(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(54)【発明の名称】両側にセンサーアセンブリを有している複合パネル
(51)【国際特許分類】
H01H 36/00 20060101AFI20221007BHJP
C03C 27/12 20060101ALI20221007BHJP
B32B 17/06 20060101ALI20221007BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20221007BHJP
【FI】
H01H36/00 V
C03C27/12 L
C03C27/12 Z
B32B17/06
B60J1/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508562
(86)(22)【出願日】2020-07-21
(85)【翻訳文提出日】2022-04-06
(86)【国際出願番号】 EP2020070505
(87)【国際公開番号】W WO2021028163
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100186912
【氏名又は名称】松田 淳浩
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ベーバー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ツァイス
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン エッフェルツ
(72)【発明者】
【氏名】ガボル バルガ
【テーマコード(参考)】
4F100
4G061
5G046
【Fターム(参考)】
4F100AA33B
4F100AB17B
4F100AB21B
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4F100AB25B
4F100AD11B
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4F100AK01A
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4F100AK15A
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4F100AK45A
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4F100AK73C
4F100AT00A
4F100AT00E
4F100BA05
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4F100JG01B
4F100JG01D
4F100JG04C
4G061AA29
4G061BA01
4G061BA02
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4G061CB05
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4G061CB19
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4G061CD02
4G061CD18
5G046AA01
5G046AB03
5G046AC23
5G046AD02
5G046AD15
5G046AE02
(57)【要約】
第一基材層(GS1)及び第二基材層(GS2)、第一パターン化導電体層(LS1)及び第二パターン化導電体層(LS2)、並びに絶縁体層(ISO)を備えており、第一供給線構造(V1)を有している第一静電容量性センシング要素(SW1)が、前記第一パターン化導電体層(LS1)に形成されており、第二供給線構造(V2)を有している第二静電容量性センシング要素(SW2)が、前記第二パターン化導電体要素(LS2)に形成されており、
前記第一静電容量性センシング素子(SW1)と前記第一供給線構造(V1)の要素の重なりが、前記第二静電容量性センシング要素(SW2)の表面積の10%以下の面積を構成していることを特徴とする、
両側にセンサーアセンブリを有している複合パネル(1)、及びその使用。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基材層(GS1)及び第二基材層(GS2)、第一パターン化導電体層(LS1)及び第二パターン化導電体層(LS2)、並びに絶縁体層(ISO)を備えており、第一供給線構造(V1)を有している第一静電容量性センシング要素(SW1)が、前記第一パターン化導電体層(LS1)に形成されており、第二供給線構造(V2)を有している第二静電容量性センシング要素(SW2)が、前記第二パターン化導電体要素(LS2)に形成されており、
