(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】調整システム、調整可能な支持体、要素を配向する方法、かかるシステムの使用
(51)【国際特許分類】
E04G 21/16 20060101AFI20221007BHJP
【FI】
E04G21/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508474
(86)(22)【出願日】2020-08-11
(85)【翻訳文提出日】2022-04-06
(86)【国際出願番号】 EP2020072494
(87)【国際公開番号】W WO2021028433
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522052509
【氏名又は名称】イー、アンド、ペー、イー、ノル、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】I & P I NORR AB
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100158964
【氏名又は名称】岡村 和郎
(72)【発明者】
【氏名】レイフ、ヨハンソン
(72)【発明者】
【氏名】アンデシュ、ヘリン
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174DA58
(57)【要約】
調整可能な支持体(100;100’)と、駆動装置(200;200’)と、係止装置(203;203’)と、モータ(300;300’)と、を備える調整システムである。前記調整可能な支持体(100;100’)は、開放開口部(108;108’)を有するボア(107;107’)を備えるベース(101;101’)と、前記ボア(107;107’)に移動可能に受容されるネジ(102;102’)であって、前記ボア(107;107’)の前記開放開口部(108;108’)を通過して突出するように構成された自由端部を有するネジ(102;102’)と、前記ネジ(102;102’)と駆動係合するようにアレンジされた駆動部(103;103’)と、を備えることによって、前記駆動部(103;103’)の回転により、前記ボア(107;107’)の長手方向延在部に沿った前記ネジ(102;102’)の線形移動がもたらされる。前記駆動装置(200;200’)は、前記モータ(300;300’)により駆動されるようにアレンジされた駆動部アクチュエータ(202;202’)を備える。さらに、基準平面に対して要素を配向する方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準平面に照らした所定の所望の空間的位置に照らして要素を配向して位置決めするための調整システムであって、
調整可能な使い捨ての支持体(100;100’)と、駆動装置(200;200’)と、係止装置(203;203’)と、モータ(300;300’)と、を備え、
前記調整可能な支持体(100;100’)は、開放開口部(108;108’)を有するボア(107;107’)を備えるベース(101;101’)と、前記ボア(107;107’)に移動可能に受容されるネジ(102;102’)であって、前記ボア(107;107’)の前記開放開口部(108;108’)を通過して突出するように構成された自由端部を有するネジ(102;102’)と、前記ネジ(102;102’)と駆動係合するようにアレンジされた駆動部(103;103’)と、を備えることによって、前記駆動部(103;103’)の作動により、前記ボア(107;107’)の前記長手方向延在部に沿った前記ネジ(102;102’)の線形移動がもたらされ、
前記駆動装置(200;200’)は、前記モータ(300;300’)により駆動されるようにアレンジされた駆動部アクチュエータ(202;202’)を備え、
前記駆動装置(200)は前記モータ(300)と一体であり、前記係止装置(203)は、前記駆動装置(200)が前記調整可能な支持体(100)の前記ベース(101)に一時的かつ取り外し可能に接続されることを可能とするように構成された高速連結器であり、接続状態で見た場合、前記駆動部アクチュエータ(202)は、前記調整可能な支持体(100)の前記駆動部(103)と駆動係合するようにアレンジされることにより、前記駆動部(103)の作動が可能となる、または、
前記駆動装置(200’)は前記調整可能な支持体(100’)と一体であり、前記係止装置(203’)は、前記モータ(300’)が前記駆動装置(200’)に一時的かつ取り外し可能に接続されることを可能とするように構成された高速連結器であり、接続状態で見た場合、前記モータ(300’)は、前記駆動装置(200’)の前記駆動部アクチュエータ(202’)と駆動係合するようにアレンジされることにより、前記駆動部(103’)の作動が可能となる、
調整システム。
【請求項2】
前記駆動装置(200)が前記モータ(300)と一体である場合、前記ベース(101)は、前記係止装置(203)が前記駆動装置(200)を前記ベース(101)に取り外し可能に接続することを可能とするように構成された非回転対称の第1係合部(115)を備え、これにより、接続状態において、前記ネジ(102)の長手方向延在部を横断するように延びる平面で見た場合、前記ベース(101)と前記駆動装置(200)との間の回転が防止される、および/または、
前記ベース(101)は、前記係止装置(203)が前記駆動装置(200)を前記ベース(101)に取り外し可能に接続することを可能とするように構成された第2係合部(117)をさらに備え、これにより、接続状態において、前記ネジ(102)の前記長手方向延在部に沿った方向における前記ベース(101)に照らした前記駆動装置(200)の変位が防止される、
請求項1に記載の調整システム。
【請求項3】
前記駆動装置(200’)が前記調整可能な支持体(100’)と一体である場合、前記駆動部アクチュエータ(202’)は、前記調整可能な支持体(100’)の前記ネジ(102’)の長手方向延在部に対して垂直に延びる駆動部(103’)を備える、
請求項1に記載の調整システム。
【請求項4】
前記係止装置(203’)は、前記駆動部(103’)と同心状のネジ山付きスリーブ(230’)である、
請求項3に記載の調整システム。
【請求項5】
前記調整システムは、制御ユニット(400)をさらに備え、
前記制御ユニット(400)は、前記モータ(300;300’)に作動可能に接続されるように構成される、
請求項1~4のいずれかに記載の調整システム。
【請求項6】
前記調整システムは、センサ装置(500;500’)をさらに備え、
前記センサ装置は、前記制御ユニット(400)に、前記調整可能な支持体(100;100’)に、または前記駆動装置(200;200’)に、作動可能に接続されるように構成される、
請求項1~5のいずれかに記載の調整システム。
【請求項7】
前記システムは、少なくとも2つの調整可能な支持体(100)と、これらと一致する個数の駆動装置(200)であって、各々がモータ(300)を支持する駆動装置(200)と、を備える、または、
