の端面に設けられ、軸受シェルに固定され、軸受シェル及び/又は軸受エンドキャップは、固定子に固定され、固定子軸受は、軸受シェル又は軸受エンドキャップと円周方向に固定される、ことを特徴とする請求項1に記載の並列接続軸受。
【請求項3】
前記回転軸軸受は、ボール軸受、セラミック軸受又はテトラフルオロエチレン軸受である、ことを特徴とする請求項1に記載の並列接続軸受。
【請求項4】
前記回転軸軸受は、単列、二列又は複数列のボール軸受である、ことを特徴とする請求項1に記載の並列接続軸受。
【請求項5】
前記回転軸軸受は、対向して設けられる一対のアンギュラ玉軸受であり、2つのアンギュラ玉軸受の外環間にプレロードスプリングが設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の並列接続軸受。
【請求項6】
前記固定子軸受は、空気軸受、油膜浮動ブッシュ軸受又はティルティングパッド軸受である、ことを特徴とする請求項1に記載の並列接続軸受。
【請求項7】
前記固定子軸受は、空気軸受であり、その外周面に空気キャビティが設けられ、空気キャビティの底部に気孔が設けられ、気孔の一端が空気キャビティと連通し、他端が固定子軸受と回転軸軸受との間の隙間に接続され、固定子軸受と軸受シェルとの間にゴムシールがさらに設けられる、ことを特徴とする請求項6に記載の並列接続軸受。
【請求項8】
前記回転軸軸受は、ボール軸受であり、前記固定子軸受は、空気軸受である、ことを特徴とする請求項1に記載の並列接続軸受。
【請求項9】
前記並列接続軸受は、少なくとも1つの中間軸受をさらに含み、中間軸受は、接触式軸受であり、回転軸軸受と固定子軸受との間に外嵌され、固定子軸受と中間軸受の間には隙間が残される、ことを特徴とする請求項1に記載の並列接続軸受。
【請求項10】
前記中間軸受は、ボール軸受である、ことを特徴とする請求項9に記載の並列接続軸受。
【請求項11】
回転子システムであって、
2つの同一の、上記請求項1又は9に記載の並列接続軸受である、第1並列接続軸受と第2並列接続軸受を含み、第1並列接続軸受と第2並列接続軸受は、ペアで回転軸に外嵌される、ことを特徴とする回転子システム。
【請求項12】
前記回転子システムは、タービン、コンプレッサ、モーター、及びスラスト軸受をさらに含み、前記回転軸は、順に設けられるスラスト軸受、第1並列接続軸受、モーター、第2並列接続軸受、コンプレッサ及びタービンを貫通し、前記回転軸は、前記スラスト軸受の固定子、第1並列接続軸受、モーターの固定子及び第2並列接続軸受内において回転し、前記回転軸は、スラスト軸受のスラストディスク及びタービンのタービン、コンプレッサの圧縮輪に固定して接続される、ことを特徴とする請求項11に記載の回転子システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は軸受の技術分野に関し、具体的には並列接続軸受及び回転子システムに関する。
【背景技術】
【0002】
DN値は、転がり軸受の潤滑油を選択する参照値の1つであり、ただし、Dは、軸受直径、Nは、軸受の内外環の相対回転速度である。高いDN値の軸受は、グリースや潤滑油への付着性、作業寿命、作業温度の要求が高い。このグリース又は潤滑油の価格も一般的に高い。
【0003】
理論的には、回転軸の軸径が太いほど、より大きな負荷に耐えることができ、より大きな臨界回転速度に耐えることができるが、このようにすると、回転軸と嵌合する軸受のDN値が大きくなり、より高い性能の潤滑油が必要となり、そうでない場合は、軸受の摩耗、軸ジャムのなどの故障を引き起こすことがある。
【0004】
軸受の摩耗の問題を解決するために、出願番号が201480053353.6、名称が「タービンチャージャー用軸受装置、及びタービンチャージャー用軸受装置の製造方法」の特許は、軸受装置を提供し、該装置は、油膜軸受に相当するスリーブをボール軸受に外嵌するが、該スリーブの内側壁とボール軸受の外環とが固定されており、外壁と固定子とが相対回転し、ボール軸受の外部に1層の保護スリーブを追加することに相当するが、軸受の相対回転速度を変えず、高性能グリース又は潤滑油が必要である。
【0005】