-前記第一パターン化導電体層(LS1)及び前記第二パターン化導電体層(LS2)が、少なくとも前記絶縁体層(ISO)によって、互いに分離されており、
-前記第一パターン化導電体層(LS1)、前記第二パターン化導電体層(LS2)、及び前記絶縁体層(ISO)で構成されているアセンブリが、前記第一基材層(GS1)と前記第二基材層(GS2)の間に配置されており、
-前記第一静電容量性センシング要素(SW1)が、前記第二静電容量性センシング要素(SW2)に対してオフセットして配置されていることによって、前記第一パターン化導電体層(LS1)の少なくとも一部が、前記第二静電容量性センシング素子(SW2)のためのシールドを形成しており、かつ、前記第二パターン化導電体層(LS2)の少なくとも一部が、前記第一静電容量性センシング要素(SW1)のためのシールドを形成している、
両側にセンサーアセンブリを有している複合パネル(1)であって、
前記第一静電容量性センシング素子(SW1)と前記第一供給線構造(V1)の要素の重なりが、前記第二静電容量性センシング要素(SW2)の表面積の10%以下の面積を構成していることを特徴とする、
両側にセンサーアセンブリを有している複合パネル(1)。
【請求項2】
前記第一パターン化導電体層(LS1)及び/又は前記第二パターン化導電体層(LS2)が、10μm~75μmの高さ(h
LS1、h
LS2)を有していることを特徴とする、請求項1に記載の複合ガラスパネル。
【請求項3】
前記第一パターン化導電体層(LS1)及び/又は前記第二パターン化導電体層(LS2)が、50μmの高さ(h
LS1、h
LS2)を有していることを特徴とする、請求項1に記載の複合ガラスパネル。
【請求項4】
前記第一パターン化導電体層(LS1)及び/又は前記第二パターン化導電体層(LS2)が、銅、錫、銀、インジウムスズ酸化物、金、グラフェン、及び/又はそれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合ガラスパネル。
【請求項5】
前記絶縁体層(ISO)が、フィルムであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合ガラスパネル。
【請求項6】
前記絶縁体層(ISO)が、フィルムであり、かつ、前記第一パターン化導電体層(LS1)及び/又は前記第二パターン化導電体層(LS2)が、前記フィルムに適用されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の複合ガラスパネル。
【請求項7】
前記第一基材層(GS1)及び/又は前記第二基材層(GS2)が、ガラス又はプラスチック基材であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の複合ガラスパネル。
【請求項8】
前記第一基材(GS1)及び/又は前記第二基材(GS2)が、板ガラス、フロートガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、及び/又はそれらの混合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の複合ガラスパネル。
【請求項9】
前記絶縁体層(ISO)が、ポリイミド、ポリウレタン、ポリメチルメタクリル酸、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルブチラール、FR6、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドを含む群から選択される少なくとも一つの材料を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の複合ガラスパネル。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の複合ガラスパネルの、乗物ペインとしての使用。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の複合ガラスパネルの、建物グレージングの一部としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両側にセンサーアセンブリを有している複合パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願EP3264242A1から、ガラスパネル内でライトディスプレイを有するスイッチング要素として、タッチセンサーを統合することが周知である。同様のアセンブリは、欧州特許出願EP3264241A1から周知である。
【0003】
互いに近接して配置されている二つのタッチセンサーのアセンブリは、国際特許出願WO2016/116372 A1から周知である。
【0004】
静電容量式タッチセンサーは、それ以上の手段がないと、タッチセンサーが作動する側を区別できないという特性がある。