前記システムは、各々が一体型駆動装置(200’)を備える少なくとも2つの調整可能な支持体(100’)と、これらと一致する個数のモータ(300’)と、を備える、
請求項1~6のいずれかに記載の調整システム。
【請求項8】
基準平面に照らした所定の所望の空間的位置に照らして要素を配向して位置決めするための調整可能な使い捨ての支持体であって、
ベース(101;101’)と、ネジ(102;102’)と、駆動部(103;103’)と、を備え、
前記ベース(101;101’)は、開放開口部(108;108’)を有するボア(107;107’)を備え、
前記ネジ(102;102’)は、前記ボア(107;107’)に移動可能に受容され、前記ネジ(102;102’)は、前記ボア(107;107’)の前記開放開口部(108;108’)を通過して突出するように構成された自由端部を有し、
前記駆動部(103;103’)は、前記ネジ(102;102’)と螺合式に係合するようにアレンジされることによって、前記駆動部(103;103’)の作動により、前記ボア(107;107’)の長手方向延在部に沿った前記ネジ(102;102’)の線形移動がもたらされ、
前記調整可能な支持体(100)は、駆動装置(200)に一時的かつ取り外し可能に接続されて、前記駆動部(103)の作動を可能とするとともに、これにより前記ボア(107)の前記長手方向延在部に沿った前記ネジ(102)の線形移動を生じさせるように構成される、または、
前記調整可能な支持体(100’)は、駆動部アクチュエータ(202’)を備える一体型駆動装置(200’)をさらに備え、前記駆動部アクチュエータ(202’)は、前記駆動部(103’)に作動可能に接続されて、前記駆動部(103’)の作動を可能とするとともに、これにより前記ボア(107’)の前記長手方向延在部に沿った前記ネジ(102’)の線形移動を生じさせる、
調整可能な支持体。
【請求項9】
前記駆動装置(200)がモータ(300)と一体である場合、前記ベース(101)は、係止装置(203)が前記駆動装置(200)を前記ベース(101)に取り外し可能に接続することを可能とするように構成された非回転対称の第1係合部(115)を備え、これにより、接続状態において、前記ネジ(102)の前記長手方向延在部を横断するように延びる平面で見た場合、前記ベース(101)と前記駆動装置(200)との間の回転が防止される、および/または、
前記ベース(101)は、前記係止装置(203)が前記駆動装置(200)を前記ベース(101)に取り外し可能に接続することを可能とするように構成された第2係合部(117)をさらに備え、これにより、接続状態において、前記ネジ(102)の前記長手方向延在部に沿った方向における前記ベース(101)に照らした前記駆動装置(200)の変位が防止される、
請求項8に記載の調整可能な支持体100。
【請求項10】
前記駆動部アクチュエータ(202’)は、前記駆動部(103’)と同心状である、
請求項8に記載の調整可能な支持体。
【請求項11】
基準平面に照らした所定の所望の空間的位置に照らして要素を配向して位置決めするための方法であって、
配向すべき要素を支持するように構成された単数または複数の調整可能な使い捨ての調整可能な支持体(100;100’)、または配向すべき要素と一体である単数または複数の調整可能な使い捨ての調整可能な支持体(100;100’)を、地面にアレンジする行為と、
モータ(300)を支持する駆動装置(200)を、単数または複数の前記調整可能な支持体(100)の各々に一時的かつ取り外し可能に接続する行為、または、モータ(300’)を、単数または複数の前記調整可能な支持体(100’)の各々の駆動装置(200’)に一時的かつ取り外し可能に接続する行為と、
それぞれの前記駆動装置(200;200’)を制御ユニット(400)に作動的に接続する行為と、
単数または複数の前記調整可能な支持体(100;100’)が配向すべき要素を支持するように構成されている場合、配向すべき要素を単数または複数の前記調整可能な支持体(100;100’)にアレンジする行為と、
センサ装置(500・500’)を使用して、前記要素の実際の位置を測定し、測定された実際の前記位置を前記制御ユニット(400)に伝達する行為と、
前記制御ユニット(400)を使用して、前記要素の測定された実際の前記位置を、基準平面に照らして前記要素の所定の設定点位置と比較し、前記要素の前記所定の設定点位置に到達するために必要な前記要素の調整を決定し、
前記要素の前記位置を、前記制御ユニット(400)を使用してそれぞれの前記駆動装置(200;200’)を操作することにより調整することで、前記要素の前記所定の設定点位置に合致するために必要な単数または複数のそれぞれの前記調整可能な支持体(100;100’)の長手方向延在部を調整する行為と、
それぞれの前記駆動装置(200)またはモータ(300’)を、単数または複数のそれぞれの前記調整可能な支持体(100;100’)から接続解除する行為と、
単数または複数のそれぞれの前記調整可能な支持体(100;100’)を、配向された前記要素に対する恒久的な固定支持体としてそのまま残す行為と、
を備える方法。
【請求項12】
地面または支持体に対して要素を配向して位置決めするための請求項1~7のいずれかに記載のシステムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調整システム、調整可能な支持体、要素を配向する方法、および要素を配向するためのかかるシステムの使用について言及する。
【背景技術】
【0002】
新築の建造物を建設する場合、通常、最下部の構造部として基礎が形成される。基礎は、建造物の種類に応じて、地面または礎台上にアレンジされる単数または複数のプレハブ要素またはモジュールにより形成され得る。要素またはモジュールは、通常、コンクリートまたは充填材により地面に固定される。これらの要素が水平面で見て適切にレベリングされることが必要である。なぜならば、少しでも狂いがあると、建造物の上部に角度的ずれが生じ得るからである。垂直な壁要素等の、水平でない構造部についても、全く同様である。この作業は、要素またはモジュールを予め準備した地面にアレンジする必要があるとともに、次いで、その角度的ずれを基準平面に照らして測定により判定する必要があるため、時間と手間がかかる。もし狂いがあると判定された場合、要素またはモジュールを再度持ち上げて位置決めし直さなければならない。再位置決めの前に、距離をアレンジする、および/または材料を除去することにより、角度的ずれを修正する必要がある。要素またはモジュールは、通常非常に重い上に持ち上げられた状態で扱われるため、作業者が大怪我をするリスクもある。したがって、この作業を容易にする解決策を提供することにより、品質を向上させるとともに、必要な工数や機械時間を削減することで建設の全体的なコストを削減する必要性が存在している。
【発明の概要】
【0003】
本発明の1つの目的は、基準平面に照らして建設要素を適切に配向するための、操作が容易な調整可能なシステムを提供することである。
【0004】
本発明の他の目的は、建設作業に際して要素を容易に配向することを可能とする方法を提供することである。