径方向の空気軸受などの非接触式軸受は、軸と軸受の内輪との間の圧縮空気によって支持機能を実現し、通常、軸受外径と軸受ハウジングとの間にゴム輪を取り付け、ゴム圏と軸受外径との間の摩擦力によって軸受を固定し、軸受の周回回転を防止する。しかし、空気軸受の実際の使用では、回転軸の回転速度が約10万回転以上に達すると、圧縮空気膜と回転軸との間に空気摩擦が存在し、該摩擦も回転軸回転速度が大きくなるにつれて増大し、この摩擦力によって生じるトルクにより、空気軸受は、回転軸の回転に伴って、より大きくかつ頻繁に回転するようになる。また、回転軸の回転速度の更なる上昇または回転軸の軸径の増大と伴い、空気膜と径方向の空気軸受内径との間の摩擦力がさらに増大し、径方向の空気軸受と軸受ハウジングとの回転速度が増大し、ゴム輪が摩耗しやすくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術の上記欠点を克服するために、本発明は、従来の接触式軸受による潤滑剤に対する依存性が高く、従来の非接触式軸受と高速回転している回転軸との間の摩擦力が大きいという技術課題を解決できる並列接続軸受及び並列接続軸受を有する回転子システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために、本発明は、以下の技術的解決手段を用いる。
【0008】
並列接続軸受であって、回転軸軸受と固定子軸受を含み、回転軸軸受は、接触式軸受であり、回転軸に外嵌され、固定子軸受は、非接触式軸受であり、回転軸軸受に外嵌され、固定子軸受と回転軸軸受とには隙間が残され、固定子軸受は、固定子に固定される。
【0009】
さらなる改良としては、前記並列接続軸受は、軸受シェルをさらに含み、軸受シェルは、固定子軸受の1つの端面及び外周にカバーされ、軸受エンドキャップは、固定子軸受の他の端面に設けられ、軸受シェルに固定され、軸受シェル及び/又は軸受エンドキャップは、固定子に固定され、固定子軸受は、軸受シェル又は軸受エンドキャップと円周方向に固定される。
【0010】
前記固定子軸受の外周面に空気キャビティが設けられ、空気キャビティの底部に気孔が設けられ、気孔の一端が空気キャビティと連通し、他端が固定子軸受と回転軸軸受との間の隙間に接続され、固定子軸受と軸受シェルとの間にゴムシールがさらに設けられる。
【0011】
さらに、固定子軸受と軸受シェル又は軸受エンドキャップとの円周方向での固定接続は、ピン接続、ダボ接続又はキー接続である。
【0012】
前記回転軸軸受は、ボール軸受、セラミック軸受又はテトラフルオロエチレン軸受であり、ボール軸受は、単列、二列又は複数列のボール軸受を用い、
前記回転軸軸受は、対向して設けられる一対のアンギュラ玉軸受であり、2つのアンギュラ玉軸受の外環間にプレロードスプリングが設けられる。
【0013】
固定子軸受は、空気軸受、油膜浮動ブッシュ軸受又はティルティングパッド軸受である。
【0014】
前記回転軸軸受は、ボール軸受であり、前記固定子軸受は、空気軸受である。
【0015】
さらなる改良としては、前記並列接続軸受は、少なくとも1つの中間軸受をさらに含み、中間軸受は、接触式軸受であり、回転軸軸受と固定子軸受との間に外嵌され、固定子軸受と中間軸受には隙間が残される。
【0016】
前記中間軸受は、ボール軸受である。
【0017】
本発明は、並列接続軸受を有する回転子システムをさらに提供し、該回転子システムは、2つの同一の上記並列接続軸受を含み、すなわち、第1並列接続軸受と第2並列接続軸受を含み、第1並列接続軸受と第2並列接続軸受は、ペアで回転軸に外嵌される。
【0018】
さらなる改良としては、前記回転子システムは、タービン、コンプレッサ、モーター、及びスラスト軸受をさらに含み、前記回転軸は、順に設けられるスラスト軸受、第1並列接続軸受、モーター、第2並列接続軸受、コンプレッサ及びタービンを貫通し、前記回転軸は、前記スラスト軸受の固定子、第1並列接続軸受、モーターの固定子及び第2並列接続軸受内において回転し、前記回転軸は、スラスト軸受のスラストディスク及びタービンのタービン、コンプレッサの圧縮輪に固定して接続される。
【0019】
本発明は、上記回転子システムを有するマイクロガスタービンに適用できる。
【0020】
マイクロガスタービン(Microturbine又はMicro-turbines)は最近発展した小型熱機関であり、シングルマシンの電力範囲は、25~300 kWであり、基本的な技術的特徴は、ラジアルインペラ機械(ラジアルタービンと遠心式コンプレッサ)及び再生サイクルを用いていることである。
【0021】