【0005】
WO2018/215106A1から周知であるのは、タッチセンサーとレインセンサーであり、これらは、それぞれの異なる相対位置によって、非対称に配置されており、すなわち、いずれの場合も、一つのセンサーが異なるパネル表面に近くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これは、タッチセンサーをペインの一方の面に、もう一方の面よりも近くに配置することによってのみ可能である。ここで、「近さ」とは、静電容量性センシング領域の表面拡張に対する法線方向の距離を意味すると理解される。
【0007】
しかし、誤った動作を回避するためには、センサーは、「望ましくない」側からの静電容量性の影響が、正常なスイッチングをもたらさない程度まで、集中的に評価する必要がある。一方で、通常、これにより、「望ましい」側からの静電容量性の影響でスイッチングが可能となる領域も減少する。
【0008】
その結果、この制限に対処するために、シールドを導入することが過去に提案されてきており、それによって、「望ましくない」側からの静電容量性の影響がシールドされているため、スイッチングが可能とならない。
【0009】
しかし、異なる側に二つのタッチセンサーが必要な場合は、タッチセンサーの横方向のオフセット配置が必要であるか、設計上、第一タッチセンサーを有する導電体層、絶縁体層、及びそれに続くシールド層で構成される、比較的厚いアセンブリがあり、それに続いて、第二タッチセンサーを有する第二導電体層に向いている別の絶縁層が必要である。
【0010】
センサーを並べて配置すると、スペースを消費し、光学的に使用可能な領域が減少する。ここでは、実用的な制限と規範的な制限の両方に対応する必要があるため、並べて配置できるとは限らない。さらに、他の電気システムへの接続を、分散方式ではなく集中方式で提供することが望ましい場合が多い。
【0011】
しかし、タッチセンサーを周知の方法で積み重ねると、複合パネルが厚くなりすぎるという問題が発生することが多い。厚さが増すと、複合ガラスパネルも重くなる。どちらも望ましくない現象であるのは、例えば、挿入幅が特定の寸法を超えてはならないためであるか、あるいは、乗物などで重量を低く抑える必要があり、それによって、ペイロードを高く保つことができるか、移動に必要な駆動エネルギーを少なくすることができるためである。
【0012】
これに基づいて、本発明の目的は、従来技術からの一つ又は複数の問題が回避される、改良された複合ガラスパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的は、両側にセンサーアセンブリを有している複合パネルによって達成され、前記複合パネルは、第一基材層及び第二基材層、第一パターン化導電体層及び第二パターン化導電体層、並びに絶縁体層を備えており、第一供給線構造を有している第一静電容量性センシング要素が、前記第一パターン化導電体層に形成されており、第二供給線構造を有している第二静電容量性センシング要素が、前記第二パターン化導電体要素に形成されており、前記第一パターン化導電体層及び前記第二パターン化導電体層が、少なくとも前記絶縁体層によって、互いに分離されており、前記第一パターン化導電体層、前記第二パターン化導電体層、及び前記絶縁体層で構成されているアセンブリが、前記第一基材層と前記第二基材層の間に配置されており、前記第一静電容量性センシング要素が、前記第二静電容量性センシング要素に対してオフセットして配置されていることによって、前記第一パターン化導電体層の少なくとも一部が、前記第二静電容量性センシング素子のためのシールドを形成しており、かつ、前記第二パターン化導電体層の少なくとも一部が、前記第一静電容量性センシング要素のためのシールドを形成している。
【0014】
前記第一静電容量性センシング素子と前記第一供給線構造の要素の重なりが、前記第二静電容量性センシング要素の表面積の10%以下の面積を構成している。
【発明の効果】
【0015】
これには、狭いスペースで、複合ガラスパネルの異なる側に有効領域を有している二つのタッチセンサーを提供するという利点があり、必要な層は数層だけであるが、タッチセンサーのデカップリングを提供し、それによって、タッチセンサーを、高感度に設計することができる。
【0016】
すなわち、センサーの一部が重なってもよい。重なりが小さい場合、「望ましくない」側からの静電容量性の影響は非常に小さいため、「望ましい」側で感度が永続的に損なわれることはない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の別の実施形態では、第一パターン化導電体層及び/又は第二パターン化導電体層は、10μm~75μm、特に35μm、又は特に好ましくは50μmの高さを有している。
【0018】