【0005】
他の目的は、基準平面に照らして適切に配向するのに必要な時間を短縮可能とすることにより、全体的なコスト削減を可能とするシステムおよび方法を提供することである。
【0006】
これらのおよび他の目的は、
調整可能な支持体と、駆動装置と、係止装置と、モータと、を備える調整システムであって、
前記調整可能な支持体は、開放開口部を有するボアを備えるベースと、前記ボアに移動可能に受容されるネジであって、前記ボアの前記開放開口部を通過して突出するように構成された自由端部を有するネジと、前記ネジと駆動係合するようにアレンジされた駆動部と、を備えることによって、前記駆動部の作動により、前記ボアの長手方向延在部に沿った前記ネジの線形移動がもたらされ、
前記駆動装置は、前記モータにより駆動されるようにアレンジされた駆動部アクチュエータを備え、
前記駆動装置は前記モータと一体であり、前記係止装置は、前記駆動装置が前記調整可能な支持体の前記ベースに一時的かつ取り外し可能に接続されることを可能とするように構成された高速連結器であり、接続状態で見た場合、前記駆動部アクチュエータは、前記調整可能な支持体の前記駆動部と駆動係合するようにアレンジされることにより、前記駆動部の作動が可能となる、または、
前記駆動装置は前記調整可能な支持体と一体であり、前記係止装置は、前記モータが前記駆動装置に一時的かつ取り外し可能に接続されることを可能とするように構成された高速連結器であり、接続状態で見た場合、前記モータは、前記駆動装置の前記駆動部アクチュエータと駆動係合するようにアレンジされることにより、前記駆動部の作動が可能となる、
調整システムにより解決される。
【0007】
本発明および以下の説明の文脈において、「要素」という用語が使用される。これは、どのようなタイプの要素であってもよい。非限定的な例として、要素は、ビル、橋、またはトンネルの一部を形成するための建築要素、または機械基礎や任意の支持構造体等の機械要素であり得る。
【0008】
本発明および以下の文脈において、「配向する」という用語が使用される。この用語は、ある要素を、基準平面に照らした所定の所望の空間的位置に照らして配向(方向付け)して位置決めする(位置付ける)ものとして理解されるべきである。配向することは、例えば、床要素の水平方向のレベリング(水平化)や壁要素の垂直配向を提供するように実施され得る。また、配向することは、水平な基準平面に照らした要素の任意の角度を提供するためにも実施され得る。
【0009】
したがって、調整システムは、一回切りの使用が意図された1つのユニットであって、配向後に要素に対する恒久的な支持体としてそのまま残されるユニットと、要素の配向時に調整可能な支持体に一時的に接続されるが、その後さらなる使用のために接続解除されることが意図された1つの再使用可能なユニットと、を備えている。第1実施形態において、調整可能な支持体が使い捨てのユニットを構成するのに対し、一体型モータを有する駆動装置が再使用可能なユニットを構成する。第2実施形態において、一体型駆動装置を有する調整可能な支持体が使い捨てのユニットを構成するのに対し、モータが再使用可能なユニットを構成する。いずれの設計でも、係止装置は、別途の工具を必要とせずに操作できる高速連結器タイプとして提供されることが好適である。システムは、厳しい気候の現場でも、手袋をしたままでも簡単に操作することができる。
【0010】
上述のように、使い捨てのユニットは、配向完了後に、要素に対する恒久的な支持体としてそのまま残され得るとともに、全体の構造設計に応じて、例えばコンクリートまたは充填材に埋設され得る。
【0011】
調整可能な支持体が駆動装置と一体である解決策において、駆動部アクチュエータは、配向を完了した後、およびモータを取り外した後も、調整可能な支持体のネジと常に係合状態にあることになる。したがって、駆動部アクチュエータを操作することなく、調整可能な支持体におけるネジの緩みを防止するセルフロック効果が保証される。これは、安全対策と考えられ得る。
【0012】
駆動部アクチュエータは、非限定的な例として、ウォームスクリューであり得る。
【0013】
当業者には、いずれの設計でも、調整可能な支持体のベースおよび/またはネジにアンカーを設けて、調整可能な支持体を要素に、および/またはベースを地面に固定または統合することを可能とし得ることが理解されるであろう。要素に対する固定は、非水平な要素の場合に有利であり得る。
【0014】
最もシンプルな形態において、システムは、単独の調整可能な支持体を備える。これは、例えば、要素が一端部において固定された基礎上に載置されているため、要素の他端部を調整するだけで十分であろうという場合であり得る。しかし、当業者には、調整可能な支持体の個数は要素のタイプに適合させるべきであることが理解されるであろう。
【0015】
調整可能な支持体は、配向すべき要素の一体部品として提供され得る。センサ要素が荷重センサまたは角度センサを備える場合、それらも同様に要素の一体部品であり得ることを理解されたい。したがって、調整可能な支持体の個数およびその位置は、要素の設計やサイズに照らして、個々の要素の建設者または供給者により最適化され得る。調整可能な支持体の要素への固定は、例えば、鋳造またはボルト留めにより実施され得る。
【0016】
ベースは、その底部に、拡大された設置面積を提供する足部を設けられ得る。
【0017】
駆動装置がモータと一体であり、調整可能な支持体が独立したユニットである実施形態において、前記ベースは、前記係止装置が前記駆動装置を前記ベースに取り外し可能に接続することを可能とするように構成された非回転対称の第1係合部を備え得る。これにより、接続状態において、前記ネジの前記長手方向延在部を横断するように延びる平面で見た場合、前記ベースと前記駆動装置との間の回転が防止される。
【0018】
駆動装置がモータと一体であり、調整可能な支持体が独立したユニットである場合、前記ベースは、前記係止装置が前記駆動装置を前記ベースに取り外し可能に接続することを可能とするように構成された第2係合部をさらに備え得る。これにより、接続状態において、前記ネジの前記長手方向延在部に沿った方向における前記ベースに照らした前記駆動装置の変位が防止される。
【0019】
第1係合部は、ベースと駆動装置との間のあらゆる回転方向の滑り、ひいては2つの部品間の回転を防止するアンビルとみなされ得る。第2係合部は、ベースと駆動装置との長手方向における滑り、ひいては2つの部品間の変位を防止する長手方向アンビルとみなされ得る。
【0020】
一実施形態において、駆動装置が調整可能な支持体と一体である場合、前記駆動部アクチュエータは、前記調整可能な支持体の前記ネジの長手方向延在部に対して垂直に延びる駆動部を備え得る。
【0021】
前記係止装置は、前記駆動部と同心状のネジ山付きスリーブであり得る。同心状の係合により、2つの部品を相互接続する線形移動が可能とされる。モータのシャフトは、例えば、駆動部アクチュエータのボアに軸方向に挿入され得るか、駆動部アクチュエータの自由端部分を軸方向に囲むようにアレンジされ得る。しかしながら、当業者には、残存機能を有するモータのシャフトは、中間ギア装置を使用することにより、駆動部の長手方向延在部に照らして径方向に変位され得ることが理解されるであろう。