先進的なマイクロガスタービンは、複数台の集積・拡充、多燃料、低い燃料消費率、低騒音、低排出、低振動、低メンテナンス率、遠隔制御と診断などの先進技術の特徴を備えており、分散型発電以外に、予備発電所、コジェネレーション、系統連系発電、ビーク負荷発電などにも利用でき、クリーンで、信頼でき、品質が高く、用途が多い小型分散型発電及び熱電共同供給を提供する最適な方式であり、中心都市でも郊外農村でも辺境地区でも適用できる。また、マイクロガスタービンは、民間交通(ハイブリッド車)、軍用車、及び陸海の防衛面で優位に立っており、米露などの軍事大国の注目を浴びており、国の安全から見てマイクロガスタービンも重要である。
【0022】
マイクロガスタービンは、分散型発電にも使用できる。分散型発電は、中心発電所よりも使用者に近く、信頼性が高い。マイクロガスタービンは、端末使用者にとっては、他の小型発電装置に比べて、より良い環境保護型発電装置であり、将来の公共事業の基本構成の1つとなり、将来、センター発電所と平行して運行できる可能性がある。
【発明の効果】
【0023】
本発明の有益な効果は、以下の通りである。本並列接続軸受は、コストが低く、並列接続軸受の各段の軸受の相対回転速度が減少し、理論DN値の制限を受けず、潤滑油に対する依存性が低い。従来技術では、空気膜が回転軸と空気軸受の間に存在し、回転軸の回転速度がさらに高くなったり、回転軸の軸径が大きくなったりするにつれて、摩擦力がさらに増大する。本発明の並列接続軸受を採用すると、空気膜が転がり軸受外環と空気軸受との間に存在し、転がり軸受の外環の回転速度が小さく、空気膜と空気軸受との相対回転速度が小さく、摩擦力が小さく、軸受ハウジングとの回転速度も小さいため、空気軸受と軸受シェルとの間のゴムシールが摩耗しにくく、耐用年数が長い。同じ回転軸における複数の並列接続軸受の回転速度は適応的に調整でき、人為的に回転速度を設定または調整する必要がなく、同期回転の効果を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施例1の並列接続軸受の構造の模式図である。
図2】本発明の実施例1の並列接続軸受の構造の側面図である。
図3】本発明の実施例2の並列接続軸受の構造模式図である。
図4】並列接続軸受を有する回転子システムの構造模式図である。
図5】本発明の並列接続軸受が軸の両端に配置される構造模式図である。
図6】本発明で回転軸が起動するときの軸受の位置関係の模式図である。
図7】本発明で回転軸が安定化するときの軸受の位置関係の模式図である。
図8】本発明の実施例3で回転軸軸受がアンギュラ玉軸受を用いる構造模式図である。
図9】本発明で回転軸軸受が一体式多層軸受を用いる構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の技術的解決手段は、添付の図面と併せて以下に明確かつ完全に説明される。明らかに、説明された実施形態は、すべての実施形態ではなく、本発明の実施形態の一部である。
【0026】
本発明に係る並列接続軸受は、径方向に回転軸100を支持するように、回転軸100に取り付けられる。
【0027】
(実施例1)
図1図2を参照すると、本実施例では、並列接続軸受は、回転軸軸受1と固定子軸受2を含む。回転軸軸受1は、回転軸100に外嵌され、固定子軸受2は、回転軸軸受1の外壁と所定の隙間を維持するように、回転軸軸受1に外嵌される。
【0028】
軸受シェル4は、固定子軸受2の1つの端面と外周にカバーされ、軸受エンドキャップ5は、固定子軸受2の他の端面に設けられ、軸受シェル4に当接して固定され、軸受シェル4及び軸受エンドキャップ5は、モーター固定子に固定され、固定子軸受2は、軸受シェル4又は軸受エンドキャップ5に円周方向に固定される。
【0029】
固定子軸受2の外周面に空気キャビティ22が設けられ、空気キャビティ22の底部に気孔23が設けられ、気孔23の一端が空気キャビティ22と連通し、他端が固定子軸受2と回転軸軸受1との間の隙間に接続され、固定子軸受2と軸受シェル4との間にゴムシール21がさらに設けられる。
【0030】
固定子軸受2と軸受シェル4又は軸受エンドキャップ5との円周方向での固定接続は、ピン接続、ダボ接続又はキー接続である。
【0031】
ピンは、固定子軸受2の端面に固定して取り付けられてもよく、軸受シェル4には、対応する収容孔が設けられる。
【0032】
ピンは、軸受シェル4の固定子軸受2に向かう端面に固定して取り付けられてもよく、固定子軸受2には、対応する収容孔が設けられる。
【0033】