これにより、複合パネルに統合したり、曲面に適合させたりすることできる薄いアセンブリが可能になる。本発明のさらに別の実施形態では、第一パターン化導電体層及び/又は第二パターン化導電体層は、銅、錫、銀、インジウムスズ酸化物、金、グラフェン、及び/又はそれらの混合物を含む。
【0019】
言い換えれば、本発明は、既存のプロセスに容易かつ経済的に組み込むことができる。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、絶縁体層はフィルムである。
【0021】
言い換えれば、本発明は、既存のプロセスに容易かつ経済的に組み込むことができる。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態によれば、絶縁層はフィルムであり、第一パターン化導電体層及び/又は第二パターン化導電体層がフィルムに適用されている。
【0023】
その結果、フィルムFは、一つ又は二つのパターン化された導電層とともに、事前組み立てされた状態で供給されてよく、これにより、フィルムFを、複合ガラスパネルに導入することができる。
【0024】
本発明の一実施形態では、第一基材層及び/又は第二基材層は、ガラス又はプラスチック基材である。
【0025】
本発明のさらに別の実施形態では、第一基材層及び/又は第二基材層は、板ガラス、フロートガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、及び/又はそれらの混合物を含む群から選ばれる。
【0026】
言い換えれば、本発明は、既存のプロセスに容易かつ経済的に組み込むことができる。
【0027】
本発明の別の実施形態によれば、絶縁体層は、ポリイミド、ポリウレタン、ポリメチルメタクリル酸、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルブチラール、FR6、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドを含む群から選択される少なくとも一つの材料を含む。
【0028】
本発明の実施形態では、本発明の複合ガラスパネルは、乗物ペインとして、若しくは建物グレージングの一部として、又はディスプレイ内で使用することができる。
【0029】
以下、本発明を、図面及び例示的な実施形態を参照してより詳細に説明する。図面は概略図であり、原寸に比例していない。図面は、本発明を制限するものではない。それらは、以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の態様を説明するための、フィルム、基材層の配置に関する概略図である。
【
図2】
図2は、導電体層の概略平面図であり、第一導電体層が上側に配置されている。
【
図3】
図3は、導電体層の概略平面図であり、第二導電体層が上側に配置されている。
【
図4】
図4は、タッチセンサーとして機能する部品の概略図であり、シールド部は省略されており、第二導電体層が上側に配置されている。
【
図5】
図5は、タッチセンサーとして機能する部品の概略図であり、シールド部品を有しており、第二導電体層が上側に配置されている。
【0031】
以下、図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。異なる態様が説明されており、それぞれを個別に又は組み合わせて使用できることに注意すべきである。すなわち、純粋な代替として提示されない限り、任意の態様を、本発明の異なる実施形態で使用することができる。
【0032】
また、以下では、簡単にするために、通常、常に一つの実態のみを参照する。しかしながら、明示的に記載されていない限り、本発明は、それぞれの場合において、問題の複数の実体を有することもできる。したがって、一つの(「a」又は「an」)という単語の使用は、単純な実施形態において、少なくとも一つの実体が使用されることを示すものとしてのみ解釈されるべきである。
【0033】
以下で方法を説明する場合、文脈で明示的に示されていない限り、方法の個々のステップを任意の順序で配置したり、組み合わせたりすることができる。また、特に明示されていない限り、これらの方法は互いに組み合わせることができる。
【0034】
数値付きの仕様は、一般的に、正確な値として理解されるべきではなく、±1%から±10%までの許容誤差も含まれている。
【0035】
本出願で規格及び明細書等に記載されている限り、少なくとも出願日に適用される規格及び明細書等を常に参照する。言い換えれば、規格/仕様等が更新または置き換えられた場合、本発明はそれにも適用可能である。
【0036】
様々な実施形態が図面に示されている。以下、「タッチセンサー」は、「静電容量式近接センサー」の意味で理解されるものとする。言い換えると、原則として、静電容量に影響を与えるためにタッチは必要ありませんが、接近(アプローチ)は必要である。タッチセンサーのスイッチング面が表面電極を形成する。表面電極の静電容量は、静電容量センサーの電子機器によって測定される。接地された物体がその近くに来るか、例えば、表面電極の上の絶縁体層に接触すると、表面電極の静電容量は接地に対して変化する。絶縁体層は、例えば、基材GS1、GS2によって形成することができる。静電容量の変化は、センサー電子機器によって測定され、しきい値を超えると、スイッチング信号が、発信される。