【0022】
前記調整システムは、制御ユニットをさらに備え得る。前記制御ユニットは、前記モータに作動可能に接続されるように構成される。制御ユニットとモータとの接続は、有線であっても無線であってもよい。無線接続の場合、モータは、充電式バッテリにより電力供給され得るとともに、遠隔制御されるように構成され得る。
【0023】
前記調整システムは、センサ装置をさらに備え得る。前記センサ装置は、前記制御ユニットに、前記調整可能な支持体に、または前記駆動装置に、作動可能に接続されるように構成される。作動可能な接続は、有線であっても無線であってもよい。センサ装置は、建設業界でそれ自体よく知られたレーザーまたはレーダーに基づくシステム等の配向に適した装置であり得る。他の例において、センサ装置は、複数の荷重センサを備え得る。これにより、個々の調整可能な支持体を操作することにより、制御ユニットが制御されて全てのセンサに均等な荷重分配が提供される。センサ装置は、角度的ずれを検出するように構成された単数または複数の角度をセンサを備え得る。異なるタイプのセンサを組み合わせてもよいことを理解されたい。
【0024】
それぞれの駆動装置内のモータは、制御ユニットにより、センサ装置から受信した入力信号に基づいて、要素の適切な配向を達成すべくそれぞれの調整可能な支持体を設定するように、遠隔制御され得る。
【0025】
前記システムは、少なくとも2つの調整可能な支持体と、これらと一致する個数の駆動装置であって、各々がモータを支持する駆動装置と、を備え得る、または、前記システムは、各々が一体型駆動装置を備える少なくとも2つの調整可能な支持体と、これらと一致する個数のモータと、を備え得る。また、システムは、2つのタイプを組み合わせても有し得る。当業者には、必要な個数は、配向すべき要素のタイプに基づいて決定され得ることが理解されるであろう。例えば、既知の許容位置を有する支持体にアレンジされる梁の場合、1組の調整可能な支持体、および駆動装置、および/またはモータのみで十分かもしれない。地面にアレンジされる梁の場合、2組の調整可能な支持体、および駆動装置、および/またはモータが有用であるかもしれない。すなわち、梁の各端部に1組である。さらに別の例において、より大きな表面に亘る要素の場合、3組以上の調整可能な支持体、および駆動装置、および/またはモータが有用であるかもしれない。要素がその表面全体に固有の可撓性を有する場合には、4組を超えるセットが有用であり得ることを理解されたい。後者の場合、調整可能な支持体にアレンジされた荷重セルを用いるセンサ装置を使用して、全ての支持体に均一な荷重分布が提供されるように調整可能な支持体を操作して不可避の撓みを補償することが有用であるかもしれない。
【0026】
他の態様によれば、調整可能な支持体が提供される。調整可能な支持体は、ベースと、ネジと、ドライバーと、を備え、
前記ベースは、開放開口部を有するボアを備え、
前記ネジは、前記ボアに移動可能に受容され、前記ネジは、前記ボアの前記開放開口部を通過して突出するように構成された自由端部を有し、
前記駆動部は、前記ネジと螺合式に係合するようにアレンジされることによって、前記駆動部の作動により、前記ボアの長手方向延在部に沿った前記ネジの線形移動がもたらされ、
前記調整可能な支持体は、駆動装置に一時的かつ取り外し可能に接続されて、前記駆動部の作動を可能とするとともに、これにより前記ボアの前記長手方向延在部に沿った前記ネジの線形移動を生じさせるように構成される、または、
前記調整可能な支持体は、駆動部アクチュエータを備える一体型駆動装置をさらに備え、前記駆動部アクチュエータは、前記駆動部に作動可能に接続されて、前記駆動部の作動を可能とするとともに、これにより前記ボアの前記長手方向延在部に沿った前記ネジの線形移動を生じさせる。
【0027】
調整可能な支持体それ自体は、上述した通りである。過度の繰り返しを避けるよう、上記の論旨を参照されたい。この論旨は、調整可能な支持体それ自体にも、同様に直接適用され得る。
【0028】
駆動装置がモータと一体である実施形態において、前記ベースは、係止装置が前記駆動装置を前記ベースに取り外し可能に接続することを可能とするように構成された非回転対称の第1係合部を備え得る。これにより、接続状態において、前記ネジの前記長手方向延在部を横断するように延びる平面で見た場合、前記ベースと前記駆動装置との間の回転が防止される。
【0029】
前記ベースは、前記係止装置が前記駆動装置を前記ベースに取り外し可能に接続することを可能とするように構成された第2係合部をさらに備え得る。これにより、接続状態において、前記ネジの前記長手方向延在部に沿った方向における前記ベースに照らした前記駆動装置の変位が防止される。
【0030】
調整可能な支持体が一体型駆動装置を備える実施形態において、前記駆動部アクチュエータは、前記駆動部と同心状であり得る。
【0031】
他の態様によれば、基準平面に対して要素を配向する方法が提供される。本方法は、
配向すべき要素を支持するように構成された単数または複数の調整可能な調整可能な支持体、または配向すべき要素と一体である単数または複数の調整可能な調整可能な支持体を、地面にアレンジする行為と、
モータを支持する駆動装置を、単数または複数の前記調整可能な支持体の各々に一時的かつ取り外し可能に接続する行為、または、モータを、単数または複数の前記調整可能な支持体の各々の駆動装置に一時的かつ取り外し可能に接続する行為と、
それぞれの前記駆動装置を制御ユニットに作動的に接続する行為と、
単数または複数の前記調整可能な支持体が配向すべき要素を支持するように構成されている場合、配向すべき要素を単数または複数の前記調整可能な支持体にアレンジする行為と、
センサ装置を使用して、前記要素の実際の位置を測定し、測定された実際の前記位置を前記制御ユニットに伝達する行為と、
前記制御ユニットを使用して、前記要素の測定された実際の前記位置を、基準平面に照らして前記要素の所定の設定点位置と比較し、前記要素の前記所定の設定点位置に到達するために必要な前記要素の調整を決定し、
前記要素の前記位置を、前記制御ユニットを使用してそれぞれの前記駆動装置を操作することにより調整することで、前記要素の前記所定の設定点位置に合致するために必要な単数または複数のそれぞれの前記調整可能な支持体の長手方向延在部を調整する行為と、
それぞれの前記駆動装置またはモータを、単数または複数のそれぞれの前記調整可能な支持体から接続解除する行為と、
単数または複数のそれぞれの前記調整可能な支持体を、配向された前記要素に対する恒久的な固定支持体としてそのまま残す行為と、を備える。
【0032】
したがって、梁のような長手方向に成形されたものであっても、大きく広がる表面を有するプレートであっても、基準平面に照らして配向され得る方法が提供される。調整可能な支持体の個数に応じて、固有の重要および形状に起因する撓みが、より多数の支持体を提供することにより、補償され得る。適切な配向の後、モータおよびまたはモータを支持する駆動装置は取り外される一方で、調整可能な支持体は、配向された要素に対する恒久的な支持体としてそのまま残される。調整可能な支持体は、例えば、コンクリートや他の充填材に埋設され得る。