ピン又はダボは、軸受シェル4の外周から軸受シェル4の径方向に沿って取り付けられてもよく、ピンの一端が軸受シェル4に固定され、他端が固定子軸受2の外周に挿入され、固定子軸受2の外周には、対応する収容孔が設けられる。
【0034】
キーは、固定子軸受2の端面に固定して取り付けられるか、又は、固定子軸受2の1つの端面に一体成形されてもよく、軸受シェル4には、対応するキー溝が設けられる。
【0035】
キーは、軸受シェル4の内径面に固定して取り付けられるか、又は、軸受シェル4の内径面に一体成形されてもよく、固定子軸受2には、対応するキー溝が設けられる。
【0036】
図6を参照すると、回転軸100が起動するとき、回転軸100の外にカバーされる回転軸軸受1は、固定子軸受2の底部に接触し、回転軸100の回転とともに、回転軸軸受1の内輪を回転駆動すると同時に、固定子軸受2と回転軸軸受1の外環とは、空気膜又は油膜の作用のため徐々に分離し、回転軸軸受1は、固定子軸受2内において偏心回転する。図7を参照すると、回転軸100が安定かつ高速に移動するとき、回転軸100と、回転軸軸受1とは、同軸であり、固定子軸受2内において円周の周りに偏心回転する。同時に、回転軸軸受1の外環は、自転する。
【0037】
さらに、図1を参照すると、本発明は、ボール軸を回転軸軸受1として用い、空気軸受を固定子軸受2として用いる。
【0038】
回転軸100が回転するとき、ボール軸受の内輪を回転駆動し、転がり軸受の外環と空気軸受との間に空気膜を形成する。空気軸受は、固定子に固定され、転がり軸受の外環と相対回転速度がある。
【0039】
従来のボール軸受の場合、軸径が一定であると、従来の軸に設けられた回転軸軸受は、回転軸が回転するとき、ボール軸受の内輪の回転速度をV2、外環の回転速度をV0とする。外環が固定子に固定され、V0が0に近似し、従って、ボール軸受の外環の相対回転速度は、n=V2-V0である。
【0040】
本発明の並列接続軸受を用いると、回転軸100が回転するとき、ボール軸受の内輪回転速度をV2、外環回転速度をV1、空気軸受回転速度をV0とする。空気軸受が固定子に固定され、V0が0に近似し、ボール軸受の外環は、内輪との速度差aがV2-V1であり、空気軸受との速度差bがV1-V0であり、aとbは、いずれもn未満である。以上からわかるように、転がり軸受の内外環の相対回転速度が低減し、つまり、同じ状況で、実際のDN値が減少し、通常のグリースを使用して需要を満たすことができる。
【0041】
類推すると、回転軸軸受1に複数の転がり軸受が順に並列接続して外嵌されても、実際のDN値は大きくなりすぎず、軸径Dと軸受回転速度Nとが非干渉されている。従って、本発明の並列接続軸受は、大軸径かつ高回転速度の作業条件に適用される。また、本発明の並列接続軸受の減衰と剛性は、単一の軸受の減衰と剛性よりも低くはなく、具体的には、並列接続軸受の減衰=空気軸受の減衰+各軸受のゴムシールの減衰、並列接続軸受の剛性=空気軸受の剛性。
【0042】
(実施例2)
図3を参照すると、本実施例では、並列接続軸受は、回転軸軸受1、固定子軸受2及び中間軸受6を含む。
【0043】
本実施例は、実施例1に基づいて、回転軸軸受1に中間軸受6が外嵌され(又は、複数の同軸の中間軸受6が順にカバーされる)、固定子軸受2が最外周の中間軸受6に外嵌されるほか、最外周の中間軸受6の外壁と一定の隙間を維持する。
【0044】
具体的には、中間軸受6は、ボール軸受を用いる。図8を参照すると、回転軸100が起動するとき、中間軸受6の外環は、固定子軸受2の底部に接触し、回転軸100の回転とともに、回転軸軸受1の内輪を回転駆動すると同時に、中間軸受6の外環と回転軸軸受1の外環とは、空気膜又は油膜の作用のため徐々に分離し、回転軸100は、回転軸軸受1及び中間軸受6を駆動して固定子軸受2内において偏心回転させる。回転軸100が安定かつ高速に移動するとき、回転軸100と回転軸軸受1と中間軸受6とは、同軸であり、固定子軸受2内においてある円周の周りに偏心回転する。同時に、回転軸軸受1の外環、各中間軸受6の内輪及び外環は、いずれも自転する。
【0045】
さらに、図9を参照すると、本発明の実施例1と実施例2の回転軸軸受1のボール軸受又はローラ軸受は、一体式多層軸受であり、ボール層又はローラ層が多層設けられる。
【0046】
(実施例3)
図8を参照すると、本発明の回転軸軸受1がアンギュラ玉軸受を用いる場合、軸受の内輪が回転軸100に固定され、外環と、ホルダと、ボールとが相対変位し、つまり、軸受の内部ボールが緩すぎ、適切な処理対策を取る必要がある。