【0037】
図1は、本発明の態様を説明するための、フィルム、基材層の配置に関する概略図を示している。
【0038】
両側にセンサーアセンブリを有している複合パネル1が、概略断面図に示されている。
【0039】
複合パネル1は、第一基材層GS1及び第二基材層GS2を有している。
【0040】
また、複合パネル1は、第一パターン化導電体層LS1及び第二パターン化導電体層LS2、並びに絶縁層IOSを有している。
【0041】
第一給電線構造V1を有している第一静電容量性センシング要素SW1が、第一導電体層LS1に形成されている。第一静電容量性センシング要素SW1は、例えば、そのサイズが平均的な指先のサイズに対応するよう、設計することができる。第一静電容量性センシング要素SW1は、好ましくは1cm2~200cm2の面積、特に好ましくは1cm2~10cm2の面積を有している。第一静電容量性センシング要素SW1は、例えば、長円形、楕円形、若しくは円、三角形、長方形、正方形、若しくは別のタイプの四辺形、又はより高い多角形の形状を有していてよい。特に、円形、楕円形、若しくは涙滴の形状、又は角が丸い形状、並びに帯形状が特に有利である。
【0042】
任意で、さらに、拡大接続領域AB1(供給線構造V1と比較して拡大された)が形成されていてもよく、これにより、例えば、他の電気素子への接触を容易にする。
【0043】
第二供給線構造V2を有している第二静電容量性センシング要素SW2は、第二導電体層LS2に形成されている。第二静電容量性センシング要素SW2は、例えば、そのサイズが平均的な指先サイズに同様に対応するように、設計することができる。第二静電容量性センシング要素SW2は、好ましくは1cm2~200cm2の面積、特に好ましくは1cm2~10cm2の面積を有している。第二静電容量性センシング要素SW2は、例えば、長円形、楕円形、または円、三角形、長方形、正方形、若しくは別のタイプの四辺形、又はより高い多角形の形状を有していてよい。特に、円形、楕円形、若しくは涙滴の形状、又は角が丸い形状、並びに帯形状が特に有利である。
【0044】
第一パターン化導電体層LS1及び第二パターン化導電体層LS2は、少なくとも絶縁体層IOSによって互いに分離されている。
【0045】
第一パターン化導電体層LS1、第二パターン化導電体層LS2、及び絶縁層IOSで構成されているアセンブリは、第一基材層GS1と第二基材層GS2との間に配置されている。
【0046】
第一静電容量性センシング要素SW1は、その空間的な平面拡張において、第二静電容量性センシング要素SW2に対してオフセットされており、それによって、第一パターン化導電体層LS1の少なくとも一部は、第二静電容量性センシング要素SW2のシールドを形成しており、第二パターン化導電体層LS2の少なくとも一部は、第一静電容量性センシング要素SW1のシールドを形成している。
【0047】
すなわち、第一パターン化導電体層LS1の少なくとも一部は、第一静電容量性センシング要素SW1の一部ではなく、第二静電容量性センシング要素SW2のシールドを形成している。第二パターン化導電体層LS2の少なくとも一部は、第二静電容量性センシング要素SW2の一部ではなく、第一静電容量性センシング要素SW1のシールドを形成している。
【0048】
これには、狭いスペースで、複合ガラスパネルの異なる側に有効領域を備えた二つのタッチセンサーを提供するという利点があり、必要な層は数層だけであるが、タッチセンサーのデカップリングを提供し、それによって、タッチセンサーを、高感度に設計することができる。
【0049】
これにより、タッチセンサーを小さなスペースに提供することができる。すなわち、そのようなタッチセンサーが利用できる限られた領域では、タッチセンサーを複合パネル1の両側に提供できるようになり、好ましい場合には、タッチセンサーの数を、限られたエ領域で、2倍にすることができる。
【0050】
さらに、複合パネル1の厚さを、薄く保つことができ、これは、片側にセンサーアセンブリを有する場合よりも、多くの層を必要とされないためである。その結果、重量を低減でき、かつ、従前の挿入幅も維持することができる。
【0051】
図2は、第一導電体層LS1の概略平面図を示しており、第二導電体層LS2の一部がその下に配置されている。第一静電容量性センシング要素SW1の下に位置している第二導電体層LS2の部分が、シールドとして機能していることが分かる。さらに、第一供給線構造V1(歪んで拡大して示されている)及び/又は任意の関連する接続領域AB1(歪んで拡大して示されている)についても同様に、第二導電体層LS2の一部によって、シールドされるように提供されていてよい。