【0033】
本方法は、要素のあらゆる方向における配向に適用可能である。したがって、本発明は、典型的には例えば基礎の場合のような水平方向におけるレベリングに限定されず、例えば壁要素を建てる場合のような鉛直方向における配向にも適用される。これらの間におけるあらゆる角度的延在部の配向も同様に適用可能である。
【0034】
調整可能な支持体は、配向すべき要素の一体部品として提供され得る。単数または複数の調整可能な支持体を地面にアレンジする行為は、配向すべき要素を単数または複数の調整可能な支持体にアレンジすることも本質的に含む。したがって、要素は、単数または複数の予め装着された調整可能な支持体とともに提供され得る。センサ装置が荷重センサまたは角度センサを備える場合、これらのセンサも同様にかかる要素の一体部品であり得ることを理解されたい。
【0035】
他の態様によれば、本発明は、地面または支持体に対して要素を配向して位置決めするためのシステムの使用に言及する。配向は、あらゆる方向において実施され得る。したがって、本発明は、典型的には例えば基礎の場合のような水平方向におけるレベリングに限定されず、例えば壁要素を建てる場合のような鉛直方向における配向にも適用される。これらの間におけるあらゆる角度的延在部の配向も同様に適用可能である。当業者には、調整可能な支持体のベースおよび/またはネジに、調整可能な支持体の要素および/または地面への固定を可能とする固定具が設けられ得ることが理解されるであろう。
【0036】
本発明のさらなる目的および利点は、種々の実施形態について説明する以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。
【0037】
概略的な図面を参照しつつ、本発明を以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、本発明に沿った調整システムの一実施形態を、配向すべき要素とともに開示する。
【
図2】
図2は、システムで使用される調整可能な支持体の第1実施形態の斜視図を開示する。
【
図3】
図3は、
図2による調整可能な支持体の断面図を開示する。
【
図4】
図4は、
図2の調整可能な支持体のベース形成部を開示する。
【
図5】
図5は、
図2の調整可能な支持体のネジと一体の駆動部およびガイド形成部を開示する。
【
図6】
図6は、一体型モータを有する駆動装置の第1実施形態の分解図を開示する。
【
図7】
図7は、
図2の調整可能な支持体に作動的に接続された
図6の駆動装置を開示する。
【
図8】
図8は、一体型駆動装置を有する調整可能な支持体の第2実施形態、およびこれに接続されるモータの斜視図を開示する。
【
図9】
図9は、ハウジングを除いた調整可能な支持体の第2実施形態を開示する。
【
図10】
図10は、調整可能な支持体の第2実施形態に接続されるモータの斜視図を開示する。
【
図11】
図11は、
図10のモータに接続された調整可能な支持体の第2実施形態の斜視図を開示する。
【
図12】
図12は、本発明の調整システムを使用して要素を配向する方法を開示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の説明では、
図1を参照して調整システムの一実施形態の全体設計を説明する。開示された実施形態において、システム1は、3つの調整可能な支持体100(2つのみ開示)を備えている。各支持体100は、一体型モータ300を有するそれぞれの駆動装置200に作動的に接続されている。駆動装置200および/または調整可能な支持体100は、制御ユニット400と通信可能にアレンジされている。通信は、それぞれの駆動装置200と制御ユニット400との間で延びる電線401によりアレンジされる。残りの機能体との通信は無線であり得ることを理解されたい。
【0040】
概略的に開示された配向すべき要素2は、3つの調整可能な支持体100により支持されている。さらに、概略的に開示されたセンサ装置500が、要素2上にアレンジされている。センサ装置500は、制御ユニット400と通信可能にアレンジされている。センサ装置500は、概略的に開示された電線402を介して制御ユニット400と通信するようにアレンジされ得る。残りの機能体との通信は無線であり得ることを理解されたい。また、荷重センサおよび/または角度センサ(開示せず)の形態にあるセンサ装置は、調整可能な支持体100に組み込まれ得ることを理解されたい。
【0041】
種々の構成部品と制御ユニット400との無線通信は、例えば、移動体通信システムまたは無線機を介してなされ得る。
【0042】
制御ユニット400は、例えばジョイスティック、キーボード、またはグラフィックによるユーザインタフェースを提供するタッチスクリーンを使用して配向を制御するように特別に設計されたユニットであり得る。また、制御ユニット400は、スマートフォンやタブレットであり得ることも理解されたい。
【0043】
制御ユニット400は、少なくとも論理回路と、入力装置(開示せず)と、出力装置(開示せず)と、を備え(開示せず)、制御ユニット400がセンサ装置500と通信することが可能とされている。論理回路は、当業者によく知られた態様で、プロセッサ、メモリ装置、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field-Programmable Gate Array))、またはASIC(特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit))を備えるようにアレンジされ得る(開示せず)。論理回路は、PCB(プリント基板(Printed Circuit Board))にアレンジされ得る。
【0044】
制御ユニット400は、(非開示の)バッテリを設けられ得る。
【0045】
制御ユニット400の論理回路の複雑性に応じて、制御ユニット400は、WiFiやNFC等のシステムを介して他のデバイスと通信するように構成され得る。
【0046】
次に、
図2~
図5を参照して、調整可能な支持体100の第1実施形態を開示する。調整可能な支持体100は、ベース101と、ネジ102と、駆動部103と、を備えている。
【0047】
図2~
図4に最もよく示されるベース101は、好適には平坦な底面105と頂面106とを有する本体104を備えている。底面105は、拡大された設置面積を提供する非開示の拡大足部を設けられ得る。長手方向に延びるボア107が、ベース101の頂面106にアレンジされた開放開口部108を起点としてベース101に延び入るようにアレンジされている。開示された実施形態のボア107は、貫通している。しかしながら、残存機能を有するボア107は、貫通してはならないことを理解されたい。
【0048】
開口部108の内部および周囲におけるベース101の上方自由端部分は、後述する駆動部103用の第1支持体を形成するように構成された第1支持面109を備えている。さらに、開口部108は、駆動部103用の第2支持体を形成する底部111を有する凹部分110を備えている。
【0049】
ボア107の内側包絡(エンベロープ)面は、2つ以上の長手方向に延びる溝112を備えている。