【0047】
本発明に係る解決手段は、1対のアンギュラ玉軸受が相対に設けられ、2つのアンギュラ玉軸受の外環の間にプレロードスプリングが設けられる。
【0048】
スプリングのプレロード力を調節し、ボールとホルダとを近くしたり、離れさせたりすることができ、すなわち、所要の作業条件においての摩擦力に達する目的を実現するように、軸受の内部摩擦力を増大又は減少させることができる。
【0049】
具体的な応用では、本発明の並列接続軸受は、ペアで回転軸100に設けられる。図5を参照すると、回転軸100は、回転するとき、回転軸軸受1の内輪を回転駆動し、回転軸軸受1の外環又は最外周の中間軸受6の外環は、空気軸受又は油膜浮動ブッシュ軸受の作用で回転する。同じ回転軸における複数の並列接続軸受の回転速度が受力に応じて適応的に調節し、同期回転の効果を実現する。
【0050】
本発明の並列接続軸受は、回転子システム、マイクロガスタービンシステムなどの高速回転軸の作業条件に適用できる。
【0051】
図4に示すように、本発明は、上記並列接続軸受を含む回転子システムをさらに提供し、回転子システムは、回転軸100、タービン700、コンプレッサ600、モーター400、第1並列接続軸受300、第2並列接続軸受500及びスラスト軸受200を含み、前記回転軸100は、順に設けられるスラスト軸受200、第1並列接続軸受300、モーター400、第2並列接続軸受500、コンプレッサ600及びタービン700を貫通し、前記回転軸100は、前記スラスト軸受200、第1並列接続軸受300、モーター400の固定子及び第2並列接続軸受500内において回転し、前記回転軸100は、スラスト軸受200のスラストディスク210、タービン700のタービン、及びコンプレッサ600の圧縮輪に固定して接続される。
【0052】
上記回転子システムでは、第1並列接続軸受300と第2並列接続軸受500は、本発明の並列接続軸受を用い、第1並列接続軸受300と第2並列接続軸受500の回転軸軸受1の外環の回転速度が完全に回転状況に自己適応し、回転軸100を確実に回転させる効果を実現する。
【0053】
さらに、スラスト軸受200は、非接触式軸受である。
【0054】
さらに、スラスト軸受200は、ガス軸受であり、具体的には、動圧軸受、静圧軸受又は動静圧並列接続軸受のいずれかであってもよい。
【0055】
さらに、タービン熱端の熱伝達によるコンプレッサ600の効率に対する影響を低減させるために、タービン700のタービンは、熱伝達係数がより低いセラミックタービン材料又は他の材料で製造されてもよい。
【0056】
好ましくは、コンプレッサ600とタービン700との間に補強リングが設けられる。
【0057】
回転子の動力学的性質を考慮すると、回転軸100の重量は軽いほどよく、回転軸100の直径は小さいほど重量が軽いが、回転子システムの高速回転中は、回転軸100の強度に対しても高い要求がある。回転子の動力学的性質と回転軸100の強度を同時に考慮するために、コンプレッサ600とタービン700との間の軸径をより細かく設定することができ、また、ロータ剛性に対する要求を満たすために、コンプレッサ600とタービン700との間に補強リングを取り付けることができる。
【0058】
本発明の回転子システムは、上記の分布状況を含むが、これらに限定されない。
【0059】
本発明は、マイクロガスタービンに適用され、全ての軸受がモーターケース内に設けられ、このように、該ケース内における、軸受固定子を接続するための加工精度を保証すればよい。組み立てる時、該ケース内における、軸受固定子を接続するための部位は、1回の取り付け加工で完成することができる。以上からわかるように、本発明は、マイクロガスタービンの加工精度と組み立て精度を低減させ、コストを低減させ、工事化量産に適することができる。また、本発明のマイクロガスタービンは、レイアウトがコンパクトであり、回転軸の軸方向の長さが短く、回転子システムの高速運転の安定性が高い。
【0060】
以上、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明の保護範囲を限定するものではない。当業者は、本発明の技術案に基づいて、創造的な労働をせずに実行可能な様々な修正や変形が本発明の保護範囲内にあることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】