【0052】
図3は、第二導電体層LS2の同様の概略平面図を示しており、第一導電体層LS1の一部がその下に配置されている。第二静電容量性センシング要素SW2の下に位置している第一導電体層LS1の部分が、シールドとして機能していることが分かる。さらに、第二供給線構造V2(歪んで拡大して示されている)及び/又は任意の関連する接続領域AB2(歪んで拡大して示されている)も同様に、第一導電体層LS1の一部によって、シールドされるように提供されていてよい。
【0053】
ここで、シールドが多いほど、「望ましくない」側からのタッチセンサーに及ぼす影響は少なくなる。供給線構造はかなり狭く保つことができるため(図では、明確にするためにパターンが誇張されている)、加えられる影響は、静電容量性センシング要素に加えられる影響よりも重大ではない。また、原則として、供給線構造の場所にも、任意の接続領域の場所にも、意図的な影響は期待されていない。
【0054】
すなわち、適切な寸法を設定することにより、設置スペースを多数のセンサーのために充分に活用できると同時に、高度な(相互の)シールドを提供することができる。
【0055】
スイッチング表面の導電性構造は、低電流を輸送するだけでよいため、層のより高いシート抵抗を選択することができる。本発明の有利な導電体層LS1及びLS2は、0.4オーム/平方~200オーム/平方のシート抵抗を有している。
【0056】
スイッチング表面は、電気的に、特に、ガルバニック的に、容量的に、及び/又は誘導的に、センサー電子機器に接続されていてよい。センサー電子機器は、複合パネル1の外部、又は複合パネル1の内部若しくは表面に配置されていてよい。
【0057】
本発明の実施形態では、第一静電容量性センシング要素SW1と第一供給線構造V1の要素の重なりは、好ましくは、第二静電容量性センシング要素SW2の表面積の10%以下である。すなわち、供給線構造V1を含む第一静電容量性センシング要素SW1の静電容量性の影響力のある領域は、第二静電容量性センシング要素SW2の表面積の1/10未満しか重なっていない。これは、第二静電容量性センシング要素SW2と比較して、第一静電容量性センシング要素SW1の可能な静電容量性の影響を小さく維持する。すなわち、重なっているにもかかわらず、誤操作を引き起こすことなく、感度を提供することができる。これにより、タッチセンサーをより自由に配置することができる。
【0058】
本発明の別の実施形態によれば、第一パターン化導電体層LS1は、
図1に示されるように、10μm~75μmの高さ(層の厚さとも呼ばれる)h
LS1を有している。第二パターン化導電体層LS2も提供されていてよい。この第二パターン化導電体層LS2はまた、10μm~75μmの高さ(層の厚さとも呼ばれる)h
LS2を有していてもよい。好ましくは、第一導電体層及び第二導電体層は、それぞれ、約35μm及び約50μmの高さを有している。任意で、接着促進層が、第一導電体層及び/又は第二導電体層に適用されていてよい。この接着促進層は、例えば、いずれの場合も、約15μmの高さを有していてもよい。
【0059】
これにより、複合パネル1に統合することも、曲面に適合させることもできる、薄いアセンブリが可能になる。
【0060】
本発明のさらに別の実施形態によれば、第一パターン化導電体層LS1及び/又は第二パターン化導電体層LS2は、銅、錫、銀、インジウムスズ酸化物、金、グラフェン、及び/又はそれらの混合物を含む。
【0061】
言い換えれば、本発明は、既存のプロセスに容易かつ経済的に組み込むことができる。
【0062】
導体層LS1、LS2は異なる材料を含んでもよいことに留意されたい。しかし、それらは、好ましくは同じ材料を含む。言い換えれば、導体構造は、電気的及び/又は熱的及び/又は機械的境界条件に適合させることができる。
【0063】
他の電気的機能は、第一パターン化導電体層LS1及び/又は第二パターン化導電体層LS2に実装されてもよいことに留意されたい。例えば、ディスプレイ要素及び/又はアンテナ及び/又は加熱要素及び/又は他の機能要素を実装されていてもよい。
【0064】
本発明の別の実施形態では、絶縁体層ISOはフィルムである。
【0065】
言い換えれば、本発明は、既存のプロセスに容易かつ経済的に組み込むことができる。
【0066】
特に、例えば、製造のために、第一導電体層LS1及び/又は第二導電体層LS2がフィルム上に提供されるように準備することができる。
【0067】
その結果、フィルムFは、一つ又は二つのパターン化された導電層とともに、事前組み立てされた状態で供給されてよく、これにより、フィルムFを、複合ガラスパネルに導入することができる。
【0068】
言い換えれば、タッチセンサーを形成するためのパターン化は、適切な手段によって導電体層上に提供することができる。例えば、印刷プロセス(スクリーン印刷等)によるパターン化導電体層の選択的適用に加えて、代替的又は追加的に、レーザーパターニング、ピーリング、ミリング、カッティング等のアブレーションプロセスによってパターンを提供することが可能である。