図4を参照されたい。溝112は、相補的に延びる畝部113と係合するように構成されている。畝部113は、
図5を参照して後述するネジ102の下方端部分125に沿ってアレンジされたガイド114の外壁にアレンジされている。
【0050】
ベース101は、調整可能な支持体100と後述する駆動装置200とを取り外し可能に接続し得るように構成された非回転対称の第1係合部115を備えている。開示された実施形態において、第1係合部115は、ボア107の長手方向延在部に沿って延びる2つの対向する平坦面116として設けられている。非回転対称の第1係合部115により、駆動装置200が調整可能な支持体100に接続された状態において、ネジ102の長手方向延在部を横断するように延びる平面で見た場合、ベース101と駆動装置200との間のあらゆる回転が防止される。
【0051】
さらに、ベース101は、調整可能な支持体100と駆動装置200とを取り外し可能に接続し得るように構成された第2係合部117を備えている。開示された実施形態において、第2係合部117は、上方壁部119および下方壁部119により規定された2つの対向する凹部118(一方のみ開示)として設けられている。したがって、駆動装置200が調整可能な支持体100に接続した状態において、ネジ102の長手方向延在部に沿った方向におけるベース101に照らした駆動装置200のあらゆる変位が防止される。
【0052】
ネジ102は、前記ボア107に移動可能に収容される一方で、ボア107の前記開放開口部108を通過して突出するように構成された自由上方端部120を有している。ネジ102は、ネジ102の長手方向延在部の大部分に沿って延びるネジ山付き部分121を備えている。
【0053】
開示された実施形態において、
図3を参照すると、ネジ102は、ネジ102の長手方向中心線に沿って延びる、長手方向に延びる補強部122を設けられている。補強部122は、ネジ102の2つの対向する自由端部の間で延びるようにアレンジされていることにより、ネジ102をその軸方向において強化する。補強部122の一部は、ネジ102の自由上方端部120を超えて延びることにより、調整可能な支持体100上にアレンジされる要素2に対する支持面123を形成している。したがって、ネジ102にアレンジされた要素によりネジ102に加えられる圧縮荷重は、ネジ102ではなく補強部122により吸収され得る。補強部122は、機能が維持されたまま省略され得るため、かかる実施形態におけるネジ102の上方自由端部120が支持面を形成し得ることを理解されたい。
【0054】
センサ装置500が荷重センサまたは角度センサを備える場合、このようなセンサ501は、例えば、ネジ102の前記上方自由端部上、または支持面123上にアレンジされ得る。センサ501と制御ユニット400との通信は、有線であっても無線であってもよい。図示を容易にすべく、このような電線は省略されている。
【0055】
上述のように、ネジ102の下方端部分125には、ネジ102と螺合式アレンジするように構成されたガイド114が設けられている。ガイド114の外壁部には、長手方向に延びる畝部113が設けられている。畝部113は、ボア107の2つ以上の長手方向に延びる溝112(
図4を参照されたい)に対して相補的である。これにより、ネジ102のガイド効果が、ボア107の長手方向延在部に沿って提供される。
【0056】
図2および
図3に最もよく示されるように、駆動部103は、ネジ102の上方端部分120と螺合式に係合するように構成されている。したがって、駆動部103の作動、例えば回転により、ボア107の長手方向延在部に沿ったネジ102の線形移動がもたらされると同時に、ネジ102は、ボア107の内部において、ガイド114により溝112に摺動接触しながらガイドされる。
【0057】
駆動部103の外側包絡面は、後述する駆動装置200と駆動係合するようにアレンジされるように構成された長手方向に延びる歯126を備えている。歯126は、ネジ102の長手方向延在部に対する角度を形成し得る。
【0058】
調整可能な支持体100の第1実施形態は、要素2の配向完了後に、要素2に対する恒久的な支持体としてそのまま残されるように構成された破棄可能なユニットであって、例えば土、コンクリート、充填材等に封入される破棄可能なユニットであることが意図されている。したがって、調整可能な支持体100の全ての部品は、非腐食性材料から作製されることが好適である。調整可能な支持体100の部品は、金属および/またはポリマー材料により形成され得る。例えば、ネジ102はポリマー材料から作製され得るとともに、補強部はステンレススチールにより作製される。
【0059】
次に、
図6および
図7を参照して、駆動装置200の第1実施形態について説明する。駆動装置200は、上述の調整可能な支持体100の第1実施形態に取り外し可能に接続されることにより、駆動部103の作動を可能とするとともに、これによりボア107の長手方向延在部に沿ったネジ102の線形移動を生じさせるように構成されている。
【0060】
図6から開始すると、駆動装置200は、ハウジング201と、駆動部アクチュエータ202と、係止装置203と、を備えている。
図6は、下方から見た駆動装置200の図を開示している。開示された実施形態において、駆動部アクチュエータ202は、ネジ山220が設けられた外側壁部を有するウォームスクリューとして構成されている。
【0061】
ハウジング201は、調整可能な支持体100の駆動部103の一部と、ベース101の一部とを径方向に包含するように構成された凹部204を備えている。さらに、ハウジング201は、貫通チャネル205を備えている。貫通チャネル205は、これを貫通して延びる駆動部アクチュエータ202のネジ山付き部分を受容するように構成されるとともに、第1支持体206および第2支持体207により支持される。
図7を参照すると、このような配置において、駆動部アクチュエータ202のネジ山220の一部が凹部204内に露出し、駆動部アクチュエータ202のネジ山220と調整可能な支持体100の駆動部103の歯126との駆動係合が可能とされている。
【0062】
駆動部アクチュエータ202の第1端部208は、ハウジング201の外壁部209により支持されたモータ300を有する駆動装置200にアレンジされる。モータ300は、ハウジング201にボルト留めすることによりアレンジされ得る。
【0063】
モータ300は、駆動部アクチュエータ202の第1端部208と回転可能に係合するように構成された非開示の駆動シャフトを備えている。モータ300の非開示の駆動シャフトは、駆動部アクチュエータ202と同心状に係合するようにアレンジされ得る。したがって、駆動装置200の第1実施形態において、モータ300は、駆動装置200の一体部品である。駆動部アクチュエータ202の第2端部210は、ハウジング201にボルト留めされるように構成された蓋部211により支持されている。
【0064】
開示された実施形態において、モータ300は、モータ300と制御ユニット400との有線通信を可能とするように構成されたソケット212を有する有線タイプである。当業者には、ソケット212に代えて、モータ300と制御ユニット400との無線通信を可能とする非開示の通信ユニットが使用され得ることが理解されるであろう。