【0069】
図1において、白領域で示されている分離線の幅は、好ましくは30μm~200μmであり、特に好ましくは70μm~140μmである。そのような細い分離線は、信頼性が高く、充分に高い電気絶縁を可能にし、同時に、複合パネル1を通じての視界を妨害しないか、あるいは、わずかに妨害するだけである。分離線は、好ましくは、レーザーパターニング又は化学的若しくは機械的アブレーションによって生成される。スイッチング表面のそのような配置は、製造するのが特に簡単で経済的である。
【0070】
分離線は、露出したままでもよいし、絶縁材料で満たされていてもよい。
【0071】
本発明の一般性を制限することなく、第一導電体層LS1及び/又は第二導電体層LS2はまた、それぞれの場合に隣接する基材GS1/GS2に提供されていてよい。
【0072】
言い換えれば、タッチセンサーを形成するためのパターン化は、適切な手段によって導電体層上に提供することができる。例えば、印刷プロセス(スクリーン印刷等)によるパターン化導電体層の選択的適用に加えて、代替的又は追加的に、レーザーパターニング、ピーリング、ミリング、カッティング等のアブレーションプロセスによってパターンを提供することが可能である。
【0073】
第一基材層GS1及び/又は第二基材層GS2は、例えば、ガラス又はプラスチック基材であってよい。原則として、本発明の乗物ペインの製造及び使用の条件下で熱的及び化学的に安定であるすべての電気絶縁基材が、基材として好適である。
【0074】
図2と
図3を一緒に見ると、タッチセンサーが近接して並んでいることが分かる。
【0075】
図4は重なりを示しており、先ず、タッチセンサーとして機能する部分のみが示され、シールド部分は省略され、第二導電体層が上側に配置されている。比較のために、
図5は、同じ視線方向から、シールド部品を有しているタッチセンサーとして機能する部品の概略図を示しており、第二導電体層が上側に配置されている。明示されるように、ここでは、第二静電容量性センシング要素SW2が第一供給線構造V1の上方に配置されている。静電容量結合を回避するため、第一供給線構造V1と第二供給線構造V2は重なっていない。静電容量性センシング要素SW1/SW2の表面積と比較して、供給線構造の面積が小さい場合は、部分的又は完全な重なりの可能である。同様のことが、任意の接続領域AB1、AB2にも当てはまる。しかし、静電容量性センシング要素の外側領域は、実質的にシールドされていることが望ましい。
【0076】
第一基材層GS1及び/又は第二基材層GS2は、特に好ましくは、板ガラス、フロートガラス、石英ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、ソーダライムガラスまたは透明プラスチック、好ましくは硬質透明プラスチック、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、及び/又はそれらの混合物を含む。
【0077】
言い換えれば、本発明は、既存の材料システムに特に簡便に統合することができる。
【0078】
本発明の別の実施形態では、絶縁体層ISOは、ポリイミド、ポリウレタン、ポリメチルメタクリル酸、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルブチラール、FR6、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドを含む群から選択される少なくとも一つの材料を有する。
【0079】
言い換えれば、本発明は、既存の材料システムに特に簡便に統合することができる。
【0080】
本発明の実施形態では、本発明の複合パネルは、乗物ペインとして、若しくは建物グレージングの一部として、又はディスプレイ内で使用することができる。
【0081】
一般性を制限することなく、複合パネルは、ウインドシールド、リアウィンドウ、サイドウィンドウ、又はルーフパネルであってよい。
【0082】
本発明の別の実施形態によれば、乗物、特に、陸上、水上、航空、又は宇宙船は、本発明の複合パネルを有するように提供される。
【0083】
特に、バス及び電車等の公共交通機関の場合、ガラス部分に両側スイッチング要素がある。このようなスイッチング要素は、例えば、ドアを制御するために使用され、それによって、ドアを内側と外側の両方から開くことができる。
【符号の説明】
【0084】
1 複合パネル
GS1 第一基材層
GS2 第二基材層
LS1 第一パターン化導電体層
LS2 第二パターン化導電体層
ISO 絶縁体層
SW1 第一静電容量性センシング要素
V1 第一供給線構造
SW2 第二静電容量性センシング要素
V2 第二供給線構造
AB1 第一接続領域
AB2 第二接続領域
hLS1 第一パターン化導電体層の高さ
hLS2 第二パターン化導電体層の高さ
【国際調査報告】