【0065】
モータは、バッテリまたはDCにより電力供給され得る。
【0066】
駆動装置200は、駆動装置200を調整可能な支持体100に係止的に係合させ得るように構成された係止装置203を備える。開示された実施形態において、
図6を参照すると、係止装置203は、凹部204を規定する壁部214から突出する肩部213を備えている。駆動装置200が調整可能な支持体100のベース101に装着された状態において、肩部213は、ベース101の非回転対称な第1係合部分115をまたぐとともにこれに当接し得る。したがって、駆動装置200が調整可能な支持体100に接続された状態において、調整可能な支持体100のネジ102の長手方向延在部を横断するように延びる平面で見た場合、ベース101と駆動装置200との間のあらゆる回転が防止される。
【0067】
さらに、係止装置203は、枢動可能なレバー216により手動で操作可能な格納式ディスク215を備えている。レバー216を枢動させることにより、ディスク215は、ハウジング201において凹部204の径方向において移動し、ベース101の第2係合部117に対して係合したり、この係合を解除したりし得る。したがって、ディスク215の一部は、第2係合部117を形成する凹部118の上方壁部119と下方壁部119との間に受容され得る。このため、駆動装置200が調整可能な支持体100に接続された状態において、調整可能な支持体100のネジ102の長手方向延在部に沿った方向におけるベース101に照らした駆動装置200のあらゆる変位が防止される。
【0068】
図7を参照すると、第1実施形態の駆動装置200は、上述の第1実施形態の調整可能な支持体100に作動可能に接続するものとして開示されている。駆動部アクチュエータ202のネジ山220は、駆動部103の歯126と係合している。モータ300を作動させると、これにより、駆動部アクチュエータ202が回動し得る。このため、駆動部103が作動して、調整可能な支持体100のネジ102を回転させ得る。モータ300の駆動方向に応じて、調整可能な支持体100のネジ102は、上昇または下降する。矢印Aを参照されたい。
【0069】
図8~
図11を参照して、調整可能な支持体100’の第2実施形態および駆動装置200’について説明する。第2実施形態の調整可能な支持体100’は、駆動装置200’が、調整可能な支持体100’と一体化しているのに対して、モータ300’が調整可能な支持体100’の駆動装置200’に取り外し可能に接続されるように構成されている点において、第1実施形態と主に異なる。理解を容易にするように、
図8は、モータ300’を調整可能な支持体100’から分離して開示している。また、
図9は、ハウジングを除いた調整可能な支持体100’を開示している。
【0070】
図8から開始すると、モータ300’は、モータ300’と制御ユニット400との有線通信を可能とするように構成されたソケット212’を備えている。制御ユニットは、システムおよび
図1を参照して上述したものと全く同一の設計を有し得る。当業者には、ソケット212’に代えて、モータ300’と制御ユニットとの無線通信を可能とする非開示の通信ユニットが使用され得ることが理解されるであろう。
【0071】
モータ300’は、係止装置203’により駆動装置200’に接続されるように構成されている。係止装置203’は、モータ300’のシャフト301’と、調整可能な支持体100’と一体の駆動装置200’との係止可能かつ解放可能な係合および接続を可能とする。
【0072】
図10に最もよく示されるように、係止装置203’は、モータ300’により支持された回転可能なスリーブ230’を備えている。スリーブ230’は、その内側包絡面232’に沿ってネジ山231’を備えている。さらに、モータ300’のシャフト301’の長手方向軸を横断するように延びる底面233’は、駆動装置200’の相補的な凸部235’に係合するように構成された少なくとも1つの凹部234’を備えている。
【0073】
図9に最もよく示されるように、第2実施形態の調整可能な支持体100’は、駆動部アクチュエータ202’が調整可能な支持体100’の一体部品であるとともに、駆動部アクチュエータ202’のネジ山付き部分を介して調整可能な支持体100’のネジ102’と回転可能に係合している点において、第1実施形態の調整可能な支持体100と異なっている。ネジ山付き部分は、駆動部103’を形成している。駆動部アクチュエータ202’、および結果として駆動部103”は、調整可能な支持体100’のネジ102’の長手方向延在部に対して垂直に延びている。したがって、駆動部アクチュエータ202’、および結果として駆動部103’の回転は、ネジ102’の上昇または下降をもたらす。矢印Aを参照されたい。
【0074】
ネジ102’には、選択的なキャップ105’が設けられる。キャップ105’は、ネジ102’のネジ山121’の保護部を構成している。調整可能な支持体100’が要素2に予め装着される場合、キャップ105’は要素2に埋設され得る。
【0075】
センサ装置500が負荷センサまたは角度センサを備える場合、かかるセンサ501’は、例えば、キャップ105’の上方自由端部にアレンジされ得る。キャップ105’が省略された場合、センサ501’は、代わりにネジ102’にアレンジされ得る。いずれの配置でも、センサ501’と制御ユニットとの通信は、有線であっても無線であってもよい。図示を容易にすべく、このような電線は省略されている。
【0076】
駆動部アクチュエータ202’の前方端部240’は、
図8を参照すると、アダプタ241’を備えている。アダプタ241’は、駆動装置200’の回転可能なスリーブ230’の少なくとも1つの凹部234’に対して相補的な少なくとも1つの凸部235’を備えている。また、アダプタ241’の外部包絡面242’は、モータ300’のスリーブ230’のネジ山に対して相補的なネジ山243’を設けられている。
【0077】
図8および
図9を参照する。駆動部アクチュエータ202’は、その前方端部に、長手方向に延びる非開示のボア244’を備えている。ボア244’は、モータ300’のシャフト301’の自由端部の長手方向に延びる畝部246’に対して相補的である。
【0078】
図11を参照すると、モータ300’は、駆動装置200’に作動的に接続された状態で開示されている。駆動装置200’自体は、調整可能な支持体100’と一体である。この配置において、モータ300’のシャフト301’の自由端部は、駆動部アクチュエータ202’の前方端部における対応する長手方向に延びるボア244’に挿入されている。この位置において、モータ300’のシャフト301’の自由端部の畝部246’は、ボア244’の相補的な溝245’と係合している。さらに、アダプタ241’の少なくとも1つの凸部235’は、モータ300’の係止装置203’の底部における少なくとも1つの凹部234’内に突出している。この係止係合を確実とするように、スリーブ230’をアダプタ241’に向かって長手方向に移動させ、次いで回転させてアダプタ241’と螺合式に係合させる。スリーブ230’の把持を強化するように、スリーブ230の外面237’には、摩擦手段238’が設けられている。
【0079】
配向すべき要素2を調整可能な支持体100’のネジ102’上に位置決めする前または位置決めした後に、モータ300’は、調整可能な支持体100’の駆動装置200’に接続され得る。
【0080】
要素の配向が完了した後、オペレータは、スリーブ230’を回転させてアダプタ241’との係止係合を解除し、次いでモータ300’を長手方向に移動させることにより、モータ300’を、調整可能な支持体100’およびこれと一体の駆動装置200’から接続解除する。調整可能な支持体100’は、駆動装置200’とともに、要素に対する恒久的な支持体としてそのまま残されるように構成されているとともに、例えば充填材またはコンクリートに封入されるように構成されている。したがって、調整可能な支持体100’およびこれと一体の駆動装置200’は、破棄可能な使い捨てユニットとみなされ得る一方で、モータ300’は、再使用されるように設計されている。したがって、調整可能な支持体100’の全ての部品は、非腐食性材料から作製されることが好適である。調整可能な支持体100の部品は、金属および/またはポリマー材料により形成され得る。
【0081】
以下では、要素を基準平面に対して配向する方法について開示する。特に
図1および
図12を参照する。本方法を、水平方向にレベリングすべき要素に基づいて説明する。したがって、水平方向の基準平面が使用され得る。また、本方法は、あらゆる他の方向の配向または基準平面にも同様に適用可能であることを理解されたい。さらに、本方法を、モータ300が駆動装置と一体化されて独立した再使用可能なユニットを形成している調整可能な支持体100システムに基づいて説明する。これに対応して、調整可能な支持体100は、独立したユニットを形成し得る。調整可能な支持体100システムは、
図2~
図5を参照して上述したものと同一の設計を有し得る。
【0082】
本方法は、以下の行為を備えている。
【0083】
最初の行為であるステップ1000として、単数または複数の調整可能な支持体100を、地面にアレンジする。調整可能な支持体100の個数は、配向すべき要素2のタイプに適合される。好適には、調整可能な支持体100を、配向すべき要素2の表面または長手方向延在部の全体に均等に分散配置する。開示された実施形態において、3つの調整可能な支持体が設けられる。
【0084】
次の行為であるステップ1100として、モータ300を支持した駆動装置200を、調整可能な支持体100の各々に取り外し可能に接続する。これに代えて駆動装置200が調整可能な支持体と一体化したユニットである場合、ステップ1100は、モータ300’を単数または複数の調整可能な支持体100’の各々の駆動装置200’に取り外し可能に接続する行為を代わりに含むことを理解されたい。
【0085】
次の行為であるステップ1200として、それぞれの駆動装置200を、制御ユニット400に作動的に接続する。この行為を実際にどのように実施するかは、システム構成に依存する。有線システムの場合、この行為は、電線401をそれぞれの駆動装置200と制御ユニットとの間に接続することにより実施され得る。無線システムの場合、この行為は、これに代えて、駆動装置200と制御ユニット400との間に移動体通信または無線通信を確立することにより実施され得る。
【0086】
次の行為であるステップ1300として、配向すべき要素2を、単数または複数の調整可能な支持体100にアレンジする。この行為は、例えば吊り上げクレーンにより実施され得る。
【0087】
次の行為であるステップ1400として、要素2の実施の位置を、センサ装置500を使用して測定する。実際の位置を、制御ユニット400に伝達する。システムの構成に応じて、この通信は、センサ装置500と制御ユニット400との有線通信により実施され得る。あるいは、これは、センサ装置500と制御ユニット400との無線通信により実施され得る。無線通信の場合、これは、移動体通信または無線通信を使用することにより提供され得る。センサ装置500は、例えば、単数または複数の荷重センサおよび/または角度センサ501、またはレーザーに基づくシステムに基づき得る。種々のタイプのセンサの組み合わせも可能である。センサ装置500は、制御ユニット400に、調整可能な支持体100に、または駆動装置200に、作動可能に接続されるように構成され得る。
【0088】
次の行為であるステップ1500として、制御ユニット400を使用して、要素2の測定された実際の位置を、基準平面に照らして要素2の設定点位置と比較する。さらに、要素の前記所定の設定点位置に到達するために必要な要素2の調整を決定する。
【0089】
次の行為であるステップ1600として、要素2の位置を、制御ユニット400を使用してそれぞれの駆動装置200を操作することにより調整する。この調整は、要素2の所定の設定点位置に合致するために必要な単数または複数の調整可能な支持体100それぞれの長手方向延在部の調整をすることを含む。調整は、厳密な幾何学的調整に基づいて、すなわち設定点値に照らした幾何学的差異(x、y、z)を単に確定することにより実施され得る。幾何学的調整に代えて、またはこれと組み合わせて、調整を、センサ装置500の一部を形成する荷重センサ501間の検出荷重差に基づいて実施してもよい。
【0090】
次の行為であるステップ1700として、それぞれの駆動装置200またはモータ300を、単数または複数のそれぞれ調整可能な支持体100または駆動装置200から接続解除する。
【0091】
次の最終行為であるステップ1800として、単数または複数のそれぞれ調整可能な支持体100を、配向された要素2に対する恒久的な固定支持体としてそのまま残す。基礎のタイプに応じて、調整可能な支持体を、例えばコンクリートや充填材に封入してもよい。
【0092】
当業者には、調整可能な支持体が、要素の一体部品として提供され得ることが理解されるであろう。このような実施形態において、単数または複数の調整可能な支持体を地面にアレンジする行為は、要素を単数または複数の調整可能な支持体にアレンジすることを同時に含むことを理解されたい。センサ装置が荷重センサおよび/または角度センサを備える場合、これらは、同様に供給される要素の一体部品であり得ることを理解されたい。したがって、調整可能な支持体の個数およびその位置は、個々の要素の供給者により最適化され得る。調整可能な支持体の固定は、例えば、鋳造またはボルト留めにより実施され得る。
【0093】
上述の第1実施形態および第2実施形態のいずれでも、提供される係止装置203、203’は、別途の工具を使用せずに操作できる高速連結器としてみなされ得る。したがって、システムを、建設現場において容易に操作することができる。
【0094】
第1実施形態において、係止係合は、レバー216の枢動に続いて、駆動装置200’をネジ102の長手方向延在部に対して横方向の平面内における線形移動により移動させて調整可能な支持体100’と係合させることで提供される。第2実施形態において、係止係合は、モータ300’を厳密な線形移動により移動させて調整可能な支持体100’と一体の駆動装置200’と係合させ、次いでスリーブ230’を回転させることにより提供される。
【国際調査報告】